JP2018120848A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】集電体表面に形成された皮膜が溶解することがなく、充放電が可能なリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】リチウムイオン二次電池1は、負極3と正極4と電解液とを備える。負極3は、集電体31と、集電体31の表面を被覆する皮膜32とを備え、該皮膜は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属の皮膜であり、電解液はリン酸エステル溶媒と支持塩とを含みpHが4〜10の範囲である。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
従来、負極と、正極と、電解液とを備え、該負極が集電体と、該集電体の表面に形成された負極活物質の皮膜とを備えるリチウムイオン二次電池が知られている。前記リチウムイオン二次電池の負極活物質に炭素材料より理論容量が大きいスズを用いることが検討されており、例えば、前記集電体の表面に電気めっき法により形成された10〜300μmの厚さのスズ皮膜を備えるリチウムイオン二次電池が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
また、前記負極活物質として、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)を用いることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
前記従来のリチウムイオン二次電池において、前記正極はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等を正極活物質とし、前記電解液はカーボネート系溶媒に、支持塩としてフッ素含有リチウム塩が溶解されている。前記カーボネート系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート及びγ−ブチロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いることができる。また、前記フッ素含有リチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を用いることができる。
特開2001−68094号公報 特開2004−95264号公報
しかしながら、スズ皮膜を備える集電体を負極とし、カーボネート系溶媒と支持塩とを含む電解液を用いるリチウムイオン二次電池では、該スズ皮膜が該電解液と接触した状態である程度の時間が経過すると、充放電ができなくなることがあり、或いは充放電サイクルに対する耐久性が低下するという不都合がある。
また、前記集電体が鉛皮膜、アルミニウム皮膜、亜鉛皮膜のいずれかの皮膜を備える場合にも、前記スズ皮膜の場合と同一の不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、負極が、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む場合に、該負極が電解液と接触した状態である程度の時間が経過しても充放電が可能な、或いは充放電特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、表面にスズ皮膜を備える集電体を負極とし、カーボネート系溶媒と支持塩とを含む電解液を用いるリチウムイオン二次電池において、該スズ皮膜が該電解液と接触した状態で、ある程度の時間が経過すると、充放電ができなくなることがある理由について検討を重ねた。
この結果、カーボネート系溶媒と支持塩とを含む前記電解液のpHが3.1から3.9程度である場合、両性金属であるスズは、前記電解液と接触した状態で、ある程度の時間が経過すると、溶解することを知見した。
前記スズ皮膜は、前記電解液と接触した状態で、ある程度の時間が経過すると、該電解液と該スズ皮膜とが接触する界面部分からスズが溶解し始め、次第にスズの溶解が進行し、その結果、充放電ができなくなることがあり、或いは充放電サイクルに対する耐久性が低下すると考えられる。ここで、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)はスズ(Sn)と同様に両性金属であるので、負極活物質として鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)又はこれらの金属の混合物からなる皮膜を用いた場合にも、スズ皮膜と同様に前記電解液と接触した場合には、上記皮膜が溶解し、その結果、充放電ができなくなることがあり、或いは充放電サイクルに対する耐久性が低下すると考えられる。本発明者は、前記知見に従ってさらに検討を重ね、本発明に到達した。
そこで、前記目的を達成するために、本発明のリチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極と正極との間に位置する電解質層とを備えるリチウムイオン二次電池において、該負極は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、該電解質層は、溶媒と支持塩とを含みpHが4〜10の範囲である電解液を含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池において、前記負極がスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むとは、該負極が集電体と該集電体の表面に形成された金属の皮膜とを備え、該皮膜がスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる形態であってもよく、該負極自体がスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金からなる形態であってもよい。
また、前記負極は前記金属の皮膜に代えて、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属粉末と、バインダーと、炭素材料等の導電助剤とを溶媒に分散させたスラリーを集電体上に塗工して形成された皮膜を備えるものであってもよい。このとき、前記金属粉末は、10nm〜100μmの平均粒子径を備えることが好ましい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池において、前記電解質層は、合成樹脂からなるセパレータに前記電解液が含浸されている形態であってもよく、該セパレータにゲル化材料を含む該電解液が含浸されてゲル化されている形態であってもよい。前記ゲル化材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)、(ポリ)アクリロニトリル、(ポリ)アクリル酸、ポリメチルメタクリレート等の重合開始剤又はポリマーを挙げることができる。また、前記ゲル化材料を含む前記電解液は加温するか、ゲル化開始剤を用いることにより、ゲル化させることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池において、前記電解質層に含まれる電解液のpHが4〜10の範囲であることにより、両性金属であるスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛又はこれらの金属の混合物が実質的に溶解しない。
従って、本発明のリチウムイオン二次電池によれば、前記電解質層に含まれる電解液が前記スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む負極と接触する場合においても、該いずれかの金属、その合金又は、その金属粉末が溶解することを防止することができる。この結果、本発明のリチウムイオン二次電池によれば、前記負極が前記電解液と接触した状態で、ある程度の時間が経過しても充放電が可能であり、或いは優れた充放電特性を得ることができる。
前記電解液のpHが4未満であるか、11を超えるときには、両性金属であるスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属、その合金又は、その金属粉末が溶解する。
本発明のリチウムイオン二次電池において、前記溶媒はリン酸エステルを含むことが好ましい。前記電解液は、前記溶媒がリン酸エステルを含むことにより、そのpHを確実に4〜10の範囲とすることができる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池において、前記リン酸エステルは、炭素数3以下の炭化水素基を側鎖に備えることが好ましい。前記リン酸エステルは、炭素数3以下の炭化水素基を側鎖に備えることにより、適度の粘度と、支持塩に対する高い溶解度とを得ることができる。前記リン酸エステルは、前記炭化水素基の炭素数が3を超えると、粘度が高くなり過ぎ、取り扱いが困難になることがある。
本発明のリチウムイオン二次電池において、前記負極がスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金からなるときには、該リチウムイオン二次電池に対する充放電を繰り返したときに容量の劣化を抑制することができる。この理由としては、前記合金に含まれる、スズ、鉛、アルミニウム又は、亜鉛以外の金属が、負極内におけるスズ、鉛、アルミニウム又は、亜鉛の膨張収縮に対する緩衝剤として機能するためと考えられる。或いは、前記合金に含まれる、スズ、鉛、アルミニウム又は、亜鉛以外の金属がリチウムイオンと反応しない金属である場合には、該リチウムイオンと反応しない金属が、負極の電極構造を保持する骨格として機能するためと考えられる。
この場合、前記合金は、スズ、鉛、アルミニウム又は、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属の含有量が全量の30質量%以上であることが好ましい。前記合金は、スズ、鉛、アルミニウム又は、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属の含有量が全量の30質量%未満であると、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度の低下を招くことになる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池において、前記電解質層が、ゲル化材料を含みゲル化された前記電解液からなるときには、ゲル化した電解液が活物質の微粒子化と、活物質の電解液への拡散とを抑制する障壁として作用し、リチウムイオン二次電池の容量を向上させることができると考えられる。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造の一例を示す模式的断面図。 本発明のリチウムイオン二次電池において、スズ箔又はスズ合金箔自体を負極とする場合の充放電特性を示すグラフ。 本発明のリチウムイオン二次電池において、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔自体を負極とする場合の充放電特性を示すグラフ。 本発明のリチウムイオン二次電池において、アルミニウム粉末を含む負極を備える場合の充放電特性を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、セル2の内部に配設された負極3と、正極4と、負極3と正極4との間に位置するセパレータ5とを備え、該セパレータ5に電解液が含浸されることにより電解質層6が形成されている。
負極3は、集電体31と、集電体31の一方の表面を被覆する皮膜32とを備え、皮膜32が電解質層6に対向するように配置される。また、集電体31には負極リード33が接続されている。皮膜32は、集電体31の少なくとも一方の表面を被覆していればよく、集電体31の表裏両面を被覆していてもよい。
負極3の集電体31は、電気伝導性を備える材料であればよく特に限定されるわけではないが、例えば、銅、鋼、チタン等からなる金属を用いることができる。集電体31は、前記金属又はその合金の箔を用いてもよく、メッシュ状体又はエキスパンドメタル等を用いてもよい。集電体31が前記金属又は合金の箔である場合、その厚さは、電池のエネルギー密度を向上させるためには薄い方が良いが、薄すぎると取り扱いが難しく、生産性が低下するため、1〜100μmの範囲とすることが好ましい。
皮膜32としては、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛のいずれか1種の金属単独の皮膜、これらの金属の混合物の皮膜、又はこれらの金属を含む合金の皮膜を用いることができる。
皮膜32は、例えば、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属のめっき、融着、スパッタリング、蒸着等により、集電体31上に形成することができる。皮膜32をめっき法により形成する場合、銅、ニッケル、銀等の金属と共沈めっきしてもよい。
また、皮膜32は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される1種の金属又はその合金の箔を集電体31上に超音波融着又は摩擦圧接することにより形成してもよい。さらに、皮膜32は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属粉末を、バインダーや炭素材料等の導電助剤と共に分散させたスラリーを集電体31上に塗工し、乾燥させることにより形成してもよい。前記金属粉末は、ニッケル、銅、銀、金等のめっきで被覆されていてもよい。
皮膜32がスズ皮膜である場合には、例えば、無電解めっき法により形成することができる。この場合には、集電体31を硝酸、塩酸、硫酸等の酸に浸漬し、或いは水洗して表面のごみ、酸化被膜等を除去した後、硫酸等の酸に塩化スズ等のスズ塩と、還元剤としてのジ亜リン酸ナトリウムとを溶解させためっき浴に浸漬し、めっき浴の液温を所定の温度に昇温することにより行うことができる。前記めっき浴は硫酸に代えて水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に塩化スズ等のスズ塩と、還元剤としてのジ亜リン酸ナトリウムとを溶解させたものであってもよい。
スズ皮膜32は、例えば、10nm以上50μm未満の範囲の厚さを備えている。スズ皮膜32の厚さは、前記めっき浴の液温と浸漬時間とにより管理することができる。
上述の無電解めっき法により形成されたスズ皮膜32は0.01〜300nmの範囲の孔径の気孔を備える多孔質体であり、該多孔質体の気孔率は0.01〜20容量%の範囲である。
また、皮膜32がアルミニウム皮膜である場合には、例えば、電気めっき法又は無電解めっき法により形成することができる。この場合には、アセトン、イオン液体等の有機溶媒に、塩化アルミニウム等を溶解させたものをめっき浴として用いることができる。
尚、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、皮膜32を備えず、集電体31自体がスズ、鉛、アルミニウム、亜鉛のいずれか1種の金属又は、これらの金属を含む合金からなるものであってもよい。
一方、正極4は、集電体41と、集電体41の一方の表面に形成された正極合剤層42とを備え、正極合剤層42が電解質層6に対向するように配置される。また、集電体41には正極リード43が接続されている。正極合剤層42は、集電体41の少なくとも一方の表面に形成されていればよく、集電体41の表裏両面に形成されていてもよい。
正極4の集電体41は、電気伝導性を備える材料であればよく特に限定されるわけではないが、例えば、アルミニウム、銅、鋼、チタン等からなるものを用いることができる。集電体41は、前記金属又はその合金の箔を用いてもよく、メッシュ状体又はエキスパンドメタル等を用いてもよい。集電体41が前記金属又は合金の箔である場合、その厚さは、電池のエネルギー密度を向上させるためには薄い方が良いが、薄すぎると取り扱いが難しく、生産性が低下するため、5〜50μmの範囲とすることが好ましい。
正極4における正極合剤層42は、正極活物質と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを適量混合し、N−メチルピロリドンで希釈することにより作製したスラリーを、ドクターブレード法等により集電体41に塗工、塗布することにより形成することができる。正極合剤層42は、全量に対する正極活物質の含有率が高い方が好ましく、例えば該含有率が85質量%以上であることが好ましい。また、正極合剤層42は、前記正極活物質と前記結着剤との他に導電助剤を含んでいてもよい。
前記正極活物質としては、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造を備えるマンガン酸リチウム又はスピネル構造を備えるマンガン酸リチウム、LiCo、LiNiO又はその遷移金属の一部を他の金属で置換した化合物、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の特定の遷移金属が全体の半数を超えないリチウム遷移金属酸化物、これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論的組成よりもLiを過剰にした化合物、LiFePO等のオリビン構造を備える化合物等を挙げることができる。
また、前記正極活物質として、これらの金属酸化物の金属の一部をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等で置換した材料も用いることができる。特に、LiαNiβCoγAlδ(β+γ+δ=1、β≧0.4、γ≦0.2)又はLiαNiβCoγMnδ(β+γ+δ=1、β≧0.4、γ≦0.2)であることが好ましい。
前記正極活物質は、前記化合物のいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記正極活物質として、硫化鉄、二硫化鉄、硫黄、ポリスルフィド、LiVO等を用いることもでき、ニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル化合物等のラジカル材料を用いることもできる。
電解質層6に含まれる電解液としては、次の一般式(1)で表されるリン酸エステルを溶媒として、該溶媒に支持塩としてリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。
一般式(1)において、R、R、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の直鎖状炭化水素基又はその水素の一部をフッ素で置換した基であり、相互に同一であってもよく、異なっていてもよい。また、前記直鎖状炭化水素基は炭素数が多くなると粘度が高くなり過ぎ、取り扱いが困難になるので、炭素数7以下であることが好ましく、炭素数3以下であることがさらに好ましい。
前記リン酸エステルとしては、適度の粘度と、支持塩であるリチウム塩に対する高い溶解度とを備える点で、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリストリフルオロエチル等が好ましい。
前記リチウム塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、Li2SO、LiPO、LiHPO、LiHPO、LiCFSO、LiCSO、イミドアニオンからなるLiN(FSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、5員環構造を有するLiN(CFSO(CF)、6員環構造を有するLiN(CFSO(CF等を挙げることができる。また、前記リチウム塩として、LiPFの少なくとも1つのフッ素原子をフッ化アルキル基で置換したLiPF(CF)、LiPF(C)、LiPF(C)、LiPF(CF、LiPF(CF)(C)、LiPF(CF等を挙げることもできる。また、前記リチウム塩に代えてナトリウム塩を用いることもでき、該リチウム塩と該ナトリウム塩とを併用することもできる。
また、電解液のpHが4〜10であれば、電解液全量に対して50質量%以下の量の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピレンカーボネート(PC)、エーテル基を有するジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、エチレンサルファイト、スルホラン、イオン液体、ホウ酸エステル、アセトニトリル、ホスファゼン等、又はそれらの一部の水素基をフッ素化したもの等を挙げることができる。
前記電解液における前記支持塩の濃度は、0.1〜3mol/Lの範囲とすることが好ましく、0.6〜1.5mol/Lの範囲とすることがさらに好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池1では、前記電解液をセパレータ5に含浸させて電解質層6としてもよく、ゲル化材料を添加した該電解液をセパレータ5に含浸させた後、加温することによりゲル化させて電解質層6としてもよい。セパレータ5としては、例えばポリエチレン等の合成樹脂からなるものを用いることができる。また、前記ゲル化材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)、(ポリ)アクリロニトリル、(ポリ)アクリル酸、ポリメチルメタクリレート等のポリマーを挙げることができる。尚、前記ゲル化材料のゲル化は、加温に代えて、重合開始剤を用いて行ってもよい。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、厚さ20μmの銅箔(50mm×50mm)を集電体31として、その表面を硫酸で洗浄し、一方の表面をエポキシテープでマスキングして、50℃に加温した無電解めっき浴に浸漬し、マスキングされていない表面に厚さ1.1μmのスズ皮膜32を形成した。スズ皮膜32は0.1〜300nmの範囲の孔径の気孔を備える多孔質体であり、該多孔質体の気孔率は0.1容量%であった。次に、スズ皮膜32が形成された集電体31を26mm×44mmの大きさに切断して負極3とした。
次に、正極活物質としてのLiCoOと、導電助剤と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、92:4:4の質量比で混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを、集電体41としての厚さ15μmのアルミニウム箔(50mm×50mm)にドクターブレード法により塗工し、正極合剤層42を形成した。次に、正極合剤層42が形成された集電体41を25mm×44mmの大きさに切断して正極4とした。
次に、負極3と正極4との間に、セパレータ5として厚さ25μmのポリエチレンセパレータ(30mm×50mm)を配設し、該ポリエチレンセパレータに電解液を含浸させて電解質層6としたものをラミネートセルに真空封止し、リチウムイオン二次電池1を作製した。
前記電解液は、リン酸トリエチル(TEP)を溶媒とし、該溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。ここで、25℃における前記電解液のpHをpH測定器(株式会社堀場製作所製、商品名:LAQUA)で測定したところ、9.1であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を、1週間、25℃で放置した。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を、25℃の環境下、0.1mAの充電電流で上限電位4.05Vまで充電し、10分間の休止後、2.5Vまで放電した。
本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1は、スズ皮膜32が溶解せず、充放電が可能であった。
〔比較例1〕
本比較例1では、電解液の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを30:30:40の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1を作製した。ここで、25℃における前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.1であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を、1週間、25℃で放置した。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を、25℃の環境下、0.1mAの充電電流で充電したが、20時間を経過しても上限電位の4.05Vまで充電することができなかった。本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を分解したところ、スズ皮膜32が溶解していることが確認された。
〔比較例2〕
本比較例2では、電解液の溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DMC)とを50:50の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1を作製した。ここで、25℃における前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.9であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を、1週間、25℃で放置した。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を、25℃の環境下、0.1mAの充電電流で充電したが、20時間を経過しても上限電位の4.05Vまで充電することができなかった。本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を分解したところ、スズ皮膜32が溶解していることが確認された。
〔比較例3〕
本比較例3では、電解液の溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1を作製した。ここで、25℃における前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.2であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を、1週間、25℃で放置した。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を、25℃の環境下、0.1mAの充電電流で充電したが、20時間を経過しても上限電位の4.05Vまで充電することができなかった。本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を分解したところ、スズ皮膜32が溶解していることが確認された。
〔実施例2〕
本実施例では、まず、厚さ10μmのスズ箔を直径15mmの大きさに打ち抜いて集電体31とし、集電体31自体を負極3とした。
次に、正極活物質としてのLiNi0.5Mn0.3Co0.2と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、94:3:3の質量比で混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを、集電体41としての厚さ15μmのアルミニウム箔にドクターブレード法により塗工し、正極合剤層42を形成した。次に、正極合剤層42が形成された集電体41を直径14mmの大きさに打ち抜いて正極4とした。
次に、負極3と正極4との間に、セパレータ5として厚さ20μmのポリエチレン(直径20mm)を配設し、セパレータ5に電解液を含浸させて電解質層6としたものを用いてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液は、リン酸トリエチル(TEP)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを50:50の容積比で混合して混合溶媒とし、該混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、4.1であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用い、作製後10時間後に、2.5〜3.8Vの範囲の電圧で1Cの電流量でリチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図2に示す。
〔実施例3〕
本実施例では、前記電解液の溶媒として、リン酸トリエチル(TEP)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを75:25の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例2と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、7.7であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図2に示す。
〔実施例4〕
本実施例では、全量に対し10質量%の銅を含むスズ合金からなる厚さ10μmのスズ合金箔を直径15mmの大きさに打ち抜いて集電体31とし、集電体31自体を負極3とした以外は、実施例3と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。本実施例のリチウムイオン二次電池1に用いた電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、7.7であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図2に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、前記電解液の溶媒として、リン酸トリエチル(TEP)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを40:60の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例2と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.7であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図2に示す。
〔実施例5〕
本実施例では、厚さ15μmのアルミニウム箔を直径15mmの大きさに打ち抜いて集電体31として、集電体31自体を負極3とし、前記電解液の溶媒として、リン酸トリエチル(TEP)と、フルオロエチレンカーボネート(FEC)とを75:25の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例2と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用い、2.5〜4.15Vの範囲の電圧で1Cの電流量でリチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図3に示す。
〔実施例6〕
本実施例では、全量に対し10質量%の銅を含むアルミニウム合金からなる厚さ15μmのアルミニウム合金箔を直径15mmの大きさに打ち抜いて集電体31とし、集電体31自体を負極3とした以外は、実施例5と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。本実施例のリチウムイオン二次電池1に用いた電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例5と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図3に示す。
〔実施例7〕
本実施例では、全量に対し15質量%のLiを含むアルミニウム合金からなる厚さ15μmのアルミニウム合金箔を直径15mmの大きさに打ち抜いて集電体31とし、集電体31自体を負極3とした以外は、実施例5と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。本実施例のリチウムイオン二次電池1に用いた電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例5と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図3に示す。
〔実施例8〕
本実施例では、まず、リン酸トリエチル(TEP)と、フルオロエチレンカーボネート(FEC)とを75:25の容積比で混合して混合溶媒とし、該混合溶媒に、LiPFを1.2mol/Lの濃度で溶解したものと、ゲル化材料としてのポリフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)とを、90:10の質量比で混合して電解液を調製した。
次に、前記ゲル化材料を含む電解液を用いた以外は、実施例5と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.3であった。本実施例では、リチウムイオン二次電池1を60℃の温度に1時間保持して、前記電解液をゲル化させて電解質層6を形成した後、室温に戻して10時間放置した。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例5と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図3に示す。
〔比較例5〕
本比較例では、前記電解液の溶媒として、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネートとを30:30:40の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例5と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.1であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例5と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図3に示す。
〔実施例9〕
本実施例では、まず、アルミニウム粉末(粒径150nm)と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、80:10:10の質量比で混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、スラリーを作製した。この場合、導電助剤/バインダーの質量比は、1である。前記スラリーを、集電体31としての厚さ10μmの銅箔に塗工して、皮膜32を形成した。次に、皮膜32が形成された集電体31を直径15mmに切断して負極3とした。次に、実施例2と同一にして、正極4を作成した。
次に、リン酸トリエチル(TEP)と、フルオロエチレンカーボネート(FEC)とを75:25の容積比で混合して混合溶媒とし、該混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解して電解液を調製した。
次に、本実施例で作製した負極3及び正極4と、本実施例で調製した前記電解液を用いた以外は、実施例2と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用い、2.5〜4.0Vの範囲の電圧で1Cの電流量でリチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図4に示す。
〔実施例10〕
本実施例では、まず、アルミニウム粉末(粒径150nm)と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、85:5:10の質量比で混合した以外は、実施例9と全く同一にしてスラリーを作製した。この場合、導電助剤/バインダーの質量比は、0.5である。次に、前記スラリーを用い、皮膜32に含まれるアルミニウムの量が実施例9と同一になるようにして皮膜32を形成した以外は、実施例9と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。本実施例のリチウムイオン二次電池1に用いた電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例9と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図4に示す。
〔比較例6〕
本比較例では、電解液の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを30:30:40の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例9と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1を作製した。この場合、導電助剤/バインダーの質量比は、1である。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.1であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例9と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を繰り返した。このときの充放電特性として、充放電のサイクル数に対する放電容量の変化を図4に示す。
〔実施例11〕
本実施例では、まず、厚さ20μmの鉛箔を直径15mmの大きさに打ち抜いて集電体31とし、集電体31自体を負極3とした。次に、厚さ50μmのLi箔を直径16mmの大きさに打ち抜いて集電体41とし、集電体41自体を対極4とした。そして、前記負極3及び対極4を用い、前記電解液の溶媒として、リン酸トリエチル(TEP)と、フルオロエチレンカーボネート(FEC)とを75:25の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例5と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用い、0.1〜2.5Vの範囲の電圧で0.1Cの電流量でリチウムイオン二次電池1に対する充放電を2サイクル行った。このときの充放電時の放電と充電の容量を表1に示す。
〔比較例7〕
本比較例では、前記電解液の溶媒として、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネートとを30:30:40の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例11と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.1であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例11と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を2サイクル行った。このときの充放電時の放電と充電の容量を表1に示す。
〔実施例12〕
本実施例では、集電体31として、厚さ20μmの亜鉛箔を用いた以外は、実施例11と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。本実施例のリチウムイオン二次電池1に用いた電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、6.72であった。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン二次電池1を用い、0.1〜2.5Vの範囲の電圧で0.1Cの電流量でリチウムイオン二次電池1に対する充放電を行った。このときの初回の充放電効率(充電容量/放電容量)を表2に示す。
〔比較例8〕
本比較例では、前記電解液の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを30:30:40の容積比で混合した混合溶媒を用いた以外は、実施例12と全く同一にしてコインセル型のリチウムイオン二次電池1を作製した。前記電解液のpHを実施例1と同一にして測定したところ、3.1であった。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン二次電池1を用いた以外は、実施例12と全く同一にして、リチウムイオン二次電池1に対する充放電を行った。このときの初回クーロン効率(充電容量/放電容量)を表2に示す。
負極3が集電体31と集電体31の表面に形成されたスズ皮膜32とを備え、電解質層6に含まれる電解液のpHが9.1である実施例1のリチウムイオン二次電池1によれば、負極3が該電解液と接触した状態で1週間経過後にもスズ皮膜32が溶解せず、充放電が可能であることが明らかである。
一方、負極3が集電体31と集電体31の表面に形成されたスズ皮膜32とを備え、電解質層6に含まれる電解液のpHが4未満の3.1〜3.9の範囲である比較例1〜3のリチウムイオン二次電池1によれば、負極3が該電解液と接触した状態で1週間経過後にはスズ皮膜32が溶解しており、充電することができないことが明らかである。
また、図2から、負極3がスズ箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが4.1〜7.7の範囲である実施例2、3のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルを繰り返したときにも容量の劣化を抑制できることが明らかであり、負極3がスズ合金箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが7.7である実施例4のリチウムイオン二次電池1によれば、さらに容量の劣化を抑制する効果に優れていることが明らかである。
一方、負極3がスズ箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが4未満の3.7である比較例4のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルを繰り返したときに容量の劣化が著しいことが明らかである。
また、図3から、負極3がアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが6.3〜6.72の範囲である実施例5〜8のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルを繰り返したときにも容量の劣化を抑制できることが明らかである。さらに、負極3がLi−アルミニウム合金箔からなる実施例7のリチウムイオン二次電池1、又は、ゲル化材料を含む電解液がゲル化されている実施例8のリチウムイオン二次電池1によれば、実施例5、6のリチウムイオン二次電池1に比較して容量を向上させることができることが明らかである。
負極3がLi−アルミニウム合金箔からなる実施例7のリチウムイオン二次電池1の容量が実施例5、6のリチウムイオン二次電池1に比較して向上する理由としては、アルミニウム合金内のリチウムが容量として取り出せることに加え、より体積膨張の少ない次式(2)の反応が主として起きたため、負極3にかかる負荷が低減されたためと考えられる。
2LiAl + Li → LiAl ・・・(2)
また、ゲル化材料を含む電解液がゲル化されている実施例8のリチウムイオン二次電池1の容量が実施例5、6のリチウムイオン二次電池1に比較して向上する理由としては、ゲル化した電解液が、活物質の微粒子化と、活物質の電解液への拡散とを抑制する障壁として作用しているためと考えられる。
一方、負極3がアルミニウム箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが4未満の3.1である比較例5のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルを繰り返したときに容量の劣化が著しいことが明らかである。
また、図4から、負極3がアルミニウム粉末と導電助剤とバインダーとからなる皮膜32を備え、電解質層6に含まれる電解液のpHが6.72である実施例9、10のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電動作を確認することができることが明らかである。ここで、導電助剤/バインダー(質量比)が、1である実施例9は、導電助剤/バインダー(質量比)が0.5である実施例10よりもサイクル容量維持率が高いので、より好ましい。すなわち、導電助剤/バインダー(質量比)が0.5より大きいほうがより好ましい。
一方、負極3がアルミニウム粉末と導電助剤とバインダーとからなる皮膜32を備え、電解質層6に含まれる電解液のpHが4未満の3.1である比較例6のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルの3回目以降の充放電容量がほとんど得られず、容量の劣化が著しいことが明らかである。比較例6のリチウムイオン二次電池1で充放電サイクルの3回目以降にほとんど容量を得ることができない理由としては、皮膜32に含まれるアルミニウム粉末が、pHが4未満の3.1である電解液により溶解し、負極3が電極として機能しなくなるためと考えられる。
また、表1から、負極3が鉛箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが6.72である実施例11のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルの2回目にも鉛箔が溶解することなく容量を得られることが明らかである。
一方、負極3が鉛箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが4未満の3.1である比較例7のリチウムイオン二次電池1によれば、充放電サイクルの2回目には、ほとんど容量を得ることができないことが明らかである。比較例7のリチウムイオン二次電池1で充放電サイクルの2回目にほとんど容量を得ることができない理由としては、鉛箔からなる負極3が、pHが4未満の3.1である電解液により溶解し、電極として機能しなくなるためと考えられる。
また、表2から、負極3が亜鉛箔からなり、電解質層6に含まれる電解液のpHが6.72である実施例12のリチウムイオン二次電池1によれば、電解質層6に含まれる電解液のpHが4未満の3.1である比較例8のリチウムイオン二次電池1に比較して、初回クーロン効率が大きく向上することが明らかである。比較例8のリチウムイオン二次電池1で初回クーロン効率が低い理由としては、亜鉛箔からなる負極3が、pHが4未満の3.1である電解液により溶解し、電極として機能していないためと考えられる。
1…リチウムイオン二次電池、 3…負極、 4…正極(対極)、 6…電解質層、 31…集電体、 32…スズ皮膜。

Claims (5)

  1. 負極と、正極と、負極と正極との間に位置する電解質層とを備えるリチウムイオン二次電池において、
    該負極は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、
    該電解質層は、溶媒と支持塩とを含みpHが4〜10の範囲である電解液を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1記載のリチウムイオン二次電池において、前記溶媒はリン酸エステルを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 請求項2記載のリチウムイオン二次電池において、前記リン酸エステルは、炭素数3以下の炭化水素基を側鎖に備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池において、前記電解質層は、ゲル化材料を含みゲル化された前記電解液からなることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池において、前記負極は、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金からなることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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