JP2017207162A - 軸受密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定側外輪と回転側内輪との間に装着され泥水の浸入を効果的に阻止し、外輪の腐食を抑えて耐久性の高いシール機能を維持し得る軸受密封装置を提供。【解決手段】外輪2に内嵌されて第1円筒部111を構成する第1嵌合円筒部121を有する第1芯金120と、第1芯金120に固着されて第2シール部材150又は内輪5に摺接可能に弾接乃至は近接する弾性体製の第1シールリップ131とを備え、第2シール部材150は、内輪5に外嵌される第2嵌合円筒部161及び第2嵌合円筒部161の一端部161aより外径方向に延びる鍔状部162を有する第2芯金160と、鍔状部162の外径側部分162aに固着されて外輪2の内周面20aに摺接可能に弾接乃至は近接する弾性体製の第2シールリップ171とを備える。第2シールリップ172の軸受空間BS側部の近傍にグリース保持構造部180が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車等の車輪支持部の軸受装置に用いられる軸受密封装置に関し、さらに詳しくは、外輪と外輪に対して同軸回転可能な内輪との間に装着される軸受密封装置に関する。
前記のような軸受密封装置としては、外輪の内周面に嵌合される芯金と、内輪の外周面に嵌合されるスリンガ(これと同等の部材も含む)と、前記芯金に固着されて前記スリンガに弾接するシールリップとからなる密封装置が多く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような軸受密封装置の場合、外輪と芯金とは金属同士の嵌合関係であるため、この嵌合部に泥水が浸入して発錆し易くなる。そのため、特許文献1に示すように、芯金の外輪に対する嵌合円筒部の一部に、ゴム弾性を有する環状突部を固着させ、この環状突部を外輪の内周面と芯金との間に圧縮状態で介在させるようにして嵌合部への泥水の浸入を阻止するようにした例も多々見られる。また、特許文献2の図5及びその関連記載には、内輪用芯金(スリンガと同等)に弾性シールを取付け、この弾性シール(リップ)の先端を、外輪を支持するハウジングにおける肩の内周面に圧接(弾接)して、シールすることが示されている。さらに、特許文献3の図4c及びその関連記載には、内輪に嵌合される保護円板(スリンガと同等)の外周部に密封リップを設け、この密封リップを外側部分(外輪)の内周面に当接させる例が示されている。また、特許文献4の図5(b)及びその関連記載には、内輪に嵌合された芯金(スリンガと同等)の外周部に導電性ゴムからなる通電体を取付け、その先端リップ部を外輪のアウタ側端面に当接させた例が示されている。
特開2012−61875号公報 実公平1−21212号公報 特表2008−537066号公報 特許第5515246号公報
ところで、特許文献1に示された例の場合、外輪が非回転であるため、外輪自体が泥水を振り払う作用がなく、被水環境が厳しい場合には、外輪及び芯金の金属嵌合部の入口部に泥水が溜まり易く、前記のような環状突部だけでは、金属嵌合部への泥水の浸入阻止が充分になされない。そのため、特に外輪の内周面が著しく発錆し、この発錆した嵌合部から軸受空間へ泥水が浸入して、密封装置としての密封機能が低下する。本特許文献1の図8及び図9には、スリンガにおける立板部(鍔状部)の外縁部から外輪の端部内周面に近接又は摺接するラジアルリップを有した例が記載されている。しかし、これらの例のラジアルリップは、その先端部が軸受空間側に向いているため、外部からの泥水の浸入を阻止するには充分ではない。したがって、被水環境が厳しい場合には、泥水がこのラジアルリップの外輪に対する近接或いは摺接部を通過することもあり、一旦、通過した泥水は、前記と同様に金属嵌合部に浸入することになるため、この部分の発錆の懸念がなお払しょくされないと考えられる。また、特許文献2に示された例の場合、内輪用芯金に取り付けられた弾性シールの先端が外輪を支持するハウジングに当接するため、外輪と外輪用芯金との金属嵌合部に対する泥水の浸入が阻止される。しかし、弾性リップがハウジングに擦れて経時的に摩耗することが懸念され、このような摩耗が生じると、泥水が浸入して金属嵌合部が泥水にアタックされる。そのため、金属嵌合部への泥水の浸入阻止が充分になされなくなることが予想される。さらに、特許文献3に示された例の場合、外輪が回転側であるため、泥水を振り払う作用が働くので、外輪及び芯金の金属嵌合部の入口部に泥水が溜まり難く、しかも、内輪に嵌合される保護円板の外周部に設けられた密封リップが外輪の内周面に当接するので、外輪と保持円板との嵌合部に泥水が浸入する懸念は少なくなると考えられる。しかし、内輪が非回転であるため、泥水を振り払う機能が働かず、内輪と保護円板との嵌合部の入口部に泥水が溜まり易くなり、しかも、この嵌合部へのリップのような泥水の浸入を阻止する部材が設けられていないから、固定側である内輪と保護円板との金属嵌合部の発錆防止は期待できない。また、特許文献4に示された例では、回転側である内輪に嵌合された芯金に取り付けられた導電性ゴムからなる通電体の先端リップ部が外輪のアウタ側端面に当接する。しかし、この導電体は、芯金と外輪とを通電させるためのものであり、当該特許文献の段落「0025」及び図3にも記載のとおり、櫛歯状に形成して断続的に当接させても良く、したがって、外輪と芯金との嵌合部への泥水の浸入を阻止するようなリップ機能を有することを意図したものではない。
本発明は、前記実情に鑑みなされたもので、軸受装置における固定側の外輪と回転側の内輪との間に装着され、外輪と芯金との嵌合部への泥水の浸入を効果的に阻止し、外輪の腐食を抑えて、より耐久性の高いシール機能を維持し得る軸受密封装置を提供することを目的としている。
本発明に係る軸受密封装置は、軸受装置における、外輪と、該外輪に対して同軸回転する内輪との間に形成される環状の軸受空間を密封する軸受密封装置であって、前記外輪に内嵌される第1円筒部を有する第1シール部材と、該第1シール部材より前記軸受空間の外方側に位置するように前記内輪に外嵌される第2シール部材とからなり、前記第1シール部材は、前記外輪に内嵌されて前記第1円筒部を構成する第1嵌合円筒部を有する第1芯金と、該第1芯金に固着されて前記第2シール部材又は前記内輪に摺接可能に弾接乃至は近接する弾性体製の第1シールリップとを備え、前記第2シール部材は、前記内輪に外嵌される第2嵌合円筒部及び該第2嵌合円筒部の一端部より外径方向に延びる鍔状部を有する第2芯金と、前記鍔状部の外径側部分に固着されて前記外輪の内周面に摺接可能に弾接乃至は近接する弾性体製の第2シールリップとを備え、前記第2シールリップの前記軸受空間側部の近傍にグリース保持構造部が形成されていることを特徴とする。
本発明の軸受密封装置は、第1シール部材を外輪に内嵌し、第2シール部材を第1シール部材より軸受空間の外方側に位置するように内輪に外嵌することにより構成される。この状態では、第1シール部材を構成する第1芯金に固着された第1シールリップが第2シール部材又は内輪に摺接可能に弾接乃至は近接するから、環状の軸受空間の一方の端部が密封される。そして、第2シール部材を構成する第2芯金に固着された第2シールリップが、外輪の内周面に摺接可能に弾接乃至は近接するから、外部からの当該密封装置内への泥水等の浸入が阻止される。また、外輪と第1芯金との嵌合部への泥水等の浸入が阻止され、外輪の内周面の発錆による腐食が抑制される。さらに、第2シールリップの軸受空間側部の近傍にグリース保持構造部が形成されているから、このグリース保持構造部にグリースを充填保持させておけば、内輪の回転に伴う遠心力により、グリースが外輪の内周面に付着する。これによって、外輪と第1芯金との嵌合部への泥水等の浸入がより確実に阻止され、外輪の内周面の発錆による腐食が防止される。さらに、腐食が抑えられることから、外輪と第1芯金との嵌合部から軸受空間への泥水等の浸入が阻止され、当該密封装置のより耐久性の高いシール機能が維持される。
本発明の軸受密封装置において、前記グリース保持構造部が、前記外輪の内周面と、前記第2シールリップと、前記第1シール部材の第1円筒部とにより囲まれた空間部からなるものとしても良い。
これによれば、グリース保持構造部が、外輪の内周面と、第2シールリップと、第1シール部材の第1円筒部とにより囲まれた空間部からなるから、グリースが、外輪の内周面と第1シール部材の第1円筒部との嵌合部の端部付近に保持された状態とされ、前記グリースによる作用が長く持続される。
本発明の軸受密封装置おいて、前記第2シールリップと、前記第1シール部材の第1円筒部との間に、ラビリンスが形成されるものとしても良い。
これによれば、第2シールリップと第1シール部材の第1円筒部との間に形成されるラビリンスによって、グリース保持構造部に充填保持されたグリースが、当該グリース保持構造部から当該軸受密封装置内に流出することが抑制され、前記グリースによる作用がより的確に持続される。
このラビリンスの形成態様として、前記第2シールリップの前記軸受空間側面と、前記第1円筒部の前記軸受空間とは反対側の端部との間にラビリンスが形成される第1態様、前記第2シールリップの基部の外周面と、前記第1円筒部の内周面との間にラビリンスが形成される第2態様、前記第1円筒部の前記軸受空間とは反対側の端部に軸方向に向く突起部が設けられ、前記第2シールリップの前記軸受空間側面と、前記突起部の先端部との間にラビリンスが形成される第3態様、さらには、前記第2シールリップの基部に前記第1円筒部の内周面に向く突部が設けられ、前記第1円筒部の内周面と当該突部の先端部との間にラビリンスが形成される第4態様、を採用するようにしても良い。
これらのラビリンスの形成態様は、要求される仕様、使用されるグリースの性状、スペース的な制約等を勘案して適宜選択採用される。
本発明の軸受密封装置において、前記第2シールリップの近傍に補助シールリップが設けられ、前記グリース保持構造部は、前記外輪の内周面と、前記第2シールリップと、前記補助シールリップとにより囲まれた空間部からなるものとしても良い。
これによれば、補助シールリップの存在により、グリース保持構造部によるグリースの充填保持がより的確になされる。
この場合、前記補助シールリップは、前記第2シールリップの前記軸受空間側部分の近傍に位置するように設けられているものとしても良い。
これによれば、グリース保持構造部に保持されるグリースの遠心力による外輪の内周面に対する付着が、外輪の内周面と第1シール部材の第1円筒部との嵌合部の端部付近でなされ、当該嵌合部への泥水等の浸入の防止がより確実になされる。
本発明の軸受密封装置によれば、軸受装置における固定側の外輪と回転側の内輪との間に装着され、外輪と芯金との嵌合部への泥水の浸入を効果的に阻止し、外輪の腐食を抑えて、より耐久性の高いシール機能を持続的に発揮することができる。
本発明に係る軸受密封装置が適用される軸受装置の一例を示す概略的縦断面図である。 図1のX部の拡大図であって、本発明に係る軸受密封装置の第一の実施形態を示す図である。 同実施形態の第1の変形例を示す図2と同様図である。 同実施形態の第2の変形例を示す図2と同様図である。 同実施形態の第3の変形例を示す図2と同様図である。 本発明に係る軸受密封装置の第二の実施形態を示す図2と同様図である。 同実施形態の第1の変形例を示す図2と同様図である。 同実施形態の第2の変形例を示す図2と同様図である。 図1のY部の拡大図であって、本発明に係る軸受密封装置の第三の実施形態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、ハブベアリングであって、大略的に、外輪2と、ハブ輪3と、ハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる内輪部材4と、外輪2とハブ輪3及び内輪部材4との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。この例では、ハブ輪3及び内輪部材4が内輪5を構成する。外輪2は、自動車の車体(不図示)に固定される。また、ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転(同軸回転)可能とされ、外輪2と、内輪5との間に環状の軸受空間BSが形成される。軸受空間BS内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジ32を有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側を向く側)を車輪側、車体に向く側(同右側を向く側)を車体側と言う。
軸受空間BSの軸L方向に沿った両端部であって、外輪2と内輪部材4との間、及び、外輪2とハブ輪3との間には、ベアリングシール100,200が装着され、軸受空間BSの軸L方向に沿った両端部が密封される。これによって、軸受空間BS内への泥水等の浸入や軸受空間BS内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が防止される。
ベアリングシール100,200に本発明に係る軸受密封装置が適用される。両ベアリングシール100,200のうち、本発明の第一及び第二の実施形態が適用されるベアリングシール(軸受密封装置)100について、図2〜図8をも参照して説明する。図2は本発明に係るベアリングシール(軸受密封装置)100の第一の実施形態を示す。本実施形態のベアリングシール100は、外輪2に内嵌される第1円筒部111を有する第1シール部材110と、第1シール部材110より軸受空間BSの外方側(車体側)に位置するように内輪5に外嵌される第2シール部材150とからなる。第1シール部材110は、外輪2に内嵌されて前記第1円筒部111を構成する第1嵌合円筒部121を有する第1芯金120と、第1芯金120に固着されて第2シール部材150又は内輪5に摺接可能に弾接乃至は近接(図例では、第2シール部材150に摺接可能に弾接)する弾性体製の第1シールリップ131とを備える。第2シール部材150は、内輪5に外嵌される第2嵌合円筒部161及び第2嵌合円筒部161の一端部161aより外径方向に延びる外向鍔状部162を有する第2芯金160と、外向鍔状部162の外径側部分162aに固着されて外輪2の車体側内周面20aに摺接可能に弾接乃至は近接(図例では、摺接可能に弾接)する弾性体製の第2シールリップ171とを備える。第2シールリップ171の軸受空間BS側部の近傍にグリース保持構造部180が形成されている。
以下、さらに具体的に述べる。第1芯金120は、SPCC等の鋼板からなり、外輪2における車体側端部20の内周面(以下、車体側内周面と言う)20aに嵌合(内嵌)される前記第1嵌合円筒部121と、第1嵌合円筒部121の軸受空間BS側の端部121aより内径方向に延びる内向鍔状部122とからなる。前記第1シールリップ131は、第2芯金160における鍔状部162の軸受空間BS側(車輪側)面162bに弾接するアキシャルリップであり、その先側部が車輪側に向け径大化するように形成されている。本実施形態の第1シール部材110は、第2芯金160における第2嵌合円筒部161の外周面161bに弾接する2個のラジアルリップ132,133をさらに備えている。この2個のラジアルリップ132,133は、その先側部が軸L方向に径小化し且つ互いに離反するように形成されている。これらアキシャルリップ(第1シールリップ)131、ラジアルリップ132,133は、第1芯金120に固着されるシールリップ基部130よりそれぞれの所定の方向に向くように延出されている。シールリップ基部130、アキシャルリップ131、ラジアルリップ132,133はゴム材等の弾性体からなり、第1芯金120に対してインサート成型により加硫一体に固着されている。図におけるアキシャルリップ131、ラジアルリップ132,133の2点鎖線部は、弾性変形前の原形状を示している。
シールリップ基部130は、第1芯金120における内向鍔状部122の軸受空間BS側(車輪側)面122aの一部から内周縁部122bを回り込み、内向鍔状部122の軸受空間BSとは反対側(車体側)の面122cの全面を覆うように第1芯金120に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部130は、第1嵌合円筒部121の内周面121bの全面を覆い、軸受空間BSとは反対側の車体側端部121cを回り込んで第1嵌合円筒部121の外周面121dに至るように第1芯金120に固着一体とされている。シールリップ基部130の第1嵌合円筒部121の外周面121dに至る部分は、外径側に***する環状突部134とされ、この環状突部134は、第1芯金120の第1嵌合円筒部121が外輪2の車体側内周面20aに嵌合された際、外輪2の車体側内周面20aと第1嵌合円筒部121の外周面121dとの間に圧縮状態で介在するように形成されている。環状突部134の、外輪2と第1芯金120との間での圧縮状態の介在によって、外輪2及び第1嵌合円筒部121の嵌合部への泥水等の浸入が防止される。これによって、外輪2及び第1嵌合円筒部121の嵌合部の発錆を防止すると共に、この嵌合部からの軸受空間BS内への泥水等の浸入が防止される。図における環状突部134の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。第1芯金120の第1嵌合円筒部121と、シールリップ基部130における第1嵌合円筒部121を覆う部分130aとにより第1シール部材110の第1円筒部111が構成される。
第2シール部材150は、前記の通り、第2芯金160と、第2芯金160の外向鍔状部162の外径側部分162aに固着された第2シールリップ171とを備える。第2芯金160は、SPCC等の鋼板からなり、本実施形態では、第2芯金160を構成する第2嵌合円筒部161は、内輪5を構成する内輪部材4の外周面4bに外嵌され、外向鍔状部162は、第2嵌合円筒部161の車体側端部(一端部)161aから外径方向に延びるように形成されている。外向鍔状部162の車体側面162cには、周方向に多数のN極及びS極が着磁された磁気エンコーダ11が固着されている。車体(不図示)には、この磁気エンコーダ11の着磁面に対峙するように磁気センサ10が設置されている。磁気エンコーダ11と磁気センサ10とにより、自動車の車輪の回転検出機構が構成される。磁気エンコーダ11は、磁性粉を含有するゴム材を、第2芯金160の所定部位にインサート成型により加硫一体とされ、その表面(磁気センサ10に対峙する側の面)に、周方向に沿って多数のN極及びS極が着磁されて構成される。第2シールリップ171は、磁性粉を含有する磁気エンコーダ11と同じゴム材によるインサート成型によって、磁気エンコーダ11とともに外向鍔状部162に一体に固着されている。
第2シールリップ171は、外向鍔状部162の外径側部分162aに対する固着基部(基部)170より、外径側且つ車体側に向け径大化するように形成され、その先端部は外輪2の車体側内周面20aに摺接可能に弾接する。外輪2の車体側内周面20aと、第2シールリップ171と、第1シール部材110における第1円筒部111(図例では、第1円筒部111の軸受空間BSとは反対側の端部111a)とにより囲まれた空間部S1がグリース保持構造部180とされる。このグリース保持構造部180には、グリースgが充填される。そして、本実施形態では、円筒形に形成された固着基部170の外周面170aと、第1円筒部111の内周面111bとの間にラビリンスr1が形成されている。エンコーダ11の内径部11aは、第2芯金15の内輪部材4に対する嵌合状態で、内輪部材4の外周面4bに弾性的に圧接された状態とされる。これにより、第2芯金15と内輪部材4との金属嵌合部への泥水等の浸入が阻止され、この嵌合部の発錆が防止される。
前記のように構成されるベアリングシール100が装着された軸受装置(ハブベアリング)1において、ドライブシャフト7が軸Lの回りに回転すると、内輪部材4(内輪5)が外輪2に対して同軸回転する。この内輪5の軸回転に伴い、第2シール部材150も軸L回りに回転する。そして、第2シール部材150の軸回転に伴い、アキシャルリップ131の先端部が第2芯金160における外向鍔状部162の車輪側面162bに、ラジアルリップ132,133の先端部が第2芯金160における第2嵌合円筒部161の外周面161bに、それぞれ弾性的に相対摺接する。また、第2シールリップ171の先端部は、外輪2の車体側内周面20aに弾性的に摺接する。これらにより、車体側からの、第1シール部材110及び第2シール部材150により囲まれた空間S及び軸受空間BS内への泥水等の浸入が阻止され、また、軸受空間BS内に充填された潤滑剤の外部漏出が阻止される。
また、第2シールリップ171の先端部の外輪2の車体側内周面20aに対する弾性的摺接と、環状突部134の第1芯金120における第1嵌合円筒部121及び外輪2における車体側端部20間での圧縮状態の介在とによって、外輪2の車体側端部20と第1芯金120の第1嵌合円筒部121との金属嵌合部への泥水等の浸入が阻止される。加えて、第2シール部材150の軸回転に伴う回転遠心力により、グリース保持構造部180に充填されているグリースgが、当該グリース保持構造部180を構成する外輪2の車体側内周面20aに付着するから、当該車体側内周面20aの発錆が防止されて、外輪2の車体側端部20と第1芯金120の第1嵌合円筒部121との金属嵌合部への発錆の進行が抑えられると共に、当該金属嵌合部への泥水等の浸入がより確実に阻止される。これによって、外輪2と第1芯金120との金属嵌合部の発錆による腐食が防止される。また、前記遠心力とラビリンスr1の存在とにより、グリース保持構造部180に充填されたグリースgがベアリングシール100内に流出することが抑制され、グリース保持構造部180におけるグリースgの保持状態が長く維持される。以上を総合した作用によって、当該ベアリングシール100のより耐久性の高いシール機能が維持される。
図3は、第一の実施形態の第1の変形例を示す。この例のベアリングシール100においても、図2に示す例と同様に、外輪2の車体側内周面20aと、第2シールリップ171と、第1シール部材110の第1円筒部111(端部111a)とにより囲まれた空間部S1がグリース保持構造部180とされる。そして、本例では、第2シーリルリップ171の軸受空間BS側面171aと、第1円筒部111の端部111aとの間に、ラビリンスr2が形成されている。即ち、第2シーリルリップ171の軸受空間BS側面171aは、第1円筒部111の端部111aと小間隙をなす略平行な部分を有し、この部分によってラビリンスr2が形成されている。このラビリンスr2によって、図2に示す例と同様に、グリース保持構造部180に充填されたグリースgがベアリングシール100内に流出することが抑制され、グリース保持構造部180におけるグリースgの保持状態が長く維持される。この例において、第2シーリルリップ171の円筒形に形成された固着基部170の外周面170aと、第1円筒部111の内周面111bとの間を小間隙として、この部分をラビリンスr2に連続する図2の例と同様のラビリンスr1としても良い。
その他の構成は、図2に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付して、その説明を割愛する。
図4は、第一の実施形態の第2の変形例を示す。この例のベアリングシール100においても、図2に示す例と同様に、外輪2の車体側内周面20aと、第2シールリップ171と、第1シール部材110の第1円筒部111(端部111a)とにより囲まれた空間部S1がグリース保持構造部180とされる。そして、本例では、第1円筒部111の前記端部111aに軸L方向に向く突起部111cが設けられ、この突起部111cの先端部と第2シールリップ171の軸受空間BS側面171aとの間にラビリンスr3が形成されている。このラビリンスr3によって、図2に示す例と同様に、グリース保持構造部180に充填されたグリースgがベアリングシール100内に流出することが抑制され、グリース保持構造部180におけるグリースgの保持状態が長く維持される。この例においても、第2シーリルリップ171の円筒形に形成された固着基部170の外周面170aと、第1円筒部111の内周面111aとの間を小間隙として、この部分をラビリンスr3に連続する図2の例と同様のラビリンスr1としても良い。
その他の構成は、図2に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付して、その説明を割愛する。
図5は、第一の実施形態の第3の変形例を示す。この例のベアリングシール100においても、図2に示す例と同様に、外輪2の車体側内周面20aと、第2シールリップ171と、第1シール部材110における第1円筒部111とにより囲まれた空間部S1がグリース保持構造部180とされる。そして、本例では、第2シールリップ171における固着基部170の軸受空間BS側部に第1円筒部111の内周面111bに向く突部170bが設けられ、この突部170bと第1円筒部111の内周面111aとの間にラビリンスr4が形成されている。このラビリンスr4によって、図2に示す例と同様に、グリース保持構造部180に充填されたグリースgがベアリングシール100内に流出することが抑制され、グリース保持構造部180におけるグリースgの保持状態が長く維持される。
その他の構成は、図2に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付して、その説明を割愛する。
なお、これら第一の実施形態におけるラビリンスr1〜r4の形成態様は、ベアリングシール100として要求される仕様、使用されるグリースgの性状、第1シール部材110及び第2シール部材150により囲まれた空間Sのスペース的な制約等を勘案して適宜選択採用される。
図6は本発明に係る軸受密封装置の第二の実施形態を示す。本実施形態のベアリングシール(軸受密封装置)100においては、第一の実施形態と同様の第2シールリップ171の近傍(図例では軸受空間BS側の近傍)に補助シールリップ172が設けられている。そして、グリース保持構造部180は、外輪2の車体側内周面20aと、第2シールリップ171と、補助シールリップ172とにより囲まれた空間部S2からなる。即ち、この例では、第1円筒部111がグリース保持構造部180の構成に直接関与していない点で、第一の実施形態と異なる。この例の補助シールリップ172は、前記固着基部170より車体側に向くよう延び、その先端部が外輪2の車体側内周面20aに摺接可能に弾接するよう形成されている。その他の構成は、第一の実施形態と同様である。
前記のように構成される本実施形態のベアリングシール100も図1に示す軸受装置(ハブベアリング)1に装着される。そして、このハブベアリング1において、ドライブシャフト7が軸Lの回りに回転すると、内輪部材4(内輪5)が外輪2に対して同軸回転する。この内輪5の軸回転に伴い、第2シール部材150も軸L回りに回転する。この第2シール部材150の軸回転に伴い、第一の実施形態と同様に、アキシャルリップ131、ラジアルリップ132,133の各先端部が、第2芯金160の所定部位にそれぞれ弾性的に相対摺接する。また、第2シールリップ171及び補助シールリップ172の先端部は、外輪2の車体側内周面20aに弾性的に摺接する。これらにより、第1シール部材110及び第2シール部材150により囲まれた空間S、及び軸受空間BS内への泥水等の浸入が阻止され、また、軸受空間BS内に充填された潤滑剤の外部漏出が阻止される。このような、補助シールリップ172の存在により、グリース保持構造部180によるグリースgの充填保持がより的確になされる。特に、補助シールリップ172は、第2シールリップ171の軸受空間BS側部分の近傍に位置するように設けられているので、グリース保持構造部180に保持されるグリースgの遠心力による外輪2の車体側内周面20aに対する付着が、外輪2の車体側内周面20aと第1円筒部111との嵌合部の端部111a付近でなされ、当該嵌合部への泥水等の浸入の防止がより確実になされる。
また、第2シールリップ171及び補助シールリップ172の先端部の外輪2の車体側内周面20aに対する弾性的摺接と、環状突部134の第1芯金120における嵌合円筒部121及び外輪2における車体側端部20間での圧縮状態の介在とによって、外輪2の車体側端部20と第1芯金120の嵌合円筒部121との金属嵌合部への泥水等の浸入がより的確に阻止される。これによって、外輪2と第1芯金120との金属嵌合部の発錆による腐食がより確実に防止される。
その他の構成は、第一の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、ここでもその説明を割愛する。
図7は、第二の実施形態の第1の変形例を示す。この例のベアリングシール100においては、シールリップ基部130が、第1芯金120における内向鍔状部122の軸受空間BS側面122aの全面から、内周縁部122bを回り込み、内向鍔状部122の軸受空間BSとは反対側の面122cの一部を覆うように第1芯金120に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部130における、内向鍔状部122の軸受空間BS側面122aを覆う部分の外径部135は、2点鎖線で示すように、第1嵌合円筒部121の外周面121dより径大に形成されている。したがって、第1シール部材110の外輪2に対する嵌合状態では、この外径部135は2点鎖線で示す原形状態から外輪2の車体側内周面20aに圧接された状態とされる。シールリップ基部130には、前記各例と同様に、1個のアキシャルリップ131と、2個のラジアルリップ132,133とが、同様の態様で形成されている。そして、この例では、シールリップ基部130が第1芯金100の第1嵌合円筒部121に及ばないことから、第1円筒部111は、第1芯金120の第1嵌合円筒部121のみによって構成される。
また、この例においても、第2シールリップ171の近傍に補助シールリップ172が設けられている。補助シールリップ172は、固着基部170より延び、その先端部が第1芯金120における第1嵌合円筒部121の先端側内周面121bに近接するように形成されている。そして、グリース保持構造部180は、外輪2の車体側内周面20aと、第2シールリップ171と、補助シールリップ172と、第1嵌合円筒部121の車体側端部121cとにより囲まれた空間部S2からなる。グリース保持構造部180には前記と同様にグリースgが充填保持される。この例においても、第2シール部材150の回転遠心力により、グリースgが、空間部S2内の外輪2における車体側内周面20aに付着する。これによって、外輪2の車体側端部20と第1芯金110の第1嵌合円筒部121との金属嵌合部への泥水等の浸入が阻止され、この金属嵌合部の発錆による腐食が防止される。
その他の構成は、図6に示すと同様であるから共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
図8は、第二の実施形態の第2の変形例を示す。この例のベアリングシール100においては、第1シール部材110を構成する第1芯金120が、外輪2に内嵌される第1嵌合円筒部121と、軸受空間BSとは反対側(車体側)の端部(一端部)121cより内径方向に延びる内向鍔状部122とから構成されている。また、第1シール部材110は、前記例のような車体側に向くラジアルリップを有さず、前記と同様のアキシャルリップ(第1シールリップ)131及びラジアルリップ133を備えている。シールリップ基部130は、第1芯金120における内向鍔状部122の軸受空間BS側(車輪側)面122aの一部から内周縁部122bを回り込み、内向鍔状部122の軸受空間BSとは反対側(車輪側)の面122cの一部を覆うように第1芯金120に固着一体とされている。シールリップ基部130は、第1嵌合円筒部121の被覆には関与せず、したがって、第1シール部材110の第1円筒部111は第1芯金120の第1嵌合円筒部121のみによって構成される。また、前記例のような環状突部134,135は存在しない。第2のシール部材150は、図6に示す例と同様に構成される。
この例においても、第2シール部材150の軸回転に伴う遠心力により、グリースgが、空間部S2内の外輪2における車体側内周面20aに付着する。これによって、外輪2の車体側端部20と第1芯金110の第1嵌合円筒部121との金属嵌合部への泥水等の浸入が阻止され、この金属嵌合部の発錆による腐食が防止される。
その他の構成は、図6に示すと同様であるから共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
図9は本発明に係る軸受密封装置の第三の実施形態を示す。本実施形態の軸受密封装置は図1に示す車輪側のベアリングシール200に適用される。本実施形態のベアリングシール200は、外輪2に内嵌される第1円筒部211を有する第1シール部材210と、第1シール部材210より軸受空間BSの外方側(車輪側)に位置するように内輪5に外嵌される第2シール部材250とからなる。第1シール部材210は、外輪2に内嵌されて前記第1円筒部211を構成する第1嵌合円筒部221を有する第1芯金220と、第1芯金220に固着されて第2シール部材250又は内輪5に摺接可能に弾接乃至は近接(図例では、第2シール部材250に摺接可能に弾接)する弾性体製の第1シールリップ231とを備える。第2シール部材250は、内輪5に外嵌される第2嵌合円筒部261及び第2嵌合円筒部261の一端部261aより外径方向に延びる外向鍔状部263を有する第2芯金260と、外向鍔状部263の外径側部分264aに固着されて外輪2の車輪側内周面21aに摺接可能に弾接乃至は近接(図例では、摺接可能に弾接)する弾性体製の第2シールリップ271とを備える。第2シールリップ271の軸受空間BS側部の近傍にグリース保持構造部280が形成されている。
より具体的には、第1芯金220は、外輪2における車輪側端部21の内周面(以下、車輪側内周面と言う)21aに嵌合(内嵌)される前記第1嵌合円筒部221と、第1嵌合円筒部221の軸受空間BSとは反対側(車輪側)の端部221aより内径方向に延びる内向鍔状部222とからなる。また、第2芯金260は、内輪5を構成部するハブ輪3におけるハブ輪本体30の外周面30aに外嵌される第2嵌合円筒部261と、第2嵌合円筒部261から車輪側一端部261aから径大化するテーパ形状部262を介して外径方向に延びる外向鍔状部263とを有している。外向鍔状部263は、ハブ輪3におけるハブフランジ32の軸受空間BS側のフランジ面32aに密着するように設けられ、外向鍔状部263の外径部は、軸受空間BS側且つ外径側にL字形に屈曲する屈曲形状部264とされている。第1芯金220及び第2芯金260は、ともにSPCC等の鋼板からなる。
前記第1シールリップ231は、第2芯金260における鍔状部263の軸受空間BS側(車体側)面263bに弾接するアキシャルリップであり、その先側部が車輪側に向け径大化するように形成されている。本実施形態の第1シール部材210は、第2芯金260におけるテーパ形状部262の外径面262aに弾接するアキシャルリップ232と、第2嵌合円筒部261の外周面261bに弾接するラジアルリップ233をさらに備えている。アキシャルリップ232の先側部は車輪側に向け径大化するように形成され、ラジアルリップ233の先側部は軸受空間BS側に向け径小化するように形成されている。これらアキシャルリップ(第1シールリップ)231、アキシャルリップ232,ラジアルリップ233は、第1芯金220に固着されるシールリップ基部230よりそれぞれの所定の方向に向くように延出されている。シールリップ基部230、アキシャルリップ231,232、ラジアルリップ233はゴム材等の弾性体からなり、第1芯金220に対してインサート成型により加硫一体に固着されている。アキシャルリップ231,232、ラジアルリップ233の2点鎖線部は、弾性変形前の原形状を示している。
シールリップ基部230は、第2芯金220における内向鍔状部222の軸受空間BS側(車輪側)面222aの一部から内周縁部222bを回り込み、内向鍔状部222の軸受空間BSとは反対側の(車輪側)面222cの全面を覆うように第1芯金220に固着一体とされている。シールリップ基部230は、第1嵌合円筒部221の被覆には関与せず、したがって、第1シール部材210の第1円筒部211は、第1芯金220の第1嵌合円筒部221のみによって構成される。シールリップ基部230における内向鍔状部222の車輪側面222cを覆う部分の外径部235は、2点鎖線で示すように、第1嵌合円筒部221の外周面221bより径大に形成されている。第1シール部材210の外輪2に対する嵌合状態では、この外径部235は2点鎖線で示す原形状態から外輪2の車輪側内周面21aに圧接された状態とされる。
第2芯金260における外向鍔状部263を構成する屈曲形状部264の外径側部分264aには、磁性粉を含有しないゴム材からなる第2シールリップ271及び補助シールリップ272が固着基部270を介して固着一体とされている。補助シールリップ272は、第2シールリップ271の軸受空間BS側の近傍に位置し、図例では、その先端部が外輪2の車輪側内周面21aに近接するように形成されているが、車輪側内周面21aに摺接可能に弾接されていても良い。外輪2の車体側内周面21aと、第2シールリップ271と、補助シールリップ272とにより囲まれた空間部S3が、グリース保持構造部280とされ、このグリース保持構造部280にグリースgが充填保持される。
前記のように構成されるベアリングシール200が装着された軸受装置(ハブベアリング)1において、ドライブシャフト7が軸Lの回りに回転すると、ハブ輪3(内輪5)が外輪2に対して同軸回転する。この内輪5の軸回転に伴い、第2シール部材250も軸L回りに回転する。そして、第2シール部材250の軸回転に伴い、アキシャルリップ231,232の各先端部が第2芯金260における外向鍔状部263の車体側面263b及びテーパ形状部262の外径面262aに、ラジアルリップ233の先端部が第2芯金260における第2嵌合円筒部261の外周面261bに、それぞれ弾性的に相対摺接する。また、第2シールリップ271の先端部は、外輪2の車輪側内周面21aに弾性的に摺接する。これらにより、車輪側からの、特にフランジ面32aを伝った泥水等の、第1シール部材210及び第2シール部材250により囲まれた空間S及び軸受空間BS内への浸入が阻止され、また、軸受空間BS内に充填された潤滑剤の外部漏出が阻止される。
また、第2シールリップ271の先端部の外輪2の車輪側内周面21aに対する弾性的摺接と、環状突部235の第1芯金220における第1嵌合円筒部221及び外輪2における車輪側端部21間での圧縮状態の介在とによって、外輪2の車輪側端部21と第1芯金220の第1嵌合円筒部221との金属嵌合部への泥水等の浸入が阻止される。加えて、第2シール部材250の軸回転に伴う回転遠心力により、グリース保持構造部280に充填されているグリースgが、当該グリース保持構造部280を構成する外輪2の車輪側内周面21aに付着するから、当該車輪側内周面21aの発錆が防止されると共に外輪2の車輪側端部21と第1芯金220の第1嵌合円筒部221との金属嵌合部への発錆の進行が抑えられ、当該金属嵌合部への泥水等の浸入がより確実に阻止される。これによって、外輪2と第1芯金220との金属嵌合部の発錆による腐食が防止される。また、前記遠心力と補助シールリップ272の先端部が車輪側内周面21aに近接していることとにより、グリース保持構造部280に充填されたグリースgがベアリングシール200内に流出することが抑制され、グリース保持構造部280におけるグリースgの保持状態が長く維持される。以上を総合した作用によって、当該ベアリングシール200のより耐久性の高いシール機能が維持される。
なお、各実施形態において、第1シールリップ(アキシャルリップ)が、第2シール部材に弾接する例について述べたが、これに限らず、第2シール部材に近接されるものであっても良く、また、内輪に摺接可能に弾接乃至は近接するよう構成されるものであっても良い。また、第一及び第二の実施形態のベアリングシール100は、車体側に設けられた磁気センサ10と回転検出機構を構成する磁気エンコーダ11を備えているが、回転検出機構を構成しない場合は、磁気エンコーダ11を備えていなくても良い。この場合、第2シールリップ171さらには補助シールリップ172は、磁性粉を含有しないゴム材によって形成される。また、同実施形態においては、第2シールリップ171さらには補助シールリップ172は、磁気エンコーダ11と一体に形成されているが、磁気エンコーダ11と別体に形成されていても良い。この場合も、第2シールリップ171さらには補助シールリップ172は、磁性粉を含有しないゴム材によって形成される。さらに、第三実施形態のベアリングシール200は、図9に示すような構成に限らず、本発明の要旨を逸脱せず、且つ、回転検出機構を構成しないものであれば、第一、第二実施形態及びその変形例の各ベアリングシール100と同様に構成されるものであっても良い。加えて、各実施形態では、本発明に係る軸受密封装置が、自動車用の軸受装置に適用される例について述べたが、これに限らず、外輪に対して内輪が軸回転可能に支持される当該2部材間に装着される軸受密封装置であれば、他の産業分野の軸受装置にも好ましく適用される。また、自動車用の軸受装置であっても、図1に示す軸受装置に限らず他の形態の軸受装置であっても良く、さらに駆動輪用に限らず従動輪用の軸受装置であって良い。さらに、第1シール部材及び第2シール部材の構成部材(芯金やシールリップ等)の形状や数等も要求される仕様等に応じて適宜変更が可能である。
1 ハブベアリング(軸受装置)
2 外輪
20a 車体側内周面(外輪の内周面)
21a 車輪側内周面(外輪の内周面)
3 ハブ輪(内輪)
4 内輪部材(内輪)
5 内輪
100,200 ベアリングシール(軸受密封装置)
110,210 第1シール部材
111,211 第1円筒部
120,220 第1芯金
121,221 第1嵌合円筒部
111a 第1嵌合部の端部
111b 第1嵌合部の内周面
111c 突起部
131,231 アキシャルリップ(第1シールリップ)
150,250 第2シール部材
160,260 第2芯金
161,261 第2嵌合円筒部
161a,261a 一端部
162,263 外向鍔状部
162a,264a 外径側部分
171,271 第2シールリップ
170 固着基部(基部)
170a 外周面
170b 突部
171a 軸受空間側面
172,272 補助シールリップ
180,280 グリース保持構造部
BS 軸受空間
S1〜S3 空間部
r1〜r4 ラビリンス
L 軸

Claims (9)

  1. 軸受装置における、外輪と、該外輪に対して同軸回転する内輪との間に形成される環状の軸受空間を密封する軸受密封装置であって、
    前記外輪に内嵌される第1円筒部を有する第1シール部材と、該第1シール部材より前記軸受空間の外方側に位置するように前記内輪に外嵌される第2シール部材とからなり、
    前記第1シール部材は、前記外輪に内嵌されて前記第1円筒部を構成する第1嵌合円筒部を有する第1芯金と、該第1芯金に固着されて前記第2シール部材又は前記内輪に摺接可能に弾接乃至は近接する弾性体製の第1シールリップとを備え、
    前記第2シール部材は、前記内輪に外嵌される第2嵌合円筒部及び該第2嵌合円筒部の一端部より外径方向に延びる鍔状部を有する第2芯金と、前記鍔状部の外径側部分に固着されて前記外輪の内周面に摺接可能に弾接乃至は近接する弾性体製の第2シールリップとを備え、
    前記第2シールリップの前記軸受空間側部の近傍にグリース保持構造部が形成されていることを特徴とする軸受密封装置。
  2. 請求項1に記載の軸受密封装置において、
    前記グリース保持構造部は、前記外輪の内周面と、前記第2シールリップと、前記第1シール部材の第1円筒部とにより囲まれた空間部からなることを特徴とする軸受密封装置。
  3. 請求項2に記載の軸受密封装置において、
    前記第2シールリップと、前記第1シール部材の第1円筒部との間に、ラビリンスが形成されることを特徴とする軸受密封装置。
  4. 請求項3に記載の軸受密封装置において、
    前記ラビリンスは、前記第2シールリップの前記軸受空間側面と、前記第1円筒部の前記軸受空間とは反対側の端部との間に形成されることを特徴とする軸受密封装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の軸受密封装置において、
    前記ラビリンスは、前記第2シールリップの基部の外周面と、前記第1円筒部の内周面との間に形成されることを特徴とする軸受密封装置。
  6. 請求項3に記載の軸受密封装置において、
    前記第1円筒部の前記軸受空間とは反対側の端部に軸方向に向く突起部が設けられ、前記ラビリンスは、前記第2シールリップの前記軸受空間側面と、前記突起部の先端部との間に形成されることを特徴とする軸受密封装置。
  7. 請求項3に記載の軸受密封装置において、
    前記第2シールリップの基部に前記第1円筒部の内周面に向く突部が設けられ、前記ラビリンスは、前記第1円筒部の内周面と当該突部の先端部との間に形成されることを特徴とする軸受密封装置。
  8. 請求項1に記載の軸受密封装置において、
    前記第2シールリップの近傍に補助シールリップが設けられ、前記グリース保持構造部は、前記外輪の内周面と、前記第2シールリップと、前記補助シールリップとにより囲まれた空間部からなることを特徴とする軸受密封装置。
  9. 請求項7に記載の軸受密封装置において、
    前記補助シールリップは、前記第2シールリップの前記軸受空間側部分の近傍に位置するように設けられていることを特徴とする軸受密封装置。
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