〔実施形態1〕
本発明の一態様に係る実施形態1について、図1および図2を用いて説明する。
(欠陥検査装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る欠陥検査装置1の構成を表す斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る欠陥検査装置1の構成を表す側面図である。
欠陥検査装置1は、光源部3と、第2偏光部4と、撮像部40とがこの順に並んで配置された構成を有する。欠陥検査装置1にて検査をする際、検査対象である被検査物2は、光源部3と、第2偏光部4との間に配置される。光源部3から出射した光Aは、被検査物2を透過して撮像部40に入射する。これにより、欠陥検査装置1は、光源部3が出射した光Aを透過する被検査物2に含まれる欠陥の検査が可能である。
光源部3の光Aの出射面に平行な平面をXY軸平面と称し、光源部3の光Aの出射面(XY軸平面)に対する法線に平行な軸(軸方向)をZ軸(Z軸方向)と称する。また、XY軸平面に含まれ互いに直交し、さらにZ軸に対しても直交する軸(軸方向)をそれぞれ、X軸(X軸方向)およびY軸(Y軸方向)と称する。光源部3の光軸はZ軸と平行である。
被検査物2は、透明又は半透明の物体である。被検査物2は板状であってもよいし、凹凸を含む立体的な形状を有する物体であってもよい。本実施形態においては、一例として被検査物2は、曲面を有する立体的形状(円筒形状)であるバルーンカテーテルであるものとして説明する。
バルーンカテーテルは、熱を加えつつ樹脂から構成される筒状部材を膨らませることでバルーンを作製する。このため、バルーンカテーテルの作製時に、様々な種類の欠陥が発生する場合がある。このバルーンカテーテルの作製時に検出すべき代表的な欠陥として、ヒシ(菱)状の凹凸、ゲル状異物等などを挙げることができる。
ヒシ(菱)状の凹凸は、バルーンを作製する工程において、当該バルーンに形成される、バルーンの中心に核を持つ深い欠陥であり、比較的凹凸が大きい欠陥である。
ゲル状異物による欠陥は、バルーンを作製する工程において、ゲル状の異物が析出した欠陥であり、比較的、ヒシ状の凹凸よりも小さく、色付いている。
ヒシ状の凹凸およびゲル状異物は、異なる種類の欠陥であり、同じ種類の光を出射すると発見しにくい欠陥である。しかし、バルーンカテーテルのうち、ヒシ状の凹凸またはゲル状異物が形成されている部分は構造が脆弱である。このため、ヒシ状の凹凸またはゲル状異物は、欠陥検査工程において検出すべき欠陥である。バルーンカテーテルは、種々の大きさのものが使用されているが、一例として、バルーンの外径は1mm〜30mm程度である。
光源部3は、第1偏光発光領域7と、面発光領域5とを備えている。光源部3から出射された光Aは、第1偏光発光領域7から出射された光A7と、面発光領域5から出射された光A5とを含む。
第1偏光発光領域7が出射する光A7の偏光は、直線偏光であってもよいし、円偏光であってもよいし、楕円偏光であってもよい。本実施形態では、第1偏光発光領域7は光A7として、Y軸に平行な直線偏光を出射するものとする。第1偏光発光領域7は偏光された光A7を出射することができる構成であればよい。例えば、第1偏光発光領域7は、面光源の出射面に偏光板を貼り合せることで構成することができる。
面発光領域5は、面光源である。面発光領域5は、偏光されていない面状の光A5を出射する。
第1偏光発光領域7と面発光領域5とは横並びに配置されている。第1偏光発光領域7と面発光領域5とは一体として構成されていてもよいし、別々の光源を並べた構成であってもよい。第1偏光発光領域7と面発光領域5とは、接していてもよいし、離れていてもよい。
第1偏光発光領域7と面発光領域5と一体として構成する場合は、例えば、面光源の出射面の一部に偏光板を貼り合せることで、この偏光板を貼り合せた領域を第1偏光発光領域7として構成し、残りの領域を面発光領域5として構成することができる。
また、第1偏光発光領域7と面発光領域5とを別々の光源から構成する場合は、面発光領域5とは異なる面光源の出射面に偏光板を貼り合せることで第1偏光発光領域7を構成し、別途用意した面光源を面発光領域5とすることができる。
このように光源部3は、複数の種類が異なる光学領域を有する。すなわち、光源部3は、偏光された光A7を出射する光学領域である第1偏光発光領域7と、偏光されていない光A5を出射する光学領域である面発光領域5とを有する。
第2偏光部4と、光源部3とは互いに平行であってもよく、一方が他方に対し傾斜するように配置されていてもよい。第2偏光部4と、光源部3とが互いに平行である場合には、光量のロスを少なくすることができる。
本実施形態においては、第2偏光部4は、光源部3の出射面に対する法線方向から見た場合、光源部3のうち、第1偏光発光領域7と重なり、面発光領域5とは重ならないように配置されている。
第2偏光部4は、少なくとも第1偏光発光領域7の一部と重なっていればよい。第2偏光部4は、第1偏光発光領域7から出射した偏光を含む光A7が、被検査物2および第2偏光部4を透過して、撮像部40または検査者の視野などに入射するように構成されていればよい。 異なる実施形態においては、第2偏光部4は、第1偏光発光領域7の全部、面発光領域5の一部または全部と重なっていてもよい。
第2偏光部4は、第1偏光発光領域7と一対となる偏光板である。光源部3と、第2偏光部4とは、間に被検査物2が配置できる程度に空間を設けて離間している。第1偏光発光領域7と、第2偏光部4とは、それぞれ、透過光を直線方向に偏光(直線偏光)する構成であってもよいし、円方向に偏光(円偏光)する構成であってもよいし、楕円方向に偏光(楕円偏光)する構成であってもよい。本実施形態では、第2偏光部4は偏光軸がX軸に平行となっている。すなわち、第1偏光発光領域7と、第2偏光部4とは、偏光軸が直交する、いわゆるクロスニコルの関係になるように、互いに平行に配置されている。なお、第1偏光発光領域7と第2偏光部4との配置は、クロスニコルの関係に限定されるものではなく、第1偏光発光領域7の偏光軸と、第2偏光部4の偏光軸とが平行となるように配置されていてもよい。
撮像部40は、レンズ部41とカメラ部42とを備えている。撮像部40は、第2偏光部4に対して、光源部3とは逆側、すなわち、第2偏光部4の上方に配置されている。撮像部40は、レンズ部41の受光面を光源部3側に向けて配置されている。カメラ部42は、レンズ部41を通過した光を電気信号に変換する撮像素子を含んでいる。さらに、カメラ部42は、撮像素子から出力される電気信号から撮影画像を画像生成部、当該画像生成部が生成した撮影画像に欠陥が含まれているか否かを判定する欠陥判定部とを含む。なお、画像生成部、欠陥判定部等は、カメラ部42の外部に設けてもよい。カメラ部42は、エリアカメラとラインカメラとの何れであってもよい。
撮像部40は、被検査物2がセットされると、光源部3から出射して被検査物2を透過した光Aを撮像する電子機器である。そして、撮像部40は、画像処理により、撮像した画像に、欠陥が含まれているか否かの判定を行う。これにより、作業者が目視で被検査物2の欠陥の有無を検査する場合と比べて、容易に欠陥の有無や種類の判別の自動化を行うことができる。
なお、欠陥検査装置1は、撮像部40を省略した構成とし、被検査物2の欠陥の有無を作業者が目視確認する構成であってもよい。実施形態2以降に示す各欠陥検査装置においても同様である。
(欠陥検査装置1による作用効果)
このように、欠陥検査装置1は、第1偏光発光領域7および面発光領域5を有する光源部3と、第1偏光発光領域7から出射されたY軸方向(第1方向)へ偏光された光A7をX軸方向(第2方向)へ偏光する第2偏光部4とを備える。そして、光源部3と第2偏光部4との間に被検査物2を挿入するための空間が設けられている。
このように、欠陥検査装置1は、光源部3における第1偏光発光領域7からY軸方向(第1方向)へ偏光された光A7を出射し、光源部3における面発光領域5から偏光されていない光A5を出射する出射ステップと、光源部3との間に被検査物2を挿入するための空間を設けて配置された第2偏光部4を用いて、上記出射ステップにて出射された光AのうちY軸方向(第1方向)へ偏光された光A7をX軸方向(第2方向)へ偏光する第2偏光ステップとを含む。
この欠陥検査装置1によると、被検査物2に含まれる欠陥を検査する際、作業者、または、ロボットにより、光源部3と第2偏光部4との間の空間に被検査物2が配置される。
そして、光源部3のうち、第1偏光発光領域7から出射されたY軸方向(第1方向)へ偏光された光は、被検査物2を透過し、さらに第2偏光部4を透過することでX軸方向(第2方向)へ偏光される。
ここで、被検査物2に欠陥が含まれていると、被検査物2のうち、当該欠陥箇所は、他の箇所と比べて、透過した光の光量が異なったり、偏光状態が異なったりする。このため、光源部3の第1偏光発光領域7から出射され、被検査物2、及び、第2偏光部4を透過した光の光量及び偏光状態を確認することで、被検査物2に含まれる欠陥を検査することができる。
さらに、光源部3は、第1偏光発光領域7とは別に、面発光領域5を有する。面発光領域5から出射された光A5は、第1偏光発光領域から出射された光A7とは異なり、X軸方向へ偏光する偏光板等を透過せず、直接被検査物2を透過する。これにより、光源部3が第1偏光発光領域7のみから構成されている場合と比べて、被検査物2に対して十分な輝度の光を透過させることができる。これにより、被検査物2に含まれる欠陥を鮮明に確認することができる。このため、被検査物2に含まれる欠陥の検出漏れを低減させることができる。
また、被検査物2に含まれる欠陥は、凹凸の程度が比較的大きいヒシ状の凹凸が形成された欠陥、および、凹凸の程度は比較的大きくはないものの色付いて見えるゲル状異物に起因する欠陥など、さまざまな種類の欠陥が含まれる。
そこで、欠陥検査装置1においては、光源部3は、第1偏光発光領域7から出射され、被検査物2および第2偏光部4を透過した偏光を含む光A7と、面発光領域5から出射され被検査物2を透過した偏光を含まない光A5との異なる種類の光を出射する。
これにより、被検査物2に含まれるさまざまな種類の欠陥を効率よく検出することができる。
例えば、被検査物2のうち、偏光を含む光A7が透過した領域は、凹凸の程度を把握しやすくなるため、ヒシ状の凹凸などの欠陥を見つけやすい。また、被検査物2のうち、偏光を含まない光A5が透過した領域は、比較的輝度が高く欠陥の色を把握しやすいため、ゲル状異物に起因する欠陥などを見つけやすい。
また、本実施形態では、第2偏光部4は、光源部3の第1偏光発光領域7および面発光領域5のうち、第1偏光発光領域7のみと重なっている。このため、面発光領域5から出射し被検査物2を透過した光A5はほぼ第2偏光部4を透過せず、撮像部40に入射する。このため、光A5の輝度が低下せず、より鮮明に欠陥を確認することができる。これにより、被検査物2に含まれる欠陥の検出漏れを低減させることができる。
また、第1偏光発光領域7の偏光軸と、第2偏光部4の偏光軸との互いの角度を変更することで、被検査物2に含まれる確認できなかった欠陥が、確認できるようになる場合がある。
例えば、第1偏光発光領域7の偏光方向(第1方向)と、第2偏光部4の偏光方向(第2方向)とが成す角は、0度以上90度以下となるように、第1偏光発光領域7と、第2偏光部4との相対位置が変更されてもよい。
このように、第1方向と上記第2方向とが成す角を種々の方向へ変更することで、被検査物2において種々の位置に含まれる欠陥を検査することができる。
なお、第1偏光発光領域7と、第2偏光部4との相対位置の変更は、作業者が行ってもよいし、欠陥検査装置1に、第1偏光発光領域7と、第2偏光部4とを、互いの相対位置を変更可能に支持する偏光部支持部を設けてもよい。
また、第2偏光部4は、欠陥検査装置1にセットされた被検査物2の全てと重なる(覆う)のではなく、一部領域とだけ重なっている(覆っている)。第2偏光部4は、少なくとも被検査物2のうち検査したい領域にだけ重なるように配置されていればよい。これによると、第2偏光部4が小型化されることで、作業者が操作しやすい欠陥検査装置1を得ることができる。
〔実施形態2〕
本発明の一態様に係る実施形態2について、図3〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図3は、本発明の実施形態2に係る欠陥検査装置1Aの構成を表す斜視図である。図4は、本発明の実施形態2に係る欠陥検査装置1Aの構成を表す側面図である。図5は、本発明の実施形態2に係る欠陥検査装置1Aの光源部3Aの構成の一例を表す斜視図である。
欠陥検査装置1Aは、欠陥検査装置1(図1、図2参照)の光源部3に換えて、光源部3Aを備えている点で、欠陥検査装置1と異なる。欠陥検査装置1Aの他の構成は欠陥検査装置1と同様である。
光源部3Aは、光源部3に、発光しない非発光領域6を加えた構成である。すなわち、光源部3Aは、第1偏光発光領域7と、非発光領域6と、面発光領域5とを有している。
第1偏光発光領域7と、非発光領域6と、面発光領域5とは横並びに配置されている。この第1偏光発光領域7、非発光領域6および面発光領域5の並び順は特に問わない。本実施形態では、非発光領域6が、第1偏光発光領域7と面発光領域5との間に配置されている。非発光領域6は、光源部3において発光しない領域として構成されていればよい。例えば、非発光領域6は、光源部3の光の出射面に黒色のフィルムを貼り付けることで構成してもよいし、第1偏光発光領域7や面発光領域5の一部の通電を遮断することで構成してもよいし、第1偏光発光領域7と、面発光領域5とを離間させて空間を設けることで構成してもよい。非発光領域6は、高さ方向において、光源部3の光の出射面と同じ位置に設けられてもよく、光源部3の光の出射面と被検査物2の間の位置に設けられてもよい。
光源部3Aは、一例として図5に示す構成としてもよい。
図5に示すように、光源部3Aは、第1偏光発光領域7と、面発光領域5と、非発光領域6に共通する面光源部9を有する。
第1偏光発光領域7は、面光源部9の一部領域である第1領域9aと、第1領域9aの出射面に配置された偏光板7aとを有する。面発光領域5は、面光源部9のうち、第1領域9aとは異なる他の一部領域であり、第1領域9aから離間した領域(第2領域)である。非発光領域6は、面光源部9のうち、第1領域9aと面発光領域5と間の領域である第3領域9bと、第3領域9bの出射面に配置された遮光フィルム6aとを有する。
このような構成によって、光源部3Aを構成することができる。なお、偏光板7aおよび遮光フィルム6aは、面光源部9から離間していてもよいし、面光源部9の出射面と接触していてもよい。
図3および図4に示すように、第1偏光発光領域7から出射した偏光を含む光A7が、被検査物2および第2偏光部4を透過して、撮像部40に入射する。また、面発光領域5は、被検査物2を透過して、撮像部40に入射する。
非発光領域6からは光が発光されない。非発光領域6の上方においては、広がりをもつ光A7および光A5の一部が混ざることで間接光となり、当該間接光が被検査物2を透過し、撮像部40に入射する。このように、被検査物2のうち、非発光領域6と重なる領域は、第1偏光発光領域7と重なる領域および面発光領域5と重なる領域とは、また違った光学状態の光が透過することになる。すなわち、光源部3Aのうち、非発光領域6は、第1偏光発光領域7および面発光領域5とは異なる種類の光を、被検査物2を透過させるための光学領域であると表現することもできる。
このため、被検査物2のうち、非発光領域6と重なる領域は、第1偏光発光領域7と重なる領域および面発光領域5と重なる領域とは、違う種類の欠陥を検出しやすくなる。これにより、被検査物2に含まれるさまざまな種類の欠陥を、さらに効率よく検出することができる。
例えば、被検査物2に、被検査物2が擦れた時などについた、ヒシ状の凹凸よりも長さが長い傷が存在すると、この傷を間接光が透過すると、当該傷の部分は、他の領域よりも光る。そこで、被検査物2のうち、非発光領域6と重なる領域は、傷など、比較的長さが長く、ヒシ状の凹凸等よりは凹凸が小さい欠陥を検出するための領域とすることが好ましい。
また、本実施の形態では、非発光領域6は、第1偏光発光領域7と面発光領域5との間に配置されている。これにより、第1偏光発光領域7から出射した光A7の一部と、面発光領域5から出射した光A5の一部とが混ざり、間接光となって、被検査物2のうち非発光領域6と重なる領域を透過する。
ここで、面光源部9における他の領域(第1偏光発光領域7および面発光領域5)は「明視野」(背景が明るい)となるため、被検査物2における微細な欠陥は、被検査物2を透過した光によって見えなくなってしまう。
一方、非発光領域6は、「暗視野」(背景が暗く欠陥が輝点に見える)となるため、被検査物2における微細な傷を浮き上がらせることができる。このため、非発光領域6を設けることで、特に、被検査物2に含まれる欠陥のうち傷による欠陥を鮮明に確認することができる。
なお、遮光フィルム6aが被検査物2に近いと間接光は弱くなり、逆に遠いと間接光は強くなる。この間接光が強すぎると、被検査物2における、目的外の細かい凹凸まで見えるようになってしまう。このため、検査する欠陥の凹凸の程度およびサイズに応じて、第3領域9bと、遮光フィルム6aと、被検査物2とのそれぞれ間の距離を調整することが好ましい。
また、上記間接光は、光A7および光A5の一部が混ざることで構成されてもよいし、非発光領域6の両側に第1偏光発光領域7または面発光領域5が配置されることで、光A7または光A5の単光から構成されてもよい。
さらに、非発光領域6の上方において、上記間接光が被検査物2を透過してもよく、被検査物2を透過する光が存在しなくてもよく、光A7および光A5の一部が被検査物2を透過してもよい。
〔実施形態3〕
本発明の一態様に係る実施形態3について、図6、図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図6は、本発明の実施形態3に係る欠陥検査装置1Bの構成を表す斜視図である。図7は、本発明の実施形態3に係る欠陥検査装置1Bの構成を表す側面図である。
欠陥検査装置1Bは、欠陥検査装置1A(図3〜図5参照)の第2偏光部4に換えて、第2偏光部4Bを備えている点で、欠陥検査装置1Aと異なる。欠陥検査装置1Bの他の構成は欠陥検査装置1Aと同様である。
第2偏光部4Bは、光源部3A全体と重なっている。すなわち、第2偏光部4Bは、光源部3Aのうち、第1偏光発光領域7だけではなく、非発光領域6および面発光領域5とも重なっている。
第1偏光発光領域7から出射した偏光を含む光A7は、被検査物2および第2偏光部4Bを透過して、撮像部40に入射する。面発光領域5から出射した光A5は、被検査物2および第2偏光部4Bを透過して撮像部40に入射する。非発光領域6の上方の、広がった光A7の一部および光A5の一部が混ざった間接光は、被検査物2および第2偏光部4Bを透過して撮像部40に入射する。
これにより、被検査物2において、欠陥検査装置1・1Aとは違った偏光状態の光を被検査物2に透過させることができる。これにより、種々の位置および大きさの欠陥を検査することができる欠陥検査装置1Bを得ることができる。
第2偏光部4Bはレンズ部41に含まれた構成であってもよい。すなわち、撮像部40のレンズ部41は、レンズよりも先端側(カメラ部42とは逆側)に配置された偏光板である第2偏光部4Bを有する構成であってもよい。
第2偏光部4Bを、レンズ部41とは別構成として設けた場合、第2偏光部4Bの透過光の偏光の向き変える場合、第2偏光部4Bを固定している固定部から取り外し、第2偏光部4Bの向きを変えて、再度、第2偏光部4Bを上記固定部に取り付けるといった作業を行う必要がある。
一方、レンズ部41を、レンズよりも先端側(カメラ部42とは逆側)に、偏光板または偏光フィルムなどの偏光フィルタである第2偏光部4Bが配置された構成とすることで、レンズ部41の回転方向の角度を変更するだけで、第2偏光部4Bの透過光の偏光の変更の向きを変えることができる。よって、利便性が高い欠陥検査装置1Bを得ることができる。
また、偏光板または偏光フィルムなどの偏光フィルタは透過光を減衰させる。このため、例えば、偏光フィルタである第2偏光部4Bを、光源部3Aのうち、面発光領域5は覆わず第1偏光発光領域7だけを覆うように配置した場合、面発光領域5からの光A5は偏光フィルタを透過せず撮像部40へ入射するが、第1偏光発光領域7からの光A7は、第1偏光発光領域7に含まれる偏光フィルタにより減衰している上、さらに、第2偏光部4Bを透過することで減衰する。この場合、光A5と光A7との光量の差が大きくなる。
一方、本実施形態のように、第2偏光部4Bを、光源部3Aのうち、第1偏光発光領域7および面発光領域5を覆うように配置した場合、第1偏光発光領域7からの光A7だけでなく、面発光領域5からの光A5も第2偏光部4Bを透過することになるため、光A5と光A7との減衰の差を小さくすることができる。すなわち、撮像部40へ入射する光A7と光A5との光量の差を小さくすることができる。
この結果、面発光領域5と、第1偏光発光領域7とを、個別に光量調整する必要がなく、面発光領域5と、第1偏光発光領域7とを、共通する一面光源によって構成することができる。
〔実施形態4〕
本発明の一態様に係る実施形態4について、図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図8は、本発明の実施形態4に係る欠陥検査装置1Aの構成を表す図である。欠陥検査装置1Aは、図3および図4に示した欠陥検査装置1Aと同様の構成である。
被検査物2に確認し難い欠陥が含まれている場合、被検査物2の向きを種々に変更することで、確認できなかった欠陥が確認できるようになる場合がある。この場合、作業者は、被検査物2の欠陥検査装置1Aに対する相対的な向きや位置を変更する。
図8に示す例では、第1偏光発光領域7の偏光軸(第1方向への偏光)と、被検査物2の延伸方向(つまり、被検査物2の長手方向)とが成す角がθとなるように、作業者は、被検査物2の向きを変更する。θは0度以上90度以下である。または、θは0度以上45度以下であってもよい。
このように、被検査物2に対する光Aの出射角度を種々に変更することで、被検査物2に含まれる種々の深さ位置に形成された欠陥を発見することができる。特に被検査物2が配向を持つ場合に有効である。
また、欠陥検査装置1Aに、被検査物2を、向きや位置を変更可能に支持する被検査物支持部を設けてもよい。
〔実施形態5〕
本発明の一態様に係る実施形態5について、図9、図16および図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜4にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図9は、本発明の実施形態5に係る欠陥検査装置1Cの構成を表す斜視図である。欠陥検査装置1Cは、図3および図4に示した欠陥検査装置1Aの構成に、反射部(照明部)65を加えた構成である。欠陥検査装置1Cにおける他の構成は欠陥検査装置1Aと同様である。
本実施形態においては、反射部65は板状であるが、曲面状であってもよく、球状、リング状、ドーム状等種々の形状の反射板を用いることができる。また、反射部65の材質も鏡、金属など種々のものを用いることができる。反射部65を曲面状とすると、光を集光させて被検査物2に照射することができる。
反射部65は第2偏光部4よりも下方(光源部3Aに近く)であって、被検査物2の側方または上方に位置する。反射部65は反射面を第1偏光発光領域7及び第2偏光部4に対して傾斜させて配置されている。
反射部65は、光源部3Aからの光を反射することで、当該反射光により、被検査物2の上方の位置から、被検査物2に対し光を照射する。そして、被検査物2の上側面に照明された光は被検査物2の表面で反射し、第2偏光板4を透過し撮像部40に入射する。これにより、被検査物2からの反射光を検出して、欠陥の検査をすることができる。
第1偏光発光領域7から出射された光A7は主として被検査物2および第2偏光部4を透過して撮像部40へ入射する。面発光領域5から出射された光A5は、主として被検査物2を透過して撮像部40へ出射する。
第1偏光発光領域7から出射された光A7のうち、広がって反射部65の方向に向かう光A7Cは、反射部65で反射し、被検査物2の表面で反射する。そして、光A7Cは、被検査物2の表面で反射すると、第2偏光部4を透過し、撮像部40へ入射する。
面発光領域5から出射された光A5のうち、広がって反射部65の方向に向かう光A5Cは、反射部65で反射し、被検査物2の表面で反射し、撮像部40へ入射する。
このように、欠陥検査装置1Cは、光源部3Aと、反射部65とを有する。そして、反射部65は、光源部3Aとは重ならないように、反射面が傾斜して配置されている。
このため、欠陥検査装置1Cによると、被検査物2に対し、種々の方向から光を照射することができる。これにより、被検査物2において種々の位置に含まれる欠陥を検査することができる。
反射部65による反射光を被検査物2に照射することで、反射光を被検査物2に照射しない場合と比べて、被検査物2の表面の凹凸を検出しやすくすることができる。
なお、欠陥検査装置1Cは、反射部65を2つ以上有していてもよい。すなわち、図9において、光源部3Aよりも紙面奥側に配置された反射部65とは別に、例えば、さらに、光源部3Aよりも紙面手前側にも反射部65が配置されていてもよい。この場合、紙面手前側の反射部65は反射面を第1偏光発光領域7及び第2偏光部4に対して傾斜させて配置される。
また、反射部65の配置位置は、被検査物2を下方から、被検査物2の下側面に反射光を照射する位置であってもよい。
また、反射部65に換えて、反射ではなく自発光をする発光部を備えてもよい。
図16は、本発明の実施形態5の変形例1に係る欠陥検査装置1Gの構成を表す斜視図である。欠陥検査装置1Gは、欠陥検査装置1C(図9参照)が備えていた反射部65に換えて、自発光する発光部(照明部)5G1を備えた構成である。
発光部5G1は、自発光により、被検査物2の上方の位置から、被検査物2に対し光G1を照射する。そして、被検査物2の上側面に照明された光G1は被検査物2の表面で反射し、第2偏光板4を透過し撮像部40に入射する。
また、自発光する発光部は複数備えていてもよい。
図17は、本発明の実施形態5の変形例2に係る欠陥検査装置1Hの構成を表す側面図である。欠陥検査装置1Hは、欠陥検査装置1G(図16参照)に、さらに、自発光する発光部(照明部)5G2を備えた構成である。
発光部5G2は、発光部5G1と同様に、自発光により、被検査物2の上方の位置から、被検査物2に対し光G2を照射する。そして、被検査物2の上側面に照明された光G2は被検査物2の表面で反射し、第2偏光板4を透過し撮像部40に入射する。
なお、自発光する発光部の個数は1個、2個に限定されず、3個以上であってもよい。
発光部5G1・5G2などの発光部が発光する光は白色光であってもいが、他の任意の色の光を発光してもよい。発光部5G1・5G2は、面状光源であってもいし、スポット光源、ライン光源など種々の発光体を用いることができる。
発光部5G1・5G2の配置位置は、被検査物2を下方から、被検査物2の下側面に光5G1・5G2を照射する位置であってもよい。
〔実施形態6〕
本発明の一態様に係る実施形態6について、図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜5にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図10は、本発明の実施形態6に係る欠陥検査装置1Dの構成を表す図である。欠陥検査装置1Dは、図9に示した欠陥検査装置1Cにおける反射部65に換えて、光源部3ADを備えている点で欠陥検査装置1Cと相違する。すなわち、欠陥検査装置1Cは複数の光源部3A・3ADを備えている。
光源部3ADは、光源部3Aと同じ構造を有している。光源部3ADから出射した光ADは、被検査物2を透過して撮像部40に入射する。光源部3ADは、第1偏光発光領域7Dと、非発光領域6Dと、面発光領域5Dとを有している。第1偏光発光領域7D、非発光領域6Dおよび面発光領域5Dは、それぞれ、第1偏光発光領域7、非発光領域6、面発光領域5と同じ構成である。
光源部3Aは、出射面が第2偏光部4と平行になるように配置されている。光源部3Aから出射した光Aは第2偏光部4に垂直に入射する。
光源部3ADは、光源部3Aに並んで配置されているが、第2偏光部4に対して出射面が非平行となるように傾斜して配置されている。第1偏光発光領域7Dから出射した光A7Dは被検査物2および第2偏光部4を透過し、撮像部40に入射する。面発光領域5Dから出射した光A5Dは被検査物2を透過し、撮像部40に入射する。
光源部3ADは、光源部3Aとは、被検査物2を別の角度から照明する。すなわち、欠陥検査装置1Dは、光Aの光軸と光ADの光軸とが互いに傾斜するように配置された光源部3Aおよび光源部3ADを有する。
こ欠陥検査装置1Cによると、被検査物2に対し、種々の方向から光を出射することができる。これにより、被検査物2において種々の位置に含まれる欠陥を検査することができる。
〔実施形態7〕
本発明の一態様に係る実施形態7について、図11および図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜6にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態7に係る欠陥検査装置の構成を表す斜視図である。欠陥検査装置1Eは、図3および図4に示した欠陥検査装置1Aに、波長変換フィルタ50を配置した点で欠陥検査装置1Aと相違する。
波長変換フィルタ50は、光源部3Aの出射面と、被検査物2との間に配置されている。波長変換フィルタ50は、光源部3Aから出射された光Aを、異なる波長に変換し透過するフィルタである。被検査物2は、波長変換フィルタ50と、第2偏光部4との間に配置される。
光源部3Aから出射した光Aは、波長変換フィルタ50を透過することで、波長変換フィルタ50を透過する前とは異なる特定の波長成分を有する光Aへ変換される。そして、波長変換フィルタ50を透過した光Aは、被検査物2および第2偏光部4を透過し、レンズ部41へ入射する。
被検査物2に含まれる欠陥は、透過する光の波長によって見え方が異なる場合がある。
そこで、上述のように、欠陥検査装置1Eによると、波長変換フィルタ50によって波長が変換された光Aを被検査物2に出射することで、被検査物2において種々の位置に含まれる欠陥を検査したり、見えなかった欠陥を見やすくしたりすることができる。
図12は、本発明の実施形態7における変形例に係る欠陥検査装置1Eの構成を表す斜視図である。図12に示すように、波長変換フィルタ50は、光源部3Aと被検査物2との間ではなく、第2偏光部4と撮像部40との間に配置してもよい。
光源部3Aから出射した光Aは、被検査物2および第2偏光部4を透過すると、次に、波長変換フィルタ50を透過することで、波長変換フィルタ50を透過する前とは異なる特定の波長成分を有する光Aへ変換される。そして、波長変換フィルタ50を透過した光Aはレンズ部41へ入射する。
被検査物2に含まれる欠陥は、透過する光の波長によって見え方が異なる場合がある。
そこで、図12に示す欠陥検査装置1Eによっても、被検査物2を透過した光Aを波長変換フィルタ50によって波長を変換することで、被検査物2において種々の位置に含まれる欠陥を検査したり、見えなかった欠陥を見やすくしたりすることができる。
〔実施形態8〕
本発明の一態様に係る実施形態8について、図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜7にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
欠陥検査装置1Fは、各実施形態にて説明した欠陥検査装置1・1A〜1Eの何れかに、カメラ駆動機構(不図示)と、保持部81と、回転機構82と、駆動制御部(不図示)と、芯ブレ防止機構85〜88とを備えた構成を有する。
カメラ駆動機構は撮像部40を移動可能に支持する。カメラ駆動機構によって撮像部40は、被検査物2の長手方向に沿ってスライド移動したり、被検査物2に近づく方向に移動したり、逆に被検査物2から離れる方向へ移動したりする。カメラ駆動機構は、被検査物2の端近傍の表面が傾斜している部分では、撮像部40の傾きも調整可能となっていることが好ましい。つまり、被検査物2の形状を認識し、撮像部40の焦点距離を保つ構成が好ましい。
なお、撮像部40と被検査物2とが相対移動可能となっていればよく、撮像部40側ではなく被検査物2を保持する機構側に、被検査物2を撮像部40に対して相対移動可能とする駆動機構が設けられていてもよい。
撮像部40は、エリアカメラとラインカメラとの何れであってもよいが、エリアカメラの方が好ましい。これは、光源部3の各光学領域に対応する被検査物2の各領域を一度に撮影できるためである。
保持部81は、被検査物2の両端または両端のうち一端から張力を加えながら被検査物2の両端を保持する。また保持部81は、被検査物2の両端または両端のうち一端から被検査物2の内部へ空気を注入することでバルーンである被検査物2の表面のしわをなくす。
回転機構82は、保持部81を回転可能に支持する。回転機構82は図示しない駆動制御部からの指示に基づいて、保持部81を回転させる。これにより、保持部81に保持されている被検査物2は、延伸方向に平行な軸を回転軸として回転する。
芯ブレ防止機構85〜88は、両保持部81間に配置されており、被検査物2の中央部近傍を保持する。被検査物2のバルーンは長くなると、たわみ(偏心)が大きくなる。このため、一対の芯ブレ防止機構85・86は被検査物2を上下方向(Z軸方向)から挟み、一対の芯ブレ防止機構87・88は被検査物2を上下方向(Z軸方向)から挟む。これにより、被検査物2は上下方向(Z軸方向)の動きおよびたわみを規制することができる。
芯ブレ防止機構85〜88は、センサ(不図示)により撮像部40と被検査物2との距離を計測し、撮像部40との距離を一定に保つように上下に移動してもよい。
また、芯ブレ防止機構85〜88は、被検査物2を上下方向に動きおよびたわみを規制するのではなく、被検査物2を前後方向(Y軸方向)に動きおよびたわみを規制する構成であってもよい。この場合、一対の芯ブレ防止機構85・86は被検査物2を前後方向(Y軸方向)から挟み、一対の芯ブレ防止機構87・88は被検査物2を前後方向(Y軸方向)から挟む。
さらに、芯ブレ防止機構85〜88は、被検査物2を上下方向又は前後方向のどちらか1方向の動きおよびたわみを規制するだけでなく、被検査物2を、上下方向および前後方向の2方向の動きおよびたわみを規制する構成であってもよい。この場合、一対の芯ブレ防止機構85・86は被検査物2を上下方向および前後方向から挟み、一対の芯ブレ防止機構8・88は被検査物2を上下方向および前後方向から挟む。
図13に示すように、保持部81に被検査物2がセットされると、撮像部40がスライドし、被検査物2の一端から他方の端部にかけて順次撮影をしていく。また、この撮像部40のスライド動作と同期するように、回転機構82は、保持部81を介して被検査物2を回転させる。
このように被検査物2を撮像部40に対して相対的にスライドさせることで、被検査物2が延伸方向に長い場合、光源部3Aの面積が小さい場合、又は、撮像部40の撮影視野の面積が小さい場合等であっても、被検査物2を全体に渡って欠陥検査をすることができる。
特に、光源部3Aのように、複数の光学領域を設けている場合、被検査物2を撮像部40に対して相対的にスライドさせることが好ましい。これにより、被検査物2における、光学領域毎に見え方が異なる複数の領域を撮影画像に含めて被検査物2の撮影を行うことができる。このため、各種の欠陥を見つけやすく効率的に欠陥を検出することができる。
また、光源部3Aが有する全ての種類の光を被検査物2に出射して撮影するために、光源部3Aは、被検査物2に対して相対的にスライドおよび回転移動する撮像部40と同期して移動することが好ましい。
さらに、この被検査物2を撮像部40に対して相対的にスライドさせることに同期して被検査物2を回転させることで、被検査物2を螺旋状に連続的に撮影する(スキャンする)ことができ、これにより、漏れなく被検査物2の全体の欠陥検査を行うことができる。
さらに、欠陥検査装置1Fによると、以下の効果を得ることもできる。
(1)ヒシ及び傷等の欠陥は、見えやすい角度が欠陥毎に異なるため、被検査物2の角度を固定していると、欠陥を見逃しやすくなる。一方、欠陥検査装置1Fによると、被検査物2が回転しているため、ヒシ及び傷等の見えやすい角度が欠陥毎に異なる欠陥であっても見逃さず精度よく検出することができる。
また、欠陥検査装置1Fによると、被検査物2を撮像部40に相対移動させつつ、回転させているため、目視で被検査物2の欠陥検査を行う方法に近い。すなわち、1スキャン(被検査物2の一端から他端までの撮影)により被検査物2の表面全体を漏れなく検査することができる。このため、作業者による欠陥の見逃しが少なくて済む。
(2)検出すべき欠陥のサイズに合わせて撮像部40の解像度を設定することができる。つまり、被検査物2を回転させるため、撮像部40の撮影視野内に被検査物2の幅の両端が入っていなくてもよく、被検査物2のサイズが異なっても同じ撮像部40を用いることができる。このため、撮像部40の画素数を抑えつつ高速に欠陥検査を行うことができる。
なお、撮像部40で撮影するのではなく、目視確認で欠陥検査を行う場合においても、被検査物2を回転させることで、被検査物2が目視の視野に入っていない場合でも、被検査物2の全体を漏れなく検査することができる。
(3)定量的に欠陥を検出することができるため、欠陥検査を安定して実行することができる。加えて、欠陥の種類(菱状の凹凸、傷、ゲル状異物の析出等)の判別も可能である。また、欠陥の種類毎に欠陥であるか否かを判定する優先順位を設けて欠陥検査を行うこともできる。優先順位の高い方から低い方へ順に、菱状の凹凸、傷、ゲル状異物の析出である。
〔実施例1〕
本発明の実施例について、図14および図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜8にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
欠陥検査装置として、欠陥検査装置1B(図6参照)を用いて、被検査物2を撮影した。
図14に示すように、光源部3Aは、第1偏光発光領域7から出射した光A7はある程度の広がりを持って被検査物2および第2偏光部4Bを透過し、撮像部40に入射する。
面発光領域5から出射した光A5はある程度の広がりを持って被検査物2を透過し、撮像部40に入射する。
非発光領域6上では、広がった光A7の一部と、広がった光A5の一部とが混ざり、間接光A6が被検査物2および第2偏光部4Bを透過し撮像部40へ入射する。
図15の(a)は、撮像部40で、被検査物2のうち光源部3Aと重なる領域を撮影した撮影画像を表す。図15の(a)に示す撮影画像のうち「第1偏光」と記載された領域は、被検査物2における第1偏光発光領域7と重なる領域であり、「遮光」と記載された領域は、被検査物2における非発光領域6と重なる領域であり、「面発光」と記載された領域は、被検査物2における面発光領域5と重なる領域である。
図15の(b)に示すように、撮影画像において、被検査物2における第1偏光発光領域7と重なる領域では、ヒシ傷が鮮明に映っていた。図15の(c)に示すように、撮影画像において、被検査物2における非発光領域6と重なる領域では、傷が鮮明に映っていることが分かった。図15の(d)に示すように、撮影画像において、被検査物2における面発光領域5と重なる領域では、ゲル状異物・ヤケによる欠陥が鮮明に映っていることが分かった。
このように、被検査物2に透過させる光の偏光状態を変えることで、撮影画像に鮮明に映りやすい欠陥の種類が変わることが分かった。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る欠陥検査装置は、光を透過する被検査物に含まれる欠陥を検査する欠陥検査装置であって、第1偏光発光領域および面発光領域を有する光源部と、上記第1偏光発光領域からの出射された第1方向へ偏光された光を第2方向へ偏光する第2偏光部とを備え、上記光源部と第2偏光部との間に上記被検査物を挿入するための空間が設けられていることを特徴とする。
上記構成によると、上記被検査物に含まれる欠陥を検査する場合、上記光源部と上記第2偏光部との間の空間に、上記被検査物が配置される。そして、上記光源部のうち、上記第1偏光発光領域から出射された第1方向へ偏光された光は、上記被検査物を透過し、さらに上記第2偏光部を透過することで第2方向へ偏光される。
ここで、上記被検査物に欠陥が含まれていると、上記被検査物のうち、当該欠陥箇所は、他の箇所と比べて、透過した光の光量が異なったり、偏光状態が異なったりする。このため、上記光源部の上記第1偏光発光領域から出射され、上記被検査物、及び、上記第2偏光部を透過した光の光量及び偏光状態を確認することで、上記被検査物に含まれる欠陥を検査することができる。
さらに上記構成によると、上記光源部は上記面発光領域を有する。当該面発光領域から出射された光は、上記第1偏光発光領域から出射された光とは異なり、第1方向へ偏光する偏光板等を透過せず、直接上記被検査物を透過する。これにより、上記光源部が上記第1偏光発光領域のみから構成されている場合と比べて、上記被検査物に対して十分な輝度の光を透過させることができる。これにより、上記被検査物に含まれる欠陥を鮮明に確認することができる。このため、上記被検査物に含まれる欠陥の検出漏れを低減させることができる。
また、上記被検査物に含まれる欠陥は、凹凸の程度が比較的大きい欠陥、または、凹凸の程度は比較的大きくはないものの色付いて見える欠陥など、さまざまな種類の欠陥が含まれる。
そこで、上記構成によると、上記光源部のうち、上記第1偏光発光領域から出射され、上記被検査物および上記第2偏光部を透過した光の偏光状態と、上記面発光領域から出射され上記被検査物を透過した光の偏光状態とは異なる。これにより、上記被検査物に含まれるさまざまな種類の欠陥を効率よく検出することができる。
本発明の態様2に係る欠陥検査装置は、上記態様1において、上記光源部は、発光しない非発光領域を有してもよい。上記構成によると、上記被検査物のうち、上記非発光領域と重なる領域は、上記第1偏光発光領域と重なる領域および上記面発光領域と重なる領域とは、また違った光学状態の光が透過することになる。
このため、上記被検査物のうち、上記非発光領域と重なる領域は、上記第1偏光発光領域と重なる領域および上記面発光領域と重なる領域とは、違う種類の欠陥を検出しやすくなる。これにより、上記被検査物に含まれるさまざまな種類の欠陥を、さらに効率よく検出することができる。
本発明の態様3に係る欠陥検査装置は、上記態様1または2において、上記第2偏光部は、上記光源部のうち、少なくとも上記第1偏光発光領域の一部と重なっていることが好ましい。これにより、上記面発光領域から出射し、上記被検査物を透過した光は、ほぼ上記第2偏光部を透過しないため、より鮮明に欠陥を確認することができる。これにより、被検査物に含まれる欠陥の検出漏れを低減させることができる。
本発明の態様4に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜3において、上記光源部は、上記第1偏光発光領域および上記面発光領域に共通する面光源部を有し、上記第1偏光発光領域は、上記面光源部の一部領域である第1領域と、当該第1領域の出射面に配置された偏光板とを有し、上記面発光領域は、上記面光源部のうち、上記第1領域とは異なる他の一部領域である第2領域を有してもよい。上記構成により上記光源部を構成することができる。
本発明の態様5に係る欠陥検査装置は、上記態様2において、上記非発光領域は、上記第1偏光発光領域および面発光領域に挟まれていてもよい。上記構成によると、上記第1偏光発光領域から出射した光の一部と、上記面発光領域から出射した光の一部とが混ざって、上記被検査物のうち上記非発光領域と重なる領域を透過する。これにより、被検査物に含まれる欠陥のうち傷による欠陥を検出しやすくすることができる。
本発明の態様6に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜5において、上記第1方向への偏光及び上記第2方向への偏光は直線偏光であって、上記第1方向と上記第2方向とが成す角は、0度以上90度以下であってもよい。
本発明の態様7に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜6において、上記第1方向への偏光及び上記第2方向への偏光は直線偏光であって、上記第1方向と上記被検査物の延伸方向とが成す角は、0度以上45度以下であってもよい。
このように、第1方向と上記第2方向とが成す角、および第1方向と被検査物の延伸方向とが成す角を種々の方向へ変更することで、上記被検査物において種々の位置に含まれる欠陥を検査することができる。
本発明の態様8に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜7において、上記光源部からの出射光を上記被検査物へ反射するか、または、自発光によって光を上記被検査物へ照射する照明部をさらに備えていてもよい。上記構成によると、被検査物において種々の位置に含まれる欠陥を検査することができる。
本発明の態様9に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜8において、上記光源部を複数備え、上記複数の光源部は、それぞれからの出射光の光軸が互いに傾斜するように配置されていてもよい。上記構成によると、被検査物において種々の位置に含まれる欠陥を検査することができる。
本発明の態様10に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜9において、上記光源部から出射され、上記被検査物及び上記第2偏光部を透過した透過光を撮像する撮像部を備えていてもよい。上記構成によると、作業者が目視で上記欠陥の有無を検査する場合と比べて、安定して上記欠陥の有無を検査することができる。また、上記構成に欠陥の判定部を加えることで、容易に欠陥の有無や種類の判別の自動化を行うことができる。
本発明の態様11に係る欠陥検査装置は、上記態様1〜10において、上記被検査物はバルーンカテーテルであってもよい。上記構成によると、いわゆるヒシ状欠陥、ゲル状欠陥等、発見し難い欠陥であっても容易に発見することができる。このため、欠陥がないバルーンカテーテルを容易に得ることができる。
本発明の態様12に係る欠陥検査方法は、光を透過する被検査物に含まれる欠陥を検査する欠陥検査方法であって、光源部における第1偏光発光領域から第1方向へ偏光された光を出射し、上記光源部における面発光領域から偏光されていない光を出射する出射ステップと、上記光源部との間に上記被検査物を挿入するための空間を設けて配置された第2偏光部を用いて、上記出射ステップにて出射された光のうち第1方向へ偏光された光を第2方向へ偏光する第2偏光ステップとを含むことを特徴とする。上記構成によると、上記被検査物に含まれるさまざまな種類の欠陥を効率よく検出することができる。
本発明の態様13に係る欠陥検査方法は、上記態様12において、上記出射ステップにおいて、上記光源部における非発光領域からは光を出射しなくてもよい。これにより、上記被検査物に含まれるさまざまな種類の欠陥を、さらに効率よく検出することができる。
本発明の態様14に係るバルーンカテーテルの製造方法は、上記欠陥検査方法によって欠陥の有無を検査する工程を含むことを特徴とする。上記構成によると、上記バルーンカテーテルに含まれる欠陥を容易に検出することができるため、上記欠陥検査方法によって欠陥の有無を検査する工程を含まない場合と比べて、欠陥がないバルーンカテーテルを容易に得ることができる。