JP2018169439A - アクティブ消音装置及びアクティブ消音方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクティブ消音装置において、制御領域内に誤差マイクを配置することなく、制御領域内において制御対象音を効率よくかつ、十分に打ち消す。【解決手段】第1適応フィルタ31を介してスピーカ4の発音をフィードフォワード制御するアクティブ消音装置1に係る。このアクティブ消音装置1は、制御領域R外に配置されかつ、制御音と制御対象音とが合成された合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した領域外集音信号u3を出力する誤差マイク5を備える。コントローラ3は、制御音によって制御領域Rにおいて制御対象音が打ち消されたときの、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceを同定する同定部3Aと、参照マイク2及び誤差マイク5からの出力に基づき第1適応フィルタ31を更新することにより、同定された伝達特性Ceと一致するようにスピーカ4の発音をフィードフォワード制御する制御部3Bと、を有する。【選択図】図2

Description

ここに開示する技術は、アクティブ消音装置及びアクティブ消音方法に関する。
従来、アクティブ消音装置の一例として、主音源から発せられた制御対象音を検出すると共に、該検出結果に対応した参照信号を出力する参照マイクと、この算出信号を信号処理する適応フィルタと、適応フィルタの出力に対応した制御音を発する2次音源と、を備えた消音装置が知られている。この消音装置は、所定の制御領域に配置された誤差マイクによって制御音と制御対象音とが合成された合成音を検出すると共に、その検出結果に対応した誤差信号に基づいて適応フィルタを逐次的に更新する。適応フィルタを更新すると、2次音源から発せられる制御音が変化する。すなわち、適応フィルタを介して2次音源の発音が制御される。特に、誤差信号を最小にするように適応フィルタを更新すると、制御領域内において、制御音によって制御対象音を打ち消すことが可能になる。
特許文献1には、アクティブ消音装置の別例として、誤差マイク(マイクロホン)を制御領域(耳元)外に配置するものが開示されている。前述の周知例において、誤差マイクを制御領域外に配置した場合、誤差マイクにおいて検出される合成音は、制御領域において実際に検出される音とは異なることから、その合成音を消音するように適応フィルタを更新したとしても、制御領域内では十分に消音されない。そのため、消音性能の劣化を招くため不都合である。合成音と制御領域内で検出される音との差異は、各部を結ぶ伝達特性に反映される。
そこで、特許文献1に係るアクティブ消音装置は、当該文献の図1に示すように、誤差マイクの出力から適応フィルタ(アダプティブフィルタ)の出力を減算する減算器と、減算器の出力と適応フィルタの出力を加算する加算器と、加算器の出力を誤差信号として適応フィルタを更新するLMS演算器とを備えて構成されている。さらに、この消音装置は、適応フィルタと減算器との間に介設され、2次音源(スピーカ)から誤差マイクに至る伝達特性と等価な伝達関数を有するFIRフィルタと、適応フィルタと加算器との間に介設され、2次音源から制御領域に至る伝達特性と等価な伝達関数を有するFIRフィルタとを備えている。この構成によれば、合成音と制御領域内で検出される音との差異のうち、制御音の伝達特性に関連した部分を補正することができる。そのことで、消音性能の劣化を抑制することができる。
ところが、このような構成は、制御対象音の伝達特性に関連した部分が考慮されていないため、十分な消音性能が実現されているとは言い難い。そこで、前記特許文献1には、アクティブ消音装置のさらなる別例として、当該文献の図23に示すように、主音源(騒音源)から誤差マイクに至る伝達特性と等価な伝達関数と、主音源から制御領域に至る伝達特性と等価な伝達関数との比を予め求め、その比を用いたFIRフィルタによって誤差マイクの出力を調整する装置が開示されている。この構成によれば、合成音と制御領域で検出される音との差異のうち、制御対象音の伝達特性に関連した部分も補正することができる。そのことで、消音性能の劣化を十分に抑制することができる。
特許第3424366号公報
周知例のように、制御領域内に誤差マイクを配置すると、特に使用者の耳元を制御領域としたときに、耳元に誤差マイクを配置する必要があった。その場合、誤差マイクが使用者にとって邪魔になり、使用上の障害となる虞があった。
そこで、誤差マイクを制御領域から離れた位置に配置すると共に、前記特許文献1に開示された構成によって消音性能を確保することが考えられるが、このような構成は、計算量の抑制という観点からは好ましくない。
すなわち、前記特許文献1に開示された構成の場合、公知の構成において使用されるディジタルフィルタとは別に、少なくとも2つ(十分な消音性能を求める場合は3つ)のFIRフィルタを設ける必要があるから、FIRフィルタの数を増やした分だけ、計算量がかさんでしまうため不都合である。
またそもそも、前記特許文献1に開示された構成の場合、制御対象音を十分に打ち消すためには、2次音源から誤差マイクに至る伝達特性、及び2次音源から制御領域に至る伝達特性に加えて、さらに主音源から誤差マイクに至る伝達特性と、主音源から制御領域に至る伝達特性とを予め求める必要があるため、手間がかかり不都合である。また一般に、主音源は様々な形態を取り得る。主音源の周囲の環境もまた、多岐にわたる。そのため、主音源を特定するのが困難であったり、主音源を特定したとしても、その周囲の環境次第では、主音源に係る伝達特性を求めることが出来ない場合がある。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アクティブ消音装置において、制御領域内に誤差マイクを配置することなく、制御領域内において制御対象音を効率よくかつ、十分に打ち消すことにある。
ここに開示する技術は、主音源から発せられた制御対象音を検出すると共に、該検出結果に対応した参照信号を出力する参照マイクと、前記参照信号を信号処理することにより制御信号を出力する適応フィルタを有しかつ、該適応フィルタを逐次的に更新可能に構成されたコントローラと、前記制御信号に対応した制御音を発する2次音源と、を備え、前記コントローラは、所定の制御領域内において前記制御対象音を打ち消すように、前記適応フィルタを介して前記2次音源の発音をフィードフォワード制御するよう構成されているアクティブ消音装置に係る。
前記アクティブ消音装置は、前記制御領域外に配置されかつ、前記制御音と前記制御対象音とが合成された合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した領域外集音信号を出力する誤差マイクを備える。
そして、前記コントローラは、前記制御音によって前記制御領域内において前記制御対象音が打ち消されたときの、前記参照マイクから前記誤差マイクに至る伝達特性を同定する同定部と、前記参照信号と前記領域外集音信号とに基づき前記適応フィルタを更新することにより、前記伝達特性と一致するように前記2次音源の発音をフィードフォワード制御する制御部と、を有する。
この構成によると、コントローラは、同定部を介して伝達特性を同定する。その後、コントローラは、予め同定した伝達特性と一致するように、制御部を介して第1適応フィルタを更新する。そのような更新が完了すると、伝達特性を同定したときの制御音、つまり、制御領域内において制御対象音が打ち消されたときの制御音が再現されるため、制御領域内にマイクを配置せずとも、制御領域内において制御対象音を十分に打ち消すことが可能になる。
また、前記の構成によると、制御部を実現する上で、公知の構成において使用されるものとは別に必要となるディジタルフィルタは、同定された伝達特性に対応するものに限られる。よって、例えば前記特許文献1に開示された構成と比較して、ディジタルフィルタの数を削減することができるから、そのことで、計算量を抑制することが可能になる。このことは、制御対象音を効率よく打ち消す上で有効である。
さらに、前記の構成によると、公知の構成において必要となる伝達特性に加えて、参照マイクから前記誤差マイクに至る伝達特性を同定すれば十分である。そのため、例えば前記特許文献1に開示された構成と比較して、同定するべき伝達特性の数が少ない分、使用者の手間を省くことができる。このことも、制御対象音を効率よく打ち消す上で有効である。
また、前記制御部は、前記伝達特性と等価な伝達関数を有するディジタルフィルタに、前記参照信号を入力するステップと、前記誤差マイクによって、前記領域外集音信号を出力するステップと、前記ディジタルフィルタから出力された信号と、前記領域外集音信号との差分を示す制御用誤差信号を最小にするように、前記適応フィルタを逐次的に更新するステップと、を実行する、としてもよい。
この構成によると、制御部は、同定部により同定された伝達特性と等価な伝達関数を有するディジタルフィルタからの出力を利用して、適応フィルタを更新する。この場合、適応フィルタの更新が完了すると、ディジタルフィルタからの出力と、前記誤差マイクからの出力とが実質的に一致するようになる。そうすると、同定部によって同定された伝達特性が再現されて、2次音源は、その伝達特性を同定したときと同様の制御音を発するようになる。こうして、制御領域内において制御対象音を打ち消すことが可能になる。
また、前記制御領域内に配置されかつ、前記合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した領域内集音信号を出力する同定用マイクを備え、前記同定部は、前記同定用マイクによって、前記領域内集音信号を出力するステップと、前記領域内集音信号を最小にするように、前記適応フィルタを逐次的に更新するステップと、前記領域内集音信号の最小化が完了したときに、前記伝達特性を同定するステップと、を実行する、としてもよい。
この構成によると、同定部は、領域内集音信号を最小にするように、適応フィルタを更新する。この場合、適応フィルタの更新が完了すると、2次音源から発せられた制御音によって、制御領域内において制御対象音を打ち消すことが可能になる。制御対象音を打ち消すことで、制御部によるフィードフォワード制御に必要な伝達特性を同定することが可能になる。
尚、伝達特性を同定する上で、制御領域内に同定用マイクを配置することが求められるところ、その同定用マイクは、制御部によるフィードフォワード制御には不要となる。ゆえに、制御部が制御対象音を打ち消すときに、同定用マイクが使用上の障害となる虞は無い。
前記コントローラは、前記参照信号を信号処理することにより同定信号を出力する第2の適応フィルタを有し、前記同定部は、前記第2の適応フィルタに前記参照信号を入力するステップと、前記誤差マイクによって、前記領域外集音信号を出力するステップと、前記同定信号と、前記領域外集音信号との差分を示す同定用誤差信号を最小にするように、前記第2の適応フィルタを逐次的に更新するステップと、前記領域内集音信号及び前記同定用誤差信号の最小化が両方とも完了したときに、前記第2の適応フィルタを、前記伝達特性と等価な伝達関数を有するディジタルフィルタとするステップと、を実行する、としてもよい。
この構成によると、同定部は、第2の同定用誤差信号を最小にするように、第2の適応フィルタを更新する。この場合、第2の適応フィルタの更新が完了すると、第2の適応フィルタから出力される同定信号は、誤差マイクから出力される信号と一致するようになる。そのとき、第2の適応フィルタは、参照マイクから誤差マイクに至る伝達特性と等価な伝達関数を有するディジタルフィルタに等しくなる。特に、適応フィルタ、及び第2の適応フィルタの更新が両方とも完了したときには、その第2の適応フィルタに対応する伝達特性は、制御領域内において制御対象音が打ち消されたときの、参照マイクから誤差マイクに至る伝達特性となる。こうして、制御部によるフィードフォワード制御に必要な伝達特性を同定することが可能になる。
また、前記制御領域は、使用者の両耳元付近の領域であって、前記同定部は、前記制御対象音が左右の耳元で同時に打ち消されたときに、前記伝達特性を左右別々に同定する、としてもよい。
従来、制御領域を使用者の耳元とした場合、耳元に誤差マイクを配置すると、その誤差マイクが使用者にとって邪魔になり、使用上の障害となる虞があった。
前記の構成によると、耳元から離れた位置に誤差マイクを配置することが可能になる。その一方で、耳元に誤差マイクを配置したときと同様に、制御対象音を消音することが可能になる。したがって、前記の方法は、制御領域を使用者の耳元とした場合に、取り分け有効となる。
さらに、前記の構成によると、同定部は、制御対象音が左右の耳元で同時に打ち消されたときに、前記伝達特性を左右別々に同定する。そうすると、例えば、右耳用の誤差マイクは、右耳用の制御音に加えて、左耳用の制御音も検出することになる。したがって、左右各々の伝達特性には、左右から発せられた制御音の影響が、両方とも反映されることになる。よって、例えば、伝達特性の同定を左右片側ずつ行うときと比較して、伝達特性をより適切に同定し、ひいては制御対象音を十分に消音することが可能になる。
ここに開示する別の技術は、主音源から発せられた制御対象音を検出すると共に、該検出結果に対応した参照信号を出力する参照マイクと、前記参照信号を信号処理することにより制御信号を出力する適応フィルタを有しかつ、該適応フィルタを更新可能に構成されたコントローラと、前記制御信号に対応した制御音を発する2次音源と、を備え、前記コントローラは、所定の制御領域内において前記制御対象音を打ち消すように、前記適応フィルタを介して前記2次音源の発音をフィードフォワード制御するよう構成されている消音装置を用いたアクティブ消音方法に係る。
前記消音装置は、前記制御領域外に配置されかつ、前記制御音と前記制御対象音とが合成された合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した信号を出力する誤差マイクを備える。
そして、前記アクティブ消音方法は、前記制御音によって前記制御領域内において前記制御対象音が打ち消されたときの、前記参照マイクから前記誤差マイクに至る伝達特性を同定する同定工程と、前記同定工程を行った後、前記参照マイク及び前記誤差マイクからの出力に基づき前記適応フィルタを更新することにより、前記伝達特性と一致するように前記2次音源の発音をフィードフォワード制御する制御工程と、を備える。
この方法によると、同定工程を行うことにより、伝達特性を予め同定しておく。その後、制御工程を行うことにより、同定工程において同定した伝達特性と一致するように、第1適応フィルタを更新する。そのように更新すると、伝達特性を同定したときの制御音、つまり、制御領域内において制御対象音が打ち消されたときの制御音が再現されるため、制御領域内にマイクを配置せずとも、制御領域内において制御対象音を打ち消すことが可能になる。
以上説明したように、前記のアクティブ消音方法によると、制御領域内に誤差マイクを配置することなく、その制御領域内において制御対象音を効率よくかつ、十分に打ち消すことが可能になる。
図1は、アクティブ消音装置の構成を概略的に示す図である。 図2は、アクティブ消音装置のシステム構成を示すブロック図である。 図3は、アクティブ消音装置による消音効果を例示するグラフである。
以下、アクティブ消音装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は例示である。図1は、本実施形態に係るアクティブ消音装置(以下、単に「消音装置」という)1の構成を概略的に示す図である。また、図2は、消音装置1のシステム構成を示すブロック図である。
(全体構成)
消音装置1は、騒音源(主音源)Sから発せられた騒音(制御対象音)を、所定の制御領域内において消音するものである。消音装置1は、種々の物品に適用可能な装置である。具体的に、図1に示すような椅子(図1には、ヘッドレストに対応する部分のみを図示)10に適用した場合、制御領域は、その椅子10に着座した使用者Uの両耳元付近の領域Rr,Rlとなる。本実施形態に係る消音装置1は、右耳元付近の制御領域Rrと、左耳元付近の制御領域Rlとの双方において、消音を実行するよう構成されている。
尚、以下の記載において、制御領域Rr,Rlを左右で区別しないときには、単に「制御領域R」と総称することにする。逆に、他の左右一対の機能的要素において、それを左右で区別するときには、その符号に対して、適宜、小文字の“r”又は“l”を付すことにする。
具体的に、消音装置1は、騒音源Sから発せられた騒音を検出すると共に、その検出結果に対応した参照信号xを出力する参照マイク2と、参照信号xを信号処理することにより制御信号yを出力する第1適応フィルタ(適応フィルタ)31を有しかつ、その第1適応フィルタ31を逐次的に更新可能に構成されたコントローラ3と、制御信号yに対応した制御音を出力するスピーカ(2次音源)4と、を備えている。
尚、図1に示すように、参照マイク2は左右の制御領域Rr,Rlで共有される一方、スピーカ4は、左右それぞれに設けられている。
コントローラ3は、前述の制御領域Rにおいて騒音を打ち消すように、第1適応フィルタ31を介してスピーカ4の発音をフィードフォワード制御するよう構成されている。本実施形態に係るコントローラ3は、いわゆる適応制御を応用したアクティブノイズコントロール(特に、フィードフォワード方式のアクティブノイズコントロール)によって、消音に係る処理を実行する。
ところで、通常、前述の如きフィードフォワード制御を実行するには、参照マイク2とは別に、いわゆるエラーマイクによって騒音と制御音とが合成された合成音を検出することが求められる。
消音装置1は、そうしたエラーマイクとして、制御領域R外に常時配置される誤差マイク5と、制御領域R内に適宜配置される同定用マイク6と、を備えている。2種のエラーマイク5,6は、それぞれが配置された領域において、騒音と制御音とが合成された合成音を検出すると共に、それぞれの検出結果に対応した信号を出力するように構成されている。ここで、2種のエラーマイク5,6が配置された領域とは、誤差マイク5が配置された制御領域R外の領域と、同定用マイク6が配置された制御領域Rとを示す。さらに詳しくは、制御領域R外の領域とは、騒音と制御音との両方が影響を及ぼす領域のうち、特に、制御領域Rに含まれない領域を示す。
そして、コントローラ3は、参照マイク2からの出力と、2種のエラーマイク5,6からの出力とに基づいて、以下に示すアクティブ消音方法を実行する。
具体的に、本実施形態に係るアクティブ消音方法は、制御領域Rにおいて騒音を打ち消すための制御工程と、その制御工程を実行するための準備を行う同定工程と、を備えている。
ここで、同定工程は、参照マイク2及び同定用マイク6からの出力に基づき第1適応フィルタ31を更新することにより、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されるようにスピーカ4の発音をフィードフォワード制御すると共に、そのフィードフォワード制御と並行して、参照マイク2及び誤差マイク5からの出力に基づき第2適応フィルタ(ディジタルフィルタ,第2の適応フィルタ)32を更新することにより、制御音によって騒音が打ち消されたときの参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceを同定するものである。
一方、制御工程は、同定工程の後に行う工程であって、参照マイク2及び誤差マイク5からの出力に基づき第1適応フィルタ31を更新することにより、同定工程において同定された伝達特性Ceと一致するようスピーカ4の発音をフィードフォワード制御するものである。
尚、図1に示すように、誤差マイク5及び同定用マイク6は、スピーカ4と同様に左右それぞれに配置されている。
コントローラ3は、同定工程に対応したディジタル信号処理を実行する同定部3Aと、制御工程に対応したディジタル信号処理を実行する制御部3Bとを有しており、同定部3Aと制御部3Bとの間で、回路構成を切り替え可能とされている。
図示は省略するが、同定部3A及び制御部3Bは、左右で1つずつ設けられている。各部3A,3Bの構成は、左右で共通である。そして、コントローラ3は、騒音が左右の制御領域Rr,Rlで同時に打ち消されたときに、伝達特性Ceを左右別々に同定する。
例えば、右側の制御領域Rrにおいて同定工程を実行するとき、コントローラ3は、参照マイク2からの出力、及び、右側の同定用マイク6rからの出力に基づいて、右側のスピーカ4rからの発音を制御する。このとき、右側の誤差マイク5rと、右側の同定用マイク6rとが検出する合成音には、右側のスピーカ4rから発せられた制御音ばかりでなく、左側のスピーカ4lから発せられた制御音の影響も加味されるようになっている。そして、同定部3Aは、左右のスピーカ4r,4lから発せられた制御音によって、左右の制御領域Rr,Rlにおいて騒音が左右同時に打ち消されたときに、伝達特性Ceを左右で個別に同定する。
以下、同定部3A及び制御部3Bに関係する構成要素、及び、各部3A,3Bの回路構成について詳細に説明する。尚、以下の説明は、左右一方の構成を示すものである。
(同定部に関する構成)
最初に、同定部3Aに関する構成について説明する。この場合、コントローラ3には、前述の参照マイク2と、スピーカ4と、誤差マイク5と、同定用マイク6とが電気的に接続されている。
参照マイク2は、騒音源S付近に配置されたマイクロホンとして構成されている。参照マイク2は、騒音源Sから発せられた騒音を集音すると共に、集音した騒音に対応したアナログ信号を生成する。参照マイク2は、そのアナログ信号を、マイクアンプ(不図示)によって増幅した上で、A/Dコンバータ(不図示)によってディジタルの参照信号xに変換する。そのようにして生成された参照信号xは、コントローラ3を構成する第1適応フィルタ31、第2適応フィルタ32、同定マイク2次経路フィルタ33、及び第2更新部36に入力される。
第1適応フィルタ31は、所定の伝達関数Wを有する有限インパルス応答(Finite Impulse Response:FIR)フィルタとして構成されている。第1適応フィルタ31は、参照マイク2によって入力された参照信号xを信号処理する(具体的には、参照信号xをWで畳み込む)ことにより、制御信号yを出力する。第1適応フィルタ31から出力された制御信号yは、スピーカ4に入力される。
尚、第1適応フィルタ31の各フィルタ係数は、外部からの入力に基づき逐次的に更新可能である。フィルタ係数を更新することによって、制御信号yの波形を変更することができる。
スピーカ4は、いわゆる発音器として構成されており、参照マイク2と比較すると、騒音源Sから離れかつ制御領域Sに近い位置に配置されている。具体的に、本実施形態に係るスピーカ4は、図1に示すように、椅子10のヘッドレスに内蔵されている。スピーカ4は、第1適応フィルタ31から入力された制御信号yを増幅した上で、その波形に対応した制御音を発音する。スピーカ4から発せられた制御音は、制御領域Rの内外において騒音と干渉する。そうした干渉の影響は、制御音と騒音とが合成された合成音として、制御領域Rでは同定用マイク6によって検出される一方、制御領域R外では誤差マイク5によって検出されるようになっている。
同定用マイク6は、コントローラ3に対して着脱自在なマイクロホンとして構成されており、騒音と制御音との両方が影響を及ぼす領域のうち、特に制御領域R内に配置されるようになっている。同定用マイク6は、制御領域Rにおいて合成音を集音すると共に、集音した合成音に対応したアナログ信号を生成する。同定用マイク6は、そのアナログ信号を、マイクアンプ(不図示)によって増幅した上で、A/Dコンバータ(不図示)によってディジタルの領域内集音信号u1に変換する。そのようにして生成された領域内集音信号u1は、コントローラ3の第1更新部34に入力される。
前述の如く、参照マイク2から出力された参照信号xは、同定マイク2次経路フィルタ33にも入力される。同定マイク2次経路フィルタ33は、スピーカ4から同定用マイク6に至る2次経路の伝達特性Cvと等価な伝達関数Cv^を有するFIRフィルタとして構成されている。同定マイク2次経路フィルタ33は、参照信号xを信号処理する(具体的には、参照信号xをCv^で畳み込む)ことにより、同定マイク用濾波参照信号u2を出力する。同定マイク2次経路フィルタ33から出力された同定マイク用濾波参照信号u2は、領域内集音信号u1と同様に、第1更新部34に入力される。
第1更新部34は、いわゆるLMS(Least Mean Square)演算器として構成されており、LMSアルゴリズムを用いて第1適応フィルタ31のフィルタ係数を更新する。具体的に、第1更新部34は、同定マイク用濾波参照信号u2と、領域内集音信号u1とに基づいて、誤差信号としての領域内集音信号u1を最小にするようにフィルタ係数を更新する。
ここで、コントローラ3が同定部3Aを介して行う処理のうち、同定用マイク6に関する信号処理のフローについて説明する。まず、参照マイク2は、騒音を検出すると共に、その検出結果に対応した参照信号xを出力する。第1適応フィルタ31は、その参照信号xを信号処理することにより制御信号yを出力する。スピーカ4は、その制御信号yに対応した制御音を発する。同定用マイク6は、その制御音と騒音との合成音を制御領域Rにおいて検出すると共に、その検出結果に対応した領域内集音信号u1を出力する。第1更新部34は、参照信号xを同定マイク2次経路フィルタ33によって信号処理することにより生成された同定マイク用濾波参照信号u2と、領域内集音信号u1とに基づいて、その領域内集音信号u1を最小にするように、第1適応フィルタ31のフィルタ係数を更新する。
第1適応フィルタ31のフィルタ係数を更新すると、制御信号yの波形が変更されて、そのことで、スピーカ4から発せられる制御音の波形が調整される。制御音の波形が調整されると、領域内集音信号u1の波形が変動する。そして、領域内集音信号u1の最小化が完了すると、制御領域Rにおいて集音される合成音も最小となる。このことは、制御音の波形が、騒音を打ち消すような波形(具体的には、騒音に対して逆位相の波形)に調整されたに等しい。
このように、同定部3Aは、参照マイク2及び同定用マイク6からの出力に基づいて、制御領域Rにおいて騒音を打ち消す。加えて、この同定部3Aは、以下で詳述するように、騒音の打ち消しが完了したときに、所望の伝達特性Ceを同定するように構成されている。
前述のように、スピーカ4から発せられた制御音は、制御領域R外では誤差マイク5によって検出される。具体的に、誤差マイク5は、コントローラ3に接続されたマイクロホンとして構成されており、制御領域R外の領域に配置されるようになっている。ここで、制御領域R外の領域とは、騒音と制御音との両方が影響を及ぼす領域において、特に、制御領域Rに含まれない領域を示す。本実施形態に係る誤差マイク5は、椅子10のヘッドレストに内蔵されている。誤差マイク5は、制御領域R外において合成音を集音すると共に、集音した合成音に対応したアナログ信号を生成する。誤差マイク5は、そのアナログ信号を、マイクアンプ(不図示)によって増幅した上で、A/Dコンバータ(不図示)によってディジタルの領域外集音信号u3に変換する。そのようにして生成された領域外集音信号u3は、コントローラ3の減算器35に入力される。
第2適応フィルタ32は、伝達関数Hを有するFIRフィルタとして構成されている。第2適応フィルタ32は、参照マイク2から入力された参照信号xを信号処理する(具体的には、参照信号xをHで畳み込む)ことにより、同定信号u4を出力する。この同定信号u4は、減算器35に入力される。
減算器35は、領域外集音信号u3から同定信号u4を減算した差分に相当する差分信号(同定用誤差信号)Δuを出力する。この差分信号Δuは、第2更新部36に入力される。
尚、第2適応フィルタ32の各フィルタ係数は、外部からの入力に基づき逐次的に更新可能である。フィルタ係数を更新することによって、同定信号u4の波形を変更することができる。
第2更新部36は、第1更新部34と同様のLMS演算器として構成されており、LMSアルゴリズムを用いて第2適応フィルタ32のフィルタ係数を更新する。具体的に、第2更新部36は、参照信号xと、誤差信号としての差分信号Δuとに基づいて、その差分信号Δuを最小にするようにフィルタ係数を更新する。
ここで、コントローラ3が同定部3Aを介して行う処理のうち、誤差マイク5に関する信号処理のフローについて説明する。まず、参照マイク2は、騒音を検出すると共に、その検出結果に対応した参照信号xを第2適応フィルタ32及び第2更新部36に入力する。第2適応フィルタ32は、その参照信号xを信号処理することにより同定信号u4を出力する。一方、誤差マイク5は、合成音を制御領域R外において検出する共に、その検出結果に対応した領域外集音信号u3を出力する。減算器35は、同定信号u4と、領域外集音信号u3との差分を示す差分信号Δuを生成し、第2更新部36に入力する。第2更新部36は、参照信号xと差分信号Δuとに基づいて、その差分信号Δuを最小にするように、第2適応フィルタ32のフィルタ係数を更新する。
第2適応フィルタ32のフィルタ係数を更新すると、それに伴い、同定信号u4の波形が調整される。そして、差分信号Δuの最小化が完了すると、同定信号u4の波形は、領域外集音信号u3の波形と略一致する。このとき、第2適応フィルタ32は、その伝達関数Hが、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceと等価になるよう調整されたに等しい。
特に、差分信号Δuの最小化ばかりでなく、領域内集音信号u1の最小化も完了したときに、第2適応フィルタ32を、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの伝達特性Ceと等価な伝達関数Hを有するディジタルフィルタとすることが可能になる。尚、伝達特性Ceの同定が完了した後に、参照信号xを第2適応フィルタ32によって信号処理すると、第2適応フィルタ32から出力される信号は、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの領域外集音信号u3と実質的に等しくなる。
このように、同定部3Aは、参照マイク2及び誤差マイク5からの出力に基づいて、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceを同定する。
(制御部に関する構成)
次に、制御部3Bに関する構成について説明する。この場合、コントローラ3には、参照マイク2と、スピーカ4と、誤差マイク5とが電気的に接続されている。同定用マイク6は、コントローラ3から取り外されている。尚、以下の説明において、同定部3Aに関する構成と重複する部分については、適宜、省略する。
同定部3Aの場合と同様に、参照マイク2は、騒音を検出すると共に、その検出結果に対応した参照信号xを出力する。同定部3Aとは異なり、参照マイク2から出力された参照信号xは、第1適応フィルタ31、誤差マイク2次経路フィルタ37、及び第2適応フィルタ32に入力されるようになっている。
第1適応フィルタ31は、参照信号xを信号処理することにより制御信号yを生成し、スピーカ4に入力する。スピーカ4は、その制御信号yに対応した制御音を発音する。スピーカ4から発せられた制御音は、制御音と騒音とが合成された合成音として、制御領域R外において誤差マイク5によって検出される。
誤差マイク5は、制御領域R外において合成音を集音すると共に、集音した合成音に対応した領域外集音信号u3を生成して出力する。この領域外集音信号u3は、同定部3Aと同様に、減算器35に入力される。
第2適応フィルタ32は、前述の同定工程においては適応フィルタとして機能したものの、この制御工程においては、単に伝達特性Ceを実現するディジタルフィルタとして機能するようになっている。
詳しくは、第2適応フィルタ32は、参照マイク2から入力された参照信号xを信号処理することにより、同定信号u4を出力する。この同定信号u4は、減算器35に入力される。ここで、第2適応フィルタ32が有する伝達関数Hは、同定部3Aによって同定された伝達特性Ceと等価である。よって、第2適応フィルタ32から出力される同定信号u4は、前述の如く、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの領域外集音信号u3と実質的に等しい。
減算器35は、領域外集音信号u3から同定信号u4を減算した差分に相当する差分信号Δuを出力する。この差分信号Δuは、同定部3Aとは異なり、第2更新部36ではなく第1更新部34に入力される。
制御部3Bの場合、参照マイク2から出力された参照信号xは、誤差マイク2次経路フィルタ37にも入力される。誤差マイク2次経路フィルタ37は、スピーカ4から誤差マイク5に至る2次経路の伝達特性Cと等価な伝達関数C^を有するFIRフィルタとして構成されている。誤差マイク2次経路フィルタ37は、参照信号xを信号処理することにより、誤差マイク用濾波参照信号u5を出力する。誤差マイク2次経路フィルタ37から出力された誤差マイク用濾波参照信号u5は、差分信号Δuと同様に、第1更新部34に入力される。
第1更新部34は、同定部3Aとは異なり、誤差マイク用濾波参照信号u5と、差分信号Δuとに基づいて、誤差信号としての差分信号Δuを最小にするように、第1適応フィルタ31のフィルタ係数を更新する。
ここで、コントローラ3が制御部3Bを介して行う処理のフローについて説明する。まず、参照マイク2は、騒音を検出すると共に、その検出結果に対応した参照信号xを第1適応フィルタ31、誤差マイク2次経路フィルタ37、及び第2適応フィルタ32に入力する。第1適応フィルタ31は、参照信号xに基づき生成した制御信号yを出力すると共に、スピーカ4は、その制御信号yに対応した制御音を発する。誤差マイク5は、その制御音と騒音との合成音を制御領域R外において検出すると共に、その検出結果に対応した領域外集音信号u3を出力する。その一方で、第2適応フィルタ32は、参照信号xを信号処理することにより同定信号u4を出力する。減算器35は、同定信号u4と、領域外集音信号u3との差分を示す差分信号Δuを生成し、第1更新部34に入力する。第1更新部34は、参照信号xを誤差マイク2次経路フィルタ37によって信号処理することにより生成された誤差マイク用濾波参照信号u5と、差分信号Δuとに基づいて、その差分信号Δuを最小にするように、第1適応フィルタ31のフィルタ係数を更新する。
第1適応フィルタ31のフィルタ係数を更新すると、制御信号yの波形が変更されて、そのことで、スピーカ4から発せられる制御音の波形が調整される。制御音の波形が調整されると、領域外集音信号u3、ひいては差分信号Δuの波形が変動する。そして、差分信号Δuの最小化が完了すると、領域外集音信号u3は、同定信号u4と略一致することになる。ここで、同定信号u4が、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの領域外集音信号u3と略一致することを考慮すると、差分信号Δuの最小化が完了したということは、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceが、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの特性に一致したに等しい。このとき、スピーカ4は、その伝達特性Ceを同定したとき、つまり、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときと同様の制御音を発するようになる。
(まとめ)
以上説明したように、コントローラ3は、制御音によって制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceを同定する同定部3Aと、同定部3Aが伝達特性を同定した後に、参照マイク2及び誤差マイク5からの出力に基づき第1適応フィルタ31を更新することにより、伝達特性Ceと一致するようにスピーカ4の発音をフィードフォワード制御する制御部3Bとを有する。
この方法によると、コントローラ3は、同定部3Aを介した同定工程によって、伝達特性Ceを予め同定しておく。その後、コントローラ3は、制御部3Bを介した制御工程によって、同定工程において同定した伝達特性Ceと一致するように、第1適応フィルタ31を更新する。そのように更新すると、伝達特性Ceを同定したとき、つまり、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの制御音が再現されるため、制御領域R内にマイクを配置せずとも、制御領域Rにおいて騒音を打ち消すことが可能になる。
また、前記の構成によると、制御部3Bは、同定工程において同定された伝達特性Ceと等価な伝達関数Hを有する第2適応フィルタ32からの出力を利用して、第1適応フィルタ31を更新する。この場合、第1適応フィルタ31の更新が完了すると、第2適応フィルタ32から出力された同定信号u4と、誤差マイク5から出力された領域外集音信号u3とが実質的に一致する。そうすると、同定工程において同定された伝達特性Ceが再現されて、スピーカ4は、その伝達特性Ceを同定したときと同様の制御音を発するようになる。こうして、制御領域Rにおいて騒音を打ち消すことが可能になる。
また、前記の構成によると、同定部3Aは、領域内集音信号u1を最小にするように、第1適応フィルタ31を更新する。この場合、第1適応フィルタ31の最小化が完了すると、スピーカ4から発せられた制御音によって、制御領域Rにおいて騒音を打ち消すことが可能になる。騒音を打ち消すことで、制御工程に必要な伝達特性Ceを同定することが可能になる。
また、前記の構成によると、同定部3Aは、差分信号Δuを最小にするように、第2適応フィルタ32を更新する。この場合、第2適応フィルタ32の更新が完了すると、第2適応フィルタ32から出力される同定信号u4は、誤差マイク5から出力される領域外集音信号u3と実質的に一致することになる。この場合、第2適応フィルタ32は、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性Ceと等価な伝達関数Hを有するディジタルフィルタに等しい。特に、第1適応フィルタ31、及び第2適応フィルタ32の更新が両方とも完了したとき、その伝達特性Ceは、制御領域Rにおいて騒音が打ち消されたときの、参照マイク2から誤差マイク5に至る伝達特性となる。こうして、制御部3Bによるフィードフォワード制御に必要な伝達特性Ceを同定することが可能になる。
従来、制御領域Rを使用者Uの耳元とした場合、耳元に誤差マイク5を配置する必要があった。その場合、誤差マイク5が使用者Uにとって邪魔になり、使用上の障害となる虞があった。
前記の方法によると、耳元から離れた位置(つまり、制御領域R外の位置)に誤差マイク5を配置することが可能になる。その一方で、耳元に誤差マイク5を配置したときと同様に、制御対象音を消音することが可能になる。したがって、前記の方法は、制御領域Rを使用者の耳元とした場合に、取り分け有効となる。
尚、同定工程を実施する上で、制御領域R内に同定用マイク6を配置することが求められるものの、その同定用マイク6は、制御工程には不要である。ゆえに、制御工程を実施するときに、同定用マイク6が使用上の障害となる虞は無い。
さらに、前記の構成によると、同定部3Aは、騒音が左右の制御領域Rr,Rlにおいて同時に打ち消されたときに、伝達特性Ceを左右別々に同定する。そうすると、例えば、右耳用の誤差マイク5rは、右耳用の制御音ばかりでなく、左耳用の制御音も検出することになる。したがって、左右各々の同定部3Aは、左右から発せられた制御音の影響を両方とも反映しつつ、伝達特性Ceを同定することになる。よって、例えば、同定工程を左右片側ずつ行うときと比較して、より適切な伝達特性Ceを同定し、ひいては騒音制御対象音を十分に消音することが可能になる。
図3は、消音装置1による消音効果を例示するグラフである。図3の横軸は、右耳元において集音した合成音の周波数(Hz)を示しており、図3の縦軸は、その音圧(dB)を示している。図3の破線は、消音装置1が作動していない場合の合成音に対応しており、図3の太線は、同定工程を左右同時に行った場合(つまり、左右のスピーカ4r,4lから発せられる制御音を両方とも考慮し、騒音が左右同時に打ち消されたときに、伝達特性Ceを左右別々に同定した場合)の合成音に対応している。そして、図3の細線は、同定工程を片側ずつ行った場合(つまり、左側のスピーカ4lから発せられる制御音を考慮することなく、右側のスピーカ4rから発せられる制御音のみを考慮して伝達特性Ceを同定した場合)の合成音に対応している。
図3より、同定工程を左右同時に行うと、それを片側ずつ行うときと比較して、音圧が有意に低減されることが見て取れよう。
《他の実施形態》
前記実施形態では、騒音を打ち消す対象として、使用者Uの両耳元を例示したが、この構成には限られない。例えば騒音の影響を受け易い精密機器に適用してもよい。従来、精密機器付近に誤差マイクを配置すると、その誤差マイクが障害となる虞があった。それに対し、前記の構成は、精密機器から離れた位置に誤差マイクを配置することができるという点で有効である。
前記実施形態では、LMSアルゴリズムによって第1適応フィルタ31及び第2適応フィルタ32を更新することを例示したが、この構成には限られない。例えば、NLMSアルゴリズムによって更新してもよい。
また、前記実施形態では、第1適応フィルタ31及び第2適応フィルタ32は、双方ともFIRフィルタとして構成されていたが、この構成には限られない。例えば、IIRフィルタとして構成してもよい。
1 アクティブ消音装置
2 参照マイク
3 コントローラ
3A 同定部
3B 制御部
31 第1適応フィルタ(適応フィルタ)
32 第2適応フィルタ(ディジタルフィルタ,第2の適応フィルタ)
4 スピーカ(2次音源)
5 誤差マイク
6 同定用マイク
u1 領域内集音信号
u3 領域外集音信号
u4 同定信号
Δu 差分信号(制御用誤差信号,同定用誤差信号)
Ce 伝達特性
R 制御領域
Rl 制御領域
Rr 制御領域
S 主音源(騒音源)
H 伝達関数(伝達特性と等価な伝達関数)

Claims (6)

  1. 主音源から発せられた制御対象音を検出すると共に、該検出結果に対応した参照信号を出力する参照マイクと、
    前記参照信号を信号処理することにより制御信号を出力する適応フィルタを有しかつ、該適応フィルタを逐次的に更新可能に構成されたコントローラと、
    前記制御信号に対応した制御音を発する2次音源と、を備え、
    前記コントローラは、所定の制御領域内において前記制御対象音を打ち消すように、前記適応フィルタを介して前記2次音源の発音をフィードフォワード制御するよう構成されているアクティブ消音装置であって、
    前記制御領域外に配置されかつ、前記制御音と前記制御対象音とが合成された合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した領域外集音信号を出力する誤差マイクを備え、
    前記コントローラは、
    前記制御音によって前記制御領域内において前記制御対象音が打ち消されたときの、前記参照マイクから前記誤差マイクに至る伝達特性を同定する同定部と、
    前記参照信号と前記領域外集音信号とに基づき前記適応フィルタを更新することにより、前記伝達特性と一致するように前記2次音源の発音をフィードフォワード制御する制御部と、を有するアクティブ消音装置。
  2. 請求項1に記載のアクティブ消音装置において、
    前記制御部は、
    前記伝達特性と等価な伝達関数を有するディジタルフィルタに、前記参照信号を入力するステップと、
    前記誤差マイクによって、前記領域外集音信号を出力するステップと、
    前記ディジタルフィルタから出力された信号と、前記領域外集音信号との差分を示す制御用誤差信号を最小にするように、前記適応フィルタを逐次的に更新するステップと、を実行するアクティブ消音装置。
  3. 請求項1又は2に記載のアクティブ消音装置において、
    前記制御領域内に配置されかつ、前記合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した領域内集音信号を出力する同定用マイクを備え、
    前記同定部は、
    前記同定用マイクによって、前記領域内集音信号を出力するステップと、
    前記領域内集音信号を最小にするように、前記適応フィルタを逐次的に更新するステップと、
    前記領域内集音信号の最小化が完了したときに、前記伝達特性を同定するステップと、を実行するアクティブ消音装置。
  4. 請求項3に記載のアクティブ消音装置において、
    前記コントローラは、
    前記参照信号を信号処理することにより同定信号を出力する第2の適応フィルタを有し、
    前記同定部は、
    前記第2の適応フィルタに前記参照信号を入力するステップと、
    前記誤差マイクによって、前記領域外集音信号を出力するステップと、
    前記同定信号と、前記領域外集音信号との差分を示す同定用誤差信号を最小にするように、前記第2の適応フィルタを逐次的に更新するステップと、
    前記領域内集音信号及び前記同定用誤差信号の最小化が両方とも完了したときに、前記第2の適応フィルタを、前記伝達特性と等価な伝達関数を有するディジタルフィルタとするステップと、を実行するアクティブ消音装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクティブ消音装置において、
    前記制御領域は、使用者の両耳元付近の領域であって、
    前記同定部は、前記制御対象音が左右の耳元で同時に打ち消されたときに、前記伝達特性を左右別々に同定するアクティブ消音装置。
  6. 主音源から発せられた制御対象音を検出すると共に、該検出結果に対応した参照信号を出力する参照マイクと、
    前記参照信号を信号処理することにより制御信号を出力する適応フィルタを有しかつ、該適応フィルタを更新可能に構成されたコントローラと、
    前記制御信号に対応した制御音を発する2次音源と、を備え、
    前記コントローラは、所定の制御領域内において前記制御対象音を打ち消すように、前記適応フィルタを介して前記2次音源の発音をフィードフォワード制御するよう構成されている消音装置を用いたアクティブ消音方法であって、
    前記消音装置は、
    前記制御領域外に配置されかつ、前記制御音と前記制御対象音とが合成された合成音を検出すると共に、該検出結果に対応した領域外集音信号を出力する誤差マイクを備え、
    前記制御音によって前記制御領域内において前記制御対象音が打ち消されたときの、前記参照マイクから前記誤差マイクに至る伝達特性を同定する同定工程と、
    前記同定工程を行った後、前記参照信号と前記領域外集音信号とに基づき前記適応フィルタを更新することにより、前記伝達特性と一致するように前記2次音源の発音をフィードフォワード制御する制御工程と、を備えたアクティブ消音方法。
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