JP2017210658A - 耐熱Ti合金および耐熱Ti合金材 - Google Patents

耐熱Ti合金および耐熱Ti合金材 Download PDF

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尚之 成島
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尚之 成島
恭介 上田
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恭介 上田
幸大 前田
Yukihiro Maeda
幸大 前田
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Abstract

【課題】800℃を超える高温度域における耐酸化性を向上できる耐熱Ti合金を提供する。【解決手段】耐熱Ti合金は、800℃を超える高温度域にて使用される耐熱Ti合金であって、AlおよびSnの少なくとも1種と、Siとを含み、Siの含有量が、0.1質量%を超え10質量%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、AlおよびSnの少なくとも1種を含む耐熱Ti合金および耐熱Ti合金材に関する。
Ti合金は、軽量、高強度で耐腐食性に優れるため、化学や電力分野、航空機産業等の様々な技術分野において使用されている。近年では、部品の軽量化への要望や、Ti合金の低コスト製造技術開発の進展等の要因により、Ti合金を四輪車や二輪車等の車両用の排気系部品(例えばマフラー)に適用する動きが活発化している。
一般的なTi合金の使用温度可能域は600℃以下とされているが、航空機エンジンや車両用の排気系部品では600℃を超える高温度域で使用可能な耐熱Ti合金が求められている。そこで、特許文献1、2では、高温度域750℃−800℃で使用可能な耐熱Ti合金が提案されている。
特開2005−290548号公報 特開2014−208873号公報
しかしながら、車両用の排気系部品では一時的に800℃を超える温度に曝されることがある。このため、800℃を超える高温度域において耐熱Ti合金の耐酸化性を向上することが望まれている。
本発明の目的は、800℃を超える高温度域における耐酸化性を向上できる耐熱Ti合金および耐熱Ti合金材を提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の発明は、800℃を超える高温度域にて使用される耐熱Ti合金であって、AlおよびSnの少なくとも1種と、Siとを含み、Siの含有量が、0.1質量%を超え10質量%未満である耐熱Ti合金である。
第2の発明は、耐熱Ti合金からなる基材と、基材の表面に設けられた被膜とを備え、耐熱Ti合金は、AlおよびSnの少なくとも1種と、Siとを含み、Siの含有量が、0.1質量%を超え10質量%未満である耐熱Ti合金材である。
本発明によれば、800℃を超える高温度域における耐熱Ti合金の耐酸化性を向上できる。
図1は、AlとSiとを含む耐熱Ti合金材の構成の一例を示す断面図である。 図2は、SnまたはAl、Snの両方とSiとを含む耐熱Ti合金材の構成の一例を示す断面図である。 図3A、3B、3Cはそれぞれ、温度810K、910K、1010Kにおける質量増加と酸化時間との関係を示すグラフである。 図4A、4Bはそれぞれ、温度1110K、1210Kにおける質量増加と酸化時間との関係を示すグラフである。 図5A、5Bはそれぞれ、0質量、0.01質量%のSiを含有するTi合金における放物線則領域と酸化条件との関係を示すグラフである。 図6A、6Bはそれぞれ、0.1質量、1質量%のSiを含有するTi合金における放物線則領域と酸化条件との関係を示すグラフである。 図7は、0質量、0.01質量%、0.1質量、1質量%のSiを含有するTi合金における放物線則領域と酸化条件との関係を示すグラフである。 図8は、1210K、48hの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)の断面EPMAマッピング結果を示す図である。 図9は、1210K、48hの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)の断面EPMAマッピング結果を示す図である。 図10A、10Bはそれぞれ、温度923K、1023Kにおける質量増加と酸化時間との関係を示すグラフである。 図11A、11Bはそれぞれ、温度1123K、1223Kにおける質量増加と酸化時間との関係を示すグラフである。 図12は、0質量、0.01質量%、0.1質量、1質量%のSiを含有するTi合金における放物線則領域と酸化条件との関係を示すグラフである。 図13は、内側層および外側層の厚さ(din、dout)と酸化時間との関係を示すグラフである。 図14Aは、1123K、86.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)断面のAl分布を示す図である。図14Bは、1123K、518.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)断面のAl分布を示す図である。 図15Aは、1123K、86.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)断面のAl分布を示す図である。図15Bは、1123K、518.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)断面のAl分布を示す図である。 図16は、1223K、144hの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)断面の元素分布を示す図である。 図17は、1223K、144hの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)断面の元素分布を示す図である。 図18は、1223K、144hの酸化試験後の内側層、外側層、TiN層の厚さ(din、dout、dTiNの測定結果を示すグラフである。
[耐熱Ti合金の組成]
本発明の一実施形態に係る耐熱Ti合金は、800℃を超える高温度域にて使用される耐熱Ti合金であり、Tiと、AlおよびSnの少なくとも1種と、Siと、不可避的不純物とからなる。耐熱Ti合金が、高温強度向上、耐クリープ性または疲労強度向上等の観点から、必要に応じて、O(酸素)、N(窒素)、C(炭素)、V、Nb、Ta、Mo、Zr、Cr、Fe、W、Hf、Ga、Cu、Mn、Pd、Y、LaおよびCe等からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。耐熱Ti合金が使用される高温度域の上限値は、例えば1000℃以下、好ましくは900℃以下である。本実施形態に係る耐熱Ti合金では、800℃を超え900℃以下の高温度域において特に優れた耐酸化性が得られるからである。
耐熱Ti合金は、α+β型Ti合金であってもよいし、α型またはβ型Ti合金であってもよい。耐熱Ti合金は、航空機エンジン、四輪車や二輪車用等の車両用の排気系部品に適用して好適なものである。排気系部品としては、例えば、エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ、触媒マフラーまたはメインマフラー等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
耐熱Ti合金中におけるSiの含有量は、0.1質量%を超え10質量%未満、より好ましくは0.2質量%以上2質量%以下、さらにより好ましくは0.5質量%以上1質量%以下、最も好ましくは約1質量%である。Siの含有量が0.1質量%以下であると、Siの含有量が少なすぎて、耐酸化性向上の効果が低下する。一方、Siの含有量が10質量%以上であると、耐熱Ti合金の成形加工性が低下する。
耐熱Ti合金がAlおよびSnの少なくとも1種を含むことで、耐高温特性等が向上する。耐熱Ti合金中におけるAlの含有量は、例えば1質量%以上9質量%以下である。耐熱Ti合金中におけるSnの含有量は、例えば2質量%以上8質量%以下である。
上記のSi、AlおよびSnの含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)を用いて元素分析を行うことにより求めることが可能である。
耐熱Ti合金は、AlおよびSnの少なくとも1種を含む既存のTi合金と、Siとを含むものであってもよい。既存のTi合金に上記範囲のSiを含ませることで、800℃を超える高温度域における耐酸化性を向上できる。
Alを含む既存のTi合金としては、例えば、Ti−6Al−4V(以下「Ti−64」という。)、Ti−3Al−2.5V、Ti−6Al−2Nb−1Ta−0.8Mo、Ti−8Al−1Mo−1V、Ti−7Al−4Mo、Ti−4.5Al−3V−2Mo−2Fe、Ti−6Al−7Nb、Ti−4Al−3Mo−1V、Ti−4.5Al−5Mo−1.5Cr、Ti−5Al−1.5Fe−1.4Cr−1.2Mo、Ti−5Al−2.5Fe、Ti−6.4Al−1.2Fe、Ti−3Al−8V−6Cr−4Mo−4Zr、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−13V−11Cr−3Al、Ti−1.5Al−5.5Fe−6.8Mo、Ti−8Mo−8V−2Fe−3Al、Ti−15Mo−5Zr−3Al、Ti−8V−5Fe−1Al、Ti−16V−2.5Al等を用いることができる。これらを単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
Snを含む既存のTi合金、およびAlおよびSnを含む既存のTi合金としては、例えば、Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo−4Cr(以下「Ti−17」という。)、Ti−5Al−2.5Sn、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−6Al−6V−2Sn、Ti−11.5Mo−6Zr−4.5Sn、Ti−15V−3Al−3Cr−3Sn、Ti−5Al−2Sn−4Zr−4Mo−2Cr−1Fe、Ti−11.5V−2Al−2Sn−11Zr、Ti−12V−2.5Al−2Sn−6Zr、Ti−13V−2.7Al−7Sn−2Zrを用いることができる。これらを単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
不可避的不純物としては、例えば、O、N、C、H(水素)、Ni、Cl、Mg、Mn、Na、Cu、V、Pb、Ru、Co、S等が挙げられる。
[Si添加による耐酸化性向上のメカニズム]
AlおよびSnの少なくとも1種を含むTi合金に0.1質量%を超え10質量%未満のSiを添加することで、800℃を超える高温度域において耐酸化性を向上できる。この効果の発現のメカニズムは、以下に示すように、(a)耐熱Ti合金がAlを含む場合と、(b)耐熱Ti合金がSnを含む、もしくはAlおよびSnの両方を含む場合とで異なる。
(a)耐熱Ti合金がAlを含む場合
800℃を超える高温度域にて耐熱Ti合金を使用すると、図1に示すように、耐熱Ti合金からなる基材11の表面に酸化被膜12が形成される。この際、上記含有量のSiを耐熱Ti合金が含んでいることで、基材11と酸化被膜12との間にAl濃化層13が形成される。Al濃化層13は、Ti3Alを含んでいる。このようなAl濃化層13の形成により、基材11の耐酸化性が向上する。放物線速度定数を低減し、耐酸化性を向上する観点からすると、Al濃化層13は、連続膜であることが好ましい。なお、基材11と酸化被膜12とAl濃化層13とにより耐熱Ti合金材が構成される。
Al濃化層13の平均膜厚は、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上100μm以下、更により好ましくは5μm以上50μm以下である。Al濃化層13の平均膜厚が2μm以上であると、特に優れた耐酸化性が得られる。一方、Al濃化層13の平均膜厚が100μmを超えると、耐熱Ti合金材全体の機械的特性が低下する虞がある。Al濃化層13の平均膜厚は、以下のようにして求められる。まず、耐熱Ti合金の断面をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)等により観察する。次に、観察した断面像から無作為に10箇所のAl濃化層13の位置を選び出し、それらの各位置においてAl濃化層13の膜厚を測定する。次に、これらの測定値を単純に平均(算術平均)してAl濃化層13の平均膜厚を求める。
(b)耐熱Ti合金がSnを含む、もしくはAlおよびSnの両方を含む場合
800℃を超える高温度域にて耐熱Ti合金を使用すると、図2に示すように、耐熱Ti合金からなる基材21の表面に、内側層(Inner層)22aと外側層(Outer層)22bとからなる酸化被膜22が形成される。この際、内側層22aと外側層22bとの界面にAl23リッチ層(酸化アルミニウム含有層)22cが形成されるが、上記含有量のSiを耐熱Ti合金が含んでいることで、Al23リッチ層22cが安定化する。また、基材21と内側層22aとの界面にTiN層23が形成されるが、上記含有量のSiを耐熱Ti合金が含んでいることで、このTiN層23の形成が抑制される。このようなAl23リッチ層22cの安定化とTiN層23の形成抑制とにより、基材21の耐酸化性が向上する。なお、基材21と酸化被膜22とにより耐熱Ti合金材が構成されるか、もしくは基材21と酸化被膜22とTiN層23とにより耐熱Ti合金材が構成される。
[耐熱Ti合金の製造方法]
まず、AlおよびSnの少なくとも1種を含む既存のTi合金を準備する。次に、準備したTi合金をSiと共に溶解し、Ti合金を作製する。この際、Siは、Ti合金中のSiの含有量が0.1質量%を超え10質量%未満となるように添加される。次に、Ti合金を熱間鍛造することにより、目的とする耐熱Ti合金が得られる。
なお、耐熱Ti合金の製造方法は上記の製造方法に限定されるものではなく、例えば、粉末冶金を用いて、以下のようにして耐熱Ti合金を製造してもよい。まず、原料となる粉末を準備する。粉末としては、目的の耐熱Ti合金と同様の組成を有するTi合金粉末であってもよいし、目的の耐熱Ti合金と同様の組成となるように複数の素粉末が混合されたものであってもよい。次に、粉末をプレス機等に入れて所定の形状に成形することにより、成形体を得る。最後に、成形体を焼結させることにより、目的とする耐熱Ti合金が得られる。
[効果]
本実施形態に係る耐熱Ti合金は、Tiと、AlおよびSnの少なくとも1種と、Siと、不可避的不純物とからなる。耐熱Ti合金中におけるSiの含有量は、0.1質量%を超え10質量%未満である。これにより、800℃を超える高温度域における耐酸化性を向上できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<Alを含むTi合金にSiを添加したサンプル>
[サンプル1〜4]
まず、原料としてTi−64ELIおよびSiフレーク(11N)を準備し、アーク溶製によりTi合金を作製した。この際、Siフレークの添加量は、Ti合金中におけるSiの含有量が0.01質量%(サンプル1)、0.1質量%(サンプル2)、1質量%(サンプル3)、10質量%(サンプル4)となるように調整した。次に、Ti合金を熱間鍛造(1173K)し、α+β型の耐熱Ti合金を得た。次に、この耐熱Ti合金の両面を鏡面研磨することにより、平板状(12mm×12mm×2mm)のサンプル1〜4を得た。
[サンプル5]
Siフレーク(11N)を添加しないこと以外はサンプル1と同様にしてサンプル5を得た。
[評価]
上述のようにして得られたサンプル1〜3、5について以下の評価を行った。なお、サンプル4では鍛造時に割れが発生したため、以下の評価を行わなかった。
(質量増加)
サンプルをアルミナボードに置き、マッフル炉にてサンプルを酸化させて、酸化による質量増加を評価した。以下に、酸化の条件を示す。
雰囲気:大気
温度:810K(536.85℃)、910K(636.85℃)、1010K(736.85℃)、1110K(836.85℃)、1210K(936.85℃)(室温から昇温[15K/min]、空冷)
時間:〜144h(810K:〜288h)
(断面分析)
サンプルをアルミナボードに置き、マッフル炉にてサンプルを酸化させた後、断面をEPMAにより観察した。以下に、酸化の条件を示す。
雰囲気:大気
温度:1210K(室温から昇温[15K/min]、空冷)
時間:48h
次に、断面像からTi合金基板と酸化被膜との界面(Ti合金基板側の界面)に、連続膜としてのAl濃化層が形成されているか否かを確認した。そして、連続膜としてのAl濃化層が形成されていた場合には、その平均膜厚を断面像から求めた。なお、平均膜厚の求め方は、上述した通りである。
(Al濃化層の組成)
上記断面分析により連続膜としてのAl濃化層が確認されたサンプルについて、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)によりAl濃化層の構成成分を同定した。その結果、Al濃化層はTi3Alにより構成されていることがわかった。
[結果]
図3A〜4Bは、質量増加と酸化時間(1/2乗)との関係を示す。図3A〜4Bにおいて、放物線則領域を実線にて示している。
表1は、図3A〜4Bに示した直線の傾き(放物線速度定数Kp)を示す。
なお、表1中に示した直線の傾き(放物線速度定数Kp)の単位は、“10-10kg2・m-4・s-1”である。
図3A〜4B、表1から以下のことがわかる。SiをTi−64に添加することにより、酸化時間の増加に対する質量増加が抑制されている。したがって、酸化被膜の厚さが低減され、酸化被膜の剥離が抑制されているので、耐酸化性が向上している。また、Si添加量が多いほど、直線の傾きが小さくなり、耐酸化性が向上する傾向がある。直線の傾きが小さくなるのは、Ti合金側の最表面(酸化被膜直下のTi合金基板)において、Ti−64から、より高い耐酸化性を有するTi3Alに変化するためと考えられる。直線の傾きが小さくなることは、酸化被膜の厚さが薄くなることを意味している。酸化被膜が薄くなると、酸化被膜の剥離が抑制される。また、直線の傾きが小さくなると、放物線則領域が拡大される傾向がある。
図5A〜6Bは、図3A〜4Bにて放物線則に従う酸化時間をx軸とし、温度をy軸としたグラフである。図7は、図5A〜6Bをまとめて表した3次元の棒グラフである。図5A〜6B、7から、SiをTi−64に添加することにより、放物線則領域が広がっていることがわかる。Siの含有量が1質量%である場合、放物線則領域が特に広がっていることがわかる。
図8は、1210K、48hの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)の断面EPMAマッピング結果を示す。図9は、1210K、48hの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)の断面EPMAマッピング結果を示す。
表2は、サンプル1〜3、5のAl濃化層の観察結果を示す。
表2中で“有り”は、連続膜としてのAl濃化層が観察されたことを意味し、“無し”は、連続膜としてのAl濃化層が観察されなかったことを意味する。なお、島状膜(不連続膜)としてのAl濃化層が観察された場合には、“無し"と記載している。
図8、9、表2から以下のことがわかる。Siの含有量が1質量%であるサンプル3では、1010K以上1210K以下の範囲の高温度域においてTi合金基板と酸化被膜との界面に連続膜としてのAl濃化層が形成されている。一方、Siの含有量が0、0.01、0.1質量%であるサンプル5、1、2では、1010K以上1210K以下の範囲の高温度域においてTi合金基板と酸化被膜との界面に連続膜としてのAl濃化層が形成されていない。但し、サンプル5、1、2では、1210Kの高温度域においてTi合金基板と酸化被膜との界面に非常に薄い島状膜(不連続膜)の形成が確認された(図8参照)。この島状膜もTi3Alにより構成されていると推測される。
1210Kの高温度域では、上述のように、Siの含有量が0、0.01、0.1質量%であるサンプル5、1、2でも島状膜が形成されているため、図7に示すように、1210Kの高温度域において、Siの含有量が1質量%であるサンプル3と同程度の放物線則領域の広さとなっていると考えられる。しかしながら、1210Kの高温度域において、サンプル3の直線の傾き(放物線速度定数Kp)は、図4Bに示すように、サンプル5、1、2に比べて著しく抑制されている。したがって、Siの含有量が1質量%であるサンプル3が、耐酸化性の観点で最も優れている。
<AlおよびSnを含むTi合金にSiを添加したサンプル>
[サンプル6〜9]
まず、原料としてTi−17およびSiフレーク(11N)を準備し、アーク溶製によりTi合金を作製した。この際、Siフレークの添加量は、Ti合金中におけるSiの含有量が0.01質量%(サンプル6)、0.1質量%(サンプル7)、1質量%(サンプル8)、10質量%(サンプル9)となるように調整した。次に、Ti合金を熱間鍛造(1373K)し、near−β型の耐熱Ti合金を得た。次に、この耐熱Ti合金の両面を鏡面研磨することにより、平板状(12mm×12mm×2mm)のサンプル1〜4を得た。
[サンプル10]
Siフレーク(11N)を添加しないこと以外はサンプル6と同様にしてサンプル10を得た。
[評価]
上述のようにして得られたサンプル6〜8、10について以下の評価を行った。なお、サンプル9では鍛造時に割れが発生したため、以下の評価を行わなかった。
(質量増加)
サンプルをアルミナボードに置き、マッフル炉にてサンプルを酸化させて、酸化による質量増加を評価した。以下に、酸化の条件を示す。
雰囲気:大気
温度:923K(649.85℃)、1023K(749.85℃)、1123K(849.85℃)、1223K(949.85℃)(室温から昇温[50K/min]、空冷)
時間:〜144h
(断面分析(1))
サンプルをアルミナボードに置き、マッフル炉にてサンプルを酸化させた後、断面をEPMAにより観察した。以下に、酸化の条件を示す。
雰囲気:大気
温度:1123K(室温から昇温[50K/min]、空冷)
時間:24h(86.4ks)、144h(518.4ks)
次に、断面像から内側層と外側層の厚さを測定した。また、断面像から酸化時間に対するAl23リッチ層の安定性を確認した。
(断面分析(2))
サンプルをアルミナボードに置き、マッフル炉にてサンプルを酸化させた後、断面をEPMAにより観察し、TiN層を観察した。以下に、酸化の条件を示す。
雰囲気:大気
温度:1223K(室温から昇温[50K/min]、空冷)
時間:144h
次に、断面像から内側層の厚さdin、外側層の厚さdoutおよびTiN層の厚さdTiNを測定した。
[結果]
図10A〜11Bは、酸化における質量増加と酸化時間(1/2乗)との関係を示す。図10A〜11Bにおいて、放物線則領域を実線にて示している。図10A〜11Bから、SiをTi−17に添加することにより、酸化時間の増加に対する質量増加が抑制されている。したがって、酸化被膜の厚さが低減され、酸化被膜の剥離が抑制されているので、耐酸化性が向上している。
図12は、図10A〜11Bにて放物線則に従う酸化時間をz軸とし、Si添加量、温度をそれぞれx軸、y軸とする3次元の棒グラフである。図12から、SiをTi−17に添加することにより、放物線則領域が広がっていることがわかる。Siの含有量が1質量%である場合、放物線則領域が特に広がっていることがわかる。
図13は、内側層および外側層の厚さと酸化時間との関係を示す。図13から、SiをTi−17に添加することにより、内側層および外側層の厚さが低減されていることがわかる。
図14Aは、1123K、86.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)断面のAl分布を示す。図14Bは、1123K、518.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)断面のAl分布を示す。図15Aは、1123K、86.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)断面のAl分布を示す。図15Bは、1123K、518.4ksの酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)断面のAl分布を示す。図14A〜15Bから、Ti合金がSiを1質量%含有することで、内側層と外側層との間に形成されるAl23リッチ層の安定性が向上していることがわかる。これは、内側層中に存在するSiがAl23リッチ層の安定性に寄与しているためと考えられる。
図16は、1223K、144時間の酸化試験後のTi合金(Si:0質量%)断面の元素分布を示す。図17は、1223K、144時間の酸化試験後のTi合金(Si:1質量%)断面の元素分布を示す。図18は、1223K、144時間の酸化試験後の内側層、外側層、TiN層の厚さ(din、dout、dTiN)の測定結果を示す。図16、17、18から、内側層とTi合金基板との界面にTiN層が形成されていることがわかる。また、Ti合金がSiを1質量%含有することで、TiN層の膜厚が低減されていることがわかる。
以上、本発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
また、上述の実施形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、耐熱Ti合金をユーザに提供する前に、予め800℃を超える高温度域にて耐熱Ti合金を熱処理し、耐酸化性を向上しておくようにしてもよい。
11、21 基材
12、22 酸化被膜(被膜)
13 Al濃化層
22a 内側層
22b 外側層
22c Al23リッチ層(酸化アルミニウム含有層)
23 TiN層

Claims (10)

  1. 800℃を超える高温度域にて使用される耐熱Ti合金であって、
    AlおよびSnの少なくとも1種と、
    Siと
    を含み、
    前記Siの含有量が、0.1質量%を超え10質量%未満である耐熱Ti合金。
  2. 前記Siの含有量が、0.2質量%以上2質量%以下である請求項1に記載の耐熱Ti合金。
  3. 前記Siの含有量が、0.5質量%以上1質量%以下である請求項1に記載の耐熱Ti合金。
  4. 前記高温度域が、800℃を超え1000℃以下である請求項1に記載の耐熱Ti合金。
  5. O、N、C、V、Nb、Ta、Mo、Zr、Cr、Fe、W、Hf、Ga、Cu、Mn、Pd、Y、LaおよびCeからなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含む請求項1に記載の耐熱Ti合金。
  6. 耐熱Ti合金からなる基材と、
    前記基材の表面に設けられた被膜と
    を備え、
    耐熱Ti合金は、
    AlおよびSnの少なくとも1種と、
    Siと
    を含み、
    前記Siの含有量が、0.1質量%を超え10質量%未満である耐熱Ti合金材。
  7. 前記耐熱Ti合金は、AlとSiとを含む耐熱Ti合金であり、
    前記耐熱Ti合金層と前記被膜との界面に設けられたAl濃化層をさらに備える請求項6に記載の耐熱Ti合金材。
  8. 前記Al濃化層は、Ti3Alを含んでいる請求項7に記載の耐熱Ti合金材。
  9. 前記Al濃化層の平均膜厚は、2μm以上である請求項7に記載の耐熱Ti合金材。
  10. 前記耐熱Ti合金は、SnとSiとを含む耐熱Ti合金、またはAlとSnとSiとを含む耐熱Ti合金であり、
    前記被膜は、
    内側層と、
    外側層と、
    前記内側層と前記外側層との間に設けられた安定な酸化アルミニウム含有層と
    を備える請求項6に記載の耐熱Ti合金材。
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