JP2018017701A - イムノクロマト法、検査システム、並びに検査システム製造用転写媒体、及び検査キット - Google Patents

イムノクロマト法、検査システム、並びに検査システム製造用転写媒体、及び検査キット Download PDF

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Abstract

【課題】均一な発色が得られ、検出感度の向上を図ることができるイムノクロマト法の提供。【解決手段】標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された固相化抗体からなる検出部と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、前記標識抗体が磁性を帯びており、前記磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記検出部と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記検出部がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部に磁力を作用させるイムノクロマト法である。【選択図】図1

Description

本発明は、イムノクロマト法、検査システム、並びに検査システム製造用転写媒体、及び検査キットに関する。
免疫測定法は、抗原と抗体の反応を利用して抗原又は抗体を検出及び定量する方法として、例えば、血液、DNA、食品、飲料等の検体の検査などに広く利用されている。代表例として、ELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)法は、マイクロプレートと呼ばれる複数のウェルを有するプラスチック製の容器内に抗体や抗原を仕込み、専用の測定装置により反応物の吸光度などを読み取ることで定量的に分析する方法である。このような方法では、抗体はウェル内のマイクロプレート表面に高密度に固相化され、バッチ方式で数時間かけて抗原抗体反応を行うことで高感度に分析することができ、一般の研究室や医療機関の臨床検査室などで利用されている。
最近では、POCT(Point of Care Testing;臨床現場即時診断)を目的とした測定方法が急速に普及している。代表例としてイムノクロマト法と呼ばれる、サンドイッチELISA法の原理とクロマトグラフィーの原理を組み合わせた測定方法を利用した検査装置が用いられている。
このような検査装置は、例えば、検体液の受液部としてのサンプルパットと、前記サンプルパットから供給された前記検体液を反応させるコンジュゲートパットと、前記コンジュゲートパットから供給された前記検体液を流すメンブレン膜と、を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記POCTを目的としてイムノクロマトアッセイでは近年高感度化の流れを受けて様々な手法が開発されている。これらの中でも、標識抗体に磁性粒子を利用した手法が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。これらの提案は、いずれも磁性粒子標識抗体と結合した抗原(磁性複合体)が、捕捉抗体が固相化されたテストライン及びコントロールラインを通過する際に、メンブレン膜やテストストリップの下部や側面から磁力を発生させることにより、磁性複合体の展開速度を遅らせテストライン及びコントロールラインに固相化されている捕捉抗体との接触時間を増大させることで高感度化を試みている。
本発明は、均一な発色が得られ、検出感度の向上を図ることができるイムノクロマト法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のイムノクロマト法は、標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された固相化抗体からなる検出部と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
前記標識抗体が磁性を帯びており、前記磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記検出部と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記検出部がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部に磁力を作用させる。
本発明によると、均一な発色が得られ、検出感度の向上を図ることができるイムノクロマト法を提供することができる。
図1は、本発明の検査システムの一例を示す上面図である。 図2は、図1の検査システムのC−C’での断面図である。 図3は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの一例を示す断面図である。 図4Aは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの他の一例を示す断面図である。 図4Bは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの更に他の一例を示す断面図である。 図4Cは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの更に他の一例を示す断面図である。 図4Dは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの更に他の一例を示す断面図である。 図5Aは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの他の一例を示す断面図である。 図5Bは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの更に他の一例を示す断面図である。 図5Cは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの更に他の一例を示す断面図である。 図5Dは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの更に他の一例を示す断面図である。 図6は、従来の検査装置におけるコンジュゲートパットの概念図である。 図7は、従来の検査装置におけるメンブレン膜の概念図である。 図8Aは、本発明の検査システム製造用転写媒体の一例を示す概略断面図である。 図8Bは、本発明の検査システム製造用転写媒体の他の一例を示す概略断面図である。 図9Aは、実施例で用いた検査システムの一例を示す上面図である。 図9Bは、図9Aの検査システムのD−D’での断面図である。 図10Aは、参考例で用いた検査装置の一例を示す上面図である。 図10Bは、図10Aの検査装置のE−E’での断面図である。 図11Aは、比較例で用いた検査システムの一例を示す上面図である。 図11Bは、図11Aの検査システムのF−F’での断面図である。 図12Aは、実施例で用いた検査システムの他の一例を示す上面図である。 図12Bは、図12Aの検査システムのG−G’での断面図である。 図13は、本発明の検査キットの一例を示す模式図である。
(イムノクロマト法、及び検査システム)
本発明のイムノクロマト法は、第1の形態では、標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された固相化抗体からなる検出部と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
前記標識抗体が磁性を帯びており、前記磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記検出部と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記検出部がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部に磁力を作用させる。
前記標識抗体を含む検体液としては、例えば、流路部材に導入された検体液中に固相化された標識抗体が放出されることで得られる標識抗体を含む検体液、予め標識抗体と検体液を混合させた反応液などが挙げられる。
本発明のイムノクロマト法は、第2の形態では、標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された樹脂層の、前記流路部材に対向する面における固相化抗体と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
前記標識抗体が磁性を帯びており、磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記樹脂層と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記樹脂層がくるように前記磁場発生体を配設して、前記樹脂層に磁力を作用させることが好ましい。
前記標識抗体を含む検体液としては、例えば、流路部材に導入された検体液中に固相化された標識抗体が放出されることで得られる標識抗体を含む検体液、予め標識抗体と検体液を混合させた反応液などが挙げられる。
本発明の検査システムは、検体液を流すための多孔質の流路部材と、
前記流路部材上に第一の樹脂層と、第二の樹脂層と、を有し、
前記第一の樹脂層が、前記流路部材に対向する面に、少なくとも捕捉抗体を有し、
前記第二の樹脂層が、前記流路部材に対向する面に、磁性を帯びた標識抗体を有し、
前記流路部材と磁場発生体の間に前記第一の樹脂層がくるように前記磁場発生体が配置されている。
本発明のイムノクロマト法及び検査システムは、前記特許文献2及び3のようなメンブレン膜やテストストリップの下部や側面から磁力を発生させることにより、磁性複合体の展開速度を遅らせテストライン及びコントロールラインに固相化されている捕捉抗体との接触時間を増大させることで高感度化を図る技術では、磁力により集積された磁性複合体がメンブレン膜の内部に留まってしまうため、テストライン及びコントロールライン等の判定ラインの発色に寄与できず、有効に利用されていないという知見に基づくものである。
本発明の第1の形態のイムノクロマト法は、抗原を含んだ検体液を滴下部から流路部材に導入し、導入された前記検体液中に磁性を帯びた標識抗体が放出されることで得られるか、又は予め磁性を帯びた標識抗体と検体液を混合させた反応液を滴下部から流路部材に導入する。
前記検体液は毛細管現象により前記流路部材を展開し、まずは抗原と磁性を帯びた標識抗体が抗原抗体反応により磁性複合体を形成する。前記磁性を帯びた標識抗体が添加された前記検体液又は前記反応液は、その後、更に前記流路部材を展開し、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された固相化抗体からなる検出部と接触させることによって抗体に捕捉され、前記標識抗体が集積することにより判定ラインを形成し、陽性乃至陰性を判定することができる。
本発明の第2の形態のイムノクロマト法は、抗原を含んだ検体液を滴下部から流路部材に導入し、導入された前記検体液に磁性を帯びた標識抗体を添加するか、又は予め磁性を帯びた標識抗体と検体液を混合させた反応液を滴下部から流路部材に導入する。
前記検体液は毛細管現象により前記流路部材を展開し、まずは抗原と標識抗体が抗原抗体反応により磁性複合体を形成する。前記磁性を帯びた標識抗体が添加された前記検体液又は前記反応液は、その後、更に流路部材を展開し、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された樹脂層の、前記流路部材に対向する面における固相化抗体に捕捉され、標識抗体が集積することにより判定ラインを形成し、陽性乃至陰性を判定することができる。
ここで、前記陽性とは、抗原を含んだ検体液が展開したときにテストラインに標識抗体が集積することでテストラインが発色することを意味する。
前記陰性とは、抗原を含まない検体液が展開したときにテストラインに標識抗体が集積せず、テストラインが発色しないことを意味する。
本発明の第1及び第2の形態のイムノクロマト法は、前記標識抗体は磁性を帯びており、磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記検出部又は前記樹脂層に接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記検出部又は前記樹脂層がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部又は前記樹脂層に磁力を作用させることを特徴とする。
本発明の第1及び第2の形態のイムノクロマト法は、前記流路部材と磁場発生体の間に検出部又は樹脂層がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部又は前記樹脂層に磁力を作用させることにより、前記磁性複合体がメンブレン膜の上部に集積され、前記検出部又は前記樹脂層に固相化された抗体と反応するため、殆どの前記磁性複合体がテストライン及びコントロールラインの発色に寄与することができ、検出感度の向上を図ることができる。
前記検出部又は前記樹脂層は、複数設けることが好ましい。前記検出部又は前記樹脂層が複数であると、前記流路部材内を前記検体液が問題なく展開していることを容易に確認できる点で有利である。
前記検出部は、前記流路部材に抗体を塗布することより形成するか、及び固相化抗体を有する樹脂層を配設することにより形成するか、のいずれの方法でも制限なく採用できる。これらの中でも、特に、固相化抗体を有する樹脂層を配設したほうが高濃度な発色を得られる点で好ましい。
前記高濃度な発色が得られる理由としては、前記樹脂層は実質的に非孔質体であるため、面あたりに抗体を高密度に固相化することが可能である。一方、多孔質体である流路部材に直接抗体を塗布する場合は、抗体が厚み方向に浸透乃至拡散するため、高密度に固相化することが困難である。この場合、本発明のように、磁場発生体を利用して標識抗体を流路部材の表面近傍に集積する場合、面あたりに固相化される抗体の密度が低いと、その分ラインの発色に寄与できる標識抗体の量が少なくなり不利となることが考えられる。
前記磁性を帯びた標識抗体は、磁性を帯びた標識物と抗体からなる。
前記磁性を帯びた標識抗体に用いる抗体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、及び(Fab)抗体などが挙げられる。
前記磁性を帯びた標識物は、標識と磁性との両方の機能を有する物質であり、例えば、磁性粒子そのものの色を標識としても利用した標識物や、後述するように、磁性粒子の表面を着色物質でコーティングした標識物などが挙げられる。これらには、抗体を吸着乃至結合させるために、粒子の表面を高分子化合物などコーティングしたものも含まれる。
前者の磁性を帯びた標識物としては、殆どの磁性粒子が材料に由来する色を有しているため、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、マグヘマイト(γ−酸化鉄)やマグネタイトなどは、黒色〜茶色を帯びているため、メンブレンなどの白色の流路部材を背景にしたときに検出部のコントラストが高くなり、視認性が高くなる点から好ましい。
その他の前記磁性粒子としては、磁性を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの強磁性体を少なくとも含む合金、フェライトなどが挙げられる。
前記磁性を有する材料としては、例えば、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、コバルト白金クロム合金、バリウムフェライト合金、鉄白金合金、鉄パラジウム合金、コバルト白金合金、マンガンアルミ合金、サマリウムコバルト合金、鉄ネオジムボロン合金、マグヘマイト(γ−酸化鉄)、マグネタイト、一酸化鉄、又はこれらの酸化物や窒化鉄、あるいは非磁性材料中に強磁性金属又は強磁性金属を含む合金を含有するものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、磁場発生体から磁力を作用させている間は磁化し、磁場発生体からの磁力を遮断させると速やかに減磁する性質を持つものであることが特に好ましく、残留磁気のない超常磁性材料が好適である。
前記磁性粒子の構造としては、磁性を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁性材料を単独で粒子状に成形した粒子や、磁性材料をコア粒子としてその表面をポリスチレン、シリカゲル等の高分子化合物で被覆した粒子や前記高分子化合物をコア粒子として磁性材料を被覆した粒子などが挙げられる。
その他として、前記高分子化合物に着色(発色)物質を分散させたもの、前記着色(発色)物質そのものを直接磁性粒子の表面に吸着もしくは結合させたもの、前記磁性粒子表面を金属でコーティングさせたもの、又はそれらの混合品、合金などの、着色(発色)処理を施した磁性粒子を用いることもできる。前記着色(発色)物質としては、例えば、蛍光色素、燐光色素、化学発光用色素、酵素反応用色素などが挙げられる。前記金属としては、例えば、金、白金、銀等の貴金属などが挙げられる。
前記磁性粒子のサイズは、粒子径が小さくても高い磁気誘導特性を有する磁気異方性の高い材料が好ましい。前記磁性粒子の平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁性を保持するために5nm以上であることが好ましく、流路部材内で目詰まりすることなく展開できるように500nm以下とすることがより好ましい。
前記磁性を帯びた標識抗体の作製方法としては、特に制限はなく、公知の物理的吸着法又は化学的吸着(結合)法などを利用することができる。
前記物理的吸着法の場合は、標識させる抗体と磁性粒子を緩衝液などの溶液中で数分間〜1日間混合・攪拌したものを遠心分離して上清(不要成分)を取り除くことにより目的の標識抗体を得ることができる。
前記化学的吸着(結合法)の場合、磁性粒子表面の反応基や、又は磁性粒子がポリマーなどの高分子化合物を含む場合は、これらが有する反応基と、標識させる抗体が有する反応基を、アミド結合、イミン結合、及びチオエーテル結合などの共有結合により結合させることで磁性を帯びた標識抗体を作製できる。
以下では、固相化抗体を有する樹脂層を配設した場合について説明する。
前記イムノクロマト法においては、従来のELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)法のように、前記樹脂層の前記流路部材に対向する面に前記捕捉抗体を固相化することにより、検体液中の検体を樹脂層側で検出することが可能となるが、前記捕捉抗体を高密度に固相化できるため、検体液中の検体を感度よく検出することができる。また、前記検査システムにおいては、従来のイムノクロマト法のように、前記検体を含む検体液が毛細管現象を駆動力として前記流路部材(流路)内に展開しながら反応が進むため、迅速かつ高感度な測定ができるとともに、鮮明な判定ラインを得ることができる。
前記抗体の密度(抗体の固相化量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500ng/cm以上が好ましい。前記抗体の密度が、500ng/cm以上であると、前記抗体の固相化量が適切となり、判定ラインの発色強度が十分に得られる点で有利である。
前記樹脂層の表面に存在する前記抗体の固相化量の分析方法としては、例えば、X線光電子分光法(XPS)などが挙げられる。
前記X線光電子分光法(XPS)による前記抗体の固相化量の分析方法としては、前記X線光電子分光法(XPS)により前記樹脂層の表面に存在する元素の結合エネルギーを測定し、C1s、N1s、O1s等に対応するピークの面積から換算することによって元素組成(atom%)を算出する。なお、前記樹脂層の表面に存在する抗体量は、前記抗体にのみ由来する元素成分から算出でき、この際、前記抗体の固相化量を変えたサンプルを5つ程度用意し、前記抗体に由来する元素組成の割合の違いから検量線を作成することにより、前記樹脂層の表面における抗体量を測定することができる。
また、前記抗体を固相化するときに、前記樹脂層の表面に塗布した抗体溶液をそのまま乾燥して固相化する場合は、前記抗体溶液の塗布量から固相化量を推定することも可能である。
本発明で用いられる磁場発生体としては、磁場を発生させて磁性を帯びた標識抗体などを特定の方向に引き寄せることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、前記流路部材と前記磁場発生体の間に樹脂層がくるように前記磁場発生体を配設してあれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記磁場発生体をいかなる場所に配設してもよい。
前記磁場発生体は、前記流路部材を毛細管現象により展開する前記磁性複合体が、前記樹脂層表面に効率的に接触するように配置されているのが好ましい。例えば、検査システムにおいて、前記樹脂層の真上に磁場発生体を配設する場合や、滴下部から前記樹脂層に渡る間に磁場発生体を配設する場合などが挙げられる。
前記磁性を帯びた標識抗体の磁性粒子は磁場発生体との距離が近いほど磁場発生体に強く引き寄せられることから、前記樹脂層と前記磁場発生体の距離は近い方が好ましい。磁性複合体の展開を阻害しない範囲であれば、樹脂層と磁場発生体が接しているか、又は10mm以下に配設することが好ましく、2.0mm以下に配設することがより好ましい。ただし、前記磁性を帯びた標識抗体の磁性粒子や磁場発生体の磁気特性によってはこの範囲に限定されることはなく、検査システムにおいては磁場発生体により前記磁性粒子が樹脂層表面に引き寄せられる距離であるならば自由に設置することができる。
前記磁場発生体は、磁性複合体、又は磁性を帯びた標識抗体が展開した後は、検査システムから取り外し、磁力を遮断することが好ましい。前記磁場発生体の磁性を作用させたままにしておくと、磁性複合体以外の磁性を帯びた標識抗体がテストラインに集積しやすくなり、非特異吸着を起こすなどの懸念が生じる場合がある。この場合は、磁力を遮断した後、磁性複合体の生成に寄与しなかった標識抗体を洗浄することが好ましい。
前記磁場発生体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、永久磁石、電磁石、超電導磁石などが挙げられる。これらの中でも、検査システムの小型化及び簡便性を重視する点から、永久磁石が好ましい。
前記永久磁石の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、コバルト磁石、アルニコ磁石などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、小さなサイズでも強力な磁力を発する点から、ネオジム磁石が好ましい。また、電磁石を用いる場合、電圧又は電流を可変させることにより磁場を与える他、磁気勾配を付与してもよい。
前記磁場発生体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、方形、円形等の任意の形状などが挙げられる。また、前記樹脂層に磁場を発生する向きについても、磁場を発生させて磁性を帯びた標識抗体を樹脂層表面に引き寄せる向きであれば特に制限はなく、検査システムにあわせて自由に設置できる。
本発明のイムノクロマト法における検出方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡便性から標識抗体そのものの発色を目視判定するのが好ましい。
その他の検出方法としては、例えば、蛍光や化学発光による発色を検出器で捉える方法、磁気検出装置によりラインに集積した磁気の変化を測定することにより検出する方法などが挙げられる。
ここで、図面を参照して、検査システム10Aについて説明する。
図1は、本発明の検査システムの一例を示す上面図である。図2は、図1の検査システム10AのC−C’での概略断面図である。図3は、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの一例を示す概略断面図である。図4A〜図5Dは、流路部材及び樹脂層の対向部における検査システムの一例を示す概略断面図である。
図1〜図5Dに示すように、検査システム10Aは、血液、髄液、尿、又は検体抽出液(例えば、スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の検体液30(検体の一例)を流すための流路が形成された多孔質の流路部材12と、流路部材12上に設けられた樹脂層(15a,15b,15c)とを有している。樹脂層(15a,15b,15c)における流路部材12に対向する面には、検体液30に含まれる抗原と反応する磁性を帯びた標識抗体16、抗原を捕捉する捕捉抗体17、及び標識抗体を捕捉する捕捉抗体(又は抗原)18がそれぞれ固相化されている。これにより、樹脂層(15a,15b,15c)毎に、樹脂層(15a,15b,15c)と試薬との相互作用の強さを調整できるので、流路部材12を目的に応じて任意に選択した場合でも、磁性を帯びた標識抗体16の放出や捕捉抗体17、18の固定化を制御しやすくなる。
前記磁性を帯びた標識抗体を含む検体液が樹脂層(15b,15c)と接触するときに、流路部材12と磁場発生体13の間に樹脂層(15b,15c)がくるように磁場発生体13を配設して、樹脂層(15b,15c)に磁力を作用させることができる。
なお、磁性を帯びた標識抗体16、捕捉抗体17、及び捕捉抗体18の少なくともいずれか一つの前記抗体の密度は、樹脂層15の流路部材12に対向する面において、上流側端部(α)よりも下流側端部(β)が大きくなるように形成されている。
検査システム10Aにおいて、流路部材12が基材11上に設けられ、基材11及び流路部材12上に吸収部材14が設けられている場合について説明するが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
流路部材12上に設けるとは、検査システム10Aを配置したときの向きとは関係なく、流路部材12に接して設けることを意味している。また、樹脂層(15a,15b,15c)のうち、任意の樹脂層を示す場合には、樹脂層15と表す。なお、捕捉抗体18は、共有結合、水素結合、金属結合等の任意の化学結合、付着、凝着、吸着、ファンデルワールス結合等の任意の相互作用により固相化されていればよい。
以下、検体液30が、血液、髄液、尿、又は検体抽出液(例えば、スティック等の検体採取手段により採取した検体を含む液)等のように親水性の検体液である場合について説明を続ける。
図3に示したように、検査システム10Aの樹脂層15a(第二の樹脂層)は、親水基152を多く有する両親媒性樹脂151を含有する。
親水基152の含有量としては、樹脂層15a全量に対して、50質量%以上が好ましい。
ここで、前記親水基とは、水分子と水素結合などによる弱い結合を作る原子団であり、水との間に親和性があること意味する。前記両親媒性とは、水及び有機溶媒の両方に親和性があることを意味する。
19は磁性を帯びた標識物であり、これにより標識抗体16は磁性を帯びており、また、親水性の部位16gを有することにより、樹脂層15aの流路部材12に対向する面に固相化される。一方、流路部材12及び樹脂層15aの対向部に形成される隙間に検体液30が充填されたときには、磁性を帯びた標識抗体16の親水性の部位16gと親水性の検体液30とが親和して、両親媒性樹脂151から、磁性を帯びた標識抗体16が放出される。また、検体液30に抗原31が含まれている場合には、抗原抗体反応により、放出された磁性を帯びた標識抗体16と抗原31とが反応して結合する。なお、磁性を帯びた標識抗体16と抗原31との結合が阻害されることを防ぐため、両親媒性樹脂151は、水不溶性樹脂であることが好ましい。
なお、磁性を帯びた標識抗体16は、標識物と抗体と磁性粒子からなる磁性を帯びた標識抗体であってもよい。
ここで、前記水不溶性とは、実質的に水に不溶であることを指す。前記実質的に水に不溶であるとは、25℃で24時間、大量の水中に浸漬した後、真空乾燥等の方法によって十分に乾燥した際の、樹脂の質量変化量が1質量%以下であることを意味する。樹脂の質量が変化するのは、樹脂生成物中に含まれる副生成物(モノマー成分など)が水中に溶け出して質量が減少するためである。
図4Aから図4Dに示すように、樹脂層15b(第一の樹脂層)としては、疎水基153を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、樹脂層15bは、疎水性樹脂155又は疎水基153を多く有する両親媒性樹脂154を含有しており、疎水性樹脂155又は両親媒性樹脂154を主成分(含有量が50質量%以上)として構成されていることが好ましい。
ここで、前記疎水基とは、水となじみにくい原子団のことであり、水に対する親和性が低く、水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくいことを意味する。
捕捉抗体17は、疎水性の部位17gを有しており、疎水性の部位17gが分子間力により結合することにより、樹脂層15bの流路部材12に対向する面に固相化される。流路部材12及び樹脂層15bの対向部に形成される隙間に検体液30が充填されたときに、捕捉抗体17は、標識抗体16に結合した状態の抗原31を捕捉する。これにより、抗原31及び標識抗体16が固定化されて発色するため、樹脂層15bを、抗原31の有無を判定するためのテストラインとして用いることができる。
磁性を帯びた標識抗体16が樹脂層15bに接触するときに、流路部材12と磁場発生体13の間に樹脂層15bがくるように磁場発生体を配設しており、樹脂層15bに磁力を作用させることにより、前記磁性複合体がメンブレン膜の上部に集積され、樹脂層15bに固相化された捕捉抗体17と反応するため、殆どの前記磁性複合体がテストラインの発色に寄与することができ、検出感度の向上を図ることができる。
疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ前記水不溶性樹脂であることが好ましい。疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154がそれぞれ前記水不溶性樹脂であると、ラインの滲みを防ぐことができる点で有利である。
なお、磁場発生体13は、図4A及び図4Bに示すように、樹脂層15b表面に接するように配置されていてもよく、図4C及び図4Dに示すように、樹脂層15b表面との間に隙間を有する状態で配置されていてもよい。
図5Aから図5Dに示すように、樹脂層15c(第一の樹脂層)は疎水性樹脂155又は疎水基153を多く有する両親媒性樹脂154を含有しており、疎水性樹脂155又は両親媒性樹脂154を主成分(含有量が50質量%以上)として構成されていることが好ましい。
樹脂層15cの流路部材12に対向する面には、捕捉抗体18の疎水性の部位が分子間力により結合することにより、捕捉抗体18が固相化されている。
捕捉抗体18としては、磁性を帯びた標識抗体16を捕捉するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁性を帯びた標識抗体16と特異的に結合する抗体、抗原などが挙げられる。これにより、磁性を帯びた標識抗体16が固定化されて発色するため、樹脂層15cを、磁性を帯びた標識抗体16が到達したことを示すコントロールラインとして用いることができる。
磁性を帯びた標識抗体16が樹脂層15cに接触するときに、流路部材12と磁場発生体13の間に樹脂層15cがくるように磁場発生体を配設しており、樹脂層15cに磁力を作用させることにより、前記磁性複合体がメンブレン膜の上部に集積され、樹脂層15cに固相化された捕捉抗体18と反応するため、殆どの前記磁性複合体がコントロールラインの発色に寄与することができ、検出感度の向上を図ることができる。
疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ前記水不溶性樹脂であることが好ましい。疎水性樹脂155及び両親媒性樹脂154がそれぞれ前記水不溶性樹脂であると、コントロールラインの滲みを防ぐことができる点で有利である。
なお、磁場発生体13は、図5A及び図5Bに示すように、樹脂層15c表面に接するように配置されていてもよく、図5C及び図5Dに示すように、樹脂層15c表面との間に隙間を有する状態で配置されていてもよい。
前記樹脂層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非孔質体であることが好ましい。前記非孔質体とは、実質的に空隙を含まない非孔質の構造体であり、メンブレン膜等の液体の吸収を促進するために設けられた空隙を含む多孔質材料とは相反する構造体を指す。前記非孔質体としては、例えば、製造工程に偶発的に含まれてしまった気泡であって液体の吸収作用の促進に寄与しないような気泡を僅かに含むものについては前記非孔質体の範疇に含まれる。
従来のテストライン及びコントロールラインの形成は、親水性の多孔質材料からなる流路部材に、捕捉抗体が溶解した液を直接塗布することにより行われていた。したがって、前記捕捉抗体は、液体の浸透に伴い前記多孔質材料の内部に拡散する。しかし、前記多孔質材料の内部に存在する前記捕捉抗体と結合する磁性粒子等の標識用粒子の発色は、光の散乱が起こるために実際には検知することはできない。つまり、前記捕捉抗体の殆どが有効に利用されていないことになる。
一般的に、多孔質材料で検知できる発色粒子は、表面から5μm程度の深さまでとされる。前記5μmの深さの領域に、検査に必要となる前記捕捉抗体を固定させるには、厚み方向への拡散を考慮して多量の前記捕捉抗体を塗布しなければならない。即ち、前記捕捉抗体の塗布量は、前記多孔質材料の平均厚みに比例して増加することになる。
本発明の検査システム10Aにおいては、前記捕捉抗体の固定化には疎水基を多く含む前記非孔質体からなる前記樹脂層を使用するため、前記捕捉抗体は、前記樹脂層の内部に入り込むことがなく、前記樹脂層の表面にのみ固定化される。前記樹脂層表面に固定化された前記捕捉抗体に標識用粒子が結合することにより発色するが、光が散乱しにくい前記非孔質体からなる前記樹脂層を通して検知することができるため、前記標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができる。また、厚み方向に余分な前記標識用粒子(発色粒子)が存在しないので、前記捕捉抗体の塗布量が極めて少なくてよいというメリットが生じる。例えば、親水性多孔質材料からなる前記流路部材の平均厚みを100μmとした場合、表面から5μm部分の厚みの発色しか利用できていないと仮定すると、同じ発色強度を得るのに使用する前記捕捉抗体の塗布量を、1/20に減らすことができる。即ち、前記捕捉抗体の固定化に疎水基を多く含む前記非孔質体からなる樹脂層を使用するため、前記標識用粒子による発色の利用効率を大幅に向上させることができ、厚み方向に余分な前記発色粒子が存在することがないので、前記捕捉抗体の塗布量を従来よりも低減させることができる。
ここでは、検体液30に含まれる抗原31の有無を検査するための検査システム10Aについて説明するが、本発明の検査システム10Aは、抗原抗体反応を用いたものに限定されない。例えば、検査システム10Aは、試薬として、構造変化により色相が変化する試薬を用いることで、検体液30に含まれる特定の成分を検査するものであってもよい。
以下、検査システム10Aを構成する各部材について詳細に説明する。
<基材>
基材11としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができ、例えば、有機、無機、又は金属製のものが挙げられる。
基材11は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも一面が疎水性樹脂で覆われていることが好ましい。
検査システム10A及をセンサチップに使用する場合には、軽量で柔軟性があり、かつ安価である合成樹脂を基材11として用いることが好ましい。
本発明によると、プラスチックシート等の耐久性が高い基材11を選択することができるので、結果として検査システム10Aの耐久性も向上する。
基材11の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニルエーテル、ポリブチレンフタレート、ABS樹脂などが挙げられる。これらの中でも、低価格で汎用性が高い点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材11の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
基材11の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.5mm以下が好ましい。前記平均厚みが、0.01mm以上であると、基材11としての強度が良好であり、0.5mm以下であると、基材のフレキシブル性が良好であり、センサとして好適に用いることができる。
ここで、前記平均厚みとは、例えば、測定対象物の厚みを長手方向(長さ方向)に5箇所、幅方向に3箇所、測定箇所がほぼ均等の間隔となるように合計15箇所をマイクロメーター(MDH−25M、株式会社ミツトヨ製)で測定したときの厚みの平均値とすることができる。前記厚みとは、基材11と流路部材12との接触面に対して垂直方向の対象物の長さとすることができる。
<流路部材>
検査システム10Aの流路部材12としては、検体液30を流すことが可能な部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親水性多孔質材料などが挙げられる。
前記親水性多孔質材料によって構成される流路部材12は、空隙(12a,12b)を有しており、検体液30が空隙(12a,12b)内を流れることによって流路が形成される。
図3〜図5Dにおいて、空隙12aは、各断面に形成された空隙であり、空隙12bは、断面の奥側の空隙である。親水性多孔質材料の内部には、気泡が存在し、気泡同士が繋がって連続気泡となっていることが好ましい。
前記連続気泡とは、気泡同士が繋がっていない独立気泡とは区別されるものである。前記連続気泡においては、気泡同士の壁に小さな孔が開いているため、毛細管現象によって液体を吸い込んだり気体を通過させたりする機能を有する。流路部材12は、空隙(12a,12b)において、毛細管現象を利用して検体液30を移送するので、ポンプ等の外部駆動装置が不要である。
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親水性を示し空隙率が高い材質が好適に用いられる。
前記親水性多孔質材料とは、水溶液が容易に浸透可能な多孔質材料を意味する。前記容易に浸透可能とは、120℃で1時間乾燥した板状試験片の表面に純水0.01mLを滴下する水浸透性の評価試験で、純水0.01mLが10分間以内にすべて浸透することをいう。
前記親水性多孔質材料の空隙率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40%以上90%以下が好ましく、65%以上80%以下がより好ましい。前記空隙率が90%以下であると、基材の強度が良好である。また、前記空隙率が40%以上であると、検体液の浸透性が良好となる。
ここで、前記空隙率は、例えば、親水性多孔質材料の坪量(g/m)、平均厚み(μm)、組成分比重から、下記の計算式1により求めることができる。
[計算式1]
空隙率(%)={1−〔坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重〕}×100
前記親水性多孔質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メンブレン膜等のろ紙、普通紙、上質紙、水彩紙、ケント紙、合成紙、合成樹脂フィルム、コート層を有する専用紙、布地、繊維製品、フィルム、無機基板、ガラスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メンブレン膜等のろ紙、布地が好ましく、高い空隙率及び良好な親水性の点から、メンブレン膜等のろ紙がより好ましい。
前記布地としては、例えば、レーヨン、ベンベルグ、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ビニロン等の人造繊維、綿、絹等の天然繊維、又はこれらの混紡繊維、あるいはこれらの不織布などが挙げられる。
前記親水性多孔質材料の形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状が好ましい。
前記親水性多孔質材料の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上0.3mm以下が好ましい。前記平均厚みが0.01mm以上であると、基材の強度が良好となる点で有利である。また、前記平均厚みが0.3mm以下であると、検体液の必要量の適正化が図れる点で有利である。
<磁場発生体>
磁場発生体13としては、上述したものを用いることができる。
<樹脂層>
樹脂層15の機能について、図6及び図7に示す従来の検査装置10Bと対比しながら説明する。
図6は、従来の検査装置10Bにおけるコンジュゲートパットの概念図である。図7は、従来の検査装置10Bにおけるメンブレン膜の概念図である。
従来の検査装置10Bにおいて、コンジュゲートパットの親水性が高すぎると、コンジュゲートパットに検体液が残り易くなり、メンブレン膜へ移行しにくくなっていた。逆にコンジュゲートパットの疎水性が高すぎると、メンブレン膜への検体液の移行は早くなるが、サンプルパットからの検体液の吸水性が落ちるため、検査時間が長くなったり、多量の検体液を要するようになっていた。このため、コンジュゲートパットとして使用可能な繊維F1は限定されていた。更に、従来の検査装置10Bにおいて、標識抗体16がコンジュゲートパットを構成する繊維F1に固相化されているため(図6参照)、コンジュゲートパットから放出させることが可能な標識抗体16としては、繊維F1との結合力が弱いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置10Bは、設計上、使用可能な繊維F1や標識抗体16が限られたものになる。
また、従来の検査装置10Bにおいて、捕捉抗体17がメンブレン膜を構成する繊維F2に固相化されているため(図7参照)、メンブレン膜に固定化させることが可能な捕捉抗体17としては、繊維F2との結合力が強いものに限定されることになる。即ち、従来の検査装置10Bは、設計上、使用可能な繊維F2や捕捉抗体17が限られたものになる。
本発明の検査システム10Aにおいては、樹脂層15(15a,15b,15c)に、磁性を帯びた標識抗体16、捕捉抗体17、捕捉抗体18などの試薬を固相化させている。このため、樹脂層15と、捕捉抗体17との相互作用の強さや、検体液30との親和性に応じて、磁性を帯びた標識抗体16の放出、又は捕捉抗体17の固定化を制御することができる。
樹脂層15と捕捉抗体17との相互作用の強さや、検体液30との親和性を調整する方法としては、例えば、樹脂層15を構成する樹脂の種類や樹脂の組成比を対応する捕捉抗体17に応じて変更する方法などが挙げられる。樹脂層15を構成する樹脂において疎水性の割合が多いほど、樹脂層15は、疎水基を有する捕捉抗体17を疎水性相互作用により固定化しやすくなる。
ここで、前記疎水性相互作用とは、水中で水になじめない疎水性分子や疎水基が集合する変化の原因(駆動力)を指す。詳細には、疎水性分子や疎水基を有する分子を水中に入れると、多くの場合、単に溶けないというだけではなく、疎水性分子や疎水基が互いに接した状態をとり、水分子との接触面積をできるだけ減らそうとする。その結果、疎水性分子種は互いに寄り集まるようになり、分子間に結合力が作用しているようにみえる現象のことを言う。
樹脂層15を構成する樹脂において親水性の割合が多いと、樹脂層15と、親水性の捕捉抗体との相互作用は強くなるが、結合部が親水性の検体液30と接触したときに、試薬は検体液30と親和して検体液30中に放出されやすくなると推定している。
樹脂層15を構成する樹脂としては、水不溶性樹脂であることが好ましい。樹脂層15を構成する樹脂が前記水不溶性樹脂であると、前記樹脂が検体液30に溶解して、前記流路を詰まらせたり、コントロールライン又はテストラインが滲むことを防ぐことができる。
樹脂層15aを構成する両親媒性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。 前記共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
樹脂層15b及び樹脂層15cを構成する疎水性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂又は環状ポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;プロピオネート樹脂等の繊維素系樹脂;塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリメチルペンテン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層15b及び樹脂層15cを構成する疎水性樹脂以外の化合物としては、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層15b、及び樹脂層15cを構成する化合物の中でも、疎水性相互作用が強い点から、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
各樹脂層(15a,15b,15c)を構成する樹脂としては、それぞれ同種の樹脂を用いることも可能である。この場合、樹脂層15aを構成する樹脂を、樹脂層(15b,15c)を構成する樹脂よりも、親水性の高いものとすることが好ましい。なお、同種の樹脂を用いる場合には、親水性を測定するまでなく、親水基の割合が高ければ、より親水性が高いということができる。
樹脂層15aに固相化させる磁性を帯びた標識抗体16としては、前述の磁性を帯びた標識抗体であれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
樹脂層15bに固相化させる捕捉抗体17としては、疎水性の部位を有しており、抗原31と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IgG等の抗体、各種アレルゲンに対する抗体などが挙げられる。
前記抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、(Fab)抗体などが挙げられる。
樹脂層15cに固相化させる捕捉抗体18としては、疎水基を有しており、標識抗体16と反応するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IgG等に対する抗体、又は上記で挙げた抗体などが挙げられる。また、標識抗体16と反応する抗原そのものであってもよい。
磁性を帯びた標識抗体16、捕捉抗体(17,18)等の試薬を、樹脂層15に固相化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、捕捉抗体等の試薬を含む溶液を樹脂層15に塗布した後、急速乾燥してドライアップする方法、試薬を含む溶液を樹脂層15に塗布した後、塗布液が乾燥しないよう多湿環境下で静置(インキュベート)した後、蒸留水等で無機塩等の抗体以外の成分を洗浄後、乾燥する方法などが挙げられる。
<検体液(展開液)>
検体液30は検体を検査装置に展開させる際に、流路部材全体に検体をスムーズにクロマト・展開させ、樹脂層の固相化試薬と効率的に反応させる機能を有する。検体液30は、少なくとも検体を含み、好ましくは親水性であり、更に必要に応じて無機塩、界面活性剤、糖、タンパクなどのその他の成分を含んでなる。通常は、前述の緩衝液に界面活性剤、糖、タンパクなどが添加されたものを展開液とし、それに検体を含んだものを検体液として用いるが、これに制限されない。
樹脂層15は、流路部材12上に固定されていることが好ましい。
樹脂層15を流路部材12上に固定する方法としては、検査時に試薬と検体液30とが接触可能となるような状態で固定化する方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱転写プリンタ等を用いて樹脂層を構成する樹脂を流路部材12上に熱転写する方法、ドットインパクトプリンタ等を用いて樹脂層を構成する樹脂に圧力を加えて転写する方法、樹脂層を構成する樹脂をテープや接着剤、粘着剤等で流路部材12上に貼り付ける方法などが挙げられる。
<吸収部材>
吸収部材14は、水を吸収する部材であれば特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択することができる。
吸収部材14としては、例えば、紙、布等の繊維、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物、カルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物の部分架橋体、多糖類の部分架橋体などが挙げられる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護部材、標識抗体保持パット、サンプル滴下パットなどが挙げられる。
前記保護部材は、前記流路部材に手が触れたときの汚染を防ぐ目的の部材である。
前記保護部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、検査システム10Aの全体を覆うハウジングや、流路部材上に設けられるフィルムなどが挙げられる。
前記保護部材を設ける場合、流路部材12の滴下部の上部には開口が設けられていることが好ましい。また、前記保護部材には、流路内の圧力を開放するための開口が設けられていることが好ましい。
上記のとおり、各種方法により流路部材12上に樹脂層15を設けることができるが、その一例として熱転写方式を用いる場合について説明する。以下、熱転写方式で用いられる検査システム製造用転写媒体及び検査システムの製造方法について説明する。
(検査システム製造用転写媒体)
本発明の検査システム製造用転写媒体の第1の実施形態では、支持体と、前記支持体上に設けられた剥離層と、前記剥離層上に設けられた試薬固相化層とを有し、前記試薬固相化層の表面において、検体が流入する部分に対応する端部よりも、前記検体が流出する部分に対応する端部が、前記検体と反応する抗体の密度が大きくなるように、前記抗体が固相化されている。なお、前記試薬固相化層の表面が、検体と反応する試薬を有する。
本発明の検査システム製造用転写媒体の第2の実施形態では、前記第1の実施形態において、前記試薬固相化層が、前記剥離層を兼ねた剥離層兼試薬固相化層である。なお、前記剥離層兼試薬固相化層の表面が、検体と反応する試薬を有する。
ここで、図面を参照して、流路部材上に、樹脂層を設けるときに用いられる検査システム製造用転写媒体について説明する。図8Aは、本発明の検査システム製造用転写媒体の一例を示す概略断面図である。図8Bは、本発明の検査システム製造用転写媒体の他の一例を示す概略断面図である。
熱転写方式を用いる場合、予め捕捉抗体を均等に付着させた検査システム製造用転写媒体100を用いることができるので、テストライン又はコントロールラインにおける捕捉抗体(17,18)の濃度差が小さくなる。また、従来の方法により、捕捉抗体を塗布して配置した場合には、塗布可能な程度の粘度(例えば、インクジェットプリンタによって吐出可能な程度)になるまで捕捉抗体を溶媒で希釈する必要があるが、熱転写により捕捉抗体を配置する場合には、予め、高濃度の捕捉抗体を付着させた検査システム製造用転写媒体を用いることで、高濃度の捕捉抗体を流路に配置できる。
図8Aに示すように、検査システム製造用転写媒体100は、支持体101と、支持体101上に設けられた剥離層102と、剥離層102上に設けられた試薬固相化層103とを有しており、試薬固相化層103の表面には、試薬が固相化されている。また、検査システム製造用転写媒体100は、更に必要に応じて、バック層104等のその他の層を有している。
図8Bの検査システム製造用転写媒体110に示すように、剥離層102と試薬固相化層103とは剥離層兼試薬固相化層105として兼ねることも可能である。
<支持体>
支持体101としては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記支持体の大きさとしては、検査システム10Aの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
支持体101の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、セルロースアセテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
支持体101の表面には、支持体101の上に設ける層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
支持体101は、試薬固相化層103を流路部材12に転写後、そのまま残しておいてもよく、また、試薬固相化層103を転写後、剥離層102で支持体101等を剥離し除去してもよい。剥離層兼試薬固相化層105を用いる場合は、剥離層兼試薬固相化層105は流路部材12に完全に転写されるか、又は剥離層兼試薬固相化層105のうち、抗体が固相化された表面を含む部分は転写されるが、支持体101側に剥離層兼試薬固相化層105が一部残ってもよい。
支持体101は、特に制限はなく、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
支持体101の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上50μm以下が好ましい。
<剥離層>
剥離層102は、転写の際に、支持体101と試薬固相化層103との剥離性を向上させる機能を有する。また、剥離層102は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で、試薬固相化層103の切断を容易にする機能を有する。
剥離層102は、ワックス及びバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、木ロウ、キャンデリラワックス、米ぬかロウ、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸;ステアリンアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸ナトリウム共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離層102の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法などが挙げられる。
剥離層102の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。
剥離層102の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。
<試薬固相化層>
試薬固相化層103としては、検査システム10Aにおける樹脂層15を構成する樹脂を含んでいればよく、その材料に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この場合、樹脂層(15b,15c)を構成する樹脂を含む場合を第1の試薬固相化層とし、表面に捕捉抗体17又は捕捉抗体18を有する。また、樹脂層15aを構成する樹脂を含む場合を第2の試薬固相化層とし、表面に磁性を帯びた標識抗体16などを有する。
試薬固相化層103の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法や、樹脂層15を構成する樹脂を溶剤に分散させた試薬塗布液を、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター等の一般的な塗布法により、試薬固相化層塗布液を支持体101上又は剥離層102上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
試薬固相化層103の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200nm以上50μm以下が好ましい。前記平均厚みが200nm以上であると、樹脂層15の耐久性が向上し、摩擦や衝撃などにより樹脂層15が破損することを防止できる。また、前記平均厚みが50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱を均一に伝えることができ、鮮明性が良好となる。
試薬固相化層103における試薬塗布液の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が、0.2g/m以上であると、塗布量が適切であり、樹脂層に欠損が生じることない。また、前記付着量が50g/m以下であると、乾燥時間が適切であり、樹脂層にムラが生じない。
<剥離層兼試薬固相化層>
剥離層兼試薬固相化層105は、剥離層102と試薬固相化層103の両方の機能を兼ね備えており、転写の際に支持体101と試薬固相化層103との剥離性を向上させ、かつ検査システム10における樹脂層15を構成する樹脂を含むことにより、捕捉抗体17、又は捕捉抗体18などの試薬を固相化することが可能である。
この場合、樹脂層(15b,15c)を構成する樹脂を含む場合を第1の剥離層兼試薬固相化層とし、表面に捕捉抗体17又は捕捉抗体18などを有する。また、樹脂層15aを構成する樹脂を含む場合を、第2の剥離層兼試薬固相化層とし、表面に磁性を帯びた標識抗体16などを有する。
剥離層兼試薬固相化層105は、サーマルヘッド等の加熱加圧手段で加熱すると支持体101に接している側面が熱溶融して低粘度の液体となる(加熱部分)。一方、試薬が固相化された側面は固体状態か又はそれに近い状態となり(非加熱部分)、加熱部分と非加熱部分との界面近傍での切断を容易にする機能を有する。
剥離層兼試薬固相化層105は、ワックス、及びバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層102と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離性と捕捉抗体の固定化能力(疎水性)に優れている点から、カルナバワックス、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離層102と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離層兼試薬固相化層105の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホットメルト塗工法、前記ワックス及び前記バインダー樹脂を溶剤に分散させた塗布液を塗布する方法などが挙げられる。
剥離層兼試薬固相化層105の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。前記平均厚みが0.5μm以上であると、剥離層兼試薬固相化層105(樹脂層15)の耐久性が向上し、摩擦や衝撃などによって樹脂層が破損することを防止できる。また、前記平均厚みが50μm以下であると、サーマルヘッドからの熱を均一に伝えることができ、鮮明性が良好となる。
剥離層兼試薬固相化層105の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/m以上50g/m以下が好ましい。前記付着量が0.5g/m以上であると、塗布量が適切であり剥離層兼試薬固相化層105(樹脂層15)に欠損が生じることがない。また、前記付着量が50g/m以下であると、乾燥時間が適切となり、剥離層兼試薬固相化層105にムラが生じることが少ない。
−試薬の固相化−
塗布液を乾燥して試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105が形成された後、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の表面に、磁性を帯びた標識抗体16又は捕捉抗体(17,18)を含む溶液を塗布し、塗膜を形成する。続いて、塗膜を乾燥させることにより、磁性を帯びた標識抗体16又は捕捉抗体(17,18)を試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の表面に固相化させることができる。
−磁性を帯びた標識抗体の固相化−
前記磁性を帯びた標識抗体の固相化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面に標識抗体による塗布液を塗布して水膜を形成し、自然乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などによりドライアップして固相化する方法、などが挙げられる。
前記水膜は、均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。
前記標識抗体の塗布量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、OD(光学濃度)が1.0以上20以下のものを樹脂層の単位面積(cm)当り、20μL以上600μL以下塗布するのが好ましい。前記塗布量が20μL以上であると、磁性を帯びた標識抗体の量が適切であり、ラインの発色強度が良好となる。また、前記塗布量が600μL以下であると、磁性を帯びた標識抗体の量が適切であり、ラインの発色が良好となる。
前記塗布液の乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥が好ましい。
乾燥時の湿度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、相対湿度で30%以下が好ましい。乾燥時の湿度が前記相対湿度で30%以下であると、乾燥が適切となり、前記抗体を十分に固相化できる点で有利である。
前記塗布液の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温以上50℃以下が好ましい。前記乾燥温度が20℃以上であると、前記塗布液の乾燥を適切に行うことができるとともに生産性が向上し、また、50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる点で有利である。
前記塗布液の乾燥時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間以上24時間以下が好ましい。前記乾燥時間が30分間以上であると、前記塗布液の乾燥を適切に行うことができ、24時間以下であると、生産性が向上するとともに変色を防止できる点で有利である。
−捕捉抗体の固相化−
前記捕捉抗体の固相化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面に前記捕捉抗体による塗布液を塗布して水膜を形成し、自然乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などによりドライアップして固相化する方法(ドライアップ法)、あるいは前記塗布液が乾燥しないよう多湿環境下で静置した後、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105表面を蒸留水などで洗浄し、乾燥して固相化する方法(吸着後乾燥する方法)などが挙げられる。いずれも塗膜は、均一な厚みとなるように塗布されていることが好ましい。
前記捕捉抗体をドライアップ法により固相化する場合の乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥させることが好ましい。
前記塗布液の乾燥時の湿度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、相対湿度で30%以下が好ましい。乾燥時の湿度が前記相対湿度で30%以下であると、乾燥が適切となり、前記抗体を十分に固相化できる点で有利である。
前記塗布液の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温以上50℃以下が好ましい。前記乾燥温度が20℃以上であると、前記塗布液の乾燥を適切に行うことができるとともに生産性が向上し、また、50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる点で有利である。
前記塗布液の乾燥時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間以上24時間以下が好ましい。前記乾燥時間が30分間以上であると、前記塗布液の乾燥を適切に行うことができ、24時間以下であると、生産性が向上するとともに変色を防止できる点で有利である。
前記捕捉抗体を吸着後に乾燥する方法により固相化する場合の静置条件としては、温度が0℃以上40℃以下であることが好ましい。前記静置条件の温度が0℃以上であると、前記捕捉抗体の固相化を適切に行うことができる。また、前記温度が40℃以下であると、前記捕捉抗体が変性することが少ない点で有利である。
前記静置条件の相対湿度としては、30%以上が好ましい。前記静置条件の相対湿度が30%以上であると、静置している間の水分揮発が少ないため、前記抗体以外の不要な成分が多量に固相化されることがない点で有利である。
静置後の洗浄方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、振とう機等を利用して固相化表面に単位面積(cm)当り、20μL以上100μL以下の蒸留水などを注いだ後、室温で緩やかに振とうして洗浄する方法などが挙げられる。
洗浄後の乾燥方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。これらの中でも、低湿度下での自然乾燥、又は減圧下乾燥させることが好ましい。
乾燥時の湿度としては、相対湿度で30%以下が好ましい。前記相対湿度が30%以下であると、乾燥が適切であり抗体が十分に固相化できる。
乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温(20℃)以上50℃以下が好ましい。前記乾燥温度が20℃以上であると、乾燥時間が適切であり生産性が向上する。また、前記乾燥温度が50℃以下であると、試薬が熱により変性することを防止できる。
乾燥時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間以上24時間以下乾燥させるのが好ましい。前記乾燥時間が30分間以上であると、乾燥を適切に行うことができ、24時間以下であると、生産性が向上し、樹脂の変色を防止できる。
前記捕捉抗体の固相化量としては、前記樹脂層の上流端部側(α)においては、500ng/cm以上が好ましい。前記捕捉抗体の固相化量が500ng/cm以上であると、固相化量が適切でありラインの発色強度が十分に得られる。
ここで、前記樹脂層の表面に存在する抗体の固相化量の分析方法としては、例えば、X線光電子分光法(XPS)などが挙げられる。
<バック層>
検査システム製造用転写媒体100には、支持体101の剥離層102側の面とは反対側の面に、バック層104が設けられていることが好ましい。前記反対側の面には、転写時に、サーマルヘッド等で樹脂層の形状に合わせて熱が直接印加される。このため、バック層104は、高熱への耐性、サーマルヘッド等との摩擦への耐性を有することが好ましい。
バック層104は、バインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサン等の無機微粒子、滑剤などが挙げられる。
バック層104の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどが挙げられる。
バック層104の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
<アンダー層>
支持体101と剥離層102との間、剥離層102と試薬固相化層103との間、又は支持体101と剥離層兼試薬固相化層105との間には、アンダー層を設けることができる。
前記アンダー層は、樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。 前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、試薬固相化層103、剥離層102、及び剥離層兼試薬固相化層105で用いた各種樹脂が使用可能である。
<保護フィルム>
試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105上には、貯蔵の際の汚染及び損傷から保護するために保護フィルムを設けることが好ましい。
前記保護フィルムの材料としては、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105から容易に剥がすことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン紙、ポリプロピレンシート等のポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシートなどが挙げられる。
前記保護フィルムの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
<検査システムの製造方法>
本発明で用いられる検査システムの製造方法の第1の実施形態では、本発明の前記第1の実施形態の検査システム製造用転写媒体の前記試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程(以下、「試薬固相化層の転写工程」と称することもある)と、前記流路部材における、前記第1の試薬固相化層表面側に磁場発生体を配設する工程(以下、「磁場発生体の配設工程」と称することもある)と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明で用いられる検査システムの製造方法の第2の実施形態では、本発明の前記第2の実施形態の検査システム製造用転写媒体の前記剥離層兼試薬固相化層と、多孔質の流路部材とを接触させて、前記剥離層兼試薬固相化層を前記流路部材に転写する工程(以下、「剥離層兼試薬固相化層の転写工程」と称することもある)と、前記流路部材における、前記第1の剥離層兼試薬固相化層の表面側に磁場発生体を配設する工程(以下、「磁場発生体の配設工程」と称することもある)と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<試薬固相化層の転写工程又は剥離層兼試薬固相化層の転写工程>
試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105を流路部材12に熱転写する方法としては、検査システム製造用転写媒体100の試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105と、流路部材12とを接触させて、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105を流路部材12に転写する方法などが挙げられる。
前記熱転写に用いられるプリンタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッド等を有するサーマルプリンタなどが挙げられる。
前記熱転写における印加エネルギーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mJ/dot以上0.5mJ/dot以下が好ましい。前記印加エネルギーが0.05mJ/dot以上であると、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105の溶融を効率よく行うことができる。また、前記印加エネルギーが0.5mJ/dot以下であると、試薬の熱変性を防止でき、支持体101の溶解及びサーマルヘッドが汚れてしまうことがない。
<磁場発生体の配設工程>
前記磁場発生体の配設方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、最初から流路部材の表面近傍に配設する方法、取り外し可能な形態で配設する方法などが挙げられる。前記配設方法としては、治具や場合によってはテープなどを利用して検査装置に配設する、ハウジングケースを利用する場合はケースに磁場発生体を備え付けることで検査装置と一体となるよう配設する方法などが挙げられる。なお、磁場発生体を個別に用意し、検査に応じて検査時に適当な磁場発生体を配設又は取り付けるようにしてもよい。
<検査システムの用途>
本発明の検査システムの用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、血液検査やDNA検査向けの生化学センサ(センシングチップ)、食品や飲料の品質管理用途等における小型の分析機器(化学センサ)などが挙げられる。
生化学の分野の検査に用いる試料(検体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、糞尿等の***物などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞、試験管内での***卵細胞の一部などであってもよい。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施していてもよい。
検査システム10Aは、流路部材12が固定相として働くため、検体液をクロマトグラフィー(分離、精製)する機能も有する。この場合、内壁が親水性を示す連続気泡を有する流路部材12が固定相(担体)となる。検体液中の各成分は、流路内を浸透する過程で固定相との相互作用の違い、即ち、親疎水性の違いにより流路内を流れる速度に差が生じる。
これは、親水性の高い成分ほど、固定相である多孔質部に吸着しやすく、脱吸着を繰り返す回数が多いため、流路内を浸透する速度が遅くなる。反対に疎水性の高い成分は固定相に吸着することなく浸透するので、流路内をすばやく移動する。検体液中の移動速度の差を利用して、検体液30の対象成分を選択的に抽出して反応させることにより、検査システム10Aを高機能な化学又は生化学用途のセンサとして用いることができる。
<検査方法>
本発明に関する検査方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、検査システム10Aの流路部材12に、親水性の検体液を供給する工程と、樹脂層15aに固相化されている磁性を帯びた標識抗体16(試薬の一例)を、検体液30と接触させることにより、樹脂層15aから放出させる工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
検査システム10Aを用いて検査する方法としては、検査システム10Aの流路部材12に、検体液30を供給する工程と、検体液30に抗原31が含まれる場合に、抗原31(検体の一部の一例)を、樹脂層15bに固相化されている捕捉抗体17により捕捉させる工程とを含むものであってもよい。
具体的な処理としては、まず、検査システム10Aの流路部材12に設けられた滴下部12c(図1参照)に親水性の検体液30を滴下して供給する。次いで、供給された検体液30と、樹脂層15aに固相化されている磁性を帯びた標識抗体16とを接触させ、樹脂層15aから磁性を帯びた標識抗体16を放出させる。検体液30に抗原31が含まれている場合、樹脂層15aから放出された磁性を帯びた標識抗体16は抗原31と反応して結合する(図3参照)。
次に、磁性を帯びた標識抗体16及び抗原31を含む検体液30は、流路部材12に沿って展開され樹脂層15bが配置された領域に到達する。樹脂層15bにおける流路部材12に対向する面に固相化されている捕捉抗体17は、磁性を帯びた標識抗体16が結合した状態の抗原31とも結合して捕捉する。なお、捕捉抗体17は、疎水基17gにより樹脂層15bに固相化されているので、検体液30と接触しても検体液30には親和せず放出されにくい。また、一部の捕捉抗体17が検体液30中に放出されたとしても、流路部材12を構成する繊維に即座に結合する。これにより、磁性を帯びた標識抗体16は、樹脂層15bの近傍に固定化されることになるのでテストラインが明瞭に発色する(図4Aから図4D参照)。
樹脂層15bにおいて捕捉されずに通過した磁性を帯びた標識抗体16は、流路部材12に沿って展開され樹脂層15cが配置された領域に到達する。樹脂層15cにおける流路部材12に対向する面には、疎水基を有する捕捉抗体18が固相化されている。磁性を帯びた標識抗体16は、この捕捉抗体18と結合することにより、捕捉される。
捕捉抗体18は、疎水基により樹脂層15cに固相化されているので、検体液30と接触しても検体液30には親和せず放出されにくい。また、一部の捕捉抗体18が検体液30中に放出されたとしても、流路部材12を構成する繊維に即座に結合する。これにより、磁性を帯びた標識抗体16は、樹脂層15cの近傍に固定化されることになるのでコントロールラインが明瞭に発色する(図5Aから図5D参照)。
図示を省略しているが、磁性を帯びた標識抗体16が樹脂層に接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記樹脂層がくるように磁場発生体を配設して、前記樹脂層に磁力を作用させることにより、前記磁性複合体がメンブレン膜の上部に集積され、前記樹脂層に固相化された抗体と反応するため、殆どの前記磁性複合体がテストライン及びコントロールラインの発色に寄与することができ、検出感度の向上を図ることができる。
樹脂層15に固相化されている試薬が抗原又は抗体である場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、ケミカルアッセイで用いられる指示薬を利用した検査システムにも展開できる。
ここで、ケミカルアッセイで用いられる指示薬としては、溶液の化学的性質を指示する試薬を指し、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH指示薬、鉛イオン、銅イオン、亜硝酸イオン等の各種イオンと反応して変色する各種イオノフォア、各種農薬と反応して変色する試薬などが挙げられる。
前記実施形態では、転写の際に、検査システム製造用転写媒体100における支持体101と試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105とを熱により剥離する例について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、支持体101と試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105とを光によって剥離してもよい。この場合、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105に、カーボンブラック等の光吸収剤を混ぜておいて、それに光を吸収させて熱を生じさせることにより、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105を溶融させ、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105剥離してもよい。あるいは、剥離層102又は剥離層兼試薬固相化層105に、光照射によって変質する材料を混ぜておき、それに光を吸収させて剥離層102を脆くすることにより、試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105を剥離してもよい。
なお、前記熱転写以外の転写方法としては、例えば、試薬が固相化された試薬固相化層103又は剥離層兼試薬固相化層105からなるシートをテープなどで流路部材12上に貼り付ける方法などが挙げられる。
前記実施形態では、流路部材12の全体に流路が形成されている例を示したが本発明はこれに限定されない。流路部材12の一部に流路を形成する方法としては、例えば、公知の方法により、流路部材12の空隙に、疎水性の材料を充填することにより、流路の外縁となる流壁を形成する方法などが挙げられる。
前記実施形態では、流路部材12上の複数個所に樹脂層15が設けられている例を示したが、試薬の種類によっては、流路部材12上の一箇所に樹脂層15が設けられていてもよい。例えば、検体液30中の成分Aと特異的に結合する試薬が固相化された樹脂層15a1と、それらを捕捉する試薬が固相化された樹脂層15b1及び15c1を設けた流路部材12上に、更に、検体液中の成分Bと特異的に結合する試薬が固相化された樹脂層15a2と、それらを捕捉する試薬が固相化された樹脂層15b2及び15c2を設けた場合、同時に多成分の検出が可能な検査システム10Aを得ることができる。
前記実施形態では、検体液30が親水性の場合について説明したが、検体液は親水性に限定されない。検体液30としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)等のケトン類などの有機溶媒を含む親溶媒性のものであってもよい。この場合、前記実施形態における、「親水性」は「疎水性」に置き換えられ、「疎水性」は「親水性」に置き換えられることになる。
(検査キット)
本発明の検査キットは、本発明の前記検査システムと、検体を採取するための検体採取手段、及び前記検体を処理するための液体から選択される少なくとも1つと、を有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
図13に示したように、前記検査キットは、本発明の検査システム10と、検体を採取するための器具(検体採取手段の一例)、及び検体を処理するための液体の少なくとも1つと、を有する。
前記検体を採取する器具としては、例えば、咽頭又は鼻腔等から検体を採取するための滅菌綿棒51などが挙げられる。
前記検体を処理するための液体としては、例えば、検体を希釈するための希釈液52、検体を抽出するための抽出液などが挙げられる。
前記その他の部材としては、例えば、取り扱い説明書などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
−バック層塗布液の調製−
シリコーン系ゴムのエマルション(信越化学工業株式会社製、KS779H、固形分30質量%)16.8質量部、塩化白金酸触媒0.2質量部、及びトルエン83質量部を混合し、調製例1のバック層塗布液を調製した。
(調製例2)
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液の調製−
カルナバワックス90質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体1質量部、スチレン−ブタジエン共重合体4質量部、ブタジエンゴム4質量部、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体1質量部、及びトルエン/メチルエチルケトン(体積比7/3)溶媒からなる塗布液(株式会社リコー製、B110AX剥離液)を混合し、調製例2の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を調製した。
(調製例3)
−試薬固相化層(放出用)塗布液の調製−
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、BL−1、ブチラール化度64mol%)5質量部、及びエタノール95質量部を混合し、調製例3の試薬固相化層(放出用)塗布液を調製した。
(調製例4)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
Anti−Rabbit IgG(シグマ アルドリッチ社製、R5506)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含有、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、抗体の濃度を300μg/mLとし、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例5)
−テストライン用試薬塗布液の調製−
調製例4において、前記抗体の濃度を300μg/mLから900μg/mLに変更した以外は、調製例4と同様にして、調製例5のテストライン用塗布液を調製した。
(調製例6)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
ウサギ血清由来IgG(シグマ アルドリッチ社製、I5006−50MG)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含有、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、抗体の濃度を300μg/mLとし、調製例6のコントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例7)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
調製例6において、前記抗体の濃度を300μg/mLから900μg/mLに変更した以外は、調製例6と同様にして、調製例7のコントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例8)
−標識抗体用試薬塗布液の調製−
Anti−Rabbit IgG マイクロビーズ(130−048−602、ミルテニーバイオテク社製)を調製例8の標識抗体用試薬塗布液とした。
なお、前記マイクロビーズは超常磁性粒子であり、磁性を帯びた標識物である。
(調製例9)
−テストライン用試薬塗布液の調製
Anti−hCG抗体(ab117882、アブカム株式会社製)に抗体希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含有、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、抗体の濃度を300μg/mLとし、調製例9のテストライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例10)
−コントロールライン用試薬塗布液の調製−
ヒト繊毛性ゴナドトロピン(C0434、シグマ アルドリッチ社製、hCG)に希釈液としてダルベッコ リン酸緩衝生理食塩水(Ca、Mg不含有、D−PBS(−)、ナカライテスク株式会社製、14249−95)を加え、濃度を300μg/mLとし、調製例10のコントロールライン用試薬塗布液を調製した。
(調製例12)
−標識抗体用試薬塗布液の調製−
Anti−Biotin マイクロビーズ(130−090−485、ミルテニーバイオテク社製)100μLに対し、純水で10mMに調整したTris−HCl(T7693−100G、シグマ アルドリッチ社製)により50μg/mLに調整したAnti−hCG beta Polyclonal Antibody、Biotin Conjugated(bs−0953r−Biotin、バイオス社製)を100μL加え、ボルテックスで攪拌した。これを10分間静置した後、遠心分離して上清を取り除き、調製例12の標識抗体用試薬塗布液を調製した。
なお、前記マイクロビーズは超常磁性粒子であり、磁性を帯びた標識物である。
(実施例1)
<テストライン用転写媒体の作製>
−バック層の形成−
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーF57)の片面に、調製例1のバック層塗布液を塗布し、80℃で10秒間乾燥して、平均厚み0.02μmのバック層を形成した。
−剥離層兼試薬固相化層(固定用)の形成−
次に、前記PETフィルムにおけるバック層が形成された面とは反対側の面に、調製例2の剥離層兼試薬固相化層(固定用)塗布液を塗布し、40℃で10分間乾燥して、平均厚み20μmの剥離層兼試薬固相化層を形成した。
−テストライン用転写媒体の作製−
次に、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例4のテストライン用試薬塗布液を単位面積(cm)当り12μLになるように塗布し水膜を形成した後、前記水膜が乾燥しないように相対湿度80%に保った容器内に前記テストライン用試薬塗布液が塗布された転写媒体を設置して25℃で10分間静置した。
静置後、振とう機(WR−3636を装着したShake−XR、共にタイテック株式会社製)に転写媒体を、試薬を固相化した側をおもて(表)にして貼り付け、固相化表面に単位面積(cm)当り100μLとなるように蒸留水を注いだ後、25℃で振とう速度を20r/minとして1分間緩やかに振とうした。
振とう終了後、転写媒体表面から洗浄後の上澄み液をよく切り洗浄した。洗浄後、前記転写媒体をそのままの状態で温度25℃、相対湿度20%のデシケータ内で15分間乾燥し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)に試薬を固相化させた。以上により、実施例1のテストライン用転写媒体を得た。
<コントロールライン用転写媒体の作製>
前記<テストライン用転写媒体の作製>において、調製例4のテストライン用試薬塗布液を調製例6のコントロールライン用試薬塗布液に変更した以外は、前記<テストライン用転写媒体の作製>と同様にして、実施例1のコントロールライン用転写媒体を得た。
<標識抗体用転写媒体の作製>
支持体としての平均厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラーF57、東レ株式会社製)の片面に、前記<テストライン用転写媒体の作製>と同様にして、バック層及び剥離層兼試薬固相化層(固定用)を形成した後、前記剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例3の試薬固相化層(放出用)塗布液を塗布し、40℃で10分間乾燥して、平均厚み5μmの試薬固相化層(放出用)を形成した。
次に、前記試薬固相化層(放出用)上に、調製例8の標識抗体用試薬塗布液を200μL/cmとなるように塗布し、真空乾燥機内で、25℃で5時間乾燥して、試薬固相化層(放出用)に試薬を固相化させた。以上により、実施例1の標識抗体用転写媒体を得た。
<検査システムの作製>
以下のようにして、図9A及び図9Bに示す検査システム10Aを作製した。図9Aは、実施例1で用いた検査システム10Aの一例を示す上面図である。図9Bは、図9AのD−D’での断面図である。
−紙基板の作製−
幅40mm×長さ80mmにカットしたPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、平均厚み50μm)11の上部に熱可塑性樹脂としてポリエステル系ホットメルト系接着剤(東亜合成株式会社製、アロンメルトPES375S40)を、ロールコーターを用いて前記PETフィルム上に平均厚みが50μmとなるように、190℃に加熱後、塗工して接着剤層を形成した。
前記接着剤層を形成したPETフィルム11を2時間以上静置した後、前記接着剤層表面に幅40mm×長さ70mmにカットした流路部材12としてのニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア社製、HF180、空隙率70%)を、前記接着剤層面の長軸側の一端と各種部材の長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)を揃えるように重ね、150℃の温度で10秒間、1kgf/cmの荷重をかけた。最後に長軸方向に沿って幅4mm×長さ80mmとなるように切断し、紙基板を得た。
ここで、流路部材12としてのニトロセルロースメンブレンの空隙率は、ニトロセルロースメンブレンの坪量(g/m)、平均厚み(μm)、及び組成分比重から、下記の計算式1により求めたところ、前記ニトロセルロースメンブレンの空隙率は70%であった。なお、前記流路部材の空隙率が40%以上90%以下であると、前記流路部材は多孔質であるといえる。
[計算式1]
空隙率(%)={1−[坪量(g/m)/平均厚み(μm)/組成分比重]}×100
−標識抗体の転写−
前記紙基板と前記標識抗体用転写媒体の試薬が固相化されている側とを対向させて重ね合わせた後、熱転写プリンタを用いて、図9A及び図9Bに示したように、紙基板の上流端から20mm離れた位置に、前記標識抗体用転写媒体を幅3mm×長さ10mmのパターン状に転写した(樹脂層15a)。
前記熱転写プリンタは、ドット密度300dpi(TDK株式会社製)のサーマルヘッドを有し、印字速度8.7mm/sec、印加エネルギー0.35mJ/dotの評価系システムを構築したものである。
−テストライン及びコントロールラインの転写−
図9A及び図9Bに示したように、前記標識抗体用転写媒体の転写位置から15mm離れた位置に、まず、前記テストライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.8mmのライン状に転写した(樹脂層(テストライン)15b)。
更に、前記テストライン用転写媒体の転写位置から5mm離れた位置に前記コントロールライン用転写媒体を幅4mm×長さ0.8mmのライン状に転写した(樹脂層(コントロールライン)15c)。なお、各ラインは、前記標識抗体の転写と同様の印字条件で形成した。
−吸収部材の作製−
図9A及び図9Bに示したように、吸収部材14(メルクミリポア社製、Surewick C248)を設けることにより、実施例1のイムノクロマトアッセイを得た。
−検査システム10Aの形成−
前記イムノクロマトアッセイのテストライン(樹脂層15b)について、流路部材とは反対側のテストライン(樹脂層)表面側から、樹脂層との距離が0.5mmとなるように磁場発生体13として磁石(カタログ型式;MGLN15−10−3,株式会社ミスミの総合Webカタログ MISUMI−VONA 2015.8 FA用メカニカル標準部品2掲載)を配置し、流路部材12と磁石の間にテストライン(樹脂層15b)が存在する検査システム10Aを構築した。このとき磁石の磁束密度は2,900ガウス〜3,100ガウスであった。
<ライン評価>
−検体液の調製−
展開液として、0.1質量%Tween20(シグマ アルドリッチ社製、P9416−50ML)のD−PBS(−)溶液を調製した。
次に、ウサギ血清由来IgG(シグマ アルドリッチ社製、I5006−50MG)に前記展開液を加え、濃度を10μg/mLに調製した検体液を得た。
−反応−
図9A及び図9Bに示すイムノクロマトアッセイの上流端部に、前記検体液を100μL滴下した。検体液が展開し、検体液の滴下から6分間経過後に磁石をはずし、更に11分間(最初に検体液を滴下してからは15分間)経過した後のテストラインを観察した。
−ライン濃度の測定−
反応が終了したイムノクロマトアッセイを、イムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス株式会社製、C10066−10)を用いて測定し、ラインの発色強度を発色部の面積(Area)の読み値から求めた。結果を表1に示した。なお、読み値が大きいほど、ラインの発色が濃く好ましい。
また、読み値の向上率について磁力を作用させない場合(下記に記載の比較例1)を100%とし、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
◎ :読み値の向上率が130%以上である
○+:読み値の向上率が110%以上130未満である
○−:読み値の向上率が90%以上110%未満である
△ :読み値の向上率が90%未満である
× :測定不可
(比較例1)
実施例1における検査システム10Aにおいて、磁場発生体を設置している系から、図10A及び図10Bに示すような磁場発生体を設置しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の検査装置10Bを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1における検査システム10Aにおいて、流路部材とは反対側のテストライン(樹脂層)表面側に磁場発生体を配置する代わりに、図11A及び図11Bに示すようにテストライン(樹脂層15b)が配設された流路部材の下側に、流路部材12に接するように磁場発生体13として磁石(カタログ型式;MGLN15−10−3、株式会社ミスミの総合Webカタログ MISUMI−VONA 2015.8、FA用メカニカル標準部品2掲載)を配置した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の検査システムを構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1のテストライン用転写媒体の作製における試薬の固相化において、実施例1の手順で試薬を固相化する代わりに、以下の手順により試薬を固相化した。
−テストライン用転写媒体の作製−
剥離層兼試薬固相化層(固定用)上に、調製例4のテストライン用試薬塗布液を単位面積(cm)当り12μLになるように塗布し水膜を形成した後、前記水膜が乾燥しないよう相対湿度80%に保った容器内に前記テストライン用試薬塗布液が塗布された転写媒体を設置して25℃で10分間静置した。
静置後、振とう機(WR−3636を装着したShake−XR、共にタイテック株式会社製)に転写媒体を、試薬を固相化した側をおもて(表)にして貼り付け、固相化表面に単位面積(cm)当り100μLとなるように蒸留水を注いだ後、25℃で振とう速度を20r/minとして1分間緩やかに振とうした。振とう終了後、転写媒体表面から洗浄後の上澄み液をよく切り洗浄した。
洗浄後、再び調製例4のテストライン用試薬塗布液を単位面積(cm)当り12μLになるように固相化表面に塗布し、水膜を形成した状態のまま洗浄をせずに、温度25℃、相対湿度20%のデシケータ内で60分間乾燥し、剥離層兼試薬固相化層(固定用)に試薬を固相化させた。以上により、実施例2のテストライン用転写媒体を得た。
<コントロールライン用転写媒体の作製>
前記実施例2の前記<テストライン用転写媒体の作製>において、前記調製例4のテストライン用試薬塗布液を前記調製例6のコントロールライン用試薬塗布液に変更した以外は、前記実施例2の<テストライン用転写媒体の作製>と同様にして、実施例2のコントロールライン用転写媒体を得た。
上記手順以外は実施例1と同様にして、実施例2のイムノクロマトアッセイを得た。また、実施例1と同様にして、実施例2の検査システム10Aを構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例3)
−検査システムの形成−
実施例1において、磁場発生体と樹脂層の距離を0.5mmから1.0mmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の検査システム10Aを構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例4)
−検査システムの形成−
実施例1において、磁場発生体と樹脂層の距離を0.5mmから2.0mmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4の検査システム10を構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1における前記検査システムの作製で、実施例1の紙基板を作製する代わりに、以下の手順によりテストストリップを作製した。
<テストストリップの作製>
−標識抗体保持パットの作製−
調製例8の標識抗体用試薬塗布液を、幅3.5mm、長さ16mmに切断したグラスファイバーパット(GFCP203000、メルクミリポア社製)に200μL/cmとなるように塗布し、5時間減圧乾燥し、標識抗体保持パット21を作製した。
−テストライン及びコントロールラインの形成−
次に、幅3.5mm×長さ38mmに切断した流路部材12としてのニトロセルロースメンブレン(HF180、メルクミリポア株式会社製、空隙率70%)上の、図12A及び図12Bに示した位置に、実施例1と同様にして、テストライン15b及びコントロールライン15cを形成した。
−組み立て−
図12A及び図12Bに示したように、テストライン15b及びコントロールライン15cを形成した流路部材12としてのニトロセルロースメンブレンを、幅3.5mm×長さ76mmに切断したPETフィルム(ルミラーS10、東レ株式会社製、平均厚み100μm)11の長軸側の一端から32mm離れた位置に、試薬塗布面とは反対側とPETフィルム11とが対向するように接着した。
次に、上記で作製した標識抗体保持パット21を、流路部材12としてのニトロセルロースメンブレンの上面に、ニトロセルロースメンブレンの上流端が2mm重なるように配置して貼り付けた。更に、幅3.5mm×長さ34mmのサンプルパット(旭化成せんい株式会社製、ベンコットM−3II)を標識抗体保持パット21の上面に16mm重なるように配置して貼り付け、サンプル滴下パット20とした。
次に、吸収部材14としての幅3.5mm×長さ25mmの吸収パット(メルクミリポア社製、Surewick C248)を流路部材12としてのニトロセルロースメンブレンの上面に、PETフィルム11の下流端と19mm重なるように配置して貼り合わせ、テストストリップを得た。
次に、測定用のハウジングケースに、前記テストストリップを収めた。上記工程以外は、実施例1と同様にして、実施例5のイムノクロマトアッセイを得た。
−検査システムの形成−
前記イムノクロマトアッセイのテストライン(樹脂層)について、流路部材とは反対側のテストライン(樹脂層)表面側から、樹脂層との距離が1.0mmとなるように磁場発生体13として磁石(カタログ型式;MGLN15−10−3、株式会社ミスミの総合Webカタログ MISUMI−VONA 2015.8 FA用メカニカル標準部品2掲載)を配置し、流路部材と磁石の間にテストライン(樹脂層)が存在する、実施例5の検査システム10Aを構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例6)
<検査システムの作製>
−テストライン及びコントロールラインの形成−
実施例1のテストライン及びコントロールラインの転写において、前記標識抗体用転写媒体の転写位置から15mm離れた位置に、実施例1のテストライン用転写媒体を転写する代わりに、調製例5のテストライン用試薬塗布液を、陽圧噴霧装置(BioDot社製、BioJet)を用いて幅4mm×長さ0.8mmのライン状に単位面積(cm)当り16μLになるように塗布した(テストライン15b)。
更に、前記テストラインの位置から5mm離れた位置に、調製例7のコントロールライン用塗布液を、陽圧噴霧装置を用いて幅4mm×長さ0.8mmのライン状に単位面積(cm)当り16μLになるように塗布した(コントロールライン15c)。塗布後、20℃で相対湿度20%の環境下で16時間乾燥した。
次に、実施例1において、テストライン及びコントロールラインの転写を上述の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の検査システム10Aを構築した。
<ライン評価>
実施例1と同様にしてライン濃度の測定をし、読み値の向上率について磁力を作用させない場合(下記に記載の比較例3)を100%とし、下記評価基準で評価した。結果を表1に示した。
[評価基準]
◎ :向上率が130%以上である
○+:向上率が110%以上130未満である
○−:向上率が90%以上110%未満である
△ :向上率が90%未満である
× :測定不可
(比較例3)
実施例6における検査システム10Aにおいて、磁場発生体を設置している系から、図10A及び図10Bに示すような磁場発生体を設置しない以外は、実施例1と同様にして、比較例3の検査装置10Bを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例6における検査システム10Aにおいて、流路部材とは反対側のテストライン表面側に磁場発生体を配置する変わりに、テストラインが形成された流路部材の下側に、流路部材に接するように磁場発生体13として磁石(カタログ型式;MGLN15−10−3、株式会社ミスミの総合Webカタログ MISUMI−VONA 2015.8 FA用メカニカル標準部品2掲載)を配置した以外は、実施例6と同様にして、比較例4の検査システム10Aを構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例7)
実施例1において、テストライン用転写媒体の作製に調製例4のテストライン用試薬塗布液を用いる代わりに、調製例9のテストライン用試薬塗布液を用いた。また、コントロールライン用転写媒体の作製に調製例6のテストライン用試薬塗布液を用いる代わりに、調製例10のコントロールライン用試薬塗布液を用いた。
実施例1において、前記標識抗体用転写媒体の作製に調製例8の標識抗体用試薬塗布液を用いる代わりに、調製例12の標識抗体用試薬塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の検査システム10Aを構築した。
<ライン評価>
−検体液の調製−
展開液として、0.1質量%Tween20(シグマ アルドリッチ社製、P9416−50ML)/D−PBS(−)溶液を調製した。次に、hCG(アールアンドディーシステムス社製、リコンビナントhCG、7727−CG−010)に上述の展開液を加え、50mIU/mLに調製し、検体液を得た。
−反応−
イムノクロマトアッセイの上流端部に、前記検体液を100μL滴下した。検体液が展開し、検体液の滴下から6分間経過後に磁石をはずし、更に11分間(最初に検体液を滴下してからは15分間)経過した後のテストラインを観察した。
−ライン濃度の測定−
反応が終了したイムノクロマトアッセイを、イムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス株式会社製、C10066−10)を用いて測定し、テストラインの発色強度を発色部の面積(Area)の読み値から求めた。結果を表1に示した。なお、読み値が大きいほど、テストラインの発色が濃く好ましい。
また、読み値の向上率について磁力を作用させない場合(下記に記載の比較例5)を100%とし、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
◎ :向上率が130%以上である
○+:向上率が110%以上130未満である
○−:向上率が90%以上110%未満である
△ :向上率が90%未満である
× :測定不可
(比較例5)
実施例7における検査システム10Aにおいて、磁場発生体を設置している系から、図10A及び図10Bに示すような磁場発生体を設置しない以外は、実施例1と同様にして、比較例5の検査装置10Bを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例6)
実施例7における検査システム10Aにおいて、流路部材とは反対側のテストライン(樹脂層)表面側に磁場発生体を配置する変わりに、図11A及び図11Bに示すようにテストライン(樹脂層)が配設された流路部材の下側に、流路部材に接するように磁場発生体13として磁石(カタログ型式;MGLN15−10−3、株式会社ミスミの総合Webカタログ MISUMI−VONA 2015.8 FA用メカニカル標準部品2掲載)を配置した以外は、実施例7と同様にして、比較例6の検査システム10Aを構築し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示した。
表1の結果から、実施例1〜7は、テストライン及びコントロールラインにおいて、磁場発生体により磁性を帯びた標識抗体が流路部材上の樹脂層の固相化抗体又は流路部材表面近傍の固相化抗体に効率的に集積されるので、比較例1、比較例3、及び比較例5と比較して検出感度の向上を確認できた。
また、比較例2、比較例4、及び比較例6は、磁場発生体が流路部材の下側に配置されているため、標識抗体は流路部材の内部に引き寄せられてしまい、テストライン及びコントロールラインの発色に効率的に寄与することができないため、検出感度の低下が確認された。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された固相化抗体からなる検出部と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
前記標識抗体が磁性を帯びており、前記磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記検出部と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記検出部がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部に磁力を作用させることを特徴とするイムノクロマト法である。
<2> 標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された樹脂層の、前記流路部材に対向する面における固相化抗体と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
前記標識抗体が磁性を帯びており、磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記樹脂層と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記樹脂層がくるように前記磁場発生体を配設して、前記樹脂層に磁力を作用させる前記<1>に記載のイムノクロマト法である。
<3> 前記磁性を帯びた標識抗体が、磁性を帯びた標識物と抗体からなる前記<1>から<2>のいずれかに記載のイムノクロマト法である。
<4> 前記磁場発生体が、永久磁石である前記<1>から<3>のいずれかに記載のイムノクロマト法である。
<5> 検体液を流すための多孔質の流路部材と、
前記流路部材上に第一の樹脂層と、第二の樹脂層と、を有し、
前記第一の樹脂層が、前記流路部材に対向する面に、少なくとも捕捉抗体を有し、
前記第二の樹脂層が、前記流路部材に対向する面に、磁性を帯びた標識抗体を有し、
前記流路部材と磁場発生体の間に前記第一の樹脂層がくるように前記磁場発生体が配置されていることを特徴とする検査システムである。
<6> 前記磁性を帯びた標識抗体が、磁性を帯びた標識物と抗体からなる前記<5>に記載の検査システムである。
<7> 前記磁場発生体が、永久磁石である前記<5>から<6>のいずれかに記載の検査システムである。
<8> 支持体と、
前記支持体上に設けられた剥離層と、
前記剥離層の少なくとも一箇所に設けられ、表面に捕捉抗体を有する第1の試薬固相化層と、
前記剥離層に設けられ、表面に磁性を帯びた標識抗体を有する第2の試薬固相化層と、
を有することを特徴とする検査システム製造用転写媒体である。
<9> 前記第1の試薬固相化層及び前記第2の試薬固相化層が、剥離層を兼ねた第1の剥離層兼試薬固相化層及び第2の剥離層兼試薬固相化層である前記<8>に記載の検査システム製造用転写媒体である。
<10> 前記<5>から<7>のいずれかに記載の検査システムと、
検体を採取するための採取手段、及び前記検体を処理するための液体から選択される少なくとも1つと、を有することを特徴とする検査キットである。
前記<1>から<4>のいずれかに記載のイムノクロマト法、前記<5>から<7>のいずれかに記載の検査システム、前記<8>から<9>のいずれかに記載の検査システム製造用転写媒体、及び前記<10>に記載の検査キットは、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
10A 検査システム
10B 検査装置
11 基材
12 流路部材
13 磁場発生体
14 吸収部材
15 樹脂層
15a 樹脂層
15b 樹脂層(テストライン)
15c 樹脂層(コントロールライン)
16 標識抗体(試薬の一例)
17 捕捉抗体(試薬の一例)
18 捕捉抗体(試薬の一例)
19 磁性粒子(磁性を帯びた粒子の一例)
30 検体液(検体の一例)
100 検査システム製造用転写媒体
110 検査システム製造用転写媒体
101 支持体
102 剥離層
103 試薬固相化層
104 バック層
105 剥離層兼試薬固相化層
特開2010−256309号公報 特許第4791867号公報 特許第5645020号公報

Claims (6)

  1. 標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された固相化抗体からなる検出部と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
    前記標識抗体が磁性を帯びており、前記磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記検出部と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記検出部がくるように前記磁場発生体を配設して、前記検出部に磁力を作用させることを特徴とするイムノクロマト法。
  2. 標識抗体を含む検体液を流路部材に流し、前記標識抗体を含む前記検体液を、前記流路部材上の少なくとも一箇所に配設された樹脂層の、前記流路部材に対向する面における固相化抗体と接触させることによって陽性乃至陰性を判定するイムノクロマト法であって、
    前記標識抗体が磁性を帯びており、磁性を帯びた前記標識抗体を含む検体液が前記樹脂層と接触するときに、前記流路部材と磁場発生体の間に前記樹脂層がくるように前記磁場発生体を配設して、前記樹脂層に磁力を作用させる請求項1に記載のイムノクロマト法。
  3. 検体液を流すための多孔質の流路部材と、
    前記流路部材上に第一の樹脂層と、第二の樹脂層と、を有し、
    前記第一の樹脂層が、前記流路部材に対向する面に、少なくとも捕捉抗体を有し、
    前記第二の樹脂層が、前記流路部材に対向する面に、磁性を帯びた標識抗体を有し、
    前記流路部材と磁場発生体の間に前記第一の樹脂層がくるように前記磁場発生体が配置されていることを特徴とする検査システム。
  4. 支持体と、
    前記支持体上に設けられた剥離層と、
    前記剥離層の少なくとも一箇所に設けられ、表面に捕捉抗体を有する第1の試薬固相化層と、
    前記剥離層に設けられ、表面に磁性を帯びた標識抗体を有する第2の試薬固相化層と、
    を有することを特徴とする検査システム製造用転写媒体。
  5. 前記第1の試薬固相化層及び前記第2の試薬固相化層が、剥離層を兼ねた第1の剥離層兼試薬固相化層及び第2の剥離層兼試薬固相化層である請求項4に記載の検査システム製造用転写媒体。
  6. 請求項3に記載の検査システムと、
    検体を採取するための採取手段、及び前記検体を処理するための液体から選択される少なくとも1つと、を有することを特徴とする検査キット。

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