JP6745227B2 - セメント材料補強用繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント材料補強用繊維、繊維混合セメント材料、及び繊維強化セメント材料の製造方法に関する。
セメントは、安価で強度や耐久性に優れ、自由に成型できる重要な社会的インフラ材料である。そのため、コンクリート、モルタル、セメント板、発泡コンクリート等の、様々な特徴や形状を有した材料として、建築や土木分野等において、建築物、構造物、建材等に幅広く使用されている。
しかしながら、セメント材料には、幾つか問題があり、その中でも特に次の二つを代表例として挙げることができる。
一つ目は、セメント材料それ自体は、耐引っ張り性能に著しく乏しいために、乾燥収縮や地震等の外力の発生に伴う引っ張り応力に対して割れやすいという欠点である。一旦、割れが発生すると、その割れが外観の問題を生じるだけでなく、雨水の浸入や応力集中の原因となる。雨水の浸入は、コンクリート構造物における鉄筋、鉄骨その他の構造材料の腐食やコンクリートの中性化の進行の原因となり、応力集中は、再度応力が発生した場合に欠損が拡張するといった問題の原因になってしまう。
二つ目は、環境問題への対応である。近年は地球温暖化等の環境問題への適切な対応がますます重要になってきており、二酸化炭素を排出するセメント材料には厳しい目が注がれるようになってきている。すなわち、セメント材料についても、二酸化炭素の排出を抑制する、或いは使用時において二酸化炭素を、その材中に何らかの形で長期間蓄えるような工夫が求められるようになってきている。
他方、バイオマス、木材や非木材の植物に由来するリグノセルロース資源は、植物の生長過程において二酸化炭素を蓄積しており、その使用や廃棄に際しては余剰の二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルな材料として認識されている。
木材や非木材の植物から得られるリグノセルロース資源は、リグノセルロース繊維で構成されている。リグノセルロース繊維は、リグノセルロース資源を機械的、熱機械的、化学的、化学機械的、又は化学熱機械的に処理することで、繊維を接着剤的に束ねている中間層を破壊し、解きほぐすことで得られる。このようにして得られたリグノセルロース繊維は、主に紙原料としてのパルプやファイバーボード原料としての繊維として使用されている。
上述したようにセメント材料は、脆性的な性質を示す欠点がある。その改善のために、セメント材料に、ガラス繊維や合成高分子繊維を添加し、引っ張り応力や衝撃吸収性を改善する研究が行われてきた。しかし、これらの繊維は、原料となる石油資源の使用によって二酸化炭素の放出を招いたり、環境中で分解されなかったり、或いは、重量の増加を招いたり、といった好ましくない面を抱えている。
これに対して、植物由来のリグノセルロース繊維を用いて、セメント材料を補強するということも工場生産されるセメント材料に限定されて行われてきた。
例えば、特許文献1〜7にはパルプや木質繊維を用いてセメント材料を補強する方法が述べられている。
特許1947309号公報 特許2659806号公報 特許2587306号公報 特許1853706号公報 特許1955557号公報 特許2121236号公報 特許2121258号公報
Tonoliら、Composites: Part A, 40 (2009)、2046−2053 、Cellulose modified fibres in cement based composites
特許文献1〜7に記載の、パルプや木質繊維を用いて補強されたセメント材料に共通していえることは、何れも屋外で使用されることを前提に強固な表面塗装がなされていることであり、基材のセメント材料自体が直接水に晒される使い方がないという点である。その理由は、リグノセルロース繊維を含むセメント材料が吸水と乾燥の過程を繰り返すと、リグノセルロース繊維は膨潤と収縮を繰り返すのに対して、セメント材料はほとんど膨潤や伸縮しないため、両者の挙動の相違により、リグノセルロース繊維とセメントとの結合点が壊れてしまうためであると考えられる。
また、別の問題として、リグノセルロース繊維は、基本的に中空円筒形状をしており、この形状ゆえに軽くても高い弾性挙動を示す。しかし、この中空体の内部に水がセメント成分と共に侵入すると、徐々にセメントの結晶が中空体内部で成長する(ミネラル化と呼ばれる)。その結果、リグノセルロース繊維は弾性的性質を失い、代わりに、脆性的な性質が発現してくる。つまり、リグノセルロース繊維を添加することで付与した、リグノセルロース繊維の弾性的性質に基づく種々の物性向上効果が低下してしまうことになる。
モルタルやコンクリートの表面を、塗装等のように何らかの形で保護してセメント基材を直接の水から遮ることにより、リグノセルロース繊維の添加による物性向上効果の持続性を向上させることができると考えられる。
しかし、セメント基材が水から遮られていない場合、或いは、水を遮る処置をしたとしても、水を遮る機能が経年的に失われ、それに対処するためのメンテナンス工事がされない場合などには、リグノセルロース繊維の物性が低下してしまうことになるため、これを防ぐことが求められる。
非特許文献1には、特定のシランカップリング剤でリグノセルロース繊維を処理する方法が開示されている。しかしながら、シランカップリング剤は非常に高価である上に、取扱いが難しいという問題がある。
本発明の課題は、植物由来のリグノセルロース繊維を用いており、セメント材料の効果的な補強が可能で、補強効果の持続性に優れたセメント材料補強用繊維を提供することにある。
また、本発明の課題は、植物由来のリグノセルロース繊維により補強され、耐水及び耐久性に優れた繊維強化成形体を製造可能な繊維混合セメント材料を提供することにある。
また、本発明の課題は、植物由来のリグノセルロース繊維により補強され、耐水及び耐久性に優れた繊維強化成形体を形成可能な繊維強化セメント材料を製造可能な繊維強化セメント材料の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、リグノセルロース繊維に樹脂が付着した繊維、好ましくは樹脂で処理し、当該樹脂成分を硬化させたリグノセルロース繊維を用いること、又はリグノセルロース繊維に、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが付着した繊維、好ましくはセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーで処理し、当該セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーを乾燥させたリグノセルロース繊維を用いることで、セメント材料の初期耐水・耐久性のみならず、長期の耐水・耐久性を大きく向上させることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものである。
即ち、本発明は、繊維表面被覆剤が付着したリグノセルロース繊維からなり、前記繊維表面被覆剤が、樹脂、リグノセルロースナノファイバー及びセルロースナノファイバーからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、セメント材料補強用繊維を提供するものである。
また、本発明は、前記繊維表面被覆剤がセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーである前記セメント材料補強用繊維の製造方法であって、
セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーを含む液体を、リグノセルロース繊維に接触させた状態で、乾燥させることにより、該セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが表面に付着したリグノセルロース繊維を得る、セメント材料補強用繊維の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記のセメント材料補強用繊維又は前記の方法により得られたセメント材料補強用繊維、及びセメントを含むことを特徴とする、繊維混合セメント材料を提供するものである。
また、本発明は、前記のセメント材料補強用繊維又は前記の方法により得られたセメント材料補強用繊維、セメント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まないことを特徴とする、繊維強化セメント材料の製造方法を提供するものである。
本発明のセメント材料補強用繊維は、植物由来のリグノセルロース繊維を用いており、環境への配慮の点から好ましい上に、セメント材料の効果的な補強が可能で、補強効果の持続性にも優れている。
また、本発明の繊維混合セメント材料によれば、植物由来のリグノセルロース繊維により補強され、耐水及び耐久性に優れた繊維強化成形体を製造可能である。
また、本発明の繊維強化セメント材料の製造方法によれば、植物由来のリグノセルロース繊維により補強され、耐水及び耐久性に優れた繊維強化成形体を形成可能な繊維強化セメント材料を効率的に製造可能である。
より詳細に説明すると、本発明によれば、以下の一又は二以上の効果が奏される。
(1)物性に優れた繊維強化セメント材料が得られると共に、カーボンニュートラルなリグノセルロース繊維を用いることで二酸化炭素の放散を抑制し、またその結果セメント材料を使用している期間中、その材中に二酸化炭素をストックすることが可能となる。
(2)本発明により得られる繊維強化セメント材料は、脆性が改善され、乾燥収縮、引っ張り応力に強く、衝撃吸収性にも優れる。また、物性の補強効果の持続性に優れており、セメント材料のライフサイクルを延長することが可能になり、経済的にも環境的にもその効果は大きい。
(3)環境中で容易に生分解するために、その製造、使用、使用後に環境に与える影響が少なくなるものである。加えて、火災時のセメント材料の爆裂も軽減される。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態のセメント材料補強用繊維は、繊維表面被覆剤が付着したリグノセルロース繊維からなり、前記繊維表面被覆剤が、樹脂である。
本発明の第2実施形態のセメント材料補強用繊維は、繊維表面被覆剤が付着したリグノセルロース繊維からなり、前記繊維表面被覆剤が、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーである。
〔リグノセルロース繊維〕
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、木材又は非木材の植物由来のリグノセルロース材料を、機械的、熱機械的、化学的、化学機械的、又は化学熱機械的に処理することで、繊維を接着剤的に束ねている中間層を破壊し、解きほぐした繊維である。リグノセルロース繊維としては、そのようなものを特に制限なく用いることができる。木材は、針葉樹でも広葉樹でも良い。
非木材の植物由来のリグノセルロース繊維としては、ワラパルプ、バガスパルプ、ヨシパルプ、ケナフパルプ、リネンパルプ、ラミーパルプ、ヘンプパルプ等が挙げられる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維としては、例えば、溶解パルプ、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプを好ましく用いることができる。リグノセルロース繊維としては、機械パルプ、又はファイバーボード用繊維を用いることが、製造効率や物理的性質の観点から好ましい。機械パルプとしては、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ等が挙げられる。同様の観点から、更に好ましくはサーモメカニカルパルプである。サーモメカニカルパルプには、ファイバーボード用繊維も含まれる。ファイバーボード用繊維とは、広義にはサーモメカニカルパルプであり、狭義には、その中でも比較的粗大な繊維のことである。
リグノセルロース繊維は、漂白(脱リグニン)されたパルプと異なり、何れもリグニンを含んでいる。リグノセルロース繊維は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
リグノセルロース材料をリグノセルロース繊維化する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、パルプを製造する従来の方法やファイバーボード用繊維を製造する従来の方法等を適宜用いることができる。
リグノセルロース材料をリグノセルロース繊維化する方法の一例としては、リグノセルロース材料をチップ状に破砕し、その後、プレヒーターやプレスチーマーで1〜10Bar程度の圧力を掛けながら蒸煮することで、リグノセルロース材料の構成成分であるリグニンやヘミセルロースを軟化させた後、加圧型リファイナー内で圧力を掛けながらディスク式刃物を用いて、繊維或いは繊維束まで解繊して、所望の繊維を製造する方法を挙げることができる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、その幅が、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは10〜50μmであり、その長さが、好ましくは0.1〜50mm、更に好ましくは1〜5mmである。このような繊維の長さや幅は、リファイナーのディスクの間隔等の運転条件を調整することで適宜所望の長さや幅に調整することができる。
リグノセルロース繊維は、前記のような水熱的な工程を経て製造されることが効率が良く、得られた繊維の損傷も少ない。また、多くの場合において、リグノセルロース繊維は、輸送や保存、貯蔵やハンドリングの向上の目的で乾燥される。
リグノセルロース繊維の乾燥方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができるが、例えば、製紙・パルプ工業で行われているように、濡れた状態のリグノセルロース繊維をローラーやワイヤ上に吐出し、吸引や加圧により脱水した後に、熱乾燥させる方法や、ファイバーボード用の繊維の製造で行われているように、濡れた状態のリグノセルロース繊維を熱風を流している管の中を気流下で熱乾燥させる方法等を挙げることができる。このような、リグノセルロース繊維の乾燥は、例えば60〜200℃で行うことが好ましく、より好ましくは80〜160℃であり、更に好ましくは100〜140℃である。
〔樹脂〕
繊維表面被覆剤としての樹脂は、セメント材料の補強効果の持続性を向上させるもので、以下の(1)及び(2)の何れか1以上、より好ましくは両方の機能を発現する。
(1)リグノセルロース繊維の表面に付着して、該リグノセルロース繊維が吸水又は吸湿して膨潤することを抑制し得るもの。
(2)リグノセルロース繊維の表面に付着して、該リグノセルロース繊維の中空部に、セメント成分が侵入するのを抑制し得るもの。
繊維表面被覆剤としての樹脂は、補強効果の持続性の向上の観点から、熱硬化性樹脂であって、硬化した状態で繊維表面に付着していることが好ましい。
また、繊維表面被覆剤としての樹脂は、水溶性の熱硬化性樹脂であることが、熱硬化性樹脂を、水溶液の状態で、スプレー等の多様な方法により効率的にリグノセルロース繊維を付着させることができるため好ましい。
繊維表面被覆剤として用いる樹脂は、アミノ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、及び、ポリアクリルアミド樹脂誘導体からなる群から選択される1種以上であることが、補強効果の持続性の向上の観点から好ましい。これらの樹脂は、水溶性の熱硬化性樹脂である。
アミノ樹脂は、アミノ基を含む化合物とアルデヒドの縮合反応によって得られる樹脂の総称である。アミノ樹脂の例としては、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂、及びこれらの誘導体を挙げることができる。
また、セメント材料が、主に屋外で使用されることを考慮すると、耐久性の観点から、繊維表面被覆剤として用いる樹脂は、ポリアクリルアミド樹脂又はその誘導体であることが好ましい。
また、リグノセルロース繊維はその水酸基がアニオン性であるため、ポリアクリルアミド系樹脂等を用いる場合は、カチオン性のものを用いるのが、リグノセルロース繊維への付着力や残存力の高さから好ましい。アニオン性や両イオン性のものを用いる場合は、硫酸アルミニウムのような展着剤を併用するのが好ましい。
ここで、アニオン性とは、水に溶けた場合のイオンの種類としてアニオン(陰イオン)性の化合物であることを意味する。
樹脂は、1種を単独で又は二以上を組み合わせて用いることができる。
〔樹脂の繊維への処理方法〕
リグノセルロース繊維を樹脂で処理する方法(リグノセルロース繊維に樹脂を付着させる方法)としては、解繊装置(例えば、リファイナー)から搬出された濡れた状態のリグノセルロース繊維に樹脂を含む溶液を吹き付け、その後乾燥させる方法、或いは、濡れた状態のリグノセルロース繊維を樹脂を含む溶液に浸漬し、その後乾燥させる方法等が挙げられる。或いは、解繊装置から搬出されたリグノセルロース繊維を乾燥してから、樹脂を含む液体を吹き付けたり、樹脂を含む溶液に浸漬する方法等も挙げることができる。樹脂を含む溶液は、溶媒が水である水溶液であることが好ましいが、溶媒は水とアルコール等の他の液体との混合物であっても良いし、アルコール等の水以外の液体であっても良い。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、変性アルコール等が挙げられる。また、樹脂を含む溶液に代えて、リグノセルロース繊維に、樹脂を含む分散液を、吹き付け、浸漬等により接触させても良い。溶媒又は分散媒は、水を50質量%以上含む液体であることが好ましく、水であることが更に好ましい。
リグノセルロース繊維を樹脂を含む溶液に接触した後、乾燥させることで、繊維の表面に、樹脂が硬化した状態で強固に付着したセメント材料補強用繊維が得られる。斯かるセメント材料補強用繊維は、セメント材料の補強効果の持続性に一層優れている。
樹脂が熱硬化性樹脂である場合、溶液の乾燥時又は溶液の乾燥後に、熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱する樹脂の硬化処理を行うことが、セメント材料補強効果の持続性に一層優れたセメント材料補強用繊維を得る観点から好ましく、更に乾燥温度を熱硬化樹脂の硬化温度以上として、溶液の乾燥と樹脂の熱硬化とを同時に行うことが、製造効率等の観点から更に好ましい。
樹脂のリグノセルロースへの付着量は、樹脂により異なるので適宜所望の付着量を選択することができるが、例えば、乾燥状態のリグノセルロース繊維の質量に対して樹脂固形分換算で、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。第1実施形態のセメント材料補強用繊維は、繊維の表面の全体が樹脂で被覆されていても良いし、繊維の表面が部分的に樹脂で被覆されている状態でも良い。
〔セルロースナノファイバー,リグノセルロースナノファイバー〕
本発明で用いるセルロースナノファイバー及びリグノセルロースナノファイバーは、微細化処理により、セルロース繊維を含むパルプ等の材料を、繊維径がナノサイズレベル(1ミクロン未満)のナノファイバーとしたものである。微細化処理は、例えば、高圧ホモジナイザー、グラインダー、摩砕機、リファイナー等から選ばれる任意の方法で行うことができる。セルロースナノファイバーは、例えばクラフトパルプ等のリグニンを含まない材料から得られ、実質的にリグニンを含まないナノファイバーである。これに対して、リグノセルロースナノファイバーは、リグニンを含むパルプから、脱リグニンをすることなく又は含有リグニン量を調整して製造されるナノファイバーであり、リグニンを含んでいる。セルロースナノファイバーは、リグニンの含有量が、好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満であり、リグノセルロースナノファイバーは、リグニンの含有量が、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは10〜50質量%である。
本発明においては、繊維表面被覆材として、セルロースナノファイバー及びリグノセルロースナノファイバーの一方のみを用いても良く、セルロースナノファイバー及びリグノセルロースナノファイバーの両方を用いることもできる。更には、前述した樹脂を、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーと併用することもできる。以下、セルロースナノファイバー及びリグノセルロースナノファイバーの両者を纏めて、(リグノ)セルロースナノファイバーともいう。
本発明で用いる(リグノ)セルロースナノファイバーは、平均繊維径が、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは10〜100nm、更に好ましくは20〜50nmである。
(リグノ)セルロースナノファイバーの平均繊維長は、好ましくは1〜5000μmであり、より好ましくは2〜4000μm、更に好ましくは3〜3000μmである。
繊維表面被覆剤としての(リグノ)リグノセルロースナノファイバーは、セメント材料補強効果の持続性を向上させるもので、以下の(1)及び(2)の何れか1以上、好ましくは両方の機能を発現する。
(1)リグノセルロース繊維の表面に付着して、該リグノセルロース繊維が吸水又は吸湿して膨潤することを抑制し得るもの。
(2)リグノセルロース繊維の表面に付着して、該リグノセルロース繊維の中空部に、セメント成分が侵入するのを抑制し得るもの。
〔(リグノ)リグノセルロースナノファイバーの繊維への処理方法〕
リグノセルロース繊維を(リグノ)セルロースナノファイバーで処理する方法(リグノセルロース繊維に(リグノ)セルロースナノファイバーを付着させる方法)としては、解繊装置(例えば、リファイナー)から搬出された濡れた状態のリグノセルロース繊維に、(リグノ)セルロースナノファイバーを含む液体を吹き付け、その後乾燥させる方法、或いは、濡れた状態のリグノセルロース繊維を(リグノ)セルロースナノファイバーを含む液体に浸漬し、その後乾燥させる方法等が挙げられる。或いは、解繊装置から搬出されたリグノセルロース繊維を乾燥してから、(リグノ)セルロースナノファイバーを含む液体を吹き付けたり、(リグノ)セルロースナノファイバーを含む液体を浸漬する方法等も挙げることができる。
リグノセルロース繊維に、吹き付け、浸漬等により接触させる(リグノ)セルロースナノファイバーの含有液は、通常、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーの分散液である。
リグノセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーの分散液の分散媒は、水であることが好ましいが、水とアルコール等の他の液体との混合物や、アルコール等の水以外の液体であっても良い。分散媒は、水を50%質量%以上含む液体であることが好ましく、水であることが更に好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、変性アルコール等が挙げられる。
リグノセルロース繊維を(リグノ)セルロースナノファイバーを含む液体に接触した後、乾燥させることで、繊維の表面に、(リグノ)セルロースナノファイバーが強固に付着したセメント材料補強用繊維が得られる。斯かるセメント材料補強用繊維は、セメント材料の補強効果の持続性に一層優れている。
(リグノ)セルロースナノファイバーのリグノセルロース繊維への付着量は、乾燥状態のリグノセルロース繊維の質量に対して、(リグノ)セルロースナノファイバーの固形分換算で、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。第2実施形態のセメント材料補強用繊維は、繊維の表面の全体が、(リグノ)セルロースナノファイバーで被覆されていても良いし、繊維の表面が部分的に(リグノ)セルロースナノファイバーで被覆されている状態でも良い。
〔セメント材料補強用繊維〕
前述したリグノセルロース繊維を樹脂で処理する方法、又は前述したリグノセルロース繊維をセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーで処理する方法を採用することによって、繊維、セルロースナノファイバー及びリグノセルロースナノファイバーからなる群から選択される少なくとも1種が付着したリグノセルロース繊維からなる、本発明のセメント材料補強用繊維が得られる。
本発明のセメント材料補強用繊維は、単独で販売しても良いし、セメント材料補強用繊維、及びセメントを含む繊維混合セメント材料として販売しても良い。セメント材料補強用繊維又は繊維混合セメント材料を工場で生産し、それを各地の建築や土木工事の現場に搬入し、当該現場で、モルタルやコンクリートの他の材料や水と混錬して、繊維強化セメント材料とすることも、搬送コストを抑制しつつ高品質の繊維強化成形体を製造できる等の観点から好ましい。
また、建築や土木工事の現場への繊維混合セメント材料の搬入の容易や、繊維混合セメント材料の搬送コストの削減等の観点から、繊維混合セメント材料は、水分の含有率が、15質量%以下のモルタルミックス又はコンクリートミックスであることが好ましく、さらに水分の含有率は、10質量%以下であることがより好ましい。モルタルミックスは、セメント材料補強用繊維及びセメント以外に、砂等の細骨材を含んでおり、コンクリートミックスは、セメント材料補強用繊維及びセメント以外に、砂利等の粗骨材を含んでいる。繊維混合セメント材料は、セメント材料補強用繊維として、帯電防止剤が付着したセメント材料補強用繊維を含むことが好ましい。
〔帯電防止剤〕
本発明のセメント材料補強用繊維は、リグノセルロース繊維に、樹脂、セルロースナノファイバー及びセルロースナノファイバーの少なくとも1種である繊維表面被覆剤に加えて、帯電防止剤が付着していることが、セメント材料調製時の水等に対する分散性を向上させ、繊維強化セメント材料や繊維強化成形体の強度や耐久性を向上させ得る観点から好ましい。
本発明で用いる「帯電防止剤」としては、帯電防止効果のあるものを特に制限無く用いることができる。帯電防止効果とは、空気中の水分を引き寄せ、導電性の水分子層を形成する効果であり、帯電防止効果の程度は、表面固有抵抗や帯電圧半減期、ダートチャンバーテスト等の公知の方法で評価することができる。
帯電防止剤は、帯電防止剤の程度が、以下の基準(1)又は(2)を満たすものが好ましい。
(1)ASTM D257に規定される表面固有抵抗が1014Ω以下である。ASTM D257に規定される表面固有抵抗は、より好ましくは1012Ω以下であり、更に好ましくは1011Ω以下である。
(2)JIS L1094に規定される帯電圧半減期が30秒以下である。JIS L1094に規定される帯電圧半減期は、より好ましくは10秒以下、更に好ましくは5秒以下である。
本発明で用いる帯電防止剤の種類として、アニオン性又はノニオン性のものを挙げることができる。ここでいう、アニオン性とは、水に溶けた場合のイオンの種類としてアニオン(陰イオン)性の化合物であり、ノニオン性とは、イオンにならない非イオン性の化合物である。帯電防止剤としては、帯電防止剤として市販されている各種の化合物や、帯電防止効果を有する界面活性剤、特に親水性の高い界面活性剤を用いることができる。
前述したように、代表的なカチオン性化合物である四級アンモニウム塩は金属腐食性が強く好ましくない。また、セメント材料に、減水剤のようなアニオン性の化合物を添加する場合、カチオン性のものは同時に使用できない。このような観点から、本発明で用いる帯電防止剤としては、界面活性剤型であって、カチオン性ではないものが好ましく、より具体的には、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤型である帯電防止剤が好ましく、ノニオン性の界面活性剤が更に好ましい。
これら帯電防止剤は、水性でも水不溶性でも用いることができるが、他の水性の添加剤と併用して、一度にリグノセルロース繊維を処理する際の処理効率を考慮すれば、水性であることが好ましい。ただし、水不溶性の帯電防止剤であっても、乳化等の処理を行っておくことで、他の水性の添加剤と併用することも可能である。
本発明で用いる帯電防止剤として使用することのできる「アニオン性の界面活性剤」としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等が挙げられる。
本発明で用いる帯電防止剤として使用することのできる「ノニオン性の界面活性剤」としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルジエタノールアマイド等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類は、好ましくは、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタンに、エチレンオキシド(EO)、又はエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を付加縮合したものである。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン混合脂肪酸エステル等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン混合脂肪酸エステルとしては、ソルビタンヤシ油脂肪酸エステル、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを用いることが好ましい。
上述した帯電防止剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類は、帯電防止剤として好ましく、また、帯電防止剤であるか否かに関わらずに、リグノセルロース繊維に、繊維表面被覆剤に加えて付着させることが好ましい。
帯電防止剤の使用方法は、前述したリグノセルロース繊維を樹脂で処理する方法又は前述したリグノセルロース繊維を(リグノ)セルロースナノファイバーで処理する方法において、繊維表面被覆剤を含む液体を、吹き付け、浸漬等によりリグノセルロース繊維に接触させる際に、当該液体中に、帯電防止剤を含有させておく方法が好ましい。これにより、リグノセルロース繊維に、繊維表面被覆剤に加えて帯電防止剤が付着しているセメント材料補強用繊維が得られる。帯電防止剤のリグノセルロース繊維への付着量は、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する帯電防止剤の固形分換算で、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
〔セメント材料〕
本発明におけるセメント材料は、セメントを含有するものであれば特に制限なく対象とすることができる。具体的には、コンクリート、モルタル、セメント成型材料を挙げることができる。セメント成型材料としては、例えば、木片セメント板、木毛セメント板、サイディング板、スレート板、発泡コンクリート等を挙げることができる。セメント材料及び繊維強化セメント材料の意には、水添加後の最終的な製品だけでなく、製品を製造する原料となる粉体(例えば、水を含まないコンクリートミックス粉末混合物、水を含まないモルタルミックス粉末混合物等)を含む。さらに、近年よく使用されるフライアッシュや高炉スラグを含んでいても良い。
〔その他添加剤〕
本発明の繊維混合セメント材料及び繊維強化セメント材料には、その他に本発明の効果を損なわない範囲で防腐剤、防虫剤、防カビ剤、撥水剤、紫外線吸収剤、難燃剤、フィラー、カップリング剤、エラストマー、ポリマー、消泡剤、滑剤、顔料、色素、減水剤、膨張剤、収縮低減剤等の種々の添加剤を加えることができる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
更に、本発明の目的を損なわない範囲で、ガラス繊維、合成樹脂繊維、炭素繊維、セルロースナノクリスタル、カーボンナノチューブ、その他ナノファイバー等を添加することができる。一般的に、特性や形状の異なる、複数の種類の繊維を組み合わせると、何れかを単独で使用するよりも好ましい効果が得られることが経験的に知られているためである。
〔混練方法〕
セメント材料補強用繊維とセメント材料を混合する方法としては、公知の混合方法、例えば、ミキサーによる攪拌等を用いることができる。
本発明の繊維強化セメント材料の製造方法は、セメント材料補強用繊維、セメント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まない。前記の混錬工程においては、セメント材料補強用繊維、セメント及び水に加えて、後述するリグノセルロース材料を切削した小片を混錬することが好ましい。本発明の繊維強化セメント材料の製造方法によれば、混錬工程後の混合物(繊維強化セメント材料)を、常温で硬化させることによって、植物由来のリグノセルロース繊維により補強された高性能の繊維強化成形体を製造可能である。
また、本発明のセメント材料補強用繊維、特にリグノセルロース繊維に、繊維表面被覆剤に加えて帯電防止剤が付着しているセメント材料補強用繊維を用いることにより、リグノセルロース繊維の凝集を解消し、セメント材料補強用繊維をセメント材料内へ均一に分散させることが容易となる。したがって、例えば、混合物の混錬に、過剰な水分の下で機械的に強力に攪拌するような装置を用いたり、その後に、スラリーからの脱水工程を経由することなく、繊維強化セメント材料を効率的に製造可能である。また、特別な攪拌装置ではない通常のコンクリートミキサーやモルタルミキサーを用いて、スラリーからの脱水工程を経由することなく目的を達することができる。
〔リグノセルロース材料切削小片〕
本発明のセメント材料補強用繊維は、リグノセルロース材料を切削した小片と併用することが好ましい。また、本発明の繊維混合セメント材料は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤及びセメント、好ましくはセメント材料補強用繊維及びセメントに加えて、リグノセルロース材料を切削した小片を含むことが好ましい。また、本発明の繊維強化セメント材料の製造方法においては、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セメント及び水、好ましくはセメント材料補強用繊維、セメント及び水に加えて、リグノセルロース材料を切削した小片を混合することが好ましい。また、第2方法発明の繊維強化セメント材料の製造方法においては、セメント材料に、リグノセルロース繊維及びリグノセルロース材料を切削した小片を添加する。
リグノセルロース繊維に加えて、リグノセルロース材料を薄く切削したリグノセルロース材料切削小片、所謂、フレーク、ウェハー、ストランド等を添加することで、繊維強化成形体の脆性が向上する等、セメント材料の物性を、リグノセルロース繊維を単独で添加したときに比して大幅に向上させることができる。
本発明で用いる「リグノセルロース材料を切削した小片」(以下、リグノセルロース材料切削小片という)としては、木材や木材以外の植物を原料として、フレーカーや、リング式又はディスク式のストランド製造装置で製造したもの等を特に制限なく用いることができる。
このようなリグノセルロース材料切削小片の例としては、パーティクイルボード用のフレーク、ウェハーボード用のストランド、及び、オリエンテッドストランドボード用のストランドを好ましく用いることができる。これらのリグノセルロース材料切削小片は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
リグノセルロース材料をリグノセルロース材料切削小片化する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、パーティクルボードを製造する方法やオリエンテッドストランドボード、及び、ウェハーボード用の切削小片を製造する方法等を用いることができる。
上記の一例としては、リグノセルロース材料をチップ状に粉砕し、その後、ナイフリングフレーカーで切削する方法、リグノセルロース材料をそのままリング式ストランド製造装置で切削する方法を挙げることができる。
このようにして得られた切削小片の形状については、好ましくは、幅は1〜50mm、更に好ましくは2〜20mmを挙げることができる。また、長さは好ましくは1〜50mm、更に好ましくは2〜20mmを挙げることができる。また、厚さは好ましくは、0.2〜1.0mm、更に好ましくは0.3〜0.6mmを挙げることができる。
リグノセルロース材料切削小片の全体的な形状としては、繊維方向を長さ、繊維方向に直交する方向を幅としたときに、長さが幅に比して長いことが、リグノセルロース材料の力学的な性能の面からして好ましい。このような切削小片の形状はフレーカーやストランド製造装置の運転条件を調整することで適宜所望の形状に調整することができる。
また、リグノセルロース繊維切削小片の大きさは、使用目的により適宜変更される。例えば、モルタルに添加する場合は、当該モルタル複合材料は、ラス網と呼ばれる網状の下地金物に塗付けられることになる。この場合、ラス網とモルタルとの物理的な絡み付きが重要となるため、リグノセルロース材料切削小片の大きさはラス網の目の開きの大きさにより決定される。また、同様のことが、コンクリートと鉄筋や補強金網の場合についても言える。
なお、リグノセルロース材料切削小片は帯電防止剤で処理しなくとも、ダマにもならなければ、凝集も発生しないので、処理の要否は任意である。
リグノセルロース繊維とリグノセルロース材料切削小片は、別々の段階でセメント材料と添加しても良いし、同じ段階で添加しても良い。一緒に添加する場合のほうが工程の簡略化が図られるため好ましく、その場合は、予めリグノセルロース繊維とリグノセルロース材料切削小片を所望の割合で混合しておき、それを添加しても良いし、更に望ましくは当該混合物をペレットのような圧縮固形化や造粒化を行ったものを添加するほうが、軽量性、作業容易性や作業環境性の向上のために好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態を示して説明したが、各発明は、上記の実施形態に制限されず適宜に変更可能である。
以下、実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。
1.リグノセルロース繊維の調製
ファイバーボード工場で加圧型リファイナーを用いて製造されたファイバーボード用リグノセルロース繊維を、そのままリグノセルロース繊維として用いた。繊維の長さは凡そ3mm、繊維の幅は凡そ30μmであった。
2.セメント材料補強用繊維の調製
〔実施例1〕
上記により得られた乾燥状態のリグノセルロース繊維に対して、ポリアクリルアミド系樹脂(荒川化学工業株式会社製:ポリストロン705)を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように、適宜水で希釈して噴霧した後、105℃のオーブンで10分間の乾燥及び熱硬化処理を行った。また、噴霧した液体中には、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを配合し、帯電防止剤を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように付着させた。このようにして、実施例1のセメント材料補強用繊維を得た。
〔実施例2〕
上記により得られた乾燥状態のリグノセルロース繊維に対して、メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂(モル比率1.15、メラミン含有率1質量%)を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が10質量%となるように、適宜水で希釈して噴霧した後、105℃のオーブンで5分間の乾燥及び熱硬化処理を行った。また、噴霧した液体中には、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを配合し、帯電防止剤を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように付着させた。このようにして、実施例2のセメント材料補強用繊維を得た。
〔実施例3〕
上記により得られた乾燥状態のリグノセルロース繊維に対して、セルロースナノファイバー(スギノマシン社製「ビンフィス」)の水分散液を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように、適宜水で希釈して噴霧した後、105℃のオーブンで10分間の乾燥処理を行った。また、噴霧した液体中には、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを配合し、帯電防止剤を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように付着させた。このようにして、実施例3のセメント材料補強用繊維を得た。
〔実施例4〕
上記により得られた乾燥状態のリグノセルロース繊維に対して、リグノセルロースナノファイバーの水分散液を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように、適宜水で希釈して噴霧した後、105℃のオーブンで10分間の乾燥処理を行った。また、噴霧した液体中には、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを配合し、帯電防止剤を、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように付着させた。このようにして、実施例4のセメント材料補強用繊維を得た。
〔比較例2〕
上記により得られた乾燥状態のリグノセルロース繊維を樹脂で処理することなく用いた。ただし、分散性を確保するために、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるように付着させた。このようにして、比較例2セメント材料補強用繊維を得た。
3.セメント材料(水混合物)の調製
市販の軽量モルタルミックス(富士川建材工業社製、「ACモルタル」)質量2.5kgに水1Lを加え、ホバート式ミキサーで攪拌して、モルタルセメント材料(水混合物)を得た。この調製方法を、標準調製方法とし、実施例1〜4及び比較例2のセメント材料補強用繊維については、前記の軽量モルタルミックスの1質量%分を、実施例1〜4又は比較例2のセメント材料補強用繊維に置き換える以外は、標準調製方法に従って繊維強化セメント材料を得た。
ここで、リグノセルロース繊維は吸水性が高いために、リグノセルロース繊維を添加することで、見かけの水分が不足し、混練が難しくなり加水が必要になる場合があるが、その場合は、適宜、所望の作業効率を確保できる程度まで、加水を行った。
4.曲げタフネス試験の評価
実施例1〜4及び比較例2の繊維強化セメント材料を用いて調製した各セメント材料を、曲げタフネス試験に供した。また、比較例1として、上記の市販の軽量モルタルミックスをそのまま用いて標準調製方法により調製したセメント材料も同様に曲げタフネス試験に供した。
曲げタフネス試験は、曲げ試験を行う際に得られる荷重−変位曲線の下側の面積を曲げ破壊に要したエネルギーとして算出し、評価する方法である。曲げタフネスが大きければ好ましい評価となる。
4−1.試験方法
調製したセメント材料を、型に入れ、幅75mm、長さ150mm、厚み15mmの形状とした。24時間後に脱型し、その後20℃―65%で28日間養生した後に、その試験体を用いて、曲げタフネス試験を行った。
また、促進劣化処理として、20℃の水中に8時間の浸漬及び60℃の乾燥機での16時間の乾燥を1サイクルとして、0サイクル、10サイクルの繰り返した後に、それぞれ、曲げタフネス試験を行い、初期の強度、及び強度の長期耐久性を評価した。なお、試験体は何れも6体作成し、その平均を計算して評価を行った。
4−2.結果
試験結果を表1に示す。なお、試験結果は、比較例1(コントロール)を100とし、それ以外の結果を比較例1(コントロール)の値に対する比(%)で表した。
表1に示す結果より、実施例1、2共に、比較例1、2に対して、促進劣化処理後の曲げタフネスの維持効果が見られた。すなわち、繊維表面被覆剤としての樹脂が付着したリグノセルロース繊維からなる本発明のセメント材料補強用繊維をセメント材料に配合することで、セメント材料の脆性が従来以上に改善されると共に、更に長期に渡ってその補強効果が発揮されることが明らかにされた。
また、表1に示す結果より、実施例3は、比較例1、2に対して、曲げタフネスが顕著に向上しその持続効果にも優れていた。実施例4についても、曲げタフネスの向上効果が認められた。すなわち、繊維表面被覆剤として、(リグノ)セルロースナノファイバーが付着したリグノセルロース繊維からなる本発明のセメント材料補強用繊維、特にセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーで処理し、当該セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーを乾燥・硬化せしめたリグノセルロース繊維をセメント材料に添加することで、セメント材料の脆性が従来以上に改善されると同時に、更に長期に渡って補強効果が発揮されることが明らかにされた。なお、実施例4については、10サイクルの計測は行わなかったが、実施例3と同様に、曲げタフネスの向上効果の持続性にも優れると推測される。
また、表1に示す結果から、本発明のセメント材料補強用繊維を用いた本発明の繊維混合セメント材料や本発明の繊維強化セメント材料によれば、耐水及び耐久性に優れた繊維強化成形体を形成可能であることも判る。

Claims (14)

  1. 繊維表面被覆剤が付着したリグノセルロース繊維からなり、前記繊維表面被覆剤が、樹脂、セルロースナノファイバー及びリグノセルロースナノファイバーからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、セメント材料補強用繊維。
  2. 前記リグノセルロース繊維が、木材パルプであることを特徴とする、請求項1に記載のセメント材料補強用繊維。
  3. 前記繊維表面被覆剤が、熱硬化性樹脂であり、硬化した状態で繊維表面に付着していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセメント材料補強用繊維。
  4. 前記繊維表面被覆剤が、アミノ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、及び、ポリアクリルアミド樹脂誘導体からなる群から選択される1種以上の樹脂である、請求項3に記載のセメント材料補強用繊維。
  5. 前記繊維表面被覆剤が、水溶性の熱硬化性樹脂であり、水溶液中でカチオン性を示すものであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維。
  6. 前記繊維表面被覆剤が、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーである、請求項1に記載のセメント材料補強用繊維。
  7. 前記リグノセルロース繊維に、前記繊維表面被覆剤に加えて帯電防止剤が付着している、請求項1〜6の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維。
  8. 前記リグノセルロース繊維に、前記繊維表面被覆剤に加えて、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類が付着している、請求項1〜7の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維。
  9. 請求項6に記載のセメント材料補強用繊維の製造方法であって、
    セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーを含む液体を、リグノセルロース繊維に接触させた状態で、乾燥させることにより、該リグノセルロースナノファイバー及び/又はセルロースナノファイバーが表面に付着したリグノセルロース繊維を得る、セメント材料補強用繊維の製造方法。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維又は請求項9に記載の方法により得られたセメント材料補強用繊維、及びセメントを含むことを特徴とする、繊維混合セメント材料。
  11. 前記繊維混合セメント材料が、水分の含有率が15%以下の、モルタルミックス又はコンクリートミックスであることを特徴とする、請求項10に記載の繊維混合セメント材料。
  12. 更に、リグノセルロース材料を切削した小片を含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の繊維混合セメント材料。
  13. 請求項1〜8の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維又は請求項9に記載の方法により得られたセメント材料補強用繊維、セメント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まないことを特徴とする、繊維強化セメント材料の製造方法。
  14. 前記混錬工程においては、更にリグノセルロース材料を切削した小片を混合することを特徴とする、請求項13に記載の繊維強化セメント材料の製造方法。
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