JP2018000129A - 植物の変異率向上剤及び変異率向上方法 - Google Patents

植物の変異率向上剤及び変異率向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、植物において突然変異率を向上させる薬剤及び方法を提供すること等を課題とする。
【解決手段】本発明は、C-NHEJの阻害物質を含む、植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤、並びに植物においてC-NHEJを阻害する工程、及び植物に対して二本鎖切断誘発処理を行う工程を含む、植物に突然変異を誘発する方法等に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物の変異率向上剤及び変異率向上方法等に関する。
放射線又は変異原等を利用する突然変異誘発は、植物の品種改良及び機能解析等のために、広く利用されている。突然変異原の中でも重イオンビームは、他の放射線又は変異原を用いる場合とは異なる形質を有する突然変異体を得ることができるため注目されているが、高率に突然変異を誘発するのに十分なLET(線エネルギー付与、Linear Energy Transfer)をもつ重イオンビームを生じさせるには、これまで特別な装置や設備が必要であった。また、低いLETをもつγ線やX線によって高率に突然変異を誘発することは困難であった。したがって、ガン治療用のプロトンイオンビームや低いLETをもつγ線やX線であっても高率に突然変異を誘発するためには、植物の突然変異率を向上させる必要があったが、簡便に植物の突然変異率を向上させる方法はこれまで知られていなかった。
動物及び微生物では、DNA二本鎖切断の修復機構の阻害によって突然変異率を高め得ることが知られている。DNA二本鎖切断の修復機構は、HR(相同組換え、Homologous Recombination)、C-NHEJ(古典的非相同末端結合、Classical Non-Homologous End Joining)、及びA-NHEJ(代替非相同末端結合、Alternative Non-Homologous End Joining)の3つに大きく分けられ、動物及び微生物では、HRの阻害が変異率を高め得る一方、C-NHEJの阻害が変異率を低下させ得るとの報告がある。例えば、非特許文献1では、出芽酵母においてHRを阻害すると野生型よりも変異率が増大するものの、HR及びC-NHEJを阻害すると野生型と同程度以下の変異率になることが記載されている。また、非特許文献2では、ヒト培養細胞において、HR及びA-NHEJを阻害すると野生型よりも変異率が増大するものの、HR、A-NHEJ、及びC-NHEJを阻害すると野生型と同程度の変異率になることが記載されている。
以上の通り、動物及び微生物についてはHR又はA-NHEJの阻害が突然変異率へ影響を与えるとの報告があるが、これまで、植物についてはそのような報告はない。
Lucia L. et al., 2006, DNA repair, 5, pp. 602-610 Anand G. P. et al., 2011, Proc. Natl. Acad. Sci. 108(8), pp. 3406-3411
本発明は、植物において突然変異率を向上させる薬剤及び方法を提供すること等を課題とする。
本発明者は、HR及び/又はC-NHEJを阻害した植物に変異誘発を行って変異率を測定した。その結果、驚くべきことに、動物及び微生物とは異なり、植物ではC-NHEJを阻害することで変異率が有意に向上し、またC-NHEJに加えてHRを阻害することによってさらに変異率が向上することを見出した。本願発明は上記知見に基づくものであり、以下の実施形態を包含する。
(1)古典的非相同末端結合(C-NHEJ、Classical Non-Homologous End Joining)の阻害物質を一以上含む、植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤。
(2)C-NHEJの阻害物質が:KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4からなる群から選択される遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質;及びDDRI-18からなる群から選択される、(1)に記載の変異率向上剤。
(3)C-NHEJの阻害物質が、KU70遺伝子又はKU70タンパク質の阻害物質である、(2)に記載の変異率向上剤。
(4)前記遺伝子又はタンパク質の阻害物質が、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物からなる群から選択される、(2)又は(3)に記載の変異率向上剤。
(5)LIGIV遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質がSCR7である、(2)に記載の変異率向上剤。
(6)さらに相同組換え(HR、Homologous Recombination)の阻害物質を一以上含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の変異率向上剤。
(7)HRの阻害物質が:RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質;イマチニブ;エルロチニブ;PCI-24781;17-AAG;β-ラクタシスチン;MG132;ボルテゾミブ;mirin;及びバルプロ酸からなる群から選択される、(6)に記載の変異率向上剤。
(8)HRの阻害物質が、RAD54遺伝子又はRAD54タンパク質の阻害物質である、(7)に記載の変異率向上剤。
(9)前記遺伝子又はタンパク質の阻害物質が、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物からなる群から選択される、(7)又は(8)に記載の変異率向上剤。
(10)RAD54タンパク質の阻害物質が、ストレプトニグリンである、(8)に記載の変異率向上剤。
(11)RAD51遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質が、B02、RI-1、RI-2、及びIBR2からなる群から選択される、(7)に記載の変異率向上剤。
(12)植物が、双子葉植物又は単子葉植物である、(1)〜(11)のいずれかに記載の変異率向上剤。
(13)植物において古典的非相同末端結合(C-NHEJ、Classical Non-Homologous End Joining)を阻害する工程、及び植物に対して二本鎖切断誘発処理を行う工程を含む、植物に突然変異を誘発する方法。
(14)二本鎖切断誘発処理が、重イオンビーム照射、放射線照射、及びDNA二本鎖切断誘発剤による処理からなる群から選択される、(13)に記載の方法。
(15)C-NHEJを阻害する工程が、(1)〜(5)のいずれかに記載の変異率向上剤で植物を処理することを含む、(13)又は(14)に記載の方法。
(16)C-NHEJを阻害する工程が、C-NHEJに関わる一以上の遺伝子を破壊又は発現抑制することを含む、(13)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)C-NHEJに関わる一以上の遺伝子が、KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4からなる群から選択される一以上の遺伝子を含む、(16)に記載の方法。
(18)植物において相同組換え(HR、Homologous Recombination)を阻害する工程をさらに含む、(13)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19)HRを阻害する工程が、一以上のHRの阻害物質で植物を処理することを含む、(18)に記載の方法。
(20)HRの阻害物質が:RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質;イマチニブ;エルロチニブ;PCI-24781;17-AAG;β-ラクタシスチン;MG132;ボルテゾミブ;mirin;及びバルプロ酸からなる群から選択される、(19)に記載の方法。
(21)前記遺伝子又はタンパク質の阻害物質が、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物からなる群から選択される、(20)に記載の方法。
(22)RAD51遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質が、B02、RI-1、RI-2、及びIBR2からなる群から選択される、(20)に記載の方法。
(23)HRを阻害する工程が、HRに関わる一以上の遺伝子を破壊又は発現抑制することを含む、(18)〜(22)のいずれかに記載の方法。
(24)HRに関わる一以上の遺伝子が、RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される一以上の遺伝子を含む、(23)に記載の方法。
(25)植物が、双子葉植物又は単子葉植物である、(13)〜(24)のいずれかに記載の方法。
(26)(13)〜(25)のいずれかに記載の方法により植物に突然変異を誘発する工程、及び突然変異を有する植物を単離する工程を含む、変異体植物を生産する方法。
本発明により、植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率を向上させ、高効率に突然変異体を生産することができる。
図1は、対照株、KU70遺伝子をノックアウトしたことによってC-NHEJを阻害した株(AtKU70(-/-))、RAD54遺伝子をノックアウトしたことによってHRを阻害した株(AtRAD54(-/-))、並びにKU70遺伝子及びRAD54遺伝子をノックアウトしたことによってC-NHEJ及びHRを阻害した株(AtKU70(-/-) AtRAD54(-/-))において、重イオンビームを照射した場合の変異率を示す。変異率は、ヘテロ接合でAPG3遺伝子を欠損(APG3+/-)する株において、アルビノの細胞セクターを有する植物の出現率から算出した。変異率について、任意の組において正規分布に近似した比率の差の検定で有意差が認められた(p<0.01)。
1.用語の定義
本明細書において、「DNA二本鎖切断」とは、DNAの両方の鎖が切断されることを意味する。DNA二本鎖切断は、例えば、重イオンビーム、プロトンイオンビーム、X線、γ線、α線、β線、電子線、陽子線、及び中性子線等の放射線の照射、並びにDNA二本鎖切断誘発剤等により誘発され得る。
DNA二本鎖切断の修復機構の基本的メカニズムは、動物、植物、及び細菌等の種を超えて広く保存されており、大きくHR(相同組換え、Homologous Recombination)とNHEJ(非相同末端結合、Non-Homologous End Joining)に分けられる。
本明細書において、「HR」とは、切断部の修復に、相同な配列を利用する修復機構を意味する。HRのプロセスには、例えばV. Manova et al., Frontiers in Plant Science, 2015, 6, Article 885に記載されている様に、当業者には良く知られている。具体的には、真核生物におけるHRは、二本鎖切断部位において末端の配列が切除され、3'突出末端を有するDNA鎖が生じることによって始まる。HRは、その後の反応によってSSA(一本鎖アニーリング、Single-Strand Annealing)及びSDSA(合成依存的一本鎖アニーリング、Synthesis-Dependent Strand Annealing)に分けられる。SSAは、二本鎖切断が相同性/相補性を有する配列間で生じた場合に起こり得、二つの一本鎖の3’突出末端が相同性を有する部位でアニーリングすることによって生じる。一方、SDSAでは、3'突出末端を有するDNA鎖が、相同な配列を有するDNA二本鎖に侵入し、相同な配列を鋳型としてDNAの合成及び修復が行われる。
本明細書において、「NHEJ」とは、切断部の修復に、相同な配列を利用せず、切断された二本鎖を直接連結する修復機構を意味する。NHEJは、さらにC-NHEJ(古典的非相同末端結合、Classical Non- Homologous End Joining)と、C-NHEJによってその機能が抑制され得るA-NHEJ(代替非相同末端結合、Alternative Non-Homologous End Joining)に分けられる。
C-NHEJのプロセスは、例えばV. Manova et al.(上掲)に記載されている様に、当業者には良く知られている。具体的には、真核生物におけるNHEJ経路では、まず、KU70/KU80タンパク質複合体が、二本鎖切断が生じた部位において、DNA末端に結合して、DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PKcs、植物においては同定されていない)を招集する。DNA末端はさらに別の酵素によって処理され、最終的にLIGIVタンパク質及びXRCC4タンパク質を含む複合体等の様々なタンパク質により再結合される。
A-NHEJのプロセスは、HR及びC-NHEJに比べて研究が進んでいないが、まず、二本鎖切断が生じた部位で3'突出末端が生じる。続いて、わずかな相同性(マイクロホモロジー)が存在する部位において二つの一本鎖がアニーリングし、接合部が形成される(V. Manova et al.、上掲)。A-NHEJは配列の切除を伴うため、接合部における遺伝的情報が失われることが多い。A-NHEJは、A-EJ(代替EJ、Alternative EJ)、B-NHEJ(バックアップNHEJ、backup NHEJ)、又はMMEJ(マイクロホモロジー媒介末端結合、Microhomology-Mediated End Joining)とも呼ばれる。
2.植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤
一態様において、本発明は、植物の突然変異率向上剤に関する。本発明の変異率向上剤は、C-NHEJの阻害物質を一以上含む。C-NHEJの阻害物質は、特に限定されないが、例えば、C-NHEJに関与する遺伝子又はタンパク質の阻害物質、並びにSCR7及びDDRI-18等の低分子化合物、好ましくはSCR7が挙げられる。本発明の変異率向上は、C-NHEJの阻害物質を単独で含んでもよいし、組み合わせて含んでもよい。
C-NHEJに関与する遺伝子又はタンパク質としては、例えばKU70、KU80、LIGIV(DNA ligaseIV)、及びXRCC4、好ましくはKU70及びKU80からなる群から選択される一以上の遺伝子又はこれらの遺伝子によってコードされるタンパク質、さらに好ましくはKU70遺伝子又はKU70タンパク質が挙げられる。これらの遺伝子又はタンパク質の阻害剤としては、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物等が挙げられる。
本明細書において、阻害性核酸にはsiRNA、shRNA、及び核酸アプタマーが含まれる。本明細書において、「siRNA」(低分子干渉RNA:small interference RNA)とは、標的遺伝子の一部に相当する塩基配列を有するセンス鎖(パッセンジャー鎖)、及びそのアンチセンス鎖(ガイド鎖)からなる小分子二本鎖RNAである。
本明細書において、「shRNA」(short hairpin RNA)とは、適当な配列を有する短いスペーサー配列によって上記のsiRNA又は成熟型二本鎖miRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖が連結された一本鎖RNAをいう。shRNAは、一分子内でセンス領域とアンチセンス領域が互いに塩基対合してステム構造を形成し、同時に前記スペーサー配列がループ構造を形成することによって、分子全体としてヘアピン型のステム−ループ構造を形成している。
KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4からなる群から選択される遺伝子に対するsiRNA又はshRNAは、これらの遺伝子の阻害剤として機能し得る。これらの遺伝子に対するsiRNA若しくはshRNAは、KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4遺伝子の配列に基づいて、当業者であれば適宜設計することができる。KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4遺伝子又の配列は、公のデータベース(例えば、NCBI(米国)、DDBJ(日本)、EMBL(欧州))より、入手することができ、またその配列が知られていない場合は当業者に公知の方法により遺伝子をクローニングすることができる。例えば、シロイヌナズナのKU70遺伝子は配列番号6(NCBI Reference Sequence:NM_101558.3)に示される塩基配列を含み、KU70タンパク質は配列番号7(NCBI Reference Sequence:NP_564012.1)に示されるアミノ酸配列を含む。
阻害性核酸は、ベクターに組み込んで対象植物に導入することが好ましく、阻害性核酸の送達に用いることができるベクターとして、例えばレトロウィルスベクターpMKO.1-GFPが挙げられる。
本明細書において、「核酸アプタマー」(以下、本明細書では単に「アプタマー」とも記載する)とは、DNA又はRNAで構成され、水素結合等に基づいて形成される二次構造又は立体構造によって標的分子と強固、かつ特異的に結合するリガンド分子をいう。アプタマーの標的分子は、遺伝子であってもタンパク質であってもよい。アプタマーが標的分子の生理活性等の機能を特異的に阻害又は抑制する能力を持つ場合には、アプタマーは、標的分子の機能阻害剤となり得る。本明細書において「標的分子の機能阻害」とは、標的分子が有する生物学的機能を阻害又は抑制することをいう。アプタマーは、公知のSELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法を用いて試験管内選別により作製することができる。SELEX法とは、ランダム配列領域とその両末端にプライマー結合領域を有する核酸分子で構成されるプールから標的分子に結合した核酸分子を選択し、回収後に増幅した後、次のラウンドの核酸プールにするという一連のサイクルを数〜数十ラウンド繰り返して、標的分子に対してより結合力の強い核酸を選択する方法である。
本明細書において、「中和抗体」とは、標的分子の生理活性等の機能を特異的に阻害又は抑制する能力を有する抗体を意味する。中和抗体(例えば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)は、各種動物に、目的のタンパク質、又はその断片を直接投与することで得ることができる。また、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入したプラスミドを用いて、DNAワクチン法(Raz, E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9519-9523 (1994); 又はDonnelly, J.J. et al., J. Infect. Dis., 173, 314-320, (1996))によっても得ることができる。
SCR7は、5,6-ビス((E)-ベンジリデンアミノ)-2-メルカプトピリミジン-4-オールとも記載され、LIGIVタンパク質に結合してC-NHEJを阻害することが知られている。DDRI-18は、3,3'-(1H,3'H-5,5'-ビベンゾ[d]イミダゾル-2,2'-ジイル)ジアニリンとも記載され、C-NHEJを阻害することが知られているが、その標的分子は特定されていない。
本発明の変異率向上剤は、さらにHRの阻害物質を一以上含んでもよい。HRの阻害物質は、特に限定されないが、例えば、HRに関与する遺伝子又はタンパク質の阻害物質、並びに低分子化合物、例えば、B02、RI-1、RI-2、IBR2、イマチニブ、エルロチニブ、PCI-24781、17-AAG、β-ラクタシスチン、MG132、ボルテゾミブ、mirin、及びバルプロ酸、好ましくはRI-1及びRI-2が挙げられる。本発明の変異率向上剤は、HRの阻害物質を単独で含んでもよいし、組み合わせて含んでもよい。
HRに関与する遺伝子又はタンパク質としては、例えばRAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51、好ましくはRAD54、BRCA2及びXRCC3からなる群から選択される一以上の遺伝子又はこれらの遺伝子によってコードされるタンパク質、さらに好ましくはRAD54遺伝子又はRAD54タンパク質の阻害物質が挙げられる。これらの遺伝子又はタンパク質の阻害剤としては、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物等が挙げられる。
RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される遺伝子に対するsiRNA又はshRNAは、これらの遺伝子の阻害剤として機能し得る。これらの遺伝子に対するsiRNA若しくはshRNAは、これらの遺伝子の配列に基づいて、当業者であれば適宜設計することができる。これらの遺伝子の配列は、公のデータベース(例えば、NCBI(米国)、DDBJ(日本)、EMBL(欧州))より、入手することができ、またその配列が知られていない場合は、当業者に公知の方法により遺伝子をクローニングすることができる。例えば、シロイヌナズナのRAD54遺伝子は配列番号7(GenBank: AB250666.1)に示される塩基配列を含み、RAD54タンパク質は配列番号8(GenBank: BAF03042.1)に示されるアミノ酸配列を含む。また、植物において上記遺伝子又はタンパク質の配列が知られていない場合は、当業者に公知の方法によりクローニングすることができる。
RAD54タンパク質を阻害する低分子化合物としては、RAD54に結合し、そのATPase活性を阻害するストレプトニグリンが知られている。上記の遺伝子又はタンパク質に対するアプタマー及び中和抗体については、C-NHEJに関与する遺伝子又はタンパク質の阻害剤について記載したものと同様であるから記載を省略する。
B02は3-(フェニルメチル)-2-[(1E)-2-(3-ピリジニル)エテニル]-4(3H)-キナゾリノンとも記載され、RAD51タンパク質に結合しHRを阻害することが知られている。RI-1及びRI-2は、それぞれ3-クロロ-1-(3,4-ジクロロフェニル)-4-(4-モルフォリニル)-1H-ピロール-2,5-ジオン、及び1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-4-モルフォリノ-1H-ピロール-2,5-ジオンとも記載され、RAD51タンパク質のC319(C319は植物においても保存されている)に結合しHRを阻害することが知られている。IBR2は、1-(1H-インドール-3-イル)-2-(ベンジルスルホニル)-1,2-ジヒドロイソキノリンとも記載され、RAD51タンパク質と結合しHRを阻害することが知られている。イマニチブ、エルロチニブ、PCI-24781(アベキシノスタットとも呼ばれる)、17-AAG(タネスピマイシンとも呼ばれる)、β-ラクタシスチン、MG132(ベンジルN-[(2S)-4-メチル-1-[[(2S)-4-メチル-1-[[(2S)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル]カルバメート)、及びボルテゾミブは、いずれも間接的にRAD51及び/又はBCRA1を阻害することが知られている。mirin(Z-5-(4-ヒドロキシベンジリデン)-2-イミノ-1,3-チアゾリジン-4-オン)は、HRに先立って生じるMRE11-RAD50-NBS複合体を阻害することが知られている。バルプロ酸は、HRの頻度を増加させるとの報告があるが、その標的分子は特定されていない。
C-NHEJの基本的メカニズムは植物種間で保存されていることが知られており(V. Manova et al.、上掲)、特に単子葉植物であるイネと双子葉植物であるシロイヌナズナとの間で高度に保存されていることが知られていることから(例えば、Nishizawa-Yokoi et al. 2012 New phytologist 196:1048-1059を参照されたい)、本発明は広範な植物種に適用し得ると考えられる。
本明細書において、植物の種類は特に制限されず、単子葉植物及び双子葉植物を含む被子植物、裸子植物、コケ植物、シダ植物等いずれの植物であってもよいが、好ましくは被子植物、さらに好ましくは双子葉植物である。また、植物は草本植物及び木本植物のいずれであってもよい。
双子葉植物の具体例としては、例えば、ナス科[ナス(Solanum melongena L.)、トマト(Solanum lycopersicum)、ピーマン(Capsicum annuum L. var. angulosum Mill.)、トウガラシ(Capsicum annuum L.)、タバコ(Nicotiana tabacum L.)等]、アブラナ科[シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica campestris L.)、キャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata L.)、ダイコン(Raphanus sativus L.)、ナタネ(Brassica campestris L., B. napus L.)等]、マメ科[ダイズ(Glycine max)、アズキ(Vigna angularis Willd.)、インゲン(Phaseolus vulgaris L.)、ソラマメ(Vicia faba L.)等]、ウリ科[キュウリ(Cucumis sativus L.)、メロン(Cucumis melo L.)、スイカ(Citrullus vulgaris Schrad.)、カボチャ(C. moschata Duch., C. maxima Duch.)等]、ヒルガオ科[サツマイモ(Ipomoea batatas)等]、シソ科[シソ(Perilla frutescens Britt. var. crispa)等]、キク科[キク(Chrysanthemum morifolium)、シュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)、レタス(Lactuca sativa L. var. capitata L.)、ハクサイ(Brassica pekinensis Rupr.)等]、バラ科[バラ(Rose hybrida Hort.)、イチゴ(Fragaria x ananassa Duch.)等]、ミカン科[ミカン(Citras unshiu)、サンショウ(Zanthoxylum piperitum DC.)等]、フトモモ科[ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill)等]、ヤナギ科[ポプラ(Populas nigra L. var. italica Koehne)等]、アカザ科[ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)、テンサイ(Beta vulgaris L.)等]、リンドウ科[リンドウ(Gentiana scabra Bunge var. buergeri Maxim.)等]、及びナデシコ科[カーネーション(Dianthus caryophyllus L.)等]の植物が挙げられる。単子葉植物の具体例としては、例えばイネ科[イネ(Oryza sativa)、コムギ(Triticum aestivum L.)、オオムギ(Hordeum vulgare L.)、ペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)、イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)、メドウフェスク(Festuca pratensis Huds.)、トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb.)、オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)、チモシー(Phleum pratense L.)等]及びユリ科[ネギ(Allium fistulosum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、ニラ(Allium tuberosum Rottl.)、ニンニク(Allium sativum L.)、アスパラガス(Asparagus officinalis L.)等]の植物が挙げられる。
本発明の変異率向上剤は、例えば植物の種子、胚、葯、花、及び花粉等の生殖器官又は生殖細胞、好ましくは種子、又はカルスに対して適用することができる。また、本発明の変異率向上剤は、葉、根、根端、さや、及び茎等の植物組織又は培養細胞等の細胞に対して行うこともできる。この場合、これらの組織又は細胞を脱分化させてカルスを得た後、カルスを再分化させて植物を得ることができる。植物及び組織の種類によっては、脱分化及び再分化の工程を省略することもできる。
本発明の変異率向上剤を植物に適用する時期は、DNA二本鎖切断の修復時に変異率向上剤が作用する限り特に限定されない。本発明の変異率向上剤は、例えば二本鎖切断の誘発に先立って、二本鎖切断の誘発と同時に、二本鎖切断の誘発の後に用いることができる。本発明の変異率向上剤が、DNA二本鎖切断の修復時に、有効量又は有効な濃度で存在していることが好ましい。変異率向上剤の有効量は、植物種、処理を行う細胞又は組織の種類、及び二本鎖切断を誘発する処理等に基づいて、当業者であれば適宜決定することができる。
本発明の変異率向上剤は、植物のDNA二本鎖切断の修復時における突然変異率を向上させる。したがって、本発明の変異率向上剤は、植物のDNA二本鎖切断誘発処理を行った場合にその機能を発揮し得る。
二本鎖切断の誘発処理は特に限定されず、例えば重イオンビーム、プロトンイオンビーム、X線、γ線、α線、β線、電子線、陽子線、及び中性子線等の放射線照射、並びにDNA二本鎖切断誘発剤等、好ましくは重イオンビーム照射等が挙げられる。
重イオンビーム照射を用いる場合、重イオンビームの種類は特に限定されず、例えば、炭素(C)イオンビーム、窒素(N)イオンビーム、アルゴン(Ar)イオンビーム、ネオン(Ne)イオンビーム、鉄(Fe)イオンビーム、好ましくは炭素(C)イオンビームが挙げられる。
重イオンビーム照射におけるLETは、22.5〜80 keV/μmの範囲が好ましく、30〜60 keV/μmの範囲がより好ましい。重イオンビームの照射線量は、用いるイオンビームの種類と対象となる植物種及び組織に応じて決めればよく、照射植物の少なくとも一部が生育可能であり、変異を誘発できる範囲内であれば特に限定されない。本発明の変異率向上剤と併用する場合の重イオンビームの放射線量は、高い頻度で変異を誘発する上で、好ましくは照射植物の8〜9割程度が生存可能である範囲、例えばシロイヌナズナ乾燥種子ではCイオンビーム(LET:30〜50 keV/μm)で30 Gy〜90 Gy、40 Gy〜80 Gy、又は50 Gy〜70 Gy、イネ乾燥種子ではCイオンビーム(LET:30〜60 keV/μm)で10 Gy〜70 Gy、15 Gy〜65 Gy、又は20 Gy〜60 Gy、コムギではCイオンビーム(LET:30〜50 keV/μm)で4 Gy〜40 Gy、5 Gy〜50 Gy、又は6 Gy〜20 Gyが好ましい。
放射線照射の種類は特に限定されず、例えばプロトンイオンビーム、X線、γ線、α線、β線、電子線、陽子線、中性子線等でもよい。重イオンビーム以外の放射線照射における好ましい照射線量は、重イオンビームについて記載した通りであるから記載を省略する。
DNA二本鎖切断誘発剤は当業者には知られており、例えばブレオマイシン、ゼオシン、ペプレオマイシン、マイトマイシンC、シスプラチン、メチルメタンスルホネート、及びカンプトテシン等が挙げられる。
本発明の変異率向上剤を用いることで、より低いLETの重イオンビーム若しくはプロトンイオンビーム照射、又はより低線量の重イオンビームを含む各種放射線照射、又はより低濃度のDNA二本鎖切断誘発剤で十分に高い突然変異誘発率を達成することができる。これにより、高LETで照射を行うために必要な特別な施設や設備がなくとも効率的に突然変異体植物を作製し得、及び/又は変異体植物の作製のコストを低減し得る。
本発明の変異率向上剤による突然変異率向上の程度は、特に限定しないが、例えば、本発明の変異率向上剤を用いない場合に比べて、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、好ましくは3倍以上、3.5倍以上、4倍以上、4.5倍以上、又は5倍以上であってよく、また20倍以下、15倍以下、又は10倍以下であってよい。植物のDNA二本鎖切断が生じる条件下で本発明の変異率向上剤を用いた場合の植物の突然変異率は、例えば1.5%以上、2%以上、2.5%以上、好ましくは3%以上、3.5%以上、4%以上、4.5%以上、又は5%以上であってよく、また20%以下、15%以下、又は10%以下であってよい。植物の突然変異率は、当業者であれば容易に測定することができる。例えば、本願明細書の実施例に記載の様に、突然変異によりアルビノ等の判別が容易な表現型を生じる植物を用いて、その表現型の出現頻度を調べることで突然変異率を推定することができる。
3.植物に突然変異を誘発する方法
一態様において、本発明は、植物に突然変異を誘発する方法に関する。本発明の植物に突然変異を誘発する方法は、植物においてC-NHEJを阻害する工程、及び植物に対して二本鎖切断誘発処理を行う工程を含む。
C-NHEJを阻害する工程は、例えば本明細書に記載のC-NHEJの阻害物質、又はC-NHEJの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理することにより行うことができる。本明細書において、「C-NHEJの阻害物質又はC-NHEJの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理する」とは、例えば、C-NHEJの阻害物質又はC-NHEJの阻害物質を含む変異率向上剤を、好ましくは変異率を向上させるのに有効量で、植物に接触させることを指す。C-NHEJの阻害物質又は変異率向上剤の有効量は、植物種、処理を行う細胞又は組織の種類、二本鎖切断を誘発する処理等に基づいて、当業者であれば適宜決定することができる。あるいは、又はさらに、C-NHEJを阻害する工程は、C-NHEJに関わる遺伝子、例えばKU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4、好ましくはKU70及びKU80からなる群から選択される一以上の遺伝子、さらに好ましくはKU70遺伝子を含む一以上の遺伝子を、破壊又は発現抑制することにより行うこともできる。C-NHEJの阻害物質、又はC-NHEJの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理した場合、変異率の向上は後代植物に及ばず、処理を行った植物に限定されることから、C-NHEJを阻害する工程は、C-NHEJの阻害物質、又はC-NHEJの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理することにより行うことがより好ましい。
本発明において、遺伝子の破壊又は発現抑制は、当業者に周知の方法により行うことができる。本明細書において、遺伝子の「破壊」は、遺伝子をゲノムから完全に欠失させるものであっても良いし、遺伝子の塩基配列に対して、塩基配列を付加、欠失及び/又は置換することにより、その遺伝子をゲノムに残したまま、その機能を完全に又は部分的に破壊するものであってもよい。遺伝子破壊を生じる塩基配列の変異の例として、フレームシフト変異及びナンセンス変異が挙げられる。遺伝子の発現抑制は、例えばプロモーター及びエンハンサー等の遺伝子の制御配列に対して、塩基配列を付加、欠失及び/又は置換することにより、完全に又は部分的に行うことができる。遺伝子の破壊又は発現抑制は、当業者に周知の方法、例えばアグロバクテリウムを介するT-DNAの挿入、並びにZFN、TALEN、及びCRISPR/Cas9等を利用するゲノム編集技術によって行うことができる。
本方法の二本鎖切断誘発処理工程における二本鎖切断は、特に限定されないが、例えば上記「2.植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤」に記載の方法を適用することができる。
本発明の方法を適用する植物の種類、組織、及び細胞等については上記「2.植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤」について記載した通りであるからここでは記載を省略する。
本発明の突然変異誘発方法は、さらにHRを阻害する工程を含んでよい。HRを阻害する工程は、例えば上記「2.植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤」に記載のHRの阻害物質、又はHRの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理することにより行うことができる。本明細書において、「HRの阻害物質又はHRの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理する」とは、例えば、HRの阻害物質又はHRの阻害物質を含む変異率向上剤を、好ましくは変異率を向上させるのに有効量で、植物に接触させることを指す。HRの阻害物質又は変異率向上剤の有効量は、植物種、処理を行う細胞又は組織の種類、及び二本鎖切断を誘発する処理等に基づいて、当業者であれば容易に決定することができる。あるいは、又はさらに、HRを阻害する工程は、HRに関わる遺伝子、例えばRAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51、好ましくは、RAD54、BRCA2、及びXRCC3からなる群から選択される一以上の遺伝子、さらに好ましくはRAD54遺伝子を含む一以上の遺伝子を破壊又は発現抑制することにより行うこともできる。HRの阻害物質、又はHRの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理した場合、変異率の向上は後代植物に及ばず、処理を行った植物に限定されることから、HRを阻害する工程は、HRの阻害物質、又はHRの阻害物質を含む変異率向上剤で植物を処理することにより行うことがより好ましい。
本発明の突然変異誘発方法における工程間の順番は、C-NHEJを阻害する工程、及び任意のHRを阻害する工程によって、二本鎖切断誘発処理の後に起こるDNA修復時にC-NHEJ及びHRが阻害される限り、特に限定されない。例えば、C-NHEJを阻害する工程及び任意のHRを阻害する工程は、二本鎖切断誘発処理に先立って、二本鎖切断誘発処理と同時に、二本鎖切断誘発処理の後に行うことができる。HRを阻害する工程が含まれる場合、C-NHEJを阻害する工程とHRを阻害する工程の順番は限定されず、別々に行っても良いし、例えばC-NHEJの阻害物質とHRの阻害物質を含む組成物、例えば本明細書に記載の変異率向上剤で処理することにより同時に行っても良い。
本発明の突然変異誘発方法により、植物に高率で突然変異を導入することができる。本発明の突然変異誘発方法は、例えば、C-NHEJ及び任意にHRを阻害しない場合に比べて、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、好ましくは3倍以上、3.5倍以上、4倍以上、4.5倍以上、又は5倍以上であってよく、また20倍以下、15倍以下、又は10倍以下、高い変異率で植物に突然変異を導入することができる。本発明の突然変異誘発方法における植物の突然変異率は、例えば1.5%以上、2%以上、2.5%以上、好ましくは3%以上、3.5%以上、4%以上、4.5%以上、又は5%以上であってよく、また20%以下、15%以下、又は10%以下であってよい。
本発明の突然変異誘発方法は、植物の品種改良及び機能解析等に利用することができる。
4.変異体植物を生産する方法
一態様において、本発明は、上記「3.植物に突然変異を誘発する方法」に記載の方法により植物に突然変異を誘発する工程、及び突然変異を有する植物を単離する工程を含む、変異体植物を生産する方法に関する。
本方法における、突然変異を有する植物を単離する工程は、特に限定しない。例えば、突然変異を有する植物は、突然変異により望ましい形質を示す植物を、その望ましい形質に基づいて選抜することにより単離することができる。望ましい選抜可能な形質は特に限定しないが、除草剤耐性、病害虫耐性、環境ストレス耐性、花の色、及び作物収量等が挙げられる。本単離工程では、異なる遺伝子型を有する複数の変異体植物を単離してもよいし、同一の遺伝子型を有する単一の変異体植物を単離してもよい。
<方法>
1)植物
重イオンビームを種子に照射後、迅速に変異率を測定するため、照射当代でアルビノ細胞層のセクター変異が観察できる植物を用いた。具体的には、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のAPG3遺伝子座にビアラホス耐性遺伝子をもつT-DNAが挿入され、ヘテロ接合でAPG3遺伝子を欠損(APG3+/-)する株(CS16118株)をArabidopsis Biological Resource Center (ABRC)から取り寄せた。
C-NHEJの欠損株として、C-NHEJに関与するAtKU70遺伝子にT-DNAが挿入されホモ接合でAtKU70遺伝子を欠損する(AtKU70-/-)株(SALK_123114株)をABRCより取り寄せた。
HRの欠損株として、HRに関与するAtRAD54遺伝子にT-DNAが挿入されホモ接合でAtRAD54遺伝子を欠損する(AtRAD54-/-)株(SALK_038057株)をABRCより取り寄せた。
2)交配による植物の作製
SALK_123114株とSALK_038057株とを交配し、後代からAtKU70遺伝子とAtRAD54遺伝子とを供にホモ接合で欠損する株(AtKU70-/-/AtRAD54-/-株)を選抜した。
SALK_123114株とCS16118株とを交配し、後代からAtKU70遺伝子をホモで欠損し、APG3遺伝子をヘテロで欠損する株(AtKU70-/-/APG3+/-株)を選抜し、後代種子を実験に用いた。
SALK_038057株とCS16118株とを交配し、後代からAtRAD54遺伝子をホモで欠損し、APG3遺伝子をヘテロで欠損する株(AtRAD54-/-/APG3+/-株)を選抜し、後代種子を実験に用いた。
AtKU70-/-/AtRAD54-/-株とCS16118株とを交配し、後代からAtKU70遺伝子及びAtRAD54遺伝子をホモで欠損し、APG3遺伝子をヘテロで欠損する株(AtKU70-/-/AtRAD54-/-/APG3+/-株)を選抜し、後代種子を実験に用いた。
各遺伝子へのT-DNAの挿入状況は、以下のようにPCRを行い判定した。
実生の葉から、簡易DNA抽出キット(KaneKa)でDNAを抽出し、表1のプライマーを用いてTks Gflex DNA Polymerase (TaKaRa Bio INC)でPCRを行った。PCR反応サイクルは、94℃3分、(98℃10秒、60℃15秒、68℃30秒)×35サイクルとした。PCR反応産物は、自動電気泳動装置Multina(Shimazu)でDNA2500キット(Shimazu)を用いて解析し、T-DNA Primer Designのホームページ(http://signal.salk.edu/tdnaprimers.2.html)に示されるとおり、900bp程度の断片が検出されれば野生型、410-710bp程度の断片が検出されれば目的の場所にT-DNAが挿入されている遺伝子欠損型として判定した。900bp程度の断片と410-710bp程度の断片が両方検出された場合、野生型とT-DNAが挿入された遺伝子欠損型とのヘテロ接合と判定した。
Figure 2018000129
3)重イオンビームの照射
種子を1層になるようにプラスティックバッグに密封し、RI beam factory (RIBF)において炭素イオンビーム(LET:30 keV/μm)を60 Gy照射した。
4)播種、培養
実験に用いた種子には、APG3遺伝子が野生型のもの(APG3+/+)、ヘテロ型のもの(APG3+/-)、ホモ型のもの(APG3-/-)が混在する。変異率測定にAPG3+/-のみを用いるため、以下のようにビアラホスで予備選抜を行った。
重イオンビーム照射後の種子を、3%ショ糖(和光純薬)、0.7%寒天(DUCHEFA Biochemie)、ビアラホスナトリウム(10μg/mL)(和光純薬)を含む1/2MS培地(Murashige and Skoog 1962)に播種し、3日間4℃で静置した後、23℃、16時間明期/8時間暗期、光量約100μmol/m2/secで培養した。
培養5日後、ビアラホス耐性を有しかつアルビノでない個体をAPG3+/-として選抜し、ビアラホスナトリウムを含まない培地に移植した。
5)変異率の測定
移植8日後に、本葉を観察しアルビノの細胞セクターを有する植物の出現率を変異率として求めた(図1)。変異率測定には、CS16118株を4124個体、AtKU70-/-/APG3+/-株を2982個体、AtRAD54-/-/APG3+/-株を2309個体、AtKU70-/-/AtRAD54-/-/APG3+/-株を2779個体用いた。
6)結果の比較と有意差検定
各変異体の変異率を比較し、正規分布に近似した比率の差の検定にて有意差があるかを求めた。
<結果>
C-NHEJ及びHRを抑制しないCS16118株(対照株)の変異率が1.1%であったのに対し、驚くべきことに、C-NHEJを抑制した場合(AtKU70-/-)の変異率は3.7%に有意に上昇し、HRを抑制した場合(AtRAD54-/-)の変異率である2.1%よりも高かった。また、C-NHEJ及びHRの両方を抑制した場合(AtKU70-/-/AtRAD54-/-)には変異率はさらに向上し、5.5%を示した(図1)。
本発明により、植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率を向上させ、高効率に突然変異体を生産することができる。本発明は、植物の品種改良及び植物の機能解析等に利用することができる。

Claims (26)

  1. 古典的非相同末端結合(C-NHEJ、Classical Non-Homologous End Joining)の阻害物質を一以上含む、植物のDNA二本鎖切断の修復時における変異率向上剤。
  2. C-NHEJの阻害物質が:KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4からなる群から選択される遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質;及びDDRI-18からなる群から選択される、請求項1に記載の変異率向上剤。
  3. C-NHEJの阻害物質が、KU70遺伝子又はKU70タンパク質の阻害物質である、請求項2に記載の変異率向上剤。
  4. 前記遺伝子又はタンパク質の阻害物質が、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物からなる群から選択される、請求項2又は3に記載の変異率向上剤。
  5. LIGIV遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質がSCR7である、請求項2に記載の変異率向上剤。
  6. さらに相同組換え(HR、Homologous Recombination)の阻害物質を一以上含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変異率向上剤。
  7. HRの阻害物質が:RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質;イマチニブ;エルロチニブ;PCI-24781;17-AAG;β-ラクタシスチン;MG132;ボルテゾミブ;mirin;及びバルプロ酸からなる群から選択される、請求項6に記載の変異率向上剤。
  8. HRの阻害物質が、RAD54遺伝子又はRAD54タンパク質の阻害物質である、請求項7に記載の変異率向上剤。
  9. 前記遺伝子又はタンパク質の阻害物質が、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の変異率向上剤。
  10. RAD54タンパク質の阻害物質が、ストレプトニグリンである、請求項8に記載の変異率向上剤。
  11. RAD51遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質が、B02、RI-1、RI-2、及びIBR2からなる群から選択される、請求項7に記載の変異率向上剤。
  12. 植物が、双子葉植物又は単子葉植物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の変異率向上剤。
  13. 植物において古典的非相同末端結合(C-NHEJ、Classical Non-Homologous End Joining)を阻害する工程、及び植物に対して二本鎖切断誘発処理を行う工程を含む、植物に突然変異を誘発する方法。
  14. 二本鎖切断誘発処理が、重イオンビーム照射、放射線照射、及びDNA二本鎖切断誘発剤による処理からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. C-NHEJを阻害する工程が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変異率向上剤で植物を処理することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
  16. C-NHEJを阻害する工程が、C-NHEJに関わる一以上の遺伝子を破壊又は発現抑制することを含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. C-NHEJに関わる一以上の遺伝子が、KU70、KU80、LIGIV、及びXRCC4からなる群から選択される一以上の遺伝子を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 植物において相同組換え(HR、Homologous Recombination)を阻害する工程をさらに含む、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. HRを阻害する工程が、一以上のHRの阻害物質で植物を処理することを含む、請求項18に記載の方法。
  20. HRの阻害物質が:RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質;イマチニブ;エルロチニブ;PCI-24781;17-AAG;β-ラクタシスチン;MG132;ボルテゾミブ;mirin;及びバルプロ酸からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記遺伝子又はタンパク質の阻害物質が、阻害性核酸、中和抗体、及び低分子化合物からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  22. RAD51遺伝子によってコードされるタンパク質の阻害物質が、B02、RI-1、RI-2、及びIBR2からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  23. HRを阻害する工程が、HRに関わる一以上の遺伝子を破壊又は発現抑制することを含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. HRに関わる一以上の遺伝子が、RAD54、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、BRCA1、BRCA2、XRCC2、XRCC3、MMS2、SMC5、SMC6、MUS81、RECQ4A、RAD5A、RAD50、NBS1、MRE11、及びRAD51からなる群から選択される一以上の遺伝子を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 植物が、双子葉植物又は単子葉植物である、請求項13〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 請求項13〜25のいずれか一項に記載の方法により植物に突然変異を誘発する工程、及び突然変異を有する植物を単離する工程を含む、変異体植物を生産する方法。
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