JP2018065281A - 多層成形レンズとその製造方法 - Google Patents

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Yuji Higashimura
裕司 東村
康則 水島
Yasunori Mizushima
康則 水島
隆範 伊藤
Takanori Ito
隆範 伊藤
祐貴 小林
Yuki Kobayashi
祐貴 小林
覚 稲穂
Satoru Inaho
覚 稲穂
博 小澤
Hiroshi Ozawa
博 小澤
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Abstract

【課題】表面層に溶融樹脂粘度の不規則な変化が生じない光学特性の良好な多層成形レンズとその製造方法を提供する。【解決手段】三層以上(N層)の多層成形レンズは、第1層及び第N層を成形したゲートのゲート痕をレンズ外表面に露出させ、第2層から第(N−1)層までの各層を成形したゲートのゲート痕をレンズ外表面及びレンズ表面に露出させない。また、第1層及び第N層のゲート痕は、レンズ外周端面の同一箇所で隣接する。【選択図】図1

Description

本発明は、多層成形レンズとそれを成形して製造する方法に関する。
多層成形は、例えば特許文献1に開示されているように、容積が相互に異なる複数の金型キャビティのうち最小容積の金型キャビティで成形した第1層としての中間成形品を容積のより大きい金型キャビティへ移送して第2層を積層成形し、以後中間成形品を第N層までの各金型キャビティへ順次移送して各層を積層成形するものである。そして、多層成形で製造されたレンズの外表面には、第N層を成形したゲートのゲート痕が露出している。一方、第1層から第(N−1)層までの各層を成形したゲートのゲート痕は、次層以降の積層成形で溶融され消滅するためレンズの外表面に露出しない。
特開2013−107229号公報
しかしながら、特許文献1の技術により成形されゲート痕が露出しない第1層はホットランナノズルなどのダイレクトゲートを介して成形されるので、ホットランナノズル先端の冷えやすい溶融樹脂が、レンズ表面を形成する第1層にコールドスラッグとして残存する。また、ゲート周辺にはウエルドマークやジェッティングなどの成形不良が発生しやすい。そのようなコールドスラッグや成形不良による溶融樹脂粘度の不規則な変化は、レンズの外観品質を低下させるとともにレンズの光学特性を低下させる要因となる。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、表面層に溶融樹脂粘度の不規則な変化が生じない光学特性の良好な多層成形レンズとその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、三層以上(N層)の多層成形レンズが、第1層及び第N層を成形したゲートのゲート痕をレンズ外表面に露出させ、第2層から第(N−1)層までの各層を成形したゲートのゲート痕をレンズ外表面及びレンズ表面に露出させないというものである。
この多層成形レンズは、第1層及び第N層を成形したゲートのゲート痕をレンズ外表面に露出させ、第2層から第(N−1)層までの各層を成形したゲートのゲート痕をレンズ外表面及びレンズ表面に露出させない。そのため、コールドスラッグやフローマーク、ジェッティングなどの成形不良に基づく溶融樹脂粘度の不規則な変化がレンズの重要部に生じないことにより、多層成形レンズが光学特性に優れたものになるという優れた効果を奏する。
請求項2に記載の発明は、第1層及び第N層のゲート痕が、レンズ外周端面の同一箇所で隣接するものである。
この構成によれば、二のゲート痕が一体化して一度でゲートカットすることが可能となり生産性が向上するとともに、第1層のゲート周辺が第N層の溶融樹脂で溶融されることによりゲート周辺の溶融樹脂粘度が均一化されレンズの外観品質と光学特性が向上するという優れた効果を奏する。
請求項3に記載の発明は、容積が相互に異なる複数の成形キャビティのうち最小容積の成形キャビティで成形した第1層としての中間成形体を容積がより大きい成形キャビティへ移送して第2層を積層成形するか又はインサート成形し、以降中間成形体を第N層までの各層成形キャビティへ順次移送して積層成形又はインサート成形することにより三層以上(N層)の多層成形レンズを製造する方法が、ゲート痕をレンズ外表面に露出させて第1層及び第N層を形成する積層成形工程と、第1層及び第N層を除く他の各層を形成する積層成形工程又はインサート成形工程と、前記積層成形工程又は前記インサート成形工程で生成されたゲート痕を次層以降の成形でレンズ表面に現れないように溶融する溶融工程と、を含むものである。
この製造工程によれば、レンズの光学面を形成する第1層及び第N層の重要部にコールドスラッグや成形不良などによる溶融樹脂粘度の不規則な変化が生じないので、レンズの外観品質が向上するとともにレンズの光学特性が向上するという優れた効果を奏する。また、第2層から第(N−1)層までの内層では、コールドスラッグなどがゲート痕とともに溶融して消滅するので、光学特性に影響を及ぼさず、ダイレクトゲートにより生産性の向上や金型構造の簡易化が図れるという優れた効果を奏する。
請求項4に記載の発明は、第1層及び第N層それぞれのゲート痕が、レンズ外周端面の同一箇所に隣接して設けられるものである。
この構成によれば、二のゲート痕が一体化して一度でゲートカットすることが可能となり生産性が向上するとともに、第1層のゲート周辺が第N層の溶融樹脂で溶融されることによりゲート周辺の溶融樹脂粘度が均一化されレンズの外観品質と光学特性が向上するという優れた効果を奏する。
請求項5に記載の発明は、製造工程が、一又は複数の成形キャビティに対し中間成形体の移送方向に隣接して設けた冷却キャビティで中間成形体を冷却する工程をさらに含む。
この製造工程によれば、肉厚が他の層と比較して大きい層であってもその層の冷却が十分行われ、層形状が安定することによりレンズの光学特性が向上するという優れた効果を奏する。また、冷却キャビティで中間成形体を冷却することにより、冷却キャビティを設けない場合に肉厚が最も大きい層に対応して比較的長時間に設定した冷却時間を短縮することができるので、成形サイクル時間が短縮でき生産性を向上させることができるという優れた効果を奏する。
請求項6に記載の発明は、冷却キャビティが、溶融樹脂の注入口であるゲートを有しないというものである。
この構成によれば、金型装置を簡易に構成できるという優れた効果を奏する。
請求項7に記載の発明は、多層成形レンズの製造方法が、第1層及び第N層を除く他の各層を一体で構成するインサート成形体を金型装置に搬入して配設する工程と、ゲート痕をレンズ外表面に露出させる第1層及び第N層を同時に成形して前記インサート成形体を第1層及び第N層で囲繞するインサート成形工程と、前記インサート成形工程で前記インサート成形体表面の凹凸やゲート痕がレンズ表面に現れないように前記インサート成形体の表面を溶融する溶融工程とを含むものである。
この製造工程によれば、レンズ表面を形成する第1層及び第N層の重要部にコールドスラッグなどの溶融樹脂粘度の不規則な変化が生じないので、レンズの外観品質が向上するとともにレンズの光学特性が向上する。また、インサート成形体表面の凹凸やゲート痕は溶融されて消滅するので、光学特性に影響を及ぼさない。さらに、インサート成形体の成形サイクルは比較的短くすることができるので生産性の向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
請求項8に記載の発明は、第1層又は第N層を成形するとき、そのキャビティ面に刻設された微細凹凸を転写させて第1層又は第N層の重要部表面であるレンズ表面に微細凹凸形状を形成させるものである。
この製造工程によれば、第1層及び第N層用ゲートは、その断面積が比較的大きく設定されているので、溶融樹脂の成形圧力を成形キャビティ内に低い圧力損失で均一に伝えることができる。そのため、微細凹凸が第1層又は第N層へ精確に転写成形され、微細凹凸と可及的に近似した微細凹凸形状をレンズ表面に形成することができるという優れた効果を奏する。
本発明の第一実施形態に係る製造方法により成形した多層成形レンズを拡大して示す部分断面斜視図である。 図1に示す多層成形レンズを成形する金型装置の中心断面側面図である。 図2に示す金型装置のIII―III矢視による平面図である。 図2に示す金型装置のIV―IV矢視による平面図である。 本発明の第一実施形態に係る製造方法を示す積層成形の工程図である。 第二実施形態に係る製造方法により成形した多層成形レンズを拡大して示す部分断面斜視図である。 成形状態の多層成形レンズ(図6に示す)とともに金型装置を示す中心断面側面図である。 第二実施形態に係る製造方法を示すインサート成形及び積層成形の工程図である。 本発明の第三実施形態に係る製造方法を実施する金型装置を成形後の多層成形レンズとともに示す中心断面側面図である。 本発明の第三実施形態に係る製造方法を示すインサート成形の工程図である。 変形例における微細凹凸の形状を示すキャビティ面の部分拡大断面図である。 変形例における微細凹凸の他の形状を示すキャビティ面の部分拡大断面図である。
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分又は同様な機能を有する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。
〔第一実施形態〕
図1に示す多層成形レンズ20は、車両の前照灯などで好適に用いられ、必要とされる集光特性により最大肉厚が12mm以上の厚肉レンズとなるものである。そのような厚肉プラスチックレンズを従来の成形方法としての一層で成形する場合、最大肉厚部分に発生するひけ(変形)が光学特性に大きな影響を与える。そのため多層成形を導入することにより、最大肉厚量を分割して各層に分配することができ各層の肉厚が減少して冷却時間が短縮され生産効率が向上することに加えひけの生成が抑制されて光学特性の良好な厚肉レンズ製造が実現できるのである。この効果は、三層(N=三)以上の多層成形において顕著となる。
図2に示す金型装置14は、型合わせ面18で型合わせする第一キャビティブロック3及び第二キャビティブロック4からなり、五層(N=五)の多層成形レンズ20を積層成形する。金型装置14は、第一型板1及び第二型板2を含む型締装置15に取り付けられる。溶融樹脂を生成・供給する射出装置(図示せず)及び型締装置15により射出成形機が構成される。
図2及び図3に示すように、第一キャビティブロック3の第二キャビティブロック4と対向する面には、キャビティ面5a〜5fが刻設されている。
キャビティ面5aは、図2及び図3に示すように、ほぼ平坦な面である。キャビティ面5bは、図3に示すように、キャビティ面5b〜5d、5fのなかで最も小さい外径、深さ及び曲率を有する凹部からなる。キャビティ面5cは、図3に示すように、キャビティ面5bの外径、深さ及び曲率と比較してそれらの全てが大きい凹部を有する。キャビティ面5dは、図2及び図3に示すように、キャビティ面5cの外径、深さ及び曲率と比較してそれらの全てが大きい凹部を有する。キャビティ面5eは、図3に示すように、キャビティ面5dの外径、深さ及び曲率と同一の外径、深さ及び曲率を有する凹部からなる。キャビティ面5fは、図3に示すように、キャビティ面5aの外径と同一の外径と、キャビティ面5dの深さ及び曲率と比較してともに大きな深さ及び曲率とを有する凹部からなる。
図2及び図4に示すように、第二キャビティブロック4の第一キャビティブロック3と対向する面には、キャビティ面6a〜6fが刻設されている。キャビティ面6a〜6fは、それぞれの外径、深さ及び曲率の全てが相互に同一であって、同一形状の凹部を有する。
キャビティ面5a〜5f及びキャビティ面6a〜6fは、それらの円の中心が、各群に同径で設定した二の円周上にそれぞれの円周を等分割するよう配設されている。そのため、第一キャビティブロック3と第二キャビティブロック4とが型合わせ面18で型合わせしたとき、各キャビティ面5a〜5fの中心と各キャビティ面6a〜6fの中心とが互いに一致して、成形キャビティ7a、成形キャビティ7b、成形キャビティ7c、成形キャビティ7d、冷却キャビティ7e及び成形キャビティ7fが形成される。
図1〜4に示すように、成形キャビティ7aは、第1層21用であり、その外周端面における型合わせ面18の第二キャビティブロック4側に設けられたゲート8aを介して溶融樹脂が注入される。ゲート8aには、図示のようにホットランナ10のノズル部が当接している。また、ゲート8aは、その断面積が比較的大きく設定されているため、溶融樹脂の成形圧力を成形キャビティ内に低い圧力損失で均一に伝えることができる。そのため、成形キャビティ7aの形状を忠実に転写して表層である第1層21を成形することができるので、光学特性の良好な多層成形レンズを成形することができる。第1層21はレンズの光学面である重要部17の外周に帽子の鍔状で突出した円環状の鍔部16を有するので、ホットランナ10のノズル部からコールドスラッグが流入したりフローマークやジェッティングなどの成形不良が発生したりしてもそれは鍔部16内に留まる。そして、それらは多層成形レンズ20の重要部17に流入しないので、光学特性の良好な多層成形レンズが成形され得るのである。
第二キャビティブロック4は、キャビティ面6a〜6fの円の各中心を等分割で有する円周の中心を軸として図4の矢印方向(反時計回り方向)に回転自在となっている。成形キャビティ7aで成形され第1層21として成形キャビティ7aのキャビティ面6aに残った中間成形体は、第二キャビティブロック4の回転により成形キャビティ7bへ移送される。第1層21としての中間成形体とキャビティ面5bとで形成される実質キャビティは、第2層22用となる。この実質キャビティの容積は、成形キャビティ7bの容積から成形キャビティ7aの容積を差し引いたものである。すなわち、成形キャビティ7bの容積は、成形キャビティ7aの容積より実質キャビティの容積分大きいのである。この実質キャビティには、ゲート8bを介して溶融樹脂が注入される。そして、ゲート8bには、ホットランナ11のノズル部が当接している。
ホットランナ10、11は、そのなかに存在する溶融樹脂を図示しないヒータで保温して溶融状態に保つランナである。ホットランナ10、11は、それぞれの先端に設けられゲート8a〜8d、8fに当接するノズル部を機械的又は熱的に作動する弁で開閉して溶融樹脂を流動又は遮断させるものである。そのため、ホットランナ10、11は、ランナ部を金型装置内に残して成形品だけを取出すことができるので、固化したランナを粉砕したり再使用したりする工程を不要にするとともに、複雑なランナの配設を回避できるので、金型装置の構成を簡易にすることができる。ホットランナ10、11と直角に連通するホットランナ12には、さらに直角にスプル13が連通して接続されている。スプル13には射出装置のノズルが当接して、溶融樹脂が供給される。
成形キャビティ7bで成形され第1層21及び第2層22として成形キャビティ7bのキャビティ面6bに残った中間成形体は、第二キャビティブロック4の回転により成形キャビティ7cへ移送される。第1層21及び第2層22としての中間成形体とキャビティ面5cとで形成される実質キャビティは、第3層23用となる。この実質キャビティの容積は、成形キャビティ7cの容積から成形キャビティ7bの容積を差し引いたものである。すなわち、成形キャビティ7cの容積は、成形キャビティ7bの容積より実質キャビティの容積分大きいのである。この実質キャビティには、ゲート8cを介して溶融樹脂が注入される。そして、ゲート8cには、ホットランナ11のノズル部が当接している。
成形キャビティ7cで成形され第1層21、第2層22及び第3層23として成形キャビティ7cのキャビティ面6cに残った中間成形体は、第二キャビティブロック4の回転により成形キャビティ7dへ移送される。第1層21、第2層22及び第3層23としての中間成形体とキャビティ面5dとで形成される実質キャビティは、第4層24用となる。この実質キャビティの容積は、成形キャビティ7dの容積から成形キャビティ7cの容積を差し引いたものである。すなわち、成形キャビティ7dの容積は、成形キャビティ7cの容積より実質キャビティの容積分大きいのである。この実質キャビティには、ゲート8dを介して溶融樹脂が注入される。そして、ゲート8dには、ホットランナ11のノズル部が当接している。
成形キャビティ7dで成形され第1層21、第2層22、第3層23及び第4層24として成形キャビティ7dのキャビティ面6dに残った中間成形体は、第二キャビティブロック4の回転により冷却キャビティ7eへ移送される。すなわち、冷却キャビティ7eは成形キャビティ7dに対して中間成形体の移送方向に隣接して設けられている。冷却キャビティ7eは成形キャビティ7dと同一の寸法及び同一の形状を有するので、第1層21、第2層22、第3層23及び第4層24としての中間成形体とキャビティ面5eとで形成される実質キャビティの容積は零である。冷却キャビティ7eでは、積層成形が行われず、中間成形体が冷却されるのみである。そのため、冷却キャビティ7eは溶融樹脂の注入口であるゲートを有しない。
各層の容積や形状が均等ではなく、図1に示すように第4層24の肉厚が他の層と比較して大きいようなときは、第4層の溶融樹脂が冷却不足となり、溶融樹脂の固化が遅延して表面形状が不安定になるためレンズの光学特性が低下する懸念がある。また、これを回避するため、第4層24の冷却時間に対応して成形サイクルの冷却時間を比較的長く設定した場合には、成形サイクル時間が著しく遅延して、生産効率の低下を招く。冷却キャビティ7eを設けることにより、第4層24の冷却が十分行われ、層形状が安定することによりレンズの光学特性が向上するとともに、冷却キャビティ7eで中間成形体を冷却することにより、冷却キャビティ7eを設けない場合に、肉厚が最も大きい第4層24に対応して比較的長時間に設定した冷却時間を短縮することができるので、成形サイクル時間が短縮でき生産性を向上させることができる。
冷却キャビティ7eで冷却され第1層21、第2層22、第3層23及び第4層24として冷却キャビティ7eのキャビティ面6eに残った中間成形体は、第二キャビティブロック4の回転により成形キャビティ7fへ移送される。第1層21、第2層22、第3層23及び第4層24としての中間成形体とキャビティ面5fとで形成される実質キャビティは、第5層25用となる。この実質キャビティの容積は、成形キャビティ7fの容積から成形キャビティ7dの容積を差し引いたものである。すなわち、成形キャビティ7fの容積は、成形キャビティ7dの容積より実質キャビティの容積分大きいのである。この実質キャビティには、ゲート8fを介して溶融樹脂が注入される。ゲート8fには、ホットランナ10のノズル部が当接している。
ゲート8fは、成形キャビティ7fの外周端面における型合わせ面18の第一キャビティブロック3側に設けられる。ゲート8fは、その断面積が比較的大きく設定されているため、溶融樹脂の成形圧力を成形キャビティ内に低い圧力損失で均一に伝えることができる。そのため、成形キャビティ7fの形状を忠実に転写して表層である第5層を成形することができ、光学特性の良好な多層成形レンズを成形することができる。また、第5層25はレンズの光学面である重要部17の外周に帽子の鍔状で突出した円環状の鍔部16を有するので、ホットランナ10のノズル部からコールドスラッグが流入したりフローマークやジェッティングなどの成形不良が発生したりしてもそれは鍔部16内に留まる。そして、それらは多層成形レンズ20の重要部17に流入しないので、光学特性の良好な多層成形レンズが成形され得るのである。
図3に示すように、ゲート8a及びゲート8fは、成形キャビティ7a及び成形キャビティ7fの各円の中心と、その二の中心点を円周上に備える円の中心とを結んだ直線上にそれぞれ設けられている。また、ゲート8aは型合わせ面18に接して第二キャビティブロック4側に設けられ、ゲート8fは型合わせ面18に接して第一キャビティブロック3側に設けられている。よって、第5層の積層成形を経た状態の図1に示すように、ゲート8a及びゲート8fそれぞれがゲートカットして生成されるゲート痕9a及びゲート痕9fは、半円又は半楕円の各底辺を隣接させて一体となり多層成形レンズ20の外周端面の同一箇所に露出する。なお、第1層のゲート及び第5層のゲートのいずれか一方又は双方が前記直線上に設けられない場合には、両ゲートのゲート痕は一体になることはない。但し、第1層のゲート及び第5層のゲートの双方が前記直線上に設けられない場合であっても、双方が前記直線に対して各キャビティ外周の同位置に設けられるときは、両ゲートのゲート痕は一体になる。
図1に示すように、ゲート痕9a及び9fは、半円又は半楕円である。すなわち、ゲート8a及びゲート8fの断面形状も半円又は半楕円である。但し、ゲートの断面形状は、半円又は半楕円に拘らず、一の辺又は一点が互いに接する形状であれば、矩形、台形、円又は楕円などの形状であっても構わない。このように、二のゲート痕が一体化することによりゲートカットが一度で実行されて容易化するとともに、第1層のゲート周辺が第5層(第N層)の溶融樹脂で溶融されることによりゲート周辺の溶融樹脂粘度が均一化されレンズの外観品質と光学特性が向上する。
多層成形レンズの積層成形は、射出成形機の一成形サイクルを積層数に相当する回数繰り返すことにより実施される。本実施形態では、五層の多層成形レンズ20が、五の成形キャビティと一の冷却キャビティを備えた金型装置14で成形されるので、六の成形サイクルを要することになる。
次に、射出成形機の一成形サイクルについて説明する。
型締装置15は、第二型板2を第一型板1に接近させて型閉じさせ、第一キャビティブロック3及び第二キャビティブロック4を型合わせさせる。型締装置15は、第一キャビティブロック3及び第二キャビティブロック4を、第一型板1及び第二型板2を介して圧締する。
射出装置は、そのノズルをスプル13に当接させた後、生成した溶融樹脂をスプル13及びホットランナ12、10、11を介して成形キャビティ7a〜7d、7fへ同時に供給して射出工程を実行する。射出工程の詳細については後述する。
型締装置15は、第一キャビティブロック3及び第二キャビティブロック4の圧締を継続中に、射出工程の終了後、冷却時間タイマを計時開始して冷却工程を開始させる。また、射出装置は、次成形サイクルのための溶融樹脂を生成させる可塑化工程を開始させる。
型締装置15は、冷却時間タイマの予め設定した冷却時間が経過したとき、冷却工程を終了させる。
型締装置15は、第二型板2を第一型板1から離隔させて型開きさせる。このとき、各中間成形体は第一キャビティブロック3の各キャビティ面から離型するとともに、各層のゲートはホットランナの各ノズル部からゲートカットされてそれぞれのゲート痕を残す。
型締装置15は、第二キャビティブロック4を回転させて、各中間成形体を次層の成形キャビティ又は冷却キャビティへ移送する。
第二キャビティブロック4のキャビティ面6fに付着した第5層を含む完成品としての中間成形体は、突き出し装置でキャビティ面6fから離型された後、取出し装置などで金型装置14から外部へ搬送される。
積層成形の射出工程は、各成形サイクルに跨って実行されるので、図5に基づいて、各射出工程を積層順に説明する。
(S1)射出装置から供給された溶融樹脂は、スプル13、ホットランナ12、ホットランナ10、ゲート8aを順次に流動した後、第1層用の成形キャビティ7aを射出充填して第1層21が成形される。このとき、鍔部16の端面に設けられたゲート8aは、その位置にゲート痕9aを残す。そして、そのゲート痕9aは多層成形レンズ20の外周端面に露出する。
(S2)次の成形サイクルにおいて、射出装置から供給された溶融樹脂は、スプル13、ホットランナ12、ホットランナ11、ゲート8bを順次に流動した後、第1層21としての中間成形体とキャビティ面5bとからなる第2層用の実質キャビティを射出充填して第1層21の上に第2層22が積層成形される。このとき、第2層22の表面となるキャビティ面5bのゲート8bは、その位置にゲート痕9bを残す。
(S3)次の成形サイクルにおいて、射出装置から供給された溶融樹脂は、スプル13、ホットランナ12、ホットランナ11、ゲート8cを順次に流動した後、第1層21及び第2層22としての中間成形体とキャビティ面5cとからなる第3層用の実質キャビティを射出充填して第2層22の上に第3層23が積層成形される。このとき、第3層23の表面となるキャビティ面5cのゲート8cは、その位置にゲート痕9cを残す。そして、前の成形サイクルで生成されたゲート痕9bはレンズ表面に露出しないように第3層23の積層成形で溶融される。
(S4)次の成形サイクルにおいて、射出装置から供給された溶融樹脂は、スプル13、ホットランナ12、ホットランナ11、ゲート8dを順次に流動した後、第1層21、第2層22及び第3層23としての中間成形体とキャビティ面5dとからなる第4層用の実質キャビティを射出充填して第3層23の上に第4層24が積層成形される。このとき、第4層24の表面となるキャビティ面5dのゲート8dは、その位置にゲート痕9dを残す。そして、前の成形サイクルで生成されたゲート痕9cはレンズ表面に露出しないように第4層24の積層成形で溶融される。
(S5)次の成形サイクルにおいて、前の成形サイクルで生成された第1層21、第2層22、第3層23及び第4層24からなる中間成形体は、冷却キャビティ7eで冷却される。
(S6)次の成形サイクルにおいて、射出装置から供給された溶融樹脂は、スプル13、ホットランナ12、ホットランナ10、ゲート8fを順次に流動した後、第1層21、第2層22第3層23及び第4層24としての中間成形体とキャビティ面5fとからなる第5層用の実質キャビティを射出充填して第4層24の上に第5層25が積層成形される。このとき、前々の成形サイクルで生成されたゲート痕9dはレンズ表面に露出しないように第5層25の積層成形で溶融される。また、鍔部16の端面に設けられたゲート8fは、その位置にゲート痕9fを残す。そして、そのゲート痕9fは多層成形レンズ20の外周端面に露出する。
以上詳述したことから明らかなように、第一実施形態における多層成形レンズ20の製造工程は、ゲート痕をレンズ外表面に露出させて第1層及び第N層を形成する積層成形工程と、第1層及び第N層を除く他の各層を形成する積層成形工程又はインサート成形工程と、前記積層成形工程又は前記インサート成形工程で生成されたゲート痕を次層以降の成形でレンズ表面に現れないように溶融する溶融工程とを含む。そのため、レンズ表面を形成する第1層及び第5層の重要部にコールドスラッグなどの溶融樹脂粘度の不規則な変化が生じないので、レンズの外観品質が向上するとともにレンズの光学特性が向上する。また、第2層から第4層までの内層では、コールドスラッグなどがゲート痕とともに溶融して消滅するので、光学特性に影響を及ぼさず、ダイレクトゲートにより生産性の向上や金型構造の簡易化が図れる。
また、第一実施形態では、第1層及び第5層それぞれのゲート痕9a、9fは、レンズ外周端面の同一箇所に隣接して設けられる。そのため、二のゲート痕が一体化して一度でゲートカットすることが可能となり生産性が向上するとともに、第1層のゲート周辺が第5層の溶融樹脂で溶融されることによりゲート周辺の溶融樹脂粘度が均一化されレンズの外観品質と光学特性が向上する。
また、第一実施形態における多層成形レンズ20の製造工程は、成形キャビティ7dに対し中間成形体の移送方向に隣接して設けた冷却キャビティ7eで中間成形体を冷却する工程をさらに含む。そのため、肉厚が他の層と比較して大きい第4層であってもその層の冷却が十分行われ、層形状が安定することによりレンズの光学特性が向上する。また、冷却キャビティ7eで中間成形体を冷却することにより、冷却キャビティ7eを設けない場合に肉厚が最も大きい第4層に対応して比較的長時間に設定した冷却時間を短縮することができるので、成形サイクル時間が短縮でき生産性を向上させることができる。
また、第一実施形態では、冷却キャビティ7eは、溶融樹脂の注入口であるゲートを有しないので、金型装置を簡易に構成できる。
〔第二実施形態〕
図6に示す多層成形レンズ20aは、多層の層数Nを三に限定し、インサートした第2層22を第1層21及び第3層23により囲繞するようにインサート成形して製造されたものである。多層成形レンズ20aは、レンズの光学面である重要部17と、その外周に帽子の鍔状で突出した円環状の鍔部16とを備える。
図7に示すように、第一実施形態のものと同様な型締装置15に取り付けられた金型装置14aは、型合わせ面18で型合わせする第一キャビティブロック3a及び第二キャビティブロック4aからなる。
第一キャビティブロック3aの型合わせ面18には、キャビティ面5g及びキャビティ面5hが型合わせ面18の中心線上に刻設されている。第二キャビティブロック4aの型合わせ面18には、キャビティ面6g及びキャビティ面6hが型合わせ面18の中心線上に、キャビティ面5g及びキャビティ面5hとそれぞれ対向するように刻設されている。第二キャビティブロック4aは、180度毎に回転又は回動するようになっている。そのため、キャビティ面6gはキャビティ面5g及びキャビティ面5hと交互に対向し、キャビティ面6hはキャビティ面5h及びキャビティ面5gと交互に対向する。
キャビティ面5g及びキャビティ面6gが対向し型合わせされることにより成形キャビティ7gが形成される。キャビティ面5h及びキャビティ面6hが対向し型合わせされることにより成形キャビティ7hが形成される。キャビティ面6gは、その外径、深さ及び曲率において、キャビティ面6hと同一である。キャビティ面5gは、その外径がキャビティ面5hと同一であるが、その深さ及び曲率においてはキャビティ面5hより小さくなるように構成されている。
成形キャビティ7gの外周端部であってレンズの鍔部16端面に相当し型合わせ面18に隣接する箇所にはゲート8gが設けられている。成形キャビティ7hの外周端部であってレンズの鍔部16に相当し型合わせ面18に隣接する箇所にはゲート8hが設けられている。ホットランナ10、12に関しては、第一実施形態のものと機能、作用及び効果が同様であるから、それらの詳細な説明を省略する。
ゲート8g、8hは、その断面積が比較的大きく設定されているため、溶融樹脂の成形圧力を成形キャビティ内に低い圧力損失で均一に伝えることができる。そのため、成形キャビティの形状を忠実に転写して表層である第1層21及び第3層23を成形することができるので、光学特性の良好な多層成形レンズ20aを成形することができる。第1層21及び第3層23はレンズの光学面である重要部17の外周に帽子の鍔状で突出した円環状の鍔部16を有するので、ホットランナ10のノズル部からコールドスラッグが流入したりフローマークやジェッティングなどの成形不良が発生したりしてもそれは鍔部16内に留まる。そして、それらは多層成形レンズ20aの重要部17に流入しないので、光学特性の良好な多層成形レンズ20aが成形され得るのである。
次に、図7及び図8に基づいて多層成形レンズ20aの製造方法について説明する。
図7に示すように、金型装置14aは、第1層21を成形キャビティ7gで成形し、第3層23を成形キャビティ7hで成形する。この成形後、金型装置14aが型開きし、成形キャビティ7hで成形された多層成形レンズ20aはゲートカットされてキャビティ面6hから離型して取り出される。
第二キャビティブロック4aが180度回転した後、型閉じすることにより、第1層21を付着させたキャビティ面6gはキャビティ面5hと対向し型合わせして成形キャビティ7jが形成される。そして、多層成形レンズ20aが離型したキャビティ面6hはキャビティ面5gと対向し型合わせして第一成形キャビティ7iが形成される。
(S11)第一成形キャビティ7iへ、スプル13、ホットランナ10、ゲート8gを介して溶融樹脂が射出充填され、第1層21が成形される。第1層21を成形したゲート8gのゲート痕9gは、図6に示すように、多層成形レンズ20aの外周端面に露出する。
(S12)型開き後、第二キャビティブロック4aを180度回転又は回動させることにより、成形キャビティ7iで成形された第1層21は成形キャビティ7hに移送される。
(S13)型開きの状態において、成形キャビティ7hのキャビティ面6hに付着した第1層21の開口した表面に、予め成形された第2層22としてのインサート成形体がロボットなどによって載置される。この工程を容易に実行するため、型締装置15は、型合わせ面18が水平となる竪型であることが好ましい。第2層22は、第1層21と同材質の樹脂原料を用いて射出成形や圧縮成形などで、第1層21と比較して外縁寸法が小さくなるように予め成形されたインサート成形体である。従って、第2層22は、ゲート痕を有する場合と有しない場合とが存在する。第2層22がゲート痕を有する場合、ゲート痕は第2層22の第1層21と接触しない面に設けられることが好ましい。このようにすれば、ゲート痕は第3層の積層成型時に溶融され消滅することになる。また、第2層22は単層ではなく、多層で構成されるものであってもよい。
(S14)第2層22と比較して外縁寸法が大きい成形キャビティ7hへ、スプル13、ホットランナ10、ゲート8hを介して溶融樹脂が射出充填される。第2層22の第1層21と接触しない面及び第1層21の第2層22と接触しない外周面の上に第3層23が積層成形される。それにより、第2層が第1層と第3層との間に囲繞される。図7はこの状態を示すものである。第3層23を成形したゲート8hのゲート痕9hは、図6に示すように、多層成形レンズ20aの外周端面に露出する。ゲート痕9hは、レンズ外周端面の同一箇所でゲート痕9gと隣接して露出するが、互いに離隔した箇所に露出するようにゲート8g、8hを配設してもよい。
〔第三実施形態〕
第三実施形態に係るN層の多層成形レンズ製造システムは、第一実施形態で説明したような方法でインサート成形体26を成形する図示しない成形装置と図9に示す金型装置14bを備えた型締装置15とで構成される。成形装置で成形されたインサート成形体26は、金型装置14bに搬入されキャビティ7k、7l内の所定位置に配設された後、同時に射出充填して成形される第1層21及び第3層23(第N層)によって囲繞される。
インサート成形体26は、図9には図示の便宜上一層として示したが、(N−2)層までの多層であることが好ましい。インサート成形体26は、それが多層の場合であっても、各層が互いに密着して一体となっている。インサート成形体26は、後工程で第1層21及び第3層23によって囲繞されるので、冷却時間を比較的短くして成形することが好ましい。これにより生産効率は向上するが、インサート成形体26の表面にはひけなどによる僅かな凹凸が生ずる。また、インサート成形体26の表面には表面層を成形したときのゲート痕が露出することもある。
図9に示すように、金型装置14bは、第一キャビティブロック3b及び第二キャビティブロック4bからなる。第一キャビティブロック3bのキャビティ面5iと第二キャビティブロック4bのキャビティ面6iとでキャビティ7kが形成され、キャビティ7kで多層成形レンズ20bが成形される。また、第一キャビティブロック3bのキャビティ面5jと第二キャビティブロック4bのキャビティ面6jとでキャビティ7lが形成され、キャビティ7lでも多層成形レンズ20bが成形される。キャビティ7k及びキャビティ7lは同一形状、同一寸法であるから、一度の成形サイクルで二個の多層成形レンズ20bを成形することができる。この複数キャビティの数は、インサート成形体26の成形装置の成形サイクル時間に応じて任意に変更され得るものである。
このように、多層成形レンズ20bを成形するキャビティ7kのゲート8i、8jは直径方向に離隔し、キャビティ7lのゲート8i、8jは隣接している。そのため、多層成形レンズ20bは、ゲート痕9i、9jを直径方向に離隔して有するものと隣接して有するものとが存在することになる。また、図示は省略するが、多層成形レンズ20bは、第一実施形態の多層成形レンズ20及び第二実施形態の多層成形レンズ20aと同様に重要部17及び鍔部16を有する。
インサート成形体26は、第1層21及び第3層23のための空間を形成するため、キャビティ7k及びキャビティ7lそれぞれのほぼ中心部に、インサート成形体26が有するサイドゲート又はダミータブ等によって保持されるように配設される。
キャビティ7kの第1層21用空間にはゲート8iが接続され、ゲート8iにはスプル27が接続されている。スプル27は、第二キャビティブロック4bの端面に開口しており、そこには図示しない第一射出装置のノズルが当接する。キャビティ7lの第1層21用空間にはゲート8iが接続され、ゲート8iはランナ29によりスプル27に接続されている。ランナ29は、第二キャビティブロック4b内でキャビティ7kを迂回して干渉しないよう適宜に設けられる。
キャビティ7kの第3層23用空間にはゲート8jが接続され、ゲート8jには必要に応じて設けられたホットランナ10、12が接続されている。キャビティ7lの第3層23用空間にはゲート8jが接続され、ゲート8jにはホットランナ10、12が接続されている。ホットランナ12にはスプル28が接続されている。スプル28は、第一型板1の側面に開口しており、そこには図示しない第二射出装置のノズルが当接する。
次に、図9及び図10に基づいて多層成形レンズ20bの製造方法について説明する。
(S21)第1層21及び第3層23(第N層)を除く他の各層を一体で構成し成形装置で成形されたインサート成形体26を金型装置14bに搬入して配設する。インサート成形体26の金型装置14bへの搬入は、ロボットが好適に用いられる。
(S22)インサート成形体26によりキャビティ7k、7l内に形成された第1層21及び第3層23用の空間は、第一射出装置及び第二射出装置からスプル28,29及びゲート8i、8jを介して供給される溶融樹脂で同時に射出充填される。このインサート成形により、インサート成形体26は、第1層21及び第3層23により囲繞される。
(S23)インサート成形工程において、インサート成形体26の表面の凹凸やゲート痕がレンズ表面に現れないように、インサート成形体26の表面は溶融樹脂で溶融される。
以上詳述したことから明らかなように、第三実施形態における多層成形レンズ20bの製造工程は、第1層及び第N層を除く他の各層を一体で構成するインサート成形体を金型装置に搬入して配設する工程と、ゲート痕をレンズ外表面に露出させる第1層及び第N層を同時に成形して前記インサート成形体を第1層及び第N層で囲繞するインサート成形工程と、前記インサート成形工程で前記インサート成形体表面の凹凸やゲート痕がレンズ表面に現れないように前記インサート成形体の表面を溶融する溶融工程とを含む。
そのため、レンズ表面を形成する第1層及び第3層の重要部にコールドスラッグなどの溶融樹脂粘度の不規則な変化が生じないので、レンズの外観品質が向上するとともにレンズの光学特性が向上する。また、インサート成形体26表面の凹凸やゲート痕は溶融されて消滅するので、光学特性に影響を及ぼさない。さらに、インサート成形体26の成形サイクルは比較的短くすることができるので生産性の向上を図ることができる。
〔変形例〕
多層成形レンズ20、20aが適用される車両等の前照灯において、所定配光パターン中の明暗境界線近傍の色にじみを改善したりぼかし効果を付与したりするため、レンズ表面に微細凹凸形状を設けることが要求される場合がある。本変形例は、第一実施形態〜第三実施形態に基づいて第1層又は第3層(第N層)用のキャビティ面6a〜6j、5f、5h〜5jに微細凹凸19が刻設されるように変形を施したものである。第1層又は第N層の成形時に、溶融樹脂は微細凹凸19を転写して第1層又は第N層の重要部表面であるレンズ表面に微細凹凸形状19aを形成させる。
図11、図12に示すように、微細凹凸19は、例えば断面視で半波整流波形状又は正弦波形状に類似した形状でなる数マイクロメートルから数ミリメートル程度の無数の凹凸で構成されたものである。一般にテクスチャと称される微細凹凸19は、第1層用キャビティ面6a〜6j及び第5層用キャビティ面5fのいずれか一方の全面又はその一部分に設けられる。また、微細凹凸19は、第1層用キャビティ面6g〜6j及び第3層(第N層)用キャビティ面5f、5h〜5jのいずれか一方の全面又はその一部分に設けられる。第一実施形態及び第二実施形態では、微細凹凸19は、6個又は2個必要とする第1層用キャビティ面6a〜6hに設けるのではなく、1個のみの第5層又は第3層用キャビティ面5f、5hに設けることが好ましい。その理由は次の通りである。微細凹凸19を有する1個のキャビティ面を製作するには数百万円以上の加工費用を要する。したがって、1個のみの第5層又は第3層用キャビティ面5f、5hに対して、6個又は2個必要とする第1層用キャビティ面6a〜6hに微細凹凸19を施工する場合には、数百万円の6倍又は2倍コストが掛ることになる。
第1層及び第N層用のゲート8a、8f、8g、8hは、その断面積が比較的大きく設定されているので、溶融樹脂の成形圧力を成形キャビティ内に低い圧力損失で均一に伝えることができる。そのため、微細凹凸19が第1層又は第N層へ精確に転写成形され、微細凹凸19と可及的に近似した形状の微細凹凸形状19aをレンズ表面に形成することができる。この効果は、微細凹凸19が第1層又は第N層のいずれのキャビティ面に刻設される場合でも同様である。
尚、本発明は、当業者の知識に基づいて様々な変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものを含む。また、前記変更等を加えた実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りいずれも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば、第一実施形態では多層成形レンズ20の層数が五であるものとして説明したが、その層数は三以上の整数(N)であれば数の如何を問わない。そのとき、成形キャビティの数は層数と同数のN個となる。
また、第一実施形態では、全ての層を積層成形で形成するように説明したが、第1層及び第N層以外の層である内層の一又は複数の層を積層成形に代えて第二実施形態で説明したインサート成形により形成するようにしてもよい。その場合、インサート成形で形成する層のための成形キャビティは不要となる。インサート成形体は、第二キャビティブロックが型開きし回転した後、インサート成形で形成する層の次層用成形キャビティにおける中間成形体の表面に載置される。
また、第一実施形態では多層成形レンズ20の第1層の表面曲率が第5層の表面曲率より小さい例で説明したが、第1層の表面曲率が第5層の表面曲率より大きくなるように構成してもよい。その場合、第一型板のキャビティ面は型合わせ面から突出することもある。
また、第一実施形態では多層成形レンズ20の内層である第2層22、第3層23及び第4層24の各層における端面が第1層21の内層側に接触する構成で説明した。これに対し、内層の端面が第N層の内層面に接触するように内層を構成することもできる。
また、第一実施形態では成形キャビティを円周上に配設する例を示したが、成形キャビティを直線上に配設してもよい。さらに、複数の成形キャビティを事前に配設するのではなく、一の成形キャビティにおいて第二キャビティブロックを手動又は自動で交換するように構成してもよい。
また、第一実施形態では内層のゲート8b〜8dを各内層の中央部に配設する例を示したが、内層のゲート位置は、そのゲート痕が各内層の次層以降の積層成形で覆われる位置であれば何処でも構わない。特に、内層の端面が第N層の内層面に接触するように内層を構成した場合では、内層の端面にゲートを配設することができる。
また、第一実施形態乃至第三実施形態ではゲート痕9a、9f〜9jを多層成形レンズ20、20aの外周端面としての鍔部16端面に設ける例を示した。しかしながら、第1層及び第N層のゲート痕は、多層成形レンズの重要部(光学面)外側に設けられた鍔部の端面を除く両面又はいずれか一方の面であるレンズ外表面に設けられるようにしてもよい。また、第1層及び第N層のゲート痕は鍔部を有しない多層成形レンズの重要部端面としてのレンズ外表面に設けられるようにしてもよい。
また、第一実施形態及び第二実施形態では鍔部16は帽子の鍔のように円環状のものとして示したが、野球帽の鍔のように一部分が一又は複数で張り出すようなものであってもよい。
また、第一実施形態では、第1層21用ゲート8a及び第5層25用ゲート8fにはホットランナ10が当接する例を示し、第二実施形態では、第1層21用ゲート8g及び第3層23用ゲート8hにはホットランナ10が当接する例を示した。しかしながら、ホットランナに代えてサイドゲートなどを用いてもよい。
また、第一実施形態では第1〜4層を含む中間成形体に対して冷却キャビティ7eを設ける例で冷却キャビティについて説明した。しかしながら、冷却キャビティは三以上でN個の成形キャビティのうち任意の一又は複数の成形キャビティに対して設けることができる。特には、第N層に対して冷却キャビティを設けた場合、外層である第N層のひけは光学特性に大きく影響するので、冷却キャビティがより効果的となる。なお、冷却キャビティは必須のものではなく、冷却キャビティを備えず成形キャビティのみでキャビティブロックを構成するようにしてもよい。
5a〜5j キャビティ面
6a〜6j キャビティ面
7a〜7d、7f〜7l 成形キャビティ
7e 冷却キャビティ
8a〜8d、8f〜8j ゲート
9a〜9d、9f〜9j ゲート痕
14、14a、14b 金型装置
17 重要部
18 型合わせ面
19 微細凹凸
19a 微細凹凸形状
20、20a、20b 多層成形レンズ
21 第1層
22 第2層
23 第3層(第N層)
24 第4層
25 第5層(第N層)

Claims (8)

  1. 三層以上(N層)の多層成形レンズであって、
    第1層及び第N層を成形したゲートのゲート痕はレンズ外表面に露出し、
    第2層から第(N−1)層までの各層を成形したゲートのゲート痕はレンズ外表面及びレンズ表面に露出しない多層成形レンズ。
  2. 第1層及び第N層の前記ゲート痕は、レンズ外周端面の同一箇所で隣接する請求項1に記載の多層成形レンズ。
  3. 容積が相互に異なる複数の成形キャビティのうち最小容積の成形キャビティで成形した第1層としての中間成形体を容積がより大きい成形キャビティへ移送して第2層を積層成形するか又はインサート成形し、以降中間成形体を第N層までの各層成形キャビティへ順次移送して積層成形又はインサート成形することにより三層以上(N層)の多層成形レンズを製造する方法であって、
    ゲート痕をレンズ外表面に露出させて第1層及び第N層を形成する積層成形工程と、
    第1層及び第N層を除く他の各層を形成する積層成形工程又はインサート成形工程と、
    前記積層成形工程又は前記インサート成形工程で生成されたゲート痕を次層以降の成形でレンズ表面に現れないように溶融する溶融工程と、
    を含む多層成形レンズの製造方法。
  4. 第1層及び第N層それぞれの前記ゲート痕は、レンズ外周端面の同一箇所に隣接して設けられる請求項3に記載の多層成形レンズの製造方法。
  5. 一又は複数の前記成形キャビティに対し前記中間成形体の移送方向に隣接して設けた冷却キャビティで前記中間成形体を冷却する工程をさらに含む請求項3又は4に記載の多層成形レンズの製造方法。
  6. 前記冷却キャビティは、溶融樹脂の注入口であるゲートを有しない請求項5に記載の多層成形レンズの製造方法。
  7. 三層以上(N層)の多層成形レンズを製造する方法であって、
    第1層及び第N層を除く他の各層を一体で構成するインサート成形体を金型装置に搬入して配設する工程と、
    ゲート痕をレンズ外表面に露出させる第1層及び第N層を同時に成形して前記インサート成形体を第1層及び第N層で囲繞するインサート成形工程と、
    前記インサート成形工程で前記インサート成形体表面の凹凸やゲート痕がレンズ表面に現れないように前記インサート成形体の表面を溶融する溶融工程と、
    を含む多層成形レンズの製造方法。
  8. 前記第1層又は前記第N層を成形するとき、そのキャビティ面に刻設された微細凹凸を転写させて前記第1層又は前記第N層の表面であるレンズ表面に微細凹凸形状を形成させる請求項3乃至7のいずれか一項に記載の多層成形レンズの製造方法。
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