JP2018161802A - 高耐久性木材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】200℃を超えるような高温での処理や不活性ガスを使用するための特別な装置が不要で、温度制御が容易で、その結果、安価に高耐久性木材を提供することができる高耐久性木材の製造方法とする。【解決手段】強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液で木材を処理する工程と、前記木材を乾燥させる工程と、前記木材を加熱する工程とを有し、前記塩の水溶液での処理は木材に水溶液を含浸させる処理である。また、前記塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸銅又は硫酸アンモニウムを使用する。【選択図】 なし

Description

本発明は、木材に高耐久性を付与する方法に関する。
木材は、野外等のきびしい環境下で使うと、「腐る(木材腐朽菌による劣化)」、「シロアリによる食害を受ける」といった欠点を持っている。従前は木材保存剤を木材に塗布、含浸することで防腐、防虫害を図るのが一般的であったが、ユーザー側の環境や健康に対する意識の高まりにより、薬剤に頼らないで木材の耐久性を高める技術の開発が望まれている。
近年、フィンランドやオランダなどのヨーロッパで木材の耐久性等を改善する目的での熱処理技術が開発され、高い耐久性を有する木材が製造、販売されている。さらに我が国でもエステック処理という熱処理技術が開発され、実用に供されている。
この種の熱処理では、木材成分中でも耐久性が低いヘミセルロースが分解除去されると同時に、その一部が耐久性の高い成分に変性することで、耐久性を向上させると考えられる。
しかしながら、いずれの熱処理方法でも、実用的な高い耐久性を木材に付与するためには、200℃以上、好ましくは220℃以上の加熱が必要不可欠である。このため、熱処理工程においては、木材の燃焼を防止するため、空気を排除した不活性ガス中での加熱、過熱水蒸気を用いた加熱、超臨界二酸化炭素中での加熱等が必須となる。
不活性ガスとして窒素ガスを用いたものは特開昭56−135004号公報に、過熱水蒸気を用いた加熱は特表平09−502508号公報に、超臨界二酸化炭素中での加熱は特開2013−180460号公報にそれぞれ開示されている。
特開昭56−135004号公報 特表平09−502508号公報 特開2013−180460号公報
本発明者はスギ辺材を供試材として、特許文献2に記載された過熱水蒸気を用いた熱処理を実施して、JIS K 1571等の規格に基づいて木材腐朽菌に対する抵抗性を評価したところ、防腐薬剤での処理に匹敵するような高い性能を発揮させるには、木材が含有するヘミセルロースをかなりの割合で分解、除去させ、その結果として木材の乾量ベースでの重量を10%以上、望ましくは15%程度減じなければならなかった。
すなわち、この過熱水蒸気を用いた熱処理では、木材を200℃で72時間以上、220℃であれば8時間以上、望ましくは24時間以上、あるいは240℃で8時間以上の加熱が不可欠であることが判明した。
これは過熱水蒸気処理だけにあてはまることではなく、上述したいずれの処理でも高い耐久性の発現には200℃を超える温度で相当な時間の処理が必須であった。
従来の技術で木材に高い耐久性を付与するためには、熱処理のための過大なエネルギーが必要となり、装置内の温度を均一に保ったり、所定の材料温度を維持したりする温度制御が難しい、窒素ガスや過熱水蒸気などの不活性ガスを充満させた状態で処理を行うための特別な装置が必要等という要因から熱処理木材は高価にならざるを得なかった。
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、200℃を超えるような高温での処理や不活性ガスを使用するための特別な装置が不要で、温度制御が容易で、その結果、安価に高耐久性木材を提供することができる高耐久性木材の製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る高耐久性木材の製造方法は、強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液で木材を処理する工程と、前記木材を乾燥させる工程と、前記木材を加熱する工程とを有している。
また、塩の水溶液での処理は、木材に水溶液を含浸、塗布、噴霧、水溶液に浸漬する処理である。
加熱する工程での木材の重量減少率は、10%以上25%以下であることが好ましく、塩の水溶液の濃度は、0.5%以上2%以下であることが好ましい。
また、加熱する工程での温度は、120℃以上200℃以下であることが好ましい。
強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の一例は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸銅又は硫酸アンモニウムである。
本発明に係る高耐久性木材の製造方法によると、常温で中性から弱酸性を示す塩の水溶液の濃度を0.5%以上2%以下とし、加熱する工程での温度を120℃以上200℃以下とすることで、木材に高い耐久性を与えるためのヘミセルロースの熱分解及び熱変性による木材の重量減少率を10%以上25%以下とすることが可能になった。
重量減少率が10%未満である木材では高い耐久性を得ることができず、重量減少率が25%より高くなると強度的に劣化した木材となるので、本発明に係る高耐久性木材の製造方法により製造された高耐久性木材は、高い耐久性を有しつつ、木材として必要な強度を確保したものとなる。
過熱水蒸気による熱処理によって製造された木材(スギ辺材)に対するJIS K 1571に基づく耐朽性評価結果を示すグラフである。 過熱水蒸気による熱処理によって製造された木材(スギ辺材)に対するJIS Z 2101に基づく耐朽性評価結果を示すグラフである。
本発明の実施の形態に係る高耐久性木材の製造方法は、強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩である塩化マグネシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、硫酸銅水溶液又は硫酸アンモニウム水溶液で木材を処理する工程と、前記木材を乾燥させる工程と、前記木材を加熱する工程とを有している。
強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液の濃度は、0.5%から2.0%の範囲が望ましい。0.5%以下であると、酸触媒としての効果があまり発揮されない。また、2.0%を超えると、強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩は吸湿性が高いので、処理を終えた木材の表面にべたつきが発生するためである。
なお、中性から弱酸性とはpH4〜7の範囲を意味する。
かかる強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液(例えば、塩化マグネシウム水溶液)で木材を処理する。この処理には、木材に前記水溶液を含浸させる、木材に前記水溶液を塗布する、木材に前記水溶液を噴霧する、木材を前記水溶液に浸漬させる方法のいずれかが用いられる。
特に木材中に強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液(例えば、塩化マグネシウム水溶液)を含浸させるのは、加圧式注入法が最も効果的である。
例えば、ステンレス製の耐圧容器中に木材を入れる。このとき、前記水溶液を導入した際に木材が浮かないように、重石をつけるか、ロープ等で縛って耐圧容器内に固定する。
耐圧容器を密閉し、真空ポンプで耐圧容器内を50〜100hPa程度に減圧する。この減圧状態を30〜60分程度継続する。
この後、耐圧容器内外の圧力差を利用して、前記水溶液を耐圧容器内に注入するともに、圧力差を利用した注入が困難になった後、液送りポンプを利用して耐圧容器内を可能な限り前記水溶液で満たす。さらに、プランジャーポンプ等を用いて前記水溶液を耐圧容器に送り込んで、0.5〜1.5MPaの加圧状態とする。
この加圧状態を1〜24時間維持した後、解圧する。
解圧後、液送りポンプを逆回転させて耐圧容器内の余剰の強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液(例えば、塩化マグネシウム水溶液)を回収し、木材を耐圧容器から取り出す。
なお、木材を耐圧容器から取り出す前に、耐圧容器内を減圧にして、木材中の永久空隙にある余剰の前記水溶液を回収することもある。
上述した加圧式注入法では、耐圧容器内外の圧力差を利用したり、液送りポンプを用いたりして耐圧容器を強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液(例えば、塩化マグネシウム水溶液)で満たしていたが、前記水溶液ではなくコンプレッサー等を用いて圧縮空気を耐圧容器内に充填することで、耐圧容器の内部を0.5〜1.5MPaの加圧状態とすることも可能である。
この場合、ステンレス製の箱型容器を用い、浮かないように重石あるいはロープ等で被処理木材を固定し、前記水溶液で箱形容器を満たした後、圧力容器に入れ、真空ポンプで減圧する。あるいは、被処理木材を固定した箱形容器を圧力容器に入れた後、真空ポンプでの減圧と、箱形容器内へ前記水溶液の導入を行った後、圧縮空気で加圧する。
また、この場合も0.5〜1.5MPaの加圧状態を1〜24時間維持した後、解圧する。
その後、前記水溶液の回収と、木材の取り出し作業を実施する。
強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液(例えば、塩化マグネシウム水溶液)が含浸させられた木材は、一般的な木材乾燥法により乾燥させる。すなわち、木材に対して天然乾燥や、水蒸気等を用いた人工乾燥を行うのである。この木材を乾燥させる工程では、木材中に自由水がない状態或いはそれ以下にまで乾燥させる。
なお、天然乾燥より人工乾燥を用いた方が、乾燥させる工程に要する時間を短くすることができるので、より好都合である。
また、この乾燥工程とこの後に行う加熱工程を同一の装置を用いて行うことも可能である。
加熱工程での木材の重量減少率は、10%以上25%以下であることが好ましく、塩の水溶液の濃度は、0.5%以上2%以下であることが好ましい。
また、加熱する工程での温度は、120℃以上200℃以下であることが好ましい。
熱処理によって耐久性、特に木材腐朽菌に対する抵抗性(以下、「耐朽性」という)が発現したことを確かめる方法としては、JIS K1571 「木材保存剤―性能及びその試験方法」、あるいはJIS Z2101 「木材の試験方法 耐朽性」に基づく室内ビン試験がある。
前者は木材保存剤の評価試験方法であり、薬剤を木材中に含浸処理した際の防腐効果を評価する方法である。
従って、薬剤が流脱することによる防腐効力の低下をみるために、木材腐朽菌(例えば、オオウズラタケ、カワラタケ)を用いての「抗菌操作」の前に、木材試験片を水中に浸漬させる工程と乾燥工程を10回繰り返す「耐候操作」を実施することになっている。
つまり、この評価試験方法では、風雨が常時直接かかるような厳しい環境下での耐朽性を評価することになる。
一方、後者は木材そのものの耐朽性を評価する規格であり、耐候操作を行わず、直接抗菌操作を行うので、床下など湿潤ではあるが、直接あるいは常時風雨に曝される環境ではない場所に使用した際の耐朽性を評価することになる。
本発明者がスギ辺材を処理が施される木材として、種々の条件で熱処理のみを行い、上述した2つの方法でその耐朽性を評価したところ、熱処理に伴い生じる重量減少率(主にヘミセルロースの熱分解によって発生することは、既に述べたとおりである)と、耐朽性との間には明確な関係が認められた。
すなわち、JIS K1571 での評価では、熱処理に伴う重量減少率が15%か、それ以上になると高い耐朽性の発現が認められた(図1参照)。
一方、JIS Z2101 での評価では、熱処理に伴う重量減少率が10%か、それ以上で高い耐朽性の発現が認められた(図2参照)。
これにより、加熱工程での木材の重量減少率は、10%以上25%以下であることが好ましいことが確認された。
加熱工程には、高温乾燥が可能な木材乾燥装置を用いることも可能であるし、過熱水蒸気や窒素ガス置換、あるいは真空かそれに近い状態を保つことが可能で、無酸素状態を作り出せる専用の熱処理装置を用いることも当然可能である。
前述の乾燥工程を終えた木材を装置内に入れ、120℃以上200℃以下、好ましくは150℃から180℃の環境下に一定時間、たとえば、2 時間〜72時間置き、木材成分、主にヘミセルロースの熱分解と熱変性を生じさせる。
200℃以上では、前述したとおり、不活性ガス等に置換しないと発火の恐れがあり、一方、120℃以下では熱分解がほとんど生じない。不活性ガスを用いなくとも発火の恐れがまったくなく、かつ熱分解が適度に進む温度域は150℃から180℃である。
このとき生じる重量減少は耐久性の発現という観点では、前述したとおり、10%以上、好ましくは15%以上である。一方、重量減少が多くなると、木材の強度的な劣化が顕著になるので、その点を考慮すると25%以下、好ましくは20%以下である。
つまり、熱処理による重量減少は10%以上25%以下、好ましくは15%以上20%以下である。
木材成分の熱分解が生じたことは、木材の処理前後の全乾重量を測定し、処理によってそれが減少していることを確認することで容易に確かめられる。また、ヘミセルロースが変性したことは、クラーソンリグニンを定量した際、その絶対量が熱処理によって、無処理時よりも増加することにより推察できる。
本発明によるところの「強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液」は、200℃以下の温度でも木材の熱分解を促進させる効果があり、それらを用いないで200℃以上の高温で処理をしたときと同じ現象を生じさせていると考えられるので、どのような条件で、木材の重量減少率が10%あるいは15%を超えるかについて検討をした。その際の条件等を以下の実施例1〜12で示す。
実施例1)
処理が施される木材には、気乾状態で接線方向(T)30mm×半径方向(R)30mm×長さ方向(L)80mmに切削加工したスギ辺材を105℃で全乾状態として用いた。
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液として塩化マグネシウム水溶液を用いた。木材の重量測定(W1)を行った後、ステンレス製のバットの中に入れ、あらかじめ調製しておいた2.0%の塩化マグネシウム水溶液を注ぎ、ステンレス製の重石を用いて液中に沈めた。そのバットを加圧式注入缶に入れ、真空ポンプで脱気して、およそ50hPaの減圧下に1時間、続いてコンプレッサを用いて1.3MPaの加圧下に2時間、さらに解圧後液中にて1昼夜放置した。
塩化マグネシウム水溶液中から木材を取り出し、塩化マグネシウム水溶液の注入量を測定した後、50℃の送風乾燥機中で3日間、続いて105℃に昇温して1日間乾燥させ、全乾状態とした。
その後、木材の重量測定(W2)をした後、過熱水蒸気を満たした熱処理装置内に入れて、木材の材温が200℃になるように装置を調整して、2 時間処理を行った。木材の材温が150℃以下になったときに取り出し、重量測定(W3)を行った。熱処理に伴う木材の重量減少率を式(W2−W3)/W1×100により求めたところ、目標としていた15%を超え、5体の平均で15.6%となった。
実施例2)
熱処理の温度を180℃、時間を20時間とした以外は実施例1と同様の処理を行ったときの重量減少率は15.7%になった。
実施例3)
塩化マグネシウム水溶液の濃度を1.0%とした以外は実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、13.2%になった。
実施例4)
熱処理の温度を160℃、時間を72時間とした以外は実施例3と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、12.3%になった。
実施例5)
塩化マグネシウム水溶液の濃度を0.5%とした以外は実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、10.4%になった。
実施例6)
塩化マグネシウム水溶液の濃度を0.5%とした以外は実施例4と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10.0%ちょうどになった。
実施例7)
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液として、塩化マグネシウム水溶液に代えて1.0%の塩化カルシウム水溶液を用いた以外は、実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、10.2%になった。
実施例8)
熱処理の温度を160℃、時間を72時間とした以外は実施例7と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、10.7%になった。
実施例9)
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液として、塩化マグネシウム水溶液に代えて1.0%の硫酸銅水溶液を用いた以外は、実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた15%を超え、19.8%になった。
実施例10)
熱処理の温度を160℃、時間を72時間とした以外は実施例9と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた15%を超え、21.4%になった。
実施例11)
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液として、塩化マグネシウム水溶液に代えて1.0%の硫酸アンモニウム水溶液を用いた以外は、実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、14.0%になった。
実施例12)
熱処理の温度を160℃、時間を72時間とした以外は実施例11と同様の処理を行ったときの重量減少率は、目標としていた10%を超え、14.8%になった。
従って、上記の実施例1〜12における木材の重量減少率は、高耐久性の目標となる10%以上かつ25%以下の範囲に収まる15.6%、15.7%、13.2%、12.3%、10.4%、10.0%、10.2%、10.7%、19.8%、21.4%、14.0%、14.8%となった。
また、上述した実施例1〜12では、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液の例として、塩化マグネシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、硫酸銅水溶液又は硫酸アンモニウム水溶液を挙げたが、他には塩化亜鉛、塩化ニッケル水溶液、硫酸塩、硝酸塩等の水溶液がある。
比較例1)
処理が施される木材には、実施例1〜12と同様、気乾状態で接線方向(T)30mm×半径方向(R)30mm×長さ方向(L)80mmに切削加工したスギ辺材を105℃で全乾状態として用いた。
木材の重量測定(W1)を行った後、過熱水蒸気を満たした熱処理装置内に入れて、木材の材温が200℃になるように装置を調整して、2 時間処理を行った。木材の材温が150℃以下になったときに取り出し、重量測定(W3)を行った。熱処理に伴う木材の重量減少率を式(W1−W3)/W1×100により求めたところ、目標としていた10%、あるいは15%をはるかに下回る3.2%になり、耐朽性の発現は期待できなかった。
比較例2)
熱処理の温度を180℃、時間を24時間とした以外は比較例1と同様の処理を行ったときの重量減少率は4.0%であり、耐朽性の発現は期待できなかった。
比較例3)
熱処理の温度を160℃、時間を72時間とした以外は比較例1と同様の処理を行ったときの重量減少率は2.5%であり、耐朽性の発現は期待できなかった。
このように触媒を用いないで、木材単独で熱処理をする場合、200℃以下の温度では、目標とする重量減少率にはるかに及ばす、耐朽性の発現は期待できないことが明らかになった。
比較例4)
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液に代えて、弱酸と弱塩基からなる塩の水溶液である1.0%のホウ酸アンモニウム水溶液を用いた。それ以外は実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は4.3%であり、耐朽性の発現は期待できなかった。
比較例5)
熱処理の温度を160℃、時間を72時間とした以外は比較例4と同様の処理を行ったときの重量減少率は4.7%であり、耐朽性の発現は期待できなかった。
比較例6)
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液に代えて、強酸と強塩基からなる塩の水溶液である1.0%の塩化ナトリウム水溶液を用いた。それ以外は実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は6.2%であり、耐朽性の発現は期待できなかった。
比較例7)
強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液に代えて、弱酸と強塩基からなる塩の水溶液である1.0%の炭酸ナトリウム水溶液を用いた。それ以外は実施例2と同様の処理を行ったときの重量減少率は3.2%であり、耐朽性の発現は期待できなかった。
このように強酸と弱塩基からなる塩以外の水溶液では、熱処理時の分解を促進する効果は認められず、強酸と弱塩基からなり、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液にのみ、そのような触媒的な効果が認められることを見出した。
かかる比較例1〜7における木材の重量減少率は、高耐久性の目標となる10%以上かつ25%以下の範囲に収まらない3.2%、4.0%、2.5%、4.3%、4.7%、6.2%、3.2%となり、高耐久性は確保されないことが明白となった。
なお、上述した実施例では、常温ではほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液を木材に対して含浸させるとしたが、含浸させることができるのであれば、前記水溶液の木材への塗布、前記水溶液の木材への噴霧あるいは前記水溶液への木材の浸漬でであってもよいことはいうまでもない。

Claims (7)

  1. 強酸と弱塩基とからなり、常温でほぼ中性から弱酸性を示す塩の水溶液で木材を処理する工程と、前記木材を乾燥させる工程と、前記木材を加熱する工程とを具備したことを特徴とする高耐久性木材の製造方法。
  2. 前記塩の水溶液での処理は、木材に水溶液を含浸させる処理であることを特徴とする請求項1記載の高耐久性木材の製造方法。
  3. 前記木材に水溶液を含浸させる処理は、水溶液の含浸、水溶液の塗布、水溶液の噴霧、水溶液への浸漬のいずれであることを特徴とする請求項2記載の高耐久性木材の製造方法。
  4. 前記加熱する工程での木材の重量減少率は、10%以上25%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の高耐久性木材の製造方法。
  5. 前記塩の水溶液の濃度は、0.5%以上2%以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の高耐久性木材の製造方法。
  6. 前記加熱する工程での温度は、120℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の高耐久性木材の製造方法。
  7. 前記塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸銅又は硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の高耐久性木材の製造方法。
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