JP2018175776A - カバードステント - Google Patents
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Abstract
Description
たとえば、虚血性心疾患を治療する場合に、患者の脚または腕の動脈に小さな切開を施してイントロデューサーシース(導入器)を留置し、イントロデューサーシースの内腔を通じて、ガイドワイヤを先行させながら、ガイドカテーテル(単にカテーテルと記載する場合がある)と呼ばれる長い中空のチューブを血管内に挿入して冠動脈の入口に配置した後ガイドワイヤを抜き取り、予め別の細いガイドワイヤを挿入させたバルーンカテーテルをガイドカテーテルの内腔に挿入し、ガイドワイヤを先行させながらバルーンカテーテルをX線造影下で患者の冠動脈中の病変部(狭窄部または閉塞部)まで進めて、バルーンを病変部内に位置させてバルーンを膨らませる。これにより、病変部の血管内腔は拡張され開存状態を維持し、それにより血管内腔を通る血流は増加する。そして、再狭窄率を低下させるために、バルーンで拡張させた病変部にステントが留置される。
このステントの血管への留置は、血管内に挿入されるカテーテルを用いて行われる。このステントは、血管に挿入される際、カテーテルより脱落することなくかつ円滑に挿入し得るように、外周径が小さく縮径された状態でカテーテルに装着されて血管内に挿入され、病変部において外周径が大きく拡径されることにより、拡張された血管内腔の開存状態を維持する。
(1)特許文献1に開示されたカバードステントのステント基材は柔軟に拡縮しうるようにメッシュ状等であったとしてもカバー材がそのような柔軟な拡縮性を備えないので(少なくともカバー材の拡縮性はステント基材の拡縮性に劣ることは明らか)、カバードステントを縮径してカテーテルへ収納することが困難で、かつ、カバードステントを拡径して血管内腔の開存状態を維持するという狭窄回避処置を(病変部への搬送を含めて)好適に行うことができない可能性があり、
(2)さらに、特許文献1に開示されたカバードステントのカバー材は、病変部の血管内腔に移植した際に血栓の発生を抑制し血管内組織に速やかに置き換わり得るものであったとしてもカバードステントを血管内腔に移植した直後から血管内組織に速やかに置き換わるものではないので瘤成長回避処置を好適に行うことができない可能性がある。
すなわち、本発明に係るカバードステントは、線材を用いた編み目状組織の筒体により形成され、前記筒体の径が拡縮可能なステント本体と、前記ステント本体の筒体の内側表面および外側表面の少なくともいずれかに、前記筒体に螺旋状に巻き付けられたカバー材とを含む。
さらに好ましくは、前記カバー材は、発泡体、不織布、薄膜およびこれらの複合体のいずれかであるように構成することができる。
[構成:全体構成]
本実施の形態に係るカバードステント100は、図1(A)、図2(A)および図3(A)に示すように、線材(より詳しくは生体吸収性繊維112)を用いた編み目状組織の筒体により形成され、筒体の径が拡縮可能なステント本体110と、ステント本体110の筒体の内側表面に、筒体に螺旋状に巻き付けられたカバー材120とを含んで構成されている。または、本実施の形態に係るカバードステント200は、図1(B)、図2(B)および図3(B)に示すように、線材(生体吸収性繊維112)を用いた編み目状組織の筒体により形成され、筒体の径が拡縮可能なステント本体110と、ステント本体110の筒体の外側表面に、筒体に螺旋状に巻き付けられたカバー材120とを含んで構成されている。なお、本発明に係るカバードステントは、ステント本体110の筒体の内側表面および外側表面の少なくともいずれかにカバー材120が螺旋状に巻き付けられたものであればよく、カバードステント100およびカバードステント200に代えて、ステント本体110の筒体の内側表面および外側表面にカバー材120が螺旋状に巻き付けられたものであっても構わない。
[構成:ステント本体]
図1〜図3および図4(A)に示すように、このカバードステント100のステント本体110は、線材(生体吸収性繊維112)を用いた編み目状組織の筒体であって、その筒体の径が拡縮可能に形成されている。図4(A)は、カバードステント100を構成す
るステント本体110のみを示した図である。なお、図4(A)においては、線材(生体吸収性繊維112)の編み目についての理解を容易にするために紙面奥側に配置された線材(生体吸収性繊維112)については図示していない。
この生体吸収性繊維112は、たとえば、ポリグリコール酸、ポリラクチド(D、L、DL体)、ポリカプロラクトン、グリコール酸−ラクチド(D、L、DL体)共重合体、グリコール酸−ε−カプロラクトン共重合体、ラクチド(D、L、DL体)−ε−カプロラクトン共重合体、ポリ(p−ジオキサノン)、グリコール酸−ラクチド(D、L、DL体)−ε−カプロラクトン共重合体等から選択される少なくとも1種とされ、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、撚糸、組み紐などのいずれかに加工した形態で使用されるが、モノフィラメント糸の形態で使用されるのが好ましい。
生体吸収性繊維112の直径は、0.001mm〜1.5mm程度とされ、適用するカテーテル治療に適切な繊維径および種類が選定される。また、生体吸収性繊維112の断面は、生体内組織を損傷しないことを条件として、円、楕円、その他の異形(たとえば星形)などのいずれであってもよい。さらに、生体吸収性繊維112の表面は、プラズマ放電、電子線処理、コロナ放電、紫外線照射、オゾン処理等により親水化処理してもよい。また、生体吸収性繊維112は、X線不透過材(たとえば、硫酸バリウム、金チップ、白金チップ等)の塗布または含浸処理や、薬剤(たとえば、心房中隔欠損症のカテーテル治療に適した薬剤)の付着処理、コラーゲン、ゼラチン等の天然高分子あるいはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の合成高分子でコーティング処理してもよい。
[構成:カバー材]
次に、ステント本体110の筒体の径が拡縮可能なように巻き付けられているカバー材120について、図1〜図3ならびに図4(B)および図4(C)を参照して説明する。図4(B)および図4(C)は、カバードステント100を構成するカバー材120のみを示した図である。なお、図4(B)はステント本体110に螺旋状に巻き付けられた後のカバー材120単体の全体図であって、図4(C)はステント本体110に螺旋状に巻き付けられる前のカバー材120単体の平面形状を示す図である。
このカバー材120は、上述したように生体吸収性繊維112を組み紐状織物に製作されたステント本体110、または、丸編機(図示省略)で、略同一径の筒体の編み目状組織に編成されたステント本体110に対して、そのステント本体110の主たる形状である筒体の内側表面または外側表面の少なくともいずれかに、細い方の幅がWで示される薄く長細いカバー材120を角度αで螺旋状に巻き付けて、ステント本体110に一体化させてカバードステント100を完成させる。
さらに、このカバー材120は、血管内皮細胞を培養するに好適な素材であって、このカバー材120は、発泡体、不織布、薄膜およびこれらの複合体のいずれかである。
このカバー材120の素材として、血管内皮細胞を培養するに特に好適な素材として、本願の出願人を含む特許第3603179号公報に開示された基材を採用することができる。このカバー材120の素材として用いられるこの基材は、血管内皮細胞を培養するに好適な発泡体、不織布、薄膜およびこれらの複合体のいずれかである。さらに具体的には、この公報に記載されているように、生体吸収性材料からなる発泡体を生体吸収性材料からなる補強材(繊維状、不織布状、フィルム状)によって強化した基材を本実施の形態に係るカバードステント100のカバー材120に採用することができる。
(第2の特徴)ステント本体110の筒体の径が拡縮可能なように(ひいてはカバードステント100全体の径が拡縮可能なように)ステント本体110にカバー材120が螺旋状に捲き付けられている。
(第3の特徴)カバー材120は血管内皮細胞を培養するに好適な素材であって、発泡体、不織布、薄膜およびこれらの複合体のいずれか(特に好ましくは特許第3603179号公報に開示された基材)である。
[使用態様]
図5に本実施の形態に係るカバードステント100がカテーテル300に内包された状態を示す説明図を、図6に従来のステント500を使用した動脈瘤を備えた血管狭窄の治療方法を説明するための図を、図7に本実施の形態に係るカバードステント100を使用した動脈瘤を備えた血管狭窄の治療方法を説明するための図を、それぞれ示す。ここで、従来のステント500は、本実施の形態に係るカバードステント100のステント本体110のみで構成されカバー材120を備えないステントである。
が例示でき、混合培養細胞を使用して、組織構築を行なう。使用する細胞の培養条件、播種方法については、上述した特許第3603179号公報に開示されたように、「A.細胞単離、細胞培養、細胞数増大」、「B.細胞隔離、内皮細胞純化」および「C.組織構築」を参考にして、カバー材120に血管内皮細胞を組織構築した。
図6(A)および図7(A)に示すように、生体(ここでは人間)の血管(ここでは動脈)400に動脈瘤450が形成されている疾患に対して、従来のステント500および本実施の形態に係るカバードステント100を用いた場合についてそれぞれ説明する。なお、血管400の狭窄状態および閉塞状態は図示していない。
この場合においては、図6(B)に示すように、ステント500はカバー材120を備えずステント本体はステント本体110のみで構成されているので、図6(B)の白抜き矢示に示すように、その編み目状組織を通って血管400を流れる血液が動脈瘤450に流れる。その結果、動脈瘤450は血栓化しないで、場合によっては図6(C)に示すように拡大してしまう。さらに、カバー材を備えない単なるステント500では、たとえば再狭窄を回避するための薬剤をカバー材に担持させることもできないので(DDS機能なし)、図6(C)に示すように長期的には血管内腔に血栓が形成されたり、狭窄による再閉塞が発生したりする。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
110 ステント本体
112 (ステント本体を構成する)生体吸収性繊維
120 カバー材
300 カテーテル
400 血管(動脈)
450 動脈瘤
500 従来のステント
Claims (4)
- 線材を用いた編み目状組織の筒体により形成され、前記筒体の径が拡縮可能なステント本体と、
前記ステント本体の筒体の内側表面および外側表面の少なくともいずれかに、前記筒体に螺旋状に巻き付けられたカバー材とを含む、カバードステント。 - 前記筒体に螺旋状に巻き付けられる前の前記カバー材の平面形状は、長方形であって、
前記長方形の形状および螺旋状に巻き付けられる角度は、前記ステント本体の筒体の径が拡縮可能な形状および角度であることを特徴とする、請求項1に記載のカバードステント。 - 前記カバー材は、発泡体、不織布、薄膜およびこれらの複合体のいずれかであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のカバードステント。
- 前記線材および前記カバー材の少なくともいずれかは、生体吸収性材料からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカバードステント。
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