JP2017516477A - 頑丈な微生物の生存能力を安定化および維持するための組成物および方法 - Google Patents

頑丈な微生物の生存能力を安定化および維持するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本出願は、試料収集から下流の分析まで、頑丈な微生物の生存能力を安定化し、維持するための組成物および方法を提供する。特に、マイコバクテリア、炭疽菌、またはクロストリジウム・ディフィシレなどの生存可能で頑丈な細菌を保存する方法であって、該方法は、生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、安定化組成物はキレート化剤、変性剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有する。【選択図】なし

Description

本出願は、試料収集および貯蔵の分野に関する。より具体的には、本出願は試料収集から分析までの期間、頑丈な微生物の生存能力を維持するための組成物および方法に関する。
結核(TB)は、大きな世界的健康問題として残されたままである。新しい感染と死亡の大部分は、発展途上国で発生している。世界保健機関(WHO)は、2012年だけで860万人がTBを発症しており、この疾患で130万人が死亡し、この内に32万人のHIV陽性患者が含まれていると推定した(Global tuberculosis report 2013,WHO)。TB死亡の数は、これらのほとんどが予防可能であることを考えると受け入れ難いほど大きい。WHOは、世界の人口の約1/3、すなわち、20億人が結核に感染し、従って、活動性疾患を発症する危険性があると推測している。驚くべきことに、WHOは、2001年には360万スメア陽性TB症例の1/3のみが報告されたと推定した(WHO.2001.Global tuberculosis control.WHO/CDS/TB/2001 287:18−19)。TBの早期診断の問題は、この疾患の広がりの抑制に対する主要な障害の1つであり続けている。都合の悪いことに、世界中の活動性TBである約3千万人の特定に関連する数多くの問題が存在する。
収集の時間から輸送、貯蔵、処理に至るまでの生物検体の正しい取り扱いは、タイミング的に、また臨床的に意味のある微生物学の試験結果を得るために非常に重要である(Wilson,1996)。微生物学的試験に供される全ての臨床検体に共通の問題には、正確な特定のみでなく、病原性微生物の回収の最大化および非病原体による汚染を最小化する収集技術も含まれる。喀痰、糞便および尿などの検体に関しては、インビボで存在する微生物の相対的比率が保存される必要があり、そうでなければ、培養結果の判断を誤る可能性がある。検体が適切に取り扱われる場合は、培養結果の解釈はより容易になり、患者ケアが改善され、コストが低減される可能性がある。
最近、従来の進め方を変更して、無用の労力を排除し、検査室の効率を高め、微生物学的試験をより費用対効果が大きいものにするように、検体の取り扱いに対するガイドラインが重要視されるようになってきた。感染症の診断のための迅速で正確な手順を開発して、症例探索を改善し、診断および処置の開始の時間を短縮し、疾病監視を改善し、診断経路から外れる患者をより少なくすることは、長期にわたる医科学の目標となっている。腸感染症の検査室診断は、特に難しい。課題には、潜在的病原体の数、これらの生物の生物学的多様性、新しい病原体の出現、一部の病原体の体外への間欠的排出、同じ患者から提出された複数の検体、ほとんどの臨床設定(特に外来患者および遠隔にある状況)での新しい検体試験の非実現性、および培養と分子診断試験のための検体の検査室への輸送コストが含まれる。
吐き出された喀痰は、最も高頻度のTB原因物質である結核菌(MTB)を検出するために最も一般的に収集される細菌培養用の呼吸器検体である。気道検体は「汚染性」微生物を含むと思われるので、検体は、非病原体の異常増殖を防止するために、素早く収集し、検査室に輸送する必要がある。従来は、収集と培養接種との間の遅延は、7日間を超えてはならず、検体は処理できるようなるまで冷凍保存する必要がある。迅速な輸送、処理および冷凍保存は、マイコバクテリアの死滅、検体中の正常な急速増殖細菌叢の異常増殖を防ぐのに役立つ。こうしなければ、病原体の回収と検出を複雑化する。喀痰が3日より長期間室温で貯蔵されると、異常増殖または腐敗した検体の処理は、もし可能だとしても、追加の人件費および培養感受性の低下を伴う(Parmasivan et al.,1983)。検体が、適切な条件下で最大限の注意をもって収集され、迅速に検査室に輸送されない場合には、培養の利点が完全に実現されることはないであろう。
最適な結果を得るためには、適切な喀痰収集が重要である。理想的には、新しい患者から3つの検体(それぞれ2〜10mL)を数日間続けて早朝収集し、別々に処理する必要がある。WHOは、2つの早朝検体および患者が医院を訪れた際の3つ目のその場の検体を推奨している。品質保証プログラムが実施されている場合に限り、高い作業負荷および限られた人的資源の場所における、TB症例を選別するために検査する検体の数の3つから2つへの低減は既に認められている。
スメア顕微鏡および培養の前に、検査室で受け取られるとすぐに、これらの高粘液性検体を液化し、「汚染除去する」必要がある。疾病予防管理センター(CDC)により推奨された標準的な手順は、N−アセチル−L−システイン(NALC)−水酸化ナトリウム(NaOH)手順である(PT Kent and GP Kubica;Public Health Microbiology,a Guide for the Level III Laboratory,CDC,Division of Laboratory Training and Consultation,1985)。NALCは粘液性検体を液化し、同時に、NaOHは汚染/バックグラウンド細菌に対し殺菌力を有し、液化を助ける。NaOHはマイコバクテリアも死滅させるが、その程度は遥かに低い。「スメア陽性」の症例は、少なくとも2つの初期喀痰スメア検査(直接スメア顕微鏡)で抗酸性桿菌に対し陽性(AFB+)である患者に対して確定される。
活動性結核の確定診断は、患者の分泌物、体液または組織からの原因細菌の回収とその後の特定に基づく。現在の培養方法は完了までに長期間(42日間まで)が必要であるので、患者の初期管理は、提出された臨床検体の顕微鏡検査の結果に基づくことが多い。特に、臨床喀痰検体から作製されたスメア中の抗酸性桿菌(AFB)の存在の実証は、マイコバクテリア症の予備的診断を提供するが、一方、培養によるマイコバクテリアの単離は、結核菌以外のマイコバクテリア(MOTT桿菌)または非結核マイコバクテリア(NMT)による結核または類似の疾患の確定診断を与える。スメア顕微鏡は現在最も広く使用されている選別ツールであるが、この手順の的中度に関してはかなりの論争がある。顕微鏡は培養陽性の症例の2/3を見逃す場合があると推測されている(Lipsky et al.,1984)。その結果、マイコバクテリア症の診断において、培養技術が未だ重要な役割を果たしている。
喀痰検体および標準的処理方法(NALC/NaOH)の両方の性質により、MTBの検出が損なわれる(Thornton et al.,1998)。第1に、検体、ならびに検体を処理するために使用される溶液は、核酸増幅を抑制する場合がある。ほとんどの検体は、培養法を妨害する多数の腐生性微生物および/または感染性微生物を含み、従って、汚染除去ステップは必須である。しかし、汚染除去は、マイコバクテリアの生存能力を大きく損ない(Burdz et al.,2003;Krasnow and Wayne,1966)、従って、処理は培養による検出の感度も同様に低下させる。第2に、疾患の固有の性質が少ないコピー数および生物の体外への間欠的のみの排出をもたらす。第3の問題は、マイコバクテリアそれ自体の固有の生理的な性質に関連し、i)凝集、集塊、およびコーディング、ii)蝋状の細胞壁により引き起こされる表面張力、iii)浮力(0.79〜1.07で平均1未満)(Silverstolpe,1948)、iv)遅い増殖、およびv)厚い細胞壁により結核菌の溶解を困難にしているなどのことが含まれる。喀痰の粘液性の性質に加えて、これらの性質が、遠心分離によるマイコバクテリアの収集を複雑化しており、これらの桿菌の非効率的沈殿を引き起こす。必然的に、一部の桿菌は、遠心分離後、上清画分と一緒に流れ出る。検出用の臨床検体調製のためにCDCにより承認された全ての方法は、遠心分離ステップを含む。真の影響は、マイコバクテリアが処理沈殿物中に非常に少ないので、一部の分割採取量は標的桿菌を含まず、また、収集されたわずかの微生物は効率的に溶解されるかまたは汚染細菌と競合するための生存能力を有する必要があるということである。最終的には、MTBの少ないコピー数のために、多くの検体量が必要となり、このことにより次に濃縮−汚染除去ステップを必要とすることになる。
いくつかのグループが喀痰検体を保存する方法を開発することにより、遠隔地域で試料を収集し、より大きな処理センターに送ることを試みた。Holzら(2001)およびPopovら(2004)は、試料を処置前に10日間までうまく凍結することができることを示した。しかし、凍結試料の輸送は高価であり、液体窒素が利用可能でない場合には、遠隔地および地方では実現可能ではない。Kellyら(2003)は、試料を輸送するより費用対効果が大きい方法、すなわち、処理前にホルムアルデヒドによる固定について試験した。しかし、この方法は、試料処理方法における大きな変更を必要とし、処理コストが増え、また、MTB生物は、歴史的な「代表的」スタンダード試験である培養に対し、も早生存可能ではない。同様に、Dormanら(2010)はアルコール(50容積%のエチルアルコール)を使用して、誘発喀痰試料を保存したが、この場合も、MTBは培養に対し、もはや生存可能ではなくなった。
喀痰を液化し、MTBおよびその他の頑丈な微生物の生存能力を維持し、同時にバックグラウンド細菌叢を死滅させる収集方法および組成物への要求がいまだ残されている。
上記情報は、出願者が考えている既知の情報を本発明に可能な限り関連づけるために提供されている。前述のいずれかの情報が本発明に対する先行技術となることを承認することを必然的に意図するものではなく、そのように解釈されるべきものでもない。
本出願の目的は、頑丈な微生物の生存能力を安定化および維持するための組成物および方法を提供することである。本出願の一態様では、生物試料中のマイコバクテリア、炭疽菌、クロストリジウム・ディフィシレまたは酵母などの、生存可能で頑丈な細菌を保存する方法が提供され、該方法は生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、該安定化組成物はキレート化剤、変性剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有する。
本出願の別の態様では、生物試料を液化する方法が提供され、該方法は生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、該安定化組成物はキレート化剤、洗剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有する。
本出願の別の態様では、生物試料中のマイクロバイオームを安定化する方法が提供され、該方法は生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、該安定化組成物はキレート化剤、洗剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有する。
本出願の別の態様では、生物試料中の細菌核酸のキャラクタリゼーション方法が提供され、該方法は、
生物試料を安定化組成物と接触させること、および試料中の核酸を増幅することを含み、
該安定化組成物はキレート化剤、洗剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有し、該増幅ステップを行うのが収集の直後であっても、またはさらに後であっても、増幅された核酸のレベルが実質的に不変のままである。
本出願の別の態様では、キレート化剤、洗剤、および生存可能な頑丈な微生物を含む組成物が提供される。
本発明をよりよく理解するために、その他の態様およびさらなる特徴に加えて、併せて添付図面を使用して以下の説明を行う。
BD2緩衝液中、室温で貯蔵した喀痰の変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)分析のゲルの写真である。 BD3緩衝液中、室温で貯蔵した喀痰のDGGE分析のゲルの写真である。 NaOH処理後、4℃で貯蔵した喀痰のDGGE分析のゲルの写真である。 低、中および高TB負荷喀痰試料のリアルタイムPCR分析の結果を示すグラフである。 Sample Transport Chemistry(STC)で処理後の炭疽菌芽胞の生存能力を示すグラフである。 t=2日の時点のヒト唾液由来の結核菌の存在を分析したゲルの結果の写真である。
特に断らなければ、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書および請求項で用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段の明確な記載がない限り、複数形の指示対象を包含する。
本発明で使用する場合、用語の「含む(comprising)」は、後に続くリストが非包括的であり、任意のその他の追加の適切な項目、例えば、必要に応じて1つまたは複数のさらなる特徴(単一または複数)、構成要素(単一または複数)および/または成分(単一または複数)を含んでも、または含まなくてもよいことを意味すると理解される。
本明細書で使用される場合「試料」という用語は、任意選択で、注目している核酸、タンパク質またはその他の生体分子である対象物質を含む可能性のある任意の検体を意味すると理解される。「試料」という用語は、水溶液などの溶液、細胞、組織、生検材料、粉末、固体、または1種または複数種のこれらの集団を包含することができる。試料は生物試料、例えば、唾液、喀痰、口腔スワブ試料、血清、血漿、血液、軟膜、咽頭、鼻部/鼻部咽頭または洞スワブまたは分泌物、咽頭スワブまたは擦過物、尿、粘液、糞便、直腸スワブ、病変スワブ、キームス、吐瀉物、胃液、膵液、消化管液、***/***、尿道スワブおよび分泌物、脳脊髄液、乳汁分泌または月経生成物、卵黄、羊水、水様液、硝子体液、頸部分泌物またはスワブ、膣液/分泌物/スワブまたは擦過物、骨髄試料および吸引液、胸水および浸出液、汗、膿、涙液、リンパ液、気管支または肺洗浄液または吸引液、腹膜浸出液、細胞培養液および細胞懸濁液、結合組織、上皮、上皮スワブおよびスメア、粘膜、筋組織、胎盤組織、生検材料、滲出液、臓器組織、神経組織、毛髪、皮膚、爪、植物、植物抽出物、藻類、土壌試料、環境試料、下水、廃水、食糧、食肉加工設備スワブ、などであってよい。
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」という用語は、任意の顕微鏡的生物および芽胞を意味すると理解され、これらには、すべての原核生物、すなわち、真正細菌および始原細菌、および種々の形態の真核生物が挙げられ、原虫類、真菌(例えば、酵母)、藻類、および輪虫類およびプラナリアなどの動物が含まれる。
本明細書で使用される場合、「頑丈な微生物」という用語は、通常、標準的核抽出技術に抵抗性である、例えば、マイコバクテリウム属の1つまたは複数の種、結核菌群の1つまたは複数の種、結核菌のMDR株、クロストリジウム属の1つまたは複数の種、炭疽菌などのバチルス属の1つまたは複数の種、および頑丈な細胞壁を有するその他の微生物などの微生物および芽胞を意味する。
本明細書で使用される場合、「Sample Transport Chemistry組成物」および「STC組成物」という用語は、生物試料中に存在しても存在していなくてもよい頑丈な微生物の生存能力を維持するために、生物試料を処理および/または貯蔵するために使用される組成物を意味する。
本出願は生物試料中の頑丈な微生物を安定化するための組成物および方法を提供する。本組成物および方法はまた、粘稠な生物試料を液化するために、および/または環境温度で貯蔵中の生物試料中のバックグラウンド細菌フローラの増殖をなくするかまたは最少化するために、有用である。
Sample Transport Chemistry
本安定化組成物は、貯蔵試料中のマイコバクテリアなどの頑丈な微生物の安定化にうまく機能し、それにより、下流の臨床試験に対し頑丈な微生物が生き残ることが明らかになったSample Transport Chemistry(「STC」)混合物を含む。特に、STC組成物中に貯蔵された頑丈な微生物は、室温における貯蔵後であっても、標準的培養条件下での培養で生存可能である。頑丈な微生物は、STC組成物中で1日以上の、5日間以上の、1週間以上の室温における貯蔵の後での培養に対して生き残ることが明らかになった。一実施形態では、STC組成物は、生物試料中の生存可能な頑丈な微生物の室温で約1週間の貯蔵に有用である。この情況では、頑丈な細菌は、標準的培養条件下で頑丈な細菌のコロニー形成単位の形成により判定して、細菌培養に対して生存可能なままである場合、「安定化されている」と理解される。
本出願のSTC組成物は、キレート化剤、変性剤および塩を含み、約6〜約11のpHを有する水性組成物である。あるいは、本出願のSTC組成物は、最終混合物のpHが約6〜約11となるように、水、水溶液、または試料で再構成することができる、キレート化剤、変性剤、塩および、任意選択で緩衝剤を含む。
キレート化剤は、特定の金属イオンと安定な錯体を形成してそれらのイオンを封鎖し、それにより、それらのイオンがその他の成分と正常に反応できないようにする任意の化学薬品である。キレート化剤は、例えば、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。別の実施形態では、キレート化剤はCDTAである。
変性剤は、タンパク質にそれらの元々の二次および/または三次構造を失わせることができる任意の化学薬品である。変性剤は、例えば、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(SLS)、ラウレス硫酸ナトリウム(SLES))、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、これは特定の実施形態で使用することができる)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン、トリトンX、またはブリージなど)であってよい。一実施形態では、変性剤はSDSである。
一実施形態では、STC組成物は、2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5である。代替的実施形態では、STC緩衝液は、4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8である。
STC組成物は、さらに塩を含み、これは無機塩であるのが好ましい。一例では、塩はLiClである。別の例では、塩は、例えば、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。さらに別の例では、塩は、例えば、ホウ酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。
STC組成物は中性のまたは塩基性pHである。特定の実施形態では、pHは6〜11の範囲であり、例えば、STC組成物のpHは約6.8、または約10.5であってよい。pHを維持するために、組成物は、グリシンなどの緩衝剤をさらに含むことができる。あるいは、組成物は、LiOHなどの酸または塩基を使って適切なpHに調節される。
一実施形態では、STC組成物は、2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5である。代替的実施形態では、STC緩衝液は、4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8である。
本出願は、上記で定義のSTC組成物の成分および生物試料などの試料由来の生存可能で頑丈な細菌を含む組成物をさらに提供する。特定の実施形態では、頑丈な細菌は、芽胞の形であってもよい結核菌、炭疽菌などのマイコバクテリア、またはクロストリジウム・ディフィシレである。
輸送および貯蔵方法
本出願は、生物試料などの試料の貯蔵方法をさらに提供する。該方法は、下流の臨床診断検査での使用に適する形態で安定化されるように生物試料を貯蔵する際に特に有用である。下流の臨床診断検査は、例えば、インビトロ培養または分子診断、例えば、PCRに基づく診断またはシーケンシングであってよい。しかし、本STC組成物を使って安定化された試料にその他の診断検査を採用してもよい。
本貯蔵方法は、生物試料を一定量のSTC組成物と混合するまたは接触させるステップを含む。得られた混合物は、室温または環境温度または約4℃〜約40℃の範囲の温度で貯蔵することができる。試料と混合するSTCの量は、使用者の必要性に適応させるように変えることができる。例えば、試料のタイプおよび/または量、下流分析の要求、利便性、などに応じて変えることができる。一実施形態では、試料の容量のSTC組成物の容量に対する比率は、約5:1〜約1:5の範囲である。特定の実施形態では、試料は等容量のSTC組成物と混合される。
分析前に試料を処理する必要性をなくすために、貯蔵方法は試料収集の時点で行うのが好ましい。このように、潜在的な汚染および/または特殊な試料処理設備の必要性が最小化される。これは、例えば、試料収集装置中にSTC組成物を供給することにより達成することができる。
本発明者らは、本貯蔵方法が試料中のマイクロバイオームの安定化に有用であるという結論に至った。特に、STC組成物は、試料中の微生物の増殖を抑制し、同時に、試料中の頑丈な細菌を後で行われる培養で生存可能な状態で保持するように機能する。このように、研究者または臨床医は試料収集の後で十分に試料を分析し、STC組成物を使って貯蔵された試料内の微生物成分および微生物の相対量を測定することができる。
したがって、本出願は、試料の安定化方法をさらに提供し、該方法は、試料を、上記で定義された、一定量のSTC組成物と混合するまたは接触させるステップを含む。
生物試料のSTC組成物による処理後、使用者の要求に応じて、標準的な技術を使って、試料を輸送、貯蔵、または分析することができる。一実施形態では、試料中の微生物核酸が試料から回収または単離される。これは、標準的な技術を使って行うことができ、または酸化剤および緩衝液を含む組成物を使って行うことができ、酸化剤は過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩または過硫酸塩である(同時係属の米国特許仮出願第61/977,953号(この仮出願は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように)。
高粘稠試料の液化
本出願は、粘稠な粘液性生物試料を液化する方法をさらに提供する。多くの生物試料、または身体の試料は粘稠である。これにより、試料の処理が困難となり、また、分析物、細菌などはこのような粘稠な試料中に均一に分散することができないので、正確な診断検査に対し大きな課題が生じる場合がある。したがって、試料の粘度を低下させて、試料成分の試料内分布の均一性を改善することが可能な試料処理方法があれば特に有益である。
診断手順には、体液などの生物試料の分析が必要となる場合が多い。特に、核酸に基づく診断法がますます重要になってきている。しかし、このような方法は通常、生物試料の初期処理を必要とし、この処理は、時間がかかり、労力を要する場合があり、さらに、汚染の危険性を伴うことがある。例えば、結核の診断は、喀痰、膿、胸水、胃吸引物、気管内吸引物、経気管吸引物、管支肺胞洗浄液検査、喉頭スワブ、および鼻咽頭スワブなどの高粘稠液体生物試料の分析を必要とし、これらは通常、様々な化学的および物理的挙動を示す多くの異なる成分からなる不均一な混合物である。これにより、試料の処理が困難となり、また、分析物、細菌などをこのような試料中に均一に分散させることができないので、正確な診断検査に対し大きな課題が生じる場合がある。試料の粘度を低下させて、試料成分の試料内分布の均一性を改善することが可能な試料収集方法があれば有益であろう。
喀痰は、様々な量の糖タンパク質(ムチン)、唾液、免疫細胞、宿主組織粒子、放出DNA、脂質、および溶解した宿主組織由来のタンパク質からなる。生化学的分析により、気道を覆っている細胞により分泌されたムチンMUC5ACおよびMUC5Bが、気道粘液の主要なゲル形成ポリマー成分であることが明らかとなった。これらのムチン上のシステインドメインは、ポリマー形成に関与し、おそらく、ジスルフィド結合により隣接ムチン鎖と相互作用するのであろう。喀痰は、混入物として様々な量の血液または残留食物粒子を含むことがある。これにより、一面では均一から多相性までおよび他面では液体から高粘稠物までの範囲に及ぶ、喀痰組成物の極めて広範囲にわたる試料間変動が生じる。個々の患者の病態に応じて、喀痰は炎症性の病原体をさらに含み、また、試料成分は、極端に顕著な、例えば、肺炎症により血液混入物がある、または嚢胞性繊維症または気管支炎患者の大量のDNA放出により高粘性である場合がある。
喀痰試料の大きい試料不均一性のために、診断目的の喀痰からのDNA単離などの喀痰試料の処理はかなり困難である。例えば、炎症性病原体が固相および粘稠な環境中に捕捉されている場合、それらへのアクセシビリティおよびそれらの溶解の効率が低下する可能性がある。
本明細書で記載のように、喀痰試料の分析は、結核が疑われる患者に対する標準的診断手順である。診断の古典的な方法には、顕微鏡下での抗酸性マイコバクテリアの喀痰スメア検査および喀痰から単離した培養マイコバクテリアの微生物学的分析が含まれ、該培養マイコバクテリアの微生物学的分析は、結核診断における病原体および耐性の特定のための現在の代表的スタンダードである。加えて、いくつかの分子検査が開発されている。一般に、喀痰試料中のマイコバクテリアの検出を目標とするこれら全ての診断法は、特に、プロテアーゼ、リパーゼ、DNアーゼ、またはグリコシダーゼなどの酵素、洗剤、カオトロピック剤、キレート化剤、および還元剤などを使って、汚染除去および液化のための労力を要する試料処理を必要とする。高い感染リスクのために、結核を疑われる喀痰のいずれの処理も、生きている細菌への作業員の全ての暴露を排除するために、認可された層流および広範囲にわたる保護手段を備えたS3環境を必要とする。したがって、分子検査に対しては、喀痰を直接核酸診断に使用し、集約的な汚染除去および液化手順におよる処理を回避するのが有利であろう。
本発明者らは、意外にも、STC組成物が、NALC/NaOHで使われるよりも遥かに低いpHで粘液性生物試料を液化し、それにより、診断検査の精度および/または容易さを改善し、また、多数の診断検査(例えば、スメア顕微鏡、培養および分子診断)用に複数の均一な試料の回収を可能とするように機能することを見出した。
一態様では、生物試料などの試料の液化方法を提供し、該方法は、試料を一定量のSTC組成物と混合するまたは接触させるステップを含む。得られた混合物は、室温または環境温度またはそれ未満の温度で貯蔵することができる。試料と混合するSTCの量は、使用者の必要性に適応させるように変えることができる。例えば、試料のタイプおよび/または量、下流分析の要求、利便性、などに応じて変えることができる。一実施形態では、試料の容量のSTC組成物の容量に対する比率は、約5:1〜約1:5の範囲である。特定の実施形態では、試料は等容量のSTC組成物と混合される。
分析する前に試料の処理を行う必要性をなくすために、試料の液化方法は試料収集の時点で行うのが好ましい。このように、潜在的な汚染および/または特殊な試料処理設備の必要性が最小化される。これは、例えば、試料収集装置中にSTC組成物を供給することにより達成することができる。
核酸検出方法
上述のように、分子診断法は、潜在的病原体の存在または非存在を特定するために、研究者および臨床医により患者の試料の分析に使用される道具としてますます重要になってきている。これらの分子法は、病原性生物体が存在する場合に、感染の程度を定量化する際にさらに有用である。一方、分子診断法は通常、非常に繊細であり、存在する病原体が低レベルの試料では、病原体が頑丈な細菌である、かつ/または病原体由来の核酸が試料から十分に放出されていないかまたは十分に単離されていない場合は特に、正確に処理して存在する病原体を特定または定量することが困難な場合がある。
本発明者らは、意外にも、STC組成物が核酸を効率的に放出させることを見出した。発明者らは、STC組成物により処理された試料が、試験0日目に抗生物質耐性マーカーの試験に利用可能な十分な量のDNAを有していたことを示した。対照的に、Standard of Care法では、陽性の結果を得るために試料を培養して十分な細菌を生成することが必要であった。
したがって、本出願は生物試料中の細菌核酸のキャラクタリゼーション方法を提供し、該方法は、生物試料を安定化組成物と接触させること、および試料中の核酸を増幅することを含み、該安定化組成物はキレート化剤、洗剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有し、該増幅ステップを行うのが収集の直後であっても、またはさらに後であっても、増幅された核酸のレベルは実質的に不変のままであり、核酸を増幅する前に試料を培養する必要はない。
キット
本発明の方法は、このような方法に使用されるSTC組成物をキットの形で提供することにより、便利に実施される。このようなキットは、STC組成物を乾燥成分の混合物または水性混合物として含むのが好ましい。
任意選択で、キットは容器を含み、該容器は、本発明のSTC組成物を含み、試料収集に好適する。適切な容器の例は、国際公開第03/104251号および同07/068094号に記載されているものである。これら国際公開特許のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で記載の発明のより良好な理解を得るために、次の実施例が示される。これらの実施例は、単に例示目的であることを理解されたい。したがって、これらの実施例は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
実施例
実施例1:Sample Transport Chemistry中の結核菌添加喀痰の環境温度安定性
ヒトのTBの世界的制圧の1つの大きな目標は、TBの原因物質である結核菌の検査室診断とそれに続く適切な処置である。喀痰検体の収集、輸送、および処理に伴う困難は、現在の世界的TB制圧努力に対する主要な課題である。結核菌は喀痰検体中に存在し、その他の急速増殖微生物叢が混入していることが多い。特定の臨床的に意味の少ない種の周囲温度での急速増殖は、医学的に重要な病原体を死滅させるかまたは駆逐する場合がある。したがって、検査室への検体の輸送の遅延、または訓練された作業者の対応の遅れまたは処理を行うインフラの遅れは問題となる。
結核高負担国では、多くの保健医療施設で喀痰抗酸性桿菌(AFB)顕微鏡サービスが利用できず、かなり大きな割合の肺結核患者が長距離を移動して診断施設を利用することを強いられる(Selvam et al.,2007)。このインフラの不足は、処置中の多くの患者の死亡をもたらし、感染性患者が彼らの共同体内外へ感染を広めることを意味する。これを防ぐために、例えば、インドのDOTS(短期直接監視治療)に基づく改訂国家結核対策プログラム(Revised National Tuberculosis Control Programme=RNTCP)は、喀痰検体の顕微鏡センターへの輸送を推奨している。しかし、このようなサービス組織は、高感染性の喀痰試料の輸送が必要となるという事実などのいくつかの理由から困難である。さらに、1つの集中化した検査室施設への検体の輸送は、不安定である危険性があり、また、微生物学的な収率と健全性に影響を及ぼす可能性がある。
検体の健全性の急速な低下はまた、国際的感染症の共同研究ならびに遠隔にある地域での病原体の試験の両方に大きな障害となる。遠隔にある地域から特殊性の高い検査室に診断検体を移動し、診断精度を確保することは非常に困難である。このことは、多国間輸送の場合に遅延と温度変動の可能性があること考慮すると、特に該当することである。臨床診断分野において、かなり長い貯蔵および移動の後であっても、病原体を特定、または定量化することができるような、喀痰およびその他の生物試料の貯蔵および輸送のための信頼できる方法の必要性が存在する。
先進国では、喀痰試料は4℃で検査室に輸送されており、これは全体のコストをかなり押し上げる。多くの発展途上国では、コストおよびインフラの不足という理由もあって、喀痰検体は通常、周囲温度で検査室に輸送される(すなわち、低温流通体系管理が行われない)。たとえ3日間を超える間の室温での喀痰検体の貯蔵であっても、培養生存能力の大きな低下および汚染物増加速度の上昇が生じることが知られている(Paramasivan et al.,1983)。都合の悪いことに、予備的顕微鏡診断により生じた初期の間違いは、臨床的徴候がより明確になる数週間後になるまで知ることができない(偽陰性)。その結果として、いくつかのグループは、喀痰検体をより大きな処理センターに送らせるために、それを保存する方法を開発することを試みた。Holzら(2001)およびPopovaら(2004)は、処理の前に、試料を10日間までうまく凍結貯蔵することができることを示した。Kellyら(2003)およびDormanら(2010)は、それぞれ、ホルムアルデヒドおよびアルコール中での喀痰の固定を提案した。しかし、これら全ての保存方法は、マイコバクテリアの生存能力に影響を与え、それらのその後の培地中での増殖および検出に影響する可能性がある。
本発明者らは、収集または輸送用化学組成物を開発した。意外にも、該組成物は、輸送および貯蔵中の複雑な喀痰検体中の強靭な微生物を安定化し、同時に、スメア顕微鏡、培養、およびリアルタイムまたは定量的PCR(qPCR)を利用する診断のために、マイコバクテリアの生存能力を維持する。好都合にも、本輸送組成物は、喀痰との接触時に、大部分のバックグラウンド微生物を死滅させる。この実施例では、弱毒結核菌添加喀痰試料をsputum transport chemistry(STC)組成物と混合し、培養、DNA抽出およびqPCRを行う前に、典型的な周囲温度(35℃、室温、および4℃)で30日間の長期貯蔵を行った。
実験方法
本実施例のために、健康なTB陰性患者由来の凍結された未処理の喀痰試料をFoundation for Innovative Diagnostics(革新的な新規診断薬に関する基金)(FIND)結核検体バンクから提供を受けた。FINDは、培養およびスメア分析を使って、この患者試料を、「スメア陰性、培養陰性」として分類した。
結核菌添加生物試料の調製
TB陰性として確立された未処理の喀痰試料がFINDから凍結輸送された。喀痰試料を氷上でゆっくり解凍し、プールして2つの8mL試料を形成した。安全に結核陽性喀痰をシミュレートするために、喀痰に5x10コロニー形成単位/mL(cfu/ml)で中等度の濃度の弱毒結核菌H37Ra(aMTB)を添加した。1つの8mLの、プールされ、添加された試料を均等に3分割し、それぞれの画分を等容積のBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)すなわち、Sample Transport Chemistry(STC)と混合し、その後、画分を4℃、35℃または室温で30日間まで保持した。2つ目の8mLの、プールされ、添加された試料は処理せずに、すなわち、未添加のままとし、均等に3つに分割した後、4℃、35℃または室温で30日間まで保持した。
示した時点(T=0、7日、14日および30日)で、種々の温度で貯蔵された画分から一定分量を取り出した。一定分量を使って培養液に接種するか、または一定分量から3種の異なる方法(過ヨウ素酸塩、グアニジンチオシアネート、ビーズビーティング)を使ってDNAを抽出し、抽出DNAをqPCRおよびマイコバクテリウム特異的プライマーを使って定量した。培養およびqPCRの前に、全てのaMTB添加画分を35℃、4℃および室温(RT)で7、14、および30日間、貯蔵した。
MTB添加喀痰画分の培養条件
それぞれの時点で、それぞれの画分から一定分量(400μL)を培養用として取り出した。
BD2緩衝液処理画分に対しては、400μLの分量を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌をペレット化した。上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌PBS中に再懸濁し、完全に混合されるまでボルテックスした。
非処理(NT)画分に対しては、400μLの分量を200μLの新しいNaOH(2%)−NALC(0.5%)−クエン酸塩(1.45%)と混合し、室温で15分間インキュベートした。それぞれのチューブに600μLの無菌PBSを加え、5,000rpmで20分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌PBS中に再懸濁し、完全に混合されるまでボルテックスした。
BD2緩衝液処理画分および非処理画分に対し、次に、100μLの再懸濁細菌を、塗抹法を使って、3つのLBプレートに直接播種し、37℃でインキュベートした。約4日目に、コロニーの数を計数した。
過ヨウ素酸塩法を使ったaMTB添加BD2緩衝液処理喀痰からのDNAの抽出
1.それぞれの示した時間と温度(35℃、4℃およびRTで、0、7、14および30日)で、BD2緩衝液処理画分から400μLの分量を新しいチューブに移し、5,000rpmで20分間遠心分離して細菌をペレット化した。
2.上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌BD2緩衝液中に再懸濁した。
3.(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムを最終濃度の15mMまで加え、ボルテックスして混合した。
4.混合物を水浴中70℃で20分間インキュベートした。
5.試料を室温で2分間冷却した。
6.1Mのトリス緩衝液(pH7)を最終濃度50mMまで加えた。
7.混合物室温で10分間インキュベートした。
8.3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加え、ボルテックスして混合した。
9.混合物を氷上で10分間インキュベート後、13,000rpmで5分間遠心分離した。
10.上清を清浄な標識チューブに移し、ペレットを廃棄した。
11.2倍量の室温の95%エタノールをチューブ中の上清に加え、チューブを20回反転させることにより混合した。
12.混合物を室温で10分間インキュベートして、DNAを沈殿させた後、15,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
13.上清を静かに取り出し、ペレットを掻き乱さないように注意して廃棄した。
14.ペレットを200μLのTEに溶解した(混合物を短時間ボルテックスしてDNAを完全に再懸濁させた)。
グアニジンチオシアネート法を使ったaMTB添加NT喀痰からのDNAの抽出
1.水酸化ナトリウム(NaOH)の4%溶液を新しく調製し、オートクレーブで処理した。
2.2.9%クエン酸ナトリウム溶液を新しく調製し、オートクレーブで処理した。
3.等容積のNaOHおよびクエン酸ナトリウム溶液を混合し、N−アセチル−L−システイン(NALC)粉末を加えて、最終濃度の0.5%を得た。この溶液を良く混合し、同じに日に使用した。
4.それぞれの示した時間と温度(35℃、4℃およびRTで、0、7、14および30日)で、NT画分から400μLの分量を新しいチューブに移し、200μLの新しいNaOH−NALC−クエン酸塩を加えた。チューブを良くボルテックスして混合した。
5.混合物を室温で15分間インキュベートした後、600μLの無菌PBSを加え、5,000rpmで20分間遠心分離して細菌をペレット化した。
6.上清を廃棄し、400μLの無菌PBSをペレットに加えた。チューブをボルテックスして混合した。
7.混合物を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌を再ペレット化した。
8.上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌PBS中に再懸濁した。
9.200μLの再懸濁ペレットに、1mLのDNAzol試薬(グアニジンチオシアネート洗剤溶解溶液、カタログ番号10503−027、Life Technologies)を加え、混合物をピペッティングして細胞を溶解した後、0.5mLの100%エタノールを加え、チューブを10回反転させて混合した。
10.混合物を室温で3分間インキュベートした後、14,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
11.DNAペレットを75%のエタノール1mLで2回洗浄した。
12.全ての微量のエタノールを除去し、DNAペレットを200μLの8mM NaOHに溶解した。
「ビーズビーティング」法(「Standard of Care」)を使ったaMTB添加NT喀痰からのDNAの抽出
1.それぞれの示した時間と温度(35℃、4℃およびRTで、0、7、14および30日)で、NT画分から400μLの分量を新しいチューブに移し、200μLの新しいNaOH−NALC−クエン酸塩を加えた。チューブを良くボルテックスして混合した。
2.混合物を室温で15分間インキュベートした後、600μLの無菌PBSを加え、5,000rpmで20分間遠心分離して細菌をペレット化した。
3.上清を廃棄し、400μLの無菌PBSをペレットに加えた。チューブをボルテックスして混合した。
4.混合物を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌を再ペレット化した。
5.上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌PBS中に再懸濁した。
6.200μLの再懸濁細菌を80℃で1〜2時間加熱した。
7.200mgの105〜150μmガラスビーズを加熱細菌混合物に加えた。
8.Mini−BeadBeater(商標)(BioSpec Products)を使って、ガラスビーズを含む混合物を1分間ずつ2サイクルにわたり激しく震盪させた。各サイクル毎に1分間氷上に置いた。
9.PCRに先立ち、試料を95℃で2分間加熱した。
rtPCR条件
この実施例では、aMTB添加喀痰の一定分量から単離されたDNAを、マイコバクテリウム特異的rtPCRアッセイ(qPCR)である、RD4 TaqmanリアルタイムPCRアッセイに供した。RD4用のプライマーは次の通りである:RD4−順方向5’−CCA CGA CTA TGA CTA GGA CAG CAA−3’およびRD4−逆方向5’−AAG AAC TAT CAA TCG GGC AAG ATC−3’(Halse et al.(2011))37未満の閾値サイクル(C)値を陽性と報告し、37より大きいCt値の試料を再試験して、結果が同じなら、陰性と報告し、結果が同じでない場合は、不確定として報告した。
結果および考察
通常、Standard of Care(SOC)シナリオでは、喀痰検体は収集中に無処置(NT)のままで、検査室に輸送される。検査室で受け入れ時に、喀痰はNALC−NaOH−クエン酸塩の添加により液化および汚染除去された後に、培養される。この実施例では、弱毒MTBは、室温および4℃で30日まで維持された無処理喀痰中である程度まで生存可能な状態で残存したが、35℃で維持された場合は、その後の培養により増殖が認められなかった(NG)(表1)ことから判断して、生存可能ではなかった。
本出願で記載の方法を実施する場合、喀痰検体は、理想的には、収集の時点でSample Transport Chemistry(例えば、BD2緩衝液)と混合され、検査室で処理されるまで、輸送および貯蔵全体を通してこの状態で維持されるであろう。どの時点でも、NALC−NaOH−クエン酸塩処理は採用されないであろう。NT喀痰と同様に、この実施例は、室温および4℃で、aMTBはSTC単独中で少なくとも30日間生存可能な状態で残存したことを示した(表1)。STCおよびNTの両方法とも、35℃で7〜30日間、aMTBの生存能力を持続させることができなかった。意外にも、収集の時点(T=0)でSTCを喀痰に添加して、直ちに検体を液化することにより、バックグラウンド細菌叢が検体を圧倒する機会を持つ前に、標的生物体であるマイコバクテリウム(存在する場合)の生存能力に悪い影響を与えることなく、少なくとも30日間にわたり、バックグラウンド細菌叢の増殖を排除または最小化することができることを見出した。
収集され、35℃、4℃および室温で30日までSTC中に貯蔵されたaMTB添加喀痰検体のリアルタイムPCRでは、その後に抽出されたaMTBのDNA濃度は、貯蔵温度および時間に関係なく安定な状態のままであることが示された(表2参照)。弱毒マイコバクテリア結核菌からの機能性qPCR品質DNAを放出させる点で、過ヨウ素酸塩処理は、ビーズビーティングを使った場合のaMTBの熱的、物理的破壊に匹敵する効果があることが明らかになった。対照的に、DNAzol(グアニジンチオシアネート−洗剤)処理による抽出では、DNA放出の点で、過ヨウ素酸塩またはビーズビーティング法に比べて非常に効果が少ないことが明らかになった。特に、STCと過ヨウ素酸塩の組み合わせは、SOCとDNAzol処理の組み合わせと比較して、マイコバクテリウム特異的アッセイの感度を1log(3+C値)だけ高めた。したがって、検査室での検体処理中における、標準的NALC−NaOH−クエン酸塩検査室手順に続けて機械的なビーズビーティングを行う方法は、STCとそれに続く過ヨウ素酸塩処理の方法により、うまく置き換えることができる。重要なのは、マイコバクテリウム生存能力に悪影響を与えることなくバックグラウンド細菌叢を制御するために、STCを収集の時点で喀痰と混合することができることである。
実施例2:Sample Transport Chemistryは接触時に喀痰を液化する
ヒト由来の喀痰を使って嚢胞性繊維症患者の結核を診断し、感染を検出する。このような高粘稠検体中では、細菌は均一に分布しておらず、このことにより、通常マイコバクテリアの特定に使用される抗酸染色法において問題を生ずる。注目すべきことは、この結核診断技術は、約50%の感度に過ぎないことがわかっており、すなわち、患者が実際に疾患を有する場合、TBの存在を検出する確率と、検出しない確率が同じであることである。この感度の不足は、既存の試料調製プロトコルでは、検体のどの部分にも染色のためのマイコバクテリアを得る等しい確率が存在するように、細菌が均一に分布した試料を生成することができないことに起因する。したがって、正確で代表的な喀痰培養および分子診断を確実にするためには、喀痰検体の液化および均一化が不可欠である。
液化は、粘度の低下、試料を容易にピペッティング可能なこと、および密な凝集塊の完全な消失により判断される。従来、種々の粘液溶解薬を使用して喀痰検体が液化されてきたが、これらに粘液溶解薬には、例えば、パンクレアチン、パンクレアチン−トリプシン、ならびにナトリウム2−エチルヘキシルサルフェート(Tergemist)、アミラーゼ、N−アセチル−L−システイン(NALC)、およびジチオトレイトール(DTT、Sputolysin)(Hammerschlag et al.,1980)が挙げられる。NALCは、よく使われている液化剤の1つであり、ほとんどの嚢胞性繊維症(CF)患者の喀痰中の主な病原体である緑膿菌に対しインビトロで顕著な阻害活性を有する。また、これらの粘液溶解薬により粘液から不十分に放出された細胞は、黒く着色する傾向があり、このために正確な特定が困難になる。
意外にも、粘液性喀痰試料の取扱中に、本発明者らは、STC単独(BD2緩衝液:2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)で喀痰液化に十分であることを認めた。NALCまたはDTTなどの還元剤は必要でなく、液化の程度は、現在のStandard of Careの3.5%水酸化ナトリウム(NaOH)処理法を使って得られたものと同等であった。12〜24時間毎に新しくする必要があるNaOH−NALC−クエン酸塩と異なり、BD2緩衝液は室温で数ヶ月間安定である。PicoGreen(登録商標)蛍光染料および蛍光測定法、ならびに16S rRNA遺伝子特異的プライマーを使ったqPCRを使用したDNA収率の多数回技術的反復分析により液化の目視観測を行った。
材料および方法
この実施例では、健康なドナー由来の2mLの喀痰をプールし、ボルテックスした。等容積のBD2緩衝液を加え、反転により混合し、室温で15分間インキュベートした。この時点で、喀痰は完全に流動化した。核酸を抽出するために、喀痰をプロテイナーゼK(160μg)で処理し、50℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション後、多数回技術的反復実験用として、10x200μLの分量を新しいチューブに取り出した。それぞれの200μLの分量に、10μLの3M酢酸カリウム(最終濃度150mM)を加え、チューブを氷上に10分間保持した。13,000rpmで5分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。2倍量の室温の95%エタノールを加えてDNAを沈殿させた。室温で15分後、13,000rpmで2分間の遠心分離ステップによりDNAをペレット化した。DNAペレットを100μLのTE緩衝液(pH7.1)に溶解した。
DNA濃度の蛍光定量
PicoGreen(登録商標)蛍光染料(200x;Invitrogen、カタログ番号P7581)を使って10個の精製試料からDNAを定量した。ラムダDNA(Invitrogen、カタログ番号25250−010)を使って、検量線を生成した(3通り;0〜50ng/μL)。PicoGreen(登録商標)は、ナノグラム以下の量の二本鎖DNA(dsDNA)の高感度定量化を可能とする蛍光二本鎖DNA結合染料(485nm励起/535nm発光)である。一定分量のそれぞれの精製試料およびラムダDNA基準を黒色平底96ウエルマイクロプレート(Greiner Bio−One、カタログ番号655209)中で処理し、Infinite M200マイクロプレートリーダー(TECAN)を使って蛍光を測定した。
rtPCR条件
10個の喀痰の一定分量から抽出されたDNAを、16S rRNA遺伝子特異的rtPCRアッセイ(qPCR)に供した。16S rRNA用のプライマーは次の通りである:BacrRNA173−F 5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’およびBacrRNA173−R 5’−CCTACGGGAGGCAGCAG−3’。それぞれのPCR反応液には、2μLテンプレート、2.5μLの1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、2.5μLの10xPCR緩衝液、1.25μLの50mM MgCl、0.5μLの10mM dNTP、0.5μLの10pM順方向プライマー、0.5μLの10pM逆方向プライマー、0.5μLの0.5μM Syto9、0.2μLの5U/μL Taqポリメラーゼ、12.3μLの水を含めた。大腸菌からの高度精製DNAがPCR分析用の基準としての役割を果たした。陰性対照には、鋳型DNAを加えない反応液を含めた。C値は、増幅曲線が検出の閾値と交差する点のサイクル数を意味する。Rotorgene装置ソフトウェアで閾値ラインを設定し、各試料についてC値を計算した。C値は試料中のDNAの量に反比例する。1サイクルのCt値の減少は、2倍の検出DNA量に相当する。
結果および結論
喀痰の粘度の完全な低下は、サンプリング誤差を減らし、培養の精度を高めるために不可欠である。実験は、喀痰が、5:1〜1:5(喀痰:STC)の比率の本chemistryにより液化されたことを示した。
本実施例は、同容積のSTCを使った室温で15分間の1回の処理により高粘稠喀痰が完全に液化されたことを示す。STC処理喀痰から取り出され、分析されたそれぞれの一定分量は、PicoGreen蛍光測定法により示されるように、全DNA濃度が実質的に同一であった(表3)。このことは、試料全体に均一に分散されたDNA(任意の起源由来の)の均一分布が存在し、液化を示すことを意味する。また、細菌特異的プライマーを使ったqPCRは、それぞれの技術的反復測定が同じ量の細菌DNAを含んでいたことを示した。したがって、内在性細菌を検体全体に均一に分配するためには、短時間のSTCへの暴露で十分であった。
本実施例は、通常、喀痰収集の時点でSTCを検体と混合し、収集時に液化試料を生成することができることを示す。しかし、STCは、処理(例えば、抗酸染色法)または培養の前に、検査室で検体に加えて、試験の時点で液化試料を得ることも可能である。
本明細書の結果は、STC組成物および本明細書で記載の方法は、試験の一貫性を損なうことはなく、また同時に、現場での実施に必要な速度と精度を実現したことをさらに示す。この単純で迅速、安価な喀痰試料処理方法は、人的資源の多いおよび少ない状況下で、種々の検出方法に対し、より多くのマイコバクテリア(存在する場合には)を利用可能/アクセス可能にし、疾患のさらなる伝播を防止する。
実施例3:スメア顕微鏡、培養および分子診断アッセイを使った結核診断におけるSample Transport Chemistryの適合性
世界中で、約20億人が潜在的に高い感染性を有する結核菌(「MTB」)に感染している。毎年、ほぼ9百万人が活動性疾患を発症し、2百万人がこの疾病で死亡する。MTBの感染性の性質を考慮すると、迅速で正確な診断はMTB処置および疾患制圧の重要な要素である。
抗結核療法で使用される4種の一般的な第一選択薬は、イソニアジド(INH)、リファンピン(RIF)、エタンブトール(EMB)、およびピラジナミド(PZA)である。しかし、MTB株は1種または複数種の薬剤に対し耐性になり、治癒の達成を困難にする場合がある。RIF耐性は、多剤耐性(MDR−TB)株中で最も一般的に認められ、このような分離菌中で95%を超える頻度であることが報告されている(Morris et al,1995)。MDR−TBは、少なくともINHおよびRIFに対して耐性である菌株により引き起こされる結核と定義される。RIFまたはその他の第一選択薬に対する耐性は通常、全感受性検査の必要性を示す。
この実施例では、ヒトTB陽性喀痰検体が入手可能な、独立した診断検査室の、All India Institute of Medical Sciences(AIIMS,New Delhi,India)により、喀痰から結核菌を診断する現在の代表的スタンダード法と、未処理の喀痰試料をSample Transport Chemistry(STC)中に収集する本発明とが並べて比較された。試験には、1)スメア顕微鏡、2)MGIT培養、3)Cepheid GeneXpert(登録商標)(結核菌およびリファンピン(RIF)耐性のPCRベース検出)、および4)マイコバクテリウム感染を診断するための、検査室開発マルチプレックスPCR(LDMP)アッセイ(Gopinath and Singh,2009)を含めた。
Cepheid GeneXpertシステムと共に使用するためのXpert MTB/RIFアッセイは、1)喀痰試料または誘導されたもしくは吐き出された抗酸性桿菌(AFB)スメア陽性もしくは陰性の喀痰から調製された濃縮沈殿物中の結核菌群DNA、および2)リファンピン耐性のリスクのある患者由来の試料のrpoB遺伝子のリファンピン耐性関連変異の検出のための半定量的なネストリアルタイムPCRインビトロ診断試験である。
実験方法
未処理の喀痰検体の処理および4つの診断検査
確立されたTBまたはMTB活動性感染の高い確率を有する6人の患者から未処理の喀痰試料を収集した。検体(4mL以上)をピペットを使って手作業で2つの部分(各2mL)に分け、等容積の新たに調製した4%NaOH/0.5%NALC(代表的スタンダード)またはSTC(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMのグリシン、pH10.5から構成されるBD2緩衝液)で処理した後、培養、AFBスメアおよび2種の分子診断アッセイにより評価した。
NaOH/NALCまたはSTCの添加後、それぞれの分量を次のように処理した:
1.混合物を10〜15秒間ボルテックスした。
2.混合物を室温で15分間、高粘液性試料の場合は20〜25分間、静置した。
3.チューブにリン酸緩衝液(pH6.8)を50mLの標識まで満たした後、数回反転して、完全に混合し、その後、3,000〜3,500RCFで15分間遠心処理した。
4.上清を注意深く注ぎ出して、ペレットを1.25mLの無菌リン酸緩衝液中に再懸濁し、これを次のように一定分量を取り出した:
a.一定分量1:300μL
i.300μLの無菌リン酸緩衝液を加える(合計600μL)。
ii.抗酸性桿菌(AFB)スメア検査(100μL)。
1.確立された検査室プロトコルに従ってスメアを実施した。スメアを喀痰の汚染除去の前に(Smear Direct)およびNaOH/NALCまたはSTCを使った汚染除去(DC)の後で(Smear DC)行った。スメアスコアリング:1+ 弱陽性の試料を意味する、2+ 中陽性の試料を意味する、3+ 強陽性の試料を意味する。
iii.BACTEC(商標)MGIT−960(500μL)
1.バイオセーフティキャビネット2型中で、無菌条件下、BACTEC(商標)MGITチューブ中に接種した。
2.接種したMGIT−960チューブをBACTEC(商標)MGIT−960システムに装着し、蛍光ユニット中で42日まで増殖を連続的にモニターし、停止増殖量に達した後にチューブは陽性を示した。MGIT培養の状態は報告しなかった。
b.一定分量2:250μL
i.250μLの無菌リン酸緩衝液を加える(合計500μL)。
ii.検査室開発マルチプレックスPCR(LDMP)アッセイ
1.LDMPアッセイによる分析のためのDNA精製AIIMSプロトコル(Gopinath and Singh,2009)に従った。
2.簡単に説明すると、細胞壁をリゾチームで溶解した後、タンパク質のプロテイナーゼK消化およびナトリウムドデシルサルフェート処理を行った。
3.NaClおよび臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを使用して、タンパク質および高分子を沈殿させた。
4.クロロホルムおよびイソアミルアルコールで抽出後、水相から核酸を回収した。
5.−20℃でイソプロパノールを使って一晩、DNAを沈殿させた。
6.ペレットをエタノールで洗浄し、50μLのTE緩衝液で再構成し、10μLをマルチプレックスPCRに使用した。
7.マルチプレックスPCR(Gopinath and Singh,2009)では、マイコバクテリウム属特異的プライマー(hsp65)(Telenti et al.,1993)、非定型抗酸菌複合体(M.avium complex)(MAC)特異的プライマー(Park et al.,2000)および新規結核菌(MTB)群特異的セットのcfp10またはesatを標的とするプライマー(Gopinath and Singh,2009)の3つのプライマーセットを使用した。
c.一定分量3:300μL
i.300μLの無菌リン酸緩衝液を加える(合計600μL)。
ii.Cepheid Xpert MTB/RIFアッセイ
1.1.8mLのCepheid SR緩衝液(比率1:3)を加えた。
2.喀痰沈殿物用のCepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイに従って試験した。
3.GeneXpertリアルタイムPCRから次の2つの結果を得た:1)結核菌正の陽性/陰性、および2)リファンピン(RIF)抗生物質感受性または耐性(Sens/Res)(表4)。
d.一定分量4:250μL
i.250μLの試料を2mLのスピンチューブに移した。
ii.250μLのSTCを加える(合計500μL)。
iii.STC処理試料用のDNA抽出プロトコル:
1.(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムを最終濃度30mMまで加え、ボルテックスして混合した。
2.70℃で20分間インキュベートし、室温まで冷却した。
3.1Mのトリス緩衝液(pH7)を最終濃度50mMまで加え、ボルテックスして混合した。
4.3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加え、ボルテックスして混合した。
5.氷上で10分間インキュベートした。
6.13,000rpmで5分間遠心分離した。
7.上清を清浄な標識チューブに移した。ペレットを廃棄した。
8.2倍量の室温95%エタノールを加えた。
9.20回反転して混合した。
10.室温で15分間試料をインキュベートした。
11.15,000rpmで2分間遠心分離し、DNAをペレット化した。
12.ペレットを掻き乱さないように注意して上清を静かに取り出し、廃棄した。
13.ペレットを100μLのTEに溶解した。
14.短時間ボルテックスし、室温で少なくとも30分間静置した。
15.精製DNAを室温または−20℃で貯蔵した。
結果および結論
STCに対する短時間の暴露により、喀痰検体の6人全ての試験患者由来の検体(表4)が、NaOH/NALC処理を使って得られたものとほぼ同じレベルでうまく液化および汚染除去された。NaOH/NALCまたはSTCで汚染除去後、接種培養液は汚染の兆候を示さず、臨床検体中のバックグラウンド微生物叢を死滅させる点で、STCが同等に効果的であることを示した。
汚染除去方法に関係なく、スメア分析は、同じ診断結果(1+対3+)をもたらし(表4)、STCはマイコバクテリアの抗酸性染色特性を変えなかったことを示した。したがって、顕微鏡によるマイコバクテリアを検出する標準的検査室実務を、STC中に直接収集された喀痰検体の使用に容易に適用可能である。
NaOH/NALCまたはSTCを使った喀痰の液化および汚染除去後に、6人の全患者の検体からマイコバクテリアを培養した。STCは培養中にマイコバクテリアの生存能力に悪い影響を与えず、得られた結果は従来のNaOH/NALC処理を使って得られたものと同等であった(表4)。
分子診断試験結果も同様に、NaOH/NALCおよびSTC処理患者試料で同じであった。Cepheid GeneXpert(登録商標)システムを使ったネストリアルタイムPCR分析は、6人全ての患者が結核菌陽性であり、リファンピンに感受性があることを示した(表4)。AIIMS検査室開発マルチプレックスPCRアッセイは、実際に、6人の患者が属レベルでおよび種レベルで結核菌に陽性であり、さらに、非定型抗酸菌複合体(Mycobacterium avium complex)に対し陰性であった(表4)。STC処理喀痰試料はまた、AIIMS確立TB試験アルゴリズムによるLDMPアッセイにも適合した。このアッセイでは、核酸は、標準的クロロホルム/イソアミルアルコール精製法を使って検体から回収される。
本実施例は、培養、抗酸性桿菌(AFB)の顕微鏡的特定および分子診断検査などの一連の現状の手法を使って、STCで液化および除染除去された未処理の喀痰検体を、マイコバクテリア感染の検出およびキャラクタリゼーションのための標準的診断方法にうまく使用することができることを示す。これらのSTC処理試料はまた、適切な治療を投与するためにおよびより良好な患者管理のために、病原学的マイコバクテリア種に対するPCRベース試験にも使用することができる。
実施例4:喀痰マイクロバイオームはSample Transport Chemistry中で安定である
本実施例では、Sample Transport Chemistry(STC)組成物を未処理のプールした喀痰(TB不含)と混合し、喀痰の液化および汚染除去、ならびに、室温で長期間貯蔵した内在性マイクロバイオームの安定性を評価した。標準的喀痰汚染除去/液化手順における水酸化ナトリウムの産業での標準的使用のための対照として、水酸化ナトリウムで短時間処理後に、喀痰も長期間貯蔵した。
実験方法
喀痰検体の処理
3つのTB陰性喀痰検体(FIND結核検体バンクから提供された)をプールし、3つの1mLの一定分量に均等に分割した。等容積のBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)、BD3緩衝液(4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOH、pH6.8)、および水酸化ナトリウム(NaOH、3.5%)を3つの喀痰一定分量に加え、混合した。室温で15分以内に、3つ全ての混合物が均等に液化され、液化は、粘度の低下、試料を容易にピペッティングできる能力、および密な凝集塊の完全な消失、により定量的に測定された。
NaOH処理一定分量を遠心分離(3,000rpm、15分間)によりペレット化し、上清を廃棄し、ペレットをPBS中に添加し、4℃で28日間まで貯蔵した。BD2およびBD3処理喀痰試料をバイオセーフティキャビネット中、室温(15℃〜25℃)で28日間まで維持した。
DNA精製
1.処理(上記)の、0、1、7、21および28日後、DNAの精製のために、ぞれぞれの混合物から200μLの一定分量を抜き出した。
2.81mgのプロテイナーゼKを、それぞれの一定分量に加え、50℃で一晩インキュベートした。
3.それぞれのこれらの一定分量を2つの100μLの一定分量に分割し、1つを(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム(NPI)を含む抽出用に、残りをNPIを含まない抽出用とした。
4.+NPIの一定分量に、NPIを15mMの最終濃度まで加え、70℃で20分間インキュベートし、室温で冷却した。
5.1Mトリス塩酸(pH7.1)を全ての試料に加えて最終濃度100mMとし、室温で5分間インキュベートした。
6.全ての試料に、3Mの酢酸カリウムを最終濃度150mMまで加えた。
7.氷上で10分間インキュベートした。
8.13,200rpmで5分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移し、ペレットを廃棄した。
9.2倍量の室温95%エタノールを上清に加えた。
10.室温で15分間インキュベートした。
11.13,200rpmで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
12.DNAペレットを50μLのTE緩衝液(pH7.1)に再懸濁した。
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法
本組成物中の喀痰マイクロバイオームの安定性を正確に、再現性よく評価するために、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)と呼ばれる比較的新しい方法を利用した。この方法は、細菌の16S rRNA遺伝子の可変領域(この場合では、V3領域)を採取し、それを、PCRおよび隣接保存領域に対するプライマーを使って増幅する場合、アンプリコンは細菌種に固有の融点を有するであろう(たとえ、単一のヌクレオチドの差異が融解物に影響を与え、それにより異なるプロファイルを与えるとしても)という考えに基づいている。
この方法が複数の細菌種を含む試料に適用される場合、保存プライマーを使った増幅は多くのアンプリコンを生じ、これらの全てはおおよそ同じ長さであるが、非保存領域では異なるヌクレオチド構成を有する。次に、これらのアンプリコンは、勾配を有する変性溶液(尿素およびフォルムアミド)を含むゲル上で泳動させる。アンプリコンはそれらのヌクレオチド構成に応じてゲル上の異なる場所で変性され、それにより、試料中に存在する全ての種が分離される。
DNAアンプリコンが一本鎖型に変性しないようにするために、可変部分が既に変性したゲル上のアンプリコンの移動を遅らせる約30ヌクレオチドのCGクランプを順方向プライマーに加えた。一般に、ゲル上の40%〜60%の変性勾配がバンドの良好な分離を与え、同時に、喀痰種の大部分を捕捉する。アンプリコンの変性を容易にし、また、ゲルを駆動中を通して同じ温度に保持するために、ゲルは一定の55℃で泳動される。
PCR−DGGEは下記の手順に従って実行された。
DGGEのためのPCR増幅(順方向プライマー上に5’クランプを有する16Sプライマーを使用)
a.2μLの10ng/μL精製DNAを12連PCRチューブに加えた。
b.マスターミックスを調製した(98μL/反応):76.7μLの水、10μLの10xPCR緩衝液、4μLの50mM MgCl、2.5μLの10mM dNTP、2μLの10pmol逆方向プライマー(PPUN518R、5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’)、2μLの10pmol順方向プライマー(PRBA338F、5’−CGCCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGACTCCTACGGGAGGCAGCAG−3’)、および0.8μLの5U/μL Taq。
c.98μLのマスターミックスをそれぞれのチューブに加えた。
d.従来のPCR機械でPCRを行った:92℃で2分間を1サイクル;92℃で60秒間、55℃で30秒間、72℃で60秒間を28サイクル;続けて、72℃で6分間を1サイクル。
PCRアンプリコンのDGGE
a.40%および60%変性溶液中の8%アクリルアミド/ビスゲルのストック溶液を調製した:
b.Dcodeシステム(Bio−Rad)用のインストラクションパンフレットに従って、ガラスプレートおよびスペーサーを組み立てた。
c.40%および60%変性溶液を使って、平行勾配を有する8%アクリルアミド/ビスゲルを調製し、注入するために、次の手順を使用した:
・20mLの40%および60%変性溶液を、「低密度」および「高密度」とそれぞれ標識された2つの別のビーカーに秤取した。
・200μLの10%過硫酸アンモニウム(APS)を各溶液に加えた。
・20μLのTEMEDを各溶液に加えた。
・溶液をかき回すことによりよく混合した。
・各溶液を別の20mLシリンジ中に満たした。
・シリンジをゲル充填装置に取り付けた。この装置では、「低密度」または「高密度」をトップフィリング部に明記した。
・注:1.0mmスペーサーを有する16x16cmゲル用の容積調節設定を18.5mLとした。
・Y配管をそれぞれのシリンジに取り付け、配管の他端にニードルを取り付けた。
・ニードルをガラスプレートの間に配置した。
・勾配が平らになるための時間を保持できるように、ホイールを回転させて、ゲルをゆっくり、一様に注入した。
・ゲルを数時間重合させた。
d.ゲル泳動システムを1xTAE緩衝液を使って55℃に予備加熱した。
e.8μLのFermentasのl6xローディングダイを42μLのPCR産物に添加した。
f.再循環ポンプのスイッチを入れる前に、試料を壁から追い出してゲル中に入れるために、ゲルを200Vで5分間駆動した。
g.再循環ポンプをオンにして、ゲルを70Vで14時間駆動した。
h.ゲルを1xSybr Goldで30分間染色した(250mLの1xTAE+25μLの10,000xSybr Gold)。
i.ゲルを1xTAE中で5分間脱染した。
j.UV下で画像を取得した。
ユニバーサルプライマー(V3領域)を使って、16S rRNA PCRを行い、続けて、DCode Universal Mutation Detection System(Bio−Rad)を使ってDGGEを行った。
結果および結論
標準的NaOH処理と同様に、本STC組成物(BD2およびBD3緩衝液)と混合された喀痰は、室温で急速に液化された。目視検査および手技により、混合物は粘度が低下し、ピペッティングが容易になり、密な凝集塊が残らなかった。しかし、マイコバクテリアを死滅させるのを避けるために短い15〜20分に制限されているNaOH処理とは異なり、喀痰は収集され、STC組成物中に、マイコバクテリアを培養する能力に悪影響を与えることなく、室温で数日間および数週間貯蔵することができる(実施例1および5を参照)。
0日目には、細菌の16S rRNA遺伝子のDGGE分析は、収集の時点でプールされたこの喀痰試料中に存在するマイクロバイオーム、または様々な細菌集団を示す(図1〜3)。28日間にわたり、BD2処理(図1)/BD3処理(図2)またはNaOH(図3)処理喀痰から得られたバンドパターンは、実質的に安定なままであり、これらの混合物は室温および4℃でそれぞれ静菌性であったことを示した。BD2処理/BD3処理喀痰では、採用された精製法(+/−NPI)に関わらず、時間が経過しても新しいバンドは現れず、また、バンド強度は一定のままであった。
BD2およびBD3処理喀痰由来の細菌の16S rRNA遺伝子バンドの数は、非常に似ており、STC組成物の療法の実施例が、この時間の間に、細菌または細菌DNAを同じ程度に保存したことを示す(図1および2)。興味深いことに、NaOH処理喀痰から得られたDGGEバンド形成パターン(図3)は、BD2処理/BD3処理喀痰のものとは同じでなかった。NaOH処理喀痰から生じたより少ない16S rRNA遺伝子バンドは、細菌種の多様性の減少を示唆する。さらに、バンド強度における軽度の差異が、NaOH処理後にNPIを使ったDNA精製で認められた。NaOH処理に関連する変性条件でおよびその後のPBS中の貯蔵中にDNAが分解したまたはDNA精製条件が理想的でなかったように見える。
実施例5:STCで1週間まで処理された喀痰から回収された生存結核菌
Sputum transport chemistry(STC)組成物は、検体中に存在するマイコバクテリアを死滅させることなく、喀痰の液化、バックグラウンド細菌叢の汚染の除去および検体中の全核酸の安定化に成功したことが明らかになった。これらの本STC組成物の有益な性質および方法は、試験検査室に対し順応性を与える。STC組成物で処理された検体は、遠隔にある地域で収集し、周囲条件下で検査室に安価に輸送することができ、その時点でも、未処理の喀痰分析用として現在認められている方法、例えば、培養、スメア顕微鏡および分子診断アッセイなどにより、うまく、正確に評価することができる。本実施例は、室温のSTC組成物中でマイコバクテリアが生き残っている時間枠の実例を提供する。
実験方法
嚢胞性繊維症患者由来の喀痰の処理
嚢胞性繊維症(CF)患者由来の未処理の臨床喀痰試料(Dr.M Desjardins,The Ottawa Hospital,Ontario,Canada、から提供を受けた)を4℃で1週間まで保持した。喀痰(各3mL)に、3.3x10コロニー形成単位(cfu)の毒性結核菌臨床株(確立された陽性TB患者から単離)を添加した。添加された喀痰を等容積のBD2緩衝液と混合し、5〜10回反転し、バイオセーフティキャビネット中に室温で7日までそのままにした。室温で24時間および7日後、試料を10秒間ボルテックスし、3,000xgで15分間遠心分離し、細菌ペレットを沈殿させた。上清を注いで除き、ペレットを滅菌水に再懸濁した。一定分量を複数のMGIT培養チューブ(PANTA/増殖添加剤を含む)に接種し、35℃で23日間まで増殖させた。
結果および結論
MGITチューブ中に接種の前に、BD2緩衝液中で24時間保持されたTB添加喀痰は、7日以内に明確なTB増殖を示し、バックグラウンド細菌叢によるこれらの培養の汚染の証拠は認められなかった。MGITチューブ中への接種の前に、BD2緩衝液中で7日間保持されたTB添加喀痰は、21〜23日以内に明確なTB増殖を示し、バックグラウンド細菌叢によるこれらの培養の汚染の証拠は認められなかった。この結果は、BD2緩衝液による臨床喀痰試料の処理が、バックグラウンド細菌叢の増殖を排除し、同時に、STC処理試料の1週間までの貯蔵後の毒性結核菌の生存能力を維持する点で、非常に効果的であったことを示す。BD2緩衝液に1週間暴露した試料の陽性培養結果までの時間が長くなったことにより、一部のマイコバクテリアが死滅したおよび/またはSTC組成物中、室温で長期間の貯蔵により増殖が抑制されたことが示唆された。それにもかかわらず、試料は、長期の貯蔵後であっても、陽性培養試験を可能とするのに十分な生存可能なマイコバクテリアを保持していた。
実施例6:結核菌の分子検出のための、Sample Transport Chemistry法と、Standard of Care法の比較
CDCは、臨床検体を、培養、抗酸性バチルス(AFB)染色、および核酸増幅プロトコルで同時に分析することを推奨している(CDC,2009)。培養はTB陽性の最終判定のための「代表的スタンダード」であるが、これは時間がかかり、8週間も要する場合がある。AFB染色は迅速であるが、結核菌群(MTBC)のメンバーと非結核マイコバクテリア(NTM)を区別しないために、感度および特異性が低い。したがって、疾患の蔓延を管理するのに不可欠な迅速な特定は、PCR(qPCR)などの核酸増幅プロトコルおよびシーケンシングに依存している。
結核菌感染患者の抗生物質耐性の評価は、患者を管理し、疾患の蔓延を抑制するために極めて重要である。結核菌の薬剤感受性試験(DST)の標準的方法は、結果を得るのに数週間から数ヶ月を要する場合がある。多剤耐性結核(MDR−TB)および広範囲型多剤耐性結核菌(XDR−TB)の出現のために、迅速な分子的手法が開発されてきた。rpoB遺伝子内の変異がリファンピン(RIF)耐性に関連し、inhA遺伝子内の変異がイソニアジド耐性に関連している。Halseら(2010)は、2段階分子手法を開発した。この手法は、MTBC陽性の臨床検体をリアルタイムPCRにより直接分析する抗生物質耐性遺伝子パイロシーケンス分析を利用している。
この実施例では、独立した公衆衛生診断研究所、Wadsworth Center Mycobacteriology Laboratoryにより、2つの異なる方法により処理されたTB陽性喀痰試料(革新的な新規診断薬に関する基金(FIND)結核検体バンクから提供を受けた)の臨床評価の並列比較が行われた。特に、1)水酸化ナトリウム処理に続くビーズビーティングからなる「Standard of Care」法、および2)本方法を、CLIA/CLEP認証rtPCRアッセイ(RD4 結核菌群(MTBC)region of difference(RD)を標的とする)(Halse et al.,2011)および抗生物質耐性遺伝子パイロシーケンスアッセイ(Halse et al.,2011)における感度の観点から比較がなされた。本方法では、DNAの単離およびアッセイ試験の前に、TB陽性喀痰試料をSTC組成物で処理し、検体中の細胞の液化および化学的溶解を容易にした。
STC組成物の使用の場合とは対照的に、「Standard of Care」法は、喀痰試料中の細菌をこじ開けるための機械的な方法であるビーズビーティングを含む。機械的なビーズビーティングは生物をこじ開けるのに効果的な場合もあるが、この方法は、検査室環境中で危険なエアロゾルを生成する。したがって、診断試験の臨床的感度に悪い影響を与えることなく、結核菌から安全にDNAを放出するために、効果的で非機械的の化学的方法を開発することが強く望まれている。
実験方法
結核菌陽性喀痰試料の生存能力の確認
本実施例のために、確立されたTB陽性患者由来の未処理の喀痰試料を革新的な新規診断薬に関する基金(FIND)結核検体バンクから提供を受けた。30人の患者試料から2通りの分割量0.5mLの提供を受け、凍結貯蔵した。FINDは、培養およびスメア分析を使って、これらの試料を、次のように分類した(表5)。
さらなる分析のために、一定分量をWadsworth Center Mycobacteriology Laboratory(New York State Department of Health,Albany,New York,U.S.A.)、CLIA/CLEP認証臨床検査室、に凍結輸送した。喀痰処理、DNA抽出、rtPCRアッセイおよびパイロシーケンスをWadsworth Center Mycobacteriology Laboratoryで行った。Wadsworthから到着時に、30人のドナー由来の2通りの一定分量を氷上で解凍し、DNAの単離の前に、1セットの一定分量を「Standard of Care」法(Collaborator法)を使って処理し、2つ目のセットをSTC組成物で処理した。
「Standard of Care」(Collaborator)法を使ったTB陽性喀痰の処理
1.0.5mLの3.5%NaOHを加えて、各0.5mLの喀痰一定分量(n=30)を液化した。この分量をボルテックスしてNaOHと混合した。
2.混合物を室温で15分間インキュベートした。
3.混合物に、10mLになるまで無菌のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。
4.混合物を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌をペレット化し、上清を廃棄した。
5.0.5mLの無菌のPBS中にペレットを再懸濁した。
6.スメアおよび培養試験してマイコバクテリウムの生存能力を確認するために、300μLの再懸濁細菌を取っておいた(表7参照)。
7.細菌を溶解するために、200mgの105〜150ミクロンのガラスビーズを残存する200μLの再懸濁細菌に加え、続いて、Mini−BeadBeater(BioSpec Products)を使って、1分サイクルのビーズビーティング2回と、1分間の氷上静置を行った。
Sample Transport Chemistry(STC)法を使ったTB陽性喀痰の処理
1.各0.5mLの喀痰一定分量(n=30)に、0.5mLのBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)を加え、ボルテックスして混合した。
2.プロテイナーゼK(400μg)を加え、混合物を水浴中、50℃で2時間インキュベートした。
3.400μLの混合物を新しいチューブに移し、3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加えた。
4.混合物を氷上で10分間インキュベート後、13,000rpmで5分間遠心分離した。
5.上清を清浄な標識チューブに移し、ペレットを廃棄した。
6.2倍量の室温の95%エタノールを収集した上清に加え、チューブを20回反転させることにより混合した。
7.試料を室温で15分間インキュベートして、DNAを沈殿させた後、15,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
8.ペレットを掻き乱さないように注意して上清を静かに取り出した。
9.ペレットを200μLのTEに溶解し、DNAを完全に再懸濁させるまで短時間ボルテックスし、室温で最低30分間静置した。
結核菌のリアルタイムPCRおよび抗生物質耐性のパイロシーケンス
5μLの「未希釈」DNAおよび5μLの希釈(1:10)のそれぞれ精製喀痰試料(上記)由来のDNAの2通りの反応液を、RD4結核菌群(MTBC)のregion of difference(RD)(Halse et al.,2011)を標的とするCLIA/CLEP認証リアルタイムPCRアッセイを使って、ABI7500リアルタイムPCR装置で増幅した。37未満の閾値サイクル(C)値を陽性と報告し、37より大きいC値の試料を再試験して、結果が同じなら、陰性と報告し、結果が同じでない場合は、不確定として報告した。
以前に報告されたリファンピン耐性用の標的(rpoB)(Halse et al,2010)およびイソニアジド耐性用の追加の標的(inhA)に対するパイロシーケンス法を使って抗生物質耐性プロファイリングを行った。両法から得たDNAを別々のPCR反応で使用して、rpoB、inhA遺伝子の特定の領域を増幅した。これらの領域の変異は、リファンピンおよび/またはイソニアジド抗生物質に対する耐性の可能性があることを示す。
結果および考察
今日では、Standard of Care法は、水酸化ナトリウムによる喀痰の液化と、それに続く機械的ビーズビーティングを使った細菌からのDNAの単離を含む。本実施例中の化学的方法は、BD2緩衝液(STC組成物)が喀痰を液化し、頑強さが低い細菌を一段階で溶解するように機能する点で完全に異なる。重要なのは、本組成物および方法が、その後の結核菌特異的DNAおよび抗生物質耐性マーカーの検出をもたらすという観点から、Standard of Care法に比べて、より効果が大きいというほどでなくても、同様に効果的であるように見えたことである。
従来の方法(「Collaborator」法、表6および図4)に比べて、本[STC]法は、培養およびスメア顕微鏡により「弱」および「中」TB陽性として以前に分類されている2通りの喀痰試料のリアルタイムPCRによる結核菌特異的検出の感度の向上をもたらした。この実施例では、「Standard of Care」法では、抽出されたDNAが10倍希釈されて初めて、「中」および「強」TB陽性喀痰試料の結核菌を検出できるが(表6および図4)、一方、「STC」方法を使うことにより、DNA単離後、87%の「弱」TB負荷喀痰試料が陽性として検出された(表2)。Standard of Care法を使ってDNAを単離した場合には、リアルタイムPCRにより、「弱」TB負荷喀痰試料の25%のみが陽性として検出された(表6)。
図4は、Standard of Care法(Collaborator法、1:10)に比べて、STC法を使って処理した全てのTB陽性喀痰試料中の結核菌検出限界の顕著な改善(rtPCRによるより低いC値)を示す。例えば、「弱」TB陽性喀痰のC値は、「Collaborator」法の38.5〜45.0に比較して、「STC」法では31.4〜45.0の範囲であった;「中」TB陽性喀痰のC値は、「Collaborator」の26.8〜45.0に比較して、「STC」法では20.9〜32.3の範囲であった;「強」TB陽性喀痰のC値は、「Collaborator」法の27〜39.3に比較して、「STC」法では19.8〜28.3の範囲であった。喀痰がSTCで処理され、DNAが本方法を使って抽出された場合、全てのTB負荷レベルに対し、C値が一貫してより低い。このより低いレベルの検出下限は、患者の喀痰試料由来の結核菌の正確な診断を確実に行うのに役立つ。
同様に、本組成物および方法は、結核菌陽性検体中の抗生物質耐性を予測する工業標準試験に適合する。Standard of Care法およびSTC法で得られたパイロシーケンス分析結果は、試験した6つの臨床TB陽性喀痰検体に対して、100%一致した。重要なのは、これらの6つの喀痰検体から、本STC法は抗生物質耐性マーカー(inhAおよびrpoB遺伝子)を有する2人の患者(FIND 01 01 2072およびFIND 01 01 2137)を検出したが、Standard of Care法ではそれができなかったことである(表7)。この結果は、代表的スタンダード培養試験でも、これらの2人の患者の試料で52日後にマイコバクテリアの増殖を示すことができなかった。
試験時点でのマイコバクテリアDNAの回収が増加した効果は、パイロシーケンスデータにより最高に強調される。STC組成物により処理された試料は、試験0日目に抗生物質耐性マーカーの試験に利用可能な十分な量のDNAを有していた。対照的に、Standard of Care法は、0日目にはPCRで陰性であった試料でパイロシーケンスを繰り返すことが可能になる前の、MGIT培養が陽性になるまでに平均14日を要した。患者の抗生物質プロファイルは、症例管理に不可欠であり、また、適切な抗生物質療法によるより早期の介入は感染率を減らし、患者の回復の確率を高めるであろう。したがって、本発明は、培養によるマイコバクテリアの検出を待つことなく、リアルタイムPCRによるMTBCの迅速な同日特定にとって価値のあるものであり、また、結核菌の抗生物質耐性マーカーの検出に十分な感度を有する。
実施例7:Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイを使った結核診断におけるSample Transport Chemistryの適合性
最近では、喀痰検体中の結核菌の先導的分子診断試験は、結核菌群DNAおよびリファンピン耐性のネストリアルタイムPCRベース検出のCepheid GeneXpert MTB/RIFアッセイである。この実施例中では、同じ患者由来の非処理喀痰と比較して、STC組成物処理喀痰の、Cepheid GeneXpert MTB/RIFアッセイに対する適合性が評価された。25人の患者由来の二通りのTB陽性喀痰試料を革新的な新規診断薬に関する基金(FIND)の結核検体バンクから提供を受けた。独立した診断検査室であるNational Jewish Health(NJH)において、Cepheid GeneXpertアッセイにおけるSTC組成物処理喀痰の診断に対する有効性の判定が、非処理喀痰と比較して行われた。
実験方法
GeneXpert MTB/RIFアッセイのための未処理喀痰検体の調製
本実施例は、二通りの0.5〜1.0mLの一定分量の25人の結核陽性患者由来の未処理凍結喀痰(FINDから提供された)を使用した。FINDは、培養およびスメア顕微鏡を使って、これらの試料を、次のように確立および分類した(表8参照)。
CepheidシステムでTBを処理、試験するために、一定分量をNational Jewish Health(Denver,CO,US)に凍結輸送した。NJH Mycobacteriology Laboratoryに到着すると、25人のドナー由来の二通りの一定分量を氷上で解凍した。1セットの一定分量を2倍量のCepheid試料試薬(SR)緩衝液で処理し、2つめのセットを等容積のSTC組成物(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)で処理して検体を液化した。
Cepheid SR緩衝液の添加後、それぞれの一定分量を次のように処理した:
a.混合物を10〜15秒ボルテックスし、室温で5分間静置した。
b.混合物をさらに10〜15秒間ボルテックスし、室温で10分間静置した。
c.それぞれの試料をCepheid GeneXpert MTB/RIFカートリッジに装填した。
d.Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイ(プロトコルH.2)に従って試験を行った。
STCの添加後、それぞれの一定分量を次のように処理した:
a.混合物を10〜15秒ボルテックスし、室温で15分間静置した。
b.前記混合物をボルテックスして良く混合した後、3000xgで20分間遠心分離した。
c.上清を注意深く注ぎ出した。
d.ペレットを1mLのXpert MTB/RIF SR緩衝液中に再懸濁し、少なくとも10秒間ボルテックスした。
e.混合物を室温で10分間インキュベートし、少なくとも10秒間ボルテックスする。
f.試料を室温でさらに5分間インキュベートした。
g.それぞれの1mLの試料をCepheid GeneXpert MTB/RIFカートリッジ中に直接加えた。
h.Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイ(プロトコルH.2)に従って試験を行った。
GeneXpertリアルタイムPCRにより次の2つの結果が得られた:1)結核菌正の陽性/陰性、および2)リファンピン(RIF)抗生物質感受性または耐性(Sens/Res)(表9)。
結果および結論
STC組成物処理喀痰から抽出された沈殿物は、Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイシステムと完全に適合した。スメア陽性/培養陽性(両方とも強および中)として分類され、STCで処理された検体は、Cepheid分子アッセイによる結核菌およびRIF耐性に対し、同じ患者由来の無処理喀痰と比較して、100%一致した(表9)。
スメア陰性/培養陽性(弱)検体に対しては、リアルタイムPCRによる結核菌の検出では、STC組成物処理と無処理喀痰試料との間で88%の一致であった(表9)。特に、STCで処理した1人のドナーの試料は、結核菌に対し陰性の結果を与えた。同じ患者由来の異なる一定分量間での生物学的変動がこの場合の原因であり、これにより、この「弱」検体におけるMTBを検出不能にする可能性がある。
RIF耐性の評価の場合には、スメア陰性/培養陽性(弱)検体に対し、1つの不一致判定が存在した。2人のドナーはSTC組成物処理喀痰を使って、RIF耐性であると特定されたが、無処理喀痰をCepheid SR緩衝液方法(プロトコルH.2)を使って処理した場合には、1人のドナーが耐性であると特定された。この不一致は、喀痰が分析の前にSTC組成物で前処理された場合のアッセイの感度の増加により説明可能であろう。
実施例8:炭疽菌の芽胞はSample Transport Chemistryに耐える
炭疽病は、通常は土壌中に内生胞子の形態で静止している、桿菌様グラム陽性好気性バクテリア炭疽菌により引き起こされる、急性の、多くの場合致死性の疾患である。クロストリジウム・ディフィシレのように、炭疽菌は休眠中の内生胞子を形成することができ、根絶が非常に難しく、数十年間あるいは数百年間過酷な条件を生き残る。炭疽病は1匹の感染動物または1人のヒトから別の動物やヒトに直接伝染するのではなく、芽胞により伝染する。芽胞が吸入、または摂取、または宿主の皮膚病変と接触すると、それらは再活性化し、急速に増殖することができる。炭疽病芽胞の耐久力およびそれらのインビトロでの製造の容易さが、それらを生物学的兵器としての使用(粉末形態またはエアロゾル形態で)に好適するものにしている。
前に行った実施例は、結核菌が本組成物中で生存可能であることを示したが、本実施例は、炭疽菌芽胞などのその他の頑丈な微生物が組成物で処理後に生き残ることを示す。
実験方法
調査は、ニューヨーク州保健省、Wadsworth Center,Biodefense Laboratory,USAで行った。
炭疽菌芽胞の調製
炭疽菌Sterne株の凍結ストック培養液を5%ヒツジ血液を含むトリプチケースソイ寒天培地上で培養し、35℃、5%CO下で24時間インキュベートした。最初のインキュベーション後、この培養液を複数(最小10個)のバチルス属芽胞形成寒天プレートに移し、35℃、CO下で2週間まで嫌気的にインキュベートした。
3〜4日毎に、マラカイトグリーン芽胞染色を行って、炭疽菌のインビトロ芽胞形成をモニターした。マラカイトグリーン染色処理が生物のほぼ完全な芽胞形成を示すと、芽胞を5.0mLのPBS(pH7.4)中に採取し、使用するまで室温で貯蔵した。
芽胞濃度の測定
炭疽菌芽胞懸濁をPBS中で10−3まで希釈した。一定分量(10μL)のこの最終希釈物を2チャンバー血球計数器スライドのそれぞれの清浄ウエル中に添加した。血球計数器チャンバーを芽胞計数のために、オイル使わずに40x倍率で観察した。芽胞を丸いまたは楕円形の黒色細胞として、血球計数器の明視野グリッド上で可視化した。
芽胞の処理
1.必要とする濃度の700μLの芽胞ストック懸濁液を調製した。
2.それぞれの試料を2x350μL容積に分割し、1つの350μL分割量を無処理または「対照」として使用した。
a.50μLの一定分量を取り出し、5%血液を含むヒツジのトリプチケースソイ寒天培地上で平板培養することにより芽胞が生存可能であることを確認した(下記参照)。
4.2つ目の350μLの分割量をSTC法用に使用した。
a.350μLのBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)を350μLの炭疽菌の芽胞ストック懸濁液に加え、ボルテックスして混合した。
c.混合物を室温で15分間インキュベートした後、100μLを培養(「STC」)用に取り出し、5%のヒツジの血液を含むトリプチケースソイ寒天培地上に播種した(下記参照)。
生存能力を測定するための芽胞の培養
炭疽菌の一定分量を5%のヒツジ血液を含むトリプチケースソイ寒天培地に直接播種し、35℃、5%CO下でインキュベートした。24時間後、コロニー形成単位(cfu)を記録した。
結果および考察
この実施例は、炭疽菌芽胞がSTC処理により死滅しなかったことを示した(図5)。無処理およびSTC処理芽胞の両方が、好ましい培養条件下で24時間後、同じ数の増殖型細菌を生成した。
実施例9:マイコバクテリウムは、周囲温度のSample Transport Chemistry中で1週間生存可能である
環境温度は、その日全体を通した変動と共に、領域間で広範に変化し得る。検査室への収集および輸送中に、対策が講じられない限り、生物試料はこの広範囲の温度に晒される。発展途上国では、高コストとインフラの不足のために、試料は周囲温度で検査室に輸送され、試料の品質および試験結果の妥当性が損なわれる。
実施例1では、喀痰中の添加された弱毒結核菌H37Ra(aMTB)が、本組成物であるSTC中、室温(20〜25℃)および4℃で30日まで生存可能なままであった。本実施例では、粘液性喀痰の非存在下で、aMTBをSTCまたはPBSと直接接触させて、4℃〜40℃の範囲の温度に、1、2、3、4および7日間暴露した。STCへの7日間までの暴露後、マイコバクテリアを培養して生存能力を評価し、陽性培養結果になるまでの時間をモニターした。対照として、この実験を、マイコバクテリアより頑丈さの少ない微生物である大腸菌を使って繰り返した。
実験方法
弱毒結核菌および大腸菌のSTCまたはPBSによる処理
A.aMTB(2x10CFU/mL)および大腸菌(2x10CFU/mL)を、多連50mL無菌チューブ中の10mLのSTC(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)または燐酸塩緩衝食塩水(PBS)に添加した。
B.それぞれのチューブを適切な温度(4℃、室温(20〜25℃)、または40℃)で割り当てられた時間(1、2、3、4、または7日間)保持した。
C.STCまたはPBS中の3mLの添加された微生物を各チューブから取り出した。
D.3500rcfで20分間遠心分離し、インタクト細菌をペレット化した。
E.上清を廃棄し、0.5mLの無菌PBS中にペレットを再懸濁した。
F.100μLの再懸濁細菌を5x5mLの補充済みM7H9ブロス中に接種した。
G.37℃でインキュベートし、毎日増殖を調べた。
H.培養管理:
a.ストック由来のaMTB(10CFU/mL)を5mLのM7H9ブロス中に毎日接種し、試験試料を培養した。
b.ストック由来の大腸菌(10CFU/mL)を5mLのM7H9ブロス中に毎日接種し、試験試料を培養した。
c.対照培養物を、試験試料と共に37℃でインキュベートした。
I.全ての試料が陽性になるまで日数を記録した。
J.aMTBに対しては、0.5マックファーランド標準濁度に到達するまで、インキュベーションを継続した。
K.大腸菌に対しては、1.0マックファーランド標準濁度に到達するまで、インキュベーションを継続した。
STCまたはPBSを使って4℃および40℃で30日間処理したaMTBからのDNAの抽出
A.200μLのaMTB(PBSを使って4℃および40℃で30日間処理)を新しいチューブに移し、200μLのBD2緩衝液と混合した。
B.DNA抽出のために、200μLのaMTB(STCを使って4℃および40℃で30日間処理)を新しいチューブに移した。
C.(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムをそれぞれのチューブに最終濃度の30mMまで加え、ボルテックスして混合した。
D.混合物を、水浴中、70℃で20分間インキュベートした。
E.試料を室温で2分間冷却した。
F.1Mのトリス緩衝液(pH7)を最終濃度50mMまで加えた。
G.混合物を、室温で10分間インキュベートした。
H.3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加え、ボルテックスして混合した。
I.混合物を氷上で10分間インキュベート後、13,000rpmで5分間遠心分離した。
J.上清を清浄な標識チューブに移し、ペレットを廃棄した。
K.2倍量の室温の95%エタノールをチューブ中の上清に加え、チューブを20回反転させることにより混合した。
L.混合物を室温で10分間インキュベートして、DNAを沈殿させた後、15,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
M.上清を静かに取り出し、ペレットを掻き乱さないように注意して廃棄した。
ペレットを200μLのTEに溶解した。
rtPCR条件
STCまたはPBSを使って4℃および40℃で30日間処理したaMTBから単離したDNAを、マイコバクテリウム特異的qPCRの、RD4 TaqmanリアルタイムPCRアッセイ(実施例1とおなじプロトコル)に供した。
結果および考察
aMTBは、本組成物STC中で、輸送状態に特有の広い温度範囲(4〜40℃)にわたり、7日間生存可能である。陽性aMTB培養は、35℃で標準的42日間のインキュベーション中に0.5マックファーランド濁度増殖を示す(表10)。STCに暴露されたaMTBは、0.5マックファーランド濁度増殖になるまでにより長い時間を要することにより示されるように(表10)、4℃、室温および40℃で7日まで保持される場合、PBSに暴露されたaMTBに比べて、若干の生存能力を失う。興味深いことに、PBS中のaMTBもまた、40℃で1日でも保持した場合に若干の生存能力の低下を示し、温度がaMTBの生存能力に対し大きな影響を与えることを示唆している。
対照的に、大腸菌の場合は、STC中で、すべての試験温度で、1日目までに生存能力が完全に失われた(表11)。PBS中では、4℃、室温および40℃で7日まで、大腸菌の生存能力が失われることはなかった。したがって、STCは、4〜40℃の範囲で少なくとも7日間、aMTBを生存可能状態に保つであろうが、同時に、大腸菌などの細菌を接触時に排除し、それによって生物試料のバックグラウンド細菌叢を減らすであろう。
重要なのは、MTB DNAに特異的なqPCR(表12)により、4℃および40℃のSTC中で30日間までのaMTBの量が一定のままで変わらないことが示されることである。類似の値は、これらの極端な温度で30日間PBSにより処理されたaMTBに対しても得られた(表12)。したがって、この実施例は、aMTBはSTC中で安定であること、すなわち、これは、広範囲の温度にわたり、少なくとも1ヶ月間、増殖または分解することなく、遠方の検査室に到着する試料が患者のインビボの状態を厳密に表すのを保証することを示す。
実施例10:結核菌の生存能力および結核菌からのDNA抽出に対する緩衝液組成の影響
実施例5からわかるように、結核菌はSTC組成物BD2中で7日間、室温で生存可能のままである。STC組成物の基本的な成分は、特定の試料タイプおよび用途のために、変えられても、または「調整されても」よい。弱毒結核菌の生存能力、ならびにその後の高分子量(HMW)DNAの回収の両方に対するそれらの影響の観点から、キレート化剤、洗剤、pHおよび緩衝剤の間の関係を調査した。
この実施例では、以下のSTC組成が試験された:
実験方法:
播種コロニーおよびDNA抽出
唾液試料を健康な個人から集め、以下の通りに処理した:
1.0.4mLの唾液または水(DNA抽出用の対照)を0.5mLの上記chemistry(表13)と混合し、チューブを30分間インキュベートして液化を可能とした。
2.100μLのPBSで洗浄した弱毒結核菌細胞(株h37a;aMTB)の懸濁液を各試料に加えた(chemistry毎に1つのチューブ)。あるいは、100μLの滅菌水をchemistry中の唾液に加え、無添加対照試料を生成した。
3.試料を系列希釈し、Middlebrook寒天プレートで塗抹培養した場合、試料をボルテックスして混合し、室温で30分、2、4および8日間、インキュベートした(詳細は下記を参照)。35℃で3〜4週インキュベーション後、プレートのコロニーを手作業で数えた。
4.ステップ3で概要を述べた各時点で、全DNAを抽出するために、一定分量のそれぞれの試料にボルテックスビーズビーティングを行った。簡単に説明すると、250μLの試料をペレット化し、PBS中で洗浄し、340μLの無菌RNアーゼ不含水に加えた。30μLを系列希釈し、Middlebrookプレートに播種した。一方、300μLを、250mgのCole高屈折率シリカビーズを含むねじぶた付2mLチューブ中の300μLのBD1(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8)に加えた。その後、BD1試料混合物をバイオスペックビーズビーター中で1分間処理した。
5.微量遠心機を使って、15,000rpmで5分間遠心分離を行うことにより、壊死組織片を除去した。
6.実施例1で概要を述べた方法(過ヨウ素酸塩法を使ったaMTB添加BD2緩衝液処理喀痰からのDNAの抽出;特に、ステップ8〜13を使用し、ステップ12では、−20℃で1時間のインキュベーションを使用した)の短縮バージョンを使って、DNAを試料から精製した。
7.試料を微量遠心機を使って、15,000rpmで3分間遠心分離し、ペレットを50μLのRNアーゼ不含水に加え、12μLを0.8%アガロースゲルによるアガロースゲル電気泳動により分析した(下記図6参照)。
結果および結論
表14は、示したインキュベーション時間後の結核菌コロニーの計数結果をまとめたものである。NDの記載は、汚染の存在により、コロニーの数が測定されなかったことを示す。他の全てのプレートでは、結核菌が唯一の存在する細菌であった。<10の記載は、コロニーがその希釈最低濃度でプレート上に観察されなかったことを示し、これがこの方法での検出限界である。
結果および結論
図6は、(一例として)t=2日の時点のアガロースゲルの結果を示す。唾液試料のBD2または示した変形型chemistryで処理後に、インタクト高分子量(HMW)DNAが回収されている。aMTBを含む全ての試料は、回収DNAの量の顕著な増加を示し、存在する全核酸に対するaMTBの寄与を示している。DNAラダーの最上バンド(矢印)は約23kBに相当する。全ての回収したDNAバンドは、この点より高く、HMWのDNAの存在を示している。
この実施例では、STC成分の異なる組み合わせの基本的な有用性を示すために、BD2または変形型chemistry中でインキュベーション後の関連弱毒結核菌からのDNAの抽出および弱毒結核菌の生存能力に対する影響が調査された。結核菌からのDNA抽出がアガロースゲル電気泳動により評価され、また、唾液DNAとマイコバクテリアDNAとの間の区別をするために対照が含められた。結核菌由来のインタクト高分子量(HMW)DNAは、全ての試験組成物中でのインキュベーションとそれに続くビーズビーティング後の全ての時点で得ることができるであろう(図6)。
BD2または関連chemistry中でのインキュベーション後の播種コロニーの計数により結核菌の生存能力が測定された。結核菌は、細胞凝集塊の形成のために広く知られており、このことが、試料中に存在する生存可能なMTB細胞の正確な定量を困難にしている。さらに、汚染が、トリトンX−100を含むホウ酸塩緩衝chemistryと混合された試料中で観察された。これらの困難にもかかわらず、これらのchemistry中での全体の結核菌の生存の傾向を決定することが可能である。経時的に生存能力の低下があるが、BD2および関連chemistry中で4日間のインキュベーション後であっても、結核菌は生存能力を維持している(表14)。このことは、毒性結核菌がSTC組成物中で1週間までの貯蔵後に生存可能なままであった実施例5の結果と一致する。全てのchemistryが8日後に生存能力を劇的に低下させる一方で、早期の時点での生存能力に対する影響に関し、いくつかの差異が存在する(BD2と変形型#2の比較)。全ての場合について、MTBを含む唾液試料は、全ての試験時点でHMW DNAを生成した(図6に、t=2の時点に関して示す)。最終的には、これらのデータは、種々のSTC組成物が、HMW DNAの回収および頑丈な微生物の生存能力に関して、同様に良好に機能することを示す。現時点では、現状技術の分子診断検査の入力要件の1つは、高品質のHMW DNAである。本実施例は、STC組成物が、その後の分子診断検査のために、このようなDNAを提供することができることを示す。
実施例11:STC組成物は、喀痰中に存在する日和見主義的病原体の排除に効果的である。
多くのTB高負担国では、安全で効率的なTB陽性試料の輸送が問題となっている。周囲温度での長い輸送時間に起因する腐敗のために、試料は処理検査室で定期的に廃棄される。STC組成物は、結核菌などの頑丈な微生物の生存能力を保存し、同時に、喀痰のバックグラウンド微生物叢を排除し、それにより、分子および培養TB診断の前に腐敗するリスクを生ずることなく、喀痰試料の輸送を可能とすることを目的としている
緑膿菌およびカタル球菌は、しばしば、免疫力が低下したまたは慢性疾患患者に対し、気道感染症を引き起こす可能性のある日和見主義的病原体である。緑膿菌はグラム陰性細菌で、バイオフィルムを形成し、院内感染(nosocomial infection)(病院内感染(hospital acquired))の人から最も多く単離される細菌の1つである。緑膿菌は、嚢胞性繊維症の人と関連するため、喀痰試料中で見つかることも多い。カタル球菌はグラム陰性細菌で、好気性増殖および嫌気性増殖の両方が可能である。カタル球菌は吐き出された喀痰中で少なくとも3週間は生存することができ、NALC−NaOH処理の後であっても、喀痰試料を汚染している可能性がある。ここで、緑膿菌およびカタル球菌のSTC組成物による処理に耐える能力を調査した。
a)ヒト喀痰試料中のバックグラウンド微生物に与えるSTC組成物の影響
材料および方法:
1.600μLのプールされた認証TB陰性ヒト喀痰(6人のドナー、Tissue Solutions、source 53 France由来)を700μLのPBS、BD2(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMグリシン、pH10.5)またはBD3(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8)と混合した。
2.生存可能な細菌の数を測定するために系列希釈が調製される場合、試料を混合し、室温で10分間、3時間または24時間インキュベートした。
3.各時点で播種するために、100μLの一定分量をPBS中で洗浄した(例外:PBS試料は播種前に洗浄しなかった)。系列希釈をPBS中で調製し、100μLの分割量の希釈物を、インキュベーション後t=0(10分=0.17時間)時間、3時間および24時間に、トリプチックソイ寒天培地に播種した。バックグラウンド細菌叢の細菌を35℃でインキュベーション後にこれらのプレート上のCFUsを数えることにより計数した(表A)。
結果:
b)緑膿菌およびカタル球菌に与えるSTC組成物の影響
材料:
・カタル球菌ATCC25238および緑膿菌ATCC10145の一晩培養
・濾過滅菌STC組成物:BD2(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMグリシン、pH10.5);BD3(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8);BD4(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMホウ酸塩、pH9.3)
・滅菌水、無菌ダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、トリプチックソイブロス(TSB)、トリプチックソイ寒天培地(TSA)、脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよび寒天
・微生物学用回転台
実験方法:
平板培養による生存能力測定
1.カタル球菌を4℃で貯蔵されたプレートからBHIブロス中で増殖させた。緑膿菌を4℃で貯蔵されたプレートからTSB中で増殖させた。
2.37℃で一晩増殖後、細菌を採取し、洗浄して、約100細胞/100μL PBSを1mLのSTC組成物(水と1:1)またはPBS中でインキュベートした。
3.300μLの分量を、15分、1時間および24時間後に採取した。
4.各時点で、ペレットをDBPで(緑膿菌)またはBHIブロスで(カタル球菌)洗浄し、系列希釈をPBS中で(緑膿菌)またはBHIブロス中で(カタル球菌)作製した。
5.希釈物をTSAに(緑膿菌)またはBHI寒天に(カタル球菌)播種し、プレートを35℃で一晩インキュベートした。プレート上のコロニーを手作業による計数により数えた(表16)。
ブロス増殖による生存能力の測定
1.カタル球菌を4℃で貯蔵されたプレートからBHIブロス中で増殖させた。緑膿菌を4℃で貯蔵されたプレートからTSB中で増殖させた。
2.37℃で一晩増殖後、細菌を採取し、洗浄して、約100細胞を1mLのchemistry(水と1:1)またはPBS中でインキュベートした。最初の接種物は系列希釈および寒天プレート上での計数により測定された。
3.300μLの一定分量を、15分および2時間後に採取した。
4.各時点でインタクト細菌をペレット化し、TSBまたはBHIブロスで洗浄した。
5.その後、一定分量を使って2mLのTSB(緑膿菌)またはBHIブロス(カタル球菌)に接種した。
6.ブロスを180rpmの振盪を加えながら37℃で一晩インキュベートし、全ての増殖を記録した(表17)。
結果:
結論
本組成物は結核菌などの頑丈な微生物の生存能力を長期間にわたり保存する(実施例5および10)が、その他のより急速に成長する微生物の増殖により引き起こされる汚染が可能な限り早く除去されることが重要である。ここで、我々は、STC組成物が、15分から24時間のインキュベーションの間の緑膿菌およびカタル球菌のプレート増殖を行わせなくするのに効果的であることを見出した(表16)。組成物間で変動があり、BD2およびBD4は、BD3より効果的に緑膿菌に対し作用する(表16および17)。
プレート計数実験の検出限界は100細胞であったので、若干の細菌がSTC組成物による処理に対し生き残り、マイコバクテリウムブロス培養物の汚染をもたらす可能性があると考えられる。これに対処するために、STC組成物中でのインキュベーション後の生存能力についてもブロス培養により調査した。これにより、どの生き残っている細菌も、増殖して容易に観察可能なブロス中増殖をもたらすはずである。平板培養結果と一致して、PBSで処理した細胞を接種したまたはBD3で処理した緑膿菌を接種した培養物のみが、一晩のインキュベーション後に細菌の増殖を生じた(表17)。この実施例は、STC組成物は、喀痰などの生物試料中の潜在的汚染源である、頑丈さの程度の低い微生物を迅速に、効率的に除去することができ、本発明の組成物をTB試料の理想的な輸送溶液にしていることを示す。
実施例12:STC組成物はグラム陰性およびグラム陽性細菌種、ならびに酵母種の両方を迅速に除去するのに効果的である。
結核菌などの頑丈な微生物は、他の多くの細菌種、ならびに酵母などのその他の微生物と一緒に、種々の環境中で見つけることができる。本実施例は、種々の微生物の生存能力の急速除去の観点でのSTC組成物の広範な適用性を示す。土壌(バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌)、ヒト皮膚(黄色ブドウ球菌)、および哺乳類消化管(エンテロコリチカ菌、カンジダ・アルビカンス)などの環境中でのそれらの存在の理由から、いくつかの細菌種が選択された。
材料:
・一晩培養
・濾過滅菌BD2(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMグリシン、pH10.5)、BD3(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8)およびBD4(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMホウ酸塩、pH9.3)
・滅菌水、無菌ダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、トリプチックソイブロス(TSB)、トリプチックソイ寒天培地(TSA)、脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよび寒天、0.1%システイン補充TSBおよびTSA(それぞれ、TSBCおよびTSAC)、YEPDプレートおよび酵母用ブロス
・微生物学用回転台
実験方法:
1.細菌および酵母を推奨成長培地中および推奨温度で増殖させた(詳細は下記ステップ#5を参照)。
2.一晩増殖後、細菌を採取し、洗浄して、100μLのPBS中の約109細胞を1mLのSTC chemistry(水と1:1)またはPBS中でインキュベートした。
3.300μLの一定分量を、15分、1時間および24時間後に採取した。
4.各時点で、一定分量を洗浄し、溶媒中で系列希釈した。
5.希釈物をYEPDに(カンジダ・アルビカンス)、TSACに(フランシセラ・フィロミラジア)、BHI寒天に(エンテロコリチカ菌)、またはTSAに(他の全て)播種し、プレートを30℃で(エンテロコリチカ菌、カンジダ・アルビカンス)、または35℃で(他の全て)一晩インキュベートし、プレート上のコロニーを計数により数えた(表18)。
結果:
結論
グラム陽性(バチルス・チューリンゲンシス、黄色ブドウ球菌、枯草菌)およびグラム陰性(エンテロコリチカ菌、フランシセラ・フィロミラジア、クレブシェラ肺炎杆菌)の両方の細菌および酵母(カンジダ・アルビカンス)のSTC組成物中でのインキュベーションの効果を調査した。試験細菌種に対するBD3の効果の顕著な差異が存在した。グラム陽性およびカンジダ・アルビカンスは15分以内に生存能力を完全に失ったが、グラム陰性細菌はインキュベーションの24時間後でも、比較的多数生存した。組成物BD2は、酵母を含む全ての試験種で生存可能な細菌の急速な(15分以内の)減少を引き起こした。試料のこの急速な「汚染除去」は、周囲温度での長期の試料輸送の状況で特に望ましい。より具体的には、広範囲の急速に成長するバックグラウンド細菌を急速に、効果的に除去することができれば、TB陽性喀痰試料が腐敗により廃棄される可能性が少なくなるであろう。本実施例は、STC組成物が、異なった物理的特徴を有し、多様な環境由来の広範囲の微生物の生存能力を取り除くのに効果的であることを示す。
実施例13:結核菌由来のDNAは、STC組成物中に、−80℃で1週間凍結貯蔵されたヒト喀痰試料から抽出することができる
多くの発展途上国においては、保存方法として試料を凍結するコストは極めて高いが、この方法は、より豊かな国々でよく使われる方法である。環境温度安定化の重要な利益を提供するのみでなく、凍結ステップを組み込む分子診断ワークフロー中に統合することもできる組成物は、明らかな利点である。本実施例は、下流に適するDNAを抽出する能力に対する凍結の影響を評価する。
材料
・PBS中の1.5x10CFU/mL弱毒結核菌(株h37a;aMTB)(4℃で貯蔵)
・Tissue Solutionsの2〜3mLの喀痰試料(−80℃で貯蔵)
・濾過滅菌BD2(50mMグリシン、250mMのLiCl、50mMのCDTA、2%SDS、pH10.5)
・(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム(NPI)
・M7H9液体培地(2714 Middlebrook7H9ブロスと、OADC濃縮物および40mMのピルビン酸ナトリウムから調製した)
実験方法
1.下記のように喀痰に添加し、クライオバイアル中で1週間−80℃に凍結した後、抽出および培養を行った。
2.処理の日に、試料を解凍し、200μLの一定分量を1.5mLのねじぶた付チューブ中で作製した。
3.それらを3,500gで20分間回転し、上清を廃棄し、ペレットを100μLのPBS中に加えた。
4.実施例1で概要を述べた方法(過ヨウ素酸塩法を使ったaMTB添加BD2緩衝液処理喀痰からDNAを抽出し、特に、ステップ8〜14を使用した)の短縮バージョンを使って、DNAを試料から精製した。
5.実施例1(rtPCR条件参照)で記載のように、aMTB添加喀痰から単離したDNAをマイコバクテリウム特異的RD4 TaqmanアルタイムPCRアッセイに使用した。
結果
結論
表19からわかるように、RD4 PCRから得られたC値は、aMTB添加凍結および非凍結喀痰試料の両方で極めて類似している。この結果は、Holzら(2001)の、凍結(−20℃)は喀痰形態または細胞数に影響を与えないという結果の記載と一致する。したがって、STC組成物は、冷蔵が高価であるかまたは入手困難である地域での使用に理想的に適するのみでなく、凍結貯蔵が標準である検査室ワークフローにも好適する。本実施例はSTC組成物の広範な有用性を示す。結核菌などの頑丈な微生物を含む試料をSTC組成物と混合する場合、微生物は種々の貯蔵条件で安定化され、微生物を収集後の数日間回収することができる。その後、分子診断アッセイでのさらなる使用のために、DNAを回収することができる。
本明細書で言及した全ての出版物、特許および特許出願は、本発明が属する当業者の技術のレベルを示し、あたかもそれぞれの全ての出版物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は前述のように記載されているが、その記載内容は様々な方法で変更可能であることは明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの乖離であると見なされるべきものではなく、また、当業者には明らかである全てのこのような修正は、次の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。
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Claims (31)

  1. 生存可能で頑丈な細菌を保存する方法であって、生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、前記安定化組成物がキレート化剤、変性剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有する方法。
  2. 前記頑丈な細菌がマイコバクテリア、炭疽菌、またはクロストリジウム・ディフィシレである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記マイコバクテリアが結核菌であり、前記炭疽菌が芽胞として安定化される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性体液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記頑丈な細菌の全てまたは一部が、室温、または環境温度または約4℃〜約40℃の範囲内の温度で、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上または7日以上または1か月以上の貯蔵後に安定なままである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 生物試料を液化する方法であって、前記生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、前記安定化組成物が、キレート化剤、洗剤、塩を含み、6〜11のpHを有する方法。
  10. 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性体液である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記安定化組成物が、生物試料中の頑丈な細菌を生存可能な状態で保存し、前記試料中のその他の微生物の増殖を減らすかまたはなくする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 生物試料中のマイクロバイオームを安定化する方法であって、前記生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、前記安定化組成物が、キレート化剤、洗剤、塩を含み、6〜11のpHを有する方法。
  16. 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性生体液である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記安定化組成物が、生物試料中の頑丈な細菌を生存可能な状態で保存し、前記試料中のその他の微生物の増殖を減らすかまたはなくする、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 生物試料中の細菌核酸のキャラクタリゼーション方法であって、
    前記生物試料を安定化組成物と接触させること、および前記試料中の核酸を増幅することを含み、
    前記安定化組成物がキレート化剤、洗剤、塩を含み、6〜11のpHを有し、前記増幅ステップを行うのが収集の直後であっても、またはさらに後であっても、前記増幅された核酸のレベルが実質的に不変のままである方法。
  22. 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性生体液である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)であるが、この洗剤はDNAを処理する場合には理想的ではない)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. キレート化剤、
    洗剤、および
    生存可能で頑丈な微生物、を含む組成物。
  27. 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項26に記載の組成物。
  28. 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項26または27に記載の組成物。
  29. (i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiClを含み、140mMのLiOH、pH6.8を有する、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
  30. 前記頑丈な細菌がマイコバクテリア、炭疽菌、またはクロストリジウム・ディフィシレである、請求項26〜29のいずれか1項に記載の組成物。
  31. 前記マイコバクテリアが結核菌であり、前記炭疽菌が芽胞の形態である、請求項30に記載の組成物。
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