JP2018006738A - 圧電材料、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、振動波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置および電子機器 - Google Patents
圧電材料、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、振動波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置および電子機器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018006738A JP2018006738A JP2017114336A JP2017114336A JP2018006738A JP 2018006738 A JP2018006738 A JP 2018006738A JP 2017114336 A JP2017114336 A JP 2017114336A JP 2017114336 A JP2017114336 A JP 2017114336A JP 2018006738 A JP2018006738 A JP 2018006738A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piezoelectric
- piezoelectric material
- piezoelectric element
- mol
- vibration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
- Camera Bodies And Camera Details Or Accessories (AREA)
Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる金属酸化物を含む主成分と、Biと、Mnを含有するペロブスカイト型構造の圧電材料であって、前記Biの含有量が前記金属酸化物1モルに対して0.1モル%以上0.5モル%以下であり、前記Mnの含有量が前記金属酸化物1モルに対して0.3モル%以上1.5モル%以下であり、ペロブスカイト単位格子中のOに対して12配位の位置にあるBiを起点とした12種類のBi−O結合の距離を長さの順にL1〜L12としたときに、(L4−L5)/L5≧0.05かつ(L8−L9)/L9≧0.05であることを特徴とする圧電材料。
一般式(1)
(Ba1-xM1x)(Ti1-yM2y)O3(ただし、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1、M1とM2は足して+6価となる互いに異なる金属元素であってBa、Ti、Bi、Mn以外の元素より選ばれる。)
【選択図】図1
Description
一般式(1)
(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3
(ただし、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1、M1とM2は足して+6価となる互いに異なる金属元素であってBa、Ti、Bi、Mn以外の元素より選ばれる。)
本発明の圧電材料は、下記一般式(1)で表わされる金属酸化物を含む主成分と、Biよりなる第1副成分と、Mnよりなる第2副成分とを有するペロブスカイト型構造の圧電材料であって、前記Biの含有量が前記金属酸化物1モルに対して0.1モル%以上0.5モル%以下であり、前記Mnの含有量が前記金属酸化物1モルに対して0.3モル%以上1.5モル%以下であり、ペロブスカイト単位格子中のOに対して12配位の位置にあるBiを起点とした12種類のBi−O結合の距離を長さの順にL1〜L12としたときに、(L4−L5)/L5≧0.05かつ(L8−L9)/L9≧0.05であることを特徴とする。
一般式(1)
(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3
(ただし、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1、M1とM2は足して+6価となる互いに異なる金属元素であってBa、Ti、Bi、Mn以外の元素より選ばれる。)
ペロブスカイト型構造(ペロフスカイト型構造とも言う)を有する金属酸化物は一般にABO3の化学式で表現される。ペロブスカイト型構造の金属酸化物において、元素A、B(それぞれA元素、B元素と呼ぶことにする)は各々イオンの形でAサイト、Bサイトと呼ばれる単位格子の特定の位置を占める。例えば、立方晶系の単位格子であれば、A元素を立方体の頂点としたときに、B元素は体心に位置し、O元素は酸素の陰イオンとして立方体の面心位置を占める。単位格子が立方晶単位格子の[001]、[011]、または[111]方向に歪むことにより、それぞれ、正方晶、斜方晶、菱面体晶のペロブスカイト型構造の結晶格子となる。これらABO3の化学式で表現されるペロブスカイト型構造の結晶格子において、A元素の第一近接の元素はO元素であり、A元素の周りに12個のO元素が配位している。また、A元素の第二近接の元素はB元素であり、A元素の周りに8個のB元素が配位している。他方、B元素の第一近接の元素は同様にO元素であり、B元素の周りに6個のO元素が配位し、B元素の第二近接の元素はA元素であり、B元素の周りに8個のA元素が配位している。
ここで言う圧電定数とは、圧電材料に電圧を印加した時の圧電材料の変位(伸張、収縮、ずり)の度合いを示す量である。例えばd31圧電定数とは、圧電材料のマクロな分極方向(通常は分極処理の際に電圧を印加した方向)に電圧を印加した際の分極方向と直交方向の収縮(伸張)変位に対する電圧の比例係数、つまり単位電圧あたりの変位量である。また逆に、材料に応力を印加した際に誘起される電荷量としても定義できる。また、ここで言う機械的品質係数とは、圧電材料を振動子として評価した際の振動による弾性損失を表す係数である。機械的品質係数が高いほど、振動の際に損失するエネルギーは小さい。前記圧電材料の圧電定数および機械的品質係数は、市販のインピーダンスアナライザを用いて得られる共振周波数および***振周波数の測定結果から、電子情報技術産業協会規格(JEITA EM−4501)に基づいて、計算により求めることができる。以下、この方法を共振−***振法と呼ぶ。圧電定数に関しては、電圧印加時の変位量、または応力印加時の誘起される電荷量を直接計測することによっても求めることができる。
Biの価数は酸化物中では+3価と+5価を取りうるが、+3価のBiには6s孤立電子対が存在するという特徴を有する。この孤立電子対の存在はBiとその周りに存在する原子との配位環境に立体障害を生じさせ得ることが知られている。つまり、Biが同種の元素に囲まれている状況において、Biは中心対称位置に存在せず、偏った位置に存在することが多い。そのため、+3価のBiが主成分の化合物(特に金属酸化物)では立方晶などの対称性の高い結晶構造は取らずに、歪んだ結晶構造を取ることが多い。その代表例はBiFeO3であり、本来は立方晶かそれに近い結晶構造を取りやすいペロブスカイト型構造でありながら、立方晶表記での[111]方向に大きく歪んだ菱面体晶ペロブスカイト型構造を広い温度範囲で取ることが知られている。このBi孤立電子対の性質より、Biを主成分としない化合物(特に金属酸化物)にBiを僅かに添加し、主成分元素の一部を置換した場合、Biは本来の主成分元素を置換しながらも本来の原子位置からシフトした位置に存在しうる。これがBi周囲の原子との配位環境に偏りを生じさせ、Bi周りに局所的な電気分極が発生する。主成分の化合物が自発分極を有する強誘電体である場合、このBi周りの局所的な電気分極と強誘電体の自発分極は相互作用し、特に局所的な電気分極がマクロな自発分極を増強するよう作用することで、強誘電体の分極状態は安定したものとなる。
BiによりBaTiO3のBaサイト(Aサイト)を置換した場合、上述の孤立電子対による立体障害のため、図1に示すようにBiは周囲の12個のO原子に囲まれた中心対称位置から大きくずれた位置に存在することになる。このBi位置の中心対称位置からの偏りにより、Bi周囲に局所的な電気分極が発生する。この局所的な電気分極がマクロな自発分極と相互作用し、圧電材料全体の分極状態をより安定化させるためには、Bi周囲の局所的な電気分極がほぼc軸方向で、ある程度以上の大きさを有する必要がある。そのためには、Biが12個のO原子に囲まれた中心対称の位置、すなわち単位格子の対称位置から、ほぼc軸方向に比較的大きく偏った位置に存在している必要がある。BaTiO3はc軸方向に僅かに歪んだ正方晶であり、自発分極の向きもc軸方向であることから、Bi位置の中心対称位置からの偏りはc軸方向またはそれに近い方向であると推測できる。
これを12種類のBi−O結合距離を長いものから順にL1〜L12として表現すると、図1に示したように結合距離の長いL1〜L4、結合距離の短いL9〜L12、および中間の結合距離のL5〜L8の3つのグループに分類でき、L4とL5、L8とL9の間に比較的大きな差が生じることになる。このとき、L1〜L4のグループはL5〜L8より5%以上距離が長く、同様にL5〜L8のグループはL9〜L12のグループより5%以上距離が長いという条件であれば、マクロな電気分極を安定化させるだけの局所的な電気分極がBi周囲に発生することになる。好ましくは、L1〜L4のグループはL5〜L8より10%以上距離が長く、同様にL5〜L8のグループはL9〜L12のグループより10%以上距離が長いという条件である。さらに好ましくは、L5〜L8のグループはL9〜L12のグループより20%以上距離が長いという条件である。逆にL1〜L4のグループとL5〜L8のグループの距離の差が5%未満であり、L5〜L8のグループとL9〜L12のグループの距離の差が5%未満であると、Bi周囲にマクロな電気分極を安定化させるだけの局所的な電気分極を発生させることにならず、ドメイン壁の移動抑制効果が得られず、結果として室温において十分な機械的品質係数が得られなくなる。これらの条件を式で表すと、
(L4−L5)/L5≧0.05、かつ(L8−L9)/L9≧0.05 (2)
であり、好ましくは
(L4−L5)/L5≧0.10、かつ(L8−L9)/L9≧0.10 (2´)
であり、さらに好ましくは
(L4−L5)/L5≧0.10、かつ(L8−L9)/L9≧0.20 (2´´)
である。ただし、L1〜L4のグループの距離がL5〜L8のグループの距離より50%を超えて長くなると、またはL5〜L8のグループの距離がL9〜L12のグループの距離より100%を超えて長くなると、もはやペロブスカイト型構造を維持できなくなると考えられる。この条件を式で表すと、
(L4−L5)/L5≦0.50、かつ(L8−L9)/L9≦1.00 (2´´´)
となる。
また、最も長いBi−O結合距離L1は最も短い結合距離L12に比べて25%以上長いという条件も、マクロな自発分極を安定化させるだけの局所的な電気分極がBi周囲に発生することの条件となる。好ましくは、L1はL12に比べて35%以上長いという条件である。逆に、L1とL12の距離の差が25%未満であると、Bi周囲にマクロな電気分極を安定化させるだけの局所的な電気分極を発生させることにならず、ドメイン壁の移動抑制効果が得られず、結果として室温において十分な機械的品質係数が得られなくなる。
この条件を式で表すと、
(L1−L12)/L12≧0.25 (3)
であり、好ましくは
(L1−L12)/L12≧0.35 (3´)
となる。ただし、L1とL12の差が200%を超えると、もはやペロブスカイト型構造を維持できなくなると考えられる。この条件を式で表すと、
(L1−L12)/L12≦2.00 (3´´)
となる。
12種類のBi−O結合距離L1〜L12はBiのXAFSスペクトルを取得し、EXAFS解析から得られた動径構造関数をフィッティング処理することで得ることができる。フィッティング処理はL1〜L12の12個を未知パラメータとして行ってもよいが、Biがc軸方向に偏って存在している場合には結合距離の長いL1〜L4、結合距離の短いL9〜L12、および中間の結合距離のL5〜L8の3つの結合距離を仮定してフィッティングを行うことで、十分に信頼性の高い結果が得られる。
同様に図1に示すように、Bi原子位置の偏りにより、第二近接である8個のTi原子に囲まれた中心位置からも比較的大きくずれていることがわかる。すなわちBi周囲の局所的な電気分極の発生を規定するための条件をBi−Ti結合距離で定義することもできる。Tiに対して8配位の位置にあるBiを起点とした8種類のBi−Ti結合距離を長いものから順にD1〜D8として表現すると、結合距離の長いD1〜D4と結合距離の短いD5〜D8の2つのグループに分類でき、D4とD5の間に比較的大きな差が生じることになる。このとき、D1〜D4のグループはD5〜D8より5%以上距離が長いという条件であれば、マクロな電気分極を安定化させるだけの局所的な電気分極がBi周囲に発生することになる。好ましくは、D1〜D4のグループはD5〜D8より10%以上距離が長いという条件である。逆にD1〜D4のグループとD5〜D8のグループの距離の差が5%未満であると、Bi周囲にマクロな電気分極を安定化させるだけの局所的な電気分極を発生させることにならず、ドメイン壁の移動抑制効果が得られず、結果として室温において十分な機械的品質係数が得られなくなる。これらの条件を式で表すと、
(D4−D5)/D5≧0.05 (4)
であり、好ましくは
(D4−D5)/D5≧0.10 (4´)
となる。ただし、D1〜D4のグループの距離がD5〜D8のグループの距離より40%を超えて長くなると、もはやペロブスカイト型構造を維持できなくなると考えられる。この条件を式で表すと、
(D4−D5)/D5≦0.40 (4´´)
となる。
このように、僅かに添加してBa原子位置に置換されたBi原子の周囲では局所的に歪んだ構造が実現するが、もともと存在している主成分元素であるBaの周囲は、Bi添加によりほとんど影響はなく、Ba周囲に局所歪はほとんど発生しない。すなわち、Ba周囲の歪をBa−O結合距離で表現すると、上述のBi添加のない場合と同様に、最長のBa−O結合距離と最短のBa−O結合距離の差が最短のBa−O結合距離の5%に満たないほど僅かなままである。すなわち、Ba−O結合距離の分布は±5%未満の範囲内である。BaTiO3の場合には最長のBa−O結合距離と最短のBa−O結合距離の差が最短のBa−O結合距離の3%に満たないほど僅かなままであるため、より好ましくは、Ba−O結合距離の分布は±3%未満の範囲内である。
BaTiO3を主成分とする圧電材料は、焼結体(セラミックス)の形態で使用されることが多い。このときの圧電セラミックスの粒径は500nmから10μmの範囲にあるのが、圧電特性および機械的強度の観点から望ましいとされている。このような圧電セラミックスを光学顕微鏡または電子顕微鏡によりドメイン構造を観察すると、粒径が1μmに満たない粒のドメイン壁は粒の端から端に渡って粒内を横断しており、粒径1μm超の粒においてはドメイン壁は粒の端から端を横断する物もあれば、粒内で2個または数個に分断されているものも存在しており、概してドメイン壁の長さは500nm程度かそれ以上であることが知られている。BaTiO3を主成分とする一般式(1)で表わされる金属酸化物圧電材料に僅かにBiを添加し、Bi周りの局所的な電気分極を導入するにあたり、BaTiO3を主成分とする一般式(1)の金属酸化物の格子定数がおよそ0.4nmであることから、一般式(1)の金属酸化物結晶1000格子のうち1格子にBiを導入することができれば、粒内のドメイン壁に沿った格子列1列に最低1個の局所的な電気分極を配置することができる。すなわち、一般式(1)の金属酸化物に含有される第1副成分であるBiの含有量が、一般式(1)の金属酸化物1モルに対して0.1モル%以上であれば、ドメイン壁に沿った結晶格子列各列に最低1個のBiを導入でき、同時にBi周りの局所的な電気分極を導入できる。これにより、ドメイン壁近傍の分極状態が安定化、すなわちドメイン壁が移動(振動)でき難い状態となり、機械的品質係数が向上する。しかし、BiをBaTiO3を主成分とする金属酸化物に導入する場合、Biを均一に金属酸化物内に分布させることが難しい。一定量以上のBi添加、あるいはBi添加した原料粉末の混合不足により、Biが金属酸化物中に不均一に分布してしまい、リラクサーと呼ばれる不規則系誘電体の様な特性を示したり、Bi原子位置が特定の方向への偏りを示さずに不特定の方向にばらばらに偏ることでBi周囲の局所的な電気分極の生成が不十分となったり、Biの粒界析出により絶縁性の劣化などが生じ、材料本来の特性を示さなくなるという問題が生じる。一般式(1)で示される金属酸化物の場合、Biが均一分布するためのBiの含有量の上限は、一般式(1)の金属酸化物1モルに対して0.5モル%である。注意すべきことは、たとえBiの含有量が一般式(1)の金属酸化物1モルに対して0.5モル%以下であっても、Bi原料粉末および一般式(1)の金属酸化物の原料粉末同士を十分に混合した上で焼成する必要がある。さもなければ、Biが不均一分布または粒界析出した金属酸化物となり、所望の材料特性が得られないことになる。
添加したBiが均一に分布していることを確認する手段として、以下に挙げる手法を用いることができる。
第一の手法は、分析機能を備えた電子顕微鏡により、Bi含有量の異なる異相あるいは析出物が存在しないことを確認することである。
第二の手法は、X線回折によりBi添加の有無または添加量に依存した特定の回折ピークが存在しないことを確認することである。
第三の手法は、EXAFS解析の際にBiが均一に存在することを前提にした構造モデル、例えば単一の配位構造モデルにより、EXAFS解析から得られた動径構造関数をフィッティング処理できることを確認することである。
第四の手法は、誘電率の温度依存性測定より、Biの添加量に依存して、キュリー温度Tcや相転移温度Totが系統的に変化し、かつ相転移の際の誘電率の変化の急峻さはBi添加に影響されないことを確認することである。
第五の手法は、インピーダンスの周波数依存性スペクトルを取得し、容量成分と抵抗成分の直列および並列接続を仮定したモデルを用いてスペクトルを解析することで、均一性を確認することである。その際に、均一粒子の集合体であっても粒内部と粒界とで異なる抵抗成分を示す場合があることである。これは粒界のポテンシャル障壁が粒同士の接合条件次第で変化することに起因するものであり、粒界へのBi析出に起因するものと区別される。粒界へのBi析出に起因しないものであれば、容量成分は粒内部と粒界とで大きく異なることはない。
これらの手法を用いて、Biの均一分布を確認することができる。また、これ以外の妥当な方法を用いてもよい。
上述の通り、一般式(1)の金属酸化物1モルに対して0.1モル%以上0.5モル%のBiを含有させることにより、ドメイン壁が移動しにくい材料が実現できるが、このままでは圧電材料としては機能しない。なぜなら、Biを一般式(1)の金属酸化物のAサイトに導入したとすると、通常+2価であるAサイトに+3価のBiが入ることとなり、ドナーをドープしたことに等しい、すなわち、Biを導入することにより伝導電子が生成し、絶縁性が劣化してしまう。絶縁性の劣る圧電材料では、分極処理において高電圧印加が困難となり、マクロな分極を十分に揃えることができず、所望の圧電特性が得られないといった問題が生じる。また、絶縁性の劣化により誘電正接が増大するため、駆動電圧印加時の電気的損失、すなわちジュール熱の発生が大きくなるといった問題も生じる。その問題を解決するためには、Biドナーを補償するアクセプターを導入する必要があるが、その目的のためのアクセプターとしてはMnが望ましい。BaTiO3に微量のMnを添加して焼成した場合、Mnは通常Tiの一部を置換しBサイトに存在する。その時のMnの価数は通常+4価であり、+4価であるTiを置換しても電気的中性は保たれる。このMn添加BaTiO3にドナーを導入した場合、例えばAサイトに+3価のBiを導入した時、Mnは+4価の他に+3価、+2価の状態を安定的に取ることはできるため、導入されたドナー量に応じて、電気的中性条件を満たすようにMnの一部が+3価または+2価のアクセプターとなる。そのため、Biを単独で導入した時のような伝導電子の生成がなく、絶縁性が良好のまま保たれる。そのため、Biを添加しても絶縁性が劣化することなく、期待される圧電特性を得ることができ、動作時の電気的損失も小さいまま保つことが可能となる。Mnの添加量はBiドナーを補償するためにはBiと同量であればよいが、Mnを単独添加した場合でも少量であれば特性の劣化は無く、むしろ絶縁性の向上や圧電性能(特に機械的品質係数)の向上効果が認められるため、Bi添加量より多く導入することが望ましい。ただし、Mnを多量に導入するとMnアクセプターによる伝導ホールの生成、あるいはMnを主成分とする導電性の副生成物の析出により絶縁特性が劣化する。そのため、Biを一般式(1)に対して0.1モル%から0.5モル%の範囲で添加する場合には、Mnは一般式(1)に対して0.3モル%以上1.5モル%の範囲で添加することが望ましい。
添加したMnが均一に分布していることを確認する手段としては、上述のBiの均一分布の確認手法を同様に用いることができる。それに加えてMnの場合は、磁化率の温度依存性がキュリー・ワイス則に従うことを確認するという手法も用いることができる。析出などによりMnが部分的に高濃度に存在する場合は、磁化率は低温でMnの磁気秩序相転移に起因した異常が見られることがある。また、明らかな異常がなくとも、磁化率の温度依存性がキュリー・ワイス則からずれてしまう。Mnが均一かつ希薄に存在する場合にのみ磁化率の温度依存性はキュリー・ワイス則に従った振る舞いをするので、Mn添加量による磁化率の温度依存性の振る舞いの変化を調べることにより、Mnの均一分布を確認することができる。
本明細書中において「セラミックス」とは、基本成分が金属酸化物であり、熱処理によって焼き固められた結晶粒子の凝集体(バルク体とも言う)、いわゆる多結晶を表す。また、「セラミックス」には焼結後に加工されたものも含まれる。
本明細書において「膜」とは、平板上の基材(基板)のある面を覆うように密着して設けられた集合組織を表す。膜をその設置面に対して垂直方向に計測した厚さは10μm以下であり、該垂直方向における結晶粒の積み上げ数が20個以内であるものを本発明では膜とする。
TotおよびTcは試料(圧電材料)の温度を変化させながらインピーダンスアナライザ(例えば、Keysight Technologies社(旧Agilent Technologies社)製 4194A)で静電容量を測定して求めることができる。測定により得られた静電容量は誘電率に変換できる。同時に誘電正接の温度依存性もインピーダンスアナライザで測定し求めることができる。Totとは結晶系が正方晶(tetragonal)から斜方晶(orthorhombic)に変化する温度である。
本発明に係る圧電材料の製造方法は特に限定されないが、以下に代表的な製造方法を説明する。
セラミックス状の圧電材料(圧電セラミックス)を製造する場合は、構成元素を含んだ酸化物、炭酸塩、硝酸塩、蓚酸塩などの固体粉末を常圧下で焼結する一般的な手法を採用することができる。
本発明に係る圧電セラミックスの原料粉を混合する方法は特に限定されないが、通常のBaTiO3系圧電セラミックスの製造時に使用される混合方法より大きな力、特にせん断応力を加えた方法により十分に混合することが望ましい。最も望ましい方法は遊星ボールミルを用いた混合方法である。ジルコニア製、あるいはアルミナ製や金属製のポット中に所望の組成になるように秤量した原料粉末と、ジルコニア製やアルミナ製の直径0.5mmから10mmのボールと共に入れ、100から900回転毎分程度の速度で自転と公転をさせることで混合を行うものである。このとき、原料粉末とボールのみをポットに入れて混合を行う乾式混合でもよく、エタノールや水などの液体を同時に入れて混合を行う湿式混合でもよい。このような方法で原料粉末の混合を行うことにより、Bi原料が他の原料とよく混合され、その後の焼成により、Biが均一に分布した金属酸化物を得ることができる。Biを添加した原料粉末の混合不足が生じると、Biが金属酸化物中に不均一に分布してしまい、リラクサーと呼ばれる不規則系誘電体の様な特性を示したり、Bi原子位置が特定の方向への偏りを示さずに不特定の方向にばらばらに偏ることでBi周囲の局所的な電気分極の生成が不十分となるなどの不具合が生じる可能性がある。
本発明に係る圧電セラミックスの原料粉を造粒する方法は特に限定されない。造粒する際に使用可能なバインダーの例としては、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)、アクリル系樹脂などが挙げられる。添加するバインダーの量は、Ba化合物、Ti化合物、Mn化合物、Bi化合物、Ca化合物、Sr化合物、Zr化合物、Hf化合物およびSn化合物などの原料粉末の総和100重量部に対して、1重量部から10重量部が好ましく、成形体の密度が上がるという観点において2重量部から5重量部がより好ましい。
本発明に係る圧電セラミックスの焼結方法は特に限定されない。焼結方法の例としては、電気炉による焼結、ガス炉による焼結、通電加熱法、マイクロ波焼結法、ミリ波焼結法、HIP(熱間等方圧プレス;hot isostatic pressing)などが挙げられる。電気炉およびガス炉による焼結は、連続炉であってもバッチ炉であっても構わない。
以下に本発明の圧電材料を用いた圧電素子について説明する。
図2は本発明の圧電素子の構成の一実施形態を示す概略図である。本発明に係る圧電素子は、第一の電極1、前記第一の電極上に設けられ、圧電材料を含む圧電材料部2および前記圧電材料部上に設けられた第二の電極3を少なくとも有する圧電素子であって、前記圧電材料部2が本発明の圧電材料であることを特徴とする。
前記圧電素子は一定方向に分極軸が揃っているものであると、より好ましい。分極軸が一定方向に揃っていることで前記圧電素子の圧電定数は大きくなる。
前記圧電素子の圧電定数および機械的品質係数は、市販のインピーダンスアナライザを用いて得られる共振周波数および***振周波数の測定結果から、電子情報技術産業協会規格(JEITA EM−4501)に基づいて、計算により求めることができる。以下、この方法を共振−***振法と呼ぶ。
次に、本発明の圧電材料を用いた積層圧電素子について説明する。
本発明に係る積層圧電素子は、圧電材料部内に少なくとも1つの内部電極を備えた構成を有し、前記圧電材料部を構成する圧電材料からなる圧電材料層と、層状の少なくとも1つの内部電極とが交互に積層された積層構造を有する圧電素子であって、前記圧電材料層が本発明の圧電材料よりなることを特徴とする。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、前記本発明の圧電素子を配した振動部を備えた液室と前記液室と連通する吐出口とを有することを特徴とする。本発明の液体吐出ヘッドによって吐出する液体は流動体であれば特に限定されず、水、インク、燃料などの水系液体や非水系液体を吐出することができる。
次に、本発明の液体吐出装置について説明する。本発明の液体吐出装置は、被転写体を載置する載置部と、前記被転写体に液体を吐出する前記液体吐出ヘッドと、を備えたものである。
本発明に係る振動波モータは、前記圧電素子を配した振動体と、前記振動体と接触する移動体とを有することを特徴とする。
次に、本発明の光学機器について説明する。本発明の光学機器は、駆動部を有する光学機器であって、駆動部が前記振動波モータを備えることを特徴とする。
その回転力が、フォーカスキー(不図示)を介して、直進案内筒713の内周に回動自在に嵌まっているカム環715に伝達される。カム環715が光軸周りに回転させられると、カム環715のカム溝に嵌って設けられた後群鏡筒716のカムローラによって、回転規制された後群鏡筒716が、カム環715のカム溝に沿って進退する。これにより、後群鏡筒716に保持されたフォーカスレンズ702が駆動され、フォーカス動作が行われる。
なお、図8に示される交換レンズ鏡筒には、マニュアルフォーカス動作を行うために、低摩擦シート(ワッシャ部材)733を介して固定筒712と嵌合しているマニュアルフォーカス環724が設けられている。
粒子、粉体、液滴の搬送、除去等で利用される振動装置は、電子機器等で広く使用されている。以下、本発明の圧電素子を用いた振動装置について説明する。
次に、本発明の撮像装置について説明する。本発明の撮像装置は、前記塵埃除去装置と光を受光する撮像素子ユニットとからなる撮像ユニットを有する撮像装置であって、前記塵埃除去装置が備える振動板が、前記撮像素子ユニットの受光面側に配置されていることを特徴とする。
次に、本発明の圧電音響部品、電子機器について説明する。本発明の圧電音響部品は、前記本発明の圧電素子を備えたものである。
また、本発明の電子機器は、前記本発明の圧電素子を備えたことを特徴とする。圧電音響部品にはスピーカ、ブザー、マイク、表面弾性波(SAW:surface acoustic wavefilter)素子が含まれる。
(作製工程)
一般式(1)(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3で表わされる金属酸化物において、金属元素M1、M2を加えないx=0かつy=0の組成、すなわちBaTiO3に対して第1副成分であるBiと第2副成分であるMnを添加した圧電材料を作成した。まず実施例1から5として、BaTiO3に対してMn含有量を0.5モル%、Bi含有量をそれぞれ0.1モル%、0.2モル%、0.3モル%、0.4モル%、0.5モル%となる金属酸化物圧電材料を作製した。添加物の量がわかりやすいように、この実施例1から5までの材料名を「BaTiO3:Mn:Bi(x%)」と呼ぶことにする。ここで「x%」は上記のBi含有量(モル%)を示す。同様に比較例1としてBiもMnも添加しないBaTiO3材料、比較例2としてBaTiO3に対してMnを添加せず、Biのみ0.4モル%添加した材料(材料名「BaTiO3:Bi(0.4%)」)、比較例3および4として、BaTiO3に対してBiを添加せず、Mnのみ、それぞれ0.3モル%および0.5モル%添加した材料(材料名「BaTiO3:Mn(0.3%)」、および「BaTiO3:Mn(0.5%)」)を作製した。また、Biの効果を確認する目的で、BaTiO3:Mn:Bi(0.5%)のBiの半量および全量を、同じく+3価で同程度のイオン半径を有するLaで置き換えた材料をそれぞれ実施例6(材料名「BaTiO3:Mn:(Bi,La)」)および比較例5(材料名「BaTiO3:Mn:La」)として作製した。以下に作製手順を示す。
得られた材料の一部は粉砕し、微細な粉末にした上でX線回折測定を行った。ベンディングマグネット放射光X線光源を用いて波長0.39984Åまたは0.39987Åに単色化したX線を用い、デバイシェラー法により2θ角度ステップ0.01°で室温において測定した。得られたX線回折チャートを解析したところ、すべての材料について、単一の正方晶ペロブスカイト型結晶構造を仮定することで信頼性の高い解析結果が得られたことから、主相は単一の正方晶ペロブスカイト結晶構造を有することがわかった。また、主相以外の相は極微量しか存在しないことが確認できた。代表として図14にBaTiO3:Mn:Bi(0.2%)(実施例2)のX線回折チャートを示す。図14(a)は格子定数を精密に決定する目的で、結晶構造および格子定数が既知であるCeO2標準試料を混ぜ込んだ粉末試料の粉末X線回折チャートである。CeO2標準試料を混ぜ込んだ測定データをリートベルト(Rietveld)解析することにより得られた格子定数aおよびc、原子変位パラメータBおよび座標z、信頼性パラメータ(Rwp、S、RB、RF)、および混合比率(Fraction)の結果を表2に示す。この解析からそれぞれの材料の格子定数aおよびcを決定した。図14(b)はCeO2標準試料を混ぜないで測定した粉末X線回折チャートである。この測定データと、先の解析により精密に決定した格子定数aおよびcの値を固定値として用い、再びリートベルト解析を行うことで、Baサイト、Tiサイト、2種類の酸素サイト(O1およびO2)の原子変位パラメータBおよび座標zを決定した。その結果を表3に示す。
得られた圧電材料の焼結体の一部は表面を研磨して蛍光XAFS測定に用いた。本発明の圧電材料中に含まれるBiのL3吸収XAFSやMnのK吸収XAFSは、高感度測定である蛍光法(蛍光XAFS)により、高輝度の放射光X線を用いて測定するのが望ましい。実施例1から4であるBaTiO3:Mn:Bi(0.1〜0.4%)材料および比較例2であるBaTiO3:Bi(0.4%)材料のBi−L3 XAFSを蛍光法により測定した。ベンディングマグネット放射光X線を光源に用い、Si(311)面により13.1keVから14.3keVに単色化したX線を試料表面から45°の角度でX線エネルギーを掃引しながら照射し、試料表面から逆方向に45°の角度で、すなわち試料表面を介して入射X線と90°の角度に配置した19素子Ge半導体検出器を用いて、試料から放出されるBi−L3蛍光を検出することで蛍光XAFS測定を行った。半導体検出器によって計測された蛍光X線強度は同時にモニターしている入射X線強度で規格化処理を行い、測定スペクトルとした。また標準試料として、Biが平均して+4価でペロブスカイト型構造のBサイトに位置するBaBiO3、Biが+3価でペロブスカイト構造のAサイトに位置するBiFeO3、および同じくBiが+3価でペロブスカイト構造のAサイトに位置する0.67BiFeO3−0.33BaTiO3固溶体のBi−L3 XAFS測定も実施した。図17(a)に上記材料および標準試料のBi−L3 XAFSスペクトルの吸収端近傍の拡大図(XANESスペクトル)を示す。BaTiO3:Mn:Bi(0.1〜0.4%)材料のBi−L3 XANESスペクトルはBaBiO3のBi−L3 XANESスペクトルと比較すると吸収端エネルギーもスペクトル形状も異なっていることが見て取れる。一方、BiFeO3および0.67BiFeO3−0.33BaTiO3固溶体のBi−L3 XANESスペクトルと比較すると、吸収端エネルギーもスペクトル構造も良く似ている。このことより、BaTiO3:Mn:Bi(0.1〜0.4%)材料中のBiは+3価でAサイトに位置することがわかる。
BaTiO3:Mn材料およびBaTiO3:Mn:Bi材料中のMnの価数を評価する目的で、それらの材料の磁化率の温度依存性測定を実施した。BaTiO3およびBaTiO3:Biは非磁性(反磁性)であり、BaTiO3:MnおよびBaTiO3:Mn:Bi材料の中ではMnのみが磁性を示す元素である。しかも、Mnは低濃度で、かつ伝導電子がほぼ存在しない絶縁材料中に含有されているため、Mn原子間の磁気的相互作用は弱く、Mnに起因する磁化率の温度依存性は低温までキュリー・ワイス則に従う常磁性を示すと期待される。その磁化率の温度依存性の振舞いを解析することで、Mnの価数を評価できる。温度に依存しない反磁性とキュリー・ワイス則に従う常磁性が共存する材料の磁化率χは定数項を含むキュリー・ワイス則として、χ=C/(T−θp)+χc(ここでCはキュリー定数、Tは温度、θpは常磁性キュリー温度、χcは温度依存性のない反磁性磁化率すなわち定数項)で表すことができる。磁化率の温度依存性は超伝導量子干渉素子(SQUID)磁束計を用いて2Kから300Kまでの温度範囲で、100Oeの磁場を印加して測定した。測定する材料は粉末にし、ゼラチンカプセルに約200g充填してSQUID磁束計にセットし測定した。図20(a)に測定結果の一例としてBaTiO3:Mn(0.3%)材料の磁化率の温度依存性の測定値とそのフィッティング曲線(左軸:2Kから70K)を示す。測定値はフィッティング曲線により良くフィットしており、また、図中右軸に示した定数項を差し引いた逆磁化率(χ−χc)−1が直線になることから、磁化率の温度依存性が上記のキュリー・ワイス則に従っていることが理解できる。また、図中の挿入図には2Kから300K(室温)までの磁化率の温度依存性の測定値とそのフィッティング曲線を示しており、室温から2KまでMn価数は変化していないことが確認できる。それぞれの材料の磁化率の温度依存性から求めた各パラメータ(キュリー定数Cとそれから換算したMn価数、反磁性磁化率χc、常磁性キュリー温度θpおよび信頼性パラメータR2)を表5に示した。Mn価数はBiを含有していない材料では+4価に近く、Bi含有量が増加するに従って+3価に近づいていくことがわかる。このMn価数の変化を材料中のBi/Mn比で整理したものが図20(b)である。図中の直線は、Aサイトに置換された+3価のBiドナーを補償するために、Bサイトに位置する+4価Mnのうちの相応量がアクセプターである+3価Mnに変化するというモデルにおけるMn価数のBi/Mn比依存性を示す。磁化率の温度依存性より評価されたMn価数は上記モデルの直線とおおよそ一致した振舞いをすることから、MnはBi添加された場合に材料の電気的中性条件を満たすように価数を変化させていることが確認できた。
これらの圧電材料の焼結体の一部を表裏両面にわたり研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。この素子を用いて誘電率および誘電損失の温度依存性、ならびに室温における分極−電界(P−E)特性測定を実施した。
誘電特性測定用試料と同様に、圧電材料焼結体の一部を表裏両面にわたり研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。この素子を、表面温度が100℃から140℃のホットプレート上に設置し、両電極間に1.0kV/mmの電界を30分間印加して、分極処理した。こうして、電極に狭持された部分の圧電材料が電極面と垂直に残留分極を有する圧電素子を得た。なお、Biのみ添加したBaTiO3:Bi(0.4%)材料(比較例2)は分極処理の際の電圧印加により絶縁破壊を起こしてしまい、分極処理ができずに圧電素子の作製が成らなかった。
得られた圧電素子の室温(25℃)における圧電定数d31、室温における機械的品質係数Qmを評価した。これらのうち実施例4および比較例2(分極処理ができず測定不能)と比較例3から4の結果を表6に示す。圧電定数d31は室温(25℃)での共振−***振法によって求めた。機械的品質係数Qmは共振−***振法によって圧電定数と同時に求めた値を記載した。
(作製工程)
一般式(1)(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3で表わされる金属酸化物において、金属元素M1、M2を加えないx=0かつy=0の組成、すなわちBaTiO3に対して第1副成分であるBiと第2副成分であるMnを添加した圧電材料を作製した。実施例7としてBaTiO3に対してBi含有量を0.1モル%とMn含有量を0.3モル%、実施例8としてBaTiO3に対してBi含有量を0.5モル%とMn含有量を1.5モル%、比較例6および比較例7としてBaTiO3に対してBi含有量を1.0モル%と、Mn含有量をそれぞれ0.5モル%と2.0モル%となる金属酸化物圧電材料を作製した。
得られた材料の一部は粉砕し、微細な粉末にした上でX線回折測定を行った。ベンディングマグネット放射光X線光源を用いて波長0.39984Åまたは0.39987Åに単色化したX線を用い、デバイシェラー法により2θ角度ステップ0.01°で室温において測定した。得られたX線回折チャートを解析したところ、すべての材料について、単一の正方晶ペロブスカイト型結晶構造を仮定することで信頼性の高い解析結果が得られたことから、主相は単一の正方晶ペロブスカイト結晶構造を有することがわかった。また、主相以外の相は極微量しか存在しないことが確認できた。
得られた圧電材料の焼結体の一部は表面を研磨してBi−L3蛍光XAFS測定に用いた。測定は実施例1から4と同じ方法を用いて実施した。得られたBi−L3 XAFSスペクトルからEXAFS振動スペクトルを抽出し、これをフーリエ変換してBi動径構造関数を得た。このピーク構造をフィッティングにより解析し、Bi周りの配位環境の情報を得た。Bi−O結合の距離を長い順にL1からL12としたときの(L4−L5)/L5、(L8−L9)/L9、(L1−L12)/L12、およびBi−Ti結合の距離を長い順にD1からD8としたときの(D4−D5)/D5の値は表6に示した。
焼結体の一部を表裏両面にわたり研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。この素子を、表面温度が100℃から140℃のホットプレート上に設置し、両電極間に1.0kV/mmの電界を30分間印加して、分極処理した。こうして、電極に狭持された部分の圧電材料が電極面と垂直に残留分極を有する圧電素子を得た。
得られた圧電素子の室温(25℃)における圧電定数d31、室温における機械的品質係数Qmを評価した。これらの結果を表6に示す。圧電定数d31は室温(25℃)での共振−***振法によって求めた。機械的品質係数Qmは共振−***振法によって圧電定数と同時に求めた値を記載した。
(作製工程)
一般式(1)(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3で表わされる金属酸化物において、金属元素M1、M2を加えないx=0かつy=0の組成、すなわちBaTiO3に対して第1副成分であるBiを0.4モル%と第2副成分であるMnを0.5モル%添加した圧電材料を、実施例4と異なる方法を用いて作製した。
得られた圧電材料の焼結体の一部は表面を研磨してBi−L3蛍光XAFS測定に用いた。測定は実施例1から4と同じ方法を用いて実施した。得られたBi−L3 XAFSスペクトルからEXAFS振動スペクトルを抽出し、これをフーリエ変換してBi動径構造関数を得た。このピーク構造をフィッティングにより解析し、Bi周りの配位環境の情報を得た。Bi−O結合の距離を長い順にL1からL12としたときの(L4−L5)/L5、(L8−L9)/L9、(L1−L12)/L12、およびBi−Ti結合の距離を長い順にD1からD8としたときの(D4−D5)/D5の値は表6に示した。この結果はBi位置に偏りがほとんどないことを示唆している。これは作製工程においてBi原料が十分混合されていないことに起因していると推察される。
焼結体の一部を表裏両面にわたり研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。この素子を、表面温度が100℃から140℃のホットプレート上に設置し、両電極間に1.0kV/mmの電界を30分間印加して、分極処理した。こうして、電極に狭持された部分の圧電材料が電極面と垂直に残留分極を有する圧電素子を得た。
得られた圧電素子の室温(25℃)における圧電定数d31、室温における機械的品質係数Qmを評価した。これらの結果を表6に示す。圧電定数d31は室温(25℃)での共振−***振法によって求めた。機械的品質係数Qmは共振−***振法によって圧電定数と同時に求めた値を記載した。
(作製工程)
一般式(1)(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3で表わされる金属酸化物において、金属元素M1にCaまたはSr、M2にZrまたはHfまたはSnを加えたx=0.2かつy=0.1の組成の金属酸化物に対して第1副成分であるBiと第2副成分であるMnを添加した圧電材料を作製した。実施例9ではM1をCa、M2をZrとして、一般式(1)の金属酸化物に対してBi含有量を0.5モル%とMn含有量を0.3モル%とした組成とした。実施例10ではM1をCa、M2をHfとして、一般式(1)の金属酸化物に対してBi含有量を0.4モル%とMn含有量を0.5モル%添加した組成とした。実施例11ではM1をSr、M2をZrとして、一般式(1)の金属酸化物に対してBi含有量を0.4モル%とMn含有量を0.5モル%添加した組成とした。実施例12ではM1をSr、M2をSnとして、一般式(1)の金属酸化物に対してBi含有量を0.1モル%とMn含有量を1.5モル%添加した組成とした。また比較例9では、一般式(1)で表わされる金属酸化物においてM1をCaとしてx=0.1の組成とし、M2は加えない(すなわちy=0)組成とし、Biを添加せず、Mnのみ0.6モル%の含有量となるよう添加した組成とした。これらの金属酸化物圧電材料を作製した。
得られた材料の一部は粉砕し、微細な粉末にした上でX線回折測定を行った。ベンディングマグネット放射光X線光源を用いて波長0.39984Åまたは0.39987Åに単色化したX線を用い、デバイシェラー法により2θ角度ステップ0.01°で室温において測定した。得られたX線回折チャートを解析したところ、すべての材料について、単一の正方晶ペロブスカイト型結晶構造を仮定することで信頼性の高い解析結果が得られたことから、主相は単一の正方晶ペロブスカイト結晶構造を有することがわかった。また、主相以外の相は極微量しか存在しないことが確認できた。
得られた圧電材料の焼結体の一部は表面を研磨してBi−L3蛍光XAFS測定に用いた。測定は実施例1から4と同じ方法を用いて実施した。得られたBi−L3 XAFSスペクトルからEXAFS振動スペクトルを抽出し、これをフーリエ変換してBi動径構造関数を得た。このピーク構造をフィッティングにより解析し、Bi周りの配位環境の情報を得た。Bi−O結合の距離を長い順にL1からL12としたときの(L4−L5)/L5、(L8−L9)/L9、(L1−L12)/L12、およびBi−Ti結合の距離を長い順にD1からD8としたときの(D4−D5)/D5の値は表6に示した。
焼結体の一部を表裏両面にわたり研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。この素子を、表面温度が100℃から140℃のホットプレート上に設置し、両電極間に1.0kV/mmの電界を30分間印加して、分極処理した。こうして、電極に狭持された部分の圧電材料が電極面と垂直に残留分極を有する圧電素子を得た。
得られた圧電素子の室温(25℃)における圧電定数d31、室温における機械的品質係数Qmを評価した。これらの結果を表6に示す。圧電定数d31は室温(25℃)での共振−***振法によって求めた。機械的品質係数Qmは共振−***振法によって圧電定数と同時に求めた値を記載した。
(作製工程)
一般式(1)(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3で表わされる金属酸化物において、金属元素M1、M2を加えないx=0かつy=0の組成、すなわちBaTiO3に対して第1副成分であるBiを15モル%と第2副成分であるMnの代わりにFeを15モル%添加した圧電材料を、実施例4と異なる方法を用いて作製した。
得られた圧電材料の焼結体の一部は表面を研磨してBi−L3蛍光XAFS測定に用いた。測定は実施例1から4と同じ方法を用いて実施した。得られたBi−L3 XAFSスペクトルからEXAFS振動スペクトルを抽出し、これをフーリエ変換してBi動径構造関数を得た。このピーク構造をフィッティングにより解析し、Bi周りの配位環境の情報を得た。Bi−O結合の距離を長い順にL1からL12としたときの(L4−L5)/L5、(L8−L9)/L9、(L1−L12)/L12、およびBi−Ti結合の距離を長い順にD1からD8としたときの(D4−D5)/D5の値は表6に示した。
焼結体の一部を表裏両面にわたり研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。この素子を、表面温度が100℃から140℃のホットプレート上に設置し、両電極間に1.0kV/mmの電界を30分間印加して、分極処理した。こうして、電極に狭持された部分の圧電材料が電極面と垂直に残留分極を有する圧電素子を得た。
得られた圧電素子の室温(25℃)における圧電定数d31、室温における機械的品質係数Qmを評価した。これらの結果を表6に示す。圧電定数d31は室温(25℃)での共振−***振法によって求めた。機械的品質係数Qmは共振−***振法によって圧電定数と同時に求めた値を記載した。
添加したBiおよびMnの均一分布を確認する目的で、実施例1から6および比較例1から5に関して、電子顕微鏡観察、X線回折、EXAFS解析、誘電率の温度依存性、インピーダンスの周波数依存性の測定を実施した。電子顕微鏡観察からはBiおよびMnの析出に起因する異相は確認されなかった。X線回折からBiおよびMnの添加による特定の回折ピークの出現は見られなかった。EXAFS解析では動径分布関数を単一の配位構造モデルによりフィッティング処理することができた。誘電率の温度依存性では、キュリー温度Tcや相転移温度Totが系統的に変化し、かつ相転移の際の誘電率の変化の急峻さは添加物により変化しないことを確認した。インピーダンスの周波数依存性スペクトルは比較例2を除けばインピーダンスの虚部と実部は測定周波数の範囲(100Hzから10MHz)で単調な正の相関を示すのみで、粒内部および粒界とも均一な容量・抵抗成分を示すものと確認できた。比較例2に関してはインピーダンスの実部に対して虚部が2つの極大を持つ曲線を描き、粒内部と粒界での成分の違いを示唆する結果が得られたが、抵抗成分が異なるのみで容量成分は粒内部と粒界で同程度であることより、添加物の析出によるものでないことが確認できた。
また、実施例1から6および比較例3および4に関して磁化率の温度依存性の測定を実施した。いずれの測定結果とも高い信頼性でキュリー・ワイス則に従っていることが確認できた。
これらのことより、添加したBiおよびMnは析出や異相形成することなく、物質中に均一に分布していることが確認できた。
次に、本発明の積層圧電素子を作製した。
チタン酸バリウム粉末(平均粒径100nm、純度99.99%以上)、酸化ビスマス(Bi2O3)粉末(平均粒径1μm、純度99.999%以上)、二酸化マンガン(MnO2)粉末(平均粒径1μm、純度99.99%以上)を、表6の実施例4に記載の組成になるように秤量した。
実施例13と同様の手法で厚み50μmのグリーンシートを得た。上記グリーンシートに内部電極用の導電ペーストを印刷した。導電ペーストには、Niペーストを用いた。導電ペーストを塗布したグリーンシートを9枚積層して、その積層体を熱圧着した。
実施例4の圧電素子を用いて、図4に示される液体吐出ヘッドを作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が確認された。
実施例15の液体吐出ヘッドを用いて、図5に示される液体吐出装置を作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が記録媒体(記録紙)上に確認された。
実施例4の圧電素子を用いて、図7(a)に示される超音波モータを作製した。加工時の外周部のチッピングが抑制され、交番電圧の印加に応じたモータの回転が確認された。
実施例17の超音波モータを用いて、図8に示される光学機器を作製した。交番電圧の印加に応じたオートフォーカス動作が確認された。
実施例4の圧電素子を用いて、図9に示される振動体を備えた塵埃除去装置を作製した。プラスチック製ビーズを散布し、交番電圧を印加したところ、良好な塵埃除去率が確認された。
実施例19の塵埃除去装置を用いて、図11に示される撮像装置を作製した。動作させたところ、撮像ユニットの表面の塵を良好に除去し、塵欠陥の無い画像が得られた。
実施例13の積層圧電素子を用いて、図4に示される液体吐出ヘッドを作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が確認された。
実施例21の液体吐出ヘッドを用いて、図5に示される液体吐出装置を作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が記録媒体(記録紙)上に確認された。
実施例13の積層圧電素子を用いて、図7(b)に示される超音波モータを作製した。交番電圧の印加に応じたモータの回転が確認された。
実施例23の超音波モータを用いて、図8に示される光学機器を作製した。交番電圧の印加に応じたオートフォーカス動作が確認された。
実施例13の積層圧電素子を用いて、図9に示される振動体を備えた塵埃除去装置を作製した。プラスチック製ビーズを散布し、交番電圧を印加したところ、良好な塵埃除去率が確認された。
実施例25の塵埃除去装置を用いて、図11に示される撮像装置を作製した。動作させたところ、撮像ユニットの表面の塵を良好に除去し、塵欠陥の無い画像が得られた。
実施例13の積層圧電素子を用いて、図13に示される電子機器を作製した。交番電圧の印加に応じたスピーカ動作が確認された。
2 圧電材料部
3 第二の電極
Claims (18)
- 下記一般式(1)で表わされる金属酸化物と、Biと、Mnとを含有するペロブスカイト型構造の圧電材料であって、
前記Biの含有量が前記金属酸化物1モルに対して0.1モル%以上0.5モル%以下であり、
前記Mnの含有量が前記金属酸化物1モルに対して0.3モル%以上1.5モル%以下であり、
ペロブスカイト単位格子中のOに対して12配位の位置にあるBiを起点とした12種類のBi−O結合の距離を長さの順にL1〜L12としたときに、(L4−L5)/L5≧0.05かつ(L8−L9)/L9≧0.05であることを特徴とする圧電材料。
一般式(1)
(Ba1−xM1x)(Ti1−yM2y)O3
(ただし、0≦x≦0.2、0≦y≦0.1、M1とM2は足して+6価となる互いに異なる金属元素であってBa、Ti、Bi、Mn以外の元素より選ばれる。) - 前記L1と前記L12とが、(L1−L12)/L12≧0.25の関係を満たす請求項1に記載の圧電材料。
- 前記圧電材料の結晶系が正方晶であり、前記ペロブスカイト単位格子中の12配位の位置にあるBiが単位格子の対称位置からc軸方向にシフトしていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電材料。
- 前記ペロブスカイト単位格子中のTiに対して8配位の位置にあるBiを起点とした8種類のBi−Ti結合の距離を長さの順にD1〜D8としたときに、(D4−D5)/D5>0.05であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧電材料。
- 前記ペロブスカイト単位格子中のOに対して12配位の位置にあるBaを起点としたBa−O結合距離の分布が±5%未満の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の圧電材料。
- 前記M1がSrおよびCaの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の圧電材料。
- 前記M2がHf、SnおよびZrの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の圧電材料。
- 第一の電極と圧電材料部と第二の電極とを有する圧電素子であって、前記圧電材料部を構成する圧電材料が請求項1乃至7のいずれか一項に記載の圧電材料であることを特徴とする圧電素子。
- 前記圧電材料部と前記電極が交互に積層された積層構造を有することを特徴とする請求項8に記載の圧電素子。
- 請求項8または9に記載の圧電素子を配した振動部を備えた液室と前記液室と連通する吐出口とを有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
- 被転写体の載置部と請求項10に記載の液体吐出ヘッドとを備えたことを特徴とする液体吐出装置。
- 請求項8または9に記載の圧電素子を配した振動体と、前記振動体と接触する移動体とを有することを特徴とする振動波モータ。
- 駆動部を有する光学機器であって、前記駆動部が、請求項12に記載の振動波モータを備えることを特徴とする光学機器。
- 請求項8または9に記載の圧電素子を配した振動板を備えた振動体を有することを特徴とする振動装置。
- 振動部を有する塵埃除去装置であって、前記振動部が、請求項14に記載の振動装置を備えることを特徴とする塵埃除去装置。
- 請求項15に記載の塵埃除去装置と光を受光する撮像素子ユニットとからなる撮像ユニットを有する撮像装置であって、前記塵埃除去装置の振動板が前記撮像素子ユニットの受光面側に配置されていることを特徴とする撮像装置。
- 請求項8または9に記載の圧電素子を備えた圧電音響部品
- 請求項8または9に記載の圧電素子を備えた電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US15/625,209 US10727395B2 (en) | 2016-06-28 | 2017-06-16 | Piezoeletric material, piezoelectric element, liquid discharge head, liquid discharge apparatus, vibration wave motor, optical instrument, vibration apparatus, dust removing apparatus, imaging apparatus and electronic device |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016127872 | 2016-06-28 | ||
JP2016127872 | 2016-06-28 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018006738A true JP2018006738A (ja) | 2018-01-11 |
JP6965028B2 JP6965028B2 (ja) | 2021-11-10 |
Family
ID=60949915
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017114336A Active JP6965028B2 (ja) | 2016-06-28 | 2017-06-09 | 圧電材料、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、振動波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置および電子機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6965028B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019140393A (ja) * | 2018-02-07 | 2019-08-22 | キヤノン株式会社 | 圧電セラミックス、圧電セラミックスの製造方法、圧電素子、振動装置および電子機器 |
JP2020155626A (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 株式会社リコー | 電界効果型トランジスタ、表示素子、画像表示装置、及びシステム |
JP2021005627A (ja) * | 2019-06-26 | 2021-01-14 | 株式会社村田製作所 | 圧電磁器組成物、圧電磁器組成物の製造方法及び圧電セラミック電子部品 |
CN112225550A (zh) * | 2020-09-11 | 2021-01-15 | 广东天瞳科技有限公司 | 一种压电陶瓷材料、其制备方法及压电陶瓷传感器 |
-
2017
- 2017-06-09 JP JP2017114336A patent/JP6965028B2/ja active Active
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019140393A (ja) * | 2018-02-07 | 2019-08-22 | キヤノン株式会社 | 圧電セラミックス、圧電セラミックスの製造方法、圧電素子、振動装置および電子機器 |
JP7297456B2 (ja) | 2018-02-07 | 2023-06-26 | キヤノン株式会社 | 圧電セラミックス、圧電セラミックスの製造方法、圧電素子、振動装置および電子機器 |
JP2020155626A (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 株式会社リコー | 電界効果型トランジスタ、表示素子、画像表示装置、及びシステム |
JP7326795B2 (ja) | 2019-03-20 | 2023-08-16 | 株式会社リコー | 電界効果型トランジスタ、表示素子、画像表示装置、及びシステム |
JP2021005627A (ja) * | 2019-06-26 | 2021-01-14 | 株式会社村田製作所 | 圧電磁器組成物、圧電磁器組成物の製造方法及び圧電セラミック電子部品 |
JP7352140B2 (ja) | 2019-06-26 | 2023-09-28 | 株式会社村田製作所 | 圧電磁器組成物の製造方法及び圧電セラミック電子部品 |
CN112225550A (zh) * | 2020-09-11 | 2021-01-15 | 广东天瞳科技有限公司 | 一种压电陶瓷材料、其制备方法及压电陶瓷传感器 |
CN112225550B (zh) * | 2020-09-11 | 2022-10-04 | 广东天瞳科技有限公司 | 一种压电陶瓷材料、其制备方法及压电陶瓷传感器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6965028B2 (ja) | 2021-11-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9306150B2 (en) | Piezoelectric material, piezoelectric element, and electronic device | |
JP6063672B2 (ja) | 圧電セラミックス、圧電セラミックスの製造方法、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置、圧電音響部品、および電子機器 | |
JP6400052B2 (ja) | 圧電セラミックス、圧電素子、圧電音響部品および電子機器 | |
US9144971B2 (en) | Piezoelectric material, piezoelectric element, and electronic apparatus | |
TWI551569B (zh) | 壓電陶瓷、其製造方法、壓電元件、多層壓電元件、液體噴射頭、液體噴射設備、超音波馬達、光學裝置、振動設備、除塵設備、成像設備、及電子裝置 | |
JP6344922B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子および電子機器 | |
US11837975B2 (en) | Piezoelectric material, piezoelectric element, and electronic equipment | |
TWI523815B (zh) | 壓電材料、壓電元件、及電子裝置 | |
JP6537348B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、圧電素子の製造方法、および電子機器 | |
US10727395B2 (en) | Piezoeletric material, piezoelectric element, liquid discharge head, liquid discharge apparatus, vibration wave motor, optical instrument, vibration apparatus, dust removing apparatus, imaging apparatus and electronic device | |
JP6537349B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、および電子機器 | |
JP7057941B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、および電子機器 | |
JP2014168056A (ja) | 圧電材料、圧電素子、積層圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置、および電子機器 | |
JP6965028B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、振動波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置および電子機器 | |
JP7034639B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、および電子機器 | |
TW201434790A (zh) | 壓電材料,壓電裝置,與電子設備 | |
JP2016147798A (ja) | 圧電材料、圧電素子、およびこれを用いた装置 | |
JP6606433B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、積層圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置、電子機器および圧電装置 | |
JP6312425B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、および電子機器 | |
JP6602432B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子、および電子機器 | |
JP5968412B2 (ja) | 圧電材料、圧電素子および電子機器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20171214 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20180126 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200602 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210325 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210524 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210706 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210906 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210921 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211020 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6965028 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |