JP2018062973A - サイレントチェーン - Google Patents

Abstract

【課題】単純な形状で、ガイドプレートの剛性及びその上下バランスを調整でき、スプロケットの側面に当接する部分の面積や強度を充分に確保しつつ、長ピンの湾曲や捻じれ変形に伴う破断を防止するとともに、振動や波打を抑制するサイレントチェーンを提供すること。
【解決手段】ガイドプレートの肉抜孔１１２の上方が、ピッチラインＰより上方まで形成され、肉抜孔１１２の下方が、前後のピン嵌合孔１１１内側縁とピッチラインＰとの交点Ｔとガイドプレート１１０の下端縁の前後方向の中間点Ｃ１とを結ぶ直線の外側まで形成され、肉抜孔１１２の長手方向最外部が、交点Ｐを通るピッチラインに対する一対の垂線Ｖを超えない範囲に形成されていること。
【選択図】図２

Description

本発明は、ガイドプレート及びミドルプレートから成るガイド列と、インナープレートから成る非ガイド列とを、長ピンと短ピンからなる一対のロッカーピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーン及びそのガイドプレートに関する。

従来、サイレントチェーン５００として、図３乃至図５に示すように、左右一対のガイドプレート５１０及びミドルプレート５２０から成るガイド列５０１と、複数のインナープレート５３０から成る非ガイド列５０２とを、長ピン５４０及び短ピン５５０からなる一対のロッカーピン５０４によってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーン５００が知られている。
長ピン５４０は、ガイドプレート５１０のピン孔５１１に嵌合固定されるとともにミドルプレート５２０のピン孔に着座し、長ピン５４０とは相対的に回転しない。
短ピン５５０はインナープレート５３０のピン孔５３１に着座し、短ピン５５０と相対的に回転しない。
このことで、長ピン５４０と短ピン５５０とが直接接触して転動することで、ガイド列５０１と非ガイド列５０２とが屈曲する。

サイレントチェーン５００が直線状態の時、図４に示すように、長ピン５４０の転動面と短ピン５５０の転動面がピッチライン上で接触し、上方にも下方にも転動可能である。
このようなサイレントチェーン５００にチェーンピッチ方向の引張荷重が作用したとき、歯部を有するミドルプレート５２０と歯部を有しないガイドプレート５１０とでは引張荷重に対する剛性が異なり、剛性の低いミドルプレート５２０の方が剛性の高いガイドプレート５１０よりもチェーンピッチ方向に大きく伸び、長ピン５４０が湾曲して破断を起こす場合がある。

そこで、ガイドプレート５１０の伸びとミドルプレート５２０の伸びとを同等にするために、ガイドプレート５１０の引張荷重に対する剛性（引張剛性）を下げてミドルプレート５２０の引張剛性と同等にするため、図３、図５のように、ガイドプレート５１０に肉抜孔５１２を設ける等の工夫がなされている。
また、長ピンと短ピンとを用いたサイレントチェーンにおける従来の工夫として、特許文献１の図７、図８に示すようなガイドプレートが公知である。

特開平１１−２３６９５０号公報

しかしながら、肉抜孔を単純に大きくして剛性を低くすると、ガイドプレートとしてスプロケットの側面に当接する部分の面積や強度を充分に確保することができず、公知のガイドプレートでは、ある程度の大きさに制限してチェーンピッチ方向の剛性をミドルプレートと同等とすることはできるものの、ピッチライン上での引張力に対する高さ方向の剛性のバランスまでは考慮されておらず、ピッチライン上での伸び量がミドルプレートと異なってしまうという問題があった。
また、スプロケットと噛み合うミドルプレートの歯はピッチライン上にはないため、ミドルプレートには前後の歯が拡がる方向の力が発生し、それに伴う長ピンの湾曲や捻じれ変形が生じるが、公知のガイドプレートではこのような変形は考慮されていなかった。
特に、高負荷の動力伝達で使用するような場合は、長ピンが湾曲や捻じれ変形で破断することはないものの振動や波打の原因となり、これを充分に抑制することはできなかった。

本発明は、これらの問題点を解決するものであり、単純な形状で、ガイドプレートの剛性及びその上下バランスを調整でき、スプロケットの側面に当接する部分の面積や強度を充分に確保しつつ、長ピンの湾曲やねじれ変形に伴う破断を防止するとともに、振動や波打を抑制するサイレントチェーンを提供することを目的とするものである。

本発明に係るサイレントチェーンは、ガイドプレート及びミドルプレートから成るガイド列と、インナープレートから成る非ガイド列とを、長ピンと短ピンからなる一対のロッカーピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンであって、前記ガイドプレートが、前記長ピンと嵌合する前後一対のピン嵌合孔と、前後の前記ピン嵌合孔の中間部に形成された肉抜孔を有し、前記肉抜孔の上方が、ピッチラインより上方まで形成され、前記肉抜孔の下方が、前後の前記ピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点と前記ガイドプレートの下端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線の外側まで形成され、前記肉抜孔の長手方向最外部が、前記交点を通るピッチラインに対する一対の垂線を超えない範囲に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。

本請求項１に係るサイレントチェーン及び請求項４に係るガイドプレートによれば、肉抜孔の上方がピッチラインより上方まで形成され、肉抜孔の下方が前後の前記ピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点とガイドプレートの下端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線の外側まで形成されていることにより、ピッチライン上での引張力に対するガイドプレートの高さ方向の剛性のバランスをミドルプレートと同等としてピッチライン上での伸び量をミドルプレートと同等とするとともに、スプロケットと噛み合うミドルプレートの変形と同等の方向の剛性を低くすることができ、長ピンの湾曲や捻じれ変形に伴う破断を防止するとともに、振動や波打を充分に抑制することができる。
また、肉抜孔の長手方向最外部が、交点を通るピッチラインに対する一対の垂線を超えない範囲に形成されていることにより、ガイドプレートとしてスプロケットの側面に当接する部分の面積や強度を充分に確保することができる。

本請求項２に記載の構成によれば、肉抜孔の上方が、前後のピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点とガイドプレートの上端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線を超えない範囲に形成されていることにより、ピッチラインより上方での曲げ方向の剛性を上げることができ、さらにスプロケットと噛み合うミドルプレートの変形と同等とすることができる。
本請求項３に記載の構成によれば、肉抜孔は、矩形状に形成され、肉抜孔の上辺及び下辺がガイドプレートの上端縁及び下端縁と平行であり、肉抜孔の角部がＲ形状に形成されていることにより、単純な形状となり、製造が容易となる

本発明の一実施形態のサイレントチェーンの説明図。 本発明の一実施形態のサイレントチェーンのガイドプレートの側面図。 本発明の他の実施形態のガイドプレートの側面図。 従来のサイレントチェーンの説明図。 従来のサイレントチェーンのガイドプレートの側面図。

本発明は、ガイドプレート及びミドルプレートから成るガイド列と、インナープレートから成る非ガイド列とを、長ピンと短ピンからなる一対のロッカーピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンであって、前記ガイドプレートが、前記長ピンと嵌合する前後一対のピン嵌合孔と、前後の前記ピン嵌合孔の中間部に形成された肉抜孔を有し、前記肉抜孔の上方が、ピッチラインより上方まで形成され、前記肉抜孔の下方が、前後の前記ピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点と前記ガイドプレートの下端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線の外側まで形成され、前記肉抜孔の長手方向最外部が、前記交点を通るピッチラインに対する一対の垂線を超えない範囲に形成されているものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。

本発明のサイレントチェーンの各構成部材の具体的な素材は、チェーンの張力を適正に保持するための強度を有するものであれば如何なるものでも良く、強度、加工性、経済性の観点から鋼材や鋳鉄等の鉄系材料を用いるのが好ましく、特にガイドプレート、ミドルプレート及びインナープレートは、鋼鈑を打ち抜いて形成するのが好ましい。
以下に、本発明の実施形態であるサイレントチェーンについて、図面に基づいて説明する

本発明の一実施形態であるサイレントチェーン１００は、図１に示すように、ガイドプレート１１０の肉抜孔１１２を除いて、図３、図４に示す従来のサイレントチェーン５００と同様である（図３、図４の符号を１００番代にしたものに相当する。）。
ガイドプレート１１０は、図２に示すように、長ピン１４０が嵌合固定されるピン嵌合孔１１１と、前後のピン嵌合孔１１１の中間部に形成された肉抜孔１１２を有している。 本実施形態では、肉抜孔１１２は矩形状に形成され、肉抜孔１１２の上辺及び下辺がガイドプレート１１０の上端縁及び下端縁と平行であり、肉抜孔１１２の角部がＲ形状に形成されている。

肉抜孔１１２は、その上辺がピッチラインＰより上方まで形成されている。
また、肉抜孔１１２は、下辺の両端部が、前後のピン嵌合孔１１１内側縁とピッチラインＰとの交点Ｔとガイドプレート１１０の下端縁の前後方向の中間点Ｃ１とを結ぶ直線の外側まで延びる形状に形成されている。
さらに、肉抜孔１１２は、長手方向の両端が、交点Ｔを通るピッチラインに対する一対の垂線Ｖを超えない範囲に形成されている。
また、本実施形態では、肉抜孔１１２は、上辺の両端部が、前後のピン嵌合孔１１１内側縁とピッチラインＰとの交点Ｔとガイドプレート１１０の上端縁の前後方向の中間点Ｃ２とを結ぶ直線を超えない範囲に形成されている。

このように形成されたガイドプレート１１０は、肉抜孔１１２の上方及び下方の接続部がピッチラインＰを挟んで上下に存在するため、ピッチラインＰ上での引張力に対する剛性を低下させる際に、上方及び下方の接続部の高さを調整するだけで、容易にガイドプレート１１０の高さ方向の剛性のバランスをミドルプレート１２０と同等としてピッチラインＰ上での伸び量をミドルプレート１２０と同等とすることが可能となる。
また、肉抜孔１１２の下辺の両端部が、前後のピン嵌合孔１１１内側縁とピッチラインＰとの交点Ｔとガイドプレート１１０の下端縁の前後方向の中間点Ｃ１とを結ぶ直線の外側まで延びる形状に形成されていることで、長ピン１４０の捻じれ方向に働く力に対する肉抜孔１１２の下方の接続部の曲げ剛性を低くすることができるため、スプロケットと噛み合うミドルプレート１２０の歯が前後に拡がる方向の力による長ピン１４０の捻じれ変形を緩和することができる。

また、肉抜孔１１２の下辺の両端部が、前後のピン嵌合孔１１１内側縁とピッチラインＰとの交点Ｔとガイドプレート１１０の下端縁の前後方向の中間点Ｃ１とを結ぶ直線の外側まで延びる形状に形成されていることで、下方の接続部の曲げ剛性を低下できることから、ピッチラインＰ上での引張力に対する剛性を低下させるために下方の接続部を細くする必要がなく、ガイドプレート１１０としてスプロケットの側面に当接する部分の面積や強度を充分に確保することができる。
なお、本実施形態では、肉抜孔１１２の角部をＲとした長方形としたが、台形、三角形、多角形等で形成してもよく、各辺、あるいはすべての辺を曲線状に形成してもよい。

１００、５００ ・・・ サイレントチェーン
１０１、５０１ ・・・ ガイド列
１０２、５０２ ・・・ 非ガイド列
５０４ ・・・ ロッカーピン
１１０、５１０ ・・・ ガイドプレート
１１１、５１１ ・・・ ピン嵌合孔
１１２、５１２ ・・・ 肉抜孔
１２０、５２０ ・・・ ミドルプレート
５２１ ・・・ ピン孔
１３０、５３０ ・・・ インナープレート
１３１、５３１ ・・・ ピン孔
１４０、５４０ ・・・ 長ピン
５５０ ・・・ 短ピン
Ｐ ・・・ ピッチライン
Ｔ ・・・ 内側縁交点
Ｃ１ ・・・ 下端縁中間点
Ｃ２ ・・・ 上端縁中間点
Ｖ ・・・ 垂線

Claims (4)

1. ガイドプレート及びミドルプレートから成るガイド列と、インナープレートから成る非ガイド列とを、長ピンと短ピンからなる一対のロッカーピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンであって、
   前記ガイドプレートが、前記長ピンと嵌合する前後一対のピン嵌合孔と、前後の前記ピン嵌合孔の中間部に形成された肉抜孔を有し、
   前記肉抜孔の上方が、ピッチラインより上方まで形成され、
   前記肉抜孔の下方が、前後の前記ピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点と前記ガイドプレートの下端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線の外側まで形成され、
   前記肉抜孔の長手方向最外部が、前記交点を通るピッチラインに対する一対の垂線を超えない範囲に形成されていることを特徴とするサイレントチェーン。
2. 前記肉抜孔の上方が、前後の前記ピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点と前記ガイドプレートの上端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線を超えない範囲に形成されていることを特徴とする請求項１に記載のサイレントチェーン。
3. 前記肉抜孔は、矩形状に形成され、
   前記肉抜孔の上辺及び下辺が前記ガイドプレートの上端縁及び下端縁と平行であり、
   前記肉抜孔の角部がＲ形状に形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載のサイレントチェーン。
4. ガイド列と非ガイド列とを長ピンと短ピンからなる一対のロッカーピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンに用いるガイドプレートであって、
   前記長ピンと嵌合する前後一対のピン嵌合孔と、前後の前記ピン嵌合孔の中間部に開口する肉抜孔を有し、
   前記肉抜孔の上方が、ピッチラインより上方まで形成され、
   前記肉抜孔の下方が、前後の前記ピン嵌合孔内側縁とピッチラインとの交点と前記ガイドプレートの下端縁の前後方向の中間点とを結ぶ直線の外側まで形成され、
   前記肉抜孔の長手方向最外部が、前記交点を通るピッチラインに対する一対の垂線を超えない範囲に形成されていることを特徴とするガイドプレート。

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