JP2017224585A - 非水電解液蓄電素子 - Google Patents

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奈緒人 阿部
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良夫 伊藤
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達也 壇
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由佳 荒木
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Abstract

【課題】高いエネルギー密度を実現できる非水電解液蓄電素子の提供。【解決手段】アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、前記正極活物質が、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を含有し、前記電解質塩が、構造式(F−O2S−N−SO2−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有し、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの含有量が、2質量%以上5質量%以下である非水電解液蓄電素子である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液蓄電素子に関する。
近年、携帯機器の小型化、高性能化に伴い高いエネルギー密度を持つ非水電解液蓄電素子の特性が向上し、普及しており、より大容量で安全性に優れた非水電解液蓄電素子の開発も進められ、電気自動車等への搭載も始まっている。
エネルギー密度が高く、高速充放電に適した非水電解液蓄電素子として、導電性ポリマー、炭素材料等を正極に用い、炭素等の負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液とからなり、充電時には、非水電解液中のアニオンが正極へ、カチオンが負極へ挿入し、放電時には、正極、及び負極に挿入されたアニオン、並びに、カチオンが非水電解液中へ脱離することにより充放電が行われる、いわゆるデュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子の実用化が期待されている。
前記非水電解液蓄電素子におけるアニオンを挿入乃至脱離する正極活物質としては、例えば、黒鉛を用いて層間へのアニオンの挿入脱離を利用するもの(例えば、特許文献1及び2参照)、アルカリ賦活等によりBET比表面積をある程度大きくした炭素材料の表面へのアニオンの吸着乃至脱離を利用するもの(例えば、特許文献3参照)、BET比表面積の大きい活性炭へのアニオンの吸着乃至脱離を利用するもの(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
本発明は、高いエネルギー密度を実現できる非水電解液蓄電素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の非水電解液蓄電素子は、アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極活物質が、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を含有し、
前記電解質塩が、構造式(F−OS−N−SO−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有し、
前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの含有量が、2質量%以上5質量%以下である。
本発明によると、高いエネルギー密度を実現できる非水電解液蓄電素子を提供することができる。
図1は、三次元網目構造の結晶性の違いにおける各炭素材料の10サイクル目の充放電曲線を示す図である。 図2は、本発明の非水電解液蓄電素子の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の非水電解液蓄電素子の他の一例を示す概略図である。 図4は、実施例1〜4、及び比較例1〜2の10サイクル目の充放電曲線を示す図である。 図5は、実施例1及び比較例1のサイクリックボルタンメトリー試験の結果を示すグラフである。 図6は、実施例5〜6、及び比較例3の10サイクル目の充放電曲線を示す図である。 図7は、実施例7〜8、及び比較例4の10サイクル目の充放電曲線を示す図である。 図8は、実施例9〜12、及び比較例5〜6の10サイクル目の充放電曲線を示す図である。
(非水電解液蓄電素子)
本発明の非水電解液蓄電素子は、アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極活物質が、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を含有し、
前記電解質塩が、構造式(F−OS−N−SO−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有し、
前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの含有量が、2質量%以上5質量%以下であり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
本発明の非水電解液蓄電素子は、従来の正極活物質に高度に黒鉛化された人造黒鉛又は天然黒鉛材料を用いた際には、黒鉛材料にアニオンが電気化学的に吸蔵されると、黒鉛結晶が崩壊(へき開)するため、充放電を繰返し行うことでアニオンの可逆的な吸蔵乃至放出可能容量が減少するという知見に基づくものである。
また、本願出願人は、先に、アニオンの吸蔵乃至放出に伴う膨張乃至収縮が抑制でき、高容量かつ高サイクル寿命の非水電解液蓄電素子を提供できる正極活物質として三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料について提案している。そして、本発明者らが更に鋭意検討を重ねた結果、図1に示すように、少なくとも一部が結晶化された結晶性の三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料は、非晶性の三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料(標準炭素:非晶性)に比べて、容量を十分に高めることができないという課題があることを知見した。
本発明においては、サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値のピークを有することが好ましい。
また、サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値のピークを有することが好ましい。
ここで、前記サイクリックボルタンメトリー(CV)試験は、例えば、蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、電気化学測定機(SP−300、北斗電工株式会社製)を用いて、下記の条件で行うことができる。
−条件−
・上限電圧:4.7V
・下限電圧:2.0V
・挿引速度:0.2mV/s
・温度:25℃
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極活物質が、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を含有し、
前記電解質塩が、構造式(F−OS−N−SO−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有し、
前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの含有量が、2質量%以上5質量%以下である以外は、炭素材料の原料、製造方法、その他の特性等については特に限定されるものではない。また、前記正極を用いたアニオンインターカレーションを伴う蓄電素子の負極や電解液等のその他の構成要素についても、特に限定されるものではない。
以下、本発明の非水電解液蓄電素子の構成部材毎に詳細に説明する。
<正極>
前記正極は、正極蓄電物質(正極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に正極活物質を有する正極材を備えた正極などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
−正極材−
前記正極材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤等を含む。
−−正極活物質−−
前記正極活物質としては、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造の連通した細孔(メソ孔)を有する多孔質の炭素材料を用いる。
前記「三次元網目構造の連通した細孔(メソ孔)を有する炭素材料」は、メソ孔(空洞部)と炭素材料部とが接する面の両側に亘り正負の電解質イオンが対をなして存在することにより電荷二重層が形成されるキャパシタである。このため、対をなして存在する電解質イオンの移動の方が、極活物質と順次化学反応した後、発生した電解質イオンが次に移動するよりも速いこと、電力供給能は、空洞部の容積の大きさもさることながら、正負の電解質イオン対を存在させるメソ孔の表面積の大きさに依存することが理解される。
前記炭素材料の結晶性については、前記キャパシタの時定数(充放電時の応答の遅さ)は、非水電解液のキャパシタンスだけでなく、これにオーミックコンタクトする炭素材料部の抵抗値にも因る。更に、両電解質イオンは、それぞれのための電極活物質と結合分離を繰り返す化学反応を伴うため炭素材料が劣化する可能性がある。前記炭素材料の結晶性は、前記炭素材料がこの劣化に耐えうる強度を備えるように適宜選定することが好ましい。
前記炭素材料は、少なくとも一部が結晶性であり、すべての部分が結晶性であってもよい。
前記炭素材料の結晶性は、例えば、ラマン分光分析により測定できる黒鉛化度(正極活物質中の非晶性炭素の割合)で示すことができる。具体的には、ラマン分光スペクトルにおける1,360cm−1のピーク強度と1,580cm−1のピーク強度との比(1,360cm−1/1,580cm−1)(以下、「黒鉛化度Rh」と称することもある)の値で表すことができる。
前記炭素材料の少なくとも一部が結晶性であると、前記炭素材料の黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)は、1.10以上1.6以下の範囲を満たしていることが好ましい。
前記黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)が、1.10以上1.6以下であると、十分な容量増加効果が得られる。
前記炭素材料は、窒素又はアルゴン(Ar)等の不活性ガス雰囲気で高温焼成することによって結晶性を高めることができる。焼成温度は1,400℃以上2,500℃以下が好ましく、1,600℃以上2,200℃以下がより好ましい。前記焼成温度が、1,400℃以上であると、非晶性の炭素材料の少なくとも一部を結晶性とすることができる。
前記炭素材料において、メソ孔は必須であるがミクロ孔は必須ではない。したがって、ミクロ孔は存在していても、存在していなくてもよいが、炭素材料の形成源としての有機物質は炭化時に通常揮発性物質を放出して炭化し、したがって、通常は放出跡としてミクロ孔を残すので、ミクロ孔の全くないものを得ることは難しい。これに対して、メソ孔は通常意図的に形成される。例えば、酸(アルカリ)可溶性の金属、金属酸化物や、金属塩、金属含有有機物の筋材と、炭素物質又はその原料たる有機材料とを一緒に成型した後、酸(アルカリ)で筋材部分を溶解し去った痕跡がメソ孔となる場合も多い。
ここで、本明細書においては、細孔径が2nm未満のものをミクロ孔、細孔径が2nm以上50nm以下のものをメソ孔と称することとする。電解質イオンのサイズは0.5nm以上2nm以下であるから、前記ミクロ孔はイオンの移動にさほど寄与するとは云い難い。したがって、イオンの円滑移動のためには、メソ孔が重要となる。ちなみに、同じ炭素質材料である活性炭における孔のサイズは、平均1nm程度と云われており、活性炭の場合には、例外なく発熱を伴う(エンタルピーの減少)全ての吸着の1つと見なされる。
前記サイズのメソ孔は、三次元網目構造をなすことが好ましい。前記孔が三次元網目構造を成していれば、イオンが円滑に移動する。
前記炭素材料のBET比表面積としては、50m/g以上が好ましく、50m/g以上2,000m/g以下が好ましく、800m/g以上1,800m/g以下がより好ましい。
前記BET比表面積が、50m/g以上であると、気孔が十分な量形成され、イオンの挿入が十分に行われるため、高容量化することができる。また、前記BET比表面積が、2,000m/g以下であると、メソ孔が十分に形成され、イオンの挿入を阻害することがないため、高容量化することができる。
前記BET比表面積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer、Emmett、Teller)法を用いて求めることができる。
前記炭素材料の細孔容積としては、0.2mL/g以上2.3mL/g以下が好ましく、0.2mL/g以上1.7mL/g以下がより好ましい。前記細孔容積が0.2mL/g以上であると、メソ孔が独立した細孔になることが稀になり、アニオンの移動が阻害されることもなく大きい放電容量を得ることができる。一方、前記炭素材料の細孔容積が2.3mL/g以下であれば、炭素構造が嵩高くならずに電極としてエネルギー密度が高められ、単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。また、前記細孔を形成している炭素質壁が薄くならずに、アニオンの吸蔵及び放出を繰り返しても炭素質壁の形状が保つことができ、充放電特性が向上する点で有利である。
前記炭素材料の細孔容積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BJH(Barrett、Joyner、Hallender)法を用いて求めることができる。
前記炭素材料としては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、クノーベル(登録商標)(東洋炭素株式会社製)などが挙げられる。
前記炭素材料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元網目構造を有する筋材と、炭素材料形成源としての有機物質とを成形して炭化させた後、酸又はアルカリで前記筋材を溶解する方法などが挙げられる。この場合、前記筋材を溶解した痕が三次元網目構造を形成する複数のメソ孔となり、意図的に形成することができる。
前記筋材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、金属酸化物、金属塩、金属含有有機物などが挙げられる。これらの中でも、酸又はアルカリ可溶性のものが好ましい。
前記有機物質としては、炭化させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記有機物質は、炭化時に揮発性物質を放出するため、放出跡としてミクロ孔が形成されるため、ミクロ孔が全く存在しない炭素材料を製造することは難しい。
−−バインダ及び増粘剤−−
前記バインダ及び増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−−導電助剤−−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−正極集電体−
前記正極集電体の材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであり、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが特に好ましい。
前記正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<正極の作製方法>
前記正極は、前記正極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、前記導電助剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材を、前記正極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒などが挙げられる。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることもできる。
<負極>
前記負極は、負極蓄電物質(負極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材を備えた負極などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
−負極材−
前記負極材としては、負極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤などを含む。
−負極活物質−
前記負極活物質としては、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオンとしてのリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素質材料、金属酸化物、リチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化金属リチウムなどが挙げられる。
前記炭素質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。
前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化アンチモン錫、一酸化珪素などが挙げられる。
前記金属又は金属合金としては、例えば、リチウム、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛などが挙げられる。
前記リチウムとの複合合金化合物としては、例えば、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
前記チッ化金属リチウムとしては、例えば、チッ化コバルトリチウムなどが挙げられる。
前記負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性とコストの点から、炭素質材料、チタン酸リチウムが好ましい。
−−バインダ及び増粘剤−−
前記バインダ及び増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−−導電助剤−−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−負極集電体−
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、銅、アルミニウムが特に好ましい。
前記負極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<負極の作製方法>
前記負極は、前記負極活物質に、必要に応じて前記バインダ及び増粘剤、前記導電助剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材を、前記負極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、前記正極の作製方法と同様の溶媒を用いることができる。
また、前記負極活物質に前記バインダ及び増粘剤、前記導電助剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で前記負極集電体上に前記負極活物質の薄膜を形成することもできる。
<非水電解液>
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質塩を溶解してなる電解液である。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性有機溶媒が好適である。
前記非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒が用いられ、低粘度な溶媒が好ましい。これらの中でも、電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)が好ましい。
前記DMCの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒に対して、70質量%以上が好ましく、83質量%以上がより好ましい。前記DMCの含有量が、70質量%未満であると、残りの溶媒は誘電率が高い環状物質(環状カーボネートや環状エステル等)である場合には、誘電率が高い環状物質の量が増えるため、3M以上の高濃度の非水電解液を作製したときに粘度が高くなりすぎ、非水電解液の電極へのしみ込みや、イオン拡散の点で不具合を生じることがある。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられる。
前記環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、前記鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非水溶媒としては、必要に応じて、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒、環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶媒などを用いることができる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(酢酸メチル(MA)、酢酸エチル等)、ギ酸アルキルエステル(ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル等)などが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
−電解質塩−
前記電解質塩としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有する。
−−リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)−−
前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)は、構造式(F−OS−N−SO−F)Liで表される。
前記LiFSIの含有量は、前記非水電解液の全量に対して、2質量%以上5質量%以下であり、2質量%以上3質量%以下が好ましい。
前記含有量が、2質量%以上であれば蓄電素子容量を高められ、5質量%以下であると、非水電解液の粘度が適正であり、蓄電素子容量を高めることができ、サイクル寿命を伸ばすことができる。
−−他のリチウム塩−−
前記他のリチウム塩としては、前記非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、正極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF、LiBFが好ましく、LiPFがより好ましい。
前記電解質塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒中に、0.5mol/L以上6mol/L以下が好ましく、蓄電素子容量と出力の両立の点から、2mol/L以上4mol/L以下がより好ましい。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、電解液保持の観点より気孔率50%以上のものが好ましい。形状としては微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、気孔率が高い不織布系の方が好ましい。
前記セパレータの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上100μm以下が好ましい。前記平均厚みが、20μm未満であると、電解液の保持量が少なくなることがあり、100μmを超えると、エネルギー密度が低下することになる。
前記セパレータの大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
<非水電解液蓄電素子の製造方法>
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極、前記負極、及び前記非水電解液と、必要に応じて用いられる前記セパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。前記非水電解液蓄電素子を組み立てる方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
本発明の非水電解液蓄電素子の形状については、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
ここで、前記非水電解液蓄電素子の一例を図2に示す。この図2に示した非水電解液蓄電素子10は、正極1と、負極2と、非水電解液を保持したセパレータ3と、外装缶4と、正極引き出し線6と、負極引き出し線5とを有し、必要に応じて他の部材を有してなる。非水電解液蓄電素子10の具体例としては、例えば、非水電解液二次電池、非水電解液キャパシタなどが挙げられる。
図3は、非水電解液蓄電素子10の基本構成を分かりやすく説明するための概略図である。
正極11は、例えば、アルミニウム製の正極集電体20と、正極集電体20上に固定された正極活物質としての炭素21と、炭素21同士を繋ぎとめるバインダ22と、炭素21間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
負極12は、例えば、銅製の負極集電体24と、負極集電体24上に固定された炭素質材料などからなる負極活物質25と、負極活物質25同士を繋ぎとめるバインダ22と、負極活物質25間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
正極11と負極12との間にはセパレータ13が配置されているとともに、非水電解液26が配置されている。符号27はイオンを示している。イオンが炭素層間に挿入乃至脱離することで充放電が行われる。
デュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子の充放電反応は、例えば、電解質塩にLiPFを使用した場合には、下記の反応式に示すように、非水電解液中から正極にPF が挿入され、負極にLiが挿入されることにより充電が行われ、正極からPF が、負極からLiが非水電解液へ脱離することにより放電が行われる。
<用途>
本発明の非水電解液蓄電素子の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、電動自転車、電動工具等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例及び比較例で用いる炭素材料について、以下のようにして、黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)、細孔の形成状態、BET比表面積、及び細孔容積を測定した。
<黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)の測定>
ラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)により黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)を測定した。
<細孔の形成状態>
TEM(JEM−2100、日本電子株式会社製)により三次元網目構造を形成する細孔の有無を観察した。
<BET比表面積及び細孔容積の測定>
BET比表面積を、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer、Emmett、Teller)法を用いて求めた。
細孔容積を、前記BET比表面積を求めた際に用いた前記吸着等温線の測定結果から、BJH(Barrett、Joyner、Hallender)法を用いて求めた。
(実施例1)
<正極活物質の焼成>
標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を電気炉(MTG−1230−SP、モトヤマ株式会社製)を用いてアルゴン(Ar)雰囲気中で焼成温度1,600℃、焼成時間1時間(目的の温度到達後より)で焼成し、炭素Aを得た。
得られた炭素Aについて、黒鉛化度Rh(1360cm−1/1580cm−1)、細孔の形成状態、BET比表面積、及び細孔容積を測定した。結果を表1に示した。
<正極の作製>
前記炭素Aを正極活物質として用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル1270、ダイセル化学工業株式会社製)を、固形分の質量比で100:7.5:3.0:7.6になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整しスラリーを得た。次いで、ドクターブレードを用い、スラリーを厚み20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し乾燥させて電極を作製した後、直径16mmに打ち抜いて正極を得た。
乾燥後の電極膜内の活物質目付け量の平均は、2.1mg/cmであった。
<負極の作製>
負極活物質として黒鉛(MAGD、日立化成株式会社製)、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてSBR系(DENKA-EX1215、デンカ株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル1270、ダイセル化学工業株式会社製)を、固形分の質量比で100:5.0:3.0:2.0になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整しスラリーを得た。次いで、ドクターブレードを用い、スラリーを厚み16μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させて電極を作製した後、直径16mmに打ち抜いて正極を得た。
乾燥後の電極膜内の活物質目付け量の平均は、4.5mg/cmであった。
<非水電解液の調製>
2mol/LのLiPFを含有するエチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/フルオロエチレンカーボネート(FEC)(質量比が2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)の全質量に対して、構造式:(F−OS−N−SO−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学株式会社製)を3質量%になるように添加し、非水電解液を調製した。この非水電解液の調製は乾燥アルゴングローブボックス中で行った。
<セパレータ>
セパレータとしてガラス濾紙(GA100、ADVANTEC社製)を直径16mmに打ち抜いたものを2枚用意した。
<蓄電素子の作製>
前記正極、前記負極、前記非水電解液、及び前記セパレータを用いて蓄電素子を作製した。即ち、前記正極、前記負極、及び前記セパレータを150℃で4時間真空乾燥した後、乾燥アルゴングローブボックス中で、蓄電素子としての2032型コインセルを組み立てた。
<蓄電素子の評価1>
前記蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、自動電池評価装置(1024B−7V0.1A−4、エレクトロフィールド社製)を用いて充放電試験を行った。
基準電流値を1Cとし、初回充電を0.2Cでカットオフ電圧4.9V、放電は0.2Cでカットオフ電圧2.0Vとした。その時の充電と放電の間に5時間の休止を入れた。
その後、基準電流値にて充電はカットオフ電圧4.9V、放電はカットオフ電圧2.0Vとし、充電と放電、放電と充電の間に5分間の休止を入れた。
以上の条件の充電、放電を1サイクルとし、10サイクル目まで充放電試験を行った。
表2に、正極活物質の物性値、及び充放電測定結果として、基準電流値における10サイクル目の放電容量を示した。
<蓄電素子の評価2>
上記と同構成のコインセルを作製し、この蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、電気化学測定機(SP−300、北斗電工株式会社製)を用いてサイクリックボルタンメトリー(CV)試験を行った。試験条件は下記の条件で行った。表2に、充電側のデータで3.6V〜3.9Vの範囲内にある電流値のピークの有無、放電側のデータで3.7V〜2.8Vの範囲内にある電流値のピークの有無を示した。また、実施例1及び比較例1のサイクリックボルタンメトリー試験の結果を図5に示した。
−条件−
・上限電圧:4.7V
・下限電圧:2.0V
・挿引速度:0.2mV/s
・温度:25℃
なお、サイクリックボルタンメトリーの測定は、以下の実施例及び比較例でも同じ条件にて実施した。
(実施例2)
実施例1において、非水電解液中のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学株式会社製)の含有量を2質量%にした以外は、実施例1と同様にして、電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例3)
実施例1において、非水電解液中のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学株式会社製)の含有量を4質量%にした以外は、実施例1と同様にして、電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例4)
実施例1において、非水電解液中のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学株式会社製)の含有量を5質量%にした以外は、実施例1と同様にして、電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例1)
正極活物質として実施例1と同じ炭素材料を用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同様にして、電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例2)
実施例1において、非水電解液中のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学株式会社製)の含有量を1質量%にした以外は、実施例1と同様にして、電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
次に、実施例1〜4、及び比較例1〜2の正極活物質の物性値を表1及び表3に示した。
図4に実施例1〜4、及び比較例1〜2の10サイクル目の充放電曲線を示した。
表2、表4、及び図4の結果から、LiFSI未添加と比較して、容量増加率[(LiFSI添加後の(1C)10サイクル目の放電容量/LiFSI未添加の(1C)10サイクル目の放電容量)×100]が103%以上で効果があるとすると、LiFSIの含有量が2質量%以上5質量%以下である実施例1〜4は比較例1のLiFSI未添加の時よりも容量を増加させることができる。
また、比較例2のLiFSIの含有量が1質量%の時は容量の増加は見られなかった。この結果から、LiFSIの含有量は2質量%以上とした。
また、実施例4のLiFSIの含有量が5質量%を超えると、非水電解液の粘度が高くなり蓄電素子特性の悪化に繋がる。この結果から、LiFSIの含有量は5質量%以下とした。
なお、実施例1〜4でLiFSIの含有量が多くなると、不可逆容量(充電容量に対する放電容量の割合)が多くなることから、LiFSIの含有量は2質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
また、表2、表4、及び図5のサイクリックボルタメトリー(CV)試験結果から、比較例1〜2と比較して、実施例1〜4では充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値の特徴的なピークを有することが分かる。また、放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値の特徴的なブロードなピークを有することがわかる。
容量が増加する要因としてLiFSIを添加することで充放電曲線が変化しており、充電放電曲線にそれぞれ特定の電圧で平坦(プラトー)となる箇所が出ているのがわかる。
具体的には、充電側:2.65V〜2.9V付近、3.65V〜3.9V付近、4.4V〜4.55V付近
放電側:3.8V〜3.6V付近、2.3V〜2.15V付近
以上の電圧域でLiFSIが関係する、なんらかのインターカレーション(イオンの挿入脱離)反応が加わり、容量が増加したと考えられる。これは、サイクリックボルタメトリーの結果からも推察される。
(実施例5)
<正極活物質の焼成>
標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を電気炉(MTG−1230−SP、モトヤマ株式会社製)を用いてアルゴン(Ar)雰囲気中で焼成温度1,800℃、焼成時間1時間(目的の温度到達後より)し、炭素Bを得た。ラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)にて黒鉛化度Rhを測定したところ、炭素BのRhの値は1.412であった。
正極活物質として前記炭素Bを使用した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例6)
電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を5質量%とした以外は、実施例5と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例3)
正極活物質として実施例5と同じ炭素Bを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例5と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。
次に、実施例5〜6、及び比較例3の正極活物質の物性値を表1及び表3に示した。
図6に実施例5〜6、及び比較例3の10サイクル目の充放電曲線を示した。
(実施例7)
<正極活物質の焼成>
標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を電気炉(MTG−1230−SP、モトヤマ株式会社製)を用いてアルゴン(Ar)雰囲気中で焼成温度2,000℃、焼成時間1時間(目的の温度到達後より)し、炭素Cを得た。ラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)にて黒鉛化度Rhを測定したところ、炭素CのRhの値は1.526であった。
正極活物質として前記炭素Cを使用した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例8)
実施例7において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を5質量とした以外は、実施例7と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例4)
正極活物質として実施例7と同じ炭素Cを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例7と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
次に、実施例7、8、比較例4の正極活物質の物性値を表1及び表3に示した。
図7に実施例7、8、比較例4の10サイクル目の充放電曲線を示した。
(実施例9)
<正極活物質の焼成>
標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を電気炉(MTG−1230−SP、モトヤマ株式会社製)を用いてアルゴン(Ar)雰囲気中で焼成温度2,200℃、焼成時間1時間(目的の温度到達後より)し、炭素Dを得た。ラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)にて黒鉛化度Rhを測定したところ、炭素DのRhの値は1.18であった。
正極活物質として前記炭素Dを使用し、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を2質量%とした以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例10)
実施例9において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例11)
実施例9において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)含有量を4質量%とした以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例12)
実施例9において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を5質量%とした以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例5)
正極活物質として実施例9と同じ炭素Dを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例6)
実施例9において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を1質量%とした以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
次に、実施例9〜12、比較例5〜6の正極活物質の物性値を表1及び表3に示した。
図8に実施例9〜12、比較例5〜6の10サイクル目の充放電曲線を示した。
(比較例7)
正極活物質として標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。標準炭素をラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)にて黒鉛化度Rhを測定したところ、標準炭素のRhの値は0.951であった。結果を表4に示した。
(比較例8)
比較例7において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例7と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例9)
<正極活物質の焼成>
標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を電気炉(MTG−1230−SP、モトヤマ株式会社製)を用いてアルゴン(Ar)雰囲気中で焼成温度1,300℃、焼成時間1時間(目的の温度到達後より)し、炭素Eを得た。ラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)にて黒鉛化度Rhを測定したところ、炭素EのRhの値は1.04であった。
正極活物質として炭素Eを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例10)
比較例9において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例11)
<正極活物質の焼成>
標準炭素(非晶質系クノーベル、東洋炭素株式会社製)を電気炉(MTG−1230−SP、モトヤマ株式会社製)を用いてアルゴン(Ar)雰囲気中で焼成温度1,400℃、焼成時間1時間(目的の温度到達後より)し、炭素Fを得た。ラマン分光法(NRS−1000、日本分光株式会社製)にて黒鉛化度Rhを測定したところ、炭素FのRhの値は1.09であった。
正極活物質として炭素Fを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例12)
比較例11において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例11と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(実施例13)
正極活物質として実施例1と同じ炭素Aを用い、非水電解液として2mol/LのLiBF電解質を含有するEC/DMC/EMC(質量比1:1:1)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)全質量に対し、LiFSI(キシダ化学株式会社製)を3質量%になるように添加したものを使用した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例13)
正極活物質として実施例1と同じ炭素Aを用い、非水電解液として2mol/LのLiBFを含有するEC/DMC/EMC(質量比1:1:1)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(実施例14)
正極活物質として実施例9と同じ炭素Dを用い、非水電解液として2mol/LのLiBFを含有するEC/DMC/EMC(質量比1:1:1)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)全質量に対し、LiFSI(キシダ化学株式会社製)を3質量%になるように添加したものを使用した以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例14)
正極活物質として実施例9と同じ炭素Dを用い、非水電解液として2mol/LのLiBFを含有するEC/DMC/EMC(質量比1:1:1)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例15)
正極活物質として実施例1と同じ炭素Aを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)全質量に対し、構造式:LiN(SOCF)で表されるリチウムビスパーフルオロメチルスルフォニルイミド(LiTFSI)(キシダ化学株式会社製)を3質量%になるように添加したものを使用した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例16)
正極活物質として実施例9と同じ炭素Dを用い、非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)全質量に対し、構造式:LiN(SOCF)で表されるリチウムビスパーフルオロメチルスルフォニルイミド(LiTFSI)(キシダ化学株式会社製)を3質量%になるように添加したものを使用した以外は、実施例9と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例17)
正極活物質として人造黒鉛(TIMCAL社製、KS−6)用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200、ダイセル化学工業株式会社製)を、各々、固形分の質量比で100:7.5:3.0:3.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の電極膜内の活物質目付け量の平均は2.5mg/cmであった。これを直径16mmに打ち抜いて正極とした。
非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例18)
比較例17において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例17と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例19)
比較例17において、正極活物質として粉砕した生コークスを1,200℃の不活性雰囲気中で焼成して得られた易黒鉛化性炭素を用いた以外は、比較例17と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例20)
比較例19において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例19と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例21)
比較例17において、正極活物質として活性炭(ベルファインAP、ATエレクトロード社製)を用いた以外は、比較例17と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例22)
比較例21において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例21と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例23)
正極活物質としてメソポーラスカーボン(カーボンメソポーラス、シグマアルドリッチ社製)、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200、ダイセル化学工業株式会社製)を、固形分の質量比で100:7.5:5.8:17.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整しスラリーを得た。次いで、ドクターブレードを用い、スラリーを厚み20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥させて電極を作製した後、直径16mmに打ち抜いて正極とした。
乾燥後の電極膜内の活物質目付け量の平均は、2.4mg/cmであった。
非水電解液として2mol/LのLiPFを含有するEC/DMC/FEC(質量比2:96:2)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を使用(LiFSI未添加)した以外は、実施例1と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
(比較例24)
比較例23において、非水電解液中のLiFSI(キシダ化学株式会社製)の含有量を3質量%とした以外は、比較例23と同じ方法で電極、及び蓄電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
*比較例7〜12で用いられている炭素材料は、いずれも黒鉛化度Rhが1.10未満であり、非晶性の炭素材料である。
*表4中の容量増加率において、「−(基準)」とは、LiFSIを添加していない系であり、この値を基準(100%)とした。
前記容量増加率は、[(LiFSI添加後の(1C)10サイクル目の放電容量/LiFSI未添加の(1C)10サイクル目の放電容量)×100]から求めた。
表1〜表4、及び図4〜図8の結果から、LiFSIの含有量が2質量%以上5質量%以下である実施例1〜14は、いずれも、比較例1〜6のLiFSI未添加、又はLiFSIの含有量が1質量%の時に比べて、(1C)10サイクル目の放電容量を増加させることができた。
また、比較例7〜12のように、正極活物質として黒鉛化度Rhの値が1.10未満(非結晶性)である三次元網目構造の細孔を有する炭素材料を用いた場合、LiFSIを添加しても大きな容量増加は見られなかった。この結果から、前記炭素材料の黒鉛化度Rhは、1.10以上1.6以下が好ましいことがわかった。
また、実施例13〜14及び比較例13〜14で他のリチウム塩としてLiBFを用いた際もLiFSIを添加することで容量が増加させることができることがわかった。ただし、容量増加率で見た場合、他のリチウム塩としてLiPFを用いた方が容量を増加させることができる。以上の結果から、他のリチウム塩はLiPFがより好ましいことがわかった。
比較例15及び16では、他のリチウムイミド塩として、リチウムビスパーフルオロメチルスルフォニルイミド(LiTFSI)を添加したが、容量増加は見られなかった。
また、表2及び表4のサイクリックボルタメトリー(CV)試験結果から、比較例3〜24と比較して、実施例5〜14では充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値の特徴的なピークを有することが分かる。また、放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値の特徴的なブロードなピークを有することがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極活物質が、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を含有し、
前記電解質塩が、構造式(F−OS−N−SO−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有し、
前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの含有量が、2質量%以上5質量%以下であることを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
<2> サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値のピークを有する前記<1>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<3> サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値のピークを有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<4> 前記炭素材料におけるラマン分光法で測定した黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)が、1.10以上1.6以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<5> 前記他のリチウム塩が、LiPF及びLiBFの少なくともいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<6> 前記他のリチウム塩が、LiPFである前記<1>から<5>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<7> 前記炭素材料のBET比表面積が50m/g以上であり、かつ前記炭素材料の細孔容積が0.2mL/g以上2.3mL/g以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<8> 細孔径が、2nm以上50nm以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<9> 前記非水電解液に含まれる非水溶媒が、非プロトン性有機溶媒である前記<1>から<8>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<10> 前記非プロトン性有機溶媒が、鎖状カーボネートである前記<9>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<11> 前記負極活物質が、人造黒鉛及びチタン酸リチウムの少なくともいずれかである前記<1>から<10>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<12> 前記正極と前記負極との間に、セパレータを有する前記<1>から<11>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<13> 前記セパレータの平均厚みが、20μm以上100μm以下である前記<12>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<14> アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値のピークを有し、かつ放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値のピークを有することを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
前記<1>から<14>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 負極引き出し線
6 正極引き出し線
10 非水電解液蓄電素子
特許第4569126号公報 特許第4314087号公報 特許第5399185号公報 特開2012−195563号公報

Claims (10)

  1. アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
    前記正極活物質が、少なくとも一部が結晶化された三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を含有し、
    前記電解質塩が、構造式(F−OS−N−SO−F)Liで表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩とを含有し、
    前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの含有量が、2質量%以上5質量%以下であることを特徴とする非水電解液蓄電素子。
  2. サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値のピークを有する請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
  3. サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値のピークを有する請求項1から2のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  4. 前記炭素材料におけるラマン分光法で測定した黒鉛化度Rh(1,360cm−1/1,580cm−1)が、1.10以上1.6以下である請求項1から3のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  5. 前記他のリチウム塩が、LiPF及びLiBFの少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  6. 前記他のリチウム塩が、LiPFである請求項1から5のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  7. 前記炭素材料のBET比表面積が50m/g以上であり、かつ前記炭素材料の細孔容積が0.2mL/g以上2.3mL/g以下である請求項1から6のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  8. 前記負極活物質が、人造黒鉛及びチタン酸リチウムの少なくともいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  9. 前記正極と前記負極との間に、セパレータを有する請求項1から8のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  10. アニオンを挿入及び脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解質塩を含む非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
    サイクリックボルタメトリー(CV)試験における、充電側のデータにおいて、3.6V〜3.9Vの範囲内に電流値のピークを有し、かつ放電側のデータにおいて、3.7V〜2.8Vの範囲内に電流値のピークを有することを特徴とする非水電解液蓄電素子。

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