JP2018150657A - 成形用不織布及び自動車用外装材 - Google Patents

成形用不織布及び自動車用外装材 Download PDF

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【課題】 吸音性と剛性とを両立できる成形用不織布、及び自動車用外装材を提供すること。【解決手段】 本発明の成形用不織布は、厚さが3〜10mmの嵩高不織布層の片面又は両面に、表面不織布層を有する成形用不織布であり、前記表面不織布層は連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって繊維が固定された、引張弾性勾配が150N/mm以上であり、通気度が0.1〜4.0cm3/cm2/sec.の不織布層、からなる。また、本発明の自動車用外装材は、前記成形用不織布を成形したものである。【選択図】 図1

Description

本発明は成形用不織布及び自動車用外装材に関する。本発明の成形用不織布は成形して、例えば、フェンダライナー、エンジンアンダーカバー、ボディアンダーカバーなどの自動車用外装材として、好適に使用できる。
従来から自動車の吸音材として、繊維シートを積層した積層体が提案されている。例えば、「その目付けが10〜300g/m、通気度が1.5〜10cc/cm/sec、構成繊維の平均繊度が0.1〜2dtexである不織布と、その密度が0.01〜0.10g/cm、厚みが5〜100mm、構成繊維の平均繊度が0.5〜10dtexである繊維構造体とが積層してなる吸音構造体であって、前記不織布からなる層が音源側に配されてなることを特徴とする吸音構造体。」(特許文献1)が提案されている。このような吸音構造体は吸音性には優れているものの、剛性が低いため、実際には自動車用途、特に、自動車の外装材用途に適用することは困難であった。
このような剛性の問題は、自動車用途に適用する場合に限らず、パーティション用途、壁紙用途など、他の用途に用いた場合にも生じる問題であった。
特開2004−145180号公報
本発明者が前記吸音構造体の剛性が低いことについて検討したところ、前記吸音構造体においては、通気度を1.5〜10cc/cm/secとすることによって吸音性を付与しているが、前記通気度とするために樹脂を含浸して調製しているためであることを見出した。つまり、樹脂を含浸した場合、繊維同士の交点を中心に樹脂が局在し、隣接する繊維同士の交点との繋がりがないため、剛性が低いことを突き止めた。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、吸音性と剛性とを両立できる成形用不織布、及び自動車用外装材を提供することを目的とする。
本発明の成形用不織布は、厚さが3〜10mmの嵩高不織布層の片面又は両面に、表面不織布層を有する成形用不織布であり、前記表面不織布層は連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって繊維が固定された、引張弾性勾配が150N/mm以上であり、通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.の不織布層、からなる。
なお、前記成形用不織布の曲げ弾性率が350MPa以上であること、前記表面不織布層を構成する繊維の繊度が2.2〜6.6dtexであることが好ましい。また、本発明の成形用不織布は有機成分のみからなるのが好ましい。
本発明の自動車用外装材は、前記成形用不織布を成形したものである。
本発明の成形用不織布は、表面不織布層を有し、この表面不織布層は連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって繊維が固定された、引張弾性勾配が150N/mm以上の剛性の優れるものである。また、表面不織布の通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.であるため、空気が振動しやすく、摩擦によって熱エネルギーとなって吸収されやすいことに加えて、厚さが3〜10mmの嵩高不織布層を備えているため、吸音性に優れている。
本発明の成形用不織布は曲げ弾性率が350MPa以上と、剛性が優れているのが好ましい。
また、表面不織布層を構成する繊維の繊度が2.2〜6.6dtexであると、より剛性の優れる成形用不織布であることができる。
更に、成形用不織布が有機成分のみからなると、作業性に優れ、使用後に廃棄処理しやすい成形用不織布である。つまり、剛性を付与するために、ガラス繊維等の無機繊維を使用することも考えられるが、ガラス繊維等の無機繊維は成形作業時等に指に刺さるなど、作業性が悪く、また、使用後に産業廃棄物として処理する必要があり、廃棄処理しにくいものであったのに対して、有機成分のみからなる成形用不織布は成形作業時等に刺さることがないため作業性に優れ、しかも使用後には焼却処理でき、廃棄処理しやすいものである。
本発明の自動車用外装材は前記成形用不織布を成形したものであるため、剛性と吸音性に優れるものである。
本発明の表面不織布表面の電顕写真 液状バインダで接着した不織布表面の電顕写真
本発明の成形用不織布は剛性が優れているように、表面不織布層として、連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂(以下、「PP樹脂」と表記することがある)によって繊維が固定された、引張弾性勾配が150N/mm以上の不織布層を備えている。また、吸音性に優れるように、表面不織布層の通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.であり、しかも厚さが3〜10mmの嵩高不織布層を備えている。
なお、「不織布層」とは、その層自体で取り扱うことのできる形態安定性を有する不織布の層を意味する。つまり、その層自体が絡合、接着、及び/又は融着によって、繊維同士が結合した不織布の状態にあることを意味する。そのため、未だ繊維同士が結合していない繊維ウエブの状態で積層した後、繊維同士を結合して不織布を製造した場合、不織布層は1層であり、2層以上の不織布層を有するものではない。
本発明の表面不織布層は剛性に優れているように、連続的に伸びるPP樹脂によって繊維が固定された構造を有する。つまり、従来のように、液状バインダで繊維を固定した場合には、図2に液状バインダで接着した不織布表面の電顕写真を示すように、繊維同士の交点を中心に樹脂が局在し、隣接する繊維同士の交点との繋がりがなく、剛性が低いのに対して、本発明の表面不織布層はPP樹脂が連続的に伸びていることによって、隣接する繊維と繋がっており、剛性の高い不織布層である。このようなPP樹脂が連続的に伸びている状態は、図1に一例を示すように、電顕写真を撮影することによって確認することができる。
なお、図1におけるPP樹脂は連続的にランダムに伸びている状態の表面不織布層は、例えば、ポリプロピレン系樹脂を含むポリプロピレン系繊維を含む繊維ウエブを形成した後、ポリプロピレン系樹脂を溶融させた後に固化させることによって製造できる。また、PP樹脂は連続的にランダムである必要はなく、規則正しく、一方向又は二方向へ連続的に伸びていても良い。このようなPP樹脂が規則正しく、一方向又は二方向へ連続的に伸びている状態の表面不織布層は、例えば、ポリプロピレン系樹脂を含むフィラメント、ヤーン等を繊維ウエブ上に揃えて載置した後、又はポリプロピレン系樹脂を含むフィラメント、ヤーン等からなるネット、織物等を繊維ウエブ上に載置した後、ポリプロピレン系樹脂を溶融させた後、固化させることによって製造できる。
このポリプロピレン系樹脂は比重が低いため、表面不織布層に占める固定に関与する樹脂の質量が同じである場合には、PP樹脂の占める体積が大きいため、表面不織布層の剛性が高くなる。また、表面不織布層に占める固定に関与する樹脂の体積が同じである場合には、PP樹脂の占める質量が小さいため、剛性が同程度であるにも関わらず、軽量又は薄い表面不織布層である。
このポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体であることもできるし、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン−1など)との共重合体であることもできる。より具体的には、例えば、結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合体、エチレン単位の含有量の少ないエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン単独重合体からなるホモ部とエチレン単位の含有量の比較的多いエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる共重合部とから構成されたプロピレンブロック共重合体、更に、前記プロピレンブロック共重合体における各ホモ部または共重合部が、更にブテン−1などのα−オレフィンが共重合した結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などを挙げることができる。
このような表面不織布層におけるPP樹脂の含有量は、表面不織布層の通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.となる量であれば良く、構成繊維の繊度によっても変化するため、特に限定するものではないが、例えば、構成繊維の繊度が0.5dtex以上、2.2dtex未満であるような小さい繊度である場合には、20〜60mass%であるのが好ましく、25〜55mass%であるのがより好ましい。また、構成繊維の繊度が2.2dtex以上、6.6dtex以下であるような大きい繊度である場合には、10〜75mass%であるのが好ましく、20〜60mass%であるのがより好ましく、25〜50mass%であるのが更により好ましい。
本発明の表面不織布層は繊維が、前記のようなPP樹脂によって固定されたものであるが、繊維はPP樹脂の融点よりも融点又は分解点の高い(好ましくは10℃以上高い、より好ましくは20℃以上高い、更に好ましくは30℃以上高い)樹脂からなる繊維であれば良い。通常、PP樹脂の融点は160℃であるため、160℃よりも高い(好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは190℃以上)融点又は分解点を有する樹脂からなる繊維であれば良い。
より具体的には、表面不織布層構成繊維は、例えば、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維、ナイロン系繊維、ビニロン繊維、ポリ乳酸繊維などの合成繊維;レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維などの再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維などの半合成繊維;綿、麻などの植物繊維;羊毛、絹などの動物繊維;などを挙げることができる。これらの中でもポリエステル系繊維は耐熱性、耐候性、防汚性等に優れているため好適である。
また、表面不織布層構成繊維は単一樹脂成分から構成されていても良いし、二種類以上の樹脂成分から構成されていても良い。表面不織布層構成繊維が二種類の樹脂成分から構成されている場合、例えば、繊維横断面における配置がサイドバイサイド型、芯鞘型、偏芯型、多層積層型、又はオレンジ型であることができる。
なお、表面不織布層構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、表面不織布層の通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.となりやすいように、6.6dtex以下であるのが好ましく、4.4dtex以下であるのがより好ましく、3.3dtex以下であるのが更に好ましい。一方で、表面不織布層の剛性が優れ、結果として成形用不織布の剛性が優れているように、表面不織布層構成繊維の繊度は0.5dtex以上であるのが好ましく、0.8dtex以上であるのがより好ましく、1.1dtex以上であるのが更に好ましく、2.2dtex以上であるのが更に好ましい。なお、表面不織布層構成繊維として、繊度の異なる繊維を2種類含んでいる場合、次の式により算出される平均繊度が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。また、繊度の異なる繊維を3種類以上含んでいる場合も同様にして算出した値が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。
Fav=1/[(Pa/100)/Fa+(Pb/100)/Fb]
ここで、Favは平均繊度(単位:dtex)、Paは一方の繊維Aの質量割合(単位:mass%)、Faは繊維Aの繊度(単位:dtex)、Pbは他方の繊維Bの質量割合(単位:mass%)、Fbは繊維Bの繊度(単位:dtex)をそれぞれ意味する。なお、本発明における「繊度」はJIS L 1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる値を意味する。
また、表面不織布層構成繊維の繊維長は特に限定するものではないが、均一な地合いの表面不織布層であるように、30〜80mmであるのが好ましく、40〜70mmであるのがより好ましく、50〜60mmであるのが更に好ましい。本発明における「繊維長」はJIS L 1015:2010、8.4.1[補正ステープルダイヤグラム法(B法)]により得られる値を意味する。
なお、表面不織布層構成繊維は着色した繊維であることができる。このように着色した繊維であることによって、成形用不織布の意匠性を高めることができる。なお、この着色した繊維は、例えば、繊維に顔料を練り込むことによって、又は繊維を染料で染色することによって、得ることができる。
また、表面不織布層は、樹脂成分の種類、数、及び/又は断面における配置;繊度、繊維長、着色の有無、などの点で相違する2種類以上の繊維を含むことができる。
本発明の表面不織布層は剛性が優れているように、繊維同士は絡合しているのが好ましい。このような絡合は、例えば、繊維ウエブに対してニードル又は水流を作用させることにより付与できる。
本発明の表面不織布層は上述の通り、連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって繊維が固定された不織布層であり、成形用不織布に剛性を付与できるように、引張弾性勾配が150N/mm以上である。この引張弾性勾配が大きければ大きい程、成形用不織布に剛性を付与できるため、160N/mm以上であるのが好ましく、165N/mm以上であるのがより好ましい。なお、引張弾性勾配の上限は特に限定するものではないが、成型後に応力が残り、形状変化を起こすことがないように、300N/mm以下であるのが好ましい。なお、この「引張弾性勾配」は、成形用不織布から表面不織布層を剥がした後における引張弾性勾配を意味し、次の手順により得られる値である。
(1)表面不織布層から、長手方向に200mm、長手方向と直交する方向に50mmの試験片を3枚採取する。
(2)試験片の厚さ(d、単位:mm)を、接触面積5cm、押圧力2.0kPaの条件下でそれぞれ測定する。
(3)引張試験機[インストロン社製]を用い、チャック間距離100mm、引張速度200mm/min.の条件で引張試験を行い、引張弾性率(Em、単位:N/m)をそれぞれ測定する。
(4)次の式から、引張弾性勾配(TEG、単位:N/mm)をそれぞれ算出する。
TEG=Em×d
(5)3枚の試験片の引張弾性勾配の算術平均値を算出し、本発明の引張弾性勾配とする。
また、本発明の表面不織布層は吸音性を成形用不織布に付与できるように、通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.であるが、より吸音性に優れるように、0.2〜3.8cm/cm/sec.であるのが好ましく、0.3〜3.6cm/cm/sec.であるのがより好ましい。この「通気度」は、表面不織布層から採取した3枚の試験片について、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」に規定される6.8.1(フラジール形法)によって通気度を測定し、各試験片の通気度の算術平均した値を、本発明の通気度とする。なお、試験片は成形用不織布から表面不織布層を剥がして調製する。
本発明の表面不織布層の目付、厚さは、前述のような通気度を有するのであれば良く、特に限定するものではないが、目付は100〜400g/mであるのが好ましく、150〜350g/mであるのがより好ましく、200〜300g/mであるのが更に好ましい。また、厚さは0.20〜0.50mmであるのが好ましく、0.25〜0.45mmであるのがより好ましく、0.30〜0.40mmであるのが更に好ましい。なお、本発明における「目付」は最も面積の広い面における1mあたりの質量をいい、「厚さ」は20g/cm荷重時の厚さをいう。
このような本発明の表面不織布層を構成する表面不織布は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、前述のような表面不織布層構成繊維(好ましくはポリエステル系繊維)を用意する。また、PP樹脂の基となるポリプロピレン系樹脂を含むポリプロピレン系繊維(以下、単に「PP繊維」と表記することがある)を用意する。
このPP繊維はPP樹脂のみから構成されていても良いし、PP樹脂以外の樹脂を含んで構成されていても良い。例えば、PP繊維が二種類の樹脂成分から構成されている場合、例えば、繊維横断面における配置がサイドバイサイド型、芯鞘型、偏芯型、多層積層型、又はオレンジ型であることができる。これらの中でも、PP繊維がPP樹脂のみから構成されていると、表面不織布層構成繊維の固定に関与できるPP樹脂量が多いため好適である。
なお、PP繊維の繊度は特に限定するものではないが、表面不織布層の通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.となりやすいように、また、表面不織布層の剛性が優れているように、1.1〜11.0dtexであるのが好ましく、2.2〜8.8dtexであるのがより好ましく、3.3〜6.6dtexであるのが更に好ましい。なお、PP繊維として、繊度の異なる繊維を2種類以上含んでいる場合、前述と同様の式によって算出される平均繊度が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。
また、PP繊維の繊維長は特に限定するものではないが、連続的に伸びる状態で表面不織布構成繊維を固定できるように、また、均一な地合いの表面不織布であるように、30〜80mmであるのが好ましく、40〜70mmであるのがより好ましく、50〜60mmであるのが更に好ましい。
なお、PP繊維も着色した繊維であることができる。このように着色したPP繊維であることによって、表面不織布層構成繊維による成形用不織布の意匠性を損なわない。なお、この着色したPP繊維は、例えば、PP繊維に顔料を練り込むことによって、又はPP繊維を染料で染色することによって、得ることができる。また、表面不織布層は、PP樹脂の種類、数、及び/又は断面における配置;繊度、繊維長、着色の有無、などの点で相違する2種類以上のPP繊維を含むことができる。
次いで、前述のような表面不織布層構成繊維とPP繊維とを含む繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブはどのような方法で形成しても良いが、例えば、カード法、エアレイ法などの乾式法又は湿式法により形成することができる。これらの中でも、剛性が優れるように、ある程度の厚さを有するのが好ましいため、乾式法により繊維ウエブを形成するのが好ましい。
なお、繊維ウエブ構成繊維の配向方向は特に限定するものではないが、PP繊維に由来するPP樹脂による固定が連続的であり、しかも均一であるように、繊維ウエブの長手方向に対して、交差しているのが好ましい。このように構成繊維が交差した繊維ウエブは、例えば、一方向に配向したカードウエブをクロスレイヤー等により短手方向に配向させることにより得ることができる。
次いで、この繊維ウエブを構成するPP繊維のPP樹脂を溶融させた後、固化させることによって、本発明の表面不織布を得ることができるが、剛性をより高めることができるように、ニードル又は水流によって、繊維同士を絡合させるのが好ましい。特に、ポリプロピレン樹脂が溶融した際に移動しにくく、ポリプロピレン樹脂が溶融する前の位置に留まり、連続的に伸びる状態で繊維を固定できるように、ニードルによって強く絡合するのが好ましい。なお、絡合条件は表面不織布の剛性等も考慮して適宜設定すれば良く、特に限定するものではないが、好適であるニードルによって絡合する場合には、針密度100〜300本/cmで絡合するのが好ましく、150〜250本/cmで絡合するのがより好ましい。
そして、繊維ウエブ(好ましくは絡合した繊維ウエブ)を構成するPP繊維を溶融させた後、固化させることによって、本発明の表面不織布を製造することができる。このPP繊維の溶融・固化は、加熱と加圧を同時に行って、又は加熱後に加圧することによって実施できる。例えば、加熱ロール、平板プレス機等を用いれば加熱と加圧を同時に実施することができ、オーブン等により加熱した後、加熱温度よりも低い温度の一対のロール、平板プレス機等によって加圧すれば、加熱と加圧を別に実施することができる。なお、加熱条件は、連続的に伸びるPP樹脂によって繊維が固定された、通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.の表面不織布層とすることのできる条件であれば良く、特に限定するものではないが、PP樹脂の融点以上(160℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上)で、表面不織布層構成繊維の融点未満の温度に加熱するのが好ましい。なお、加圧条件は加熱条件等によって異なるため、前記通気度となるように、適宜設定する。
以上は繊維ウエブ中にPP繊維を含ませて表面不織布を製造する方法であるが、PP繊維を含む、又は含まない繊維ウエブに対して、ポリプロピレン系樹脂を含むフィラメント、ヤーン等を揃えて載置した後、又はポリプロピレン系樹脂を含むフィラメント、ヤーン等からなるネット、織物等を載置した後、上述の方法と同様に、フィラメント、ヤーン、ネット、織物等を構成するポリプロピレン系樹脂を溶融させた後、固化させることによっても、本発明の表面不織布を製造することができる。
本発明の成形用不織布は前述のような表面不織布層に加えて、吸音性及び剛性が優れているように、厚さが3〜10mmの嵩高不織布層を有する。好ましい嵩高不織布層の厚さは4〜8mmであり、より好ましい嵩高不織布層の厚さは4〜6mmである。なお、この「厚さ」は2.0kPa荷重時の成形用不織布の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における、嵩高不織布層の厚さの算術平均値を意味する。
本発明の嵩高不織布層を構成する繊維は特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維、ナイロン系繊維、ビニロン繊維、ポリ乳酸繊維などの合成繊維;レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維などの再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維などの半合成繊維;綿、麻などの植物繊維;羊毛、絹などの動物繊維;などを挙げることができる。これらの中でもポリエステル系繊維は耐熱性、耐候性、防汚性等に優れているため好適である。
なお、嵩高不織布層構成繊維は単一樹脂成分から構成されていても良いし、二種類以上の樹脂成分から構成されていても良い。嵩高不織布層構成繊維が二種類の樹脂成分から構成されている場合、例えば、繊維横断面における配置がサイドバイサイド型、芯鞘型、偏芯型、多層積層型、又はオレンジ型であることができる。
なお、嵩高不織布層構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、嵩高不織布層構成繊維同士の結合点、及び嵩高不織布層と表面不織布層との結合点が多く、嵩高不織布層によっても成形用不織布に剛性を付与できるように、1.1〜11dtexであるのが好ましく、2.2〜8.8dtexであるのがより好ましく、3.3〜7.7dtexであるのが更に好ましい。なお、嵩高不織布層構成繊維として、繊度の異なる繊維を2種類以上含んでいる場合、前述の式により算出される平均繊度が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。
また、嵩高不織布層構成繊維の繊維長は特に限定するものではないが、均一な地合いの嵩高不織布層であるように、30〜80mmであるのが好ましく、40〜70mmであるのがより好ましく、50〜60mmであるのが更に好ましい。
なお、嵩高不織布層構成繊維は着色した繊維であることができ、特に、表面不織布層構成繊維と同系統色に着色していると、成形時における透けを防止し、外観を損ないにくいため、表面不織布層構成繊維と同系統の色相に着色した繊維であるのが好ましい。なお、この着色した繊維は、例えば、繊維に顔料を練り込むことによって、又は繊維を染料で染色することによって、得ることができる。
また、嵩高不織布層は、樹脂成分の種類、数、及び/又は断面における配置;繊度、繊維長、着色の有無、などの点で相違する2種類以上の繊維を含むことができる。
本発明の嵩高不織布層は剛性が優れているように、繊維同士が融着しているのが好ましい。このように繊維同士が融着した嵩高不織布は、例えば、熱融着性繊維を含む繊維ウエブを形成した後、熱融着性繊維を融着させることにより得ることができる。なお、熱融着性繊維は単一樹脂成分から構成されていても良いし、二種類以上の樹脂成分から構成されていても良いが、融着後も繊維形態を維持し、嵩高不織布層の剛性が優れているように、二種類以上の樹脂成分から構成されているのが好ましい。例えば、高融点樹脂成分と低融点樹脂成分とを有し、繊維横断面における配置がサイドバイサイド型、芯鞘型、偏芯型、多層積層型、又はオレンジ型である熱融着性繊維の、低融点樹脂成分のみが融着していることによって、剛性の優れる嵩高不織布層であることができる。
また、本発明の嵩高不織布層は剛性が優れているように、繊維同士は絡合しているのが好ましい。このような絡合は、例えば、繊維ウエブに対してニードル又は水流を作用させることにより付与できる。より嵩高な嵩高不織布層であることができるように、ニードルの作用によって絡合しているのが好ましい。なお、上述のように、嵩高不織布層構成繊維は繊維同士が融着しているのが好ましいため、絡合しているとともに融着しているのが好ましい。このような嵩高不織布を製造する上では、繊維同士の融着を破壊することがないように、また、繊維同士の交差点の多い状態で融着しており、より剛性の優れる嵩高不織布であるように、熱融着性繊維を含む繊維ウエブをニードル又は水流で絡合した後に、熱融着性繊維を融着させるのが好ましい。
このような嵩高不織布層の目付は、前述のような厚さであれば良く、特に限定するものではないが、500〜2000g/mであるのが好ましく、700〜1800g/mであるのがより好ましく、900〜1500g/mであるのが更に好ましい。
このような本発明の嵩高不織布層を構成する嵩高不織布は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、前述のような嵩高不織布層構成繊維(好ましくはポリエステル系繊維、熱融着性繊維)を用意する。
次いで、前述のような嵩高不織布層構成繊維(好ましくはポリエステル系繊維と熱融着性繊維)を用いて、繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブはどのような方法で形成しても良いが、嵩高な繊維ウエブを形成しやすい、カード法、エアレイ法などの乾式法により形成するのが好ましい。
なお、繊維ウエブ構成繊維の配向方向は特に限定するものではなく、一方向性であっても、規則的に交差していても、ランダムであっても良い。
次いで、嵩高不織布の剛性を高めることができるように、ニードル又は水流によって、繊維同士を絡合させるのが好ましい。特に、嵩高不織布は嵩高であるため、ニードルによって絡合するのが好ましい。なお、絡合条件は嵩高不織布の厚さ、剛性等を考慮して適宜設定すれば良く、特に限定するものではないが、好適であるニードルによって絡合する場合には、針密度50〜400本/cmで絡合するのが好ましく、100〜300本/cmで絡合するのがより好ましい。
そして、繊維ウエブ(好ましくは絡合した繊維ウエブ)を構成する熱融着性繊維を融着させることによって、嵩高不織布を製造するのが好ましい。この熱融着性繊維による融着は、例えば、加熱と加圧を行って、又は無加圧下で加熱のみを行なうことによって、実施できる。特に、加熱と加圧を行なうと、剛性の優れる嵩高不織布を製造することができるため、好適な製造方法である。なお、加熱と加圧は、加熱ロール、平板プレス機等を用いて、同時に実施することができるし、オーブン等により加熱した後、加熱温度よりも低い温度の一対のロール、平板プレス機等によって加圧し、加熱と加圧を別に実施することができる。加熱条件は、熱融着性繊維が融着する温度であれば良く、特に限定するものではないが、熱融着性繊維の低融点樹脂成分の融点以上(好ましくは10℃以上高い温度、より好ましくは20℃以上高い温度、更に好ましくは30℃以上高い温度)で、嵩高不織布構成繊維の融点未満の温度に加熱するのが好ましい。なお、加圧条件は加熱条件等によって異なるため、適宜設定する。
以上は、ニードルパンチ等により絡合した後に、熱融着性繊維を融着させる嵩高不織布の製造方法であるが、熱融着性繊維を融着させることなく、ニードルパンチ等により絡合のみしたものを嵩高不織布とすることができるし、ニードルパンチ等により絡合することなく、熱融着性繊維の融着のみさせたものを嵩高不織布とすることもできる。
本発明の成形用不織布は前述のような表面不織布層を嵩高不織布層の片面又は両面に有するため、表面不織布層の剛性に加え、と嵩高不織布層との組み合わせによって、剛性に優れている。より具体的には、成形用不織布は曲げ弾性率が350MPa以上であるのが好ましく、360MPa以上であるのがより好ましく、370MPa以上であるのが更に好ましく、380MPa以上であるのが更に好ましい。なお、成形用不織布の曲げ弾性率は特に限定するものではないが、成型後に応力が残り、形状変化を起こすことがないように、500MPa以下であるのが好ましい。
本発明の「曲げ弾性率」は、成形用不織布から採取した3枚の試験片について、JIS K 7171:2016、9.3(曲げ弾性率)に規定されているA法により、次の条件で曲げ弾性率を測定し、各試験片の曲げ弾性率を算術平均した値をいう。
(1)試験片:長手方向と直交する方向に50mmの幅で、長手方向に150mmの長さの長方形試験片
(2)加圧速度:20mm/min.
(3)支点間距離:100mm
(4)圧子の半径:2.25mm
(5)支持台の半径:2.00mm
本発明の成形用不織布は吸音性に優れるものであるが、具体的には、周波数1000Hzの吸音率及び周波数2000Hzの吸音率が、それぞれ0.16以上(好ましくは0.17以上)、0.40以上(好ましくは0.42以上)の吸音性に優れるものである。なお、周波数1000Hz、2000Hzの吸音率を例示したのは、自動車が走行時に車外へ発する騒音を抑制するために、周波数800〜2000Hz付近の吸音率が重視されるためである。なお、吸音率の測定は、成形用不織布から採取した3枚の試験片について、ブリュエル・ケアー社製の垂直入射法吸音率測定器を用い、JIS−A1405に準拠した測定方法で吸音率を測定し、これら試験片の吸音率の算術平均した値を、本発明の吸音率とする。
なお、本発明の成形用不織布は嵩高不織布の片面又は両面に表面不織布を有するが、両面に表面不織布を有する場合、表面不織布は同じであっても良いし、構成繊維の樹脂成分の種類、数、及び/又は断面における配置;構成繊維の繊度、繊維長、着色の有無;構成繊維の絡合の有無;表面不織布の引張弾性勾配;表面不織布の通気度;表面不織布の目付;表面不織布の厚さ、などの少なくとも一点で異なっていても良い。表面不織布層が異なる場合、少なくとも一方の表面不織布層の通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.、かつ引張弾性勾配が150N/mm以上であれば良い。
本発明の成形用不織布は前述のような嵩高不織布層と表面不織布層とを備えているが、成形用不織布は有機成分のみから構成されているのが好ましい。成形用不織布が有機成分のみからなると、作業性に優れ、使用後に廃棄処理しやすいためである。つまり、剛性を付与するために、ガラス繊維等の無機繊維を使用すると、ガラス繊維等の無機繊維が成形作業時等に指に刺さるなど、作業性が悪く、また、使用後に産業廃棄物として処理する必要があり、廃棄処理しにくいものであるのに対して、成形用不織布が有機成分のみからなると、成形作業時等に刺さることがないため作業性に優れ、しかも使用後には焼却処理でき、廃棄処理しやすいためである。
また、成形用不織布の目付及び厚さは適用用途によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、自動車用外装材として使用する場合には、吸音性及び剛性が優れているように、目付は600〜2800g/mであるのが好ましく、850〜2500g/mであるのがより好ましく、1100〜2100g/mであるのが更に好ましい。また、厚さは3.2〜11.0mmであるのが好ましく、4.25〜8.9mmであるのがより好ましく、4.3〜6.8mmであるのが更に好ましい。
このような成形用不織布は、例えば、嵩高不織布層の片面又は両面に表面不織布層を有するものであるが、嵩高不織布層と表面不織布層とは接着剤によって接着しているのが好ましい。この接着剤は、嵩高不織布層と表面不織布層の多孔性を損なうことがないように、嵩高不織布層構成繊維及び表面不織布層構成繊維の中で最も融点の低い樹脂成分よりも、融点が低い(好ましくは10℃以上低く、より好ましくは20℃以上低く、更に好ましくは30℃以上低い)樹脂(以下、「接着樹脂」ということがある)であるのが好ましい。一方、接着樹脂の融点が低すぎると、耐熱性が低下し、適用用途が限定されるため、80℃以上の融点をもつ接着樹脂であるのが好ましく、90℃以上の融点をもつ接着樹脂であるのがより好ましい。
このような接着樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。これらの中でもポリプロピレンは、接着温度が低く、また耐熱性も優れているため好適である。なお、接着樹脂は1種類であっても、2種類以上であっても良い。
このような接着樹脂は嵩高不織布層と表面不織布層との接着性に優れるように、固形状であるのが好ましい。より具体的には、接着樹脂はパウダー形状、繊維形状、又は不織布、織物、ネットなどの繊維シート形状を挙げることができる。これらの中でも、繊維シート形状であると、嵩高不織布と表面不織布との間に均一に介在しやすいため好適である。なお、接着樹脂がフィルム形態であると、通気性がなくなり、吸音性が悪くなるため、接着樹脂はフィルム形態ではなく、多孔性であるのが好ましい。
このような接着樹脂の量は特に限定するものではないが、嵩高不織布層と表面不織布層とが強固に接着していることができるように、また、表面不織布層の通気性を損なうことがないように、表面不織布層と嵩高不織布層との間の接着樹脂量は、8〜25g/mであるのが好ましく、10〜20g/mであるのがより好ましく、12〜18g/mであるのが更に好ましい。そのため、表面不織布層を2層有する場合は、成形用不織布全体としては、接着樹脂量は16〜50g/mであるのが好ましく、20〜40g/mであるのがより好ましく、24〜36g/mであるのが更に好ましい。
このような接着樹脂を使用した場合、嵩高不織布と表面不織布との間に、接着樹脂を介在させた状態で、接着樹脂の融点以上(好ましくは融点よりも10℃高い温度以上、より好ましくは融点よりも20℃高い温度以上、更に好ましくは融点よりも30℃高い温度以上)で、嵩高不織布構成繊維及び表面不織布構成繊維の中で最も融点の低い樹脂成分よりも、融点が低い(好ましくは10℃以上低く、より好ましくは20℃以上低く、更に好ましくは30℃以上低い)温度で、加熱し、接着樹脂を溶融させた後に固化させることによって、本発明の成形用不織布を製造することができる。なお、加熱の際、又は加熱後に加圧すると、嵩高不織布層と表面不織布層が強固に接着した成形用不織布とすることができる。
このような本発明の成形用不織布は吸音性と剛性を両立できるものであるため、各種用途に適用することができる。例えば、自動車用外装材、自動車用内装材、パーティション用途、壁紙用途などの用途に好適に適用することができる。
本発明の自動車用外装材は前述のような本発明の成形用不織布を成形したものであるため、吸音性と剛性の両方に優れるものである。本発明の自動車用外装材は、例えば、フェンダライナー、エンジンアンダーカバー、ボディアンダーカバーなどの所望形状に成形されたものである。
なお、成形方法は特に限定するものではないが、例えば、一対の型により加熱加圧成形する方法、成形用不織布を加熱(例えば、熱風循環熱処理機、遠赤外線加熱装置など)した後に、加熱温度よりも低い温度を有する一対の型により加圧成形する方法などがある。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
(1)表面不織布の製造;
顔料を練り込むことによりグレー色に着色した、ポリエステル樹脂のみからなる、繊度1.6dtex、2.2dtex、又は6.6dtexの原着ポリエステル繊維(融点:256℃、繊維長:51mm)を用意した。
また、顔料を練り込むことにより黒色に着色した、ホモプロピレンのみからなる原着ポリプロピレン繊維(繊度:4.4dtex、繊維長:51mm、融点:165℃)を用意した。
次いで、原着ポリエステル繊維と原着ポリプロピレン繊維とを表1に示す質量割合で混合し、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより、生産方向(長手方向)に対して、繊維ウエブ構成繊維を交差させて、クロスウエブを形成した。その後、クロスウエブの片面から、針密度200本/cmでニードルパンチ処理を行い、ニードルパンチウエブを製造した。
Figure 2018150657
次いで、実施例1〜5、比較例1〜3においては、前記ニードルパンチウエブを平板プレス機に供給し、温度190℃、圧力30kg/cmの条件下で加熱加圧することにより、原着ポリプロピレン繊維を完全に溶融・固化させて、ランダムに連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって、原着ポリエステル繊維が固定された表面不織布を、それぞれ製造した。
一方、比較例4においては、前記ニードルパンチウエブにアクリル酸エステルエマルジョンバインダを泡立て含浸し、温度160℃で乾燥した後、平板プレス機に供給し、温度190℃、圧力30kg/cmの条件下で加熱加圧して、バインダで繊維の交差点を接着した表面不織布を製造した。これら表面不織布の目付、厚さは表2に示す通りであった。
Figure 2018150657
(2)嵩高不織布の製造;
一方、顔料を練り込むことによりグレー色に着色した、ポリエステル樹脂のみからなる、繊度6.6dtex、繊維長51mmの原着ポリエステル繊維(融点:256℃)を用意した。
また、低融点ポリエステルを鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とする、芯鞘型複合熱融着性繊維(繊度:4.4dtex、繊維長:51mm、芯成分の融点:256℃、鞘成分の融点:180℃、芯成分が顔料により黒色に着色)を用意した。
次いで、原着ポリエステル繊維と芯鞘型複合熱融着性繊維とを50:50の質量割合で混合し、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより、生産方向(長手方向)に対して、繊維ウエブ構成繊維を交差させて、クロスウエブを形成した。その後、クロスウエブの片面から、針密度200本 /cmでニードルパンチ処理を行い、ニードルパンチウエブ(目付:1000g/m)を製造した。
その後、前記ニードルパンチウエブを熱風循環炉に供給し、温度200℃の熱風を循環させた後、平板プレス機へ供給し、温度30℃、圧力20kg/cmの条件下で加圧することにより、芯鞘型複合熱融着性繊維の鞘成分で融着した、厚さ5mmの嵩高不織布(目付:1000g/m)を製造した。
(3)接着剤の準備;
表面不織布と嵩高不織布の接着剤として、ポリプロピレン製スパンボンド不織布(融点:165℃、目付:15g/cm、厚さ:0.17mm)を用意した。
(4)成形用不織布の製造;
嵩高不織布の両面に対して、同じ表面不織布を、スパンボンド不織布を介して積層した5層積層体とした後、平板プレス機へ供給し、温度190℃、平板間隔5mmの条件下で加圧して、スパンボンド不織布を完全に溶融・固化させることにより嵩高不織布の両面に表面不織布を接着して、成形用不織布をそれぞれ製造した。これら成形用不織布の各種物性は表3に示す通りであった。なお、嵩高不織布のみの、1000Hz、2000Hzの吸音率を測定したところ、順に、0.08、0.19であった。
Figure 2018150657
実施例1〜5と比較例4との比較から、表面不織布層が連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって繊維が固定されていると、表面不織布層の引張弾性勾配が高く剛性に優れ、結果として、成形用不織布の剛性が優れていることが分かった。
また、実施例1〜5と比較例3との比較から、表面不織布層の引張弾性勾配が150N/mm以上であると、成形用不織布の剛性が優れていることが分かった。
更に、実施例1〜5と比較例1〜3との比較、また、実施例1〜5と嵩高不織布との比較から、通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.の表面不織布層を有すると、吸音性に優れていることが分かった。
更に、実施例2、4と実施例1、3、5との比較から、通気度が0.5〜2.0cm/cm/sec.であると、剛性と吸音性が特に優れていることが分かった。
本発明の成形用不織布は吸音性と剛性を両立できるものであるため、例えば、自動車用外装材、自動車用内装材、パーティション、壁紙などの用途に好適に適用することができる。特に、成形用不織布を所望形状に成形して、フェンダライナー、エンジンアンダーカバー、ボディアンダーカバーなどの自動車用外装材として好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 厚さが3〜10mmの嵩高不織布層の片面又は両面に、表面不織布層を有する成形用不織布であり、前記表面不織布層は連続的に伸びるポリプロピレン系樹脂によって繊維が固定された、引張弾性勾配が150N/mm以上であり、通気度が0.1〜4.0cm/cm/sec.の不織布層からなることを特徴とする、成形用不織布。
  2. 成形用不織布の曲げ弾性率が350MPa以上であることを特徴とする、請求項1記載の成形用不織布。
  3. 前記表面不織布層を構成する繊維の繊度が2.2〜6.6dtexであることを特徴とする、請求項1又は2記載の成形用不織布。
  4. 成形用不織布が有機成分のみからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形用不織布。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形用不織布を成形した自動車用外装材。
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