JP2018058077A - プレス用金型 - Google Patents

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真也 神谷
千聖 近藤
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Abstract

【課題】絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールが丸ダブルビードを採用した場合と同程度であって、ビード部の型強度を高めつつ、丸ダブルビードを採用した場合より材料歩留りを向上できるプレス用金型を提供する。【解決手段】ポンチ1とダイス2としわ押え部3とを備え、ポンチとダイスとの間に配置した素材Sの端部STをダイスの外縁部21としわ押え部とで狭圧しながら、素材を絞り成形するプレス用金型10である。しわ押え部のしわ押え面3Sに凸形成された第1ビード部31と、当該第1ビード部の型外方でダイスのしわ押え面21Sに凸形成された第2ビード部22とを備え、絞り成形時に第1ビード部と第2ビード部とが型内外方向で素材を挟んで隣接して配置されている。【選択図】図2

Description

本発明は、ポンチとダイスとの間に配置した素材の端部をダイスの外縁部としわ押え部とで狭圧しながら、素材を絞り成形するプレス用金型に関し、特に、しわ押え部に設けた絞りビードの断面形状を改善したプレス用金型に関する。
一般に、ポンチとダイスとの間に配置した素材の端部をダイスの外縁部としわ押え部とで狭圧しながら、素材を絞り成形するプレス用金型において、しわ押え部に設けた絞りビードは、ダイスの外縁部としわ押え部との間を素材が通過する際の曲げ抵抗等による張力を調整することによって、絞り成形過程で発生するシワやキレツ等の成形性を改善する重要な役割を担っている。そのため、図8に示すように、絞りビードの断面形状には、必要とする張力に応じて、(a)丸シングルビード、(b)丸ダブルビード、(c)角ビード、(d)ステップビード、(e)三角ビードなど様々なビード形状が用いられている(特許文献1を参照)。そして、素材の張力及び流入コントロールが難しい部位には、丸ダブルビードが主に採用されている。
特開2000−317535号公報
しかしながら、図9に示すように、ポンチ101とダイス102としわ押え部103とを備えたプレス用金型100に対して、しわ押え部103に丸ダブルビード104を採用した場合、絞り成形後における製品PのトリムラインT1から素材端T2までの距離S1が長くなって素材のスクラップ部分SKが大きくなり、材料歩留りが低下するという問題があった。この場合、丸ダブルビード104におけるビード間隔S2を狭くすることによって、素材のスクラップ部分SKを小さくすることも可能であるが、丸ダブルビード104に挟まれたダイス102のビード隔壁部105が略V字状に狭くなって、その型強度を低下させる問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールが丸ダブルビードを採用した場合と同程度であって、ビード部の型強度を高めつつ、丸ダブルビードを採用した場合より材料歩留りを向上できるプレス用金型を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るプレス用金型は、次のような構成を有している。
(1)ポンチとダイスとしわ押え部とを備え、前記ポンチと前記ダイスとの間に配置した素材の端部を前記ダイスの外縁部と前記しわ押え部とで狭圧しながら、前記素材を絞り成形するプレス用金型であって、
前記しわ押え部のしわ押え面に凸形成された第1ビード部と、当該第1ビード部の型外方又は型内方で前記ダイスのしわ押え面に凸形成された第2ビード部とを備え、絞り成形時に前記第1ビード部と前記第2ビード部とが型内外方向で前記素材を挟んで隣接して配置されていることを特徴とする。
本発明においては、しわ押え部のしわ押え面に凸形成された第1ビード部と、当該第1ビード部の型外方又は型内方でダイスのしわ押え面に凸形成された第2ビード部とを備え、絞り成形時に第1ビード部と第2ビード部とが型内外方向で素材を挟んで隣接して配置されているので、絞り成形時に第1ビード部と第2ビード部とが素材を略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形することによって、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合と同程度に作用させることができる。
また、しわ押え部のしわ押え面に凸形成された第1ビード部と、当該第1ビード部の型外方又は型内方でダイスのしわ押え面に凸形成された第2ビード部とを備え、絞り成形時に第1ビード部と第2ビード部とが型内外方向で素材を挟んで隣接して配置されているので、しわ押え部のしわ押え面には、第2ビード部を収容する第2ビード収容部が第1ビード部の型外方又は型内方に隣接して凹形成され、ダイスのしわ押え面には、第1ビード部を収容する第1ビード収容部が第2ビード部の型内方又は型外方に隣接して凹形成されている。そのため、しわ押え部のしわ押え面には、第1ビード部と第2ビード収容部とが略S字状断面に形成され、また、ダイスのしわ押え面には、第1ビード収容部と第2ビード部とが略S字状断面に形成されている。したがって、しわ押え部及びダイスでは、いずれも丸ダブルビードを採用した場合のような略V字状に狭くなるビード隔壁部が存在せず、型強度を低下させる要因は生じない。また、絞り成形時に第1ビード部と第2ビード部とが型内外方向で素材を挟んで隣接して配置されているので、丸ダブルビードを採用した場合より、ビード間隔を狭くできる。その結果、素材のスクラップ部分を小さくでき材料歩留りを向上できる。
よって、本発明によれば、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールが丸ダブルビードを採用した場合と同程度であって、ビード部の型強度を高めつつ、丸ダブルビードを採用した場合より材料歩留りを向上できるプレス用金型を提供することができる。
(2)(1)に記載されたプレス用金型において、
前記第1ビード部は、前記しわ押え部のビード内方しわ押え面及びビード外方しわ押え面のいずれに対しても凸状に形成され、かつ、前記第2ビード部は、前記ダイスのビード内方しわ押え面及びビード外方しわ押え面のいずれに対しても凸状に形成されていることを特徴とする。なお、しわ押え部のビード内方しわ押え面とは、しわ押え部のしわ押え面の内、第1ビード部に対して型内方に位置するしわ押え面を意味し、また、しわ押え部のビード外方しわ押え面とは、しわ押え部のしわ押え面の内、第1ビード部に対して型外方に位置するしわ押え面を意味する。また、ダイスのビード内方しわ押え面とは、ダイスのしわ押え面の内、第2ビード部に対して型内方に位置するしわ押え面を意味し、また、ダイスのビード外方しわ押え面とは、ダイスのしわ押え面の内、第2ビード部に対して型外方に位置するしわ押え面を意味する。
本発明においては、第1ビード部は、しわ押え部のビード内方しわ押え面及びビード外方しわ押え面のいずれに対しても凸状に形成され、かつ、第2ビード部は、ダイスのビード内方しわ押え面及びビード外方しわ押え面のいずれに対しても凸状に形成されているので、第1ビード部の頂点と第2ビード部の頂点との落差寸法(型上下方向の寸法)を増加させることができる。そのため、第1ビード部と第2ビード部とが素材を略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形するときの素材の変形抵抗や摩擦抵抗を増大させることができる。その結果、素材の変形抵抗を丸ダブルビードを採用した場合により一層近似させることができ、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合とより一層同程度に作用させることができる。
(3)(1)又は(2)に記載されたプレス用金型において、
前記第1ビード部及び前記第2ビード部は、前記第1ビード部の頂点を形成する第1ビード上端面と前記第2ビード部の頂点を形成する第2ビード下端面とが、それぞれ平面状に形成されていることを特徴とする。
本発明においては、第1ビード部及び第2ビード部は、第1ビード部の頂点を形成する第1ビード上端面と第2ビード部の頂点を形成する第2ビード下端面とが、それぞれ平面状に形成されているので、第1ビード部と第2ビード部とが素材を略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形するときの素材の変形回数を、丸ダブルビードを採用した場合の素材の変形回数と略同程度とすることができる。そのため、素材の変形抵抗を、丸ダブルビードを採用した場合により一層近似させることができ、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合とより一層同程度に作用させることができる。
(4)(3)に記載されたプレス用金型において、
前記第1ビード上端面と前記第2ビード部を収容する第2ビード収容部の底面とを結ぶビード斜面の、前記しわ押え部のしわ押え面に対する傾斜角は、60度以上で90度未満であることを特徴とする。
本発明においては、第1ビード上端面と第2ビード部を収容する第2ビード収容部の底面とを結ぶビード斜面の、しわ押え部のしわ押え面に対する傾斜角は、60度以上で90度未満であるので、第1ビード部と第2ビード部とのビード間隔をより狭くしつつ、絞り成形過程における素材の変形抵抗やビードR部に対する摩擦抵抗をより強く作用することができる。そのため、素材のスクラップ部分をより一層小さくでき、材料歩留りを向上できるとともに、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、より強く作用させることができる。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載されたプレス用金型において、
前記第1ビード部のビード高さ寸法及び前記第2ビード部のビード高さ寸法には、差が形成されていることを特徴とする。
本発明においては、第1ビード部のビード高さ寸法及び第2ビード部のビード高さ寸法には、差が形成されているので、製品のシワやキレツが発生しやすい部位に応じて素材の変形抵抗に差を設けることによって、絞り成形過程における素材の張力や流入コントロールを微妙に調整させることができる。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたプレス用金型において、
前記しわ押え部のビード外方しわ押え面は、前記しわ押え部のビード内方しわ押え面より型上方に形成されていることを特徴とする。
本発明においては、しわ押え部のビード外方しわ押え面は、しわ押え部のビード内方しわ押え面より型上方に形成されているので、第1ビード部のビード高さ寸法と第2ビード部のビード高さ寸法とをそれぞれ所定の高さ寸法に維持しつつ、第1ビード部の頂点と第2ビード部の頂点との落差寸法(型上下方向の寸法)を短縮させることができる。そのため、第1ビード部と第2ビード部との間で生じる素材の局部伸びを緩和させながら、必要な素材の変形抵抗や摩擦抵抗を確保できる。また、第1ビード部と第2ビード部とのビード間隔をより狭くでき、素材のスクラップ部分をより一層小さくできる。その結果、素材の上記局部伸びに伴うキレツを回避して、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、より一層安定的に作用させることができる。また、材料歩留りをより一層向上させることもできる。
本発明によれば、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールが丸ダブルビードを採用した場合と同程度であって、ビード部の型強度を高めつつ、丸ダブルビードを採用した場合より材料歩留りを向上できるプレス用金型を提供することができる。
本発明の実施形態に係るプレス用金型の下型概略平面図である。 図1に示す本プレス用金型(第1実施例)のA−A断面図である。 ビード部による素材の曲げ曲げ戻しに伴う変形回数の説明図である。(a)は、本実施形態の略S字状ビードにおける説明図を示し、(b)は、丸ダブルビードにおける説明図を示す。 ビード部による素材の摩擦抵抗の説明図である。(a)は、本実施形態の略S字状ビードにおける説明図を示し、(b)は、丸ダブルビードにおける説明図を示す。 絞り成形時における素材の板厚減少量と素材の流入量のシミュレーション図である。(a)は、本実施形態に係るプレス用金型(第1実施例)の略S字状ビードによる絞り成形時におけるシミュレーション図を示し、(b)は、図3、図4に示す丸ダブルビードによる絞り成形時におけるシミュレーション図を示す。 図1に示す本プレス用金型(第2実施例)のA−A断面図である。 図1に示す本プレス用金型(第3実施例)のA−A断面図である。 特許文献1に記載された絞りビードの断面図である。(a)は丸シングルビードを示し、(b)は丸ダブルビードを示し、(c)は角ビードを示し、(d)はステップビードを示し、(e)は三角ビードを示す。 図8(b)に示す丸ダブルビードを備えたプレス用金型の部分断面図である。
次に、本発明の実施形態に係るプレス用金型について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係るプレス用金型(第1実施例)のビード部における構造を説明し、その後、絞り成形時におけるビード部による素材の変形抵抗及び摩擦抵抗について、丸ダブルビードの場合と比較して説明する。また、絞り成形時の素材の板厚減少量及び素材の流入量について、そのシミュレーション結果を説明する。さらに、本実施形態に係るプレス用金型のビード部における他の構造(第2実施例、第3実施例)を説明する。
<プレス用金型(第1実施例)の構造>
まず、本実施形態に係るプレス用金型(第1実施例)のビード部における構造を、図1、図2を用いて説明する。図1に、本発明の実施形態に係るプレス用金型の下型概略平面図を示す。図2に、図1に示す本プレス用金型(第1実施例)のA−A断面図を示す。
図1、図2に示すように、本実施形態に係るプレス用金型10は、ポンチ1とダイス2としわ押え部3とを備え、ポンチ1とダイス2との間に配置した素材Sの端部STを、ダイス2の外縁部21としわ押え部3とで狭圧しながら、素材Sを絞り成形するプレス用金型である。図1は、例えば、車両のドアパネルを絞り成形するプレス用金型に適用した例である。しわ押え部3のしわ押え面3Sには、凸形成された第1ビード部31が、ポンチ1の輪郭線(ポンチ・プロファイル)11に沿って略全周に亘って形成されている。なお、ポンチ1は、図示しない下型台を介してプレス機械のボルスタに固定されている。また、ダイス2は、図示しない上型台を介してプレス機械のスライドに固定され、上死点から下死点まで上下動する。また、しわ押え部3は、素材Sの端部STをダイス2の外縁部21との間で狭圧すべく、図示しないクッションピンにより、上下動可能に支持されている。当該クッションピンは、プレス機械側に装着されたダイクッションピンに当接するように配置されている。
また、本プレス用金型10には、素材Sの張力及び流入コントローブが難しい部位(例えば、図1のA−A断面)において、しわ押え部3のしわ押え面3Sに凸形成された第1ビード部31と、当該第1ビード部31の型外方でダイス2のしわ押え面21Sに凸形成された第2ビード部22とを備え、絞り成形時に第1ビード部31と第2ビード部22とが型内外方向で素材Sを挟んで隣接して配置されている。第1ビード部31と第2ビード部22とは、平面視で略平行に配置されている。そして、しわ押え部3のしわ押え面3Sには、第2ビード部22を収容する第2ビード収容部32が第1ビード部31の型外方に隣接して凹形成され、また、ダイス2のしわ押え面21Sには、第1ビード部31を収容する第1ビード収容部23が第2ビード部22の型内方に隣接して凹形成されている。そのため、しわ押え部3のしわ押え面3Sには、第1ビード部31と第2ビード収容部32とが略S字状断面に形成され、また、ダイス2のしわ押え面21Sには、第1ビード収容部23と第2ビード部22とが略S字状断面に形成されている。
また、第1ビード部31は、しわ押え部3のビード内方しわ押え面3Sa及びビード外方しわ押え面3Sbのいずれに対しても凸状に形成され、かつ、第2ビード部22は、ダイス2のビード内方しわ押え面21Sa及びビード外方しわ押え面21Sbのいずれに対しても凸状に形成されている。したがって、第1ビード部31の頂点と第2ビード部22の頂点との落差寸法h1(型上下方向の寸法)を増加させることができる。そのため、第1ビード部31と第2ビード部22とが素材Sを略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形するときの素材Sの変形抵抗や摩擦抵抗を増大させることができる。なお、しわ押え部3のビード内方しわ押え面3Saとは、しわ押え部3のしわ押え面3Sの内、第1ビード部31に対して型内方に位置するしわ押え面を意味し、また、ビード外方しわ押え面3Sbとは、しわ押え部3のしわ押え面3Sの内、第1ビード部31に対して型外方に位置するしわ押え面を意味する。また、ダイス2のビード内方しわ押え面21Saとは、ダイス2のしわ押え面21Sの内、第2ビード部22に対して型内方に位置するしわ押え面を意味し、また、ダイス2のビード外方しわ押え面21Sbとは、ダイス2のしわ押え面21Sの内、第2ビード部22に対して型外方に位置するしわ押え面を意味する。
また、第1ビード部31及び第2ビード部22は、第1ビード部31の頂点を形成する第1ビード上端面313と第2ビード部22の頂点を形成する第2ビード下端面223とが、それぞれ平面状に形成されている。また、第1ビード上端面313には、型内外方向の角部をそれぞれ丸くしたビードR部311、312が形成されている。また、第2ビード下端面223には、型内外方向の角部をそれぞれ丸くしたビードR部221、222が形成されている。また、しわ押え部3のビード外方しわ押え面3Sbには、第2ビード収容部32と交差する角部を丸くしたビードR部322が形成され、ダイス2のビード内方しわ押え面21Saには、第1ビード収容部23と交差する角部を丸くしたビードR部232が形成されている。各ビードR部221、222、232、311、312、322には、各部位の絞り成形過程における素材の張力、流入コントロールを適正化できる大きさのR(丸み)を形成する。
また、第1ビード上端面313のしわ押え面3Sに対するビード高さ寸法h3は、第2ビード下端面223のしわ押え面21Sに対するビード高さ寸法h2より大きく形成されている。また、第1ビード上端面313と第2ビード部22を収容する第2ビード収容部32の底面321とを結ぶビード斜面33の、しわ押え部3のしわ押え面3Sに対する傾斜角θは、45度〜60度程度である。
なお、本プレス用金型10(第1実施例)では、しわ押え部3のしわ押え面3Sは、第1ビード部31と第2ビード部22を収容する第2ビード収容部32とを挟んで、ビード内方しわ押え面3Saとビード外方しわ押え面3Sbとが同一面上に形成されている。また、ダイス2のしわ押え面21Sは、第2ビード部22と第1ビード部31を収容する第1ビード収容部23とを挟んで、ビード内方しわ押え面21Saとビード外方のしわ押え面21Sbとが同一面上に形成されている。また、本プレス用金型10(第1実施例)では、しわ押え部3のしわ押え面3S及びダイス2のしわ押え面21Sは、プレス方向に対して直交する方向に形成されているが、プレス方向に対して傾斜する方向に形成してもよい。
<ビード部による素材の変形抵抗及び摩擦抵抗>
次に、本実施形態に係るプレス用金型10において、絞り成形時におけるビード部による素材の変形抵抗及び摩擦抵抗について、図3、図4を用いて、丸ダブルビードの場合と比較して説明する。図3に、ビード部による素材の曲げ曲げ戻しに伴う変形回数の説明図を示す。(a)は、本実施形態の略S字状ビードにおける説明図を示し、(b)は、丸ダブルビードにおける説明図を示す。図4に、ビード部による素材の摩擦抵抗の説明図を示す。(a)は、本実施形態の略S字状ビードにおける説明図を示し、(b)は、丸ダブルビードにおける説明図を示す。なお、丸ダブルビードにおける第1ビード部と第2ビード部のしわ押え面に対するビード高さ寸法及びビード幅寸法は、本実施形態における第1ビード部、第2ビード部のしわ押え面に対するビード高さ寸法及びビード幅寸法と同程度である。ただし、第1ビード部と第2ビード部のビード間隔は、本実施形態より丸ダブルビードの方が約10mm程度大きい。
図3(a)に示すように、本実施形態に係るプレス用金型10において、素材の端部STをダイスの外縁部21としわ押え部3とが狭圧するとき、素材の端部STは、第2ビード部22と第2ビード収容部32との間で、矢印K1、K2、K3の方向に変形させられ、第1ビード部31と第1ビード収容部23との間でK4、K5の方向に変形させられ、さらに、しわ押え面21S、3Sの間で矢印K6の方向に変形されられる。したがって、本実施形態に係るプレス用金型10において、絞り成形時におけるビード部による素材の変形回数は、合計6回である。
これに対して、図3(b)に示すように、丸ダブルビードを有する比較例のプレス用金型20において、素材の端部STをダイスの外縁部5としわ押え部4とが狭圧するとき、素材の端部STは、第2ビード部42と第2ビード収容部52との間で、矢印K1、K2の方向に変形させられ、第1ビード部41と第1ビード収容部51との間で矢印K4、K5の方向に変形させられ、さらに、しわ押え面4S、5Sの間で矢印K3、K6の方向に変形されられる。したがって、丸ダブルビードを有する比較例のプレス用金型20において、絞り成形時におけるビード部による素材の変形回数は、合計6回である。
よって、本実施形態に係るプレス用金型10において、絞り成形時におけるビード部による素材の変形回数は、丸ダブルビードを有する比較例のプレス用金型20において、絞り成形時におけるビード部による素材の変形回数と同程度であり、両者の絞り成形時におけるビード部による素材の変形抵抗は同程度であると推定できる。そのため、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合と略同程度に作用させることができる。
また、図4(a)に示すように、本実施形態に係るプレス用金型10において、素材の端部STをダイスの外縁部21としわ押え部3とが狭圧するとき、素材の端部STは、第2ビード収容部32のビードR部322に当接して、矢印j1の方向に摩擦移動させられ、第2ビード部22のビードR部222、221に当接して矢印j2、j3の方向に摩擦移動させられ、第1ビード部31のビードR部312、311に当接して、矢印j4、j5の方向に摩擦移動させられ、さらに、しわ押え面21SのビードR部232に当接して、矢印j6の方向に摩擦移動されられる。したがって、本実施形態に係るプレス用金型10において、絞り成形時におけるビード部による素材の摩擦回数は、合計6回である。
これに対して、図4(b)に示すように、丸ダブルビードを有する比較例のプレス用金型20において、素材の端部STをダイスの外縁部5としわ押え部4とが狭圧するとき、素材の端部STは、第2ビード収容部52のビードR部521、522に当接して、矢印j1、j4の方向に摩擦移動させられ、第2ビード部42の上端R面421、422に当接して、矢印j2、j3の方向に摩擦移動させられ、第1ビード収容部51のビードR部511、512に当接して、矢印j5、j8の方向に摩擦移動させられ、さらに、第1ビード部41の上端R面411、412に当接して、矢印j6、j7の方向に摩擦移動させられる。したがって、丸ダブルビードを有する比較例のプレス用金型20において、絞り成形時におけるビード部による素材の摩擦回数は、合計8回である。
よって、本実施形態に係るプレス用金型10において、絞り成形時におけるビード部による素材の摩擦回数は、丸ダブルビードを有する比較例のプレス用金型20において、絞り成形時におけるビード部による素材の摩擦回数より少なくなる。ところが、本実施形態に係るプレス用金型10においては、第1ビード部31と第2ビード部22とのビード間隔L2を短縮させて、ビード斜面33の傾斜角θを増加させることによって、素材の変形抵抗及びビードR部やビード斜面33の摩擦抵抗を増加させることができる(図4(a)参照)。その結果、本実施形態に係るプレス用金型10は、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合と略同程度に作用させることができる。
<板厚減少量、素材流入量のシミュレーション結果>
次に、絞り成形時の素材の板厚減少量及び素材の流入量について、そのシミュレーション結果を、図5を用いて説明する。図5に、絞り成形時における素材の板厚減少量と素材の流入量のシミュレーション図を示す。(a)は、本実施形態の略S字状ビードによる絞り成形時におけるシミュレーション図を示し、(b)は、図3(b)、図4(b)に示す丸ダブルビードによる絞り成形時におけるシミュレーション図を示す。なお、上記シミュレーションに用いた素材は、幅100mm、板厚0.7mmの軟鋼板である。また、第1ビード部のビード高さ寸法(h3)を5mmとし、第2ビード部のビード高さ寸法(h2)を4mmとし、第1ビード部及び第2ビード部のビード幅寸法(しわ押え面と交差する位置)を15mmとした。
図5(a)に示すように、本実施形態のプレス用金型(第1実施例)の略S字状ビードによる絞り成形時おける素材の板厚は、第1ビード部の型内方に位置するしわ押え面からポンチ縦壁下部において最も減少し、その板厚減少量Q1は、0.143mmであった。また、素材の流入量P1は、76.92mmであった。これに対して、図5(b)に示すように、丸ダブルビードによる絞り成形時における素材の板厚は、第1ビード部の型内方に位置するしわ押え面からポンチ縦壁下部において最も減少し、その板厚減少量Q2は、0.143mmであった。また、素材の流入量P2は、76.55mmであった。両者の間で、板厚減少量Q1、Q2には差がなく、また、素材の流入量P1、P2には、0.37mmの差しかなく略同程度であった。なお、絞り成形時における素材の板厚減少量Q1、Q2が、第1ビード部の型内方に位置するしわ押え面からポンチ縦壁下部において最も減少する理由は、素材に対するポンチによる上下方向の張力Z1、Z2とビードによる水平方向の張力Y1、Y2とが対抗し、上記部位で均衡するからである。
上記シミュレーション結果によれば、本実施形態の略S字状ビードによる絞り成形時の素材の板厚減少量及び素材の流入量は、丸ダブルビードによる絞り成形時の素材の板厚減少量及び素材の流入量と略同程度であるので、本実施形態に係るプレス用金型10は、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合と略同程度に作用させることができるといえる。
<プレス用金型のビード部における他の構造>
次に、本プレス用金型のビード部における他の構造(第2実施例、第3実施例)について、図6、図7を用いて説明する。図6に、図1に示す本プレス用金型(第2実施例)のA−A断面図を示す。図7に、図1に示す本プレス用金型(第3実施例)のA−A断面図を示す。
(第2実施例)
図6に示すように、本プレス用金型10B(第2実施例)では、しわ押え部3Bのしわ押え面3BSに凸形成された第1ビード部31Bと、当該第1ビード部31Bの型外方でダイス2Bのしわ押え面21BSに凸形成された第2ビード部22Bとを備え、絞り成形時に第1ビード部31Bと第2ビード部22Bとが型内外方向で素材Sを挟んで隣接して配置されている。第1ビード部31Bと第2ビード部22Bとは、平面視で略平行に配置されている。そして、しわ押え部3Bのしわ押え面3BSには、第2ビード部22Bを収容する第2ビード収容部32Bが第1ビード部31Bの型外方に隣接して凹形成され、また、ダイス2Bのしわ押え面21BSには、第1ビード部31Bを収容する第1ビード収容部23Bが第2ビード部22Bの型内方に隣接して凹形成されている。そのため、しわ押え部3Bのしわ押え面3BSには、第1ビード部31Bと第2ビード収容部32Bとが略S字状断面に形成され、また、ダイス2Bのしわ押え面21BSには、第1ビード収容部23Bと第2ビード部22Bとが略S字状断面に形成されている。
また、第1ビード部31B及び第2ビード部22Bは、第1ビード部31Bの頂点を形成する第1ビード上端面313Bと第2ビード部22Bの頂点を形成する第2ビード下端面223Bとが、それぞれ平面状に形成されている。また、第1ビード上端面313Bのしわ押え面3BSに対するビード高さ寸法h3は、第2ビード下端面223Bのしわ押え面21BSに対するビード高さ寸法h2より大きく形成されている。さらに、しわ押え部3Bのしわ押え面3BSは、第1ビード部31Bと第2ビード部22Bを収容する第2ビード収容部32Bとを挟んで、ビード内方しわ押え面3BSaとビード外方しわ押え面3BSbとが同一面で形成されている。以上のビード部の構造は、前述した本プレス用金型10(第1実施例)の場合と同様である。
しかし、本プレス用金型10B(第2実施例)では、第1ビード上端面313Bと第2ビード部22Bを収容する第2ビード収容部32Bの底面321Bとを結ぶビード斜面33Bの、しわ押え部3Bのしわ押え面3BSに対する傾斜角θ2は、60度以上で90度未満である。これによって、第1ビード部31Bと第2ビード部22Bとのビード間隔L4を、第1実施例のビード間隔L2(図2を参照)より狭くしつつ、絞り成形過程における素材Sの変形抵抗やビードR部やビード斜面33Bに対する摩擦抵抗をより強く作用することができる。そのため、トリムラインT1から素材端T2までの距離L3が、第1実施例の当該距離L1(図2を参照)より短くなって、素材Sのスクラップ部分SKBをより一層小さくでき、材料歩留りを向上できる。
(第3実施例)
図7に示すように、本プレス用金型10C(第3実施例)では、しわ押え部3Cのビード内方しわ押え面3CSaに凸形成された第1ビード部31Cと、当該第1ビード部31Cの型外方でダイス2Cのビード外方しわ押え面21CSbに凸形成された第2ビード部22Cとを備え、絞り成形時に第1ビード部31Cと第2ビード部22Cとが型内外方向で素材Sを挟んで隣接して配置されている。第1ビード部31Cと第2ビード部22Cとは、平面視で略平行に配置されている。そして、しわ押え部3Cのビード外方しわ押え面3CSbには、第2ビード部22Cを収容する第2ビード収容部32Cが第1ビード部31Cの型外方に隣接して凹形成され、また、ダイス2Cのビード内方しわ押え面21CSaには、第1ビード部31Cを収容する第1ビード収容部23Cが第2ビード部22Cの型内方に隣接して凹形成されている。そのため、しわ押え部3Cのしわ押え面3CSには、第1ビード部31Cと第2ビード収容部32Cとが略S字状断面に形成され、また、ダイス2Cのしわ押え面21CSには、第1ビード収容部23Cと第2ビード部22Cとが略S字状断面に形成されている。
また、第1ビード部31C及び第2ビード部22Cは、第1ビード部31Cの頂点を形成する第1ビード上端面313Cと第2ビード部22Cの頂点を形成する第2ビード下端面223Cとが、それぞれ平面状に形成されている。また、第1ビード上端面313Cのビード内方しわ押え面3CSaに対するビード高さ寸法h3は、第2ビード下端面223Cのビード外方しわ押え面21CSbに対するビード高さ寸法h2より大きく形成されている。さらに、第1ビード上端面313Cと第2ビード収容部32Cの底面321Cとを結ぶビード斜面33Cのビード内方しわ押え面3CSaに対する傾斜角θ3は、45度〜60度程度である。以上のビード部の構造は、前述した本プレス用金型10(第1実施例)の場合と同様である。
しかし、本プレス用金型10C(第3実施例)では、しわ押え部3Cのビード外方しわ押え面3CSは、第1ビード部31Cと第2ビード収容部32Cとを挟んで、ビード外方しわ押え面3CSbがビード内方しわ押え面3CSaより型上方に形成されている。ビード外方しわ押え面3CSbとビード内方しわ押え面3CSaとは、略平行に形成され、両者の間には、第1ビード部31C及び第2ビード収容部32Cを除いて傾斜しわ押え面3CScが形成され、両者の段差は、第2ビード下端面223Cのビード外方しわ押え面21CSbに対するビード高さ寸法h2と同程度である。これによって、第1ビード部31Cと第2ビード部22Cとのビード間隔L6を、第1実施例のビード間隔L2(図2を参照)より狭くしつつ、絞り成形過程における素材Sの変形抵抗やビードR部に対する摩擦抵抗を同レベルで維持することができる。そのため、トリムラインT1から素材端T2までの距離L5が、第1実施例の当該距離L1(図2を参照)より短くなって、素材Sのスクラップ部分SKBをより一層小さくでき、材料歩留りを向上できる。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態のプレス用金型10、10B、10Cによれば、しわ押え部3、3B、3Cのしわ押え面3S、3BS、3CSに凸形成された第1ビード部31、31B、31Cと、当該第1ビード部の型外方でダイス2、2B、2Cのしわ押え面21S、21BS、21CSに凸形成された第2ビード部22、22B、22Cとを備え、絞り成形時に第1ビード部31、31B、31Cと第2ビード部22、22B、22Cとが型内外方向で素材Sを挟んで隣接して配置されているので、絞り成形時に第1ビード部31、31B、31Cと第2ビード部22、22B、22Cとが素材を略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形することによって、絞り成形過程における素材の張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合と同程度に作用させることができる。
また、しわ押え部3、3B、3Cのしわ押え面3S、3BS、3CSに凸形成された第1ビード部31、31B、31Cと、当該第1ビード部の型外方でダイス2、2B、2Cのしわ押え面21S、21BS、21CSに凸形成された第2ビード部22、22B、22Cとを備え、絞り成形時に第1ビード部31、31B、31Cと第2ビード部22、22B、22Cとが型内外方向で素材Sを挟んで隣接して配置されているので、しわ押え部3、3B、3Cのしわ押え面3S、3BS、3CSには、第2ビード部22、22B、22Cを収容する第2ビード収容部32、32B、32Cが第1ビード部31、31B、31Cの型外方に隣接して凹形成され、ダイス2、2B、2Cのしわ押え面21S、21BS、21CSには、第1ビード部31、31B、31Cを収容する第1ビード収容部23、23B、23Cが第2ビード部22、22B、22Cの型内方に隣接して凹形成されている。そのため、しわ押え部3、3B、3Cのしわ押え面3S、3BS、3CSには、第1ビード部31、31B、31Cと第2ビード収容部32、32B、32Cとが略S字状断面に形成され、また、ダイス2、2B、2Cのしわ押え面21S、21BS、21CSには、第1ビード収容部23、23B、23Cと第2ビード部22、22B、22Cとが略S字状断面に形成されている。したがって、しわ押え部3、3B、3C及びダイス2、2B、2Cでは、いずれも丸ダブルビードを採用した場合のような略V字状に狭くなるビード隔壁部が存在せず、型強度を低下させる要因は生じない。また、絞り成形時に第1ビード部31、31B、31Cと第2ビード部22、22B、22Cとが型内外方向で素材Sを挟んで隣接して配置されているので、丸ダブルビードを採用した場合より、ビード間隔L2、L4、L6を狭くできる。その結果、素材のスクラップ部分SK、SKB、SKCを小さくでき材料歩留りを向上できる。
よって、本実施形態によれば、絞り成形過程における素材Sの張力及び流入コントロールが丸ダブルビードを採用した場合と同程度であって、ビード部の型強度を高めつつ、丸ダブルビードを採用した場合より材料歩留りを向上できるプレス用金型を提供することができる。
また、本実施形態によれば、第1ビード部31、31Bは、しわ押え部3、3Bのビード内方しわ押え面3Sa、3BSa及びビード外方しわ押え面3Sb、3BSbのいずれに対しても凸状に形成され、かつ、第2ビード部22、22Bは、ダイス2、2Bのビード内方しわ押え面21Sa、21BSa及びビード外方しわ押え面21Sb、21BSbのいずれに対しても凸状に形成されているので、第1ビード部31、31Bの頂点と第2ビード部22、22Bの頂点との落差寸法h1(型上下方向の寸法)を増加させることができる。そのため、第1ビード部31、31Bと第2ビード部22、22Bとが素材Sを略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形するときの素材Sの変形抵抗や摩擦抵抗を増大させることができる。その結果、丸ダブルビードを採用した場合により一層近似させることができ、絞り成形過程における素材Sの張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合とより一層同程度に作用させることができる。
また、本実施形態によれば、第1ビード部31、31B、31C及び第2ビード部22、22B、22Cは、第1ビード部の頂点を形成する第1ビード上端面313、313B、313Cと第2ビード部の頂点を形成する第2ビード下端面223、223B、223Cとが、それぞれ平面状に形成されているので、第1ビード部31、31B、31Cと第2ビード部22、22B、22Cとが素材Sを略S字状断面に曲げ・曲げ戻し成形するときの素材Sの変形回数を、丸ダブルビードを採用した場合の素材の変形回数と略同程度とすることができる。そのため、素材Sの変形抵抗を丸ダブルビードを採用した場合により一層近似させることができ、絞り成形過程における素材Sの張力及び流入コントロールを、丸ダブルビードを採用した場合とより一層同程度に作用させることができる。
また、本実施形態によれば、第1ビード部31、31B、31Cのビード高さ寸法h3及び第2ビード部22、22B、22Cのビード高さ寸法h2には、差が形成されているので、製品のシワやキレツが発生しやすい部位に応じて素材Sの変形抵抗に差を設けることによって、絞り成形過程における素材Sの張力や流入コントロールを微妙に調整させることができる。特に、第1ビード上端面313、313B、313Cのビード内方しわ押え面3Sa、3BSa、3CSaに対するビード高さ寸法h3は、第2ビード下端面223、223B、223Cのビード外方しわ押え面21Sb、21BSb、21CSbに対するビード高さ寸法h2より大きく形成されているので、型外方に配置された第2ビード部22、22B、22Cに比べて、型内方に配置された第1ビード部31、31B、31Cの方が、絞り成形過程における素材Sの張力をより強く作用することができる。そのため、絞り成形過程における素材Sの張力を、製品のシワやキレツが発生しやすい型内方部位に対して、より近い位置で直接的に作用させることができる。
また、本実施形態によれば、第1ビード上端面313Bと第2ビード部22Bを収容する第2ビード収容部32Bの底面321Bとを結ぶビード斜面33Bの、しわ押え部3Bのしわ押え面3BSに対する傾斜角θ2は、60度以上で90度未満であるので、第1ビード部31Bと第2ビード部22Bとのビード間隔L4をより狭くしつつ、絞り成形過程における素材Sの変形抵抗及びビードR部やビード斜面33Bに対する摩擦抵抗をより強く作用することができる。そのため、素材Sのスクラップ部分SKBをより一層小さくでき、材料歩留りを向上できるとともに、絞り成形過程における素材Sの張力及び流入コントロールを、より強く作用させることができる。
また、本実施形態によれば、しわ押え部3Cのビード外方しわ押え面3CSbは、しわ押え部3Cのビード内方しわ押え面3CSaより型上方に形成されているので、しわ押え部3Cのビード内方しわ押え面3CSaに対する第1ビード部31Cのビード高さ寸法h3と、ダイス2Cのビード外方しわ押え面21CSbに対する第2ビード部22Cのビード高さ寸法h2とをそれぞれ所定の高さ寸法に維持しつつ、第1ビード部31Cの頂点と第2ビード部22Cの頂点との落差寸法h4(型上下方向の寸法)を短縮させることができる。そのため、第1ビード部31Cと第2ビード部22Cとの間で生じる素材Sの局部伸びを緩和させながら、必要な素材Sの変形抵抗や摩擦抵抗を確保できる。また、第1ビード部31Cと第2ビード部22Cとのビード間隔L6をより狭くでき、素材Sのスクラップ部分SKCをより一層小さくできる。その結果、素材Sの上記局部伸びに伴うキレツを回避して、絞り成形過程における素材Sの張力及び流入コントロールを、より一層安定的に作用させることができる。また、材料歩留りをより一層向上させることもできる。
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。例えば、本実施形態では、ポンチ1は、図示しない下型台を介してプレス機械のボルスタに固定され、ダイス2は、図示しない上型台を介してプレス機械のスライドに固定され、上死点から下死点まで上下動する構成としたが、必ずしも上記構成に限る必要はない。例えば、プレス機械を複動プレスとすれば、ダイスをボルスタに固定し、ポンチを上死点から下死点まで上下動する構成としてもよい。
また、例えば、本実施形態によれば、しわ押え部3、3B、3Cのしわ押え面に凸形成された第1ビード部31、31B、31Cと、当該第1ビード部の型外方でダイス2、2B、2Cのしわ押え面に凸形成された第2ビード部22、22B、22Cとを備えているが、必ずしも上記構成に限る必要はない。例えば、しわ押え部3、3B、3Cのしわ押え面に凸形成された第1ビード部31、31B、31Cと、当該第1ビード部の型内方でダイス2、2B、2Cのしわ押え面に凸形成された第2ビード部22、22B、22Cとを備えてもよい。
また、例えば、本実施形態によれば、第1ビード部31、31B、31Cのビード高さ寸法h3は、第2ビード部22、22B、22Cのビード高さ寸法h2より大きく形成されているが、必ずしも上記構成に限る必要はない。例えば、ビード高さ寸法h3は、ビード高さ寸法h2と同程度又はビード高さ寸法h2より小さく形成してもよい。
本発明は、ポンチとダイスとの間に配置した素材の端部をダイスの外縁部としわ押え部とで狭圧しながら、素材を絞り成形するプレス用金型として、特に、しわ押え部に設けた絞りビードの断面形状を改善したプレス用金型として利用できる。
1 ポンチ
2、2B、2C ダイス
3、3B、3C しわ押え部
3S、3BS、3CS しわ押え部のしわ押え面
3Sa、3BSa、3CSa しわ押え部のビード内方しわ押え面
3Sb、3BSb、3CSb しわ押え部のビード外方しわ押え面
10、10B、10C プレス用金型
21S、21BS、21CS ダイスのしわ押え面
21Sa、21BSa、21CSa ダイスのビード内方しわ押え面
21Sb、21BSb、21CSb ダイスのビード外方しわ押え面
22、22B、22C 第2ビード部
31、31B、31C 第1ビード部
32、32B、32C 第2ビード収容部
33、33B、33C ビード斜面
313、313B、313C 第1ビード上端面
321、321B、321C 底面
223、223B、223C 第2ビード下端面
h2、h3 ビード高さ寸法
S 素材
ST 端部
θ、θ2、θ3 傾斜角

Claims (6)

  1. ポンチとダイスとしわ押え部とを備え、前記ポンチと前記ダイスとの間に配置した素材の端部を前記ダイスの外縁部と前記しわ押え部とで狭圧しながら、前記素材を絞り成形するプレス用金型であって、
    前記しわ押え部のしわ押え面に凸形成された第1ビード部と、当該第1ビード部の型外方又は型内方で前記ダイスのしわ押え面に凸形成された第2ビード部とを備え、絞り成形時に前記第1ビード部と前記第2ビード部とが型内外方向で前記素材を挟んで隣接して配置されていることを特徴とするプレス用金型。
  2. 請求項1に記載されたプレス用金型において、
    第1ビード部は、前記しわ押え部のビード内方しわ押え面及びビード外方しわ押え面のいずれに対しても凸状に形成され、かつ、前記第2ビード部は、前記ダイスのビード内方しわ押え面及びビード外方しわ押え面のいずれに対しても凸状に形成されていることを特徴とする。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたプレス用金型において、
    前記第1ビード部及び前記第2ビード部は、前記第1ビード部の頂点を形成する第1ビード上端面と前記第2ビード部の頂点を形成する第2ビード下端面とが、それぞれ平面状に形成されていることを特徴とするプレス用金型。
  4. 請求項3に記載されたプレス用金型において、
    前記第1ビード上端面と前記第2ビード部を収容する第2ビード収容部の底面とを結ぶビード斜面の、前記しわ押え部のしわ押え面に対する傾斜角は、60度以上で90度未満であることを特徴とするプレス用金型。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたプレス用金型において、
    前記第1ビード部のビード高さ寸法及び前記第2ビード部のビード高さ寸法には、差が形成されていることを特徴とするプレス用金型。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載されたプレス用金型において、
    前記しわ押え部のビード外方しわ押え面は、前記しわ押え部のビード内方しわ押え面より型上方に形成されていることを特徴とするプレス用金型。
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