JP2018149073A - 医療用コネクタ及び医療用コネクタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オスコネクタの挿入時における弾性弁体のハウジングからの脱落を抑制できると共に、接着部材がハウジングの外部に露出することを抑制可能な医療用コネクタ及びこの医療用コネクタの製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る医療用コネクタは、ハウジングと、弾性弁体と、前記弾性弁体を前記ハウジングに対して接着している熱可塑性樹脂からなる接着部材と、を備え、前記ハウジングは、前記弾性弁体を挟持する挟持部を備え、前記弾性弁体は、前記挟持部により挟持されている被挟持部と、前記被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部と、を備え、前記ハウジングは、前記周縁部と、前記周縁部を前記ハウジングに対して接着する前記接着部材と、を収容する、外部と連通しない閉鎖された収容空間を区画しており、前記接着部材は、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁と前記周縁部との間に形成された保持空間に保持されている。【選択図】図8
Description
本発明は、医療用コネクタ及び医療用コネクタの製造方法に関する。
従来から、輸液、輸血、人工透析などを行う場合は、医療用チューブを用いて液体を体内へ送る。そして、医療用チューブ内の液体に薬液などの別の液体を合流させる場合には、シリンジやルアーテーパ部材等のオスコネクタと医療用チューブとを液密に接続可能な医療用コネクタが利用される。
このようなオスコネクタを接続可能な医療用コネクタは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている医療用コネクタは、筒状のハウジング内にスリットが形成されたディスク状の弾性弁体を配置して、該弾性弁体の外周部分を該ハウジングに支持させて装着したものである。具体的に、特許文献1の弾性弁体の内外両面には、周方向に延びる環状溝が形成されており、この環状溝それぞれにハウジングの係止突部が係止される。
また、特許文献2には、オスコネクタが挿入される挿入口を有する筒状のハウジング部と、挿入口を閉塞するようにハウジング部に固定された弾性弁体と、を備え、ハウジング部は、外面から弾性弁体に達し、且つ接着剤が注入された接着剤注入孔を有する医療用コネクが開示されている。
特許文献1に開示の医療用コネクタでは、弾性弁体のスリットを、中央部分から外周側に向かって放射状に延びる3本以上の切込みで構成することにより、オスコネクタの挿入時における弾性弁体のハウジングからの脱落を抑制しているが、依然として改善の余地がある。
これに対して、特許文献2に開示の医療用コネクタでは、ハウジングとしてのハウジング部と、弾性弁体と、を接着剤で接着することにより、オスコネクタの挿入時における弾性弁体のハウジングからの脱落を抑制できるが、接着剤注入孔からの接着剤の注入時に、接着剤が接着剤注入孔からハウジングの外部へと漏出するおそれがある。接着剤がハウジングの外部に漏出すると、ハウジングの外壁が接着剤により汚れる可能性がある。
本発明の目的は、ハウジングと弾性弁体とを接着部材により接着することにより、オスコネクタの挿入時における弾性弁体のハウジングからの脱落を抑制できると共に、接着部材がハウジングの外部に露出することを抑制可能な医療用コネクタ及びこの医療用コネクタの製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様としての医療用コネクタは、オスコネクタを挿入可能な挿入開口を区画するハウジングと、前記挿入開口を閉塞している弾性弁体と、前記弾性弁体を前記ハウジングに対して接着している熱可塑性樹脂からなる接着部材と、を備え、前記ハウジングは、前記弾性弁体の天面及び前記天面の反対側の底面、に接触して前記弾性弁体を挟持する挟持部を備え、前記弾性弁体は、前記挟持部により挟持されている被挟持部と、前記被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部と、前記被挟持部よりも径方向の内側に位置し、スリットが形成されている中央部と、を備え、前記ハウジングは、前記周縁部と、前記周縁部を前記ハウジングに対して接着する前記接着部材と、を収容する、外部と連通しない閉鎖された収容空間を区画しており、前記接着部材は、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁と前記周縁部との間に形成された保持空間に保持されているものである。
本発明の1つの実施形態として、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁には凹部が形成されており、前記保持空間は前記凹部内の凹空間である。
本発明の1つの実施形態として、前記接着部材は前記凹空間の一部に収容されており、前記周縁部が前記凹空間に食い込んでいる。
本発明の1つの実施形態として、前記ハウジングは、少なくとも2つの部材から構成されており、前記保持空間は、前記ハウジングのうち、異なる部材同士が接合される熱溶着部に隣接する位置に形成されている。
本発明の1つの実施形態として、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁は、前記周縁部の前記径方向の内側を覆う内側壁部を備え、前記保持空間は、前記周縁部と、前記内側壁部と、の間に形成されている。
本発明の1つの実施形態として、前記保持空間は、前記周縁部と、前記内側壁部のうち前記被挟持部の位置よりも前記オスコネクタの抜去方向側に位置する部分と、の間に形成されている。
本発明の1つの実施形態として、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁は、前記周縁部の前記径方向の外側を覆う外側壁部を備え、前記保持空間は、前記周縁部と、前記外側壁部と、の間に形成されている。
本発明の1つの実施形態として、前記保持空間は、前記周縁部と、前記外側壁部のうち前記被挟持部の位置よりも前記オスコネクタの挿入方向側の部分と、の間に形成されている。
本発明の1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記挟持部のうち前記弾性弁体の前記天面と接触する天面接触部を含む第1挟持部材と、前記挟持部のうち前記弾性弁体の前記底面と接触する底面接触部を含む第2挟持部材と、を備え、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁には、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の接合界面である熱溶着部の一端が少なくとも含まれており、前記熱溶着部の前記一端が、前記保持空間に面している。
本発明の1つの実施形態として、前記保持空間は、前記周縁部及び前記第2挟持部材により区画された環状溝を前記第1挟持部材が覆うことにより形成される環状空間である。
本発明の1つの実施形態として、前記接着部材は、前記環状空間に配置されるリング状部材、又は、前記環状空間に配置される複数の棒状部材、である。
本発明の第2の態様としての医療用コネクタの製造方法は、オスコネクタを挿入可能な挿入開口を区画するハウジングと、前記挿入開口を閉塞する弾性弁体と、を備える医療用コネクタの製造方法であって、前記弾性弁体のうち前記ハウジングの挟持部に挟持される被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部に隣接させて、所定の形状を有する熱可塑性樹脂からなる接着部材を配置する配置ステップと、前記接着部材を溶融させることにより、前記周縁部と前記ハウジングとを接着する溶融ステップと、を含むものである。
本発明の1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記挟持部を形成する第1挟持部材及び第2挟持部材を備え、前記配置ステップの前に、前記第2挟持部材に対して前記弾性弁体を載置する載置ステップを含み、前記配置ステップの後に、前記第2挟持部材との間で前記挟持部を形成するように前記第1挟持部材を配置し、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とにより、前記周縁部及び前記接着部材が収容される、外部と連通しない閉鎖された収容空間を形成する空間形成ステップを含み、前記溶融ステップでは、前記接着部材を溶融させると共に、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とを熱溶着するものである。
本発明に第3の態様としての医療用コネクタは、オスコネクタを挿入可能な挿入開口を区画するハウジングと、前記挿入開口を閉塞している弾性弁体と、前記弾性弁体を前記ハウジングに対して接着している熱可塑性樹脂からなる接着部材と、を備え、前記ハウジングは、前記弾性弁体の天面及び前記天面の反対側の底面、に接触して前記弾性弁体を挟持する挟持部を備え、前記弾性弁体は、前記挟持部により挟持されている被挟持部と、前記被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部と、前記被挟持部よりも径方向の内側に位置し、スリットが形成されている中央部と、を備え、前記ハウジングは、前記周縁部と、前記周縁部を前記ハウジングに対して接着する前記接着部材と、を収容する、外部と連通しない閉鎖された収容空間を区画しており、前記接着部材は、前記収容空間に配置されているものである。
本発明によれば、ハウジングと弾性弁体とを接着部材により接着することにより、オスコネクタの挿入時における弾性弁体のハウジングからの脱落を抑制できると共に、接着部材がハウジングの外部に露出することを抑制可能な医療用コネクタ及びこの医療用コネクタの製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る医療用コネクタ及び医療用コネクタの製造方法の実施形態について、図1〜図21を参照して説明する。なお、各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
<医療用コネクタ1>
まず、本発明に係る医療用コネクタの1つの実施形態としての医療用コネクタ1について説明する。図1は、医療用コネクタ1(以下、単に「コネクタ1」と記載する。)を示す斜視図である。図2は、コネクタ1を弾性弁体3の天面3a側から見た図である。図3は、図2のI−I断面図である。
まず、本発明に係る医療用コネクタの1つの実施形態としての医療用コネクタ1について説明する。図1は、医療用コネクタ1(以下、単に「コネクタ1」と記載する。)を示す斜視図である。図2は、コネクタ1を弾性弁体3の天面3a側から見た図である。図3は、図2のI−I断面図である。
図1〜図3に示すように、コネクタ1は、ハウジング2と、このハウジング2の取り付けられる弾性弁体3と、この弾性弁体3をハウジング2に対して接着している接着部材70と、を備えている。
図3に示すように、ハウジング2は、中空部4を区画している。そして、弾性弁体3は、中空部4に位置している。中空部4は、オスコネクタ100(図11参照)が外方から挿入可能な挿入開口5及びこの挿入開口5と連通する流路6を有し、弾性弁体3は、オスコネクタ100が挿入されていない状態において、挿入開口5を閉塞している。なお、「挿入開口と連通する流路」とは、挿入開口と直接繋がる流路のみならず、挿入開口と別の空間を介して繋がる流路をも含む意味である。本実施形態の流路6は、挿入開口5と直接繋がる流路である。
より具体的に、ハウジング2は、オスコネクタ100(図11参照)を外方から挿入可能な挿入開口5を区画するキャップ7と、流路6を区画すると共に、キャップ7を支持するホルダ8とを備える。
キャップ7は、弾性弁体3の天面3aと接触する第1挟持部材9と、弾性弁体3の底面3bと接触する第2挟持部材10とを有しており、弾性弁体3は、第1挟持部材9及び第2挟持部材10により圧縮、挟持されて中空部4内、具体的には挿入開口5内での位置が固定されている。
ホルダ8は、流路6を区画すると共に、第1挟持部材9及び第2挟持部材10を支持する部材である。なお、本実施形態では、第1挟持部材9を第2挟持部材10に保持させて、第2挟持部材10のみをホルダ8に接触させてホルダ8に支持させる構成であるが、第1挟持部材及び第2挟持部材の構成は本実施形態に示すものに限られるものではない。例えば、第1挟持部材及び第2挟持部材の形状を本実施形態とは異なる形状にした上で、第1挟持部材及び第2挟持部材の両方がホルダ8に接触して支持される構成としてもよい。また、第1挟持部材及び第2挟持部材の形状を本実施形態とは異なる形状にした上で、第2挟持部材を第1挟持部材に保持させて、第1挟持部材のみをホルダ8に接触させてホルダ8に支持させる構成としてもよい。なお、本実施形態とは異なる形状を有する第1挟持部材及び第2挟持部材の詳細については後述する(図12〜図16参照)。
本実施形態では、第1挟持部材9及び第2挟持部材10は、挿入開口5を区画している。また、ホルダ8は、挿入開口5の一部と、流路6と、を区画している。
ハウジング2のホルダ8、第1挟持部材9及び第2挟持部材10の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリ−(4−メチルペンテン−1);アイオノマー;アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレート;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);ブタジエン−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル;ポリエーテル;ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド;ポリアセタール(POM);ポリフェニレンオキシド;変性ポリフェニレンオキシド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリアリレート;芳香族ポリエステル(液晶ポリマー);ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂;などの各種樹脂材料が挙げられる。また、これらのうちの1種以上を含むブレンド体やポリマーアロイなどでもよい。その他に、各種ガラス材、セラミックス材料、金属材料であってもよい。
弾性弁体3は、オスコネクタ100(図11参照)がコネクタ1に着脱される際に弾性変形して開閉することができるようにスリット11を有し、キャップ7の第1挟持部材9及び第2挟持部材10により区画された挿入開口5を閉塞するように配置されている。具体的に、弾性弁体3は、第1挟持部材9と第2挟持部材10とで構成される挟持部48により挟持されて、コネクタ1内での位置が固定される。
弾性弁体3は、金型成形され、弾性変形可能に形成される。この弾性弁体3の材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものであってもよい。
また、弾性弁体3の硬度は、20〜60°(A硬度)であることが好ましい。これにより、弾性弁体3に適度な弾性力を確保することができるため、弾性弁体3に後述する弾性変形を生じさせることができる。
接着部材70は熱可塑性樹脂からなり、例えば、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、合成ゴム系、アクリル系、ポリウレタン系などで形成することができる。ハウジング2と弾性弁体3との間に接着部材70を介在させることにより、ハウジング2と弾性弁体3とを接着した状態にすることができる。
接着部材70は、常温で一定の形状を保持する半固体状又は固体状であり、例えば摂氏70度〜100度の温度で溶融する熱可塑性樹脂とすることが好ましい。溶融する温度をこのような温度とすれば、例えば摂氏35度以下の常温で溶融することを抑制し、常温での接着安定性を維持し易い。また、固体状等の一定の形状を保持する接着部材70を溶融させることでハウジング2と弾性弁体3とを接着させる際に、上述の温度範囲であれば、超音波加熱装置や高周波加熱装置等の装置を用いて、比較的容易に接着部材70の温度を上昇させて溶融させることができる。接着部材70として、例えば、固体状のホットメルト接着剤を用いることができる。
なお、接着部材70によるハウジング2と弾性弁体3との接着強度の補強目的や、被着材の表面を改質して接着効果を上げる目的で、プライマーを利用してもよい。プライマーとしては、被着材に応じて異なる種類のものを利用することができる。プライマーとしては、例えば、ポリオレフィン系の水系プライマーが挙げられる。また、プライマーとしては、例えば、シランカップリング材やその他の活性な成分を主に溶剤で希釈した溶剤系プライマーを用いてもよい。なお、同目的で、プライマー処理を行う代わりに、紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等の別の処理を行うことも可能である。
以下に本実施形態における各部材及び各部材により構成される特徴部の詳細について説明する。
[弾性弁体3]
図4は、弾性弁体3単体の斜視図である。図5(a)は、弾性弁体3単体を天面3a側から見た図であり、図5(b)は、弾性弁体3単体を底面3b側から見た図である。図6(a)は、弾性弁体3を図5(b)の矢印II方向に見た側面図であり、図6(b)は、弾性弁体3を図5(b)の矢印III方向に見た側面図である。図7(a)は、図5(b)におけるIV−IV断面図であり、図7(b)は、図5(b)におけるV−V断面図である。なお、弾性弁体3の天面3aとは、弾性弁体3がハウジング2に取り付けられた状態で少なくとも一部が外方に露出される面を意味する。また、弾性弁体3の底面3bとは、天面3aの反対側の面である。
図4は、弾性弁体3単体の斜視図である。図5(a)は、弾性弁体3単体を天面3a側から見た図であり、図5(b)は、弾性弁体3単体を底面3b側から見た図である。図6(a)は、弾性弁体3を図5(b)の矢印II方向に見た側面図であり、図6(b)は、弾性弁体3を図5(b)の矢印III方向に見た側面図である。図7(a)は、図5(b)におけるIV−IV断面図であり、図7(b)は、図5(b)におけるV−V断面図である。なお、弾性弁体3の天面3aとは、弾性弁体3がハウジング2に取り付けられた状態で少なくとも一部が外方に露出される面を意味する。また、弾性弁体3の底面3bとは、天面3aの反対側の面である。
図4〜図7に示すように、弾性弁体3は、天面3a側から見た場合に略円形の外形を有する扁平なディスク状弁体である。また、図4に示すように、弾性弁体3は、後述するハウジング2の挟持部48(図3参照)により挟持される括れ部12と、径方向Aにおいて挟持部48により挟持される位置よりも内側に位置する中央部13と、径方向Aにおいて挟持部48により挟持される位置よりも外側に位置する周縁部14と、を備えている。
弾性弁体3の天面3aは、中央部13の中央部天面領域15と、この中央部天面領域15よりも径方向Aにおいて外側に位置する括れ部12の括れ部天面領域16と、この括れ部天面領域16よりも径方向Aにおいて更に外側に位置する周縁部14の周縁部天面領域17と、で構成されている。
図4〜図7に示すように、中央部天面領域15は、括れ部天面領域16及び周縁部天面領域17よりも、弾性弁体3の厚さ方向Bの外方(図6、図7の上方)の位置で、厚さ方向Bと直交する平面で構成される中央平面部18を有している。
中央平面部18の中央には一文字状の上述したスリット11が形成されている。このスリット11は金型成形されるものであり、成形時には底面3bまで貫通しておらず、金型成形後の例えば最初のオスコネクタ100(図11参照)の挿入時において、底面3bまで貫通する構成としている。なお、スリット11を貫通させる工程を金型成形が完了した後に製造工程の一部として実行することも可能である。
また、図5(a)に示すように、中央部天面領域15は、弾性弁体3が挿入開口5(図3参照)に収容されていない状態で、スリット11の長手方向(図5(a)において上下方向)側に短軸を有し、スリット11の長手方向と直交する方向(図5(a)において左右方向)に長軸を有する楕円形状に形成されている。弾性弁体3が挿入開口5に収容されると、中央部天面領域15の楕円の長軸方向(図5(a)においてスリット11の長手方向と直交する方向)において、後述する括れ部天面領域16の側壁部19が、第1挟持部材9の挿入開口5を区画する内壁42(図3参照)により押圧される。これにより、中央部天面領域15の外形は、弾性弁体3が挿入開口5に収容されることで、楕円形から円形へと変形する。また、この変形に伴い、スリット11の内面同士が密着して閉じられる。なお、図1〜図3等においては、スリット11を、構成の理解を容易にするため、密着して閉じられた状態として描いていないが、実際は内面同士が密着して閉じた状態となっている。
ここで、図4〜図7に示すように、中央部天面領域15は、上述の中央平面部18以外に、中央平面部18の外縁と後述する側壁部19とを接続する曲面部20を有する。具体的に、曲面部20は、スリット11の長手方向と直交する断面(例えば図7(a)に示す断面)の断面視で円弧形状を有しており、この曲面部20を介して中央平面部18と側壁部19とが接続されている。このように曲面部20を設けることにより、弾性弁体3がハウジング2に取り付けられた状態で、挿入されていたオスコネクタ100(図11参照)が抜去され、ハウジング2(図1等参照)内に押し込まれていた弾性弁体3が復元力により所定の位置に戻る際に、弾性弁体3の天面3aが、挿入開口5の入口近傍に位置するハウジング2の内壁42(図3参照)に引っかかりにくくなる。更に、本実施形態では、図5(a)に示すように、楕円形の中央部天面領域15の長軸方向において、スリット11から遠い位置まで延在する曲面部20ほど、同方向における長さLが長い構成となっている。中央部天面領域15の外縁のうち、楕円形の中央部天面領域15の長軸方向においてスリット11からの距離が遠い位置にある外縁ほど、弾性弁体3が復元力により所定の位置に戻る際に、ハウジング2の内壁42と引っかかり易い。しかしながら、長さLの関係を上述のようにすれば、スリット11からの距離が遠い位置にある外縁であっても引っかかり難くすることができる。
なお、図7(b)に示すように、本実施形態では、スリット11を含む、スリット11の長手方向に平行な断面で弾性弁体3を見た場合、中央平面部18の両端には円弧形状の曲面部20が設けられておらず、中央平面部18と後述する側壁部19とが、略直角の角度で直接接続されている。しかしながら、曲面部20を、中央平面部18の外縁全域に亘って設ける、すなわち弾性弁体3を天面3a側から見た場合に中央平面部18の周囲を取り囲むように設けるようにしてもよい。
周縁部14の周縁部天面領域17は、図5及び図7に示すように、厚さ方向Bと直交する環状平面で構成される周縁平面部21を備える。
括れ部12の括れ部天面領域16は、上述した中央部天面領域15と連続する環状の側壁部19と、上述した周縁部天面領域17と連続する環状の側壁部22と、径方向Aにおいて側壁部19及び側壁部22の間に位置する環状底部24と、を備える。換言すれば、括れ部天面領域16は、側壁部19及び側壁部22を対向する環状の溝壁とし、環状底部24を溝底とする天面環状溝23である。後述する第1挟持部材9の係止突起41(図8参照)は、この天面環状溝23に入り込んで環状底部24と接触し、後述する第2挟持部材10の係止突起45(図8参照)と共に、弾性弁体3を圧縮して挟持部48を形成する。
側壁部19は、厚さ方向Bに沿う弾性弁体3の断面視(図7参照)において、中央部天面領域15と連続し、厚さ方向Bに延在する円筒状の側壁本体部19aと、この側壁本体部19aと連続し、厚さ方向Bで底面3b側に向かうにつれて径方向Aの外側に広がるように延在する円弧状のテーパー部19bと、を備えている。テーパー部19bは、換言すれば、厚さ方向Bで底面3b側に向かうにつれて径方向Aの径が漸増する傾斜環状面である。側壁部19にテーパー部19bを設けることにより、側壁部19が側壁本体部19aのみで構成される場合と比較して、オスコネクタ100(図11参照)を抜去した際の弾性弁体3の復元性能を向上させることができる。
弾性弁体3の底面3bは、中央部13の中央部底面領域25と、この中央部底面領域25よりも径方向Aにおいて外側に位置する括れ部12の括れ部底面領域26と、この括れ部底面領域26よりも径方向Aにおいて更に外側に位置する周縁部14の周縁部底面領域27と、で構成されている。
中央部底面領域25は、天面3a側の中央平面部18と平行な面である底面3b側の中央平面部28と、この中央平面部28よりも径方向Aの外側に位置すると共に、中央平面部28よりも厚さ方向Bの外方(図6及び図7において下方)に突出する中央突出部29と、を備えている。
底面3b側の中央平面部28には、スリット11は形成されていないが、上述したとおり、例えば最初のオスコネクタ100(図11参照)の挿入時において、弾性弁体3の天面3a側の中央平面部18に形成されているスリット11の先端部と底面3b側の中央平面部28との間の部分が裂けることによって、スリット11は天面3a側の中央平面部18から底面3b側の中央平面部28まで連通する。なお、図5(b)には、説明の便宜上、天面3a側にあるスリット11の位置を破線で示している。
中央突出部29は、中央平面部28よりも外方に突出しているため、天面3a側の中央平面部18と底面3b側の中央平面部28との厚さ方向Bにおける肉厚よりも、天面3a側の中央平面部18と中央突出部29の頂部との厚さ方向Bにおける肉厚の方が厚い。中央突出部29を設けない構成の場合には、オスコネクタ100の挿入時や抜去時などに弾性弁体3に過剰な負荷がかかってしまう時や、オスコネクタ100が繰り返し挿入及び抜去される場合に、連通したスリット11の底面3b側の長手方向端部が裂けてしまうという問題があるが、中央突出部29を設けることによりスリット11の長手方向端部が補強されて上述の問題の発生を抑制することができる。なお、本実施形態では、弾性弁体3を底面3b側から見た場合に、中央平面部28を取り囲むように環状の中央突出部29が形成され、その中でも天面3aに形成されたスリット11の長手方向の両側に対応する部分の肉厚が最も厚く形成されている。このような構成とすることにより、貫通したスリット11の長手方向における端部が裂けることを抑制すると共に、弾性弁体3のオスコネクタ挿入性の良さと弾性復元力の維持とを両立することが可能となる。
また、中央突出部29の径方向A外側の側壁部30には、厚さ方向Bに沿う断面視で厚さ方向Bに略平行な面と、厚さ方向Bに沿う断面視で厚さ方向Bに対して傾斜した面と、が周方向Cにおいて交互に形成されている。具体的に、図7(a)に示すように、中央突出部29の側壁部30のうちスリット11に対してスリット11の長手方向に直交する方向(図5(b)において短軸方向)に位置する部分は、厚さ方向Bに略平行な面で構成されている。また、図7(b)に示すように、中央突出部29の側壁部30のうちスリット11に対してスリット11の長手方向(図5(b)において長軸方向)に位置する部分は、厚さ方向Bで天面3a側に向かうにつれて、径方向Aにおける径が漸増する面で構成されている。
周縁部底面領域27は、図7に示すように、厚さ方向Bと略直交する平面状の周縁平面部31を備える。
括れ部12の括れ部底面領域26は、上述した中央突出部29の側壁部30と、上述した周縁部底面領域27と連続する環状の側壁部32と、径方向Aにおいて側壁部30及び側壁部32の間に位置する環状底部34と、を備える。換言すれば、括れ部底面領域26は、側壁部30及び側壁部32を対向する環状の溝壁とし、環状底部34を溝底とする底面環状溝33である。後述する第2挟持部材10の係止突起45(図8参照)は、この底面環状溝33に入り込んで環状底部34と接触し、後述する第1挟持部材9の係止突起41(図8参照)と共に、弾性弁体3を圧縮して挟持部48を形成する。
本実施形態の側壁部30は、上述したように、中央突出部29の径方向A外側の外周面により構成されているが、この構成に限られるものではなく、中央突出部29の径方向A外側の外周面とは別に形成された側壁部としてもよい。
側壁部32は、図7の断面視において厚さ方向Bに延在する構成であるが、厚さ方向Bにおいて天面3a側に向かうにつれて、径方向Aにおける径が漸減する構成としてもよい。このような構成とすれば、後述するように、弾性弁体3を組み付ける際に、第2挟持部材10の係止突起45(図8参照)が、側壁部32によって、側壁部30に接触するように、更には、側壁部30を押圧するようにガイドされ、弾性弁体3のうち挟持部48(図3参照)によって挟持される径方向Aにおける位置がばらつくことが抑制される。更に、第2挟持部材10の係止突起45は、側壁部32によって、側壁部30と接触するように、更には側壁部30を径方向A内側に押圧するようにガイドされるので、弾性弁体3を挟持部48(図3参照)により挟持する際に、挟持部48により圧縮された部分が挿入開口5側に流れて、弾性弁体3の中央部13の底面3b側で弛みが生じることを一層抑制することができる。
なお、図4〜図7に示すように、弾性弁体3の天面3aにおける周縁部天面領域17の径方向Aにおける外縁と、底面3bにおける周縁部底面領域27の径方向Aにおける外縁とは、天面3a及び底面3bと共に弾性弁体3の外壁を構成する環状の側壁部35により接続されている。
[第1挟持部材9]
図8は、上述した弾性弁体3が、挟持部48により挟持されている状態を示す拡大断面図である。以下、図3及び図8を参照しながら第1挟持部材9、第2挟持部材10、及びホルダ8の構成を説明する。
図8は、上述した弾性弁体3が、挟持部48により挟持されている状態を示す拡大断面図である。以下、図3及び図8を参照しながら第1挟持部材9、第2挟持部材10、及びホルダ8の構成を説明する。
図3に示すように、第1挟持部材9は、挟持部48のうち弾性弁体3の天面3aと接触する天面接触部9aを備えている。具体的に、第1挟持部材9は、リング状の形状を有しており、その底面に、弾性弁体3の天面3aと接触する天面接触部9aが形成されている。より具体的には、図8に示すように、本実施形態の第1挟持部材9は、リング状の本体部36と、この本体部36の内縁からオスコネクタ100(図11参照)の挿入方向D(本実施形態では弾性弁体3の厚さ方向Bの一方向)に突出する環状の係止突起41(図8参照)と、を備えている。そして、本実施形態の天面接触部9aは、係止突起41の先端部により構成されている。
本体部36のうちオスコネクタ100の抜去方向E側の面である天面38aは、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向(本実施形態では弾性弁体3の厚さ方向Bと直交する方向と同じ方向)に延在する環状平面により構成されている。この天面38aには、オスコネクタ100が外方より挿入される挿入開口5の一端を区画する略円形の縁39が含まれる。
また、本体部36のうちオスコネクタ100の挿入方向D側の面である底面38bについても、係止突起41以外の部分は、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。
図8に示すように、環状の係止突起41は、弾性弁体3の天面環状溝23に嵌合し、後述する第2挟持部材10の環状の係止突起45と共に挟持部48を構成する。
なお、第1挟持部材9は、第1挟持部材9の本体部36の径方向A外側の外周面が後述する第2挟持部材10の中空筒部43の内周面と高周波溶着や超音波溶着等で接合されることにより、第2挟持部材10と一体化されている。
ここで、ハウジング2は、第1挟持部材9と第2挟持部材10が接合されている状態(図8参照)で、弾性弁体3の周縁部14と、この周縁部14をハウジング2に対して接着する接着部材70と、を収容する環状の収容空間Sを区画している。図8に示すように、収容空間Sは、弾性弁体3が挿入開口5を閉塞している状態で、ハウジング2の外部と連通しない閉鎖された空間である。収容空間Sの詳細は後述する。
図8に示すように、天面38aの縁39と係止突起41の間に形成される、第1挟持部材9の環状の内壁42は、オスコネクタ100が挿入されていない状態では上述した弾性弁体3の側壁部19(図7等参照)と接触し、オスコネクタ100が挿入されている状態(図11参照)ではオスコネクタ100と接触するように構成されている。つまり、オスコネクタ100が挿入されていない状態では、弾性弁体3の中央部13が内壁42により囲まれる略円柱状の空間に嵌り込み、オスコネクタ100が挿入されている状態ではオスコネクタ100が円筒状の内壁42により第1挟持部材9と嵌合する。なお、本実施形態における内壁42は、挿入方向Dに対して平行な円筒状であるが、オスコネクタ100の外形に応じて、挿入方向Dに向かって漸減的に内径が小さくなるテーパー状としてもよい。
本実施形態の第1挟持部材9は一体で型成形されたものであるが、複数の部材により構成することも可能である。
[第2挟持部材10]
第2挟持部材10は、挟持部48のうち弾性弁体3の底面3bと接触する底面接触部10aを備えている。具体的には、図3に示すように、第2挟持部材10は、略円筒状の中空筒部43と、中空筒部43の一端側に設けられたフランジ部44と、を備える。中空筒部43の他端側には、オスコネクタ100の抜去方向Eに向かって突出し、上述した弾性弁体3の底面環状溝33(図7等参照)に入り込んで、第1挟持部材9の係止突起41と共に弾性弁体3を圧縮し、挟持する環状の係止突起45と、この係止突起45の径方向Aの外側を覆う環状の外筒部50と、が設けられている(図8参照)。そして、本実施形態の底面接触部10aは、係止突起45の先端部により構成されている。
第2挟持部材10は、挟持部48のうち弾性弁体3の底面3bと接触する底面接触部10aを備えている。具体的には、図3に示すように、第2挟持部材10は、略円筒状の中空筒部43と、中空筒部43の一端側に設けられたフランジ部44と、を備える。中空筒部43の他端側には、オスコネクタ100の抜去方向Eに向かって突出し、上述した弾性弁体3の底面環状溝33(図7等参照)に入り込んで、第1挟持部材9の係止突起41と共に弾性弁体3を圧縮し、挟持する環状の係止突起45と、この係止突起45の径方向Aの外側を覆う環状の外筒部50と、が設けられている(図8参照)。そして、本実施形態の底面接触部10aは、係止突起45の先端部により構成されている。
より具体的に、中空筒部43のオスコネクタ100の抜去方向E側の端面の内縁側には、抜去方向Eに向かって突出する上述の係止突起45が設けられている。また、中空筒部43のオスコネクタ100の抜去方向E側の端面の外縁側には、抜去方向Eに向かって突出する上述の外筒部50が設けられている。なお、外筒部50は、係止突起45から径方向Aの外側に所定の間隔を空けて配置されており、係止突起45と外筒部50との間に環状溝51が区画されている。また、外筒部50は、係止突起45よりも抜去方向Eに長く延在している。換言すれば、外筒部50は、係止突起45よりも、抜去方向Eに突出している。
なお、上述したように、第2挟持部材10は、第1挟持部材9と超音波溶着等により接合されている。より具体的に、第2挟持部材10は、外筒部50の内周面に本体部36の径方向A外側の外周面を接合することにより、第1挟持部材9と一体化されている。そして、第2挟持部材10は、フランジ部44が後述するホルダ8に支持されることにより位置が固定されている。なお、第2挟持部材10とホルダ8との接合についても、高周波溶着や超音波溶着等を利用することができる。
また、第2挟持部材10の中空筒部43の外周面には、ISO80369−7に準拠するロックコネクタと螺合することができるようにねじ山40が形成されている。
更に、本実施形態の第2挟持部材10は一体で型成形されたものであるが、複数の部材により構成することも可能である。
[ホルダ8]
図3に示すように、ホルダ8は、第1挟持部材9及び第2挟持部材10を支持し、その内部に流路6を区画している。上述したように、本実施形態のホルダ8は、第1挟持部材9と接合されている第2挟持部材10のみと直接接触することにより第1挟持部材9及び第2挟持部材10を支持しているが、例えば、第1挟持部材及び第2挟持部材の形状を本実施形態とは異なる形状にした上で、ホルダ8が第1挟持部材及び第2挟持部材と直接接触して両者を支持する構成としてもよい。また、ホルダ8が、第1挟持部材のみと直接接触して第1挟持部材及び第2挟持部材を支持する構成とすることも可能である。なお、本実施形態とは異なる形状を有する第1挟持部材及び第2挟持部材の詳細については後述する(図12〜図16参照)。
図3に示すように、ホルダ8は、第1挟持部材9及び第2挟持部材10を支持し、その内部に流路6を区画している。上述したように、本実施形態のホルダ8は、第1挟持部材9と接合されている第2挟持部材10のみと直接接触することにより第1挟持部材9及び第2挟持部材10を支持しているが、例えば、第1挟持部材及び第2挟持部材の形状を本実施形態とは異なる形状にした上で、ホルダ8が第1挟持部材及び第2挟持部材と直接接触して両者を支持する構成としてもよい。また、ホルダ8が、第1挟持部材のみと直接接触して第1挟持部材及び第2挟持部材を支持する構成とすることも可能である。なお、本実施形態とは異なる形状を有する第1挟持部材及び第2挟持部材の詳細については後述する(図12〜図16参照)。
また、詳細は後述するが、コネクタ1にオスコネクタ100が挿入されるときは、オスコネクタ100の先端部101(図11参照)が挿入開口5を通って流路6内又はその近傍まで入り込み、オスコネクタ100内の液体流路とホルダ8の流路6とが連通する。
更に図3に示すように、本実施形態におけるホルダ8は、内周面にロックコネクタ用のねじ山が設けられた略円筒状の外筒部46と、この外筒部46が区画する中空部に設けられたオスルアー部47と、を備えるものであるが、このホルダ8の形状に限定されるものではなく各種ホルダが使用可能であり、ユーザーの使用用途等に応じて適宜変更可能である。例えば、図9に示すような、ホルダ80を備えるコネクタ110が挙げられる。ホルダ80は、中空部を内部に有する略円筒状の筐体からなるホルダ本体61と、ホルダ本体61の外周面から突出した円筒状の上流ポート部62及び下流ポート部63とを備える。ホルダ本体61内部の中空は、上流ポート部62から下流ポート部63に達する液体流路64の一部を担っている。またホルダ80の外壁上に第1挟持部材9及び第2挟持部材10が支持されている。図9に示すホルダ80は、内部の液体流路の形状や、液体流路の形状に伴う外形が、ホルダ8とは異なるが、弾性弁体3、第1挟持部材9、第2挟持部材10は上述したものと同一のものが使用可能である。
また更に、上述のホルダ80の他に、図10に示すような、ホルダ800を、ホルダ8に代えて用いることも可能である。図10は、コネクタ120としての三方活栓を示す。この三方活栓におけるホルダ800は、コック601を内部に収容する略円筒状のホルダ本体602と、ホルダ本体602の外壁に設けられた、略円筒状の上流ポート部603と、ホルダ本体602を挟み、上流ポート部603とは反対側の位置でホルダ本体602の外壁に設けられた、略円筒状の下流ポート部604と、上流ポート部603及び下流ポート部604の位置とは異なる位置で、ホルダ本体602の外壁に設けられた分岐ポート部605と、を備える。ホルダ800の内部には、図10において矢印で示すような液体流路606を形成することができる。弾性弁体3、第1挟持部材9、及び第2挟持部材10は、図10に示すホルダ800の分岐ポート部605の端部に設けられ、ホルダ800により支持される。
ここで、本実施形態では、弾性弁体3を、第1挟持部材9と第2挟持部材10とにより挟持する構成としているが、このような構成に限られるものではない。例えば、第2挟持部材10とホルダ8とを単一の部材で構成し、ホルダ自体に第2挟持部材10の機能を持たせ、このホルダと、第1挟持部材9と、で弾性弁体3を挟持するようにしてもよい。また、ホルダ8の形状の代わりにホルダ80の形状を用いて、第2挟持部材10とホルダ80とを単一の部材で構成するようにしてもよいし、ホルダ8の形状の代わりにホルダ800の形状を用いて、第2挟持部材10とホルダ800とを単一の部材で構成するようにしてもよい。
[弾性弁体3を挟持する挟持部48]
ハウジング2(図3参照)は、弾性弁体3の天面3a、及び、この天面3aの反対側の底面3b、に接触して弾性弁体3を挟持する挟持部48を備えている。以下、挟持部48について詳しく説明する。
ハウジング2(図3参照)は、弾性弁体3の天面3a、及び、この天面3aの反対側の底面3b、に接触して弾性弁体3を挟持する挟持部48を備えている。以下、挟持部48について詳しく説明する。
図8に示すように、弾性弁体3は、第1挟持部材9及び第2挟持部材10により区画される挿入開口5を閉塞するように取り付けられている。具体的に、係止突起41及び係止突起45で構成される挟持部48が、弾性弁体3のスリット11が形成された天面3a及び底面3bに接触して、弾性弁体3を圧縮及び挟持する。これにより、弾性弁体3の挿入開口5内での位置が固定される。より具体的には、第1挟持部材9の係止突起41が弾性弁体3の天面環状溝23(図7等参照)に入り込むと共に、第2挟持部材10の係止突起45が弾性弁体3の底面環状溝33(図7等参照)に入り込む。そして、弾性弁体3を天面3aの環状底部24(図7等参照)及び底面3bの環状底部34の位置で、係止突起41及び係止突起45により、厚さ方向Bに圧縮することで、弾性弁体3を挟持する挟持部48を形成する。なお、本実施形態における弾性弁体3の括れ部12は、挟持部48により挟持される前の状態で厚さ方向Bにおいて1.0mm程度の厚みを有するものであるが、挟持部48の圧縮によって、厚さ方向Bにおいて弾性変形できなくなる薄さ(例えば0.2〜0.3mm)になるまで圧縮される。但し、この圧縮量は一例であって、弾性弁体の形状や大きさ等に応じて適宜変更することが可能である。
ここで本実施形態の挟持部48は、第1挟持部材9の天面接触部9aとしての係止突起41の先端部と、第2挟持部材10の底面接触部10aとしての係止突起45の先端部と、により構成されており、弾性弁体3を天面3a側から見た場合に、挟持部48はスリット11を取り囲むように略円形に設けられている。なお、弾性弁体3を「天面3a側から見た場合」とは、弾性弁体3を天面3a側から見た仮想平面上に天面接触部9aと底面接触部10aとを投影した場合を意味しており、実際に目視できるか否かを意味するものではない。
弾性弁体3は、括れ部12の位置で、挟持部48により挟持される。以下、括れ部12のうち挟持部48により挟持される部分を「被挟持部12a」と記載する。
なお、ハウジング2(図3参照)は、弾性弁体3が挟持部48に挟持されている状態において、周縁部14と、接着部材70と、を収容する収容空間Sを区画している。具体的に、ハウジング2の第1挟持部材9及び第2挟持部材10が、収容空間Sを区画している。
より具体的に、本実施形態の収容空間Sは、径方向Aの外側を、第2挟持部材10の中空筒部43における外筒部50の内周面により区画されている。また、本実施形態の収容空間Sは、径方向Aの内側のうち被挟持部12aよりも挿入方向D側の部分を、第2挟持部材10の中空筒部43における係止突起45の外周面により区画されている。更に、本実施形態の収容空間Sは、径方向Aの内側のうち被挟持部12aよりも抜去方向E側の部分を、第1挟持部材9の係止突起41の外周面により区画されている。また更に、本実施形態の収容空間Sは、挿入方向D側を、第2挟持部材10の中空筒部43の環状溝51の溝底51aにより区画されている。また、本実施形態の収容空間Sは、抜去方向E側を、第1挟持部材9の本体部36の底面38bにより区画されている。
ここで、本実施形態では、係止突起41の挿入方向Dにおける先端位置が、周方向C全域において略等しいが、例えば、係止突起41の挿入方向Dの先端を櫛歯状とし、係止突起41の挿入方向Dにおける先端位置が周方向Cの位置に応じて異なる構成とすることもできる。係止突起45の抜去方向Eにおける先端位置についても同様である。但し、本実施形態のように、係止突起41及び係止突起45の先端位置を周方向Cの位置によらず略一定とすることが好ましい。このようにすれば、周方向Cの全域で弾性弁体3の挟持力を大きくすることができ、オスコネクタ100の挿入及び抜去の繰り返しに対して弾性弁体3の括れ部12及び周縁部14が挿入開口5側へと移動することを、一層抑制することができる。
[収容空間S]
上述したように、弾性弁体3の被挟持部12aが挟持部48により挟持されている状態で、ハウジング2は、弾性弁体3の周縁部14及び接着部材70を収容する収容空間Sを区画する。
上述したように、弾性弁体3の被挟持部12aが挟持部48により挟持されている状態で、ハウジング2は、弾性弁体3の周縁部14及び接着部材70を収容する収容空間Sを区画する。
接着部材70は、ハウジング2と弾性弁体3との間に介在し、ハウジング2と弾性弁体3とを接着している。より具体的に、接着部材70は、収容空間Sを区画するハウジング2の内壁と、弾性弁体3の周縁部14と、の間に介在し、ハウジング2の内壁と周縁部14とを接着している。そのため、収容空間S内で弾性弁体3の周縁部14が移動及び変形しようとしても、周縁部14は接着部材70により収容空間Sを区画する内壁に接着によって固定されているため、周縁部14の収容空間S内での移動及び変形が規制される。これにより、オスコネクタ100(図11参照)の挿入時において、弾性弁体3の周縁部14が、挟持部48の間を通じて挿入開口5側へと移動することを抑制することができる。
ここで、収容空間Sを区画するハウジング2の内壁と、弾性弁体3の周縁部14と、の間には、隙間が形成される。換言すれば、ハウジング2及び周縁部14は、ハウジング2の内壁と周縁部14との間に隙間が形成されるような形状、位置、大きさで構成されている。そして、この隙間に接着部材70が収容されている。
このように、ハウジング2の収容空間Sは、弾性弁体3の周縁部14を収容するスペースに加えて、接着部材70を収容可能なスペースが予め設けられている。すなわち、収容空間Sを区画するハウジング2の内壁と弾性弁体3の周縁部14との間には、接着部材70を保持する保持空間Tとしての隙間が設けられている。具体的に、本実施形態では、弾性弁体3の被挟持部12aが挟持部48により挟持されている状態において、弾性弁体3の周縁部14の抜去方向E側の位置に保持空間Tが設けられている。
換言すると、弾性弁体3の被挟持部12aが挟持部48により挟持されている状態において、収容空間Sの体積は、周縁部14の体積よりも大きい。特に、本実施形態では、ハウジング2の中心軸線Oを含むと共に中心軸線Oに平行な任意の断面(図3、図8参照)において、弾性弁体3の被挟持部12aが挟持部48により挟持されている状態で、収容空間Sの断面積X1が、周縁部14の断面積X2よりも大きい。そのため、図3及び図8の断面視では、収容空間Sを区画する内壁と周縁部14との間に保持空間Tとしての隙間が形成される。
なお、本実施形態における「収容空間Sの体積」とは、挟持部48よりも径方向Aの外側に位置する環状空間の体積である。なお、図8に示すように、挟持部48の径方向Aにおける外端は、天面接触部9aの径方向Aにおける外縁Q1と、底面接触部10aの径方向Aにおける外縁Q2と、を繋ぐ環状面Rと定義する。したがって、本実施形態の収容空間Sの断面積X1は、図8の断面視において環状面Rよりも径方向Aの外側の部分の断面積である。また、本実施形態の周縁部14の断面積X2についても、図8の断面視において環状面Rよりも径方向Aの外側の部分の断面積である。ここで、本実施形態において、「天面接触部9aの径方向Aにおける外縁Q1」とは、係止突起41のうち最も挿入方向Dに位置し、かつ、最も径方向Aの外側に位置する外縁を意味する。また、本実施形態において、「底面接触部10aの径方向Aにおける外縁Q2」とは、係止突起45のうち最も抜去方向Eに位置し、かつ、最も径方向Aの外側に位置する外縁を意味する。
また、収容空間Sは、上述したように、弾性弁体3の被挟持部12aが挟持部48により挟持されている状態において、ハウジング2の外部と連通しない閉鎖された空間である。なお、「外部と連通しない閉鎖された空間」とは、外部からアクセスできないように覆われた空間を意味する。つまり、本実施形態の収容空間Sは、挟持部48の位置以外は、周囲をハウジング2に覆われているため、弾性弁体3が挟持部48により挟持され、挿入開口5を閉塞している状態(図8参照)では、外部からアクセスできない空間となる。
[接着部材70及び保持空間T]
接着部材70は、収容空間Sに配置されている。具体的に、接着部材70は、上述したように、閉鎖された収容空間S内に設けられる保持空間Tに保持されている。そのため、予め保持空間Tとなる位置に一定の形状を有する接着部材70を配置した状態で、ハウジング2に弾性弁体3を組み付けることにより、組み付け後の収容空間S内の保持空間Tに、接着部材70を確実に配置することができる。そして、閉鎖された収容空間S内にお接着部材70を、ハウジング2の外部から加熱し又は発熱させて溶融させる。その結果、接着部材70が流動性を帯び、ハウジング2の収容空間Sを区画する内壁と、弾性弁体3の周縁部14と、の両方に密着する。その後、接着部材70を固化させることにより、収容空間Sを区画する内壁と、弾性弁体3の周縁部14と、を接着した状態とすることができる。
接着部材70は、収容空間Sに配置されている。具体的に、接着部材70は、上述したように、閉鎖された収容空間S内に設けられる保持空間Tに保持されている。そのため、予め保持空間Tとなる位置に一定の形状を有する接着部材70を配置した状態で、ハウジング2に弾性弁体3を組み付けることにより、組み付け後の収容空間S内の保持空間Tに、接着部材70を確実に配置することができる。そして、閉鎖された収容空間S内にお接着部材70を、ハウジング2の外部から加熱し又は発熱させて溶融させる。その結果、接着部材70が流動性を帯び、ハウジング2の収容空間Sを区画する内壁と、弾性弁体3の周縁部14と、の両方に密着する。その後、接着部材70を固化させることにより、収容空間Sを区画する内壁と、弾性弁体3の周縁部14と、を接着した状態とすることができる。
したがって、組み付け後に外部から収容空間S内に流動体等の接着部材を注入する必要がないため、収容空間Sを外部と連通しない閉鎖された空間とすることができる。組み付け後に流動体の接着部材を注入するためには、外部から収容区間に接着部材を注入するための注入孔をハウジングに設ける必要があるが、注入の際に接着部材が漏出するおそれがある。つまり、閉鎖された収容空間S内に接着部材70を保持する保持空間Tを設けるようにすれば、ハウジング2と弾性弁体3との接着部材70による接着を、接着部材70がハウジング2の外部に漏出し難い構成で実現することができる。そのため、ハウジング2の外部に接着部材70が露出することを抑制できる。
なお、本実施形態の収容空間Sは、第1挟持部材9及び第2挟持部材10のみにより区画されており、他の部材は収容空間Sに面していない。そして、第1挟持部材9及び第2挟持部材10それぞれは、組み立て後に外部から収容空間Sに対して流動体の接着部材を注入可能とする注入孔が存在しない構成で、型成形されている。つまり、第1挟持部材9及び第2挟持部材10は、型成形後に注入孔が接着部材や別の部材により充填されることで形成されるものではなく、型成形された時点で既に注入孔が存在しない。
また、本実施形態のように、ハウジング2が少なくとも2つの部材(本実施形態では第1挟持部材9と第2挟持部材10)から構成されている場合、保持空間Tは、ハウジング2のうち、異なる部材同士が接合される熱溶着部71に隣接する位置に形成されていることが好ましい。なお、本実施形態の熱溶着部71は、第1挟持部材9の本体部36の径方向A外側の外周面と、第2挟持部材10の中空筒部43の外筒部50の内周面と、の接合界面である。そして、本実施形態の保持空間Tは、熱溶着部71としての接合界面に隣接した位置に設けられている。
より具体的に、図8に示すように、収容空間Sを区画するハウジング2の内壁には、第1挟持部材9及び第2挟持部材10の熱溶着部71としての接合界面の一端Pが含まれている。そして、熱溶着部71としての接合界面の一端Pが、保持空間Tに面している。本実施形態の一端Pは、熱溶着部71としての接合界面の挿入方向D側の円周状の端である。
このように、熱溶着部71と保持空間Tとを隣接させて配置することにより、2つの部材(本実施形態では第1挟持部材9と第2挟持部材10)を熱溶着して熱溶着部71を形成する際に、熱溶着する部分に隣接する保持空間Tに保持される接着部材70を同時に又は連続して、加熱する又は発熱させることができる。そのため、接着部材70を溶融させる工程を、熱溶着部71を形成する工程と同時又は連続して実行することができ、組み立て時の作業効率を向上させることができる。なお、本実施形態では、超音波溶着又は高周波溶着により、第1挟持部材9の本体部36の径方向A外側の外周面と、第2挟持部材10の中空筒部43の外筒部50の内周面と、を発熱させて熱溶着している。そして、本実施形態の接着部材70は、この熱溶着時に同時に発熱することで溶融する。
なお、本実施形態では、保持空間Tを収容空間Sの上部に設けているが、収容空間Sにおける保持空間Tの位置はこの位置に限られるものではない。次に、収容空間Sにおける保持空間Tの位置のバリエーションについて説明するが、その前にまず、オスコネクタ100が挿入される際の弾性弁体3の変形について説明する。
図11は、オスコネクタ100が挿入開口5(図9参照)に挿入されている状態のコネクタ110を示す図である。なお、図11は、ホルダ8の代わりに上述したホルダ80を備えるコネクタ110(図9参照)を示しているが、ホルダ8を備えるコネクタ1としてもよく、図10に示すホルダ800を備えるコネクタ120としてもよい。なお、コネクタ1、110及び120はいずれも、弾性弁体3、第1挟持部材9、第2挟持部材10の構成については共通している。また、図11では、オスコネクタ100のうち、コネクタ110の挿入開口5に挿入される筒部のみを示しているが、オスコネクタ100は、ISO80369−7に準拠するロック式のオスコネクタであっても、スリップ式のオスコネクタであってもよい。
オスコネクタ100がコネクタ110に挿入されると、オスコネクタ100の先端部101が弾性弁体3をコネクタ110内へと押し込むように弾性変形させ、貫通したスリット11を通じてホルダ本体61内の液体流路64内又はその近傍に到達する。
弾性弁体3は、オスコネクタ100の挿入により弾性変形し、第2挟持部材10の内壁とオスコネクタ100の外壁との間に入り込み、オスコネクタ100の外面に密着した状態となる。これにより、コネクタ110とオスコネクタ100とが液密に接続され、コネクタ110から外部へ薬液等の液体が漏れることが抑制される。
オスコネクタ100の先端部101は、ホルダ本体61の上面に形成された位置決め部65に対して弾性弁体3を挟んだ状態で突き当たり、オスコネクタ100の挿入方向Dでの位置決めがされる。なお、オスコネクタ100の外面と第2挟持部材10の内壁との間に弾性弁体3を挟んだ状態ではあるが、弾性弁体3には貫通したスリット11が設けられているため、オスコネクタ100内の液体流路はスリット11を通じて液体流路64と連通した状態となる。
このように、オスコネクタ100の挿入時には、主に、弾性弁体3の中央部13が弾性変形する。しかしながら、中央部13が挿入方向Dに押し込まれると、被挟持部12a(図8参照)及び周縁部14(図8参照)も、挟持部48(図8等参照)間を通じて挿入開口5(図8等参照)側に向かって引っ張られることになる。図19は、比較例としての医療用コネクタ200に対して、オスコネクタ100が挿入された際の、挟持部248間を通じて挿入開口205側に引っ張られる周縁部214の様子を示す図である。図19に示す比較例としての医療用コネクタ200の収容空間S´には、収容空間S´を区画する内壁と弾性弁体203の周縁部214とを接着する接着部材は設けられていない。
図19に示すように、中央部213が挿入方向Dに押し込まれると、周縁部214は、抜去方向E側が径方向Aの内側へ倒れるように、かつ、挿入方向D側が径方向Aの外側へ倒れるように、移動又は変形し易い。このような移動や変形が発生した状態で、例えば弾性弁体203の中央部213の周方向Cの一部に挿入方向Dに向かう局所的な過度な荷重が加わると、周縁部214のうち被挟持部212aよりも抜去方向E側の部分が、係止突起241と摺動しながら弾性変形し、挟持部248間を挿入開口205側へと抜け落ちる現象が生じるおそれがある。
そのため、本実施形態のコネクタ1や、コネクタ1の変形例としての図9及び図10に示すコネクタ110及び120では、周縁部14が挟持部48間から抜け落ちることがないように、収容空間S内に接着部材70を設けている。
特に、接着部材70は、周縁部14で上述の倒れ(図19参照)を生じ難くなるような位置、又は、周縁部14に生じる上述の倒れ(図19参照)を一定量で制限できるような位置に設けることが好ましい。
図12は、接着部材の保持空間Tを、周縁部14の倒れを生じ難くする位置に配置した例である。図12に示すように、収容空間Sを区画するハウジング302の内壁は、周縁部14の径方向Aの内側を覆う内側壁部381を備えており、保持空間Tは、周縁部14と、内側壁部381と、の間に形成されている。より具体的に、保持空間Tは、周縁部14と、内側壁部381のうち被挟持部12aの位置よりもオスコネクタ100(図11参照)の抜去方向E側に位置する部分と、の間に形成されている。このような位置に保持空間Tを設け、接着部材370を配置すれば、周縁部14の抜去方向E側が径方向Aの内側へと倒れ難くする、又は、所定の倒れ量に規制する、ことができる。
なお、本実施形態の内側壁部381は、係止突起341の径方向Aの外側の面及び係止突起45の径方向Aの外側の面で構成されている。また、本実施形態において、内側壁部381のうち被挟持部312aの位置よりもオスコネクタ100の抜去方向E側に位置する部分は、係止突起341の径方向Aの外側の面により構成されている。
図12に示す例では、ハウジング302の第1挟持部材309の係止突起341に、接着部材370を受ける受け部341aが形成されている。具体的に、環状の係止突起341の径方向Aの外側の面には段差面341bによって段差が設けられている。そして、係止突起341のうち段差面341bよりも基端側の部分の外径は、段差面341bよりも先端側の部分の外径よりも大きい。そのため、係止突起341の径方向Aの外側の面のうち段差面341bよりも基端側の部分が、弾性弁体3の周縁部14の径方向A内側の面と当接する。そして、係止突起341の径方向Aの外側の面のうち段差面341bよりも先端側の部分は、弾性弁体3の周縁部14の径方向A内側の面から離間している。つまり、係止突起341の径方向Aの外側の面のうち段差面341bよりも先端側の部分と、周縁部14と、の間に、接着部材370を保持する保持空間Tとしての隙間が形成される。なお、図12に示す係止突起341の受け部341aは、段差面341bと、係止突起341の径方向Aの外側の面のうち段差面341bよりも先端側の部分と、により構成されている。
なお、図12に示す接着部材370は、第1挟持部材309の天面接触部309aとしての係止突起341の先端部に対して、径方向Aで隣接した位置に配置されている。そのため、第2挟持部材10に対して、弾性弁体3、接着部材370、第1挟持部材309の順に順次組み付けていく製造工程を採用可能である。
図13は、保持空間Tの別の例を示す図である。図13に示すように、保持空間Tを、収容空間S内で異なる位置に複数設けてもよい。以下、説明の便宜上、図13に示す2つの保持空間Tのうち、周縁部14に対して抜去方向E側に位置するものを「第1保持空間T1」と記載し、周縁部14に対して径方向A外側に位置するものを「第2保持空間T2」と記載する。
図13に示す第1保持空間T1の収容空間Sにおける位置は、上述した図1〜図11に示す保持空間Tの収容空間Sにおける位置と同様である。第1保持空間T1には、上述した図1〜図11の保持空間Tと同様、接着部材70が保持されている。
また、図13では、収容空間Sを区画するハウジング402の内壁は、周縁部14の径方向Aの外側を覆う外側壁部482を備えており、第2保持空間T2は、周縁部14と、外側壁部482と、の間に形成されている。具体的に、図13に示す例では、収容空間Sを区画するハウジング402の内壁の一部である外側壁部482には凹部483が形成されている。そして、第2保持空間T2は凹部483内の凹空間である。この凹空間に接着部材470が保持されている。
このように第2保持空間T2を、収容空間Sを区画するハウジング402の内壁に設けられた凹部483の凹空間とすることにより、凹部483の開口縁483aが周縁部14と当接し、凹部483の底部483bと周縁部14との間に、保持空間Tとなる凹空間を確保し易くなる。なお、図13の第2保持空間T2は、外側壁部482に形成される凹部483の凹空間であるが、図14に示すように、内側壁部581に凹部583を形成し、その凹空間を、接着部材570を保持する保持空間Tとしてもよい。
なお、図13に示す第2保持空間T2は、周縁部14と、外側壁部482のうち被挟持部12aの位置よりもオスコネクタ100(図11参照)の挿入方向D側の部分と、の間に形成されていない。しかしながら、保持空間Tを周縁部14と外側壁部482との間に設ける場合は、保持空間Tを、周縁部14と、外側壁部482のうち被挟持部12aの位置よりもオスコネクタ100の挿入方向D側の部分と、の間に形成することが好ましい。このようにすれば、周縁部14の上述した倒れ(図19参照)を、より生じ難くすることができる。このような構成とした例については後述する(図16参照)。
また、図12に示すハウジング302、図13に示すハウジング402、及び図14に示すハウジング502は、いずれも第1挟持部材及び第2挟持部材を備えている。しかしながら、第1挟持部材と第2挟持部材との熱溶着部の位置が全て異なっている。以下、この相違点について説明する。なお、図12に示すハウジング302の第1挟持部材309及び第2挟持部材10の熱溶着部371としての接合界面の位置は、図1〜図11に示す熱溶着部71としての接合界面の位置と同様であるためここでは説明を省略する。
図13に示すハウジング402は、第1挟持部材409と、第2挟持部材410と、を備えている。第1挟持部材409は、リング状の本体部436と、この本体部436の内縁からオスコネクタ100(図11参照)の挿入方向Dに突出する環状の係止突起441と、を備えている。本体部436のうちオスコネクタ100の抜去方向E側の面である天面438aは、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。この天面438aには、オスコネクタ100が外方より挿入される挿入開口405の一端を区画する略円形の縁439が含まれる。また、本体部436のうちオスコネクタ100の挿入方向D側の面である底面438bについても、係止突起441以外の部分は、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。
第2挟持部材410は、略円筒状の中空筒部443と、この中空筒部443の端面からオスコネクタ100(図11参照)の抜去方向Eに向かって突出する環状の係止突起445と、この係止突起445の径方向Aの外側を覆う環状の外筒部450と、を備えている。
そして、図13における第2挟持部材410は、第1挟持部材409と超音波溶着等により接合されている。より具体的に、第2挟持部材410は、外筒部450の先端面に本体部436の底面438bを接合することにより、第1挟持部材409と一体化されている。換言すれば、図13における熱溶着部471は、外筒部450の先端面と、本体部436の底面438bと、の接合界面である。
図14に示すハウジング502は、第1挟持部材509と、第2挟持部材510と、を備えている。第1挟持部材509は筒状の形状を有している。第1挟持部材509のうちオスコネクタ100の抜去方向E側の端面である天面538aは、オスコネクタ100(図11参照)の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。この天面538aには、オスコネクタ100が外方より挿入される挿入開口505の一端を区画する略円形の縁539が含まれる。また、第1挟持部材509のうちオスコネクタ100の挿入方向D側の端部が、弾性弁体3と当接する。
第2挟持部材510は、略円筒状の中空筒部543と、この中空筒部543の端面からオスコネクタ100(図11参照)の抜去方向Eに向かって突出する環状の係止突起545と、この係止突起545の径方向Aの外側を覆う環状の外筒部550と、この外筒部550の先端から径方向Aの内側に延在するフランジ部551と、を備えている。このフランジ部551のうちオスコネクタ100の抜去方向E側の面である天面551aは、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。また、フランジ部551のうちオスコネクタ100の挿入方向D側の面である底面551bについても、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。
そして、図14における第2挟持部材510は、第1挟持部材509と超音波溶着等により接合されている。より具体的に、第2挟持部材510は、フランジ部551の内周面に第1挟持部材509の外周面を接合することにより、第1挟持部材509と一体化されている。換言すれば、図14における熱溶着部571は、第2挟持部材510のフランジ部551の内周面と、第1挟持部材509の外周面と、の接合界面である。
以上のように、熱溶着部の位置は、第1挟持部材及び第2挟持部材の形状に応じて適宜変更することができる。但し、図1〜図11、図13及び図14に示すように、熱溶着部71、471、571と、接着部材を保持する保持空間Tとは隣接する位置に設けることが好ましい。
図15(a)及び図16は、収容空間Sにおける保持空間Tの位置として、図1〜図14とは別の位置を示す図である。
図15(a)に示すハウジング702は、第1挟持部材709及び第2挟持部材710を備えている。第1挟持部材709は、リング状の本体部736と、この本体部736の内縁からオスコネクタ100(図11参照)の挿入方向Dに突出する環状の係止突起741と、を備えている。本体部736のうちオスコネクタ100の抜去方向E側の面である天面738aは、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。この天面738aには、オスコネクタ100が外方より挿入される挿入開口705の一端を区画する略円形の縁739が含まれる。また、本体部736のうちオスコネクタ100の挿入方向D側の面である底面738bについても、係止突起741以外の部分は、オスコネクタ100の挿入方向D及び抜去方向Eと直交する方向に延在する環状平面により構成されている。
第2挟持部材710は、略円筒状の中空筒部743と、この中空筒部743の端面からオスコネクタ100(図11参照)の抜去方向Eに向かって突出する環状の係止突起745と、この係止突起745の径方向Aの外側を覆う環状の外筒部750と、を備えている。
そして、図15(a)における第2挟持部材710は、第1挟持部材709と超音波溶着等により接合されている。より具体的に、第2挟持部材710は、外筒部750の先端面に本体部736の底面738bを接合することにより、第1挟持部材709と一体化されている。換言すれば、図15(a)における熱溶着部771は、外筒部750の先端面と、本体部736の底面738bと、の接合界面である。
ここで、ハウジング702の第2挟持部材710の外筒部750に、接着部材770を受ける受け部750aが形成されている。具体的に、第2挟持部材710の外筒部750の径方向Aの内側の面には段差面750bによって段差が設けられている。そして、外筒部750のうち段差面750bよりも基端側の部分の内径は、段差面750bよりも先端側の部分の内径よりも小さい。そのため、外筒部750の径方向Aの内側の面のうち段差面750bよりも基端側の部分が、弾性弁体3の周縁部14の径方向A外側の面と当接する。そして、外筒部750の径方向Aの内側の面のうち段差面750bよりも先端側の部分は、弾性弁体3の周縁部14の径方向A外側の面から離間している。つまり、外筒部750の径方向Aの内側の面のうち段差面750bよりも先端側の部分と、周縁部14と、の間に、接着部材770を保持する保持空間Tとしての隙間が形成される。なお、図15(a)に示す外筒部750の受け部750aは、段差面750bと、外筒部750の径方向Aの内側の面のうち段差面750bよりも先端側の部分と、により構成されている。
換言すれば、周縁部14及び第2挟持部材710により環状溝784が区画されており、この環状溝784が保持空間Tとなる。具体的に、図15(a)に示す例では、周縁部14の径方向Aの外側の面と、外筒部750の段差面750bと、外筒部750の径方向Aの内側の面のうち段差面750bよりも先端側の部分と、により環状溝784が区画されている。つまり、図15(a)に示す保持空間Tは、周縁部14及び第2挟持部材710により区画された環状溝784を第1挟持部材709が覆うことにより形成される閉鎖された環状空間である。
このように、周縁部14及び第2挟持部材710により環状溝784を区画するようにすれば、組み立て時において、環状溝784内に一定形状を有する接着部材770を配置することで、接着部材770の位置を容易に位置決めすることができる。そしてその後に第1挟持部材709で環状溝784の開口を覆うことで保持空間Tとしての環状空間を形成し、この環状空間と隣接する位置で第1挟持部材709と第2挟持部材710とを熱溶着して熱溶着部771を形成すると共に、保持空間Tとしての環状空間に位置する接着部材770を溶融する。つまり、組み立て時の接着部材770の位置決めと、接着部材770の溶融する工程の効率化と、を両立することができる。
なお、図15(b)及び図15(c)は、溶融する前の、常温時の接着部材770の形状の例を示す図である。図15(b)に示すように、接着部材770は、保持空間Tとしての環状空間に配置されるリング状部材とすることができる。また、図15(c)に示すように、接着部材770は、保持空間Tとしての環状空間に配置される棒状部材とすることができる。接着部材770を図15(c)の棒状部材とする場合には、複数の接着部材770を周方向C全域に亘って連続して配置してもよく、周方向Cに間欠的に配置してもよい。但し、周方向C全域に亘って連続して配置し、周方向C全域で弾性弁体3の周縁部14とハウジング702とを接着することが、全体としての接着強度の観点や周方向Cの位置によるばらつきを抑制する観点から好ましい。また、接着部材770を図15(c)に示す棒状部材とする場合には、保持空間Tの形状に合わせて変形可能なように可撓性を有する構成とすることが好ましい。
ここで、図15(b)及び図15(c)は、図15(a)の接着部材770の例として説明したが、図1〜図14及び図16における接着部材としても使用することができる。
図16のハウジング802は、図15(a)のハウジング702と比較して、第1挟持部材及び第2挟持部材の形状が異なる。また、この形状の相違に基づき、熱溶着部の位置が異なる。しかしながら、その他の構成は共通している。例えば、図16の保持空間Tは、図15(a)の保持空間Tと同様、周縁部14及び第2挟持部材810により区画された環状溝884を第1挟持部材809が覆うことにより形成される閉鎖された環状空間である。この保持空間Tには、接着部材870が保持されている。以下、上記相違する構成について説明し、共通する構成の記載は省略する。
図16に示すように、第1挟持部材809は、筒状部885と、この筒状部885の一端から径方向Aの内側に突出する環状のフランジ部886と、このフランジ部886の内縁からオスコネクタ100の挿入方向Dに突出する環状の係止突起841と、を備えている。環状のフランジ部886の天面886a及び底面886bは、挿入方向Dに直交する方向に延在する環状平面である。
第2挟持部材810は、略円筒状の中空筒部843と、この中空筒部843の端面からオスコネクタ100(図11参照)の抜去方向Eに向かって突出する環状の係止突起845と、この係止突起845の径方向Aの外側に位置する環状突起部887と、を備えている。
そして、図16における第2挟持部材810は、第1挟持部材809と超音波溶着等により接合されている。より具体的に、第2挟持部材810は、環状突起部887の先端面に筒状部885の挿入方向D側の端面である底面を接合することにより、第1挟持部材809と一体化されている。換言すれば、図16における熱溶着部871は、環状突起部887の先端面と、筒状部885の底面と、の接合界面である。
なお、環状突起部887に形成される受け部887aの構成は、図15(a)に示す外筒部750の受け部750aと同様である。また、環状突起部887と周縁部14とで区画される環状溝884の構成も、図15(a)に示す外筒部750と周縁部14とで区画される環状溝784と同様である。更に、熱溶着部871と保持空間Tの位置関係も、図15(a)に示す熱溶着部771と保持空間Tとの位置関係と同様である。
ここで、図15(a)では、保持空間Tが、周縁部14と、外側壁部782のうち被挟持部12aの位置よりもオスコネクタ100の抜去方向E側の部分と、の間に形成されているが、図16の保持空間Tは、周縁部14と、外側壁部882のうち被挟持部12aの位置よりもオスコネクタ100の挿入方向D側の部分と、の間に形成されている。保持空間Tをこのような位置に配置すれば、図15(a)に示す構成と比較して、周縁部14の上述の倒れ(図19参照)をより抑制することができる。
<コネクタ110を備える輸液セット130>
次に、図17を用いて、コネクタ110を備える輸液セット130について説明する。ここでは上述したホルダ80を用いたコネクタ110を備える輸液セット130について説明するが、ホルダの形状は輸液セットの使用用途等に応じて適宜変更可能であり、上述したホルダ8を有するコネクタ1や、ホルダ800を有するコネクタ120を備える輸液セットとすることも可能である。
次に、図17を用いて、コネクタ110を備える輸液セット130について説明する。ここでは上述したホルダ80を用いたコネクタ110を備える輸液セット130について説明するが、ホルダの形状は輸液セットの使用用途等に応じて適宜変更可能であり、上述したホルダ8を有するコネクタ1や、ホルダ800を有するコネクタ120を備える輸液セットとすることも可能である。
図17に示すように、輸液セット130は、液体を収容する輸液バッグに挿入するびん針131と、びん針131の基部に連結され、液体流路を形成する第1のチューブ132と、第1のチューブ132の液体流路下流側に連結された点滴筒133と、点滴筒133に連結され、点滴筒133から排出される液体の液体流路を形成する第2のチューブ134と、第2のチューブ134の外周面に取り付けられ、第2のチューブ134を通過する液体の流量を調整可能なクランプ135と、クランプ135の設置位置よりも液体流路下流側に位置する第2のチューブ134の端部と連結される上流ポート部62を有するホルダ80を備えたコネクタ110と、コネクタ110の下流ポート部63と連結し、液体流路を形成する第3のチューブ136と、第3のチューブ136の液体流路の下流側端部に連結されたISO80369−7に準拠するロック式のオスコネクタ137と、を備えている。
この輸液セット130では、第3のチューブ136が、コネクタ110とオスコネクタ137とを連結する構成となっているが、コネクタ110とオスコネクタ137との間に、別のコネクタ110を追加して、連結するチューブも追加するような構成としてもよい。またクランプ135についても個数を追加することや、別の位置に配置することも可能であり、輸液セット130の構成要素やその構成要素の位置は、ユーザーの使用用途に応じて当業者が適宜変更して組み合わせることが可能なものであって、上記輸液セット130の構成に限定されるものではない。また、第1〜第3のチューブ132、134、136と、これらチューブに接続される各構成要素とは、ロックコネクタにより連結されることが好ましい。
輸液セット130はコネクタ110を備えるため、びん針131が接続される輸液バッグからの液体とは別の液体を、コネクタ110を通じて輸液ラインに供給することが可能となり、体内に供給したい液体ごとにそれぞれ異なる輸液ラインを設ける必要がなくなる。
<コネクタ1の製造方法>
最後に、本発明の一実施形態としてのコネクタ1の製造方法について説明する。図18は、コネクタ1の製造方法を示すフローチャートである。図18に示すように、コネクタ1の製造方法は、載置ステップS1と、配置ステップS2と、空間形成ステップS3と、溶融ステップS4と、を含む。以下、各ステップS1〜S4について説明する。
最後に、本発明の一実施形態としてのコネクタ1の製造方法について説明する。図18は、コネクタ1の製造方法を示すフローチャートである。図18に示すように、コネクタ1の製造方法は、載置ステップS1と、配置ステップS2と、空間形成ステップS3と、溶融ステップS4と、を含む。以下、各ステップS1〜S4について説明する。
載置ステップS1では、第2挟持部材10に対して弾性弁体3を載置する。具体的に、第2挟持部材10(図8等参照)の環状の係止突起45(図8等参照)が、弾性弁体3の底面環状溝33(図7参照)に入り込むように、弾性弁体3を第2挟持部材10に載置する。
配置ステップS2では、周縁部14に隣接させて、所定の形状を有する熱可塑性樹脂からなる接着部材70(図8等参照)を配置する。具体的に、図1〜図11に示す構成では、接着部材70を、周縁部14の抜去方向E側の端面と、第2挟持部材10の内周面と、に接触するように周方向C全域に配置している。接着部材70としては、図15(b)に示すようなリング状部材であっても、図15(c)に示すような棒状部材であってもよい。なお、図15(a)や図16に示すコネクタ1の変形例の場合には、図15(a)の環状溝784や図16の環状溝884に接着部材を配置して位置決めする。
空間形成ステップS3では、第2挟持部材10との間で挟持部48を形成するように第1挟持部材9を配置し、第1挟持部材9と第2挟持部材10とにより、周縁部14及び接着部材70が収容される、外部と連通しない閉鎖された収容空間Sを形成する。
溶融ステップS4では、接着部材70を溶融させることにより、周縁部14とハウジング2とを接着する。具体的に、接着部材70は、ハウジング2の外部からの超音波や高周波によって発熱して溶融する。ここで、溶融ステップS4では、所定の形状を有する固形の接着部材70を溶融させると共に、第1挟持部材9と第2挟持部材10とを熱溶着する。これにより、接着部材70により、ハウジング2と弾性弁体3とを接着すると共に、第1挟持部材9と第2挟持部材10とを熱溶着して熱溶着部71を形成する。
本発明に係るコネクタ及びコネクタの製造方法は、上述した実施形態で示す具体的な構成やステップに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載する発明の要旨を逸脱しない限り、本発明の技術的範囲に属するものであり、その範囲で上述した実施形態から種々の変更が可能である。
例えば、図13では、収容空間Sを区画するハウジング402の内壁の一部である外側壁部482に凹部483が形成され、凹部483内の凹空間の全体に接着部材470が保持されている。しかしながら、図20に示すように、接着部材970が凹部983内の凹空間の一部に保持され、凹部983内の凹空間の残りの空間に弾性弁体3の周縁部14が食い込むことで入り込んでいる構成としてもよい。換言すれば、図20に示す例では、接着部材970は凹部983の凹空間の一部に収容されており、周縁部14が凹空間に食い込んでいる。このような構成とすれば、接着部材970による周縁部14とハウジング902の内壁との接着に加えて、周縁部14が弾性変形しながら凹部983内に押し込まれるため、周縁部14の収容空間S内での移動が一層抑制され、周縁部14の収容空間S内での固定効果を高めることができる。なお、凹部983は、収容空間Sを区画するハウジング902の内壁のうち径方向A内側に位置する部分に形成されていてもよい。
より具体的に、図20では、凹部983が、収容空間Sを区画するハウジング902の内壁のうち径方向A外側に位置する部分に形成されている。そして、接着部材970の径方向Aにおける長さが、凹部983の径方向Aにおける長さよりも短い。また、凹部983の開口縁983aが周縁部14を押圧しており、周縁部14が凹部983内に食い込んでいる。
特に、図20の例では、2つの凹部983と、この2つの凹部983により、その間に形成される凸部984と、が設けられている。そのため、凸部984により周縁部14が圧縮され、周縁部14の径方向A外側の面を、2つの凹部983の間の位置で、折れ曲がるように圧縮変形させることができる。その結果、周縁部14の厚さ方向Bへの移動を、より一層抑制することができる。つまり、2つの凹部983内への周縁部14の食い込みと、周縁部14の径方向A外側の面の折れ曲がりと、により、周縁部14の収容空間Sでの固定効果をより一層高めることができる。
図21では、接着部材1070が、ハウジング1002の収容空間Sを区画する内壁と、弾性弁体3の周縁部14との間で挟み込まれている。そして、周縁部14は、接着部材1070により押し込まれて圧縮変形した状態で、収容空間S内に保持されている。つまり、図21に示す例では、接着部材1070の体積分だけ、周縁部14が圧縮されるようになっており、周縁部14の径方向A外側の面の折れ曲がりによって、周縁部14の収容空間Sでの固定効果を高めることができる。
本発明は、医療用コネクタ及び医療用コネクタの製造方法に関する。
1、110、120:医療用コネクタ
2、302、402、502、702、802、902、1002:ハウジング
3:弾性弁体
3a:天面
3b:底面
4:中空部
5、405、505、705:挿入開口
6:流路
7:キャップ
8:ホルダ
9、309、409、509、709、809:第1挟持部材
9a、309a:天面接触部
10、410、510、710、810:第2挟持部材
10a:底面接触部
11:スリット
12:括れ部
12a、312a:被挟持部
13:中央部
14:周縁部
15:中央部天面領域
16:括れ部天面領域
17:周縁部天面領域
18:中央平面部
19:側壁部
19a:側壁本体部
19b:テーパー部
20:曲面部
21:周縁平面部
22:側壁部
23:天面環状溝
24:環状底部
25:中央部底面領域
26:括れ部底面領域
27:周縁部底面領域
28:中央平面部
29:中央突出部
30:側壁部
31:周縁平面部
32:側壁部
33:底面環状溝
34:環状底部
35:側壁部
36、436、736:本体部
38a、438a、538a、738a:天面
38b、438b、738b:底面
39、439、539、739:縁
40:ねじ山
41、341、441、741、841:係止突起
42:第1挟持部材の内壁
43、443、543、743、843:中空筒部
44:フランジ部
45、445、545、745、845:係止突起
46:外筒部
47:オスルアー部
48:挟持部
50、450、550、750:外筒部
51:環状溝
51a:溝底
61:ホルダ本体
62:上流ポート部
63:下流ポート部
64:液体流路
65:位置決め部
70、370、470、570、770、870、970、1070:接着部材
71、371、471、571、771、871:熱溶着部
80:800:ホルダ
100:オスコネクタ
101:先端部
130:輸液セット
131:びん針
132:第1のチューブ
133:点滴筒
134:第2のチューブ
135:クランプ
136:第3のチューブ
137:オスコネクタ
200:医療用コネクタ
203:弾性弁体
205:挿入開口
212a:被挟持部
213:中央部
214:周縁部
241:係止突起
248:挟持部
341a:受け部
341b:段差面
381、581:内側壁部
482、782、882:外側壁部
483、583、983:凹部
483a、983a:開口縁
483b:底部
551:フランジ部
551a:天面
551b:底面
601:コック
602:ホルダ本体
603:上流ポート部
604:下流ポート部
605:分岐ポート部
606:液体流路
750a:受け部
750b:段差面
784:環状溝
884:環状溝
885:筒状部
886:フランジ部
886a:天面
886b:底面
887:環状突起部
887a:受け部
984:凸部
A:弾性弁体の径方向
B:弾性弁体の厚さ方向
C:弾性弁体の周方向
D:オスコネクタの挿入方向
E:オスコネクタの抜去方向
L:楕円形の天面平面部の長軸方向における曲面部の長さ
O:中心軸線
P:熱溶着部の一端
Q1:天面接触部の径方向における外縁
Q2:底面接触部の径方向における外縁
R:環状面
S:収容空間
S´:収容空間
T:保持空間
T1:第1保持空間
T2:第2保持空間
X1:収容空間の断面積
X2:周縁部の断面積
2、302、402、502、702、802、902、1002:ハウジング
3:弾性弁体
3a:天面
3b:底面
4:中空部
5、405、505、705:挿入開口
6:流路
7:キャップ
8:ホルダ
9、309、409、509、709、809:第1挟持部材
9a、309a:天面接触部
10、410、510、710、810:第2挟持部材
10a:底面接触部
11:スリット
12:括れ部
12a、312a:被挟持部
13:中央部
14:周縁部
15:中央部天面領域
16:括れ部天面領域
17:周縁部天面領域
18:中央平面部
19:側壁部
19a:側壁本体部
19b:テーパー部
20:曲面部
21:周縁平面部
22:側壁部
23:天面環状溝
24:環状底部
25:中央部底面領域
26:括れ部底面領域
27:周縁部底面領域
28:中央平面部
29:中央突出部
30:側壁部
31:周縁平面部
32:側壁部
33:底面環状溝
34:環状底部
35:側壁部
36、436、736:本体部
38a、438a、538a、738a:天面
38b、438b、738b:底面
39、439、539、739:縁
40:ねじ山
41、341、441、741、841:係止突起
42:第1挟持部材の内壁
43、443、543、743、843:中空筒部
44:フランジ部
45、445、545、745、845:係止突起
46:外筒部
47:オスルアー部
48:挟持部
50、450、550、750:外筒部
51:環状溝
51a:溝底
61:ホルダ本体
62:上流ポート部
63:下流ポート部
64:液体流路
65:位置決め部
70、370、470、570、770、870、970、1070:接着部材
71、371、471、571、771、871:熱溶着部
80:800:ホルダ
100:オスコネクタ
101:先端部
130:輸液セット
131:びん針
132:第1のチューブ
133:点滴筒
134:第2のチューブ
135:クランプ
136:第3のチューブ
137:オスコネクタ
200:医療用コネクタ
203:弾性弁体
205:挿入開口
212a:被挟持部
213:中央部
214:周縁部
241:係止突起
248:挟持部
341a:受け部
341b:段差面
381、581:内側壁部
482、782、882:外側壁部
483、583、983:凹部
483a、983a:開口縁
483b:底部
551:フランジ部
551a:天面
551b:底面
601:コック
602:ホルダ本体
603:上流ポート部
604:下流ポート部
605:分岐ポート部
606:液体流路
750a:受け部
750b:段差面
784:環状溝
884:環状溝
885:筒状部
886:フランジ部
886a:天面
886b:底面
887:環状突起部
887a:受け部
984:凸部
A:弾性弁体の径方向
B:弾性弁体の厚さ方向
C:弾性弁体の周方向
D:オスコネクタの挿入方向
E:オスコネクタの抜去方向
L:楕円形の天面平面部の長軸方向における曲面部の長さ
O:中心軸線
P:熱溶着部の一端
Q1:天面接触部の径方向における外縁
Q2:底面接触部の径方向における外縁
R:環状面
S:収容空間
S´:収容空間
T:保持空間
T1:第1保持空間
T2:第2保持空間
X1:収容空間の断面積
X2:周縁部の断面積
Claims (14)
- オスコネクタを挿入可能な挿入開口を区画するハウジングと、
前記挿入開口を閉塞している弾性弁体と、
前記弾性弁体を前記ハウジングに対して接着している熱可塑性樹脂からなる接着部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記弾性弁体の天面及び前記天面の反対側の底面、に接触して前記弾性弁体を挟持する挟持部を備え、
前記弾性弁体は、前記挟持部により挟持されている被挟持部と、前記被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部と、前記被挟持部よりも径方向の内側に位置し、スリットが形成されている中央部と、を備え、
前記ハウジングは、前記周縁部と、前記周縁部を前記ハウジングに対して接着する前記接着部材と、を収容する、外部と連通しない閉鎖された収容空間を区画しており、
前記接着部材は、前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁と前記周縁部との間に形成された保持空間に保持されている医療用コネクタ。 - 前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁には凹部が形成されており、
前記保持空間は前記凹部内の凹空間である、請求項1に記載の医療用コネクタ。 - 前記接着部材は前記凹空間の一部に収容されており、
前記周縁部が前記凹空間に食い込んでいる、請求項2に記載の医療用コネクタ。 - 前記ハウジングは、少なくとも2つの部材から構成されており、
前記保持空間は、前記ハウジングのうち、異なる部材同士が接合される熱溶着部に隣接する位置に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の医療用コネクタ。 - 前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁は、前記周縁部の前記径方向の内側を覆う内側壁部を備え、
前記保持空間は、前記周縁部と、前記内側壁部と、の間に形成されている、請求項4に記載の医療用コネクタ。 - 前記保持空間は、前記周縁部と、前記内側壁部のうち前記被挟持部の位置よりも前記オスコネクタの抜去方向側に位置する部分と、の間に形成されている、請求項5に記載の医療用コネクタ。
- 前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁は、前記周縁部の前記径方向の外側を覆う外側壁部を備え、
前記保持空間は、前記周縁部と、前記外側壁部と、の間に形成されている、請求項4に記載の医療用コネクタ。 - 前記保持空間は、前記周縁部と、前記外側壁部のうち前記被挟持部の位置よりも前記オスコネクタの挿入方向側の部分と、の間に形成されている、請求項7に記載の医療用コネクタ。
- 前記ハウジングは、前記挟持部のうち前記弾性弁体の前記天面と接触する天面接触部を含む第1挟持部材と、前記挟持部のうち前記弾性弁体の前記底面と接触する底面接触部を含む第2挟持部材と、を備え、
前記収容空間を区画する前記ハウジングの内壁には、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の接合界面である熱溶着部の一端が少なくとも含まれており、
前記熱溶着部の前記一端が、前記保持空間に面している、請求項4乃至8のいずれか1つに記載の医療用コネクタ。 - 前記保持空間は、前記周縁部及び前記第2挟持部材により区画された環状溝を前記第1挟持部材が覆うことにより形成される環状空間である、請求項9に記載の医療用コネクタ。
- 前記接着部材は、前記環状空間に配置されるリング状部材、又は、前記環状空間に配置される複数の棒状部材、である、請求項10に記載の医療用コネクタ。
- オスコネクタを挿入可能な挿入開口を区画するハウジングと、前記挿入開口を閉塞する弾性弁体と、を備える医療用コネクタの製造方法であって、
前記弾性弁体のうち前記ハウジングの挟持部に挟持される被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部に隣接させて、所定の形状を有する熱可塑性樹脂からなる接着部材を配置する配置ステップと、
前記接着部材を溶融させることにより、前記周縁部と前記ハウジングとを接着する溶融ステップと、を含む医療用コネクタの製造方法。 - 前記ハウジングは、前記挟持部を形成する第1挟持部材及び第2挟持部材を備え、
前記配置ステップの前に、前記第2挟持部材に対して前記弾性弁体を載置する載置ステップを含み、
前記配置ステップの後に、前記第2挟持部材との間で前記挟持部を形成するように前記第1挟持部材を配置し、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とにより、前記周縁部及び前記接着部材が収容される、外部と連通しない閉鎖された収容空間を形成する空間形成ステップを含み、
前記溶融ステップでは、前記接着部材を溶融させると共に、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とを熱溶着する、請求項12に記載の医療用コネクタの製造方法。 - オスコネクタを挿入可能な挿入開口を区画するハウジングと、
前記挿入開口を閉塞している弾性弁体と、
前記弾性弁体を前記ハウジングに対して接着している熱可塑性樹脂からなる接着部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記弾性弁体の天面及び前記天面の反対側の底面、に接触して前記弾性弁体を挟持する挟持部を備え、
前記弾性弁体は、前記挟持部により挟持されている被挟持部と、前記被挟持部よりも径方向の外側に位置する周縁部と、前記被挟持部よりも径方向の内側に位置し、スリットが形成されている中央部と、を備え、
前記ハウジングは、前記周縁部と、前記周縁部を前記ハウジングに対して接着する前記接着部材と、を収容する、外部と連通しない閉鎖された収容空間を区画しており、
前記接着部材は、前記収容空間に配置されている医療用コネクタ。
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