JP2018172351A - 農薬用マシン油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた保全安定性、乳化安定性、及び安全性を有する農薬用マシン油組成物を提供する。
【解決手段】以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物とした。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
【選択図】なし
【解決手段】以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物とした。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
【選択図】なし
Description
本発明は、農薬用マシン油組成物に関する。
従来、マシン油に乳化剤を添加した農薬用マシン油組成物が知られている。
マシン油は、水に溶けにくい農薬有効成分を溶解する作用を有する。また、乳化剤は、マシン油と水をエマルションにする作用を有する。
したがって、農薬用マシン油組成物に農薬有効成分を溶かした後、農薬用マシン油組成物を適量の水で希釈することで、マシン油と水のエマルションが生成し、当該エマルション中に農薬有効成分を均一に分散させることができる。そして、当該エマルションを植物の葉等にスプレーして散布することで、農薬有効成分を均一に散布することができる。
マシン油は、水に溶けにくい農薬有効成分を溶解する作用を有する。また、乳化剤は、マシン油と水をエマルションにする作用を有する。
したがって、農薬用マシン油組成物に農薬有効成分を溶かした後、農薬用マシン油組成物を適量の水で希釈することで、マシン油と水のエマルションが生成し、当該エマルション中に農薬有効成分を均一に分散させることができる。そして、当該エマルションを植物の葉等にスプレーして散布することで、農薬有効成分を均一に散布することができる。
例えば、特許文献1には、マシン油に複数の乳化剤を添加した農薬用マシン油組成物が開示されている。
ところで、一般的に、農薬用マシン油組成物は、一定期間保存するとマシン油と乳化剤が分離してしまい、これらを混合した状態で安定に維持することが難しいという問題がある。
実際、熱帯地域のプランテーションでは、農薬用マシン油組成物の保存安定性の問題から、現場でマシン油と乳化剤を混合して、農薬用マシン油組成物が調製されているのが現状である。しかし、現場でマシン油と乳化剤を混合して農薬用マシン油乳剤を調製するのは作業者にとって大きな負担となる。そこで、現場でこのような調製作業を行う必要のない、保存安定性に優れた農薬用マシン油組成物の提供が望まれている。
しかしながら、特許文献1では、農薬用マシン油組成物の水との乳化安定性については検討されているものの、農薬用マシン油組成物の保存安定性については一切検討されていない。
このように、従来、農薬マシン油組成物は、水を乳化する特性に重点を置いて検討が行われており、農薬用マシン油組成物自体の保存安定性については十分な検討が行われていなかった。そして、水を乳化する特性に重点が置かれた場合、乳化剤の性質が親水性側に偏ることになる。そのため、マシン油と乳化剤の相溶性は低下し、農薬用マシン油組成物の保存安定性が不十分であったと考えられる。乳化剤の性質を親油性側に偏らせれば、マシン油と乳化剤の相溶性は向上し得るとも考えられるが、そうすると農薬用マシン油組成物の水との乳化安定性が低下し得るものと考えられる。農薬用マシン油組成物は水と混合しエマルションとして使用する以上、水との乳化安定性も優れたものとすることも重要である。
そこで、水との乳化安定性と保存安定性の双方に優れた農薬用マシン油組成物の提供が望まれる。
実際、熱帯地域のプランテーションでは、農薬用マシン油組成物の保存安定性の問題から、現場でマシン油と乳化剤を混合して、農薬用マシン油組成物が調製されているのが現状である。しかし、現場でマシン油と乳化剤を混合して農薬用マシン油乳剤を調製するのは作業者にとって大きな負担となる。そこで、現場でこのような調製作業を行う必要のない、保存安定性に優れた農薬用マシン油組成物の提供が望まれている。
しかしながら、特許文献1では、農薬用マシン油組成物の水との乳化安定性については検討されているものの、農薬用マシン油組成物の保存安定性については一切検討されていない。
このように、従来、農薬マシン油組成物は、水を乳化する特性に重点を置いて検討が行われており、農薬用マシン油組成物自体の保存安定性については十分な検討が行われていなかった。そして、水を乳化する特性に重点が置かれた場合、乳化剤の性質が親水性側に偏ることになる。そのため、マシン油と乳化剤の相溶性は低下し、農薬用マシン油組成物の保存安定性が不十分であったと考えられる。乳化剤の性質を親油性側に偏らせれば、マシン油と乳化剤の相溶性は向上し得るとも考えられるが、そうすると農薬用マシン油組成物の水との乳化安定性が低下し得るものと考えられる。農薬用マシン油組成物は水と混合しエマルションとして使用する以上、水との乳化安定性も優れたものとすることも重要である。
そこで、水との乳化安定性と保存安定性の双方に優れた農薬用マシン油組成物の提供が望まれる。
また、植物に対して薬害等を呈することなく、さらには引火等の危険性のない、安全性の高い農薬用マシン油組成物の提供が望まれる。
本発明は、優れた保存安定性、乳化安定性、及び安全性を有する農薬用マシン油組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、マシン油として特定の性状を有する基油を含有し、且つ、グリフィン法によるHLB値が特定の範囲内にある乳化剤を含有する農薬用マシン油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]及び[2]を提供する。
[1]以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による芳香族分(%CA)が0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
[2]上記[1]に記載の農薬用マシン油組成物を、12℃以上42℃以下の環境下で使用する、農薬用マシン油組成物の使用方法。
[1]以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による芳香族分(%CA)が0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
[2]上記[1]に記載の農薬用マシン油組成物を、12℃以上42℃以下の環境下で使用する、農薬用マシン油組成物の使用方法。
本発明の農薬用マシン油組成物は、優れた保全安定性、乳化安定性、及び安全性を有する。
[本発明の農薬用マシン油組成物の実施態様]
本発明の農薬用マシン油組成物は、以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物である。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
本発明の農薬用マシン油組成物は、以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物である。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
本発明の一態様の農薬用マシン油組成物において、上記成分(A)及び(B)の合計含有量は、農薬用マシン油組成物の全量基準(100質量%)で、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%、更に好ましくは99〜100質量%である。
なお、本発明の一態様の農薬用マシン油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分(A)及び(B)以外の成分、例えば意図しない不純物等を含有していてもよい。
なお、本発明の一態様の農薬用マシン油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分(A)及び(B)以外の成分、例えば意図しない不純物等を含有していてもよい。
以下、本発明の農薬用マシン油組成物に配合される各成分について説明する。
<基油(A)>
本発明の農薬用マシン油組成物は、以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)を含有する。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
本発明者は、上記条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、後述する乳化剤(B)との組み合わせによって、優れた保存安定性及び乳化安定性を有し、しかも引火点が150℃以上の安全性の高い農薬用マシン油組成物が得られることを見出した。
<基油(A)>
本発明の農薬用マシン油組成物は、以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)を含有する。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
本発明者は、上記条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、後述する乳化剤(B)との組み合わせによって、優れた保存安定性及び乳化安定性を有し、しかも引火点が150℃以上の安全性の高い農薬用マシン油組成物が得られることを見出した。
上記条件(A1)について、基油(A)の動粘度が7.0mm2/s未満であると、本発明の農薬用マシン油組成物の引火点が150℃を下回る可能性があり、農薬用マシン油組成物の安全性の確保が難しくなる。
また、基油(A)の40℃動粘度が10.0mm2/s超であると、農薬用マシン油組成物に混合した農薬の植物への浸透性が悪くなる可能性があり、農薬の十分な効果を得ることが難しくなる。
なお、40℃動粘度は、7.0〜9.5mm2/sであることが好ましく、7.0〜9.0mm2/sであることがより好ましく、7.0〜8.5mm2/sであることが更に好ましく、7.0〜8.0mm2/sであることがより更に好ましく、7.0〜7.5mm2/sであることが更になお好ましい。
本発明において、40℃動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定された値を意味する。
また、基油(A)の40℃動粘度が10.0mm2/s超であると、農薬用マシン油組成物に混合した農薬の植物への浸透性が悪くなる可能性があり、農薬の十分な効果を得ることが難しくなる。
なお、40℃動粘度は、7.0〜9.5mm2/sであることが好ましく、7.0〜9.0mm2/sであることがより好ましく、7.0〜8.5mm2/sであることが更に好ましく、7.0〜8.0mm2/sであることがより更に好ましく、7.0〜7.5mm2/sであることが更になお好ましい。
本発明において、40℃動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定された値を意味する。
上記条件(A2)について、基油(A)の環分析(n−d−M法)による芳香族分(%CA)が0.5以上になると、農薬用マシン油組成物と水のエマルションを植物に散布した際に、芳香族成分が当該植物に付着し、薬害を引き起こし得る。
なお、基油(A)の環分析(n−d−M法)による芳香族分(%CA)は、0.3未満であることが好ましく、0.2未満であることがより好ましく、0.1未満であることが更に好ましく、0.01未満であることがより更に好ましい。
本発明において、基油の芳香族分(%CA)は、ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した、基油(A)の全炭素数(100%)に対する、芳香族炭素数の割合を意味する。
なお、基油(A)の環分析(n−d−M法)による芳香族分(%CA)は、0.3未満であることが好ましく、0.2未満であることがより好ましく、0.1未満であることが更に好ましく、0.01未満であることがより更に好ましい。
本発明において、基油の芳香族分(%CA)は、ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した、基油(A)の全炭素数(100%)に対する、芳香族炭素数の割合を意味する。
上記条件(A3)について、基油(A)のアニリン点が90℃未満であると、基油(A)が上記条件(A2)を満たす場合に、農薬用マシン油組成物の引火点が150℃を下回る可能性があり、農薬用マシン油組成物の安全性の確保が難しくなる。しかも、基油(A)のアニリン点が90℃未満であると、農薬用マシン油組成物の粘度が低くなり、対象植物への展着性が損なわれる可能性もある。
また、基油(A)のアニリン点が110℃超であると、基油(A)と乳化剤(B)の相溶性が悪化し、農薬用マシン油組成物の保存安定性が悪化して保存中に基油(A)と乳化剤(B)が分離する可能性がある。
なお、アニリン点は、93〜110℃であることが好ましく、96〜110℃であることがより好ましく、99〜110℃であることが更に好ましく、102〜108℃であることがより更に好ましく、105〜108℃であることが更になお好ましい。
本発明において、アニリン点は、JIS K 2256に準拠して測定された値を意味する。
また、基油(A)のアニリン点が110℃超であると、基油(A)と乳化剤(B)の相溶性が悪化し、農薬用マシン油組成物の保存安定性が悪化して保存中に基油(A)と乳化剤(B)が分離する可能性がある。
なお、アニリン点は、93〜110℃であることが好ましく、96〜110℃であることがより好ましく、99〜110℃であることが更に好ましく、102〜108℃であることがより更に好ましく、105〜108℃であることが更になお好ましい。
本発明において、アニリン点は、JIS K 2256に準拠して測定された値を意味する。
本発明の農薬用マシン油組成物において、基油(A)は、鉱油及び合成油のいずれであってもよいが、より安価である鉱油が好ましい。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;当該常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、水素化精製、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げ、溶剤脱ろう、接触脱ろう、異性化脱ろう、減圧蒸留等の精製処理の一つ以上の処理を施した鉱油又はワックス(スラックワックス、GTLワックス等);等が挙げられる。
合成油としては、例えば、α−オレフィン単独重合体、又はα−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体等の炭素数8〜14のα−オレフィン共重合体)等のポリα−オレフィン;イソパラフィン;ポリオールエステル、二塩基酸エステル(例えば、ジトリデシルグルタレート等)、三塩基酸エステル(例えば、トリメリット酸2−エチルヘキシル)、リン酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリアルキレングリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;フィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス)を異性化することで得られる合成油等が挙げられる。
また、基油(A)は、鉱油のみを二種以上、合成油のみを二種以上、又は、少なくとも一種の鉱油と少なくとも一種の合成油とを混合した混合油であってもよい。なお、混合油として条件(A1)〜(A3)を満たしていれば、該混合油に含まれる鉱油及び/又は合成油は、条件(A1)〜(A3)を満たしていなくてもよい。
本発明の一態様において、基油(A)がパラフィン系鉱油を含むことが好ましい。パラフィン系鉱油は条件(A2)を満たすことから、パラフィン系鉱油に対し、蒸留、水素化精製、溶剤脱ろう、水素化仕上げを施すことにより、条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)が容易に得られる。
なお、本発明において、パラフィン系鉱油とは、パラフィン分(%CP)が60以上(より好ましくは65以上、更に好ましくは70以上)の鉱油を意味する。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;当該常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、水素化精製、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げ、溶剤脱ろう、接触脱ろう、異性化脱ろう、減圧蒸留等の精製処理の一つ以上の処理を施した鉱油又はワックス(スラックワックス、GTLワックス等);等が挙げられる。
合成油としては、例えば、α−オレフィン単独重合体、又はα−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体等の炭素数8〜14のα−オレフィン共重合体)等のポリα−オレフィン;イソパラフィン;ポリオールエステル、二塩基酸エステル(例えば、ジトリデシルグルタレート等)、三塩基酸エステル(例えば、トリメリット酸2−エチルヘキシル)、リン酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリアルキレングリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;フィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス)を異性化することで得られる合成油等が挙げられる。
また、基油(A)は、鉱油のみを二種以上、合成油のみを二種以上、又は、少なくとも一種の鉱油と少なくとも一種の合成油とを混合した混合油であってもよい。なお、混合油として条件(A1)〜(A3)を満たしていれば、該混合油に含まれる鉱油及び/又は合成油は、条件(A1)〜(A3)を満たしていなくてもよい。
本発明の一態様において、基油(A)がパラフィン系鉱油を含むことが好ましい。パラフィン系鉱油は条件(A2)を満たすことから、パラフィン系鉱油に対し、蒸留、水素化精製、溶剤脱ろう、水素化仕上げを施すことにより、条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)が容易に得られる。
なお、本発明において、パラフィン系鉱油とは、パラフィン分(%CP)が60以上(より好ましくは65以上、更に好ましくは70以上)の鉱油を意味する。
本発明の一態様の農薬用マシン油組成物において、基油(A)の含有量は、当該農薬用マシン油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは98〜99.5質量%、より好ましくは98.2〜99.5質量%、更に好ましくは98.4〜99.5質量%、より更に好ましくは98.6〜99.4質量%、更になお好ましくは98.8〜99.2質量%である。
なお、本発明の農薬用マシン油組成物において、基油(A)の引火点は、150℃以上である。引火点が150℃以上であることで、農薬用マシン油組成物の引火等の危険性が低くなり、安全性が確保される。なお、基油(A)の引火点は、好ましくは158℃以上であり、より好ましくは166℃以上である。
基油(A)の引火点の上限値は、特に制限されないが、通常200℃以下である。
本発明において、農薬用マシン油組成物の引火点は、JIS K2265に準拠して測定された値である。詳細には、後述する実施例において記載の方法にて測定された値である。
基油(A)の引火点の上限値は、特に制限されないが、通常200℃以下である。
本発明において、農薬用マシン油組成物の引火点は、JIS K2265に準拠して測定された値である。詳細には、後述する実施例において記載の方法にて測定された値である。
<乳化剤(B)>
本発明の農薬用マシン油組成物は、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)を含有する。
本発明者は、上記条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)とを組み合わせることで、優れた保存安定性及び乳化安定性を有し、しかも引火点が150℃を超える安全性の高い、農薬用マシン油組成物が得られることを見出した。
本発明の農薬用マシン油組成物は、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)を含有する。
本発明者は、上記条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)とを組み合わせることで、優れた保存安定性及び乳化安定性を有し、しかも引火点が150℃を超える安全性の高い、農薬用マシン油組成物が得られることを見出した。
乳化剤(B)のグリフィン法によるHLB値について、9.0未満であると農薬用マシン油組成物の乳化安定性が悪化する可能性がある。また、10.0超であると、基油(A)と乳化剤(B)との混合状態の維持が難しく、分離する場合があり、保存安定性が低くなる。
なお、乳化剤(B)のグリフィン法によるHLB値は、好ましくは9.1〜9.9、より好ましくは9.2〜9.8、更に好ましくは9.3〜9.7、より更に好ましくは9.4〜9.7、更になお好ましくは9.5〜9.7である。
なお、乳化剤(B)のグリフィン法によるHLB値は、好ましくは9.1〜9.9、より好ましくは9.2〜9.8、更に好ましくは9.3〜9.7、より更に好ましくは9.4〜9.7、更になお好ましくは9.5〜9.7である。
本発明の一態様において、乳化剤(B)としては、例えば、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンステアリン酸グリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビットミツロウ等のポリオキシエチレン−ミツロウ・ラノリン誘導体;モノステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ステアロイル乳酸ナトリウム等のアシル乳酸塩; 等が挙げられ、これらのうちHLB値が9.0〜10.0のものを用いることができる。
好ましくは、HLB値が9.0〜10.0のポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
好ましくは、HLB値が9.0〜10.0のポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
なお、本発明の一態様において、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0の範囲内にある乳化剤(B)は、2種以上を用いてもよいが、1種のみとすることが好ましい。この場合、複数の乳化剤を用いる際のコストの問題や複数の乳化剤各々の添加量の調整等の手間を省くことができる。
ここで、本発明において、乳化剤のHLB値を規定するために利用しているグリフィン法について説明する。 グリフィン法によるHLB値は、以下の計算式(1)により求められ、乳化剤の親水性や親油性の程度を0.0〜20.0の範囲で示すものである。
(HLB値)=20×(乳化剤の親水基の式量の総和)/(乳化剤の分子量)・・・(1)
(HLB値)=20×(乳化剤の親水基の式量の総和)/(乳化剤の分子量)・・・(1)
本発明の一態様において、乳化剤(B)の含有量は、農薬用マシン油組成物の全量(100質量%)基準で、0.5〜2.0質量%であることが好ましく、0.75〜1.75質量%であることがより好ましく、0.75〜1.5質量%であることが更に好ましく、0.8〜1.2質量%であることがより更に好ましく、0.9〜1.1質量%であることが更になお好ましい。
グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0の範囲内にある乳化剤(B)を上記範囲で含有することにより、基油(A)と乳化剤(B)の分離が生じ難い、優れた保存安定性を有する農薬用マシン油組成物となる。また、水及び農薬を混合してエマルションとした際にも、水との分離が生じ難い、優れた乳化安定性を有する農薬用マシン油組成物となる。
グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0の範囲内にある乳化剤(B)を上記範囲で含有することにより、基油(A)と乳化剤(B)の分離が生じ難い、優れた保存安定性を有する農薬用マシン油組成物となる。また、水及び農薬を混合してエマルションとした際にも、水との分離が生じ難い、優れた乳化安定性を有する農薬用マシン油組成物となる。
なお、本発明の一態様において、農薬用マシン油組成物の保存安定性、乳化安定性、及び安全性を更に向上させる観点から、乳化剤(B)は、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0の範囲内にあるポリオキシエチレンラウリルエーテルを含むことが好ましい。
当該ポリオキシエチレンラウリルエーテルの含有量は、乳化剤(B)の全量基準(100質量%)で、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%、更になお好ましくは100質量%である。
当該ポリオキシエチレンラウリルエーテルの含有量は、乳化剤(B)の全量基準(100質量%)で、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%、更になお好ましくは100質量%である。
<本発明の農薬用マシン油組成物の製造方法>
本発明の農薬用マシン油組成物の製造方法としては、少なくとも下記工程(1)を有する製造方法が挙げられる。
工程(1):以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)とを混合する工程。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
本発明の農薬用マシン油組成物の製造方法としては、少なくとも下記工程(1)を有する製造方法が挙げられる。
工程(1):以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)とを混合する工程。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃
なお、工程(1)において、基油(A)は、農薬用マシン油組成物の全量基準(100質量%)で98〜99.5質量%配合することが好ましい。また、乳化剤(B)は、農薬用マシン油組成物の全量基準(100質量%)で0.5〜2.0質量%配合することが好ましい。
<本発明の農薬用マシン油組成物の用途>
本発明の農薬用マシン油組成物は、農薬及び水と混合して乳化し、エマルションとした後、植物の葉等に散布して用いられる。
なお、本発明の農薬用マシン油組成物は、基油(A)と乳化剤(B)の分離が生じ難く、優れた保存安定性を有する。したがって、本発明の農薬用マシン油組成物は、基油(A)と乳化剤(B)とを予め混合した状態で現場に提供することができ、現場で基油(A)と乳化剤(B)を混合する調製作業を省略することが可能となる。よって現場の作業者の負担を大幅に低減することが可能になる。
例えば、バナナ農園においては、気温が29℃を超えると、バナナの葉が閉じてしまうため、気温が上昇する前の早朝に農薬を散布する必要がある。早朝に農薬を散布するためには、その数時間前から、マシン油と乳化剤を混合し、さらに農薬及び水を混合する調製が必要であり、現場の作業者にとって極めて大きな負担となっていた。この点、本発明によれば、基油(A)と乳化剤(B)とを予め混合した状態の農薬用マシン油組成物を提供することが可能になり、現場の作業者の負担を大幅に低減することが可能になる。
本発明の農薬用マシン油組成物は、農薬及び水と混合して乳化し、エマルションとした後、植物の葉等に散布して用いられる。
なお、本発明の農薬用マシン油組成物は、基油(A)と乳化剤(B)の分離が生じ難く、優れた保存安定性を有する。したがって、本発明の農薬用マシン油組成物は、基油(A)と乳化剤(B)とを予め混合した状態で現場に提供することができ、現場で基油(A)と乳化剤(B)を混合する調製作業を省略することが可能となる。よって現場の作業者の負担を大幅に低減することが可能になる。
例えば、バナナ農園においては、気温が29℃を超えると、バナナの葉が閉じてしまうため、気温が上昇する前の早朝に農薬を散布する必要がある。早朝に農薬を散布するためには、その数時間前から、マシン油と乳化剤を混合し、さらに農薬及び水を混合する調製が必要であり、現場の作業者にとって極めて大きな負担となっていた。この点、本発明によれば、基油(A)と乳化剤(B)とを予め混合した状態の農薬用マシン油組成物を提供することが可能になり、現場の作業者の負担を大幅に低減することが可能になる。
加えて、本発明の農薬用マシン油組成物は、水及び農薬を混合した際にも、水との分離が生じ難い、優れた乳化安定性を有する。したがって、本発明の農薬用マシン油組成物を用いることで、水及び農薬を混合してエマルションを調製する作業が容易となり、この点においても作業者の負担を大幅に低減し得る。さらに、農薬用マシン油組成物と水とが分離し難く、エマルション中の農薬の分散性を長期に亘って維持することができる。したがって、プランテーション等の広大な農園内において、長時間に亘って農薬を散布しなければならない状況下においても、植物に対して農薬有効成分を均一に散布し続けることが可能である。
なお、本発明の農薬用マシン油組成物は、特に12〜42℃において、基油(A)と乳化剤(B)の分離が極めて生じ難く、極めて優れた保存安定性を有する。
したがって、本発明は、12〜42℃の環境下において本発明の農薬用マシン油組成物を使用する方法も提供する。
なお、本発明の農薬用マシン油組成物は、特に12〜42℃において、基油(A)と乳化剤(B)の分離が極めて生じ難く、極めて優れた保存安定性を有する。
したがって、本発明は、12〜42℃の環境下において本発明の農薬用マシン油組成物を使用する方法も提供する。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<基油>
以下の基油1〜6を用いた。
・基油1:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施し、さらに水素化仕上げを施した、パラフィン系鉱油。
・基油2:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分と第2留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施し、さらに水素化仕上げを施して、第1留分を精製したパラフィン系鉱油と第2留分を精製したパラフィン系鉱油をそれぞれ得た後、第1留分を精製したパラフィン系鉱油と第2留分を精製したパラフィン系鉱油をその体積比が90:10となるようブレンドしたパラフィン系鉱油
・基油3:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに水素化仕上げを施した、パラフィン系鉱油。
・基油4:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施し、さらに水素化仕上げを施した後、ヘックマン式蒸留装置で、軽質側と重質側がその体積比が30:70となるよう蒸留した際の軽質側の留分を用いたパラフィン系鉱油。
・基油5:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施した、パラフィン系鉱油。
・基油6:ナフテン系原油を減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第3留分を、フルフラール溶剤を用いた溶剤精製を施して溶剤抽出することによりラフィネートを得、当該ラフィネートをアルカリ中和した、ナフテン系鉱油。
以下の基油1〜6を用いた。
・基油1:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施し、さらに水素化仕上げを施した、パラフィン系鉱油。
・基油2:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分と第2留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施し、さらに水素化仕上げを施して、第1留分を精製したパラフィン系鉱油と第2留分を精製したパラフィン系鉱油をそれぞれ得た後、第1留分を精製したパラフィン系鉱油と第2留分を精製したパラフィン系鉱油をその体積比が90:10となるようブレンドしたパラフィン系鉱油
・基油3:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに水素化仕上げを施した、パラフィン系鉱油。
・基油4:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施し、さらに水素化仕上げを施した後、ヘックマン式蒸留装置で、軽質側と重質側がその体積比が30:70となるよう蒸留した際の軽質側の留分を用いたパラフィン系鉱油。
・基油5:パラフィン系原油を常圧蒸留した際の残渣油をさらに減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第1留分を、水素化精製を施し、さらに溶剤脱ろうを施した、パラフィン系鉱油。
・基油6:ナフテン系原油を減圧蒸留し、留分として、蒸留塔の塔頂から塔底へ向かい順に、第1留分から第4留分と残渣油とに分留した際の第3留分を、フルフラール溶剤を用いた溶剤精製を施して溶剤抽出することによりラフィネートを得、当該ラフィネートをアルカリ中和した、ナフテン系鉱油。
基油1〜6の40℃動粘度、環分析(n−d−M法)による%CA、及びアニリン点を以下の表1に示す。
40℃動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定した。
基油の芳香族分(%CA)は、ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した。
アニリン点は、JIS K 2256に準拠して測定した。
40℃動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定した。
基油の芳香族分(%CA)は、ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した。
アニリン点は、JIS K 2256に準拠して測定した。
<乳化剤>
以下の4種の乳化剤を用いた。
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル1:HLB値9.6
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル2:HLB値8.7
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル3:HLB値10.5
・ポリオキシエチレントリイソデシルエーテル:HLB値10.8
以下の4種の乳化剤を用いた。
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル1:HLB値9.6
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル2:HLB値8.7
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル3:HLB値10.5
・ポリオキシエチレントリイソデシルエーテル:HLB値10.8
[実施例1〜8、比較例1〜6]
以下の表2及び表3に示す割合で基油と乳化剤を60℃で回転数120rpmの条件下で10分間混合して、実施例1〜8及び比較例1〜6の農薬用マシン油組成物を調製した。当該農薬用マシン油組成物に対して、保存安定性、乳化安定性、薬害、及び引火点について評価した。評価結果を表2及び表3に示す。表2及び表3中、実施例1〜8及び比較例1〜6における基油及び乳化剤の数値は、農薬用マシン油組成物全量基準(100質量%)での基油及び乳化剤の含有量(質量%)である。
なお、保存安定性、乳化安定性、薬害、及び引火点は、以下の方法で測定した。
以下の表2及び表3に示す割合で基油と乳化剤を60℃で回転数120rpmの条件下で10分間混合して、実施例1〜8及び比較例1〜6の農薬用マシン油組成物を調製した。当該農薬用マシン油組成物に対して、保存安定性、乳化安定性、薬害、及び引火点について評価した。評価結果を表2及び表3に示す。表2及び表3中、実施例1〜8及び比較例1〜6における基油及び乳化剤の数値は、農薬用マシン油組成物全量基準(100質量%)での基油及び乳化剤の含有量(質量%)である。
なお、保存安定性、乳化安定性、薬害、及び引火点は、以下の方法で測定した。
<保存安定性>
農薬用マシン油組成物を調製した後、25℃で48時間静置し、オイルと乳化剤が分離しているかどうかを目視で確認し、保存安定性を評価した。評価基準を以下に示す。
均一であれば、良(◎)とした。
完全に分離している場合は不可(×)とした。
また、くもりが発生する場合、くもりの濃い部分が下方にたまる場合があるが、くもりの濃い部分とくもりの薄い部分について、それぞれ下記乳化安定性試験を行い、双方が可であれば、保存安定性も可(○)とした。
農薬用マシン油組成物を調製した後、25℃で48時間静置し、オイルと乳化剤が分離しているかどうかを目視で確認し、保存安定性を評価した。評価基準を以下に示す。
均一であれば、良(◎)とした。
完全に分離している場合は不可(×)とした。
また、くもりが発生する場合、くもりの濃い部分が下方にたまる場合があるが、くもりの濃い部分とくもりの薄い部分について、それぞれ下記乳化安定性試験を行い、双方が可であれば、保存安定性も可(○)とした。
<乳化安定性>
直径2cmの100cc透明ガラスビンに、調製した農薬用マシン油組成物を10g、硬度を500に調整した水を70g入れて蓋を閉め、その状態でガラス瓶を10回振とうした。その後、30分静置し、ガラス瓶の裏に線を描いた紙を置き、当該線が見えなければ、乳化安定性を可(○)とし、当該線が見えれば、乳化安定性を不可(×)とした。その後さらに10回振とうしてから2時間静置し、当該線が見えなければ、乳化安定性を良(◎)とした。
直径2cmの100cc透明ガラスビンに、調製した農薬用マシン油組成物を10g、硬度を500に調整した水を70g入れて蓋を閉め、その状態でガラス瓶を10回振とうした。その後、30分静置し、ガラス瓶の裏に線を描いた紙を置き、当該線が見えなければ、乳化安定性を可(○)とし、当該線が見えれば、乳化安定性を不可(×)とした。その後さらに10回振とうしてから2時間静置し、当該線が見えなければ、乳化安定性を良(◎)とした。
<薬害>
調製した農薬用マシン油組成物と水道水を1:7の体積比で混合した後に振とうして乳化させ、エマルションを得た。次いで、25℃の条件下で、当該エマルションをバナナの葉に滴状で接触させた。24時間後にバナナの葉に残った当該エマルションをふき取り、当該エマルションが接触していた部分とその周辺の当該エマルションが接触していなかった部分とで葉の色に差がある場合は薬害あり(×)と判断した。差が認められない場合は薬害無し(○)と判断した。
調製した農薬用マシン油組成物と水道水を1:7の体積比で混合した後に振とうして乳化させ、エマルションを得た。次いで、25℃の条件下で、当該エマルションをバナナの葉に滴状で接触させた。24時間後にバナナの葉に残った当該エマルションをふき取り、当該エマルションが接触していた部分とその周辺の当該エマルションが接触していなかった部分とで葉の色に差がある場合は薬害あり(×)と判断した。差が認められない場合は薬害無し(○)と判断した。
<引火点>
ASTM D92で規定されるクリーブランドオープンカップ法で測定した。
ASTM D92で規定されるクリーブランドオープンカップ法で測定した。
表2より、以下のことがわかる。
実施例1〜8の農薬用マシン油組成物は、保存安定性、乳化安定性に優れる上に薬害もなく、しかも引火点も150℃を上回っており、引火等の危険性が低く、安全性が高い。
特に、実施例1〜6より、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0の乳化剤の含有量が0.5質量%以上2.0質量%以下であると、農薬用マシン油組成物の乳化安定性及び保存安定性が極めて優れたものとなることがわかる。
実施例1〜8の農薬用マシン油組成物は、保存安定性、乳化安定性に優れる上に薬害もなく、しかも引火点も150℃を上回っており、引火等の危険性が低く、安全性が高い。
特に、実施例1〜6より、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0の乳化剤の含有量が0.5質量%以上2.0質量%以下であると、農薬用マシン油組成物の乳化安定性及び保存安定性が極めて優れたものとなることがわかる。
一方、表3より、以下のことがわかる。
比較例1より、40℃動粘度が7.0mm2/s未満であると、引火点が150℃を下回り、安全上、取扱いが煩雑になる。
また、比較例2及び3より、環分析(n−d−M法)による%CAが0.5を超え、アニリン点が90℃を下回る基油を用いると、引火点が150℃を下回り、安全上取扱が煩雑になるとともに、芳香族分が葉に付着し、薬害を引き起こす可能性がある。
さらに、比較例4より、グリフィン法によるHLB値が9.0未満の乳化剤を用いると、乳化安定性が悪くなる。また、比較例5及び6より、グリフィン法によるHLB値が10.0超の乳化剤を用いると、保存安定性が悪くなる。
比較例1より、40℃動粘度が7.0mm2/s未満であると、引火点が150℃を下回り、安全上、取扱いが煩雑になる。
また、比較例2及び3より、環分析(n−d−M法)による%CAが0.5を超え、アニリン点が90℃を下回る基油を用いると、引火点が150℃を下回り、安全上取扱が煩雑になるとともに、芳香族分が葉に付着し、薬害を引き起こす可能性がある。
さらに、比較例4より、グリフィン法によるHLB値が9.0未満の乳化剤を用いると、乳化安定性が悪くなる。また、比較例5及び6より、グリフィン法によるHLB値が10.0超の乳化剤を用いると、保存安定性が悪くなる。
Claims (5)
- 以下の条件(A1)〜(A3)を満たす基油(A)と、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0である乳化剤(B)と、を含有する農薬用マシン油組成物。
条件(A1):40℃動粘度が7.0〜10.0mm2/s
条件(A2):環分析(n−d−M法)による%CAが0.5未満
条件(A3):アニリン点が90〜110℃ - 基油(A)の含有量が、組成物全量基準で98〜99.5質量%であり、乳化剤(B)の含有量が、組成物全量基準で0.5〜2.0質量%である、請求項1に記載の農薬用マシン油組成物。
- 乳化剤(B)が、グリフィン法によるHLB値が9.0〜10.0のポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む、請求項1又は2に記載の農薬用マシン油組成物。
- 基油(A)が、パラフィン系鉱油を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の農薬用マシン油組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の農薬用マシン油組成物を、12〜42℃の環境下で使用する、農薬用マシン油組成物の使用方法。
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