JP2018174085A - 負極活物質、負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

負極活物質、負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充電に伴う体積膨張の抑制された負極活物質を提供する。【解決手段】シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子と、前記粒子上に存在するウロン酸重合物の金属塩とを有するリチウムイオン二次電池用負極活物質とする。ウロン酸重合物の金属塩は、ウロン酸重合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、Mg塩、Zn塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、負極活物質、負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べて、軽量、高容量である。このため、リチウムイオン二次電池は、携帯電子機器用の電源として広く応用されている。また、リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車用に搭載される電源としても有力な候補となっている。
近年、携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、リチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。リチウムイオン二次電池の容量は、電極の活物質に依存する。一般に、負極活物質には黒鉛が利用されている。しかし、上記の要求に対応するためには、より高容量の負極活物質を用いる必要がある。
そのため、負極活物質の材料として、シリコン(Si)や酸化シリコン(SiOx)が注目されている。SiおよびSiOxは、黒鉛の理論容量(372mAh/g)に比べてはるかに大きな理論容量をもつ。しかしながら、SiおよびSiOxを用いた負極活物質は、充電に伴う体積膨張が大きいという不都合がある。
充電に伴う負極活物質の体積膨張を抑制する技術としては、リチウム合金からなる負極活物質の表面を、イオン伝導は可能であるが導電度の低い架橋性モノマー、高分子支持体及び有機溶媒を含む混合溶媒から形成された高分子フィルムで被覆する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−197258号公報
従来のSiおよび/またはSiOxを用いた負極活物質は、充電に伴う体積膨張が十分に抑制されたものではなかった。このため、従来のSiおよび/またはSiOxを用いた負極活物質を含む負極を有するリチウムイオン二次電池では、充電に伴う負極活物質の体積膨張に起因する電解液の分解によって、多くのガスが発生し、問題となっていた。
より詳細には、Siおよび/またはSiOxを用いた負極活物質を含む負極を有するリチウムイオン二次電池を充電すると、負極活物質が体積膨張して微粉化される。微粉化された負極活物質の表面には、微粉化によって新たに露出された新生面が形成される。新生面には、反応性の高いSiおよび/またはSiOxが露出される。新生面に露出したSiおよび/またはSiOxは、リチウムイオン二次電池の電解液と反応して、電解液を分解するとともにガスを発生させる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、充電に伴う体積膨張の抑制された負極活物質を提供することを課題とする。
また、本発明は、充電に伴う体積膨張の抑制された負極活物質を含む負極、及び充電に伴う電解液の分解によるガスの発生量が抑制されたリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、以下に示すように鋭意検討を重ねた。
その結果、負極活物質として、シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子上に、ウロン酸重合物の金属塩を有するものを用いればよいことを見出し、本発明を想到した。すなわち、本発明は、以下の発明に関わる。
(1)シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子と、
前記粒子上に存在するウロン酸重合物の金属塩とを有することを特徴とする、リチウムイオン二次電池用負極活物質。
(2)前記ウロン酸重合物の金属塩は、ウロン酸重合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、Mg塩、Zn塩から選ばれる少なくとも一種である(1)に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
(3)前記ウロン酸重合物の金属塩は、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルロン酸から選ばれる少なくとも一種のウロン酸の重合物の金属塩である(1)または(2)に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
(4)前記ウロン酸重合物の金属塩は、分子量が15,000〜200,000である(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
(5)前記粒子上の少なくとも一部を被覆するコート層を有し、
前記コート層が前記ウロン酸重合物の金属塩を有する(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
(6)前記コート層がリチウムイオンを含有し、
前記コート層の前記粒子に近い側をAとし、遠い側をBとしたとき、前記コート層中のリチウムイオン濃度がA≦Bの関係である(1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
(7)前記コート層は、前記粒子上に配置された第一層と、前記第一層上に配置された第二層とを有し、
前記第一層が前記ウロン酸重合物の金属塩を含み、前記第二層がウロン酸重合物を含む(5)または(6)に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極。
(9)(8)に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを有するリチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子と、前記粒子上に存在するウロン酸重合物の金属塩とを有する。したがって、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含む負極を有するリチウムイオン二次電池を充電すると、粒子上に存在するウロン酸重合物の金属塩によって、充電に伴う粒子の体積膨張が抑制される。よって、本発明によれば、充電に伴う電解液の分解によるガスの発生量を抑制できる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示した断面模式図である。 本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の一例を示した断面模式図である。 本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の他の例を示した断面模式図である。 実施例および比較例のサイクル特性を示したグラフである。
本発明者は、鋭意検討した結果、以下に示す知見を得た。
すなわち、ウロン酸重合物の金属塩は、柔軟な分子構造を有し、かつ水素結合を有する化合物である。このため、シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子上にウロン酸重合物の金属塩を存在させた負極活物質では、これを用いたリチウムイオン二次電池の充電に伴う電解液の分解によるガスの発生量が抑制される。
より詳細には、上記粒子上にウロン酸重合物の金属塩を存在させた負極活物質では、充電時における粒子の体積膨張にウロン酸重合物の金属塩が追従して、粒子の体積膨張が抑制されるとともに、粒子の微粉化が抑制されると推定される。上記粒子の微粉化が抑制されると、上記粒子の微粉化によって新生面に露出したシリコンおよび/または酸化シリコンと、電解液とが反応して生成されるガスの発生量が抑制される。
さらに、ウロン酸重合物の金属塩は、脱水反応によって水(HO)を生成する置換基の数が少なく、例えば、ウロン酸重合物と比較して、脱水反応による水の生成が抑制されたものである。したがって、上記の粒子上にウロン酸重合物の金属塩を存在させた負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池では、負極活物質から生成した水と電解液とが反応して生成されるHFなどのガスの発生量が抑制されるものと推定される。
これらの知見に基づき、本発明を想到した。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、図面に記載の各構成要素の寸法比率などは、実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示した断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、積層体40と、積層体40を密閉した状態で収容するケース50と、積層体40に接続された一対のリード60、62とを備えている。また、図示されていないが、ケース50内には、積層体40とともに電解液が収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されている。リード60、62の端部は、ケース50の外部に延びている。
図1では、ケース50内に積層体40が一つのみ収容されている場合を例示したが、複数の積層体40が積層して収容されていてもよい。
「負極」
負極30は、負極集電体32と、負極集電体32上に設けられた負極活物質層34とを有する。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属からなる薄板を用いることができる。負極集電体32は、リチウムと合金化しないことが好ましく、銅が特に好ましい。負極集電体32の厚みは6〜30μmとすることが好ましい。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
(負極活物質)
本実施形態のリチウムイオン二次電池100では、負極活物質として、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いる。図2は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の一例を示した断面模式図である。図2に示す負極活物質36は、粒子1と、粒子1上の少なくとも一部を被覆するコート層2とを有する。
負極活物質36の粒子径は、2〜30μmであることが好ましく、4〜10μmであることが好ましい。負極活物質36の粒子径が当該範囲であると、負極活物質36同士を負極活物質層34内に密に充填できるため、リチウムイオン二次電池100の容量を大きくできる。
負極活物質36の粒子径は、複数の負極活物質の平均粒子径であり、粒度分布測定で得られた分布曲線における積算値が50%である粒子の直径(D50)である。粒子の粒度分布は、レーザ回折・散乱法(マイクロトラック法)を用いた粒度分布測定装置により測定できる。
負極活物質36を形成している粒子1は、シリコン(Si)または酸化シリコン(SiOx)から選ばれる少なくとも一種を有する。シリコンおよび酸化シリコンは、理論容量の大きい材料であり、リチウムイオン二次電池100の高容量化に寄与する。
コート層2は、粒子1上の少なくとも一部を被覆するものであり、図2に示すように、粒子1上の全面を被覆していることが好ましい。粒子1上のコート層2によって被覆されている面積の割合(被覆率)が高いほど、リチウムイオン二次電池100の充電に伴う粒子1の体積膨張を効果的に抑制できる。コート層2の被覆率は、80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
コート層2は、粒子1上に配置されたウロン酸重合物(ポリウロン酸)の金属塩を有し、ウロン酸重合物の金属塩からなることが好ましい。
ウロン酸重合物の金属塩は、糖の末端のヒドロキシメチル基(−CHOH)がカルボキシル基(−COOH)となったウロン酸の重合物の金属塩である。ウロン酸重合物の金属塩は、柔軟な分子構造を有し、かつ水素結合を有する。このため、粒子1上に存在するウロン酸重合物の金属塩は、充電時における粒子の体積膨張に追従して粒子の体積膨張を抑制するとともに、微粉化を抑制すると推定される。
ウロン酸重合物の金属塩は、水に溶けやすい化合物である。このため、ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液を作成し、これを粒子1に塗布する方法により、容易にコート層2を形成できる。
負極活物質36を形成しているウロン酸重合物の金属塩としては、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルロン酸から選ばれる少なくとも一種のウロン酸の重合物の金属塩であることが好ましい。これらの中でもウロン酸が直鎖重合した構造を有する重合物の金属塩を用いることが好ましく、特に、ガラクツロン酸が直鎖重合した構造を有するペクチン酸の金属塩および/またはマンヌロン酸とグルロン酸が直鎖重合した構造を有する多糖類であるアルギン酸の金属塩を用いることが好ましい。
ウロン酸重合物の金属塩としては、ウロン酸重合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、Mg塩、Zn塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。アルカリ金属塩としては、Na塩が好ましく、アルカリ土類金属塩としては、Ca塩が好ましい。ウロン酸重合物の金属塩が、ウロン酸重合物のNa塩であると、粘性が高いためにコート層2の結着力が高くなり、好ましい。また、ウロン酸重合物のCa塩であると、架橋反応により強固なコート層2となるため好ましい。
ウロン酸重合物の金属塩としては、ペクチン酸のCa塩、アルギン酸のCa塩(アルギン酸カルシウム)、アルギン酸のNa塩(アルギン酸ナトリウム)を用いることが特に好ましい。ペクチン酸のCa塩、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウムは、直鎖重合した構造を有するものであり、弾力性および柔軟性が良好である。したがって、ウロン酸重合物の金属塩として、これらのウロン酸重合物の金属塩を用いることで、リチウムイオン二次電池100の充電に伴う粒子1の体積膨張を効果的に抑制できる。
ウロン酸重合物の金属塩として用いるアルギン酸の金属塩において、マンヌロン酸とグルロン酸との割合、マンヌロン酸とグルロン酸の配列順序などは、特に限定されるものではない。例えば、ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液を用いてコート層2を形成する場合に適正な粘度の水溶液が得られるように、マンヌロン酸とグルロン酸との割合、マンヌロン酸とグルロン酸の配列順序などを適宜決定できる。
ウロン酸重合物の金属塩は、分子量が15,000〜200,000であることが好ましく、90,000〜150,000であることがより好ましい。ウロン酸重合物の金属塩の分子量が上記範囲内であると、ウロン酸重合物の金属塩の弾力性が適正となるため、リチウムイオン二次電池100の充電に伴う粒子1の体積膨張をより効果的に抑制できる。
ウロン酸重合物の金属塩の分子量は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)などを用いて測定できる。
コート層2の厚みは、特に限定されないが、5〜100nmであることが好ましく、20〜40nmであることがより好ましい。
また、負極活物質36中のウロン酸重合物の金属塩の含有量は、特に限定されないが、負極活物質36の0.5〜10重量%であることが好ましく、1.0〜2.0重量%であることがより好ましい。負極活物質36中のウロン酸重合物の金属塩の含有量が0.5重量%以上であると、コート層2を有することによる効果が顕著となる。
コート層2は、リチウムイオンを含有していてもよい。コート層2がリチウムイオンを含有している場合、負極活物質36のリチウムイオン伝導度が向上し、粒子1上にコート層2が設けられていることによる負極活物質36の容量低下が抑制されるため、好ましい。
コート層2がリチウムイオンを含有している場合、コート層2の粒子1に近い側をAとし、遠い側をBとしたとき、コート層2中のリチウムイオン濃度がA≦Bの関係であることが好ましい。コート層2中のリチウムイオン濃度がA≦Bの関係である(コート層2の外側ほどリチウムイオン濃度が高い)場合、粒子1上にコート層2が設けられていることによる負極活物質36の容量低下を、より効果的に抑制できる。
「負極活物質の製造方法」
次に、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法の一例として、図2に示す負極活物質36の製造方法を説明する。
負極活物質36を製造するには、ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液(ウロン酸重合物金属塩水溶液)を作成し、これを粒子1に塗布して乾燥する方法が挙げられる。
ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液中に粒子1を浸漬させる方法などが挙げられる。
粒子1上に塗布されるウロン酸重合物の金属塩の塗布量は、粒子1上におけるコート層2の厚みが5〜100nmとなる量であることが好ましく、20〜40nmとなる量であることがより好ましい。
負極活物質36のコート層2の被覆率は、例えば、ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液中に粒子1を浸漬させる時間を変化させる方法により調節できる。
負極活物質36中におけるウロン酸重合物の金属塩の含有量は、例えば、粒子1に塗布するウロン酸重合物金属塩水溶液中のウロン酸重合物金属塩の濃度を変化させる方法により調節できる。
以上の工程により、コート層2が粒子1上の全面を被覆している図2に示す負極活物質36が得られる。
その後、必要に応じて、負極活物質36に、リチウムを含む溶液を塗布して乾燥することにより、コート層2にチウムイオンを含有させてもよい。
また、コート層2に含まれるウロン酸重合物の金属塩を形成している金属とは異なる他の金属の塩化物を含む水溶液中に、負極活物質36を浸漬させて、コート層2の有する金属塩を他の金属塩に置換した後、乾燥させてもよい。このことにより、粒子1上に、ウロン酸重合物の他の金属塩からなるコート層2が形成される。
具体的には、例えば、アルギン酸ナトリウムからなるコート層2を有する負極活物質36を、塩化カルシウムを含む水溶液中に浸漬させた後、乾燥させることにより、アルギン酸カルシウムからなるコート層2を有する負極活物質36を形成してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、図2に示す例に限定されるものではない。例えば、ウロン酸重合物の金属塩は、粒子1上に存在していればよく、粒子1上の少なくとも一部を被覆していなくてもよい。この場合であっても、粒子1上に存在するウロン酸重合物の金属塩によって、充電に伴う粒子1の体積膨張が抑制される。
また、例えば、図2に示すように、コート層2は1層のみからなるものであってもよいし、図3に示す負極活物質37のコート層5のように、粒子1上に配置された第一層3と、第一層3上に配置された第二層4の2層からなるものであってもよい。
図3に示す負極活物質37において、符号1は、図2に示す負極活物質36と同様に、粒子である。
負極活物質37を形成している第一層3は、図2に示す負極活物質36のコート層2と同じである。
図3に示す負極活物質37を形成している第二層4は、ウロン酸重合物を含む。ウロン酸重合物としては、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルロン酸から選ばれる少なくとも一種のウロン酸の重合物が挙げられる。これらのウロン酸重合物の中でも特に、良好な柔軟性を有するアルギン酸および/またはペクチン酸を用いることが好ましい。
図3に示す負極活物質37において、第一層3に含まれるウロン酸重合物の金属塩を構成するウロン酸重合物と、第二層4に含まれるウロン酸重合物とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第一層3に含まれるウロン酸重合物の金属塩が、第二層4に含まれるウロン酸重合物の金属塩である場合、容易に製造できるため、好ましい。
図3に示す負極活物質37における第一層3は、ウロン酸重合物の金属塩だけでなくウロン酸重合物を含んでいてもよい。また、第二層4は、ウロン酸重合物だけでなくウロン酸重合物の金属塩を含んでいてもよい。第一層3および第二層4が、ウロン酸重合物の金属塩およびウロン酸重合物を含む場合、第一層3のウロン酸重合物の金属塩の濃度が第二層4以上であればよい。すなわち、負極活物質37におけるコート層5は、粒子1に近い側が外側よりもウロン酸重合物の金属塩が高濃度である濃度勾配を有していてもよい。
図3に示す負極活物質37は、例えば、以下に示す製造方法により製造できる。
まず、ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液を作成し、これを粒子1に塗布して乾燥する。このことにより、粒子1上に第一層3が形成される(図2に示す負極活物質36と同じものが形成される)。
次に、第一層3を有する粒子1を、塩酸中に浸漬させる。このことにより、第一層3を形成しているウロン酸重合物の金属塩のうち、外側に配置されたウロン酸重合物の金属塩における金属原子が、水素原子に置換されてウロン酸重合物となり、第二層4が形成される。以上の工程により、図3に示す負極活物質37が得られる。
図3に示す負極活物質37は、コート層5が第一層3と第二層4の2層からなるものであるため、コート層が1層のみからなるものである場合と比較して、粒子1が強固なコート層5によって被覆される。その結果、リチウムイオン二次電池100の充電に伴う粒子1の体積膨張をより効果的に抑制できる。
また、図3に示す負極活物質37では、コート層5が、粒子1上に配置された第一層3と、第一層3上に配置されたウロン酸重合物を含む第二層4とを有する。第二層4に含まれるウロン酸重合物は、水に溶けにくい化合物である。このため、負極バインダーとして、水溶性バインダーを用いる場合の安定性に優れる。
(負極バインダー)
負極バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。
負極バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、負極バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、負極バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。
電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材としての機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。
イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用できる。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
また、負極バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよく、必要に応じて熱処理を行っても良い。
(負極導電材)
負極導電材としては、例えば、カーボンブラック類などのカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄などの金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物などが挙げられる。これらの中でも特に、負極導電材として、アセチレンブラックやエチレンブラックなどのカーボン粉末が好ましい。
負極活物質36のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は、負極導電材を含んでいなくてもよい。
負極活物質層34中に含まれる負極活物質36、負極導電材及び負極バインダーの含有量は、特に限定されない。負極活物質層34中における負極活物質36の構成比率は、質量比で80%以上99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがより好ましい。また、負極活物質層34中における負極導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層34中における負極バインダーの構成比率は、質量比で1%以上10%以下であることが好ましい。
負極活物質層34中に含まれる負極活物質36および負極バインダーの含有量を上記範囲とすることにより、負極バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層34を形成できなくなることを防止できる。また、上記範囲とすることで、電気容量に寄与しない負極バインダーの量が多いために、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向を抑制できる。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属からなる薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24は、正極活物質と正極バインダーとを有し、必要に応じて正極導電材を有する。
正極活物質層24に用いる正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
(正極導電材)
正極導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。
正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は正極導電材を含んでいなくてもよい。
(正極バインダー)
正極に用いるバインダーは負極と同様のものを使用できる。
正極活物質層24中に含まれる正極活物質、正極導電材及び正極バインダーの含有量は、特に限定されない。正極活物質層24中に含まれる正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また、正極活物質層24中に含まれる正極導電材の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。正極活物質層24中に含まれる正極バインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されている。セパレータ10としては、例えば、ポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布などが挙げられる。
「電解液」
電解液としては、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用できる。電解液としては、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)を用いることが好ましい。非水電解質溶液は、例えば、電解質水溶液と比較して、電気化学的に分解電圧が高いため、充電時の耐用電圧を高くできる。非水電解質溶液は、非水溶媒に電解質が溶解されたものである。
非水溶媒としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有するものを用いることができる。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられる。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は、体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
非水溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを含有していてもよい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩を使用できる。これらのリチウム塩は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。電解質としては、特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解質溶液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解質溶液中のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度を2.0mol/L以下に抑えることで、非水電解質溶液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保でき、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFを他の電解質と混合して用いる場合、非水電解質溶液中のリチウムイオン濃度を0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。また、LiPFからのリチウムイオン濃度が、非水電解質溶液中のリチウムイオン濃度の50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からリチウムイオン二次電池100内部への水分などの侵入を抑止できればよく、特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムからなるものを利用できる。金属箔52としては、例えばアルミ箔を用いることができる。高分子膜54としては、ポリプロピレン等の膜を利用できる。外側の高分子膜54の材料としては、融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましい。内側の高分子膜54の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。リード60、62は、公知の方法により、正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接されている。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について説明する。
まず、正極20と負極30をそれぞれ形成する。
負極30を形成するには、負極活物質、負極バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ負極導電材を更に加えても良い。溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
次に、上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
正極についても、同様にして作成した塗料を正極集電体22上に塗布する。
続いて、正極集電体22及び負極集電体32上にそれぞれ塗布された塗料中から、溶媒を除去する。以上の工程により、正極集電体22上に正極活物質層24が形成される。また、負極集電体32上に負極活物質層34が形成される。
次に、正極活物質層24が形成された正極集電体22及び負極活物質層34が形成された負極集電体32に、必要に応じてロールプレス装置等によりプレス処理を行う。
以上の工程により、正極20と負極30が得られる。
次いで、正極20と負極30との間にセパレータ10を挟み、ケース50内に挿入する。具体的には、例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層して積層体40とし、予め作製した袋状のケース50に入れる。
最後に、ケース50内に電解液を注入し、ケース50の入り口をシールする。
以上の工程により、リチウムイオン二次電池100が作製される。
なお、ケース50に電解液を注入する工程を行わず、積層体40を電解液に含浸させてからケース50内に挿入してもよい。
本実施形態の負極活物質36、37は、シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子1と、粒子1上に存在するウロン酸重合物の金属塩とを有する。したがって、本実施形態の負極活物質36、37を含む負極30を有するリチウムイオン二次電池100を充電すると、粒子1上に存在するウロン酸重合物の金属塩によって、充電に伴う粒子1の体積膨張が抑制される。よって、充電に伴う電解液の分解によるガスの発生量を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
(負極活物質の作製)
1.35重量%の表1に示す分子量のアルギン酸ナトリウム水溶液(ウロン酸重合物金属塩水溶液)38.8gを作製し、それに以下に示す粒子35gを投入し、2000rpmで表1に示す時間、撹拌する方法により塗布した後、乾燥することによりコート層を形成し、実施例1の負極活物質を得た。
粒子としては、酸化シリコン(SiOx)からなる平均粒子径5μmのものを用いた。
Figure 2018174085
実施例1で用いたウロン酸重合物の金属塩の分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)((株)島津製作所製AXIMA CFR plus)により求めた。
実施例1の負極活物質の被覆率を以下に示す方法により測定した。その結果を表1に示す。
「被覆率の測定方法」
40個の負極活物質の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、それぞれ粒子とコート層との界面長さを画像処理により計測した。その後、計測した数値を用いて各負極活物質における粒子断面の外面長さに対する粒子とコート層との界面長さを算出し、それを平均することにより、各負極活物質の被覆率とした。
次に、実施例1の負極活物質を用いて、以下に示す方法により、リチウムイオン二次電池を作製した。
「負極の作成」
負極活物質87.9重量%と、負極導電材としてのアセチレンブラック2.1重量%と、負極バインダーとしてのポリアミドイミド樹脂10重量%と、溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとを混合し、塗料とした。この塗料をCuからなる負極集電体に塗布し、乾燥後、プレス処理を行うことにより負極を作製した。
「正極の作成」
正極活物質であるLiCoOと、正極導電材としてのアセチレンブラックと、正極バインダーとしてのポリビニリデンフルオライド(PVDF)と、溶媒であるn−メチルピロリドン(NMP)とを混合し、塗料を作製した。塗料中の正極活物質とアセチレンブラックとPVDFとの混合割合は、97.5:1.0:1.5(重量比)とした。この塗料をAlからなる正極集電体に塗布し、乾燥後、プレス処理を行うことにより正極を作製した。
「リチウムイオン二次電池の作製」
このようにして得られた正極と負極をそれぞれ所定の寸法に切断した。そして、正極に、アルミニウム箔からなるリードを超音波溶接した。また、負極に、ニッケル箔からなるリードを超音波溶接した。
次に、正極と負極との間に厚さ16μmのポリプロピレン製セパレータを挟み、積層体とした。次いで、積層体を、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋状のケースに入れ、熱圧着(ヒートシール)により固定した。
次に、ケース内に電解液を注入し、ケースの入り口をシールして真空密封した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/Lで含んだ非水電解質溶液を用いた。
以上の工程により、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例2〜4)
1.35重量%の表1に示す分子量のアルギン酸ナトリウム水溶液(ウロン酸重合物金属塩水溶液)38.8gを作製し、それに実施例1と同様の粒子35gを投入し、2000rpmで表1に示す時間、撹拌し、スラリーを作製した。得られたスラリーを、表1に示す金属塩を形成する元素の塩化物を2mmol/Lの濃度で含む水溶液に投入し、5分間撹拌した後、乾燥することによりコート層を形成し、実施例2〜4の負極活物質を得た。
得られた負極活物質について、実施例1と同様にして、負極活物質の被覆率を測定した。その結果を表1に示す。
次に、実施例2〜4の負極活物質を用いて、実施例1と同様にして実施例2〜4のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例5)
アルギン酸ナトリウムに代えて、ペクチン酸を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例5の負極活物質を得た。
得られた負極活物質について、実施例1と同様にして、負極活物質の被覆率を測定した。その結果を表1に示す。
次に、実施例5の負極活物質を用いて、実施例1と同様にして実施例5のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例6〜15)
分子量の異なるアルギン酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例6〜15の負極活物質を得た。
得られた負極活物質について、実施例1と同様にして、負極活物質の被覆率を測定した。その結果を表1に示す。
次に、実施例6〜15の負極活物質を用いて、実施例1と同様にして実施例6〜15のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例16〜24)
ウロン酸重合物の金属塩を含む水溶液に粒子を浸漬させる時間(撹拌時間)を、表2に示す通り変更したこと以外は、実施例2と同様にして、実施例16〜24の負極活物質を得た。
得られた負極活物質について、実施例1と同様にして、負極活物質の被覆率を測定した。その結果を表2に示す。
次に、実施例16〜24の負極活物質を用いて、実施例1と同様にして実施例16〜24のリチウムイオン二次電池を得た。
Figure 2018174085
(実施例25)
実施例1の負極活物質を、2mmol/LのHCl水溶液に浸漬して5分間撹拌し、ウロン酸重合物の金属塩からなるコート層上に、ウロン酸重合物からなるコート層を形成し、実施例25の負極活物質を得た。
得られた負極活物質について、実施例1と同様にして、負極活物質の被覆率を測定した。その結果を表2に示す。
実施例25の負極活物質について、走査型透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(STEM−EDS)を用いて、断面観察及び元素マッピングを行う方法により、アルギン酸ナトリウムからなるコート層の外側に、アルギン酸からなるコート層が形成されていることを確認した。
次に、実施例25の負極活物質を用いて、実施例1と同様にして実施例25のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例26〜32)
表1に示す通り、ウロン酸重合物金属塩水溶液中のウロン酸重合物金属塩の濃度を変更することにより、ウロン酸重合物金属塩の含有量を変化させたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例26〜32の負極活物質を得た。
得られた負極活物質について、実施例1と同様にして、負極活物質の被覆率を測定した。その結果を表2に示す。
次に、実施例26〜32の負極活物質を用いて、実施例1と同様にして実施例26〜32のリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例1)
実施例1で用いた粒子を比較例1の負極活物質として用い、実施例1と同様にして比較例1のリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例2)
実施例1で用いた粒子を比較例2の負極活物質として用い、負極の作製において表1に示すウロン酸重合物の金属塩を負極バインダーとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のリチウムイオン二次電池を得た。
このようにして作製した実施例1〜32、比較例1〜2のリチウムイオン二次電池について、以下に示すアルキメデス法によってガス発生量を評価した。その結果を表1および表2に示す。
[ガス発生量]
二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池に、充電レート0.2Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電レート0.2Cで2.5Vまで定電流放電する充放電を1サイクル行った。
その後、リチウムイオン二次電池の重量(セル重量W)を測定した。続いて、水中でのセル重量W1を測定した。さらに、セル重量W1を測定したリチウムイオン二次電池のガス抜きを行い、ガス抜き後の水中でのセル重量W2を測定した。
そして、ガス抜き前のセルの体積V1をV1=(W−W1)/Dより算出した。また、ガス抜き後のセルの体積V2をV2=(W−W2)/Dより算出した。その後、V2−V1を算出し、ガス発生量とした。なお、上記式中のDは、重量測定時の温度における水の密度である。
表1に示すように、実施例1〜32のリチウムイオン二次電池では、比較例1〜2のリチウムイオン二次電池と比較して、ガス発生量が少なかった。
これは、実施例1〜32のリチウムイオン二次電池では、負極活物質の粒子上に存在するウロン酸重合物の金属塩によって、充電に伴う粒子の体積膨張が抑制されたためであると推定される。
これに対し、比較例1のリチウムイオン二次電池では、負極活物質を形成している粒子上に、ウロン酸重合物の金属塩が存在していない。また、比較例2のリチウムイオン二次電池では、負極バインダーとしてウロン酸重合物の金属塩を用いている。負極バインダーとして用いたウロン酸重合物の金属塩は、負極導電剤の周囲に偏在する傾向がある。このため、比較例2のリチウムイオン二次電池では、負極活物質を形成している粒子上に、ウロン酸重合物の金属塩が存在していないものと推定される。
実施例25および比較例1のリチウムイオン二次電池をそれぞれ2個ずつ用意(実施例25−1、実施例25−2、比較例1−1、比較例1−2)し、各リチウムイオン二次電池について、以下の方法によって容量維持率を測定した。その結果を図4に示す。
[容量維持率]
二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池に、充電レート0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電レート1Cで2.5Vまで定電流放電する充放電を500サイクル行った。100サイクル毎にリチウムイオン二次電池の容量を測定し、容量維持率を算出した。
図4に示すように、実施例25(実施例25−1、実施例25−2)のリチウムイオン二次電池は、比較例1(比較例1−1、比較例1−2)のリチウムイオン二次電池と比較して、容量維持率が高く、サイクル特性が良好であった。
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、36、37…負極活物質、40…積層体、50
…ケース、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池。

Claims (9)

  1. シリコンまたは酸化シリコンから選ばれる少なくとも一種を有する粒子と、
    前記粒子上に存在するウロン酸重合物の金属塩とを有することを特徴とする、リチウムイオン二次電池用負極活物質。
  2. 前記ウロン酸重合物の金属塩は、ウロン酸重合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、Mg塩、Zn塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 前記ウロン酸重合物の金属塩は、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルロン酸から選ばれる少なくとも一種のウロン酸の重合物の金属塩である請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 前記ウロン酸重合物の金属塩は、分子量が15,000〜200,000である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  5. 前記粒子上の少なくとも一部を被覆するコート層を有し、
    前記コート層が前記ウロン酸重合物の金属塩を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  6. 前記コート層がリチウムイオンを含有し、
    前記コート層の前記粒子に近い側をAとし、遠い側をBとしたとき、前記コート層中のリチウムイオン濃度がA≦Bの関係である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  7. 前記コート層は、前記粒子上に配置された第一層と、前記第一層上に配置された第二層とを有し、
    前記第一層が前記ウロン酸重合物の金属塩を含み、前記第二層がウロン酸重合物を含む請求項5または請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極。
  9. 請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを有するリチウムイオン二次電池。
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