JP6759645B2 - プレス成形品を製造する方法及びプレス装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス成形品を製造する方法及びプレス装置に関する。
自動車の車体は、多数の成形パネルの縁部同士を重ね合わせて、スポット溶接により接合して箱体とし、この箱体の要所に構造部材をスポット溶接により接合することにより、組み立てられる。例えば、自動車の車体の側部(ボディサイド)には、構造部材として、フロアパネルの両側部に接合されるサイドシル、サイドシルの前部に上方へ向けて立設されるAピラーロアー及びAピラーアッパー、Aピラーアッパーの上端部に接合されるルーフレール、更には、サイドシル及びルーフレールを接合するBピラー等が用いられる。
Aピラーロアー、Aピラーアッパー、ルーフレール等の構造部材の構成要素(例えば、それぞれのアウターパネル)は、一般的に、長手方向へ延びて存在する天板と、この天板の両側にそれぞれつながる2つの凸稜線部と、これら2つの凸稜線部にそれぞれつながる2つの縦壁と、これら2つの縦壁にそれぞれつながる2つの凹稜線部と、これら2つの凹稜線部にそれぞれつながる2つのフランジとからなる略ハット型の縦断面形状を有することが多い。
上述の構成要素は、比較的複雑な縦断面形状を有するとともに長尺である。そこで、製造コストの上昇を抑制するために、上述の構成要素は、一般的に、冷間でのプレス成形により製造されている。また、燃費向上のための車体の軽量化及び強度向上を両立するために、上述の構造部材として、例えば、引張強度が440MPa以上の高張力鋼板を用いる薄肉化も推進されている。
しかし、高張力鋼板を冷間でのプレス成形により、例えば、ルーフレールアウターパネル(以下、ルーフ部材という。ルーフ部材とは、自動車の構造部材である。)のような、長手方向に湾曲している構成要素を製造しようとすると、プレス型から離型の際にスプリングバックが発生して、天板にねじれが生じるおそれがある。その結果、ルーフ部材を所望の形状に成形できないという形状凍結性の問題が生じる。
例えば、特許文献1には、長手方向へ均一なハット型の縦断面を有するプレス成形品を製造する際に、段差を付与することにより口開きの発生を抑制して形状凍結性を高める発明が開示されている。
また、特許文献2には、天板、縦壁及びフランジを有し、長手方向に湾曲するプレス成形品を製造する際に、1工程目で形成したフランジを2工程目で曲げ戻してフランジの残留応力を低減することで形状凍結性を高める発明が開示されている。
特開2004−314123号公報 特許第5382281号明細書
特許文献1により開示された発明により、例えば、Aピラーロアー、Aピラーアッパー及びルーフレールの構成部材の構成要素のように、その長手方向に湾曲した形状のプレス成形品を製造すると、離型後のスプリングバックにより湾曲壁に曲がりが生じ、所望の形状に成形できない。
特許文献2により開示された発明により、長手方向及び高さ方向へ湾曲するとともに長手方向中心付近に屈曲部を有するプレス成形品を製造すると、フランジの残留応力、縦壁及び天板の面内の残留応力並びに縦壁及び天板の面内の偏差残留応力が発生する。その結果、プレス成形品には離型後のスプリングバックにより天板側から見た曲がり(縦壁の板厚方向への曲がり)が生じ、所望の形状に成形できない。
特許文献1及び特許文献2において生じる離型後のスプリングパックの原因の一つにダイ穴に向かって流入するブランクに生じる流入抵抗(変形抵抗)により発生した引張応力が挙げられる。
本発明は、湾曲壁の板厚方向への曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造する方法の提供を目的とする。ここで、特定プレス成形品とは、板厚方向に対して凸状に湾曲している湾曲壁と、一端が前記湾曲壁の湾曲している端に繋がり、前記板厚方向において前記湾曲壁が凸状に湾曲している側と反対側に配置されているフランジとを含んで構成されるプレス成形品をいう(以下、本明細書において同様とする)。なお、特定プレス成形品は、別の観点では、湾曲壁とフランジとの間の稜線が湾曲壁(フランジの外側)に向かって凸に湾曲したプレス成形品である。
本発明に係るプレス成形品を製造する方法は、ダイ、パンチ及びホルダを用いて、板厚方向に対して凸状に湾曲している湾曲壁と、一端が前記湾曲壁の湾曲している端に繋がり、前記板厚方向において前記湾曲壁が凸状に湾曲している側と反対側に配置されているフランジとを含んで構成されるプレス成形品を製造する方法であって、ブランクにおける前記フランジが形成される部分を60°以下の傾斜角で撓ませる第1工程と、前記第1工程の後、前記ダイと前記ホルダとで前記部分を挟んだ状態で、前記ダイと前記パンチとで前記ブランクをプレスして、前記ブランクに前記湾曲壁及び前記フランジを形成する第2工程と、を含み、前記ダイは、ダイ穴と、該ダイ穴に向かって凸に湾曲する稜線を形成するダイ肩と、前記ダイ肩を挟んで前記ダイ穴と反対側にある前記ダイ肩に隣接する第1面と前記稜線の法線上にある前記第1面に対して境界の傾斜角が60°以下の凹状の第2面を備える板押さえ面とを備え、前記ホルダは、前記ダイの前記板押さえ面に対応した形状の板押さえ面を備え、前記第1面と前記第2面との境界は、前記ダイ穴に向かって突出するように湾曲しており、前記稜線の法線方向での前記第1面と前記第2面との境界の曲率半径は、前記ブランクの板厚の5倍以上であり、前記稜線の最も小さい曲率半径の箇所の法線上での前記第1面と前記第2面との傾斜角は30°以上であり、前記第2面は、前記ダイの前記板押さえ面の短手方向の端から前記ダイ穴に近づくにつれて凹み量が次第に小さくなる曲面である。
本発明に係るプレス装置は、ダイ穴と、該ダイ穴に向かって凸に湾曲する稜線を形成するダイ肩と、前記ダイ肩を挟んで前記ダイ穴と反対側にある前記ダイ肩に隣接する第1面と前記稜線の法線上にある前記第1面に対して境界の傾斜角が60°以下の凹状の第2面を備える板押さえ面とを備えるダイと、前記ダイの前記板押さえ面に対応した形状の板押さえ面を備えるホルダと、を備え、前記第1面と前記第2面との境界は、前記ダイ穴に向かって突出するように湾曲しており、前記稜線の法線方向での前記第1面と前記第2面との境界の曲率半径は、前記ブランクの板厚の5倍以上であり、前記稜線の最も小さい曲率半径の箇所の法線上での前記第1面と前記第2面との傾斜角は30°以上であり、前記第2面は、前記ダイの前記板押さえ面の短手方向の端から前記ダイ穴に近づくにつれて凹み量が次第に小さくなる曲面である。対応した形状とは凸と凹が反転した形状を意味する。ホルダはダイに向けて相対移動し、それぞれの板押さえ面でブランクを挟んで撓ませることができる。第1面は湾曲していてもよく、その場合第1面に対して凸状又は凹状の第2面とは第1面より更に凹凸が大きいことを意味する。別の観点では稜線に平行な断面上で、第1面のみの断面上の面の表面長さより第2面を含む断面上の面の表面長さの方が長いことを意味する。
本発明に係るプレス成形品を製造する方法を用いれば、湾曲壁の板厚方向への曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造することができる。
本発明に係るプレス装置を用いれば、湾曲壁の板厚方向への曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造することができる。
第1実施形態のルーフ部材(プレス成形品)の上面図及びルーフ部材の一端部の正面図である。 第1実施形態のルーフ部材の一部を縦断面図で表した斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置の金型の図であって、上型の一部を断面にした斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置がブランクをプレス成形してルーフ部材を製造している状態を示す縦断面図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置の金型がブランクを挟んでいる状態を示す図であって、図3の矢印5の方向から見た図に相当する側面図である。 比較形態のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置がブランクをプレス成形してルーフ部材を製造している状態を示す縦断面図である。 ルーフ部材の曲がりの評価方法を説明するための図であって、図1のルーフ部材の一端部の正面図に相当する図である。 比較形態のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置がブランクをプレス成形してルーフ部材を製造する際に、凸状に湾曲しているダイ肩から溝(ダイ穴)に流入するブランクに働く力を示すために図5のブランクを上方向から見た平面図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置の金型がブランクを挟んでいる状態において、ブランクにおける金型に挟まれて撓んだ部分に働く力を説明するための図5に相当する側面図である。 第2実施形態のルーフ部材を示す上面図である。 第1実施形態の実施例(実施例1〜5)のルーフ部材の曲がりと、比較例(比較例1〜4)のルーフ部材の曲がりとについてのシミュレーションによる評価結果を示す表である。 第2実施形態の実施例(実施例6)のルーフ部材の曲がりと、比較例(比較例5)のルーフ部材の曲がりとについてのシミュレーションによる評価結果を示す表である。 変形例のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置の金型の斜視図である。 変形例のルーフ部材の製造方法において用いられるプレス装置がブランクをプレス成形してルーフ部材を製造している状態を示す縦断面図である。
≪概要≫
以下、本発明を実施するための形態(第1実施形態及び第2実施形態)について説明する。次いで、実施例について説明する。
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について説明する。まず、本実施形態のルーフ部材1(図1及び図2参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のプレス装置18(図3及び図4参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のルーフ部材1の製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。なお、本実施形態のルーフ部材1は、後述する実施例における実施例1に相当する(図8の表参照)。
<ルーフ部材の構成>
まず、本実施形態のルーフ部材1の構成について、図面を参照しつつ説明する。ここで、ルーフ部材1は、プレス成形品及び特定プレス成形品の一例である。
図1及び図2に示されるように、ルーフ部材1は、天板2と、2つの縦壁4a、4bと、2つのフランジ6a、6bと、を一体的に含んで構成されている、縦断面形状が略ハット型の長尺部材とされている。ルーフ部材1は、一例として引張強度が1310MPa級の高張力鋼板を素材とする冷間プレス成形品とされている。
天板2は、図1及び図2に示されるように、長尺とされている。また、天板2は、(天板2の)上側から見ると、図1に示されるように、長手方向(図中矢印L1)に沿って湾曲している。
2つの縦壁4a、4bは、それぞれ天板2の短手方向の両端から延びた状態で互いに対向している。また、2つの縦壁4a、4bは、図1に示されるように、天板2の上側から見て、天板2の長手方向に沿って湾曲している。すなわち、本実施形態の2つの縦壁4a、4bは、それぞれ天板2の短手方向の両端から延びた状態で互いに対向し、天板2の上側から見て湾曲している。縦壁4aは縦壁4b側(縦壁4b側に対向する側)に向かって凸状に湾曲し、縦壁4bは縦壁4a側(縦壁4a側に対向する側)と反対側に向かって凹状に湾曲している。別の見方をすると、縦壁4aは、その板厚方向(図中矢印A方向)の一方に対して凸状に湾曲している湾曲壁であるといえる。ここで、縦壁4aは、湾曲壁の一例である。
フランジ6aは、図1及び図2に示されるように、縦壁4aにおける天板2に繋がっている側と反対側の端にその一端が繋がっている。フランジ6aは、縦壁4aにおける天板2に繋がっている側と反対側の端における長手方向の全域に繋がっている。また、フランジ6aは、縦壁4aの板厚方向において天板2とは反対側に延びている。そして、フランジ6aの縦壁4aに繋がっている側の端は天板2の上側から見て天板2側(縦壁4a側)に凸状に湾曲し、フランジ6aの縦壁4aに繋がっている側と反対側の端は天板2の上側から見て天板2の反対側(縦壁4a側)に凹状に湾曲している。なお、フランジ6aの長手方向の各部に対して形成する縦壁4aに対する各角度のうち小さい方の角度は、鈍角とされている。
フランジ6bは、図1及び図2に示されるように、縦壁4bにおける天板2に繋がっている側と反対側の端にその一端が繋がっている。また、フランジ6bは、縦壁4bの板厚方向において天板2とは反対側に延びている。そして、フランジ6bの縦壁4bに繋がっている側と反対側の端は、天板2の上側から見て天板2の反対側に凸状に湾曲している。なお、フランジ6aは、縦壁4bにおける天板2に繋がっている側と反対側の端における長手方向の全域に繋がっている。なお、フランジ6bの長手方向の各部に対して形成する縦壁4bに対する各角度のうち小さい方の角度は、鈍角とされている。
また、ルーフ部材1は、図1及び図2に示されるように、一方の端部1aを含む第1の部分8と、他方の端部1bを含む第3の部分10と、第1の部分8と第3の部分10とを繋ぐ第2の部分9と、を含んで一体的に構成されているといえる。
ここで、本実施形態では、上面視で(天板2の上側から見て)、第1の部分8の曲率半径が一例として2000(mm)より大きく9000(mm)以下とされ、第2の部分9の曲率半径が一例として500(mm)以上2000(mm)以下とされ、第3の部分10の曲率半径が一例として2000(mm)より大きく9000(mm)以下とされている。また、第1の部分8の縦壁4aの曲率半径は一例として2000(mm)より大きく9000(mm)以下とされ、第2の部分9の縦壁4aの曲率半径は一例として500(mm)以上2000(mm)以下とされ、第3の部分10の縦壁4aの曲率半径は一例として2000(mm)より大きく9000(mm)以下とされている。すなわち、第2の部分9の縦壁4aの曲率半径は、その長手方向の両側の部分8、10の縦壁4aの曲率半径よりも小さい。
なお、本実施形態のルーフ部材1は、図1及び図2に示されるように、長手方向における両端が、開口した状態とされている。
以上が、本実施形態のルーフ部材1の構成についての説明である。
<プレス装置の構成>
次に、本実施形態のプレス装置18について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のプレス装置18は、ブランク30(図4参照)を絞り加工によりプレス成形して、本実施形態のルーフ部材1を製造するためのものである。プレス装置18は、図3及び図4に示されるように、金型20と、移動装置25と、を含んで構成されている。ここで、ブランク30とは、ルーフ部材1を製造するための基材である長尺の高張力鋼板(本実施形態の場合、引張強度が一例として1310MPa級の高張力鋼板)である。なお、本明細書において「プレス成形する」とは、成形対象品(本実施形態の場合、一例としてブランク30のことをいう。)を金型20にセットしてから型閉じして型開きをするまでの行為のことをいう。すなわち、「プレス成形する」とは、成形対象品をプレス(加圧)して成形することを意味する。
金型20は、図3及び図4に示されるように、上型21と、下型22と、第1ホルダ23と、第2ホルダ24とを有している。上型21は上側、下型22は下側に配置されている。ここで、上型21はダイの一例、下型22はパンチの一例である。
上型21と下型22とは、図3に示されるように、それぞれ長尺とされている。上型21と下型22との対向方向(以下、本明細書では上下方向という場合がある。)から見ると、下型22は長手方向に沿って湾曲して突出し、上型21には下型22に沿って湾曲する長尺な溝21a(ダイ穴)が形成されている。すなわち、上型21には、長手方向に沿って湾曲する溝21aが形成されている。ここで、溝21aは、ダイ穴の一例である。なお、下型22は、移動装置25により上型21に向けて相対移動されると、溝21aに嵌るようになっている。すなわち、下型22の形状は、溝21aに嵌る形状とされている。
溝21aの短手方向両側は、型閉じ面21bとされている。本実施形態の型閉じ面21bは、図3及び図4に示されるように、上下方向に垂直な平面とされている。すなわち、溝21aは、その短手方向の両側に型閉じ面21bに隣接している。ここで、型閉じ面21bは、第1面の一例である。溝21aは、図3に示されるように、長尺な底面21a1と、底面21a1の短手方向の一端に繋がる湾曲面21a2と、他端に繋がる湾曲面21a3とを含む面により形成されている。そして、湾曲面21a3における縁21a31(ダイ肩)は、溝21aに向かって凸状に湾曲する稜線とされている。本明細書では、湾曲面21a3における縁を含む部分をダイ肩という。また、図4に示されるように、上型21を上下方向から見ると、湾曲面21a2は短手方向(湾曲面21a2と湾曲面21a3とが対向する方向)に凹状に湾曲し、湾曲面21a3は短手方向に凸状に湾曲している。
上型21は、上型21の長手方向から見て、溝21aの底(底面21a1)から溝21aの開口側に向けて(上側から下側に向けて)、溝21aの幅が連続的に広くなっている。下型22は、下型22の長手方向から見ると、下側から上側に向けて、突出する部分の幅が連続的に狭くなっている。
また、図3及び図5に示されるように、上型21における長手方向の中央の板押さえ面には、型閉じ面21bを挟んで溝21aの反対側であって、溝21aにおける湾曲面21a31側(ダイ肩側)には、凹み面21cが形成されている。凹み面21cは、図5に示されるように、上型21の短手方向から見ると、長手方向で湾曲状に凹んだ面とされている。すなわち、凹み面21cは、型閉じ面21bに対する凹状の面とされている。ここで、凹み面21cは、第2面の一例である。また、凹み面21cの長手方向の中央の位置での横断面の上下方向に対する(境界の)傾斜角θ(図4参照)は、一例として45(°)とされている。なお、上型21の短手方向における、凹み面21cの長手方向の中央の溝21a側の縁と、溝21aの縁21a31との離間距離D1(図4参照)は、一例として24.00(mm)とされている。以下、離間距離D1をホルダーオフセット量という。なお、溝21aにおける湾曲面21a3側(ダイ肩側)とは、湾曲面21a3における縁21a31の法線の方向(本実施形態では短手方向)における溝21aの外側である。また、凹み面21は、溝21aにおける長手方向において最も曲率半径が小さい部分の短手方向(法線方向)側に形成されている。別の見方をすれば、凹み面21cは、溝21aの縁21a31における最も曲率半径の小さい部分の短手方向(法線方向)側に形成されている。
ここで、凹み面21cについて詳しく説明すると、凹み面21cとは、以下のような形状とされている。すなわち、凹み面21cは、上型21を短手方向から見て、長手方向の中央から長手方向の両端側に離れるにしたがって、第1ホルダ23の上面(後述する型閉じ面23a)からの凹み量が次第に小さくなるように形成されている(図3及び図5参照)。また、別の見方をすると、凹み面21cは、上型21を長手方向に見ると、図4に示されるように、短手方向の端から溝21a側(縁21a31側)に近づくにつれて型閉じ面23aからの凹み量が次第に小さくなるように形成されている。
一般に、絞り成形においてブランクの過剰流入によるしわや板厚変動を防止するため、ダイとホルダの板押さえ面に凹凸(ビード)を設けることにより、ダイ穴に流入するブランクの流入抵抗を作りだすことがある。一方、本実施形態は、ブランクの流入の際に生じる変形抵抗や流入抵抗によりルーフ部材1(プレス成形品の一例)の寸法精度の悪化を抑制するためのものである。したがって、凹み面21cとビードとは形状が異なる。型閉じ面21bと凹み面21cとの境界はなだらかである。ビードでは高い流入抵抗を発生させるため、ビードと型閉じ面の境界は急激に曲がる。具体的には、第1に、ビードと型閉じ面とのなす角は90°に近いのに対し、図4に示されるブランク30の流入方向(稜線の法線方向)での型閉じ面21bと凹み面21cのなす角(境界の傾斜角θのことをいう。)は60°以下であることが望ましい。傾斜角θが小さいと上記の作用効果(ルーフ部材1の寸法精度の悪化を抑制すること)を奏し難くなるため、稜線の最も小さい曲率半径の箇所の法線上での傾斜角θは30°以上であることが望ましい。第2に、ビードと型閉じ面との境界の曲率半径は小さいが、ブランク30の流入方向(稜線の法線方向)での型閉じ面21bと凹み面21cとの境界の曲率半径は10mm以上(ブランク30の板厚の5倍以上)であることが望ましい。さらに、図4に示される形態とは異なり、凹み面21cの中に頂点があると流入するブランク30が頂点を通過するまで長手方向に引き伸ばされる変形抵抗により流入抵抗が生じてしまう。故に、前述したように、凹み面21cは、上型21を長手方向に見ると、図4に示されるように、短手方向の端から溝21a側(縁21a31側)に近づくにつれて型閉じ面23aからの凹み量が次第に小さくなるように形成されていることが望ましい。後述するホルダの板押さえ面に設けられる凸面23bも、凹み面21cと対になる形状であるため同様である。
第1ホルダ23及び第2ホルダ24は、図3に示されるように、長尺とされ、それぞれ下型22の短手方向両側に配置さている。また、第1ホルダ23及び第2ホルダ24は、それぞれ、ばね26、27により上側に付勢されている。
第2ホルダ23は、図3及び図4に示されるように、上型21における凹み面21c及び型閉じ面21bの形成されている部分の下型に配置されている。第2ホルダ23の上面には、上下方向に垂直な型閉じ面23aと、凹み面21cに合わせて嵌る湾曲状の凸面23bとが形成されている。
移動装置25は、上型21を下型22に向けて移動させるようになっている。すなわち、移動装置25は、上型21を下型22に対して相対的に移動させるようになっている。
そして、上型21と下型22との隙間にブランク30が配置された状態で、移動装置25が上型21を下型22に向けて移動させると、図4に示されるように、ブランク30における短手方向の両端側がそれぞれ第1ホルダ23及び第2ホルダ24と上型21とに挟まれた状態で、ブランク30がプレス成形されてルーフ部材1が製造されるようになっている。なお、前述のとおり、上型21に凹み面21cが形成され、第1ホルダ23に凸面23bが形成されていることから、本実施形態のプレス装置18は、ブランク30を変形させて天板2、縦壁4a、4b及びフランジ6a、6bを形成する前に、ブランク30における第1ホルダ23と上型21とに挟まれた部分を凹み面21c(又は凸面23b)の形状に撓ませてから、ルーフ部材1を製造するようになっている。
以上のとおり、プレス装置18について説明したが、プレス装置18について別の見方をすると、以下のとおりとなる。すなわち、本実施形態のプレス装置18は、前述のとおり、少なくとも、上型21と、下型22と、第1ホルダ23と、を備えている。そして、上型21は、溝21aと、溝21aに向かって凸に湾曲する稜線(湾曲面21a3の縁21a31)を形成するダイ肩と、縁21a31に対する法線の方向であって、溝21aにおけるダイ肩側に形成され、溝21aに隣接する型閉じ面21bに対して凹状の凹み面21cと、を有する。また、下型22は、上型21に対向して配置され、上型21に向けて相対移動して、溝21aに嵌るようになっている。さらに、第1ホルダ23には上型21の凹み面21cに対向する凸面23bが形成されている。そして、第1ホルダ23は、上型21に向けて相対移動して、凸面23bと上型21の凹み面21cとでブランク30を撓ませて、凸面23bと上型21の凹み面21cとでブランク30を挟むようになっている。
以上が、本実施形態のプレス装置18の構成についての説明である。
<ルーフ部材の製造方法>
次に、本実施形態のルーフ部材1の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のルーフ部材1の製造方法は、プレス装置18を用いて行われる。また、本実施形態のルーフ部材1の製造方法は、後述する第1工程と、第2工程と、を含む。
[第1工程]
第1工程は、上型21と下型22との隙間にブランク30を配置して、第1ホルダ23及び第2ホルダ24と、上型21とで、ブランク30を挟んで、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分をなだからに撓ませる工程である。ここで、ならだかにとは、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分の境界の傾斜角が60°以下で撓ませることを意味する。具体的には、作業者がプレス装置18を操作すると、移動装置25により上型21が下型22側に移動されて、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分が第1ホルダ23と上型21とに、ブランク30におけるフランジ6bが形成される部分が第2ホルダ24と上型21とに、挟まれる。この場合、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分は、第1ホルダ23と上型21とにより凹み面21c(又は凸面23b)に沿った形状に撓まされる(塑性変形される)。なお、第1工程の終了時には、ブランク30における天板2及び縦壁4a、4bが形成される部分は、まだ平坦な状態とされている(図示省略)。すなわち、第1工程の終了時には、下型22の上面は、上型21の型閉じ面21bよりも上下方向において下側に位置している。
[第2工程]
第2工程は、第1工程の後の工程であって、上型21と第1ホルダ23とでブランク30におけるフランジ6aが形成される部分を挟んだ状態で、上型21と第1ホルダ23とでブランク30をプレスして、ブランク30に天板2、縦壁4a、4b及びフランジ6a、6bを形成する工程である。具体的には、移動装置25により上型21を下型22に向けて移動させることで、下型22が上型21の溝21aに嵌って、ブランク30から天板2、縦壁4a、4b及びフランジ6a、6bがプレス成形される。そして、第2工程が終了すると、ルーフ部材1が製造される。
以上が、本実施形態のルーフ部材1の製造方法についての説明である。
<作用>
次に、本実施形態の作用について、本実施形態を後述する比較形態と比較して説明する。比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。なお、比較形態のルーフ部材(図示省略)は、後述する比較例における比較例1に相当する(図11の表参照)。
比較形態の場合、その製造工程において、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分が撓ませられずに、ルーフ部材が製造される。すなわち、比較形態の場合、図6に示されるように、プレス装置18Aの上型21の型閉じ面21bには凹み面21cが形成されておらず、第1ホルダ23の型閉じ面23aには凸面23bが形成されていない。比較形態のルーフ部材は、これらの点以外、本実施形態のプレス装置18(図4参照)と同様の構成のプレス装置18Aを用いて製造される。
ここで、先端部曲がり及び後端部曲がりの評価では、比較形態のルーフ部材の製造に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材のデータ及び本実施形態のルーフ部材の製造に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1のデータ(以下、測定データという。)と、設計データとを比較した。具体的には、天板2の長手方向の中心部分の断面を一致(ベストフィット)させて、設計データの中心位置に対する、測定したデータの一端1a(他端1b)の中心位置の幅方向におけるずれ量を先端部曲がり(後端部曲がり)とし、先端部曲がりの値と後端部曲がりの値との平均の値を平均曲がり量とした(図7参照)。
そして、比較形態(比較例1)の評価結果によると、図11の表に示されるように、先端部曲がりが11.12(mm)、後端部曲がりが5.07(mm)、平均曲がり量が8.095(mm)であった。
これに対して、本実施形態(実施例1)の評価結果によると、図11の表に示されるように、本実施形態のルーフ部材1の製造に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1の先端部曲がりが5.56(mm)、後端部曲がりが2.54(mm)、平均曲がり量が4.05(mm)であった。すなわち、本実施形態の評価結果におけるすべての評価項目の値は、比較形態の評価結果におけるすべての評価項目の値に比べて小さい。別言すれば、本実施形態のルーフ部材1は、比較形態のルーフ部材に比べて、縦壁6aの板厚方向への曲がりの発生が抑制されているといえる。なお、本明細書における「縦壁6aの板厚方向への曲がりの発生が抑制されている」とは、「縦壁6aの板厚方向への曲がり量が相対的に少ない」ことを意味する。
以上のように、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて、縦壁6aの板厚方向への曲がりの発生が抑制されている理由は、以下のように推認される。すなわち、比較形態の場合、前述のとおり、その製造工程において、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分が撓ませられずに、ルーフ部材が製造される。ここで、図8は、比較形態において第2工程の際に、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分に働く力(図中の矢印)を示す模式図である。2本の二点鎖線の間の領域Eは、ブランク30における天板2及び縦壁4a、4bが形成される部分である。図8に示されるように、比較形態の場合、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分は、第2工程において、溝21a側(溝21aに向かって凸状に湾曲する稜線)側に流入する際、稜線からの法線方向に引っ張られる。その結果、比較形態の場合、第2工程が終了して製造されたルーフ部材のフランジ6aにはその長手方向に引張応力が働く。その結果、比較形態のルーフ部材は、フランジ6aのスプリングバックにより曲がりが発生したと推認される。これに対して、本実施形態の場合、第1程において、図9に示されるように、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分を撓まされる。その際、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分は、図9の矢印の方向に引き延ばされる(この場合、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分は塑性変形される)。そして、本実施形態の場合、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分が第1工程で引き延ばされた後に、第2工程でルーフ部材1がプレス成形されて製造される。そのため、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分が、第2工程で溝21a側に流入する際に長手方向に引き延ばされ難い。その結果、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて、ルーフ部材1のフランジ6aの長手方向に働く引張応力が低減されると推認される。
したがって、本実施形態の製造方法により製造されたルーフ部材1は、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分が撓ませられずに製造される場合に比べて、縦壁6aの板厚方向への曲がりの発生が抑制される。
また、本実施形態の場合、第1程において、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分に対する長手方向の一部であって、溝21aの縁21a31における最も曲率半径の小さい部分の短手方向(法線方向)側の部分を撓まされる(図9参照)。ルーフ部材1における溝21aの縁21a31における最も曲率半径の小さい部分は、他の部分に比べてスプリングバックし易い部分と考えられる。そして、本実施形態の場合、前述のとおり、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分のうち溝21aの縁21a31における最も曲率半径の小さい部分の短手方向(法線方向)側の部分が、図9の矢印の方向に引き延ばされる。したがって、本実施形態の製造方法により製造されたルーフ部材1は、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分のうち溝21aの縁21a31における最も曲率半径の小さい部分以外の部分の短手方向(法線方向)側の部分を撓ませる場合に比べて、縦壁6aの板厚方向への曲がりの発生が抑制される。
また、本実施形態の場合、ブランク30における撓まされる部分は、単に撓んでいるのではなく、第2工程においてブランク30が流入する方向に向かって連続的に凸状又は凹状となるように変形される。そのため、本実施形態の場合、第2工程において、ブランク30が容易に流入し易いといえる。
以上が、本実施形態の作用についての説明である。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について説明する。まず、本実施形態のルーフ部材1A(図10参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のプレス装置(図示省略)の構成について説明する。次いで、本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。なお、以下の説明では、本実施形態について第1実施形態と異なる部分について説明する。また、本実施形態の説明において、第1実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
<ルーフ部材の構成>
まず、本実施形態のルーフ部材1Aの構成について、図面を参照しつつ説明する。ここで、ルーフ部材1Aは、プレス成形品及び特定プレス成形品の一例である。
本実施形態のルーフ部材1A(図10参照)は、第1実施形態のルーフ部材1(図1参照)と異なり、両端が開口していない。そのため、天板2、縦壁4a及び縦壁4bの長手方向の一端に縦壁4c、天板2、縦壁4a及び縦壁4bの長手方向の他端に縦壁4dがそれぞれ繋がっている。また、縦壁4c、フランジ6a及びフランジ6bの一端にはフランジ6cが、縦壁4d、フランジ6a及びフランジ6bの他端にはフランジ6dが繋がっている。すなわち、ルーフ部材1Aは、いわゆる皿型部材とされている。本実施形態のルーフ部材1Aは、上記の点以外、第1実施形態のルーフ部材1と同様の構成とされている。
<プレス装置の構成>
次に、本実施形態のプレス装置(図示省略)について説明する。本実施形態のプレス装置は、ルーフ部材1Aを製造するためのものである。
本実施形態のプレス装置は、第1実施形態のプレス装置18と異なり、上型の溝には、長手方向の両端側に、縦壁4c、4dを成形するための傾斜壁が形成されている。また、下型の形状は、上記溝に合わせて嵌る形状とされている。本実施形態のプレス装置は、上記の点以外、第1実施形態のプレス装置18と同様の構成とされている。
<ルーフ部材の製造方法>
次に、本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法について説明する。本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法は、第1実施形態のプレス装置18に換えて、本実施形態のプレス装置を用いる点以外は、第1実施形態の場合と同じである。
<作用>
本実施形態の作用は、第1の実施形態の作用と同様である(後述する図12の表を参照)。
以上が、第2実施形態についての説明である。
≪実施例≫
次に、実施例及び比較例について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、本実施形態及び比較形態で用いた部品等の符号と同様の部品等の符号を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いる。
<図11の表についての説明>
図11の表には、第1実施形態の実施例1〜5及び前述の比較形態の比較例1〜4についてのシミュレーションの条件と、評価結果とが記載されている。ここで、図11の表について説明すると、板厚とは、シミュレーションに用いたブランク30の厚みである。強度とは、シミュレーションに用いたブランク30の引張強度である。なお、ホルダーオフセット量、先端部曲がり、後端部曲がり及び平均曲がり量については、前述の説明のとおりである。ここで、ホルダーオフセット量の欄が「なし」とは、前述の比較形態の場合と同様に、プレス装置18Aの上型21には凹み面21cが形成されておらず、第1ホルダ23には凸面23bが形成されていないことを意味する。
<評価結果及び考察>
図11の表から、実施例1〜5のルーフ部材1は、比較例1〜4のルーフ部材に比べて、板厚及び強度が同じ条件の場合に、曲がりが小さい(平均曲がり量が少ない)ことがわかる。以上のことから、本実施形態(実施例1)の例である実施例2〜5は、比較形態(比較例1)の例である比較例(比較例2〜4)に比べて、前述の本実施形態の作用を奏すると考えられる。
<図12の表についての説明>
図12の表には、第2実施形態の実施例6及びその比較例(図10のルーフ部材1Aと同じ形状のルーフ部材を、第1工程において、ブランク30を撓ませずに製造した場合)の比較例5についてのシミュレーションの条件と、評価結果とが記載されている。
<評価結果及び考察>
図12の表から、実施例6のルーフ部材1Aは、比較例5のルーフ部材に比べて、板厚及び強度が同じ条件であるにも関わらず、曲がりが小さい(平均曲がり量が少ない)ことがわかる。以上のことから、第2実施形態の例である実施例6は、比較例5に比べて、第1実施形態の作用と同様の作用を奏すると考えられる。
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲には前述した本実施形態以外の形態も含まれる。例えば、本発明の技術的範囲には、下記のような形態も含まれる。
第1及び第2実施形態及び実施例では、プレス成形品の一例はルーフ部材であるとして説明した。しかしながら、本実施形態の第1工程及び第2工程を含む方法により製造される物であれば、プレス成形品は、ルーフ部材以外の自動車用の部品であってもよい。また、本実施形態の第1工程及び第2工程を含む方法により製造される物であれば、自動車用の部品以外の部品であってもよい。
第1及び第2実施形態及び実施例では、上型21に凹み面21cが、第1ホルダ23に凸面23bが形成されているとして説明した。しかしながら、第2工程の前の第1工程において、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分を撓ませることができれば、上型21に凸面23bが、第1ホルダ23に凹み面21cが形成されていてもよい。また、第2工程の前の第1工程において、ブランク30におけるフランジ6aが形成される部分を撓ませることができれば、凹み面21c及び凸面23bの形状は、第1及び第2実施形態及び実施例の場合と異なる形状であってもよい。
第1及び第2実施形態及び実施例では、第1工程において、上型21と第1ホルダ23とで、ブランク30を挟んで撓ませるとして説明した。しかしながら、プレス装置18を用いずに予めブランク30におけるフランジ6aが形成される部分を撓ませてから、プレス装置18により第2工程のみを行ってルーフ部材1、1Aを製造してもよい。
第1及び第2実施形態及び実施例のプレス成形品は、天板と、2つの縦壁と、2つのフランジとを含んで構成されているとして説明した。しかしながら、プレス成形品が、板厚方向に対して凸状に湾曲している湾曲壁と、一端が前記湾曲壁の湾曲している端に繋がり、前記板厚方向において前記湾曲壁が凸状に湾曲している側と反対側に配置されているフランジとを含んで構成されるものであれば、その他の構成要素の有無は問わない。例えば、本発明の技術的範囲に含まれるプレス成形品には、湾曲壁に対向するもう1つの縦壁がない形態とされる、天板、湾曲壁及びフランジで構成される形態であってもよい。また、本発明の技術的範囲に含まれるプレス成形品には、天板がなくてもよい。具体的には、図13及び図14に示される、金型20B及びプレス装置18Bにより、長手方向に湾曲する湾曲壁と当該湾曲壁に繋がるフランジとを含むプレス成形品が製造されれば、例えば、上型21の溝21aの横断面の形状は、溝の底21a1の短手方向の両端部がない、すなわち、円弧状であってもよい。なお、図13及び図14に図示された部品等のうち第1実施形態及び第2実施形態で用いた部品は同じ符号が付されている。
1 ルーフ部材(プレス成形品の一例)
4a 縦壁(湾曲壁の一例)
6a フランジ
18 プレス装置
21 上型(第1ダイの一例)
22 下型(パンチの一例)
21a 溝(ダイ穴の一例)
21b 型閉じ面(第1面の一例)
21c 凹み面(第2面の一例)
30 ブランク

Claims (3)

  1. ダイ、パンチ及びホルダを用いて、板厚方向に対して凸状に湾曲している湾曲壁と、一端が前記湾曲壁の湾曲している端に繋がり、前記板厚方向において前記湾曲壁が凸状に湾曲している側と反対側に配置されているフランジとを含んで構成されるプレス成形品を製造する方法であって、
    ブランクにおける前記フランジが形成される部分を60°以下の傾斜角で撓ませる第1工程と、
    前記第1工程の後、前記ダイと前記ホルダとで前記部分を挟んだ状態で、前記ダイと前記パンチとで前記ブランクをプレスして、前記ブランクに前記湾曲壁及び前記フランジを形成する第2工程と、
    を含み、
    前記ダイは、ダイ穴と、該ダイ穴に向かって凸に湾曲する稜線を形成するダイ肩と、前記ダイ肩を挟んで前記ダイ穴と反対側にある前記ダイ肩に隣接する第1面と前記稜線の法線上にある前記第1面に対して境界の傾斜角が60°以下の凹状の第2面を備える板押さえ面とを備え、
    前記ホルダは、前記ダイの前記板押さえ面に対応した形状の板押さえ面を備え、
    前記第1面と前記第2面との境界は、前記ダイ穴に向かって突出するように湾曲しており、
    前記稜線の法線方向での前記第1面と前記第2面との境界の曲率半径は、前記ブランクの板厚の5倍以上であり、
    前記稜線の最も小さい曲率半径の箇所の法線上での前記第1面と前記第2面との傾斜角は30°以上であり、
    前記第2面は、前記ダイの前記板押さえ面の短手方向の端から前記ダイ穴に近づくにつれて凹み量が次第に小さくなる曲面である、
    プレス成形品を製造する方法。
  2. 前記第1工程では、前記ダイと前記ホルダとで前記部分を挟んで前記部分を撓ませる、
    請求項1に記載のプレス成形品を製造する方法。
  3. ダイ穴と、該ダイ穴に向かって凸に湾曲する稜線を形成するダイ肩と、前記ダイ肩を挟んで前記ダイ穴と反対側にある前記ダイ肩に隣接する第1面と前記稜線の法線上にある前記第1面に対して境界の傾斜角が60°以下の凹状の第2面を備える板押さえ面とを備えるダイと、
    前記ダイの前記板押さえ面に対応した形状の板押さえ面を備えるホルダと、
    を備え、
    前記第1面と前記第2面との境界は、前記ダイ穴に向かって突出するように湾曲しており、
    前記稜線の法線方向での前記第1面と前記第2面との境界の曲率半径は、前記ブランクの板厚の5倍以上であり、
    前記稜線の最も小さい曲率半径の箇所の法線上での前記第1面と前記第2面との傾斜角は30°以上であり、
    前記第2面は、前記ダイの前記板押さえ面の短手方向の端から前記ダイ穴に近づくにつれて凹み量が次第に小さくなる曲面である、
    プレス装置。
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