JP2018182907A - モータモデルシミュレーションプログラム、モータシミュレータ、車両統合シミュレータ - Google Patents

モータモデルシミュレーションプログラム、モータシミュレータ、車両統合シミュレータ Download PDF

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Abstract

【課題】車両システム全体を見据えたモータ設計を実現する。【解決手段】車両統合シミュレータ1において、動作点スイープ部24は、車両に搭載されるモータに関する出力要求値21に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する。パラメータ設定部23は、モータの構造に関する構造パラメータを設定する。モータ入力作成部27は、動作点スイープ部24から出力された動作点に基づいて、モータをモデル化したモータプラントモデル13bへの入力値を作成する。モータ演算部28は、パラメータ設定部23で構造パラメータに基づき設定されたモータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、入力値に対する出力値をモータプラントモデル13bを用いて演算する。補正部34は、モータ演算部28で演算された出力値が出力要求値21に近づくように、構造パラメータを変更する。【選択図】図2

Description

本発明は、モータモデルシミュレーションプログラム、モータシミュレータ、および車両統合シミュレータに関する。
車両システムは数多くの部品の組合せからなる複雑なシステムである。近年、車両に求められる機能は低燃費化や安全性能の強化などますます高度化かつ複雑化している。しかも、市場要求は年々変化するため、開発期間を短縮して顧客ニーズにできるだけ早く対応することが求められる。
上記課題を実現するための一手法として、車両統合シミュレータの利用が進められている。これは、車両全体の挙動をコンピュータなどを用いてシミュレートできるように数式化、あるいはプログラム化しておき、実車によらず計算で車両の性能を見積もることを目的とするものである。以降、数式やプログラムを「モデル」と称し、またモデルを用いてシミュレーション可能な状態とすることを「モデル化」と称す。
車両統合シミュレータを用いれば、これまでは車両を試作することによって性能評価を行っていたところを、計算機上で性能評価を行うことができるようになる。そのため、試作よりも多くの設計案を評価することができるため、より顧客要求にふさわしい設計を選択することができるようになる。また、試作によらなければ評価できない部分以外は試作費用を削減できるため、開発コストの低減が見込める。さらに、一般的に試作より車両統合シミュレータのほうが評価にかかる時間が短いために、開発期間の低減が期待できる。
車両統合シミュレータは通常、MATLAB(登録商標)やSimulink(登録商標)などの制御系CADを用いて実現される。一般にこれらの制御系CADでは、ブロックの組合せにより全体システムを構築する。ブロックは、入力および内部状態から出力を計算するひとまとまりのモデルを指す。ブロックの大きさ(以降「粒度」と記載する)は自由に設定することができるが、一般的には車両を構成する一部品を一ブロックとすることが多い。この場合、部品特性の違いは、各ブロックのパラメータ値を変更することで実現される。部品ごとにブロックを作成しておけば、実際に部品を交換した際、対応する部分のブロックの交換のみで車両統合シミュレータは対処できるため、変更にかかる工数が減少する。また、部品ごとにブロックを作成することで、各部品作成メーカがそれぞれのブロックの設計を並行して行えるため、開発期間が短くなるという利点がある。
これまで車両統合シミュレータは、主に燃費評価や走行性能評価といった用途に利用されてきた。しかし近年では、更なる開発期間短縮の要求を受け、さまざまな特性を有する部品を適用した際の車両特性を計算し、その計算結果を比較して車両に最適な部品を選定するという試みも行われている。特に、今後市場の伸びが期待されている電気自動車やハイブリッド自動車においては、モータの選定が車両性能に直結するため、モータ選定の重要性がますます増加しつつある。
従来のモータシミュレーション技術として、特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1には、コンピュータ上でモータの効率を求める3次元磁界解析において、最適進角値を求めることが可能な進角値のシミュレーション方法が開示されている。
特開2014−199500号公報
最近の電気自動車やハイブリッド自動車では、モータに交流電力を供給するインバータの制御を工夫して、モータの動作領域を拡大したり、電気系の総合効率を向上したりする手法が提案されている。この場合、インバータ制御まで含めて車両システム全体を見据えたモータ設計が望ましいが、特許文献1に開示された従来のシミュレーション方法では、車両システム全体を見据えたモータ設計は困難であった。
本発明によるモータモデルシミュレーションプログラムは、コンピュータにより実行可能なものであって、前記コンピュータを、車両に搭載されるモータに関する出力要求値に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する動作点スイープ部と、前記モータの構造に関する構造パラメータを設定するパラメータ設定部と、前記動作点に基づいて、前記モータをモデル化したモータモデルへの入力値を作成するモータ入力作成部と、前記構造パラメータに基づき設定された前記モータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、前記入力値に対する出力値を前記モータモデルを用いて演算するモータ演算部と、前記出力値が前記出力要求値に近づくように、前記構造パラメータを変更する補正部と、として機能させる。
本発明によるモータシミュレータは、車両に搭載されるモータに関する出力要求値に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する動作点スイープ部と、前記モータの構造に関する構造パラメータを設定するパラメータ設定部と、前記動作点に基づいて、前記モータをモデル化したモータモデルへの入力値を作成するモータ入力作成部と、前記構造パラメータに基づき設定された前記モータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、前記入力値に対する出力値を前記モータモデルを用いて演算するモータ演算部と、前記出力値が前記出力要求値に近づくように、前記構造パラメータを変更する補正部と、を備える。
本発明による車両統合シミュレータは、車両に搭載されるモータをモデル化したモータモデルを生成するモータモデル生成部と、前記車両を構成する部品をそれぞれモデル化した複数のブロックを有し、前記ブロックは前記モータモデルを少なくとも含む車両全体モデルと、を備え、前記モータモデル生成部は、前記モータに関する出力要求値に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する動作点スイープ部と、前記モータの構造に関する構造パラメータを設定するパラメータ設定部と、前記動作点に基づいて、前記モータモデルへの入力値を作成するモータ入力作成部と、前記構造パラメータに基づき設定された前記モータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、前記入力値に対する出力値を前記モータモデルを用いて演算するモータ演算部と、前記出力値が前記出力要求値に近づくように、前記構造パラメータを変更する補正部と、を備える。
本発明によれば、車両システム全体を見据えたモータ設計を実現できる。
本発明の一実施形態に係る車両統合シミュレータのハードウェア構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る車両統合シミュレータのソフトウェア構成を示す図である。 モータモデル生成部が行う処理のフローチャートである。 パラメータ設定処理のフローチャートである。 パラメータ確認処理のフローチャートである。 過変調の説明図である。 PWM波形の一例を示す図である。 過変調を用いたd軸電流idおよびq軸電流iqの設定方法の説明図である。 変調率と効率、ペナルティおよび報酬との関係の一例を示す図である。 従来手法による動作点決定方法の説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る車両統合シミュレータを用いた場合の動作点決定方法の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両統合シミュレータのソフトウェア構成を示す図である。 省パルスPWM方式におけるPWM波形選択方法の説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る車両統合シミュレータのソフトウェア構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係るモータシミュレータのハードウェア構成を示す図である。
(車両統合シミュレータの概要)
初めに、本発明に係る車両統合シミュレータの概要を説明する。本発明に係る車両統合シミュレータは、電気モータにより走行可能な電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両について、実際の車両の走行条件を模擬し、その際の車両の各部品の挙動をシミュレーションにより求めるものである。こうした車両統合シミュレータの使用は、要求特性を満足する部品の選定に好適である。
一般的に電動車両用モータには三相交流モータが用いられることが多く、その駆動制御にはインバータが用いられる。そのため、モータの性能はインバータの動作によっても左右される。本発明に係る車両統合シミュレータは、インバータの動作も考慮して、総合的にモータの電気パラメータを決定するものである。これにより、車両設計者が本シミュレータを用いる場合の使い勝手の改善や省力化に寄与している。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両統合シミュレータのハードウェア構成を示す図である。図1に示す車両統合シミュレータ1は、制御部501、記憶部502、表示部503および操作入力部504を備えている。
制御部501は、たとえばCPU、ROM、RAM等により構成されるコンピュータである。制御部501は、記憶部502に記憶されている不図示のシミュレーションプログラムを実行することで、車両全体モデル2およびモータモデル生成部3として機能する。なお、車両全体モデル2およびモータモデル生成部3の詳細については、後で図2を参照して説明する。
記憶部502は、たとえばハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等により構成される不揮発性の記憶装置である。記憶部502には、前述のシミュレーションプログラムに加えて、車両全体モデル2およびモータモデル生成部3で利用されるプラントモデル実体データベース40が記憶されている。なお、プラントモデル実体データベース40の詳細については、後で図2を参照して説明する。
表示部503は、たとえば液晶ディスプレイ等により構成され、車両全体モデル2やモータモデル生成部3で行われたシミュレーション結果を表示して車両設計者等のユーザに提示する。操作入力部504は、たとえばキーボードやマウス等により構成され、ユーザからの操作入力を検出して制御部501に通知する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る車両統合シミュレータのソフトウェア構成を示す図である。図2に示すように、本実施形態の車両統合シミュレータ1は、ソフトウェア構成上の機能として、車両全体モデル2、モータモデル生成部3およびプラントモデル実体データベース40を備えている。
車両全体モデル2は、シミュレーション対象車両を構成する部品をそれぞれモデル化したインバータ制御モデル11、インバータプラントモデル12a、モータプラントモデル13aおよびギアボックスプラントモデル14を有している。これらのモデルは、インバータ制御装置、インバータ、モータ、ギアボックスの各部品の挙動を導出するものであり、たとえばMATLAB(登録商標)やSimulink(登録商標)などの制御系1次元CADにおけるブロック(計算のひとまとまり)として表現される。ただし、他のモデル表現形式、たとえば数式、表(マップ)形式、C言語等によって実現されるコンピュータプログラムなどであってもよい。なお、車両全体モデル2は、実際には構成要素が非常に多く複雑であるため、図2では説明の簡素化のために、モータモデル生成部3と関係のある部分のみを抽出して図示している。
インバータ制御モデル11は、インバータの要求トルクと要求回転数を入力として、インバータの制御信号を作成するブロックである。インバータプラントモデル12aは、インバータ制御モデル11で作成されたインバータの制御信号と、バッテリからインバータに供給される直流電圧やインバータからモータに出力される交流電流を入力として、インバータに流れる直流電流やインバータからモータに印加される交流電圧を計算するブロックである。モータプラントモデル13aは、モータに印加される交流電圧とモータ回転数からモータのトルクや交流電流を計算するブロックである。ギアボックスプラントモデル14は、モータの出力トルクを用いて車軸の出力トルクを計算するブロックである。
図2において、インバータプラントモデル12aとモータプラントモデル13aは、破線でそれぞれ示されている。インバータプラントモデル12aはタグBを介して、またモータプラントモデル13aはタグAを介して、プラントモデル実体データベース40に記憶されたインバータプラントモデル12、モータプラントモデル13をそれぞれ参照するような構成としている。プラントモデル実体データベース40に記憶されたこれらのプラントモデルは、インバータとモータをそれぞれモデル化した各プラントモデルの実体を表している。すなわち、プラントモデル実体データベース40に記憶されたインバータプラントモデル12およびモータプラントモデル13とそれぞれ同一の内容が、インバータプラントモデル12aおよびモータプラントモデル13aとして、車両全体モデル2に反映される。
モータモデル生成部3は、パラメータ設定部23、動作点スイープ部24、過変調率スイープ部25、モータ電流設定部26、モータ入力作成部27、モータ演算部28、トルクリプル演算部29、インバータ損失演算部30、総合効率演算部31、トレードオフ評価部32、評価結果保管部33および補正部34を有している。モータモデル生成部3には、ユーザにより決定された出力要求値21が入力される。出力要求値21は、たとえばモータ体格や目標トルク、最高回転数など、車両特性に関係するモータの設計要求値のことである。モータモデル生成部3に入力された出力要求値21は、補正部34からの補正値22と加算されることで補正され、パラメータ設定部23、動作点スイープ部24およびインバータ損失演算部30に入力される。
パラメータ設定部23は、入力された補正後の出力要求値21、すなわち出力要求値21と補正値22の加算値に基づいて、モータの挙動に関係する物理量または設定値を表すモータのパラメータを設定する。モータのパラメータにはさまざまなものがあるが、以下の説明では、モータのパラメータをその特性に応じて、「構造バラメータ」、「電気パラメータ」、「制御パラメータ」の3つに分類する。構造パラメータは、モータの軸長や内径、磁石の厚さなど、モータの形状や構造に関係するパラメータである。電気パラメータは、バッテリ電圧、d軸インダクタンスやq軸インダクタンス、巻線抵抗など、モータの挙動をシミュレートする上で計算に直接用いられる、モータの電気的特性に関係するパラメータである。電気パラメータには、構造パラメータにより決定されるものが含まれる。制御パラメータは、主にモータ演算部28への入力作成に用いられる、モータの制御条件に関係するパラメータであり、たとえばq軸電流、d軸電流、直流電圧などの条件が相当する。また、後述する評価関数の重みや学習係数など、電気パラメータを収束計算させる際の調整パラメータも制御パラメータに含まれる。パラメータ設定部23は、周知のモータ設計手順に従って構造パラメータと電気パラメータを反復計算により設定(仮決定)すると共に、ユーザに与えられた制御条件に従って制御パラメータを設定し、各パラメータ値をモータ電流設定部26、モータ演算部28および補正部34に出力する。
動作点スイープ部24は、入力された補正後の出力要求値21、すなわち出力要求値21と補正値22の加算値に基づいて、モータの動作を確認するためのモータ動作領域内部の動作点として、モータに要求される最大回転数と最大トルクの組み合わせを生成する。最大回転数と最大トルクの組み合わせは複数個存在するため、動作点スイープ部24は、出力要求値21に応じて複数の動作点を生成し、リスト化してモータ電流設定部26に出力する。動作点スイープ部24が出力するリスト化された複数の動作点をまとめて、以下では「動作点リスト」と記載する。
過変調率スイープ部25は、モータの過変調領域における変調率を生成し、モータ電流設定部26に出力する。変調率は、「相電圧の基本波成分の振幅÷(直流電圧/2)」として定義される値であり、一般的には、相電圧が正弦波の場合は変調率1以上、正弦波に3次高調波を重畳させた場合は変調率1.15以上の領域を過変調領域と称する。過変調は周知のようにインバータの出力最大電圧を拡大することができる技術であり、この過変調によって電圧を上げれば、モータはより効率が良く、かつ回転数を上げられる効果がある。その反面、過変調を行わない場合と比較して、電流リプルの増大によるノイズやトルク変動の影響を考える必要が出てくる。上記の3次高調波を重畳させた相電圧の場合、変調率1.15から理論上の変調率の最大値1.27までの範囲では、こうした影響が現れてくることが知られている。そのため、過変調率スイープ部25は、たとえば変調率1.15(3次高調波重畳の場合)から変調率1.27まで少しずつ、たとえば0.01間隔などで変調率を変化させ、モータ電流設定部26に出力する。
モータ電流設定部26は、動作点スイープ部24から出力された動作点と、過変調率スイープ部25から出力された過変調領域における変調率とに基づいて、モータ制御信号を作成するための重要な物理量であるd軸電流idおよびq軸電流iqを計算する。具体的には、動作点スイープ部24が生成した動作点リストから動作点を一つずつ取り出し、その動作点で変調率を変化させながらd軸電流idおよびq軸電流iqを計算することにより、各動作点での変調率ごとのd軸電流idとq軸電流iqの値を計算する。このときモータ電流設定部26は、パラメータ設定部23で設定された制御パラメータを用いて、周知の計算手法によりd軸電流idおよびq軸電流iqの計算を行う。
モータ入力作成部27は、モータ電流設定部26で計算されたd軸電流idおよびq軸電流iqの値に基づいてd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを計算し、さらに計算したd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqの値に基づいて2相−3相変換を行うことで、モータに印加される三相電圧Vu,Vv,Vwを計算する。モータ入力作成部27で計算された三相電圧Vu,Vv,Vwは、モータ演算部28およびインバータ損失演算部30に出力される。
モータ電流設定部26およびモータ入力作成部27は、以上説明したような処理をそれぞれ行う。これにより、動作点スイープ部24で設定された動作点と、過変調率スイープ部25で設定された変調率とに基づいて、モータ演算部28内のモータプラントモデル13bへの入力値としての三相電圧Vu,Vv,Vwを作成することができる。なお、過変調領域においてモータを使用しない場合は、モータプラントモデル13bへの入力値を作成する際に、過変調率スイープ部25で設定された変調率を用いる必要はない。
モータ演算部28は、モータプラントモデル13bを用いて、モータプラントモデル13bへの入力値である三相電圧Vu,Vv,Vwに対する出力値を演算する。この出力値には、たとえばモータに流れる三相電流Iu,Iv,Iwや、モータが出力するトルクなどが含まれる。このときモータ演算部28は、パラメータ設定部23で設定(仮決定)された電気パラメータに基づいて、モータプラントモデル13bの演算を行う。モータプラントモデル13bは、車両全体モデル2におけるモータプラントモデル13aと同様に、モータに印加される交流電圧とモータ回転数からモータのトルクや交流電流を計算するブロックであり、タグAを介して、プラントモデル実体データベース40に記憶されたモータプラントモデル13を参照するような構成としている。なお、モータプラントモデル13bもモータプラントモデル13aと同様に、図2において破線で示されている。
トルクリプル演算部29は、モータ演算部28で演算されたトルクに基づいて、モータのトルクリプルを演算する。
インバータ損失演算部30は、インバータの等価回路モデルであるインバータプラントモデル12bを用いて、インバータ損失を演算する。具体的には、モータ入力作成部27で計算された三相電圧Vu,Vv,Vwと、モータ演算部28で演算された三相電流Iu,Iv,Iwと、補正後の出力要求値21とに基づき、損失=電圧×電流の式を時々刻々適用して、スイッチング損失を含めたインバータ損失を計算する。インバータプラントモデル12bは、車両全体モデル2におけるインバータプラントモデル12aと同様のものであり、タグBを介して、プラントモデル実体データベース40に記憶されたインバータプラントモデル12を参照するような構成としている。なお、インバータプラントモデル12bもインバータプラントモデル12aと同様に、図2において破線で示されている。
総合効率演算部31は、インバータ損失演算部30で演算されたインバータ損失と、モータ演算部28においてモータプラントモデル13bから演算される銅損および鉄損とに基づいて、モータの総合効率を演算する。この総合効率は、過変調領域におけるモータの効率向上効果を表している。
トレードオフ評価部32は、トルクリプル演算部29で演算されたトルクリプルと、総合効率演算部31で演算された総合効率とに基づいて、過変調領域におけるモータの効率向上効果とトルクリプル増加による不利益とのトレードオフ評価を行う。トレードオフ評価部32は、動作点スイープ部24が生成した動作点リストの各動作点と、過変調率スイープ部25から出力された各変調率との組み合わせごとに、トレードオフ評価を行う。トレードオフ評価部32によるトレードオフ評価の結果は、評価結果保管部33に保管される。なお、トレードオフ評価部32が行うトレードオフ評価の詳細については、後で説明する。
補正部34は、評価結果保管部33に保管されたトレードオフ評価結果に基づいて最適な動作点と変調率を抽出し、出力要求値21に対する補正値22を作成する。この補正値22に基づいてパラメータ設定部23がパラメータの再設定を行うことで、モータ演算部28からの出力値が出力要求値21に近づくように、構造パラメータおよび電気パラメータが変更される。さらに補正部34は、所定のシミュレーション終了条件を満足したか否かを判断し、満足したと判断した場合には、そのときの電気パラメータの値を電気パラメータ15aとして車両全体モデル2に出力する。車両全体モデル2では、この電気パラメータ15aに基づいて、モータプラントモデル13aの計算が行われる。
プラントモデル実体データベース40は、前述のように、インバータプラントモデル12a、12bおよびモータプラントモデル13a、13bからそれぞれ参照される実体としてのインバータプラントモデル12およびモータプラントモデル13を記憶している。プラントモデル実体データベース40は、たとえばハッシュテーブル、連想リスト、リレーショナルデータベースなどによって実現可能である。なお、実体としてのインバータプラントモデル12およびモータプラントモデル13は、たとえばコンピュータにより実行可能なプログラムによって実現される。また、インバータプラントモデル12およびモータプラントモデル13の参照は、たとえばこれらのプログラムを指定するアドレスやポインタによって実現される。具体的には、たとえばモータプラントモデル13aは、前述の電気パラメータ15aをプログラムの引数として、プラントモデル実体データベース40に記憶されたモータプラントモデル13を指し示すアドレスを関数呼び出しするといった手続きで実行可能である。モータ演算部28においてモータプラントモデル13bを用いた演算を行う場合も同様である。
上記のようにすることで、たとえばプラントモデル実体データベース40においてモータプラントモデル13を変更すると、その変更がモータプラントモデル13a、13bにもそれぞれ同時に反映される。そのため、各モデル間での整合性が確保される。したがって、たとえば使用するモータが磁石モータから誘導モータに設計変更されたような場合でも、プラントモデル実体データベース40内のモータプラントモデル13の変更のみで、車両統合シミュレータ1の全体を当該設計変更に対処できるという効果がある。
上述のように、本実施形態による車両統合シミュレータ1は、車両全体モデル2に加えて、モータモデル生成部3を有している。モータモデル生成部3は、モータの構造パラメータのみならず過変調といったインバータの制御方式も考慮に入れた上で、モータの電気パラメータを作成するという特徴がある。そのため、必ずしもモータの設計に熟達していない設計者であっても、モータ特性を変化させて車両に適したモータ仕様を試してみることが容易になる。
図3は、車両統合シミュレータ1においてモータモデル生成部3が行う処理のフローチャートである。車両統合シミュレータ1は、制御部501において所定のプログラムを実行することで、制御部501をモータモデル生成部3として機能させ、図3の処理を実行させることができる。
まずステップS101において、モータモデル生成部3は、パラメータ設定部23により制御パラメータを設定する。ここでは、たとえば初期補正値(=0)、要求トルク差分Δτの初期値、トルク差分変化率α(0<α<1なる定数)および終了条件εの各制御パラメータを設定する。
ステップS102において、モータモデル生成部3は、パラメータ設定部23により、構造パラメータおよび電気パラメータの設定を行うためのパラメータ設定処理を実行する。パラメータ設定処理の詳細については、後で図4を参照して説明する。
ステップS103において、モータモデル生成部3は、ステップS102で設定した構造パラメータおよび電気パラメータを確認するためのパラメータ確認処理を実行する。パラメータ確認処理の詳細については、後で図5を参照して説明する。
ステップS104以降の処理は、補正部34において実施されることで、補正値22を更新する処理である。ステップS104では、ステップS102で設定した電気パラメータが出力要求値21の仕様を満足しているか否かを判断する。モータ演算部28からの出力値と出力要求値21との差分が所定の範囲内となった場合には、電気パラメータが出力要求値21の仕様を満足していると判断してステップS108に進む。一方、そうでない場合はステップS105に進み、補正値22に要求トルク差分Δτを加算してステップS106に進む。
ステップS104で電気パラメータが出力要求値21の仕様を満足していると判断した場合、ステップS108以降では、さらに条件を厳しくして最適な電気パラメータの探索を行う。ステップS108では、現在の要求トルク差分Δτと終了条件εとを比較し、要求トルク差分Δτが終了条件εよりも小さければ、十分に探索が行われることでシミュレーション終了条件を満足したと判断してステップS110に進む。ステップS110では、得られた電気パラメータの値を電気パラメータ15aとして出力する。ステップS110を実行したら、モータモデル生成部3は図3の処理を終了する。一方、要求トルク差分Δτが終了条件ε以上である場合は、さらに厳しい条件を探索するため、補正値22から要求トルク差分Δτを減算してステップS106に進む。
ステップS106では、探索間隔減少処理として、ステップS105で補正値22に加算またはステップS109で補正値22から減算した要求トルク差分Δτに対して、トルク差分変化率αを乗算する。ステップS107では、得られた補正値22を保存し、ステップS102に戻る。ここで保存された補正値22は、続くステップS102のパラメータ設定処理において呼び出され、構造パラメータの設定に利用される。
図4は、図3のステップS102で実行されるパラメータ設定処理のフローチャートである。パラメータ設定部23は、基本的にはモータの単体設計と同じ手順で、図4に示すパラメータ設定処理を実行する。
ステップS201では、出力要求値21を設定する。ステップS202では、図3のステップS107で保存された補正値22を呼び出して入力する。ステップS203では、ステップS201で設定した出力要求値21とステップS202で入力した補正値22の和を満足するような構造パラメータを計算するモータ構造設計処理を行う。ステップS204では、ステップS203で計算した構造パラメータがモータに対する仕様を満足するか否かを判定する。その結果、仕様を満足すると判定した場合はステップS206に進み、仕様を満足しないと判定した場合はステップS205に進む。ステップS205では、ステップS203で計算した構造パラメータの値を更新する構造パラメータ更新処理を実行し、ステップS203のモータ構造設計処理を再度行う。一般的にモータの構造設計は反復および収束計算からなり、ステップS203〜S205の処理は、こうした設計手法を踏襲して構造パラメータを求める処理である。
ステップS204で構造パラメータが仕様を満足すると判定した場合、ステップS206では、その構造パラメータを出力する構造パラメータ出力処理を行う。ステップS207では、ステップS206で出力した構造パラメータを用いて電気パラメータを計算する電気パラメータ計算処理を行う。続くステップS208では、ステップS107で計算した電気パラメータを出力する電気パラメータ出力処理を行う。ステップS208を実行したら、パラメータ設定部23は図4のパラメータ設定処理を終了し、図3のステップS103に進む。なお、ステップS206、S208でそれぞれ出力される構造パラメータと電気パラメータの値は、いずれもパラメータ設定処理で仮決定された値であり、ステップS103のパラメータ確認処理でその妥当性が検証される。
図5は、図のステップS103で実行されるパラメータ確認処理のフローチャートである。
ステップS301は、動作点に関する反復処理であり、動作点スイープ部24で生成した動作点リストの全ての動作点について、下記のステップS302〜S308の処理をそれぞれ行う。ステップS302は、過変調率に関する反復処理であり、過変調率スイープ部25で生成した全ての過変調領域の変調率について、下記のステップS303〜S307の処理をそれぞれ行う。
ステップS303では、モータ電流設定部26により、d軸電流idおよびq軸電流iqの設定を行う。ステップS304では、モータ入力作成部27により、ステップS303で設定したd軸電流idおよびq軸電流iqに基づいて、モータプラントモデル13bに入力される三相電圧Vu,Vv,Vwを作成する。ステップS305では、インバータ損失演算部30により、ステップS304で作成したモータ入力すなわち三相電圧Vu,Vv,Vwに基づいてインバータ損失を演算し、演算結果を出力する。ステップS306では、モータ演算部28、トルクリプル演算部29および総合効率演算部31により、ステップS304で作成したモータ入力に対するモータプラントモデル13bの出力値、トルクリプルおよび総合効率をそれぞれ演算する。ステップS307では、トレードオフ評価部32により、ステップS306で演算されたトルクリプルおよび総合効率に基づくトレードオフ評価の計算を行う。
モータモデル生成部3は、以上説明したステップS303〜S307の一連の処理を、ステップS302の反復処理の対象として、変調率ごとに繰り返し実行する。その結果、各変調率に対するトレードオフ評価の結果が得られる。
ステップS302の反復処理を終えたら、ステップS308では、各変調率に対して得られたトレードオフ評価の結果に基づいて、最適な過変調率を選択する。なお、ステップS308での最適な過変調率の選択方法については後述する。
モータモデル生成部3は、以上説明したステップS303〜S308の一連の処理を、ステップS301の反復処理の対象として、動作点ごとに繰り返し実行する。その結果、各動作点に対して最適な過変調率が選択される。ステップS301の反復処理を終えたら、モータモデル生成部3は図5のパラメータ確認処理を終了し、図3のステップS104に進む。
以降では、図6〜図11を参照して、図5で説明したパラメータ確認処理での考え方について説明する。図6は、過変調の説明図である。インバータは直流電圧をスイッチング素子でON、OFFすることにより、モータに供給する交流電圧を作成する。そのため、通常はインバータから出力される交流電圧の最大値は、直流電圧の最大値以下となる。図6において、符号101に示す波形は、最大値が直流電圧と等しくなるときの正弦波波形を示している。本図の縦軸は交流電圧の大きさを表しており、直流電圧と等しくなるときの交流電圧を1.0としている。
インバータから出力される交流電圧の実効値が最大となるのは、交流電圧の波形が符号102に示す最大電圧1.0の矩形波波形となるときである。符号103に示す波形は、矩形波波形102をフーリエ変換し、その基本波成分を示したものである。すなわち、インバータの出力電圧は、この矩形波の基本波成分波形103に示す電圧を上限値として、ここまでは上昇させることが可能である。
インバータの制御に用いられるPWM制御では、電圧の絶対値が1.0を超えた領域ではインバータのスイッチングを行うことが出来ない。このような領域を有する電圧波形を電圧指令として行われるPWM制御は、過変調PWM制御と称される。過変調PWM制御では、前述のように電圧を上げられる効果がある。またスイッチング回数が減るため、インバータのスイッチング損失が低減する効果がある。しかしその一方で、パルスを打たない領域では正弦波形状を再現することが出来なくなるため、交流電圧の波形に歪みが生じることとなり、ノイズの増加やトルクリプルの増大という考慮すべき点が出てくる。なお、このとき正弦波に3次高調波を重畳することで、過変調PWM制御を行うことなく電圧を上げることも可能ではあるが、矩形波よりは電圧の利用率が低くなる。変調率は一般に「相電圧の基本波成分の振幅÷(直流電圧/2)」として定義され、正弦波の場合は変調率1以上、3次高調波を重畳させた場合には1.15以上の場合が過変調となる。符号104に示す波形は、正弦波に3次高調波を重畳した電圧波形である。
図7は、PWM波形の一例を示す図である。ここでは簡単のため、電圧指令信号として正弦波を採用する場合を示している。この場合、前述のように変調率1.0以上で過変調となる。図7(a)は、過変調なしの場合のPWM波形の例であり、図7(b)は、過変調ありの場合のPWM波形の例である。図7(a)、図7(b)において、符号110に示す波形は、それぞれのPWM波形を作成するための比較三角波である。また、図7(a)の符号111aに示す波形は、過変調なしの場合の電圧指令であり、図7(b)の符号111bに示す波形は、過変調ありの場合の電圧指令である。比較三角波110と電圧指令111a、111bとの大小関係をそれぞれ比較し、電圧指令111a、111bが比較三角波110より大きければ電圧パルスを出力し、小さければ電圧パルスを出力せずに0とすることで、符号112a、112bにそれぞれ示すようなPWM波形が生成される。符号112aに示す波形は、過変調なしの場合のPWM波形であり、符号112bに示す波形は、過変調ありの場合のPWM波形である。PWM波形112bはPWM波形112aと比較して、スイッチング回数が少ない。そのため、過変調時にはスイッチング損失を減らせることが分かる。
図8は、過変調を用いたd軸電流idおよびq軸電流iqの設定方法の説明図である。一般的にモータの構造が決定されれば電気パラメータを決定でき、動作点(ω、τ)を実現するd軸電流とq軸電流の組(id,iq)(以降dqペアと記載)を導出できる。なお、上記動作点(ω、τ)において、ωはモータの回転数、τはモータのトルクを表す。図8において、符号201は電流制限円を表しており、これはインバータが流すことが出来る最大電流により決定される。すなわち、インバータは電流制限円201内部のdqペアを実現できる。符号202は電圧制限楕円を表しており、これはモータ回転数ωに応じて変化する。モータ回転数ωが大きくなると、電圧制限楕円202は小さくなる性質を持つ。dqペアはこの電圧制限楕円202の内部にあることが要求される。
符号203a、203b、203cおよび203dはいずれも等トルク線であり、トルクの値に応じてそれぞれ決定される。図8では、等トルク線203aはトルクτ1のときの等トルク線を、等トルク線203bはトルクτ2のときの等トルク線を、等トルク線203cはトルク-τ2のときの等トルク線を、等トルク線203dはトルク-τ1のときの等トルク線をそれぞれ表している。ここで、τ1>τ2>0としている。
電動車両では小型高効率という利点から、埋め込み式同期モータが用いられることが多い。このモータでは、動作点(ω、τ)を実現するdqペアを一意に決定できないため、何らかの設計基準を設定する。たとえば、id=0、電流最小、力率最大、効率最大などの設計基準がよく用いられる。以下では、設計基準として効率最大を選択した場合の動作例を説明する。
電気パラメータが決定されると、図8において銅損最小線204および鉄損最小線205と、これらの和を最小とする損失最小線206が決定される。効率最大を実現する場合、等トルク線203a〜203dと損失最小線206の交点が求めるdqペアとなる。
たとえば、ある動作点(ω、τ1)を効率最大で実現するdqペアが、符号207に示す等トルク線203aと損失最小線206の交点で表されるとする。この交点すなわちdqペア207は電流制限円201内部に入っているが、回転数ωにおける電圧制限楕円202内には入っていない。そのため、効率最大のdqペア207は実現できないことが分かる。そこで、等トルク線203a上で電圧制限楕円202の内部にある点を探索すると、今度は電流制限円201の外に出てしまう。したがって、動作点(ω、τ1)を実現できないことが分かる。このときモータが運転できるdqペアは、電流と電圧の制約上、符号208に示す交点で表されるものとなり、等トルク線203aから外れてしまう。
上記のような場合、設計上では2通りの方策が考えられる。一つは、モータがトルクをもっと出せるように構造パラメータを変更することであり、もう一つは、過変調を行って電圧を上げることである。一つ目の方策のように、トルク目標値を変えて構造パラメータを変更する方法は、補正部34において実現可能である。一方、二つ目の方策のように、過変調を行って電圧を上げた場合は、図8に示す電圧制限楕円202が拡大され、拡大電圧制限楕円209のようになる。その結果、dqペア207が拡大電圧制限楕円209の内部となるため、動作点(ω、τ1)を効率最大で実現可能となる。
なお、以上説明した方策は、従来手法における過変調の使用方法の例であるが、過変調を用いずに動作可能なdqペアに対しても過変調を用いることで、インバータのスイッチング損失の低減を図ることもできる。
たとえば、動作点(ω、τ2)を効率最大で実現するdqペアが、符号210に示す等トルク線203bと損失最小線206の交点で表されるとする。この交点すなわちdqペア210は最高効率である損失最小線206上にあり、さらに電流制限円201と電圧制限楕円202双方の内部にあるため、モータ単体では最高効率で運転できる。しかし、過変調にはスイッチング損失低減によるインバータ損失低減効果があるため、総合効率ではdqペア210よりも効率の高いdqペア211が存在する可能性がある。このdqペア211は損失最小線206を外れているので、モータ単体としての効率はdqペア210を採用した場合と比較して劣るものの、総合効率ではdqペア210と比較して優れているかどうかを確認する価値がある。そこで、変調率を少しずつ変えてモータとインバータの総合損失を計算し、変調率と総合損失の特性を計算する。
ところで、過変調には電圧ひずみに起因するトルクリプルという、車両の特性上で不利な性質(以降「ペナルティ」と記載)がある。そのため、過変調時にはこうしたペナルティの影響を考慮する必要がある。図2のトレードオフ評価部32は、効率とペナルティにより設定される得失を数値化した得点(以降「報酬」と記載)を最大化するように動作する。報酬の決め方にはさまざまな方法があるが、ここでは簡単のため、報酬=効率−ペナルティとする。また、ペナルティはトルクリプルの大きさとする。
図9は、変調率と効率、ペナルティおよび報酬との関係の一例を示す図である。変調率を変えていくと、効率、ペナルティ、報酬がそれぞれ図9に示すように図示化できる。トレードオフ評価部32は、図9において報酬が最大となる変調率を採用する。このことにより、効率向上による利点とトルクリプルによるペナルティのバランスを考慮した変調率の設定が可能となる。なお、ここでは説明の簡単化のため、全動作点において同じ報酬評価式を用いたが、効率とペナルティに適当な重さ係数w(0≦w≦1)を設定し、報酬=w×報酬−(1−w)×ペナルティとしてもよい。このようにすることで、各動作点において重視すべき特性を反映させることが出来る。
図10は、従来手法による動作点決定方法の説明図である。図10では3通りの動作点決定方法を示しており、図10(a)は変調率1.15未満である過変調なしの場合を、図10(b)は変量率1.21の中間過変調の場合を、図10(c)は変調率1.27の最大過変調の場合をそれぞれ示している。図10において、白丸は探索対象の動作点を示し、黒丸は各変調率において採用された動作点を示している。図10(a)では黒丸がないため、過変調なしの場合は採用可能な動作点が存在しないが、図10(b)、(c)では複数の黒丸がそれぞれ存在しているため、過変調時にはいずれかの動作点を採用可能なことが分かる。
図10で説明した従来の設計手法では、過変調による電圧拡大効果のみを使用して動作点を決定していた。その結果、過変調は高速領域のみに限定され、必ずしも過変調の必要がない領域、すなわち図10のハッチング領域においては、過変調を行わない通常の変調率制御が行われていた。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る車両統合シミュレータ1を用いた場合の動作点決定方法の説明図である。図11での白丸および黒丸の定義と、図11(a)、(b)、(c)に示した3通りの動作点決定方法における変調率とは、図10と同じである。本実施形態の車両統合シミュレータ1では、動作点スイープ部24が設定するモータの全動作点について、過変調によるインバータ損失低減効果が試算される。その結果、従来の設計手法では過変調が必要でない領域においても、過変調を行う領域が出現する場合がある。図11の例では、モータの回転速度が0かつ高トルクで最大過変調となる動作点が出現することが分かる。これは、主に熱的要求からくるものである。回転速度が0の場合はモータの特定相に電流が集中して流れるため、発熱を低減する要求が他の動作点と比較して大きい。したがって、スイッチング損失を減らせる過変調が有利となる。さらに、回転速度が0のときにはトルクリプルが車両に与える影響が小さくなるので、さらに過変調で動作させることが有利になる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)車両統合シミュレータ1において、モータモデル生成部3は、動作点スイープ部24と、パラメータ設定部23と、モータ入力作成部27と、モータ演算部28と、補正部34とを備える。動作点スイープ部24は、車両に搭載されるモータに関する出力要求値21に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する。パラメータ設定部23は、モータの構造に関する構造パラメータを設定する。モータ入力作成部27は、動作点スイープ部24から出力された動作点に基づいて、モータをモデル化したモータプラントモデル13bへの入力値を作成する。モータ演算部28は、パラメータ設定部23で構造パラメータに基づき設定されたモータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、入力値に対する出力値をモータプラントモデル13bを用いて演算する。補正部34は、モータ演算部28で演算された出力値が出力要求値21に近づくように、構造パラメータを変更する。記憶部502に記憶されているシミュレーションプログラムは、コンピュータである制御部501により実行可能なプログラムであって、制御部501をモータモデル生成部3の各部として機能させる。このようにしたので、車両システム全体を見据えたモータ設計を実現できる。
(2)モータ入力作成部27は、モータの過変調領域を含めてモータプラントモデル13bへの入力値を作成する。具体的には、モータモデル生成部3は、モータの過変調領域における変調率を出力する過変調率スイープ部25をさらに備える。モータ入力作成部27は、動作点スイープ部24から出力された動作点と、過変調率スイープ部25から出力された変調率とに基づいて、モータプラントモデル13bへの入力値を作成する。このようにしたので、過変調による効率向上効果を利用した高効率のモータを設計することが可能となる。
(3)モータモデル生成部3は、過変調領域におけるモータの効率向上効果とトルクリプル増加による不利益とのトレードオフ評価を行うトレードオフ評価部32をさらに備える。このようにしたので、過変調領域での効率向上による利点とトルクリプルによるペナルティのバランスを考慮した変調率の設定が可能となる。
(4)車両統合シミュレータ1は、プラントモデル実体データベース40をさらに備えている。車両統合シミュレータ1の制御部501は、このプラントモデル実体データベース40を含む記憶部502と接続されている。モータ演算部28は、プラントモデル実体データベース40を参照してモータプラントモデル13bを取得する。このようにしたので、モータの設計変更が行われた場合に、車両統合シミュレータ1の全体を当該設計変更に容易に対応させることができる。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態では、モータ電流設定部26およびモータ入力作成部27において、過変調を適用してモータプラントモデル13bへの入力値を作成する例を説明した。しかし、過変調と同様の効果が得られる他の手法として、省パルスPWM方式が存在する。本実施形態では、この省パルスPWM方式を適用してモータプラントモデル13bへの入力値を作成する例を説明する。
上記の省パルスPWM方式とは、電圧波形に含まれる高調波成分が少なくなるように、予めパルス数を少なくしたPWM波形を導出しておき、動作点に応じて適切なPWM波形を選択するものである。ここで用いられるPWM波形は、たとえば3次、5次、7次などの奇数次の高調波を消去するように予め決定される。このような電圧波形の調整方法は周知であるため、詳細は省略する。
なお、本実施形態に係る車両統合シミュレータのハードウェア構成は、第1の実施形態で説明した図1のハードウェア構成と同様である。そのため、以下では本実施形態のハードウェア構成の説明を省略する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る車両統合シミュレータのソフトウェア構成を示す図である。図12に示すように、本実施形態の車両統合シミュレータ1aは、ソフトウェア構成上の機能として、車両全体モデル2、モータモデル生成部3aおよびプラントモデル実体データベース40を備えている。なお、車両全体モデル2およびプラントモデル実体データベース40は、図2に示した第1の実施形態とそれぞれ同一のものである。
モータモデル生成部3aは、図2に示した第1の実施形態におけるモータモデル生成部3のうち、過変調率スイープ部25を省パルスPWM波形選択部35に置き換えたものである。省パルスPWM波形選択部35は、モータの省パルスPWM制御領域におけるPWM波形を選択し、モータ電流設定部26に出力する。省パルスPWM制御領域とは、前述のように電圧波形に含まれる高調波成分が少なくなるようにパルス数を削減したPWM波形を出力するモータの制御領域であり、過変調領域と同様に、所定の変調率以上の領域がこれに該当する。なお、省パルスPWM波形選択部35が省パルスPWM制御領域において選択するPWM波形は、変調率や削減対象とする高調波の次数に応じて変化する。
モータモデル生成部3aにおいて、モータ電流設定部26は、動作点スイープ部24から出力された動作点と、省パルスPWM波形選択部35から出力された省パルスPWM制御領域におけるPWM波形とに基づいて、d軸電流idおよびq軸電流iqを計算する。それ以外の各部の動作は、モータモデル生成部3とそれぞれ同様である。また、モータモデル生成部3aは、図5のパラメータ確認処理において、省パルスPWM波形選択部35が選択した全てのPWM波形に関してステップS302の反復処理を行う点以外は、第1の実施形態で説明したのと同様の処理を実行する。
図13は、省パルスPWM方式におけるPWM波形選択方法の説明図である。図13では、省パルスPWM制御領域において各動作点に対して選択されるPWM波形の一例を示している。図13において、動作点を示す各白丸内の数字は、PWM波形の種類を表している。具体的には、「1」は省パルスPWM方式ではない通常のPWM波形を、「2」、「3」、「4」は省パルスPWM方式でのPWM波形を、「5」は矩形波をそれぞれ表している。これらのPWM波形は、トレードオフ評価部32による評価結果に基づいて、動作点ごとに適切なものを予め設定しておくことが可能である。
省パルスPWM方式も過変調と同様に、電圧拡大効果を有しており、矩形波にまで対応可能である。さらに、パルス数を削減した波形を考慮するため、過変調と同様に、インバータスイッチング損失の低減効果がある。本実施形態の車両統合シミュレータ1aを用いた場合、これらの効果を得られるモータの設計が可能である。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)車両統合シミュレータ1aにおいて、モータモデル生成部3aは、第1の実施形態によるモータモデル生成部3と同様に、動作点スイープ部24と、パラメータ設定部23と、モータ入力作成部27と、モータ演算部28と、補正部34とを備える。そのため、第1の実施形態と同様に、車両システム全体を見据えたモータ設計を実現できる。
(2)モータ入力作成部27は、モータの省パルスPWM制御領域を含めてモータプラントモデル13bへの入力値を作成する。具体的には、モータモデル生成部3aは、モータの省パルスPWM制御領域におけるPWM波形を選択する省パルスPWM波形選択部35をさらに備える。モータ入力作成部27は、動作点スイープ部24から出力された動作点と、省パルスPWM波形選択部35で選択されたPWM波形とに基づいて、モータプラントモデル13bへの入力値を作成する。このようにしたので、省パルスPWM方式による効率向上効果を利用した高効率のモータを設計することが可能となる。
(3)モータモデル生成部3aは、省パルスPWM制御領域におけるモータの効率向上効果とトルクリプル増加による不利益とのトレードオフ評価を行うトレードオフ評価部32をさらに備える。このようにしたので、省パルスPWM制御領域での効率向上による利点とトルクリプルによるペナルティのバランスを考慮した変調率の設定が可能となる。
(4)車両統合シミュレータ1aは、第1の実施形態による車両統合シミュレータ1と同様にプラントモデル実体データベース40を備えており、モータ演算部28は、プラントモデル実体データベース40を参照してモータプラントモデル13bを取得する。そのため、第1の実施形態と同様に、モータの設計変更が行われた場合に、車両統合シミュレータ1aの全体を当該設計変更に容易に対応させることができる。
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態によるモータプラントモデル13bへの入力値の作成方法と、第2の実施形態によるモータプラントモデル13bへの入力値の作成方法とを組み合わせた例を説明する。
なお、本実施形態に係る車両統合シミュレータのハードウェア構成も、前述の第2の実施形態と同じく、第1の実施形態で説明した図1のハードウェア構成と同様である。そのため、以下では本実施形態のハードウェア構成の説明を省略する。
図14は、本発明の第3の実施形態に係る車両統合シミュレータのソフトウェア構成を示す図である。図14に示すように、本実施形態の車両統合シミュレータ1bは、ソフトウェア構成上の機能として、車両全体モデル2、モータモデル生成部3bおよびプラントモデル実体データベース40を備えている。なお、車両全体モデル2およびプラントモデル実体データベース40は、図2に示した第1の実施形態とそれぞれ同一のものである。
モータモデル生成部3bは、図2に示した第1の実施形態における過変調率スイープ部25と、図12に示した第2の実施形態における省パルスPWM波形選択部35との両方を有するものである。モータモデル生成部3bにおいて、モータ電流設定部26は、動作点スイープ部24から出力された動作点と、過変調率スイープ部25から出力された過変調領域における変調率と、省パルスPWM波形選択部35から出力された省パルスPWM制御領域におけるPWM波形とに基づいて、d軸電流idおよびq軸電流iqを計算する。ただし、過変調率スイープ部25からの変調率と省パルスPWM波形選択部35からのPWM波形のうち一方のみを用いてもよい。それ以外の各部の動作は、モータモデル生成部3とそれぞれ同様である。
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態でそれぞれ説明したのと同様の作用効果を奏する。
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、モータシミュレータに適用した場合の例を説明する。
図15は、本発明の第4の実施形態に係るモータシミュレータのハードウェア構成を示す図である。図15に示すモータシミュレータ10は、制御部501がモータモデル生成部3としてのみ機能し、車両全体モデル2としては機能しない点以外は、図1に示した第1の実施形態における車両統合シミュレータ1と同様の構成を有している。このモータモデル生成部3は、図2に示したソフトウェア構成により実現されるものである。なお、モータモデル生成部3に替えて、図12に示したモータモデル生成部3aや、図14に示したモータモデル生成部3bとしてもよい。
以上説明した本発明の第4の実施形態でも、第1および第2の実施形態でそれぞれ説明したのと同様の作用効果を奏する。
上記第1〜第4の実施形態で説明したように、本発明では、モータの全動作領域に亘って、過変調または省パルスPWM制御によるモータ特性を考慮することが可能になる。このことにより、インバータの過変調または省パルスPWM制御によるモータへの影響を考慮しながら、システム全体として最適なモータのパラメータを設定できる。
さらに、本発明では、トレードオフ評価部32が行うトレードオフ評価により、過変調や省パルスPWM制御での利点と欠点の双方を考慮することが可能となる。このことにより、車両用途に最適なモータのパラメータを設定できる。
さらに、本発明では、モータ演算部28がプラントモデル実体データベース40に記憶されたモータプラントモデル13を参照することにより、モータプラントモデルを一元管理することが可能になる。これにより、モータプラントモデルの変更が容易になるという効果がある。
以上説明した各実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1,1a,1b:車両統合シミュレータ、2:車両全体モデル、3,3a,3b:モータモデル生成部、10:モータシミュレータ、11:インバータ制御モデル、12,12a,12b:インバータプラントモデル、13,13a,13b:モータプラントモデル、14:ギアボックスプラントモデル、21:出力要求値、22:補正値、23:パラメータ設定部、24:動作点スイープ部、25:過変調率スイープ部、26:モータ電流設定部、27:モータ入力作成部、28:モータ演算部、29:トルクリプル演算部、30:インバータ損失演算部、31:総合効率演算部、32:トレードオフ評価部、33:評価結果保管部、34:補正部、35:省パルスPWM波形選択部、40:プラントモデル実体データベース、501:制御部、502:記憶部、503:表示部、504:操作入力部

Claims (7)

  1. コンピュータにより実行可能なモータモデルシミュレーションプログラムであって、前記コンピュータを、
    車両に搭載されるモータに関する出力要求値に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する動作点スイープ部と、
    前記モータの構造に関する構造パラメータを設定するパラメータ設定部と、
    前記動作点に基づいて、前記モータをモデル化したモータモデルへの入力値を作成するモータ入力作成部と、
    前記構造パラメータに基づき設定された前記モータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、前記入力値に対する出力値を前記モータモデルを用いて演算するモータ演算部と、
    前記出力値が前記出力要求値に近づくように、前記構造パラメータを変更する補正部と、として機能させるモータモデルシミュレーションプログラム。
  2. 請求項1に記載のモータモデルシミュレーションプログラムにおいて、
    前記モータ入力作成部は、前記モータの過変調領域および省パルスPWM制御領域の少なくとも一方を含めて前記入力値を作成するモータモデルシミュレーションプログラム。
  3. 請求項2に記載のモータモデルシミュレーションプログラムにおいて、
    前記コンピュータを、前記モータの過変調領域における変調率を出力する過変調率スイープ部と、前記モータの省パルスPWM制御領域におけるPWM波形を選択する省パルスPWM波形選択部と、の少なくとも一方としてさらに機能させ、
    前記モータ入力作成部は、前記動作点と、前記変調率および前記PWM波形の少なくとも一方とに基づいて、前記入力値を作成するモータモデルシミュレーションプログラム。
  4. 請求項2または請求項3に記載のモータモデルシミュレーションプログラムにおいて、
    前記コンピュータを、前記過変調領域または前記省パルスPWM制御領域における前記モータの効率向上効果とトルクリプル増加による不利益とのトレードオフ評価を行うトレードオフ評価部としてさらに機能させるモータモデルシミュレーションプログラム。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のモータモデルシミュレーションプログラムにおいて、
    前記コンピュータは、前記モータモデルを記憶したデータベースと接続されており、
    前記モータ演算部は、前記データベースを参照して前記モータモデルを取得するモータモデルシミュレーションプログラム。
  6. 車両に搭載されるモータに関する出力要求値に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する動作点スイープ部と、
    前記モータの構造に関する構造パラメータを設定するパラメータ設定部と、
    前記動作点に基づいて、前記モータをモデル化したモータモデルへの入力値を作成するモータ入力作成部と、
    前記構造パラメータに基づき設定された前記モータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、前記入力値に対する出力値を前記モータモデルを用いて演算するモータ演算部と、
    前記出力値が前記出力要求値に近づくように、前記構造パラメータを変更する補正部と、を備えるモータシミュレータ。
  7. 車両に搭載されるモータをモデル化したモータモデルを生成するモータモデル生成部と、
    前記車両を構成する部品をそれぞれモデル化した複数のブロックを有し、前記ブロックは前記モータモデルを少なくとも含む車両全体モデルと、を備え、
    前記モータモデル生成部は、
    前記モータに関する出力要求値に基づいて、モータ動作領域内部の動作点を出力する動作点スイープ部と、
    前記モータの構造に関する構造パラメータを設定するパラメータ設定部と、
    前記動作点に基づいて、前記モータモデルへの入力値を作成するモータ入力作成部と、
    前記構造パラメータに基づき設定された前記モータの電気的特性に関する電気パラメータに基づいて、前記入力値に対する出力値を前記モータモデルを用いて演算するモータ演算部と、
    前記出力値が前記出力要求値に近づくように、前記構造パラメータを変更する補正部と、を備える車両統合シミュレータ。
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