JP2018145929A - 容量可変型斜板式圧縮機 - Google Patents

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佑介 山▲崎▼
Yusuke Yamazaki
佑介 山▲崎▼
隆容 鈴木
Takayasu Suzuki
隆容 鈴木
幸司 川村
Koji Kawamura
幸司 川村
和也 本田
Kazuya Honda
和也 本田
圭 西井
Kei Nishii
圭 西井
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Abstract

【課題】斜板の傾斜角度を増大させ易く、かつ大型化を抑制可能な容量可変型斜板式圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮機では、ハウジング1に複数の第1シリンダボア21aと、複数の第2シリンダボア23aと、斜板室33とが形成されている。ピストン9は、第1頭部9aと第2頭部9bとを有している。第1頭部9aは、第1シリンダボア21aに第1圧縮室53aを区画するとともに第1シリンダボア21aを上死点位置と下死点位置との間で往復動する。第2頭部9bは、第2シリンダボア23aに第2圧縮室53bを区画するとともに第2シリンダボア23aを上死点位置と下死点位置との間で往復動する。各第1シリンダボア21aのうちの少なくとも1つは、第1頭部9aが下死点位置にあるときに第1圧縮室53aと斜板室33とを連通する連通路211が内周面210に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は容量可変型斜板式圧縮機に関する。
特許文献1の図1及び図3に従来の容量可変型斜板式圧縮機(以下、圧縮機という。)が開示されている。この圧縮機は、ハウジングと、駆動軸と、斜板と、リンク機構と、複数のピストンと、アクチュエータと、制御機構とを備えている。ハウジングには、吸入室、吐出室、斜板室及び複数のシリンダボアが形成されている。より具体的には、吸入室及び吐出室は、それぞれ斜板の一面側に設けられた第1吸入室及び第1吐出室と、斜板の他面側に設けられた第2吸入室及び第2吐出室とからなる。また、各シリンダボアは、斜板の一面側に設けられて第1吸入室及び第1吐出室と連通する第1シリンダボアと、斜板の他面側に設けられて第2吸入室及び第2吐出室と連通する第2シリンダボアとからなる。
駆動軸はハウジングに回転可能に支承されている。斜板は斜板室内に配置されており、駆動軸とともに回転可能となっている。リンク機構は、駆動軸と斜板との間に配置されており、斜板の傾斜角度の変更を許容する。ここで、傾斜角度とは、駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対して斜板がなす角度である。各ピストンは、各シリンダボアにそれぞれ収納されており、斜板の回転によって傾斜角度に応じたストロークでシリンダボア内を往復動可能となっている。より具体的には、各ピストンは、第1頭部と第2頭部とを有している。第1頭部は、第1シリンダボアに第1圧縮室を区画するとともに第1シリンダボアを上死点位置と下死点位置との間で往復動する。第2頭部は、第2シリンダボアに第2圧縮室を区画するとともに第2シリンダボアを上死点位置と下死点位置との間で往復動する。
アクチュエータは移動体と制御圧室とを有している。移動体は駆動軸が挿通されており、斜板室内に配置されている。また、移動体は斜板室と制御圧室とを区画している。制御機構は制御圧室の圧力を制御する。
この圧縮機では、制御機構が制御圧室内の圧力を高くすれば、移動体が駆動軸を駆動軸心方向に摺動して斜板に近づく。これにより、リンク機構が斜板の傾斜角度を増大させる。こうして、この圧縮機では、駆動軸の1回転当たりの吐出容量が増大する。一方、制御機構が制御圧室内の圧力を低くすれば、移動体が駆動軸を駆動軸心方向に摺動して斜板から遠ざかる。これにより、リンク機構が斜板の傾斜角度を減少させ、吐出容量が減少する。そして、この圧縮機では、リンク機構は、斜板の傾斜角度の減少に伴って、第2頭部の上死点位置よりも第1頭部の上死点位置を大きく移動させる。このため、この圧縮機では、傾斜角度が最小である場合を含め、傾斜角度が最大の状態から一定程度減少すれば、第1圧縮室は、内部の冷媒を第1吐出室に吐出しない休止状態となる。
特開平5−172052号公報
上記従来の圧縮機では、第1圧縮室が休止状態となることで、第1圧縮室内には、第1吐出室に吐出されずに残留する冷媒(以下、残留冷媒という)が存在する。この残留冷媒の圧力、すなわち、休止状態にある第1圧縮室の圧力は、第1吐出室に比べて低圧であるものの、残留冷媒は第1頭部が第1シリンダボアを摺動する際に生じる熱の影響等を受けることから、第1吸入室に比べて高圧となる。これにより、斜板等には、第1頭部を通じて、休止状態にある第1圧縮室の圧力が斜板の傾斜角度を減少させる方向の力として作用する。この結果、この圧縮機では、斜板の傾斜角度を増大させるに当たり、第1頭部を通じて作用する第1圧縮室の圧力が抵抗となるため、好適に傾斜角度を増大させ難い。一方、たとえば、制御圧室を大型化することにより、より大きな推力で移動体を移動させようとすると、アクチュエータが大型化し、圧縮機が大型化してしまう。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、斜板の傾斜角度を増大させ易く、かつ大型化を抑制可能な容量可変型斜板式圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、斜板室及び複数のシリンダボアが形成されたハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に支承された駆動軸と、
前記斜板室内に配置されて前記駆動軸とともに回転される斜板と、
前記駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、
前記各シリンダボアに収納され、前記斜板の回転によって前記傾斜角度に応じたストロークで往復動するピストンとを備え、
前記各シリンダボアは、前記斜板の一面側に設けられた第1シリンダボアと、前記斜板の他面側に設けられた第2シリンダボアとからなり、
前記各ピストンは、前記第1シリンダボアに第1圧縮室を区画するとともに前記第1シリンダボアを上死点位置と下死点位置との間で往復動する第1頭部と、前記第2シリンダボアに第2圧縮室を区画するとともに前記第2シリンダボアを上死点位置と下死点位置との間で往復動する第2頭部とを有し、
前記リンク機構は、前記傾斜角度の減少に伴い、前記第2頭部の前記上死点位置よりも前記第1頭部の前記上死点位置が大きく移動するように配設され、
前記各第1シリンダボアのうちの少なくとも1つには、前記第1頭部が前記下死点位置にあるときに前記第1圧縮室と前記斜板室とを連通する連通路が内周面に形成されていることを特徴とする。
本発明の圧縮機では、傾斜角度の減少に伴って第1頭部の上死点位置が大きく移動することで、各第1圧縮室が休止状態となる。この際、内周面に連通路が形成された第1シリンダボアでは、第1頭部が下死点位置にあるときに、第1圧縮室と斜板室とが連通路によって連通する。これにより、第1圧縮室では、内部に存在する残留冷媒が連通路を通じて斜板室に導出される。このため、連通路が形成された第1シリンダボアでは、休止状態にある第1圧縮室の圧力を低下させることができ、その圧力を斜板室の圧力に近づけることができる。このため、斜板の傾斜角度を増大させるに当たって、第1頭部を通じて斜板等に作用する第1圧縮室の圧力、つまり、傾斜角度を減少させる方向の力を小さくすることができる。このため、傾斜角度をより増大させ易くなる。また、この圧縮機では、アクチュエータを必ずしも大型化させる必要もない。
したがって、本発明の圧縮機によれば、斜板の傾斜角度を増大させ易く、かつ大型化を抑制することができる。
全ての第1シリンダボアは、連通路が内周面に形成されていることが好ましい。この場合には、休止状態にある全ての第1圧縮室の圧力を低下させることができるため、斜板の傾斜角度を増大させるに当たって、第1頭部を通じて斜板等に作用する第1圧縮室の圧力を十分に小さくすることができる。このため、より好適に傾斜角度を増大させることができる。
ハウジングは、駆動軸が挿通される軸孔が形成されるとともに、各第1シリンダボアが駆動軸心を中心とする同心円状に形成されるシリンダブロックを有し得る。また、各第1シリンダボアは、中心に位置するボア軸心を有してシリンダブロックの軸方向に延びる円柱状をなし得る。さらに、シリンダブロックには、駆動軸心と同心をなして各ボア軸心を通る仮想円が定義され得る。そして、連通路は、仮想円よりも外径側に位置していることが好ましい。
この圧縮機では、作動時にピストンに対して駆動軸心側に向かう荷重が作用する。この点、この圧縮機では、第1シリンダボアの内周面において、連通路が仮想円よりも外径側に位置する。このため、内周面において、仮想円よりも内径側、つまり、第1シリンダボアの内周面のうち駆動軸心に近い側では、第1頭部との接触面積を好適に確保することができる。これにより、ピストンに対して駆動軸心側に向かう荷重が作用しても、第1頭部は第1シリンダボアを好適に往復動することができ、第2頭部は第2シリンダボアを好適に往復動することができる。
本発明の圧縮機によれば、斜板の傾斜角度を増大させ易く、かつ大型化を抑制することができる。
図1は、実施例の圧縮機において、傾斜角度が最小の状態を示す断面図である。 図2は、実施例の圧縮機において、傾斜角度が最大の状態を示す断面図である。 図3は、実施例の圧縮機に係り、制御機構を示す模式図である。 図4は、実施例の圧縮機に係り、第1シリンダボア及び第2シリンダボアを示す要部拡大断面図である。 図5は、実施例の圧縮機に係り、第1シリンダボアを示す図1におけるA−A断面図である。 図6は、実施例の圧縮機に係り、第1シリンダボアを示す図4におけるB−B断面図である。 図7は、実施例の圧縮機に係り、第1頭部が下死点位置にある状態を示す要部拡大断面図である。 図8は、実施例の圧縮機に係り、第1頭部が下死点位置以外にある状態を示す要部拡大断面図である。
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。この圧縮機は、車両に搭載されており、車両用空調装置の冷凍回路を構成している。
図1及び図2に示すように、実施例の圧縮機は、ハウジング1と、駆動軸3と、斜板5と、リンク機構7と、複数のピストン9と、複数対のシュー11a、11bと、アクチュエータ13とを備えている。また、この圧縮機は、図3に示す制御機構15を備えている。
図1及び図2に示すように、ハウジング1は、リヤハウジング17と、フロントハウジング19と、第1シリンダブロック21と、第2シリンダブロック23と、第1弁形成プレート39と、第2弁形成プレート41とを有している。第1シリンダブロック21が本発明におけるシリンダブロックに相当する。なお、本実施例では、フロントハウジング19が位置する側を圧縮機の前方側とし、リヤハウジング17が位置する側を圧縮機の後方側として、圧縮機の前後方向を規定している。また、図1及び図2の紙面の上方を圧縮機の上方側とし、紙面の下方を圧縮機の下方側として、圧縮機の上下方向を規定している。そして、図4以降では、図1及び図2に対応させて前後方向及び上下方向を表示する。なお、実施例における前後方向等は一例であり、本発明の圧縮機は、搭載される車両等に対応して、その姿勢が適宜変更される。
リヤハウジング17には、上記の制御機構15の一部が設けられている。また、リヤハウジング17には、第1吸入室27a、第1吐出室29a及び圧力調整室31が形成されている。圧力調整室31は、リヤハウジング17の中心部分に位置している。第1吸入室27aは環状に形成されており、圧力調整室31の外周側に位置している。第1吐出室29aも環状に形成されており、第1吸入室27aの外周側に位置している。
フロントハウジング19には、前方に向かって突出するボス19aが形成されている。ボス19a内には軸封装置25が設けられている。フロントハウジング19内には、第2吸入室27b及び第2吐出室29bが形成されている。第2吸入室27bはフロントハウジング19の内周側に位置している。第2吐出室29bは環状に形成されており、第2吸入室27bの外周側に位置している。上記の第1吐出室29aと第2吐出室29bとは、図示しない吐出通路を通じて互いに連通している。また、吐出通路は図示しない吐出ポートに接続している。
第1シリンダブロック21は、リヤハウジング17と第2シリンダブロック23との間に設けられている。図4〜図6に示すように、第1シリンダブロック21には、5つの第1シリンダボア21aが形成されている。図4に示すように、各第1シリンダボア21aは、中心に位置して第1シリンダブロック21の軸方向に延びるボア軸心X1を有している。そして、各第1シリンダボア21aは、それぞれのボア軸心X1と同方向、すなわち、第1シリンダブロック21の軸方向に延びる円柱状をなしている。これにより、各第1シリンダボア21aは、第1シリンダブロック21の軸方向に延びる内周面210を有している。
図5に示すように、第1シリンダボア21において、各第1シリンダボア21aは、後述する駆動軸3駆動軸心Oを中心とする同心円状に等角度間隔で形成されている。そして、5つの第1シリンダボア21aの全ての内周面210には、それぞれ連通路211が形成されている。各連通路211は同一の構成である。なお、各連通路211についての詳細は後述する。また、図5では、説明を容易にするため、アクチュエータ13等の図示を省略している。
図1及び図2に示すように、第1シリンダブロック21には、駆動軸3を挿通させる第1軸孔21bが形成されている。第1軸孔21bが本発明における軸孔に相当する。第1軸孔21b内には第1滑り軸受22aが設けられている。さらに、第1シリンダブロック21には、第1軸孔21bに圧縮機の前方側から連通する第1凹部21cが形成されている。第1凹部21cは第1軸孔21bと同軸をなしている。第1凹部21cは、第1軸孔21bよりも内径が大きくされている。第1凹部21c内には、第1スラスト軸受35aが設けられている。また、第1シリンダブロック21には、前後方向に延びる5つの第1連絡路37aが形成されている。図5に示すように、各第1連絡路37aについても、駆動軸3の駆動軸心Oを中心とする同心円状に等角度間隔で配置されている。また、第1シリンダブロック21には吸入ポート330が形成されている。さらに、第1シリンダブロック21には、後述する各吸入リード弁391aの開度を規制するリテーナ溝(図示略)が形成されている。
第2シリンダブロック23は、第1シリンダブロック21とフロントハウジング19との間に設けられている。第2シリンダブロック23は、第1シリンダブロック21と接合されることにより、第1シリンダブロック21との間に斜板室33を形成している。斜板室33は、吸入ポート330を介して管路を構成する図示しない蒸発器と接続している。また、斜板室33は第1凹部21cと連通している。これにより、第1凹部21cは斜板室33の一部を構成している。さらに、斜板室33は各第1連絡路37aと連通している。
第1シリンダブロック21と同様、第2シリンダブロック23には、5つの第2シリンダボア23aが形成されている。図4に示すように、各第2シリンダボア23aは、中心に位置して第2シリンダブロック23の軸方向に延びるボア軸心X2を有している。ボア軸心X2はボア軸心X1と同軸である。そして、各第2シリンダボア22aは、それぞれのボア軸心X2と同方向、すなわち、第2シリンダブロック23の軸方向に延びて各第2シリンダボア21aと同径の円柱状をなしている。これにより、各第2シリンダボア23aは、第2シリンダブロック23の軸方向に延びる内周面230を有している。
詳細な図示を省略するものの、各第2シリンダボア23aは、各第1シリンダボア21aと同様、駆動軸3の駆動軸心Oを中心とする同心円状に等角度間隔で形成されており、各第1シリンダボア21aと前後で対になっている。なお、第1シリンダボア21aと第2シリンダボア23aとが対をなしていれば、これらの個数は適宜設計することができる。また、各第1シリンダボア21aと各第2シリンダボア23aとで異なる径の大きさに形成しても良い。さらに、第1シリンダボア21aのボア軸心X1と第2シリンダボア23aのボア軸心X2とは、ずれていても良い。
図1及び図2に示すように、第2シリンダブロック23には、駆動軸3を挿通させる第2軸孔23bが形成されている。第2軸孔23b内には第2滑り軸受22bが設けられている。なお、第1、2滑り軸受22a、22bに換えて、転がり軸受を採用しても良い。
また、第2シリンダブロック23には、第2軸孔23bに圧縮機の後方側から連通する第2凹部23cが形成されている。第2凹部23cは第2軸孔23bと同軸をなしている。第2凹部23cは、第2軸孔23bよりも内径が大きくされている。第2凹部23cも斜板室33と連通しており、斜板室33の一部を構成している。第2凹部23c内には、第2スラスト軸受35bが設けられている。また、第2シリンダブロック3には、前後方向に延びる5つの第2連絡路37bが形成されている。図示を省略するものの、各第1連絡路37aと同様、各第2連絡路37bについても、第2シリンダブロック23において駆動軸3の駆動軸心Oを中心とする同心円状に等角度間隔で配置されている。また、第2シリンダブロック23には、後述する各吸入リード弁411aの開度を規制するリテーナ溝(図示略)が形成されている。
第1弁形成プレート39は、リヤハウジング17と第1シリンダブロック21との間に設けられている。この第1弁形成プレート39を介して、リヤハウジング17と第1シリンダブロック21とが接合されている。
第1弁形成プレート39は、バルブプレート390と、吸入弁プレート391と、吐出弁プレート392と、リテーナプレート393とを有している。バルブプレート390、吐出弁プレート392及びリテーナプレート393には、第1シリンダボア21aと同数の第1吸入孔390aが形成されている。バルブプレート390及び吸入弁プレート391には、第1シリンダボア21aと同数の第1吐出孔390bが形成されている。さらに、バルブプレート390、吸入弁プレート391、吐出弁プレート392及びリテーナプレート393には、第1連絡路37aと同数の第1吸入連通孔390cが形成されている。
各第1シリンダボア21aは、各第1吸入孔390aを通じて第1吸入室27aと連通する。また、各第1シリンダボア21aは、各第1吐出孔390bを通じて第1吐出室29aと連通する。そして、各第1吸入連通孔390cを通じて、第1吸入室27aと各第1連絡路37aとが連通する。
吸入弁プレート391は、バルブプレート390の前面に設けられている。吸入弁プレート391には、弾性変形により各第1吸入孔390aを開閉可能な吸入リード弁391aが複数形成されている。吐出弁プレート392は、バルブプレート390の後面に設けられている。吐出弁プレート392には、弾性変形により各第1吐出孔390bを開閉可能な吐出リード弁392aが複数形成されている。リテーナプレート393は、吐出弁プレート392の後面に設けられている。リテーナプレート393は、各吐出リード弁392aの最大開度を規制する。
第2弁形成プレート41は、フロントハウジング19と第2シリンダブロック23との間に設けられている。この第2弁形成プレート41を介して、フロントハウジング19と第2シリンダブロック23とが接合されている。
第2弁形成プレート41は、バルブプレート410と、吸入弁プレート411と、吐出弁プレート412と、リテーナプレート413とを有している。バルブプレート410、吐出弁プレート412及びリテーナプレート413には、第2シリンダボア23aと同数の第2吸入孔410aが形成されている。バルブプレート410及び吸入弁プレート411には、第2シリンダボア23aと同数の第2吐出孔410bが形成されている。さらに、バルブプレート410、吸入弁プレート411、吐出弁プレート412及びリテーナプレート413には、第2連絡路37bと同数の第2吸入連通孔410cが形成されている。
各第2シリンダボア23aは、各第2吸入孔410aを通じて第2吸入室27bと連通する。また、各第2シリンダボア23aは、各第1吐出孔410bを通じて第2吐出室29bと連通する。そして、各第2吸入連通孔410cを通じて、第2吸入室27bと各第2連絡路37bとが連通する。
吸入弁プレート411は、バルブプレート410の後面に設けられている。吸入弁プレート411には、弾性変形により各第2吸入孔410aを開閉可能な吸入リード弁411aが複数形成されている。吐出弁プレート412は、バルブプレート410の前面に設けられている。吐出弁プレート412には、弾性変形により各第2吐出孔410bを開閉可能な吐出リード弁412aが複数形成されている。リテーナプレート413は、吐出弁プレート412の前面に設けられている。リテーナプレート413は、各吐出リード弁412aの最大開度を規制する。
各第1、2連絡路37a、37b及び各第1、2吸入連通孔390c、410cにより、第1、2吸入室27a、27bと斜板室33とが互いに連通している。このため、第1、2吸入室27a、27b内と斜板室33内とは、圧力がほぼ等しくなっている。そして、斜板室33には、吸入ポート330を通じて蒸発器を経た低圧の冷媒ガスが流入することから、斜板室33内及び第1、2吸入室27a、27b内は、第1、2吐出室29a、29b内よりも低圧である。
駆動軸3は、駆動軸本体30と第1支持部材43aと第2支持部材43bとで構成されている。駆動軸3は、ハウジング1内において、軸封装置25内及び第1、2滑り軸受22a、22b内に挿通されている。これにより、駆動軸3はハウジング1に支承されており、圧縮機の前後方向と平行な駆動軸心O周りで回転可能となっている。駆動軸心Oと上記のボア軸心X1、X2とは平行である。また、駆動軸3がハウジング1に支承されることにより、軸封装置25は、駆動軸3を挿通した状態でフロントハウジング19の外部と第2吸入室27bとの間を封止する。また、駆動軸3の前端には、ねじ部3aが形成されている。このねじ部3aを介して駆動軸3は、図示しないプーリ又は電磁クラッチと連結されている。さらに、駆動軸3には、軸路3b及び径路3cが形成されている。なお、軸路3b及び径路3cの詳細は後述する。
駆動軸本体30は、軸方向でハウジング1の前方側から後方側に向かって延びている。駆動軸本体30の後方側には、第1小径部30aが形成されている。駆動軸本体30の前方側には、第2小径部30bが形成されている。
また、駆動軸本体30には、斜板5とリンク機構7とアクチュエータ13とが設けられている。これらの斜板5とリンク機構7とアクチュエータ13とは、それぞれ斜板室33内に配置されている。
第1支持部材43aは、駆動軸3の駆動軸心Oを中心軸とする円筒状に形成されている。第1支持部材43aは、駆動軸本体30の第1小径部30aの後端側に圧入されており、第1軸孔21b内において第1滑り軸受22aに支持されている。第1支持部材43aの前端には、径方向の外側に突出する第1フランジ430が形成されている。第1フランジ430は、第1凹部21cの後壁との間で、第1スラスト軸受35aを軸方向から挟持している。
また、第1支持部材43aにおいて、第1フランジ430よりも後端側となる位置には、Oリング51a、51bが設けられている。これらのOリング51a、51bにより、圧力調整室31と第1凹部21cとの間、ひいては、圧力調整室31と斜板室33との間が封止されている。
第2支持部材43bも、駆動軸心Oを中心軸とする円筒状に形成されている。第2支持部材43bは、駆動軸本体30の第2小径部30bに圧入されており、第2軸孔23b内において第2滑り軸受22bに支持されている。第2支持部材43bの後端側には、第2フランジ431が形成されているとともに、後述する第2ピン47bが挿通される取付部(図示略)が形成されている。第2フランジ431は、第2凹部23cの前壁との間で、第2スラスト軸受35bを軸方向から挟持している。
また、第2支持部材43bには、復帰ばね44aの前端が挿通されている。この復帰ばね44aには、駆動軸心O方向で、第1フランジ431側から斜板5側に向かって延びている。
斜板5は環状の平板形状をなしており、前面5aと後面5bとを有している。後面5bが本発明における「一面」に相当しており、前面5aが本発明における「他面」に相当している。前面5aは、斜板室33内において圧縮機の前方側、つまり、フロントハウジング19側に面している。後面5bは、斜板室33内において圧縮機の後方側、つまり、リヤハウジング17側に面している。
斜板5はリングプレート45を有している。このリングプレート45は環状の平板形状に形成されており、中心部に挿通孔45aが形成されている。斜板5は、斜板室33内において挿通孔45aに駆動軸本体30が挿通されることにより、駆動軸3に取り付けられている。また、リングプレート45には、斜板5の前面5a側から後面5b側まで貫通する溝部45bが形成されている。さらに、リングプレート45には、斜板5の後方に突出する連結部45cが形成されている。連結部45cは、駆動軸心Oを基準として、溝部45bの反対側に位置している。
リンク機構7はラグアーム49を有している。ラグアーム49は、斜板室33内において、斜板5よりも前方に配置されており、斜板5と第2支持部材43bとの間に位置している。ラグアーム49は、前方から後方に向かって略L字形状となるように形成されている。また、ラグアーム49には、ウェイト部49aが形成されている。なお、ウェイト部49aの形状は適宜設計することが可能である。
ラグアーム49の後端側は、第1ピン47aによってリングプレート45と連結されている。これにより、ラグアーム49は、第1ピン47aの軸心を第1揺動軸心M1として、リングプレート45、すなわち斜板5に対し、第1揺動軸心M1周りで揺動可能に支持されている。
ラグアーム49の前端側は、第2ピン47bによって第2支持部材43bと連結されている。これにより、ラグアーム49は、第2ピン47bの軸心を第2揺動軸心M2として、第2支持部材43b、すなわち駆動軸3に対し、第2揺動軸心M2周りで揺動可能に支持されている。これらのラグアーム49、第1、2ピン47a、47bに加えて、後述する連結アーム132及び第3ピン47cによって、本発明におけるリンク機構7が構成されている。
ウェイト部49aは、ラグアーム49の後端、つまり、第1揺動軸心M1を基準として第2揺動軸心M2とは反対側に延在して設けられている。このため、ラグアーム49が第1ピン47aによってリングプレート45に支持されることで、ウェイト部49aはリングプレート45の溝部45bを通って、リングプレート45の後面、つまり斜板5の後面5b側に位置する。そして、斜板5が駆動軸心O周りに回転することにより発生する遠心力が斜板5の後面5b側でウェイト部49aにも作用する。
この圧縮機では、斜板5と駆動軸3とがリンク機構7によって連結されることにより、斜板5は駆動軸3と共に回転することが可能となっている。また、ラグアーム49の両端がそれぞれ第1揺動軸心M1及び第2揺動軸心M2周りで揺動することにより、斜板5は、図1に示す最小値から図2に示す最大値まで傾斜角度を変更することが可能となっている。
図1及び図2に示すように、各ピストン9は、それぞれ後端に第1頭部9aを有しており、前端に第2頭部9bを有している。つまり、各ピストン9は両頭ピストンである。各第1頭部9aは、それぞれ各第1シリンダボア21a内に収容されており、第1シリンダボア21a内を上死点位置から図7に示す下死点位置まで往復動可能となっている。図1及び図2に示すように、これらの各第1頭部9aと第1弁形成プレート39とにより、各第1シリンダボア21a内に第1圧縮室53aが形成されている。各第2頭部9bは、それぞれ第2シリンダボア23a内に収容されており、第2シリンダボア23a内を上死点位置から下死点位置まで往復動可能となっている。これらの各第2頭部9bと第2弁形成プレート41とにより、各第2シリンダボア23a内に第2圧縮室53bが形成されている。
また、各ピストン9の中央には係合部9cが形成されている。各係合部9c内には、半球状のシュー11a、11bがそれぞれ設けられている。これらのシュー11a、11bは、変換機構として斜板5の回転をピストン9の往復動に変換する。こうして、斜板5の傾斜角度に応じたストロークで、各第1頭部9aがそれぞれ第1シリンダボア21a内を往復動することが可能となっているとともに、各第2頭部9bがそれぞれ第2シリンダボア23a内を往復動することが可能となっている。
ここで、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度の変更に伴い各ピストン9のストロークが変化することで、リンク機構7は、各第1頭部9aと各第2頭部9bとの各上死点位置を移動させる。具体的には、図1に示すように、リンク機構7は、斜板5の傾斜角度が小さくなるに伴って、各第2頭部9bの上死点位置よりも各第1頭部9aの上死点位置を大きく移動させる。
アクチュエータ13は、斜板室33内において斜板5よりも後方側に配置されている。より具体的には、アクチュエータ13は、斜板室33内において、斜板5を基準として第1シリンダブロック21側に位置している。これにより、アクチュエータ13は、第1凹部21c内に進入することが可能となっている。
アクチュエータ13は、移動体13aと区画体13bと制御圧室13cとを有している。制御圧室13cは、移動体13aと区画体13bとの間に形成されている。
移動体13aは、後壁130と、周壁131と、一対の連結アーム132とを有している。なお、図1及び図2では、連結アーム132の一方のみを図示している。
後壁130は移動体13aの後方に位置しており、駆動軸心Oから離れる方向で径方向に延びている。また、後壁130には挿通孔130aが貫設されている。挿通孔130a内にはOリング51cが設けられている。周壁131は、後壁130の外周縁と連続し、移動体13aの前方に向かって延びている。これらの後壁130及び周壁131により、移動体13aは有底の円筒状をなしている。各連結アーム132は周壁131の前端にそれぞれ形成されており、周壁131から圧縮機の前方に向かって延びている。
区画体13bは、移動体13aの内径とほぼ同径をなす略円板状に形成されている。区画体13bの外周面にはOリング51dが設けられている。
移動体13aの挿通孔130aには、駆動軸本体30の第1小径部30aが挿通されている。これにより、移動体13aは、駆動軸本体30と共に回転可能であるとともに、第1小径部30aを駆動軸心O方向に移動することが可能となっている。一方、区画体13bに対しては、第1小径部30aが圧入されている。これにより、区画体13bは第1小径部30aに固定され、区画体13bは駆動軸本体30と共に回転可能となっている。なお、区画体13bについても駆動軸心O方向に移動可能に第1小径部30aに挿通される構成としても良い。
また、区画体13bは、第1小径部30aに固定されることによって、移動体13a内に配置され、周囲が周壁131によって取り囲まれた状態となっている。これにより、移動体13aが駆動軸心O方向に移動するに当たり、周壁131の内周面と、区画体13bの外周面とが摺動する。
そして、区画体13bが周壁131によって取り囲まれることにより、移動体13aと区画体13bとの間に制御圧室13cが形成されている。制御圧室13cは、後壁130と周壁131と区画体13bとによって斜板室33から区画されている。また、Oリング51c、51dは、制御圧室13cと斜板室33との間を封止する。
各牽引アーム132と、リングプレート45の連結部45cとは、第3ピン47cによって連結されている。これにより、斜板5は、第3ピン47cの軸心を第3軸心M3として、第3軸心M3周りで移動体13aに揺動可能に連結されている。ここで、第1ピン47aと第3ピン47cとは、駆動軸本体30を挟んで対向して配置されている。つまり、各牽引アーム132は、駆動軸心Oを基準として、溝部45bとは反対側でリングプレート45に連結されている。
また、区画体13bとリングプレート45との間には、傾角減少ばね44bが設けられている。具体的には、傾角減少ばね44bの後端は、区画体13bに当接するように配置されており、傾角減少ばね44bの前端は、リングプレート45に当接するように配置されている。傾角減少ばね44bは、区画体13bとリングプレート45とが互いに離れるように双方を付勢する。
軸路3bは、駆動軸本体30の第1小径部30a内に形成されている。軸路3bの後端は第1小径部30aの後端面に開口しており、圧力調整室31に連通している。軸路3bは、駆動軸心O方向で第1小径部30aの前端側まで延びている。径路3cは、軸路3bの前端側と接続しつつ第1小径部30aの径方向に延びており、第1小径部30aの外周面に開口している。上記のように駆動軸本体30にアクチュエータ13が設けられることにより、径路3cは制御圧室13c内に開口する。こうして、軸路3b及び径路3cによって、圧力調整室31と制御圧室13cとが連通している。
図3に示すように、制御機構15は、抽気通路15aと、給気通路15bと、制御弁15cと、オリフィス15dと、軸路3bと、径路3cとを有している。
抽気通路15aは、圧力調整室31と第1吸入室27aとに接続されている。この抽気通路15aと軸路3bと径路3cとによって、制御圧室13cと圧力調整室31と第1吸入室27aとが連通している。給気通路15bは、圧力調整室31と第1吐出室29aとに接続されている。この給気通路15bと軸路3bと径路3cとによって、制御圧室13cと圧力調整室31と第1吐出室29aとが連通している。給気通路15bには、オリフィス15dが設けられている。
制御弁15cは抽気通路15aに設けられている。この制御弁15cは、第1吸入室27a内の圧力に基づき、抽気通路15aの開度を調整することが可能となっている。
図5に示すように、この圧縮機では、第1シリンダブロック21に対して、駆動軸3の駆動軸心Oと同心をなして各ボア軸心X1を通る仮想円Yが定義されている。そして、各連通路211は、いずれも各第1シリンダボア21aの内周面210において、仮想円Yよりも外径側となる位置に形成されている。特に、この圧縮機では、各連通路211は、内周面210において、仮想円Yから最も離れた位置に形成されている。図6に示すように、各連通路211は、各第1シリンダボア21aの内周面210の前端部から第1シリンダブロック21の軸方向で後方に向かって延びている。これにより、各連通路211は、前端側で斜板室33と連通している。また、各連通路211は、内周面210の前端から後方に向かうにつれて、次第に幅が狭くなる略三角形状に形成されている。なお、各連通路211の形状は略三角形状に限らず、適宜設計することができる。
ここで、連通路211における前後方向の長さは、第1シリンダボア21aの内周面210の前後方向の長さよりも短く設定されている。これにより、連通路211の後端は、第1シリンダボア21aの後端までは達していない。より具体的には、図7に示すように、この圧縮機では、連通路211の後端の位置が第1頭部9aにおける下死点位置よりも僅かに第1シリンダボア21aの後方側となるように、連通路211における前後方向の長さが設定されている。これにより、第1頭部9aが下死点位置にあるときには、連通路211の後端が第1圧縮室53a内に位置するため、連通路211は、第1圧縮室53aと斜板室33とを連通させる。一方、第1頭部9aが上死点位置にあるときを含め、図8に示すように、第1頭部9aが下死点位置以外の位置にあるとき、つまり、第1頭部9aが下死点位置から上死点位置に向かって移動している間や第1頭部9aが上死点位置から下死点位置に向かって移動している間は、連通路211は第1頭部9aよりも前方側、すなわち、第1シリンダボア21a内において、第1圧縮室53aの外側に位置する。このため、第1頭部9aが下死点位置以外の位置にあるときには、連通路211は第1圧縮室53aと斜板室33とを連通させない。
この圧縮機では、図1及び図2に示す吸入ポート330に対して蒸発器に繋がる配管が接続されるとともに、吐出ポートに対して凝縮器に繋がる配管が接続される。凝縮器は配管及び膨張弁を介して蒸発器と接続される。これらの圧縮機、蒸発器、膨張弁、凝縮器等によって車両用空調装置の冷凍回路が構成されている。なお、蒸発器、膨張弁、凝縮器及び各配管の図示は省略する。
以上のように構成された圧縮機では、駆動軸3が回転することにより、斜板5が回転する。これにより、各ピストン9では、各第1頭部9aが各第1シリンダボア21a内を上死点位置から下死点位置まで往復動し、各第2頭部9bが各第2シリンダボア23a内を上死点位置から下死点位置まで往復動する。このため、第1、2圧縮室53a、53bがピストン9のストロークに応じて容積変化を生じる。このため、この圧縮機では、第1、2吸入室27a、27bから第1、2圧縮室53a、53bへ冷媒ガスを吸入する吸入行程と、第1、2圧縮室53a、53bにおいて冷媒ガスが圧縮される圧縮行程と、圧縮された冷媒ガスが第1、2吐出室29a、29bに吐出される吐出行程等とが繰り返し行われることとなる。第1、2吐出室29a、29bに吐出された冷媒ガスは、吐出通路を経て吐出ポートから配管を介して凝縮器に吐出される。
そして、これらの吸入行程等が行われる間、斜板5、リングプレート45、ラグアーム49及び第1ピン47aからなる回転体には斜板5の傾斜角度を小さくするピストン圧縮力が作用する。そして、斜板5の傾斜角度が変更されれば、ピストン9のストロークの増減による容量制御を行うことが可能である。
具体的には、図3に示す制御機構15において、制御弁15cが抽気通路15aの開度を小さくすれば、第1吐出室29a内の冷媒ガスの圧力によって圧力調整室31内の圧力が上昇し、制御圧室13c内の圧力が上昇する。このため、制御圧室13c内と斜板室33内との差圧である可変差圧が大きくなる。
これにより、この圧縮機では、各ピストン9を介して斜板5に作用する圧縮反力に抗しつつ、移動体13aが図1に示す位置から駆動軸心O方向で第1小径部30aの後方側に向かって移動し、図2に示すように、第1凹部21c内に侵入する。なお、圧縮反力は、各ピストン9によって斜板5に作用するピストン圧縮力の合力である。
これにより、この圧縮機では、各連結アーム132及び連結部45cを通じて、移動体13aは斜板5を駆動軸心O方向で斜板室33の後方へ牽引する。このため、この圧縮機では、傾角減少ばね44bの付勢力に抗しつつ、斜板5が作用軸心M3周りで揺動する。また、ラグアーム49の後端側が第1揺動軸心M1周りで揺動するとともに、ラグアーム49の前端側が第2揺動軸心M2周りで揺動する。このため、ラグアーム49の前端側が第2支持部材43bの第2フランジ431から後方へ遠ざかる。これらにより、斜板5は、作用軸心M3を作用点とし、第1揺動軸心M1を支点として揺動する。このため、駆動軸3の駆動軸心Oに直交する方向に対する斜板5の傾斜角度が増大し、各ピストン9のストロークが増大する。このため、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が増大する。
一方、図3に示す制御機構15において、制御弁15cが抽気通路15aの開度を大きくすれば、圧力調整室31内の圧力、ひいては制御圧室13c内の圧力が第1吸入室27a内の圧力とほぼ等しくなり、可変差圧が小さくなる。
これにより、この圧縮機では、各ピストン9を介して斜板5に作用する圧縮反力によって、斜板5は傾斜角度が減少する方向に付勢される。このため、図1に示すように、アクチュエータ13の移動体13aが駆動軸本体30の第1小径部30aを前方側に向かって移動する。これにより、この圧縮機では、傾斜角度が大きくなる場合とは反対方向で斜板5が作用軸心M3周りに揺動する。また、ラグアーム49の後端側は、傾斜角度が大きくなる場合とは反対方向で第1揺動軸心M1周りに揺動し、ラグアーム49の前端側は、傾斜角度が大きくなる場合とは反対方向で第2揺動軸心M2周りに揺動する。このため、ラグアーム49の前端側が第2支持部材43bの第2フランジ431に近づく。これらにより、斜板5は、作用軸心M3及び第1揺動軸心M1をそれぞれ作用点及び支点として、傾斜角度が大きくなる場合と反対方向に揺動する。このため、駆動軸3の駆動軸心Oに直交する方向に対する斜板5の傾斜角度が減少し、各ピストン9のストロークが減少する。このため、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が減少する。
また、この圧縮機では、ウェイト部49aに作用した遠心力も斜板5に付与される。このため、この圧縮機では、斜板5が傾斜角度を減少させる方向に変位し易くなっている。そして、斜板5の傾斜角度が減少することにより、斜板5が復帰ばね44aに当接する。これにより、復帰ばね44aは、傾斜角度が増大するように斜板5を付勢する。
そして、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度が小さくなり、各ピストン9のストロークが減少することにより、リンク機構7は、各第1頭部9aの上死点位置を大きく移動させる。これにより、各第1頭部9aの上死点位置が第1弁形成プレート39から遠ざかる。一方、リンク機構7は、斜板5の傾斜角度に係らず、各第2頭部9bの上死点位置を殆ど移動させない。このため、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度が最小値である場合を含め、傾斜角度が最小値に近づくことで、各第2圧縮室53bでは、冷媒ガスの圧縮仕事が行われ、内部の冷媒ガスが吐出リード弁412aを僅かに開いて第2吐出室29bに吐出されるものの、各第1圧縮室53aでは、内部の冷媒ガスが吐出リード弁392aを開かないため、冷媒ガスが第1吐出室29aに吐出されない。つまり、各第1圧縮室53aは休止状態となる。なお、休止状態では、吸入リード弁391aも開かれないため、第1吸入室27a内の冷媒ガスが各第1圧縮室53aに吸入されることもない。
ここで、この圧縮機では、各第1シリンダボア21aの内周面210に連通路211が形成されているため、図7に示すように、各第1頭部9aが下死点位置にあるときに、第1圧縮室53aと斜板室33とが連通路211によって連通する。これにより、同図の破線矢印で示すように、第1圧縮室53aでは、内部に存在する残留冷媒ガスが連通路211を通じて斜板室33に導出される。このため、この圧縮機では、第1圧縮室53aが休止状態となった場合であっても、第1圧縮室53aの圧力を低下させることができ、その圧力を斜板室33の圧力に近づけることができる。ここで、この圧縮機では、5つのシリンダボア21aの全てにおいて内周面210に連通路211が形成されているため、休止状態にある全ての第1圧縮室53aの圧力を低下させることができる。このため、斜板5の傾斜角度を増大させるに当たって、各第1頭部9aを通じて斜板5等に作用する各第1圧縮室53aの圧力、つまり、斜板5の傾斜角度を減少させる方向の力を十分に小さくすることが可能となっている。このため、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度をより増大させ易くなっている。また、この圧縮機では、傾斜角度を増大させ易くするためにアクチュエータ13を必ずしも大型化させる必要もない。
したがって、実施例の圧縮機によれば、斜板5の傾斜角度を増大させ易く、かつ大型化を抑制することができる。
特に、この圧縮機では、各第1頭部9aが上死点位置にあるときを含め、図8に示すように、各第1頭部9aが下死点位置以外の位置にあるときには、各連通路211は、各第1シリンダボア21a内において、各第1圧縮室53aの外側に位置するため、各第1圧縮室53aと斜板室33とを連通させない。このため、各第1圧縮室53aにおいて冷媒ガスの圧縮仕事が行われている際には、各第1頭部9aと各シリンダボア21aの内周面210との僅かな隙間を流通して各第1圧縮室53aから斜板室33へ不可避的に漏れ出るブローバイガスを除いて、各第1圧縮室53aで圧縮された高圧の冷媒ガスが連通路211を経て斜板室33に導出されることはない。
また、この圧縮機では、各シュー11a、11bを介して斜板5の回転がピストン9の往復動に変換されることから、作動時に各ピストン9に対して駆動軸心O側に向かう荷重が作用する。この点、この圧縮機では、各第1シリンダボア21aの内周面210において、連通路211が仮想円Yよりも外径側に位置している。このため、各内周面210において、仮想円Yよりも内径側、つまり、各第1シリンダボア21aの内周面210のうち駆動軸心Oに近い側では、各第1頭部9aとの接触面積を好適に確保することが可能となっている。これにより、作動時に各ピストン9に対して駆動軸心O側に向かう荷重が作用しても、各第1頭部9aは各第1シリンダボア21aを好適に往復動することができ、各第2頭部9bは各第2シリンダボア23aを好適に往復動することが可能となっている。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例の圧縮機では、全ての第1シリンダボア21aの内周面210に連通路211を形成しているが、これに限らず、特定の第1シリンダボア21aの内周面210にのみ連通路211を形成する構成としても良い。
また、制御機構15について、給気通路15bに対して制御弁15cを設けるとともに、抽気通路15aにオリフィス15dを設ける構成としても良い。この場合には、制御弁15cによって、給気通路15bの開度を調整することが可能となる。これにより、第1吐出室29a内の冷媒ガスの圧力によって制御圧室13c内を迅速に高圧とすることができ、迅速に吐出容量を増大させることが可能となる。
さらに、実施例の圧縮機では、アクチュエータ13の制御圧室13cの圧力を制御機構15によって調整することによって斜板5の傾斜角度を変更させている。しかし、これに限らず、制御機構15が斜板室33の圧力を調整することによって、斜板5の傾斜角度を変更する構成としても良い。
本発明は空調装置等に利用可能である。
1…ハウジング
3…駆動軸
5…斜板
7…リンク機構
9…ピストン
9a…第1頭部
9b…第2頭部
21…第1シリンダブロック(シリンダブロック)
21a…第1シリンダボア(シリンダボア)
21b…第1軸孔(軸孔)
23a…第2シリンダボア(シリンダボア)
33…斜板室
53a…第1圧縮室
53b…第2圧縮室
210…内周面
211…連通路
O…駆動軸心
X1…ボア軸心
Y…仮想円

Claims (3)

  1. 斜板室及び複数のシリンダボアが形成されたハウジングと、
    前記ハウジングに回転可能に支承された駆動軸と、
    前記斜板室内に配置されて前記駆動軸とともに回転される斜板と、
    前記駆動軸の駆動軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、
    前記各シリンダボアに収納され、前記斜板の回転によって前記傾斜角度に応じたストロークで往復動するピストンとを備え、
    前記各シリンダボアは、前記斜板の一面側に設けられた第1シリンダボアと、前記斜板の他面側に設けられた第2シリンダボアとからなり、
    前記各ピストンは、前記第1シリンダボアに第1圧縮室を区画するとともに前記第1シリンダボアを上死点位置と下死点位置との間で往復動する第1頭部と、前記第2シリンダボアに第2圧縮室を区画するとともに前記第2シリンダボアを上死点位置と下死点位置との間で往復動する第2頭部とを有し、
    前記リンク機構は、前記傾斜角度の減少に伴い、前記第2頭部の前記上死点位置よりも前記第1頭部の前記上死点位置が大きく移動するように配設され、
    前記各第1シリンダボアのうちの少なくとも1つには、前記第1頭部が前記下死点位置にあるときに前記第1圧縮室と前記斜板室とを連通する連通路が内周面に形成されていることを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。
  2. 全ての前記第1シリンダボアは、前記連通路が前記内周面に形成されている請求項1記載の容量可変型斜板式圧縮機。
  3. 前記ハウジングは、前記駆動軸が挿通される軸孔が形成されるとともに、前記各第1シリンダボアが前記駆動軸心を中心とする同心円状に形成されるシリンダブロックを有し、
    前記各第1シリンダボアは、中心に位置するボア軸心を有して前記シリンダブロックの軸方向に延びる円柱状をなし、
    前記シリンダブロックには、前記駆動軸心と同心をなして前記各ボア軸心を通る仮想円が定義され、
    前記連通路は、前記仮想円よりも外径側に位置している請求項1又は2記載の容量可変型斜板式圧縮機。
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