JP2018021654A - 転がり摺動部材、その製造方法、浸炭用鋼材及び転がり軸受 - Google Patents

転がり摺動部材、その製造方法、浸炭用鋼材及び転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】高荷重条件下においても、長い転がり寿命を確保できる転がり摺動部材、その製造方法及び転がり軸受を提供する。【解決手段】転がり軸受である玉軸受1の転がり摺動部材である外内輪(10,20)及び玉(30)を、C0.1〜0.5質量%、Si0.05〜0.25質量%、Mn1.2〜1.6質量%、Ni0.1質量%以下、Cu0.05質量%以下、Cr2.5〜3.5質量%、Mo0.01〜0.1質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であり、式:47.2≦8.1Mn+13.7Cr≦60.9及び式:0.65≦9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo≦5.5を満たす組成を有する基体部(10a1,20a1,30a1)と表面浸炭層(10a2,20a2,30a2)とを含むように構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、転がり摺動部材、その製造方法、浸炭用鋼材及び当該転がり摺動部材を備える転がり軸受に関する。
軸受等に用いられる転がり摺動部材は、高荷重条件等の厳しい使用条件下で用いられる場合、長い転動疲労寿命を有することが求められている。そこで、転がり摺動部材の製造に用いられる鋼材の表面において、析出強化法によって析出物を析出させることにより、長い転動疲労寿命を確保することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−98343号公報
しかし、特許文献1に記載の転がり摺動部材では、析出物面積率が30%を超える場合、析出物がはく離の起点となりやすい。そのため、特許文献1に記載の転がり摺動部材では、かえって転動疲労寿命が短くなることがある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、高荷重条件下においても、長い転動疲労寿命を確保することができる転がり摺動部材、その製造方法及び転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明は、1つの側面では、相手部材との間で相対的に接触する研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材であって、炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、式(I):
47.2≦8.1Mn+13.7Cr≦60.9 (I)
(式中、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)を示す)
及び式(II):
0.65≦9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo≦5.5 (II)
(式中、Siはケイ素の含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)を示す)
を満たす組成を有する基体部と表面浸炭層とを含むことを特徴とする転がり摺動部材に関する。
本発明の転がり摺動部材は、前記組成を有する基体部と表面浸炭層とを含む。そのため、本発明の転がり摺動部材によれば、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保することができる。また、本発明の転がり摺動部材では、応力誘起マルテンサイト変態が起こりやすい。したがって、本発明の転がり摺動部材によれば、高荷重条件下においても、長い転動疲労寿命を確保することができる。
本発明の転がり摺動部材においては、前記転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置におけるビッカース硬さHvが700〜800であることが好ましい。かかる構成を備える転がり摺動部材は、転がり摺動部材として十分な硬さ及び靱性を兼ね備える。
本発明の転がり摺動部材においては、前記転がり摺動面から前記最大直交せん断応力発生深さの位置における残留オーステナイト量が25〜50体積%であることが好ましい。また、前記転がり摺動面から前記最大直交せん断応力発生深さの位置における析出物粒子の面積率が1%以下であることが好ましい。さらに、前記転がり摺動面から前記最大直交せん断応力発生深さの位置における析出物粒子の平均粒子径が0.4μm以下であることが好ましい。かかる構成を備える転がり摺動部材においては、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保され、内部起点はく離の発生が抑制される。したがって、かかる構成を備える転がり摺動部材によれば、長い転動疲労寿命をより確実に確保することができる。
本発明は、他の側面では、相手部材との間で相対的に接触する研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材の製造方法であって、
(A)炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、前記式(I)及び式(II)を満たす組成を有する鋼材から素形材を得る工程、
(B)前記素形材をカーボンポテンシャル1.1〜1.5の浸炭雰囲気下に930〜980℃に加熱保持することによって当該素形材に浸炭処理を施し、中間素材を得る工程、
(C)前記工程(B)後の中間素材を830〜870℃に加熱保持することによって焼入れを行なう工程、並びに
(D)前記工程(C)後の中間素材を160〜200℃に加熱保持した後、冷却することによって焼戻しを行なう工程
を含む転がり摺動部材の製造方法に関する。本発明の転がり摺動部材の製造方法では、鋼材として前記組成を有する鋼材から得られた素形材に対して浸炭処理を施すという操作が採用されている。これにより、前記転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量が確保され、かつ応力誘起マルテンサイト変態が起こりやすい組織構造を形成させることができる。したがって、前述の作用効果を奏する転がり摺動部材を得ることができる。
本発明は、さらに他の側面では、浸炭処理が施される素材用の鋼材であって、炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、前記式(I)及び式(II)を満たす組成を有する浸炭用鋼材に関する。本発明の浸炭用鋼材は、前記組成を有しているため、浸炭処理が施されることにより、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量が確保され、かつ応力誘起マルテンサイト変態が起こりやすい組織構造を形成させることができる。
本発明は、別の側面では、内周に転がり摺動面を有する外輪と、外周に転がり摺動面を有する内輪と、前記外内輪の両転がり摺動面の間に配置されている複数個の転動体とを有する転がり軸受であって、前記外輪、内輪及び転動体のうちの少なくとも1つが、前述した転がり摺動部材からなることを特徴とする転がり軸受に関する。本発明の転がり軸受は、前述した転がり摺動部材を備えているので、転動体の転動に伴い、応力誘起マルテンサイト変態が起こり、転がり摺動面における組織が強靭化される。したがって、本発明の転がり軸受は、前述の優れた作用効果を奏する。
本発明の転がり摺動部材及び転がり軸受によれば、高荷重条件下においても、長い転動疲労寿命を確保できる。
本発明の一実施形態に係る転がり軸受の一例である玉軸受を示す要部断面図である。 本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である外輪の製造方法の各工程を示す工程図である。 熱処理条件を示す線図である。 実施例2、比較例3及び比較例7それぞれで得られた転がり摺動部材である内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置の残留オーステナイト量の経時的変化を示すグラフである。 実施例2、比較例3及び比較例7それぞれで得られた転がり摺動部材である内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置のビッカース硬さの経時的変化を示すグラフである。
[用語の説明]
本明細書において、「最大直交せん断応力発生深さ」とは、転がり摺動部材の内部に生じる直交せん断応力の振幅が最大となる深さをいう。前記最大直交せん断応力発生深さは、通常、転がり摺動部材の用途、転がり摺動部材の形状、転がり摺動部材の使用条件等によって異なるため、転がり摺動部材の用途、転がり摺動部材の形状、転がり摺動部材の使用条件等に応じて適宜決定することができる。転がり摺動部材が、転がり軸受の構成部材である場合、前記最大直交せん断応力発生深さは、転がり軸受を構成する転動体の大きさから決定することができる。
最大直交せん断応力発生深さは、転がり摺動部材が転動体である場合、通常、転動体の転がり摺動面から[転動体の直径Dの0.2〜2.5%]の深さである。ここで、「転動体の直径D」は、転動体が玉軸受の玉である場合、玉の直径を示す。また、「転動体の直径D」は、転動体がころ軸受のころである場合、ころの大端径を示す。最大直交せん断応力発生深さは、転がり摺動部材が軌道輪(外輪又は内輪)である場合、軌道輪の転がり摺動面から、軌道輪の軌道面を転動する転動体の[直径Dの0.2〜2.5%]の深さである。
[転がり軸受]
以下、添付の図面により本発明の一実施形態に係る転がり軸受を説明する。以下においては、転がり軸受の一例として玉軸受を挙げて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受の一例である玉軸受を示す要部断面図である。
図1に示される玉軸受1は、外輪10と、外輪10の内周側に当該外輪10と同心に配置された内輪20と、外内輪10,20間に配列された複数個の転動体(玉30)と、複数個の玉30を保持する保持器40とを備えている。
図1に示される玉軸受1においては、外内輪10,20及び玉30のそれぞれが、後述の本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である。なお、本発明においては、外内輪10,20及び玉30のうちの少なくとも1つが、後述の本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材であればよい。また、本発明においては、転がり軸受は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒ころ軸受、円すいころ軸受等の他の転がり軸受であってもよい。
[転がり摺動部材]
以下においては、本実施形態に係る転がり摺動部材の例として、玉軸受1の外内輪10,20及び玉30を挙げて説明する。外輪10は、基体部10a1と表面浸炭層10a2とを含む。表面浸炭層10a2は、基体部10a1上に存在している。外輪10の内周面には、複数個の玉30が転動する軌道部11aが形成されている。すなわち、図1に示されるように、軌道部11aは、表面浸炭層10a2の表面に形成されている。軌道部11aの表面は、転がり摺動面である。外輪10は、転がり摺動面において、玉30との間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触又は両接触を含む接触をする。なお、外輪10の軌道部11a、端面11b、肩面11c及び外周面11dは、研磨仕上げが施された研磨部である。
内輪20は、基体部20a1と表面浸炭層20a2とを含む。表面浸炭層20a2は、基体部20a1上に存在している。内輪20の外周面には、軌道部11aに対向するとともに、複数個の玉30が転動する軌道部21aが形成されている。すなわち、図1に示されるように、軌道部21aは、表面浸炭層20a2の表面に形成されている。軌道部21aの表面は、転がり摺動面である。内輪20は、転がり摺動面において、玉30との間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触又は両接触を含む接触をする。内輪20の軌道部21a、端面21b、肩面21c及び内周面21dは、研磨仕上げが施された研磨部である。
玉30は、基体部30a1と表面浸炭層30a2とを含む。表面浸炭層30a2は、基体部30a1上に存在している。玉30の表面、すなわち、玉30の表面浸炭層30a2の表面は、転がり摺動面である。玉30は、転がり摺動面において、外内輪10,20それぞれとの間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触又は両接触を含む接触をする。
基体部10a1,20a1,30a1は、炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部に鉄及び不可避的不純物を含む。基体部10a1,20a1,30a1は、式(I):
47.2≦8.1Mn+13.7Cr≦60.9 (I)
(式中、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)を示す)
及び式(II):
0.65≦9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo≦5.5 (II)
(式中、Siはケイ素の含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)を示す)
を満たす組成を有する。なお、基体部10a1,20a1,30a1の組成は、後述の浸炭用鋼材の組成と同様である。
組織における残留オーステナイトの量は、Msが低いほど多い傾向を示す。また、オーステナイトからマルテンサイトへの加工誘起変態性は、Md30が高いほど高い傾向を示す。なお、「Ms」は、焼入冷却の際に、マルテンサイト変態が始まる温度を意味する。また、「Md30」は、30%の引張真ひずみを鋼材に与えたときに、当該鋼材の組織の50%がマルテンサイトに変態する温度を意味する。
前記Msは、式(III):
Ms=550−350C−40Mn−35V−20Cr−17Ni−10Cu−10Mo−10W−0Si+15Co (III)
(式中、Cは炭素の含有量(質量%)、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Vはバナジウムの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)、Wはタングステンの含有量(質量%)、Siはケイ素の含有量(質量%)、Coはコバルトの含有量(質量%)を示す)
にしたがって求めることができる〔(社)日本熱処理技術協会編著、「1.7 鋼の及ぼす合金元素の影響」、入門・金属材料の組織と性質、2004年7月、p.40参照〕。
前記Md30は、式(IV):
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−13.7Cr−29(Ni+Cu)−18.5Mo−68Nb (IV)
(式中、Cは炭素の含有量(質量%)、Nは窒素の含有量(質量%)、Siはケイ素の含有量(質量%)、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)、Nbはニオブの含有量(質量%)を示す)
にしたがって求めることができる〔野原清彦ら、「準安定オーステナイトステンレス鋼における加工誘起マルテンサイト変態の組成および結晶粒度依存性」、社団法人日本鉄鋼協会、日本鐡鋼協會々誌「鉄と鋼」、第63巻、第5号、1977年4月1日、pp.772−782参照〕。
本発明者らは、式(III)及び式(IV)において、マンガン及びクロムがMd30を下げる効果が小さく、Msを下げる効果が大きい元素であり、ケイ素、ニッケル、銅及びモリブデンがMd30を下げる効果が大きい元素であること、並びに
式(III)及び式(IV)に基づき、鋼材として、式(I)及び式(II)を満たす組成を有する浸炭用鋼材を用いた場合に、転がり転動寿命を長くすることができることを見出した。
転がり軸受においては、転動体が転動する際に、転がり摺動面よりも内部において、最大直交せん断応力が発生する。転がり摺動部材における最大直交せん断応力発生深さの位置では、組織が疲労して強度が低下する。強度が低下した組織は、はく離の起点となりやすい。一方、外内輪10,20及び玉30それぞれの最大直交せん断応力発生深さの位置においては、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量が確保されている。また、外内輪10,20及び玉30の最大直交せん断応力発生深さの位置においては、応力誘起マルテンサイト変態が起こりやすくなっている。そのため、玉軸受1において、玉30が転動を開始した初期に、外内輪10,20及び玉30の組織が強靭化される。したがって、外内輪10,20及び玉30によれば、長い転動疲労寿命を確保することができる。
表面浸炭層10a2,20a2,30a2は、炭素の含有量が0.7〜1.0質量%であり、ビッカース硬さHvが700〜800である層である。表面浸炭層10a2,20a2,30a2は、例えば、後述の浸炭用鋼材に対し、後述の浸炭、焼入れ及び焼戻しを行なうことなどによって形成させることができる。外内輪10,20及び玉30それぞれの最大直交せん断応力発生深さの位置は、表面浸炭層10a2,20a2,30a2内に存在している。したがって、外内輪10,20及び玉30それぞれの最大直交せん断応力発生深さの位置においては、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保することができる。なお、表面浸炭層10a2,20a2,30a2においては、炭素の含有量を除き、ケイ素の含有量、マンガンの含有量、ニッケルの含有量、銅の含有量、クロムの含有量、モリブデンの含有量及び残部は、基体部10a1,20a1,30a1の組成と同様である。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、ビッカース硬さHvは、転がり摺動部材として十分な硬さを確保する観点から、好ましくは700以上、より好ましくは710以上である。また、前記ビッカース硬さは、転がり摺動部材として十分な靱性を確保する観点から、好ましくは800以下、より好ましくは790以下である。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、残留オーステナイト量は、転動体の転動中の応力誘起マルテンサイト変態によって組織を強靭化し、転動疲労寿命を向上させる観点から、好ましくは5体積%以上、より好ましくは30体積%以上である。また、前記残留オーステナイト量は、転がり軸受に要求される硬さを得る観点から、好ましくは50体積%以下、より好ましくは45体積%以下である。
表面浸炭層10a2,20a2,30a2中には、析出物粒子が存在している。なお、本明細書において、「析出物粒子」は、クロム炭化物からなる粒子、モリブデン炭化物からなる粒子及びクロム−モリブデン複合炭化物からなる粒子の総称を意味する。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、析出物粒子の平均粒子径は、前記位置での内部起点はく離を抑制する観点から、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。なお、前記析出物粒子は、存在しなくてもよい。この場合、前記析出物粒子の平均粒子径の下限は、0μmである。前記析出物粒子の平均粒子径は、転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、透過型電子顕微鏡によって取得した1μm×1μm範囲の視野に存在する析出物粒子のすべての粒径を測定し、得られた測定値から平均値を算出することによって求められた値である。
また、外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、析出物粒子の面積率は、前記位置での内部起点はく離を抑制する観点から、好ましくは1%以下である。前記析出物粒子の面積率は、転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置において、透過型電子顕微鏡によって取得した1μm×1μm範囲の視野に存在する析出物粒子の面積を求め、得られた面積の値を視野の面積の値で除することによって求められた値である。
[浸炭用鋼材]
本実施形態に係る浸炭用鋼材は、炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、前記式(I)及び式(II)を満たす組成を有する。本実施形態に係る浸炭用鋼材は、前記組成を有しているため、浸炭処理が施されることにより、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量が確保され、かつ応力誘起マルテンサイト変態が起こりやすい組織構造を形成させることができる。
炭素は、転がり摺動部材の製造時における浸炭用鋼材の焼入れ性を確保し、強度確保のための内部硬さを得るための元素である。しかしながら、浸炭用鋼材における炭素の含有量が過剰量である場合、転がり摺動部材が硬くなりすぎ、熱処理前の加工性の低下等を引き起こす。前記浸炭用鋼材における炭素の含有量は、十分な内部硬さを得る観点から、0.1質量%以上、好ましくは0.15質量%以上である。また、前記浸炭用鋼材における炭素の含有量は、熱処理前の加工性を十分に得る観点から、0.5質量%以下、好ましくは0.45質量%以下である。
ケイ素は、鋼の製錬時の脱酸を行なうとともに鋼の強度を高めるための元素である。また、ケイ素は、浸炭用鋼材におけるケイ素の含有量が過剰量である場合、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりにくくすることがある。前記浸炭用鋼材におけるケイ素の含有量は、十分な強度を確保する観点から、0.05質量%以上、好ましくは0.07質量%以上である。また、前記浸炭用鋼材におけるケイ素の含有量は、残留オーステナイト量の応力誘起マルテンサイト変態を起こりやすくする観点から、0.25質量%以下、好ましくは0.23質量%以下である。
マンガンは、転がり摺動部材の製造時における浸炭用鋼材の焼入れ性を確保し、強度確保のための内部硬さを得るための元素である。本実施形態において、マンガンは、組織における残留オーステナイト量を増加させるとともに残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を抑制しにくい元素である。前記浸炭用鋼材におけるマンガンの含有量は、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保するとともに残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりやすくする観点から、1.2質量%以上、好ましくは1.25質量%以上である。また、前記浸炭用鋼材におけるマンガンの含有量は、同様の観点から、1.6質量%以下、好ましくは1.55質量%以下である。
ニッケルは、浸炭用鋼材におけるニッケルの含有量が過剰量である場合、組織における残留オーステナイト量を増加させるが、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりにくくすることがある。前記浸炭用鋼材におけるニッケルの含有量は、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりやすくする観点から、0.1質量%以下である。なお、浸炭用鋼材は、ニッケルを含有しなくてもよい。この場合、浸炭用鋼材におけるニッケルの含有量の下限は、0質量%である。
銅は、浸炭用鋼材における銅の含有量が過剰量である場合、組織における残留オーステナイト量を増加させるが、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりにくくすることがある。前記浸炭用鋼材における銅の含有量は、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりやすくする観点から、0.05質量%以下、好ましくは0.03質量%以下である。なお、浸炭用鋼材は、銅を含有しなくてもよい。この場合、浸炭用鋼材における銅の含有量の下限は、0質量%である。
クロムは、浸炭用鋼材の焼入れ性の向上に用いられる元素である。本実施形態において、クロムは、組織における残留オーステナイト量を増加させるとともに残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を抑制しにくい元素である。前記浸炭用鋼材におけるクロムの含有量は、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保するとともに残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりやすくする観点から、2.5質量%以上、好ましくは2.6質量%以上である。また、前記浸炭用鋼材におけるクロムの含有量は、粗大な炭化物の析出を抑制し、転動疲労寿命の低下を防ぐ観点から、3.5質量%以下、好ましくは3.4質量%以下である。
モリブデンは、浸炭用鋼材の焼入れ性の向上に用いられる元素である。モリブデンは、浸炭用鋼材におけるモリブデンの含有量が過剰量である場合、析出物の粗大化を招くことがある。また、モリブデンは、浸炭用鋼材におけるモリブデンの含有量が過剰量である場合、組織における残留オーステナイト量を増加させるが、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりにくくすることがある。前記浸炭用鋼材におけるモリブデンの含有量は、浸炭用鋼材の焼入れ性を向上させる観点から、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上である。また、前記浸炭用鋼材におけるモリブデンの含有量は、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を起こりやすくする観点から、0.1質量%以下、好ましくは0.08質量%以下である。
前記不可避不純物は、浸炭用鋼材を製造する際に、原料等から不可避的に混入する物質である。また、前記不可避不純物は、本発明の目的を阻害しない範囲で許容される物質である。前記不可避不純物としては、リン、硫黄、アルミニウム、窒素、酸素、ボロン、ニオブ、チタン等が挙げられるが、特に限定されない。
式(I)において、式(Ia):
8.1Mn+13.7Cr (Ia)
〔Mn及びCrは式(I)におけるMn及びCrと同じ。〕
の値は、応力誘起マルテンサイトによる組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保する観点から、47.2以上、好ましくは49以上である。また、式(I)において、式(Ia)の値は、残留オーステナイトの過剰な生成を抑制し、転がり軸受に要求される硬さを確保する観点から、60.9以下、好ましくは55以下である。
式(II)において、式(IIa):
9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo (IIa)
〔Si、Ni、Cu及びMoは式(II)におけるSi、Ni、Cu及びMoと同じ〕
の値は、転がり軸受に要求される強度を確保する観点から、0.65以上、好ましくは1以上である。また、式(II)において、式(IIa)の値は、残留オーステナイトの応力誘起マルテンサイト変態を容易に生じさせる観点から、5.5以下、好ましくは4.5以下である。
[転がり摺動部材の製造方法]
外内輪10,20及び玉30は、例えば、前記浸炭用鋼材から形成された素形材を形成する前加工工程と、得られた素形材に対し、浸炭焼入れ処理を施し、中間素材を得る表面硬化処理工程と、得られた中間素材に仕上げ加工を施す仕上げ加工工程とを含む方法等によって得られる。以下、本実施形態に係る転がり摺動部材の製造方法の例として、外輪10の製造方法を説明する。図2は本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である外輪の製造方法の各工程を示す工程図、図3は表面硬化処理工程における熱処理条件の一例を示す線図である。
まず、前記浸炭用鋼材から形成された軌道部11a、端面11b、肩面11c及び外周面11dに対応する部分を有する外輪10の素形材14を得る〔「前加工工程」、図2(a)参照〕。
つぎに、得られた素形材14に対し、表面硬化処理を施し、中間素材15を得る〔「表面硬化処理工程」、図2(b)〕。表面硬化処理工程は、図3に示されるように、浸炭焼入れ処理工程と焼戻し工程とを含む。表面硬化処理工程では、まず、素形材14を、浸炭炉内で、カーボンポテンシャル1.1〜1.5の浸炭雰囲気下に、930〜980℃の浸炭温度で3時間以上加熱保持して浸炭処理を行なった後、830〜870℃の焼入れ温度で1時間以下の焼入れ時間加熱保持し、つぎに、80℃に油冷する(浸炭焼入れ処理工程)。その後、得られた素形材14を160〜200℃の焼戻し温度で0.5〜4時間保持して焼戻しを行なう(焼戻し工程)。これにより、基体部10a1と表面浸炭層10a2とを含む中間素材15が得られる。
浸炭雰囲気のカーボンポテンシャルは、転がり摺動部材に適した硬さを確保するとともに応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保する観点から、1.1以上、好ましくは1.2以上である。また、浸炭雰囲気のカーボンポテンシャルは、はく離の起点となる粗大な析出物の形成を抑制する観点から、1.5以下、好ましくは1.3以下である。
浸炭温度は、所定の熱処理性状を得るために必要な処理時間を短縮する観点から、930℃以上、好ましくは940℃以上である。また、浸炭温度は、結晶粒の粗大化及び過剰な浸炭組織の発生を抑制する観点から、980℃以下、好ましくは970℃以下である。
浸炭時間は、転がり摺動部材に適した硬さを確保する観点から、通常、好ましくは3時間以上である。なお、浸炭時間が長いほど、炭素は、浸炭用鋼材中に広く分散し、より深い位置まで、転がり摺動部材に適した硬さを確保することができる。したがって、浸炭時間は、必要に応じて長くしてもよい。
焼入れ温度は、応力誘起マルテンサイト変態による組織の強靭化に十分な残留オーステナイト量を確保する観点から、830℃以上、好ましくは840℃以上である。また、焼入れ温度は、鋼材のマトリックス中への炭素の固溶量を調整し、残留オーステナイトの過剰な生成を抑制することで転動疲労寿命を向上させる観点から、870℃以下、好ましくは860℃以下である。
焼入れ温度での保持時間は、素形材全体の温度が所定の焼入れ温度になるために必要な時間以上であればよい。粗大な析出物の形成を抑制するとともに、転がり摺動部材に適した靱性を確保する観点から、好ましくは1時間以下である。
焼戻し温度は、転がり摺動部材に適した靱性を確保する観点から、160℃以上、好ましくは170℃以上である。また、焼戻し温度は、転がり摺動部材に適した硬さを確保する観点から、200℃以下、好ましくは190℃以下である。
焼戻し時間は、転がり摺動部材に適した靱性を確保する観点から、0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。また、焼戻し時間は、転がり摺動部材に適した硬さを確保するとともに、熱処理コストを低減させる観点から、4時間以下、好ましくは3時間以下である。なお、本明細書において、「焼戻し時間」とは、素形材が所定の温度に達した時点から空冷を開始するまでの時間をいう。
つぎに、中間素材15に、軌道部11a、端面11b及び外周面11dそれぞれを形成する部分に対して、研磨仕上げ加工、必要に応じ、超仕上げ加工を施すことにより、転がり摺動部材(外輪10)を得る〔「仕上げ加工」、図2(c)参照〕。
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で得られた外内輪及び玉は、すべて同じ熱処理条件下での熱処理によって得られている。したがって、熱処理後の研磨仕上げ時の取り代が同じである外輪と内輪とは、熱処理性状が互いに同じになる。そこで、試験例の結果は、代表的な結果として内輪の結果を示す。
実施例1〜8及び比較例1〜9
表1に示される鋼材を所定形状に加工して、深溝玉軸受(軸受呼び番号6206)用外内輪及び玉それぞれの素形材を製造した。表1において、実施例1〜8の鋼材は、炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、式(I)及び式(II)を満たす組成を有する浸炭用鋼材の一例である。なお、表中、「式(I)判定」の項目において、白丸は式(I)を満たすこと、クロスは式(I)を満たさないことを示す。表中、「式(II)判定」の項目において、白丸は式(II)を満たすこと、クロスは式(II)を満たさないことを示す。表中、「総合判定」の項目において、白丸は式(I)及び(II)の双方を満たすこと、クロスは式(I)及び(II)の少なくとも一方を満たさないことを示す。
得られた素形材に対して熱処理を施し、表面浸炭層を形成した。熱処理条件は、以下のとおりである。
<熱処理条件>
カーボンポテンシャルCP:1.3
浸炭温度A:950℃
浸炭時間t:3h以上
焼入れ温度B:850℃
焼入れ温度での保持時間t:15分間
油冷:80℃
焼戻し温度C:170℃
焼戻し時間t:2時間
得られた中間素材に対して研磨仕上げを施し、実施例1〜8及び比較例1〜9の深溝玉軸受用外内輪及び玉を得た。得られた深溝玉軸受用外内輪及び玉を組み立て、実施例1〜8及び比較例1〜9の深溝玉軸受を得た。
試験例1
実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた深溝玉軸受に用いられた外内輪について、転がり摺動面から100μmの深さ(最大直交せん断応力発生深さz)の位置でのビッカース硬さHv、転がり摺動面から100μmの深さの位置における残留オーステナイト量、転がり摺動面から100μmの深さの位置での炭素含有量、転がり摺動面から100μmの深さの位置における析出物面積率、転がり摺動面から100μmの深さの位置における析出物粒子の平均粒子径及び転動疲労寿命(L10寿命)を調べた。
ビッカース硬さHvは、実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた外内輪を転がり摺動面から深さ方向に切断した後、転がり摺動面から100μmの深さの位置に圧子をあて、JIS Z 2244に記載の方法にしたがい、ビッカース硬さ試験機を用いて測定した。
残留オーステナイト量は、実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた外内輪の転がり摺動面から100μmの深さの位置において、X線回折法により、マルテンサイト相(α相)とオーステナイト相(γ相)との積分強度の比を算出することによって調べた。
転がり摺動面から100μmの深さの位置での炭素含有量は、それぞれ、実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた外内輪の転がり摺動面から深さ方向に切断した後、前記転がり摺動面から100μmの深さの位置を中心とし深さ方向に±10μmの範囲における各含有量を測定することにより求めた。
析出物面積率は、式(V):
[析出物面積率]
=([1μm×1μmの範囲の視野に存在する析出物粒子の面積]/[視野面積])×100 (V)
にしたがって算出した。[1μm×1μmの範囲の視野に存在する析出物粒子の面積]は、実施例1〜8及び比較例1〜9それぞれの外内輪の転がり摺動面から100μmの位置において、画像解析により、透過型電子顕微鏡によって取得した1μm×1μmの範囲の視野に存在する析出物粒子の面積である。[視野面積]は、1μm2である。
析出物粒子の平均粒子径は、実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた外内輪の転がり摺動面から100μmの位置において、透過型電子顕微鏡によって取得した1μm×1μm範囲の視野に存在する析出物粒子のすべての粒径を測定し、得られた測定値から平均値を算出することによって求めた。
転動疲労寿命は、実施例1〜8及び比較例1〜9で得られた深溝玉軸受を用いて表2に示される条件で転動疲労寿命試験を行ない、その結果から求められる10%破損確率を示すL10寿命を調べることによって評価した。10%破損確率は、転動疲労試験の結果をワイブル確率紙上にプロットすることによって求めた。
実施例1〜8及び比較例1〜9それぞれで得られた外内輪について、最大直交せん断応力発生深さzの位置でのビッカース硬さHv、最大直交せん断応力発生深さzの位置における残留オーステナイト量、最大直交せん断応力発生深さzの位置での炭素含有量、最大直交せん断応力発生深さzの位置における析出物面積率、最大直交せん断応力発生深さzの位置における析出物粒子の平均粒子径及び転動疲労寿命(L10寿命)を調べた結果を表3に示す。
浸炭処理を施すことによって得られた転がり摺動部材においては、炭素含有量が0.7〜1.0質量%の範囲である領域は、表面浸炭層である。表3に示された結果から、最大直交せん断応力発生深さzの位置での炭素含有量は、0.84〜0.93質量%であることがわかる。したがって、最大直交せん断応力発生深さzの位置は、表面浸炭層内に存在していることがわかる。また、表3に示された結果から、実施例1〜8で得られた外内輪においては、前記ビッカース硬さHvが704.5〜785.2、前記残留オーステナイト量が27〜50体積%、前記析出物面積率が0.3〜0.9%、前記析出物粒子の平均粒子径が0.1〜0.32μmであることがわかる。また、実施例1〜8で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)は、1400時間を超えていることがわかる。
比較例1の鋼材において、ケイ素、マンガン、クロム及びモリブデンそれぞれの含有量(質量%)は、実施例1〜8の鋼材におけるケイ素、マンガン、クロム及びモリブデンの含有量(質量%)の範囲外の量である。また、比較例1の鋼材において、式(Ia)の値は、式(I)の最小値よりも小さい。式(IIa)の値は、式(II)の最小値よりも小さい。したがって、比較例1の鋼材の組成は、式(I)及び式(II)を満たしていない。表3に示された結果から、比較例1で得られた外内輪においては、前記ビッカース硬さHv、前記析出物面積率、前記析出物粒子の平均粒子径は、実施例1〜8で得られた外内輪と同様の範囲であることがわかる。しかし、比較例1で得られた外内輪においては、前記残留オーステナイト量が、実施例1〜8で得られた外内輪における前記残留オーステナイト量の最小値よりも小さいことがわかる。また、比較例1で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)は、960時間未満であることから、実施例1〜8で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)と比べて著しく短いことがわかる。
比較例2の鋼材におけるケイ素、マンガン、ニッケル、銅、クロム及びモリブデンそれぞれの含有量(質量%)は、実施例1〜8の鋼材におけるケイ素、マンガン、ニッケル、銅、クロム及びモリブデンの含有量(質量%)の範囲外の量である。また、比較例2の鋼材において、式(Ia)の値は、式(I)の最大値よりも大きい。式(IIa)の値は、式(II)の最大値よりも大きい。したがって、比較例2の鋼材の組成は、式(I)及び式(II)を満たしていない。表3に示された結果から、比較例2で得られた外内輪においては、前記ビッカース硬さHvは、実施例1〜8で得られた外内輪と同様の範囲であることがわかる。しかし、比較例2で得られた外内輪の残留オーステナイト量、析出物面積率及び析出物粒子の平均粒子径は、実施例1〜8で得られた外内輪の残留オーステナイト量、析出物面積率及び析出物粒子の平均粒子径それぞれの最大値よりも大きいことがわかる。また、比較例2で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)は、960時間未満であることから、実施例1〜8で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)と比べて著しく短いことがわかる。
比較例3の鋼材において、式(Ia)の値は、式(I)の最大値よりも大きい。したがって、比較例3の鋼材は、式(I)を満たさないが、式(II)を満たす。表3に示された結果から、比較例3で得られた外内輪においては、前記ビッカース硬さHv、析出物面積率及び析出物粒子の平均粒子径は、実施例1〜8で得られた外内輪と同様の範囲であることがわかる。しかし、比較例3で得られた外内輪の残留オーステナイト量は、実施例1〜8で得られた外内輪の残留オーステナイト量の最小値よりも小さいことがわかる。また、比較例3で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)は、960時間未満であることから、実施例1〜8で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)と比べて著しく短いことがわかる。
比較例4の鋼材において、式(Ia)の値は、式(I)の最小値よりも小さい。式(IIa)の値は、式(II)の最小値よりも小さい。したがって、比較例4の鋼材の組成は、式(I)を満たしていない。表3に示された結果から、比較例4で得られた外内輪においては、前記ビッカース硬さHv、析出物面積率及び析出物粒子の平均粒子径は、実施例1〜8で得られた外内輪と同様の範囲であることがわかる。しかし、比較例4で得られた外内輪の残留オーステナイト量は、実施例1〜8で得られた外内輪の残留オーステナイト量の最小値よりも小さいことがわかる。また、比較例4で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)は、960時間未満であることから、実施例1〜8で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)と比べて著しく短いことがわかる。
比較例5〜9の鋼材において、式(IIa)の値は、式(II)の最大値よりも大きい。したがって、比較例5〜9の鋼材の組成は、式(II)を満たしていない。比較例5〜9で得られた外内輪それぞれの転動疲労寿命(L10寿命)は、960時間未満であることから、実施例1〜8で得られた外内輪の転動疲労寿命(L10寿命)と比べて著しく短いことがわかる。
したがって、これらの結果から、炭素、ケイ素、マンガン、ニッケル、銅、クロム及びモリブデンの含有量(質量%)が所定量であり、式(I)及び式(II)を満たす前記組成を有する基体部と表面浸炭層とを含む転がり摺動部材を備える転がり軸受によれば、長い転動疲労寿命を確保することができることが示唆される。
試験例2
実施例2、比較例3及び比較例7それぞれで得られた深溝玉軸受を用い、表2に示される条件で内輪を回転させた。所定の時間経過時に内輪の回転を停止し、試験例1と同様の操作を行なうことにより、内輪の転がり摺動面から100μmの深さの位置における残留オーステナイト量を経時的に調べた。
試験例2において、実施例2、比較例3及び比較例7それぞれで得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置の残留オーステナイト量の経時的変化を調べた結果を図4に示す。図中、黒丸は実施例2で得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置の残留オーステナイト量の経時的変化、白四角は比較例3で得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置の残留オーステナイト量の経時的変化、白三角は比較例7で得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置の残留オーステナイト量の経時的変化を示す。
図4に示された結果から、内輪の回転開始前において、実施例2で得られた内輪の最大直交せん断応力発生深さzの位置の残留オーステナイト量は、比較例3で得られた内輪の最大直交せん断応力発生深さzの位置の残留オーステナイト量よりも多いことがわかる。また、内輪の回転開始前においては、比較例7で得られた内輪の最大直交せん断応力発生深さzの位置の残留オーステナイト量と同程度であることがわかる。しかし、実施例2で得られた内輪においては、比較例7で得られた内輪に比べ、最大直交せん断応力発生深さzの位置の残留オーステナイト量がより短い時間で減少することがわかる。したがって、実施例2で得られた内輪は、最大直交せん断応力発生深さzの位置において、多くの残留オーステナイトを含んでおり、しかも応力誘起マルテンサイト変態を起こしやすいことがわかる。
試験例3
実施例2、比較例3及び比較例7それぞれで得られた深溝玉軸受を用い、表2に示される条件で内輪を回転させた。所定の時間経過時に内輪の回転を停止し、試験例1と同様の操作を行なうことにより、内輪の転がり摺動面から100μmの深さの位置におけるビッカース硬さHvを経時的に調べた。
試験例3において、実施例2、比較例3及び比較例7それぞれで得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置のビッカース硬さの経時的変化を調べた結果を図5に示す。図中、黒丸は実施例2で得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置のビッカース硬さの経時的変化、白四角は比較例3で得られた内輪における最大直交せん断応力発生深さz位置のビッカース硬さの経時的変化、白三角は比較例7で得られた転がり摺動部材における最大直交せん断応力発生深さz位置のビッカース硬さの経時的変化を示す。
図5に示された結果から、実施例2で得られた内輪は、最大直交せん断応力発生深さの位置において、内輪の回転開始から短時間で、比較例3及び7それぞれで得られた内輪よりも大きいビッカース硬さを確保していることがわかる。
以上の結果から、炭素、ケイ素、マンガン、ニッケル、銅、クロム及びモリブデンの含有量(質量%)が所定量であり、式(I)及び式(II)を満たす前記組成を有する基体部と表面浸炭層とを含む転がり摺動部材によれば、長い転動疲労寿命を確保することができることがわかる。
1:玉軸受、10:外輪、10a1,20a1,30a1:基体部、10a2,20a2,30a2:表面浸炭層、14:素形材、15:中間素材、20:内輪、30:玉

Claims (6)

  1. 相手部材との間で相対的に接触する研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材であって、
    炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、式(I):
    47.2≦8.1Mn+13.7Cr≦60.9 (I)
    (式中、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)を示す)
    及び式(II):
    0.65≦9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo≦5.5 (II)
    (式中、Siはケイ素の含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)を示す)
    を満たす組成を有する基体部と表面浸炭層とを含むことを特徴とする転がり摺動部材。
  2. 前記転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置におけるビッカース硬さHvが700〜800である請求項1に記載の転がり摺動部材。
  3. 前記転がり摺動面から最大直交せん断応力発生深さの位置における残留オーステナイト量が25〜50体積%であり、
    前記転がり摺動面から前記最大直交せん断応力発生深さの位置における析出物粒子の面積率が1%以下であり、
    前記転がり摺動面から前記最大直交せん断応力発生深さの位置における析出物粒子の平均粒子径が0.4μm以下である請求項1又は2に記載の転がり摺動部材。
  4. 相手部材との間で相対的に接触する研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材の製造方法であって、
    (A)炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、式(I):
    47.2≦8.1Mn+13.7Cr≦60.9 (I)
    (式中、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)を示す)
    及び式(II):
    0.65≦9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo≦5.5 (II)
    (式中、Siはケイ素の含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)を示す)
    を満たす組成を有する鋼材から素形材を得る工程、
    (B)前記素形材をカーボンポテンシャル1.1〜1.5の浸炭雰囲気下に930〜980℃に加熱保持することによって当該素形材に浸炭処理を施し、中間素材を得る工程、
    (C)前記工程(B)後の中間素材を830〜870℃に加熱保持することによって焼入れを行なう工程、並びに
    (D)前記工程(C)後の中間素材を160〜200℃に加熱保持した後、冷却することによって焼戻しを行なう工程
    を含む転がり摺動部材の製造方法。
  5. 浸炭処理が施される素材用の鋼材であって、炭素0.1〜0.5質量%と、ケイ素0.05〜0.25質量%と、マンガン1.2〜1.6質量%と、ニッケル0.1質量%以下と、銅0.05質量%以下と、クロム2.5〜3.5質量%と、モリブデン0.01〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、式(I):
    47.2≦8.1Mn+13.7Cr≦60.9 (I)
    (式中、Mnはマンガンの含有量(質量%)、Crはクロムの含有量(質量%)を示す)
    及び式(II):
    0.65≦9.2Si+29(Ni+Cu)+18.5Mo≦5.5 (II)
    (式中、Siはケイ素の含有量(質量%)、Niはニッケルの含有量(質量%)、Cuは銅の含有量(質量%)、Moはモリブデンの含有量(質量%)を示す)
    を満たす組成を有する浸炭用鋼材。
  6. 内周に転がり摺動面を有する外輪と、外周に転がり摺動面を有する内輪と、前記外内輪の両転がり摺動面の間に配置されている複数個の転動体とを有する転がり軸受であって、
    前記外輪、内輪及び転動体のうちの少なくとも1つが、請求項1〜3のいずれかに記載の転がり摺動部材からなることを特徴とする転がり軸受。
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