JP2017119937A - シート状物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】緻密でありながら陰影感のある凹凸模様を有するシート状物及びその製造方法の提供。
【解決手段】平均単繊維径が0.1〜7.0μmの極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体とを含むシート状物であって、前記のシート状物の少なくとも一方の面に、式(1)で示される凹部と凸部の明度差ΔL*が3≦ΔL≦18である凹凸模様を有するシート状物。・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)織編物を構成する繊維が2種類以上のポリエステル系重合体をサイドバイサイド型に張り合わた複合繊維又は/及び偏心した芯鞘構造を形成している偏心芯鞘複合繊維であるシート状物。シートの製造方法は、平均単繊維径が0.1〜7.0μmの極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物に、125℃〜150℃の温度の熱処理を施すことにより凹凸を形成せしめる皮革様のシート状物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】平均単繊維径が0.1〜7.0μmの極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体とを含むシート状物であって、前記のシート状物の少なくとも一方の面に、式(1)で示される凹部と凸部の明度差ΔL*が3≦ΔL≦18である凹凸模様を有するシート状物。・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)織編物を構成する繊維が2種類以上のポリエステル系重合体をサイドバイサイド型に張り合わた複合繊維又は/及び偏心した芯鞘構造を形成している偏心芯鞘複合繊維であるシート状物。シートの製造方法は、平均単繊維径が0.1〜7.0μmの極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物に、125℃〜150℃の温度の熱処理を施すことにより凹凸を形成せしめる皮革様のシート状物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物であって、そのシート状物の少なくとも一方の面に、明度差のある凹凸模様を有するシート状物に関するものである。
また、本発明は、繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物を、加熱処理による織編物の収縮により凹凸模様を発現せしめるシート状物の製造方法に関するものである。
主として極細繊維からなる不織布と高分子弾性体とからなるシート状物は、耐久性や均一性の高さなど天然皮革にはない優れた特徴を有しており、車両用のシート材や上張材、インテリアや靴および衣料など、様々な用途に用いられてきた。特に、表面に立毛を有するスエード調のシート状物やヌバック調のシート状物においては、均一で滑らかな表面を有するものから、その表面に凹凸模様を付加したものまで幅広い用途の提案がなされてきた。
それらの中でも、表面に凹凸模様を有するシート状物については、いわゆるシボ模様と称する天然皮革に近い緻密感と陰影感を有するシート状物を製造する検討が行われてきた。
これまで、スエード調のシート状物やヌバック調のシート状物にシボ模様を付与する検討は行われており、例えば、エンボスロールを用いる方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、シボ模様のエンボスロールによってシート状物を圧縮することにより、シート状物の表面にシワ状の凹部を形成してシボ模様を付与するものであるが、スエード調またはヌバック調のシート状物のような立毛を有するシート状物にエンボスロールによるシボ模様を付与すると、シワ状の凹部は、立毛が揃えられて平滑な表面となるため光を反射して白化して見える。
すなわち、天然皮革のシボ模様は、シワ状の凹部が表面(凸部)と比較し暗く濃く見えるものであるのに対し、上記提案のエンボスロールでのシボ模様は、シワ状の凹部の白化により天然皮革とは明暗が逆となるため、人工皮革ライクで天然皮革とは異なる印象となる。
また、別の方法として、シボ模様をエンボスロールで付与させると同時に凹部のみに樹脂液を塗布し、その後に凸部の極細繊維のみ起毛処理を施し、表面に極細繊維からなる立毛部と銀面部が混在したヌバック調の外観を実現する方法が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案の方法では、起毛後のシート状物を染色する際に表面の繊維と樹脂の発色性の差により、立毛部と銀面部で色ムラが生じ外観不良が生じるという課題があった
さらに、別の方法として、高分子弾性体を含有する極細繊維不織布と一体化した熱収縮性織編物を収縮させることにより、シート表面に凹凸模様を付与する方法が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案で得られる人工皮革は、シート状物の凹凸模様の高さと幅のみの提案であり、天然皮革に近い凹凸模様を達成するために重要な明度差の提案はなく、凹凸模様での明暗感が粗くいわゆるゾウ革のような外観である。
さらに、別の方法として、高分子弾性体を含有する極細繊維不織布と一体化した熱収縮性織編物を収縮させることにより、シート表面に凹凸模様を付与する方法が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案で得られる人工皮革は、シート状物の凹凸模様の高さと幅のみの提案であり、天然皮革に近い凹凸模様を達成するために重要な明度差の提案はなく、凹凸模様での明暗感が粗くいわゆるゾウ革のような外観である。
このように、これまでは良好な表面品位と天然皮革調の凹凸模様を両立するスエード調、ヌバック調のシート状物は得られていないのが実情である。
そこで、本発明の目的は、少なくとも一方の面に、明度差のある凹凸模様と、緻密感のある良好な表面を併せ持つ天然皮革への代替可能なシート状物を提供することにある。
本発明のシート状物は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のシート状物は、平均単繊維径が0.1μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物であって、前記のシート状物の少なくとも一方の面に、下記式(1)で示される凹部と凸部の明度差ΔL*が3≦ΔL*≦18である凹凸模様を有することを特徴とするシート状物である。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の凹凸模様を有する面に極細繊維からなる立毛を有し、前記極細繊維からなる立毛上に銀面層を有さないことである。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の凹凸模様を有する面に極細繊維からなる立毛を有し、前記極細繊維からなる立毛上に銀面層を有さないことである。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の織編物を構成する繊維が固有粘度差のある2種類以上のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に張り合わされた複合繊維、または/および、固有粘度差のある2種類以上のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している偏心芯鞘複合繊維からなることである。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の明度差ΔL*は7≦ΔL*≦13である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の動摩擦係数μは0.7≦μ≦1.1である。
本発明の前記のシート状物を製造する方法は、平均単繊維径が0.1μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物に、125℃〜150℃の温度の熱処理を施すことにより凹凸模様を形成せしめるシート状物の製造方法である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、染色工程と同時に、前記の熱処理を施すことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、染色工程の前に、前記の熱処理を施すことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の熱処理は、加熱溶液処理である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の染色温度は80〜120℃である。
本発明によれば、本革への代替可能な緻密感のある高級な表面品位を有しながら天然皮革に近い陰影感のある凹凸模様を有するシート状物を得ることができる。さらには、緻密な明暗感のある凹凸模様とすることにより、表面のベタつきが少なく滑らかな触感を有する、より天然皮革に近いシート状物を得ることができる。また、本発明のシート状物によれば、複雑なプロセスを経ることなく、また、緻密感のある高級な表面品位を損なうことなく、天然皮革に近い陰影感のある凹凸模様を付加することができる。
本発明のシート状物は、平均単繊維径が0.1μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物であって、前記のシート状物の少なくとも一方の面に、下記式(1)で示される凹部と凸部の明度差ΔL*が3≦ΔL*≦18である凹凸模様を有し、かつ前記凹凸模様を有する面の任意の方向の動摩擦係数μが0.7≦μ≦1.1であるシート状物である。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)。
本発明で用いられる極細繊維を形成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレー、ポリアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、強度、寸法安定性および耐光性の観点から、ポリエステルが好ましく用いられる。
また、本発明で用いられる極細繊維は、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維であることが好ましい態様である。繊維を構成するポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは、融点が高いものが多く、熱に対する耐熱性に優れており好ましく用いられる。さらに、本発明で用いられる極細繊維からなる繊維絡合体には、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維異なる素材の極細繊維が混合されることも許容される。
極細繊維を形成するポリマーには、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することも好ましい態様である。
本発明のシート状物を構成する極細繊維の平均単繊維径は、0.1〜7.0μmとすることが重要である。平均単繊維径は、好ましくは1.0μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは2.0μm以上3.5μm以下である。
平均単繊維径を、7.0μm以下とすることにより、風合いが柔軟で、緻密でタッチが柔らかく表面品位に優れたシート状物が得られる。また、立毛面の単位面積当たりの立毛の本数が多くなり、滑らかな表面を得ることができる。一方、平均単繊維径を、0.1μm以上とすることにより、染色後の発色性、サンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性、およびさばけ易さに優れた効果を奏する。
極細繊維の断面形状は、丸断面にすることもできるが、楕円、扁平および三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用することができる。
極細繊維は、シート状物において不織布(極細繊維ウェブということがある。)の形態をなしていることが好ましい態様である。不織布とすることにより、表面を起毛した際に均一で優美な外観や風合いを得ることができる。
本発明において、不織布の形態としては、短繊維不織布および長繊維不織布のどちらを用いることもできるが、シート状物の厚さ方向を向く繊維が長繊維不織布に比べ多くなり、起毛した際に高い表面の緻密感を得ることができるため、短繊維不織布を用いることが好ましい態様である。
短繊維不織布を用いる場合、短繊維不織布の極細繊維の繊維長は、好ましくは25〜90mmである。繊維長を90mm以下とすることにより、良好な品位と風合いとなり、繊維長を25mm以上とすることにより、耐摩耗性に優れたシート状物とすることができる。繊維長は、より好ましくは35〜80mmであり、特に好ましくは40〜70mmである。
本発明のシート状物を構成する織編物は、固有粘度差のある2種類以上のポリエチレンテレフタレート系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に張り合わされた複合繊維または/および固有粘度差のある2種類以上のポリエチレンテレフタレート系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している偏心芯鞘複合繊維からなる織編物であることが好ましい。
固有粘度が異なるポリエチレンテレフタレート系重合体を、前述のような構造になるようにして紡糸と延伸を行うと、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じる。この内部歪みは、延伸後の弾性回復率差および熱処理工程での熱収縮差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイル捲縮により、シート状物に加熱処理を行った際に収縮が生じ、シート状物の表面に凹凸模様を形成せしめることができる。
本発明のシート状物に用いられる織編物の収縮率は、高分子弾性体付与後における表層と内層にかかる収縮応力差を広げ、シート状物内で歪みを生じさせるために重要である。本発明においては、一般的に極細繊維からなる不織布層よりも収縮応力が高い、織編物の130℃の温度での乾熱収縮率を10%以上25%以下になるように織物の収縮率を調整することが好ましく、130℃の温度での乾熱収縮率はより好ましくは15%以上20%以下である。上記の収縮率の範囲とすることにより、良好な表面品位と天然皮革調の凹凸模様を両立することが可能となる。乾熱収縮率が10%未満では、人工皮革内部の収縮応力が小さくシート表面の凹凸模様に十分な陰影感が付与されない。また、乾熱収縮率が25%より大きいと、シート自体が歪んだものとなってしまうので表面品位が悪く、加工性の観点からも劣ることになる。
本発明のシート状物に用いられる織物を構成する単糸としては、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維からなる単糸が挙げられるが、染色堅牢度の点から極細繊維と同素材であることが好ましい。かかる単糸の形態としては、フィラメントヤーンや紡績糸などが挙げられるが、高物性を維持するために強撚糸であることが好ましい。
本発明のシート状物は、高分子弾性体を含んでなるものである。高分子弾性体とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、高分子弾性体としては、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等が挙げられる。
高分子弾性体としては、ポリウレタンを主成分として用いることが好ましい。ポリウレタンを用いることにより、充実感のある触感、皮革様の外観および実使用に耐える物性を備えた立毛シート状物を得ることができる。また、ここでいう主成分とは、高分子弾性体全体の質量に対してポリウレタンの質量が50質量%より多いことをいう。
本発明においてポリウレタンを用いる場合には、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンのどちらも採用することができる。また、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタンが好ましく用いられる。
本発明において水分散型ポリウレタンを使用する場合には、ポリウレタンを水に分散させるため、内部乳化剤を使用することが好ましい。内部乳化剤としては、例えば、4級アミン塩等のカチオン系の内部乳化剤、スルホン酸塩やカルボン酸塩等のアニオン系の内部乳化剤およびポリエチレングリコール等のノニオン系の内部乳化剤が挙げられ、さらにカチオン系とノニオン系の内部乳化剤の組み合わせ、およびアニオン系とノニオン系の内部乳化剤の組み合わせのいずれも採用することができる。中でも、ノニオン系の内部乳化剤が、カチオン系の内部乳化剤に比べて耐光性に優れ、またアニオン系の内部乳化剤に比べて中和剤による弊害もない点で好ましく用いられる。
本発明で用いられる高分子弾性体は、バインダーとしての性能や風合いを損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などを含有させることができる。
また、高分子弾性体は、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤および染料などを含有させることができる。
本発明のシート状物における高分子弾性体の含有量は、使用する高分子弾性体の種類、高分子弾性体の製造方法および風合や物性を考慮し、適宜調整することができる。高分子弾性体の含有量は、好ましくは10質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上30質量%以下である。
本発明のシート状物は、製品面の少なくとも一面に凹凸模様を有することが重要である。本発明で言う凹凸模様とは、製品を平らな面に敷いた時の見かけ厚さが異なることで形成され、凹んでシワ状になっている部分を凹部、それ以外の部分を凸部という。また、凹部と凹部に隣接する凸部の高低差は、50μm以上300μm以下であると良好な陰影感のある表面となり、高低差はより好ましくは75μm以上150μm以下である。凸部の幅は、300μm以上1200μm以下であると陰影感と緻密感を両立した表面となり、凸部の幅はより好ましくは400μm以上800m以下である。
本発明のシート状物においては、凹凸模様を有する表面に、立毛を有することが好ましい。表面に立毛を有することにより、滑らかな触感と高級な表面品位を有する。また、表面のベタつきの少なく滑らかな触感を得るため、前記の立毛上には銀面層を有しないことが好ましい態様である。
前記の凹部および凸部の形体としては、良好な肌触りと天然皮革同様の陰影感の両立を実現するため、凹部と凸部双方の表面が立毛で覆われていることが好ましい。
立毛の立毛長は、短すぎると優美な外観が得られにくく、長すぎるとピリングが発生しやすくなる傾向にあることから、立毛長は0.05〜1.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5mmである。
本発明のシート状物は、シート状物表面に、凸部と凹部の明度差ΔL*が3以上18以下である凹凸模様を有することが重要であり、明度差ΔL*は好ましくは5以上15以下であり、さらに好ましくは8以上12以下である。
シート状物の表面の凹部と凸部の明度は、微小面分光色差計(日本電色工業株式会社製のVSS7700)を用いて、視野角が2度、測定径が0.05mmφ、45度の反射の設定においてJIS Z−8729(2008)に準じた光学条件で測定することができる。その結果から求められる明度差ΔL*が3以上のとき、目視により明瞭な凹凸模様が確認できる。明度差ΔL*が3より小さいと凹面と凸部の陰影感のない、視覚的な意匠性に乏しい表面となる。特に、明度差ΔL*が0より小さい場合には凸部よりも凹部の明度が高くなり、天然皮革とは逆の陰影になる。一方で、明度ΔL*が18より大きい場合には、凸部と凹部の明度差が著しく、人工的な表面感となる。
本発明のシート状物においては、表面が滑らかな触感を有するために、前記の凹凸模様を有する面の任意の方向の動摩擦係数μが0.7≦μ≦1.1であることが好ましい。動摩擦係数μが0.7より小さくなると、自動車シート等に使用する際にホールド性に乏しいものとなる。一方、上記の動摩擦係数μが1.1より大きい場合は、表面が滑らかな触感とならずにベタついたものとなる。動摩擦係数μは、より好ましくは0.75≦μ≦1.0であり、さらに好ましくは0.8≦μ≦0.95である。
凹凸模様を有する面の動摩擦係数を測定する際は、その測定方向は特に規定されず、任意の方向で測定することができる。また、シート状物は、動摩擦係数μが任意の方向で前記の範囲内となることで、どの方向から触れた場合でも、良好な触感を得ることができる。
本発明のシート状物の厚みは、用途等に合わせて適宜調整することができるが、カーシート等に用いる際に十分な強度を有するためには、0.5mm以上であることが好ましい。また、厚みが1.5mm以上であると、織編物の収縮にシート状物が追従できなくなり、凹凸模様が発現できない。シート状物の厚みは、より好ましくは0.75mm以上1.25mm以下である。
本発明のシート状物の密度は、良好な緻密感を有するために0.30g/cm3以上であることが好ましく、柔軟な風合いを有するために0.50g/cm3以下であることが好ましい。良好な緻密感と柔軟な風合いを両立するシート状物の密度は、より好ましくは0.35g/cm3以上0.45g/cm3以下である。
次に、本発明のシート状物を製造する方法について説明する。
本発明で用いられる極細繊維が絡合した繊維絡合体等の不織布を得る手段としては、海島型繊維等の極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい態様である。極細繊維から直接繊維絡合体等の不織布を製造することは困難であるが、極細繊維発生型繊維から繊維絡合体を製造し、この繊維絡合体における海島型繊維等の極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる繊維絡合体を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、前記の海成分を、溶剤などを用いて溶解除去することによって、島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を、繊維断面を放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。
中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるため、シート状物の風合いや表面品位の観点からも好ましく用いられる。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体を用いる方式と、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な単繊維繊度の極細繊維が得られるという観点から、高分子相互配列体を用いる方式による海島型複合繊維が好ましく用いられる。
不織布として短繊維不織布とする場合には、得られた極細繊維発現型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして原綿を得る。捲縮加工やカット加工は、公知の方法を用いることができる。
次に、得られた原綿を、クロスラッパー等により繊維ウェブとし、絡合させることにより不織布を得る。繊維ウェブを絡合させ不織布を得る方法としては、ニードルパンチやウォータージェットパンチ等を用いることができる。前記の不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチーム処理による熱収縮処理を施すことも好ましい態様である。
また、不織布と織物の積層一体化には、ニードルパンチやウォータージェットパンチ等が繊維の絡合性の面から、好ましく用いられる。
また、不織布と織物を絡合一体化させる前に、予備的な絡合が与えられていることが、不織布と織物をニードルパンチで不離一体化させる際のシワ発生をより防止するために望ましい態様である。
このように、ニードルパンチにより、あらかじめ予備的絡合を与える方法を採用する場合には、そのパンチ密度は20本/cm2以上で行なうことが効果的であり、好適には100本/cm2以上のパンチ密度で予備絡合を与えることがよく、より好適には300〜1300本/cm2のパンチ密度で予備絡合を与えることである。予備絡合が、20本/cm2以下のパンチ密度では、不織布の幅が、織物との絡合時およびそれ以降のニードルパンチにより、狭小化する余地を残しているため、幅の変化に伴い、織物にシワが生じ平滑なシート基体を得ることができなくなることがあるからである。また、予備絡合のパンチ密度が1300本/cm2以上になると、一般的に不織布自身の絡合が進みすぎて、織物を構成する繊維との絡合を十分に形成するだけの移動余地が少なくなるので、不織布と織物が強固に絡合した不離一体構造を実現するには不利となるからである。
本発明において、織物と不織布とを絡合一体化させるに際しては、パンチ密度の範囲を300〜6000本/cm2とすることが好ましく、1000〜4500本/cm2とすることがより好ましい態様である。
不織布と織物の絡み合わせには、不織布の片面もしくは両面に織物を積層するか、あるいは複数枚の不織布ウェブの間に織物を挟んで、ニードルパンチによって繊維同士を絡ませ、シート基体とすることができる。また、ウォータージェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで水を噴出させることが好ましい。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の不織布の見掛け密度は、0.15〜0.30g/cm3であることが好ましい。見掛け密度を0.15g/cm3以上とすることにより、十分な形態安定性と寸法安定性を有するシート状物が得られる。一方、見掛け密度を0.30g/cm3以下とすることにより、高分子弾性体を付与するための十分な空間を維持することができる。
このようにして得られた不織布は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化させることができる。
また、前記の不織布には水溶性樹脂を付与することにより、不織布と織編物を構成する複合繊維の表面を水溶性樹脂により保護することができる。具体的には、水溶性樹脂で、不織布の繊維束表面と織編物を構成する複合繊維の表面を部分的に保護することにより、後にポリウレタンを主成分とする高分子弾性体をシートに付与した場合、不織布の繊維束の最外周に位置する単繊維と織編物を構成する複合繊維の表面において、高分子弾性体と前記の単繊維もしくは前記の複合繊維とが直接接合している箇所が連続的ではなく部分的に存在することとなり、前記の単繊維と前記の複合繊維に対しての高分子弾性体の接着面積を適当な量に保つことができる。
その結果、最終的に得られるシート状物は、耐摩耗性等の物性を確保しつつも極細繊維と織編物に適度な自由度がある構造となり、後の収縮処理において織編物の収縮の阻害を抑制することが可能となる。これにより、後の収縮処理において、より織編物が収縮することができ、シート状物に陰影感のある凹凸模様を発現せしめることができる。
このようにして用いられる水溶性樹脂としては、鹸化度が80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
水溶性樹脂の付与量としては、シート状物の質量に対し、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。付与量を1質量%以上とすることにより、良好な風合い、ストレッチ性が得られ、付与量を30質量%以下とすることにより、加工性が良く、耐摩耗性等の物性が良好なものが得られる。
水溶性樹脂の付与方法としては、水溶性樹脂の水溶液を含浸し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥温度と乾燥時間は、シート状物の温度が高くなりすぎると、織編物の捲縮が発現してしまうため、シート状物の温度が110℃未満となるように乾燥することが好ましい。シート状物自体の温度が110℃未満に保たれるのであれば、乾燥するために付与する熱風の温度は110℃以上にすることもできる。
付与された水溶性樹脂は、後の工程でポリウレタンを主成分とする高分子弾性体をシート状物に付与した後に、熱水等でシートより除去される。
極細繊維の発現処理は、溶剤中に海島型複合繊維からなる不織布を浸漬させて海成分を溶解除去することにより行うことができる。
極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維の場合、海成分を溶解除去する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができる。また、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができる。また、海成分が水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の場合には、熱水を用いることができる。次に、不織布に高分子弾性体の溶剤液を含浸し固化して、高分子弾性体を付与する。
高分子弾性体を不織布に固定する方法としては、高分子弾性体の溶液をシートに含浸させ湿式凝固または乾式凝固する方法があり、使用する高分子弾性体の種類により適宜選択することができる。本発明において、高分子弾性体としてポリウレタンを付与させる際に用いられる溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等を用いることができる。また、ポリウレタンを水中にエマルジョンとして分散させた水分散型ポリウレタン液を用いることもできる。
溶媒に溶解した高分子弾性体溶液に、不織布と織物からなるシート基体(繊維絡合体)を浸漬する等により、高分子弾性体を不織布を含むシート基体に付与し、その後、乾燥することによって高分子弾性体を実質的に凝固し固化させる。溶剤系のポリウレタン溶液の場合は、非溶解性の溶剤に浸漬することにより凝固させることができ、ゲル化性を有する水分散型ポリウレタン液の場合は、ゲル化させた後乾燥する乾式凝固方法等で凝固させることができる。乾燥にあたっては、シート基体(繊維絡合体)および弾性重合体の
次に、高分子弾性体を含むシート基体の少なくとも一方の面に立毛を施す。立毛を施す際は、後の熱水処理により凹凸模様を発現せしめる面に立毛を施すことが好ましい。凹凸模様を有する面に立毛を有することにより、凹凸模様の陰影感や触感がより良好なものとなる。
次に、高分子弾性体を含むシート基体の少なくとも一方の面に立毛を施す。立毛を施す際は、後の熱水処理により凹凸模様を発現せしめる面に立毛を施すことが好ましい。凹凸模様を有する面に立毛を有することにより、凹凸模様の陰影感や触感がより良好なものとなる。
また、立毛処理を施す前にシートを厚み方向に半裁することも、製造効率の観点から好ましい態様である。
立毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて行うことができる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。さらに、シート状物の表面に均一な立毛を形成させるためには、研削負荷を小さくすることが好ましい。研削負荷を小さくするためには、例えば、バフ段数を3段以上の多段バッフィングとし、各段に使用するサンドペーパーの番手を、JIS規定の150番〜600番の範囲とすることがより好ましい態様である。
本発明のシート状物は、125℃以上150℃以下の高温で加熱処理することが重要であり、加熱処理の温度はより好ましくは130℃以上140℃以下とすることで、緻密な陰影感のある外観が得られる。加熱処理は、シート状物を構成する織物を収縮させ、シート状物の表面に凹凸を形成せしめるために行う。加熱処理が125℃未満になると、織物の収縮が不十分であり、明瞭な陰影感のある外観が得られない。また、加熱処理が150℃を超えると、織物が急激に収縮しシート表面が屈曲するだけでなく、シート状物に含まれる高分子弾性体を劣化させシート状物の強度を低下させてしまう。
本発明においては、良好な凹凸模様を得るためには、加熱処理の際にシートに揉みを与える処理を施すことが好ましい。揉みを与える処理を施すことで急激なシートの収縮が抑制され、天然皮革に近い凹凸模様を得ることができる。
加熱処理は、シート状物に均等に熱が加わることから、加熱溶液処理であることが好ましく、揉みを与える処理を施すために、液流染色機を用いて染色と同時か染色前に行われることが好ましい。染色前に行うことにより、揉みと収縮を施したシート状物を染色するため、緻密な陰影感のある凹凸模様をシート状物に付与することができる。一方、製造コストの観点からは、染色と同時に行うことにより製造工程を短縮することができる。
加熱処理によるシート状物の収縮は、10%以上20%以下に調製することが好ましく、12%以上16%以下であることがより好ましい態様である。シート状物の収縮率は、加熱処理の温度およびシート状物の厚み等によりコントロールすることができる。
本発明のシート状物は好適に染色される。染色は、分散染料、カチオン染料やその他反応性染料を用い、染色されるシート状物を人工皮革基材シートとしての風合いを柔軟にするためにも、高温高圧染色機により行うことが好ましい。
染色を行う際の染色温度は、80℃〜130℃であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい態様である。また、染色前に加熱処理を行った場合には、発現せしめた凹凸模様を維持するため、加熱処理の温度以下で染色を行うことが好ましい。必要に応じて、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤および耐光剤等の仕上げ処理を施してもよく、仕上げ処理は染色後でも染色と同浴でも行うことができる。
本発明のシート状物は、天然皮革調の凹凸模様を有し、自動車、電車および航空機などの車輛室内の内装材を始め、インテリア等に好適に用いることができる。
<評価方法>
(1)平均単繊維径(μm):
平均単繊維径は、立毛シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して100本の平均値を計算することにより算出した。
(1)平均単繊維径(μm):
平均単繊維径は、立毛シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して100本の平均値を計算することにより算出した。
(2)ポリマーの固有粘度(IV):
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記することがある。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求め、固有粘度IVを算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はOCPの落下時間(秒)、d0はOCPの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)。
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記することがある。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求め、固有粘度IVを算出した。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
・固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はOCPの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はOCPの落下時間(秒)、d0はOCPの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)。
(3)ポリマーのメルトフローレイト(MFR):
ISO 1133に規定されているMFR測定方法に準じ、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、平均値をMFRとした。
ISO 1133に規定されているMFR測定方法に準じ、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、平均値をMFRとした。
(4)凹部と凸部の明度差ΔL*:
微小面分光色差計VSS7700(日本電色工業株式会社製)を用い、視野角が2度、測定径が0.05mmφであり、45度の反射の設定においてJIS Z−8729(2008)に準じた光学条件で測定した。試験片はシート状物を100×100mmにカットしたものを用いた。サンプル表面の凹部および凸部についてそれぞれ無作為に100箇所測定し、その平均値を極細繊維の平均明度L*とし、得られた明度L*から、下記(1)式により明度差ΔL*を求めた。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)
(5)動摩擦係数μ:
シート状物を20cm角に切り出し、凹凸を有する面を上側にして平らなテーブルに動かないように固定した。摩擦布(カナキン3号)で包んだ底面の平らな滑り片(荷重6.9N)を、シート状物の上に置き、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ製 PS−30N)で水平方向に6m/minの速度で引き、ゲージの数値が一定値を保つ時点の値をFとして、下式により動摩擦係数μを求めた。
・μ=F/6.9
測定は3回行い、その平均値を動摩擦係数の数値として採用した。
微小面分光色差計VSS7700(日本電色工業株式会社製)を用い、視野角が2度、測定径が0.05mmφであり、45度の反射の設定においてJIS Z−8729(2008)に準じた光学条件で測定した。試験片はシート状物を100×100mmにカットしたものを用いた。サンプル表面の凹部および凸部についてそれぞれ無作為に100箇所測定し、その平均値を極細繊維の平均明度L*とし、得られた明度L*から、下記(1)式により明度差ΔL*を求めた。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1)
(5)動摩擦係数μ:
シート状物を20cm角に切り出し、凹凸を有する面を上側にして平らなテーブルに動かないように固定した。摩擦布(カナキン3号)で包んだ底面の平らな滑り片(荷重6.9N)を、シート状物の上に置き、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ製 PS−30N)で水平方向に6m/minの速度で引き、ゲージの数値が一定値を保つ時点の値をFとして、下式により動摩擦係数μを求めた。
・μ=F/6.9
測定は3回行い、その平均値を動摩擦係数の数値として採用した。
(6)織編物の乾熱面積収縮率:
織編物(10cm×10cm)を乾燥機で130℃の温度で20分間加熱した後の織編物の長さと幅の変化率から、織編物の乾熱面積収縮率を算出した。
織編物(10cm×10cm)を乾燥機で130℃の温度で20分間加熱した後の織編物の長さと幅の変化率から、織編物の乾熱面積収縮率を算出した。
(7)外観品位:
シート状物の表面品位は、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価にて下記のように評価し、最も多かった評価を外観品位とした。また、評価結果が同数で割れた場合は、評価が悪い方を外観品位とした。本発明において良好なレベルは、「◎」と「○」である。
◎:表面の緻密感が高く、表面の凹凸模様が天然皮革に非常に近い、
○:表面の緻密感が高く、表面の凹凸模様が天然皮革に近い、
△:天然皮革に近い凹凸模様を有するが、表面の緻密さに劣る、
×:凹凸模様が人工的である。
シート状物の表面品位は、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価にて下記のように評価し、最も多かった評価を外観品位とした。また、評価結果が同数で割れた場合は、評価が悪い方を外観品位とした。本発明において良好なレベルは、「◎」と「○」である。
◎:表面の緻密感が高く、表面の凹凸模様が天然皮革に非常に近い、
○:表面の緻密感が高く、表面の凹凸模様が天然皮革に近い、
△:天然皮革に近い凹凸模様を有するが、表面の緻密さに劣る、
×:凹凸模様が人工的である。
<化学物質の表記>
・PU:ポリウレタン
・DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
・PET:ポリエチレンテレフタレート
・PVA:ポリビニルアルコール
[実施例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが18のポリスチレンを用い、島数が16島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島成分/海成分質量比率が55/45、吐出量0.97g/分・ホール、紡糸速度が1100m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.4倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理を施し、その後、51mmの長さにカットして、単繊維繊度が3.0dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
・PU:ポリウレタン
・DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
・PET:ポリエチレンテレフタレート
・PVA:ポリビニルアルコール
[実施例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが18のポリスチレンを用い、島数が16島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島成分/海成分質量比率が55/45、吐出量0.97g/分・ホール、紡糸速度が1100m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.4倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理を施し、その後、51mmの長さにカットして、単繊維繊度が3.0dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
また、島成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が36島の海島型複合用口金を用いて、島/海重量比率55/45で溶融紡糸した後、延伸、捲縮し、その後、51mmの長さにカットして単繊維繊度が3.1dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(絡合)
上記のようにして得られた海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために100本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした。
上記のようにして得られた海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために100本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした。
その後、固有粘度(IV)0.78のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)0.51のポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型構造の単糸で、撚数1500T/mからなるマルチフィラメント(56dtex、12フィラメント)を緯糸とし、固有粘度(IV)0.65の単成分からなる単糸で撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を経糸として、織密度が経69本/2.54cm、緯84本/2.54cmで、130℃の温度での乾熱収縮率が16%である平織物を、前記の積層ウェブの上下に挿入した。その後、2500本/cm2のパンチ本数でニードルパンチして目付が630g/m2で、厚みが2.8mmのシート基体を得た。
(水溶性樹脂の付与、脱海および圧縮)
上記のようにして得られた絡合シートを96℃の温度の熱水で収縮させた後、これに鹸化度が88%で、12質量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、固形分の繊維分に対する目標付量24質量%で絞り、温度120℃の熱風で10分間PVAをマイグレーションさせながら乾燥させ、シート基体の質量に対するPVA質量が24質量%のPVA付シートを得た。このようにして得られたPVA付シートをトリクロロエチレンに浸漬させて、マングルによる搾液と圧縮を10回行うことによって、海成分の溶解除去とPVA付シートの圧縮処理を行い、PVAが付与された極細繊維束が絡合してなる脱海PVA付シートを得た。
上記のようにして得られた絡合シートを96℃の温度の熱水で収縮させた後、これに鹸化度が88%で、12質量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、固形分の繊維分に対する目標付量24質量%で絞り、温度120℃の熱風で10分間PVAをマイグレーションさせながら乾燥させ、シート基体の質量に対するPVA質量が24質量%のPVA付シートを得た。このようにして得られたPVA付シートをトリクロロエチレンに浸漬させて、マングルによる搾液と圧縮を10回行うことによって、海成分の溶解除去とPVA付シートの圧縮処理を行い、PVAが付与された極細繊維束が絡合してなる脱海PVA付シートを得た。
(高分子弾性体の付与)
上記のようにして得られた脱海PVA付シートを、固形分濃度11.3%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、厚み1.90mmのポリウレタン付シートを得た。
上記のようにして得られた脱海PVA付シートを、固形分濃度11.3%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いでDMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、厚み1.90mmのポリウレタン付シートを得た。
(半裁・起毛)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを厚さ方向に垂直に半裁し、半裁面をサンドペーパー番手320番のエンドレスサンドペーパーで表層部を0.20mm研削し、立毛面を形成させ、厚み0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを厚さ方向に垂直に半裁し、半裁面をサンドペーパー番手320番のエンドレスサンドペーパーで表層部を0.20mm研削し、立毛面を形成させ、厚み0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(染色・仕上げ)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度加熱溶液で収縮処理を行った後に、120℃の温度の条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は10.0であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.90であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度加熱溶液で収縮処理を行った後に、120℃の温度の条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は10.0であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.90であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが18のポリスチレンを用い、島数が36島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島/海質量比率が55/45、吐出量が1.2g/分・ホール、紡糸速度が1280m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.4倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が2.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが18のポリスチレンを用い、島数が36島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島/海質量比率が55/45、吐出量が1.2g/分・ホール、紡糸速度が1280m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.4倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が2.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(絡合〜染色・仕上げ)
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で極細繊維の平均単繊維径が2.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は12.5であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.85であった。得られたシート状物は、緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で極細繊維の平均単繊維径が2.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は12.5であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.85であった。得られたシート状物は、緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが65のポリスチレンを用い、島数が16島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島/海質量比率が80/20、吐出量1.2g/分・ホール、紡糸速度が1100m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で2.8倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが65のポリスチレンを用い、島数が16島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島/海質量比率が80/20、吐出量1.2g/分・ホール、紡糸速度が1100m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で2.8倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(絡合〜染色・仕上げ)
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維の平均単繊維径が4.4μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は7.8であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.93であった。得られたシート状物は、緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維の平均単繊維径が4.4μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は7.8であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.93であった。得られたシート状物は、緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
[実施例4]
(原綿)
実施例1と同様にして単繊維繊度が3.1dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(原綿)
実施例1と同様にして単繊維繊度が3.1dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(絡合)
上記のようにして得られた海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために100本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした。その後、固有粘度(IV)が0.65のPET単成分からなる単繊維糸で、撚数が2500T/mからなるマルチフィラメント(総繊度84dtex、72フィラメント)を緯糸に用い、固有粘度(IV)が0.65の単成分からなる単繊維糸で、撚数が2500T/mからなるマルチフィラメント(総繊度84dtex、72フィラメント)を経糸として用い、織密度が経97本/2.54cm、緯76本/2.54cmで、130℃の温度での乾熱収縮率が12%である平織物を、前記の積層ウェブの上下に挿入した。その後、2500本/cm2のパンチ本数でニードルパンチして、目付が630g/m2、厚みが2.8mmのシート基体を得た。
上記のようにして得られた海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために100本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした。その後、固有粘度(IV)が0.65のPET単成分からなる単繊維糸で、撚数が2500T/mからなるマルチフィラメント(総繊度84dtex、72フィラメント)を緯糸に用い、固有粘度(IV)が0.65の単成分からなる単繊維糸で、撚数が2500T/mからなるマルチフィラメント(総繊度84dtex、72フィラメント)を経糸として用い、織密度が経97本/2.54cm、緯76本/2.54cmで、130℃の温度での乾熱収縮率が12%である平織物を、前記の積層ウェブの上下に挿入した。その後、2500本/cm2のパンチ本数でニードルパンチして、目付が630g/m2、厚みが2.8mmのシート基体を得た。
(水溶性樹脂の付与・脱海・圧縮〜染色、仕上げ)
上記のようにして得られたシート基体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は7.2であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.98であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られたシート基体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は7.2であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.98であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
[実施例5]
(原綿〜起毛)
実施例1と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(原綿〜起毛)
実施例1と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(染色・仕上げ)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度の条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は8.9であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.92であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、130℃の温度の条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は8.9であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.92であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、更に滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
[実施例6]
(原綿〜起毛)
実施例1と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(原綿〜起毛)
実施例1と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(染色・仕上げ)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを液流染色機を用いて、130℃の温度の条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、さらに凹凸を有する面にエステル系のポリウレタン溶液をグラビアコーターを用いて付量が10g/m2 となるように塗布し、乾燥することにより極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は10.5であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは1.09であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、ややベタつきのあるものの滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを液流染色機を用いて、130℃の温度の条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、さらに凹凸を有する面にエステル系のポリウレタン溶液をグラビアコーターを用いて付量が10g/m2 となるように塗布し、乾燥することにより極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は10.5であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは1.09であった。得られたシート状物は緻密感と天然皮革調の陰影感を併せ持ち、ややベタつきのあるものの滑らかな触感の表面を有していた。結果を表1に示す。
[実施例7]
(原綿〜起毛)
実施例1と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(原綿〜起毛)
実施例1と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(染色・仕上げ)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、120℃の温度条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は6.5であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.67であった。得られたシート状物の表面はややグリップ感に劣るものの、緻密感と天然皮革調の陰影感を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、120℃の温度条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は6.5であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.67であった。得られたシート状物の表面はややグリップ感に劣るものの、緻密感と天然皮革調の陰影感を有していた。結果を表1に示す。
[実施例8]
(原綿〜起毛)
実施例2と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(原綿〜起毛)
実施例2と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(染色・仕上げ)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、120℃の温度条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が2.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は6.8であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.65であった。得られたシート状物の表面はややグリップ感に劣るものの、緻密感と天然皮革調の陰影感を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートを、液流染色機を用いて、120℃の温度条件下で黒色染料を用いて染色を行い、次いで乾燥機で乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が2.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は6.8であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.65であった。得られたシート状物の表面はややグリップ感に劣るものの、緻密感と天然皮革調の陰影感を有していた。結果を表1に示す。
[比較例1]
(原綿〜起毛)
実施例5と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(原綿〜起毛)
実施例5と同様にして、厚みが0.75mmの人工皮革基材シートを得た。
(シボ模様の付与)
上記のようにして得られた人工皮革基材シートに対して、シワ部が連続し分岐した凸部で、表面部が凸部に区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部のシボ模様で、深さが300μmのシボ模様が施されたエンボスロールを用いて、エンボスロールの温度を160℃とし、受けロールの温度を150℃として圧縮し、シボ付与立毛シートを得た。
上記のようにして得られた人工皮革基材シートに対して、シワ部が連続し分岐した凸部で、表面部が凸部に区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部のシボ模様で、深さが300μmのシボ模様が施されたエンボスロールを用いて、エンボスロールの温度を160℃とし、受けロールの温度を150℃として圧縮し、シボ付与立毛シートを得た。
(染色・仕上げ)
上記のシボ付与立毛シートに対して、液流染色機を用いて120℃の温度条件下で染色を施し、次いで乾燥機を用いて乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は−1.6であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.90であった。得られたシート状物は滑らかな触感を有しているものの、天然皮革と凹部と凸部の陰影感が逆転した、人工的な外観を有していた。結果を表1に示す。
上記のシボ付与立毛シートに対して、液流染色機を用いて120℃の温度条件下で染色を施し、次いで乾燥機を用いて乾燥を行い、極細繊維の平均単繊維径が3.1μmのシート状物を得た。得られたシート状物の凹部と凸部の明度差ΔL*は−1.6であり、凹凸を有する面の動摩擦係数μは0.90であった。得られたシート状物は滑らかな触感を有しているものの、天然皮革と凹部と凸部の陰影感が逆転した、人工的な外観を有していた。結果を表1に示す。
Claims (10)
- 平均単繊維径が0.1μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体とを含むシート状物であって、前記シート状物の少なくとも一方の面に、下記式(1)で示される凹部と凸部の明度差ΔL*が3≦ΔL*≦18である凹凸模様を有することを特徴とするシート状物。
・明度差ΔL*=(凸部の平均明度L*)−(凹部の平均明度L*)・・・(1) - 凹凸模様を有する面に極細繊維からなる立毛を有し、前記極細繊維からなる立毛上に銀面層を有さないことを特徴とする請求項1記載のシート状物。
- 織編物を構成する繊維が、固有粘度差のある2種類以上のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に張り合わされた複合繊維、または/および、固有粘度差のある2種類以上のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している偏心芯鞘複合繊維からなることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
- 凹部と凸部の明度差ΔL*が、7≦ΔL*≦13であることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
- 凹凸模様を有する面の任意の方向の動摩擦係数μが、0.7≦μ≦1.1であることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のシート状物を製造する方法であって、平均単繊維径が0.1μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と織編物と高分子弾性体を含むシート状物に、125℃〜150℃の温度の熱処理を施すことにより凹凸を形成せしめることを特徴とするシート状物の製造方法。
- 染色工程と同時に、前記熱処理を施すことを特徴とする請求項6記載のシート状物の製造方法。
- 染色工程の前に、前記熱処理を施すことを特徴とする請求項6記載のシート状物の製造方法。
- 前記熱処理が、加熱溶液処理であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
- 前記染色工程での染色温度が80〜120℃であることを特徴とする請求項8に記載のシート状物の製造方法。
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Cited By (2)
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CN113640172A (zh) * | 2021-08-25 | 2021-11-12 | 北京建筑大学 | 一种测试聚合物乳液成膜速率的装置及方法 |
WO2023042782A1 (ja) * | 2021-09-15 | 2023-03-23 | 東レ株式会社 | 人工皮革およびその製造方法 |
-
2016
- 2016-12-21 JP JP2016247711A patent/JP2017119937A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113640172A (zh) * | 2021-08-25 | 2021-11-12 | 北京建筑大学 | 一种测试聚合物乳液成膜速率的装置及方法 |
CN113640172B (zh) * | 2021-08-25 | 2024-05-07 | 北京建筑大学 | 一种测试聚合物乳液成膜速率的装置及方法 |
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