JP2016046287A - 非水電解液蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
Description
正極活物質として黒鉛を用いた場合には、特許文献1(特許第4392169号公報)記載のように充電終止電圧リチウム参照極に対して5.3〜5.6Vとすることにより、高容量の二次電池が得られることが知られている。特許文献2(特許第4314087号公報)には、ホウ素化黒鉛を用いることによりサイクル特性の優れた二次電池が得られる旨記載され、特許文献3(特許第4569126号公報)には、高速放電特性を得るための特に負極として、金属リチウム、又はBET法比表面積が0.5m2/g〜25.0m2/gで、粒径1μm〜100μmの炭素質材料を用いることが開示されている。
しかし、本発明者らの検討によれば、正極に黒鉛を用いた場合、高電圧下且つ急速充放電条件(1C以上)では容量を十分に高めることが出来ず、数サイクルで容量低下を起こす。
特許文献5のWO2011−065484号公報には、比表面積が200〜3000m2/gでの炭素多孔質材料を電極に用いてなる電気二重層キャパシタを有する電池が記載されているが、この技術も、窒素含有炭素材料が燃料電池のEDLC用電極材料としてより適しているとの認識による、燃料電池に関するものであって、二次電池に関するものではなく、また、メラミン樹脂の原料であるメラミンモノマーは、熱処理によって昇華するため、直接、窒素含有多孔質炭素材料の原料とすることができず、容易に窒素含有多孔質炭素材料を製造することが難しかった点の克服を主眼とするものであって、少なくとも一部が結晶化された炭素多孔質材料を用いるものでもない。
本発明の非水電解液蓄電素子は、つぎの(1)に記載の「非水電解液蓄電素子」によって解決される。
(1)「アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒、ハロゲン原子を含む電解質塩、及びハロゲン原子を含むアニオンを結合可能な部位を有する化合物を含有する非水電解液と、を有する非水電解液蓄電素子であって、前記正極活物質に用いる炭素活物質が、三次元網目構造の連通した孔径2nm以上のメソ孔を有し結晶性または一部が結晶化された多孔質炭素であることを特徴とする非水電解液蓄電素子。」
(3)前記多孔質炭素が炭素結晶構造を有することを特徴とする(1)に記載の非水電解液蓄電素子。
1.正極
前記正極は、正極蓄電物質(正極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に正極活物質を有する正極材を備えた正極、などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
1−1.正極材
前記正極材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤、などを含んでなる。
正極活物質としては、三次元網目構造の連通した孔径2nm以上の細孔(メソ孔)を有した結晶性または一部が結晶化された多孔質炭素を用いる。該「三次元網目構造の連通した孔径2nm以上のメソ孔を有する正極活物質」は、メソ孔(空洞部)と炭素材料部とが接する面の両側に亘り正負の電解質イオンが対をなして存在することにより電荷二重層が形成されるキャパシタであるから、対をなして存在した電解質イオンの移動の方が、極活物質と順次化学反応して後、発生した電解質イオンが次に移動するよりも速いこと、電力供給能は、空洞部の容積の大きさもさることながら、正負の電解質イオン対を存在させるメソ孔の表面積の大きさに依存することが理解される。
多孔質炭素の結晶性についてみると、該キャパシタの時定数(充放電時の応答の遅さ)は、非水電解液のキャパシタンスだけでなく、これにオーミックコンタクトする炭素材料部の抵抗値にも因る。さらに、両電解質イオンは、それぞれのための極活物質と結合分離を繰り返す化学反応を伴うので、これの劣化に耐えうる強度もあることが好ましい点をも考慮することができる。
なお、炭素質の全ての部分が結晶構造となっている必要はなく、一部に非晶質部分が存在1していても良い。
ここで、本明細書においては、細孔径が2nm未満のものをミクロ孔、細孔径が2〜50nmのものをメソ孔と称することとする。電解質イオンのサイズは0.5nm〜2nmであるから、ミクロ孔はイオンの移動にさほど寄与するとは云い難い。したがって、イオンの円滑移動のためには、メソ孔が重要となる。ちなみに、同じ炭素質材料である活性炭における孔のサイズは、平均1nm程度と云われており、活性炭の場合には、例外なく発熱を伴う(エンタルピーの減少)全ての吸着の1つと見なされる。
上記サイズのメソ孔は、3次元網目構造を成すことが望ましい。
孔が3次元網目構造を成していれば、イオンが円滑に移動する。
比表面積が500m2/g未満であると、気孔の形成量が不十分で、イオンの挿入が十分に行われず、高容量化できない。
一方、比表面積は2000m2/g以下であることが望ましい比表面積が2000m2/gを超えると、メソ孔の形成が十分でないため、イオンの挿入を阻害してしまうため、高容量化できない。
上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっていることが必要である。
上記構成であれば、イオンが円滑に移動する。
上記ミクロ孔の容積は1.00ml/g以下であることが望ましい。
ミクロ孔の容積が1.00ml/gを超えると、イオンの挿入、脱離の阻害となり、容量低下を起こす可能性がある。
前記バインダ、および、増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素質材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正極集電体の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位にたいして安定であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタル、などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが特に好ましい。
前記正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極は、前記正極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、前記導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材を、前記正極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒、などが挙げられる。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコール、などが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン、などが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
前記負極は、負極活物質を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材を備えた負極、などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
前記負極材としては、負極蓄電物質(負極活物質等)を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤、などを含んでなる。
前記負極活物質としては、少なくとも非水溶媒系でリチウムイオンを吸蔵脱離する物質であれば特に制限はなく、具体的には、炭素質材料、酸化アンチモン錫、一酸化珪素等のリチウムを吸蔵、放出可能な金属酸化物、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛等のリチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属と該金属を含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化コバルトリチウム等のチッ化金属リチウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性とコストの点から、炭素質材料が特に好ましい。
前記炭素質材料としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛が特に好ましい。
前記バインダおよび増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素質材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、などが挙げられる。これらの中でもステンレススチール、銅、アルミニウムが特に好ましい。
前記集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極は、前記負極活物質に、必要に応じて前記バインダおよび増粘剤、前記導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材を、前記負極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、前記正極の作製方法と同様の溶媒を用いることができる。
また、前記負極活物質に前記バインダおよび増粘剤、前記導電剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で前記負極集電体上に前記負極活物質の薄膜を形成することもできる。
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質塩を溶解してなる電解液である。
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性有機溶媒が好適である。
前記非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒が用いられ、低粘度な溶媒が好ましい。これらの中でも、電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、などが挙げられる。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)が好ましい。
前記DMCの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒に対して70質量%以上が好ましく、83質量%以上がより好ましい。前記DMCの含有量が、70質量%未満であると、残りの溶媒は誘電率が高い環状物質(環状カーボネートや環状エステル等)である場合には、誘電率が高い環状物質の量が増えるため、3M以上の高濃度の非水電解液を作製したときに粘度が高くなりすぎ、非水電解液の電極へのしみ込みや、イオン拡散の点で不具合を生じることがある。
前記環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、前記鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、質量比(EC:DMC)が、3:10〜1:99が好ましく、3:10〜1:20がより好ましい。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γBL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、などが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(酢酸メチル(MA)、酢酸エチル等)、ギ酸アルキルエステル(ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル等)、などが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン、などが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、などが挙げられる。
前記電解質塩としては、リチウム塩を使用する。非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF4)、六弗化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(C2F5SO2)2)、リチウムビスファーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(CF2F5SO2)2)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF6が特に好ましい。
前記電解質塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒中に、0.5mol/L〜6mol/Lが好ましく、電池容量と出力の両立の点から、2mol/L〜4mol/Lがより好ましい。
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、電解液保持の観点より気孔率50%以上のものが好ましい。形状としては微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、不織布系が気孔率が高いため好ましい。厚みとしては短絡防止と電解液保持の観点から20μm以上が好ましい。
前記セパレータの大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極、前記負極、及び前記非水電解液と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて電池外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。前記非水電解液蓄電素子を組み立てる方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
本発明の非水電解液蓄電素子の形状については、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ、などが挙げられる。
本発明の非水電解液蓄電素子の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、などが挙げられる。
正極活物質として多孔質炭素A(クノーベル:東洋炭素)、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状:電気化学工業)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A:JSR)、増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200:ダイセル化学工業)を、各々、固形分の重量比で100:7.5:3.0:3.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚さ20μmのアルミニウ箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付け量の平均は5.8mg/cm2であった。これをφ16mmに打ち抜いて正極とした。
セパレータは、ガラス濾紙(GA100:ADVANTEC)をφ16mmに打ち抜いたものを2枚、負極にはφ16mmのリチウム金属箔を用いた。
電解液は2mol/LのLiPF6のDMC溶液を用いた。
上記、正極、および、セパレータを150℃で4時間真空乾燥後、乾燥アルゴングローブボックス中で、2032型コインセルを組み立てた。
作製した蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、以下の(I)〜(VIII)のような条件で充放電試験を実施した。基準電流値を0.5mA(1C)とし、(II)と(VI)は放電のみ基準電流値の5倍(5C)、10倍(10C)の値とし、(IV)と(VIII)は充電のみ基準電流値の5倍(5C)、10倍(10C)の値とした。また、全て、充電はカットオフ電圧5.2Vで定電流、放電はカットオフ電圧3.0Vとし、充電と放電、放電と充電の間には5分間の休止を入れた。
(I)充電 0.5mA 放電 0.5mA 10回
(II)充電 0.5mA 放電 2.5mA 5回
(III)充電 0.5mA 放電 0.5mA 2回
(IV)充電 2.5mA 放電 0.5mA 5回
(V)充電 0.5mA 放電 0.5mA 2回
(VI)充電 0.5mA 放電 5.0mA 5回
(VII)充電 0.5mA 放電 0.5mA 2回
(VIII)充電 5.0mA 放電 0.5mA 5回
正極活物質として実施例1よりも結晶性の低い多孔質炭素B(クノーベル:東洋炭素)、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状:電気化学工業)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A:JSR)、増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200:ダイセル化学工業)を、各々、固形分の重量比で100:7.5:2.9:14.3になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚さ20μmのアルミニウ箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付け量の平均は1.2mg/cm2であった。これをφ16mmに打ち抜いて正極とした。
セパレータは、ガラス濾紙(GA100:ADVANTEC)をφ16mmに打ち抜いたものを2枚、負極にはφ16mmのリチウム金属箔を用いた。
電解液は2mol/LのLiPF6のDMC溶液を用いた。
上記、正極、および、セパレータを150℃で4時間真空乾燥後、乾燥アルゴングローブボックス中で、2032型コインセルを組み立てた。
作製した蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、以下の(I)〜(VIII)のような条件で充放電試験を実施した。基準電流値を0.3mAとし、(II)と(VI)は放電のみ基準電流値の5倍(5C)、10倍(10C)の値とし、(IV)と(VIII)は充電のみ基準電流値の5倍(5C)、10倍(10C)の値とした。また、全て、充電はカットオフ電圧5.2Vで定電流、放電はカットオフ電圧3.0Vとし、充電と放電、放電と充電の間には5分間の休止を入れた。
(I)充電 0.3mA 放電 0.3mA 10回
(II)充電 0.3mA 放電 1.5mA 5回
(III)充電 0.3mA 放電 0.3mA 2回
(IV)充電 1.5mA 放電 0.3mA 5回
(V)充電 0.3mA 放電 0.3mA 2回
(VI)充電 0.3mA 放電 3.0mA 5回
(VII)充電 0.3mA 放電 0.3mA 2回
(VIII)充電 3.0mA 放電 0.3mA 5回
正極活物質としては、天然黒鉛(特CP:日本黒鉛工業製)を用いた。それ以外は実施例1と同じ方法で電極、及び電池を作成した。乾燥後の目付け量の平均は10.5mg/cm2であった。
基準電流値を2.0mAとしそれ以外は実施例1、2と同じ方法で評価した。
正極活物質としては、活性炭(ベルファインAP:ATエレクトロード製)を用いた。それ以外は実施例1と同じ方法で電極、及び電池を作成した。乾燥後の目付け量の平均は8.9mg/cm2であった。
基準電流値を2.0mAとしそれ以外は実施例1、2と同じ方法で評価した。
正極活物質としては、メソポーラスカーボン(カーボンメソポーラス:シグマアルドリッチ製)を用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状:電気化学工業)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A:JSR)、増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200:ダイセル化学工業)を、各々、固形分の重量比で100:7.5:5.8:17.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚さ20μmのアルミニウ箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付け量の平均は1.3mg/cm2であった。
それ以外は実施例1,2と同じ方法で電極、及び電池を作成した。
基準電流値を0.075mAとしそれ以外は実施例1、2と同じ方法で評価した。
正極活物質として実施例2と同程度の結晶性で細孔径が2nmの多孔質炭素C(クノーベル:東洋炭素)を用い、それ以外は実施例1と同じ方法で電極、及び電池を作製し評価を行った。
正極活物質として実施例2と同程度の結晶性で細孔径が10nmの多孔質炭素D(クノーベル:東洋炭素)を用い、それ以外は実施例1と同じ方法で電極、及び電池を作製し評価を行った。
実施例1では、基準電流値における容量も比較的高く、放電電流値、充電電流値を高くしたときの放電容量維持率も比較的高い。実施例2では、基準電流値における容量も実施例1よりも高く、放電電流値、充電電流値を高くしたときの放電容量維持率も高い。これに対し、比較例1は基準電流値における容量は実施例2よりも低く(実施例1と同等)、放電電流値を高くしたときの放電容量維持率は比較的高いものの、充電電流値を高くした場合の放電容量維持率低下が大きい。比較例2は基準電流値における容量も低く、放電電流値、充電電流値を高くした場合の放電容量維持率低下が非常に大きい。比較例3は放電電流値、充電電流値を上げた場合の放電容量維持率は良好であるが、基準電流値での容量が小さく、高エネルギー密度の蓄電素子が実現できない。
また、図1に各実施例、比較例に於ける(I)の基準電流値での放電容量と放電電流値、充電電流値を高くした場合((II)、(IV)、(VI)、(VIII))の放電容量の値をプロットしたものを示した。実施例1に於いては放電電流値、充電電流値を高くした場合((II)、(IV)、(VI)、(VIII))の容量は比較例1(天然黒鉛)と同等の容量が得られるこことが分かった。実施例2に於いて放電電流値、充電電流値を高くした場合((II)、(IV)、(VI)、(VIII))の容量維持率はやや低いものの、実施例1の結晶性の高いものよりも高い容量が得られることが分かった。
また、結晶性が同程度である実施例2〜4のように、細孔径を変化させても高い容量が得られることが分かった。実施例4に於いては他のどの実施例、比較例よりも高い容量が得られることが分かった。この結果から、正極へのアニオン挿入を利用した、充放電レートの速い高容量の蓄電素子を提供できる。
Claims (3)
- アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒、ハロゲン原子を含む電解質塩、及びハロゲン原子を含むアニオンを結合可能な部位を有する化合物を含有する非水電解液と、を有する非水電解液蓄電素子であって、前記正極活物質に用いる炭素活物質が、三次元網目構造の連通した孔径2nm以上のメソ孔を有し結晶性または一部が結晶化された多孔質炭素であることを特徴とする非水電解液蓄電素子。
- 前記多孔質炭素のBET比表面積の値が500〜2000m2/g、メソ孔直径の値が2〜200nm、ミクロ孔容積が1.00mL/g以下である請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
- 前記多孔質炭素が炭素結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
Priority Applications (1)
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