JP5461082B2 - ストレプトミセス属に属する新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする医薬 - Google Patents

ストレプトミセス属に属する新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする医薬 Download PDF

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Description

本発明は、新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする抗癌剤に関する。より詳細には、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする医薬に関する。
従来、癌治療には、癌細胞の増殖を阻害する薬物が使用されてきた。こうした癌治療に用いられる薬剤としては、ムスチン、シクロホスファミド、クロラムブシル等のアルキル化剤、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ドキソルビシン等の細胞毒抗生物質、ビンクリスチン、ビンブラスチン等のビンカアルカロイド、葉酸拮抗薬であるメトトレキセート(登録商標)、抗ピリミジン薬であるフルオロウラシルやシタラビン、抗プリン薬であるメルカプトプリンその他の代謝拮抗剤、プレドニゾロンその他のグルココルチコイド、エストロゲン拮抗薬であるタモキシフェン、スチルベストロルその他の各種ホルモン、アザチオプリンその他の免疫抑制剤等が使用されている。
こうした薬剤は、単独で使用されることもあり、併用されることもあるが、薬剤を単独で持続的に投与するよりも、複数の薬剤を組み合わせて間欠的に併用する方が高い効果を示すことが多い。
しかし、上記の薬物は、癌細胞に対してある程度の選択作用を示すとはいえ、骨髄、胃腸管上皮、毛嚢等の増殖の速い正常細胞に対してもダメージが大きく、副作用が問題とされている。
一方で、癌細胞の増殖のメカニズムには、原発巣から周辺組織への浸潤と、原発巣で増殖した癌細胞の一部が血管壁をすり抜け、血流に乗って他の部位へ移動する転移とが知られている。
このため、癌細胞に対する細胞毒性を有するだけでなく、このような癌細胞の浸潤阻害活性を有していれば、抗癌剤として有用である。
また、癌患者は免疫状態が低下しがちであり、日和見感染その他の感染症にも罹患しやすい。このため、抗菌性を有するものであれば、感染症への罹患率を低下させることができるため、さらに有用性が高い。
したがって、細胞毒性活性の他に、癌細胞の浸潤阻害活性及び抗菌性を有する化合物に対する、高い要請があった。
本発明者らは、以上のような状況の下で、上記のような活性を示す新規化合物を産生するStreptomyces属に属する新規微生物を見出し、本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、特許生物寄託センターに受託番号: NITE P-769として寄託されたストレプトミセス(Streptomyces)属に属する新規微生物である。
また、本発明は、前記の微生物が産生し、抗癌活性、癌細胞の周辺組織浸潤阻害活性、細胞障害活性及び抗菌活性を有する、下記式(I)で表される化合物である。
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本発明はまた、前記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗癌剤である
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本発明はさらにまた、前記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする、癌細胞の周辺組織浸潤阻害剤である
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本発明はさらにまた、前記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗菌剤である
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本発明において、上述したストレプトミセス(Streptomyces)属に属する新規微生物は、上記式(I)で表される新規化合物を産生する。そして、上記新規化合物は、癌細胞に対する細胞傷害活性、癌細胞の周辺組織浸潤阻害活性(基底膜浸潤阻害活性)、及び抗菌性を有する。
図1は、ストレプトミセス属に属する新規微生物、TP-A0875の走査型電子顕微鏡写真である。 図2は、本発明の新規化合物の平面構造を示す図である。 図3は、本発明の1実施形態に係る化合物TPU−0114のHMBC及びCOSYに基づく構造を示す図である。
本発明に係るストレプトミセス属に属する新規微生物(TP-A0875)は、以下のようにして単離する。
まず、生ゴミ処理物を滅菌シャーレ上で風乾後、乳鉢で細かく粉砕し、所定の培地に懸濁させる。ついで、室温にて静置し、順次10倍希釈を行って試料を調製する。生ゴミ処理物としては、例えば、事業所系の生ゴミ、動物残渣・牛糞・魚腸骨、家庭からの生ゴミ、野菜残渣・魚残渣その他の各種生ゴミ由来の堆肥を使用することができる。
所定の培地としては、例えば、YS培地等を使用することができ、これらの培地を用いて、上記の懸濁液の10倍希釈を行う。
次いで、平板培地上にこれらの試料を塗布し、恒温機中で培養し、平板上に出現したコロニーを採取することにより、菌を分離することができる。平板培地としては、例えば、Bn2培地、HMG培地等を使用することができる。恒温器での培養は、約30℃〜64℃の間の所望の温度で行うことができる。
上記のようにして得られたストレプトミセス属に属する新規微生物は、走査型電子顕微鏡を用いた形態学的観察を行う。本発明の新規微生物は、気菌糸は緩やかなループを形成し、胞子は表面が平滑な球形の胞子が10〜20個連鎖している。
また、寒天培地における生育状態の観察には、種々のISP培地を使用することができる。例えば、ISP培地No.2(イースト・麦芽寒天培地)、ISP培地No.3(オートミール寒天培地)、ISP培地No.4(スターチ・無機塩寒天培地)、ISP培地No.5(グリセリン・アスパラギン寒天培地)及びISP培地No.7(チロシン寒天培地)等を使用し、培養温度を例えば、32℃として、これらの寒天培地上における増殖の状況、気中菌糸及び基底菌糸の色、及び色素の産生等を観察することができる。これによって、菌の形態学的な性質を明らかにすることができる。
また、ベネット寒天培地上における生育温度の範囲や、最適な生育温度、メラニン様色素の生成等を調べることによって、菌の生理学的性質を明らかにすることができる。
さらに、どのような炭素原を利用することができるかの確認、菌体分析、及び16S rRNAの塩基配列を対照となる菌のそれと比較することによって、分類学的性質をより明らかにすることができる。
以上の性質より、単離された菌株の同定をすることができる。
菌の単離及び二次代謝産物(以下、単に「化合物」ということがある。)の精製は、以下のようにして行うことができる。
まず、上記のような手段を用いて特徴付けられる菌を、種母培地に接種して、例えば、約15〜40℃の温度範囲で3〜5日間、振とう培養によって前培養を行う。次いで、前培養が終了した種母培地を所定量とり、本培養用の培地に接種し、例えば、数日間、上記の温度で振とう培養を行う。
こうした種母培地としては、V-22液体培地等を挙げることができる。振盪培養は、例えば、150〜250rpmで、室温にて3〜5日間という条件で行うことができる。
種母培地を用いた前培養後、本培養を行うにあたっては、例えば、A−3M液体培地を用いて、150〜250rpmで、室温にて4〜8日間という条件で行うことができる。培養条件を、約200rpmで6日間として振とう培養を行うことが、本発明の微生物の生育の面から好ましい。
培養終了後、一般的には、培養液に所定量の有機溶媒を加えて、所望の時間、抽出を行い、次いで遠心して有機相と水相とに分ける。その後、得られた有機相を減圧濃縮する。
まず、上記のように培養が終了した培養液に、例えば、等量の有機溶媒を加え、0.5〜2時間、振盪を行い、その後、遠心して水相と有機相とに分離する。次いで、有機相を、例えば、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮することにより、抽出物が得られる。
ここで使用する有機溶媒は、水相と併せて以後の精製を行うか否かによって、水との相溶性を考慮し、必要に応じて選択する。本発明の菌の場合には、水相と併せずに精製を行うため、水との相溶性の低い溶媒を使用することが可能であり、n−ブタノール、酢酸エチル、塩化メチレン等を使用することができ、所望の回数、抽出を行うことができる。
n−ブタノール等を使用することが、粗抽出の抽出効率が高いことから好ましく、複数回の終出を行うこともできる。
以上のようにして粗抽出物を得た後は、カラムワークによって二次代謝産物の単離・精製を行う。得られた粗抽出物の量がある程度以上ある場合には、通常は、逆相系及び/又は順相系のシリカゲルクロマトグラフィーによる分画を行う。
こうしたクロマトグラフィーに使用する溶離液としては、例えば、逆相系のカラムクロマトグラフィーの場合にはクロロホルム−メタノール、塩化メチレン−メタノール等を挙げることができ、順相系のカラムクロマトグラフィーの場合には、ヘキサン−酢酸エチル等を挙げることができる。
目的化合物は、粗抽出物をアプライしたカラムから一定の組成の溶離液を用いて溶出させることもでき、溶離液の極性を変化させながら溶出させることもできる。溶離液の極性を変化させながら溶出させる場合には、所定の割合で上記有機溶媒を含有する溶離液を数種類用意して行う、ステップグラジエント法によってもよく、連続的な濃度勾配となるように調製するグラジエント法によってもよい。また、精製の工程に応じて、適宜これらを組み合わせて使用することもできる。
本発明の新規化合物は、まず、上記のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを、逆相系の溶離液、例えば、クロロホルム:メタノール(100:0〜0:100)等を用いたグラジエント溶出により、分画することが抽出効率の点から好ましい。
分画によって得られた画分のうち、どこに目的化合物が含まれているかについては、各画分から少量の試料を抜き取り、高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)にかけて確認を行う。こうした確認のためには、例えば、ヒューレットパッカード社製、島津製作所製その他のHPLC装置と、ODSカラム、逆相系の溶離液を用いる場合には、アセトニトリル−水、アセトニトリル−リン酸二水素カリウムバッファー等(pH3〜5)等を使用して、検出波長を210〜300nmとして行うことができる。
ここで使用する、確認用のHPLC用カラムとしては、例えば、COSMOSIL(登録商標)5C18-ar-II Waters 4.6×250mm(ナカライテスク(株)製)、cadenza CD-C18 75 ×4.6mm(インタクト(株)製)、MICROSORB-MV 100×4.6mm(バリアン テクノロジーズ ジャパン リミテッド製)等を挙げることができ、MICROSORB-MV 100×4.6mmを使用することが、簡便さの理由から好ましい。
また、上記HPLC用の溶離液としては、例えば、アセトニトリル−水、アセトニトリル−0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)等を使用することができる。また、グラジエント法による場合には、例えば、アセトニトリル−0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)=15−85〜85−15とし、検出波長を245〜280nmとすることが、目的物質を容易に検出できることから好ましい。
目的化合物を含有する画分を確認した後に、このような画分を集めて減圧濃縮を行い、さらに、カラムクロマトグラフィーに供して、所定の溶離液で分画する。この段階においても、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用することができる。
目的とする化合物性質に応じて、順相系又は逆相系の溶離液を選択する。本発明の化合物を単離・精製する場合には、順相系の溶離液を使用することが好ましく、こうした溶離液としては、例えば、酢酸エチル−ヘキサン、アセトン−ヘキサン等を挙げることができる。
すなわち、本発明の化合物を得るためには、最初に順相系のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、その後は逆相系のカラムクロマトグラフィーを行うことが、効率的に精製する上で好ましい。
この段階のシリカゲルクロマトグラフィーにおいて、必要に応じてグラジエント溶出を行うことができ、また、ステップグラジエント溶出を行ってもよい。
例えば、酢酸エチル:n−ヘキサン(100:0〜1:1)を溶離液として用いたステップグラジエントを行うことにより、本発明の化合物を含有する画分を効率よく得ることができる。
目的とする化合物が含まれている画分を上記と同様にして確認し、集めて減圧濃縮を行い、粗精製物を得ることができる。得られた粗精製物の量が多い場合には、その一部を分取クロマトグラフィーに供する。
こうした分取クロマトグラフィーとして、シリカゲルクロマトグラフィー、ODSカラムクロマトグラフィー等を挙げることができ、溶離液は上述したように、目的とする化合物の性質に応じて適宜選択すればよい。
ここで使用する分取カラムクロマトグラフィーとしては、上述したようにシリカゲルクロマトグラフィー以外にも、例えば、ODSシリカゲルカラム(ナカライテスク社製)その他のものを使用することができる。中性シリカゲルカラム(関東化学社製)を使用することが分取効率の面から好ましい。
本発明の化合物の単離・精製には、順相系の溶離液を用いることが、精製効率の理由から好ましく、酢酸エチル:n−ヘキサン=100:0〜1:1を用いることにより、効率よく目的とする化合物を含有する画分を分取することが可能となる。
目的化合物が含まれている画分を必要に応じて、例えば、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮し、酢酸エチルを用いた抽出を行い、その後、濃縮物を低温室などで放置することによって、目的の化合物を結晶として得ることができる。
以上のようにして、本発明の新規化合物を得ることができる。これらの化合物を公知の方法に従って処理し、所望の誘導体、塩、水和物等を得ることができる。
また、本発明は、上述した方法で得られた下記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗癌剤である。
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生理学的に許容されるそれらの塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等を挙げることができる。また、それらの水和物としては、一水塩、二水塩等を挙げることができる
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本発明はまた、上記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする、癌細胞の周辺組織浸潤阻害剤である
本願発明の抗癌剤は、上記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分として含有するものであることが、後述する癌細胞の周辺組織浸潤阻害活性を有するからである
理学的に許容されるそれらの塩、それらの水和物は、上述した通りである。
本明細書中において、「癌細胞の周辺組織」とは、増殖した癌細胞と隣接する組織及び血管壁をいうものとする。また、「浸潤」とは、隣接する正常組織へ癌細胞(悪性新生物)が入り込んで局所的に広がることをいい、悪性新生物が上皮性腫瘍の場合には、その直下にある上皮基底膜に入り込むことをいう。さらに、癌細胞が、血管の外膜、中膜、及び内膜を通過することも、「浸潤」に含まれるものとする。
本発明はさらにまた、前記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗菌剤である。
上記抗菌剤は、前記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とするものであることが、グラム陽性菌に対して抗菌スペクトラムを有するからである。ここで、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物は、上述した通りである。
ここで、上記の抗癌剤中における前記有効成分の含量は、製剤の1用量当たり0.1〜1,000mgであることが好ましく、0.5〜500mgであることがより好ましい。
また、上記抗癌剤は、経口投与、静脈内投与、又は腹腔内投与が可能な剤形であることが好ましく、錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、トローチ剤、及び液剤からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
上記の化合物を有効成分する抗癌剤は、上記以外の粉剤その他の固形剤としてもよく、注射剤用の凍結乾燥製剤、リポソーム剤等、各種の剤形とすることもできる。
上述したように製造したこれらの化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物を用いて製剤を製造する場合には、常法に従って、粉末とした後に散剤としてもよく、公知の賦形剤、崩壊剤等とともに打錠し、錠剤、トローチ剤等にしてもよい。錠剤の場合には、必要に応じて白糖その他の糖等を用いて、単層又は複数の層でコーティングを行い、糖衣錠としてもよい。また、矯味・矯臭剤を添加してもよい。
また、これらを適当な溶媒に溶解し、常法に従って乾燥させ、顆粒剤としてもよい。さらに、上記のような粉剤、顆粒剤を所定の大きさの軟カプセル又は硬カプセルに充填し、カプセル剤とすることもできる。
液剤とする場合には、必要に応じて、pH調整剤、分散剤等を添加することもできる。リポソーム剤とする場合には、適当なリン脂質を選択し、溶液中でこれらとともに懸濁することによって、製造することができる。
上記の癌細胞の周辺組織浸潤阻害剤中における前記有効成分の含量は、製剤の1用量当たり0.05〜800mgであることが好ましく、0.1〜400mgであることがより好ましい。
また、上記癌細胞の周辺組織浸潤阻害剤は、経口投与、静脈内投与、又は腹腔内投与が可能な剤形であることが好ましく、錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、トローチ剤、及び液剤からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
上記の化合物を有効成分する周辺組織浸潤阻害剤は、上記以外の粉剤その他の固形剤としてもよく、注射剤用の凍結乾燥製剤、リポソーム剤その他の各種の剤形とすることができる。
また、上記抗菌剤中における前記有効成分の含量は、製剤の1用量当たり5〜500mg(力価)であることが好ましく、10〜300mg(力価)であることがさらに好ましい。
上記の抗菌剤は、経口投与、又は静脈内投与が可能な剤形であることが好ましい。経口投与の場合には、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドライシロップ等とすることが好ましく、静脈内投与の場合には、静脈内注射、点滴静注用の製剤とすることが好ましい。
菌の探索と分離・同定
(1−1)試薬等
以下の試薬を使用した。
塩化カルシウム、炭酸カルシウム、ブドウ糖、グリセロール、硫酸マグネシウム7水和物(MgSO4・7H2O)、硫酸鉄7水和物(FeSO4・7H2O)、塩化マンガン4水和物(MnCl2SO4・4H2O)、硫酸ニッケル4水和物(NiSO4・4H2O)、硫酸亜鉛4水和物(ZnSO4・4H2O)、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、NZケイス(NZ Case)、溶性でんぷん(Soluble Starch)、メタノール、アセトニトリル、リン酸水素2カリウム(K2HPO4)、リン酸水素2ナトリウム12水和物(Na2HPO4・12H2O)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ゲランガム(Gellan gum)、Cell Counting Kit及び寒天は、和光純薬工業(株)より購入した。
肉エキスは日本ベクトン・ディッキンソン(株)より、酵母エキスは極東製薬工業(株)より購入した。ファーマメディア(Pharmamedia(登録商標))はTraders Protein社より、それぞれ購入した。ダイヤイオン(登録商標)(Diaion(登録商標)HP-20)は、三菱化学(株)より購入した。
NMR用メタノールは関東化学(株)より、また、NMR用DMSOはセティ(株)より、それぞれ購入した。
シ胎児血清(FBS)はSAFC Biosciences社(輸入発売元(株)ニチレイバイオサイエンス)より、RPMI1640培地はインビトロジェン(株)より、それぞれ購入した。Colon 26 L-5は、富山大学和漢薬研究所病態生理学研究室にて済木育夫教授らにより樹立されたマウス大腸癌由来細胞を使用した。MOPSは(株)同仁化学研究所より購入し、ヘマトキシリン及びエオシンは武藤化学(株)より購入した。
(1−2)放線菌の探索
探索源として、下記表1に示す堆肥を使用した。これらの堆肥を滅菌シャーレ上で風乾し、乾燥後の堆肥を乳鉢で細かく粉砕した。
粉砕した堆肥1gを、10mLのYS培地に懸濁し、ボルテックスミキサーで1分間攪拌した後に、室温にて30分間静置した。YS培地の組成を下記表2に示す。
静置30分後、この懸濁液をYS培地で、順次10倍に段階希釈した。適当な濃度に調整した懸濁液0.1mLをBn2平板培地又はHMG平板培地2枚に、コンラージ棒にて塗布し、各平板培地を表1に示す温度に設定した恒温器(恒温器:アドバンテック東洋(株)INCUBATOR CI-612)に入れ、2〜4週間培養し、出現したコロニーから釣菌し、菌を単離した。上記の試料から、約60株が得られた。
下記の表3及び4に、Bn2培地及びHMG培地の組成を示す。
*1:詳細は、次表に示す。
ここで、上記HMG培地で使用した金属溶液の組成及びフミン酸溶液の組成を下記表5及び6に示す。
(1−3)菌の同定
以上のようにして得られた菌株の1つをTP-A0875と命名し、その分類学的性質を「放線菌の分類と同定」(日本放線菌学会編、日本学会事務センター刊 2001年2月)に従って決定した。
菌の同定に使用したISP(International Streptomyces Project)培地 No. 2及び同No. 4は、日本ベクトン・ディッキンソン(株)より購入した。また、ISP培地 No. 3、同No. 5、及び同No. 7としては、日本放線菌学会規格放線菌培地ダイゴ No. 3、No. 5、及び同No. 7を日本製薬(株)より購入した。
色調は標準として、『新色名事典』(財団法人日本色彩研究所 1987年)を用いて決定し、色標名とともに括弧内にそのコードを併せて記した。観察は32℃、4週間目の各種培地における結果である。
本菌株の分類学的性質は下記の通りであった。
(1)形態学的性質
走査型電子顕微鏡で観察したところ、気菌糸は緩やかなループを形成し、胞子は表面が平滑な球形の胞子が10〜20個連鎖していた。(図1参照)。
(2)寒天培地における生育状態
本菌株は、下記の培地上で中程度以上の生育を示した。また、気中菌糸は灰色がかった白色から灰色系を呈し、基底菌糸裏面は灰色がかった白色から濃い灰色系を呈した。
(a)ISP培地 No. 2(イースト・麦芽寒天培地、32℃培養)で良く増殖した。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、中程度の灰色(ミディアム・グレー)の気中菌糸を厚く着生した。
(b)ISP培地 No. 4(スターチ・無機塩寒天培地、32℃培養)で良く増殖した。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、赤みがかった灰色の気中菌糸を厚く着生した。
(c)ISP培地 No. 5(グリセリン・アスパラギン寒天培地、32℃培養)で良く増殖した。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、明るい灰色の気中菌糸を厚く着生した。
(d)ISP培地 No. 7(チロシン寒天培地、32℃培養)で良く増殖した。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、明るい灰色の気中菌糸を厚く着生した。
(e)ISP培地 No. 3(オートミール寒天培地、32℃培養)で中程度に増殖した。基底菌糸裏面も灰色がかった白色を呈し、灰色がかった白色の気中菌糸をうっすらと着生した。
TP-A0875菌株の各種寒天培地上の培養性状を表7にまとめた。
(3)生理学的性質
(a)ベネット寒天培地(肉エキス0.1%、酵母エキス0.1%、NZアミン0.2%、ブドウ糖1.0%、及び寒天2.0%を含む)において15〜40℃の温度範囲で増殖し、約25℃付近で良好に増殖した。
(b)メラニン様色素生成は陰性であった。
(4)炭素源の利用
利用可能な炭素源は、D−グルコース、D−キシロース、D−フラクトース、D−マンニトール、L−アラビノース、及びmyo−イノシトールであった。
一方、利用しない炭素源は、スクロース、L−ラムノース、ラフィノースであった。
(5)菌体分析の結果
全菌体加水分解物中のジアミノピメリン酸はLL型を含み、グリシンを含んでいた。全菌体糖としては、ガラクトースとグルコースとを含んでいた。
16S rRNAの塩基配列(1,468塩基対)を、Streptomyces sp. S096 (EF577242)の該当する塩基配列と比較したところ、100%の相同性を示した。
以上の分類学的性質を示したことから、本菌株をストレプトミセス属(Streptomyces)と同定した。
(1−4)二次代謝産物の探索
TP-A0875を、100mLの種母培地であるV-22液体培地(溶性デンプン1.0%、ブドウ糖0.5%、NZケイス0.3%、酵母エキス0.2%、トリプトン0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.05%、CaCO3 0.3%を含む)が入った500mLのK型フラスコに接種し、200rpm、30℃にて4日間、振とう培養した(振とう機:サンキ精機(株)RGS-200R)。
その後、100mLの生産培地A−3M(ブドウ糖0.5%、グリセロール2.0%、溶性デンプン2.0%、ファーマメディア1.5%、酵母エキス0.3%、Diaion HP-20 1.0%を含む)の入った500mLのK型フラスコ30個に、上記の種母培養液を3mLずつ移植し、200rpm、30℃にて6日間振とう培養した。
培養終了後、上記のフラスコから集めた3Lの培養液に、等量のn−ブタノールを加え、1時間ロータリーシェーカー(サンキ精機(株)製)で振盪した後に、5,000rpmで10分間遠心し(遠心機:HITACHI(登録商標)himac(登録商標)CR20、ロータ:HITACHI R12A、いずれも日立工機(株)製)、有機相と水相とに分離した。次いで、得られた有機相をロータリーエバポレータ(ROTARY EVAPORATOR REN-1000,AGCテクノガラス(株)製)を用いて減圧濃縮し、粗抽出物(20.4g)を得た。
この粗抽出物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学社製、シリカゲル量:200g)に供し、クロロホルム:メタノール(100:0〜0:100)を用いてグラジエント溶出にて、分画した。
各画分について、以下の条件でHPLC分析を行った。
<HPLC条件>
装置:HEWLETTPACKARD 1090
溶離液:アセトニトリル:0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)=15:85〜85:15
流 速:1.2ml/min
検出波長:254nm
カラム:MICROSORB-MV 100×4.6mm
カラム温度:室温
クロロホルム:メタノール=10:1の画分に、後述する化合物(TPU-0114)を確認した。このため、これらの画分を集めて減圧濃縮し、黄色油状物(5.8g)を得た。
得られた黄色油状物を少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(関東化学社製、シリカゲル量:60g)に供し、溶離液として酢酸エチル:n−ヘキサン(100:0〜1:1)を用いて、ステップグラジエントにて溶出し、分画した。
酢酸エチル:n−ヘキサン=10:1〜8:1の画分に、後述する化合物(TPU-0114)を確認した。このため、これらの画分を集めてロータリーエバポレータ(ROTARY EVAPORATOR REN-1000, IWAKI製)を用いて減圧濃縮し、黄色油状物(4.9g)を得た。
得られた黄色油状物質のうち、500mgをゲルろ過クロマトグラフィー(セファデックス(登録商標)LH-20、GEヘルスケア ライフサイエンス(株)製、内径:20mm、カラム長:50cm)に供し、溶離液としてメタノール:塩化メチレン=1:1を用いて分取した。
後述する化合物(TPU-0114)を確認した画分を集めて上記ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮し、8.2mgのTPU-0114を無色結晶として得た。
菌の産生化合物の構造決定
次に、実施例1で得られた無色結晶の構造決定を行った。構造決定のために、核磁気共鳴吸収(NMR)、紫外吸光(UV)分析、赤外吸収(IR)分析、質量分析(MS)、旋光度測定を行った。以下の機器を使用して分析を行い、UV及びIRスペクトルの結果と合わせて、構造決定を行った。
13C−NMR:BRUKER(登録商標)ULTRASHIELDTM 400PAUS(100 MHz)(ブルカー・バイオスピン(株)製)
H−NMR:BRUKER ULTRASHIELDTM 500PAUS(500 MHz)
UV:HITACHI(登録商標)U-3210(日立ハイテク(株)製)
IR:PerkinElmer Spectrum 100((株)パーキンエルマージャパン製)
MS:BRUKER DALTONICOS micro TOF(ESI-TOF-MS)(ブルカー・ダルトニクス(株)製)
旋光度:JASCO P-1030
HPLCの保持時間…以下の条件でHPLC分析を行い、保持時間を測定した。
カラム:MICROSORB-MVTM (100×i.d. 4.6mm、バリアン テクノロジーズ ジャパン リミテッド製)
移動相:CHCN:0.15% KHPO(pH3.5)=15:85〜85:15
流速:1.2mL/分
検出波長:254nm
(2)TPU0114の構造決定と物性
TPU0114は、UV分析の結果、288nm及び236 nmに吸収極大を示し、IR分析では、1748cm‐1にC=O伸縮振動に由来する吸収帯が観測された。また、質量分析では、ESI-TOF-MSで[M−H]がm/z 395.2237に検出されたため、分子式をC25H32O4と決定した。
13C NMR分析の結果、30個のシグナルが観測された。その内訳は、メチル基由来のシグナルが5個、メチレン基由来のシグナルが5個、メチン基由来のシグナルが12個、四級炭素由来のシグナルが8個観測された(CD3OD、30℃)。
TPU0114-AのNMRデータを下記表8に、構造式を図2及び3にそれぞれ示す。また、下記表9に、一般的な性状、分子量、紫外吸収、赤外吸収等のデータを示す。
a 100MHz NMRで記録 b 500MHz NMRで記録
実施例2で構造決定を行ったTPU0114の生物学的活性を、抗菌試験、細胞傷害活性及び基底膜浸潤阻害活性について検討した。
(3−1)抗菌試験
下記表10に示す細菌6種及び酵母3種及び培地を用いて、TPU0114の抗菌活性を試験した。
まず、上記表10に示す細菌及び酵母を前培養し、シングルコロニーを作るように、それぞれ、平板寒天培地上で増殖させた。
次に、各寒天平板よりコロニーを白金耳でかき取り、それぞれ8mLの液体培地に懸濁した。次いで、30℃にて、20時間振とう培養(120rpm/分、振とう機:サンキ精機(株)RGS-200R)した。
培養終了後に、遠心分離により集菌し(遠心機:HITACHI himac CR20、ロータ:HITACHI R12A、3000rpm, 5分)、得られた菌を生理食塩水に懸濁して、OD660を測定した(Emax:日本モレキュラーデバイス(株)製)。
作成した検量線をもとに希釈倍率を求め、同上の培地にて、最終濃度が1×105 cells/mLとなるように、それぞれの菌液を調製した。
下記の菌を培養するために、96穴滅菌平底プレートに、同上の培地を、100μLずつ分注した。
終濃度の100倍濃度のTPU0114を含む試料溶液を調整し、上記の96穴平底プレートの各穴に1〜0.5%ずつ添加した(n=3)。2倍ずつの段階希釈を行い、希釈系列を調整した。次いで、上記のように調整した菌液を、終濃度が1×104 cells/mLとなるように各穴に添加し、攪拌器(Biomek2000:ベックマン・コールター(株)製)で撹拌した。
その後、大腸菌は37℃にて、その他の菌は30℃にて、20時間、インキュベータ中で静置培養した。
培養終了後、各穴内の菌液が均一になるようBiomek2000を用いて撹拌し、EmaxにてOD650を測定した。
コントロール(化合物非添加区)のODの値を100%としたときの化合物添加区のODの値から、化合物添加区における菌の増殖率を計算し、被検菌に対するMIC(μM)を求めた。結果を表11に示す。
TPU114のMICは、下記の大腸菌及び3種の酵母に対しては100μM以上となり、抗菌活性は示さなかった。一方、下記のグラム陽性細菌に対しては抗菌活性を示した。
(3−2)細胞傷害活性
WST-1細胞を使用するCell counting Kit((株)同仁化学研究所製)を用いて、細胞傷害活性の測定を行った。10%牛胎児血清を含有するRPMI1640培地に、マウス大腸癌由来Colon 26 L−5細胞を10×104 cells/mLになるように懸濁した。
DMSOで溶解したTPU0114を10〜1,000μg/mLとなるように上記の細胞懸濁液に添加し、96穴マイクロプレートに、100μLずつ加えた(化合物の終濃度は、0.1〜10μg/mL)。
5%CO2インキュベータ中にて、37℃で24時間培養した後に、各ウェルにWST-1(Cell counting Kit)を10μLずつ加え、37℃でさらに2時間培養した。
その後、ウェルプレートリーダー(サンライズクラシック:テカンジャパン(株)製)を用いて、450nmの吸光強度を測定した。コントロールにはDMSOのみを添加し、コントロールを100%としたときの試料溶液の細胞傷害活性を測定した。
その結果、TPU-0114のIC50値は3μg/mLであり、0.3μg/mLでは、細胞傷害活性は見られなかった。
(3−)基底膜浸潤阻害活性
IC50濃度以下で、TPU0114の基底膜浸潤阻害活性の測定を、membrane invasion culture system (MICS, Hendrix et al (1985) Clin. Exp. Metastasis 3:221-223)(癌と化学療法 31(4):512−517 2004)を用いて行った。
トランスウェル・カルチャー・チャンバー(Transwell cell culture chamber:コーニングインターナショナル(株)製)に、Nucleoporeメンブランフィルタ(孔径8.0μm; GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製)を接着し、メンブランフィルタの外側に1μgのファイブロネクチン(AGCテクノグラス(株)製)をコーティングし、クリーンベンチ内で2〜3時間乾燥した。
その後、メンブレンフィルタの内側に、マトリゲル(Matrigel:日本ベクトン・ディッキンソン(株)製)1μgをコーティングし、クリーンベンチ内で終夜乾燥した。24穴プレートの各穴に、DMSOに溶解したTPU0114をそれぞれ加え、次いで、600μLの0.1%牛血清アルブミン(BSA)含有RPMI1640培地を各穴に加えた。
マウス大腸癌由来Colon 26 L-5を4×104 cells/100μLとなるよう同培地に加え、DMSOで溶解したサンプルを、24穴プレートの各穴における最終濃度になるよう加えた。この細胞懸濁液を、フィブロネクチンとマトリゲルとを上記のようにしてコーティングしたトランスウェル・チャンバー内に、100μLずつ分注した。
チャンバーを24穴プレートに設置し、5%CO2インキュベータ中で37℃にて8時間培養した。培養終了後、設置したチャンバーを24穴プレートから外し、エタノールに1分間つけて、細胞を固定した。
次いで、ヘマトキシリンに3分間、エオシンに30秒間、それぞれ浸漬して、細胞を染色した。水洗後、綿棒でチャンバー内をふき取り、染色液が付着しなかった細胞を除去した。
このようにして得られたメンブラン表面を乾燥させ、光学顕微鏡でメンブランの中心とその周辺4視野の計5視野について、基底膜バリアーを破って浸潤した癌細胞の数をカウントした。その平均値を、基底膜の浸潤阻害活性の指標とした。
コントロールとなるウェルにはDMSOのみを添加し、コントロールを100%としたときの各試料の各濃度における基底膜浸潤阻害活性を測定した。
その結果、TPU-0114は0.3μg/mL濃度ではColon 26 L-5の浸潤を71%抑制し、0.1μg/mLの濃度でも、56%阻害した。
以上より、TPU-0114は細胞増殖には影響を与えず、細胞傷害活性を示さない濃度範囲で、癌細胞の浸潤阻害活性を有することが示された。
本発明の微生物は、抗菌活性、細胞傷害活性及び基底膜浸潤阻害活性を有する新規化合物を産生し、医薬の分野において有用である。

Claims (5)

  1. 特許生物寄託センターに受託番号: NITE P-769として寄託されたストレプトミセス(Streptomyces)属に属する新規微生物。
  2. 請求項1に記載のストレプトミセス(Streptomyces)属に属する新規微生物が産生し、癌細胞の周辺組織浸潤阻害活性及び細胞障害活性を有する、下記式(I)で表される化合物。
  3. 請求項2に記載の化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗癌剤。
  4. 請求項に記載の化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする、癌細胞の周辺組織浸潤阻害剤。
  5. 請求項2に記載の化合物、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗菌剤。
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