JP2017203503A - 車両駆動装置 - Google Patents

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良 雪島
功 平井
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Abstract

【課題】 車両駆動装置が軸方向に長くなることを抑制し、車幅方向の搭載スペースを狭めることができる車両駆動装置を提供する。【解決手段】 二つの電動モータ2L、2Rと、電動モータ2L、2Rからのトルクを左右輪に分配する歯車装置30と、電動モータ2L、2Rのトルクを駆動輪に伝達する減速装置とを備え、歯車装置30は、入力側外歯車13aを有する左右の1対の中間歯車軸13L、13Rと同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなり、入力歯車12aと、この入力歯車12aからトルクが伝達される中間歯車軸13L、13Rの入力側外歯車13aとの間にアイドラギヤ70aを設け、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心から電動モータ2L、2Rのステータ6の径方向端部までの距離より、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心から歯車装置30までの距離が大きくなるようにアイドラギヤ70aの径を規定した。【選択図】 図1

Description

この発明は、独立した二つの駆動源からの駆動トルクを左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達することができる車両駆動装置に関するものである。
電気自動車等の車両において、左右の駆動輪にそれぞれ電動モータを配置して、各電動モータを独立して制御することにより左右の駆動輪間に適宜駆動トルク差を与え、これにより車両の旋回モーメントを制御することが知られている。例えば、各電動モータがそれぞれ減速機を介して左右の駆動輪に独立して接続されている場合、各電動モータの回転速度はそれぞれの減速機で減速され、かつ、各電動モータの出力トルクはそれぞれの減速機で増大されて左右の駆動輪に伝達される。ここで、車両の右旋回時と左旋回時の挙動を同様にするために、各電動モータは同じ出力特性にして、それぞれの減速機も同じ減速比にしている。
ところで、左右の駆動輪の出力トルクに差を付けたい場合、左右の電動モータの出力トルクに差を付け、左右の駆動輪に左右の電動モータの出力トルクを減速機を介して伝達する。
左右の駆動輪に伝達される左右の電動モータの出力トルクは、減速機の減速比に応じて増大される。但し、左右の駆動輪の出力トルクの差の比率は、左右の減速機の減速比が同じであるので、左右の電動モータの出力トルクの差の比率と同一であり、左右の駆動輪の出力トルクの差の比率が増大されるわけではない。
ところが、車両のスムーズな旋回走行の実現や、極端なアンダーステア、極端なオーバーステア等の車両の挙動変化を抑制するために、左右の電動モータから与えられる出力トルクの差の比率よりも左右の駆動輪に伝達される出力トルクの差の比率を大きくすることが有効な場合がある。
特許文献1及び特許文献2には、二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、3要素2自由度の遊星歯車機構を同軸上に二つ組み合わせた歯車装置を備え、二つの駆動源から与えられるトルクの差を増幅して左右の駆動輪に与えることができる車両駆動装置が開示されている。
特許文献1に開示された車両駆動装置(以下、従来技術1という。)を図15及び図16を参照して説明する。図15は、従来技術1に係る車両駆動装置の歯車構成を示すスケルトン図、図16は従来技術1に係る車両駆動装置に組み込まれた歯車装置によるトルク差の増幅率を説明するための速度線図である。
車両駆動装置100は図15に示すように、車両に搭載された左右の電動モータ102L及び電動モータ102Rと、左駆動輪104L及び右駆動輪104Rと、これらの間に設けられる歯車装置105と減速ギヤ列106L、106Rとを備えている。
電動モータ102L及び電動モータ102Rは、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)からの電力により動作し、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。
電動モータ102Lの入力歯車軸102aL、電動モータ102Rの入力歯車軸102aRは、それぞれ減速ギヤ列106L、106Rを介して歯車装置105の各結合部材112、111に接続される。歯車装置105からの出力は左右の駆動輪104L、104Rに与えられる。
歯車装置105は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構110L、110Rが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。
遊星歯車機構110L、110Rには、例えば、二連の遊星歯車を有するダブルピニオン遊星歯車機構が採用されている。この遊星歯車機構は、同軸上に設けられた太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと、これら太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとの間にあって同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、この遊星キャリヤCL、CRに回転可能に支持され互いに噛み合う複数の二連の遊星歯車PL、PRから構成されている。ここで、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRは外周にギヤ歯を有する外歯車であり、内歯車RL、RRは内周にギヤ歯を有する内歯車である。
二連の遊星歯車PL、PRは、二連の一方が太陽歯車SL、SRと、二連の他方が内歯車RL、RRとに噛み合っている。図15に示すようなダブルピニオン遊星歯車機構では、遊星キャリヤCL、CRを固定した場合に太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとが同方向に回転するため、図16に示す速度線図に表すと内歯車RL、RR及び太陽歯車SL、SRが遊星キャリヤCL、CRに対して同じ側に配置される。換言すると、遊星キャリヤCL、CRは内歯車RL、RRを挟んで太陽歯車SL、SRの反対側に配置され、内歯車RL、RRを固定した場合には、太陽歯車SL、SRと遊星キャリヤCL、CRとが逆方向に回転する。
図16に示す速度線図においては、遊星キャリヤCL、CRから内歯車RL、RRまでの長さと遊星キャリヤCL、CRから太陽歯車SL、SRまでの長さの比は、内歯車RL、RRの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車SL、SRの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。
この歯車装置105は、図15に示すように、太陽歯車SL、遊星キャリヤCL、遊星歯車PL及び内歯車RLを有する第1遊星歯車機構110Lと、同じく太陽歯車SR、遊星キャリヤCR、遊星歯車PR及び内歯車RRを有する第2遊星歯車機構110Rとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構110Lの太陽歯車SLと第2遊星歯車機構110Rの遊星キャリヤCRとが第1結合部材111で結合され、第1遊星歯車機構110Lの遊星キャリヤCLと第2遊星歯車機構110Rの太陽歯車SRとが第2結合部材112で結合されている。
図15に示すように、第1結合部材111には、第1電動モータ102Rで発生されたトルクTM1が減速ギヤ列106Rを介して入力され、第2結合部材112には、第2電動モータ102Lで発生されたトルクTM2が減速ギヤ列106Lを介して入力される。また、第1遊星歯車機構110Lの内歯車RLは出力軸114を介して左駆動輪104Lに接続され、第2遊星歯車機構110Rの内歯車RRは出力軸113を介して右駆動輪104Rに接続される。
ここで、歯車装置105によって伝達される駆動トルクについて、図16に示す速度線図を用いて説明する。歯車装置105は、二つの同一の遊星歯車機構110L、110Rを組み合わせて構成されるため、図16に示すように、二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に第1遊星歯車機構110Lの速度線図を示し、下側に第2遊星歯車機構110Rの速度線図を示す。
また、第1遊星歯車機構110Lの速度線図と第2遊星歯車機構110Rの速度線図とは、太陽歯車SL、SRと遊星キャリヤCL、CRとが左右反対に配置される。すなわち、図16において、第1遊星歯車機構110Lの太陽歯車SLの下に第2遊星歯車機構110Rの遊星キャリヤCRが配置され、第1遊星歯車機構110Lの遊星キャリヤCLの下に第2遊星歯車機構110Rの太陽歯車SRが配置される。
この歯車装置105は、図16に示す二本の速度線図の両端に位置する要素同士が、図中破線で示すようにそれぞれ結合されて第1結合部材111及び第2結合部材112が形成される。そして、第1結合部材111に第1電動モータ102Rから出力されたトルクTM1が減速ギヤ列106Rを介して与えられる。この第1結合部材111に接続された太陽歯車SLには、第1電動モータ102Rから出力されたトルクTM1の一部が減速ギヤ列106Rを介して与えられることになる。そして、第1電動モータ102Rから出力されたトルクTM1の残部は減速ギヤ列106Rを介して遊星キャリヤCRに与えられる。
第2結合部材112に第2電動モータ102Lから出力されたトルクTM2が減速ギヤ列106Lを介して入力される。この第2結合部材112に接続された太陽歯車SRには、第2電動モータ102Lから出力されたトルクTM2の一部が減速ギヤ列106Lを介して与えられることになる。そして、第2電動モータ102Lから出力されたトルクTM2の残部は減速ギヤ列106Lを介して遊星キャリヤCLに与えられる。ここで本来は、各電動モータ102R、102Lから出力されたトルクTM1及びTM2は各減速ギヤ列106R、106Lを介し各結合部材111、112に入力されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、速度線図及び各計算式の説明においては減速比を省略し、各結合部材111、112に入力されるトルクをTM1及びTM2のままとする。
一方、速度線図上で中間に位置する内歯車RL、RRから左右の駆動輪104L、104Rに伝達される駆動トルクTL、TRが出力される。
このように構成された歯車装置105によって、第1電動モータ102R及び第2電動モータ102Lで発生させる各モータトルクTM1、TM2にトルク差(入力トルク差)ΔTIN(=TM2−TM1)を与えることで、左駆動輪104Lに伝達される駆動トルクTLと右駆動輪104Rに伝達される駆動トルクTRとに駆動トルク差ΔTOUT(=TL−TR)を発生させることができる。すなわち、この歯車装置105によれば、以下の式(1)の関係が得られる。なお、係数αはトルク差増幅率である。
(TL−TR)=α×(TM2−TM1) …(1)
この従来技術1に係る歯車装置105のトルク差増幅率αについて説明する。ここでは、二つのダブルピニオン遊星歯車機構110L、110Rは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては、内歯車RLと遊星キャリヤCLとの距離及び内歯車RRと遊星キャリヤCRとの距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車SLと内歯車RLとの距離及び太陽歯車SRと内歯車RRとの距離も等しく、これをbとする。
左右両端の第1結合部材111、第2結合部材112に、それぞれ第1電動モータ102R、第2電動モータ102LのトルクTM1、TM2を入力し、内歯車RL、RRから駆動トルクTL、TRを取り出す。
トルクの入力と出力の関係から、以下の式(2)が得られる。
TR+TL=TM1+TM2 …(2)
また、図中の左端(CL、SR部)を基準としたモーメントの式は以下の式(3)となる。なお、図において、矢印方向がモーメントMの正の方向を示している。
0=aTL+bTR−(a+b)TM1 …(3)
これら式(2)、(3)からTL、TRについてまとめると、以下の(4)、(5)式となる。
TL=((a/(b−a))+1)・TM2−(a/(b−a))・TM1…(4)
TR=((a/(b−a))+1)・TM1−(a/(b−a))・TM2…(5)
これら(4)、(5)式から駆動トルク差(TL−TR)は以下の(6)式となる。
(TL−TR)=((a+b)/(b−a))・(TM2−TM1)…(6)
ダブルピニオン遊星歯車機構の場合、長さaは内歯車Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)、長さa+bは太陽歯車Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)となるため、上記の式は(7)式のように書き換えられる。
(TL−TR)=(Zr/(Zr−2Zs))・(TM2−TM1)…(7)
上記(1)、(7)式よりトルク差増幅率αは、Zr/(Zr−2Zs)となる。
上記したように、この従来技術1では、第1、第2電動モータ102L、102Rからの入力は、太陽歯車SRと遊星キャリヤCL、太陽歯車SLと遊星キャリヤCRとなり、駆動輪104L、104Rへの出力は内歯車RL、RRとなる。
二つの電動モータ102R、102Lで異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=TM2−TM1)を与えると、歯車装置105において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。すなわち、入力トルク差ΔTINが小さくても、歯車装置105において所定のトルク差増幅率αで入力トルク差ΔTINを増幅することができ、左駆動輪104Lと右駆動輪104Rとに伝達される駆動トルクTL、TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1)=TL−TR)を与えることができる。
次に、特許文献2に開示された車両駆動装置(以下、従来技術2という。)を図17及び図18を参照して説明する。図17は、従来技術2に係る車両駆動装置の歯車構成を示すスケルトン図、図18は従来技術2に係る車両駆動装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。
なお、図17においては、従来技術1との差を分かりやすくするために、左右に電動モータ102L、102Rを配置して従来技術1と同様の図にし、同一構成部分には同一符号を付している。
図17に示すように、車両駆動装置100は、車両に搭載された電動モータ102L及び電動モータ102Rと、左駆動輪104L及び右駆動輪104Rと、これらの間に設けられる歯車装置105と減速ギヤ列106L、106Rとを備えている。
電動モータ102L及び電動モータ102Rは、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)からの電力により動作し、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。電動モータ102Lの入力歯車軸102aL、電動モータ102Rの入力歯車軸102aRは、それぞれ減速ギヤ列106L、106Rを介して歯車装置105の太陽歯車SL、SRに接続される。歯車装置105からの出力は左右の駆動輪104L、104Rに与えられる。
従来技術1と同様に従来技術2の歯車装置105は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構110L、110Rが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。遊星歯車機構110L、110Rには、例えば、シングルピニオン形式の遊星歯車機構が採用されている。
そして、第1遊星歯車機構110Lの遊星キャリヤCLと第2遊星歯車機構110Rの内歯車RRとが第1結合部材111によって結合され、第1遊星歯車機構110Lの内歯車RLと第2遊星歯車機構110Rの遊星キャリヤCRとが第2結合部材112によって結合されている。
電動モータ102Lで発生されたトルクTM1が減速ギヤ列106Lを介して第1遊星歯車機構110Lの太陽歯車SLに入力され、電動モータ102Rで発生されたトルクTM2が減速ギヤ列106Rを介して第2遊星歯車機構110Rの太陽歯車SRに入力される。
また、第1結合部材111、第2結合部材112は、それぞれ左右の駆動輪104L、104Rに接続されて出力が取り出される。
この従来技術2では、電動モータ102L、102Rからの入力は、太陽歯車SL、SRとなり、駆動輪104L、104Rへの出力は、遊星キャリヤCLと内歯車RR、遊星キャリヤCRと内歯車RLとなる。
ここで、従来技術2の歯車装置105によって伝達される駆動トルクについて、図18に示す速度線図を用いて説明する。
図17に示す歯車装置105は、二つの同一のシングルピニオンの遊星歯車機構110L、110Rを組み合わせて構成されるため、図18に示すように、二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、理解を容易にするために、二本の速度線図を上下にずらし、上側に第1遊星歯車機構110Lの速度線図を示し、下側に第2遊星歯車機構110Rの速度線図を示している。また、従来技術1での説明と同様に、速度線図及び各計算式の以降の説明においては、各減速ギヤ列106L、106Rでの減速比を省略し、各太陽歯車SL、SRに入力されるトルクをTM1及びTM2のままとする。
図17に示す歯車装置105では、遊星キャリヤCLと内歯車RRが、図18の図中破線で示すように、第1結合部材111によって結合され、遊星キャリヤCRと内歯車RLが、図中破線で示すように、第2結合部材112によって結合されている。
そして、太陽歯車SL、SRにそれぞれ第1電動モータ102L及び第2電動モータ102Rから出力されたトルクTM1及びTM2が入力される。一方、速度線図上で中間に位置する第1結合部材111、第2結合部材112から左右の駆動輪104L、104Rに伝達される駆動トルクTL、TRが出力される。
このように構成された歯車装置105によっても、第1電動モータ102L及び第2電動モータ102Rで発生させる各モータトルクTM1、TM2にトルク差(入力トルク差)ΔTIN(=TM2−TM1)を与えることで、左駆動輪104Lに伝達される駆動トルクTLと右駆動輪104Rに伝達される駆動トルクTRとに駆動トルク差ΔTOUT(=TR−TL)を発生させることができる。
この従来技術2に係る歯車装置105のトルク差増幅率αについて説明する。この従来技術2においても、二つのシングルピニオン形式の遊星歯車機構110L、110Rは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては内歯車RLと遊星キャリヤCLとの距離及び内歯車RRと遊星キャリヤCRとの距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車SLと遊星キャリヤCLとの距離及び太陽歯車SRと遊星キャリヤCRとの距離も等しく、これをbとする。遊星キャリヤCL、CRから内歯車RL、RRまでの長さと遊星キャリヤCL、CRから太陽歯車SL、SRまでの長さの比は、内歯車RL、RRの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車SL、SRの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。よって、a=(1/Zr)、b=(1/Zs)である。
この従来技術2の歯車装置105を速度線図で示すと図18のようになる。
この速度線図において、トルクの釣り合いを考えると、トルク差増幅率αを求めることができる。なお、図において、矢印方向がモーメントMの正の方向を示している。
Rの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(8)式が算出される。
b・TR+(a+b)・TL−(a+2b)・TM1=0 …(8)
Lの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(9)式が算出される。
−b・TL−(a+b)・TR+(a+2b)・TM2=0 …(9)
(8)式+(9)式より、下記(10)式が算出される。
a・(TR−TL)―(a+2b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((a+2b)/a)・(TM2−TM1) …(10)
(10)式の(a+2b)/aがトルク差増幅率αとなる。
a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(2Zr+Zs)/Zsとなる。
この従来技術2では、電動モータ102L、102Rからの入力は、太陽歯車SL、SR、駆動輪104L、104Rへの出力は遊星キャリヤCLと内歯車RR、遊星キャリヤCRと内歯車RLとなり、トルク差増幅率αは、(2Zr+Zs)/Zsである。
上記のように、従来技術1及び従来技術2に記載のものにおいては、二つの電動モータ102L、102Rで異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTINを与えると、歯車装置105において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUTを得ることができる。
特開2015−21594号公報 特許第4907390号公報
ところで、車両駆動装置のトルク差を増幅する歯車装置の入力歯車軸を直接電動モータに連結し、歯車装置の出力軸を駆動輪に連結すると、駆動輪に必要な駆動トルクに合わせた電動モータの駆動力(トルク)が必要となるため、電動モータが大型化してしまう。このため、車両駆動装置は電動モータのトルクを増大して駆動輪に伝達する減速機構としてのいくつかの歯車軸を有する。歯車軸は、電動モータのモータ軸と連結し入力歯車としての小径歯車を有する入力歯車軸と、入力歯車軸と出力軸の間で歯車が噛合うことで動力伝達を行う少なくとも一つ以上の中間歯車軸を配置する構成である。
従来技術1及び従来技術2では、車両駆動装置における歯車装置の配置について具体的に言及されていないが、歯車装置を減速機構の出力側に設けた場合、出力トルクに対する構成部品(歯車、軸受等)の強度確保のため、構成部品が大型化し、その結果、車両駆動装置が大型化し、製作コストも上がる可能性がある。
また、歯車装置を減速機構の入力側に設けた場合、歯車装置を構成する遊星歯車機構の各歯車が高速で回転し、歯車の歯面同士のすべりによる摩擦熱が発生し易い。歯車歯面の冷却に潤滑油を用いた場合、遊星歯車機構を二つ連結することで構成が複雑になり、歯車装置内部への潤滑油路の確保が困難になる可能性がある。
また、歯車の歯面同士の片当たりによる異常摩耗を防ぐため、軸受構成等、歯車軸の回転精度を確保する必要があるが、従来技術1と従来技術2では、共に歯車装置の軸受構成までの記載はない。
ところで、本願の出願人は、従来技術1と従来技術2におけるトルク差を増幅する歯車装置よりも小型、軽量化を図った車両駆動装置を、既に特許出願を行っている(特願2016−023529号)。
この本願の出願人が特許出願している車両駆動装置(先願例1)は、図19及び図20に示す構成である。
先願例1の車両駆動装置201は、図19に示すように車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータ202L、202Rと、二つの電動モータ202L、202Rと左右の駆動輪との間に設けられ、二つの電動モータ202L、202Rからのトルクを左右輪に分配する歯車装置300と、二つの電動モータ202L、202Rのトルクを駆動輪に伝達する減速装置203L、203Rとを備えている。前記減速装置203L、203Rは、電動モータ202L、202Rに連結し、入力歯車212aを有する入力歯車軸212L、212Rと、駆動輪に連結し、出力歯車214aを有する出力軸214L、214Rと、歯車の噛み合いにより入力歯車軸212L、212Rから出力軸214L、214Rの間の動力伝達を行う中間歯車軸213L、213Rとを有し、減速装置203L、203Rを構成する歯車が外歯車である。
二つの電動モータ202L、202Rは、同一出力特性の電動モータが用いられ、図19に示すように、モータハウジング204L、204R内に収容されている。
入力歯車軸212L、212R、中間歯車軸213L、213R、出力軸214L、214Rは相互にオフセットして配置されている。
二つの電動モータ202L、202Rからのトルクを左右輪に分配する歯車装置300は、同軸に配された左右の1対の中間歯車軸213L、213Rと同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなる。遊星歯車機構は、内歯車RL、RRと、前記内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、前記内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、公転歯車としての遊星歯車PL、PRとを有し、前記二つの遊星歯車機構の一方の遊星キャリヤCLと他方の太陽歯車SRとを結合する第1結合部材231と、一方の太陽歯車SLと他方の遊星キャリヤCRとを結合する第2結合部材232とを有し、前記歯車装置300と同軸上にある中間歯車軸213L、213Rに、入力歯車212aと噛み合う入力側外歯車213aと、前記遊星歯車機構の遊星キャリヤCL、CRと連結され、出力歯車214aと噛み合う出力側小径歯車213bとを設け、前記遊星キャリヤCL、CRの両端が転がり軸受219a、219bによって歯車装置300を収容するハウジング209に対して回転自在に支持される構造である。
この先願例1では、上記のように、車両駆動装置201の中間歯車軸213L、213Rに歯車装置300を設置するため、前記歯車装置300の二つの遊星歯車機構を構成する太陽歯車SL、SR、遊星キャリヤCL、CR、遊星歯車PL、PR、及び内歯車RL、RRの設置スペースや、中間歯車軸213L、213Rを遊星キャリヤCL、CRの両端で支持する転がり軸受219a、219bの設置スペースが必要となり、軸方向寸法が大きくなる。
また、電動モータ202L、202Rと出力軸214L、214Rをオフセットさせる構造では、電動モータ202L、202Rの部分が軸方向に最も長くなる。上記した図19に示す車両駆動装置は、歯車装置300と平行軸歯車減速装置とが一体化しているため、電動モータ202L、202Rに連結される入力歯車212aは小歯車で構成され、この入力歯車212aに噛み合う入力側外歯車213aは大径の歯車となる。電動モータ202L、202Rと連結する入力歯車212aは電動モータ202L、202Rのステータ径と比較して小さいため、電動モータ202L、202Rと歯車装置300が軸方向に重なることになる。
上記したように、歯車装置300が軸方向長さを必要とし、この歯車装置300と電動モータ202L、202Rが軸方向で重なることにより、車両駆動装置の体格が軸方向に長くなる。このため、車両における車両駆動装置の搭載スペースの車幅方向の長さを広く確保しなければならない。
搭載スペースを車幅方向に広く取ると、広い車幅となり、狭い路地などでの車両の取り回しが悪くなる。また、車両駆動装置を操舵輪へ搭載した場合、車両駆動装置が車幅方向に長いと操舵角に制限が生じ、車両の小回り性が悪くなる。さらに、懸架装置の構造・配置(特に車幅方向であるアーム長さ)に制限が生じ、乗り心地や操縦安定性が低下する等のデメリットとなる恐れがある。
そこで、この発明は、車両駆動装置を軸方向に長くなることを抑制し、車幅方向の搭載スペースを狭めることができる車両駆動装置を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、この発明は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータと、前記二つの電動モータと左右の駆動輪との間に設けられ、前記二つの電動モータからのトルクを左右輪に分配する歯車装置と、前記二つの電動モータのトルクを駆動輪に伝達する減速装置とを備える車両駆動装置において、前記減速装置は、電動モータに連結し、入力歯車を有する入力歯車軸と、駆動輪に連結する出力軸と、歯車の噛み合いにより入力歯車軸から出力軸の間の動力伝達を行う少なくとも一つ以上の中間歯車軸が設けられ、前記二つの電動モータからのトルクを左右輪に分配する歯車装置は、同軸に設けられた左右の1対の中間歯車軸と同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなり、前記入力歯車とこの入力歯車からトルクが伝達される中間歯車軸の大径歯車との間に、アイドラギヤが設けられ、前記電動モータのモータ軸の中心から電動モータのステータの径方向端部までの距離より、前記電動モータのモータ軸の中心から前記歯車装置までの距離が大きくなるように前記アイドラギヤの径が規定されていることを特徴とする。
また、前記歯車装置の前記遊星歯車機構は、内歯車と、前記内歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、前記内歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、公転歯車としての遊星歯車とを有し、前記二つの遊星歯車機構の一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有することを特徴とする。
また、前記遊星歯車機構は、太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、を有し、前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有し、一方の前記電動モータのトルクは、前記第1結合部材に伝達され、他方の前記電動モータのトルクは、前記第2結合部材に伝達され、一方の前記駆動輪は一方の内歯歯車からトルクが伝達され、他方の前記駆動輪は他方の内歯歯車からトルクが伝達されることを特徴とする。
また、前記減速装置を構成する歯車が外歯車であり、前記歯車装置と同軸上にある前記減速装置の中間歯車軸に、前記アイドラギヤの歯車と噛み合う入力側外歯車と、前記遊星歯車機構の遊星キャリヤと連結され、出力歯車または従動側中間歯車軸の歯車と噛み合う出力側小径歯車とを設け、前記遊星キャリヤの両端が転がり軸受によって回転自在に支持されていることを特徴とする。
また、前記遊星歯車機構は、それぞれ内歯車と、前記内歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、前記内歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、公転歯車としての遊星歯車とを有し、前記内歯車の外周部に前記アイドラギヤと噛み合う入力側外歯車を設けたことを特徴とする。
以上のように、この発明によれば、前記入力歯車とこの入力歯車からトルクが伝達される中間歯車軸の大径歯車との間に、アイドラギヤが設けられ、このアイドラギヤの径を前記電動モータのモータ軸の中心から電動モータのステータの径方向端部までの距離より、前記電動モータのモータ軸の中心から前記歯車装置までの距離が大きくなるように決めることで、電動モータと歯車装置が軸方向から見て重ならないように配置することができ、二つの電動モータの軸方向距離が近くなるように配置できるため、車両駆動装置の軸方向寸法を短くできる。その結果、車両駆動装置の搭載スペースの車幅方向の寸法を小さくでき、車幅を狭くでき、狭い路地などでの車両の取り回し性が良い、また、操舵輪への駆動装置の搭載で、操舵輪の操舵角を大きく取れ車両の小回り性が良い、懸架装置の構造・配置の制限が少なく、車幅方向のアーム長さを長くとれ、乗り心地や操縦安定性が良い等の等の効果が得られる。
この発明の車両駆動装置の第1実施形態を示す横断平面図である。 図1のII−II線で断面した概略説明図である。 図1の実施形態の入力歯車とアイドラギヤ部分の拡大図である。 図1の実施形態の歯車装置部分の拡大図である。 図1の実施形態に係る車両駆動装置の歯車構成をスケルトン図で示した電気自動車の説明図である。 図1の実施形態に係る車両駆動装置に組み込まれた歯車装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。 この発明の車両駆動装置の第2実施形態を示す横断平面図である。 図7のVIII−VIII線で断面した概略説明図である。 図7の実施形態の入力歯車とアイドラギヤ部分の拡大図である。 図7の実施形態の歯車装置部分の拡大図である。 この発明の車両駆動装置の第3実施形態を示す横断平面図である。 図11のXII−XII線で断面した概略説明図である。 図11の実施形態の歯車装置部分の拡大図である。 図11の実施形態に係る車両駆動装置の歯車構成をスケルトン図で示した電気自動車の説明図である。 従来技術1に係る車両駆動装置の歯車構成を示すスケルトン図である。 従来技術1に係る車両駆動装置に組み込まれた歯車装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。 従来技術2に係る車両駆動装置の歯車構成を示すスケルトン図である。 従来技術2に係る車両駆動装置に組み込まれた歯車装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。 先願例1の車両駆動装置を示す横断平面図である。 図19に示す先願例1の車両駆動装置の歯車装置部分の拡大図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図5に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ60と、後輪としての駆動輪61L、61Rと、前輪62L、62Rと、この発明に係る2モータ式の車両駆動装置1、バッテリ63、インバータ64等を備える。図5では、車両駆動装置1の歯車構成をスケルトン図で示している。
図1及び図5に示す車両駆動装置1は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源としての電動モータ2L、2Rと、左右の駆動輪61L、61Rと二つの電動モータ2L、2Rとの間に設けられる左右2基の減速装置3L、3Rとを備える。電動モータ2L、2Rの入力歯車軸12L、12Rに連結された入力歯車12a、12aと減速装置3L、3Rとの間にはアイドラギヤ70a、70aがそれぞれ設けられる。このアイドラギヤ70aの径は、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心からステータ6の端部までの距離より、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心から歯車装置30までの距離が大きくなるように決められる。このように、アイドラギヤ70aの径の大きさを決めることで、電動モータ2L、2Rと、減速装置3L、3Rと一体に設けられた歯車装置30とが軸方向から見て重ならないように配置され、無駄なスペースを圧縮し、車両駆動装置の軸方向寸法を縮小している。
2モータ式の車両駆動装置1の駆動トルクは、等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して左右の駆動輪61L、61Rに伝達される(図5)。
なお、2モータ式の車両駆動装置1の搭載形態としては、図5に示す後輪駆動方式の他、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。また、車両駆動装置1が前輪あるいは後輪の一方を駆動し、他方は内燃機関で駆動する四輪駆動方式でもよい。
2モータ式の車両駆動装置1における左右の電動モータ2L、2Rは、同一の出力特性の電動モータが用いられ、図1に示すように、モータハウジング4L、4R内に収容されている。図1のII−II線で断面とした図2に示すように、入力歯車軸12L、12R、アイドラ軸70L、70R、中間歯車軸13L、13R、出力軸14L、14Rは相互にオフセットして配置されている。
モータハウジング4L、4Rは、図1に示すように、円筒形のモータハウジング本体4aL、4aRと、このモータハウジング本体4aL、4aRの外側面を閉塞する外側壁4bL、4bRと、モータハウジング本体4aL、4aRの内側面に減速装置3L、3Rと隔てる内側壁4cL、4cRとからなる。モータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRには、モータ軸5aを引き出す開口部が設けられている。
電動モータ2L、2Rは、図1に示すように、モータハウジング本体4aL、4aRの内周面にステータ6を設け、このステータ6の内周に間隔をおいてロータ5を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。なお、電動モータ2L、2Rは、アキシアルギャップタイプのものを使用してもよい。
ロータ5は、モータ軸5aを中心部に有し、そのモータ軸5aはモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRの開口部からそれぞれ減速装置3L、3R側に引き出されている。モータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRの開口部とモータ軸5aとの間にはシール部材18が設けられ、減速装置ハウジング9に封入された潤滑油の漏洩を防止している。
モータ軸5aは、モータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRと外側壁4bL、4bRとに転がり軸受8a、8bによって回転自在に支持されている(図1)。
左右並列に設けられた2基の減速装置3L、3Rを収容する減速装置ハウジング9は、減速装置3L、3Rの歯車軸と直交する方向に3ピースに分割され、図1に示すように、中央ハウジング9aとこの中央ハウジング9aの両側面に固定される左右の側面ハウジング9bL、9bRの3ピース構造になっている。左右の側面ハウジング9bL、9bRは、中央ハウジング9aの両側の開口部に複数のボルト(図示省略)によって固定されている。
減速装置ハウジング9の側面ハウジング9bL、9bRのアウトボード側(車体外側)の側面と、電動モータ2L、2Rのモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRとが一体となっている(図1)。尚、側面ハウジング9bL、9bRのアウトボード側の側面と、電動モータ2L、2Rのモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRとを別体とし、側面ハウジング9bL、9bRへ電動モータ2L、2Rのモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRを複数のボルトによって固定することにより、減速装置ハウジング9の左右に2基の電動モータ2L、2Rを固定配置してもよい。
中央ハウジング9aには、図1に示すように、中央に仕切り壁11が設けられている。減速装置ハウジング9は、この仕切り壁11によって左右に2分割され、2基の減速装置3L、3Rを収容する独立した左右の収容室が並列に設けられている。
減速装置3L、3Rは、図1に示すように、左右対称形に設けられ、モータ軸5aからトルクが伝達され、入力歯車12aを有する入力歯車軸12L、12Rと、この入力歯車12aからのトルクが伝達される大径の入力側外歯車13aと出力歯車14aに噛み合う出力側小径歯車13bを有する中間歯車軸13L、13Rと、出力歯車14aを有し、減速装置ハウジング9から引き出されて等速ジョイント65a、65b、中間シャフト65c(図5)を介して駆動輪61L、61Rにトルクを伝達する出力軸14L、14Rを備える平行軸歯車減速機である。
入力歯車12aと入力側外歯車13aとの間には両歯車に噛み合うアイドラギヤ70aが設けられる。このアイドラギヤ70aを有するアイドラ軸70L、70Rは入力歯車軸12L、12Rと中間歯車軸13L、13Rとの間に設けられる。
左右2基の減速装置3L、3Rの各入力歯車軸12L、12R、各アイドラ軸70L、70R、各中間歯車軸13L、13R、各出力軸14L、14Rは、それぞれが同軸上に配置されている。
減速装置3L、3Rの入力歯車軸12L、12Rの両端は、中央ハウジング9aの仕切り壁11の左右両面に形成した軸受嵌合穴16aと側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴16bに転がり軸受17a、17bを介して回転自在に支持されている。軸受嵌合穴16a、16bは、転がり軸受17a、17bの外輪が当接する壁部のある段付き形状になっている。
入力歯車軸12L、12Rは中空構造であり、この中空の入力歯車軸12L、12Rのアウトボード側の端部は、側面ハウジング9bL、9bRに設けた開口から電動モータ2L、2R側に引き出されており、モータ軸5aの端部が挿入されている。入力歯車軸12L、12Rとモータ軸5aとは、スプライン(セレーションも含む以下同じ)結合されている。
入力歯車12aと噛み合うアイドラギヤ70aが中間歯車軸13L、13Rに設けられた大径の入力側外歯車13aと噛み合い、入力歯車12aのトルクを入力側外歯車13aに伝達する。
図3の拡大図に示すように、アイドラギヤ70aを有するアイドラ軸70L、70Rの両端は、側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴71bと中央ハウジング9aに形成した軸受嵌合穴71aとに転がり軸受72a、72bを介して支持されている。そして、軸受嵌合穴71a、71bは転がり軸受72a、72bの外輪が当接する壁部のある段付き形状になっている。
図1、図2に示すように、このアイドラギヤ70aは、後述するトルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならない大きさの径を有する。すなわち、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心からステータ6の径方向端部までの距離より、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心から歯車装置30までの距離が大きくなるようにアイドラギヤ70aの径の大きさが決められる。上記のように径を決めたアイドラギヤ70aを設けることで、電動モータ2L、2Rとトルク差増幅機構である歯車装置30の遊星歯車機構30L、30Rのそれぞれ軸心間距離を広げて、トルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならないようにしている。
中間歯車軸13L、13Rは、少なくとも一対以上配置されており、図1に示す実施形態では、一対の中間歯車軸13L、13Rを有する。
中間歯車軸13L、13Rは、外周面にアイドラギヤ70aに噛み合う入力側外歯車13aと出力歯車14aに噛み合う出力側小径歯車13bを有する段付きの歯車軸を構成している。この中間歯車軸13L、13Rの両端は、中央ハウジング9aの仕切り壁11の両面に形成した軸受嵌合穴19aと側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴19bに転がり軸受20a、20bを介して支持されている。そして、軸受嵌合穴19aは、転がり軸受20aの外輪が当接する壁部のある段付き形状になっており、後述する第1結合部材31と第2結合部材32が通るように貫通している。
同軸上に配置された中間歯車軸13L、13Rには、この中間歯車軸13L、13Rと同軸上に、二つの電動モータ2L、2Rから与えられるトルクを左右の駆動輪61L、61Rにトルク差を増幅して分配する歯車装置30が組み込まれている。
上記したように、アイドラギヤ70aにより、トルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならないように配置されているので、中間歯車軸13L、13Rを支持する転がり軸受20a、20b部分も電動モータ2L、2Rのステータ6とは重ならない位置になる。このため、電動モータ2L、2Rを中間歯車軸13Lの転がり軸受20bと中間歯車軸13Rの転がり軸受20bとの間の距離よりもインボード側に近づけて配置することができる。この結果、図19に示す従来の車両駆動装置より軸方向の長さを短くすることができる。
歯車装置30は、同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなる。
歯車装置30を構成する遊星歯車機構は、図4の拡大図に示すように、中間歯車軸13L、13Rの大径の入力側外歯車13aにそれぞれ組み込まれた内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、内歯車RL、RRと太陽歯車SL、SRに噛み合う公転歯車としての遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRに連結され、内歯車RL、RR及び太陽歯車SL、SRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、一方の遊星キャリヤCL(図4では図の左側)と他方の太陽歯車SR(図4では図の右側)とを結合する第1結合部材31と、一方の太陽歯車SL(図4では図の左側)と他方の遊星キャリヤCR(図4では図の右側)とを結合する第2結合部材32と、内歯車RL、RRに連結された、アイドラ軸70L、70Rのアイドラギヤ70aと噛み合う中間歯車軸13L、13Rの入力側外歯車13aと、出力軸14L、14Rの出力歯車14aと噛み合う中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bとを有し、中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bを、遊星キャリヤCL、CRに連結した構成である。
なお、中間歯車軸13L、13Rを複数対設けた場合には、入力側外歯車13aに連結された内歯車RL、RRは、複数対の中間歯車軸13L、13Rの内、アイドラギヤ70aと噛み合う入力側外歯車13aに配置され、また、出力側小径歯車13bが、複数対の中間歯車軸13L、13Rの内の従動側の中間歯車軸13L、13Rに設けられた歯車と噛み合うように配置される。
図1及び図4に示す実施形態では、内歯車RL、RRに連結された入力側外歯車13aは、内歯車RL、RRと一体に形成している。
遊星キャリヤCL、CRは、遊星歯車PL、PRを支持するキャリヤピン33と、キャリヤピン33のアウトボード側端部に連結されたアウトボード側のキャリヤフランジ34aと、インボード側端部に連結されたインボード側のキャリヤフランジ34bを有する。
アウトボード側のキャリヤフランジ34aは、アウトボード側に延びる中空軸部35を備えており、中空軸部35のアウトボード側の端部が、減速装置ハウジング9の側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴19bに転がり軸受20bを介して支持されている。
インボード側のキャリヤフランジ34bは、インボード側に延びる中空軸部36を備えており、中空軸部36のインボード側の端部が、中央ハウジング9aの仕切り壁11に形成した軸受嵌合穴19aに転がり軸受20aを介して支持されている。尚、図1及び図4に示す実施形態では、中間歯車軸13Rの中空軸部36は第2結合部材32と一体に形成されている。
図4に示す実施形態では、前記出力側小径歯車13bが、キャリヤフランジ34aの中空軸部35の外周面に一体に形成されている。
遊星歯車PL、PRは、針状ころ軸受37を介してキャリヤピン33によって支持されている。
また、前記各キャリヤフランジ34a、34bの対向面と遊星歯車PL、PRの間にスラスト板38を挿入し、遊星歯車PL、PRの回転の円滑化を図っている。
前記各キャリヤフランジ34a、34bの外周面と内歯車RL、RRとの間には、転がり軸受39a、39bを配置している。
また、インボード側のキャリヤフランジ34bと、インボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36を支持する転がり軸受20aとの間には、カラー40を配置している。
車両駆動装置1の歯車装置30を構成する二つの遊星歯車機構を連結している第1結合部材31及び第2結合部材32は、減速装置ハウジング9の中央ハウジング9aを左右に仕切る仕切り壁11を貫通して組み込まれている。
この第1結合部材31と第2結合部材32は、同軸上に配置されると共に、一方の結合部材(図1及び図4の実施形態では第2結合部材32)が中空軸、他方の結合部材(図1及び図4の実施形態では第1結合部材31)が中空軸に挿通される軸からなる二重構造になっている。
図1及び図4に示す実施形態では、中空軸で構成される第2結合部材32の右側の遊星歯車機構30R側の端部と、遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36とが一体に形成されているが、第2結合部材32と中空軸部36とを別体とし、お互いをスプライン結合としてもよい。
また、図1及び図4に示す実施形態では、第1結合部材31の左側の遊星歯車機構30L側の端部と、遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35とにスプライン42を設けて、第1結合部材31を遊星キャリヤCLに対しスプライン嵌合により連結している。
第2結合部材32の遊星歯車機構30L側の端部は、その外周面に、遊星歯車機構30Lの遊星歯車PLと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が遊星歯車機構30Lの太陽歯車SLを構成している。
中空軸で構成される第2結合部材32に挿通される第1結合部材31は、遊星歯車機構30R側の端部に大径部43を有し、この大径部43の外周面に、遊星歯車機構30Rの遊星歯車PRと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が遊星歯車機構30Rの太陽歯車SRを構成している。
内径側の結合部材(第1結合部材31)の外周面と、外径側の結合部材(第2結合部材32)の内周面との間には、カラー44と、カラー44の両端に針状ころ軸受45、46を介在させている。
二つの遊星歯車機構を連結する二重構造の軸の内径側の結合部材(図1及び図4の実施形態では第1結合部材31)は、結合部材(図1及び図4の実施形態では第1結合部材31)と遊星キャリヤ(図1及び図4の実施形態ではCL)とのスプライン嵌合と反対側の軸端を、他方の遊星キャリヤ(図1及び図4の実施形態ではCR)に対して深溝玉軸受49によって支持している。
出力軸14L、14Rは、図1及び図4に示すように、大径の出力歯車14aを有し、中央ハウジング9aの仕切り壁11の両面に形成した軸受嵌合穴53aと側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴53bに転がり軸受54a、54bによって支持されている。そして、軸受嵌合穴53a、53bは、転がり軸受54a、54bの外輪が当接する壁部のある段付き形状になっている。
出力軸14L、14Rのアウトボード側の端部は、側面ハウジング9bL、9bRに形成した開口部から減速装置ハウジング9の外側に引き出され、引き出された出力軸14L、14Rのアウトボード側の端部の内周面に、等速ジョイント65aの外側継手部がスプライン結合されている。
出力軸14L、14Rに結合された等速ジョイント65aは、中間シャフト65c、等速ジョイント65bを介して駆動輪61L、61Rに接続される(図5)。
出力軸14L、14Rのアウトボード側の端部と側面ハウジング9bL、9bRに形成した開口部との間には、オイルシール55を設け、減速装置ハウジング9に封入された潤滑油の漏洩及び外部からの泥水などの侵入を防止している。
この実施形態では、内歯車RL、RRに連結された入力側外歯車13aは、内歯車RL、RRと一体に形成している。この入力側外歯車13aのそれぞれが、遊星歯車機構30Lと遊星歯車機構30Rのそれぞれの太陽歯車SL、SR、遊星歯車PL、PR、内歯車RL、RRの遊星歯車列により軸方向に挟まれた位置(インボード側)に配置している。このように構成することで、入力側外歯車13aへトルクを伝達するアイドラギヤ70a、入力歯車12aを、車両駆動装置1のインボード側に寄せて配置することが可能となり、二つの電動モータ2L、2Rを軸方向に近づけて配置することができる。このため、車両駆動装置1の軸方向寸法を縮小できる。
同様に、歯車装置30において、内歯車RL、RRに連結された入力側外歯車13aのそれぞれが、次の減速部にトルクを伝達する歯車13bより軸方向に挟まれる位置(インボード側)に配置することで、入力側外歯車13aへトルクを伝達するアイドラギヤ70a、入力歯車12aを、車両駆動装置1のインボード側に寄せて配置することが可能となり、二つの電動モータ2L、2Rを軸方向に近づけて配置することができる。このため、車両駆動装置1の軸方向寸法を縮小できる。
図1及び図2に示すように、軸方向から見ると電動モータ2L、2Rは入力側外歯車13aとは重なるが、歯車装置30の内歯車RL、RRとは重なっていない。アイドラギヤ70aにより、歯車装置30を電動モータ2L、2Rのステータ6とは重ならない位置に配置した。
図1に示す実施形態の2モータ式の車両駆動装置1の歯車構成は、図5に示すスケルトン図の通りである。
図5に示すように、左右の電動モータ2L及び電動モータ2Rは、車両に搭載されたバッテリ63からインバータ64を介して与えられた電力により動作する。そして、電動モータ2L、2Rは、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。
電動モータ2L、2Rのモータ軸5aのトルクは、減速装置3L、3Rの入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aとアイドラ軸70L、70Rのアイドラギヤ70aとの歯数比及びアイドラギヤ70aと中間歯車軸13L、13Rの大径の入力側外歯車13aとの歯数比で増大されて歯車装置30の内歯車RL、RRに伝達される。
そして、歯車装置30を介して中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bが出力軸14L、14Rの大径の出力歯車14aに噛み合って出力側小径歯車13bと出力歯車14aとの歯数比で電動モータ2L、2Rのモータ軸5aのトルクがさらに増大されて、駆動輪61L、61Rに出力される。
歯車装置30は、3要素2自由度の同一の遊星歯車機構が同軸上の中間歯車軸13L、13Rに二つ組み合わされて構成され、遊星歯車機構として、シングルピニオン遊星歯車機構を採用している。
遊星歯車機構は、同軸上に設けられた太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと、これら太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとの間に位置する複数の遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRを回転可能に支持し太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRとから構成される。ここで、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRは外周にギヤ歯を有する外歯車であり、内歯車RL、RRは内周にギヤ歯を有する内歯車である。遊星歯車PL、PRは太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとに噛み合っている。
シングルピニオン遊星歯車機構では、遊星キャリヤCL、CRを固定した場合に太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとが逆方向に回転するため、図6に示す速度線図に表すと内歯車RL、RR及び太陽歯車SL、SRが遊星キャリヤCL、CRに対して反対側に配置される。
この歯車装置30は、前記のように、太陽歯車SL、遊星キャリヤCL、遊星歯車PL及び内歯車RLを有する第1遊星歯車機構30Lと、同じく太陽歯車SR、遊星キャリヤCR、遊星歯車PR及び内歯車RRを有する第2遊星歯車機構30Rとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構30Lの遊星キャリヤCLと第2遊星歯車機構30Rの太陽歯車SRとが結合されて第1結合部材31を形成し、第1遊星歯車機構30Lの太陽歯車SLと第2遊星歯車機構30Rの遊星キャリヤCRとが結合されて第2結合部材32を形成している。
電動モータ2Lで発生したトルクTM1は、入力歯車軸12Lの入力歯車12aとアイドラ軸70Lのアイドラギヤ70aが噛み合い、アイドラ軸70Lのアイドラギヤ70aと入力側外歯車13aとが噛み合って中間歯車軸13Lに伝達され、中間歯車軸13Lに伝達されたトルクが、第1遊星歯車機構30Lを介して中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13bに伝達され、中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13bと出力軸14Lの出力歯車14aとが噛み合って出力軸14Lから駆動輪61Lに駆動トルクTLが出力される。
電動モータ2Rで発生したトルクTM2は、入力歯車軸12Rの入力歯車12aとアイドラ軸70Rのアイドラギヤ70aが噛み合い、アイドラ軸70Rのアイドラギヤ70aと入力側外歯車13aとが噛み合って中間歯車軸13Rに伝達され、中間歯車軸13Rに伝達されたトルクが、第2遊星歯車機構30Rを介して中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13bに伝達され、中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13bと出力軸14Rの出力歯車14aとが噛み合って出力軸14Rから駆動輪61Rに駆動トルクTRが出力される。
電動モータ2L、2Rからのモータトルクは、二つの遊星歯車機構のそれぞれの内歯車RL、RRに与えられ、第1結合部材31、第2結合部材32からの出力が駆動輪61L、61Rに与えられる。
第2結合部材32は、中空軸で構成されており、その内部に第1結合部材31が挿通され、第1結合部材31と第2結合部材32を構成する軸は二重構造になっている。
第1結合部材31は、その一端(図中右端)が太陽歯車SRの回転軸であり、他端(図中左端)が太陽歯車SLを貫通して設けられ、遊星キャリヤCLに接続されている。また、中空軸である第2結合部材32は、一端(図中左端)が太陽歯車SLの回転軸となっており、他端(図中右端)は遊星キャリヤCRと接続されている。この第1結合部材31と第2結合部材32によって、二つの遊星歯車機構が結合されている。
歯車装置30は、二つの同一のシングルピニオン形式の遊星歯車機構を組み合わせて構成されるため、図6に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に左側の遊星歯車機構30Lの速度線図を示し、下側に右側の遊星歯車機構30Rの速度線図を示す。また本来は、図1の実施形態では、各電動モータ2L、2Rから出力されたモータトルクTM1及びTM2は、アイドラ軸70L、70Rのアイドラギヤ70aを介して各入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと噛み合う入力側外歯車13aから各内歯車RL、RRに入力されるため減速比が掛かる、また、歯車装置30から取り出された駆動トルクTL、TRは、出力歯車14aと噛み合う出力側小径歯車13bを介し左右の駆動輪61L、61Rへ伝達されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、図6に示す速度線図及び各計算式の説明においては、減速比を省略し、各内歯車RL、RRに入力されるトルクをTM1及びTM2のまま、駆動トルクはTL、TRのままとする。
歯車装置30を構成する二つの遊星歯車機構は、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては内歯車RLと遊星キャリヤCLとの距離及び内歯車RRと遊星キャリヤCRとの距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車SLと遊星キャリヤCLとの距離及び太陽歯車SRと遊星キャリヤCRとの距離も等しく、これをbとする。遊星キャリヤCL、CRから内歯車RL、RRまでの長さと遊星キャリヤCL、CRから太陽歯車SL、SRまでの長さの比は、内歯車RL、RRの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車SL、SRの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。よって、a=(1/Zr)、b=(1/Zs)である。
内歯車RRの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(11)式が算出される。なお、図6において、図中矢印方向がモーメントMの正方向である。
a・TR+(a+b)・TL−(b+2a)・TM1=0 …(11)
内歯車RLの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(12)式が算出される。
−a・TL−(a+b)・TR+(b+2a)・TM2=0 …(12)
(11)式+(12)式より、下記(13)式が得られる。
−b・(TR−TL)+(2a+b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((2a+b)/b)・(TM2−TM1) …(13)
(13)式の(2a+b)/bがトルク差増幅率αとなる。a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(Zr+2Zs)/Zrとなり、下記のトルク差増幅率αが得られる。
α=(Zr+2Zs)/Zr
この発明では、電動モータ2L、2Rからの入力は、内歯車RL、RRとなり、駆動輪61L、61Rへの出力は太陽歯車SRと遊星キャリヤCL、太陽歯車SLと遊星キャリヤCRとなる。
そして、二つの電動モータ2L、2Rで異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=TM2−TM1)を与えると、歯車装置30において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。すなわち、入力トルク差ΔTINが小さくても、歯車装置30において上記したトルク差増幅率α(=(Zr+2Zs)/Zr)で入力トルク差ΔTINを増幅することができ、左駆動輪61Lと右駆動輪61Rとに伝達される駆動トルクTL、TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1)=TR−TL)を与えることができる。
この発明の第1の実施形態では、トルク差分配機構である歯車装置30を構成する二つの遊星歯車機構の接続は、太陽歯車SLと遊星キャリヤCR、太陽歯車SRと遊星キャリヤCLであるから、内歯車RL、RRよりも大径の接続部材を必要としない。このため、この第1の実施形態では、従来技術1及び従来技術2のものに比してトルク差分配機構を小さくすることができるので、トルク差分配機構を組み込んだ電気自動車用の車両駆動装置1を小さく軽量化することができる。
次に、この発明の第2の実施形態につき、図7から図10を参照して説明する。この第2の実施形態は、歯車装置30の次の減速を遊星歯車機構80としたものである。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、ここではその説明を割愛する。
図7及び図8に示すように、減速に用いる遊星歯車機構80の配置空間を確保するため、入力歯車12aの径とアイドラギヤ70aの径の和を第1の実施形態より大きくし、歯車装置30への入力側外歯車13aも電動モータ2L、2Rと重ならない位置としている。減速比は、第1の実施形態とはやや異なる。
図7のVIII−VIII線で断面とした図8に示すように、このアイドラギヤ70aは、トルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならない大きさの径を有する。すなわち、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心からステータ6の径方向端部までの距離より、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心から歯車装置30までの距離が大きくなるようにアイドラギヤ70aの径の大きさが決められる。上記のように径を決めたアイドラギヤ70aを設けることで、電動モータ2L、2Rとトルク差増幅機構である歯車装置30の遊星歯車機構30L、30Rのそれぞれ軸心間距離を広げて、トルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならないようにしている。
図9の拡大図に示すように、アイドラギヤ70aを有するアイドラ軸70L、70Rの両端は、側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴71bと中央ハウジング9aに形成した軸受嵌合穴71aとに転がり軸受72a、72bを介して支持されている。そして、軸受嵌合穴71a、71bは転がり軸受72a、72bの外輪が当接する壁部のある段付き形状になっている。
図10の拡大図に示すように、この第2の実施形態は、遊星歯車機構80を収容する減速機ハウジング9cL、9cRが側面ハウジング9bL、9bRのアウトボード側にそれぞれ設けられている。減速機ハウジング9cL、9cRの内周に内歯車81L、81Rが設けられている。この内歯車81L、81Rと噛み合う遊星歯車82L、82Rがキャリヤピン83により、インボード側遊星キャリヤ84aとアウトボード側遊星キャリヤ84bに針状ころ軸受89を介して支持されている。
歯車装置30は、第1の実施形態と同様の同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなる。歯車装置30を構成する遊星歯車機構は、前述した図4の拡大図の構成と同様である。
歯車装置30のアウトボード側のキャリヤフランジ34aは、側面ハウジング9bL、9bRの開口部から遊星歯車機構80を収容する減速機ハウジング9cL、9cR側にそれぞれ引き出されている。キャリヤフランジ34aの外周面には遊星歯車機構80の太陽歯車85が設けられ、遊星歯車82L、82Rに噛み合う。
インボード側遊星キャリヤ84aのキャリヤフランジ84cは側面ハウジング9bL、9bRに設けられた転がり軸受86により回転自在に支持されている。キャリヤフランジ84cは中空であり、内周にキャリヤフランジ34aの中空軸部35が配置されている。
アウトボード側の遊星キャリヤ84bのキャリヤフランジ84dは減速機ハウジング9cL、9cRに設けられた転がり軸受87により回転自在に支持されている。キャリヤフランジ84dは中空であり、内周面に等速ジョイント65aの外側継手部がスプライン結合されている。減速機ハウジング9cL、9cRの開口部と等速ジョイント65aの外側継手部都の外周面との間にシール部材88が設けられて、このシール部材88により減速装置ハウジング9に封入された潤滑油の漏洩及び外部からの泥水などの侵入を防止している。
歯車装置30からのトルクはキャリヤフランジ34aの中空軸部35の外周面に設けられた太陽歯車85に与えられる。太陽歯車85に噛み合う遊星歯車82L、82Rが自転しながら公転し、減速しながら遊星キャリヤ84a、84bを自転させ、キャリヤフランジ84dに結合された等速ジョイント65aにトルクが伝達される。
この第2の実施形態では、歯車装置30のアウトボード側に減速に用いる遊星歯車機構80を配置しているので、軸と直交する方向の寸法を第1の実施形態より短くすることができる。
次に、この発明の第3の実施形態につき、図11から図14に従い説明する。
図14に示す電気自動車AMは、後輪駆動方式であり、シャーシ60と、後輪としての駆動輪61L、61Rと、前輪62L、62Rと、この発明に係る2モータ式の車両駆動装置1、バッテリ63、インバータ64等を備える。図14では、車両駆動装置1の歯車構成をスケルトン図で示している。
図11及び図14に示す車両駆動装置1は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源としての電動モータ2L、2Rと、左右の駆動輪61L、61Rと二つの電動モータ2L、2Rとの間に設けられる左右2基の減速装置3L、3Rとを備える。電動モータ2L、2Rのモータ軸5aに連結された入力歯車12aを有する入力歯車軸12L、12Rと歯車装置30の入力側外歯車13aとの間にはアイドラギヤ70a、70aがそれぞれ設けられ、前述したように、電動モータ2L、2Rと、減速装置3L、3Rと一体に設けられた歯車装置30とが軸方向から見て重ならないように配置することで、無駄なスペースを圧縮し、車両駆動装置の軸方向寸法を縮小している。
図11のXII−XII線で断面とした図12に示すように、このアイドラギヤ70aは、後述するトルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならない大きさの径を有する。すなわち、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心からステータ6の径方向端部までの距離より、電動モータ2L、2Rのモータ軸5aの中心から歯車装置30までの距離が大きくなるようにアイドラギヤ70aの径の大きさが決められる。上記のように径を決めたアイドラギヤ70aを設けることで、電動モータ2L、2Rとトルク差増幅機構である歯車装置30の遊星歯車機構30L、30Rのそれぞれ軸心間距離を広げて、トルク差増幅機構である歯車装置30と電動モータ2L、2Rとが軸方向から見て重ならないようにしている。
2モータ式の車両駆動装置1の駆動トルクは、等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して左右の駆動輪61L、61Rに伝達される。
なお、2モータ式の車両駆動装置1の搭載形態としては、図14に示す後輪駆動方式の他、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。また、車両駆動装置1が前輪あるいは後輪の一方を駆動し、他方は内燃機関で駆動する四輪駆動方式でもよい。
この第3の実施形態は、歯車装置30に従来技術1と同様の二連の遊星歯車を有するダブルピニオン遊星歯車機構を採用している。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、ここではその説明を割愛する。
この歯車装置30は、図14に示すように、太陽歯車SL、遊星キャリヤCL、遊星歯車PL及び内歯車RLを有する第1遊星歯車機構30Lと、同じく太陽歯車SR、遊星キャリヤCR、遊星歯車PR及び内歯車RRを有する第2遊星歯車機構30Rとが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1遊星歯車機構30Lの遊星キャリヤCLと第2遊星歯車機構30Rの太陽歯車SRとが第1結合部材31で結合され、第1遊星歯車機構30Lの太陽歯車SLと第2遊星歯車機構30Rの遊星キャリヤCRとが第2結合部材32で結合されている。
第1結合部材31には、電動モータ2Lで発生されたトルクTM2がアイドラ軸70Lのアイドラギヤ70aを介して入力歯車軸12Lの入力歯車12aと噛み合う第1遊星歯車機構30Lの遊星キャリヤCLと結合する入力側外歯車13aに伝達されて入力され、第2結合部材32には、電動モータ2Rで発生されたトルクTM1がアイドラ軸70Rのアイドラギヤ70aを介して入力歯車軸12Rの入力歯車12aと噛み合う第2遊星歯車機構30Rの遊星キャリヤCRと結合する入力側外歯車13aに伝達されて入力される。また、第1遊星歯車機構30Lの内歯車RLは、出力軸14Lと等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して左の駆動輪61Lと接続される。第2遊星歯車機構30Rの内歯車RRは、出力軸14Rと等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して右の駆動輪61Rに接続される。この第3の実施形態では、歯車装置30以降の出力側では減速がされていない。
歯車装置30は、左右の1対の中間歯車軸13L、13Rと同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなる。
歯車装置30を構成する遊星歯車機構は、図13の拡大図に示すように、等速ジョイント65aに出力軸14L、14Rを介して連結する内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、内歯車RL、RRと太陽歯車SL、SRに噛み合う公転歯車としての複数の二連の遊星歯車PL、PRを備える。遊星歯車PL、PRは遊星キャリヤCL、CRに支持されている。内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRについて、一方の遊星キャリヤCLと他方の太陽歯車SRとを結合する第1結合部材31と、一方の太陽歯車SLと他方の遊星キャリヤCRとを結合する第2結合部材32とが接続される。
遊星キャリヤCL、CRは、それぞれ複数の二連の遊星歯車PL、PRを支持するキャリヤピン33と、キャリヤピン33のアウトボード側端部に連結されたアウトボード側のキャリヤフランジ34aと、インボード側端部に連結されたインボード側のキャリヤフランジ34bを有する。
遊星キャリヤCLのインボード側キャリヤフランジ34bはインボード側に延びる中空軸部36を備えており、中空軸部36内に第2結合部材32、第1結合部材31が挿通されている。そして、中空軸部36の外周には、アイドラギヤ70aを介して入力歯車軸12Lの入力歯車12aと噛み合う入力側外歯車13aが設けられる。
遊星キャリヤCRのインボード側キャリヤフランジ34bは第2結合部材32と一体に形成され、この第2結合部材32の外周には、アイドラギヤ70aを介して入力歯車軸12Rの入力歯車12aと噛み合う入力側外歯車13aが設けられる。遊星キャリヤCRのアウトボード側端部のキャリヤフランジ34aの内周は、第1結合部材31を転がり軸受49を介して支持している。
そして、内歯車RL、RRに連結される出力軸14L、14Rが等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して左右の駆動輪61L、61Rに接続される構成である。
太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRは、それぞれ複数の二連の遊星歯車PL、PRを介して噛み合うダブルピニオン遊星歯車機構を構成している。
アウトボード側のキャリヤフランジ34aのアウトボード側の端部の外周が、内歯車RL、RRに対して転がり軸受39a、39aを介して支持されている。インボード側のキャリヤフランジ34bのアウトボード側の端部の外周が、内歯車RL、RRに対して転がり軸受39b、39bを介して支持されている。
インボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36のインボード側の端部が、中央ハウジング9aの仕切り壁11に形成した軸受嵌合穴19aに転がり軸受20aを介して支持されている。尚、図11及び図13に示す実施形態では、遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bは第2結合部材32と一体に形成されている。
複数の二連の遊星歯車PL、PRは、針状ころ軸受37を介してキャリヤピン33によって支持されている。
車両駆動装置1の歯車装置30を構成する二つの遊星歯車機構を連結している第1結合部材31及び第2結合部材32は、減速装置ハウジング9の中央ハウジング9aを左右に仕切る仕切り壁11を貫通して組み込まれている。
この第1結合部材31と第2結合部材32は、同軸上に配置されると共に、一方の結合部材(図11及び図13の実施形態では第2結合部材32)が中空軸、他方の結合部材(図11及び図13の実施形態では第1結合部材31)が中空軸に挿通される軸からなる二重構造になっている。
図11及び図13に示す実施形態では、第1結合部材31の左側の遊星歯車機構30L側の端部と、遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aにスプラインを設け、第1結合部材31を遊星キャリヤCLに対しスプライン嵌合により連結している。
また、図11及び図13に示す実施形態では、第2結合部材32の右側の遊星歯車機構30R側の端部と、遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36とを一体に形成しているが、スプラインを設けて、第2結合部材32を遊星キャリヤCRに対しスプライン嵌合により連結してもよい。遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bの外周面に、アイドラギヤ70aと噛み合う外歯車が設けられ、この外歯車が入力側外歯車13aを形成している
遊星キャリヤCLのインボード側のキャリヤフランジ34bの外周面に、アイドラギヤ70aと噛み合う外歯車が設けられ、この外歯車が入力側外歯車13aを形成している。
中空軸で構成される第2結合部材32に挿通される第1結合部材31は、右側の第2遊星歯車機構30R側の端部に大径部43を有し、この大径部43の外周面に、遊星歯車機構30Rの遊星歯車PRと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が遊星歯車機構30Rの太陽歯車SRを構成している。第2結合部材32は、左側の第1遊星歯車機構30L側の端部の外周面に、遊星歯車機構30Lの遊星歯車PLと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が遊星歯車機構30Lの太陽歯車SLを構成している。
出力軸14L、14Rは、側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴53bに転がり軸受54bによって支持されている。そして、軸受嵌合穴53bは、転がり軸受54bの外輪が当接する壁部のある段付き形状になっている。
出力軸14L、14Rは、側面ハウジング9bL、9bRに形成した開口部から減速装置ハウジング9の外側に引き出され、引き出された出力軸14L、14Rのアウトボード側の端部の内周面に、等速ジョイント65aの外側継手部がスプライン結合されている。
出力軸14L、14Rに結合された等速ジョイント65aは、中間シャフト65c、等速ジョイント65bを介して駆動輪61L、61Rに接続される(図14)。
出力軸14L、14Rのアウトボード側の端部と側面ハウジング9bL、9bRに形成した開口部との間には、オイルシール55を設け、減速装置ハウジング9に封入された潤滑油の漏洩及び外部からの泥水などの侵入を防止している。
上記した第3の実施形態は、ダブルピニオン遊星歯車機構のトルク差増幅機構である歯車装置30を、1段減速の2軸目に配置した例である。トルク差増幅率は前述した従来技術1と同様の計算で算出される。
上記した第1及び第2の実施形態において、歯車装置30を2軸目ではなく3軸目に配置する手法が好ましくない理由として、次を挙げる。
(1)2軸目は小歯車と大歯車の組合せとなるために、二つの歯車が軸方向に並び幅があり、歯車装置30を2軸目に配置しないことによる軸方向短縮効果が少ない、
(2)歯車装置30を3軸目に配置すると、2段減速後の大きくなったトルクを受けるため、トルク差増幅機構の遊星歯車機構の歯幅が大きくなり、トルク差増幅機構の幅も大きくなる。2軸目の大歯車が、トルク差増幅機構の横に軸方向に重なるように位置するため、更に軸方向短縮効果が少ない、
また、1軸目へトルク差増幅機構を配置すると、二つの電動モータが同トルクの場合は歯車装置の遊星歯車機構は一体となり回転し、径の大きな内歯車が高速で回転するため、重量のアンバランスに起因する振動が起こらないよう、内歯車の製作に高い精度が必要である。先の理由とも合わせて、2段減速においては、歯車装置30は2軸目(中間歯車軸)に配置するのが好ましい。
上記した第2の実施形態に示すような、トルク差増幅機構である歯車装置30より駆動輪側へ減速・増トルクする減速部を設け、その減速部に遊星歯車機構を用いる場合において、歯車装置30から次の減速部にトルクを伝達する歯車(太陽歯車)が先の入力側外歯車13aよりインボード側に配置されると、鏡面対称に第1遊星歯車機構30Lと第2遊星歯車機構30Rが存在しているため減速用遊星歯車機構へ同軸で出力することが出来ず、更に歯車を介してオフセットして(モータ軸から離れて)出力する必要があり、全体体格が大きくなり、モータ部軸方向の短縮効果が無いので好ましくない。
なお、車両駆動装置1が搭載される車両は、電気自動車やハイブリッド電気自動車に限られず、例えば、第1電動モータ2L及び第2電動モータ2Rを駆動源とした燃料電池自動車であってもよい。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得る。
1 :車両駆動装置
2L、2R :電動モータ
3L、3R :減速装置
4L、4R :モータハウジング
4aL、4aR :モータハウジング本体
4bL、4bR :外側壁
4cL、4cR :内側壁
5 :ロータ
5a :モータ軸
6 :ステータ
8a、8b、17a、17b、20a、20b、39a、39b、54a、54b、72a、72b、86、87 :転がり軸受
9 :減速装置ハウジング
9a :中央ハウジング
9bL、9bR :側面ハウジング
9cL、9cR :減速機ハウジング
11 :仕切り壁
12L、12R :入力歯車軸
12a :入力歯車
13L、13R :中間歯車軸
13a、14b :入力側外歯車
13b :出力側小径歯車
14L、14R :出力軸
14a :出力歯車
16a、16b、19a、19b、53a、53b、71a、71b :軸受嵌合穴
18、88 :シール部材
30 :歯車装置
30L :第1遊星歯車機構
30R :第2遊星歯車機構
31 :第1結合部材
32 :第2結合部材
33、83 :キャリヤピン
34a、34b、84c、84d :キャリヤフランジ
35、36 :中空軸部
37、45、46、89 :針状ころ軸受
38 :スラスト板
40、44 :カラー
42 :スプライン
43 :大径部
49 :深溝玉軸受
55 :オイルシール
60 :シャーシ
61L :左駆動輪
61R :右駆動輪
62L :左前輪
62R :右前輪
63 :バッテリ
64 :インバータ
65a、65b :等速ジョイント
65c :中間シャフト
70L、70R :アイドラ軸
70a :アイドラギヤ
80 :遊星歯車機構
81L、81R :内歯車
82L、82R :遊星歯車
84a :インボード側遊星キャリヤ
84b :アウトボード側遊星キャリヤ
L、PR、82L、82R :遊星歯車
L、RR :内歯車
L、SR、85 :太陽歯車
L、CR :遊星キャリヤ
AM :電気自動車
M :モーメント
Zr、Zs :歯数
TM1、TM2 :モータトルク
TL、TR :駆動トルク
ΔTIN :入力トルク差
ΔTOUT :駆動トルク差
a、b :距離
α :トルク差増幅率

Claims (5)

  1. 車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータと、前記二つの電動モータと左右の駆動輪との間に設けられ、前記二つの電動モータからのトルクを左右輪に分配する歯車装置と、前記二つの電動モータのトルクを駆動輪に伝達する減速装置とを備える車両駆動装置において、前記減速装置は、電動モータに連結し、入力歯車を有する入力歯車軸と、駆動輪に連結する出力軸と、歯車の噛み合いにより入力歯車軸から出力軸の間の動力伝達を行う中間歯車軸が少なくとも一つ以上設けられ、前記二つの電動モータからのトルクを左右輪に分配する歯車装置は、同軸に設けられた左右の1対の中間歯車軸と同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなり、前記入力歯車とこの入力歯車からトルクが伝達される中間歯車軸の大径歯車との間に、アイドラギヤが設けられ、前記電動モータのモータ軸の中心から電動モータのステータの径方向端部までの距離より、前記電動モータのモータ軸の中心から前記歯車装置までの距離が大きくなるように、前記アイドラギヤの径が規定されていることを特徴とする車両駆動装置。
  2. 前記歯車装置の前記遊星歯車機構は、内歯車と、前記内歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、前記内歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、公転歯車としての遊星歯車とを有し、前記二つの遊星歯車機構の一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両駆動装置。
  3. 前記遊星歯車機構は、太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた内歯歯車と、前記太陽歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、を有し、
    前記歯車装置は、一方の遊星キャリヤと他方の太陽歯車とを結合する第1結合部材と、一方の太陽歯車と他方の遊星キャリヤとを結合する第2結合部材とを有し、
    一方の前記電動モータのトルクは、前記第1結合部材に伝達され、他方の前記電動モータのトルクは、前記第2結合部材に伝達され、一方の前記駆動輪は一方の内歯歯車からトルクが伝達され、他方の前記駆動輪は他方の内歯歯車からトルクが伝達されることを特徴とする請求項1に記載の車両輪駆動装置。
  4. 前記減速装置を構成する歯車が外歯車であり、前記歯車装置と同軸上にある前記減速装置の中間歯車軸に、前記アイドラギヤの歯車と噛み合う入力側外歯車と、前記遊星歯車機構の遊星キャリヤと連結され、出力歯車または従動側中間歯車軸の歯車と噛み合う出力側小径歯車とを設け、前記遊星キャリヤの両端が転がり軸受によって回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両駆動装置。
  5. 前記遊星歯車機構は、それぞれ内歯車と、前記内歯車と同軸上に設けられた遊星キャリヤと、前記内歯車と同軸上に設けられた太陽歯車と、公転歯車としての遊星歯車とを有し、前記内歯車の外周部に前記アイドラギヤと噛み合う入力側外歯車を設けたことを特徴とする請求項1、2又は4に記載の車両駆動装置。
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