JP2017516477A - 頑丈な微生物の生存能力を安定化および維持するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
生物試料を安定化組成物と接触させること、および試料中の核酸を増幅することを含み、
該安定化組成物はキレート化剤、洗剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有し、該増幅ステップを行うのが収集の直後であっても、またはさらに後であっても、増幅された核酸のレベルが実質的に不変のままである。
本安定化組成物は、貯蔵試料中のマイコバクテリアなどの頑丈な微生物の安定化にうまく機能し、それにより、下流の臨床試験に対し頑丈な微生物が生き残ることが明らかになったSample Transport Chemistry(「STC」)混合物を含む。特に、STC組成物中に貯蔵された頑丈な微生物は、室温における貯蔵後であっても、標準的培養条件下での培養で生存可能である。頑丈な微生物は、STC組成物中で1日以上の、5日間以上の、1週間以上の室温における貯蔵の後での培養に対して生き残ることが明らかになった。一実施形態では、STC組成物は、生物試料中の生存可能な頑丈な微生物の室温で約1週間の貯蔵に有用である。この情況では、頑丈な細菌は、標準的培養条件下で頑丈な細菌のコロニー形成単位の形成により判定して、細菌培養に対して生存可能なままである場合、「安定化されている」と理解される。
本出願は、生物試料などの試料の貯蔵方法をさらに提供する。該方法は、下流の臨床診断検査での使用に適する形態で安定化されるように生物試料を貯蔵する際に特に有用である。下流の臨床診断検査は、例えば、インビトロ培養または分子診断、例えば、PCRに基づく診断またはシーケンシングであってよい。しかし、本STC組成物を使って安定化された試料にその他の診断検査を採用してもよい。
本出願は、粘稠な粘液性生物試料を液化する方法をさらに提供する。多くの生物試料、または身体の試料は粘稠である。これにより、試料の処理が困難となり、また、分析物、細菌などはこのような粘稠な試料中に均一に分散することができないので、正確な診断検査に対し大きな課題が生じる場合がある。したがって、試料の粘度を低下させて、試料成分の試料内分布の均一性を改善することが可能な試料処理方法があれば特に有益である。
上述のように、分子診断法は、潜在的病原体の存在または非存在を特定するために、研究者および臨床医により患者の試料の分析に使用される道具としてますます重要になってきている。これらの分子法は、病原性生物体が存在する場合に、感染の程度を定量化する際にさらに有用である。一方、分子診断法は通常、非常に繊細であり、存在する病原体が低レベルの試料では、病原体が頑丈な細菌である、かつ/または病原体由来の核酸が試料から十分に放出されていないかまたは十分に単離されていない場合は特に、正確に処理して存在する病原体を特定または定量することが困難な場合がある。
本発明の方法は、このような方法に使用されるSTC組成物をキットの形で提供することにより、便利に実施される。このようなキットは、STC組成物を乾燥成分の混合物または水性混合物として含むのが好ましい。
実施例1:Sample Transport Chemistry中の結核菌添加喀痰の環境温度安定性
ヒトのTBの世界的制圧の1つの大きな目標は、TBの原因物質である結核菌の検査室診断とそれに続く適切な処置である。喀痰検体の収集、輸送、および処理に伴う困難は、現在の世界的TB制圧努力に対する主要な課題である。結核菌は喀痰検体中に存在し、その他の急速増殖微生物叢が混入していることが多い。特定の臨床的に意味の少ない種の周囲温度での急速増殖は、医学的に重要な病原体を死滅させるかまたは駆逐する場合がある。したがって、検査室への検体の輸送の遅延、または訓練された作業者の対応の遅れまたは処理を行うインフラの遅れは問題となる。
本実施例のために、健康なTB陰性患者由来の凍結された未処理の喀痰試料をFoundation for Innovative Diagnostics(革新的な新規診断薬に関する基金)(FIND)結核検体バンクから提供を受けた。FINDは、培養およびスメア分析を使って、この患者試料を、「スメア陰性、培養陰性」として分類した。
TB陰性として確立された未処理の喀痰試料がFINDから凍結輸送された。喀痰試料を氷上でゆっくり解凍し、プールして2つの8mL試料を形成した。安全に結核陽性喀痰をシミュレートするために、喀痰に5x106コロニー形成単位/mL(cfu/ml)で中等度の濃度の弱毒結核菌H37Ra(aMTB)を添加した。1つの8mLの、プールされ、添加された試料を均等に3分割し、それぞれの画分を等容積のBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)すなわち、Sample Transport Chemistry(STC)と混合し、その後、画分を4℃、35℃または室温で30日間まで保持した。2つ目の8mLの、プールされ、添加された試料は処理せずに、すなわち、未添加のままとし、均等に3つに分割した後、4℃、35℃または室温で30日間まで保持した。
それぞれの時点で、それぞれの画分から一定分量(400μL)を培養用として取り出した。
1.それぞれの示した時間と温度(35℃、4℃およびRTで、0、7、14および30日)で、BD2緩衝液処理画分から400μLの分量を新しいチューブに移し、5,000rpmで20分間遠心分離して細菌をペレット化した。
2.上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌BD2緩衝液中に再懸濁した。
3.(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムを最終濃度の15mMまで加え、ボルテックスして混合した。
4.混合物を水浴中70℃で20分間インキュベートした。
5.試料を室温で2分間冷却した。
6.1Mのトリス緩衝液(pH7)を最終濃度50mMまで加えた。
7.混合物室温で10分間インキュベートした。
8.3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加え、ボルテックスして混合した。
9.混合物を氷上で10分間インキュベート後、13,000rpmで5分間遠心分離した。
10.上清を清浄な標識チューブに移し、ペレットを廃棄した。
11.2倍量の室温の95%エタノールをチューブ中の上清に加え、チューブを20回反転させることにより混合した。
12.混合物を室温で10分間インキュベートして、DNAを沈殿させた後、15,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
13.上清を静かに取り出し、ペレットを掻き乱さないように注意して廃棄した。
14.ペレットを200μLのTEに溶解した(混合物を短時間ボルテックスしてDNAを完全に再懸濁させた)。
1.水酸化ナトリウム(NaOH)の4%溶液を新しく調製し、オートクレーブで処理した。
2.2.9%クエン酸ナトリウム溶液を新しく調製し、オートクレーブで処理した。
3.等容積のNaOHおよびクエン酸ナトリウム溶液を混合し、N−アセチル−L−システイン(NALC)粉末を加えて、最終濃度の0.5%を得た。この溶液を良く混合し、同じに日に使用した。
4.それぞれの示した時間と温度(35℃、4℃およびRTで、0、7、14および30日)で、NT画分から400μLの分量を新しいチューブに移し、200μLの新しいNaOH−NALC−クエン酸塩を加えた。チューブを良くボルテックスして混合した。
5.混合物を室温で15分間インキュベートした後、600μLの無菌PBSを加え、5,000rpmで20分間遠心分離して細菌をペレット化した。
6.上清を廃棄し、400μLの無菌PBSをペレットに加えた。チューブをボルテックスして混合した。
7.混合物を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌を再ペレット化した。
8.上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌PBS中に再懸濁した。
9.200μLの再懸濁ペレットに、1mLのDNAzol試薬(グアニジンチオシアネート洗剤溶解溶液、カタログ番号10503−027、Life Technologies)を加え、混合物をピペッティングして細胞を溶解した後、0.5mLの100%エタノールを加え、チューブを10回反転させて混合した。
10.混合物を室温で3分間インキュベートした後、14,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
11.DNAペレットを75%のエタノール1mLで2回洗浄した。
12.全ての微量のエタノールを除去し、DNAペレットを200μLの8mM NaOHに溶解した。
1.それぞれの示した時間と温度(35℃、4℃およびRTで、0、7、14および30日)で、NT画分から400μLの分量を新しいチューブに移し、200μLの新しいNaOH−NALC−クエン酸塩を加えた。チューブを良くボルテックスして混合した。
2.混合物を室温で15分間インキュベートした後、600μLの無菌PBSを加え、5,000rpmで20分間遠心分離して細菌をペレット化した。
3.上清を廃棄し、400μLの無菌PBSをペレットに加えた。チューブをボルテックスして混合した。
4.混合物を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌を再ペレット化した。
5.上清を廃棄し、ペレットを400μLの無菌PBS中に再懸濁した。
6.200μLの再懸濁細菌を80℃で1〜2時間加熱した。
7.200mgの105〜150μmガラスビーズを加熱細菌混合物に加えた。
8.Mini−BeadBeater(商標)(BioSpec Products)を使って、ガラスビーズを含む混合物を1分間ずつ2サイクルにわたり激しく震盪させた。各サイクル毎に1分間氷上に置いた。
9.PCRに先立ち、試料を95℃で2分間加熱した。
この実施例では、aMTB添加喀痰の一定分量から単離されたDNAを、マイコバクテリウム特異的rtPCRアッセイ(qPCR)である、RD4 TaqmanリアルタイムPCRアッセイに供した。RD4用のプライマーは次の通りである:RD4−順方向5’−CCA CGA CTA TGA CTA GGA CAG CAA−3’およびRD4−逆方向5’−AAG AAC TAT CAA TCG GGC AAG ATC−3’(Halse et al.(2011))37未満の閾値サイクル(Ct)値を陽性と報告し、37より大きいCt値の試料を再試験して、結果が同じなら、陰性と報告し、結果が同じでない場合は、不確定として報告した。
通常、Standard of Care(SOC)シナリオでは、喀痰検体は収集中に無処置(NT)のままで、検査室に輸送される。検査室で受け入れ時に、喀痰はNALC−NaOH−クエン酸塩の添加により液化および汚染除去された後に、培養される。この実施例では、弱毒MTBは、室温および4℃で30日まで維持された無処理喀痰中である程度まで生存可能な状態で残存したが、35℃で維持された場合は、その後の培養により増殖が認められなかった(NG)(表1)ことから判断して、生存可能ではなかった。
ヒト由来の喀痰を使って嚢胞性繊維症患者の結核を診断し、感染を検出する。このような高粘稠検体中では、細菌は均一に分布しておらず、このことにより、通常マイコバクテリアの特定に使用される抗酸染色法において問題を生ずる。注目すべきことは、この結核診断技術は、約50%の感度に過ぎないことがわかっており、すなわち、患者が実際に疾患を有する場合、TBの存在を検出する確率と、検出しない確率が同じであることである。この感度の不足は、既存の試料調製プロトコルでは、検体のどの部分にも染色のためのマイコバクテリアを得る等しい確率が存在するように、細菌が均一に分布した試料を生成することができないことに起因する。したがって、正確で代表的な喀痰培養および分子診断を確実にするためには、喀痰検体の液化および均一化が不可欠である。
この実施例では、健康なドナー由来の2mLの喀痰をプールし、ボルテックスした。等容積のBD2緩衝液を加え、反転により混合し、室温で15分間インキュベートした。この時点で、喀痰は完全に流動化した。核酸を抽出するために、喀痰をプロテイナーゼK(160μg)で処理し、50℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション後、多数回技術的反復実験用として、10x200μLの分量を新しいチューブに取り出した。それぞれの200μLの分量に、10μLの3M酢酸カリウム(最終濃度150mM)を加え、チューブを氷上に10分間保持した。13,000rpmで5分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。2倍量の室温の95%エタノールを加えてDNAを沈殿させた。室温で15分後、13,000rpmで2分間の遠心分離ステップによりDNAをペレット化した。DNAペレットを100μLのTE緩衝液(pH7.1)に溶解した。
PicoGreen(登録商標)蛍光染料(200x;Invitrogen、カタログ番号P7581)を使って10個の精製試料からDNAを定量した。ラムダDNA(Invitrogen、カタログ番号25250−010)を使って、検量線を生成した(3通り;0〜50ng/μL)。PicoGreen(登録商標)は、ナノグラム以下の量の二本鎖DNA(dsDNA)の高感度定量化を可能とする蛍光二本鎖DNA結合染料(485nm励起/535nm発光)である。一定分量のそれぞれの精製試料およびラムダDNA基準を黒色平底96ウエルマイクロプレート(Greiner Bio−One、カタログ番号655209)中で処理し、Infinite M200マイクロプレートリーダー(TECAN)を使って蛍光を測定した。
10個の喀痰の一定分量から抽出されたDNAを、16S rRNA遺伝子特異的rtPCRアッセイ(qPCR)に供した。16S rRNA用のプライマーは次の通りである:BacrRNA173−F 5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’およびBacrRNA173−R 5’−CCTACGGGAGGCAGCAG−3’。それぞれのPCR反応液には、2μLテンプレート、2.5μLの1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、2.5μLの10xPCR緩衝液、1.25μLの50mM MgCl2、0.5μLの10mM dNTP、0.5μLの10pM順方向プライマー、0.5μLの10pM逆方向プライマー、0.5μLの0.5μM Syto9、0.2μLの5U/μL Taqポリメラーゼ、12.3μLの水を含めた。大腸菌からの高度精製DNAがPCR分析用の基準としての役割を果たした。陰性対照には、鋳型DNAを加えない反応液を含めた。Ct値は、増幅曲線が検出の閾値と交差する点のサイクル数を意味する。Rotorgene装置ソフトウェアで閾値ラインを設定し、各試料についてCt値を計算した。Ct値は試料中のDNAの量に反比例する。1サイクルのCt値の減少は、2倍の検出DNA量に相当する。
世界中で、約20億人が潜在的に高い感染性を有する結核菌(「MTB」)に感染している。毎年、ほぼ9百万人が活動性疾患を発症し、2百万人がこの疾病で死亡する。MTBの感染性の性質を考慮すると、迅速で正確な診断はMTB処置および疾患制圧の重要な要素である。
未処理の喀痰検体の処理および4つの診断検査
確立されたTBまたはMTB活動性感染の高い確率を有する6人の患者から未処理の喀痰試料を収集した。検体(4mL以上)をピペットを使って手作業で2つの部分(各2mL)に分け、等容積の新たに調製した4%NaOH/0.5%NALC(代表的スタンダード)またはSTC(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMのグリシン、pH10.5から構成されるBD2緩衝液)で処理した後、培養、AFBスメアおよび2種の分子診断アッセイにより評価した。
1.混合物を10〜15秒間ボルテックスした。
2.混合物を室温で15分間、高粘液性試料の場合は20〜25分間、静置した。
3.チューブにリン酸緩衝液(pH6.8)を50mLの標識まで満たした後、数回反転して、完全に混合し、その後、3,000〜3,500RCFで15分間遠心処理した。
a.一定分量1:300μL
i.300μLの無菌リン酸緩衝液を加える(合計600μL)。
ii.抗酸性桿菌(AFB)スメア検査(100μL)。
1.確立された検査室プロトコルに従ってスメアを実施した。スメアを喀痰の汚染除去の前に(Smear Direct)およびNaOH/NALCまたはSTCを使った汚染除去(DC)の後で(Smear DC)行った。スメアスコアリング:1+ 弱陽性の試料を意味する、2+ 中陽性の試料を意味する、3+ 強陽性の試料を意味する。
iii.BACTEC(商標)MGIT−960(500μL)
1.バイオセーフティキャビネット2型中で、無菌条件下、BACTEC(商標)MGITチューブ中に接種した。
2.接種したMGIT−960チューブをBACTEC(商標)MGIT−960システムに装着し、蛍光ユニット中で42日まで増殖を連続的にモニターし、停止増殖量に達した後にチューブは陽性を示した。MGIT培養の状態は報告しなかった。
i.250μLの無菌リン酸緩衝液を加える(合計500μL)。
ii.検査室開発マルチプレックスPCR(LDMP)アッセイ
1.LDMPアッセイによる分析のためのDNA精製AIIMSプロトコル(Gopinath and Singh,2009)に従った。
2.簡単に説明すると、細胞壁をリゾチームで溶解した後、タンパク質のプロテイナーゼK消化およびナトリウムドデシルサルフェート処理を行った。
3.NaClおよび臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを使用して、タンパク質および高分子を沈殿させた。
4.クロロホルムおよびイソアミルアルコールで抽出後、水相から核酸を回収した。
5.−20℃でイソプロパノールを使って一晩、DNAを沈殿させた。
6.ペレットをエタノールで洗浄し、50μLのTE緩衝液で再構成し、10μLをマルチプレックスPCRに使用した。
7.マルチプレックスPCR(Gopinath and Singh,2009)では、マイコバクテリウム属特異的プライマー(hsp65)(Telenti et al.,1993)、非定型抗酸菌複合体(M.avium complex)(MAC)特異的プライマー(Park et al.,2000)および新規結核菌(MTB)群特異的セットのcfp10またはesatを標的とするプライマー(Gopinath and Singh,2009)の3つのプライマーセットを使用した。
i.300μLの無菌リン酸緩衝液を加える(合計600μL)。
ii.Cepheid Xpert MTB/RIFアッセイ
1.1.8mLのCepheid SR緩衝液(比率1:3)を加えた。
2.喀痰沈殿物用のCepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイに従って試験した。
3.GeneXpertリアルタイムPCRから次の2つの結果を得た:1)結核菌正の陽性/陰性、および2)リファンピン(RIF)抗生物質感受性または耐性(Sens/Res)(表4)。
i.250μLの試料を2mLのスピンチューブに移した。
ii.250μLのSTCを加える(合計500μL)。
1.(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムを最終濃度30mMまで加え、ボルテックスして混合した。
2.70℃で20分間インキュベートし、室温まで冷却した。
3.1Mのトリス緩衝液(pH7)を最終濃度50mMまで加え、ボルテックスして混合した。
4.3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加え、ボルテックスして混合した。
5.氷上で10分間インキュベートした。
6.13,000rpmで5分間遠心分離した。
7.上清を清浄な標識チューブに移した。ペレットを廃棄した。
8.2倍量の室温95%エタノールを加えた。
9.20回反転して混合した。
10.室温で15分間試料をインキュベートした。
11.15,000rpmで2分間遠心分離し、DNAをペレット化した。
12.ペレットを掻き乱さないように注意して上清を静かに取り出し、廃棄した。
13.ペレットを100μLのTEに溶解した。
14.短時間ボルテックスし、室温で少なくとも30分間静置した。
15.精製DNAを室温または−20℃で貯蔵した。
STCに対する短時間の暴露により、喀痰検体の6人全ての試験患者由来の検体(表4)が、NaOH/NALC処理を使って得られたものとほぼ同じレベルでうまく液化および汚染除去された。NaOH/NALCまたはSTCで汚染除去後、接種培養液は汚染の兆候を示さず、臨床検体中のバックグラウンド微生物叢を死滅させる点で、STCが同等に効果的であることを示した。
本実施例では、Sample Transport Chemistry(STC)組成物を未処理のプールした喀痰(TB不含)と混合し、喀痰の液化および汚染除去、ならびに、室温で長期間貯蔵した内在性マイクロバイオームの安定性を評価した。標準的喀痰汚染除去/液化手順における水酸化ナトリウムの産業での標準的使用のための対照として、水酸化ナトリウムで短時間処理後に、喀痰も長期間貯蔵した。
喀痰検体の処理
3つのTB陰性喀痰検体(FIND結核検体バンクから提供された)をプールし、3つの1mLの一定分量に均等に分割した。等容積のBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)、BD3緩衝液(4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOH、pH6.8)、および水酸化ナトリウム(NaOH、3.5%)を3つの喀痰一定分量に加え、混合した。室温で15分以内に、3つ全ての混合物が均等に液化され、液化は、粘度の低下、試料を容易にピペッティングできる能力、および密な凝集塊の完全な消失、により定量的に測定された。
1.処理(上記)の、0、1、7、21および28日後、DNAの精製のために、ぞれぞれの混合物から200μLの一定分量を抜き出した。
2.81mgのプロテイナーゼKを、それぞれの一定分量に加え、50℃で一晩インキュベートした。
3.それぞれのこれらの一定分量を2つの100μLの一定分量に分割し、1つを(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム(NPI)を含む抽出用に、残りをNPIを含まない抽出用とした。
4.+NPIの一定分量に、NPIを15mMの最終濃度まで加え、70℃で20分間インキュベートし、室温で冷却した。
5.1Mトリス塩酸(pH7.1)を全ての試料に加えて最終濃度100mMとし、室温で5分間インキュベートした。
6.全ての試料に、3Mの酢酸カリウムを最終濃度150mMまで加えた。
7.氷上で10分間インキュベートした。
8.13,200rpmで5分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移し、ペレットを廃棄した。
9.2倍量の室温95%エタノールを上清に加えた。
10.室温で15分間インキュベートした。
11.13,200rpmで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
12.DNAペレットを50μLのTE緩衝液(pH7.1)に再懸濁した。
本組成物中の喀痰マイクロバイオームの安定性を正確に、再現性よく評価するために、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)と呼ばれる比較的新しい方法を利用した。この方法は、細菌の16S rRNA遺伝子の可変領域(この場合では、V3領域)を採取し、それを、PCRおよび隣接保存領域に対するプライマーを使って増幅する場合、アンプリコンは細菌種に固有の融点を有するであろう(たとえ、単一のヌクレオチドの差異が融解物に影響を与え、それにより異なるプロファイルを与えるとしても)という考えに基づいている。
DGGEのためのPCR増幅(順方向プライマー上に5’クランプを有する16Sプライマーを使用)
a.2μLの10ng/μL精製DNAを12連PCRチューブに加えた。
b.マスターミックスを調製した(98μL/反応):76.7μLの水、10μLの10xPCR緩衝液、4μLの50mM MgCl2、2.5μLの10mM dNTP、2μLの10pmol逆方向プライマー(PPUN518R、5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’)、2μLの10pmol順方向プライマー(PRBA338F、5’−CGCCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGACTCCTACGGGAGGCAGCAG−3’)、および0.8μLの5U/μL Taq。
c.98μLのマスターミックスをそれぞれのチューブに加えた。
d.従来のPCR機械でPCRを行った:92℃で2分間を1サイクル;92℃で60秒間、55℃で30秒間、72℃で60秒間を28サイクル;続けて、72℃で6分間を1サイクル。
a.40%および60%変性溶液中の8%アクリルアミド/ビスゲルのストック溶液を調製した:
c.40%および60%変性溶液を使って、平行勾配を有する8%アクリルアミド/ビスゲルを調製し、注入するために、次の手順を使用した:
・20mLの40%および60%変性溶液を、「低密度」および「高密度」とそれぞれ標識された2つの別のビーカーに秤取した。
・200μLの10%過硫酸アンモニウム(APS)を各溶液に加えた。
・20μLのTEMEDを各溶液に加えた。
・溶液をかき回すことによりよく混合した。
・各溶液を別の20mLシリンジ中に満たした。
・シリンジをゲル充填装置に取り付けた。この装置では、「低密度」または「高密度」をトップフィリング部に明記した。
・注:1.0mmスペーサーを有する16x16cmゲル用の容積調節設定を18.5mLとした。
・Y配管をそれぞれのシリンジに取り付け、配管の他端にニードルを取り付けた。
・ニードルをガラスプレートの間に配置した。
・勾配が平らになるための時間を保持できるように、ホイールを回転させて、ゲルをゆっくり、一様に注入した。
・ゲルを数時間重合させた。
e.8μLのFermentasのl6xローディングダイを42μLのPCR産物に添加した。
f.再循環ポンプのスイッチを入れる前に、試料を壁から追い出してゲル中に入れるために、ゲルを200Vで5分間駆動した。
g.再循環ポンプをオンにして、ゲルを70Vで14時間駆動した。
h.ゲルを1xSybr Goldで30分間染色した(250mLの1xTAE+25μLの10,000xSybr Gold)。
i.ゲルを1xTAE中で5分間脱染した。
j.UV下で画像を取得した。
標準的NaOH処理と同様に、本STC組成物(BD2およびBD3緩衝液)と混合された喀痰は、室温で急速に液化された。目視検査および手技により、混合物は粘度が低下し、ピペッティングが容易になり、密な凝集塊が残らなかった。しかし、マイコバクテリアを死滅させるのを避けるために短い15〜20分に制限されているNaOH処理とは異なり、喀痰は収集され、STC組成物中に、マイコバクテリアを培養する能力に悪影響を与えることなく、室温で数日間および数週間貯蔵することができる(実施例1および5を参照)。
Sputum transport chemistry(STC)組成物は、検体中に存在するマイコバクテリアを死滅させることなく、喀痰の液化、バックグラウンド細菌叢の汚染の除去および検体中の全核酸の安定化に成功したことが明らかになった。これらの本STC組成物の有益な性質および方法は、試験検査室に対し順応性を与える。STC組成物で処理された検体は、遠隔にある地域で収集し、周囲条件下で検査室に安価に輸送することができ、その時点でも、未処理の喀痰分析用として現在認められている方法、例えば、培養、スメア顕微鏡および分子診断アッセイなどにより、うまく、正確に評価することができる。本実施例は、室温のSTC組成物中でマイコバクテリアが生き残っている時間枠の実例を提供する。
嚢胞性繊維症患者由来の喀痰の処理
嚢胞性繊維症(CF)患者由来の未処理の臨床喀痰試料(Dr.M Desjardins,The Ottawa Hospital,Ontario,Canada、から提供を受けた)を4℃で1週間まで保持した。喀痰(各3mL)に、3.3x106コロニー形成単位(cfu)の毒性結核菌臨床株(確立された陽性TB患者から単離)を添加した。添加された喀痰を等容積のBD2緩衝液と混合し、5〜10回反転し、バイオセーフティキャビネット中に室温で7日までそのままにした。室温で24時間および7日後、試料を10秒間ボルテックスし、3,000xgで15分間遠心分離し、細菌ペレットを沈殿させた。上清を注いで除き、ペレットを滅菌水に再懸濁した。一定分量を複数のMGIT培養チューブ(PANTA/増殖添加剤を含む)に接種し、35℃で23日間まで増殖させた。
MGITチューブ中に接種の前に、BD2緩衝液中で24時間保持されたTB添加喀痰は、7日以内に明確なTB増殖を示し、バックグラウンド細菌叢によるこれらの培養の汚染の証拠は認められなかった。MGITチューブ中への接種の前に、BD2緩衝液中で7日間保持されたTB添加喀痰は、21〜23日以内に明確なTB増殖を示し、バックグラウンド細菌叢によるこれらの培養の汚染の証拠は認められなかった。この結果は、BD2緩衝液による臨床喀痰試料の処理が、バックグラウンド細菌叢の増殖を排除し、同時に、STC処理試料の1週間までの貯蔵後の毒性結核菌の生存能力を維持する点で、非常に効果的であったことを示す。BD2緩衝液に1週間暴露した試料の陽性培養結果までの時間が長くなったことにより、一部のマイコバクテリアが死滅したおよび/またはSTC組成物中、室温で長期間の貯蔵により増殖が抑制されたことが示唆された。それにもかかわらず、試料は、長期の貯蔵後であっても、陽性培養試験を可能とするのに十分な生存可能なマイコバクテリアを保持していた。
CDCは、臨床検体を、培養、抗酸性バチルス(AFB)染色、および核酸増幅プロトコルで同時に分析することを推奨している(CDC,2009)。培養はTB陽性の最終判定のための「代表的スタンダード」であるが、これは時間がかかり、8週間も要する場合がある。AFB染色は迅速であるが、結核菌群(MTBC)のメンバーと非結核マイコバクテリア(NTM)を区別しないために、感度および特異性が低い。したがって、疾患の蔓延を管理するのに不可欠な迅速な特定は、PCR(qPCR)などの核酸増幅プロトコルおよびシーケンシングに依存している。
結核菌陽性喀痰試料の生存能力の確認
本実施例のために、確立されたTB陽性患者由来の未処理の喀痰試料を革新的な新規診断薬に関する基金(FIND)結核検体バンクから提供を受けた。30人の患者試料から2通りの分割量0.5mLの提供を受け、凍結貯蔵した。FINDは、培養およびスメア分析を使って、これらの試料を、次のように分類した(表5)。
1.0.5mLの3.5%NaOHを加えて、各0.5mLの喀痰一定分量(n=30)を液化した。この分量をボルテックスしてNaOHと混合した。
2.混合物を室温で15分間インキュベートした。
3.混合物に、10mLになるまで無菌のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。
4.混合物を5,000rpmで20分間遠心分離し、細菌をペレット化し、上清を廃棄した。
5.0.5mLの無菌のPBS中にペレットを再懸濁した。
6.スメアおよび培養試験してマイコバクテリウムの生存能力を確認するために、300μLの再懸濁細菌を取っておいた(表7参照)。
7.細菌を溶解するために、200mgの105〜150ミクロンのガラスビーズを残存する200μLの再懸濁細菌に加え、続いて、Mini−BeadBeater(BioSpec Products)を使って、1分サイクルのビーズビーティング2回と、1分間の氷上静置を行った。
1.各0.5mLの喀痰一定分量(n=30)に、0.5mLのBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)を加え、ボルテックスして混合した。
2.プロテイナーゼK(400μg)を加え、混合物を水浴中、50℃で2時間インキュベートした。
3.400μLの混合物を新しいチューブに移し、3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加えた。
4.混合物を氷上で10分間インキュベート後、13,000rpmで5分間遠心分離した。
5.上清を清浄な標識チューブに移し、ペレットを廃棄した。
6.2倍量の室温の95%エタノールを収集した上清に加え、チューブを20回反転させることにより混合した。
7.試料を室温で15分間インキュベートして、DNAを沈殿させた後、15,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
8.ペレットを掻き乱さないように注意して上清を静かに取り出した。
9.ペレットを200μLのTEに溶解し、DNAを完全に再懸濁させるまで短時間ボルテックスし、室温で最低30分間静置した。
5μLの「未希釈」DNAおよび5μLの希釈(1:10)のそれぞれ精製喀痰試料(上記)由来のDNAの2通りの反応液を、RD4結核菌群(MTBC)のregion of difference(RD)(Halse et al.,2011)を標的とするCLIA/CLEP認証リアルタイムPCRアッセイを使って、ABI7500リアルタイムPCR装置で増幅した。37未満の閾値サイクル(Ct)値を陽性と報告し、37より大きいCt値の試料を再試験して、結果が同じなら、陰性と報告し、結果が同じでない場合は、不確定として報告した。
今日では、Standard of Care法は、水酸化ナトリウムによる喀痰の液化と、それに続く機械的ビーズビーティングを使った細菌からのDNAの単離を含む。本実施例中の化学的方法は、BD2緩衝液(STC組成物)が喀痰を液化し、頑強さが低い細菌を一段階で溶解するように機能する点で完全に異なる。重要なのは、本組成物および方法が、その後の結核菌特異的DNAおよび抗生物質耐性マーカーの検出をもたらすという観点から、Standard of Care法に比べて、より効果が大きいというほどでなくても、同様に効果的であるように見えたことである。
最近では、喀痰検体中の結核菌の先導的分子診断試験は、結核菌群DNAおよびリファンピン耐性のネストリアルタイムPCRベース検出のCepheid GeneXpert MTB/RIFアッセイである。この実施例中では、同じ患者由来の非処理喀痰と比較して、STC組成物処理喀痰の、Cepheid GeneXpert MTB/RIFアッセイに対する適合性が評価された。25人の患者由来の二通りのTB陽性喀痰試料を革新的な新規診断薬に関する基金(FIND)の結核検体バンクから提供を受けた。独立した診断検査室であるNational Jewish Health(NJH)において、Cepheid GeneXpertアッセイにおけるSTC組成物処理喀痰の診断に対する有効性の判定が、非処理喀痰と比較して行われた。
GeneXpert MTB/RIFアッセイのための未処理喀痰検体の調製
本実施例は、二通りの0.5〜1.0mLの一定分量の25人の結核陽性患者由来の未処理凍結喀痰(FINDから提供された)を使用した。FINDは、培養およびスメア顕微鏡を使って、これらの試料を、次のように確立および分類した(表8参照)。
a.混合物を10〜15秒ボルテックスし、室温で5分間静置した。
b.混合物をさらに10〜15秒間ボルテックスし、室温で10分間静置した。
c.それぞれの試料をCepheid GeneXpert MTB/RIFカートリッジに装填した。
d.Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイ(プロトコルH.2)に従って試験を行った。
a.混合物を10〜15秒ボルテックスし、室温で15分間静置した。
b.前記混合物をボルテックスして良く混合した後、3000xgで20分間遠心分離した。
c.上清を注意深く注ぎ出した。
d.ペレットを1mLのXpert MTB/RIF SR緩衝液中に再懸濁し、少なくとも10秒間ボルテックスした。
e.混合物を室温で10分間インキュベートし、少なくとも10秒間ボルテックスする。
f.試料を室温でさらに5分間インキュベートした。
g.それぞれの1mLの試料をCepheid GeneXpert MTB/RIFカートリッジ中に直接加えた。
h.Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイ(プロトコルH.2)に従って試験を行った。
STC組成物処理喀痰から抽出された沈殿物は、Cepheid GeneXpert(登録商標)MTB/RIFアッセイシステムと完全に適合した。スメア陽性/培養陽性(両方とも強および中)として分類され、STCで処理された検体は、Cepheid分子アッセイによる結核菌およびRIF耐性に対し、同じ患者由来の無処理喀痰と比較して、100%一致した(表9)。
炭疽病は、通常は土壌中に内生胞子の形態で静止している、桿菌様グラム陽性好気性バクテリア炭疽菌により引き起こされる、急性の、多くの場合致死性の疾患である。クロストリジウム・ディフィシレのように、炭疽菌は休眠中の内生胞子を形成することができ、根絶が非常に難しく、数十年間あるいは数百年間過酷な条件を生き残る。炭疽病は1匹の感染動物または1人のヒトから別の動物やヒトに直接伝染するのではなく、芽胞により伝染する。芽胞が吸入、または摂取、または宿主の皮膚病変と接触すると、それらは再活性化し、急速に増殖することができる。炭疽病芽胞の耐久力およびそれらのインビトロでの製造の容易さが、それらを生物学的兵器としての使用(粉末形態またはエアロゾル形態で)に好適するものにしている。
調査は、ニューヨーク州保健省、Wadsworth Center,Biodefense Laboratory,USAで行った。
炭疽菌芽胞の調製
炭疽菌Sterne株の凍結ストック培養液を5%ヒツジ血液を含むトリプチケースソイ寒天培地上で培養し、35℃、5%CO2下で24時間インキュベートした。最初のインキュベーション後、この培養液を複数(最小10個)のバチルス属芽胞形成寒天プレートに移し、35℃、CO2下で2週間まで嫌気的にインキュベートした。
炭疽菌芽胞懸濁をPBS中で10−3まで希釈した。一定分量(10μL)のこの最終希釈物を2チャンバー血球計数器スライドのそれぞれの清浄ウエル中に添加した。血球計数器チャンバーを芽胞計数のために、オイル使わずに40x倍率で観察した。芽胞を丸いまたは楕円形の黒色細胞として、血球計数器の明視野グリッド上で可視化した。
1.必要とする濃度の700μLの芽胞ストック懸濁液を調製した。
2.それぞれの試料を2x350μL容積に分割し、1つの350μL分割量を無処理または「対照」として使用した。
a.50μLの一定分量を取り出し、5%血液を含むヒツジのトリプチケースソイ寒天培地上で平板培養することにより芽胞が生存可能であることを確認した(下記参照)。
4.2つ目の350μLの分割量をSTC法用に使用した。
a.350μLのBD2緩衝液(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)を350μLの炭疽菌の芽胞ストック懸濁液に加え、ボルテックスして混合した。
c.混合物を室温で15分間インキュベートした後、100μLを培養(「STC」)用に取り出し、5%のヒツジの血液を含むトリプチケースソイ寒天培地上に播種した(下記参照)。
炭疽菌の一定分量を5%のヒツジ血液を含むトリプチケースソイ寒天培地に直接播種し、35℃、5%CO2下でインキュベートした。24時間後、コロニー形成単位(cfu)を記録した。
この実施例は、炭疽菌芽胞がSTC処理により死滅しなかったことを示した(図5)。無処理およびSTC処理芽胞の両方が、好ましい培養条件下で24時間後、同じ数の増殖型細菌を生成した。
環境温度は、その日全体を通した変動と共に、領域間で広範に変化し得る。検査室への収集および輸送中に、対策が講じられない限り、生物試料はこの広範囲の温度に晒される。発展途上国では、高コストとインフラの不足のために、試料は周囲温度で検査室に輸送され、試料の品質および試験結果の妥当性が損なわれる。
弱毒結核菌および大腸菌のSTCまたはPBSによる処理
A.aMTB(2x106CFU/mL)および大腸菌(2x106CFU/mL)を、多連50mL無菌チューブ中の10mLのSTC(2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシン、pH10.5)または燐酸塩緩衝食塩水(PBS)に添加した。
B.それぞれのチューブを適切な温度(4℃、室温(20〜25℃)、または40℃)で割り当てられた時間(1、2、3、4、または7日間)保持した。
C.STCまたはPBS中の3mLの添加された微生物を各チューブから取り出した。
D.3500rcfで20分間遠心分離し、インタクト細菌をペレット化した。
E.上清を廃棄し、0.5mLの無菌PBS中にペレットを再懸濁した。
F.100μLの再懸濁細菌を5x5mLの補充済みM7H9ブロス中に接種した。
G.37℃でインキュベートし、毎日増殖を調べた。
a.ストック由来のaMTB(106CFU/mL)を5mLのM7H9ブロス中に毎日接種し、試験試料を培養した。
b.ストック由来の大腸菌(106CFU/mL)を5mLのM7H9ブロス中に毎日接種し、試験試料を培養した。
c.対照培養物を、試験試料と共に37℃でインキュベートした。
I.全ての試料が陽性になるまで日数を記録した。
J.aMTBに対しては、0.5マックファーランド標準濁度に到達するまで、インキュベーションを継続した。
K.大腸菌に対しては、1.0マックファーランド標準濁度に到達するまで、インキュベーションを継続した。
A.200μLのaMTB(PBSを使って4℃および40℃で30日間処理)を新しいチューブに移し、200μLのBD2緩衝液と混合した。
B.DNA抽出のために、200μLのaMTB(STCを使って4℃および40℃で30日間処理)を新しいチューブに移した。
C.(メタ)過ヨウ素酸ナトリウムをそれぞれのチューブに最終濃度の30mMまで加え、ボルテックスして混合した。
D.混合物を、水浴中、70℃で20分間インキュベートした。
E.試料を室温で2分間冷却した。
F.1Mのトリス緩衝液(pH7)を最終濃度50mMまで加えた。
G.混合物を、室温で10分間インキュベートした。
H.3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を最終濃度150mMまで加え、ボルテックスして混合した。
I.混合物を氷上で10分間インキュベート後、13,000rpmで5分間遠心分離した。
J.上清を清浄な標識チューブに移し、ペレットを廃棄した。
K.2倍量の室温の95%エタノールをチューブ中の上清に加え、チューブを20回反転させることにより混合した。
L.混合物を室温で10分間インキュベートして、DNAを沈殿させた後、15,000rpmで2分間遠心分離してDNAをペレット化した。
M.上清を静かに取り出し、ペレットを掻き乱さないように注意して廃棄した。
ペレットを200μLのTEに溶解した。
STCまたはPBSを使って4℃および40℃で30日間処理したaMTBから単離したDNAを、マイコバクテリウム特異的qPCRの、RD4 TaqmanリアルタイムPCRアッセイ(実施例1とおなじプロトコル)に供した。
aMTBは、本組成物STC中で、輸送状態に特有の広い温度範囲(4〜40℃)にわたり、7日間生存可能である。陽性aMTB培養は、35℃で標準的42日間のインキュベーション中に0.5マックファーランド濁度増殖を示す(表10)。STCに暴露されたaMTBは、0.5マックファーランド濁度増殖になるまでにより長い時間を要することにより示されるように(表10)、4℃、室温および40℃で7日まで保持される場合、PBSに暴露されたaMTBに比べて、若干の生存能力を失う。興味深いことに、PBS中のaMTBもまた、40℃で1日でも保持した場合に若干の生存能力の低下を示し、温度がaMTBの生存能力に対し大きな影響を与えることを示唆している。
実施例5からわかるように、結核菌はSTC組成物BD2中で7日間、室温で生存可能のままである。STC組成物の基本的な成分は、特定の試料タイプおよび用途のために、変えられても、または「調整されても」よい。弱毒結核菌の生存能力、ならびにその後の高分子量(HMW)DNAの回収の両方に対するそれらの影響の観点から、キレート化剤、洗剤、pHおよび緩衝剤の間の関係を調査した。
播種コロニーおよびDNA抽出
唾液試料を健康な個人から集め、以下の通りに処理した:
1.0.4mLの唾液または水(DNA抽出用の対照)を0.5mLの上記chemistry(表13)と混合し、チューブを30分間インキュベートして液化を可能とした。
2.100μLのPBSで洗浄した弱毒結核菌細胞(株h37a;aMTB)の懸濁液を各試料に加えた(chemistry毎に1つのチューブ)。あるいは、100μLの滅菌水をchemistry中の唾液に加え、無添加対照試料を生成した。
3.試料を系列希釈し、Middlebrook寒天プレートで塗抹培養した場合、試料をボルテックスして混合し、室温で30分、2、4および8日間、インキュベートした(詳細は下記を参照)。35℃で3〜4週インキュベーション後、プレートのコロニーを手作業で数えた。
4.ステップ3で概要を述べた各時点で、全DNAを抽出するために、一定分量のそれぞれの試料にボルテックスビーズビーティングを行った。簡単に説明すると、250μLの試料をペレット化し、PBS中で洗浄し、340μLの無菌RNアーゼ不含水に加えた。30μLを系列希釈し、Middlebrookプレートに播種した。一方、300μLを、250mgのCole高屈折率シリカビーズを含むねじぶた付2mLチューブ中の300μLのBD1(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8)に加えた。その後、BD1試料混合物をバイオスペックビーズビーター中で1分間処理した。
5.微量遠心機を使って、15,000rpmで5分間遠心分離を行うことにより、壊死組織片を除去した。
6.実施例1で概要を述べた方法(過ヨウ素酸塩法を使ったaMTB添加BD2緩衝液処理喀痰からのDNAの抽出;特に、ステップ8〜13を使用し、ステップ12では、−20℃で1時間のインキュベーションを使用した)の短縮バージョンを使って、DNAを試料から精製した。
7.試料を微量遠心機を使って、15,000rpmで3分間遠心分離し、ペレットを50μLのRNアーゼ不含水に加え、12μLを0.8%アガロースゲルによるアガロースゲル電気泳動により分析した(下記図6参照)。
表14は、示したインキュベーション時間後の結核菌コロニーの計数結果をまとめたものである。NDの記載は、汚染の存在により、コロニーの数が測定されなかったことを示す。他の全てのプレートでは、結核菌が唯一の存在する細菌であった。<102の記載は、コロニーがその希釈最低濃度でプレート上に観察されなかったことを示し、これがこの方法での検出限界である。
図6は、(一例として)t=2日の時点のアガロースゲルの結果を示す。唾液試料のBD2または示した変形型chemistryで処理後に、インタクト高分子量(HMW)DNAが回収されている。aMTBを含む全ての試料は、回収DNAの量の顕著な増加を示し、存在する全核酸に対するaMTBの寄与を示している。DNAラダーの最上バンド(矢印)は約23kBに相当する。全ての回収したDNAバンドは、この点より高く、HMWのDNAの存在を示している。
多くのTB高負担国では、安全で効率的なTB陽性試料の輸送が問題となっている。周囲温度での長い輸送時間に起因する腐敗のために、試料は処理検査室で定期的に廃棄される。STC組成物は、結核菌などの頑丈な微生物の生存能力を保存し、同時に、喀痰のバックグラウンド微生物叢を排除し、それにより、分子および培養TB診断の前に腐敗するリスクを生ずることなく、喀痰試料の輸送を可能とすることを目的としている
材料および方法:
1.600μLのプールされた認証TB陰性ヒト喀痰(6人のドナー、Tissue Solutions、source 53 France由来)を700μLのPBS、BD2(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMグリシン、pH10.5)またはBD3(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8)と混合した。
2.生存可能な細菌の数を測定するために系列希釈が調製される場合、試料を混合し、室温で10分間、3時間または24時間インキュベートした。
3.各時点で播種するために、100μLの一定分量をPBS中で洗浄した(例外:PBS試料は播種前に洗浄しなかった)。系列希釈をPBS中で調製し、100μLの分割量の希釈物を、インキュベーション後t=0(10分=0.17時間)時間、3時間および24時間に、トリプチックソイ寒天培地に播種した。バックグラウンド細菌叢の細菌を35℃でインキュベーション後にこれらのプレート上のCFUsを数えることにより計数した(表A)。
材料:
・カタル球菌ATCC25238および緑膿菌ATCC10145の一晩培養
・濾過滅菌STC組成物:BD2(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMグリシン、pH10.5);BD3(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8);BD4(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMホウ酸塩、pH9.3)
・滅菌水、無菌ダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、トリプチックソイブロス(TSB)、トリプチックソイ寒天培地(TSA)、脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよび寒天
・微生物学用回転台
平板培養による生存能力測定
1.カタル球菌を4℃で貯蔵されたプレートからBHIブロス中で増殖させた。緑膿菌を4℃で貯蔵されたプレートからTSB中で増殖させた。
2.37℃で一晩増殖後、細菌を採取し、洗浄して、約100細胞/100μL PBSを1mLのSTC組成物(水と1:1)またはPBS中でインキュベートした。
3.300μLの分量を、15分、1時間および24時間後に採取した。
4.各時点で、ペレットをDBPで(緑膿菌)またはBHIブロスで(カタル球菌)洗浄し、系列希釈をPBS中で(緑膿菌)またはBHIブロス中で(カタル球菌)作製した。
5.希釈物をTSAに(緑膿菌)またはBHI寒天に(カタル球菌)播種し、プレートを35℃で一晩インキュベートした。プレート上のコロニーを手作業による計数により数えた(表16)。
1.カタル球菌を4℃で貯蔵されたプレートからBHIブロス中で増殖させた。緑膿菌を4℃で貯蔵されたプレートからTSB中で増殖させた。
2.37℃で一晩増殖後、細菌を採取し、洗浄して、約100細胞を1mLのchemistry(水と1:1)またはPBS中でインキュベートした。最初の接種物は系列希釈および寒天プレート上での計数により測定された。
3.300μLの一定分量を、15分および2時間後に採取した。
4.各時点でインタクト細菌をペレット化し、TSBまたはBHIブロスで洗浄した。
5.その後、一定分量を使って2mLのTSB(緑膿菌)またはBHIブロス(カタル球菌)に接種した。
6.ブロスを180rpmの振盪を加えながら37℃で一晩インキュベートし、全ての増殖を記録した(表17)。
本組成物は結核菌などの頑丈な微生物の生存能力を長期間にわたり保存する(実施例5および10)が、その他のより急速に成長する微生物の増殖により引き起こされる汚染が可能な限り早く除去されることが重要である。ここで、我々は、STC組成物が、15分から24時間のインキュベーションの間の緑膿菌およびカタル球菌のプレート増殖を行わせなくするのに効果的であることを見出した(表16)。組成物間で変動があり、BD2およびBD4は、BD3より効果的に緑膿菌に対し作用する(表16および17)。
結核菌などの頑丈な微生物は、他の多くの細菌種、ならびに酵母などのその他の微生物と一緒に、種々の環境中で見つけることができる。本実施例は、種々の微生物の生存能力の急速除去の観点でのSTC組成物の広範な適用性を示す。土壌(バチルス・チューリンゲンシス、枯草菌)、ヒト皮膚(黄色ブドウ球菌)、および哺乳類消化管(エンテロコリチカ菌、カンジダ・アルビカンス)などの環境中でのそれらの存在の理由から、いくつかの細菌種が選択された。
・一晩培養
・濾過滅菌BD2(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMグリシン、pH10.5)、BD3(250mMのLiCl、50mMのCDTA、4%SDS、pH6.8)およびBD4(250mMのLiCl、12.5mMのCDTA、2%SDS、50mMホウ酸塩、pH9.3)
・滅菌水、無菌ダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、トリプチックソイブロス(TSB)、トリプチックソイ寒天培地(TSA)、脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよび寒天、0.1%システイン補充TSBおよびTSA(それぞれ、TSBCおよびTSAC)、YEPDプレートおよび酵母用ブロス
・微生物学用回転台
1.細菌および酵母を推奨成長培地中および推奨温度で増殖させた(詳細は下記ステップ#5を参照)。
2.一晩増殖後、細菌を採取し、洗浄して、100μLのPBS中の約109細胞を1mLのSTC chemistry(水と1:1)またはPBS中でインキュベートした。
3.300μLの一定分量を、15分、1時間および24時間後に採取した。
4.各時点で、一定分量を洗浄し、溶媒中で系列希釈した。
5.希釈物をYEPDに(カンジダ・アルビカンス)、TSACに(フランシセラ・フィロミラジア)、BHI寒天に(エンテロコリチカ菌)、またはTSAに(他の全て)播種し、プレートを30℃で(エンテロコリチカ菌、カンジダ・アルビカンス)、または35℃で(他の全て)一晩インキュベートし、プレート上のコロニーを計数により数えた(表18)。
グラム陽性(バチルス・チューリンゲンシス、黄色ブドウ球菌、枯草菌)およびグラム陰性(エンテロコリチカ菌、フランシセラ・フィロミラジア、クレブシェラ肺炎杆菌)の両方の細菌および酵母(カンジダ・アルビカンス)のSTC組成物中でのインキュベーションの効果を調査した。試験細菌種に対するBD3の効果の顕著な差異が存在した。グラム陽性およびカンジダ・アルビカンスは15分以内に生存能力を完全に失ったが、グラム陰性細菌はインキュベーションの24時間後でも、比較的多数生存した。組成物BD2は、酵母を含む全ての試験種で生存可能な細菌の急速な(15分以内の)減少を引き起こした。試料のこの急速な「汚染除去」は、周囲温度での長期の試料輸送の状況で特に望ましい。より具体的には、広範囲の急速に成長するバックグラウンド細菌を急速に、効果的に除去することができれば、TB陽性喀痰試料が腐敗により廃棄される可能性が少なくなるであろう。本実施例は、STC組成物が、異なった物理的特徴を有し、多様な環境由来の広範囲の微生物の生存能力を取り除くのに効果的であることを示す。
多くの発展途上国においては、保存方法として試料を凍結するコストは極めて高いが、この方法は、より豊かな国々でよく使われる方法である。環境温度安定化の重要な利益を提供するのみでなく、凍結ステップを組み込む分子診断ワークフロー中に統合することもできる組成物は、明らかな利点である。本実施例は、下流に適するDNAを抽出する能力に対する凍結の影響を評価する。
・PBS中の1.5x109CFU/mL弱毒結核菌(株h37a;aMTB)(4℃で貯蔵)
・Tissue Solutionsの2〜3mLの喀痰試料(−80℃で貯蔵)
・濾過滅菌BD2(50mMグリシン、250mMのLiCl、50mMのCDTA、2%SDS、pH10.5)
・(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム(NPI)
・M7H9液体培地(2714 Middlebrook7H9ブロスと、OADC濃縮物および40mMのピルビン酸ナトリウムから調製した)
1.下記のように喀痰に添加し、クライオバイアル中で1週間−80℃に凍結した後、抽出および培養を行った。
3.それらを3,500gで20分間回転し、上清を廃棄し、ペレットを100μLのPBS中に加えた。
4.実施例1で概要を述べた方法(過ヨウ素酸塩法を使ったaMTB添加BD2緩衝液処理喀痰からDNAを抽出し、特に、ステップ8〜14を使用した)の短縮バージョンを使って、DNAを試料から精製した。
5.実施例1(rtPCR条件参照)で記載のように、aMTB添加喀痰から単離したDNAをマイコバクテリウム特異的RD4 TaqmanアルタイムPCRアッセイに使用した。
表19からわかるように、RD4 PCRから得られたCt値は、aMTB添加凍結および非凍結喀痰試料の両方で極めて類似している。この結果は、Holzら(2001)の、凍結(−20℃)は喀痰形態または細胞数に影響を与えないという結果の記載と一致する。したがって、STC組成物は、冷蔵が高価であるかまたは入手困難である地域での使用に理想的に適するのみでなく、凍結貯蔵が標準である検査室ワークフローにも好適する。本実施例はSTC組成物の広範な有用性を示す。結核菌などの頑丈な微生物を含む試料をSTC組成物と混合する場合、微生物は種々の貯蔵条件で安定化され、微生物を収集後の数日間回収することができる。その後、分子診断アッセイでのさらなる使用のために、DNAを回収することができる。
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Claims (31)
- 生存可能で頑丈な細菌を保存する方法であって、生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、前記安定化組成物がキレート化剤、変性剤、塩を含み、約6〜約11のpHを有する方法。
- 前記頑丈な細菌がマイコバクテリア、炭疽菌、またはクロストリジウム・ディフィシレである、請求項1に記載の方法。
- 前記マイコバクテリアが結核菌であり、前記炭疽菌が芽胞として安定化される、請求項2に記載の方法。
- 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性体液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記頑丈な細菌の全てまたは一部が、室温、または環境温度または約4℃〜約40℃の範囲内の温度で、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上または7日以上または1か月以上の貯蔵後に安定なままである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 生物試料を液化する方法であって、前記生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、前記安定化組成物が、キレート化剤、洗剤、塩を含み、6〜11のpHを有する方法。
- 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性体液である、請求項9に記載の方法。
- 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項9または10に記載の方法。
- 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記安定化組成物が、生物試料中の頑丈な細菌を生存可能な状態で保存し、前記試料中のその他の微生物の増殖を減らすかまたはなくする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 生物試料中のマイクロバイオームを安定化する方法であって、前記生物試料を安定化組成物と接触させることを含み、前記安定化組成物が、キレート化剤、洗剤、塩を含み、6〜11のpHを有する方法。
- 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性生体液である、請求項15に記載の方法。
- 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項15または16に記載の方法。
- 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記安定化組成物が、生物試料中の頑丈な細菌を生存可能な状態で保存し、前記試料中のその他の微生物の増殖を減らすかまたはなくする、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 生物試料中の細菌核酸のキャラクタリゼーション方法であって、
前記生物試料を安定化組成物と接触させること、および前記試料中の核酸を増幅することを含み、
前記安定化組成物がキレート化剤、洗剤、塩を含み、6〜11のpHを有し、前記増幅ステップを行うのが収集の直後であっても、またはさらに後であっても、前記増幅された核酸のレベルが実質的に不変のままである方法。 - 前記生物試料が、喀痰または唾液などの粘液性生体液である、請求項21に記載の方法。
- 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項21または22に記載の方法。
- 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)であるが、この洗剤はDNAを処理する場合には理想的ではない)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
- 前記組成物が、(i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiCl、140mMのLiOHを含み、pH6.8を有する、請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
- キレート化剤、
洗剤、および
生存可能で頑丈な微生物、を含む組成物。 - 前記キレート化剤が、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン三酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン、クエン酸塩無水物、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、二クエン酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸リチウム、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項26に記載の組成物。
- 前記変性剤が、アニオン洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム、ラウロイル硫酸ナトリウム(SLS)など)、カチオン洗剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など)または非イオン洗剤(例えば、ツイーン20、トリトンX100、またはブリージ58など)である、請求項26または27に記載の組成物。
- (i)2%SDS、12.5mMのCDTA、250mMのLiCl、50mMグリシンを含み、pH10.5を有する、または(ii)4%SDS、50mMのCDTA、250mMのLiClを含み、140mMのLiOH、pH6.8を有する、請求項26〜28のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記頑丈な細菌がマイコバクテリア、炭疽菌、またはクロストリジウム・ディフィシレである、請求項26〜29のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記マイコバクテリアが結核菌であり、前記炭疽菌が芽胞の形態である、請求項30に記載の組成物。
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