以下、本発明者らの着眼点を先に説明した後、具体的な実施形態を説明する。
上述の従来技術は、医療情報の未読状態又は既読状態に基づいて、未読状態の医療情報が優先的に確認されるよう表示レイアウトを変更する。それにより、医師等の医療従事者に対して未読状態の医療情報の確認を促す技術である。
従来技術における未読状態又は既読状態の判定は、医療情報を電子的に記録した電子ファイルへのアクセス操作に基づいて自動的に実行される。電子ファイルへのアクセス操作とは、例えば、医療情報が記録された電子ファイルを開く、ディスプレイに表示された医療情報にマウスなどのカーソルを合わせる、医療情報が記録された電子ファイルを印刷するといった操作である。
即ち、医療情報が記録された電子ファイルが印刷された場合、印刷が実行されたことに基づいてその医療情報は既読と判定される。また、ディスプレイ上に医療情報が表示されると、その医療情報が記録された電子ファイルが開かれたことに基づいて医療情報は既読と判定される。
従来技術では医療情報が印刷されることで既読と判定され、表示レイアウトにおける当該医療情報の優先度が下がる。しかしながら、従来技術では、印刷された医療情報が医療従事者により実際に読まれたか否かを確認することはできない。
また、医療従事者が医療情報を確認する途中で表示端末から離れたことにより、医療情報の内容が医療従事者に十分に確認されない場合がある。このように医療情報の確認が中断された場合であっても、医療情報が記録された電子ファイルが開かれたことに基づいて当該医療情報は既読と判定されるため、表示レイアウトにおける当該医療情報の優先度が下がる。
このように従来技術では、医療情報が記録された電子ファイルへのアクセス操作の有無のみに基づいて既読状態が判定される結果、医療情報の内容に関する確認漏れが発生し得る。
そこで、本発明者らは、医療従事者が電子的な署名により医療情報の内容を閲覧し、その内容を十分に確認し、理解したことを記録できる病院情報システムの構成を捻出した。以下の説明では、医療情報の内容を確認し、医療情報に含まれる内容のすべてを理解又は把握することを「参照」と定義する。また、医療情報を参照した上で医療従事者が医療情報に対して電子的又は電磁的な手段により行う署名を「参照署名」と定義する。
本発明者らが着想した画期的な構成によれば、医療従事者が医療情報を参照した場合のみ参照署名を付与するよう構成されている。そのため、医療情報の確認を中断した場合又は医療情報の内容を十分に把握できていない場合には、医療情報に対して参照署名は付与されない。したがって、参照署名により医療従事者が医療情報を参照したことを証明することができる。また、未参照、或いは、確認が不十分な医療情報には参照署名が付与されないため、参照署名のない医療情報の参照を医療従事者に対して促すことができる。この結果、医療従事者による医療情報の内容の確認漏れを確実に回避できるため、適切な治療を行うための医療指示を期待し得る。
以下、本発明の実施形態に係る病院情報システムを添付図面に基づいて説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、検査結果情報に対して医療従事者が参照署名できる病院情報システムに関する。
(1)構成
図1は、病院で運用されるシステムの一部として、第1の実施形態に係る病院情報システムが搭載された構成例を示す概念的な構成図である。図1には、医療施設で運用されるシステムとして、病院情報システム1A、放射線科部門システム2、臨床検査部門システム3、及びその他部門システム4が例示されている。
本明細書では、放射線科や臨床検査科などの医療部門ごとに設けられ病院情報システム1Aと相互接続されたシステムを「部門システム」と称する。上記放射線科部門システム2、臨床検査部門システム3、及びその他部門システム4は夫々、部門システムの一例である。
病院情報システム1A、放射線科部門システム2、臨床検査部門システム3、及びその他部門システム4は、電子ネットワーク18経由で通信可能に相互接続される。
ここで、電子ネットワーク18は、電気通信技術を利用した情報通信網全体を意味し、病院基幹LAN、無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバー通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク、及び衛星通信ネットワークを含む。
図1に示すように、病院情報システム1A、放射線科部門システム2、及び臨床検査部門システム3が備える夫々の通信インターフェース(IF:interface)16、通信IF21、及び通信IF31は、ネットワーク形態に応じた種々の通信プロトコルを実装する。病院情報端末10a及びその他部門システム4も同様に不図示の通信IFにより電子ネットワークに接続される。
図1の病院情報システム1Aは、例えば、医事会計、処方箋受付、診療予約、電子カルテ、又はオーダリングのような医療関連の業務プロセスを電子的に実現するシステムであり、電子カルテシステムやオーダリングシステムを包含する概念である。
図1に示すように、病院情報システム1Aは、複数の病院情報端末10a、病院情報サーバ15、及び通信IF16を備える。
病院情報端末10aは、記憶回路11、処理回路12a、ディスプレイ13、及び入力回路14を備える。
記憶回路11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスクなどによって構成される。記憶回路11は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)などの可搬型メディアによって構成されてもよい。
記憶回路11は、処理回路12aにおいて実行される各種プログラム(アプリケーションプログラムのほか、オペレーティングシステム等も含まれる)、プログラムの実行に必要なデータ、及び画像データを記憶する。また、記憶回路11には、オペレーティングシステムを制御するための各種コマンドや、入力回路14からの入力を支援するGUI(Graphical User Interface)のプログラムを記憶してもよい。
処理回路12aは、共通信号伝送路としてのシステムバス17を介して、病院情報端末10aを構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。
処理回路12aは、専用のハードウェアで構成してもよいし、内蔵のプロセッサによるソフトウェア処理で後述する各種機能を実現するように構成してもよい。ここでは一例として、処理回路12aがプロセッサによるソフトウェア処理によって各種機能を実現する場合について説明する。
なお、上記説明におけるプロセッサとは、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)などの回路を意味する。上記プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)などが挙げられる。処理回路12aは、記憶回路11に記憶されたプログラム又は処理回路12aのプロセッサ内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで各機能を実現する。
また、処理回路12aは、単一のプロセッサによって構成されてもよいし、複数の独立したプロセッサの組合せによって構成されてもよい。後者の場合、複数のプロセッサにそれぞれ対応する複数の記憶回路が設けられるとともに、各プロセッサにより実行されるプログラムが当該プロセッサに対応する記憶回路に記憶される構成でもよい。別の例としては、1個の記憶回路が複数のプロセッサの各機能に対応するプログラムを一括的に記憶する構成でもよい。
ディスプレイ13は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、及び有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示デバイスである。ディスプレイ13は、処理回路12aの制御に従って、電子カルテ情報や検査結果情報などの医療情報を表示する。
入力回路14は、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、及びトラックボール等の入力デバイスからの信号を入力する回路である。ここでは、入力デバイス自体も入力回路14に含まれるものとする。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路14は、その操作に応じた入力信号を生成し、この入力信号を処理回路12aに出力する。
病院情報端末10aは、電子ネットワーク18を介して病院情報サーバ15に相互接続される。病院情報端末10aから入力された医療情報は病院情報サーバ15に保存され、病院情報サーバ15に保存された医療情報は病院情報端末10aに出力される。
病院情報サーバ15は、不図示のCPUやプロセッサ及び記憶回路を備えるサーバである。なおサーバとは、例えば、コンピュータネットワークにおいて、クライアントコンピュータに対し、自身の持つ機能やデータを提供するコンピュータのことである。図1においてクライアントコンピュータは、病院情報端末10aである。
また、図1では、1個の病院情報サーバ15を示したが、病院情報サーバ15は複数台あってもよい。また、複数の病院情報サーバ15が1つの仮想サーバとして機能してもよい。さらに、病院情報システム1Aにおいて病院情報端末10aのユーザは、物理的なサーバを意識することなく病院情報サーバ15に接続することができるよう構成されてもよい。加えて、病院情報サーバ15は、病院情報端末10aとは地理的に異なる場所に存在してもよい。このように、病院情報システム1Aは、クラウドシステムを利用して構成されていてもよい。
病院情報端末10aは、上述の医療関連の業務プロセスに応じたアプリケーションを搭載している。病院情報端末10aは搭載されたアプリケーションの種類に応じて、電子カルテ機能やオーダリング機能を提供する。
例えば、電子カルテ機能は、医師による患者の診察により発生する医療記録を電子的に記録する。電子カルテは、病院情報端末10a上で作成され、電子カルテ情報として患者ごとに病院情報サーバ15に蓄積される。電子カルテ情報には、患者の氏名などの患者情報や、患者に対して行われた検査や治療に関する診療情報などが蓄積されている。
また、医師が、医師以外の医療従事者に検査や治療を依頼する場合、医師は病院情報端末10a上でその検査や治療に対応するオーダを発行する。発行されたオーダに対応するオーダ情報は、病院情報サーバ15に蓄積されるとともに、部門システムに送信される。
図1に示すように、放射線科部門システム2は、通信IF21、診断レポートシステム22、放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)23、画像保管通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)24、及びモダリティ25を備える。モダリティ25には、X線診断装置、X線CT装置(Computed Tomography Apparatus)、及び磁気共鳴イメージング装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging Apparatus)などの医用画像取得装置が含まれる。放射線科部門システム2を構成する各要素は、不図示の電子ネットワーク18を介して相互に接続される。
放射線科部門システム2は、患者の医用画像が放射線技師により取得される部門である。例えば、病院情報端末10aにおいて医用画像の取得に関するオーダが発行された場合、そのオーダに対応するオーダ情報は、放射線科部門システム2に送信される。オーダ情報を受信した放射線科部門システム2のRIS23は、オーダ情報に基づいてモダリティ25に対して医用画像の取得を指示する。モダリティ25により取得された医用画像は、PACS24に保存される。また、診断レポートシステム22は、取得された医用画像に関する診断レポートを作成する。診断レポートには、検査において診断に利用された画像であるキー画像と、そのキー画像において観察される所見とが記憶される。
このように、病院情報端末10aで発行されたオーダに対して放射線科部門システム2で作成された診断レポートは、検査結果情報として病院情報システム1Aに送信され、病院情報サーバ15に保存される。
図1に示す臨床検査部門システム3は、通信IF31、臨床検査情報システム(LIS:Clinical Laboratory Information System)32、及び検査機器33を備える。臨床検査部門システム3を構成する各要素は、不図示の電子ネットワーク18を介して相互に接続される。
臨床検査部門システム3は、患者から取得された血液や尿などの検体が臨床検査技師により分析される検体検査や、患者の脳波や心電図などを測定する生理機能検査が行われる部門である。放射線科部門システム2の場合と同様に、病院情報端末10aにおいて臨床検査に関するオーダが発行された場合、そのオーダに対応するオーダ情報が臨床検査部門システム3に送信される。臨床検査部門システム3ではオーダ情報に基づいて、臨床検査技師により検体検査や生理機能検査が実施される。なお、検体検査は外部の検査機関に検査を委託される場合もある。オーダ情報に対応する臨床検査はLIS32において管理される。臨床検査部門システム3で実施された臨床検査の結果は、検査結果情報として病院情報システム1Aに送信され、病院情報サーバ15に保存される。
その他の部門システム4は、例えば、手術部門、リハビリ部門、又は透析部門などである。上述の放射線科部門システム2及び臨床検査部門システム3と同様に、その他の部門システム4においても病院情報端末10aにおいて医師が発行したオーダに応じた手術実施報告書やリハビリ実施報告書といった検査結果情報が作成される。
検査結果情報とは、病院情報端末10aで発行されたオーダに対して、部門システムにおいて作成される電子ファイルであり、診断レポート、検体検査結果、又は手術実施報告書などが含まれる。このように、部門システムで作成された検査結果情報は、病院情報システム1Aに送信され、病院情報サーバ15に保存される。
図2は、第1の実施形態に係る病院情報システム1Aの機能構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、病院情報システム1Aは、病院情報端末10aと病院情報サーバ15とを備え、電子ネットワーク18を介して部門システムと相互接続する。病院情報システム1Aの病院情報端末10aから送信されたたオーダ情報に対して、部門システムは、検査結果情報を生成し、病院情報システム1Aの病院情報サーバ15に送信する。
図2の病院情報システム1Aの病院情報サーバ15は、電子カルテ情報記憶回路151、検査結果情報記憶回路152、及び署名情報記憶回路153を有する。なお、電子カルテ情報記憶回路151、検査結果情報記憶回路152、及び署名情報記憶回路153は、夫々の別の記憶回路として構成されてもよいし、1つの記憶回路を複数の記憶領域に分割することにより構成されてもよい。
電子カルテ情報記憶回路151は、電子カルテ情報を記憶する。電子カルテ情報は、患者情報、患者に対して行われた検査や治療に関する診療情報、及びオーダ情報などを含む。患者情報は、患者識別番号(ID:identification number)ごとに患者の氏名、年齢、生年月日、及び性別を含む。オーダ情報は、オーダごとに、オーダID、オーダの種類を示すオーダコード、又はオーダに応じた検査を行う部門システムの情報を含む。診療情報は、患者の既往歴、処置内容、及び薬の処方履歴などを含む。
検査結果情報記憶回路152は、検査結果情報を記憶する。検査結果情報はオーダ情報に対して部門システムで作成された診断レポートや臨床検査結果である。検査結果情報は、検査ごとに、検査ID、検査対象の患者ID、オーダID、オーダ種別、検査種別、又は検査結果の内容などを含む。検査結果情報については図5で詳細に説明する。
署名情報記憶回路153は、署名情報を記憶する。署名情報は、検査結果情報を参照した医師等の医療従事者により電子的に実行された参照署名に関する情報を含む。署名情報は、参照署名の対象となる検査結果情報を特定する情報と、参照署名した医療従事者を特定する情報とを含む。さらに、署名情報は、参照署名した日時を含んでもよい。署名情報については図6で詳細に説明する。
病院情報端末10aの処理回路12aは、表示機能121a及び署名機能122aを実行する。表示機能121a及び署名機能122aは、記憶回路11に格納されているプログラムを処理回路12aのプロセッサが実行することによって実現される機能である。
表示機能121aは、病院情報サーバ15に格納されている電子カルテ情報、検査結果情報、及び署名情報をディスプレイ13に表示する。例えば、表示機能121aは、検査結果情報及び署名情報を一覧で表示する。また、ユーザである医療従事者が参照署名する参照署名画面を表示する。表示機能121aにより生成される表示については、図4〜図6、及び図9で詳細に説明する。
署名機能122aは、ユーザによる参照署名の実行に応じて署名情報を生成し、署名情報と検査結果情報とを関連付けて保存する。署名機能122aについては図6及び図7で詳細に説明する。
なお、図2では、病院情報端末10aが表示機能121a及び署名機能122aを備える例を示したが、病院情報サーバ15が表示機能121a及び署名機能122aを備えるように構成してもよい。即ち、病院情報サーバ15の記憶回路に格納された表示機能121a及び署名機能122aのプログラムが、病院情報サーバ15の処理回路により実行されるように構成されてもよい。このように、クライアントコンピュータである病院情報端末10aは、電子カルテ情報や参照署名画面の表示などの必要最低限の動作のみを行うシンクライアントとして構成されてもよい。
(2)動作
図3は、第1の実施形態における検査結果情報に参照署名する動作の一例を示すフローチャートである。以下、図4〜図7を適宜参照しつつ、図3のフローチャートのステップ番号に従って、第1の実施形態に係る病院情報システム1Aの動作を説明する。
図3のフローチャートの各ステップにおける処理は、処理回路12aが記憶回路11から表示機能121a及び署名機能122aに対応する所定のプログラムを呼出し、実行することにより実現される。以下、処理回路12aにより実現される表示機能121a及び署名機能122aにより実行される処理について、対応するステップごとに説明する。
ステップST101において、ユーザは、電子カルテ及びオーダ画面から参照する検査結果情報を選択する。
図4は、第1の実施形態における電子カルテ及びオーダ画面の表示例を示す模式図である。以下、図4を参照しながら、ステップST101における検査結果情報の選択操作について説明する。
図4の電子カルテ及びオーダ画面D1は、病院情報端末10aのディスプレイ13に表示される。患者ごとの電子カルテ情報及びオーダ情報などの医療情報は、電子カルテ及びオーダ画面D1から入力され、入力された医療情報は電子カルテ及びオーダ画面D1に表示される。
例えば、電子カルテ及びオーダ画面D1の下段の右側には、電子カルテ及びオーダ入力領域E3が表示される。電子カルテ情報には、患者の主訴、患者に対して行われた治療、又は患者に処方した薬などの医療情報が蓄積される。これらの情報は、電子カルテ及びオーダ入力領域E3から入力される。また、検査技師などの医療従事者に対して医師が検査等を依頼するための情報であるオーダ情報も、電子カルテ及びオーダ入力領域E3から入力される。
患者に対する治療や患者に処方した薬などの情報に関しては、例えば、テキスト形式で入力されるように、或いは、ディレクトリ形式やプルダウンメニューなどのGUIにより選択的に入力できるように病院情報システム1Aを構成してもよい。オーダ情報に関しても上記同様に、テキスト形式で入力されるように、或いは、選択的に入力できるように病院情報システム1Aを構成してもよい。
電子カルテ及びオーダ画面D1の上段には患者情報表示領域E1が表示され、下段にはオーダ履歴表示領域E2が表示される。
患者情報表示領域E1には、電子カルテ情報に含まれる患者情報が表示される。図4では、患者IDが「000123456」、氏名が「患者太郎」、年齢が「33歳」、性別が「男性」、生年月日が「1983年3月9日」の場合が例示されている。
患者情報表示領域E1の右側には、検査結果履歴画面を表示する検査結果履歴ボタンG11が表示される。検査結果履歴画面は、患者に対して過去の診察において発行されたオーダに対して作成されたすべての検査結果情報を一覧で表示する画面である。検査結果履歴画面については後述の図9で詳細に説明する。
オーダ履歴表示領域E2には、診察中の患者に対して直近の診察で発行されたオーダ情報が表示される。オーダ履歴表示領域E2には、患者太郎の診察において発行されたオーダ情報が表示される。オーダ履歴表示領域E2には、オーダの発行順、例えば、オーダの依頼日が新しい順番に、オーダの種類や依頼日などが表示される。
図4の例では、オーダ履歴表示領域E2には2つのオーダ情報が表示されている。1つ目のオーダ表示領域E22には、オーダの種類がCT単純撮影(胸部)の画像検査オーダ、検査依頼日が2016年2月18日14:22である場合が例示されている。同様に、2つ目のオーダ表示領域E23には、オーダの種類が血液検査(肝臓)の検体検査オーダ、検査依頼日が2016年2月18日14:21である場合が例示されている。
図4の例では2つのオーダが表示される例を示したが、オーダ履歴表示領域E2に示すスクロールバーG12により表示領域をスクロールさせることで過去のオーダ情報を表示することもできる。
オーダ履歴表示領域E2に示されたオーダに対応するオーダ情報は、病院情報システム1Aから部門システムに送信され、オーダ情報に応じた検査が部門システムで実施される。部門システムは、オーダ情報に対応する検査結果情報を作成し、病院情報システム1Aの病院情報サーバ15に送信する。病院情報サーバ15は、検査結果情報を検査結果記憶回路152に記憶する。
表示機能121aは、オーダ情報に対する検査結果情報が存在する場合、オーダ表示領域に検査結果ボタンを表示する。図4に示すように、オーダ表示領域E22には、検査結果ボタンG13が表示されている。このように、CT単純撮影(胸部)の画像検査オーダに対応する検査結果情報が病院情報サーバ15に存在する場合、表示機能121aは、オーダ表示領域E22の右下に検査結果ボタンG13を表示する。CT単純撮影(胸部)の画像検査オーダに対して作成された検査結果情報は、検査結果ボタンG13を押下することで確認することができる。
一方、図4におけるオーダ表示領域E23には、検査結果ボタンが表示されていない。この場合、血液検査(肝臓)の検体検査オーダに対応する検査結果情報が病院情報サーバ15に存在しないことを示す。
以上がステップST101における検査結果情報の選択に関する処理の説明である。図3に戻ってフローチャートの説明を続ける。
ステップST103において、表示機能121aは、ユーザにより選択された検査結果情報に基づいて検査結果情報画面をディスプレイ13に表示する。具体的には、図4のオーダ履歴表示領域E22の検査結果ボタンG13がユーザにより押下されることで、表示機能121aは、CT単純撮影(胸部)の画像検査に関する検査結果情報画面をディスプレイ13に表示する。
図5は、第1の実施形態における検査結果情報の表示例を示す模式図である。図5に示した検査結果情報画面D2は、CT単純撮影(胸部)の画像検査オーダに対する検査結果情報である。図5の検査結果情報画面D2は、診断に利用された画像であるキー画像IM1と、キー画像IM1において観察される所見R1とが表示された検査結果情報の例を示している。
図5の検査結果情報画面D2の右上には、参照署名ボタンG22が示されている。ユーザは、選択した検査結果情報を参照した後、参照署名ボタンを押下することで検査結果情報に参照署名を付与することができる。
図3に戻ってフローチャートの説明を続ける。
ステップST105において、ユーザは、参照した検査結果情報に参照署名する。具体的には、ユーザは、図5に示した検査結果情報画面D2の右上の参照署名ボタンを押下する。
ステップST107において、表示機能121aは、参照署名画面を表示する。
図6は、第1の実施形態における参照署名画面の表示例を示す模式図である。ここでは一例として、病院情報端末10aに対して医師Aがログインした状態で前述の図4の画面が表示され、検査結果ボタンG13が押下されて図5の画面が表示され、参照署名ボタンG22が押下されたものとする。即ち、図6の参照署名画面は、医師Aがログインした状態で表示されるため、医師Aによる参照署名の画面である。なお、ログインの際は、例えば、ユーザID及びパスワードを入力することで本人認証処理が実行される。また、図6では、図5に示したCT単純撮影(胸部)の画像検査に関する検査結果情報に医師Aが参照署名する場合を例として説明する。
図6の参照署名画面D3の上段には、参照署名するための署名ボタンG31、及びキャンセルボタンG32が表示されている。キャンセルボタンG32を押下すると、参照署名画面D3が閉じ、遷移元である図5の検査結果情報画面D2が再表示されるよう表示機能121aを構成してもよい。
署名ボタンG31を押下すると、検査結果情報に署名情報が付与される。なお、表示機能121aは、以下2つの条件を満たすか否かを判定し、すべて満たす場合には署名ボタンG31を押下可能に構成してもよい。
第1の条件は、検査結果情報を参照したことに対してユーザが同意していることである。図6に示すように、参照署名画面D3には検査結果情報を参照したことを確認する文言が表示される。図6では、署名するボタンG31の下に参照署名に対するユーザへの確認メッセージM1を表示する例を示している。
図6の例では、「2016年2月20日10時59分59秒に患者太郎のCT単純撮影(胸部)の検査結果情報を参照しました。」という確認メッセージM1が示されている。なお、確認メッセージM1内に示された参照署名日時「2016年2月20日10時59分59秒」は、図5の検査結果情報画面D2において参照署名ボタンG22が押下された時の日時である。
図6では、確認メッセージM1の左側にはチェックボックスG33が表示される例を示している。ユーザが確認メッセージM1の内容に同意する場合、マウスなどの入力デバイスを用いてチェックボックスG33にチェックを入れる。例えば、第1の条件は、確認メッセージM1に同意する旨を示すチェックボックスG43にチェックが入っているか否かにより判定できる。
第2の条件は、参照署名するユーザが本人であることである。病院情報端末10aを使用する医師等のユーザは、本人認証を経て病院情報端末10aにログインし、検査結果情報を参照する。しかしながら、検査結果情報を病院情報端末10aのディスプレイ13に表示させた状態で、病院情報端末10aを離れる場合がある。そのような場合に、ユーザ以外が参照署名しないように、参照署名するユーザが本人であることを確認する本人認証を条件とする。
図6は、本人認証のために、現在ログインしているユーザ(この例では医師A)のパスワードを入力する入力ボックス34が参照署名画面D3に表示される例を示している。なお、本人認証の方法は図6の態様には限定されない。例えば、本人認証は、ユーザを一意に特定するユーザID及びパスワードの組合せであってもよいし、ユーザの指紋、声紋、静脈、又は虹彩などの生体認証を用いた方法であってもよい。
上記2つの条件を満たす場合、表示機能121aは、署名ボタンG31を押下可能に表示する。即ち、上記2つの条件を満たしている場合、表示機能121aは、署名するボタンG31を活性化させる、或いは、署名するボタンG31を参照署名画面D3に表示する。一方、上記2つの条件の少なくとも一方を満たさない場合、表示機能121aは、署名ボタンG31を不活性な状態で表示させてもよいし、署名ボタンG31を参照署名画面D3に表示しなくてもよい。
なお、参照署名する場合、ユーザがコメントを入力できるようコメント入力欄G35を参照署名画面D3に表示するよう表示機能121aを構成してもよい。例えば、ある患者に対して担当医以外の別の医師が診察を行い、その別の医師が検査結果情報を参照した場合、図6のコメント入力欄G35に示すように、「B先生の代理で確認しました。」のようなコメントを任意で入力することができる。
以上が、ステップST107の処理において表示される参照署名画面の説明である。図3に戻ってフローチャートの説明を続ける。
ステップST109において、署名機能122aは、署名情報と、検査結果情報とを関連付けて記憶する。具体的には、署名機能122aは、図6の参照署名画面D3においてユーザにより署名ボタンG31を押下された場合、署名情報を生成し、生成した署名情報と、検査結果情報とを関連付けて病院情報サーバ15に記憶する。
以上が図3のフローチャートの説明であるが、署名情報と検査結果情報との関連付けについて、図7を用いて補足する。
図7は、第1の実施形態における検査結果情報及び署名情報を説明する模式図である。図7の左側は検査結果情報を、図7の右側は署名情報を示す。図7は、CT単純撮影(胸部)の画像検査に医師Aが参照署名した例である。
検査結果情報は、オーダ情報に基づいて部門システムで作成された診断レポートや臨床検査結果を含む情報である。図7の左側に示す検査結果情報は、左から、検査IDが「000987654」、患者IDが「000123456」、オーダ種別が「CT単純撮影(胸部)」である例を示している。図7には図示しないが、検査結果情報は、オーダコード、キー画像、所見情報などの検査結果の内容に関する情報を含んでもよい。
署名情報は、署名機能122aにより生成される。署名情報は、参照署名したユーザに関する情報と、参照署名した日時を示すタイムスタンプ情報とを含む。図7の右側に示す参照署名情報は、左から、検査IDが「000987654」、参照者情報が「医師A」、タイムスタンプ情報が「2016/02/20 10:59:59」、コメントが「B先生の代理で確認しました。」である例を示している。
署名機能122aは、参照署名の対象となる検査結果情報を、例えば参照署名画面D3の遷移元となる画面情報から特定することができる。特定された検査結果情報に基づいて、署名機能122aは、検査結果情報から検査IDを取得する。また、署名機能122aは、参照署名画面で署名ボタンG31を押下したユーザの認証情報に基づいて、参照者情報を取得する。
さらに、署名機能122aは、参照署名画面D3の確認メッセージに表示された日時をタイムスタンプ情報として取得する。タイムスタンプ情報は、検査結果情報画面D2で参照署名ボタンが押下された時の日時である。同様に、署名機能122aは、参照署名画面に入力されたコメントを取得する。なお、タイムスタンプ情報及びコメントは署名情報の必須項目ではない。署名機能122aは、上述のように取得した情報に基づいて署名情報を生成する。
また、署名情報は、図7の態様には限定されない。例えば、参照者情報は、医師のユーザIDであってもよいし、認証局(CA:Certification Authority)により発行された医師Aを電子的に証明する電子証明書の情報であってもよい。
なお、署名情報と検査結果情報とを関連付けする方法は、図7の態様には限定されない。例えば、署名機能122aは、参照署名対象の検査結果情報を一意に特定する検査結果情報IDと、参照署名を一意に特定する署名情報IDとを関連付けた参照署名履歴情報を生成し、病院情報サーバ15に記憶するように構成されてもよい。
このように、第1の実施形態の病院情報システム1Aは、検査結果情報を参照した参照者の署名情報を、参照した検査結果情報と対応付けて蓄積することができる。
上述の例では、検査結果情報が参照される度に新たな署名情報が付与される方法を説明した。なお、署名情報を付与する方法は、上述の方法には限定されない。例えば、検査結果情報に参照署名が付与されているか否かに応じて検査結果情報画面D2の表示を変更してもよい。以下、図8で検査結果情報の表示に関する変形例を説明する。
図8は、第1の実施形態における検査結果情報を表示する動作の別の例を示すフローチャートである。図8の例では、既に参照署名が付与された検査結果情報に対して同一の参照者が検査結果情報を参照する場合、検査結果情報画面D2の参照署名ボタンを非表示とする動作を説明する。
ステップST111において、ユーザは、電子カルテ及びオーダ画面から参照する検査結果情報を選択する。
ステップST113において、表示機能121aは、選択された検査結果情報に署名情報が関連付けされているか否か判定する。例えば前述の図7のように検査結果情報に署名情報が関連付けされている場合、ステップST115に進み、検査結果情報に関連付けされた署名情報がない場合、ステップST119に進む。
ステップST115において、表示機能121aは、検査結果情報に関連付けされた署名情報の署名者と、検査結果情報を参照する参照者とが同一人物か否かを判定する。例えば、前述の図7のように、胸部のCT単純撮影の検査結果情報に参照署名した参照者名が医師Aである場合を考える。この検査結果情報をこれから参照するユーザが医師Aである場合、参照者は署名情報の参照者と同一人物であると判定される。一方、この検査結果情報をこれから参照するユーザが医師Bである場合、参照者は署名情報の参照者とは同一ではないと判定される。検査結果情報に関連付けされた署名情報の参照者と、検査結果情報を参照する参照者とが同一人物である場合、ステップST117に進み、そうではない場合、ステップST119に進む。
ステップST117において、表示機能121aは、図5の検査結果情報画面D2の右上に示す参照署名ボタンG22を非表示とする。
ステップST119において、表示機能121aは、図5の検査結果情報画面D2に示すように、検査結果情報画面に参照署名ボタンG22を表示する。
このように、同一の検査結果情報に対して同一人物が参照する場合、署名を省略するように病院情報端末10aを構成してもよい(ステップST117)。なお、同一人物が同一の検査結果情報を参照する場合であっても、参照署名を入力可能に表示してもよい。この場合、署名情報を上書きせず、例えば、タイムスタンプ情報に基づいて、参照署名ごとに履歴管理するように病院情報端末10aを構成してもよい。
上述の説明では、直近の診察で発行されたオーダ情報に対する検査結果情報に対して参照署名する方法を説明した。以下では、患者の過去の診察において作成されたすべての検査結果情報を一覧で表示し、参照署名の有無を確認する方法を説明する。
例えば、図4の患者情報表示領域E1の右側に表示された検査結果履歴ボタンG11を押下すると、その患者について過去の診察において発行されたオーダに対して作成されたすべての検査結果情報を一覧で表示することができる。
図9は、第1の実施形態における検査結果履歴の表示例を示す模式図である。図9は、の検査結果情報を一覧で示した検査結果履歴表示画面D4を例示している。
図9において検査結果履歴表示画面D4の上段の患者情報表示領域E4には、図4の電子カルテ及びオーダ画面D1と同じ患者太郎の患者情報が表示されている。なお、患者情報表示領域E4の右側のクローズボタンG41を押下すると、検査結果履歴表示画面D4が閉じ、遷移元である電子カルテ及びオーダ画面D1が開くように表示機能121aを構成してもよい。
図9中段には、検査結果情報を検索するためのGUIが表示されている。図9中段の左から、検索期間選択領域E5、署名状況選択領域E6、診療科選択領域E7、検査結果情報種別選択領域E8、及び検索実行ボタンG44が例示されている。各選択領域の項目を選択し、検索実行ボタンG44を押下すると、該当する検査結果情報が検査結果情報一覧表示領域E9に一覧で表示される。
検索期間選択領域E5には、検査結果情報を検索する期間が入力される。例えば、図9は、「2014/01/01より1か月前まで」の検査結果情報を絞り込んで表示するように指定する例を示している。なお、プルダウンメニューG45により「ヶ月」や「週間」が選択できてもよい。
署名状況選択領域E6では、プルダウンメニューG46により、「署名あり」の検査結果情報を表示するか、「署名なし」の検査結果情報を表示するかを選択できる。なお、「未指定」を選択した場合は、署名の有無にかかわらずすべての検査結果情報が表示対象となる。図9の例では、「未指定」を選択した場合を示している。以下の説明では、選択された項目をグレースケールのハッチングを付して非選択の項目と区別して示す。
診療科選択領域E7では、患者が受診した診療科が選択される。図9は、スクロールバーG42によりスクロールすることで複数の診療科を表示させ、チェックボックスにより複数の診療科を選択することができる例を示している。図9では、チェックボックスにより「全診療科」が選択された例を示している。
検査結果情報種別選択領域E8では、検査結果情報種別が選択される。図9は、スクロールバーG43によりスクロールすることで複数の検査結果情報種別を表示させ、チェックボックスにより複数の検査結果情報種別を選択することができる例を示している。図9では、チェックボックスにより「読影レポート」及び「内視鏡レポート」が選択された例を示している。
図9の下段左側は、検査結果情報一覧表示領域E9を示す。検査結果情報一覧表示領域E9に表示された検査結果情報一覧には、左からNo.、検査結果報告日時、検査情報種別、診療科、及び署名が示されている。上述の検索条件によって絞り込まれたNo.1〜No.6の6つの検査結果情報が一覧で表示されている。スクロールバーG47によりスクロールすることで、No.6以降の検査結果情報を表示することができる。検査結果情報一覧の最右欄の署名の項目は、検査結果情報に対する参照署名の有無を示す。
ここでは一例として、検査結果情報一覧表示領域E9において選択された検査結果情報をグレースケールのハッチングで示すため、図9では、No.5の検査結果情報が選択された例を示す。選択された検査結果情報に関する署名情報は、検査結果情報一覧表示領域E9の右側の署名一覧表示領域E10に一覧で表示される。署名一覧表示領域E10に表示された署名一覧には、左から署名日時、署名者名、及びコメントが示されている。スクロールバーG48によりスクロールすることで、コメントの内容をすべて表示させることもできる。
図9の署名一覧には、No.5の検査結果情報に対応する署名情報が表示される。図9の署名一覧における署名日時は、署名情報のタイムスタンプ情報に基づいて表示される。同様に、署名者名は署名情報の参照者情報に基づいて表示される。図9の例では、2016/02/20 10:59:59に医師Aにより付与された署名情報と、2016/02/21 09:05:30に医師Bにより付与された署名情報とが表示されている。このように1つの検査結果情報に対して複数の異なるユーザによる署名情報が存在してもよい。また、同じユーザによりタイムスタンプの異なる複数の署名情報が存在してもよい。
また、検査結果情報一覧表示領域E9のN0.6における署名の項目は、「なし」であり、署名されていない検査結果情報であることを示している。検査結果情報一覧表示領域E9に表示された検査結果情報のうち、署名なしの項目について参照署名できるように表示機能121aを構成してもよい。例えば、一覧で表示された夫々の検査結果情報を表示するためのボタンを表示するように表示機能121aを構成してもよい。
このように、第1の実施形態に係る病院情報システム1Aによれば、検査結果情報に参照署名を付与することができる。参照署名は、検査結果情報に記載されている内容をユーザが把握したことをユーザ自身が証明するものである。したがって、例えば、検査結果情報を確認したとのユーザの思い込み等による検査結果情報の内容の見落としを回避できる。また、検査結果情報に対して参照署名されたことが記録されることで、検査結果情報の参照に関して第三者から見て責任の所在を明確にできる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態の構成に加えて、署名情報が付与されていない検査結果情報があることをユーザに通知する構成を備えた病院情報システムに関する。
(1)構成
第2の実施形態は、ハードウェアとしては図1で示した第1の実施形態と同じ構成を備える。但し、第2の実施形態の病院情報システム1Bでは、第1の実施形態の病院情報システム1Aの各機能に加えて、署名情報が付与されていない検査結果情報をユーザに通知する機能を有する。そこで、第2の実施形態における説明では、図10に示すように第1の実施形態と異なる部分は第1の実施形態とは異なる符号を付し、第1の実施形態と同一の部分の説明は省略する。
図10は、第2の実施形態に係る病院情報システム1Bの機能構成例を示す機能ブロック図である。図10に示す病院情報システム1Bの病院情報端末10bが有する処理回路12bは、通知機能123bを実行する。通知機能123bは、記憶回路11に格納されているプログラムを処理回路12bのプロセッサが実行することによって実現される機能である。
通知機能123bは、検査結果情報に署名情報が付与されているか否かを判定し、検査結果情報に署名情報が付与されていない場合、ディスプレイ13にその旨を表示する。例えば、通知機能123bは、ユーザが病院情報システム1Bにログインした際に、そのユーザが確認すべき検査結果情報に対して署名情報がない旨を通知する。具体的には、ログインしたユーザにより発行されたオーダに対して作成された検査結果情報に、そのユーザによる参照署名がない場合、その旨をディスプレイ13に表示する。
(2)動作
図11は、第2の実施形態における未署名の検査結果情報を通知する動作の一例を示すフローチャートである。
以下、図12及び図13を適宜参照しつつ、図11のフローチャートのステップ番号に従って、第2の実施形態に係る病院情報システム1Bの動作を説明する。図11の例では、病院情報システム1Bにユーザがログインした際に署名情報が付与されていない検査結果情報をユーザに対して通知する動作を説明する。
図11のフローチャートの各ステップにおける処理は、処理回路12bが記憶回路11から通知機能123bに対応する所定のプログラムを呼出し、実行することにより実現される。以下、処理回路12bにより実現される通知機能123bにより実行される処理について、対応するステップごとに説明する。
ステップST201において、ユーザは、病院情報システム1Bにログインする。例えば、医師等のユーザは、勤務する病院に出勤し、業務を開始する際に病院情報システム1Bにログインする。ログインの際は、例えば、ユーザID及びパスワードを入力することで本人認証が行われる。
ステップST203において、通知機能123bは、ログインしたユーザが発行したオーダに対して作成された検査結果情報のなかから、そのユーザの参照署名がない検査結果情報を検索する。ログインしたユーザの参照署名がない検査結果情報が存在しない場合、ステップST203のNOに分岐し、ログイン後の画面がディスプレイ13に表示される。一方、ログインしたユーザの参照署名がない検査結果情報が存在する場合、ステップST203のYESに分岐し、ステップST205に進む。
ステップST205において、通知機能123bは、ログイン後の画面を表示するとともに、未署名の検査結果情報がある旨をディスプレイ13に表示する。
図12は、第2の実施形態における未署名の検査結果情報が存在する旨の通知情報の表示例を示す模式図である。図12の患者一覧表示画面D5は、病院情報システム1Bにログインした後の初期表示画面の例である。
ログインしたユーザが発行したオーダに対応する検査結果情報のうち、未署名の検査結果情報が存在する場合、通知機能123bは、通知情報表示画面D6を表示する。通知情報表示画面D6は、例えば、ディスプレイ13上にポップアップ表示される。図12に示すように、患者一覧表示画面D5より手前(前側)に通知情報表示画面D6が表示される。即ち、通知情報表示画面D6は、患者一覧表示画面D5に重畳して表示される。
図12の通知情報表示画面D6には、未署名の検査結果情報がある旨のメッセージM2が表示される。通知情報表示画面D6の下段には、クローズボタンG61及び一覧表示ボタンG62がそれぞれ表示される。ユーザは、未署名の検査結果情報を一覧で確認する場合、一覧表示ボタンG62を押下する。一方、未署名の検査結果情報を一覧を確認せずに診察などの別の業務をすぐに開始したい場合、ユーザは、クローズボタンG61を押下する。
なお、すぐに業務を開始した場合、後から未署名の検査結果情報を一覧で確認できるように患者一覧表示D5画面にボタンなどのGUIを表示してもよいし、患者一覧表示D5画面を表示したときに通知情報表示画面D6を表示してもよい。
図13は、第2の実施形態における未署名の検査結果情報一覧の表示例を示す模式図である。図13は、図12の通知情報表示画面D6において一覧表示ボタンG62を押下した際に表示される未確認(未署名)の検査結果一覧表示画面D7の例を示している。
図13の右側の検査結果一覧表示画面D7の例では、4つの未署名の検査結果情報が示されている。図13の検査結果一覧表示画面D7では、検査結果情報に含まれる患者ID、患者氏名、オーダ種別、及びオーダ依頼日を表示する例を示している。
ユーザは、検査結果一覧表示画面D7の表示から選択した検査結果情報をディスプレイ13に表示することができる。図13では一例として、選択された項目がグレースケールのハッチングで示され、検査結果一覧表示画面D7の2行目の検査結果情報を表示する場合を示す。図13の例では、検査結果一覧表示画面D7の2行目の患者氏名が患者太郎で、オーダ種別が血液検査(肝臓)である検査結果情報が選択された場合を示している。
図13の右側は、検査結果一覧表示画面D7から選択された2行目の検査結果表示画面D8を示している。検査結果表示画面D8の右上には参照署名ボタンG81が表示されている。また、検査結果表示画面D8には、血液検査(肝臓)の検体検査における検査項目名、基準値、及び検査結果を示す数値が表示される。図13の検査結果表示画面D8を参照した後、参照署名ボタンG81を押下することで、ユーザは検査結果情報に参照署名を付与することができる。
なお、参照署名が付与された検査結果情報は、検査結果一覧表示画面D7から削除されるように通知機能123bが構成されてもよい。即ち、4つの検査結果情報を含む検査結果一覧表示画面D7について、ハッチングされた2行目の検査結果情報が参照署名された場合、当該2行目の検査結果情報は検査結果一覧表示画面D7から削除されてもよい。このように、通知機能123bは、検査結果情報が参照署名される度に、検査結果一覧表示画面D7に表示される未署名の検査結果情報を更新するよう構成されてもよい。
なお、上述の図11のフローチャートの動作例では、オーダを発行したユーザのログイン時にそのユーザの参照署名の有無を判定して通知情報を表示する例を説明したが、本発明の実施形態は、この態様には限定されない。通知機能123bは、オーダを発行したユーザか否かにかかわらず、未署名の検査結果情報をディスプレイ13に表示するように構成されてもよい。
例えば、図12の患者一覧表示画面D5には、診察待ちの患者が表示されている。その患者に対して未署名の検査結果情報がある場合、診察を行う医師がオーダを発行した医師であるか否かに拘らず、通知情報表示画面D6を表示するよう病院情報システム1Bを構成してもよい。
また、ある患者の診察において病院情報端末10bに表示された電子カルテ及びオーダ画面にその患者の検査結果情報のうち署名情報を持たない検査結果情報がある場合、通知機能123bは、その旨を通知情報としてディスプレイ13に表示してもよい。なお、通知情報は、図12に示したポップアップ表示には限定されない。例えば、図形やテキスト情報を電子カルテ及びオーダ画面等に表示するように通知機能123bを構成してもよい。
このように、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、第2の実施形態に係る病院情報システムによれば、未署名の検査結果情報がある場合に、その旨を通知することができる。オーダを発行したユーザがそのオーダに対して作成された検査結果情報に対して参照署名していない場合、そのユーザに対して検査結果情報の参照を促すことができる。その結果、検査結果情報の参照漏れを防ぐことができる。さらに、ユーザが病院情報システムにログインする度に未署名の検査結果情報が一覧で表示されるため、ユーザは複雑な画面遷移を行わなくても、一度に未署名の検査結果情報を確認することができる。この結果、病院情報システム1Bは、ユーザの作業の効率化に寄与する。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の病院情報システムによれば、医療従事者による医療情報の内容の確認漏れを従来技術よりも確実に回避することが可能となる。
なお、請求項の用語と、実施形態との対応関係は、例えば以下の通りである。病院情報サーバ15の記憶回路は、請求項記載の記憶部の一例である。また、処理回路12a、12bは、請求項記載の処理部の一例である。また、ディスプレイ13は、請求項記載の表示部の一例である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。