JP2018068276A - 検査装置及びその製造方法、検査方法、並びに検査キット及び検査装置製造用転写媒体 - Google Patents

検査装置及びその製造方法、検査方法、並びに検査キット及び検査装置製造用転写媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度の測定ができ、鮮明な判定ラインが得られる標的核酸の検査装置の提供。【解決手段】検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、前記流路部材に設けられた検査対象液滴下部と、前記検査対象液滴下部に滴下された検査対象液中に標的核酸が含まれるときに前記標的核酸に標識を付与する標識部と、前記標識部において標識された前記標的核酸を検出する検出部と、を有し、前記検出部において、前記流路部材上には樹脂からなる成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されている検査装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、検査装置及びその製造方法、検査方法、並びに検査キット及び検査装置製造用転写媒体に関する。
従来より、血液、DNA、食品、又は飲料などの検体の検査を行う目的で、検体を流すための流路が形成された検査装置が用いられている。
前記検査装置の中でも標的核酸を検出することができる核酸クロマト装置は、ウイルスや細菌に由来する核酸(DNA、RNA)の有無、及び特定の疾患や体質に関連した変異遺伝子に由来する核酸の有無を調べることにより、感染症、腫瘍などの遺伝性疾患、体質などを的確に診断することが可能である。また、アレルゲンや特定の食品を検出する食品検査や環境に存在する微生物を検出する環境検査にも応用されている。
例えば、検出部に標的核酸と相補的な配列を有する捕捉核酸を塗布し、前記標的核酸と結合可能な標識体を用いることで標的核酸を検出できる核酸クロマト装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
本発明は、高感度の測定ができ、鮮明な判定ラインが得られる標的核酸の検査装置を提供することを目的とする。
本発明の検査装置は、検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
前記流路部材に設けられた検査対象液滴下部と、
前記検査対象液滴下部に滴下された検査対象液中に標的核酸が含まれるときに前記標的核酸に標識を付与する標識部と、
前記標識部において標識された前記標的核酸を検出する検出部と、を有し、
前記検出部において、前記流路部材上に成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されている。
本発明によると、高感度の測定ができ、鮮明な判定ラインが得られる標的核酸の検査装置を提供することができる。
図1は、本発明の検査装置の一例を示す上面図である。 図2は、図1の検査装置のA−A線での概略断面図である。 図3は、標識体として核酸を用いた場合における、第1の検出部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大断面図である。 図4は、標識体として抗体を用いた場合における、第1の検出部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大断面図である。 図5は、第2の検出部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大図である。 図6は、従来の検査装置におけるメンブレンの概念図である。 図7は、本発明の検査装置に用いられる転写媒体の層構成の一例を示す断面図である。 図8は、本発明の検査キットの一例を示す概念図である。 図9は、比較例1又は比較例101の検査装置の一例を示す上面図である。 図10は、図9の検査装置のB−B線での概略断面図である。
(検査装置)
本発明の検査装置は、検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
前記流路部材に設けられた検査対象液滴下部と、
前記検査対象液滴下部に滴下された検査対象液中に標的核酸が含まれるときに前記標的核酸に標識を付与する標識部と、
前記標識部において標識された前記標的核酸を検出する検出部と、を有し、
前記検出部において、前記流路部材上に成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されており、更に必要に応じてその他の部材を有する。
本発明の検査装置は、従来の検査装置(核酸クロマト装置)では、捕捉核酸等の試薬、標識用指示薬や検出用指示薬等の試薬が、流路部材内部の繊維などに固定化されていたため、検体の展開速度を向上させる目的で、流路部材の材質を任意に選択した場合には、標識核酸や標識用指示薬などの試薬と流路部材との相互作用が強くなり過ぎ、試薬を展開できなくなることや、核酸や検出用指示薬などの試薬と流路部材との相互作用が弱くなり過ぎ捕捉した検体を固定化できなくなるという知見に基づくものである。
また、テストラインやコントロールライン等の判定ラインの形成では、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、捕捉核酸が溶解した液を直接塗布するため、前記親水性の多孔質材料の内部に拡散して存在する。しかしながら、捕捉核酸の分子量は小さく、速いスピードで拡散していくことにより、テストラインやコントロールライン等の判定ラインに滲みや色むらを発生しやすく、特に判定ラインの輪郭部分が不鮮明となる知見、及び、更には前記親水性の多孔質材料の内部に存在する捕捉核酸と結合した金コロイド粒子などの標識用粒子の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することができず、つまり、捕捉核酸の殆どが有効に利用されていないという知見に基づくものである。
<流路部材>
前記検査装置の前記流路部材としては、前記検査対象液を流すことが可能な多孔質の部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親水性多孔質材料などが挙げられる。
前記親水性多孔質材料によって構成される前記流路部材は、空隙を有しており、前記検査対象液が前記空隙内を流れることによって前記流路が形成される。親水性多孔質材料の内部には、気泡が存在し、前記気泡同士が繋がって連続気泡となっていることが好ましい。
前記連続気泡とは、前記気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。
前記連続気泡においては、前記気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、毛細管現象によって液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。
前記流路部材は、前記空隙において、毛細管現象を利用して前記検査対象液を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
前記流路部材の展開速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親水性を示し空隙率が高い材質が好適に用いられる。前記親水性多孔質材料とは、水溶液が容易に浸透可能な多孔質材料である。
前記容易に浸透可能とは、120℃で1時間乾燥した板状試験片の表面に純水0.01mLを滴下する水浸透性の評価試験で、純水0.01mLが10分間以内にすべて浸透することを意味する。
前記親水性多孔質材料の空隙率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40%以上90%以下が好ましく、65%以上80%以下がより好ましい。前記空隙率が、90%以下であると、前記流路部材としての強度を保つことができる。また、前記空隙率が、40%以上であると、前記検査対象液の浸透性に影響がない。前記空隙率は、例えば、前記親水性多孔質材料の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、組成分比重から、下記の計算式1により求めることができる。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ紙、普通紙、上質紙、水彩紙、ケント紙、合成紙、合成樹脂フィルム、コート層を有する専用紙、布地、繊維製品、フィルム、無機基板、ガラスなどが挙げられる。
前記布地としては、例えば、レーヨン、ベンベルグ、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ビニロン等の人造繊維、綿、絹等の天然繊維、又はこれらの混紡繊維、あるいはこれらの不織布などが挙げられる。
これらの中でも、高い空隙率と良好な親水性を有する点から、前記ろ紙が好ましい。前記検査装置を核酸クロマト装置の目的で使用する際には、前記ろ紙はペーパークロマトグラフィーにおける固定相として好適である。
前記親水性多孔質材料の形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記親水性多孔質材料の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.3mm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.01mm以上であると、前記流路部材としての強度を保つことができる。また、前記平均厚みが、0.3mm以下であると、前記検査対象液の必要量を多くする必要がない。なお、本発明において、厚みとは、前記基材と前記流路部材との接触面に対して垂直方向の対象物の長さとすることができる。
<検査対象液滴下部>
前記検査対象液滴下部としては、前記流路部材の前記検査対象液を滴下する場所に形成され、前記流路に前記検査対象液を供給できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の材料から選択することができる。
<標識部>
前記標識部は、前記検査対象液滴下部に滴下された検査対象液中に標的核酸が含まれるときに前記標的核酸に標識を付与する部である。
前記標識部に含まれる標識体が、前記標的核酸と相補的な一本鎖核酸断片を有しており、前記標的核酸と前記標識体がハイブリダイズすることで、前記標的核酸が標識されることが好ましい。
前記標識部に含まれる標識体が、前記標的核酸又は前記標的核酸と結合している化合物又はタンパク質に対する結合能をもつ抗体を有しており、前記標的核酸と前記標識体が抗体抗原反応することで、前記標的核酸が標識されることが好ましい。
−標識体−
前記標識体としては、前記標的核酸と結合することができれば、特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。例えば、前記標的核酸と相補的な配列を有する核酸や、前記検査対象液中において、前記標的核酸に標識されている化合物、又は前記標的核酸と複合体を形成しているタンパク質に対する抗体などが挙げられる。前記核酸を用いる場合においては、目的に応じて、塩基配列及び長さを選択することができ、前記抗体を用いる場合においては、目的に応じた抗原に対する抗体を選択することができる。前記核酸及び前記抗体は標識を有していることが好ましく、例えば、金コロイド標識核酸などが挙げられる。
前記核酸及び抗体を標識する粒子としては、金コロイド以外にも特に限定されることなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属コロイド、酵素を含有する酵素標識用粒子、色素を含有する着色粒子、蛍光物質を含有する蛍光粒子、磁性体を含有する磁性体内包粒子などが挙げられる。前記核酸の種類としては、一本鎖であれば特に制限はなく、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)などが挙げられる。一般的に5から60塩基長の核酸が用いられることが多く、10から40塩基長の核酸が好ましい。
塩基配列に関しては、前記標的核酸と相補的であれば特に制限はないが、前記検出部に固定されている前記捕捉核酸と異なる配列であることが好ましい。
前記核酸は金コロイドなどの標識物と官能基を介し直接結合していてもよく、アビジン・ビオチン、ストレプトアビジン・ビオチン、ニュートラアビジン・ビオチン、抗ビオチン抗体・ビオチン、ハプテン・抗ハプテン抗体、ジゴキシゲニン・抗ジゴキシゲニン抗体などの結合性を利用して結合していてもよい。前記抗体は金コロイドなどの標識物と吸着により結合していてもよく、官能基を介して結合していてもよい。
前記核酸を前記標識体として用いる場合においては、前記標的核酸中の捕捉核酸結合部位と標識体結合部位を特異性や検出温度など目的に応じて適宜選択することができる。前記捕捉核酸結合部位の一端から前記標識体結合部位の一端までが50塩基以下が好ましく、20塩基以下がより好ましく、10塩基以下が更に好ましい。
<検出部>
前記検出部は、前記標識部において標識された前記標的核酸を検出する部である。
前記検出部において、前記流路部材上に成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されている。
また、前記検出部において、前記流路部材上に成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸がリンカーにより結合されていることが好ましい。
なお、前記検出部は、前記流路部材上において、複数配設されていてもよく、それぞれ別の配列を有する捕捉核酸が固定されていてもよい。
また、前記検出部において、前記流路部材上に成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されている。
−成形体−
前記成形体としては、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されている。
また、前記成形体としては、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸がリンカーにより結合されていることが好ましい。
また、前記成形体としては、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列とスペーサーを有する捕捉核酸が固定されていることが好ましい。
前記成形体としては、樹脂の成形体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記捕捉核酸が、前記成形体の前記流路部材に対向する側の面に共有結合により固定されていることが好ましい。また、前記捕捉核酸が、前記成形体の前記流路部材に対向する側の面にリンカーにより結合されていることが好ましい。
前記捕捉核酸が前記成形体の前記流路部材に対向する側の面に固定されていることにより、前記成形体と前記検査対象液との、前記補足核酸と前記標的核酸との親和性を制御することができる。前記親和性を調整する方法としては、例えば、前記成形体を構成する樹脂の種類や、樹脂の組成比を、対応する前記標的核酸に応じて変更する方法などが挙げられる。
−−リンカーによる結合−−
前記リンカーとは、前記補足核酸を前記成形体に固定するために結合(架橋)させる分子である。
前記リンカーによる結合としては、前記捕捉核酸が前記リンカーを介して前記成形体に固定することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、共有結合、配位結合、金属結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合などが挙げられる。これらの中でも、結合の強度の観点から、共有結合が好ましい。
−−樹脂−−
前記成形体を構成する樹脂としては、前記捕捉核酸との結合性を有する官能基を含有している樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水不溶性樹脂であることが好ましい。前記水不溶性樹脂を用いると、前記水不溶性樹脂が前記検査対象液に溶解して、前記流路を詰まらせること、コントロールラインあるいはテストラインなどの判定ラインが滲むことを防ぐことができる。
前記成形体と前記捕捉核酸とは、各々と結合性を有する官能基を有していることが好ましい。
前記成形体における前記捕捉核酸との結合性を有する前記官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アミノオキシアセチル基、ジアゾ基、カルボジイミド基、ビニル基、ニトロ基、スルホン基、スクシンイミド基、ヒドラジド基、アジド基、リン酸基、アズラクトン基、ニトリル基、アミド基、イミノ基、ニトレン基、アセチル基、スルフォニルクロライド基、アシルアザイド基、アンヒドライド基、フルオロベンゼン基、カルボネート基、イミドエステル基、エポキシド基、フルオロフェニルエステル基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記活性エステル基とは、反応性の高いエステル基のことであり、前記活性エステル基の具体例としては、p−ニトロフェニルエステル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基、コハク酸イミドエステル基、フタル酸イミドエステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミドエステル基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記官能基の中でも、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、マレイミド基、チオール基が好ましく、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、活性エステル基、マレイミド基が特に好ましい。
前記成形体は、少なくとも前記成形体における前記流路部材に対向する面において、前記官能基を有していればよく、公知の表面処理方法などにより前記官能基を導入させた前記成形体を用いることができる。この場合、前記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記熱可塑性樹脂が、製造効率の観点から好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂などの直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)共重合樹脂、アクリル酸エステル重合(アクリル)樹脂、メタクリル酸エステル重合(アクリル)樹脂、メタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のエステル樹脂;セルロースアセテート(CA)樹脂、シクロオレフィン系(CO)樹脂、イミン樹脂、エチレンイミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記成形体を構成する前記樹脂以外の化合物としては、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂及び前記樹脂以外の化合物の中でも、用途の観点から、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレンイミン樹脂、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記成形体の表面処理方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記成形体表面への前記カルボキシル基、前記水酸基の導入には、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、及び紫外線照射処理などの方法を用いることができる。これらの中でも、反応効率の高さから酸素雰囲気下でのプラズマ処理やコロナ放電処理が好ましい。また、前記成形体表面への前記アミノ基の導入には、例えば、窒素雰囲気下でのプラズマ処理、アミノアルキルシラン処理などの方法を用いることができる。これらの中でも、処理の簡便性、及び均一性の観点から、前記窒素雰囲気下でのプラズマ処理が好ましい。
前記成形体は非孔質体であることが好ましい。前記非孔質体とは実質的に空隙を含まない非孔質の構造体であり、メンブレン等の液体の吸収を促進するために設けられた空隙を含む多孔質材料とは相反する構造体を指す。従って、例えば、製造工程に偶発的に含まれてしまった気泡であって液体の吸収作用の促進に寄与しないような気泡を僅かに含むものについては非孔質体の範疇に含まれる。
次に、本発明において用いる前記成形体が、非孔質体である場合の特徴を説明する。
従来のテストラインやコントロールライン等の判定ラインの形成には、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、前記捕捉核酸が溶解した液を直接塗布することにより行われる。したがって、前記捕捉核酸は一般的に5から60塩基程度の一本鎖核酸であり、分子量が小さいため、液体の浸透に伴い同心円状に速やかに前記多孔質材料の内部に拡散する。このことにより、テストラインやコントロールライン等の判定ラインに滲みや色むらが発生しやすく、特にラインの輪郭が不鮮明となる。更に、前記多孔質材料の内部に存在する前記捕捉核酸と結合する金コロイド粒子などの標識用粒子の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することはできない。つまり、前記捕捉核酸の殆どが有効に利用されていないことになる。
一般的に、多孔質材料で検知できる発色粒子は表面から5μm程度の深さまでとされる。この5μmの領域に、検査に必要となる前記捕捉核酸を固定させるには、厚み方向への拡散を考慮して多量の前記捕捉核酸を塗布しなければならない。即ち、前記捕捉核酸の塗布量は、多孔質材料の厚みに比例して増加することになる。
一方、本発明では、前記捕捉核酸の固定化には疎水基を多く含む非孔質体からなる樹脂の成形体を用いる場合、前記捕捉核酸は樹脂の成形体の内部に入り込むことがなく、前記成形体の表面にのみ固定化される。前記成形体表面に固定化された前記捕捉核酸に標識用粒子が結合することにより発色するが、光の散乱が起きない非孔質体からなる前記成形体を通して検知することができるため、標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができる。厚み方向に余分な発色粒子が存在することがないので、前記捕捉核酸の塗布量が極めて少ないメリットが生じる。例えば、親水性多孔質材料からなる前記流路部材の厚みを100μmとした場合、表面から5μm分の厚みの発色分しか利用できていないと仮定すると、同じ発色強度を得るのに使用する前記捕捉核酸の量を、本発明では1/20とすることができる。
したがって、本発明では、前記捕捉核酸の固定化には疎水基を多く含む非孔質体からなる前記成形体を用いる場合、標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができ、厚み方向に余分な発色粒子が存在することがないので、前記捕捉核酸の塗布量を従来よりも低減させることができる。
前記成形体は前記流路部材上に固定されていることが好ましい。前記成形体を固定する方法としては、検査時に前記捕捉核酸と前記検査対象液とが接触可能となるような状態で固定化する方法であれば特に限定されない。例えば、熱転写プリンタなどを用いて前記成形体を構成する樹脂を前記流路部材上に熱転写する方法、ドットインパクトプリンタなどを用いて前記成形体を構成する樹脂に圧力を加えて転写する方法、前記成形体を構成する樹脂をテープや接着剤、粘着剤などで前記流路部材上に貼り付ける方法などが挙げられる。
−リンカー−
前記リンカーとしては、前記リンカーの一端に前記成形体前面の官能基と反応性を有する官能基を、別の一端に前記捕捉核酸に導入された官能基と反応性を有する官能基を有していればよく、目的に応じて強度を適宜選択することができる。前記リンカーが唯一の官能基を有し、前記成形体前面の官能基及び前記捕捉核酸に導入された官能基と連続的に反応する反応性を有しているものでもよい。
前記リンカー中の2つの官能基間にスペーサーが挿入されていてもよく、前記官能基間の距離は、少なくとも3Å(0.3nm)が好ましく、3Å(0.3nm)から35Å(3.5nm)がより好ましく、3Å(0.3nm)から25Å(2.5nm)が更に好ましい。 標的核酸と捕捉核酸の結合を阻害しない観点から、前記官能基間の距離が長い場合において前記スペーサーは水溶性樹脂であることが好ましい。
前記成形体及び前記捕捉核酸との結合性を有する前記官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アミノオキシアセチル基、ジアゾ基、カルボジイミド基、ビニル基、ニトロ基、スルホン基、スクシンイミド基、ヒドラジド基、アジド基、リン酸基、アズラクトン基、ニトリル基、アミド基、イミノ基、ニトレン基、アセチル基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性エステル基とは、反応性の高いエステル基のことであり、前記活性エステル基の具体例としては、p−ニトロフェニルエステル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、コハク酸イミドエステル基、フタル酸イミドエステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミドエステル基などが挙げられる。
これらの中で、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、マレイミド基、チオール基が好ましく、カルボキシル基、アミノ基、活性エステル基、マレイミド基が特に好ましい。
前記水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、一本鎖DNA、RNA又はPNAからなるポリヌクレオチド、ポリペプチドなどが挙げられる。
前記リンカーが一端にN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基を有しており、前記成形体表面のアミノ基とアミド結合しているものが好ましい。
前記リンカーが一端にマレイミド基を有しており、前記捕捉核酸の5’末端もしくは3’末端に導入されたチオール基とチオエーテル結合しているものが好ましい。
前記リンカーにおける前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基との間には原子が存在し、少なくとも3Å(0.3nm)離れていることが好ましい。前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基を有する前記リンカーの一例としてGMBSの構造式を下記に示す。
前記構造式中、矢印で指し示した前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基中の炭素原子と、前記マレイミド基中の炭素原子との距離は、前記リンカーにおいて、前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基の化学結合の距離から、少なくとも3Å(0.3nm)離れている。
前記リンカーにおける前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基との距離は、3Å(0.3nm)から35Å(3.5nm)離れていることがより好ましく、前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基との距離が、3Å(0.3nm)から25Å(2.5nm)離れていることが更に好ましい。
実験的には、前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基とが少なくとも7.3Å(0.73nm)離れているものが好ましく、7.3Å(0.73nm)から32.5Å(3.25nm)離れているものがより好ましく、7.3Å(0.73nm)から24.6Å(2.46nm)離れているものが更に好ましい。
前記リンカーが、前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基との間に、ポリエチレングリコール(PEG)を有するものが好ましい。
−スペーサー−
前記スペーサーとは、間にはさんで空間(距離)を確保するための分子である。前記スペーサーを構成する分子種としては特に制限はなく、用途に応じて選択することができる。前記捕捉核酸中の前記スペーサーは、前記成形体と前記標的核酸と結合可能な相補的な配列の間に位置するように挿入されていることが好ましい。前記成形体と前記標的核酸と結合可能な相補的な配列の間に前記スペーサーが位置することにより、前記捕捉核酸と前記標的核酸及び前記標識体との結合効率の向上し、配列特異性も向上する。
前記スペーサーは、アルキル基、又はアルキル基とリン酸基からなることが好ましい。このようなスペーサーの一例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
前記スペーサー中の前記アルキル基が、炭素数を2から12とする直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記スペーサーが、アルキル基とテトラヒドロフラン基とリン酸基からなることが好ましい。このようなスペーサーの一例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
前記スペーサー中に含まれる主鎖の原子数が10から40であることが好ましい。
前記スペーサーは、下記一般式Iで表されるものであることが好ましい。この一般式Iのスペーサーは、繰り返しリン酸基を有することから水溶液中において直鎖構造をとりやすく、距離が長くなっても構造を維持し、距離を保つことができる。
[一般式I]
前記一般式Iにおいて、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。Rは置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。Rの置換のアルキレン基が環状構造を有するアルキレン基である。
前記環状構造としては、例えば、置換もしくは無置換のヘテロ環、置換もしくは無置換のフェニル基などが挙げられる。
及びRの無置換のアルキレン基の炭素数は2から24が好ましく、Rの置換のアルキレン基の炭素数は4であることが好ましい。
nは整数であり、20以下が好ましく、0〜5がより好ましい。
前記スペーサーとしては、適度な原子数を有し、水溶性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。デオキシリボ核酸(DNA)をはじめとする核酸の合成は一般に固相合成によって行われる。例えば、DNA合成の場合、CPGと呼ばれる多孔質の固相上で行われ、DNAの3’末端がCPGに固定されており、5’方向に一塩基ずつカップリングを行い伸長させる。カップリングの各ステップはホスホロアミダイトで誘導体化されたDNAのモノマーであるヌクレオシドがそれぞれ順に結合することにより行われる。このヌクレオシドには、3’−OH基に反応性のあるホスホロアミダイトが、一方、5’−OH基には保護基であるジメトキシトリチル基がそれぞれ結合している。ジメトキシトリチル基除去と目的の塩基を有するヌクレオシドのカップリング、未反応部位のキャッピングを繰り返すことで、ヌクレオシドのホスホロアミダイドと5’−OHが反応し伸長する。核酸の固相合成における伸長反応と同様にして反応可能なホスホロアミダイトで誘導体化されたスペーサー分子(モノマー)が市販されており、汎用性の観点から、前記スペーサーとして適している。例えば、直鎖状のアルキル基とリン酸基からなる炭素数2のC2リンカー、炭素数3のC3リンカー、炭素数4のC4リンカー、炭素数6のC6リンカー、炭素数9のC9リンカー、炭素数12のC12リンカー、ポリエチレングリコールとリン酸基からなるスペーサー9、スペーサー18が好ましい。また、テトラヒドロフラン基とリン酸基からなる1,2−ダイデオキシリボース(dスペーサー)やデオキシ−D−リボース(rスペーサー)が好ましい。特にC2リンカー、C3リンカー、C4リンカー、dスペーサー、rスペーサーが好ましく、C3リンカー、dスペーサーがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、あるいは併用してもよい。
[C3リンカー]
[dスペーサー]
前記スペーサーの分子長としては、特に制限はなく、目的に応じ適宜選択、調整することができる。核酸合成が固相合成で行われることから、一般的に前記捕捉核酸に前記官能基が導入された場合、前記官能基−核酸間にアルキル基からなるスペーサーが挿入される。前記官能基としてカルボキシル基を有する前記捕捉核酸が前記成形体に結合した際の化学式を下記に示す。
本発明においては、上記化学式中の矢印で示す前記成形体が有していた前記官能基から前記捕捉核酸中の核酸部分の最初のリン酸基のO原子までの主鎖の原子数をスペーサーの分子長とする。上記化学式中においては、スペーサーは原子数11の分子長を有する。前記C3リンカーやdスペーサーを挿入する場合においては、上記化学式中のアルキル基と核酸部分の最初のリン酸基の間に挿入される。前記スペーサーの分子長としては、原子が1個以上挿入されていればよい。主鎖の原子数4から100であることが好ましく、7から60であることがより好ましい。実験的には、主鎖の原子数7から40が好ましく、13から40がより好ましい。
−捕捉核酸−
前記捕捉核酸としては、前記成形体表面の前記官能基に共有結合し得る官能基を有していることが好ましく、前記標的核酸、及び前記標識体の少なくともいずれか一方と結合するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜塩基配列及び長さを選択することができる。
前記捕捉核酸が一本鎖でありかつ末端に前記官能基が修飾されており、前記標的核酸とハイブリダイズ可能であることが好ましい。
前記捕捉核酸の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)などが挙げられる。一般的に5から60塩基長の核酸が用いられることが多く、10から40塩基長の核酸が好ましい。
前記成形体表面の前記官能基に共有結合で結合し得る、前記捕捉核酸の前記官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アミノオキシアセチル基、ジアゾ基、カルボジイミド基、ビニル基、ニトロ基、スルホン基、スクシンイミド基、ヒドラジド基、アジド基、リン酸基、アズラクトン基、ニトリル基、アミド基、イミノ基、ニトレン基、アセチル基、スルフォニルクロライド基、アシルアザイド基、アンヒドライド基、フルオロベンゼン基、カルボネート基、イミドエステル基、エポキシド基、フルオロフェニルエステル基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性エステル基とは、反応性の高いエステル基のことであり、前記活性エステル基の具体例としては、p−ニトロフェニルエステル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基、コハク酸イミドエステル基、フタル酸イミドエステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミドエステル基などが挙げられる。
前記捕捉核酸の前記官能基の中で、カルボキシル基、酸無水物、活性エステル基、アルデヒド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、トシル基、ビリジルジスルフィド基、ブロモアセチル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、マレイミド基、チオール基が好ましく、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、活性エステル基、マレイミド基が特に好ましい。
導入位置は前記核酸の分子鎖末端あるいは分子鎖中であってもよいが、標的核酸との効率よく結合するために、分子鎖末端に導入されていることが好ましく、目的に応じて、5’末端又は3’末端を選択することができる。
前記捕捉核酸を、前記成形体に固定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記成形体の表面が有する前記官能基と、前記捕捉核酸に含まれる前記官能基とが直接共有結合を形成する方法、前記成形体と前記捕捉核酸の間に適当な鎖長をもった化合物を媒体(スペーサー)として導入する方法などが挙げられる。
前記カルボキシル基を表面に有する前記成形体を用いる場合、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)のような水溶性カルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下で、前記捕捉核酸の分子中に導入されたアミノ基を、前記成形体表面のカルボキシル基に反応させてアミド結合を形成することにより、前記捕捉核酸が前記成形体に結合することができる。また、アルデヒド基を表面に有する前記成形体を用いる場合、前記捕捉核酸の分子中に導入されたアミノ基を、アルデヒド基と反応させてシッフ塩基を形成し、水素化シアノホウ素ナトリウムなどの還元剤を反応させて安定な共有結合を形成する方法などが挙げられる。
具体的には、前記成形体表面に前記捕捉核酸を固定する際には、前記捕捉核酸を溶解又は分散させる液体を塗布する方法が好ましい。前記捕捉核酸を溶解又は分散した液体のpHに特に制限はなく、固定化反応に適したpHを設定することができる。ただし、前記捕捉核酸がRNAである場合においては、アルカリ条件下においてはRNAが加水分解されてしまうことから、pH9.0未満であることが好ましい。捕捉核酸固定化後は、固定した表面を、界面活性剤を含む水や緩衝液で洗浄することで、不要な成分を除去することができる。また、固定した表面に前記核酸と反応しうる官能基が残っている場合、表面に残存する官能基の不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。
−−共有結合−−
前記共有結合の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミド結合、エステル結合、チオ尿素結合、チオエーテル結合、エーテル結合、イミン結合、ジスルフィド結合などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イミン結合とは、R1−CH=N−R2のことを意味する。ただし、R1、R2は異なるアルキル基を示し、R1とR2は同一であってもよい。
なお、前記捕捉核酸が、前記成形体表面に共有結合していることは、FT−IR ATR法などにより確認することができる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、標識体供給部、標識体展開部材、基材、吸収部材などが挙げられる。
−標識体供給部−
前記標識体供給部としては、標識体を前記流路部材に供給することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、別の装置及び器具を用いて、前記流路に滴下する構造、前記流路上に前記標識体を含む標識体展開部材を積層して前記標識体を供給する構造などが挙げられる。これらの中でも、前記標識体展開部材を有する構造が好適に挙げられる。
−標識体展開部材−
前記標識体展開部材としては、前記標識体を展開可能な状態で担持することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて公知の材料から選択することができ、例えば、セルロース濾紙、ガラス繊維、不織布などが挙げられる。
前記標識体展開部材に前記標識体を担持させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記標識体を一定量含浸させて、乾燥して作製する方法などが挙げられる。
特に、前記標識体展開部材としては、前記検査対象液が浸透した際に、前記標識体が容易に溶出されて、前記検査対象液と共に移動していく必要があるため、一般的に前記標識体に対する吸着力が弱いガラス繊維が好ましい。前記標識体展開部材は、例えば、前記標識体を担持したグラスファイバなどが前記流路部材上において、前記検出部よりも上流側に、前記標識体展開部材が前記標識体を展開可能な状態で配設される。すると、前記検査対象液を後述する滴下部などに滴下するだけで、前記検査対象液に前記標識核酸が含まれている場合に、前記標識体供給部の前記標識体展開部材により、前記標識核酸に前記標識体が結合してから、前記標識核酸が前記標識体と共に前記第二拡散固定部に向かって展開されることで、検査をすることができ、前記検査装置の操作を簡略化させることができる。
−基材−
前記基材としては、その構造、材質、及び形状などについて特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。
前記基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材の上面に前記流路部材が積層されている構造などが挙げられる。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機、無機又は金属製のものが挙げられる。また、前記基材は、特に限定されないが、少なくとも1面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。前記検査装置をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ、安価である合成樹脂を前記基材として用いることが好ましい。また、プラスチックシートなどの耐久性が高い材質を前記基材として選択できるので、結果として前記検査装置の耐久性も向上する。
前記基材の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニルエーテル、ポリブチレンフタレート、ABS樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低価格で汎用性が高いことから、ポリエチレンテレフタレート製の前記基材を用いることが特に好ましい。
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記基材の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましい。平均厚みが、0.01mm以上であると、前記基材としての強度が適正であり、0.5mm以下であると、フレキシブル性があり、センサとして好適である。
前記平均厚みは、例えば、測定対象物の厚みを長手方向に5箇所、幅方向に3箇所、測定箇所がほぼ均等の間隔となるように合計15箇所をマイクロメーターで測定したときの厚みの平均値とすることができる。
−吸収部材−
前記吸収部材としては、前記検査対象液の液体を吸収するものであれば、特に制限はなく、公知の材料から選択することができ、例えば、前記液体が水の場合は、紙、布などの繊維、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物の部分架橋体、多糖類の部分架橋体などが挙げられる。
ここで、図面を用いて本発明の検査装置について詳細に説明する。なお、本発明においては、2つの前記検出部を用いており、それぞれ別の捕捉核酸が固定されているため、一方の検出部を「第1の検出部50a」とし、他方の核酸固定部を「第2の検出部50b」と称する。
図1は、本発明の検査装置の一例を示す上面図である。図2は、図1のA−A線における概略断面図である。図3は、標識体として核酸を用いた場合における、第1の検出部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大断面図である。図4は、標識体として抗体を用いた場合における、第1の検出部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大断面図である。図5は、第2の検出部と流路部材との接する部分を説明する部分拡大図である。
図1及び図2に示すように、本発明の検査装置10は、血液、髄液、尿、あるいは検査抽出液(スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)などのように、親水性の前記検査対象液を流すための前記流路が形成された多孔質の流路部材30と、流路部材30上に設けられた、標識体(核酸)供給部40と、第1の検出部50aと、第2の検出部50bとを有しており、第1の検出部50a、及び第2の検出部50bにおける流路部材30に対向する面には、図3から図5に示すように、検査対象液12に含まれる標的核酸14、及び前記標識体(核酸)の少なくともいずれか一方と反応する第1の捕捉核酸17、及び第2の捕捉核酸18が固定されている。なお、第1の捕捉核酸17が標的核酸14と結合し、第2の捕捉核酸18が標識体(核酸)16と結合する。これにより、複数の前記検出部毎に、それぞれの前記成形体と捕捉核酸との共有結合の強さを調整できるようになるので、流路部材30を目的に応じて適宜選択した場合でも、捕捉核酸の固定を制御しやすくなる。
なお、以下の説明においては、前記検査対象液が、血液、髄液、尿、或いは検体抽出液(スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の液体である場合について説明をする。
図1及び図2に示すように、検査装置10において、流路部材30が基材20上に設けられており、基材20及び流路部材30上の一端において、吸収部材70が設けられている場合について説明するが、本発明の検査装置10は、このような形態に限定されるものではない。流路部材30上に設けるとは、検査装置10を配置したときの向きとは関係なく、流路部材に接して設けることを意味している。また、第1の検出部50a及び第2の検出部50bのうち、任意の検出部を示す場合には、検出部50と表す。なお、前記捕捉核酸は、共有結合により固定されていればよい。
なお、図1〜図5で示すように、第1の検出部50aは、標的核酸14の有無を判定するためのテストラインとして用いており、第2の検出部50bは、標識体(核酸)16が到達したことを示すコントロールラインとして用いている。
図1及び図2に示すように、標識体(核酸)供給部40は、流路部材30上に接するように配設されている。なお、上述したように、標識体(核酸)供給部40は、検出部50の上流側において、標識体(核酸)16を展開可能な状態で保持しており、図2に示すように流路部材30側の面において、標識体(核酸)16を保持している。
第1の検出部50aは、図1及び図2に示すように、流路部材30上に接触するように配設されている。また、図3及び図4に示すように、第1の検出部50aは、表面に第1の捕捉核酸17との結合性を有する官能基を有している。第1の捕捉核酸17は、第1の検出部50a表面の官能基に結合し得る官能基を有しており、これにより、第1の検出部50aにおける流路部材30に対向する面において、共有結合52を形成し固定される。流路部材30及び第1の検出部50aの前記対向する面との間に形成される隙間に、検査対象液12が充填されたときに、第1の捕捉核酸17は、標識体(核酸)16に結合した状態の標的核酸14を捕捉する。これにより、標的核酸14及び標識体(核酸)16が固定されて呈色するので、第1の検出部50aを標的核酸14の有無を判定するテストラインとして用いることができる。図4中19は標識体(抗体)であり、図4においては、第1の捕捉核酸17は、標識体(抗体)19に結合した状態の標的核酸14を捕捉する。
なお、標的核酸と捕捉核酸の結合の阻害を防ぐために、第1の検出部50aの前記成形体の樹脂は、水不溶性樹脂である。本発明において、水不溶性とは、実質的に水に不溶であることを指す。ここで、実質的に水に不溶であるとは、25℃下で24時間、大量の水中に浸漬した後、真空乾燥等の方法によって十分に乾燥した際の、樹脂の質量変化量が1質量%以下であることを意味する。1質量%以下の質量変化は樹脂生成物中に含まれる副生成物(モノマー成分など)が水中に溶け出し質量が減少することがあるためである。
第2の検出部50bは、図1及び図2に示すように、第1の検出部50aよりも下流側に流路部材30上に接触するように配設されている。また、図5に示すように、第2の検出部50bは、表面に第2の捕捉核酸18との結合性を有する官能基を有している。第2の捕捉核酸18は、第2の検出部50b表面の官能基に結合し得る官能基を有しており、これにより、第2の検出部50bにおける流路部材30に対向する面において、共有結合52を形成し固定される。流路部材30及び第2の検出部50bの前記対向する面との間に形成される隙間に、検査対象液12が充填されたときに、第2の捕捉核酸18は、標識体(核酸)16を捕捉する。これにより、標識体(核酸)16が固定されて呈色するので、第2の検出部50bを標識体(核酸)16が到達したことを示すコントロールラインとして用いることができる。なお、第1の検出部50aと同様に、標識体と捕捉核酸の結合の阻害を防ぐために、第2の検出部50bの前記成形体の樹脂は、水不溶性樹脂である。
滴下部80は、図1及び図2で示すように、標識体(核酸)供給部40を覆うように基材20の上流側となる端部に配設されている。
吸収部材70は、滴下部80とは逆に、下流側となる端部に流路部材30を覆うように基材20に配設されている。
なお、本発明の検査装置は、核酸のハイブリダイゼーション及び抗体抗原反応を用いたものに限定されない。例えば、前記検査装置は、試薬として、構造変化により色相が変化する試薬を用いることで、前記検査対象液に含まれる特定の成分を検査するものであってもよい。
また、図6に示す従来の検査装置におけるメンブレンの概念図からもわかるように、従来の検査装置において捕捉核酸17は、メンブレンを構成する繊維F2に固定化されていたので、メンブレンに固定化させることが可能な捕捉核酸17は、繊維F2との結合力が強いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置は、設計上、使用可能な繊維F2や捕捉核酸17が限られたものになる。しかしながら、本発明の検査装置では、前記検出部において、前記成形体と、前記捕捉核酸などの試薬とを共有結合により固定させているため、前記成形体と、前記捕捉核酸との共有結合の強さや、前記検査対象液との親和性を制御することができるため有利である。
(検査装置製造用転写媒体)
本発明の検査装置製造用転写媒体は、本発明の検査装置を製造するための媒体であって、前記検査装置製造用転写媒体としては、前記流路に転写することで前記検出部を形成することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、支持体と、剥離層と、試薬固定化層とを有し、必要に応じてその他の層を有してもよい。
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造、及び積層構造などが挙げられる。
前記支持体の大きさとしては、特に制限はなく、前記検査装置の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、セルロースアセテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
前記支持体の表面には、前記支持体の上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、などが挙げられる。
前記支持体は、後述する試薬固定化層を前記基材又は前記流路部材などに転写後、そのまま残しておいてもよく、また、前記試薬固定化層を転写後、後述する剥離層で前記支持体などを剥離し除去してもよい。
前記支持体としては、特に制限はなく、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記支持体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上50μm以下が好ましい。
<剥離層>
前記剥離層は、転写の際に、前記支持体と前記試薬固定化層との剥離性を向上させる機能を有する。また、前記剥離層は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、前記試薬固定化層の切断を容易にする機能を有する。前記剥離層は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含んでなる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法などが挙げられる。
前記剥離層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。
前記剥離層の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。
<試薬固定化層>
前記試薬固定化層は、前記検査装置における前記検出部の前記成形体を構成する樹脂のいずれか一方を含んでいれば、その材料などに、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記試薬固定化層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法や、前記検出部を構成する樹脂を溶剤に分散させた試薬塗布液を、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどの一般的な塗布法により、試薬固定化層塗布液を前記支持体上又は前記剥離層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
前記試薬固定化層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200nm以上50μm以下が好ましい。前記試薬固定化層の平均厚みが、200nm以上であると、前記成形体の耐久性がよく、摩擦や衝撃などによって前記成形体が破損する恐れがなく、50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱が均一に伝わり、鮮明性がよい。
前記試薬固定化層における試薬固定化層塗布液の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が、0.2g/m以上であると、塗布量が十分であり、前記検出部に欠損が生じず、50g/m以下であると、乾燥に時間がかからず、前記検出部にムラなどが生じない。
試薬固定化層塗布液を乾燥して前記試薬固定化層が形成された後、前記試薬固定化層の表面に、前記捕捉核酸を溶解又は分散させる液体を塗布し、均一な塗膜を形成する。前記捕捉核酸の固定後は、固定した表面を界面活性剤を含む水や緩衝液で洗浄することで、不要な成分を除去する。また、固定した表面に、前記捕捉核酸と反応し得る官能基が残っている場合、表面に残存する官能基の不活性化処理をアルカリ化合物、或いは一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。以上により、前記捕捉核酸を、前記試薬固定化層の表面に固定させることができる。なお、塗膜は、均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。乾燥方法としては、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥及び凍結乾燥など、特に限定されないが、減圧下又は真空下乾燥させることが好ましい。乾燥温度としては、室温20℃〜50℃の下、乾燥時間としては30分間〜24時間乾燥させるのが好ましい。乾燥温度が20℃より高温の場合、乾燥時間を短くすることで生産性が向上し、50℃より低温の場合、試薬が熱により変性する恐れがない。また、乾燥時間が30分間より長い場合、乾燥が十分であり、24時間より短い場合、生産性が向上し樹脂の変色を考慮する必要がない。
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バック層、アンダー層、保護フィルムなどが挙げられる。
−バック層−
前記バック層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記転写媒体には、前記支持体の前記剥離層側の面とは反対側の面に、前記バック層が設けられていることが好ましい。前記反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で前記検出部の前記成形体の形状に合わせて熱が直接印加される。このため、前記バック層は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。前記バック層は、バインダー樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサン等の無機微粒子、滑剤などが挙げられる。
前記バック層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター等の一般的な塗布法などが挙げられる。
前記バック層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
−アンダー層−
前記アンダー層としては、前記支持体と前記剥離層との間、又は前記剥離層と前記試薬固定化層との間に設けることができる。前記アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記試薬固定化層及び前記剥離層で用いた各種樹脂が使用可能である。
−保護フィルム−
前記試薬固定化層上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために保護フィルムを設けることが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、前記試薬固定化層から容易に剥がすことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン紙、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシートなどが挙げられる。前記保護フィルムの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
従来においては、前記捕捉核酸が固定化された樹脂の成形体を検査装置製造用転写媒体に加工した場合、転写媒体を芯に巻きつけてロール状にして何層も重ねて収納する必要があるが、物理吸着のように前記捕捉核酸と樹脂の成形体との結合力が弱いと、試薬が転写媒体の裏側(試薬が固定化されている面とは反対側)に移りやすく、保存安定性が低いという課題がある。
一方、本発明では、共有結合により前記捕捉核酸を固定化しているため、転写媒体を重ねた場合にも試薬が転写媒体の反対側に移りづらく保存安定性が高いという利点がある。
(検査装置の製造方法)
本発明の検査装置の製造方法は、前記転写媒体の前記試薬固定化層と、前記流路部材とを接触させて、前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでなる。
前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記流路部材に対して熱転写する方法などが挙げられる。
検査装置の製造方法である、前記試薬固定化層の転写を図面を用いて詳細に説明する。
図7は、検査装置に用いられる転写媒体の積層状態を示す断面図である。前記試薬固定化層の転写は、前記流路上であれば前記流路の構造などに、特に制限はなく、目的に応じて適宜形成することができるが、ここでは前記流路部材に対して熱転写する方法を説明する。
図7に示すように、転写媒体100は、支持体101、剥離層102、試薬固定化層103がこの順に積層され、更に支持体101の剥離層102が積層された面とは逆面にはバック層104が設けられている。
試薬固定化層103を流路部材30に熱転写する方法としては、転写媒体100の試薬固定化層103と、流路部材30とを接触させて、試薬固定化層103を流路部材30に転写する工程を含む方法が挙げられる。熱転写に用いられるプリンタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等を有するサーマルプリンタが挙げられる。熱転写における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mJ/dot以上0.5mJ/dot以下が好ましい。前記印加エネルギーが、0.05mJ/dot以上であると、試薬固定化層103の溶融が十分であり、0.5mJ/dot以下であると、試薬が熱により変性する恐れがなく、試薬固定化層103以外の転写媒体100を溶かす恐れがないため、サーマルヘッドを汚すことがない。
<検査装置の用途>
前記検査装置の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、核酸クロマト装置、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途などにおける小型の分析機器(化学センサ)などが挙げられる。これらの中でも、核酸クロマト装置として好適である。
前記核酸クロマト装置は、ウイルスや細菌に由来する核酸(DNA,RNA)の有無、及び特定の疾患や体質に関連した変異遺伝子に由来する核酸の有無を調べることにより、感染症、腫瘍などの遺伝性疾患、体質などを的確に診断することが可能である。また、アレルゲンや特定の食品を検出する食品検査や環境に存在する微生物を検出する環境検査にも応用されている。
生化学の分野の検査に用いる試料(検体)としては、標的となる一本鎖核酸を含んでいるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、あるいは糞尿等の***物、などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞、試験管内での***卵細胞の一部などであってもよい。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、核酸抽出処理、核酸増幅、変性、又はこれらの組合せ等による処理を予め施されていてもよい。
また、前記検査装置は、前記流路部材が固定相として働くため、検査対象液をクロマトグラフィー(分離、精製)する機能も有する。この場合、内壁が親水性を示す連続気泡を有する前記流路部材が固定相(担体)となる。検査対象液中の各成分は、流路内を浸透する過程で固定相との相互作用の違い、即ち、親疎水性の違いにより流路内を流れる速度に差が生じる。
これは親水性の高い成分ほど、固定相である多孔質部に吸着しやすく、脱吸着を繰り返す回数が多いため、流路内を浸透する速度が遅い。反対に疎水性の高い成分は固定相に吸着することなく浸透するので、流路内をすばやく移動する。検査対象液中の移動速度の差を利用することで、前記検査対象液の対象成分選択的に抽出、反応させることで、本発明の検査装置を高機能な化学あるいは生化学用途のセンサとして用いることができる。
(検査方法)
本発明の検査方法は、本発明の検査装置を用いて検査するための検査方法であれば特に限定されないが、前記流路部材に、検体を供給する検体供給工程と、前記検体の一部を前記成形体に固定されている前記捕捉核酸により捕捉させる工程と、を含むものであってもよい。
具体的な処理としては、まず、検査装置10の流路部材30に設けられた滴下部80(図1及び図2参照)に検査対象液12を滴下して供給する。続いて、供給された検査対象液12と、標識体(核酸)供給部40に保持されている標識体(核酸)16とを接触させ、標識体(核酸)供給部40から標識体(核酸)16を放出させる。検査対象液12に標的核酸14が含まれている場合、標識体(核酸)供給部40から放出された標識体(核酸)16は標的核酸14と反応して結合する。
続いて、標識体(核酸)16及び標的核酸14を含む検査対象液12は、流路部材30に沿って展開され第1の検出部50aが配設された領域に到達する。第1の検出部50aにおける、流路部材30に対向する面に固定されている第1の捕捉核酸17は、標識体(核酸)16が結合した状態の標的核酸14と結合して捕捉する。なお、上述したように、第1の捕捉核酸17は、共有結合52を介して前記成形体に固定されているので、検査対象液12と接触しても検査対象液12に親和せず放出されにくい。また、一部の第1の捕捉核酸17が検査対象液12中に放出されたとしても、流路部材30を構成する繊維に即座に結合する。これにより、標識体(核酸)16は、第1の検出部50aの近傍に固定化されることになるので、テストラインとして機能する第1の検出部50aが明瞭に呈色する。
第1の検出部50aにおいて捕捉されずに通過した標識体(核酸)16は、流路部材30に沿って展開され第2の検出部50bが配置された領域に到達する。第2の検出部50bでは、標識体(核酸)16と第2の捕捉核酸18とが結合することにより、捕捉される。第2の捕捉核酸18は固定されているため、コントロールラインとして機能する第2の検出部50bが明瞭に呈色する。
(検査キット)
本発明の検査キットは、本発明の検査装置と、検体を採取するための検体採取手段と、を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
上記の本発明の検査方法により検査を行う場合、図8に示すように、検査装置10と、検体を採取するための器具(検体採取手段の一例)、及び、検体を処理するための液体の少なくとも一方と、を有する検査キットを用いることができる。
前記検体を採取する器具としては、例えば、咽頭あるいは鼻腔等から検体を採取するための滅菌綿棒201等の公知の器具が挙げられる。検体を処理するための液体としては、検体を希釈するための希釈液202、検体を抽出するための抽出液等の公知の液体が挙げられる。
上記実施形態では、前記標識体(核酸)供給部及び前記検出部から供給される試薬が核酸である場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。ケミカルアッセイで用いられる指示薬は溶液の化学的性質を指示する試薬を指す。
前記指示薬としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH指示薬、鉛イオン、銅イオン、亜硝酸イオン等の各種イオンと反応して変色する各種イオノフォア、各種農薬と反応して変色する試薬などが挙げられる。
上記実施形態では、転写の際に、転写媒体100における支持体101と試薬固定化層103とを熱により剥離する例について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、支持体101と試薬固定化層103とを光によって剥離してもよい。この場合、剥離層102に、カーボンブラックなどの光吸収剤を混ぜておいて、それに光を吸収させて熱を生じさせることにより、剥離層102を溶融させ、試薬固定化層103を剥離してもよい。あるいは、剥離層102に、光照射によって変質する材料を混ぜておいて、それに光を吸収させて剥離層102を脆くすることにより、試薬固定化層103を剥離してもよい。
上記実施形態では、流路部材30の全体に流路が形成されている例を示したが本発明はこれに限定されない。流路部材30の一部に流路を形成する方法としては、例えば、公知の方法により、親水性多孔質部材の空隙に、疎水性の材料を充填することにより、流路の外縁となる流壁を形成する方法が挙げられる。
また、本実施形態の検査装置10において、流路部材30に手が触れたときの汚染を防ぐ目的で、任意の保護部材を設けてもよい。このような保護部材としては、例えば、検査装置10の全体を覆うハウジングや、流路部材30上に設けられるフィルムなどが挙げられる。保護部材を設ける場合、流路部材30の滴下部80の上部には開口が設けられていることが好ましい。また、保護部材には、流路内の圧力を開放するための開口が設けられていることが好ましい。
上記実施形態において、前記検査対象液が親水性の場合について説明したが、この形態に限定されない。例えば、前記検査対象液は、親油性や、親溶媒性のものであってもよく、親溶媒性のものとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)等のケトン類などの有機溶媒を含む親溶媒性のものであってもよい。親溶媒性のものである場合、上記の実施形態における、「親水性」は「疎水性」に置き換えられ、「疎水性」は「親水性」に置き換えられることになる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
(調製例2)
−剥離層塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21質量%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層塗布液を得た。
(調製例3)
−試薬固定化層塗布液の調製−
アミノエチル化アクリルポリマー(ポリメントNK−380、株式会社日本触媒製)に溶媒としてトルエンを加え、15質量%になるように希釈し、試薬固定化層塗布液を得た。
(調製例4)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSulfo−GMBS(ThermoSCIENTIFIC社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例5)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSulfo−GMBS(ThermoSCIENTIFIC社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例6)
−標識体(核酸)用試薬塗布液の調製−
カルボキシル基が修飾された金コロイドに対し、3’末端にアミノ基を導入したグアニン(G)を連続して20塩基有するDNA断片を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Thermo Scientific社製)を用いてアミド結合させ、50mMのTris−HClバッファー(pH8.2)で洗浄した後、標識体希釈液(20mMのTris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、5質量%スクロース及び精製水)で懸濁し、OD=2に調整し、標識体用試薬塗布液を得た。
(調製例7)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)4(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例8)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)4(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例9)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、TEバッファー(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.4、タカラバイオ株式会社製)で25μMに調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例10)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、TEバッファー(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.4、タカラバイオ株式会社製)で25μMに調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例11)
−標識体(抗体)用試薬塗布液の調製−
金コロイド溶液(BBI社製、EMGC50)9mLに50mMに調製したKHPOバッファー(pH7.0)1mLを加えた後、更に50μg/mLに調製した抗ビオチンモノクローナル抗体(Bethyl Laboratories社製、Anti−Biotin、Goat−Poly A150−111A)を1mL加え、攪拌した。これを10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、168−11285)を550μL加え攪拌した後、更に、10質量%BSA水溶液(シグマ アルドリッチ社製、A−7906)を1.1mL加え攪拌した。
次に、この溶液を30分間遠心した後、上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。なお、遠心は遠心機(日立工機株式会社製、himacCF16RN)を用い、遠心加速度8,000×g、4℃の条件にて行った。その後、金コロイド保存液[20mMのTris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール(重量平均分子量2,000)、150mMのNaCl、1質量%BSA水溶液、0.1質量%NaN水溶液]20mLに分散し、再び上記と同様の条件にて遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。これらの操作を繰り返し、金コロイド保存液でOD=15になるように調製し、標識体用試薬塗布液とした。
(調製例12)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例13)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例14)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例15)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例16)
−試薬固定化層塗布液の調製−
アミノ基含有エチレンイミン樹脂として、アジリジン誘導体(CL2502、荒川化学工業株式会社製)に硬化触媒(ACS−164、荒川化学工業株式会社製)を100:4の割合(質量比)で混合し、試薬固定化層塗布液を得た。
(調製例17)
−試薬固定化層塗布液の調製−
カルボキシル基含有エステル樹脂(AP2510、荒川化学工業株式会社製)に溶媒としてメチルエチルケトン/トルエン混合液(体積比率6:4)を加え、15質量%になるように希釈し、試薬固定化層塗布液を得た。
(調製例18)
−試薬固定化層塗布液の調製−
水酸基含有アクリル樹脂(DA105、荒川化学工業株式会社製)に硬化剤(CL102H、荒川化学工業株式会社製)を10:3.8の割合(質量比)で混合し、試薬固定化層塗布液を得た。
(調製例19)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にアミノ基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、及び終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのDSG(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例20)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にアミノ基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、及び終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのDSG(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例21)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例22)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にカルボキシル基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例23)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にアミノ基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例24)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にアミノ基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例25)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのホウ酸バッファー(pH8.5)で調製し、リンカーとして終濃度1mMのPMPI(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例26)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのホウ酸バッファー(pH8.5)で調製し、リンカーとして終濃度1mMのPMPI(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(実施例1)
<テストライン用転写媒体の作製>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、調製例1のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層形成−
次に、前記PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、調製例2の剥離層塗布液を塗布し、25℃で30分間乾燥して、平均厚み30μmの剥離層を形成した。
−試薬固定化層形成−
次に、前記剥離層表面に、調製例3の試薬固定化層塗布液を塗布し、50℃で30分間乾燥して、平均厚み3μmの試薬固定化層を形成した。以上により、転写媒体を作製した。
<捕捉核酸の固定化>
−テストライン(第1の捕捉核酸の固定化)−
次に、調製例4のテストライン用試薬塗布液を浅型角バッドに注ぎ、試薬固定化層表面のみがテストライン用試薬塗布液に触れるように前記転写媒体をテストライン用試薬塗布液に浮かべた状態で、前記浅型角バッドに蓋をした後25℃で30分間静置した。その後、試薬固定化層表面を50mMのTris−HClバッファー(pH9.0)で洗浄し、25℃で30分間真空乾燥して、試薬固定化層に試薬を固定させた。以上により、実施例1のテストライン用転写媒体を作製した。
なお、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
<コントロールライン用転写媒体の作製>
−コントロールライン(第2の捕捉核酸の固定化)−
前記<テストライン用転写媒体の作製>において、テストライン用試薬塗布液の代わりに調製例5のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、前記<テストライン用転写媒体の作製>と同様にして、実施例1のコントロールライン用転写媒体を作製した。
なお、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
<検査装置の作製>
以下のようにして、図1及び図2に示す検査装置10を作製した。図1は、実施例の検査装置の上面図である。図2は図1の検査装置のA−A線での概略断面図である。
−紙基板(基板+流路部材)の作製−
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)20の上部に、熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルム20を2時間以上静置した後、前記接着剤層表面に幅40mm×長さ35mmにカットしたニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180)を、接着剤層表面の長手方向の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から33mmの位置に幅方向の長さをそろえて重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cmの荷重をかけ、流路部材30を形成した。最後に、長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、紙基板を得た。
ここで、紙基板の流路部材30としてのニトロセルロースメンブレンの空隙率は、流路部材の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めたところ、70%であった。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100
なお、前記流路部材の空隙率が、40%以上90%以下の範囲であると、前記流路部材は多孔質であるといえる。
−テストラインの転写−
紙基板の流路部材30と前記テストライン用転写媒体の試薬が固定されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図1及び図2に示したように、流路部材30の上流端から9mm離れた位置に、前記テストライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した(第1の検出部50a)。
前記熱転写プリンタは、ドット密度300dpiのサーマルヘッド(TDK株式会社製)を用い、印字速度42mm/sec、印加エネルギー0.17mJ/dotの評価系システムを構築したものである。
−コントロールラインの転写−
次に、前記テストライン用転写媒体の転写位置から5mm離れた位置に前記コントロールライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した(第2の検出部50b)。
−標識体供給部の形成−
次に、調製例6の標識体用試薬塗布液を、幅4mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるように塗布し、一晩減圧乾燥し、標識体保持パッドを作製した。
前記標識体保持パッドを、図1及び図2に示したように、紙基板の上流端から17mm離れた位置に配置して、紙基板に設けられている接着剤層に重ね合わせることにより貼り付けた(標識体供給部40)。
−滴下部の形成−
幅4mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を、図1及び図2に示すように、標識体供給部40の上面に18mm重なるように配置して貼り付けた(滴下部80)。
−吸収部材−
図1及び図2に示したように、吸収部材70(メルクミリポア社製、CFSP223000)を設けた。以上により、実施例1の核酸クロマト装置(検査装置10)を得た。
<ライン評価>
−検査対象液の調製−
5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を得た。
−反応−
図1及び図2に示す検査装置10の上流端部に前記検査対象液を100μL滴下し、30分間経過した後、目視観察にて、下記基準でライン評価を行った。結果を表2に示した。
[評価基準]
A:テストライン及びコントロールラインの位置に明確に発色が認められ、発色濃度が全体に均一であり、ラインが途切れているところがない
B:ラインとして途切れているところはなく判定は可能であるが、発色濃度が場所によってやや不均一である
C:かろうじて発色は確認でき、ライン状にはなっているが、ラインが一部途切れているところがある
D:発色が認められなかったもの、又はラインが下流側に流れているものなど、ライン状に発色していない
なお、評価基準の例を表1に示す。表1の写真は、それぞれ試験後のテストラインの写真である。
<ライン濃度の測定>
前記ライン評価で使用した呈色後の検査装置を、クロマトリーダー(浜松ホトニクス株式会社製、C10066)を用いて測定し、ラインの光学濃度、及びS/N比を求め、下記基準で評価した。結果を表3に示した。なお、ラインの光学濃度はより濃いほうが好ましく、S/N比はより大きい方がラインの輪郭が明確であり、好ましい。クロマトリーダーによりラインの光学濃度が検出されなかった場合は、「−」とした。
[ラインの光学濃度の評価基準]
A:光学濃度が200以上
B:光学濃度が100以上200未満
C:光学濃度が30以上100未満
D:光学濃度が30未満
E:ラインとして確認できず測定不能
[S/N比の評価基準]
A:S/N比が30以上
B:S/N比が10以上30未満
C:S/N比が3以上10未満
D:S/N比が3未満
E:算出不能
[総合評価の基準]
Aを5点、Bを4点、Cを3点、Dを2点、Eを1点として数値化し、ライン評価、光学濃度評価、及びS/N比評価の合計点数で評価した。
S:非常に優れている:15点以上
A:優れている:14点以上15点未満
B:よい:13点以上14点未満
C:普通:12点以上13点未満
D:やや劣るが可:11点以上12点未満
E:視認性がなく不可:11点未満
(実施例2)
実施例1において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例7のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例8のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例2において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例2において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例3)
実施例1において、<標識体供給部の形成>で調製例11の標識体用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、テストラインのみが転写された実施例3の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ラインの評価>で5’末端にビオチン標識されており、5’末端からチミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、アデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を用いて検査対象液を調製した以外は、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例3において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例3において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例4)
実施例2において、<標識体供給部の形成>で調製例11の標識体用塗布液を用いた以外は、実施例2と同様にして、テストラインのみが転写された実施例4の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ラインの評価>で5’末端にビオチン標識されており、5’末端からチミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、アデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を用いて検査対象液を調製した以外は、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例4において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例4において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例5)
実施例1において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例12のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例13のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例5において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例5において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例6)
実施例1において、−試薬固定化層形成−で調製例16の試薬固定化層塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例6において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例6において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例7)
実施例1において、−試薬固定化層形成−で調製例16の試薬固定化層塗布液を用い、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例19のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例20のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例7において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のアミノ基と、リンカー中の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例7において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のアミノ基と、リンカー中の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例8)
実施例1において、−試薬固定化層形成−で調製例16の試薬固定化層塗布液を用い、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例21のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例22のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例8において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例8において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例9)
実施例1において、−試薬固定化層形成−で調製例17の試薬固定化層塗布液を用い、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例23のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例24のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例9において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のアミノ基と、前記試薬固定化層中のカルボキシル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例9において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のアミノ基と、前記試薬固定化層中のカルボキシル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例10)
実施例1において、−試薬固定化層形成−で調製例18の試薬固定化層塗布液を用い、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例25のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例26のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例10の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
実施例10において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中の水酸基と、前記リンカー中の別の一端のイソシアネート基が新たにエーテル結合(共有結合)及びアミド結合(共有結合)を形成することで生じるエーテル結合及びアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例10において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが共有結合していることは、実施例1と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中の水酸基と、前記リンカー中の別の一端のイソシアネート基が新たにエーテル結合(共有結合)及びアミド結合(共有結合)を形成することで生じるエーテル結合及びアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(比較例1)
<検査装置の作製>
以下のようにして、図9及び図10に示す検査装置10を作製した。図9は、比較例の検査装置の上面図である。図10は図9の検査装置のB−B線での概略断面図である。
−紙基板の作製−
幅40mm×長さ35mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルムを2時間以上静置した後、接着剤層表面にPETフィルムと同様の大きさに切断した流路部材30としてのニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180)を重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cm2の荷重をかけ、紙基板とした。
−捕捉核酸の固定化−
図9及び図10に示したように、紙基板の流路部材30の上流側端部から9mm離れた位置に調製例9のテストライン用試薬塗布液を、陽圧噴霧装置(BioDot社製、BioJet)を用いて長さ0.7mmのライン状に塗布した(テストライン90a)。
更に、テストライン90aから5mm離れた位置に、調製例10のコントロールライン用試薬塗布液を、前記陽圧噴霧装置を用いて長さ0.7mmのライン状に塗布した(コントロールライン90b)。
塗布後、20℃で20RH%の環境下で16時間乾燥した。
なお、捕捉核酸が、流路部材に共有結合により固定されていないことは、実施例1と同様にしてFT−IR ATR法により前記流路部材表面を分析し、固定化の前後でスペクトルに変化がないことで、確認できた。
−標識体供給部の形成−
次に、調製例6の標識体用試薬塗布液を、幅40mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるように塗布し、一晩減圧乾燥し、標識体保持パッドを作製した。
−アッセイ(検査装置)の組み立て−
台紙フィルムとして幅40mm×長さ80mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み100μm)の長手方向の一端から33mm離れた位置に、流路部材の試薬塗布面とは反対側と台紙フィルム(PETフィルム)とが対向するように台紙フィルム(PETフィルム)に流路部材30を接着した。
次に、上記で作製した標識体保持パッドを幅40mm×長さ18mmに切断し、流路部材30の上面に、流路部材30の上流端が2mm重なるように配置して貼り付け、更に幅40mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を標識体保持パッドの上面に18mm重なるように配置して貼り付け(標識体供給部40)、サンプル滴下パッド(滴下部)80とした。
次に、幅40mm×長さ28mmの吸収パッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を流路部材30の上面に、流路部材30の下流端と16mm重なるように配置して貼り付け、吸収部材70を設けた。最後に長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるよう切断し、比較例1の核酸クロマト装置(検査装置10)を得た。
作製した比較例1の核酸クロマト装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
(比較例2)
実施例1において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例14のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例15のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
比較例2において、捕捉核酸が、流路部材に共有結合により固定されていないことは、実施例1と同様にしてFT−IR ATR法により前記流路部材表面を分析し、固定化の前後でスペクトルに変化がないことで、確認できた。
表2及び表3の結果から、ライン評価では、実施例1から10において、発色濃度が全体に均一で視認性の高いラインを確認できた。また、光学濃度の評価では、実施例5及び7を除くすべてにおいて、濃度の濃いラインを確認できた。S/N比についてはすべての実施例で20以上の高い値を示した。総合評価から、成形体中の有する官能基と捕捉核酸の有する官能基の組み合わせとして、アミノ基とチオール基、アミノ基とカルボキシル基、カルボキシル基とアミノ基、水酸基とチオール基であるとき、ラインの視認性が非常に優れていることが示された。
これに対して、比較例1は、ライン評価では、発色は確認できたが、ライン付近のにじみが酷くかろうじて発色を確認できる程度であった。また、光学濃度の評価では、ライン中の標識用粒子が紙内で拡散しているために発色がぼやけ濃度が薄くなり、S/N比も著しく低かった。
また、比較例2は、ライン評価で発色が確認できなかった。
(実施例11)
実施例1と同様にして、実施例11の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ライン評価>で5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を調製し、ライン濃度測定を実施した。結果を表4に示した。
(実施例12)
実施例1と同様にして、実施例12の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ライン評価>で5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)を連続して5塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を調製し、ライン濃度測定を実施した。結果を表4に示した。
(実施例13)
実施例1と同様にして、実施例13の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ライン評価>で5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)を連続して10塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を調製し、ライン濃度測定を実施した。結果を表4に示した。
(実施例14)
実施例1と同様にして、実施例14の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ライン評価>で5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)を連続して20塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を調製し、ライン濃度測定を実施した。結果を表4に示した。
(実施例15)
実施例1と同様にして、実施例15の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ライン評価>で5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)を連続して30塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を調製し、ライン濃度測定を実施した。結果を表4に示した。
(実施例16)
実施例1と同様にして、実施例16の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ライン評価>で5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)を連続して40塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0μMに調製し、検査対象液を調製し、ライン濃度測定を実施した。結果を表4に示した。
表4の結果から、実施例11から実施例16のすべての場合において、ラインの発色を確認した。結果は示さないが、S/Nについても20以上であった。前記捕捉核酸結合部位の一端から前記標識体結合部位の一端までの距離が20塩基以下、特に10塩基以下のとき、高い発色強度を示した。
(調製例101)
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
(調製例102)
−剥離層塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21質量%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層塗布液を得た。
(調製例103)
−試薬固定化層塗布液の調製−
アミノエチル化アクリルポリマー(ポリメントNK−380、株式会社日本触媒製)に溶媒としてトルエンを加え、15質量%になるように希釈し、試薬固定化層塗布液を得た。 なお、アミノエチル化アクリルポリマーは劣化しやすいことが知られており、試薬固定化への影響も十分に考えられることから、要時調製とする。
(調製例104)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのGMBS(ThermoSCIENTIFIC社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。 GMBSの構造式を下記に示した。リンカーのスペーサー長とは構造式中の矢印で指し示したN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基中の炭素原子からマレイミド基中の炭素原子までの距離とする。
(調製例105)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのGMBS(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例106)
−標識体(核酸)用試薬塗布液の調製−
カルボキシル基が修飾された金コロイドに対し、3’末端にアミノ基を導入したグアニン(G)を連続して20塩基有するDNA断片を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Thermo Scientific社製)を用いてアミド結合させ、50mMのTris−HClバッファー(pH8.2)で洗浄した後、標識体希釈液(20mMのTris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、5質量%スクロース及び精製水)で懸濁し、OD=2に調整し、標識体用試薬塗布液を得た。
(調製例107)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)2(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例108)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)2(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例109)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)4(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例110)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)4(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例111)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)6(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例112)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)6(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例113)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)8(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例114)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)8(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例115)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)12(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例116)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)12(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例117)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)24(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例118)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、リンカーとして終濃度1mMのSM(PEG)24(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例119)
−標識体(抗体)用試薬塗布液の調製−
金コロイド溶液(BBI社製、EMGC50)9mLに50mMに調製したKHPOバッファー(pH7.0)1mLを加えた後、更に50μg/mLに調製した抗ビオチンモノクローナル抗体(Bethyl Laboratories社製、Anti−Biotin、Goat−Poly A150−111A)を1mL加え、攪拌した。これを10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、168−11285)を550μL加え攪拌した後、更に、10質量%BSA水溶液(シグマ アルドリッチ社製、A−7906)を1.1mL加え攪拌した。
次に、この溶液を30分間遠心した後、上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。なお、遠心は遠心機(日立工機株式会社製、himacCF16RN)を用い、遠心加速度8,000×g、4℃の条件にて行った。その後、金コロイド保存液[20mMのTris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール(重量平均分子量2,000)、150mMのNaCl、1質量%BSA水溶液、0.1質量%NaN水溶液]20mLに分散し、再び上記と同様の条件にて遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。これらの操作を繰り返し、金コロイド保存液でOD=15になるように調製し、標識体用試薬塗布液とした。
(調製例120)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、TEバッファー(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.4、タカラバイオ株式会社製)で25μMに調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例121)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、TEバッファー(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.4、タカラバイオ株式会社製)で25μMに調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例122)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にチオール基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例123)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にチオール基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、終濃度5mMのEDTAで調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(実施例101)
<テストライン用転写媒体の作製>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、調製例101のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層形成−
次に、前記PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、調製例102の剥離層塗布液を塗布し、25℃で30分間乾燥して、平均厚み30μmの剥離層を形成した。
−試薬固定化層形成−
次に、前記剥離層表面に、調製例103の試薬固定化層塗布液を塗布し、50℃で30分間乾燥して、平均厚み3μmの試薬固定化層を形成した。以上により、転写媒体を作製した。
<捕捉核酸の固定化>
−テストライン(第1の捕捉核酸の固定化)−
次に、調製例104のテストライン用試薬塗布液を浅型角バッドに注ぎ、試薬固定化層表面のみがテストライン用試薬塗布液に触れるように前記転写媒体をテストライン用試薬塗布液に浮かべた状態で、前記浅型角バッドに蓋をした後25℃で30分間静置した。その後、試薬固定化層表面を50mMのTris−HClバッファー(pH9.0)で洗浄し、25℃で30分間真空乾燥して、試薬固定化層に試薬を固定させた。以上により、実施例101のテストライン用転写媒体を作製した。前記テストライン用転写媒体は作製後直ちに核酸クロマト装置作製に供した。
前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
<コントロールライン用転写媒体の作製>
−コントロールライン(第2の捕捉核酸の固定化)−
前記<テストライン用転写媒体の作製>において、テストライン用試薬塗布液の代わりに調製例105のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、前記<テストライン用転写媒体の作製>と同様にして、実施例101のコントロールライン用転写媒体を作製した。前記コントロールライン用転写媒体は作製後直ちに核酸クロマト装置作製に供した。
前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
<検査装置の作製>
以下のようにして、図1及び図2に示す検査装置10を作製した。図1は、実施例の検査装置の上面図である。図2は図1の検査装置のA−A線での概略断面図である。検査装置作製後は、直ちに反応、評価を実施することとした。
−紙基板(基板+流路部材)の作製−
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)20の上部に、熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルム20を2時間以上静置した後、前記接着剤層表面に幅40mm×長さ35mmにカットしたニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180)を、接着剤層表面の長手方向の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から33mmの位置に幅方向の長さをそろえて重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cmの荷重をかけ、流路部材30を形成した。最後に、長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、紙基板を得た。
ここで、紙基板の流路部材30としてのニトロセルロースメンブレンの空隙率は、流路部材の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めたところ、70%であった。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100 なお、前記流路部材の空隙率が、40%以上90%以下の範囲であると、前記流路部材は多孔質であるといえる。
−テストラインの転写−
紙基板の流路部材30と前記テストライン用転写媒体の試薬が固定されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図1及び図2に示したように、流路部材30の上流端から9mm離れた位置に、前記テストライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した(第1の検出部50a)。
前記熱転写プリンタは、ドット密度300dpiのサーマルヘッド(TDK株式会社製)を用い、印字速度42mm/sec、印加エネルギー0.17mJ/dotの評価系システムを構築したものである。
−コントロールラインの転写−
次に、前記テストライン用転写媒体の転写位置から5mm離れた位置に前記コントロールライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した(第2の検出部50b)。
−標識体供給部の形成−
次に、調製例106の標識体用試薬塗布液を、幅4mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるように塗布し、一晩減圧乾燥し、標識体保持パッドを作製した。
前記標識体保持パッドを、図1及び図2に示したように、紙基板の上流端から17mm離れた位置に配置して、紙基板に設けられている接着剤層に重ね合わせることにより貼り付けた(標識体供給部40)。
−滴下部の形成−
幅4mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を、図1及び図2に示すように、標識体供給部40の上面に18mm重なるように配置して貼り付けた(滴下部80)。
−吸収部材−
図1及び図2に示したように、吸収部材70(メルクミリポア社製、CFSP223000)を設けた。以上により、実施例101の核酸クロマト装置(検査装置10)を得た。
<ラインの評価>
−検査対象液の調製−
5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1.0nMに調製し、検査対象液を得た。
−反応−
図1及び図2に示す核酸クロマト装置10の上流端部に前記検査対象液を100μL滴下し、30分間経過した後、目視観察にて、下記基準でラインの評価を行った。結果を表6に示した。
[評価基準]
◎:テストライン及びコントロールラインの位置に明確に発色が認められ、発色濃度が全体に均一であり、ラインが途切れているところがない
○:ラインとして途切れているところはなく判定は可能であるが、発色濃度が場所によってやや不均一である
△:かろうじて発色は確認でき、ライン状にはなっているが、ラインが一部途切れているところがある
×:発色が認められなかったもの、又はラインが下流側に流れているものなど、ライン状に発色していない
なお、評価基準の例を表5に示す。表5の写真は、それぞれ試験後のテストラインの写真である。
<ラインの光学濃度の測定>
前記ライン評価で使用した呈色後の核酸クロマト装置を、クロマトリーダー(浜松ホトニクス株式会社製、C10066)を用いて測定し、ラインの光学濃度を求め、下記基準で評価した。結果を表7に示した。なお、ラインの光学濃度はより濃いほうが好ましい。クロマトリーダーによりラインの光学濃度が検出されなかった場合は、「−」とした。本クロマトリーダーを用いた場合において、光学濃度20以上で目視による呈色確認が可能である。
[ラインの光学濃度の評価基準]
◎:光学濃度が250以上
○:光学濃度が150以上250未満
△:光学濃度が20以上150未満
×:光学濃度が20未満、又はラインとして確認できず測定不能
(実施例102)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例107のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例108のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例102の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
実施例102において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例102において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例103)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例109のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例110のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例103の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
実施例103において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例103において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例104)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例111のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例112のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例104の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
実施例104において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例104において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様のFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例105)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例113のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例114のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例105の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
実施例105において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例105において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様のFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例106)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例115のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例116のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例106の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
実施例106において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にして、FT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例106において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様のFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例107)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例117のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例118のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、実施例107の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
実施例107において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例107において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様のFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例108)
実施例103において、<標識体供給部の形成>で調製例113の標識体用塗布液を用いた以外は、実施例103と同様にして、テストラインのみが転写された実施例108の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ラインの評価>で5’末端にビオチン標識されており、5’末端からチミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、アデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を用いて検査対象液を調製した以外は、実施例101と同様の評価を行った。
実施例108において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のチオール基と、前記リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
実施例108において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とがリンカーにより結合されていることは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第2の捕捉核酸中のチオール基と、リンカー中の一端のマレイミド基が新たにチオエーテル結合(共有結合)を形成することで生じるチオエーテル結合由来のスペクトルの有無、及び前記試薬固定化層中のアミノ基と、前記リンカー中の別の一端のN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(比較例101)
<検査装置の作製>
以下のようにして、図9及び図10に示す検査装置10を作製した。図9は、検査装置の上面図である。図10は図9の検査装置のB−B線での概略断面図である。
−紙基板の作製−
幅40mm×長さ35mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルムを2時間以上静置した後、接着剤層表面にPETフィルムと同様の大きさに切断した流路部材30としてのニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180)を重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cmの荷重をかけ、紙基板とした。
−捕捉核酸の固定化−
図9及び図10に示したように、紙基板の流路部材30の上流側端部から9mm離れた位置に調製例120のテストライン用試薬塗布液を、陽圧噴霧装置(BioDot社製、BioJet)を用いて長さ0.7mmのライン状に塗布した(テストライン90a)。
更に、テストライン90aから5mm離れた位置に、調製例121のコントロールライン用試薬塗布液を、前記陽圧噴霧装置を用いて長さ0.7mmのライン状に塗布した(コントロールライン90b)。 塗布後、20℃で20RH%の環境下で16時間乾燥した。 なお、捕捉核酸が、流路部材とリンカーにより結合されていないことは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により前記流路部材表面を分析し、固定化の前後でスペクトルに変化がないことで、確認できた。
−標識体供給部の形成−
次に、調製例106の標識体用試薬塗布液を、幅40mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるように塗布し、一晩減圧乾燥し、標識体保持パッドを作製した。
−アッセイ(検査装置)の組み立て−
台紙フィルムとして幅40mm×長さ80mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み100μm)の長手方向の一端から33mm離れた位置に、流路部材の試薬塗布面とは反対側と台紙フィルム(PETフィルム)とが対向するように台紙フィルム(PETフィルム)に流路部材30を接着した。
次に、上記で作製した標識体保持パッドを幅40mm×長さ18mmに切断し、流路部材30の上面に、流路部材30の上流端が2mm重なるように配置して貼り付け(標識体供給部40)、更に幅40mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を標識体保持パッドの上面に18mm重なるように配置して貼り付け、サンプル滴下パッド(滴下部)80とした。
次に、幅40mm×長さ28mmの吸収パッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を流路部材30の上面に、流路部材30の下流端と16mm重なるように配置して貼り付け、吸収部材70を設けた。最後に長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、比較例101の核酸クロマト装置(検査装置10)を得た。
作製した比較例101の核酸クロマト装置について、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
(比較例102)
実施例101において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例122のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例123のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例101と同様にして、比較例102の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例101と同様の評価を行った。結果を表6及び表7に示した。
比較例101及び102において、捕捉核酸が、流路部材と結合していないことは、実施例101と同様にしてFT−IR ATR法により前記流路部材表面を分析し、固定化の前後でスペクトルに変化がないことで、確認できた。
表6及び表7の結果から、実施例101から108は、視認性の評価では、発色濃度が全体に均一で視認性の高いラインを確認できた。また、光学濃度の評価では、濃度の濃いラインを確認でき、すべてのリンカーを用いた場合に高い結果が得られた。
これに対して、試薬固定化層に捕捉核酸を共有結合させていない比較例101については、視認性の評価では、発色は確認できたが、ライン付近のにじみが酷くかろうじて発色を確認できる程度であった。
また、同様に比較例102については、ラインの発色を確認することができなかった。
(実施例109)
実施例101と同様にして、実施例109の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製した。
<ラインの評価>
−検査対象液の調製−
5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度1×10−13Mから1×10−7M(0.1pMから100nM)となるよう10倍刻みに調製し、異なる7種類の濃度の検査対象液を得た。
−反応−
図1及び図2に示す核酸クロマト装置10の上流端部に前記検査対象液を100μL滴下し、30分間経過した後、呈色後の核酸クロマト装置を、クロマトリーダー(浜松ホトニクス株式会社製、C10066)を用いて測定し、ラインの光学濃度を求め、下記基準で評価した。それぞれの濃度の前記検査対象液について、それぞれ作製した核酸クロマト装置を用い、3回ずつ反応及び測定を実施し、評価には平均値を用いた。なお、ラインの光学濃度はより濃いほうが好ましい。クロマトリーダーによりラインの光学濃度が検出されなかった場合は、「−」とした。本クロマトリーダーを用いた場合において、光学濃度20以上で目視による呈色確認が可能である。
光学濃度のばらつきについて、標準偏差を用いて下記基準で評価した。また、検出可能濃度幅についても、下記基準で評価した。核酸検出において、検出可能濃度幅は広いほうが好ましい。結果を表8−1及び表8−2に示した。
[ラインの光学濃度の評価基準]
++++:光学濃度が250以上
+++:光学濃度が150以上250未満
++:光学濃度が50以上150未満
+:光学濃度が20以上50未満
−:光学濃度が20未満、又はラインとして確認できず測定不能
[ラインの光学濃度ばらつきの評価基準]
◎:標準偏差が20%以内
○:標準偏差が20%より大きく40%以内
△:標準偏差が40%より大きく60%以内
×:標準偏差が60%より大きい
(実施例110)
実施例102と同様にして、実施例110の核酸クロマト装置を作製し、実施例109と同様の評価を行った。結果を表8−1及び表8−2に示した。
(実施例111)
実施例103と同様にして、実施例111の核酸クロマト装置を作製し、実施例109と同様の評価を行った。結果を表8−1及び表8−2に示した。
(実施例112)
実施例104と同様にして、実施例112の核酸クロマト装置を作製し、実施例109と同様の評価を行った。結果を表8−1及び表8−2に示した。
(実施例113)
実施例105と同様にして、実施例113の核酸クロマト装置を作製し、実施例109と同様の評価を行った。結果を表8−1及び表8−2に示した。
(実施例114)
実施例106と同様にして、実施例114の核酸クロマト装置を作製し、実施例109と同様の評価を行った。結果を表8−1及び表8−2に示した。
(実施例115)
実施例107と同様にして、実施例115の核酸クロマト装置を作製し、実施例109と同様の評価を行った。結果を表8−1及び表8−2に示した。
表8−1及び表8−2の結果から、実施例109から111は、光学濃度のばらつきが少なかった。
また、検出可能濃度幅については、実施例109から112は、1×10M以上であり、広い検出可能濃度幅を有していた。特に、実施例109及び110は1×10M以上であり、広い検出可能濃度幅を示した。
(調製例201)
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、バック層塗布液を得た。
(調製例202)
−剥離層塗布液の調製−
ポリエチレンワックス(東洋アドレ株式会社製、ポリワックス1000、融点99℃、25℃における針入度2)14質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EV−150、重量平均分子量2,100、VAc21質量%)6質量部、トルエン60質量部、及びメチルエチルケトン20質量部を、平均粒径が2.5μmとなるまで分散し、剥離層塗布液を得た。
(調製例203)
−試薬固定化層塗布液の調製−
アミノエチル化アクリルポリマー(ポリメントNK−380、株式会社日本触媒製)に溶媒としてトルエンを加え、15質量%になるように希釈し、試薬固定化層塗布液を得た。 なお、アミノエチル化アクリルポリマーは劣化しやすいことが知られており、試薬固定化への影響も十分に考えられることから、要時調製とする。
(調製例204)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例205)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にカルボキシル基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例206)
−標識体(核酸)用試薬塗布液の調製−
カルボキシル基が修飾された金コロイドに対し、3’末端にアミノ基を導入したグアニン(G)を連続して20塩基有するDNA断片を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Thermo Scientific社製)を用いてアミド結合させ、50mMのTris−HClバッファー(pH8.2)で洗浄した後、標識体希釈液(20mMのTris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール、5質量%スクロース及び精製水)で懸濁し、OD=2に調整し、標識体用試薬塗布液を得た。
(調製例207)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基とC3リンカー1分子を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。前記DNA断片は、下記の一般式A中のn=1で表される。
[一般式A]
ただし、前記一般式A中、nは整数であり、20以下が好ましく、0〜5がより好ましい。
(調製例208)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基とC3リンカー2分子を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
調製例208における前記DNA断片は、上記一般式A中のn=2で表される。
(調製例209)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基とC3リンカー3分子を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
調製例209における前記DNA断片は、上記一般式A中のn=3で表される。
(調製例210)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基とC3リンカー4分子を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
調製例210における前記DNA断片は、上記一般式A中のn=4で表される。
(調製例211)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基とC3リンカー5分子を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
調製例211における前記DNA断片は、上記一般式A中のn=5で表される。
(調製例212)
−試薬固定化層塗布液の調製−
カルボキシル基含有エステル樹脂(AP2510、荒川化学工業株式会社製)に溶媒としてメチルエチルケトン/トルエン混合液(体積比率6:4)を加え、15質量%になるように希釈し、試薬固定化層塗布液を得た。
(調製例213)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にアミノ基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例214)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にアミノ基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例215)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にアミノ基とC3リンカー5分子を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、リンカーとして終濃度1.25mg/mLのEDC(Thermo Scientific社製)を添加し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例216)
−標識体(抗体)用試薬塗布液の調製−
金コロイド溶液(BBI社製、EMGC50)9mLに50mMに調製したKHPOバッファー(pH7.0)1mLを加えた後、更に50μg/mLに調製した抗ビオチンモノクローナル抗体(Bethyl Laboratories社製、Anti−Biotin、Goat−Poly A150−111A)を1mL加え、攪拌した。これを10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、168−11285)を550μL加え攪拌した後、更に、10質量%BSA水溶液(シグマ アルドリッチ社製、A−7906)を1.1mL加え攪拌した。
次に、この溶液を30分間遠心した後、上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。なお、遠心は遠心機(日立工機株式会社製、himacCF16RN)を用い、遠心加速度8,000×g、4℃の条件にて行った。その後、金コロイド保存液[20mMのTris−HClバッファー(pH8.2)、0.05質量%ポリエチレングリコール(重量平均分子量2,000)、150mMのNaCl、1質量%BSA水溶液、0.1質量%NaN水溶液]20mLに分散し、再び上記と同様の条件にて遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。これらの操作を繰り返し、金コロイド保存液でOD=15になるように調製し、標識体用試薬塗布液とした。
(調製例217)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、TEバッファー(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.4、タカラバイオ株式会社製)で25μMに調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例218)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にカルボキシル基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、TEバッファー(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH7.4、タカラバイオ株式会社製)で25μMに調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(調製例219)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
5’末端にカルボキシル基を導入したチミン(T)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、テストライン用試薬塗布液を得た。
(調製例220)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
3’末端にカルボキシル基を導入したシトシン(C)を連続して20塩基有するDNA断片を、終濃度2.5μMとなるように、終濃度100mMのMESバッファー(株式会社同仁化学研究所製)で調製し、コントロールライン用試薬塗布液を得た。
(実施例201)
<テストライン用転写媒体の作製>
−バック層形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)片面に、調製例201のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層形成−
次に、前記PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、調製例202の剥離層塗布液を塗布し、25℃で30分間乾燥して、平均厚み30μmの剥離層を形成した。
−試薬固定化層形成−
次に、前記剥離層表面に、調製例203の試薬固定化層塗布液を塗布し、室温で30分間真空乾燥して、平均厚み6μmの試薬固定化層を形成した。以上により、転写媒体を作製した。
<捕捉核酸の固定化>
−テストライン(第1の捕捉核酸の固定化)−
次に、調製例204のテストライン用試薬塗布液を浅型角バッドに注ぎ、試薬固定化層表面のみがテストライン用試薬塗布液に触れるように前記転写媒体をテストライン用試薬塗布液に浮かべた状態で、前記浅型角バッドに蓋をした後25℃で2時間静置した。その後、試薬固定化層表面を50mMのTris−HClバッファー(pH9.0)で洗浄し、風乾した。以上により、実施例201のテストライン用転写媒体を作製した。前記テストライン用転写媒体は作製後直ちに核酸クロマト装置作製に供した。
前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
<コントロールライン用転写媒体の作製>
−コントロールライン(第2の捕捉核酸の固定化)−
前記<テストライン用転写媒体の作製>において、テストライン用試薬塗布液の代わりに調製例205のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、前記<テストライン用転写媒体の作製>と同様にして、実施例201のコントロールライン用転写媒体を作製した。前記コントロールライン用転写媒体は作製後直ちに核酸クロマト装置作製に供した。
前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第2の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
<検査装置の作製>
以下のようにして、図1及び図2に示す検査装置10を作製した。図1は、実施例の検査装置の上面図である。図2は図1の検査装置のA−A線での概略断面図である。検査装置作製後は、直ちに反応、評価を実施することとした。
−紙基板(基板+流路部材)の作製−
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)20の上部に、熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルム20を2時間以上静置した後、前記接着剤層表面に幅40mm×長さ35mmにカットしたニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180)を、接着剤層表面の長手方向の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から33mmの位置に幅方向の長さをそろえて重ね150℃の温度で10秒間1kgf/cmの荷重をかけ、流路部材30を形成した。最後に、長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、紙基板を得た。
ここで、紙基板の流路部材30としてのニトロセルロースメンブレンの空隙率は、流路部材の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めたところ、70%であった。
〔計算式1〕
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100
なお、前記流路部材の空隙率が、40%以上90%以下の範囲であると、前記流路部材は多孔質であるといえる。
−テストラインの転写−
紙基板の流路部材30と前記テストライン用転写媒体の試薬が固定されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図1及び図2に示したように、流路部材30の上流端から9mm離れた位置に、前記テストライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した(第1の検出部50a)。
前記熱転写プリンタは、ドット密度300dpiのサーマルヘッド(TDK株式会社製)を用い、印字速度42mm/sec、印加エネルギー0.17mJ/dotの評価系システムを構築したものである。
−コントロールラインの転写−
次に、前記テストライン用転写媒体の転写位置から5mm離れた位置に前記コントロールライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.7mmのライン状に転写した(第2の検出部50b)。
−標識体供給部の形成−
次に、調製例206の標識体用試薬塗布液を、幅4mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるように塗布し、一晩減圧乾燥し、標識体保持パッドを作製した。
前記標識体保持パッドを、図1及び図2に示したように、紙基板の上流端から17mm離れた位置に配置して、紙基板に設けられている接着剤層に重ね合わせることにより貼り付けた(標識体供給部40)。
−滴下部の形成−
幅4mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を、図1及び図2に示すように、標識体供給部40の上面に18mm重なるように配置して貼り付けた(滴下部80)。
−吸収部材−
図1及び図2に示したように、吸収部材70(メルクミリポア社製、CFSP223000)を設けた。以上により、実施例201の核酸クロマト装置(検査装置10)を得た。
<ラインの評価>
−検査対象液の調製−
5’末端からシトシン(C)を連続して20塩基、チミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、及びアデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を、5×SSCバッファー(75mMクエン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、ナカライテスク株式会社製)で終濃度10pM、終濃度1nM、終濃度100nMにそれぞれ調製し、検査対象液を得た。
−反応−
図1及び図2に示す核酸クロマト装置10の上流端部に終濃度1nMの前記検査対象液を100μL滴下し、30分間経過した後、目視観察にて、下記基準でラインの評価を行った。結果を表10に示した。
[評価基準]
◎:テストライン及びコントロールラインの位置に明確に発色が認められ、発色濃度が全体に均一であり、ラインが途切れているところがない
○:ラインとして途切れているところはなく判定は可能であるが、発色濃度が場所によってやや不均一である
△:かろうじて発色は確認でき、ライン状にはなっているが、ラインが一部途切れているところがある
×:発色が認められなかったもの、又はラインが下流側に流れているものなど、ライン状に発色していない
なお、評価基準の例については、上記表1と同じである。
<ラインの光学濃度の測定>
前記ライン評価で使用した呈色後の核酸クロマト装置を、クロマトリーダー(浜松ホトニクス株式会社製、C10066)を用いて測定し、ラインの光学濃度を求め、下記基準で評価した。結果を表10に示した。なお、ラインの光学濃度はより濃いほうが好ましい。クロマトリーダーによりラインの光学濃度が検出されなかった場合は、「−」とした。本クロマトリーダーを用いた場合において、光学濃度20以上で目視による呈色確認が可能である。
[ラインの光学濃度の評価基準]
++++:光学濃度が250以上
+++:光学濃度が150以上250未満
++:光学濃度が50以上150未満
+:光学濃度が20以上50未満
−:光学濃度が20未満、又はラインとして確認できず測定不能
(実施例202)
実施例201において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例207のテストライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、実施例202の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例202において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、実施例201と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例203)
実施例201において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例208のテストライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、実施例203の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例203において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、実施例201と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例204)
実施例201において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例209のテストライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、実施例204の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例204において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、実施例201と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例205)
実施例201において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例210のテストライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、実施例205の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例205において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、実施例201と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例206)
実施例201において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例211のテストライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、実施例206の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例206において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、実施例201と同様にしてFT−IR ATR法により、前記第1の捕捉核酸中のカルボキシル基と、前記試薬固定化層中のアミノ基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例207)
実施例201において、−試薬固定化層形成−で調製例212の試薬固定化層塗布液を用い、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例213のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例214のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、実施例207の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例207において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第1の捕捉核酸中のアミノ基と、前記試薬固定化層のカルボキシル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。実施例207において、前記第2の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第2の捕捉核酸中のアミノ基と、前記試薬固定化層のカルボキシル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例208)
実施例207において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例215のテストライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例207と同様にして、実施例208の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
実施例208において、前記第1の捕捉核酸と、前記試薬固定化層とが結合していることは、FT−IR ATR法(FT−IR6800、日本分光株式会社製)により、前記第1の捕捉核酸中のアミノ基と、前記試薬固定化層のカルボキシル基が新たにアミド結合(共有結合)を形成することで生じるアミド結合由来のスペクトルの有無により確認できた。
(実施例209)
実施例201において、<標識体供給部の形成>で調製例216の標識体用塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、テストラインのみが転写された実施例209の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ラインの評価>で5’末端にビオチン標識されており、5’末端からチミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、アデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を用いて検査対象液を調製した以外は、実施例201と同様の評価を行った。
(実施例210)
実施例206において、<標識体供給部の形成>で調製例216の標識体用塗布液を用いた以外は、実施例206と同様にして、テストラインのみが転写された実施例210の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、<ラインの評価>で5’末端にビオチン標識されており、5’末端からチミン(T)とグアニン(G)の繰り返し配列を10塩基、アデニン(A)を連続して20塩基の塩基配列を有するDNA断片を用いて検査対象液を調製した以外は、実施例201と同様の評価を行った。
(比較例201)
<検査装置の作製>
以下のようにして、図9及び図10に示す検査装置10を作製した。図9は、比較例の検査装置の上面図である。図10は、図9の検査装置のB−B線での概略断面図である。
−紙基板の作製−
幅40mm×長さ35mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いてPETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルムを2時間以上静置した後、接着剤層表面にPETフィルムと同様の大きさに切断した流路部材30としてのニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180)を重ね、150℃の温度で10秒間1kgf/cmの荷重をかけ、紙基板とした。
−捕捉核酸の固定化−
図9及び図10に示したように、紙基板の流路部材30の上流側端部から9mm離れた位置に調製例217のテストライン用試薬塗布液を、陽圧噴霧装置(BioDot社製、BioJet)を用いて幅0.7mmのライン状に塗布した(テストライン90a)。
更に、テストライン90aから5mm離れた位置に、調製例218のコントロールライン用試薬塗布液を、前記陽圧噴霧装置を用いて幅0.7mmのライン状に塗布した(コントロールライン90b)。
塗布後、20℃で20RH%の環境下で16時間乾燥した。
なお、捕捉核酸が、流路部材と結合していないことは、実施例201と同様にしてFTーIR ATR法により前記流路部材表面を分析し、固定化の前後でスペクトルに変化がないことで、確認できた。
−標識体供給部の形成−
次に、調製例206の標識体用試薬塗布液を、幅4mm×長さ18mmに切断したグラスファイバーパッド(メルクミリポア社製、GFCP203000)に60μL/cmとなるように塗布し、一晩減圧乾燥し、標識体保持パッドを作製した。
前記標識体保持パッドを、図9及び図10に示したように、紙基板の上流端から17mm離れた位置に配置して、紙基板に設けられている接着剤層に重ね合わせることにより貼り付けた(標識体供給部40)。
−アッセイ(検査装置)の組み立て−
台紙フィルムとして幅40mm×長さ80mmに切断したPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み100μm)の長手方向の一端から33mm離れた位置に、流路部材の試薬塗布面とは反対側と台紙フィルム(PETフィルム)とが対向するように台紙フィルム(PETフィルム)に流路部材30を接着した。
次に、上記で作製した標識体保持パッドを幅40mm×長さ18mmに切断し、流路部材30の上面に、流路部材30の上流端が2mm重なるように配置して貼り付け、更に幅40mm×長さ35mmのサンプルパッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を標識体保持パッドの上面に18mm重なるように配置して貼り付け、サンプル滴下パッド(滴下部)80とした。
次に、幅40mm×長さ28mmの吸収パッド(メルクミリポア社製、CFSP223000)を流路部材30の上面に、流路部材30の下流端と16mm重なるように配置して貼り付け、吸収部材70を設けた。最後に長手方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、比較例201の核酸クロマト装置(検査装置10)を得た。
作製した比較例201の核酸クロマト装置について、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
(比較例202)
実施例201において、<テストライン用転写媒体の作製>で調製例219のテストライン用試薬塗布液を用い、<コントロールライン用転写媒体の作製>で調製例220のコントロールライン用試薬塗布液を用いた以外は、実施例201と同様にして、比較例202の核酸クロマト装置(検査装置10)を作製し、実施例201と同様の評価を行った。結果を表10及び表11に示した。
比較例202において、捕捉核酸が流路部材と結合していないことは、実施例201と同様にしてFT−IR ATR法により前記流路部材表面を分析し、固定化の前後でスペクトルに変化がないことで、確認できた。
表10及び表11の結果から、実施例201〜210は、視認性の評価では、発色濃度が全体に均一で視認性の高いラインを確認できた。また、光学濃度の評価では、濃度の濃いラインを確認でき、特に主鎖の原子数16以上のスペーサー長を有する捕捉核酸を用いた場合に高い結果が得られた。
これに対して、捕捉核酸を流路部材に直接塗布・乾燥させた比較例201では、視認性の評価では、発色は確認できたが、ライン付近のにじみが酷くかろうじて発色を確認できる程度であった。
また、比較例202については、ラインの発色を確認することができなかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
前記流路部材に設けられた検査対象液滴下部と、
前記検査対象液滴下部に滴下された検査対象液中に標的核酸が含まれるときに前記標的核酸に標識を付与する標識部と、
前記標識部において標識された前記標的核酸を検出する検出部と、を有し、
前記検出部において、前記流路部材上には樹脂からなる成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されていることを特徴とする検査装置である。
<2> 前記共有結合が、アミド結合、エーテル結合、及びチオエーテル結合から選択される少なくとも1種を含む前記<1>に記載の検査装置である。
<3> 前記捕捉核酸が一本鎖であり、前記標的核酸とハイブリダイズ可能である前記<2>に記載の検査装置である。
<4> 前記共有結合が、前記成形体表面及び前記捕捉核酸中のアミノ基、カルボキシル基、水酸基、及びチオール基から選択される少なくとも1種の官能基が反応することにより形成される前記<3>に記載の検査装置である。
<5> 前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が前記成形体にリンカーにより結合されている前記<1>に記載の検査装置である。
<6> 前記成形体が反応性を示す官能基を有しており、前記官能基及び前記リンカーを介し、前記捕捉核酸が結合している前記<5>に記載の検査装置である。
<7> 前記成形体が、前記官能基としてアミノ基を有する前記<6>に記載の検査装置である。
<8> 前記リンカーが一端にN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基を有しており、前記成形体表面のアミノ基とアミド結合している前記<7>に記載の検査装置である。
<9> 前記リンカーが一端にマレイミド基を有しており、前記捕捉核酸の5’末端もしくは3’末端に導入されたチオール基とチオエーテル結合している前記<5>から<8>のいずれかに記載の検査装置である。
<10> 前記リンカー中の前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基の間には原子が存在し、少なくとも3Å離れている前記<9>に記載の検査装置である。
<11> 前記リンカー中の前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基が、3Åから35Å離れている前記<10>に記載の検査装置である。
<12> 前記リンカーが、前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基の間に、ポリエチレングリコール(PEG)を有する前記<10>から<11>のいずれかに記載の検査装置である。
<13> 前記標的核酸と結合可能な相補的な配列とスペーサーを有する捕捉核酸が固定されている前記<1>に記載の検査装置である。
<14> 前記スペーサーが、アルキル基、又はアルキル基とリン酸基を含む前記<13>に記載の検査装置である。
<15> 前記スペーサーが、下記一般式Iで表される前記<13>から<14>のいずれかに記載の検査装置である。
[一般式I]
ただし、前記一般式I中Rは置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。Rは置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。nは整数である。Rの置換のアルキレン基が環状構造を有するアルキレン基である。
<16> 前記標識部に含まれる標識体が、前記標的核酸と相補的な一本鎖核酸断片を有しており、前記標的核酸と前記標識体がハイブリダイズすることで、前記標的核酸が標識される前記<1>から<15>のいずれかに記載の検査装置である。
<17> 前記標的核酸において、捕捉核酸結合部位と標識体結合部位が、20塩基以下である前記<16>に記載の検査装置である。
<18> 前記標識部に含まれる標識体が、前記標的核酸もしくは前記標的核酸と結合している化合物又はタンパク質に対する結合能をもつ抗体を有しており、前記標的核酸と前記標識体が抗体抗原反応することで、前記標的核酸が標識される前記<1>から<17>のいずれかに記載の検査装置である。
<19> 前記<1>から<18>のいずれかに記載の検査装置を製造するための検査装置製造用転写媒体であって、
支持体と、
前記支持体上に設けられた剥離層と、
前記剥離層上に設けられた試薬固定化層と、を有し、
前記試薬固定化層の表面が、前記標的核酸と反応する試薬が固定されている構造を有することを特徴とする検査装置製造用転写媒体である。
<20> 前記<19>に記載の検査装置製造用転写媒体の前記試薬固定化層と、前記流路部材とを接触させて、前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程を含むことを特徴とする検査装置の製造方法である。
<21> 前記<1>から<18>のいずれかに記載の検査装置と、
検体を採取するための検体採取手段と、
を有することを特徴とする検査キットである。
<22> 前記<1>から<18>のいずれかに記載の検査装置の前記流路部材に、検体を供給する検体供給工程と、
前記検体の一部を前記成形体に固定されている前記捕捉核酸により捕捉させる工程と、を含むことを特徴とする検査方法である。
前記<1>から<18>のいずれかに記載の検査装置、前記<19>に記載の検査装置製造用転写媒体、前記<20>に記載の検査装置の製造方法、前記<21>に記載の検査キット、及び前記<22>に記載の検査方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
10 検査装置
12 検査対象液
14 標的核酸
15 標的核酸と結合している化合物又はタンパク質
16 標識体(核酸)(試薬の一例)
17 第1の捕捉核酸(試薬の一例)
18 第2の捕捉核酸(試薬の一例)
19 標識体(抗体)(試薬の一例)
20 基材
30 流路部材
40 標識体供給部
50a 第1の検出部
50b 第2の検出部
100 検査装置製造用転写媒体
101 支持体
102 剥離層
103 試薬固定化層
104 バック層
200 検査キット
201 滅菌綿棒
202 希釈液
特開2008−107587号公報 特表2014−523000号公報

Claims (22)

  1. 検査対象液を流すための流路となる多孔質の流路部材と、
    前記流路部材に設けられた検査対象液滴下部と、
    前記検査対象液滴下部に滴下された検査対象液中に標的核酸が含まれるときに前記標的核酸に標識を付与する標識部と、
    前記標識部において標識された前記標的核酸を検出する検出部と、を有し、
    前記検出部において、前記流路部材上には樹脂からなる成形体を有し、前記成形体と前記流路部材との間の前記成形体表面に、前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が共有結合により固定されていることを特徴とする検査装置。
  2. 前記共有結合が、アミド結合、エーテル結合、及びチオエーテル結合から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記捕捉核酸が一本鎖であり、前記標的核酸とハイブリダイズ可能である請求項2に記載の検査装置。
  4. 前記共有結合が、前記成形体表面及び前記捕捉核酸中のアミノ基、カルボキシル基、水酸基、及びチオール基から選択される少なくとも1種の官能基が反応することにより形成される請求項3に記載の検査装置。
  5. 前記標的核酸と結合可能な相補的な配列を有する捕捉核酸が前記成形体にリンカーにより結合されている請求項1に記載の検査装置。
  6. 前記成形体が反応性を示す官能基を有しており、前記官能基及び前記リンカーを介し、前記捕捉核酸が結合している請求項5に記載の検査装置。
  7. 前記成形体が、前記官能基としてアミノ基を有する請求項6に記載の検査装置。
  8. 前記リンカーが一端にN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基を有しており、前記成形体表面のアミノ基とアミド結合している請求項7に記載の検査装置。
  9. 前記リンカーが一端にマレイミド基を有しており、前記捕捉核酸の5’末端もしくは3’末端に導入されたチオール基とチオエーテル結合している請求項5から8のいずれかに記載の検査装置。
  10. 前記リンカー中の前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基の間には原子が存在し、少なくとも3Å離れている請求項9に記載の検査装置。
  11. 前記リンカー中の前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基が、3Åから35Å離れている請求項10に記載の検査装置。
  12. 前記リンカーが、前記N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル基と前記マレイミド基の間に、ポリエチレングリコール(PEG)を有する請求項10から11のいずれかに記載の検査装置。
  13. 前記標的核酸と結合可能な相補的な配列とスペーサーを有する捕捉核酸が固定されている請求項1に記載の検査装置。
  14. 前記スペーサーが、アルキル基、又はアルキル基とリン酸基を含む請求項13に記載の検査装置。
  15. 前記スペーサーが、下記一般式Iで表される請求項13から14のいずれかに記載の検査装置。
    [一般式I]
    ただし、前記一般式I中Rは置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。Rは置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。nは整数である。Rの置換のアルキレン基が環状構造を有するアルキレン基である。
  16. 前記標識部に含まれる標識体が、前記標的核酸と相補的な一本鎖核酸断片を有しており、前記標的核酸と前記標識体がハイブリダイズすることで、前記標的核酸が標識される請求項1から15のいずれかに記載の検査装置。
  17. 前記標的核酸において、捕捉核酸結合部位と標識体結合部位が、20塩基以下である請求項16に記載の検査装置。
  18. 前記標識部に含まれる標識体が、前記標的核酸もしくは前記標的核酸と結合している化合物又はタンパク質に対する結合能をもつ抗体を有しており、前記標的核酸と前記標識体が抗体抗原反応することで、前記標的核酸が標識される請求項1から17のいずれかに記載の検査装置。
  19. 請求項1から18のいずれかに記載の検査装置を製造するための検査装置製造用転写媒体であって、
    支持体と、
    前記支持体上に設けられた剥離層と、
    前記剥離層上に設けられた試薬固定化層と、を有し、
    前記試薬固定化層の表面が、前記標的核酸と反応する試薬が固定されている構造を有することを特徴とする検査装置製造用転写媒体。
  20. 請求項19に記載の検査装置製造用転写媒体の前記試薬固定化層と、前記流路部材とを接触させて、前記試薬固定化層を前記流路部材に転写する工程を含むことを特徴とする検査装置の製造方法。
  21. 請求項1から18のいずれかに記載の検査装置と、
    検体を採取するための検体採取手段と、
    を有することを特徴とする検査キット。
  22. 請求項1から18のいずれかに記載の検査装置の前記流路部材に、検体を供給する検体供給工程と、
    前記検体の一部を前記成形体に固定されている前記捕捉核酸により捕捉させる工程と、を含むことを特徴とする検査方法。

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