第1の発明は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けた冷蔵室と、前記冷蔵室の壁面に設けた照明装置とからなり、前記照明装置は、冷蔵室天面の幅方向に設けた天面光源ユニットと、冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニットとで構成し、かつ、冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニットは光源毎に独立させてそれぞれ単独別個に設けた構成としてある。
これにより、冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニット同士間に発泡断熱材が流動する空間を形成することができるので、冷蔵庫本体の側壁を薄くしても発泡断熱材は各側壁光源ユニット間を流動して冷蔵室の側壁前端縁部まで確実かつ円滑に流れ、良好な断熱性能を発揮するものとすることができる。したがって、冷蔵庫本体の側壁に照明装置を設置しつつ当該側壁を薄くして内容量を増加させることができる。つまり、冷蔵室側壁部分への照明装置の設置と当該側壁部分の壁厚を薄くすることが両立できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記冷蔵室側壁の各側壁光源ユニットは光源を有する光源基板と、上記光源基板を保持する基板保持ケースとからなり、前記各基板保持ケースは連結桟によって連結一体化するとともに、当該連結桟は発泡断熱材流通用の空間を形成するブリッジ形状とした構成としてある。
これにより、複数の側壁光源ユニットの設置が一つの基板保持ケースによって行え、光源ユニットの設置作業を容易化できるとともに、各光源ユニットを一体化した連結桟が発泡断熱材流動用の空間を形成するブリッジ形状となっているから冷蔵室側壁が薄くても発泡断熱材は冷蔵室側壁前端縁まで円滑に流動することができ、側壁前端部分の断熱性を良好なものとすることができる。すなわち、光源ユニット設置の作業性を向上させると同時に側壁の薄型化を実現し、照明装置設置と側壁薄型化を両立することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記冷蔵室は上下方向に棚板を複数段設けるとともに、冷蔵室側壁に設けた各側壁光源ユニットは上から二段目と三段目及び三段目と四段目の棚板間に独立させて設けた構成としてある。
これにより、冷蔵室天面の天面光源ユニットから光の届きにくい中段から下方部分の冷蔵室内も明るくすることができ、冷蔵室内の視認性を上げることができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記棚板間に設けた冷蔵室側壁の各側壁光源ユニ
ットは各棚板間の高さ方向で中央より上方に配置した構成としてある。
これにより、各棚板間を上方から照射することができるので、各棚板の奥に載置してある食材も確実に照射でき、視認性を一段と向上させることができる。
第5の発明は、第1〜第4の発明において、前記冷蔵室天面の天面光源ユニットは光源と光源カバーからなり、前記光源は最上段棚板の前端縁より前方位置に配置した構成としてある。
これにより、冷蔵室天面の天面光源ユニットによって棚板前端縁の前方から冷蔵室内部を照射することができ、冷蔵室内の視認性を更に向上することができる。
第6の発明は、第5の発明において、前記冷蔵室天面の天面光源ユニットの光源体カバーは最上段棚板の前端縁とラップするように配置した構成としてある。
これにより、光源の光が光源カバーで拡散されて冷蔵室の上部全域を照射でき、視認性を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4は冷蔵庫の全体構成を説明する図、図5〜図8は冷蔵室とその冷却構成を説明する図、図9〜図12は冷蔵室内の棚板構成を説明する図、図13〜図21は冷蔵室の棚板支持構成を説明する図、図22〜図27は野菜室の照明構成を説明する図、図28、図29は卵収納ケースを説明する図、図30〜図41は冷凍室の収納ケース構成を説明する図である。
(1−1.冷蔵庫の全体構成)
まず図1〜図4を用いて冷蔵庫の全体構成を説明する。
図1〜図4において、本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1は金属製の外箱2と、硬質樹脂製の内箱3と、前記外箱2および内箱3の間に真空断熱材(図3に黒線で示す)を設置して充填した発泡断熱材4とで構成してあり、仕切板5、6等によって複数の貯蔵室が仕切形成してある。また、前記冷蔵庫本体1の各貯蔵室は冷蔵庫本体1と同様の断熱構成を採用した回動式の扉7或いは引出し式の扉8、9、10、11で開閉自在としてある。
冷蔵庫本体1内に形成した貯蔵室は、最上部の冷蔵室14と、冷蔵室14の下に設けた小容量の第二冷凍室15と、第二冷凍室15の横に設けた製氷室16と、第二冷凍室15および製氷室16と最下部の野菜室17との間に設けた大容量の第一冷凍室(以下、この第一冷凍室を単に冷凍室と称す)18で構成してある。そして、前記冷蔵室14には複数の棚板19が設けてあり、その下部にはチルド室20が設けてある。
上記冷蔵室14は、冷蔵保存するための貯蔵室で、凍らない程度の低い温度、具体的には、通常1〜5℃に設定され冷却される。また、冷蔵室内に設けたチルド室20は冷蔵室14よりは若干低めの1℃前後の温度に設定され冷却される。
野菜室17は、冷蔵室14と同等もしくは若干高く温度設定される貯蔵室で、具体的には、2〜7℃に設定され冷却される。この野菜室17は野菜等の収納食品から発せられる
水分により高湿度となるため、局所的に冷えすぎると結露することがある。そのため、比較的高い温度に設定することで冷却量を少なくし、局所的な冷えすぎによる結露発生を抑制している。
冷凍室18及び第二冷凍室15は、冷凍温度帯に設定される貯蔵室で、具体的には、通常−22〜−18℃に設定され冷却されるが、冷凍保存状態向上のため、例えば−30℃や−25℃などの低温に設定され冷却されることもある。
なお、第二冷凍室15は冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで冷却温度を切り替えることができる切替室としてもよいものである。
一方、前記冷凍室18の背面には冷却室23が設けてあり、この冷却室23には冷気を生成する冷却器24と、冷気を前記各室に供給する冷却ファン25とが設置してある。そして更に冷却器24の下方にはガラス管ヒータ等で構成した除霜手段26が設けてある。
冷却器24は、圧縮機27と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ(図示せず)とを環状に接続して冷凍サイクルを構成しており、圧縮機27によって圧縮された冷媒の循環によって冷却を行う。
また、冷却ファン25は冷却器24の上方に設けてあり、その下流側に連なる冷蔵室ダクト28、冷凍室ダクト(図示せず)、野菜室ダクト29(図4参照)を介して冷蔵室14、冷凍室18、野菜室17等に冷気を供給し、これら各室を冷却するようになっている。
以下、上記冷蔵室14、冷凍室18、野菜室17の構成について説明していく。
(1−2.冷蔵室とその冷却構成)
次に図3〜図8を用いて冷蔵室とその冷却構成を説明する。
冷蔵室14は、冷蔵庫本体1の最上部に位置していて図5等に示すように複数の棚板19を有しており、側面及び天面の前方部分には照明装置30が設けてある。この棚板19の構成及び照明装置30の構成については後述する。
また、冷蔵室14の背面には前記した冷蔵室ダクト28が上下方向に縦設してある。冷蔵室ダクト28は、図7に示すように、発泡スチロールからなるダクト部材28aの冷蔵室側表面を樹脂製のダクトカバー28bで覆って構成してあり、冷蔵室14と冷凍室18との間を仕切る仕切板5の冷蔵冷気供給口22を覆う如く冷蔵室背面に装着して冷却室23と連通させてある。そして、上記ダクト部材28aの前記冷蔵冷気供給口22に繋がる通路部21の下部には冷蔵室ダンパ37を組み込み、その背面側部分に発泡スチロールからなるダンパカバー28cを嵌め込んで冷蔵室ダンパ37を覆っている。
更に、上記冷蔵室ダクト28は図8に示すように冷蔵室背面壁14aから前方に突出する形で設けられており、そのダクト部材28aの前面壁厚は冷蔵室ダンパ設置部分の壁厚が最も厚く、冷蔵室ダンパ設置部分から上方に行くほど薄くなるように形成してある。そして、上記ダクトカバー28bには左右両側に延出した延出リブ28dが一体形成してあり、ダクト部材28a側面部に設けた側面吐出口28eを正面側から見えなくしている。
(1−3.冷蔵室内の棚板構成)
次に、図9〜図12を用いて冷蔵室14内に設けた棚板構成について説明する。
棚板19は冷蔵室14の冷蔵室ダクト28前方部分に設けてあり、冷蔵室側壁の支持部32(図13、図16参照)によって着脱自在に支持されている。この支持部32による棚板19の支持構成については後述する。
上記各棚板19は前記冷蔵室ダクト28の前面にその後端縁が当接するような形で設置してあるが、前記冷蔵室ダクト28が冷蔵室背面壁14aから前方に突出しているので、図10に示すように棚板後端縁両側部には冷蔵室ダクト両側部に生じる冷蔵室背面壁14aまでの隙間を塞ぐべく後ろ向きに突出する突出片33が設けてある。
そして、上記棚板19に設けた突出片33のうち、最上段の棚板19aに設けた突出片33aは、この突出片33aが位置する部分の冷蔵室ダクト28が圧縮機27を冷蔵庫本体1の背面上方に設置した関係から前方へと屈曲した形となってい、冷蔵室背面壁14aまで突出する形とする長くて大きなものとなる。したがって、この冷蔵庫では当該部分に設ける突出片33aは、図11、図12に示すように、後端縁に行くほど上方に位置するように傾斜させ、その傾斜面33aaの後端縁が冷蔵室ダクト28の前方へせり出して屈曲する屈曲部付近に対向するようにしてある。
また、上記各棚板19、19aに設けた突出片33、33aの後端縁の後方には冷気が流れる程度の幅、例えば10〜20mm程度の幅の冷気戻し用の隙間tを形成している。
なお、最上段の棚板19aの突出片33a以外の棚板19の突出片33は水平に突出させてあるが、これもその後端縁が上方に位置するように設けてもよいものである。
(1−4.冷蔵室内の棚板支持構成)
次に図13〜図21を用いて上記棚板19の支持構成について説明する。
棚板19は既に述べたように冷蔵室14の側面壁に設けたレール状の支持部32によって支持してある。この支持部32は、図16(a)(b)に示すように、前支持部34と後支持部35からなっている。そして、上記前支持部34と後支持部35は非連続状態となっていて間に凹所36が設けてある。また、後支持部35の後端部は二段構成とて一段低い支持面部35aが形成してある。
一方、上記支持部32(34、35)に載置してある棚板19は、図19に示すように、強化ガラス等からなる透光性の棚板部材38の外周に樹脂製の枠部材39を装着して構成してあり、その前方両側部には前記支持部32の前支持部34によって支持される受け部40を設けるとともに後方部は受け部のない切欠き部39aとなっている。そして上記受け部40には支持部32の凹所36に嵌り込む凸部39bが形成してある。
また、上記棚板19の受け部のない切欠き部39aとなっている後方側部は、前記支持部32の後支持部35に設けた支持面部35aに載置可能ではあるが前支持部34には載置できない寸法幅となっている。すなわち、棚板19の後方両側部の幅寸法は、前記後支持部35の支持面部35a同士間の幅寸法よりは大きく前支持部34同士間の寸法よりは小さくなるように設定してある。この例では冷凍室18内に設けた左右いずれか一方側の前支持部34の壁面からの突出寸法を他方の前支持部34の突出寸法よりも大きくして前支持部34同士間の幅寸法が棚板19の後方両側部の幅寸法より大きくなるように構成してあるが、これは棚板19後部の切欠き部39a幅を左右で変えることによって行ってもよいものである。
そして、上記棚板19の後方両側部は図17(a)(b)に示すように前記後支持部35の支持面部35aに載置したとき、その上面が後支持部35の支持面部35aより一段
高い上面部35bと略同一面状態となるように構成してある。
また、前記棚板19の枠部材39の前方両側部に設けた受け部40には、図17(c)に示すように、前支持部34を把持する断面略コ字状の凹溝41が設けてあり、棚板19の前方両側部はこの凹溝41を前記前支持部34に嵌合させて支持する構成となっている。
(1−5.冷蔵室内の照明構成)
次に図22〜図27を用いて冷蔵室14に設けた照明装置30の構成を説明する。
照明装置30は、冷蔵室天面の幅方向に設けた天面光源ユニット43と、冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニット44とで構成してある。
冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニット44はこの例では上下二つそれぞれ独立した形で分けて単独別個に設けてある。そして、上記各側壁光源ユニット44、44は、図25に示すように、LEDからなる光源45を装着した光源基板46を備え、この光源基板46を基板保持ケース47に組込み、その前面側、すなわち冷蔵室内側に光透過性材料からなる光源カバー48を装着して構成してある。
上記基板保持ケース47は、図25に示しているように、各側壁光源ユニット44、44の基板保持部分47a、47aを連結桟47bによって連結一体化した形としてあり、その連結桟47bは発泡断熱材流動用の空間49を形成するブリッジ形状としてある。
また、光源基板46に装着した光源45は、図26に示すように、冷蔵室14の奥方向に光を照射するように傾斜させて設けてあり、光源カバー48の前記光源45と対向する部分も同様に傾斜させてある。
また、上記冷蔵室側壁に設けた各側壁光源ユニット44、44は、図5に示すように、冷蔵室14内に設けた棚板19の上から二段目と三段目及び三段目と四段目の棚板19間に配置してあり、更には各棚板19間の高さ方向で中央より上方に位置するように設けてある。
一方、冷蔵室14の天面に設けた天面光源ユニット43は、図27に示すようにLEDからなる天面光源43aを天面光源基板43bに複数個連続的に列設するとともにその天面光源43aを天面基板保持ケース43cに入れ光透過性の天面光源カバー43dで覆って長尺状に形成してあり、その天面光源43aは最上段の棚板19aの前端縁より前方に位置するように配置してある。そして更に天面光源カバー43dは最上段の棚板19aの前端縁とオーバラップする如く配置してある。
(1−6.冷蔵室内の卵収納ケース構成)
次に冷蔵室14内に設けた卵収納ケースの構成について図28、図29を用いて説明する。
この冷蔵庫は図5に示すようにその冷蔵室14の下部に設けてあるチルド室20の上面に卵収納ケース50を着脱自在に載置して卵を収納可能としてある。
上記卵収納ケース50は、図28に示すように、ケース部51と、複数の凹部52を有する卵収納プレート53とからなり、卵収納プレート53はその後方、すなわち奥方向側ほど高くなるようにケース部51に着脱自在に設置してある。
上記ケース部51は、図29に示すように、底面部51aを有するとともに、その前方部に把手部54が設けてあり、更にその側壁51bは後方、すなわち奥に行くほど高くなる形状としてその側壁内面部分に凹状に窪む一対の係止部55が設けてある。
一方、卵収納プレート53はその後部側壁部分に外側に向って突出するピン等からなる一対の係合部56が設けてあり、その係合部56を前記係止部55に係止させてケース部51に嵌合設置したり、係合部56を係止部55に係止させることなくケース部51の底面部51aに載せる形で当該ケース部51に嵌合設置したりすることができるようになっている。
(1−7.冷凍室と収納ケース構成)
次に図2、図3と図30〜図41を用いて冷凍室18とその内部に設けた三段構成の収納ケースについて説明する。
図3に示すように、冷凍室18は冷蔵室14の下方で、かつ冷却室23の前方にあって、内部に三段構成の収納ケース58,59,60が出し入れ自在に設けてある。そして、冷凍室背面に設けた冷凍冷気吹出し口23a(図4参照)を介して冷却室23からの冷気が供給され、冷却されるようになっている。
冷凍室18への冷凍冷気吹出し口23aは上下複数段設けてあり(図4では簡略化のため一段のみ記載している)、最上部の冷気吹出し口は製氷室16および第二冷凍室15に冷気を供給し、中段及び下段の冷気吹出し口は冷凍室18内に冷気を供給するようになっている。
また、上記冷凍室18はその下部に設けた冷凍冷気戻り口57(図3、図4参照)に冷凍ダンパ(図示せず)が設けてあり、冷凍室18へ供給される冷気量を制御して効率よく冷凍室18を冷却できるようになっている。
上記冷凍室18内に設けた三段構成の収納ケース58,59,60は、図30に示すように、冷蔵庫本体1の冷凍室18を開閉する扉11によって出し入れ自在となっている。
すなわち、冷凍室18内には、三段構成のレール装置(以下、三段レール装置と称す)61が取り付けてあり、この三段レール装置61に冷凍室18の扉11内面に固定した扉レール62が係合してある。
上記三段レール装置61は、図31に示すように、三段に重ねられた三つのレール、すなわち、固定レール63、中間レール64、容器支持レール65からなり、固定レール63に対して中間レール64が移動可能であり、かつ、中間レール64に対して容器支持レール65が移動可能となっている。そして、固定レール63(の側板部63a)を図34に示すように冷凍室18の内壁面(内箱3内壁面)にビス止め等により固定し、容器支持レール65に前記扉レール62を載置係合させてある。この係合は容器支持レール65に設けた突起65a(図31参照)を扉レール62に設けた切欠き部(図示せず)等に嵌合させるなどして行っている。
上記構成、すなわち三段レール装置61を採用したことにより、一段目の収納ケース58はそのケース後端部まで冷蔵庫本体1外に引き出し可能となっている。
そして、図35に示すように上記一段目の収納ケース58の開口縁部に設けた第一ガイドレール部66に二段目の収納ケース59の底部側面に設けた凸部67を載置し、一段目の収納ケース58とともに二段目の収納ケース59のケース後端部も冷蔵庫本体1外まで引き出し可能となっている。
さらに、三段目の収納ケース60はその底部側面に設けた第一・第二突起68a、68b(図36参照)を前記二段目の収納ケース59の開口縁部に設けた第二ガイドレール部69に載置するとともに、最後尾側面に側方へ向けて突設した本体摺動用突起70(図36参照)を冷凍室18の側壁部に固定してある本体レール71に嵌合させて、当該本体レール71と前記二段目の収納ケース59とで支持してある。
そして、上記三段目の収納ケース60はその底部側面の前記第二突起68bより少し内側前寄り部分に前記二段目の収納ケース59の後端壁上端よりも下方まで突出する連係用突起72(図36参照)が設けてあり、二段目の収納ケース59の引出しによって当該二段目の収納ケース59の後壁上端が連係用突起72に係当して三段目の収納ケース60を引き出すようになっている。
上記二段目、三段目の収納ケース58,59は一段目の収納ケース60よりその前後長が若干短い寸法に形成してあり、扉11を引き出すと図37、図38に示すように第一段、第二段の収納ケース58,59はその後端部まで冷蔵庫本体1外まで引き出され、三段目の収納ケース60はその後端壁部分が冷蔵庫本体1内に位置するようなところまで引き出されひな壇のような状態となる構成となっている。
また、上記冷凍室18側壁部の本体レール71の前方端近傍には図32に示すように山形状突起71aが形成してあり、三段目の収納ケース60をひな壇状に引出し時には、この山形状突起71aに三段目の収納ケース60最後尾側面に設けた本体摺動用突起70が当接した状態となっているが、その状態でそのまま三段目の収納ケース60を手動で引き出すと前記山形状突起71aを乗り越えて第二突起68bが二段目の収納ケース59の第二ガイドレール部69に乗り移り、二段目の収納ケース59上を前方へと摺動可能となっている。そして、三段目の収納ケース60を更に引き出すと、図39、図40に示すように、三段目の収納ケース60もその後端壁が冷蔵庫本体1外まで引き出せる構成となっている。
以上のように構成した冷蔵庫について、以下、その作用効果について説明する。
まず、冷蔵庫全体の冷却について簡単に説明する。
冷蔵庫は、冷蔵室14の温度が設定温度より高くなると、圧縮機27と冷却ファン25を駆動し、冷却ファン25が冷却器24で生成された冷気を各室に供給する。
冷却ファン25からの冷気は、冷蔵冷気供給口22より冷蔵室ダンパ37を介して冷蔵室ダクト28に供給され、冷蔵室ダクト28の左右両側面部に開口させた側面吐出口28eから冷蔵室14に吹き出し冷蔵室14内を冷却する。
また、上記冷却ファン25からの冷気は、野菜室ダクト29を介して野菜室17に供給され野菜室17内を冷却する。
さらに、冷却ファン25からの冷気は、冷凍冷気吹出し口23aから冷却室前方に位置する冷凍室18及び製氷室16と第二冷凍室15に供給されこれら各室を冷却する。
次に冷蔵室14内の棚板19に関する作用効果について説明する。
冷蔵室14には多種多彩な食品が収納されるが、この多種多彩な食品の中で小物食品は棚板19の奥の方に収納していると、前方に突出している冷蔵室ダクト28と冷蔵室背面
壁14aとの間に生じている隙間から落下する恐れがある。
しかしながら、この冷蔵庫では上記隙間部分を棚板後端縁に設けた突出片33によって塞いでいるので落下を防止することができる。
特に上記最上段の棚板19の後端縁の後方にできる隙間は、冷蔵室ダクト28が冷蔵室背面壁14aより前方へと屈曲して突き出した形となっているので大きく小物食品が落下しやすいが、このような大きな隙間が形成される部分であっても小物食品の落下を確実に防止することができる。
すなわち、上記最上段の棚板19に設けた突出片33はその後端縁に行くほど上方に位置する如く傾斜する傾斜面33aaとしてあるので、小物食品が突出片33の後端縁側へと移動するのを防止する作用があり、しかも傾斜面33aaは上向き傾斜していることによりその後端縁と冷蔵室ダクト28の前方に突き出ている部分の表面との間の間隔を狭くするので、小物食品の落下を確実に防止できる。これによって、使用者に小物食品の落下による不信感を抱くことのない信頼性の高い冷蔵庫とすることができる。
また、上記最上段の棚板19に設けた突出片33はその後端縁を上向きに傾斜させたことにより当該後端縁を冷蔵室背面壁14aまで突出させなくても小物食品の落下を防止できるので、突出片33の奥行き寸法を小さなものとすることができる。特にこの部分は冷蔵室ダクト28が前方に突き出ている部分であるから、冷蔵室背面壁14aまでの寸法は冷蔵室ダクト28が突き出ている寸法分だけ長いものとなって、水平状態で冷蔵室背面壁14aまで突出させると大きなものとなり、棚板19がその分だけ重くなって着脱しにくくなるが、この実施の形態の構成によればこのような棚板19の重量増を最小限に抑え、小物落下を防止しつつ着脱しやすいものとすることができる。
次に上記棚板19の支持に関してその作用効果を説明する。
上記各棚板19はこれが汚れたような場合には冷蔵室14内から取り外して水洗い等するが、その際、冷蔵庫が部屋の壁際に設置されていて扉11が90度以上に開くことができないようなことがあっても、この冷蔵庫では棚板19を冷蔵室14内から簡単に取り出すことができかる。
すなわち、この冷蔵庫の棚板19は支持部32に支持させた状態で手前側に引き出し、棚板19前部に設けた受け部40を前支持部34より前方に位置させ、図20、図21(b)に示すように棚板19後部の切欠き部39aが前支持部34に合致するところまでスライドすると、切欠き部39aが当該前支持部34から脱落して図14に示すように他方側の前支持部を支点に傾斜状態となる。したがって、扉11が90度以上に開くことができず扉ポケット11aが前方に位置していてもこの扉ポケットが邪魔になるようなことがなく、傾斜させた状態でそのまま手前側へと引き出し、簡単に棚板19の着脱ができる。
上記棚板19後部の切欠き部39aと冷蔵室側壁の前支持部34とは、棚板19の前端縁が少なくとも冷蔵室14の開口端縁より後方位置の状態で合致する構成としてあり、これにより棚板19を冷蔵室14の開口端縁より前方まで引き出さなくても傾斜状態とすることができて、冷蔵室扉が90度以上に開くことができなくても確実に棚板を着脱することができる。
また、上記棚板19には棚板セット時に支持部32の凹所36に嵌り込む凸部39bを設けてあるので、棚板取り出し時には棚板19を少し持ち上げて上記凸部39bを凹所36から外し、手前側に引き出す必要がある。すなわち、棚板19は手前側にスライドさせ
る前に上方に持ち上げるなどして凸部39bと凹所36の嵌合を外す、つまり棚板19を取り外すという意思を持たないとスライドさせることができず、不用意に棚板19を前方にスライドさせて棚板19が前支持部34から脱落し傾斜状態となるのを防止でき、安全性を向上させることができる。
また、上記棚板19の前方両側部に設けた受け部40には、前支持部34を把持する断面略コ字状の凹溝41を設けて前支持部34に嵌合させてあるから、棚板19の不用意な上下動を防止でき、棚板19を確実に固定支持することができる。
加えて、上記各棚板19は冷蔵室14内に設けた支持部32に載置して設置しているが、その棚板19の後部は後支持部35に設けた一段低い支持面部35aに載置してあるからその上面は後支持部35の上面部35bと略同一面となっており、棚板後側部の切欠き部分が凹状となって当該部分に小物食品が嵌り込むなどの事を防止でき、信頼性を高めることができる。
次に冷蔵室14に設けた照明装置30の作用効果について説明する。
この照明装置30は冷蔵室天面に設けた天面光源ユニット43と、冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニット44とからなるが、冷蔵室側壁に設けた側壁光源ユニット44は冷蔵庫本体1の外箱2と内箱3との間に発泡断熱材4を充填するときの障害となりやすい。
しかしながら、この冷蔵庫では、上記側壁光源ユニット44は光源毎に独立させてそれぞれ単独別個、この例では上下に分けてそれぞれ単独別個に設けてあるから、発泡断熱材充填時の発泡断熱材4の流れを阻害するようなことを抑制できる。
すなわち、側壁光源ユニット44はそれぞれ単独別個に設けてあるから側壁光源ユニット44同士の間には発泡断熱材4が流動する空間を確保することができる。その結果、発泡断熱材4は各側壁光源ユニット44同士間を流動して冷蔵室14の側壁前端縁部まで確実かつ円滑に流れ、良好な断熱性能を発揮するものとすることができる。したがって、冷蔵庫本体1の側壁に照明装置30を設置しつつ当該側壁を薄くして内容量を増加させることができる。つまり、本体寸法は現状のまま大容量、かつ、視認性の高い冷蔵庫とすることができる。
また、上記冷蔵室側壁の各側壁光源ユニット44は光源45を有する光源基板46と、上記光源基板46を保持する基板保持ケース47とからなり、前記各基板保持ケース47は基板保持部分47aを連結桟47bによって連結一体化するとともに、当該連結桟47bは発泡断熱材流動用の空間49を形成するブリッジ形状としてあるから、光源ユニット設置の作業性を向上させると同時に側壁の薄型化を実現し、照明装置設置と側壁薄型化を両立することができる。
すなわち、各側壁光源ユニット44は基板保持ケース47に保持されて一体物となり、この基板保持ケース47を取り付けるだけで各側壁光源ユニット44の取付けができ作業性が向上する。しかも、上記側壁光源ユニット44を一体化する基板保持ケース47の連結桟47bがブリッジ形状になっていて発泡断熱材流動用の空間49を形成しているので発泡断熱材4はこの空間49を通って冷蔵室側壁前端縁まで円滑に流動することができ、側壁が薄いものであっても側壁前端部分の断熱性を良好なものとすることができる。したがって、光源ユニット設置の作業性を向上させると同時に側壁の薄型化を実現し、照明装置設置と側壁薄型化を両立することができるのである。
また、この実施の形態では上記冷蔵室側壁に設けた各側壁光源ユニット44は上から二
段目と三段目及び三段目と四段目の棚板19間に独立させて設けてあるから、冷蔵室天面の天面光源ユニット43から光の届きにくい中段から下方部分の冷蔵室14内を明るくすることができ、冷蔵室内の視認性を上げることができる。
加えて、上記棚板19間に設けた冷蔵室側壁の各側壁光源ユニット44は各棚板間の高さ方向で中央より上方に設けてあるから、各棚板19間を上方から照射することができ、各棚板19の前方部分に比較的背丈の高い食品が置かれていても奥に載置してある食品を確実に照射でき、視認性を大きく向上させることができる。
一方、冷蔵室14の天面に設けた天面光源ユニット43はその天面光源43aが最上段の棚板19aの前端縁より前方に位置するように設けてあるから、棚板前端縁の前方から冷蔵室14内部を効率よく照射することができ、冷蔵室14内の視認性を更に向上することができる。
しかもこの実施の形態では上記天面光源ユニット43の天面光源カバー43dを最上段の棚板19の前端縁とオーバラップするように位置させてあるから、天面光源43aの光を天面光源カバー43dで拡散して冷蔵室14の上部全域を照射でき、視認性を向上することができる。
次に冷蔵室14内に設けた卵収納ケース50の作用効果について説明する。
この卵収納ケース50は、ケース部51と、複数の凹部52を有する卵収納プレート53とからなり、上記卵収納プレート53はケース部51の奥向に行くほど高くなるように設置した構成としてあるから、卵収納プレート53の凹部52に収納した卵は奥に行くほど上方に位置することになる。したがって、ケース部51を冷蔵室14から引き出さなくても当該ケース部51の手前側から手を差し入れて簡単に卵を取り出すことができる。
また、上記卵収納ケース50は、ケース部51と卵収納プレート53を別体構成として着脱自在としてあるから、ケース部51から卵収納プレート53を取り外して当該ケース部51を卵以外の収納ケースとして利用することができ、収納用途を広げることができる。
更に、前記ケース部51はその側壁の高さを奥に行くほど高くなる形状として係止部55を設けるとともに、卵収納プレート53は前記係止部55に係合する係合部56を設けた構成としてあるから、上記係止部55と係合部56を係合させるだけで卵収納プレート53を傾斜設置できるとともに、当該係止部55と係合部56との係合を外した状態で卵収納プレート53をケース部51に設置することによって卵収納プレート53を水平状態にすることもでき、使用者の好みに応じて使い分けることができる。
また、前記卵収納ケース50はケース部51その前部に把手部54を設けてあるから、ケース部51の引出しが容易になり、卵以外の収納に使用しているときの使い勝手を向上させることができる。
最後に冷凍室18に設けた三段構成の収納ケースの作用効果について説明する。
冷凍室18には扉11の開閉によって出し入れ自在な収納ケースが設けてある。この冷蔵庫では一段、二段、三段に重ねた形で収納ケース58、59。60が設けてあり、多彩な冷凍食品を好みに応じて積み重ねることなく分けて収納することができる。
また、上記三段の収納ケースのうち、一段目と二段目の収納ケース58、59は、既に
述べたように、扉11を開くことによって図37〜図40に示す如くその後端部まで冷蔵庫本体1(冷凍室18)の外まで引き出すことができる。したがって、一段目、二段目の収納ケース58、59の後端壁近傍の奥まった部分に収納している冷凍食品の出し入れが容易になり、使い勝手が向上する。
また、上記の如く引き出される二段目の収納ケース59はこれに設けた連係用突起72が三段目の収納ケース60の後壁上端に係当して三段目の収納ケース60を引き出す。そして、三段目の収納ケース60は、図37、図38に示すようにその後端部を冷蔵庫本体1(冷凍室18)内に残した形で冷蔵庫本体1(冷凍室18)外まで引き出される。したがって、扉11を開いたのちにわざわざ三段目の収納ケース60を手動で引き出す必要がなく、三段目の収納ケース60内への食品の出し入れも扉11を開くだけのワンタッチ操作で行うことができ、使い勝手が向上する。
更にこの三段目の収納ケース60は上記状態から手前側に引き出すと、その最後尾側面に設けた本体摺動用突起70が本体レール71に設けてある山形状突起71aを乗り越えて第二突起68bが二段目の収納ケース59の第二ガイドレール部69に乗り移り、二段目の収納ケース59上を移動させて冷蔵庫本体1(冷凍室18)外まで更に大きく引き出すことができる。したがって、この三段目の収納ケース60もその後端壁まで冷蔵庫本体1(冷凍室18)外に引き出すことができ、三段目の収納ケース60の後端壁近傍の奥まった部分に収納している冷凍食品の出し入れが容易になり、使い勝手が更に良いものとなる。
なお、上記扉11の引出しに伴う各収納ケース58、59、60の動きは図41に示す通りであり、冷蔵庫本体から引き出されていく状態を(a)(b)(c)(d)の順で示している。
また、上記三段の収納ケース58、59、60のうち、二段目と三段目の収納ケース58、59は、扉11を開いた状態で冷蔵庫本体1(冷凍室18)内にそれぞれ押し込むことができるので、一段目の収納ケース58、及び二段目のケース59に対する食品の出し入れは支障なく行うことができる。
この時、上記三段目の収納ケース60はこれを押し込むとその最後尾側面に設けた本体摺動用突起70が本体レール71に乗り移るが、この例では上記本体レール71に設けてある山形状突起71aを乗り越えて自動的に本体レール71に乗り移り、本体レール71と二段目の収納ケース59とによって支持されるようになる。したがって三段目の収納ケース60の冷蔵庫本体1(冷凍室18)への収納を山形傾斜によって円滑なものとすることができ、使い勝手が向上する。
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。つまり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。