以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。図1は、本発明の一実施の形態によるパウチ1の一例を示す平面図である。
図1に示すパウチ1は、胴部10と底部20とをヒートシールして形成されるスタンディング形式のパウチである。図1に示すように、胴部10は、互いに対向して配置された表主面シート11aと裏主面シート11bとからなる一対の主面シート11を含んでおり、重ね合せられた一対の主面シート11の側縁13近傍が互いにヒートシールされている。一対の主面シート11の下縁14間に、底部20をなす底面シート21が配置されている。そして、一対の主面シート11と底面シート21とによって囲まれる空間内に、内容物を収容する収容空間2が区画されている。底面シート21は、収容空間2側に向かって凸となるように曲げられ、その周縁近傍を、重なり合う主面シート11の下部とともにヒートシールされている。底面シート21が一対の主面シート11の下端の形状を保持することによって、パウチ1に自立性を付与している。
また、図1に示すように、パウチ1では、一対の主面シート11の上縁12間に開口4が形成され、当該開口4から内容物が充填されるようになっている。とりわけ、本実施の形態のパウチ1は、以下に説明するように、開口4を広く確保する工夫がなされており、開口4から効率よく内容物を充填することができるようになっている。内容物が充填された後、開口4が設けられた上縁12近傍をヒートシールすることにより密閉して、パウチ1が得られる。
(積層フィルム)
先ず、胴部10をなす一対の主面シート11及び底部20をなす底面シート21を構成するフィルムについて説明する。本実施の形態では、一対の主面シート11及び底面シート21は、積層フィルム30からなる。図2に、積層フィルム30の層構成を示す。上述のように、パウチ1は、一対の主面シート11及び底面シート21をなす積層フィルム30をヒートシールすることによって製袋される。このため、積層フィルム30には、容器内方側となる部分にシール性を有するシーラント層34が設けられている。また、電子レンジ用のパウチ1では、印刷基材となる基材層31が、シーラント層34よりも容器外方側となる部分に設けられている。さらに、積層フィルム30は、電子レンジ用のパウチに要求される種々の機能を付与すべく、中間層33を含んでいる。したがって、このような層構成を持つ積層フィルム30は、製袋してパウチ1とするときの容器外方となる側から容器内方となる側に向けて基材層31と中間層33とシーラント層34とをこの順で含んでいる。以下、各層について詳述していく。
上述したように、電子レンジ用のパウチ1は、熱に対する耐性を必要とされる。このため、本実施の形態の基材層31は、耐熱性をもつ材料からなる。例えば、基材層31として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムを用いることができる。
好ましくは、基材層31は、二軸延伸処理される。これにより、基材層31をなす分子が、延伸処理によって延伸方向に並び、基材層31が優れた寸法安定性を発揮するようになる。また、二軸延伸処理によって、基材層31に易開封性を付与することができる。
このような基材層31の厚みは、例えば10〜50μmに形成される。この場合、パウチ1に要求される耐熱性を満たしつつ、製品コストを抑えることができる。なお、本実施の形態の基材層31は、積層フィルム30のうち、製袋してパウチ1とするときの最も容器外方となる層としても機能する。
また、図2に示すように、本実施の形態では、基材層31の容器内方側となる面に、絵柄を含む絵柄層32が積層されている。ここで、絵柄とは、基材層31に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。とりわけ、食品を内包することが意図されたパウチ1に用いられる積層フィルム30では、絵柄として、内容物の図や、内容物の商品名、賞味期限、製造日、製造番号等の情報を示す文字が用いられる。もっとも、絵柄層32は、商品の仕様に応じて基材層31に積層されるものであり、基材層31に絵柄層32が設けられなくてもよい。
本実施の形態では、絵柄層32は、容器外方側となる基材層31の外面ではなく、基材層31の内面に施される。この場合、絵柄層32は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、絵柄の改ざんも効果的に防止することができる。また、製袋してパウチ1としたときに、基材層31の内面に積層された絵柄層32を基材層31を介して視認し得るよう、基材層31は透明性を有していることが好ましい。
シーラント層34は、上述したように、2つの積層フィルム30同士を重ね合わせて対向する縁部近傍をヒートシールすることで、当該縁部を貼り合わせて密封するために設けられている。また、本実施の形態では、シーラント層34は、積層フィルム30のうち、製袋してパウチ1とするときの最も容器内方となる側に配置される。
このようなシーラント層34としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなる耐熱性のあるフィルム及びイージーピールフィルムなどが採用できる。更に、これらの材料からなるフィルムによって単層としてシーラント層34が構成されてもよいし、あるいは、複数の前記材料からなるフィルムによって多層としてシーラント層34が構成されてもよい。
とりわけ、電子レンジ用のパウチなど耐熱性が要求されるパウチ1に積層フィルム30を適用する場合には、シーラント層34は、主として無延伸ポリプロピレン(CPP)を含む無延伸ポリプロピレン層(CPP層)、または、主として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む直鎖状低密度ポリエチレン層(LLDPE層)を有することが好ましい。
シーラント層34の厚みは、40μm以上200μm以下の範囲にあるのが好ましい。この場合、パウチ1の流通過程において生じ得る落下に対する耐衝撃強度に優れると共に、内容物の充填し易さ、内容物の詰替え易さといった取扱性にも優れる。
一方、基材層31とシーラント層34との間に積層された中間層33は、電子レンジ用のパウチに要求される種々の機能を補なうために設けられている。上記の通り、パウチ1は、食品を内容物として内包することに適したパウチである。このため、内容物の酸化等の変質を防止しながら内容物を保存することができるように、中間層33は、水蒸気の透過を防止する蒸気バリア性及び酸素ガス等のガスの透過を防止するガスバリア性を有していてもよい。また、スタンディングパウチ形式のパウチ1は、売り場の商品棚に自立した状態で陳列される。パウチ1が商品棚から落下した際の衝撃等にも十分に耐え得るよう、中間層33は、耐屈曲性及び耐衝撃性を有していてもよい。また、中間層33は、消費者の購買意欲を高めるために、パウチ1の内容物が見えないように隠蔽性を十分に高める機能を有していてもよい。
このような機能をもつ中間層33として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムを用いることができる。また、これら基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用してもよい。
図2に示すように、本実施の形態では、基材層31と中間層33との間、及び、中間層33とシーラント層34との間に接合層35が介在されている。この接合層35としては、例えばそれ自体既知のドライラミネート法にて一般に用いられる接着剤を用いることができ、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いることができる。
(シール部)
このような積層フィルム30からなる一対の主面シート11及び底面シート21の周縁近傍をヒートシールすることによってシール部50が形成される。図1に示す方向からみたときに、シール部50は、収容空間2の周りを取り囲み、当該収容空間2を密閉している。その上、シール部50は、当該シール部50によって密閉された収容空間2から、パウチ1の上側寄りに位置する第1未シール部60及び第2未シール部70を隔離している。図1に示す例では、第1未シール部60及び第2未シール部70は、重ねられた積層フィルム30がヒートシールされていない部分であり、収容空間2を挟んで互いに対面した位置に位置している。
第1未シール部60は、電子レンジによる加熱に伴って発生する蒸気によってパウチ1内の圧力が高まった際に、収容空間2と連通してパウチ1内の蒸気を外部へ逃がすために設けられている。第1未シール部60は、主面シート11の側縁13に達して開口している。すなわち、第1未シール部60は、主面シート11の側縁13に開口61を形成している。とりわけ、図1に示す第1未シール部60は、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に張り出している。
第2未シール部70は、後述するように、パウチ1を製造する際に、第1未シール部60が主面シート11の側縁13に開口61を形成するのを補償すべく設けられている。すなわち、第2未シール部70は、パウチ1の製造効率を高めるために設けられたものである。第2未シール部70は、主面シート11の側縁13に達して開口している。すなわち、第2未シール部70は、主面シート11の側縁13に開口71を形成している。なお、第2未シール部70は、必ずしも設けられていなくてもよい。
さて、シール部50についてさらに説明していく。図1に示すように、シール部50の外縁50aは、主面シート11の縁部12〜14、第1未シール部60の縁部または第2未シール部70の縁部に沿って、周状に延びている。一方、シール部50の内縁50bは、外縁50aに対して間隔を空けながら、周状に延びている。
本実施の形態のシール部50は、横方向d1に対向して位置する第1側部シール部51及び第2側部シール部52と、横方向d1に直交する上下方向d2に対向して位置する上部シール部(図1において二点鎖線で囲まれた領域)53及び下部シール部54と、を含んでいる。各側部シール部51、52は、一対の主面シート11の側縁13近傍をヒートシールしてなり、上部シール部53は、一対の主面シート11の上縁12近傍をヒートシールしてなり、下部シール部54は、底面シート21の周縁近傍と主面シート11の下縁14近傍とをヒートシールしてなる。上述の第1未シール部60及び第2未シール部70は、対応する側の側部シール部51、52によって、それぞれ、収容空間2から隔離されている。
図3に、第1未シール部60付近の第1側部シール部51を拡大して示す。図3に示すように、第1側部シール部51は、第1未シール部60を挟んで両側に位置する上側シール部分56及び下側シール部分57と、第1未シール部60の少なくとも一部を取り囲むようにして上側シール部分56及び下側シール部分57とに接続され、且つ、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2に向けて張り出した張出部分55と、を含んでいる。このうち、上側シール部分56は、第1未シール部60の周りから上下方向d2に沿って延びて上部シール部53に接続している。一方、下側シール部分57は、第1未シール部60の周りから上下方向d2に沿って延びて下部シール部54に接続している。
図3に示すように、張出部分55は、上側シール部分56から横方向d1に沿って延び出した上張出領域55cと、下側シール部分57から横方向d1に沿って延び出した下張出領域55dと、上張出領域55cと下張出領域55dとの間に介在する中張出領域55eと、を含んでいる。図3に示す例では、中張出領域55eは、第1未シール部60と収容空間2との間となる位置で上下方向d2に沿って延びている。そして、中張出領域55eは、上張出領域55cと上角領域55fを介して接続され、下張出領域55dと下角領域55gを介して接続されている。
上角領域55fは、下側シール部分57よりも上側シール部分56に近接した位置で、収容空間2側に向かって突出しており、下角領域55gは、上側シール部分56よりも下側シール部分57に近接した位置で、収容空間2側に向かって突出している。収容空間2側に向かって張り出した張出部分55の下角領域55gは、電子レンジ内で温めたときに張出部分55からの剥離を安定して開始させる機能する。図3に示す例では、上角領域55f及び下角領域55gは、平面視において、中心角が90°の扇形の形状をもつ。なお、平面視とは、横方向d1及び上下方向d2の両方に直交する方向からパウチ1をみることをいう。
また、本実施の形態では、張出部分55の中張出領域55eは、上側シール部分56との間に段差S1を形成している。したがって、張出部分55の内縁55bは、上側シール部分56の内縁56bよりも収容空間2側に位置している。また、張出部分55の中張出領域55eは、下側シール部分57との間に段差S2を形成している。図3に示す例では、中張出領域55eの内縁55bが下側シール部分57の内縁57bに対して形成した段差S2の大きさは、3mm以上になっている。
とりわけ、上側シール部分56に、開封の際の起点となり得る第1ノッチ7aが形成されている。すなわち、第1ノッチ7aが設けられた位置は、収容空間2に収容された内容物を取り出すべく胴部10を開封するときの開封予定位置CP1となる。図3に示す第1ノッチ7aは、胴部10をなす主面シート11を貫通している。第1ノッチ7aは、上側シール部分56に形成された切れ目であってもよいし、所定の巾をもつ切欠きであってもよい。上側シール部分56に第1ノッチ7aが形成されていることにより、第1ノッチ7aから胴部10を容易に開封し始めることができる。
図4に、第2未シール部70付近の第2側部シール部52を拡大して示す。図4に示すように、第2側部シール部52は、相対的に上縁12寄りに位置する第2上側シール部分58と、相対的に下縁14寄りに位置する第2下側シール部分59と、を含んでいる。第2上側シール部分58の内縁58bは、第2下側シール部分59の内縁59bよりも収容空間2側に位置する。このため、第2上側シール部分58の内縁58bと第2下側シール部分59の内縁59bとの間で、段差S3が形成されている。図4に示す例では、この段差S3は、第2未シール部70付近に位置している。
とりわけ、第2上側シール部分58に、開封の際の起点となり得る第2ノッチ7bが形成されている。すなわち、第2ノッチ7bが設けられた位置は、収容空間2に収容された内容物を取り出すべく胴部10を開封するときの別の開封予定位置CP2となる。図4に示す第2ノッチ7bは、胴部10をなす主面シート11を貫通している。第2ノッチ7bは、第2上側シール部分58に形成された切れ目であってもよいし、所定の巾をもつ切欠きであってもよい。第2上側シール部分58に第2ノッチ7bが形成されていることにより、第2ノッチ7bからも胴部10を容易に開封し始めることができる。
なお、開封予定位置CP1、CP2には、ノッチ7a、7bに限られずそれ自体既知の種々の易開封手段を設けることができる。他の易開封手段の例として、上側シール部分56または第2上側シール部分58に複数の微細な小孔を設ける例が挙げられる。上側シール部分56または第2上側シール部分58に複数の微細な小孔を設けることで、易開封性を付与することができる。
さて、上述のように、主面シート11及び底面シート21は、同一の積層フィルム30から構成されている。従って、同一のヒートシール条件下で、重ねられた積層フィルム30の周縁近傍をヒートシールした場合、シール部50内の任意の一地点における接合力は、他の一地点の接合力と等しくなる。このため、加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まったときのシール部50の剥離のし易さは、シール部50の位置や形状等に起因して誘引される応力集中に大きく依存する。
この点、本実施の形態では、電子レンジによる加熱時に張出部分55から一対の主面シート11の剥離が進行して収容空間2と第1未シール部60とを連通させることが意図されている。そして、張出部分55から一対の主面シート11を剥離し易くするために、張出部分55は、第1側部シール部51の他の部分56、57よりも収容空間2側に張り出し、且つ、下角領域55gを含んでいる。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、張出部分55からの一対の主面シート11の剥離の進行をより安定して実現するためには、図5において、第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲の長さであるa1が第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲の長さであるa2よりも短いことを示す関係が満たされていることが好ましいことが知見された。図5は、シール部50の剥離の起点を説明するための図であり、パウチ1を平面図として示している。なお、第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲の長さであるa1、および、第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲の長さであるa2については、後述にて詳細に説明する。
図5に示すように、加熱に伴って膨らんでいく収容空間2は、パウチ1の中央付近に位置する中心Oから拡がっていくとみなすことができる。したがって、加熱に伴いシール部50の各位置には、中心Oから当該各位置に向かう方向の負荷を強く受ける。すなわち、加熱に伴いシール部50に掛かる圧力は、中心Oとの位置関係に強く依存する。先ず、この基準地点Oを特定する方法について説明する。
前提として、上述のように、収容空間2は、一対の主面シート11と底面シート21とによって囲まれる空間内に規定されている。このため、収容空間2の外縁は、一対の主面シート11及び底面シート21の収容空間2側の表面との境界に画定されることになる。したがって、平面視において、収容空間2の外縁は、一対の主面シート11を接合した上部シール部53との境界に規定される上縁2aと、一対の主面シート11を接合した側部シール部51、52との境界に規定される側縁2bと、一方の主面シート11と底面シート21とを接合した上部シール部53との境界に規定される下縁2cと、によって規定されている。とりわけ、収容空間2の上縁2aの中央となる地点を上中点Y1とし、収容空間2の下縁2cの中央となる地点を下中点Y2とする。すなわち、上中点Y1とは、収容空間2の上縁2aの両端部2a1、2a2の中央となる位置であり、下中点Y2とは、収容空間2の下縁2cの両端部2c1、2c2の中央となる位置である。
先ず、平面視において、上中点Y1と下中点Y2との中央となる位置に中心をもつ仮想円Cを描く。この仮想円Cの中心が上述の中心Oである。
次に、仮想円Cの中心Oから第1未シール部60まで最短距離となる第1仮想直線IL1を引き、当該第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲の長さをa1とする。また、仮想円Cの中心Oから第2未シール部70まで最短距離となる第2仮想直線IL2を引き、当該第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲の長さをa2とする。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、a1<a2の関係を満たす場合に、張出部分55から一対の主面シート11の剥離がより安定して進行することが知見された。
なお、a1<a2の関係を満たす場合に、張出部分55から一対の主面シート11の剥離がより安定して進行する要因として、以下のことが推定される。ただし本発明は、以下の推定に限定されるものではない。
上述のように、加熱に伴いシール部50の各位置には、中心Oから当該各位置に向かう方向の負荷を強く受ける。このため、中心Oから第1未シール部60に引いた最短直線となる第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲においては、第1未シール部60に向かう方向の負荷を強く受ける。同様に、中心Oから第2未シール部70に引いた最短直線となる第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲においては、第2未シール部70に向かう方向の負荷を強く受ける。したがって、張出部分55と第1仮想直線IL1との重なる範囲の長さa1が、第2側部シール部52と第2仮想直線IL2との重なる範囲の長さa2よりも短い場合、張出部分55の方が負荷に耐えるだけのシール代が少ない。このため、張出部分55の方が第2側部シール部52よりも蒸気圧の負荷に対する耐性に劣り、収容空間2と第2未シール部70が連通するよりも先に収容空間2と第1未シール部60が連通するため、安定して張出部分55から蒸気抜けさせることができると考えられる。また、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることもできると考えられる。言い換えると、張出部分55以外のシール部50からシール後退が進行することを抑制しやすくすることもできると考えられる。
とりわけ、図5に示す例では、第1仮想直線IL1は、下角領域55gにおいて張出部分55と重なっている。
また、第1仮想直線IL1に沿った方向における中心Oから張出部分55までの最短距離b1は、第2仮想直線IL2に沿った方向における中心Oから第2側部シール部52までの最短距離b2よりも短くすることが好ましい。この場合、張出部分55に効率的に負荷を加えることができ、収容空間2と第2未シール部70が連通するよりも先に収容空間2と第1未シール部60が連通するため、安定して張出部分55から蒸気抜けさせることができると考えられる。また、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることもできると考えられる。
次に、各部の寸法及び大きさの関係について図6を参照して説明する。図6は、図1に示すパウチ1の各構成要素の寸法を示す平面図である。
図6に示すように、上側シール部分56の巾W1は、下側シール部分57の巾W2よりも広くなっている。なお、本明細書において、シール部50の巾とは、内縁50b上の各位置Xにおいて、当該位置Xにおけるシール部50の延びる方向に直交する方向の長さWをいう。一例として、上側シール部分56の巾W1とは、上側シール部分56の内縁上の各位置において、当該位置における上側シール部分56の延びる方向に直交する方向の長さである。上側シール部分56の内縁上の各位置において、当該位置における上側シール部分56の延びる方向に直交する方向の長さが一定ではない場合には、上側シール部分56の巾W1として、上側シール部分56の内縁上の各位置において、当該位置における上側シール部分56の延びる方向に直交する方向の長さのうち最も大きい値を採用する。
また、張出部分55の巾W3は、上側シール部分56の巾W1及び下側シール部分57の巾W2よりも狭くなっている。その上、張出部分55の巾W3は、第2未シール部70と収容空間2との間に位置する第2側部シール部52の部分の巾W6よりも狭い。一例として、上側シール部分56の巾W1は、例えば8〜15mmに設定され、下側シール部分57の巾W2は、例えば5〜8mmに設定され、張出部分55の巾W3は、例えば2.5〜5mmに設定される。
また、上下方向d2において、上側シール部分56の長さL1は、下側シール部分57の長さL2よりも短くなっている。その一方で、張出部分55の長さL3は、上側シール部分56の長さL1及び下側シール部分57の長さL2よりも短くなっている。
また、第1未シール部60の横方向d1における長さL4は、第2未シール部70の横方向d1における長さL5よりも長い。その一方で、第1未シール部60の上下方向d2における長さL6は、第2未シール部70の上下方向d2における長さL7と等しい。一例として、第1未シール部60の横方向d1における長さL4は3〜15mmに設定され、第2未シール部70の横方向d1の長さL5は、例えば1〜3mmに設定され、第1未シール部60の上下方向d2における長さL6及び第2未シール部70の上下方向d2における長さL7は、例えば4〜15mmに設定される。
また、第2上側シール部分58の巾W4は、第2下側シール部分59の巾W5よりも広くなっている。一例として、第2上側シール部分58の巾W4は、例えば8〜15mmに設定され、第2下側シール部分59の巾W5は、例えば5〜8mmに設定される。
さらに、段差S2の大きさは、例えば3〜15mm、好ましくは7〜12mmに設定される。より詳細には、張出部分55の最も収容空間2側に位置する部分z1と、下側シール部分57の最も収容空間2側に位置する部分z2と、の間の横方向d1の距離S2が、3m以上15mm以下になっている。
ただし、パウチ1を構成する各構成要素の寸法乃至大小関係は、一例であって、仕様に応じて適宜変更可能である。
なお、図1に示すパウチ1は、上下方向d2に長手方向をもち、横方向d1に短手方向をもつパウチである。ただし、市場で普及されている程度の大きさのパウチであれば、横方向d1に長手方向をもち、上下方向d2に短手方向をもってもよい。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
パウチ1を電子レンジ内に設置して温めると、電子レンジから照射される高周波によって内容物に含まれる水分を温め、内容物が加熱されていく。加熱に伴って内容物に含まれる水分が蒸発しパウチ内の圧力が高まっていく。本実施の形態では、張出部分55は、第1側部シール部51の他の部分56、57よりも収容空間2側に張り出し、且つ、下角領域55gを含んでいる。このため、パウチ内の圧力が高まると、張出部分55から一対の主面シート11の剥離が開始される。張出部分55の剥離が進行し、収容空間2と第1未シール部60とが繋がると、パウチ1内の蒸気を第1未シール部60から外部へ逃がすことができる。
電子レンジ内での加熱を終えると、胴部10のうちのシール部50が形成された部分以外の部分など蒸気に触れた部分は熱くなっている。一方、シール部50は、熱くなり難い。とりわけ、本実施の形態によれば、上側シール部分56の巾W1は、下側シール部分57の巾W2よりも広くなっている。従って、上側シール部分56は、下側シール部分57よりも熱くなっていない部分が広い。このため、上側シール部分56を指で摘まんでも、下側シール部分57を指で摘まむよりは熱さを感じ難い。そこで、第1開封予定位置CP1よりも上側の位置で上側シール部分56を指で摘まんで、当該上側シール部分56に設けられた第1ノッチ7aから胴部10を開封する。これにより、過度な熱さを感じることを抑制しながら、収容空間2に収容された内容物を取り出すことができる。
次に、図1に示すパウチ1の製造方法について図7を参照して説明する。図7は、図1に示すパウチ1の製造方法を説明するための平面図である。
図7に示すように、先ず、胴部10をなすようになる胴材シート110と底部20をなすようになる底材シート120を所定の位置に配置して、これらのシート110、120のうち製袋される複数のパウチ1の各々のシール部50となるべき領域(上部シール部53を除く)をヒートシールする。このとき、胴材シート110のうちのヒートシールされなかった領域は、各パウチ1の収容空間2となるべき領域111と第1未シール部60となるべき領域112とに、ヒートシールされた領域113によって区画される。その後、各パウチ1の形状に合わせてヒートシールされた領域113を裁断することによって、複数のパウチ1を作製する。得られたパウチ1の一対の主面シート11の上縁12間に形成された開口4からから内容物を充填し、開口4が設けられた上縁12近傍をヒートシールすることにより、パウチ1を密閉する。
この製造方法において、ヒートシールされない第1未シール部60となるべき領域112が第1未シール部60の寸法と等しく形成されている場合、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまうと、ヒートシールされた領域113によって第1未シール部60の開口61を閉じてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、第1未シール部60となるべき領域112の横方向d1における長さを第1未シール部60の横方向d1における長さよりも大きくしている。このため、各パウチ1の形状に合わせて裁断すると、一のパウチ1の第1未シール部60となるべき領域112の一部が、隣接するパウチ1の第2未シール部70を画定する。すなわち、各パウチ1に第2未シール部70が設けられていることにより、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、パウチ1の第1未シール部60の開口61が塞がれてしまうことを防止し、且つ、パウチ1を連続して製造することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、重ねられた積層フィルム30をヒートシールした側部シール部51と、側部シール部51によって収容空間2から隔離され、当該パウチ1の上側寄りに位置する未シール部60と、を有し、未シール部60は、重ねられた積層フィルム30の側縁13に達して開口61を形成しており、側部シール部51は、第1未シール部60を挟んで両側に位置する上側シール部分56及び下側シール部分57と、未シール部60の少なくとも一部を取り囲むようにして上側シール部分56と下側シール部分57とに接続され、且つ、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に向けて張り出した張出部分55と、を有し、張出部分55は、上側シール部分56よりも下側シール部分57に近接した位置に、収容空間2側に向かって突出した角領域55gを含み、下側シール部分57の巾W2は、上側シール部分56の巾W1よりも狭い。
このような形態によれば、下側シール部分57の巾W2が上側シール部分56の巾W1よりも狭くなっているため、電子レンジ内での加熱を終えた後、上側シール部分56は、下側シール部分57よりも熱くなっていない部分が広い。ゆえに、上側シール部分56を指で摘まんでパウチを開封するときに、過度な熱さを感じることを抑制することができる。また、下側シール部分57の巾W2が上側シール部分56の巾W1よりも狭くなっていることから、下側シール部分57の巾W2と上側シール部分56の巾W1とが等しい場合に比べて、収容空間2を広く確保することができる。
また、張出部分55が上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に向けて張り出していることから、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まった際に、張出部分55に応力が集中的に負荷し易くなる。このため、張出部分55から安定して剥離を開始して、パウチ1内の蒸気を第1未シール部60から確実に逃がすことができる。また、張出部分55から剥離が進行し易いことから、その反面、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制することができる。
その上、電子レンジでの加熱後において、パウチ1の収容空間2の周りとなる部分は高温となり手で取り扱い難い状態となる。このため、加熱後のパウチ1を電子レンジから取り出して持ち運ぶときに、取り扱い難さからパウチ1を意図せず傾けてしまう場合も想定される。この点、本実施の形態によれば、主面シート11の側縁13から延び出した第1未シール部60が、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に張り出している。つまり、本実施の形態によるパウチ1によれば、電子レンジ内の加熱後、第1未シール部60の開口61から内容物がパウチ1の外部に漏れ出すことを抑制することができる
また、特許文献1に記載のパウチのように蒸気抜き孔を形成する必要がないため、蒸気抜き孔を形成することに伴い生じ得る検査や抜きカスの回収の問題も生じ得ない。以上のことから、本実施の形態のパウチ1によれば、内容物を効率よく充填することができることに加えて、効率よく製造することも可能となる。
また、本実施の形態によれば、張出部分55の巾W3は、下側シール部分57の巾W2よりも狭い。この場合、張出部分55を下側シール部分57よりも剥離させ易くすることに寄与する。この結果、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、張出部分55の最も収容空間2側に位置する部分z1と、下側シール部分57の最も収容空間2側に位置する部分z2と、の間の横方向d1の距離S2が、3m以上15mm以下になっている。この場合、パウチ1内の圧力が高まると、開口61から収容空間2側に張り出した張出部分55に、応力が集中的に負荷し易くなる。これにより、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、上側シール部分56の巾W1が8mm以上15mm以下である。上側シール部分56の巾W1が8mm以上である場合、電子レンジ内での加熱を終えた後、過度な熱さを感じることなく上側シール部分56を指で摘まむことができる。一方、上側シール部分56の巾W1が15mm以下である場合、限られた大きさの積層フィルム30を用いて、内容物を収容する収容空間2を広く確保することができる。
また、本実施の形態によれば、張出部分55は、下側シール部分57よりも上側シール部分56に近接した位置に、収容空間2側に向かって突出した更なる上角領域55fを含んでいる。この場合、張出部分55と上側シール部分56との間に段差S1が形成されることから、張出部分55が収容空間2と広い範囲で隣接し易くなる。このため、張出部分55の剥離する面積を大きくすることができ、パウチ1内の圧力があまり高くならない状態で蒸気抜けさせることができるため、安全性に優れる。
また、本実施の形態によれば、第1仮想直線IL1は、下角領域55gにおいて張出部分55と重なる。このような形態によれば、仮想円Cの中心Oから離れるにつれて、第1仮想直線IL1が延びる方向における張出部分55の幅が徐々に大きくなるため、張出部分55を剥離しやすくすることができ、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、第1側部シール部51に横方向d1に対向して位置する第2側部シール部52と、第2側部シール部52によって収容空間2から隔離され、重ねられた積層フィルム30の縁部に開口71を形成した第2未シール部70と、を備え、第1未シール部60と第2未シール部70とは、収容空間2を挟んで横方向d1に対面して位置している。この場合、パウチ1の製造過程において、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、他のパウチ1の第1未シール部60の開口61が塞がれてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、平面視において、第1未シール部60の上下方向d2における長さL6は、第2未シール部70の上下方向d2における長さL7と等しい。この場合、製造過程において、隣り合う一方のパウチ1の第1未シール部60と他方のパウチ1の第2未シール部70とが繋がった状態で、隣り合うパウチ1を裁断する際に、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、一方のパウチ1の第1未シール部60及び他方のパウチ1の第2未シール部70の所望の形状を維持することができる。このため、パウチ1の製造誤差の許容性を高めることができ、結果として、パウチ1を効率よく製造することに寄与する。
ここで、張出部分55からの剥離をより確実に進行させる観点から、張出部分55での一対の主面シート11内のシール強さは、100℃で50N/15mm以下であることが好ましい。この場合、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まった際に、パウチ1が破袋するおそれを低減することができる。本実施の形態の張出部分55での一対の主面シート11内のシール強さは、100℃で35N/15mm以下になっている。この場合、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まった際に、張出部分55から剥離を確実に開始して、パウチ1内の蒸気を第1未シール部60から確実に逃がすことができる。好ましくは、張出部分55での一対の主面シート11内のシール強さは、100℃で30N/15mm以下になっている。なお、ここでいうシール強さとは、JISZ0238に準拠して計測されたシール強さの値(N/15mm)をいう。なお、試料片の巾を15mm確保することができない場合には、15mmよりも小さい巾の試料片を採取してシール強さの計測を行い、得られた値に(15mm/試料片の巾mm)を掛けた値を、シール強さの値(N/15mm)として採用する。
次に第1未シール部60の形状について詳述する。図3に示すように、第1未シール部60の縁部62は、開口61の周りから収容空間2側に延び出た第1縁部63及び第2縁部64と、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端との間を延びる第3縁部65と、を含んでいる。図示する例では、主面シート11の上縁12側に第1縁部63が配置されており、主面シート11の下縁14側に第2縁部64が配置されている。
図3に示すように、第1未シール部60の第1縁部63及び第2縁部64は、横方向d1に直線状に延び出している。加えて、第1縁部63の長さは、第2縁部64の長さと等しい。従って、第3縁部65が、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端との間を直線状に延びる場合、第3縁部65は、上下方向d2に平行に延び、第1縁部63及び第2縁部64と直交する。この場合、第1未シール部60の縁部62は、略コの字状の形状に沿って延びるようになる。本実施の形態では、第3縁部65の長さつまり第1未シール部60の上下方向d2における長さL6は、第1縁部63の長さ及び第2縁部64の長さよりも短い。
ところで、第1未シール部60の縁部62を、略V字状の形状に沿って延びるように形成することも考えられる。言い換えると、第1未シール部60の縁部62が、開口61の周りから収容空間2側に延び出た第1縁部63及び第2縁部64のみからなり、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端とを重ねた形態も考えられる。図8にこのような例が示されている。
なお、第1未シール部60の形状は、図3や図8に示す例に限定されない。図9及び図10に、第1未シール部60の形状の他の例を示す。このうち、図9に示す例では、平面視において、第1未シール部60は、台形状の形状をもつ。具体的には、横方向d1に直線状に延び出した第1縁部63の長さが、横方向d1に直線状に延び出した第2縁部64の長さよりも短い。従って、第3縁部65は、第1縁部63と繋がった端部が第2縁部64と繋がった端部よりも横方向d1において収容空間2から離間する側に位置するように、傾斜している。
図10に示す例では、平面視において、第1未シール部60は、平行四辺形状の形状をもつ。具体的には、第1縁部63及び第2縁部64は、開口61から横方向d1に対して下方に傾斜して直線状に延び出している。第1縁部63の長さは、第2縁部64の長さと等しい。従って、第3縁部65は、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端との間を上下方向d2に平行に延びている。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態における第1側部シール部51の形態は、一例であって、様々な変更を加えることが可能である。図11乃至図13に、第1側部シール部51の形態の他の例を示す。このうち、図11に示す例では、上側シール部分56が、張出部分55に接近するにつれて巾W1が狭くなっている。図12に示す例では、張出部分55が、上側シール部分56から横方向d1に対して下方に傾斜して延び出した上張出領域55cと、下側シール部分57から横方向d1に沿って延び出した下張出領域55dと、を含み、上張出領域55cは、下張出領域55dと下角領域55gを介して接続されている。下角領域55gは、上側シール部分56よりも下側シール部分57に近接した位置で、収容空間2に向かって突出している。
また、上述した実施の形態では、図1に示すように、パウチ1が、胴部10と底部20とをヒートシールして形成されるスタンディング形式のパウチからなる例を示したが、パウチの形態は、このような例に限定されない。パウチは、平パウチであってもよいし、三方シール形式、ピロー形式、あるいは、ガセット形式のパウチであってもよい。図13乃至図15に、パウチ1の他の形態の一例を示す。
このうち、図13に示す例では、いわゆる四方シール平パウチ1である。図13に示す四方シール平パウチ1は、一対の主面シート11のみから製袋され、底面シート21を用いていない。したがって、下部シール部54は、一対の主面シート11の下縁14をヒートシールすることによって形成されている。
一方、図14及び図15に示す例では、いわゆる三方シール平パウチ1である。図14及び図15に示す三方平パウチ1は、単一の主面シート11を折り返して、重なり合う縁部同士をヒートシールすることによって製袋される。このうち、図14に示す例では、パウチ1の下端が、単一の主面シート11を折り返した折り目として形成され、下部シール部54は形成されない。一方、図15に示す例では、パウチ1の側端が、単一の主面シート11を折り返した折り目として形成され、第2側部シール部52は形成されない。なお、図14に示す例において下部シール部54を形成してもよいし、図15に示す例において第2側部シール部52を形成してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下に説明するようにして、実施例1〜3及び比較例1〜4に係るパウチを作製し、蒸気抜き機能、開封特性及び内容量について評価した。
(実施例)
実施例1〜3は、図1に示すスタンディング形式のパウチに対応している。
胴部をなすようになる胴材シートと底部をなすようになる底材シートを所定の位置に配置して、これらのシートのうち製袋される各パウチのシール部となるべき領域(上部シール部となるべき領域を除く)をヒートシールした。このとき、胴材シートのうちのヒートシールされなかった領域は、各パウチの収容空間となるべき領域と第1未シール部となるべき領域とに、ヒートシールされた領域によって区画された。その後、各パウチの形状に合わせてヒートシールされた部分を裁断することによって、複数のパウチを作製した。作製したパウチに内容物として100グラムの水を充填した後、重ねられた主面シートの上縁近傍をヒートシールしてパウチを密閉した。このようにして、実施例1〜3に係るパウチをそれぞれ作製した。
作製された実施例1〜3に係るパウチの各部の寸法は、図16に示す通りとした。また、実施例1〜3に係るパウチの各々について、図16に示すW1、W2、W7、W8及びS2の値は、表1に示す通りとした。なお、各部の寸法はmm単位である。
(比較例)
比較例1〜4に係るパウチは、実施例1〜3に係るパウチに対して、W1、W2、W7、W8及びS2の寸法の少なくともいずれかを変更した形態に対応している。したがって、比較例1〜4に係るパウチは、実施例1〜3に係るパウチと同一の材料を用いて、実施例1〜3に係るパウチと同一の製造方法にて作製された。比較例1〜4に係るパウチの各々について、図16に示すW1、W2、W7、W8、a1、a2及びS2の値は、表1に示す通りとした。なお、比較例3に係るパウチは、W1を16mm、W2を6mm、S2を10mmとしているため、上側シール部分の内縁と張出部分の内縁とは同一直線状に位置する。
(評価結果)
上記で得られた実施例1〜3及び比較例1〜4に係るパウチについて、蒸気抜き機能、使用性、内容量及び充填適性を評価した評価結果を表1に示す。このうち、蒸気抜き機能の評価は、密閉した各パウチを電子レンジに入れて600Wで2分間温め、加熱中に第1未シール部から蒸気が抜け出したかを目視にて確認し、加熱後シール部の剥離の発生の有無について検査することにより行った。表1の蒸気抜き機能の評価結果の欄において、加熱中に第1未シール部から蒸気の抜け出しを確認でき、且つ、加熱後シール部のうち張出部分のみが剥離し当該張出部分以外の領域で剥離の発生が確認されなかった場合を○とした。一方、加熱中に第1未シール部から蒸気の抜け出しが確認できなかった場合、または、加熱後シール部のうち張出部分以外の領域から剥離の進行が確認された場合を×とした。
(使用性)
使用性の評価は、蒸気抜き機能の評価にて行った電子レンジでの温めが終わった直後に、上側シール部分を指で摘まむことにより行った。表1の開封特性の評価結果の欄において、上側シール部分を指で摘まんだときに、過度の熱さを感じることなくパウチを素早く開封することができた場合に○とした。一方、上側シール部分を指で摘まんだときに、過度の熱さを感じてしまいパウチを素早く開封することができなかった場合に×とした。
(内容量)
内容量の評価は、内容物を収容する収容空間の大きさを比較することにより行った。表1の内容量の評価結果の欄において、市場で流通している電子レンジ用のパウチと比較して収容空間の大きさが同等程度であると判断された場合に○とした。一方、市場で流通している電子レンジ用のパウチと比較して収容空間の大きさが小さく市場での競争力に欠くと判断された場合に×とした。
(充填適性)
充填適性の評価は、主面シートの上縁近傍をヒートシールする前に、内容物として100グラムの水をパウチに充填する際の適性を評価することにより行った。表1の充填適性の評価結果の欄において、比較例3に係るパウチよりも充填適性に優れる場合に○とした。
実施例1〜3に係るパウチにおいては、電子レンジで温めている間に第1未シール部から蒸気が抜け出した。加熱後、シール部の剥離の発生の有無について検査したところ、シール部のうち張出部分のみが剥離し当該張出部分以外の領域で剥離の発生は確認されなかった。また、電子レンジでの温めが終わった直後に上側シール部分を指で摘まんでも、過度の熱さを感じることなくパウチを素早く開封することができた。さらに、内容物の充填適性にも優れるものであった。したがって、実施例1〜3に係るパウチは、蒸気抜き機能を備え、内容物の充填適性に優れ、電子レンジでの温め後であっても素早く開封可能である。
比較例1に係るパウチにおいては、電子レンジでの温めが終わった直後に上側シール部分を指で摘まむと、過度の熱さを感じてしまいパウチを素早く開封することができなかった。このため、比較例1に係るパウチは、電子レンジ用のパウチとしての用途に適さないため、開封特性の評価としては、×となった。
比較例2に係るパウチにおいては、市場で流通している電子レンジ用のパウチと比較して収容空間の大きさが小さく市場での競争力に欠くと判断された。このため、比較例2に係るパウチは、市場で競争力のある価格で提供し得ないため、内容量の評価としては、×となった。
比較例3に係るパウチにおいては、内容物の充填適性の点において、実施例1〜3に係るパウチよりも大幅に劣っていた。このため、比較例3に係るパウチは、内容物の充填適性の評価としては、×となった。
比較例4に係るパウチにおいては、加熱後、シール領域の剥離の発生の有無について検査したところ、第1側部シール部のうちの下側シール部分から剥離の進行が確認された。このため、比較例4に係るパウチは、電子レンジ用のパウチとしての用途に適さないため、蒸気抜き機能の評価としては、×となった。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。図1は、本発明の一実施の形態によるパウチ1の一例を示す平面図である。
図1に示すパウチ1は、胴部10と底部20とをヒートシールして形成されるスタンディング形式のパウチである。図1に示すように、胴部10は、互いに対向して配置された表主面シート11aと裏主面シート11bとからなる一対の主面シート11を含んでおり、重ね合せられた一対の主面シート11の側縁13近傍が互いにヒートシールされている。一対の主面シート11の下縁14間に、底部20をなす底面シート21が配置されている。そして、一対の主面シート11と底面シート21とによって囲まれる空間内に、内容物を収容する収容空間2が区画されている。底面シート21は、収容空間2側に向かって凸となるように曲げられ、その周縁近傍を、重なり合う主面シート11の下部とともにヒートシールされている。底面シート21が一対の主面シート11の下端の形状を保持することによって、パウチ1に自立性を付与している。
また、図1に示すように、パウチ1では、一対の主面シート11の上縁12間に開口4が形成され、当該開口4から内容物が充填されるようになっている。とりわけ、本実施の形態のパウチ1は、以下に説明するように、開口4を広く確保する工夫がなされており、開口4から効率よく内容物を充填することができるようになっている。内容物が充填された後、開口4が設けられた上縁12近傍をヒートシールすることにより密閉して、パウチ1が得られる。
(積層フィルム)
先ず、胴部10をなす一対の主面シート11及び底部20をなす底面シート21を構成するフィルムについて説明する。本実施の形態では、一対の主面シート11及び底面シート21は、積層フィルム30からなる。図2に、積層フィルム30の層構成を示す。上述のように、パウチ1は、一対の主面シート11及び底面シート21をなす積層フィルム30をヒートシールすることによって製袋される。このため、積層フィルム30には、容器内方側となる部分にシール性を有するシーラント層34が設けられている。また、電子レンジ用のパウチ1では、印刷基材となる基材層31が、シーラント層34よりも容器外方側となる部分に設けられている。さらに、積層フィルム30は、電子レンジ用のパウチに要求される種々の機能を付与すべく、中間層33を含んでいる。したがって、このような層構成を持つ積層フィルム30は、製袋してパウチ1とするときの容器外方となる側から容器内方となる側に向けて基材層31と中間層33とシーラント層34とをこの順で含んでいる。以下、各層について詳述していく。
上述したように、電子レンジ用のパウチ1は、熱に対する耐性を必要とされる。このため、本実施の形態の基材層31は、耐熱性をもつ材料からなる。例えば、基材層31として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムを用いることができる。
好ましくは、基材層31は、二軸延伸処理される。これにより、基材層31をなす分子が、延伸処理によって延伸方向に並び、基材層31が優れた寸法安定性を発揮するようになる。また、二軸延伸処理によって、基材層31に易開封性を付与することができる。
このような基材層31の厚みは、例えば10〜50μmに形成される。この場合、パウチ1に要求される耐熱性を満たしつつ、製品コストを抑えることができる。なお、本実施の形態の基材層31は、積層フィルム30のうち、製袋してパウチ1とするときの最も容器外方となる層としても機能する。
また、図2に示すように、本実施の形態では、基材層31の容器内方側となる面に、絵柄を含む絵柄層32が積層されている。ここで、絵柄とは、基材層31に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。とりわけ、食品を内包することが意図されたパウチ1に用いられる積層フィルム30では、絵柄として、内容物の図や、内容物の商品名、賞味期限、製造日、製造番号等の情報を示す文字が用いられる。もっとも、絵柄層32は、商品の仕様に応じて基材層31に積層されるものであり、基材層31に絵柄層32が設けられなくてもよい。
本実施の形態では、絵柄層32は、容器外方側となる基材層31の外面ではなく、基材層31の内面に施される。この場合、絵柄層32は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、絵柄の改ざんも効果的に防止することができる。また、製袋してパウチ1としたときに、基材層31の内面に積層された絵柄層32を基材層31を介して視認し得るよう、基材層31は透明性を有していることが好ましい。
シーラント層34は、上述したように、2つの積層フィルム30同士を重ね合わせて対向する縁部近傍をヒートシールすることで、当該縁部を貼り合わせて密封するために設けられている。また、本実施の形態では、シーラント層34は、積層フィルム30のうち、製袋してパウチ1とするときの最も容器内方となる側に配置される。
このようなシーラント層34としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなる耐熱性のあるフィルム及びイージーピールフィルムなどが採用できる。更に、これらの材料からなるフィルムによって単層としてシーラント層34が構成されてもよいし、あるいは、複数の前記材料からなるフィルムによって多層としてシーラント層34が構成されてもよい。
とりわけ、電子レンジ用のパウチなど耐熱性が要求されるパウチ1に積層フィルム30を適用する場合には、シーラント層34は、主として無延伸ポリプロピレン(CPP)を含む無延伸ポリプロピレン層(CPP層)、または、主として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む直鎖状低密度ポリエチレン層(LLDPE層)を有することが好ましい。
シーラント層34の厚みは、40μm以上200μm以下の範囲にあるのが好ましい。
この場合、パウチ1の流通過程において生じ得る落下に対する耐衝撃強度に優れると共に、内容物の充填し易さ、内容物の詰替え易さといった取扱性にも優れる。
一方、基材層31とシーラント層34との間に積層された中間層33は、電子レンジ用のパウチに要求される種々の機能を補なうために設けられている。上記の通り、パウチ1は、食品を内容物として内包することに適したパウチである。このため、内容物の酸化等の変質を防止しながら内容物を保存することができるように、中間層33は、水蒸気の透過を防止する蒸気バリア性及び酸素ガス等のガスの透過を防止するガスバリア性を有していてもよい。また、スタンディングパウチ形式のパウチ1は、売り場の商品棚に自立した状態で陳列される。パウチ1が商品棚から落下した際の衝撃等にも十分に耐え得るよう、中間層33は、耐屈曲性及び耐衝撃性を有していてもよい。また、中間層33は、消費者の購買意欲を高めるために、パウチ1の内容物が見えないように隠蔽性を十分に高める機能を有していてもよい。
このような機能をもつ中間層33として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムを用いることができる。また、これら基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用してもよい。
図2に示すように、本実施の形態では、基材層31と中間層33との間、及び、中間層33とシーラント層34との間に接合層35が介在されている。この接合層35としては、例えばそれ自体既知のドライラミネート法にて一般に用いられる接着剤を用いることができ、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いることができる。
(シール部)
このような積層フィルム30からなる一対の主面シート11及び底面シート21の周縁近傍をヒートシールすることによってシール部50が形成される。図1に示す方向からみたときに、シール部50は、収容空間2の周りを取り囲み、当該収容空間2を密閉している。その上、シール部50は、当該シール部50によって密閉された収容空間2から、パウチ1の上側寄りに位置する第1未シール部60及び第2未シール部70を隔離している。図1に示す例では、第1未シール部60及び第2未シール部70は、重ねられた積層フィルム30がヒートシールされていない部分であり、収容空間2を挟んで互いに対面した位置に位置している。
第1未シール部60は、電子レンジによる加熱に伴って発生する蒸気によってパウチ1内の圧力が高まった際に、収容空間2と連通してパウチ1内の蒸気を外部へ逃がすために設けられている。第1未シール部60は、主面シート11の側縁13に達して開口している。すなわち、第1未シール部60は、主面シート11の側縁13に開口61を形成している。とりわけ、図1に示す第1未シール部60は、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に張り出している。
第2未シール部70は、後述するように、パウチ1を製造する際に、第1未シール部60が主面シート11の側縁13に開口61を形成するのを補償すべく設けられている。すなわち、第2未シール部70は、パウチ1の製造効率を高めるために設けられたものである。第2未シール部70は、主面シート11の側縁13に達して開口している。すなわち、第2未シール部70は、主面シート11の側縁13に開口71を形成している。なお、第2未シール部70は、必ずしも設けられていなくてもよい。
さて、シール部50についてさらに説明していく。図1に示すように、シール部50の外縁50aは、主面シート11の縁部12〜14、第1未シール部60の縁部または第2未シール部70の縁部に沿って、周状に延びている。一方、シール部50の内縁50bは、外縁50aに対して間隔を空けながら、周状に延びている。
本実施の形態のシール部50は、横方向d1に対向して位置する第1側部シール部51及び第2側部シール部52と、横方向d1に直交する上下方向d2に対向して位置する上部シール部(図1において二点鎖線で囲まれた領域)53及び下部シール部54と、を含んでいる。各側部シール部51、52は、一対の主面シート11の側縁13近傍をヒートシールしてなり、上部シール部53は、一対の主面シート11の上縁12近傍をヒートシールしてなり、下部シール部54は、底面シート21の周縁近傍と主面シート11の下縁14近傍とをヒートシールしてなる。上述の第1未シール部60及び第2未シール部70は、対応する側の側部シール部51、52によって、それぞれ、収容空間2から隔離されている。
図3に、第1未シール部60付近の第1側部シール部51を拡大して示す。図3に示すように、第1側部シール部51は、第1未シール部60を挟んで両側に位置する上側シール部分56及び下側シール部分57と、第1未シール部60の少なくとも一部を取り囲むようにして上側シール部分56及び下側シール部分57とに接続され、且つ、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2に向けて張り出した張出部分55と、を含んでいる。このうち、上側シール部分56は、第1未シール部60の周りから上下方向d2に沿って延びて上部シール部53に接続している。一方、下側シール部分57は、第1未シール部60の周りから上下方向d2に沿って延びて下部シール部54に接続している。
図3に示すように、張出部分55は、上側シール部分56から横方向d1に沿って延び出した上張出領域55cと、下側シール部分57から横方向d1に沿って延び出した下張出領域55dと、上張出領域55cと下張出領域55dとの間に介在する中張出領域55eと、を含んでいる。図3に示す例では、中張出領域55eは、第1未シール部60と収容空間2との間となる位置で上下方向d2に沿って延びている。そして、中張出領域55eは、上張出領域55cと上角領域55fを介して接続され、下張出領域55dと下角領域55gを介して接続されている。
上角領域55fは、下側シール部分57よりも上側シール部分56に近接した位置で、収容空間2側に向かって突出しており、下角領域55gは、上側シール部分56よりも下側シール部分57に近接した位置で、収容空間2側に向かって突出している。収容空間2側に向かって張り出した張出部分55の下角領域55gは、電子レンジ内で温めたときに張出部分55からの剥離を安定して開始させる機能する。図3に示す例では、上角領域55f及び下角領域55gは、平面視において、中心角が90°の扇形の形状をもつ。なお、平面視とは、横方向d1及び上下方向d2の両方に直交する方向からパウチ1をみることをいう。
また、本実施の形態では、張出部分55の中張出領域55eは、上側シール部分56との間に段差S1を形成している。したがって、張出部分55の内縁55bは、上側シール部分56の内縁56bよりも収容空間2側に位置している。また、張出部分55の中張出領域55eは、下側シール部分57との間に段差S2を形成している。図3に示す例では、中張出領域55eの内縁55bが下側シール部分57の内縁57bに対して形成した段差S2の大きさは、3mm以上になっている。
とりわけ、上側シール部分56に、開封の際の起点となり得る第1ノッチ7aが形成されている。すなわち、第1ノッチ7aが設けられた位置は、収容空間2に収容された内容物を取り出すべく胴部10を開封するときの開封予定位置CP1となる。図3に示す第1ノッチ7aは、胴部10をなす主面シート11を貫通している。第1ノッチ7aは、上側シール部分56に形成された切れ目であってもよいし、所定の巾をもつ切欠きであってもよい。上側シール部分56に第1ノッチ7aが形成されていることにより、第1ノッチ7aから胴部10を容易に開封し始めることができる。
図4に、第2未シール部70付近の第2側部シール部52を拡大して示す。図4に示すように、第2側部シール部52は、相対的に上縁12寄りに位置する第2上側シール部分58と、相対的に下縁14寄りに位置する第2下側シール部分59と、を含んでいる。第2上側シール部分58の内縁58bは、第2下側シール部分59の内縁59bよりも収容空間2側に位置する。このため、第2上側シール部分58の内縁58bと第2下側シール部分59の内縁59bとの間で、段差S3が形成されている。図4に示す例では、この段差S3は、第2未シール部70付近に位置している。
とりわけ、第2上側シール部分58に、開封の際の起点となり得る第2ノッチ7bが形成されている。すなわち、第2ノッチ7bが設けられた位置は、収容空間2に収容された内容物を取り出すべく胴部10を開封するときの別の開封予定位置CP2となる。図4に示す第2ノッチ7bは、胴部10をなす主面シート11を貫通している。第2ノッチ7bは、第2上側シール部分58に形成された切れ目であってもよいし、所定の巾をもつ切欠きであってもよい。第2上側シール部分58に第2ノッチ7bが形成されていることにより、第2ノッチ7bからも胴部10を容易に開封し始めることができる。
なお、開封予定位置CP1、CP2には、ノッチ7a、7bに限られずそれ自体既知の種々の易開封手段を設けることができる。他の易開封手段の例として、上側シール部分56または第2上側シール部分58に複数の微細な小孔を設ける例が挙げられる。上側シール部分56または第2上側シール部分58に複数の微細な小孔を設けることで、易開封性を付与することができる。
さて、上述のように、主面シート11及び底面シート21は、同一の積層フィルム30から構成されている。従って、同一のヒートシール条件下で、重ねられた積層フィルム30の周縁近傍をヒートシールした場合、シール部50内の任意の一地点における接合力は、他の一地点の接合力と等しくなる。このため、加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まったときのシール部50の剥離のし易さは、シール部50の位置や形状等に起因して誘引される応力集中に大きく依存する。
この点、本実施の形態では、電子レンジによる加熱時に張出部分55から一対の主面シート11の剥離が進行して収容空間2と第1未シール部60とを連通させることが意図されている。そして、張出部分55から一対の主面シート11を剥離し易くするために、張出部分55は、第1側部シール部51の他の部分56、57よりも収容空間2側に張り出し、且つ、下角領域55gを含んでいる。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、張出部分55からの一対の主面シート11の剥離の進行をより安定して実現するためには、図5において、第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲の長さであるa1が第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲の長さであるa2よりも短いことを示す関係が満たされていることが好ましいことが知見された。図5は、シール部50の剥離の起点を説明するための図であり、パウチ1を平面図として示している。なお、第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲の長さであるa1、および、第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲の長さであるa2については、後述にて詳細に説明する。
図5に示すように、加熱に伴って膨らんでいく収容空間2は、パウチ1の中央付近に位置する中心Oから拡がっていくとみなすことができる。したがって、加熱に伴いシール部50の各位置には、中心Oから当該各位置に向かう方向の負荷を強く受ける。すなわち、加熱に伴いシール部50に掛かる圧力は、中心Oとの位置関係に強く依存する。先ず、この基準地点Oを特定する方法について説明する。
前提として、上述のように、収容空間2は、一対の主面シート11と底面シート21とによって囲まれる空間内に規定されている。このため、収容空間2の外縁は、一対の主面シート11及び底面シート21の収容空間2側の表面との境界に画定されることになる。
したがって、平面視において、収容空間2の外縁は、一対の主面シート11を接合した上部シール部53との境界に規定される上縁2aと、一対の主面シート11を接合した側部シール部51、52との境界に規定される側縁2bと、一方の主面シート11と底面シート21とを接合した上部シール部53との境界に規定される下縁2cと、によって規定されている。とりわけ、収容空間2の上縁2aの中央となる地点を上中点Y1とし、収容空間2の下縁2cの中央となる地点を下中点Y2とする。すなわち、上中点Y1とは、収容空間2の上縁2aの両端部2a1、2a2の中央となる位置であり、下中点Y2とは、収容空間2の下縁2cの両端部2c1、2c2の中央となる位置である。
先ず、平面視において、上中点Y1と下中点Y2との中央となる位置に中心をもつ仮想円Cを描く。この仮想円Cの中心が上述の中心Oである。
次に、仮想円Cの中心Oから第1未シール部60まで最短距離となる第1仮想直線IL1を引き、当該第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲の長さをa1とする。
また、仮想円Cの中心Oから第2未シール部70まで最短距離となる第2仮想直線IL2を引き、当該第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲の長さをa2とする。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、a1<a2の関係を満たす場合に、張出部分55から一対の主面シート11の剥離がより安定して進行することが知見された。
なお、a1<a2の関係を満たす場合に、張出部分55から一対の主面シート11の剥離がより安定して進行する要因として、以下のことが推定される。ただし本発明は、以下の推定に限定されるものではない。
上述のように、加熱に伴いシール部50の各位置には、中心Oから当該各位置に向かう方向の負荷を強く受ける。このため、中心Oから第1未シール部60に引いた最短直線となる第1仮想直線IL1と張出部分55との重なる範囲においては、第1未シール部60に向かう方向の負荷を強く受ける。同様に、中心Oから第2未シール部70に引いた最短直線となる第2仮想直線IL2と第2側部シール部52との重なる範囲においては、第2未シール部70に向かう方向の負荷を強く受ける。したがって、張出部分55と第1仮想直線IL1との重なる範囲の長さa1が、第2側部シール部52と第2仮想直線IL2との重なる範囲の長さa2よりも短い場合、張出部分55の方が負荷に耐えるだけのシール代が少ない。このため、張出部分55の方が第2側部シール部52よりも蒸気圧の負荷に対する耐性に劣り、収容空間2と第2未シール部70が連通するよりも先に収容空間2と第1未シール部60が連通するため、安定して張出部分55から蒸気抜けさせることができると考えられる。また、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることもできると考えられる。言い換えると、張出部分55以外のシール部50からシール後退が進行することを抑制しやすくすることもできると考えられる。
とりわけ、図5に示す例では、第1仮想直線IL1は、下角領域55gにおいて張出部分55と重なっている。
また、第1仮想直線IL1に沿った方向における中心Oから張出部分55までの最短距離b1は、第2仮想直線IL2に沿った方向における中心Oから第2側部シール部52までの最短距離b2よりも短くすることが好ましい。この場合、張出部分55に効率的に負荷を加えることができ、収容空間2と第2未シール部70が連通するよりも先に収容空間2と第1未シール部60が連通するため、安定して張出部分55から蒸気抜けさせることができると考えられる。また、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることもできると考えられる。
次に、各部の寸法及び大きさの関係について図6を参照して説明する。図6は、図1に示すパウチ1の各構成要素の寸法を示す平面図である。
図6に示すように、上側シール部分56の巾W1は、下側シール部分57の巾W2よりも広くなっている。なお、本明細書において、シール部50の巾とは、内縁50b上の各位置Xにおいて、当該位置Xにおけるシール部50の延びる方向に直交する方向の長さWをいう。一例として、上側シール部分56の巾W1とは、上側シール部分56の内縁上の各位置において、当該位置における上側シール部分56の延びる方向に直交する方向の長さである。上側シール部分56の内縁上の各位置において、当該位置における上側シール部分56の延びる方向に直交する方向の長さが一定ではない場合には、上側シール部分56の巾W1として、上側シール部分56の内縁上の各位置において、当該位置における上側シール部分56の延びる方向に直交する方向の長さのうち最も大きい値を採用する。
また、張出部分55の巾W3は、上側シール部分56の巾W1及び下側シール部分57の巾W2よりも狭くなっている。その上、張出部分55の巾W3は、第2未シール部70と収容空間2との間に位置する第2側部シール部52の部分の巾W6よりも狭い。一例として、上側シール部分56の巾W1は、例えば8〜15mmに設定され、下側シール部分57の巾W2は、例えば5〜8mmに設定され、張出部分55の巾W3は、例えば2.5〜5mmに設定される。
また、上下方向d2において、上側シール部分56の長さL1は、下側シール部分57の長さL2よりも短くなっている。その一方で、張出部分55の長さL3は、上側シール部分56の長さL1及び下側シール部分57の長さL2よりも短くなっている。
また、第1未シール部60の横方向d1における長さL4は、第2未シール部70の横方向d1における長さL5よりも長い。その一方で、第1未シール部60の上下方向d2における長さL6は、第2未シール部70の上下方向d2における長さL7と等しい。一例として、第1未シール部60の横方向d1における長さL4は3〜15mmに設定され、第2未シール部70の横方向d1の長さL5は、例えば1〜3mmに設定され、第1未シール部60の上下方向d2における長さL6及び第2未シール部70の上下方向d2における長さL7は、例えば4〜15mmに設定される。
また、第2上側シール部分58の巾W4は、第2下側シール部分59の巾W5よりも広くなっている。一例として、第2上側シール部分58の巾W4は、例えば8〜15mmに設定され、第2下側シール部分59の巾W5は、例えば5〜8mmに設定される。
さらに、段差S2の大きさは、例えば3〜15mm、好ましくは7〜12mmに設定される。より詳細には、張出部分55の最も収容空間2側に位置する部分z1と、下側シール部分57の最も収容空間2側に位置する部分z2と、の間の横方向d1の距離S2が、3m以上15mm以下になっている。
ただし、パウチ1を構成する各構成要素の寸法乃至大小関係は、一例であって、仕様に応じて適宜変更可能である。
なお、図1に示すパウチ1は、上下方向d2に長手方向をもち、横方向d1に短手方向をもつパウチである。ただし、市場で普及されている程度の大きさのパウチであれば、横方向d1に長手方向をもち、上下方向d2に短手方向をもってもよい。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
パウチ1を電子レンジ内に設置して温めると、電子レンジから照射される高周波によって内容物に含まれる水分を温め、内容物が加熱されていく。加熱に伴って内容物に含まれる水分が蒸発しパウチ内の圧力が高まっていく。本実施の形態では、張出部分55は、第1側部シール部51の他の部分56、57よりも収容空間2側に張り出し、且つ、下角領域55gを含んでいる。このため、パウチ内の圧力が高まると、張出部分55から一対の主面シート11の剥離が開始される。張出部分55の剥離が進行し、収容空間2と第1未シール部60とが繋がると、パウチ1内の蒸気を第1未シール部60から外部へ逃がすことができる。
電子レンジ内での加熱を終えると、胴部10のうちのシール部50が形成された部分以外の部分など蒸気に触れた部分は熱くなっている。一方、シール部50は、熱くなり難い。とりわけ、本実施の形態によれば、上側シール部分56の巾W1は、下側シール部分57の巾W2よりも広くなっている。従って、上側シール部分56は、下側シール部分57よりも熱くなっていない部分が広い。このため、上側シール部分56を指で摘まんでも、下側シール部分57を指で摘まむよりは熱さを感じ難い。そこで、第1開封予定位置CP1よりも上側の位置で上側シール部分56を指で摘まんで、当該上側シール部分56に設けられた第1ノッチ7aから胴部10を開封する。これにより、過度な熱さを感じることを抑制しながら、収容空間2に収容された内容物を取り出すことができる。
次に、図1に示すパウチ1の製造方法について図7を参照して説明する。図7は、図1に示すパウチ1の製造方法を説明するための平面図である。
図7に示すように、先ず、胴部10をなすようになる胴材シート110と底部20をなすようになる底材シート120を所定の位置に配置して、これらのシート110、120のうち製袋される複数のパウチ1の各々のシール部50となるべき領域(上部シール部53を除く)をヒートシールする。このとき、胴材シート110のうちのヒートシールされなかった領域は、各パウチ1の収容空間2となるべき領域111と第1未シール部60となるべき領域112とに、ヒートシールされた領域113によって区画される。その後、各パウチ1の形状に合わせてヒートシールされた領域113を裁断することによって、複数のパウチ1を作製する。得られたパウチ1の一対の主面シート11の上縁12間に形成された開口4からから内容物を充填し、開口4が設けられた上縁12近傍をヒートシールすることにより、パウチ1を密閉する。
この製造方法において、ヒートシールされない第1未シール部60となるべき領域112が第1未シール部60の寸法と等しく形成されている場合、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまうと、ヒートシールされた領域113によって第1未シール部60の開口61を閉じてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、第1未シール部60となるべき領域112の横方向d1における長さを第1未シール部60の横方向d1における長さよりも大きくしている。このため、各パウチ1の形状に合わせて裁断すると、一のパウチ1の第1未シール部60となるべき領域112の一部が、隣接するパウチ1の第2未シール部70を画定する。すなわち、各パウチ1に第2未シール部70が設けられていることにより、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、パウチ1の第1未シール部60の開口61が塞がれてしまうことを防止し、且つ、パウチ1を連続して製造することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、重ねられた積層フィルム30をヒートシールした側部シール部51と、側部シール部51によって収容空間2から隔離され、当該パウチ1の上側寄りに位置する未シール部60と、を有し、未シール部60は、重ねられた積層フィルム30の側縁13に達して開口61を形成しており、側部シール部51は、第1未シール部60を挟んで両側に位置する上側シール部分56及び下側シール部分57と、未シール部60の少なくとも一部を取り囲むようにして上側シール部分56と下側シール部分57とに接続され、且つ、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に向けて張り出した張出部分55と、を有し、張出部分55は、上側シール部分56よりも下側シール部分57に近接した位置に、収容空間2側に向かって突出した角領域55gを含み、下側シール部分57の巾W2は、上側シール部分56の巾W1よりも狭い。
このような形態によれば、下側シール部分57の巾W2が上側シール部分56の巾W1よりも狭くなっているため、電子レンジ内での加熱を終えた後、上側シール部分56は、下側シール部分57よりも熱くなっていない部分が広い。ゆえに、上側シール部分56を指で摘まんでパウチを開封するときに、過度な熱さを感じることを抑制することができる。また、下側シール部分57の巾W2が上側シール部分56の巾W1よりも狭くなっていることから、下側シール部分57の巾W2と上側シール部分56の巾W1とが等しい場合に比べて、収容空間2を広く確保することができる。
また、張出部分55が上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に向けて張り出していることから、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まった際に、張出部分55に応力が集中的に負荷し易くなる。このため、張出部分55から安定して剥離を開始して、パウチ1内の蒸気を第1未シール部60から確実に逃がすことができる。また、張出部分55から剥離が進行し易いことから、その反面、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制することができる。
その上、電子レンジでの加熱後において、パウチ1の収容空間2の周りとなる部分は高温となり手で取り扱い難い状態となる。このため、加熱後のパウチ1を電子レンジから取り出して持ち運ぶときに、取り扱い難さからパウチ1を意図せず傾けてしまう場合も想定される。この点、本実施の形態によれば、主面シート11の側縁13から延び出した第1未シール部60が、上側シール部分56及び下側シール部分57よりも収容空間2側に張り出している。つまり、本実施の形態によるパウチ1によれば、電子レンジ内の加熱後、第1未シール部60の開口61から内容物がパウチ1の外部に漏れ出すことを抑制することができる
また、特許文献1に記載のパウチのように蒸気抜き孔を形成する必要がないため、蒸気抜き孔を形成することに伴い生じ得る検査や抜きカスの回収の問題も生じ得ない。以上のことから、本実施の形態のパウチ1によれば、内容物を効率よく充填することができることに加えて、効率よく製造することも可能となる。
また、本実施の形態によれば、張出部分55の巾W3は、下側シール部分57の巾W2よりも狭い。この場合、張出部分55を下側シール部分57よりも剥離させ易くすることに寄与する。この結果、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、張出部分55の最も収容空間2側に位置する部分z1と、下側シール部分57の最も収容空間2側に位置する部分z2と、の間の横方向d1の距離S2が、3m以上15mm以下になっている。この場合、パウチ1内の圧力が高まると、開口61から収容空間2側に張り出した張出部分55に、応力が集中的に負荷し易くなる。これにより、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、上側シール部分56の巾W1が8mm以上15mm以下である。上側シール部分56の巾W1が8mm以上である場合、電子レンジ内での加熱を終えた後、過度な熱さを感じることなく上側シール部分56を指で摘まむことができる。
一方、上側シール部分56の巾W1が15mm以下である場合、限られた大きさの積層フィルム30を用いて、内容物を収容する収容空間2を広く確保することができる。
また、本実施の形態によれば、張出部分55は、下側シール部分57よりも上側シール部分56に近接した位置に、収容空間2側に向かって突出した更なる上角領域55fを含んでいる。この場合、張出部分55と上側シール部分56との間に段差S1が形成されることから、張出部分55が収容空間2と広い範囲で隣接し易くなる。このため、張出部分55の剥離する面積を大きくすることができ、パウチ1内の圧力があまり高くならない状態で蒸気抜けさせることができるため、安全性に優れる。
また、本実施の形態によれば、第1仮想直線IL1は、下角領域55gにおいて張出部分55と重なる。このような形態によれば、仮想円Cの中心Oから離れるにつれて、第1仮想直線IL1が延びる方向における張出部分55の幅が徐々に大きくなるため、張出部分55を剥離しやすくすることができ、張出部分55以外のシール部50から剥離が進行することを抑制しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、第1側部シール部51に横方向d1に対向して位置する第2側部シール部52と、第2側部シール部52によって収容空間2から隔離され、重ねられた積層フィルム30の縁部に開口71を形成した第2未シール部70と、を備え、第1未シール部60と第2未シール部70とは、収容空間2を挟んで横方向d1に対面して位置している。この場合、パウチ1の製造過程において、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、他のパウチ1の第1未シール部60の開口61が塞がれてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、平面視において、第1未シール部60の上下方向d2における長さL6は、第2未シール部70の上下方向d2における長さL7と等しい。この場合、製造過程において、隣り合う一方のパウチ1の第1未シール部60と他方のパウチ1の第2未シール部70とが繋がった状態で、隣り合うパウチ1を裁断する際に、加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、一方のパウチ1の第1未シール部60及び他方のパウチ1の第2未シール部70の所望の形状を維持することができる。このため、パウチ1の製造誤差の許容性を高めることができ、結果として、パウチ1を効率よく製造することに寄与する。
ここで、張出部分55からの剥離をより確実に進行させる観点から、張出部分55での一対の主面シート11内のシール強さは、100℃で50N/15mm以下であることが好ましい。この場合、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まった際に、パウチ1が破袋するおそれを低減することができる。本実施の形態の張出部分55での一対の主面シート11内のシール強さは、100℃で35N/15mm以下になっている。
この場合、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ1内の圧力が高まった際に、張出部分55から剥離を確実に開始して、パウチ1内の蒸気を第1未シール部60から確実に逃がすことができる。好ましくは、張出部分55での一対の主面シート11内のシール強さは、100℃で30N/15mm以下になっている。なお、ここでいうシール強さとは、JISZ0238に準拠して計測されたシール強さの値(N/15mm)をいう。なお、試料片の巾を15mm確保することができない場合には、15mmよりも小さい巾の試料片を採取してシール強さの計測を行い、得られた値に(15mm/試料片の巾mm)を掛けた値を、シール強さの値(N/15mm)として採用する。
次に第1未シール部60の形状について詳述する。図3に示すように、第1未シール部60の縁部62は、開口61の周りから収容空間2側に延び出た第1縁部63及び第2縁部64と、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端との間を延びる第3縁部65と、を含んでいる。図示する例では、主面シート11の上縁12側に第1縁部63が配置されており、主面シート11の下縁14側に第2縁部64が配置されている。
図3に示すように、第1未シール部60の第1縁部63及び第2縁部64は、横方向d1に直線状に延び出している。加えて、第1縁部63の長さは、第2縁部64の長さと等しい。従って、第3縁部65が、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端との間を直線状に延びる場合、第3縁部65は、上下方向d2に平行に延び、第1縁部63及び第2縁部64と直交する。この場合、第1未シール部60の縁部62は、略コの字状の形状に沿って延びるようになる。本実施の形態では、第3縁部65の長さつまり第1未シール部60の上下方向d2における長さL6は、第1縁部63の長さ及び第2縁部64の長さよりも短い。
ところで、第1未シール部60の縁部62を、略V字状の形状に沿って延びるように形成することも考えられる。言い換えると、第1未シール部60の縁部62が、開口61の周りから収容空間2側に延び出た第1縁部63及び第2縁部64のみからなり、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端とを重ねた形態も考えられる。図8にこのような例が示されている。
なお、第1未シール部60の形状は、図3や図8に示す例に限定されない。図9及び図10に、第1未シール部60の形状の他の例を示す。このうち、図9に示す例では、平面視において、第1未シール部60は、台形状の形状をもつ。具体的には、横方向d1に直線状に延び出した第1縁部63の長さが、横方向d1に直線状に延び出した第2縁部64の長さよりも短い。従って、第3縁部65は、第1縁部63と繋がった端部が第2縁部64と繋がった端部よりも横方向d1において収容空間2から離間する側に位置するように、傾斜している。
図10に示す例では、平面視において、第1未シール部60は、平行四辺形状の形状をもつ。具体的には、第1縁部63及び第2縁部64は、開口61から横方向d1に対して下方に傾斜して直線状に延び出している。第1縁部63の長さは、第2縁部64の長さと等しい。従って、第3縁部65は、第1縁部63の先端と第2縁部64の先端との間を上下方向d2に平行に延びている。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態における第1側部シール部51の形態は、一例であって、様々な変更を加えることが可能である。図11乃至図13に、第1側部シール部51の形態の他の例を示す。このうち、図11に示す例では、上側シール部分56が、張出部分55に接近するにつれて巾W1が狭くなっている。図12に示す例では、張出部分55が、上側シール部分56から横方向d1に対して下方に傾斜して延び出した上張出領域55cと、下側シール部分57から横方向d1に沿って延び出した下張出領域55dと、を含み、上張出領域55cは、下張出領域55dと下角領域55gを介して接続されている。下角領域55gは、上側シール部分56よりも下側シール部分57に近接した位置で、収容空間2に向かって突出している。
また、上述した実施の形態では、図1に示すように、パウチ1が、胴部10と底部20とをヒートシールして形成されるスタンディング形式のパウチからなる例を示したが、パウチの形態は、このような例に限定されない。パウチは、平パウチであってもよいし、三方シール形式、ピロー形式、あるいは、ガセット形式のパウチであってもよい。図13乃至図15に、パウチ1の他の形態の一例を示す。
このうち、図13に示す例では、いわゆる四方シール平パウチ1である。図13に示す四方シール平パウチ1は、一対の主面シート11のみから製袋され、底面シート21を用いていない。したがって、下部シール部54は、一対の主面シート11の下縁14をヒートシールすることによって形成されている。
一方、図14及び図15に示す例では、いわゆる三方シール平パウチ1である。図14及び図15に示す三方平パウチ1は、単一の主面シート11を折り返して、重なり合う縁部同士をヒートシールすることによって製袋される。このうち、図14に示す例では、パウチ1の下端が、単一の主面シート11を折り返した折り目として形成され、下部シール部54は形成されない。一方、図15に示す例では、パウチ1の側端が、単一の主面シート11を折り返した折り目として形成され、第2側部シール部52は形成されない。なお、図14に示す例において下部シール部54を形成してもよいし、図15に示す例において第2側部シール部52を形成してもよい。
(本発明の一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について記載する。まず、本発明の下記の一実施形態が解決しようとする課題について記載する。
限られた大きさの積層フィルムを用いて、内容物を収容する収容空間を広く確保するためには、パウチの周縁に設けた周縁シールの巾を狭くすることが有効である。しかしながら、パウチの周縁シールの巾を狭くすると、電子レンジ内での加熱後、周縁シールが熱くなってしまい、周縁シールが冷めるまで放置する必要がある。このため、電子レンジ内での加熱後、パウチを素早く開封することができない。
本発明の一実施形態は、このような点を考慮してなされたものであり、蒸気抜き機能を備え、内容物を効率よく充填することができ、使用性に優れたパウチを提供することを目的とする。
なお、特許文献1に記載のパウチでは、パウチの周縁シールよりも内方となる位置にリング状のポイントシールを設けたことから、パウチ内に内容物を充填する間口を狭めてしまう。さらに、蒸気抜き孔の位置のばらつきを吸収するために、リング状のポイントシールは、ある程度の大きさを必要とし、パウチ内に内容物を充填する間口を益々狭める。これらの結果、特許文献1に記載のパウチでは、内容物をパウチ内に充填する間口を広く確保することができず、内容物を効率よく充填することができないという問題も抱えている。
その上、特許文献1に記載のパウチでは、リング状のポイントシールに囲まれた所定の位置に蒸気抜き孔が確実に空けられたかについて、検査する必要がある。加えて、商品性を損ねることがないよう、蒸気抜き孔を空ける際に生成される抜きカスを確実に回収する必要もある。これらの結果、特許文献1に記載のパウチを効率よく製造することは困難である。
したがって、本発明の一実施形態によるパウチが、効率よく製造することまでも可能であればなおさら都合がよい。
続いて、本発明の一実施形態における課題を解決する手段について記載する。
本発明の一実施形態によるパウチは、重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間を有するパウチであって、重ねられた積層フィルムをヒートシールした側部シール部と、前記側部シール部によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされない未シール部と、を有し、前記未シール部は、当該パウチの上側寄りに位置し、且つ、重ねられた積層フィルムの側縁に達して開口しており、前記側部シール部は、前記第1未シール部を挟んで両側に位置する上側シール部分及び下側シール部分と、前記未シール部の少なくとも一部を取り囲むようにして前記上側シール部分と前記下側シール部分とに接続され、且つ、前記下側シール部分よりも前記収容空間側に向けて張り出した張出部分と、を有し、前記張出部分は、前記上側シール部分よりも前記下側シール部分に近接した位置に、前記収容空間側に向かって突出した角領域を含み、前記下側シール部分の巾は、前記上側シール部分の巾よりも狭い。
本発明の一実施形態によるパウチにおいて、前記張出部分の巾は、前記下側シール部分の巾よりも狭くてもよい。
本発明の一実施形態によるパウチにおいて、前記張出部分の最も前記収容空間側に位置する部分と、前記下側シール部分の最も前記収容空間側に位置する部分と、の間の横方向の距離が、3mm以上15mm以下であってもよい。
本発明の一実施形態によるパウチにおいて、前記上側シール部分の巾が8mm以上15mm以下であってもよい。
本発明の一実施形態によるパウチにおいて、前記張出部分は、前記下側シール部分よりも前記上側シール部分に近接した位置に、前記収容空間側に向かって突出した更なる角領域を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態によれば、下側シール部分の巾が上側シール部分の巾よりも狭くなっているため、電子レンジ内での加熱を終えた後、上側シール部分は、下側シール部分よりも熱くなっていない部分が広い。従って、電子レンジ内での加熱を終えた後、パウチの上側シール部分を把持することにより過度な熱さを感じることを抑制することができる。また、上側シール部分が張出部分よりも収容空間側に張り出していないため、内容物を充填する間口を広く確保することができ、内容物を効率よく充填することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下に説明するようにして、実施例1〜3及び比較例1〜4に係るパウチを作製し、蒸気抜き機能、開封特性及び内容量について評価した。
(実施例)
実施例1〜3は、図1に示すスタンディング形式のパウチに対応している。
胴部をなすようになる胴材シートと底部をなすようになる底材シートを所定の位置に配置して、これらのシートのうち製袋される各パウチのシール部となるべき領域(上部シール部となるべき領域を除く)をヒートシールした。このとき、胴材シートのうちのヒートシールされなかった領域は、各パウチの収容空間となるべき領域と第1未シール部となるべき領域とに、ヒートシールされた領域によって区画された。その後、各パウチの形状に合わせてヒートシールされた部分を裁断することによって、複数のパウチを作製した。作製したパウチに内容物として100グラムの水を充填した後、重ねられた主面シートの上縁近傍をヒートシールしてパウチを密閉した。このようにして、実施例1〜3に係るパウチをそれぞれ作製した。
作製された実施例1〜3に係るパウチの各部の寸法は、図16に示す通りとした。また、実施例1〜3に係るパウチの各々について、図16に示すW1、W2、W7、W8及びS2の値は、表1に示す通りとした。なお、各部の寸法はmm単位である。
(比較例)
比較例1〜4に係るパウチは、実施例1〜3に係るパウチに対して、W1、W2、W7、W8及びS2の寸法の少なくともいずれかを変更した形態に対応している。したがって、比較例1〜4に係るパウチは、実施例1〜3に係るパウチと同一の材料を用いて、実施例1〜3に係るパウチと同一の製造方法にて作製された。比較例1〜4に係るパウチの各々について、図16に示すW1、W2、W7、W8、a1、a2及びS2の値は、表1に示す通りとした。なお、比較例3に係るパウチは、W1を16mm、W2を6mm、S2を10mmとしているため、上側シール部分の内縁と張出部分の内縁とは同一直線状に位置する。
(評価結果)
上記で得られた実施例1〜3及び比較例1〜4に係るパウチについて、蒸気抜き機能、使用性、内容量及び充填適性を評価した評価結果を表1に示す。このうち、蒸気抜き機能の評価は、密閉した各パウチを電子レンジに入れて600Wで2分間温め、加熱中に第1未シール部から蒸気が抜け出したかを目視にて確認し、加熱後シール部の剥離の発生の有無について検査することにより行った。表1の蒸気抜き機能の評価結果の欄において、加熱中に第1未シール部から蒸気の抜け出しを確認でき、且つ、加熱後シール部のうち張出部分のみが剥離し当該張出部分以外の領域で剥離の発生が確認されなかった場合を○とした。一方、加熱中に第1未シール部から蒸気の抜け出しが確認できなかった場合、または、加熱後シール部のうち張出部分以外の領域から剥離の進行が確認された場合を×とした。
(使用性)
使用性の評価は、蒸気抜き機能の評価にて行った電子レンジでの温めが終わった直後に、上側シール部分を指で摘まむことにより行った。表1の開封特性の評価結果の欄において、上側シール部分を指で摘まんだときに、過度の熱さを感じることなくパウチを素早く開封することができた場合に○とした。一方、上側シール部分を指で摘まんだときに、過度の熱さを感じてしまいパウチを素早く開封することができなかった場合に×とした。
(内容量)
内容量の評価は、内容物を収容する収容空間の大きさを比較することにより行った。表1の内容量の評価結果の欄において、市場で流通している電子レンジ用のパウチと比較して収容空間の大きさが同等程度であると判断された場合に○とした。一方、市場で流通している電子レンジ用のパウチと比較して収容空間の大きさが小さく市場での競争力に欠くと判断された場合に×とした。
(充填適性)
充填適性の評価は、主面シートの上縁近傍をヒートシールする前に、内容物として100グラムの水をパウチに充填する際の適性を評価することにより行った。表1の充填適性の評価結果の欄において、比較例3に係るパウチよりも充填適性に優れる場合に○とした。
実施例1〜3に係るパウチにおいては、電子レンジで温めている間に第1未シール部から蒸気が抜け出した。加熱後、シール部の剥離の発生の有無について検査したところ、シール部のうち張出部分のみが剥離し当該張出部分以外の領域で剥離の発生は確認されなかった。また、電子レンジでの温めが終わった直後に上側シール部分を指で摘まんでも、過度の熱さを感じることなくパウチを素早く開封することができた。さらに、内容物の充填適性にも優れるものであった。したがって、実施例1〜3に係るパウチは、蒸気抜き機能を備え、内容物の充填適性に優れ、電子レンジでの温め後であっても素早く開封可能である。
比較例1に係るパウチにおいては、電子レンジでの温めが終わった直後に上側シール部分を指で摘まむと、過度の熱さを感じてしまいパウチを素早く開封することができなかった。このため、比較例1に係るパウチは、電子レンジ用のパウチとしての用途に適さないため、開封特性の評価としては、×となった。
比較例2に係るパウチにおいては、市場で流通している電子レンジ用のパウチと比較して収容空間の大きさが小さく市場での競争力に欠くと判断された。このため、比較例2に係るパウチは、市場で競争力のある価格で提供し得ないため、内容量の評価としては、×となった。
比較例3に係るパウチにおいては、内容物の充填適性の点において、実施例1〜3に係るパウチよりも大幅に劣っていた。このため、比較例3に係るパウチは、内容物の充填適性の評価としては、×となった。
比較例4に係るパウチにおいては、加熱後、シール領域の剥離の発生の有無について検査したところ、第1側部シール部のうちの下側シール部分から剥離の進行が確認された。
このため、比較例4に係るパウチは、電子レンジ用のパウチとしての用途に適さないため、蒸気抜き機能の評価としては、×となった。