JP2017202236A - 歩行分析方法及び歩行分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩行に伴う被験者の膝障害の発症又は悪化を防ぐ歩行分析技術を提供する。【解決手段】歩行分析方法は、歩行中の被験者の加速度データを取得する取得工程(S11)と、前記取得工程(S11)で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスクを評価する評価工程(S12)と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、歩行分析技術に関し、特に、歩行中の加速度を用いた分析技術に関する。
高齢者の筋力維持を図り、健康寿命を長くするべく、歩行活動を促進する各種サービスが提供されている。ところが、不適切な歩行活動を続けた場合、膝や足首、股関節などを痛めてしまう可能性もある。そこで、被験者の運動状態や歩行状態を分析する手法も各種提案されている。
例えば、下記特許文献1には、運動特性モデルと予め用意された基準モデルとの比較により被験者の運動特性を評価する手法が開示されている。この手法で、運動特性モデルを決定するために、足底部にかかる圧力、各足底部と胴部との位置関係の遷移及び重心高さを用いて、被験者の前後方向と直交する垂直面での重心位置を推測してその遷移を得て、かつ、その垂直面での重心に作用するモーメントを求めることが開示されている。下記特許文献2には、歩行者の膝関節を挟むよう取り付けされたセンサにより測定された加速度又は角速度に基づいて、歩行者の膝関節の関節角度を求め、この関節角度により歩行者の歩行状態を評価することが開示されている。
また、質問形式で被験者の運動器の状態又は疾患の度合を主観的に評価する手法が存在する。例えば、ロコモ25と呼ばれるツールは、25の設問に対する被験者の回答を集計することにより、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)(ロコモと略称される)のリスク度合を評価するために用いられる。また、JKOM(Japanese Knee Osteoarthritis Measure)と呼ばれる、変形性膝関節症の疾患の度合を評価するツールも存在する(非特許文献1参照)。
下記特許文献3には、被験者のバイオロジカルモーションデータから任意の関節部位の折曲角度を算出し、その折曲角度に基づいてロコモティブシンドロームの評価値を算出する手法が開示されている。
なお、非特許文献2及び3については後述する。
特開2012−161402号公報 特開2014−208257号公報 特開2015−29543号公報
Arai M,et al.,"An outcome measure for Japanese people with knee osteoarthritis.",The Journal of Rheumatology vol.32 no.8,1524−1532,2005 "AIST歩行データベース2015"、[online]、国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)、[平成28年3月17日検索]、インターネット<URL:https://www.dh.aist.go.jp/database/gait2015/index.html> "関節モーメントによる歩行分析"、第一章〜第二章、臨床歩行分析研究会編、医歯薬出版株式会社、1997年7月
JKOMで評価される変形性膝関節症(以降、OA(Osteoarthritis)と略称される)は、膝障害の一例であり、膝に痛みを生じさせ歩行を阻害するため、健康寿命を縮める原因の一つとされている。このOAの発症に、歩行状態が関与することが知られている。
このため、歩行活動は、筋力を維持し健康体を保つためにはとても大切な活動である一方、歩行状態によっては、OAの発症などにより健康寿命を縮める原因となり得る活動でもある。
そこで、OAなどの膝障害を発症させないため又は膝障害を悪化させないための歩行分析技術が望まれるところ、上述の各技術では、運動特性や歩行状態が分析されるに過ぎず、そのような課題を解決するには至っていないのが現状である。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、歩行に伴う被験者の膝障害の発症又は悪化を防ぐ歩行分析技術を提供する。
本発明の各態様では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
第一の態様は、歩行分析方法に関する。第一の態様に係る歩行分析方法は、歩行中の被験者の加速度データを取得する取得工程と、前記取得工程で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスクを評価する評価工程と、を含む。
第二の態様は、歩行分析装置に関する。第二の態様に係る歩行分析装置は、歩行中の被験者の加速度データを取得する取得手段と、前記取得手段で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスク情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたリスク情報を出力する出力手段と、を備える。
なお、本発明の別態様として、上記第一態様に係る歩行分析方法をコンピュータに実行させるプログラムが実現されてもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体が実現されてもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
上記各態様によれば、歩行に伴う被験者の膝障害の発症又は悪化を防ぐ歩行分析技術を提供することができる。
本発明の実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。 第一実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。 一般的な一歩行周期を概念的に示す図である。 第一実施形態における歩行分析装置(第一装置)のハードウェア構成例を概念的に示す図である。 第一実施形態における歩行分析装置(第一装置)の処理構成例を概念的に示す図である。 第一実施形態の変形例における歩行分析方法を示すフローチャートである。 第二実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。 第二実施形態の変形例における歩行分析方法を示すフローチャートである。 第三実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。 膝障害リスクの評価に用いられるグラフの一例を示す図である。 変形例における歩行分析方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
まず、後述する各実施形態の概要について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。
図1に示されるように、本実施形態に係る歩行分析方法は、歩行中の被験者の加速度データを取得する工程(S11)と、工程(S11)で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う当該被験者の膝障害のリスクを評価する工程(S12)とを含む。
工程(S11)で取得される加速度データは、加速度の時系列データであり、加速度は一以上の方向成分で示される。言い換えれば、当該加速度データは、任意の時間内で計測された一以上の方向の加速度値の集合である。なお、当該加速度データは、或る一時点における或る一方向の加速度値であってもよい。
工程(S11)における加速度データの取得方法は限定されない。
例えば、被験者に装着された加速度センサにより計測された加速度値群が加速度データとして取得される。この場合、スマートフォンやパーソナルコンピュータ(以降、PCと表記する)などのようなコンピュータが、加速度センサと通信することにより、当該加速度データを取得することができる。工程(S11)の実行主体は、当該加速度センサを内蔵する装置であってもよい。
また、モーションキャプチャ技術を用いて当該加速度データが算出されてもよい。具体的には、コンピュータ又はセンサが、モーションキャプチャ技術により被験者の位置の軌跡データを測定し、その測定された位置の軌跡データを微分演算することにより、加速度データを算出することができる。位置情報は、被験者に取り付けられたマーカを検出することで得られてもよいし、Kinect(登録商標)センサなどのようにマーカを用いず被験者画像から検出することもできる。加速度データは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)の歩行データベースにおける全身の歩行計測パターンに基づいて算出することもできる(非特許文献2参照)。
工程(S11)で取得される加速度データが歩行中の被験者の身体のどの部位の加速度を示すかは任意である。例えば、工程(S11)では、被験者の腰部の加速度データが取得される。ここでの「腰部」とは、所謂「腰」に加えて、その腰から腹部までの所謂「腰周り」を含み、更には、「腰回り」の周辺も含む。所謂「腰」は、脊柱の下部から骨盤周辺までの背中側の部位である。「腰回り」の周辺は、腰と一体的に動く部位を含む範囲であることが好ましい。腰部は、加速度センサを装着し易くかつ装着した状態で歩行し易いため、好ましい。更に、腰部は、歩行中であっても緩やかに動くため、歩行中に様々な方向に激しく動く部位よりは、ノイズの少ない加速度データを取得することができるため、好ましい。
また、本実施形態に係る歩行分析方法では、リスク評価の対象が膝障害であるため、歩行時の膝の動き又は膝に作用する力と何らかの関連のある部位の加速度データが取得されてもよい。例えば、足首、膝、太腿、首、頭などから加速度データが取得されてもよい。
本実施形態に係る歩行分析方法は、工程(S12)において、工程(S11)で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う当該被験者の膝障害のリスクを評価する。
ここで、「膝障害」とは、膝に生じる何らかの異常を意味し、膝の構造(膝関節を構成する骨、関節、軟骨、靭帯など)上、機能上、又は感覚(膝痛、膝の違和感など)上の異変を含む。
また、工程(S12)で評価される「歩行に伴う膝障害のリスク」とは、歩行が本人の膝に何らかの異常状態を発生させ得る可能性(潜在的リスク)、又は発生させた可能性(顕在的リスク)を意味する。例えば、潜在的リスクとしては、リスクの有無又は程度が評価され、顕在的リスクとしては、既に生じている膝障害が歩行を原因とするか否か又は原因とする可能性の程度が評価され得る。
また、この「歩行に伴う膝障害のリスク」の評価は、歩行改善の必要性の評価を間接的に含むといえる。歩行に伴う膝障害のリスクの有無又は高さを歩行改善の必要性の有無又は高さに結び付けることができるからである。
工程(S12)における加速度データに基づく上記リスクの評価手法には、様々な手法が考えられる。具体的評価手法については、後述の各実施形態において例示される。
このように、本実施形態では、歩行中の被験者の加速度データに基づいて、その被験者の、歩行に伴う膝障害のリスクが評価される。従って、本実施形態によれば、その評価結果に基づいて、膝障害が未発生の被験者については歩行に伴う膝障害の発症を防ぐことができ、膝障害が発生している被験者については歩行に伴う膝障害の悪化を防ぐことができる。
また、本実施形態に係る歩行分析方法は、部分的に人により実行されてもよい。例えば、工程(S12)の実行主体は、人を含んでもよいし、人を含まなくてもよい。
例えば、後述する歩行分析装置(コンピュータ)が当該歩行分析方法の全てを実行する。
また、工程(S12)において、コンピュータが、取得された加速度データに対して何らかの処理を施すことにより何らかの情報を出力し、人が、その出力された情報を参照することにより上記評価を行ってもよい。
本実施形態に係る歩行分析方法は、人の歩行中の加速度データが歩行に伴うその人の膝障害のリスクと相関性を示すという人間の特性を新たに見出して、その新たに見出された特性を利用して、当該膝障害の発症又は悪化を防ぐことができるという一定の効果を反復継続して実現する方法である。従って、例え、人によって実施される工程が含まれていたとしても、本実施形態に係る歩行分析方法は、全体として、自然法則を利用した技術的思想と言える。
以下、上述の内容をより具体的に各実施形態としてそれぞれ説明する。なお、上述と同じ内容については適宜省略する。
[第一実施形態]
〔歩行分析方法〕
図2は、第一実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。
図2に示されるように、第一実施形態に係る歩行分析方法(以下、第一方法とも表記される)は、歩行中の被験者の加速度データを取得する工程(S21)と、工程(S21)で取得された加速度データを用いて歩行中に被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する工程(S22)と、工程(S22)で算出されたモーメント値に基づいて歩行に伴う膝障害のリスクを評価する工程(S23)とを有する。
工程(S21)は、上述の工程(S11)と同様である。
第一方法では、工程(S22)及び工程(S23)が上述の工程(S12)に該当する。
第一方法は、工程(S22)において、母集団から予め測定された歩行サンプルデータの統計情報及び工程(S21)で取得された加速度データを用いて、歩行中に被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する。
ここで、「膝関節モーメント」は、膝において前額面に直交する軸(人体の前後方向に延びる軸)の周りに生じる回転力であり、反時計回りの内反モーメント及び時計回りの外反モーメントのいずれか一方又は両方である。O脚の膝関節では内反モーメントが優位となり、X脚の膝関節では外反モーメントが優位となる傾向があること、内反又は外反モーメントにより膝関節の内側又は外側がすり減ることで、変形性膝関節症が発症することなど知られている。
「歩行サンプルデータ」は、母集団を形成する歩行中の各人から測定可能なデータであって、歩行中の当該各人の膝関節モーメント値を導出可能なデータである。「歩行サンプルデータ」には、歩行中の当該各人の加速度又はその加速度を導出可能なデータが含まれていることが好ましく、体格データ等、母集団に関するそれら以外のデータが含まれていてもよい。歩行サンプルデータから母集団の各人の膝関節モーメント値が算出される場合には、その算出手法には公知の手法が利用されればよい。例えば、膝関節モーメント値は、床反力のみから近似算出できること、関節位置、関節加速度(角速度)、身体パラメータなどを更に用いても算出できることが知られている(非特許文献3参照)。よって、この場合、歩行サンプルデータは、母集団の歩行中の各人の腰部及び膝部の位置データ又は加速度データ、及び床反力データを含んでいてもよい。
「歩行サンプルデータの統計情報」は、歩行中の加速度と膝関節モーメントとの因果関係に基づいて歩行サンプルデータを統計処理することにより得られる情報である。歩行中の加速度と膝関節モーメントとの因果関係は、本発明者らにより新たに見出されたものであり、例えば、このような因果関係に基づく回帰分析により得られる回帰式が当該統計情報の一例として挙げられる。この例では、当該統計情報は、歩行中の加速度値を説明変数とし、歩行中の膝関節モーメント値を目的変数とする単回帰式又は重回帰式に該当する。「歩行サンプルデータの統計情報」がそのような回帰式である場合、第一方法は、工程(S22)において、その回帰式に工程(S21)で取得された加速度データを代入することで、被験者の膝関節モーメント値を算出することができる。
工程(S22)では、工程(S21)で取得された加速度データから得られる、一歩行周期中の予め定められた複数タイミングの各々における加速度データを用いて、当該膝関節モーメント値を算出することが好ましい。言い換えれば、歩行中の膝関節モーメントとより強い因果関係を示す各タイミングの加速度データが用いられることが望ましい。膝関節モーメントは、一歩行周期の中でも局所的なタイミング(以下に示す立脚期、遊脚期など)で相違するからである。
「一歩行周期」とは、いずれか一方の足が着床してから、再度、着床するまでの歩行期間を意味する。但し、一歩行周期の開始時点は、足が着床した時でなくてもよく、任意である。
図3は、一般的な一歩行周期を概念的に示す図である。一歩行周期は、片脚に着目した場合、立脚期と遊脚期とから形成される。立脚期はその片脚が着床している期間であり、遊脚期はその片脚が離床している期間である。立脚期は、更に、踵接地期(着床時)、立脚中期及び踏みきり期から形成される。
更に、当該複数タイミングを二以上の方向成分の各々について個別に予め定めておき、工程(S12)では、当該各タイミングにおける、そのタイミングに対応する方向の加速度値を用いて、膝関節モーメント値を算出することがより好ましい。
これにより、膝関節モーメント値の算出精度を一層向上させることができる。
ここで、「一歩行周期中の予め定められた複数タイミング」の各々は、或る一時点であってもよいし、任意の時間幅を持つ期間であってもよい。当該「複数タイミング」の各々は、相互に異なる時間幅を有していてもよい。
当該複数タイミングの各々が、個別に予め定められた時間幅を有する場合、工程(S22)では、当該複数タイミングの各々の時間幅内における同一方向の加速度値の平均値を用いて、膝関節モーメント値を算出すればよい。
歩行中の加速度データの中の一歩行周期は、その加速度データに含まれる鉛直の方向成分に基づいて特定することができる。例えば、当該加速度データが示す鉛直方向の加速度の極大値を検出し、時系列に並ぶ極大値間が一歩行周期として特定される。このため、第一方法は、工程(S21)で取得された加速度データが示す鉛直の方向成分に基づいて、その加速度データの中の一歩行周期を特定する工程を更に含んでもよい。この場合、工程(S22)では、その工程で特定された一歩行周期中の加速度データから、当該複数タイミングの各々における加速度データを特定して用いることができる。
一歩行周期の特定は他の方法で実現することもできる。例えば、モーションキャプチャ技術を用いて、右足(又は右脚)及び左足(又は左脚)の所定箇所の位置の軌跡を検出し、右足と左足との位置関係から一歩行周期を特定することもできる。また、被験者に、一歩行周期の開始時点と終了時点とにおいて、ボタン操作、発声などの所定動作を実施させ、その所定動作を検出することで、一歩行周期を特定することもできる。
上述したとおり、膝関節モーメントは、一歩行周期の中でも立脚期と遊脚期とでは異なり、立脚期の中でも踵接地期と立脚中期と踏みきり期とでは異なる。このため、工程(S22)で算出される膝関節モーメント値は、歩行中の予め決められた又は任意の時点におけるモーメント値であってもよいし、予め決められた期間の最大又は最小モーメント値であってもよいし、当該期間の平均モーメント値であってもよい。
また、当該モーメント値は、右膝関節及び左膝関節のいずれか一方でもよいし、その両方でもよい。また、当該モーメント値は、体重などの体格データで正規化されたものであってもよいし、正規化されないもの(Nm(ニュートンメートル))であってもよい。
第一方法は、工程(S23)において、工程(S22)で算出された歩行中に被験者の膝関節に生ずるモーメント値に基づいて、歩行に伴う被験者の膝障害のリスクを評価する。工程(S22)で算出されたモーメント値は、歩行中に膝関節にかかる負担の大きさを示すため、歩行が膝障害を引き起こす又は引き起こした可能性の高さを示すといえる。
このため、算出されたモーメント値が大きい程、膝障害の顕在的又は潜在的リスクが高いと評価することができる。また、モーメント値に関して一以上の閾値を予め定めておき、算出されたモーメント値とその閾値との比較により、膝障害リスクを段階的に評価することもできる(危険、注意、問題なしなど)。例えば、体重で正規化されたモーメント値を算出する場合、体重より大きいモーメント値か否か(モーメント値が1以上か否か)により、危険か否かを評価することができる。
膝障害の顕在的リスクが評価される場合、膝障害リスクの高さにより、膝障害が歩行を原因とする可能性の高さが示される。このため、顕在的リスクを段階的に評価する場合には、歩行が原因、OAの疑い有り、歩行以外が原因といった段階的評価が可能である。
工程(S23)は、後述する歩行分析装置などのコンピュータにより実行されてもよいし、人により行われてもよい。工程(S23)が人により行われる場合、例えば、コンピュータが(S22)で算出された膝関節モーメント値を出力し、その出力を見た者が、その値に従って、歩行に伴う膝障害のリスクを評価してもよい。このとき、その者は、算出された膝関節のモーメント値と共に、膝関節モーメント値と膝障害リスクとの対応関係を示すグラフを参照することもできる。
工程(S23)での具体的評価手法は制限されない。
〔歩行分析装置〕
次に、第一実施形態における歩行分析装置(以降、第一装置と表記する場合がある)について説明する。第一装置は、上述の第一方法を実行することができる。
図4は、第一実施形態における歩行分析装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
第一装置10は、いわゆるコンピュータであり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。第一装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。また、第一装置10は、図4に図示されないハードウェア要素を含んでもよく、第一装置10のハードウェア構成は制限されない。
CPU11は、一般的なCPU以外に、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等で構成してもよい。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置、印刷装置などの少なくとも一つである。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。また、通信ユニット14には、加速度センサ17又はカメラ(図示せず)が接続されてもよい。
また、第一装置10は、加速度センサ17を内蔵する機器であってもよい。
図5は、第一実施形態における歩行分析装置10の処理構成例を概念的に示す図である。
第一装置10は、取得部21、算出部22、情報格納部23、生成部24、出力部25等を有する。これら処理モジュールは、ソフトウェア要素であり、例えば、メモリ12に格納されるプログラムがCPU11により実行されることにより実現される。このプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13又は通信ユニット14を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
取得部21は、歩行中の被検者の加速度データを取得する。即ち、取得部21は、上述の工程(S21)を実行する。「加速度データ」については上述したとおりである。
被験者に加速度センサ17が装着される場合、取得部21は、加速度センサ17により計測された加速度データを取得する。このとき、取得部21は、通信ユニット14に無線又は有線で接続された加速度センサ17と通信を行うことにより、加速度センサ17から加速度データを取得することができる。また、取得部21は、クラウドサービス又は可搬型記録媒体を介して、当該加速度データを取得してもよい。
第一装置10が加速度センサ17を内蔵する場合、取得部21は、加速度センサ17により計測された加速度データを内部バスを通じて取得することができる。
また、取得部21は、モーションキャプチャ技術を用いて当該加速度データを算出することもできる。例えば、取得部21は、通信ユニット14を経由して歩行中の被験者の映像データを受信し、その映像データから被験者の腰部を検出する。取得部21は、その検出情報に基づいて被験者の腰部における位置の軌跡データを取得し、その位置の軌跡データを微分演算することにより当該加速度データを算出することもできる。
情報格納部23は、母集団から予め測定された歩行サンプルデータの統計情報を格納する。「歩行サンプルデータ」及び「歩行サンプルデータの統計情報」については、上述のとおりである。「歩行サンプルデータの統計情報」は、第一装置10により生成されてもよいし、他のコンピュータにより生成されてもよい。
算出部22は、情報格納部23により格納されている歩行サンプルデータの統計情報と取得部21により取得された加速度データを用いて、歩行中に被験者の膝関節に生じるモーメント値を算出する。即ち、算出部22は、上述の工程(S22)を実行する。
算出部22による当該モーメント値の算出方法は、工程(S22)について述べた膝関節モーメント値の算出方法と同様である。
例えば、算出部22は、取得部21により取得された加速度データから得られる、一歩行周期中の予め定められた複数タイミングの各々における加速度データを用いて、当該モーメント値を算出する。
また、取得部21により取得される加速度データが直交する二以上の方向成分を含む場合、算出部22は、当該二以上の方向成分の各々について個別に予め定められている各タイミングにおける、当該方向の加速度値を用いて、モーメント値を算出することが好ましい。
当該複数タイミングの各々が個別に予め定められた時間幅を有する場合、算出部22は、当該複数タイミングの各々の時間幅内における同一方向の加速度値の代表値、例えば、平均値、最大値、最小値、最頻値などを算出し、算出された代表値を用いてモーメント値を算出すればよい。
また、算出部22は、取得部21により取得された加速度データが示す鉛直の方向成分に基づいて、当該加速度データの中の一歩行周期を特定し、特定された一歩行周期中の加速度データから、当該複数タイミングの各々における加速度データを特定することができる。鉛直の方向成分を用いた一歩行周期の特定手法についても上述したとおりである。
生成部24は、算出部22により算出された当該モーメント値に基づいて歩行に伴う被験者の膝障害のリスク情報を生成する。「膝障害」及び「歩行に伴う被験者の膝障害のリスク」については上述したとおりであり、当該リスク情報は、その「歩行に伴う被験者の膝障害のリスク」を示す情報である。当該リスク情報の生成手法は、上述の(S23)の評価手法と同様である。
当該リスク情報は、算出部22により算出されたモーメント値そのものであってもよいし、そのモーメント値がプロットされたグラフであってもよいし、モーメント値に基づいて評価されたリスクの有無又は程度(危険、注意、問題無)を示す情報であってもよい。
出力部25は、生成部24により生成されたリスク情報を出力する。具体的には、出力部25は、当該リスク情報を出力装置15に出力させる。また、出力部25は、当該リスク情報を通信ユニット14を介して他のコンピュータ又は可搬型記憶媒体等に出力することもできる。これにより、当該リスク情報は、表示、音声、印刷などの様々な態様で出力され得る。
また、第一装置10が加速度センサ17を内蔵する機器であり、かつ、出力装置15がバイブレータ部である場合、出力部25は、当該リスク情報を振動として出力装置15に出力させることもできる。例えば、生成部24により生成されたリスク情報が危険であることを示す場合に、出力部25は、振動を出力するようにしてもよい。
このように第一実施形態では、歩行中の加速度と膝関節モーメントとの因果関係に基づいて歩行サンプルデータを統計処理することにより得られる統計情報と、歩行中の被験者の加速度データとを用いて、その被験者の歩行中の膝関節モーメント値が算出される。算出される膝関節モーメント値は、膝関節にかかる回転力であり、膝関節の内側又は外側を擦り減らせる原因となるため、第一実施形態では、算出された膝関節モーメント値に基づいて、歩行に伴う膝障害のリスクを評価することができる。結果、第一実施形態によれば、歩行に伴う膝障害の発症又は悪化を防ぐことができる。
[第一実施形態の変形例]
第一実施形態において、被験者の体格データを更に用いて膝関節モーメント値を算出してもよい。この場合、体格データで正規化された膝関節モーメント値を算出することもできる。
図6は、第一実施形態の変形例における歩行分析方法を示すフローチャートである。
図6に示されるように、本変形例の歩行分析方法は、工程(S21)の前若しくは後、又は工程(S21)と並行して、被験者の体格データを取得する工程(S20)を更に含む。
ここで、「体格データ」とは、被験者の体格を示し得る一種の値又は複数種の値群であり、例えば、身長、体重、腰の高さ、膝の高さ、脚の長さなどの少なくとも一種の値である。即ち、体格データは、体格値又は体格値群である。
工程(S20)における体格データの取得手法は制限されない。
第一装置10が工程(S20)を実行する場合、取得部21がその体格データを取得する。例えば、取得部21は、体格データの入力画面を表示し、その画面に対するユーザの入力操作に応じて、体格データを取得することができる。また、取得部21は、被験者情報を格納する外部のデータベースから被験者の体格データを入手することもできる。取得部21は、接続される体重計から体重値を体格データとして取得してもよいし、画角が予め定められたカメラから得られる画像データに基づいて、被験者の画像情報を抽出し、この抽出された画像情報及び画角情報などに基づいて、被験者の身長、腰の高さ、膝の高さ、脚の長さなどの少なくとも一つを体格データとして算出することもできる。
本変形例における工程(S22)は、以下の点で、上述の内容と異なる。
膝関節モーメント値の算出に用いられる歩行サンプルデータの統計情報には、その母集団の体格データが反映されている。言い換えれば、母集団の各人に関する歩行サンプルデータ及び体格データを統計処理することにより得られる統計情報が用いられる。工程(S22)では、工程(S20)で取得された体格データ及び工程(S21)で取得された加速度データ、並びに当該統計情報を用いて、体格データで正規化された膝関節モーメント値を算出する。
第二方法では、上記統計情報は、歩行中の加速度及び体格情報の組み合わせとその体格情報で正規化された膝関節モーメントとの因果関係に基づいて生成される。例えば、当該統計情報は、母集団の歩行サンプルデータ及び体格データを少なくとも用いた重回帰分析により取得された重回帰式であって、一歩行周期中の複数タイミングにおける複数の加速度値及び一以上の体格値を説明変数とし、その一以上の体格値で正規化されたモーメント値を目的変数とする重回帰式である。この場合、工程(S22)では、この重回帰式に、工程(S20)で取得された体格データ及び工程(S21)で取得された加速度データを適用することにより、体格データで正規化されたモーメント値を算出することができる。
このように、本変形例では、被験者の体格データが更に取得され、歩行中の加速度データ及びその体格データを用いて、体格データで正規化された膝関節モーメント値が算出される。また、算出される膝関節モーメント値は、体格データで正規化されているため、膝関節にかかる負荷を示す標準指標を得ることができる。但し、膝関節モーメント値は、体重や膝の長さなどの体格情報から影響を受けるため、加速度データ及び体格データを用いて、正規化されない膝関節モーメント値を算出することも可能である。
[第二実施形態]
〔歩行分析方法〕
図7は、第二実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。
図7に示されるように、第二実施形態に係る歩行分析方法(以下、第二方法とも表記される)は、歩行中の被験者の加速度データを取得する工程(S31)と、工程(S31)で取得された加速度データを用いて被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する工程(S32)と、工程(S32)で算出された主観的評価スコアに基づいて、歩行に伴う膝障害のリスクを評価する工程(S33)とを含む。
工程(S31)は、上述の工程(S11)及び工程(S21)と同様である。但し、上述の工程(S22)で用いられる加速度データと、工程(S32)で用いられる加速度データが異なる場合には、工程(S31)は、少なくとも工程(S32)で用いられる加速度データを取得すればよい。この場合の具体例として、工程(S22)では腰部の加速度データが用いられ、工程(S32)では膝部の加速度データが用いられる場合が該当する。また、工程(S22)及び工程(S32)で、加速度の異なる方向成分が用いられる場合も有り得るし、異なる時間タイミングでの加速度成分が用いられる場合も有り得る。
第二方法では、工程(S32)及び工程(S33)が上述の工程(S12)に該当する。
第二方法は、工程(S32)において、工程(S31)で取得された加速度データを用いて、被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する。
ここで、「被験者の膝に関する主観的評価スコア」とは、被験者が自身の片膝又は両膝に関して評価すると予測される評価結果の定量値である。具体的には、そのスコアは、被験者に対して膝に関する予め定められた設問を提示した場合に被験者が回答すると予測される結果の定量値である。「被験者の膝に関する主観的評価スコア」は、母集団から予め取得されているサンプルデータとしての「主観的評価スコア」とは、同一の評価内容であることが好ましいが、同一でなくてもよい。例えば、母集団の各人から得られる「主観的評価スコア」は、50の設問のトータルスコアで、被験者に関して算出される「主観的評価スコア」は、その中の25の設問のトータルスコアであってもよい。
主観的評価の尺度は、痛みの程度及び状態(機能性も含む)の程度のいずれか一つであってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
例えば、当該「被験者の膝に関する主観的評価スコア」の一例がJKOMスコアである(非特許文献1参照)。JKOMスコアは、予め定められた20個の各設問について被験者に0(症状なし)から4(重症)の5段階でそれぞれ回答させた値の合計値である。JKOMスコアは、0点以上100点以下の値域をとる。
工程(S32)では、工程(S31)で取得された加速度データに加えて、母集団から予め測定された歩行サンプルデータと当該母集団から予め得られた膝に関する主観的評価スコアのサンプルデータとの統計情報を用いて、当該主観的評価スコアが算出される。
ここで、「歩行サンプルデータ」とは、母集団を形成する歩行中の各人から測定可能なデータである。「歩行サンプルデータ」には、歩行中の当該各人の加速度データ又はその加速度データを導出可能なデータが含まれていることが好ましい。この加速度データは、工程(S31)で取得される加速度データと同一部位の加速度であってもよいし、他の部位の加速度であってもよい。当該加速度データを導出可能なデータとしては、例えば、当該各人の特定部位の位置の軌跡データが挙げられる。「歩行サンプルデータ」には、年齢情報、身体情報等、母集団に関する他のデータが含まれていてもよい。
「主観的評価スコアのサンプルデータ」とは、母集団に予め定められた膝に関する設問群を提示することにより予め各人からそれぞれ得られている回答結果に対応する定量値(主観的評価スコア)の集合である。
そして、両サンプルデータの「統計情報」とは、歩行中の加速度と膝に関する主観的評価スコアとの因果関係に基づいて両サンプルデータを統計処理することにより得られる情報である。このような因果関係に基づく回帰分析により得られる回帰式が当該統計情報の一例として挙げられる。この例では、当該統計情報は、歩行中の加速度値を説明変数とし、膝に関する主観的評価スコアを目的変数とする単回帰式又は重回帰式に該当する。両サンプルデータの「統計情報」がそのような回帰式である場合、第二方法は、工程(S32)において、その回帰式に工程(S31)で取得された加速度データを代入することで、被験者の主観的評価スコアを算出することができる。
両サンプルデータの取得元である母集団は、特に制限されない。その母集団には、歩行中に膝に痛みを感じる者が含まれていてもよいし、膝に痛みを感じない者のみで当該母集団が形成されていてもよい。また、年齢についても制限されない。
工程(S32)では、工程(S31)で取得された加速度データから得られる、一歩行周期中の予め定められた複数タイミングの各々における加速度データを用いて、当該主観的評価スコアを算出することが好ましい。言い換えれば、膝に関する主観的評価スコアとより強い因果関係を示す各タイミングの加速度データが用いられることが望ましい。
更に、工程(S32)では、二以上の方向成分の各々について個別に予め定められている各タイミングにおける、当該方向の加速度値を用いて、当該主観的評価スコアを算出することがより好ましい。これにより、主観的評価スコアの算出精度を一層向上させることができる。
上述の「一歩行周期中の予め定められた複数タイミング」の各々は、或る一時点であってもよいし、任意の時間幅を持つ期間であってもよい。当該「複数タイミング」の各々は、相互に異なる時間幅を有していてもよい。当該複数タイミングの各々が、個別に予め定められた時間幅を有する場合、工程(S32)では、当該複数タイミングの各々の時間幅内における同一方向の加速度値の平均値を用いて、当該主観的評価スコアを算出すればよい。
第二方法は、工程(S33)において、工程(S32)で算出された膝に関する被験者の主観的評価スコアに基づいて、歩行に伴う被験者の膝障害のリスクを評価する。
算出された主観的評価スコアは、上述したとおり、被験者が自身の膝に関して評価すると予測される評価結果を示す。このため、被験者が自身の膝に関して何らかの異常を感じていると予測される場合、算出される当該スコアは悪い評価を示し、逆に被験者が何も異常を感じていないと予測される場合には、当該スコアは良い評価を示す。よって、算出された膝に関する主観的評価スコアの高低により、歩行に伴う膝障害のリスクの有無又は程度を評価することができる。また、主観的評価スコアに関して一以上の閾値を予め定めておき、算出された当該スコアとその閾値との比較により、膝障害リスクを段階的に評価することもできる。
第二方法においても、工程(S33)は、後述する歩行分析装置などのコンピュータにより実行されてもよいし、人により行われてもよい。工程(S33)が人により行われる場合、例えば、コンピュータが(S32)で算出された膝に関する主観的評価スコアを出力し、その出力を見た者が、その値に従って、歩行に伴う膝障害のリスクを評価してもよい。このとき、その者は、算出された当該スコアの値と共に、主観的評価スコアと膝障害リスクとの対応関係を示すグラフを参照することもできる。
工程(S33)での具体的評価手法は制限されない。
〔歩行分析装置〕
以下、第二実施形態における歩行分析装置(以降、第二装置と略称する場合がある)について説明する。第二装置は、上述の第二方法を実行可能である。
第二装置のハードウェア構成及び処理構成は、第一装置と同様である(図4及び図5参照)。よって、第二装置についても第一装置と同じ符号10を付して表記される。
第二装置10の取得部21は、第一装置10の取得部21と同様に、歩行中の被験者の加速度データを取得する。即ち、取得部21は、上述の工程(S31)を実行する。
第一装置10の情報格納部23は、母集団から予め測定された歩行サンプルデータとその母集団から予め得られた膝に関する主観的評価スコアのサンプルデータとの統計情報を格納する。「歩行サンプルデータ」、「主観的評価スコアのサンプルデータ」及び両サンプルデータの「統計情報」については、上述のとおりである。その「統計情報」は、第二装置10により生成されてもよいし、他のコンピュータにより生成されてもよい。
算出部22は、情報格納部23により格納されている統計情報と取得部21により取得された加速度データを用いて、被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する。即ち、算出部22は、上述の工程(S32)を実行する。算出部22による当該主観的評価スコアの算出方法は、工程(S32)について述べた主観的評価スコアの算出方法と同様である。
例えば、算出部22は、取得部21により取得された加速度データから得られる、一歩行周期中の予め定められた複数タイミングの各々における加速度データを用いて、被験者の当該主観的評価スコアを算出する。
また、取得部21により取得される加速度データが直交する二以上の方向成分を含む場合、算出部22は、当該二以上の方向成分の各々について個別に予め定められている各タイミングにおける、当該方向の加速度値を用いて、被験者の当該主観的評価スコアを算出することが好ましい。
当該複数タイミングの各々が個別に予め定められた時間幅を有する場合、算出部22は、当該複数タイミングの各々の時間幅内における同一方向の加速度値の代表値、例えば、平均値、最大値、最小値、最頻値などを算出し、算出された代表値を用いて、被験者の主観的評価スコアを算出すればよい。
また、算出部22は、第一装置10の算出部22と同様に、当該加速度データの中の一歩行周期を特定してもよい。
生成部24は、算出部22により算出された当該主観的評価スコアに基づいて歩行に伴う被験者の膝障害のリスク情報を生成する。「膝障害」及び「歩行に伴う被験者の膝障害のリスク」については上述したとおりである。当該リスク情報の生成手法は、上述の(S33)の評価手法と同様である。
当該リスク情報は、算出部22により算出された主観的評価スコアそのものであってもよいし、そのスコア値がプロットされたグラフであってもよいし、スコア値に基づいて評価されたリスクの有無又は程度を示す情報であってもよい。
出力部25は、第一装置10の出力部25と同様である。
このように第二実施形態では、歩行中の加速度と膝に関する主観的評価スコアとの因果関係に基づいて歩行サンプルデータ及び当該主観的評価スコアのサンプルデータを統計処理することにより得られる統計情報と、歩行中の被験者の加速度データとを用いて、その被験者の膝に関する主観的評価スコアが算出される。算出された主観的評価スコアは、被験者が自身の膝に関して評価すると予測される評価結果を示すため、そのスコアに基づいて、膝障害のリスクを高精度に評価することができる。もちろん、このとき、被験者は、膝に関する設問への回答を行う必要はなく、歩行するだけで容易に、その評価結果を得ることができる。結果、第一実施形態によれば、歩行に伴う膝障害の発症又は悪化を防ぐことができる。
[第二実施形態の変形例]
第二実施形態において、被験者の年齢情報及び身体情報の少なくとも一方を更に用いて膝に関する主観的評価スコアを算出してもよい。
図8は、第二実施形態の変形例における歩行分析方法を示すフローチャートである。
図8に示されるように、本変形例の歩行分析方法は、工程(S31)の前若しくは後、又は工程(S31)と並行して、被験者の年齢情報及び身体情報の少なくとも一方の情報を取得する工程(S30)を更に含む。
ここで、工程(S30)で取得される「年齢情報」とは、被験者の年齢を示し得る値である。「年齢情報」は、例えば、実年齢を示す値、年代を示す値、実年齢が該当する年齢範囲(40歳以上60歳未満など)を示す値などの少なくとも一つである。
また、「身体情報」とは、年齢と相関関係のある身体の特性を示す情報であり、例えば、身長、体重、BMIなどである。各値は、識別番号(ID)などであってもよい。
工程(S30)における年齢情報及び身体情報の取得手法は制限されない。
例えば、第二装置10が工程(S30)を実行する場合、取得部21は、年齢情報及び身体情報の少なくとも一方の情報の入力画面を表示し、その画面に対するユーザの入力操作に応じて、当該情報を取得することができる。また、取得部21は、被験者情報を格納する外部のデータベースから被験者の当該情報を入手することもできる。取得部21は、カメラから得られる画像データの中から被験者の画像情報を抽出し、この抽出された画像情報に基づいて、公知の推定技術を用いて、被験者の年齢情報及び身体情報の少なくとも一方を推定することもできる。また、身体情報については、身長計や体重計等の計測装置から自動又は手動で入手されてもよい。
本変形例では、工程(S32)が、以下の点で上述の内容と異なる。
主観的評価スコアの算出に用いられる歩行サンプルデータ及び主観的評価スコアのサンプルデータの統計情報には、その母集団の年齢情報及び身体情報の少なくとも一方の情報が反映されている。言い換えれば、母集団の各人に関する、歩行サンプルデータ、主観的評価スコアのサンプルデータ、並びに、年齢情報及び身体情報の少なくとも一方を統計処理することにより得られる統計情報が用いられる。工程(S32)では、工程(S30)で取得された年齢情報及び身体情報の少なくとも一方の情報、工程(S31)で取得された加速度データ、並びに当該統計情報を用いて、被験者の主観的評価スコアを算出する。
本変形例では、上記統計情報は、歩行中の加速度と、年齢情報及び身体情報の少なくとも一方の情報との組み合わせと、主観的評価スコアとの因果関係に基づいて生成される。例えば、当該統計情報は、母集団の歩行サンプルデータ及び主観的評価スコアのサンプルデータ、並びに、年齢情報と身体情報との少なくとも一方を少なくとも用いた重回帰分析により取得された重回帰式であって、一歩行周期中の複数タイミングにおける複数の加速度値と、年齢及び身体特性値の少なくとも一方を説明変数とし、主観的評価スコアを目的変数とする重回帰式である。この場合、工程(S32)では、この重回帰式に、工程(S30)で取得された年齢情報及び身体情報の少なくとも一方及び工程(S31)で取得された加速度データを適用することにより、被験者の主観的評価スコアを算出することができる。
このように、本変形例によれば、歩行中の加速度と、年齢情報及び身体情報の少なくとも一方の組み合わせと、主観的評価スコアとの強い因果関係に基づいて、被験者の歩行中の加速度データと年齢情報及び身体情報の少なくとも一方を用いて、被験者の主観的評価スコアを高精度に算出することができる。
[第三実施形態]
図9は、第三実施形態に係る歩行分析方法を示すフローチャートである。
第三実施形態に係る歩行分析方法(以下、第三方法とも表記される)は、第二方法で算出された膝関節モーメント値及び第三方法で算出された膝に関する主観的評価スコアの両方に基づいて、歩行に伴う膝障害のリスクを評価する。
具体的には、第三方法は、工程(S41)において、歩行中の被験者の加速度データを取得する。工程(S41)は、上述した工程(S11)、工程(S21)、及び工程(S31)と同様である。
第三方法は、更に、工程(S42)において、第一方法の工程(S22)と同様にして、工程(S41)で取得された加速度データを用いて被験者の歩行中の膝関節モーメント値を算出する。
第三方法は、更に、工程(S43)において、第二方法の工程(S32)と同様にして、工程(S41)で取得された加速度データを用いて被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する。
第三方法は、工程(S44)において、工程(S42)で算出された膝関節モーメント値及び工程(S43)で算出された膝に関する主観的評価スコアに基づいて、歩行に伴う膝障害のリスクを評価する。歩行中の膝関節モーメント値と膝に関する主観的評価スコアとの二つの評価指標を用いることで、歩行に伴う膝障害リスクを例えば次のように評価できる。
膝に関する主観的評価スコアは、被験者が感じていると予測される膝の異常の有無又は程度を示すため、その値により、膝障害が被験者の意識上で顕在化しているか否かが評価できる。一方で、歩行中の膝関節モーメント値により、歩行が膝障害を引き起こす又は引き起こした可能性の高さが評価できる。
これら二つの評価指標を組み合わせることで、膝障害が顕在化している被験者とそうではない被験者とで、異なる尺度での膝障害リスクを評価できる。具体的には、膝障害が顕在化していない被験者には、現状の歩き方の危険度(危険、注意、問題なし)を評価することができ、膝障害が顕在化している被験者には、その膝障害が歩き方を原因とする可能性の有無又はその程度を評価することができる。更に言えば、後者の評価は、OAの可能性の有無又は程度の評価ということもできる。
例えば、第三方法は、工程(S44)において、膝に関する主観的評価スコア及び歩行中に膝関節に生ずるモーメント値の二軸で形成され、歩行に伴う膝障害のリスクの度合に対応する複数の局所領域を示すグラフ、並びに工程(S42)で算出された膝関節モーメント値及び工程(S43)で算出された膝に関する主観的評価スコアを用いて、膝障害のリスクを評価する。
図10は、膝障害リスクの評価に用いられるグラフの一例を示す図である。図10の例では、横軸が、膝に関する主観的評価スコアの一例としてのJKOMスコアを示し、縦軸が、膝関節モーメント値の一例としての体重で正規化された膝内反モーメント値を示す。図10の例によれば、算出されたJKOMスコアが60以下か否かにより、歩き方の危険度の評価か、膝障害の原因が歩き方か否かの評価かが切り替えられる。歩き方の危険度の評価では、算出された膝内反モーメント値が0.8より大きい(軽度負荷を示す)場合に、歩き方が危険と評価され、当該モーメント値が0.8以下かつ0.6以上の場合に、歩き方に注意が必要と評価され、当該モーメント値が0.6未満の場合に、歩き方に問題無(現状維持)と評価される。更に、膝障害の原因が歩き方か否かの評価では、膝内反モーメント値が所定閾値より大きい場合に、歩行が原因と評価され、小さい場合に、歩行以外が原因と評価される。また、膝内反モーメント値が所定閾値より大きいか否かにより、OAの可能性が高いか低いかも評価することができる。
即ち、第三方法は、工程(S44)において、工程(S43)で算出された膝に関する主観的評価スコアが所定閾値を超える場合に、工程(S42)で算出された膝関節モーメント値に基づいて、当該主観的評価スコアが歩行に起因するか否か、又は歩行に起因する可能性の高さを評価することができる。
〔歩行分析装置〕
以下、第三実施形態における歩行分析装置(以降、第三装置と略称する場合がある)について説明する。
第三装置のハードウェア構成及び処理構成は、第一及び第二装置と同様である(図4及び図5参照)。よって、第三装置についても第一及び第二装置と同じ符号10を付して表記される。
第三装置10は、上述の第三方法を実行可能である。具体的には、算出部22は、工程(S42)及び工程(S43)を実行し、生成部24は、算出部22により算出された膝関節モーメント値及び膝に関する主観的評価スコアに基づいて歩行に伴う被験者の膝障害のリスク情報を生成する。当該リスク情報の生成手法は、上述の(S44)の評価手法と同様である。
当該リスク情報は、算出部22により算出された膝関節モーメント値及び主観的評価スコアの値そのものであってもよいし、その値と、二軸で形成される上記グラフとの組み合わせであってもよいし、評価結果(歩行の危険度や膝障害が歩行を原因とする可能性など)を示す情報であってもよい。
このように、第三装置10の算出部22は、第一及び第二装置における算出部22の処理内容を実行し、第三装置10の情報格納部23は、第一及び第二装置における情報格納部23に格納される情報を格納すればよい。
[第三実施形態の変形例]
上述の第三実施形態では、工程(S42)及び工程(S43)では、統計情報を用いて、膝関節モーメント値及び膝に関する主観的評価スコアが算出されたが、膝関節モーメント値及び膝に関する主観的評価スコアは、他の手法で算出されてもよい。即ち、工程(S42)は、工程(S41)で取得された加速度データを少なくとも用いて、歩行中に被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出工程であってもよく、工程(S43)は、被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出工程であってもよい。この場合、第三方法は、工程(S44)において、工程(S42)で算出されたモーメント値及び工程(S43)で算出された主観的評価スコアに基づいて、歩行に伴う膝障害リスクの評価を行えばよい。
本変形例において、工程(S42)では、上記非特許文献2に記載される歩行データベースに基づいて、床反力データを用いて、膝関節モーメント値が算出されてもよい。この場合、被験者に床反力計の上を通過させ、その床反力計で計測された床反力データが用いられる。また、工程(S42)では、それ以外の手法を用いて、膝関節モーメント値が算出されてもよい。
また、本変形例において、工程(S43)では、膝に関する主観的評価スコアを算出するための設問(質問)表を被験者に提示し、その被験者から得られる回答に基づいて、当該主観的評価スコアが算出されてもよい。
第三装置10が本変形例を実施する場合には、算出部22が上述の工程(S43)を実行すればよい。具体的には、算出部22は、当該設問に対する回答を被験者に入力させる画面を出力装置15に表示させ、入力された回答データに基づいて、当該主観的評価スコアを算出する。また、算出部22は、当該設問(質問)表を画面に表示してもよい。
[変形例]
上述の各実施形態及び各変形例は、更に次のように変形可能である。
図11は、変形例における歩行分析方法を示すフローチャートである。図11は、図9に示される第三方法のフローチャートに対して本変形を適用したフローを示している。もちろん、本変形例は、第一方法、第二方法、若しくはそれらの変形例、又は第三方法の変形例に適用することも可能である。
本変形例に係る歩行分析方法は、被験者の歩行中の歩行環境情報を取得する工程(S51)と、取得された歩行環境情報に基づいて、工程(S55)で評価された当該リスクの、歩行環境に応じた変化を特定する工程(S56)とを更に含む。
ここで、「歩行環境情報」とは歩行環境を示す情報であり、「歩行環境」とは、工程(S51)で加速度データが取得される、当該被験者の歩行中の環境を意味する。「歩行環境」には、例えば、その歩行が行われている場所、季節、天候、温度、日付、曜日、時刻、及び時間帯、その歩行時の被験者の服装、履物、及びスケジュールの少なくとも一つが含まれる。
工程(S51)では、歩行環境情報が、対応する加速度データと関連付け可能な状態で取得される。例えば、歩行環境情報は、加速度データの算出又は計測のタイミングと同期して取得される。
工程(S51)での歩行環境情報の具体的な取得手法は制限されない。例えば、工程(S51)で取得された加速度データを解析することにより、歩行が行われている場所が砂利道、上り坂、下り坂、上り階段、下り階段などであることを示す歩行環境情報が取得されてもよい。この場合の加速度データの解析には、加速度を用いた行動分析に関する公知技術が利用されればよい。
また、GPS(Global Positioning System)の位置データを用いて、歩行が行われている具体的な場所を示す歩行環境情報が取得されてもよい。例えば、加速度データの取得タイミングと同期して、歩行中の被験者に装着されているGPS受信機からその位置データが取得される。
また、天候が歩行環境情報として取得される場合、インターネット上での専用サイトから天候情報が取得されてもよい。
また、被験者のスケジュール帳データからその歩行中の被験者の予定情報(孫が遊びに来るなど)が歩行環境情報として取得されてもよい。この場合、加速度データの算出又は計測のタイミング(日時)の予定情報が当該スケジュール帳データから抽出されればよい。また、被験者の体調や気分が歩行環境情報として取得されてもよい。この場合、計測日の体温を体温計などの計測機器を用いて計測し、別途入力を行うことができるようにしてもよい。
また、歩行環境情報は、画面に対する入力操作により入力されてもよい。
本変形例に係る歩行分析方法は、周期的に又は任意のタイミングで、繰り返し実行される。即ち、加速度データが逐次取得され、そのたびに、膝障害のリスクが評価される。本方法は、工程(S56)において、前回取得された加速度データに基づいて評価された膝障害リスクと、今回取得された加速度データに基づいて評価された膝障害リスクとを比較して、当該リスクの変化を特定する。このとき、本方法は、変化の前後で取得されている歩行環境情報に基づいて、その変化の原因となった歩行環境を合わせて特定することもできる。例えば、工程(S56)において膝障害のリスクの悪化するタイミングを特定し、その悪化の前後の歩行環境情報に基づいて、その悪化の原因として、気温(寒い)、歩行時間帯(早朝、夕方など)、雨(長靴を履いていると予想)、砂利道の歩行などと特定することができる。
なお、本変形例における他の工程は、他の実施形態及び変形例と同様である。
本変形例によれば、歩行環境に応じた膝障害のリスクの変化を特定することにより、どういった歩行環境で膝障害のリスクが高まるのか又は低減するのかといった情報が入手可能となる。これにより、膝障害のリスクが非恒常的に高い場合に、その原因を推測することが可能となる。
本変形例に係る歩行分析方法は、図4及び図5で示される歩行分析装置10によっても実行され得る。この場合、取得部21が工程(S52)を実行する。生成部24が、工程(S56)を実行し、出力部25は、生成部24により特定された当該リスクの変化を示す情報及びその変化に対応する歩行環境情報を出力する。
なお、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、本実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。本実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
上述の内容の一部又は全部は、次のようにも特定され得る。但し、上述の内容が以下の記載に制限されるものではない。
<1>歩行中の被験者の加速度データを取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスクを評価する評価工程と、
を含む歩行分析方法。
<2>母集団から予め測定された歩行サンプルデータの統計情報及び前記取得工程で取得された加速度データを用いて、歩行中に前記被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出工程、
を更に含み、
前記評価工程では、前記第一算出工程で算出された前記モーメント値に基づいて前記リスクを評価する、
<1>に記載の歩行分析方法。
<3>母集団から予め測定された歩行サンプルデータと該母集団から予め得られた膝に関する主観的評価スコアのサンプルデータとの統計情報、及び前記取得工程で取得された加速度データを用いて、前記被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出工程、
を更に含み、
前記評価工程では、前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアに基づいて、前記リスクを評価する、
<1>に記載の歩行分析方法。
<4>前記取得工程で取得された加速度データを少なくとも用いて、歩行中に前記被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出工程と、
前記被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出工程と、
を更に含み、
前記評価工程では、前記第一算出工程で算出された前記モーメント値及び前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアに基づいて、前記リスクを評価する、
<1>に記載の歩行分析方法。
<5>前記評価工程では、膝に関する主観的評価スコア及び歩行中に膝関節に生ずるモーメント値の二軸で形成され、歩行に伴う膝障害のリスクの度合に対応する複数の局所領域を示すグラフ、並びに前記第一算出工程で算出された前記モーメント値及び前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアを用いて、前記評価を行う、
<4>に記載の歩行分析方法。
<6>前記評価工程では、前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアが所定閾値を超える場合に、前記第一算出工程で算出された前記モーメント値に基づいて、該主観的評価スコアが歩行に起因するか否か、又は歩行に起因する可能性の高さを評価する、
<4>又は<5>に記載の歩行分析方法。
<7>前記被験者の前記歩行中の歩行環境情報を取得する工程と、
前記取得された歩行環境情報に基づいて、前記評価工程で評価された前記リスクの、歩行環境に応じた変化を特定する工程と、
を更に含む<1>から<6>のいずれか一つに記載の歩行分析方法。
<8>歩行中の被験者の加速度データを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスク情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたリスク情報を出力する出力手段と、
を備える歩行分析装置。
<9>母集団から予め測定された歩行サンプルデータの統計情報を格納する第一格納手段と、
前記統計情報及び前記取得手段で取得された加速度データを用いて、歩行中に前記被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、前記第一算出手段で算出された前記モーメント値に基づいて前記リスク情報を生成する、
<8>に記載の歩行分析装置。
<10>母集団から予め測定された歩行サンプルデータと該母集団から予め得られた膝に関する主観的評価スコアのサンプルデータとの統計情報を格納する第二格納手段と、
前記統計情報及び前記取得手段により取得された加速度データを用いて、前記被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、前記第二算出手段により算出された前記主観的評価スコアに基づいて、前記リスク情報を生成する、
<8>に記載の歩行分析装置。
<11>前記取得手段により取得された加速度データを少なくとも用いて、歩行中に前記被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出手段と、
前記被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、前記第一算出手段により算出された前記モーメント値及び前記第二算出手段により算出された前記主観的評価スコアに基づいて、前記リスク情報を生成する、
<8>に記載の歩行分析装置。
<12>前記生成手段は、膝に関する主観的評価スコア及び歩行中に膝関節に生ずるモーメント値の二軸で形成され、歩行に伴う膝障害のリスクの度合に対応する複数の局所領域を示すグラフ、並びに前記第一算出手段により算出された前記モーメント値及び前記第二算出手段により算出された前記主観的評価スコアを含む前記リスク情報を生成する、
<11>に記載の歩行分析装置。
<13>前記生成手段は、前記第二算出手段により算出された前記主観的評価スコアが所定閾値を超える場合に、前記第一算出手段により算出された前記モーメント値に基づいて、該主観的評価スコアが歩行に起因するか否か、又は歩行に起因する可能性の高さを示す前記リスク情報を生成する、
<11>又は<12>に記載の歩行分析装置。
<14>前記取得手段は、前記被験者の前記歩行中の歩行環境情報を更に取得し、
前記生成手段は、前記取得された歩行環境情報に基づいて、前記リスクの、歩行環境に応じた変化を特定する、
<8>から<13>のいずれか一つに記載の歩行分析装置。
10 歩行分析装置(第一装置)
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 出力装置
16 入力装置
17 加速度センサ
21 取得部
22 算出部
23 情報格納部
24 生成部
25 出力部

Claims (8)

  1. 歩行中の被験者の加速度データを取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスクを評価する評価工程と、
    を含む歩行分析方法。
  2. 母集団から予め測定された歩行サンプルデータの統計情報及び前記取得工程で取得された加速度データを用いて、歩行中に前記被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出工程、
    を更に含み、
    前記評価工程では、前記第一算出工程で算出された前記モーメント値に基づいて前記リスクを評価する、
    請求項1に記載の歩行分析方法。
  3. 母集団から予め測定された歩行サンプルデータと該母集団から予め得られた膝に関する主観的評価スコアのサンプルデータとの統計情報、及び前記取得工程で取得された加速度データを用いて、前記被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出工程、
    を更に含み、
    前記評価工程では、前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアに基づいて、前記リスクを評価する、
    請求項1に記載の歩行分析方法。
  4. 前記取得工程で取得された加速度データを少なくとも用いて、歩行中に前記被験者の膝関節に生ずるモーメント値を算出する第一算出工程と、
    前記被験者の膝に関する主観的評価スコアを算出する第二算出工程と、
    を更に含み、
    前記評価工程では、前記第一算出工程で算出された前記モーメント値及び前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアに基づいて、前記リスクを評価する、
    請求項1に記載の歩行分析方法。
  5. 前記評価工程では、膝に関する主観的評価スコア及び歩行中に膝関節に生ずるモーメント値の二軸で形成され、歩行に伴う膝障害のリスクの度合に対応する複数の局所領域を示すグラフ、並びに前記第一算出工程で算出された前記モーメント値及び前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアを用いて、前記評価を行う、
    請求項4に記載の歩行分析方法。
  6. 前記評価工程では、前記第二算出工程で算出された前記主観的評価スコアが所定閾値を超える場合に、前記第一算出工程で算出された前記モーメント値に基づいて、該主観的評価スコアが歩行に起因するか否か、又は歩行に起因する可能性の高さを評価する、
    請求項4又は5に記載の歩行分析方法。
  7. 前記被験者の前記歩行中の歩行環境情報を取得する工程と、
    前記取得された歩行環境情報に基づいて、前記評価工程で評価された前記リスクの、歩行環境に応じた変化を特定する工程と、
    を更に含む請求項1から6のいずれか一項に記載の歩行分析方法。
  8. 歩行中の被験者の加速度データを取得する取得手段と、
    前記取得手段で取得された加速度データに基づいて、歩行に伴う前記被験者の膝障害のリスク情報を生成する生成手段と、
    前記生成手段により生成されたリスク情報を出力する出力手段と、
    を備える歩行分析装置。
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