JP2018171057A - フィリング用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低トランス脂肪酸であるにも関わらず、良好な口溶け及び耐熱保型性を有するフィリング用油脂組成物、及び該油脂組成物を用いたフィリングを提供すること。【解決手段】 フィリング用油脂組成物に含まれる油脂全体中のトランス脂肪酸含量は5重量%以下であり、該油脂のSFC(固体脂含量)が20℃で6〜34%、35℃で0.05〜2.0%であり、フィリング用油脂組成物全体において、油脂を40〜80重量%、平均粒径が80〜110μmの糖類及び/又は平均粒径が30〜60μmのデキストリンを20〜60重量%を含有し、糖類及び/又はデキストリンの一部が多孔質構造であり、35℃における粘度が40〜100Pa・sであるフィリング用油脂組成物を用いて、フィリングを製造すること。【選択図】なし
Description
本発明は、フィリング用油脂組成物、該フィリング用油脂組成物を含むフィリング及び該フィリングを用いてなる食品に関する。
フィリング用油脂組成物には、良好な口溶けと耐熱保型性が求められる。従来はそれらを満足させるため、部分硬化油が使用されてきたが、部分硬化油の構成脂肪酸にはトランス脂肪酸が多く含まれており、トランス脂肪酸は多量に摂取すると動脈硬化等のリスクを高めることから、部分硬化油が使用し難くなった。
そこで、特許文献1では、P2O及びSSSを特定量含み、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が特定値で、リノール酸とリノレン酸との合計含量が特定量である低トランス脂肪酸の油脂組成物とそれを用いたバタークリームが開示されており、特許文献2では、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、特定のトリグリセリドと特定の総炭素数を特定量含む低トランス脂肪酸のバタークリーム用油脂組成物が開示されている。しかし、何れのバタークリームも高融点の油脂を配合しているため、口溶けが十分ではない。
本発明の目的は、低トランス脂肪酸であるにも関わらず、良好な口溶け及び耐熱保型性を有するフィリング用油脂組成物、及び該油脂組成物を用いたフィリングを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、トランス脂肪酸含有量を少なくしても、固体脂含量(SFC)が特定値となる油脂を使用し、油脂と特定の粒径で多孔質構造の糖類や多孔質構造のデキストリンの含有量を特定量とすることで、特定の粘度を有するフィリング用油脂組成物は、良好な口溶け及び耐熱保型性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、フィリング用油脂組成物に含まれる油脂全体中のトランス脂肪酸含量は5重量%以下であり、該油脂のSFC(固体脂含量)が20℃で6〜34%、35℃で0.05〜2.0%であり、フィリング用油脂組成物全体において、油脂を40〜80重量%、平均粒径が70〜120μmの糖類及び/又は平均粒径が30〜60μmのデキストリンを20〜60重量%を含有し、糖類及び/又はデキストリンの一部が多孔質構造であり、35℃における粘度が40〜100Pa・sであるフィリング用油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、フィリング用油脂組成物全体において、多孔質構造の糖類と多孔質構造のデキストリンの合計含有量が10〜20重量%であり、且つ多孔質構造の糖類/多孔質構造のデキストリン(重量比)が75/25〜99.95/0.05である上記記載のフィリング用油脂組成物に関する。より好ましくは、フィリング用油脂組成物全体中、平均粒径が200μm以上の糖類を5重量%未満しか含まない上記記載のフィリング用油脂組成物、更に好ましくは、フィリング用油脂組成物全体中、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり且つヨウ素価が35〜62の油脂を10〜50重量%含有する上記記載のフィリング用油脂組成物、特に好ましくは、フィリング用油脂組生物全体中、HLBが6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜0.5重量%含有してなる上記記載のフィリング用油脂組成物、最も好ましくは、フィリング用油脂組成物全体中、平均粒径が25〜60μmである米粉5〜30重量%を含有してなる上記記載のフィリング用油脂組成物、に関する。本発明の第二は、上記記載のフィリング用油脂組成物を60〜100重量%を含有するフィリングに関する。本発明の第三は、上記記載のフィリングを含む食品に関する。
本発明に従えば、低トランス脂肪酸であるにも関わらず、良好な口溶け及び耐熱保型性を有するフィリング用油脂組成物、及び該油脂組成物を用いたフィリングを提供することができる。また、該フィリングは、ざらつきを感じず、風味を感じやすい特徴も併せ持つ。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のフィリング用油脂組成物は、油脂組成物に含まれる油脂全体中のトランス脂肪酸含量が特定値以下であり、特定の固体脂含量(SFC)である油脂と、特定の糖類及び/又は特定のデキストリンを含み、特定の粘度を有することを特徴とする。
前記油脂のSFCは、20℃で6〜34%、35℃で0.05〜2.0%であることが好ましく、20℃で15〜31%、35℃で0.3〜1.5%であることがより好ましく、20℃で24〜28%、35℃で0.6〜1.0%であることが更に好ましい。20℃におけるSFCが6%未満であると耐熱保型性がない場合があり、34%を越えると口溶けが悪くなったりする場合がある。また、35℃におけるSFCが0.05%未満であると耐熱保型性がない場合があり、2.0%を越えると口溶けが悪くなったりする場合がある。なお、前記SFCは、IUPAC 2.150(a)に準じて測定できる。
前記油脂の含有量は、フィリング用油脂組成物全体中40〜80重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましく、43〜48重量%が更に好ましい。油脂含有量が40重量%未満であると油脂以外の原料の分散性が悪く製造できない場合があり、80重量%を超えると口溶けが悪くなる場合がある。
前記油脂の種類としては、食用油脂であれば特に限定されないが、例えばパーム系油脂、ラウリン系油脂、液状油脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂肪等やそれらの分別油、エステル交換油、極度硬化油等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記パーム系油脂は、パーム油を原料とした油脂であれば特に限定は無いが、例えばパーム油、パーム分別油、パーム極度硬化油及びそれらをエステル交換した油脂等が挙げられる。なお、パーム系油脂をエステル交換した油脂としては、パームステアリンのエステル交換油や、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部などが挙げられる。中でも、パームステアリンのエステル交換油の分別液状部を用いた場合には、フィリング用油脂組成物に好ましい風味を付与することができることから好ましい。
前記パーム系油脂の内、エステル交換に供する油脂のヨウ素価は30〜58が好ましく、その範囲であれば、最終的に得られる分別液状部のヨウ素価を35〜62に調整し易い。前記エステル交換に供する油脂としては、例えば、そのままエステル交換に使用する場合、パーム油、パームステアリン、パーム中融点部、パームオレインが挙げられる。パームダブルオレイン、パームスーパーオレイン、パームトップオレイン、パームハードステアリンなどヨウ素価が30未満、もしくは58を超えるパーム系油脂は、前記パーム系油脂同士を混合してヨウ素価を30〜58の範囲に調整した後、エステル交換に供することができ、又これらの硬化油及びエステル交換油を混合してヨウ素価30〜58に調整してからエステル交換に供してもよい。
なお、前記パーム系油脂のエステル交換は常法に従って行えばよい。エステル交換に用いる触媒としては、食品用途に用いられる触媒であれば種類を問わずに使用でき、例えばナトリウムメチラートやリパーゼ等が挙げられる。リパーゼは通常トリグリセリドのエステル交換に用いられるリパーゼなら特に種類は選ばないが、パーム油を原料に用いる場合には、対称型トリグリセリドSUSを減少させるため、1,3位だけでなく2位に対してもエステル交換活性を持つものが好ましい。具体的にはThermomyces属由来、Alcaligenes属由来のリパーゼなどが挙げられる。
前記パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部は、パーム系油脂をランダムエステル交換した後に、固体部を除去して得られる液状部のことである。得られた液状部のヨウ素価は35〜62が好ましく、37〜58がより好ましく、40〜55が更に好ましい。ヨウ素価が35より低いと、分別の効率が悪くなってコストが上がったり、高融点成分が多くなってフィリングの口溶けが悪くなったりする場合があり、ヨウ素価が62より高いとSSU成分が少なくなり可塑性が悪化する場合がある。前記ヨウ素価は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に準拠して測定できる。
前記エステル交換油の分別方法としては、食用油脂に一般的に適用される方法が挙げられる。例えば、パーム系油脂のエステル交換油を温調しながら攪拌して結晶を析出させた後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して圧搾して液状部を得ることができる。具体的には、パーム系油脂のランダムエステル交換油を5〜48時間、分別に供するエステル交換油脂の融点よりも2〜14℃低い温度で温調しながら攪拌して結晶を析出させ、その油脂を加圧圧搾装置に導入し、前記温度を維持しながら0.5〜5MPaで圧搾すると、容易にヨウ素価が35〜62の液状部が得られて好ましい。
前記パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部の含有量は、フィリング用油脂組成物全体中10〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、10〜30重量%であることが更に好ましい。含有量が10重量%未満であると、口溶けが悪くなる場合があり、50重量%を超えると、耐熱保型性が悪くなる場合がある。
前記ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸を豊富に含む油脂のことであり、例えばヤシ油、パーム核油、及びそれらの分別油や極度硬化油等が挙げられる。
前記液状油脂は、20℃において液状である油脂を意味し、例えば菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、綿実油、米油等が挙げられる。
前記油脂中に含まれる前記トランス脂肪酸含有量は、健康面からフィリング用油脂組成物に含まれる油脂全体中5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。ここでトランス脂肪酸を実質的に含有しないとは、本発明のフィリングに、部分水素添加した油脂原料を配合しないことである。なお、前記トランス脂肪酸含有量は、AOCS Ce 1f−96に準じて測定できる。
前記糖類は、単糖類及び/又は二糖類であり、例えば粉糖、麦芽糖、乳糖、果糖等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用い得る。ただし、フィリング用油脂組成物の粘度調整のし易さの観点から、前記糖類の少なくとも一部は多孔質構造であることが好ましく、また入手のし易さの観点から、前記糖類は麦芽糖が好ましい。さらに同様の観点から、前記糖類の平均粒径は70〜120μmが好ましく、80〜110μmがより好ましく、85〜105μmが更に好ましい。
また、前記糖類の比表面積は、フィリング用油脂組成物の粘度調整のし易さの観点から、0.4〜1.0m2/gが好ましく、0.6〜1.0m2/gがより好ましく、0.7〜0.9m2/gが更に好ましい。0.4m2/gより小さいと、粘度が上がらず、耐熱保型性が悪くなる場合があり、1.0m2/gより大きいと、粘度が上がりすぎて、食感が悪くなる場合がある。
また、前記糖類の内、平均粒径が200μm以上の糖類の含有量は、ざらつき感の観点から少ないほど良いが、フィリング用油脂組成物全体中5重量%未満であることが好ましく、2重量%未満であることがより好ましく、1.8重量%未満であることが更に好ましい。平均粒径が200μm以上の糖類が5重量%以上であると、ざらつき感が感じられる場合がある。前記平均粒径は、粒度分布計(堀場製作所社製)にて測定できる。平均粒径とは粒径を横軸にとったヒストグラムにおいて、その累積の50%に相当する値の粒径のことである。
前記デキストリンとしては、特に限定は無いが、フィリング用油脂組成物の粘度調整のし易さの観点から、前記デキストリンの少なくとも一部は多孔質構造であることが好ましい。さらに同様の観点から、前記デキストリンの平均粒径は30〜60μmが好ましく、35〜55μmがより好ましく、40〜50μmが更に好ましい。30μmより小さいと、粘度が上がりすぎて、食感が悪くなる場合があり、60μmより大きいと、粘度の調整が困難で、耐熱保型性が悪くなる場合がある。
また、前記デキストリンの比表面積は、フィリング用油脂組成物の粘度調整のし易さの観点から、0.35〜1.0m2/gが好ましく、0.35〜0.8m2/gがより好ましく、0.35〜0.6m2/gが更に好ましい。0.35m2/gより小さいと、粘度が上がらず、耐熱保型性が悪くなる場合があり、1.0m2/gより大きいと、粘度が上がりすぎて、食感が悪くなる場合がある。
前記糖類及び/又はデキストリンの合計含有量は、フィリング用油脂組成物全体中20〜60重量%が好ましく、30〜50重量%がより好ましく、35〜45重量%が更に好ましい。合計含有量が20重量%未満であると耐熱保型性がない場合があり、60重量%を超えると口溶けが悪くなる場合がある。
また前記糖類及び/又はデキストリンの内、多孔質構造の糖類及び多孔質構造のデキストリンの合計含有量は、フィリング用油脂組成物全体中10〜20重量%であることが好ましく、11〜18重量%であることがより好ましく、12〜14重量%であることが更に好ましい。該合計含有量が10重量%未満であると耐熱保型性がない場合があり、20重量%を超えるとざらつき感が感じられる場合がある。
本発明のフィリング用油脂組成物において、多孔質構造の糖類/多孔質構造のデキストリン(重量比)は、75/25〜99.95/0.05であることが好ましい。75/25より小さいと口溶けが悪くなったり、ねちゃつく場合があり、99.95/0.05より大きいとざらつき感が感じられる場合がある。
本発明のフィリング用油脂組成物の粘度は、35℃において40〜100Pa・sであることが好ましく、45〜90Pa・sであることがより好ましく、50〜80Pa・sであることが更に好ましい。35℃における粘度が40Pa・s未満であると耐熱保型性がない場合があり、100Pa・sを超えると口溶けが悪くなったりする場合がある。前記粘度は、B型粘度計(BROOKFIELD社製)にて測定することができる。該粘度は、多孔質構造の糖類と多孔質構造のデキストリンの合計含有量を変えることで、容易に調整することができる。
本発明のフィリング用油脂組成物には、風味の出方をよくするために、HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルやグリセリンミリステートを含有することが好ましく、コストや入手のし易さを加味すると、HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを含有することがより好ましい。HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステル及び/又はグリセリンミリステートの含有量は、フィリング用油脂組成物中0.05〜0.5重量%含有することが好ましく、0.1〜0.4重量%であることがより好ましく、0.1〜0.3重量%であることが更に好ましい。0.05重量%未満であると風味が感じられない場合があり、0.5重量%を超えると、耐熱保型性が低下し過ぎる場合がある。
また、本発明のフィリング用油脂組成物には、必要に応じてHLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルやグリセリンミリステート以外の乳化剤を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに含有することができる。例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
本発明のフィリング用油脂組成物において、糖類の量を少なめにして甘味を抑えながら、耐熱保型性を上げるためには、デキストリンの比率を上げることには限界があるので、米粉をさらに含有することが好ましい。また、該米粉の平均粒径は、25〜65μmが好ましく、25〜60μmがより好ましい。平均粒径が25μmより小さいと、口溶けが悪くなる場合があり、65μmより大きいと、ざらつきを感じる場合がある。
そして、前記米粉の含有量は、フィリング用油脂組成物全体中5〜30重量%が好ましく、7〜20重量%がより好ましく、8.5〜12.5重量%が更に好ましい。含有量が5重量%未満であると、相対的に糖類の量が増えるために甘みが強く風味が悪い場合があり、30重量%を超えると、相対的に糖類の量が減るために甘みが弱く風味が悪い場合がある。
本発明のフィリング用油脂組成物は、その他の成分として、本発明の効果を阻害しない範囲内においては必要に応じて、一般的にフィリング用油脂組成物に用いられる呈味素材、香料、着色料及び酸化防止剤等を含有することができる。
前記呈味素材としては、乳製品、糖類、風味エキス類、その他呈味を有する原料等を挙げることができる。前記乳製品としては、全粉乳、脱脂粉乳、練乳粉、乳脂の加熱処理物や酵素処理物、牛乳、加糖練乳、発酵乳、生クリーム、チーズ等を挙げることができる。前記風味エキス類としては、昆布エキス、発酵調味料等を挙げることができる。前記その他呈味を有する原料としては、卵黄、全卵、コーヒー、カカオ原料、抹茶、緑茶、餡類、果汁、果肉、野菜ペースト、粉末野菜等を挙げることができる。
また、前記香料としては、ミルクフレーバー、バターフレーバー等を挙げることができる。また前記着色料としては、β−カロチン、アナトー色素等を挙げることができる。そして前記酸化防止剤としては、トコフェロール、トコトリエノール、ローズマリー抽出物、茶抽出物、甘草抽出物等を挙げることができる。
本発明のフィリング用油脂組成物の製造例を、以下に例示する。即ち、まず油脂に対して、必要に応じて乳化剤、着色料及び酸化防止剤等を混合し、撹拌しながら60〜75℃になるまで加熱し調製、急冷捏和装置で急冷して捏和し、油脂組成物を得る。得られた油脂組成物に対して、糖類、呈味素材として前記乳製品、米粉及び香料等を撹拌混合して、本発明のフィリング用油脂組成物を得ることができる。
前記フィリング用油脂組成物は、そのままフィリングとして用いても良いし、風味を強化するため、前記フィリング用油脂組成物に前記呈味素材を追加で後合わせすることができる。該呈味成分を後合わせする場合は、水又は油脂に溶解もしくは分散させて後合わせすればよい。該呈味素材の含有量は、後合わせ分も合わせてフィリング全体中1〜40重量%であることが好ましい。呈味素材が1重量%より少ないと味が薄過ぎる場合があり、40重量%を超えると、フィリングの風味が強くなり過ぎ、全体の風味バランスが崩れる場合がある。
本発明のフィリングは、バタークリーム、マーガリン等の加工油脂製品として広く使用できる。例えば、甘味を持つバタークリーム、塩味を持つ生食用マーガリン、果物などの呈味原料を加えたクリーム等として用いることができる。また、これらの加工油脂製品は、菓子パン、食パン、デニッシュ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のパン、菓子類をはじめとする食品のフィリングとして広く使用できる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:口溶けが極めて良好である
4点:口溶けが非常に良好である
3点:口溶けが良好である
2点:口溶けが悪い
1点:口溶けが非常に悪い。
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:口溶けが極めて良好である
4点:口溶けが非常に良好である
3点:口溶けが良好である
2点:口溶けが悪い
1点:口溶けが非常に悪い。
<耐熱保型性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、10gずつポリカップに小分けして35℃の恒温槽で6時間温調した後の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
5点:極めて耐熱保型性がある
4点:非常に耐熱保型性があり、ダレがない
3点:耐熱保型性があり、殆どダレがない
2点:耐熱保型性が劣り、ややダレが生じる
1点:耐熱保型性がなく、ダレが生じる。
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、10gずつポリカップに小分けして35℃の恒温槽で6時間温調した後の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
5点:極めて耐熱保型性がある
4点:非常に耐熱保型性があり、ダレがない
3点:耐熱保型性があり、殆どダレがない
2点:耐熱保型性が劣り、ややダレが生じる
1点:耐熱保型性がなく、ダレが生じる。
<ざらつき感の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:ざらつき感が全く感じられない
4点:ざらつき感が殆ど感じられない
3点:ざらつき感が少し感じられる
2点:ざらつき感が感じられる
1点:ざらつき感が非常に感じられる。
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:ざらつき感が全く感じられない
4点:ざらつき感が殆ど感じられない
3点:ざらつき感が少し感じられる
2点:ざらつき感が感じられる
1点:ざらつき感が非常に感じられる。
<風味の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:ミルクの風味が極めて強く感じられる
4点:ミルクの風味が非常に強く感じられる
3点:ミルクの風味が感じられる
2点:ミルクの風味が弱い
1点:ミルクの風味が殆ど感じられない。
実施例及び比較例で得られたフィリング用油脂組成物を、20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:ミルクの風味が極めて強く感じられる
4点:ミルクの風味が非常に強く感じられる
3点:ミルクの風味が感じられる
2点:ミルクの風味が弱い
1点:ミルクの風味が殆ど感じられない。
(製造例1) パーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部の作製
脱酸処理されたパームステアリン(ヨウ素価35):100重量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶解し、46℃で攪拌しながら24時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭してヨウ素価43のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を得た。
脱酸処理されたパームステアリン(ヨウ素価35):100重量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶解し、46℃で攪拌しながら24時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭してヨウ素価43のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を得た。
(製造例2) エステル交換油脂Aの製造方法
菜種油:30重量部、パーム油:27重量部、パーム核分別軟質油(ヨウ素価24.5):28重量部、硬化魚油(ヨウ素価10.5):15重量部を混合し、500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してエステル交換油脂Aを得た。
菜種油:30重量部、パーム油:27重量部、パーム核分別軟質油(ヨウ素価24.5):28重量部、硬化魚油(ヨウ素価10.5):15重量部を混合し、500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してエステル交換油脂Aを得た。
(製造例3) 油脂組成物Aの作製
表1の配合に従って、製造例1で作製したパーム系油脂のエステル交換分別液状部:29.9重量部、パーム油中融点部:34.8重量部、菜種油:34.8重量部を混合して調合油を作製した。この調合油:99.5重量部に対し、レシチン:0.2重量部、ジグリセリン脂肪酸エステル:0.3重量部を溶解させ、急冷捏和装置で急冷して捏和し、油脂組成物Aを得た。
表1の配合に従って、製造例1で作製したパーム系油脂のエステル交換分別液状部:29.9重量部、パーム油中融点部:34.8重量部、菜種油:34.8重量部を混合して調合油を作製した。この調合油:99.5重量部に対し、レシチン:0.2重量部、ジグリセリン脂肪酸エステル:0.3重量部を溶解させ、急冷捏和装置で急冷して捏和し、油脂組成物Aを得た。
(製造例4) 油脂組成物Bの作製
表1の配合に従って、パーム油中融点部を加えず、菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Bを得た。
表1の配合に従って、パーム油中融点部を加えず、菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Bを得た。
(製造例5) 油脂組成物Cの作製
表1の配合に従って、製造例1の油脂、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Cを得た。
表1の配合に従って、製造例1の油脂、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Cを得た。
(製造例6) 油脂組成物Dの作製
表1の配合に従って、製造例1の油脂を加えず、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Dを得た。
表1の配合に従って、製造例1の油脂を加えず、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Dを得た。
(製造例7) 油脂組成物Eの作製
表1の配合に従って、ジグリセリン脂肪酸エステルを加えず、製造例1の油脂、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Eを得た。
表1の配合に従って、ジグリセリン脂肪酸エステルを加えず、製造例1の油脂、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Eを得た。
(製造例8) 油脂組成物Fの作製
表1の配合に従って、製造例1の油脂を加えず、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Fを得た。
表1の配合に従って、製造例1の油脂を加えず、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Fを得た。
(製造例9) 油脂組成物Gの作製
表1の配合に従って、製造例1の油脂、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Gを得た。
表1の配合に従って、製造例1の油脂、パーム油中融点部及び菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Gを得た。
(製造例10) 油脂組成物Hの作製
表1の配合に従って、製造例1の油脂及びパーム油中融点部を加えず、製造例2の油脂及び硬化大豆油(ヨウ素価:65.3)を加え、菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Hを得た。
表1の配合に従って、製造例1の油脂及びパーム油中融点部を加えず、製造例2の油脂及び硬化大豆油(ヨウ素価:65.3)を加え、菜種油の量を変えた以外は、製造例3と同様にして油脂組成物Hを得た。
(製造例11) 多孔質構造の糖類の粉砕物の作製
多孔質構造の糖類(林原製「サンマルトミドリ」)をロールリファイナー(BUHLER社製)で擦り潰した。
多孔質構造の糖類(林原製「サンマルトミドリ」)をロールリファイナー(BUHLER社製)で擦り潰した。
(実施例1)
表2の配合に従って、フィリング用油脂組成物を作製した。即ち、製造例3で作製した油脂組成物A:45.0重量部を用い、そこに多孔質構造の糖類:10.0重量部、多孔質構造のデキストリン:2.5重量部、全粉乳:3重量部、粉糖:29.43重量部、米粉:10重量部、香料:0.07重量部を攪拌混合してフィリング用油脂組成物を作製した。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、フィリング用油脂組成物を作製した。即ち、製造例3で作製した油脂組成物A:45.0重量部を用い、そこに多孔質構造の糖類:10.0重量部、多孔質構造のデキストリン:2.5重量部、全粉乳:3重量部、粉糖:29.43重量部、米粉:10重量部、香料:0.07重量部を攪拌混合してフィリング用油脂組成物を作製した。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(実施例2)
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Bに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Bに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(実施例3)
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Cに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Cに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(実施例4)
表2の配合に従って、多孔質構造の糖類と多孔質構造のデキストリンの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、多孔質構造の糖類と多孔質構造のデキストリンの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例1)
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Fに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Fに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例2)
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Gに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Gに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例3)
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Hに変え、多孔質の糖類、多孔質のデキストリン及び米粉を加えず、粉糖の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Hに変え、多孔質の糖類、多孔質のデキストリン及び米粉を加えず、粉糖の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例4)
表2の配合に従って、多孔質構造の糖類の代わりに、量を変えた多孔質構造の糖類の粉砕物を加え、多孔質構造のデキストリンの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
表2の配合に従って、多孔質構造の糖類の代わりに、量を変えた多孔質構造の糖類の粉砕物を加え、多孔質構造のデキストリンの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
実施例1のフィリング用油脂組成物は、口溶け及び耐熱保型性が極めて良好で、ざらつき感も殆ど感じられず、ミルクの風味も非常に強く感じられた。
実施例2、4のフィリング用油脂組成物は、口溶けが非常に良好で、非常に耐熱保型性もあってダレもなく、ざらつき感も殆ど感じられず、ミルクの風味も非常に強く感じられた。
実施例3のフィリング用油脂組成物は、口溶けは良好で、極めて耐熱保型性もあり、ざらつき感も殆ど感じられず、ミルクの風味も感じられた。
一方、フィリング用油脂組成物中の油脂の25℃及び30℃でのSFCがそれぞれ6%及び0.05%未満である比較例1では、耐熱保型性が劣っており、25℃及び30℃でのSFCが34%及び2.0%を超える比較例2では、口溶けが悪く、ミルクの風味も弱く感じられた。
また、フィリング用油脂組成物の35℃における粘度が40Pa・s未満である比較例3では、口溶けが悪く、耐熱保型性も劣って、ミルクの風味も弱く感じられ、粘度が100Pa・sを超える比較例4では口溶けが悪く、ミルクの風味も殆ど感じられなかった。
(実施例5)
表3の配合に従って、フィリング用油脂組成物を作製した。即ち、米粉を加えず、油脂組成物A及び粉糖の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
表3の配合に従って、フィリング用油脂組成物を作製した。即ち、米粉を加えず、油脂組成物A及び粉糖の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
(実施例6)
表3の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Dに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
表3の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Dに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
(実施例7)
表3の配合に従って、粉糖の量を変え、グラニュー糖を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
表3の配合に従って、粉糖の量を変え、グラニュー糖を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
(実施例8)
表3の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Eに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
表3の配合に従って、油脂組成物Aを油脂組成物Eに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
(比較例5)
表3の配合に従って、粉糖及び米粉を加えず、油脂組成物A及び多孔質構造のデキストリンの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
表3の配合に従って、粉糖及び米粉を加えず、油脂組成物A及び多孔質構造のデキストリンの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油脂組成物を得た。得られたフィリング用油脂組成物について、口溶け、耐熱保型性、ざらつき感及び風味の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
実施例5のフィリング用油脂組成物は、口溶けが良好で、非常に耐熱保型性もあってダレもなく、ざらつき感も殆ど感じられず、ミルクの風味も感じられた。一方、フィリング用油脂組成物全体中の油脂の含有量が80重量%を越える比較例5のフィリング用油脂組成物は、口溶けが悪く、ミルクの風味も弱く感じられた。
実施例6及び8のフィリング用油脂組成物は、口溶けが良好で、極めて耐熱保型性もあり、ざらつき感も殆ど感じられなかったが、ミルクの風味が弱く感じられた。実施例6のミルクの風味が弱く感じられた理由は、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり且つヨウ素価が35〜62の油脂を含有していないためと考えられ、実施例8については、油脂組成物EにHLBが6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを含有していないためと考えられた。
フィリング用油脂組成物全体中、平均粒径が200μm以上の糖類を5重量%以上含む実施例7のフィリング用油脂組成物は、口溶けが良好で、非常に耐熱保型性もあってダレもなく、ミルクの風味も感じられたが、ざらつき感が感じられた。
Claims (8)
- フィリング用油脂組成物に含まれる油脂全体中のトランス脂肪酸含量は5重量%以下であり、該油脂のSFC(固体脂含量)が20℃で6〜34%、35℃で0.05〜2.0%であり、
フィリング用油脂組成物全体において、
油脂を40〜80重量%、平均粒径が70〜120μmの糖類及び/又は平均粒径が30〜60μmのデキストリンを20〜60重量%を含有し、糖類及び/又はデキストリンの一部が多孔質構造であり、
35℃における粘度が40〜100Pa・sであるフィリング用油脂組成物。 - フィリング用油脂組成物全体において、多孔質構造の糖類と多孔質構造のデキストリンの合計含有量が10〜20重量%であり、且つ多孔質構造の糖類/多孔質構造のデキストリン(重量比)が75/25〜99.95/0.05である請求項1に記載のフィリング用油脂組成物。
- フィリング用油脂組成物全体中、平均粒径が200μm以上の糖類を5重量%未満しか含まない請求項1又は2に記載のフィリング用油脂組成物。
- フィリング用油脂組成物全体中、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり且つヨウ素価が35〜62の油脂を10〜50重量%含有する請求項1〜3何れかに記載のフィリング用油脂組成物。
- フィリング用油脂組成物全体中、HLBが6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜0.5重量%含有してなる請求項1〜4何れかに記載のフィリング用油脂組成物。
- フィリング用油脂組成物全体中、平均粒径が25〜60μmである米粉5〜30重量%を含有してなる請求項1〜5何れかに記載のフィリング用油脂組成物。
- 請求項1〜6何れかに記載のフィリング用油脂組成物を60〜100重量%を含有するフィリング。
- 請求項7に記載のフィリングを含む食品。
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