JP2017193521A - ベンゾビスチアジアゾール化合物、並びにこれを含む有機薄膜および有機半導体素子 - Google Patents

ベンゾビスチアジアゾール化合物、並びにこれを含む有機薄膜および有機半導体素子 Download PDF

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誠 辛川
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Abstract

【課題】電子輸送性および動作安定性に優れた有機半導体材料として利用可能なベンゾビスチアジアゾール化合物を提供する。【解決手段】式(I)で表されるベンゾビスチアジアゾール化合物。(X1及びX2は各々独立にアルキニレン基、チエニレン基又はチアゾリレン基;Ar1及びAr2は各々独立にRで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、Rで置換されたピラジル基又はRで置換されたフェニル基;Rは電子求引性置換基;但し、X1及びX2が共にチエニレン基である場合、Ar1及びAr2は各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基又はRで置換されたピラジル基)【選択図】なし

Description

本発明は、電子輸送性および動作安定性に優れた有機半導体材料として利用可能なベンゾビスチアジアゾール化合物、並びにこれを含む有機薄膜および有機半導体素子に関する。
有機半導体には、正の電荷を有する正孔が電流を伝える役割を担う半導体であるp型半導体、負の電荷を有する自由電子が電流を伝える役割を担う半導体であるn型半導体、および両方の役割を担う半導体であるアンバイポーラ型半導体がある。このような電荷輸送性を有する有機半導体材料を含む薄膜は、有機太陽電池、光センサ等の光電変換素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機トランジスタへの応用が期待されている。具体的には、有機トランジスタ、有機太陽電池、光センサ等の有機半導体素子の材料として、n型有機半導体であるπ共役系化合物が種々開発されている。そのなかで、電子不足の芳香族化合物であるベンゾビスチアジアゾール化合物は、高い電子受容能を反映して、LUMOの低いエネルギー準位を示すことが確認されている(特許文献1)。さらに、ベンゾビスチアジアゾール化合物は、良好なn型トランジスタ特性を示すことが報告されている(特許文献2,3、非特許文献1,2)。
特開2013−124231号 国際公開公報WO2013/141182 国際公開公報WO2015/041026
Chem.Commun.,46,3265(2010) Chem.Mater.,27,141(2015)
しかしながら、上述した化合物は、電子輸送性および動作安定性が実用上、十分ではなく、従ってn型有機半導体として実質的に利用可能な化合物ではない。
そこで、本発明の目的は、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料として利用可能なベンゾビスチアジアゾール化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜、およびこの有機薄膜を備える有機半導体素子を提供することにある。
即ち、本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物は、一般式(I):
(式中、XおよびXは各々独立に、アルキニレン基、チエニレン基、またはチアゾリレン基であり;ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、Rで置換されたピラジル基、またはRで置換されたフェニル基であり;Rは電子求引性置換基である;但し、XおよびXが共にチエニレン基である場合、ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基である)
で表されるベンゾビスチアジアゾール化合物である。
上記Rは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロチオアルコキシ基、ハロゲン化アシル基、ハロアルコキシカルボニル基、およびハロカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の電子求引性置換基であることがより好ましい。また、上記ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される骨格を備えるベンゾビスチアジアゾール化合物は、分子全体に電子受容性が広がっていることにより、十分に低いエネルギー準位のLUMOを示すことができる。そのため、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物は、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料として好適に利用可能である。
本発明によれば、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料として利用可能なベンゾビスチアジアゾール化合物を提供することができる。また、本発明によれば、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜、およびこの有機薄膜を備える有機半導体素子を提供することができる。
第1実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第2実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第3実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第4実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第5実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第6実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第7実施形態に係る有機薄膜トランジスタを模式的に示す断面図である。 第8実施形態に係る有機太陽電池を模式的に示す断面図である。 第9実施形態に係る光センサを模式的に示す断面図である。 第10実施形態に係る光センサを模式的に示す断面図である。 真空中におけるゲート電圧Vgが−20〜100Vの範囲における実施例4に係る有機薄膜トランジスタのId−Vg特性を示す図である。 真空中におけるゲート電圧Vgが20〜−100Vの範囲における実施例4に係る有機薄膜トランジスタのId−Vg特性を示す図である。 真空中におけるゲート電圧Vgが−20〜100Vの範囲における実施例5に係る有機薄膜トランジスタのId−Vg特性を示す図である。 真空中におけるゲート電圧Vgが−20〜30Vの範囲における実施例6に係る有機薄膜トランジスタのId−Vg特性を示す図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態に関して詳細に説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、説明上、上下左右等の位置関係は、特に断りのない限り、図面に示す位置関係に基づいている。さらに、図面の寸法比率は、図示の寸法比率に限らず、任意の寸法比率であってもよい。
〔ベンゾビスチアジアゾール化合物〕
本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物は、一般式(I):
(式中、XおよびXは各々独立に、アルキニレン基、チエニレン基、またはチアゾリレン基であり;ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、Rで置換されたピラジル基、またはRで置換されたフェニル基であり;Rは電子求引性置換基である;但し、XおよびXが共にチエニレン基である場合、ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基である)
で表される新規なベンゾビスチアジアゾール化合物である。
上記Ar、Arで表される置換基は、各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、Rで置換されたピラジル基、またはRで置換されたフェニル基であり、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基であることがより好ましい。
Ar、Arで表されるそれぞれの置換基中のアリール部分は、電子不足の芳香族環であり、置換可能な位置が1〜4個の、Rで表される電子求引性置換基で置換される。電子求引性置換基が2個以上の場合には、各電子求引性置換基は互いに同一であってもよく、または互いに異なっていてもよい。また、上記X、Xは互いに同一であってもよく、または互いに異なっていてもよい、アルキニレン基、チエニレン基、チアゾリレン基を表す。但し、XまたはXがチエニレン基である場合、ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基であり、Rで置換されたフェニル基は含まれない。
上記Rで表される電子求引性置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロチオアルコキシ基、ハロゲン化アシル基、ハロアルコキシカルボニル基、およびハロカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の電子求引性置換基であることがより好ましい。
本明細書において、特に言及しない限り、ハロゲン、または置換基におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。ArまたはArの置換基としてのハロゲンの数は、1個以上であってよく、2個以上の場合には、各ハロゲンは互いに同一であってもよく、または互いに異なっていてもよい。ArおよびArにおけるハロゲンの置換位置は、何れの位置でもよい。
本明細書において、特に言及しない限り、アルキル基またはアルキル部分は、直鎖状または分枝状の何れであってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル等の炭素数1〜10(C1−C10)のアルキル基およびアルキル部分が挙げられる。
本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物としては、例えば、下記構造式1〜66で示される化合物が挙げられる。
そして、X、Xが互いに同一であってもよく、または互いに異なっていてもよいチエニレン基、またはチアゾリレン基である本発明のベンゾビスチアジアゾール化合物は、以下の製法〔1〕により製造することができる。
・製法〔1〕
(式中、X、Xは互いに同一であってもよく、または互いに異なっていてもよいチエニレン基、またはチアゾリレン基を表す。また、Ar、Arは上述の通りであり、Buはn−ブチル基を、Meはメチル基を、Phはフェニル基を、Acはアセチル基を、NBSはN−ブロモスクシンイミドを各々表す)
具体的には、下記工程を行うことにより、本発明のベンゾビスチアジアゾール化合物を製造することができる。
・工程1;H−X−Hに塩基と塩化トリブチルスズとを順次反応させて化合物Aを製造する工程。
本工程1の反応で使用する塩基としては、リチウムジイソプロピルアミドやn−ブチルリチウムが好ましい。塩基は、H−X−H 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。塩化トリブチルスズは、H−X−H 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、−78℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜48時間である。
工程1で使用する溶媒としては、反応が進行すれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;およびこれら溶媒の混合溶媒;等から一種類または二種類以上を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
・工程2;Ar−Cl等の芳香族ハロゲン化物に化合物Aをカップリング反応させてAr−X−Hを製造した後、ブロモ化してAr−X−Brとし、さらに塩基と塩化トリブチルスズとを順次反応させて化合物Bを製造する工程。
本工程2のカップリング反応で使用する化合物Aは、Ar−Cl等の芳香族ハロゲン化物1当量に対して0.5〜10当量の割合、望ましくは0.5〜5当量の割合で使用することができる。カップリング反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。
ブロモ化反応で使用する臭素は、Ar−X−H 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、0℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Bを得る反応で使用する塩基としては、リチウムジイソプロピルアミドやn−ブチルリチウムが好ましい。塩基は、Ar−X−Br 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。塩化トリブチルスズは、Ar−X−Br 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、−78℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜48時間である。
工程2で使用する溶媒としては、反応が進行すれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;およびこれら溶媒の混合溶媒;等から一種類または二種類以上を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
・工程3a;化合物Cに硫酸触媒の存在下、発煙硝酸を反応させて化合物Dを製造した後、酢酸溶媒の存在下、鉄を作用させて化合物Eを製造し、次いで塩化スルフリルと反応させて化合物Fを製造した後、化合物Bと反応させて化合物G(ベンゾビスチアジアゾール化合物)を製造する工程。
本工程3aの化合物Dを製造する反応の反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。化合物Eを製造する反応で使用する鉄は、化合物D 1当量に対して1〜50当量の割合、望ましくは1〜30当量の割合で使用することができる。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。なお、化合物Cとしては、市販品を使用することができる。
化合物Fを製造する反応で使用する塩化スルフリルは、化合物E 1当量に対して1〜50当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Gを製造する反応で使用する化合物Bは、化合物F 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。本反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
工程3aで使用する溶媒としては、反応が進行すれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;およびこれら溶媒の混合溶媒;等から一種類または二種類以上を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
・工程3b;工程3aと同様にして化合物Dを製造した後、化合物Bと反応させて化合物Hを製造し、次いで、酢酸溶媒の存在下、鉄を作用させて化合物Iを製造した後、ピリジン溶媒の存在下、N−チオニルアニリンおよび塩化トリメチルシランと反応させて化合物Gを製造する工程。
本工程3bの化合物Hを製造する反応で使用する化合物Bは、化合物D 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。本反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Iを製造する反応で使用する鉄は、化合物H 1当量に対して1〜50当量の割合、望ましくは1〜30当量の割合で使用することができる。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Gを製造する反応で使用するN−チオニルアニリンおよび塩化トリメチルシランは、それぞれ化合物F 1当量に対して1〜30当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
工程3bで使用する溶媒としては、反応が進行すれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;およびこれら溶媒の混合溶媒;等から一種類または二種類以上を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
・工程3c;工程3aと同様にして化合物Fを製造した後、化合物Aと反応させて化合物Jを製造し、次いで、N−ブロモスクシンイミドと反応させて化合物Kを製造した後、n−ブチルリチウムと塩化トリブチルスズとを順次反応させて化合物Lを製造し、さらにAr−Brと反応させて化合物Gを製造する工程。
本工程3cの化合物Jを製造する反応で使用する化合物Aは、化合物F 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。本反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Kを製造する反応で使用するN−ブロモスクシンイミドは、化合物J 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、0℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Lを製造する反応で使用する塩基としては、リチウムジイソプロピルアミドやn−ブチルリチウムが好ましい。塩基は、化合物K 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。塩化トリブチルスズは、化合物K 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、−78℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Gを製造する反応で使用するAr−Brとしては市販品を使用することができ、当該Ar−Brは化合物L 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。本反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
工程3cで使用する溶媒としては、反応が進行すれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;およびこれら溶媒の混合溶媒;等から一種類または二種類以上を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
・工程4;化合物Mに化合物Bを反応させて化合物Nを製造した後、ブロモ化して化合物Oとし、次いで、硫酸触媒の存在下、発煙硝酸を反応させて化合物Pを製造した後、工程1,2と同様にして製造した化合物B’を反応させて化合物Qを製造し、さらに酢酸溶媒の存在下、鉄を作用させて化合物Rを製造した後、ピリジン溶媒の存在下、N−チオニルアニリンおよび塩化トリメチルシランと反応させて化合物Gを製造する工程。
本工程4の化合物Nを製造する反応で使用する化合物Bは、化合物M 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。本反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。なお、化合物Mとしては、市販品を使用することができる。
化合物Oを製造する反応で使用する臭素は、化合物J 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、0℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Pを製造する反応における反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Qの製造で使用する化合物B’は、化合物P 1当量に対して1〜20当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。本反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、特にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Rを製造する反応で使用する鉄は、化合物Q 1当量に対して1〜50当量の割合、望ましくは1〜30当量の割合で使用することができる。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
化合物Gを製造する反応で使用するN−チオニルアニリンおよび塩化トリメチルシランは、それぞれ化合物R 1当量に対して1〜30当量の割合、望ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。反応温度は、通常、0℃〜200℃、望ましくは0〜40℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
工程4で使用する溶媒としては、反応が進行すれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;およびこれら溶媒の混合溶媒;等から一種類または二種類以上を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
上記工程1,2と、上記工程3a〜3cのうちの一つとを行うことにより、Ar、Arが互いに同一であり、X、Xが互いに同一であるベンゾビスチアジアゾール化合物(化合物G)を製造することができる。また、上記工程1,2,4を行うことにより、Ar、Arが互いに異なり、X、Xが互いに異なるベンゾビスチアジアゾール化合物(化合物G)を製造することができる。
上記工程1〜4における具体的な反応条件(原料のモル比、溶媒、触媒、反応温度、反応時間等)は、用いる原料等に応じて適宜設定すればよい。用いる原料等を選択し、当該原料に応じて上記工程1〜4、特に、工程3〜4を適宜選択して行うことにより、上述した構造式1〜66で示される化合物を製造することができる。ベンゾビスチアジアゾール化合物(化合物G,G)、および製造中間体である化合物A〜F,H〜Rは、反応液から必要に応じて、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶等の単操作、或いはカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー等の一般的な操作によって、単離、精製することができる。
上記ベンゾビスチアジアゾール化合物は、Ar、Arが互いに同一であり、X、Xが互いに同一であることがより好ましい。
また、ベンゾビスチアジアゾール化合物を有機半導体素子の材料として用いる場合には、その純度が素子の特性に影響を与えるため、昇華、再結晶等の方法によるベンゾビスチアジアゾール化合物の純化処理を行うことがより好ましい。
一般式(I)で表される骨格を備えるベンゾビスチアジアゾール化合物は、分子全体に電子受容性が広がっていることにより、十分に低いエネルギー準位のLUMOを示すことができる。そのため、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物は、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料として好適に利用可能である。
また、ベンゾビスチアジアゾール化合物は、その構造によっては、HOMO−LUMOエネルギーギャップが小さくなることによりアンバイポーラ型特性を実現する場合がある。即ち、ベンゾビスチアジアゾール化合物の構造によっては、アンバイポーラ型特性を実現することができるので、アンバイポーラ型有機半導体材料としても好適に利用可能である。
〔有機薄膜〕
次に、本発明に係る有機薄膜に関して説明する。本発明に係る有機薄膜は、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物を含んでいる。
有機薄膜は、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物を1種類だけ含んでいてもよく、または、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物を2種類以上含んでいてもよいが、1種類だけ含んでいることがより好ましい。また、有機薄膜の電子輸送性またはホール輸送性を高めるために、有機薄膜は、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物以外に、電子輸送性またはホール輸送性を有する、低分子化合物または高分子化合物(電子輸送性材料またはホール輸送性材料)を、必要に応じて含んでいてもよい。
電子輸送性材料としては、公知の材料を使用することができ、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体または8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、C60等のフラーレン類およびその誘導体が挙げられる。
ホール輸送材料としては、公知の材料を使用することができ、例えば、ピラゾリン、アリールアミン、スチルベン、トリアリールジアミン、オリゴチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアリーレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
また、有機薄膜は、当該有機薄膜にて吸収した光によって電荷を発生させるために、電荷発生材料を、必要に応じて含んでいてもよい。電荷発生材料としては、公知の材料を使用することができ、例えば、アゾ化合物、ジアゾ化合物、無金属フタロシアニン化合物、金属フタロシアニン化合物、ペリレン化合物、多環キノン系化合物、スクアリリウム化合物、アゾレニウム化合物、チアビリリウム化合物、およびC60等のフラーレン類が挙げられる。
さらに、有機薄膜は、種々の機能を発現させるために必要な材料を、必要に応じて含んでいてもよい。このような材料としては、例えば、有機薄膜にて吸収した光によって電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、当該機能の安定性を増すための安定化剤、有機薄膜にてUV光を吸収するためのUV吸収剤が挙げられる。
また、有機薄膜は、機械的特性を高めるために、上記化合物以外の高分子材料を高分子バインダーとして含んでいてもよい。高分子バインダーとしては、電子輸送性またはホール輸送性を極度に阻害せず、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましい。
このような高分子バインダーとしては、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
有機薄膜の製造には、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物、必要に応じて混合する電子輸送性材料またはホール輸送性材料、高分子バインダー等、および溶媒を含む溶液からの成膜による方法を用いることができる。また、ベンゾビスチアジアゾール化合物が昇華性を有する場合は、真空蒸着法により有機薄膜を製造することもできる。
溶媒は、ベンゾビスチアジアゾール化合物、および必要に応じて混合する電子輸送性材料またはホール輸送性材料、高分子バインダー等を溶解する化合物であればよい。
上記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;を用いることができる。ベンゾビスチアジアゾール化合物は、化合物の構造や分子量にもよるが、これらの溶媒に通常、0.1質量%以上溶解させることができる。
有機薄膜の膜厚は、1nm〜1000nmであることが好ましく、2nm〜1000nmであることがより好ましく、5nm〜500nmであることがさらに好ましく、20nm〜200nmであることが特に好ましい。
有機薄膜を製造する工程には、ベンゾビスチアジアゾール化合物を配向させる工程が含まれていてもよい。この工程によりベンゾビスチアジアゾール化合物を配向させてなる有機薄膜は、ベンゾビスチアジアゾール化合物の主鎖部分または側鎖部分が一方向に並ぶので、電子移動度またはホール移動度が向上する。
ベンゾビスチアジアゾール化合物を配向させる方法としては、液晶の配向手法として知られている方法を用いることができる。液晶の配向手法の中でもラビング法、光配向法、シェアリング法(ずり応力印加法)、引き上げ塗布法が簡便かつ有用であるために利用し易く、ラビング法、シャアリング法がより好ましい。
有機薄膜は、電子輸送性またはホール輸送性を有することから、電極から注入された電子またはホール、或いは吸収した光によって発生した電荷を輸送制御することにより、有機薄膜トランジスタ、有機光電変換素子(有機太陽電池、光センサ等)等の有機半導体素子に用いることができる。本発明に係る有機薄膜をこれら有機半導体素子に用いる場合は、ベンゾビスチアジアゾール化合物を配向処理により配向させて用いることが、電子輸送性またはホール輸送性を向上させる上でより好ましい。
本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物を含む本発明に係る有機薄膜は、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料であり、有機トランジスタ、有機太陽電池、光センサ等の有機半導体素子の材料として好適に利用可能である。
〔有機半導体素子〕
次に、本発明に係る有機半導体素子に関して説明する。本発明に係る有機半導体素子は、上述した有機薄膜を備えている。有機半導体素子としては、例えば、有機薄膜トランジスタ、有機光電変換素子(有機太陽電池、光センサ等)等が挙げられる。以下、有機半導体素子が有機薄膜トランジスタである場合を例に挙げて説明する。
有機薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極、ベンゾビスチアジアゾール化合物を含み、これら電極間の電流経路となる有機半導体層、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を備える構造であればよく、例えば、電界効果型有機薄膜トランジスタ、静電誘導型有機薄膜トランジスタが例示される。有機半導体層は、ベンゾビスチアジアゾール化合物を有機薄膜として備えることが好ましい。
上記電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極、上記有機半導体層、ゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。そして、電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極が有機半導体層に接して設けられており、有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが特に好ましい。
上記静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極、上記有機半導体層、並びにゲート電極を備え、当該ゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。そして、静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが特に好ましい。ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、かつゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量を制御することができる構造であればよく、例えば、櫛形電極が挙げられる。
有機半導体素子である有機薄膜トランジスタの種々の実施形態を、図1〜図7を参照しながら以下に説明する。
第1実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図1に示す。図1に示す有機薄膜トランジスタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6を覆うようにして基板1上に形成された有機半導体層(有機薄膜)2と、有機半導体層2上の一部に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間における絶縁層3の領域を覆うように当該絶縁層3上の一部に形成されたゲート電極4と、を備えている。
第2実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図2に示す。図2に示す有機薄膜トランジスタ110は、基板1と、基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5を覆うようにして基板1上に形成された有機半導体層2と、ソース電極5と所定の間隔を持って有機半導体層2上に形成されたドレイン電極6と、ドレイン電極6の一部を覆うようにして有機半導体層2上の一部に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間における絶縁層3の領域を覆うように当該絶縁層3上の一部に形成されたゲート電極4と、を備えている。
第3実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図3に示す。図3に示す有機薄膜トランジスタ120は、基板1と、基板1上に形成された有機半導体層2と、有機半導体層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6の一部を覆うようにして有機半導体層2上の一部に形成された絶縁層3と、ソース電極5およびドレイン電極6の一部を覆うようにして形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように当該絶縁層3上の一部に形成されたゲート電極4と、を備えている。
第4実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図4に示す。図4に示す有機薄膜トランジスタ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4を覆うようにして形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように当該絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6の一部を覆うようにして絶縁層3上に形成された有機半導体層2と、を備えている。
第5実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図5に示す。図5に示す有機薄膜トランジスタ140は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4を覆うようにして形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように当該絶縁層3上に形成されたソース電極5と、ソース電極5の一部を覆うようにして絶縁層3上の一部に形成された有機半導体層2と、有機半導体層2の一部を覆うと共にソース電極5と所定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたドレイン電極6と、を備えている。
第6実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図6に示す。図6に示す有機薄膜トランジスタ150は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4を覆うようにして形成されている絶縁層3の領域を覆うように当該絶縁層3上の一部に形成された有機半導体層2と、有機半導体層2の一部を覆うと共に絶縁層3上に形成されたソース電極5と、有機半導体層2の一部を覆うと共にソース電極5と所定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたドレイン電極6と、を備えている。
第7実施形態に係る有機薄膜トランジスタ(静電誘導型有機薄膜トランジスタ)を模式的に示す断面図を図7に示す。図7に示す有機薄膜トランジスタ160は、基板1と、基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5上に形成された有機半導体層2と、有機半導体層2上に所定の間隔を持って複数形成されたゲート電極4と、全てのゲート電極4を覆うようにして有機半導体層2上に形成された有機半導体層2aと、有機半導体層2a上に形成されたドレイン電極6と、を備えている。有機半導体層2aを構成する材料は、有機半導体層2を構成する材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記第1〜第7実施形態に係る有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層2(および/または有機半導体層2a)は、上述した好適なベンゾビスチアジアゾール化合物を含んでおり、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流通路(チャネル)となっている。また、ゲート電極4は、電圧が印加されることによって、電流通路(チャネル)となっている有機半導体層2(および/または有機半導体層2a)を通る電流量を制御するようになっている。
このような電界効果型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。また、静電誘導型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、例えば、特開2004−006476号公報に記載の方法により製造することができる。
基板1の材料は、有機薄膜トランジスタとしての特性を阻害しない材料であればよく、特に限定されない。基板1としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブルであってもよいフィルム基板およびプラスチック基板を用いることができる。
有機半導体層2の形成においては、塗布が可能なように、有機溶媒に可溶性を示すベンゾビスチアジアゾール化合物を用いることが、有機薄膜トランジスタを製造する上で有利であるので好ましい。本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物は優れた溶解性を有していることから、上述した有機薄膜の製造方法を採用することにより、有機半導体層2となる有機薄膜を良好に形成することができる。
絶縁層3の材料は、電気の絶縁性が高い材料であればよく、公知の材料を用いることができる。絶縁層3の材料としては、例えば、SiOx、SiNx、Ta、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、有機ガラスおよびフォトレジストが挙げられる。低電圧化を達成するという観点から、絶縁層3は、誘電率の高い材料で形成されていることが望ましい。
絶縁層3上に有機半導体層2を形成する場合は、絶縁層3と有機半導体層2との界面特性を改善するために、絶縁層3の表面をシランカップリング剤等の表面処理剤で処理して表面改質した後に、有機半導体層2を形成することも可能である。表面処理剤としては、長鎖アルキルクロロシラン類、長鎖アルキルアルコキシシラン類、アリールアルキルクロロシラン類、アリールアルキルアルコキシシラン類、フッ素化アルキルクロロシラン類、フッ素化アルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン化合物が挙げられる。表面処理剤で処理する前に、絶縁層3の表面をオゾンUV、Oプラズマで処理しておくことも可能である。
ゲート電極4、ソース電極5、ドレイン電極6の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属、およびそれらの半透明膜、透明導電膜が挙げられる。
また、作製された有機薄膜トランジスタを保護するために、当該有機薄膜トランジスタ上に保護膜を形成することが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタが大気から遮断され、有機薄膜トランジスタの特性の低下を抑えることができる。また、保護膜により、有機薄膜トランジスタによって駆動する表示デバイスを当該有機薄膜トランジスタ上に形成する工程における、外部からの影響を低減することができる。
保護膜の材料としては、例えばUV硬化樹脂、熱硬化樹脂、および無機化合物であるSiONxが挙げられる。有機薄膜トランジスタを保護する方法としては、例えば、当該有機薄膜トランジスタ表面に、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂またはSiONx膜からなる保護膜を形成する(有機薄膜トランジスタを保護膜でカバーする)方法が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため、有機薄膜トランジスタを作製後、保護膜を形成するまでの工程は、有機薄膜トランジスタを大気に曝すことのない雰囲気下、例えば乾燥した窒素雰囲気下、または真空下で行うことが好ましい。
次に、本発明に係る有機半導体素子が有機光電変換素子である場合を例に挙げて説明する。有機光電変換素子の代表的な例としては、有機太陽電池や光センサが挙げられる。有機半導体素子である有機太陽電池の実施形態を、図8を参照しながら以下に説明する。また、有機半導体素子である光センサの実施形態を、図9,図10を参照しながら以下に説明する。
第8実施形態に係る有機太陽電池を模式的に示す断面図を図8に示す。図8に示す有機太陽電池200は、基板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、第1の電極7a上に形成された有機半導体層(有機薄膜)2と、有機半導体層2上の一部に形成された第2の電極7bと、を備えている。
第9実施形態に係る光センサを模式的に示す断面図を図9に示す。図9に示す光センサ300は、基板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、第1の電極7a上に形成された有機半導体層(有機薄膜)2と、有機半導体層2上に形成された電荷発生層8と、電荷発生層8上の一部に形成された第2の電極7bと、を備えている。
第10実施形態に係る光センサを模式的に示す断面図を図10に示す。図10に示す光センサ310は、基板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、第1の電極7a上に形成された電荷発生層8と、電荷発生層8上に形成された有機半導体層2と、有機半導体層2上の一部に形成された第2の電極7bと、を備えている。
有機太陽電池200、光センサ300、光センサ310においては、第1の電極7aおよび第2の電極7bの一方に、透明または半透明の電極を用いる。電極7a,7bの材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属、およびそれらの半透明膜、透明導電膜が挙げられる。また、有機太陽電池200が高い開放電圧を得るには、仕事関数の差が大きくなるように、電極7a,7bの材料の組み合わせを選択することが好ましい。有機半導体層2には、光感度を高めるために電荷発生剤(キャリア発生剤)、増感剤等を添加することができる。電荷発生層8は、光を吸収して電荷を発生する層である。電荷発生層8の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属、およびそれらの半透明膜、透明導電膜が挙げられる。
本発明に係る有機半導体素子は、本発明に係る有機薄膜を備えるので、電子輸送性および動作安定性に優れている。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるべきではない。なお、本発明において「室温」とは、25±15℃を指す。
<測定条件等>
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL(日本電子株式会社)製の商品名「JMM−ECS400(1H測定時400MHz)」を用いて測定した。ケミカルシフトは、百万分率(ppm)で表される。内部標準(0ppm)には、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。結合定数(J)は、ヘルツで表され、略号s、d、t、q、mおよびbrは、それぞれ、一重線(singlet)、二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quartet)、多重線(multiplet)、および広幅線(broad)を表す。また、質量分析(MALDI TOFMS)は、株式会社島津製作所製の商品名「AXIMA」を用いて測定した。元素分析は、株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ製の商品名「JM10」を用いて測定した。カラムクロマトグラフィー分離におけるシリカゲルは、関東化学株式会社製の商品名「シリカゲル 60N」(40〜50μm)を用いた。全ての化学物質は、試薬級であり、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社、関東化学株式会社、ナカライテスク株式会社、またはシグマアルドリッチジャパン株式会社より購入した。
<実施例1>
4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(構造式1(No.1)で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物)の合成
(1)2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェンの合成
下記化学式に従い、2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェンを合成した。
即ち、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン(977mg、5.38mmol)と、トリブチル(2-チエニル)スズ(2.243g、6.010mmol)とをトルエン(20mL)に溶解した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(130mg、0.112mmol)を加え、窒素雰囲気下で16時間還流して反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグフラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェン(1.404g、収率>99%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=8.81(1H, m)、7.90(1H, dd, J=8.2Hz,2.4Hz)、7.75(1H, d, J=8.2Hz)、7.69(1H, dd, J=3.6Hz,0.8Hz)、7.50-7.49(1H, m)、7.17-7.16(1H, m)。
次に、上記2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェン(628mg、2.74mmol)を塩化メチレン(15mL)に溶解して液温を0℃とした後、臭素(0.16mL、3.0mmol)を加え、室温で22時間撹拌して反応させた。反応混合物にトリエチルアミンを加え中和した後、水を加え、塩化メチレンで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮して、目的物である2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェン(589mg、収率70%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=8.78(1H, m)、7.91(1H, dd, J=8.5Hz,2.2Hz)、7.67(1H, d, J=8.5Hz)、7.41(1H, d, J=4.2Hz)、7.11(1H, d, J=4.2Hz)。
(2)2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェンの合成
下記化学式に従い、2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェンを合成した。
即ち、上記(1)で合成した2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェン(589mg、1.91mmol)をテトラヒドロフラン(13mL)に溶解して液温を−78℃とした後、窒素雰囲気下で、濃度2.65mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(0.80mL、2.1mmol)を滴下し、同一温度で30分間撹拌した。続いて、塩化トリブチルスズ(0.62mL、2.3mmol)を加え、室温まで徐々に昇温して16時間撹拌して反応させた。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をアルミナカラムクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル)で粗精製し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(溶離液;クロロホルム)で精製して、目的物である2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェン(412mg、収率42%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=8.81(1H, m)、7.88(1H, dd, J=8.6Hz,2.4Hz)、7.78(1H, d, J=3.6Hz)、7.73(1H, d, J=8.6Hz)、7.22(1H, d, J=3.6Hz)、1.70-1.47(6H, m)、1.40-1.29(6H, m)、1.24-1.05(6H, m)、0.90(9H, t, J=7.4Hz)。
(3)4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾールの合成
下記化学式に従い、4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾールを合成した。
即ち、上記(2)で合成した2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェン(357mg、0.689mmol)、および4,10-ジブロモベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス[1,2,5]チアジアゾール(79mg、0.22mmol)にトルエン(6mL)を加え懸濁液とした後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(46mg、0.066mmol)を加え、窒素雰囲気下で24時間還流して反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、ろ過し、n−ヘキサン、水、メタノールで洗浄後、温度勾配による昇華法により精製し、目的物である4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(24mg、収率17%)を得た。物性値は以下の通りであった。
MALDI TOFMS:m/z=647.87
元素分析;理論値(炭素)48.14%、(水素)1.55%、(窒素)12.96%
実測値(炭素)48.04%、(水素)1.77%、(窒素)13.10%。
<実施例2>
4,8-ビス(2-(5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(構造式2(No.2)で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物)の合成
(4)2-ブロモ-5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェンの合成
下記化学式に従い、2-ブロモ-5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェンを合成した。
即ち、3-ブロモ-6-トリフルオロメチルピリジン(1.029g、4.553mmol)と、トリブチル(2-チエニル)スズ(1.861g、4.987mmol)とをトルエン(15mL)に溶解した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.104g、0.0900mmol)を加え、窒素雰囲気下で24時間還流して反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグフラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(1.188g、収率>99%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=8.97(1H, d, J=2.0Hz)、8.02(1H, dd, J=8.1Hz,2.2Hz)、7.69(1H, d, J=8.1Hz)、7.50-7.42(2H, m)、7.17(1H, dd, J=5.2Hz,3.6Hz)。
次に、上記2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(1.188g、5.183mmol)を塩化メチレン(25mL)に溶解して液温を0℃とした後、臭素(0.34mL、6.6mmol)を加え、室温で12時間撹拌して反応させた。反応混合物にトリエチルアミンを加え中和した後、水を加え、塩化メチレンで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグフラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、目的物である2-ブロモ-5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(1.050g、収率57%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=8.88(1H, s)、7.93(1H, d, J=8.4Hz)、7.95(1H, d, J=8.4Hz)、7.21(1H, d, J=3.6Hz)、7.13(1H, d, J=3.6Hz)。
(5)2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェンの合成
下記化学式に従い、2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェンを合成した。
即ち、上記(4)で合成した2-ブロモ-5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(996mg、3.23mmol)をテトラヒドロフラン(16mL)に溶解して液温を−78℃とした後、窒素雰囲気下で1.63mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(2.2mL、3.6mmol)を滴下し、同一温度で30分間撹拌した。続いて、塩化トリブチルスズ(1.1mL、4.1mmol)を加え、徐々に室温まで昇温して24時間撹拌して反応させた。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をアルミナカラムクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル)で粗精製し、GPC(溶離液;クロロホルム)で精製して、目的物である2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェン(1.257g、収率75%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=8.97(1H, d, J=2.3Hz)、8.02(1H, dd, J=8.3Hz,2.3Hz)、7.66(1H, d, J=8.3Hz)、7.56(1H, d, J=3.2Hz)、7.21(1H, d, J=3.2Hz)、1.73-1.47(6H, m)、1.42-1.30(6H, m)、1.25-1.06(6H, m)、0.91(9H, t, J=7.4Hz)。
(6)4,8-ビス(2-(5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾールの合成
下記化学式に従い、4,8-ビス(2-(5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾールを合成した。
即ち、上記(5)で合成した2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェン(544mg、1.05mmol)、および4,10-ジブロモベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス[1,2,5]チアジアゾール(91mg、0.26mmol)にトルエン(6mL)を加え懸濁液とした後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(58mg、0.083mmol)を加え、窒素雰囲気下で24時間還流して反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、ろ過し、n−ヘキサン、水、メタノールで洗浄後、温度勾配による昇華法により精製し、目的物である4,8-ビス(2-(5-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(30mg、収率18%)を得た。物性値は以下の通りであった。
MALDI TOFMS:m/z=647.89
元素分析;理論値(炭素)48.14%、(水素)1.55%、(窒素)12.96%
実測値(炭素)47.92%、(水素)1.67%、(窒素)13.09%。
<実施例3>
4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(構造式5(No.3)で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物)の合成
(7)2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェンの合成
下記化学式に従い、2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)チオフェンを合成した。
即ち、3-ブロモ-5-トリフルオロメチルピリジン(1.190g、6.555mmol)と、トリブチル(2-チエニル)スズ(2.401g、6.434mmol)とをトルエン(25mL)に溶解した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.150g、0.130mmol)を加え、窒素雰囲気下で18時間還流して反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグフラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、2-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(0.980g、収率66%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=9.05(1H, d, J=2.0Hz)、8.78(1H, d, J=0.8Hz)、8.07(1H, dd, J=2.0Hz, 0.8Hz)、7.46-7.42(2H, m)、7.17(1H, dd, J=5.2Hz,4.0Hz)。
次に、上記2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(0.980g、4.28mmol)を塩化メチレン(20mL)に溶解して液温を0℃とした後、臭素(0.25mL、4.8mmol)を加え、室温で12時間撹拌して反応させた。反応混合物にトリエチルアミンを加え中和した後、水を加え、塩化メチレンで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグフラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、目的物である2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(1.165g、収率88%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)= 8.96(1H, d, J=2.0Hz)、8.79(1H, d, J=1.2Hz)、7.98(1H, dd, J=2.0Hz, 1.2Hz)、7.20(1H, d, J=3.8Hz)、7.13(1H, d, J=3.8Hz)。
(8)2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェンの合成
下記化学式に従い、2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェンを合成した。
即ち、上記(7)で合成した2-ブロモ-5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオフェン(1.086g、3.525mmol)をテトラヒドロフラン(18mL)に溶解して液温を−78℃とした後、窒素雰囲気下で1.54mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(2.5mL、3.9mmol)を滴下し、同一温度で30分間撹拌した。続いて、塩化トリブチルスズ(1.2mL、4.4mmol)を加え、徐々に室温まで昇温して12時間撹拌して反応させた。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮した。濃縮物をアルミナカラムクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル)で粗精製し、GPC(溶離液;クロロホルム)で精製して、目的物である2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェン(1.214g、収率66%)を得た。物性値は以下の通りであった。
1H-NMR (CDCl3/400MHz):δ(ppm)=9.05(1H, d, J=3.0Hz)、8.73(1H, s)、8.07 (1H, d, J=3.0Hz)、7.55(1H, d, J=3.6Hz)、7.21(1H, d, J=3.2Hz)、1.63-1.55(6H, m)、1.41-1.31(6H, m)、1.17-1.13(6H, m)、0.93-0.89(9H, m)。
(9)4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾールの合成
下記化学式に従い、4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾールを合成した。
即ち、上記(8)で合成した2-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-5-(トリブチルスタニル)チオフェン(522mg、1.01mmol)、および4,10-ジブロモベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス[1,2,5]チアジアゾール(88mg、0.25mmol)にトルエン(4mL)を加え懸濁液とした後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(53mg、0.076mmol)を加え、窒素雰囲気下で17.5時間還流して反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、ろ過し、n−ヘキサン、水、メタノールで洗浄後、温度勾配による昇華法により精製し、目的物である4,8-ビス(2-(5-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(30mg、収率30%)を得た。物性値は以下の通りであった。
元素分析;理論値(炭素)48.14%、(水素)1.55%、(窒素)12.96%
実測値(炭素)48.04%、(水素)1.80%、(窒素)12.93%。
<実施例4>
[有機薄膜トランジスタの作製およびトランジスタ特性の評価]
ゲート電極となる高濃度にドープされたp型シリコン基板の表面に、絶縁層となるシリコン酸化膜を300nmの厚さに熱酸化によって形成した。当該基板の絶縁層上に、リフトオフ法によりチャネル幅38mm、チャネル長5μm、厚さ25nmの櫛形のソース電極およびドレイン電極を形成して電極付き基板を得た。当該基板をトルエンで15分間、アセトンで15分間、蒸留水で15分間、次いでイソプロピルアルコールで15分間、超音波洗浄した後、オゾンUVを1時間照射して表面を洗浄した。洗浄した基板を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS):トルエン(=1滴:1mL)に窒素雰囲気下、60℃で1時間浸漬した後、トルエンで15分間、アセトンで15分間、蒸留水で15分間、次いでイソプロピルアルコールで15分間、超音波洗浄し、表面処理剤であるHMDSで表面処理された基板を得た。
次に、実施例1で合成したNo.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を用いて有機半導体層を形成した。即ち、基板上(ソース電極およびドレイン電極形成側)に、真空蒸着法により基板温度90℃、堆積速度0.01nm/秒で、No.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を30nmの膜厚で堆積した。これにより、基板上にNo.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜からなる有機半導体層を形成した。当該有機半導体層を形成後、基板を150℃で1時間アニールし、有機半導体層を備える有機半導体素子である有機薄膜トランジスタを作製した。
そして、半導体パラメータアナライザー(keithley社製、商品名「4200−SCS」)を用いて、真空中(酸素および水の不存在下)においてゲート電圧Vgを−20〜100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したところ、図11に示すn型半導体のId−Vg特性が得られた。図11の横軸はゲート電圧(V)、縦軸はドレイン電流(A)である(図12および図13も同じ)。
電界効果移動度(μ)は、ドレイン電流Idを表す下記式1を用いて算出することができる。
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vth) …式1
式1中、Wはチャネル幅であり、Lはチャネル長である。Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量である。Vgはゲート電圧であり、Vthはしきい値電圧である。
上記式1を用いて電界効果移動度(μ)を計算した結果、上記有機薄膜トランジスタの電界効果移動度(μ)は0.016cm/Vsであった。
また、上記半導体パラメータアナライザーを用いて、真空中においてゲート電圧Vgを20〜−100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したところ、図12に示すp型半導体のId−Vg特性が得られた。上記式1を用いて電界効果移動度(μ)を計算した結果、上記有機薄膜トランジスタの電界効果移動度(μ)は0.003cm/Vsであった。このことから、No.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を用いて形成された有機半導体層を備える有機薄膜トランジスタは、アンバイポーラ型有機トランジスタとしても機能することが確認された。
<実施例5>
[有機薄膜トランジスタの作製およびトランジスタ特性の評価]
HMDSの代わりにオクタデシルトリクロロシラン(ODTS)(ODTS:トルエン(=1滴:1mL))を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って、表面処理剤であるODTSで表面処理された基板を得た。次に、No.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物の代わりに実施例2で合成したNo.2で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を用い、基板温度を90℃から110℃に変更すると共に、アニール温度を150℃から130℃に変更した以外は、実施例4と同様の操作を行った。これにより、No.2で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜からなる有機半導体層を形成した有機半導体素子である有機薄膜トランジスタを作製した。
そして、実施例4と同様に、真空中においてゲート電圧Vgを−20〜100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したところ、図13に示すn型半導体の良好なId−Vg特性が得られた。上記式1を用いて電界効果移動度(μ)を計算した結果、上記有機薄膜トランジスタの電界効果移動度(μ)は0.14cm/Vsであった。
なお、実施例4と同様に、真空中においてゲート電圧Vgを20〜−100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したものの、p型半導体のId−Vg特性は得られなかった。
<実施例6>
[有機薄膜トランジスタの作製およびトランジスタ特性の評価]
HMDS溶液への浸漬条件を60℃、1時間の代わりに室温、24時間とした以外は、実施例4と同様の操作を行って、表面処理剤であるHMDSで表面処理された基板を得た。次に、No.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物の代わりに実施例3で合成したNo.3で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を用い、基板温度を90℃から140℃に変更すると共に、アニールを行わなかった以外は、実施例4と同様の操作を行った。これにより、No.3で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜からなる有機半導体層を形成した有機半導体素子である有機薄膜トランジスタを作製した。
そして、ゲート電圧Vgを−20〜100Vの範囲で変化させる代わりに−20〜30Vの範囲で変化させた以外は、実施例4と同様に、真空中において上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したところ、図14に示すn型半導体の良好なId−Vg特性が得られた。上記式1を用いて電界効果移動度(μ)を計算した結果、上記有機薄膜トランジスタの電界効果移動度(μ)は0.3cm/Vsであった。
なお、実施例4と同様に、真空中においてゲート電圧Vgを20〜−100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したものの、p型半導体のId−Vg特性は得られなかった。
また、この素子を5時間、大気暴露させた後に、上記半導体パラメータアナライザーを用いて、大気下においてゲート電圧Vgを−20〜30Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定し、上記式1を用いて電界効果移動度(μ)を計算した結果、上記有機薄膜トランジスタの電界効果移動度(μ)は0.3cm/Vsであった。
<比較例1>
4,8-ビス(2-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)チエニル))ベンゾ[1,2-c:4,5-c']ビス(1,2,5)チアジアゾール(FPTBBT)の合成
2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの代わりに1-ヨード-4-トリフルオロメチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様の合成を行って、下記化学式で示すFPTBBTを得た。
FPTBBTの物性値は以下の通りであった。
元素分析;理論値(炭素)48.14%、(水素)1.55%、(窒素)12.96%
実測値(炭素)47.92%、(水素)1.67%、(窒素)13.09%。
<比較例2>
[有機薄膜トランジスタの作製およびトランジスタ特性の評価]
実施例3と同様の操作を行って、HMDSで表面処理された基板を得た。次に、No.1で示されるベンゾビスチアジアゾール化合物の代わりに比較例1で合成したFPTBBTを用い、基板温度を90℃から室温に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行った。これにより、FPTBBTを含む有機薄膜からなる有機半導体層を形成した有機半導体素子である有機薄膜トランジスタを作製した。
そして、実施例3と同様に、真空中においてゲート電圧Vgを−20〜100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したところ、n型半導体のId−Vg特性が得られた。上記式1を用いて電界効果移動度(μ)を計算した結果、上記有機薄膜トランジスタの電界効果移動度(μ)は0.052cm/Vsであった。
なお、実施例3と同様に、真空中においてゲート電圧Vgを20〜−100Vの範囲で変化させ、上記有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性を測定したものの、p型半導体のId−Vg特性は得られなかった。
実施例1〜6および比較例1〜2より、本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物は、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料として有用であることが示された。
また、実施例1より、本発明に係るベンゾビスチアジアゾール化合物は、HOMO−LUMOエネルギーギャップを小さくすることで、アンバイポーラ型特性を実現する場合があること、即ち、ベンゾビスチアジアゾール化合物の構造によっては、アンバイポーラ型有機半導体材料としても有用であることが示された。
本発明により、電子輸送性および動作安定性に優れたn型有機半導体材料として利用可能なベンゾビスチアジアゾール化合物を提供することができる。また、上記ベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜、およびこの有機薄膜を備える有機半導体素子を提供することができる。
1 基板
2、2a 有機半導体層(有機薄膜)
3 絶縁層
4 ゲート電極
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7a 第1の電極
7b 第2の電極
8 電荷発生層
100、110、120、130、140、150、160 有機薄膜トランジスタ(有機半導体素子)
200 有機太陽電池(有機半導体素子)
300、310 光センサ(有機半導体素子)

Claims (5)

  1. 一般式(I):
    (式中、XおよびXは各々独立に、アルキニレン基、チエニレン基、またはチアゾリレン基であり;ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、Rで置換されたピラジル基、またはRで置換されたフェニル基であり;Rは電子求引性置換基である;但し、XおよびXが共にチエニレン基である場合、ArおよびArは各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基である)
    で表されるベンゾビスチアジアゾール化合物。
  2. 上記Rが、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロチオアルコキシ基、ハロゲン化アシル基、ハロアルコキシカルボニル基、およびハロカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の電子求引性置換基である、請求項1に記載のベンゾビスチアジアゾール化合物。
  3. 上記ArおよびArが各々独立に、Rで置換されたピリジル基、Rで置換されたN−オキシピリジル基、Rで置換されたピリミジニル基、またはRで置換されたピラジル基である、請求項1または2に記載のベンゾビスチアジアゾール化合物。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載のベンゾビスチアジアゾール化合物を含む有機薄膜。
  5. 請求項4に記載の有機薄膜を備える有機半導体素子。
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