JP2017039453A - 車両用外装防音材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用外装防音材の立体的な形状に容易に成形できるように構成され、且つ撥水性及び着氷防止性と共に高い防音性能を発揮できる車両用外装防音材を提供する。【解決手段】PP樹脂繊維からなる第1繊維と、PET樹脂繊維からなる第2繊維とを交絡させたシート状の基材用不織布からなる基材層に対し、PP樹脂繊維からなる第1繊維と、PET樹脂繊維からなる第2繊維とを交絡させたシート状の補強層用不織布からなる補強層を重ねた三層構造のシート素材Aを作製し、プレス金型50でシート素材を加熱・加圧してシート素材を一体化するとともに、熱板と接する両補強用不織布の該外面に、それぞれ補強膜を生成してなる平板状部材Bを作製し、熱板55による加熱状態にある間に平板状部材Bを冷却成形型70で加圧冷却して、両補強層の外面に補強膜を残したままで所定の三次元形状の成形品Cに成形する。【選択図】図5

Description

本発明は、自動車外装材に関する。特に、本発明は、フェンダーライナ、エンジンアンダーカバー等の自動車外装材に関し、タイヤが跳ね上げた砂や小石等の衝突音を緩和することができ、且つ付着した氷が剥離し易いフェンダーライナ等の車両用外装防音材の製造方法に関する。
車両用外装防音材として、多数の短繊維を互いに絡合させた不織布を備えたものが知られている。不織布で形成された車両用外装防音材は、互いに絡合した繊維間に形成された無数の空隙が異物の衝突による衝撃を吸収するため、耐衝撃性や吸音性を有するものの、遮音性能が低く防音性能は十分ではない。さらに、車両用外装防音材に付着した水が内部にまで浸透するため、水が凍った場合、氷が内部にまで成長して剥離し難くなるという問題もある。
そのために、例えば特許文献1では、自動車外装用吸音材としてのアンダープロテクターが、高い吸音性能を発揮する不織布を備えている。この不織布は、主繊維とその主繊維よりも低い融点を有するバインダー繊維とを交絡させたシート状の不織布をプレス成形することにより成形される。さらに、不織布の表面を耐水性フィルムにより被覆するようになっている。この耐水性フィルムは、該不織布を成形する際のシート状の不織布の表面に密着された状態でプレス成形されることにより、バインダー繊維と融着された状態で不織布の下面に接着される。
また、別の方法によって不織布の表面に耐水性の薄膜を生成することも知られている。例えば、特許文献2では、エンジンカバー吸音材やエンジンアンダーカバー等の高温雰囲気下での吸音材として、ポリエステル繊維の通気コントロール層とポリエステル繊維の吸音層とを積層してなる不織布からなるものであって、通気コントロール層の表面が加熱・加圧により薄膜化加工されるようになっている。具体的には、通気コントロール層と吸音層とを積層してニードルパンチで一体化して、一体化したものを金属加熱ローラーとゴムローラー間を通して、通気コントロール層の表面を薄膜化加工するようになっている。
また、特許文献3では、自動車の内装材等として、PETのマトリックス繊維と芯鞘構造のPETの熱融着繊維とからなる不織布吸音材であって、熱処理により表面が膜状になっている。製造方法は、マトリックス繊維と熱融着繊維とからなる不織布の片面を加熱ローラー又は熱板で加圧して薄膜を形成している。
特開2002−348767号公報 特開2009−249803号公報 特開2000−199161号公報
特許文献1では、シート状の不織布の一方の表面に耐水性フィルムを重ねただけであり、耐変形性が不足する。また、耐水性フィルムを設けてない表面に付着した水が内部にまで浸透するため、水が凍った場合、氷が内部にまで成長して剥離し難くなるという問題もある。更に、シート状の不織布の表面に耐水性フィルムを重ねた状態でプレス成形することにより、耐水性フィルムをバインダー繊維と融着して接着するので、プレス時に溶融破壊されないように、耐水性フィルムはバインダー樹脂よりも高い融点を有することが必要であり、耐水性フィルム素材の選択上の制約が出てくる。
特許文献2では、通気コントロール層と吸音層とが、ポリエステル共重合体繊維(融点130℃)とを金属加熱ローラー(加熱温度160℃、ローラー圧170kg/cm)とゴムローラー間を通して、通気コントロール層の表面に薄膜を形成しているが、この不織布シートを車両用外装材の立体形状に成形する為に再度200℃に加熱するので、意図して形成した薄膜を破壊し、なくしている。
特許文献3では、マトリックス繊維と熱融着繊維とからなる不織布の片面を加熱ローラー又は熱板で加圧して薄膜を形成するので、平板状の不織布シートを得られる。しかし、車両用外装材の立体形状に成形することは開示されてない。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたもので、車両用外装防音材の立体的な形状に容易に成形することができるように構成され、着氷防止性と共に高い防音性能を発揮できる車両用外装防音材を提供することにある。
本発明では、不織布の表面に撥水性及び着氷防止性を達成できる薄膜を形成すると共に、この薄膜が残った状態で所定形状に成形でき、耐変形性に優れた車両用外装防音材が得られるようにした。
具体的には、請求項1の発明は、吸音作用を有する基材層と、該基材層の両面に一体に設けられた補強層とを備えた車両用外装防音材の製造方法であって、
該基材層の素材は、ポリプロピレン樹脂繊維からなる第1繊維と、このポリプロピレン樹脂よりも低い融点を有するバインダー繊維からなる第2繊維とを交絡させたシート状の基材用不織布からなり、
該両補強層の素材は、どちらもポリプロピレン樹脂繊維からなる第1繊維と、このポリプロピレン樹脂よりも低い融点を有するバインダー繊維からなる第2繊維とを交絡させたシート状の同じ補強用不織布からなり、
該基材用不織布は各補強用不織布に比較して、高い目付量であり、
該基材用不織布は各補強用不織布に比較して、該第1繊維を少なく、該第2繊維を多く含む不織布であり、
該基材用不織布の両側に該補強用不織布を重ねた三層構造のシート素材を作製し、
該シート素材の両補強用不織布の外表面に当接する型面が、加熱された平板状の熱板からなるプレス金型で該シート素材を加熱・加圧して、該熱板と接する両補強用不織布の該外表面に、それぞれ補強膜を生成してなる平板状部材を作製し、
該熱板による加熱状態にある間に、該平板状部材を冷却成形型で加圧しつつ冷却して、両補強層の該外表面に該補強膜を残したままで所定の三次元形状の成形品に成形することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、該熱板の加熱による加温状態が残存して、該平板状部材が三次元形状に成形できる状態にある間に、該平板状部材を冷却成形型で加圧しつつ冷却して、両補強層の該外表面に該補強膜を残したままで所定の三次元形状の成形品に成形することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、該熱板はヒータ加熱されるようになっていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、該冷却成形型が、冷却水で冷却されるようになっていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、バインダー繊維がPET樹脂であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、該基材用不織布は、400〜800g/mの目付量であり、該第1繊維が20〜40重量%で、該第2繊維が80〜60重量%からなり、各補強用不織布は、100〜300g/mの目付量であり、該第1繊維が60〜90重量%で、該第2繊維が40〜10重量%からなることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つにおいて、該シート素材を該プレス金型の該熱板で挟んで加熱・加圧する時に、該熱板の加熱温度が180〜240℃、該シート素材の加圧後の厚さ/加圧する前の厚さ=0.9〜0.85倍の厚さ比率に加圧し、加圧時間が20〜60秒であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つにおいて、該車両用外装防音材の厚さが3.5〜5.0mmであり、該補強膜の厚さが150〜300μmであることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つにおいて、該バインダー繊維は芯鞘構造であり、芯部分が高融点PET樹脂で、鞘部分が低融点PET樹脂であることを特徴とする。
該請求項1に記載の発明によれば、加熱・加圧して形成した補強膜を残したままで、所定の三次元形状に成形できるので、生成した補強膜が、破壊することなく残ったままで成形できる。両面が、同じ補強層であり且つ外表面に同じ補強膜を備えることにより、耐変形性、剛性が高まると共に、車両用外装防音材として求められる耐チッピング性、着氷防止性を備え、且つ高い防音性能を発揮できる。
請求項2の発明によれば、三次元形状に成形するために、平板状シートを再度加熱する必要が無いので、一旦生成された補強膜が再加熱によって破損する或いは消滅する、穴数が増える或いは微細な穴が大きくなる等の不具合を防止できる。また、再加熱の工程がないので、コストダウンできる。
請求項3の発明によれば、熱板はヒータ加熱されるようになっているので、シート素材を短時間で均等な温度に加熱でき、且つ熱板と接触する部分に補強膜を短時間でほぼ均等な厚さ、均等な通気性を確保して生成できる。
請求項4の発明によれば、冷却成形型が、冷却水で冷却されるようになっているので、冷却速度と立体成形形状のバランスを制御することが容易であり、補強膜を残したままで、所定の立体形状に成形できる。
請求項5の発明によれば、バインダー繊維がPET樹脂であるので、PP樹脂と良く絡んで一体形状にでき、車両用外装防音材を軽量で吸音性に優れ、低コストで得られる。
請求項6の発明によれば、基材用不織布及び各補強用不織布の目付量や第1繊維と第2繊維の割合を特定することで、吸音性に優れ、低コストで軽量な車両用外装防音材を容易に得られる。
請求項7の発明によれば、シート素材をプレス型で加熱・加熱する時の成形条件を設定することで、均等に接着された三層構造の平板状シートを一体に得ることができると共に補強層の外側面に補強膜を所定厚さで所定通気状態で確実に得ることができる。
請求項8の発明によれば、車両用外装防音材の厚さ、補強膜の厚さを特定することで、更に吸音性に優れ、低コストで軽量な車両用外装防音材を得られる。
請求項9の発明によれば、補強膜を所定厚さで所定通気状態で確実に得ることができ、吸音性に優れたものを得られる。
本発明の実施形態1に係る車両用外装防音材の1例としてフェンダーライナを取り付けた車両の前部を示す要部側面図である。 図1のII−II線拡大断面図であり、フェンダーライナ及びその周辺部分を示す。 実施形態1の車両用外装防音材の製造工程において、基材層の両面に補強層を積層して第1次積層シート素材Aを形成する製造装置を模式的に示す図である。 図3で得られた三層構造のシート素材Aの部分拡大断面図である。 実施形態1の車両用外装防音材の製造工程を示す図であり、(A)は、シート素材Aを平板状のプレス金型に載置した状態を示す図、(B)は、(A)の状態から平板状のプレス金型で加熱・加圧した状態を示す図、(C)は、(B)で得られた平板状部材Bを、成形金型で所定形状に成形する成形金型を示す図、(D)は、(C)の成形金型で成形された成形品Cの概略図である。 図5の(D)で得られた成形品Cの部分拡大図である。 本発明の実施例及び参考例について、プレス金型で加熱・加圧する時の成形条件や組成の配合割合を変更した場合を示す表である。 本発明の実施例について、基材層のPP樹脂及びPET樹脂の重量割合、目付量を変更した場合を示す表である。 各実施例及び参考例の性能を示す表である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る車両用外装防音材をフェンダーライナに適用した例を示す実施形態1に係わり、このフェンダーライナを取り付けた車両の前部を示す要部側面図である。図2は、図1のII−II線拡大断面図であり、フェンダーライナ及びその周辺部分を示す。図3は、図2のフェンダーライナに使用する実施形態1の車両用外装防音材の製造工程において、基材層の両面に補強層を積層して三層構造のシート素材Aを形成する製造装置を模式的に示す図である。図4は、図3で得られた三層構造のシート素材Aの部分拡大断面図であり、各層の厚さは実際の厚さよりも誇張して表示している。図5は、実施形態1の車両用外装防音材の製造工程を示す図である。図6は、図5で得られた成形品Cの部分拡大断面図であり、各層の厚さは実際の厚さよりも誇張して表示している。
車両1には、通常、前部の左右と後部の左右とにタイヤ2が配置され、これらのタイヤ2の上方にそれぞれホイールハウス3が配置されている。ホイールハウス3は、ホイールハウスパネルやホイールハウジングとも呼ばれ、車体の一部を構成する。ホイールハウス3は、金属製とされ、タイヤ2の上方を覆うような形状に成形されている。ホイールハウス3におけるタイヤ2側の面は車両の外側の面となっており、この外側の面を覆うようにフェンダーライナ10がホイールハウス3に取り付けられる。フェンダーライナ10は、車両1の走行中にタイヤ2が路面から跳ね上げる小石や泥水等によってポディパネルが傷つけられることを防止し、タイヤ2と路面とによって発生するロードノイズ等の騒音を低減させるための車両1の外装防音材とされている。
尚、最近では、ホイールハウス3を省略して、フェンダーライナ10がエンジンルーム等の車体内部とタイヤ側との仕切を果たすようになったものも知られている。本実施形態1では、ホイールハウス3の外側に、フェンダーライナ10が設けられた例として説明するが、本発明は、ホイールハウス3を省略した場合にも適用できるものである。
図1及び図2に示すように、フェンダーライナ10は、ホイールハウス3に沿う形状に成形され、ホイールハウス3にファスナー等(図示省略)で取り付けられている。
次に、実施形態1のフェンダーライナ10の概略を説明する。図2に示すように、フェンダーライナ10は、ホイールハウス3に沿う形状に成形されている。
フェンダーライナ10である成形品Cは、図6に示すように、中間に配置された基材層11と、基材層11のタイヤ2側に配置された補強層(第1補強層)14と、基材層11のホイールハウス3側に配置された補強層(第2補強層)16とを一体に備えている。第1補強層14と第2補強層16の外表面に、それぞれ補強膜15,17が形成されている。図2に示すように、第2補強層16とホイールハウス3との間には、隙間tが設けられている。
図4に示すように、基材層11は、PP樹脂からなる第1繊維12と、加熱溶融する合成繊維からなるバインダー繊維(第2繊維)13とが交絡しながら融着された略網目状構造を有するように構成されている。バインダー繊維13は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂)からなる芯鞘構造であって、鞘部分のPET樹脂が溶融し、バインダー繊維13の芯部分と第1繊維12同士を交絡した状態で融着する。すなわち、バインダー繊維13が第1繊維12同士を交絡した状態で融着硬化させるように構成されていることから、フェンダーライナ10(成形品C)を立体的な3次元形状に容易かつ確実に成形させることができる上に、その形状を確実に保持させることができる。さらに、バインダー繊維13は、第1繊維12とともに基材層11を構成する交絡繊維として繊維形状をとどめながら存在していることから、基材層11の内部に微小なセルをより多く形成させるのに大いに役立っている。その結果、基材層11の吸音性能を高めることができるように構成された構造体(略網目状構造)を容易に形成させることができる。特に、基材層11は、複数の繊維によって取り囲まれた空間としての微小なセルの集合体として存在しており、主としてそれらセルにより吸音効果が発揮されるようになっている。
基材層11において、第1繊維12であるPP樹脂は耐熱性をアップする上で20重量%以上必要であるが、多すぎると耐衝撃性・剛性が弱くなり、引き裂き強度が低下するので、40重量%以下とすることが好ましい。またバインダー繊維であるPET樹脂(第2繊維)13は、板厚を確保して吸音性を向上するとともに引き裂き強度及び成形形状を維持すために60%以上必要であり、多すぎると相対的にPP樹脂が少なくなり、耐熱性が低下するので、80%以下とすることが好ましい。即ち、PP樹脂を20〜40重量%、バインダー繊維であるPET樹脂(第2繊維)13を80〜60重量%含むことが好ましい。
基材層11の目付量としては、吸音性、立体形状の形状維持性を確保する上で400g/m以上必要であり、高くし過ぎると重量アップになるので、800g/m以下とすることが好ましい。また、第1補強層14及び第2補強層16の浸入し過ぎを防止する上からも、400g/m以上とすることが好ましい。特に、500g/m〜700g/mとすることが好ましい。
この第1繊維12の繊維径としては、フェンダーライナ10(成形品C)の製造工程における加工安定性を高めるために、4T(デシテックス:dtex)〜20T、特に6T〜17Tであるのが好ましい。この第1繊維12の繊維径が4T未満の場合には、強度が低下するおそれがある。逆に20Tを越える場合には、基材層11全体に占める第1繊維12の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセルを形成させることができなくなる。
また、この第1繊維12の繊維長としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、10mm〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセルをより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
バインダー繊維13は第1繊維12とともに基材層11を構成する主要な繊維であり、第1繊維12よりも低い融点を有する可溶性ポリマー単体、或いは可溶性ポリマーを鞘部とする芯鞘構造により構成されていることが好ましい。このバインダー繊維13としては、基材層11の内部に多数のセルを容易に形成させることができることから、複合繊維よりも細く形成するのが容易な可溶性ポリマー単体からなる合成繊維が好適に使用され、特に、融点が100℃〜130℃の低融点のPET繊維が良好な成形性を有することと入手容易かつ安価であることから、最も好適に使用される。特に鞘部分が、融点が100℃〜130℃の低融点のPET繊維で、芯部分が、第1繊維12よりも低い融点を有している必要はなく、むしろ第1繊維12と同等或いはそれ以上の融点を有するものであるのが好ましく、融点が250℃前後の高融点のPET繊維とすることが好ましい。さらに、このPET繊維は、リサイクル性に優れているという利点もある。
バインダー繊維13の繊維径としては、フェンダーライナ10(成形品C)の製造工程における加工安定性を高めるために、4T〜20T、特に6T〜17Tであるのが好ましい。このバインダー繊維13の繊維径が4T未満の場合には、強度が低下するおそれがある。また、プレス成形時に溶融して繊維としての形状をとどめることができず、セルの形成に寄与しなくなるおそれもある。逆に20Tを越える場合には、基材層11全体に占めるバインダー繊維13の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセルを形成させることができない。
また、このバインダー繊維13の繊維長としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、10mm〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセルをより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
第1補強層14及び第2補強層16は、フェンダーライナ10が立体的な形状に容易に成形され、且つ成形後の耐変形性に優れるとともに、フェンダーライナ10(成形品C)に高い吸音性能と優れた着氷防止性を両立して発揮させるためである。そして、この第1補強層14は、走行時のロードノイズを吸音するとともに、タイヤ2によって路面から撒き散らされた雨水や泥水を撥水して、フェンダーライナ10の外表面が汚れるのを抑えることができるとともに吸水・着氷を防止できる。第2補強層16は、フェンダーライナ10のホイールハウス側(路面側と反対側)に回り込む等の理由により存在する水分が吸収されないことと共に吸音性能を向上させることが求められ、その上成形性も要求されている。従って、第2補強層16も、水分が吸収されないようにすることによって、フェンダーライナ10の背面側に回ってきた雨水や泥水等の水分がフェンダーライナ10内に浸入することを抑制し、着氷することを防止できる。それと共に、走行時のロードノイズを吸音するとともに、成形性にも優れるものが得られる。第1補強層14・第2補強層16の外側には、それぞれ、補強膜15・補強膜17が形成されている。
尚、第1補強層14と第2補強層16、補強膜15と補強膜17を非通気性のフィルム層にすると基材層11の両側が非通気層で覆われることになるので、両側で膜振動による吸音になり、高周波領域での吸音性が悪化することとになる。それに対して、本実施形態では、第1補強層14及び第2補強層16とも、PP樹脂及びPET樹脂を採用して基材層11と同じ素材で通気性のある素材とし、第1補強層14・第2補強層16の外側に第1補強層14・第2補強層16から、通気性を有する補強膜15・補強膜17を生成することですることで、吸音性の悪化を防止するだけで無く、逆に通気抵抗値が上がるためほぼ全域で吸音性能が良くなる。いずれもPP樹脂とPET樹脂からなり、PP樹脂とPET樹脂が同じ割合の第1補強層14と第2補強層16とで、PP樹脂とPET樹脂の割合が異なる基材層11を挟むことで、同じ素材で挟んでいるので、反り難く、どの部分も安定した密度の三相構造を得られるので、膜振動による低中音領域だけで無く、三相の相乗効果での吸音効果を発揮することとなり、高周波数領域での吸音性も良くなるものと思われる。
この第1補強層14は、PP樹脂からなる第1繊維18と、加熱溶融する合成繊維からなる第2繊維19とが交絡しながら融着された略網目状構造を有するように構成されている。第2繊維19は、PET樹脂の芯鞘構造であって、鞘部分のPET樹脂が溶融し、第2繊維19の芯部分と第1繊維18同士を交絡した状態で融着する。
補強層14,16においては、第1繊維18であるPP樹脂は、耐熱性を維持するために60重量%以上必要であり、多すぎると膜になり吸音性が悪化し引き裂き強度が低下するので、90重量%以下とすることが好ましい。また外表面に補強膜を形成して、耐チッピング、着氷剥離性を高めるためにも上記60重量%以上必要である。またPET樹脂は、成形形状を維持すると共に、曲げ剛性を確保するために10重量%以上必要であり、多すぎると相対的にPP樹脂が少なくなるので、通気性のある補強膜15,17を形成できなくなり、剛性が不足する傾向になるので、40重量%以下とすることが好ましい。即ち、第1繊維18であるPP樹脂を60〜90重量%、バインダー繊維であるPET樹脂(第2繊維)19を40〜10重量%含むことが好ましい。
第1補強層14及び第2補強層16は、同じ補強層であり、以下の説明では、第1補強層14について述べるが、第2補強層16に付いても同じことが言えるので、第2補強層16についての説明は省略する。
第1補強層14の目付量としては、100g/m〜300g/m、好ましくは150g/m〜200g/mである。100g/m未満では、第1補強層14の層が不足し、部分的に薄い部分ができ、場合によっては通気性のある補強膜15が存在しない部分が出る可能性が高くなる。一方、300g/mを超えると、吸音効果が損なわれる可能性が高くなる。
この第1繊維18の繊維径としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、2T(デシテックス:dtex)〜10T、特に4T〜8Tであるのが好ましい。この第1繊維18の繊維径が2T未満の場合には、強度が低下するおそれがある。逆に10Tを越える場合には、第1補強層14全体に占める第1繊維12の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセルを形成させることができなくなる。
また、この第1繊維18の繊維長としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、10mm〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセルをより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
第2繊維19は、該第1繊維18とともに第1補強層14を構成する主要な繊維であり、第1繊維18よりも低い融点を有する可溶性ポリマー単体、或いは可溶性ポリマーを鞘部とする芯鞘構造により構成されていることが好ましい。この第2繊維19としては、第1補強層14の内部に多数のセルを容易に形成させることができることから、複合繊維よりも細く形成するのが容易な可溶性ポリマー単体からなる合成繊維が好適に使用され、特に、鞘部分の融点が100℃〜130℃の融点のPET繊維が良好な成形性を有することと入手容易かつ安価であることから、最も好適に使用される。特に、鞘部分の融点が高過ぎると、加熱してプレス成形するときに、流動性が不足し、基材層11の成形方向に第1補強層14が追従できず、成形性が悪くなるからであり、逆に融点が低過ぎると、溶け過ぎて基材層11の中に染み込み、第1補強層14に大きな孔が開く可能性が増えるから、100℃〜130℃の融点とすることが好ましい。芯部分が、第1繊維18よりも低い融点を有している必要はなく、むしろ第1繊維18と同等或いはそれ以上の融点を有するものであるのが好ましく、融点が180℃〜250℃の融点のPET繊維とすることが好ましい。さらに、このPET繊維は、リサイクル性に優れているという利点もある。
この第2繊維19の繊維径としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、2T〜10T、特に4T〜8Tであるのが好ましい。この第2繊維19の繊維径が2T未満の場合には、強度が低下するおそれがある。また、プレス成形時に溶融して繊維としての形状をとどめることができず、セルの形成に寄与しなくなるおそれもある。逆に10Tを越える場合には、プレス成形時に第2繊維19が溶融しても、溶融部分と溶融部分とが連続して繋がらない部分が生じて、補強膜にならなくなる可能性がでる。従って、該範囲とすることが好ましい。
また、この第2繊維19の繊維長としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、10mm〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセルをより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
第2補強層19の目付量としては、100g/m〜300g/m、好ましくは150g/m〜200g/mである。100g/m未満では、第1補強層14の層が不足し、部分的に薄い部分ができ、場合によっては通気性のある補強膜15が存在しない部分が出る可能性が高くなる。一方、250g/mを超えると、吸音効果が損なわれる可能性が高くなる。
車両用外装防音材のシート素材Aの製造方法について、図3及び図4に基づいて説明する。まず、基材用不織布A1と補強用不織布A2,A2を用意する。基材用不織布A1は、第1繊維12と第2繊維13とを用いて基材シート用の乾式不織布をシート状に形成した後、その不織布中の繊維12,13同士をニードルパンチ(図示省略)により互いに絡ませて交絡させて作製する。また、補強用不織布A2,A2も基材用不織布A1と同様にして作製する。即ち、補強用不織布A2,A2は、どちらも、第1繊維18と第2繊維19とを用いて補強シート用の乾式不織布をシート状に形成した後、その不織布中の繊維18,19同士をニードルパンチ(図示省略)により互いに絡ませて交絡させて、補強用不織布A2,A2を作製する。
次に、図3に示すように、補強用不織布A2、基材用不織布A1、補強用不織布A2が製造装置30に運ばれる。製造装置30では、基材用不織布A1は、ローラー31a,31aでローラー32a,32a間に運ばれる。補強用不織布A2,A2は、それぞれ、ローラー31bでローラー32a,32a間に運ばれる。そして、ローラー32a,32a間で、補強用不織布A2、基材用不織布A1、補強用不織布A2が三層に重ねられ、ニードルパンチ(図示省略)により互いに絡ませて交絡させて、三層構造のシート素材A(図4参照)が作製される。これによって、図4に示すような、三層構造のシート素材Aが生成される。
次に、図4で得られた三層構造のシート素材Aを、図5(A)に示すように、プレス金型50に載置する。プレス金型50は、上型51と下型52を備える。上型51及び下型52は、どちらも内部に発熱コイル53,54を有し、シート素材Aの両補強用不織布の外表面に当接する型面が、例えば200℃に加熱された平板状の熱板55,55からなっている。図5(B)に示すように、この平板状のプレス金型の上型51を下降して、例えば5.1mmの金型クリアランスに加圧して、例えば30sec間保持する。このプレス金型50でシート素材Aを加熱・加圧状態で保持して、シート素材Aを一体化するとともに熱板55,55と接する両補強用不織布A2の外表面A21に、それぞれ補強膜15,17を生成してなる平板状部材Bを作製する。
そして、平板状部材Bが熱板55,55による加熱による予熱状態にある間に、平板状部材Bを、図5(C)に示すように、冷却成形型70で加圧しつつ冷却して、両補強層14,16の該外表面に補強膜15,17を残したままで所定の三次元形状の成形品Cに成形する。これによって、図5(D)に示すように、三次元に立体成型された成形品Cが得られる。この成形品Cの拡大断面図を図6に示す。両補強層14,16の外表面に補強膜15,17が残されたままで、基材層11の両側に、第1補強層14及び第2補強層16が一体に積層され、第1補強層14及び第2補強層16の外表面に補強膜15,17が残った状態になっている。
尚、以下に、成形工程の詳細を述べる。プレス成形工程では、下型52、上型51が200℃で加熱されているので、第1補強層14、第2補強層16が加熱されると共に基材層11も加熱される。その時、この加熱温度は、バインダー繊維13,18を構成する可溶性ポリマー単体の融点以上の温度で行われる。尚、基材層11のバインダー繊維13及び補強層14,17の第2繊維19の融点は、基材層11の第1繊維12,第1補強層14及び第2補強層16の第1繊維18の融点よりも低いので、加熱時に、バインダー繊維13,19が溶融状態となって流動性が高くなっており、両者が一体に密着される。かつ溶融した第1補強層14、第2補強層16のすべてが基材層11の中に浸透しないで、第1補強層14、第2補強層16が残り、その第1補強層14、第2補強層16の外側に補強膜15,17が得られるように、基材層11のセルの大きさや目付量が設定されており、加熱プレス金型のクリアランス(即ち加圧厚さ)、加圧温度、加圧時間も設定されている。
尚、熱板55,55で挟んで加熱・加圧する時に、シートの加熱温度が180〜240℃、加圧後の厚さ/加圧する前の厚さ=0.87〜0.960.85〜0.90の比率に加圧し、加圧時間が20〜60秒で加熱することが好ましい。
これらの範囲に対し、加熱温度が低すぎると、第1補強層14、第2補強層16の流動性が不足して基材層11から剥がれ易くなり、逆に高すぎると、基材層11のバインダー繊維19が第1補強層14、第2補強層16の方に多く溶け出る可能性があり、且つ第1補強層14、第2補強層16が基材層11へ染み込み易くなる。また、時間は短すぎると、第1補強層14、第2補強層16の流動性が不足し、補強膜15,17が生成されにくくなる。時間を長くしてもそれほど変化はないが、生産性やコスト的にはあまり長い時間にしない方が良い。金型クリアランスは、広すぎると第1補強層14、第2補強層16と基材11との補強膜の成形が不足し、狭すぎると基材層11が圧縮され過ぎて表面の通気口が潰され吸音性が悪くなる可能性が高く且つ補強層14,17の通気抵抗も高くなる傾向になる。従って、上記のような数値にすることが好ましい。
尚、成形後では、基材層11と第1補強層14、第2補強層16との境界部分は明確に区別できないので、成形後の厚さは、基材層11、第1補強層14及び第2補強層16として説明することが難しい。従って、成形後の厚さは、車両用外装防音材としての厚さと補強膜15,17の厚さで、好ましい範囲を説明する。
車両用外装防音材の厚さ(成形後)としては、好ましくは2mm〜7mm、より好ましくは3mm〜5mmである。この車両用外装防音材の厚さが2mm未満の場合には、フェンダーライナ10の剛性確保及び形状保持性を十分に得ることができない。また、多数のセルを形成させることができず充分な吸音効果を発揮させることができない。逆に7mmを越える場合にはフェンダーライナ10の軽量化ができない及びコストアップになるためである。
補強膜15,17の厚さは、100μm〜300μm、特に150μm〜250μmとすることが好ましい。100μm未満の場合には、補強膜15,17が非常に破れやすくなる。逆に300μmを越える場合には、高い膜振動吸音が誘発できず、ロードノイズの吸音効果が損なわれるおそれがある。従って該範囲とすることが好ましい。
特に、加熱条件及び加圧条件を適切に設定して成形することによって、基材層11、第1補強層14及び第2補強層16のPET樹脂が流動化或いは部分的に溶融して基材側に染み込むこととなり、基材層11に強固に接着されるとともに、第1補強層14、第2補強層16の外側が一番高温になることによって、この部分のPET樹脂が良く溶融して、加圧されて補強層15,17としてフィルム状になっている。
本実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
フェンダーライナ10は、第1補強層14の補強膜15及び第2補強層16の補強膜17により、雨水や泥水が基材層11内に浸入し難いようになっていることから、路面上からタイヤ2が撒き散らす雨水や泥水がフェンダーライナ10にかかっても撥水するように構成されており、着氷が防止されるとともにフェンダーライナ10の外表面が泥やゴミ等によって汚れるのが効果的に抑制される。さらに、第1補強層14の補強膜15及び第2補強層16の補強膜17が通気性のある補強膜として生成されているので、吸音作用が阻害されることがない。
それと共に、第1補強層14・第2補強層16及び補強膜15・17によって、フェンダーライナ10の引張強度、曲げ強度、弾性勾配等の特性が向上するので、成形後の形状保持性に優れる。そのために、フェンダーライナ10に冷却風等の空気の通過孔を設けたりした場合でも、フェンダーライナ10の形状維持性が優れているので、対応可能である。また、特性の向上を要求されない場合には、基材層11を軽量化することも可能となる。
尚、上記実施形態では、基材用不織布の両側に補強用不織布を重ねた三層構造のシート素材を、予めニードルパンチ等で一体にしたものを用意したが、この製造方法に限られるものではなく、プレス金型で、補強用不織布、基材用不織布、補強用不織布を重ねて、このプレス金型で一体にするようにしても良い。
以下に、本発明の実施例について具体的に説明する。以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
基材層11の第1繊維12は、繊維径6T、繊維長64mm、融点180℃のPP樹脂の繊維を用いた。バインダー繊維13は、繊維径17T、繊維長64mm、融点110℃のPET繊維を鞘とし、繊維径17T、繊維長64mm、融点250℃のPET樹脂の繊維を芯とする芯鞘構造を用いた。PP樹脂が30重量%、PET樹脂が70重量%である。
第1補強層14、第2補強層16の第1繊維18は、繊維径6T、繊維長64mm、融点180℃のPP繊維を用いた。バインダー繊維19は、繊維径6T、繊維長64mm、融点110℃のPET繊維を鞘とし、繊維径6T、繊維長51mm、融点250℃のPET繊維を芯とする芯鞘構造を用いた。PP樹脂が70重量%、PET樹脂が30重量%である。
基材層11のPP樹脂12とPET樹脂13をPP樹脂が30重量%、PET樹脂が70重量%になるように混合してニードリングにより絡合し、基材用不織布A1を作製した。基材用不織布A1の目付量は、700g/mであった。第1補強層14、第2補強層16のPP樹脂18とPET樹脂19をPP樹脂が70重量%、PET樹脂が30重量%になるように混合してニードリングにより絡合し、補強用不織布A2,A2を作製した。補強用不織布A2,A2の目付量は、200g/mであった。これらの基材用不織布A1、補強用不織布A2,A2を重ねて、例えばニードルパンチ等で接合した三層構造のシート素材Aとする。シート素材Aの厚さは5.5mmである。
シート素材Aを平板状のプレス金型に載置する。このプレス金型は、熱板55,55が200℃に加熱した金型である。プレス金型の金型クリアランスが4.8mmになるように加圧して、30sec(秒)間保持して、熱板55,55と接する両補強用不織布A2の外表面A21に、それぞれ補強膜15,17を生成してなる平板状部材Bを作製する。
こうして得られた平板状部材Bをフェンダーライナ10の成形金型にて、フェンダーライナ形状に成形する。具体的には、この平板状部材Bを、平板状のプレス金型で加熱した際の予熱が残っている間に、コールド型(冷却型)である成形金型にて、加圧して成形品の所定形状に成形する。成形後に得られたフェンダーライナ10(成型品C)では、基材層の厚さは4.0mm、目付量は1,100g/mで、第1補強層14、第2補強層16の補強膜15,17の厚さは250μmであった。
尚、基材層11、第1補強層14及び第2補強層16、補強層15,17の厚さは一定ではないので、全体を平均した厚さとしたが、大半の厚さで平均するようにしても良い。尚、第1補強層14、第2補強層16の厚さは、成形型で加圧する直前と加圧直後を具体的に比較する事は難しいが、成形型のクリアランスとプレス金型で加熱する前の基材用不織布A1、補強用不織布A2,A2の厚さの合計厚さから予測すると0.96倍〜0.87倍になると予測される。
(実施例2〜6)
実施例2〜6が実施例1と異なるのは、加熱時間を10秒、20秒、40秒、50秒、60秒としたものであり、他は実施例1と同じである。
(参考例1)
参考例1は、実施例1を基本として、加熱時間を実質ゼロ秒としたものである。
(実施例7〜9)
実施例7〜9は、実施例1を基本として、プレス金型の熱板55の加熱温度を160℃、180℃、220℃、240℃としたものであり、他は実施例1と同じである。
(実施例10〜12)
実施例10〜12は、実施例1を基本として、プレス金型の金型クリアランスと成形型の型クリアランスを、4.5mmと4.0mm、5.0mmと4.0mm、5.3mmと4.0mmとしたであり、他は実施例3と同じである。
(参考例2)
参考例2は、実施例1を基本として、プレス金型の金型クリアランスと成形型の型クリアランスを、5.5mmと5.5mmとしたもの、即ち、加圧して薄くしなかったものである。
(参考例3)
参考例3は、実施例1を基本として、プレス金型の加熱温度を160℃としたものである。
(実施例13〜16)
実施例13〜14は、実施例1を基本として、基材用不織布、補強用不織布の各繊維の割合を変更した例である。実施例15,16は、実施例1を基本として、目付量を変更した例である。成形方法は実施例1と同じである。
実施例1〜16及び参考例1,2,3の曲げ剛性、引張強度、引裂強度、耐久性、通気抵抗の比較データを図9に示す。
各種の試験方法
(曲げ剛性の試験方法)
サンプルSの大きさ:50mm×150mm、スパン:100mm、試験スピード:50mm/minで、曲げ剛性は、JIS K 7171に準拠して測定した。曲げ剛性試験の結果を、図9に示す。図9に示すように、参考例1,2では、15N,15N、参考例3では17Nであり、実施例1〜12では17N以上であった。この場合に参考例3は、引っ張り強度では、本発明の実施形態と同様な値を示すが、他の性能で要求を満足できなかった。
(引張強度の試験方法)
引張強度は、JIS K 7161に準拠して測定した。その結果を図9に示す。本発明の実施例1〜13では引張強度は310N〜370N、参考例1,2では引張強度は300Nであった。尚、参考例3では、引張強度は、320Nであり、本発明の実施例実施例12より優れた値であるが、他の性能で、要求を満足できなかった。
(引き裂き強度の試験方法)
引き裂き強度の試験方法は、JIS K 7128に準拠して測定した。その結果を図9に示す。実施例1〜12では、引き裂き強度は206N以下であり、参考例1,2,3では、270N,270N,260Nであった。
(着氷剥離強度試験の試験方法)
この試験方法については、特開2011−240821号公報に開示されている試験法で行ったので、詳細な説明は、省略する。
着氷試験は、その結果を図9に示す。本発明の実施例1〜12では着氷剥離強度は20N〜45N、参考例1,2,3では50Nであった。
(耐久性の試験方法)
耐久性の試験として、立方体の小石の縦、横及び奥行きの長さの平均の長さが3mm〜7mmの小石3kgを高さ2mから落下させ、表層の変化を観察し、50回落下させた後の表面状態及び表面の凹み量を測定した。その結果を図9に示す。
図9に示すように、実施例1〜12では、凹み量は0.8mm以下であったが、参考例1,2,3では、いずれも1.0mmであり、凹み量が大きかった。
(通気抵抗の測定方法)
各サンプルSを300mm×300mmの大きさで求める。このサンプルの目付量を通常の方法で測定する。具体的な測定方法は、特開2014-000897号公報に開示されているので、ここでは省略する。実施例1,4〜11では、250以上であり、参考例1,2,3では、それぞれ100,100,200であり、通気抵抗が低く吸音性が劣っていた。
(残響室法吸音率)
吸音試験の試験方法は、ブリューエル・ケアー社製の測定装置を用いて、周波数200〜6300Hzの範囲でISO354に準拠した残響室法吸音率を測定するが、実施例1〜12の吸音率は、周波数800〜2000Hzの範囲で比較的大きな吸音率を示すことが予測できるので、実験は省略した。
車両用外装防音材、例えば、フェンダーライナ、マッドガード、アンダーカバーなどに有利に適用できる。
A シート素材
A1 基材用不織布
A2 補強用不織布
B 平板状部材
C 成形品
10 フェンダーライナ
11 基材層
12 第1繊維
13 第2繊維
14 補強層
15 補強膜
16 補強層
17 補強膜
18 第1繊維
19 第2繊維
50 プレス金型
70 冷却成形型

Claims (9)

  1. 吸音作用を有する基材層と、該基材層の両面に一体に設けられた補強層とを備えた車両用外装防音材の製造方法であって、
    該基材層の素材は、ポリプロピレン樹脂繊維からなる第1繊維と、このポリプロピレン樹脂よりも低い融点を有するバインダー繊維からなる第2繊維とを交絡させたシート状の基材用不織布からなり、
    該両補強層の素材は、どちらもポリプロピレン樹脂繊維からなる第1繊維と、このポリプロピレン樹脂よりも低い融点を有するバインダー繊維からなる第2繊維とを交絡させたシート状の同じ補強用不織布からなり、
    該基材用不織布は各補強用不織布に比較して、高い目付量であり、
    該基材用不織布は各補強用不織布に比較して、該第1繊維を少なく、該第2繊維を多く含む不織布であり、
    該基材用不織布の両側に該補強用不織布を重ねた三層構造のシート素材を作製し、
    該シート素材の両補強用不織布の外表面に当接する型面が、加熱された平板状の熱板からなるプレス金型で該シート素材を加熱・加圧して、該熱板と接する両補強用不織布の該外表面に、それぞれ補強膜を生成してなる平板状部材を作製し、
    該熱板による加熱状態にある間に、該平板状部材を冷却成形型で加圧しつつ冷却して、両補強層の該外表面に該補強膜を残したままで所定の三次元形状の成形品に成形することを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  2. 請求項1において、
    該熱板の加熱による加温状態が残存して、該平板状部材が三次元形状に成形できる状態にある間に、該平板状部材を冷却成形型で加圧しつつ冷却して、両補強層の該外表面に該補強膜を残したままで所定の三次元形状の成形品に成形することを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、
    該熱板はヒータ加熱されるようになっていることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、
    該冷却成形型が、冷却水で冷却されるようになっていることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、
    バインダー繊維がPET樹脂であることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、
    該基材用不織布は、400〜800g/mの目付量であり、該第1繊維が20〜40重量%で、該第2繊維が80〜60重量%からなり、
    各補強用不織布は、100〜300g/mの目付量であり、該第1繊維が60〜90重量%で、該第2繊維が40〜10重量%からなることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つにおいて、
    該シート素材を該プレス金型の該熱板で挟んで加熱・加圧する時に、該熱板の加熱温度が180〜240℃、該シート素材の加圧後の厚さ/加圧する前の厚さ=0.9〜0.85倍の厚さ比率に加圧し、加圧時間が20〜60秒であることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つにおいて、
    該車両用外装防音材の厚さが3.5〜5.0mmであり、該補強膜の厚さが150〜300μmであることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つにおいて、
    該バインダー繊維は芯鞘構造であり、芯部分が高融点PET樹脂で、鞘部分が低融点PET樹脂であることを特徴とする車両用外装防音材の製造方法。
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