JP2018008386A - オフセット印刷用のブランケット及びオフセット印刷装置 - Google Patents

Abstract

【課題】第二のデザインを形成、印刷するためにゴム層にブランク部が形成されたブランケットであっても、塗料や洗浄時の溶剤成分がゴム層と基材層の層間や、基材層、接着層などに浸透することがなく、ブランク部周辺のゴム層が劣化しにくく、ブランケットホイールへの装着位置がずれにくいブランケット、および、これを用いたオフセット印刷装置を提供すること。【解決手段】外表面に印刷面を備えたゴム層１１１と、ゴム層１１１の内面側に基材層１１３と、を有するオフセット印刷用のブランケット１１０であって、ゴム層１１１は、外表面に凹状のブランク部１１２を有し、基材層１１３を外表面側から隙間なく覆っていることを特徴とするオフセット印刷用のブランケット１１０、および、これを用いたオフセット印刷装置１００。【選択図】図１

Description

本発明は、オフセット印刷用のブランケット及びオフセット印刷装置に関するものであり、特に彫刻されたブランケットを備えたオフセット印刷用のブランケット及びオフセット印刷装置に関する。

従来、缶やペットボトルのラベル等の印刷対象に対する印刷方法として、各色インカーのプレートシリンダに樹脂凸版を備え、樹脂凸版からの各色インキをブランケットに転写し、ブランケットから印刷対象に転写印刷するドライオフセット方式が多く用いられている。ブランケットは、画面寸法安定性やブランケットの交換適性などの理由から接着式ブランケットが使用されていることは公知である。ブランケットは、印刷面を形成する平滑なゴム層と、印刷機の所定の位置に貼り付けるための接着層と、ゴム層と接着層に挟まれた基材層とで構成されているのが一般的である。
ところが、近年では、２ピース缶のオフセット印刷に、ブランケットの一部を彫刻し、インキの乗らないブランク部を作ることで、第二のデザインを形成、印刷する、ドライオフセット印刷の技術開発が進められている。

例えば、特許文献１で公知の缶の印刷装置は、所定の間隔でブランケットを装着可能なブランケットホイールと、ブランケットホイールの周りに複数配置されているプレートシリンダと、ブランケットホイールに装着されたブランケットにプレートシリンダを介してインキを供給するインカーと、コンベアから缶を移載してブランケットホイール上のブランケットと転動接触させるマンドレルホイールとを有しており、インカーから供給されたインキがプレートシリンダによってブランケットに転写され、さらにブランケットと缶とが転動接触することで、缶の円筒面に印刷が施されるものである。

また、それぞれのブランケットには、通常の転写ブランケットのように単なる平滑面ではなく、プレートシリンダからインクが供給されない箇所として浅浮き彫り（ローレリーフ、浅い凹部）のブランク部をそれぞれ有している。このことによって、缶製造ラインの最後で、それぞれのブランケットごとにブランク部またはインプリント配置の一部が異なるパレット（複数の缶）を得ることが可能となり、缶の円筒面に一部が異なるデザインを印刷した製品を、同一の印刷装置から、連続して製造することが可能となる。

特表２０１５−５２６３１７号公報

特許文献１の印刷装置のブランケットでは、浅浮き彫りのブランク部の深さが０．３８ｍｍ以上の深さで形成されている。このとき、ゴム層の厚さが０．３８ｍｍ以下の薄いブランケットを用いる場合、ブランク部がゴム層を貫通し、印刷面側に基材層が露出することとなる。これによって、印刷時の塗料や洗浄時の溶剤成分がゴム層と基材層との層間や、基材層、接着層に浸透し、ゴム層と基材層の層間剥離や、基材層の劣化、接着層の接着能力の低下が進行しやすくなる問題があった。
また、ゴム層にかかる応力がゴム層を貫通したブランク部の周囲に集中し、ゴム層が裂けたり一部が欠落するなどの不具合を発生させやすくなる虞があった。
また、ゴム層を貫通したブランク部がブランケットの両端まで連続する場合、ブランケットホイールにブランケットを装着する際、ゴム層を貫通したブランク部を中心に変形しやすく、ブランケットの装着位置がずれてしまう虞があった。

本発明は、これらの問題点を解決するものであり、第二のデザインを形成、印刷するためにゴム層にブランク部が形成されたブランケットであっても、塗料や洗浄時の溶剤成分がゴム層と基材層の層間や、基材層、また、接着層などに浸透することがなく、ブランク部周辺のゴム層が劣化しにくく、ブランケットホイールへの装着位置がずれにくいオフセット印刷用のブランケットを提供することを目的とするものである。

本発明のオフセット印刷用のブランケットは、外表面に印刷面を備えたゴム層と、前記ゴム層の内面側に基材層と、を有するオフセット印刷用のブランケットであって、前記ゴム層は、外表面に凹状のブランク部を有し、前記基材層を外表面側から隙間なく覆っている。
また、本発明のオフセット印刷装置は、前記オフセット印刷用のブランケットを備えている。

本発明のオフセット印刷用のブランケット及び、オフセット印刷装置によれば、ゴム層が外表面に凹状のブランク部を有していても、ゴム層が基材層を隙間なく覆っているため、印刷面に塗布される塗料や洗浄剤に含まれる溶剤がゴム層と基材層との層間、または、基材層に浸透することがなく、溶剤によるゴム層と基材層との層間や基材層の劣化を防ぐことができる。
また、ゴム層には基材層に達する深さのブランク部がないため、ゴム層が裂けたり欠けたりするような局所的な応力の集中を抑制できる。
さらに、ゴム層には基材層に達する深さのブランク部がなく、切れ目なく連続して印刷面を形成しているため、印刷面の形状が歪みにくく、ブランケットの装着位置がずれにくくなる。

本発明の一実施形態に係るオフセット印刷用のブランケット１１０の斜視図及び断面図。 本発明の一実施形態に係るオフセット印刷装置１００の全体模式図。 本発明の一実施形態に係るオフセット印刷装置１００のブランケットホイール１２０とプレートシリンダ１２４の接触箇所周辺の拡大図。 本発明の一実施形態に係るオフセット印刷用のブランケット１１０にインキＰを転写する前後のブランケット１１０及び印刷版１２５の状態を示す断面図及び上面図。 本発明の一実施形態に係るオフセット印刷用のブランケット１１０に載せたインキＰを缶Ｃに転写する工程を示す模式図。

以下に、本発明の一実施形態に係るオフセット印刷用のブランケット１１０及びオフセット印刷装置１００について、図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態に係るオフセット印刷用のブランケット１１０は、図１に示すように、外表面に印刷面を備えたゴム層１１１と、ゴム層１１１の内面側に基材層１１３とを有している。
ゴム層１１１は、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム（ＮＢＲ）で形成される。
基材層１１３は、印刷時の版圧が好適になるよう基布層とスポンジ層との２層構造が好ましい。基布層およびスポンジ層は、いずれも、印刷インクや洗浄用溶剤などの液体を透過する。基布層は、例えばナイロン繊維やポリエステル繊維などの樹脂繊維を含んで形成される織布、または、綿布などで形成される。スポンジ層はゴム（例えばクロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム（ＮＢＲ）、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム（ＨＮＢＲ）等）または合成樹脂（例えばポリウレタン）などの発泡体で形成される。
基材層１１３のゴム層１１１側と反対側（内面側）には、公知のポリエステルウレタン系、あるいはエポキシ系接着剤、または、ゴム系、あるいはアクリル系、エポキシ系、ビニルエーテル系の合成樹脂をベースとする粘着剤からなる接着材が備えられるが、本実施形態では、接着材として層状の接着層１１４が備えられている。

ゴム層１１１は、平滑な外表面側の一部に凹状のブランク部１１２を有している。
しかし、ブランク部１１２にはゴム層１１１の裏面まで貫通している箇所がなく、基材層１１３を外表面側から隙間なく覆っている。
なお、ブランク部１１２の深さはゴム層１１１の厚みよりも浅く、ゴム層１１１を貫通するようには形成されていない。
ブランク部１１２はゴム層１１１を少なくとも０．０３ｍｍ以上残すように形成されている。
本発明の一実施形態に係るオフセット印刷装置１００は、図２乃至図３に示すように、ブランケットホイール１２０を有している。
円柱状のブランケットホイール１２０の側面には、ブランケット１１０を接着材によって装着可能な装着基盤１２１が複数（図２は簡略化のため１つのみ記載）設けられており、ブランケット１１０を装着したまま回転可能に構成されている。

ブランケットホイール１２０の周囲には、ブランケットホイール１２０と同期して回転するプレートシリンダ１２４及びマンドレルホイール１３０が設けられている。
円柱状のプレートシリンダ１２４の側面には、印刷版１２５が取り付けられている。プレートシリンダ１２４の周囲には、インカー１２２のインカーローラー１２３が複数設けられている。
マンドレルホイール１３０には、缶Ｃ内への出入可能で、進入して缶底Ｃｂ形成側の反対側から支持し（図５参照）、回転可能なマンドレル１３１が設けられている。
マンドレルホイール１３０の周囲には、バーニッシュコーティングユニット１４０及びトランスファーターレット１４１が隣接している。

次に、本発明の一実施形態に係るブランケット１１０を使用したオフセット印刷装置１００による、缶Ｃへの印刷手順について、図１乃至図５に基づいて説明する。
まず、オフセット印刷装置１００に供給された缶Ｃは、マンドレル１３１が進入して円筒面を露出した状態でマンドレル１３１に回転可能に保持され、マンドレルホイール１３０の回転によってブランケットホイール１２０側へ搬送される。
円柱状のプレートシリンダ１２４の側面に取り付けられた印刷版１２５は、プレートシリンダ１２４の回転によってインカー１２２のインカーローラー１２３と転動接触することで、隣接するインカーローラー１２３に付着しているインキＰを印刷版１２５の表面の凸部１２６に供給される。
このとき、１つのインカー１２２から供給可能なインキＰの色は一色であるため、複数色で印刷する場合は、使用するインキＰの色数と同じ数のインカー１２２を用いて印刷版１２５にインキＰを供給することとなる。

インキＰが供給された印刷版１２５は、プレートシリンダ１２４の回転によってブランケットホイール１２０側へ向かい、ブランケットホイール１２０の回転によってプレートシリンダ１２４側へ向かってきたブランケット１１０と転動接触する。
このとき、印刷版１２５の凸部１２６に供給されたインキＰがブランケット１１０のゴム層１１１の表面に転写されるが、ブランケット１１０のブランク部１１２は印刷版１２５の凸部１２６と接触しないため、ブランク部１１２にはインキＰは転写されない。

インキＰが転写されたブランケット１１０は、ブランケットホイール１２０の回転によってマンドレルホイール１３０側へ向かい、マンドレルホイール１３０の回転によってブランケットホイール１２０側へ向かってきた缶Ｃと接触し、ブランケット１１０に塗布されたインキＰがさらに缶Ｃに転写される。
このとき、缶Ｃは缶底Ｃｂ形成側と反対側をマンドレル１３１に支持され回転しているため、缶Ｃの円筒面とブランケット１１０とは転動接触する。
なお、缶Ｃの円筒面にはブランク部１１２形成面以外のゴム層１１１に塗布されたインキＰが転写されるため、印刷版１２５のデザインに加え、インキＰを供給されないブランク部１１２の形状によって新たなデザイン（第二のデザイン。図の○と△）が施され、デザイン性が向上する。

また、ブランケットホイール１２０に装着されている複数のブランケット１１０が異なるブランク部１１２を有している場合は、缶Ｃに転写されるデザインがブランケット１１０毎に異なるため、缶Ｃの円筒面に一部が異なるデザインを印刷した製品を、同一のオフセット印刷装置１００から、連続して製造することが可能となる。
即ち、缶Ｃの円筒面に印刷するデザインの数を容易に増やすことができる。
インキＰが転写された缶Ｃは、マンドレルホイール１３０及びマンドレル１３１の回転によってバーニッシュコーティングユニット１４０と転動接触し、缶Ｃの円筒面が表面処理される。
その後、缶Ｃはマンドレルホイール１３０からトランスファーターレット１４１へ移り、さらにピンチェーン２００に移載され、次工程へ搬送される。
本発明のブランケット１１０及び、これを用いたオフセット印刷装置１００は、ゴム層１１１が基材層１１３を外表面側から隙間なく覆っているため、基材層１１３や接着層１１４が外表面側（印刷面側）に露出しない。
そのため、ゴム層１１１外表面に塗布したインキＰや、ゴム層１１１の外表面洗浄時に使用する溶剤などがゴム層１１１と基材層１１３との層間や、基材層１１３（また、基材層１１３の基布層とスポンジ層との層間）、接着層１１４へ浸透しないため、層間や基材層１１３、接着層１１４の劣化を防ぎ、ブランケット１１０の劣化による交換の頻度を抑えることができる。
さらに、ブランク部１１２は、ゴム層１１１を少なくとも０．０３ｍｍ以上残すように形成されているため、印刷面の形状が歪みにくく、ブランケット１１０のブランケットホイール１２０（ブランケット装着基盤１２１）への装着位置がずれにくくなるとともに、ゴム層１１１が極端に薄くなりすぎることがなく、ブランケットホイール１２０への装着時や印刷時にかかる負荷でゴム層１１１が裂けたり欠けたりしない。
また、基材層１１３が、それぞれ液体を透過する基布層とスポンジ層とを有しているため、基材層１１３の柔軟性が高くなり、ブランケット１１０と印刷版１２５との転動接触時や、ブランケット１１０と缶Ｃの円筒面との転動接触時において、隙間なく互いを密着させることができる。

以上、本発明のオフセット印刷用のブランケット及びオフセット印刷装置の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
なお、上述した実施形態では、オフセット印刷装置はブランケットから缶の円筒面に対してインキを転写し印刷するものとして説明したが、印刷対象はこれに限定されず、例えば、円筒状に形成する前の板状の金属面でもよく、ダンボールなどの紙製品の表面でもよい。
また、上述した実施形態では、印刷の施された缶はトランスファーターレットを通過しピンチェーンによって次工程へ搬送されるものとして説明したが、缶の搬送方法はこれに限定されず、例えば、コンベアで搬送してもよい。
また、上述した実施形態では、ブランク部は周囲をゴム層に囲まれた凹状に形成されているものとして説明したが、ブランク部の形状はこれに限定されず、ブランケットの外周縁にブランク部が隣接してもよい。例えば、ブランク部をゴム層の外表面を分断する凹溝状に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、基材層は基布層とスポンジ層の２層構造であるものとして説明したが、基材層の層構成はこれに限定されず、例えば、単層でもよい。
また、上述した実施形態では、接着材は、一様な層状であるものとして説明したが、接着材の塗布状態はこれに限定されず、例えば、ブランケットを接着固定できる範囲で塗布により点在させてもよい。

１００ ・・・ オフセット印刷装置
１１０ ・・・ ブランケット
１１１ ・・・ ゴム層
１１２ ・・・ ブランク部
１１３ ・・・ 基材層
１１４ ・・・ 接着層
１２０ ・・・ ブランケットホイール
１２１ ・・・ ブランケット装着基盤
１２２ ・・・ インカー
１２３ ・・・ インカーローラー
１２４ ・・・ プレートシリンダ
１２５ ・・・ 印刷版
１２６ ・・・ 凸部
１３０ ・・・ マンドレルホイール
１３１ ・・・ マンドレル
１４０ ・・・ バーニッシュコーティングユニット
１４１ ・・・ トランスファーターレット
２００ ・・・ ピンチェーン
Ｃ ・・・ 缶
Ｃｂ ・・・ 缶底
Ｐ ・・・ インキ

Claims (7)

1. 外表面に印刷面を備えたゴム層と、前記ゴム層の内面側に基材層と、を有するオフセット印刷用のブランケットであって、
   前記ゴム層は、外表面に凹状のブランク部を有し、前記基材層を外表面側から隙間なく覆っていることを特徴とするオフセット印刷用のブランケット。
2. 前記基材層の前記ゴム層側と反対側に、前記ブランケットをブランケット装着基盤に接着する接着材を備えたことを特徴とする、請求項１に記載のオフセット印刷用のブランケット。
3. 前記基材層が、それぞれ液体を透過する基布層とスポンジ層とを有することを特徴とする、請求項１または２に記載のオフセット印刷用のブランケット。
4. 前記凹状のブランク部の深さは、前記ゴム層の厚みよりも浅いことを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のオフセット印刷用のブランケット。
5. 前記凹状のブランク部を有する前記ゴム層の最も薄い部分の厚みは、０．０３ｍｍ以上であることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載のオフセット印刷用のブランケット。
6. 請求項１乃至請求項５のいずれかに記載のオフセット印刷用のブランケットを備えたことを特徴とする、オフセット印刷装置。
7. 前記オフセット印刷装置のブランケットホイール表面に前記オフセット印刷用のブランケットを接着するための複数のブランケット装着基盤が所定ピッチで配置されていることを特徴とする、請求項６に記載のオフセット印刷装置。

Images