JP7091837B2 - 新規化合物およびそれを含有する半導体材料 - Google Patents

新規化合物およびそれを含有する半導体材料 Download PDF

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Description

本発明は、新規化合物およびそれを含有する半導体材料に関する。
有機半導体材料は、その溶媒溶解性を活用してインク化することで、低温下での湿式成膜が可能となり、ゆえ、耐熱性の乏しいプラスチック基板を用いることが想定されるフレキシブル表示装置やフレキシブルエレクトロニクス(電子タグやセンサなどを軽量・フレキシブル化した電子装置)への展開が期待されている。
半導体には、正孔が電流を伝える役割を担うp型半導体と、電子がその役割を担うn型半導体があり、デジタル回路やアナログ回路を構築する際、p型およびn型両半導体を用いることができると、インバータなどの基本ユニットの構成がより簡便となるため、回路設計の自由度が増す。しかし、有機半導体に関しては、p型半導体と比較してn型半導体の報告例が少なく、特に、半導体特性と、空気中での安定性と、溶媒溶解性とを兼ね備えたn型半導体の報告はほとんどなかった。そのような中で、ベンゾ[1,2-c:4,5-c′]ビス[1,2,5]チアジアゾール(以下、ベンゾビスチアジアゾールまたはB2Tと略することがある。)骨格を有する化合物(以下、B2T誘導体ということがある。)が、空気中での安定性を有するn型半導体材料として注目されている。
特許文献1から16ならびに非特許文献1および2には、4および8位にアリール基(アリール基で置換されたアリール基を含む。)を有するB2T誘導体が開示されており、その多くが、トランジスタに供され、大気中でn型半導体特性を示す。一方、特許文献5に記載されているとおり、これらのB2T誘導体は溶媒溶解性低きことが課題となっている(後記比較例において、4および8位にアリール基を有するB2T誘導体を実際に合成し、該課題を確認している。)。特許文献5には、該課題の解決手段として、室温で0.2から0.3質量%の溶媒溶解性を呈するB2T誘導体(該文献における化合物C13、C19、C22、C26およびC31)が開示されているが、これらの化合物(例えば、後記、化合物(R1)。特許文献5に開示されている化合物(C19)である。)は、1つのアリール基(化合物(R1)ではフェニル基)に2つの異なった置換基(化合物(R1)ではニトリル基とヘキサデシル基)を有しており(以下、特許文献5における該手段を「「二つの置換基を一つのアリール基に導入する」方法」ということがある。)、その製造に当たって、2つの置換基をアリール基に導入する過程で、置換基にかかわる位置異性体や置換基数を異にする化合物が副生するため、半導体用途に必須の高純度化を図るうえで、これら副生物の除去(精製工程)が課題(例えば、製造にかかわるコスト高など)となる。
Figure 0007091837000001
(R1)
特許文献17および18ならびに非特許文献3には、4および8位にアルキニレン基を有するB2T誘導体(非特許文献3では該文献中の化合物3のみが該当する。)が開示されている。しかるに、特許文献17および非特許文献3においては、該当する化合物をトランジスタに供しておらず、特許文献18においては、0026段に構造式こそ記載されてはいるものの、実施例において合成や構造同定にかかわる記載が無い。また、いずれの文献においても、n型半導体特性、空気中での安定性および溶媒溶解性の兼備にかかわる記載は無い。なお、後記比較例において、特許文献18に記載されている化合物58(ただし、該特許文献の実施例において、該化合物の合成方法および構造同定にかかわる記載は無い。)を実際に合成し、溶媒溶解性低きことを確認している。
特開2015-196659号公報 特開2016-050179号公報 特開2017-025047号公報 国際公開第2013/141182号 国際公開第2015/041026号 特開2016-096242号公報 国際公開第2016/024567号 特開2013-124231号公報 特表2016-509621号公報 特開2015-207759号公報 特開2014-035804号公報 特表2003-513100号公報 特開2016-134570号公報 米国公開第2016/0244614号 特開2017-079319号公報 国際公開第2018/015320号 国際公開第2007/081991号 特開2017-193521号公報
Chemical Communications,2010年,46巻,3265頁 Chemistry of Materials,2015年,27巻,141頁 Journal of Materials Chemistry C,2014年,2巻,9609頁
前記のとおり、B2T誘導体は、空気中での安定性とn型半導体特性を兼備するものの、溶媒溶解性に問題があった。したがって、本発明の課題は、空気中での安定性と溶媒溶解性とを兼ね備えたn型半導体特性を呈するB2T誘導体を提供することにある。とりわけ、特許文献5に記載のB2T誘導体(例えば、化合物(R1)など)にかかわる「二つの置換基を一つのアリール基に導入する」方法を手段とせずに、空気中での安定性と溶媒溶解性とを兼ね備えたn型半導体特性を呈するB2T誘導体を提供することにある。さらには、該B2T誘導体を用いて、空気中での安定性とn型半導体特性を呈する半導体素子を提供することにある。
発明者らは前記課題を克服すべく、鋭意検討を重ね、特定構造の置換基を有するB2T誘導体が、空気中での安定性、n型半導体特性、溶媒溶解性を兼備した半導体材料を与えることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の項目から構成される。
1.一般式(1)で表される化合物。
Figure 0007091837000002
(1)
(一般式(1)中、RおよびRは一般式(2)で表される1価の置換基を表し、nはRの置換基の数であって、1から5の整数を表し、mはRの置換基の数であって、1から5の整数を表す。)
Figure 0007091837000003
(2)
(一般式(2)中、*は1価の置換基としての結合部位を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
2.1.に記載の化合物を含有する半導体材料。
3.1.に記載の化合物を含有するインク。
4.1.に記載の化合物を含有する半導体膜。
5.1.に記載の化合物を含有する半導体層を有する半導体素子。
6.1.に記載の化合物を含有する半導体層を有するトランジスタ。
本発明によって、湿式成膜法により空気中で安定なn型半導体特性を呈する半導体素子を提供することができる。
トップゲートボトムコンタクト(TGBC)型トランジスタの概念断面図である。 実施例1で製造したトランジスタの伝達特性を表す図である。 実施例2で製造したトランジスタの伝達特性を表す図である。 実施例3で製造したトランジスタの伝達特性を表す図である。
(本発明の化合物)
以下、本発明の化合物について説明する。
本発明の化合物は、一般式(1)で表されるB2T誘導体である。
Figure 0007091837000004
(1)
(一般式(1)中、RおよびRは一般式(2)で表される1価の置換基を表し、nはRの置換基の数であって、1から5の整数を表し、mはRの置換基の数であって、1から5の整数を表す。)
Figure 0007091837000005
(2)
(一般式(2)中、*は1価の置換基としての結合部位を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
一般式(1)において、RおよびRは互いに同一であっても異なっていてもよいが、合成の簡便性という観点からは、同一であることが好ましい。また、nおよびmは、溶媒溶解性の観点からは2から5が好ましく、合成の簡便性という観点からは1が好ましい。1である場合、RおよびRのフェニル基における結合部位は、エチニル基(・・-B2T-C≡C-基(・・はB2Tのもう一方の置換基))に対して、合成の簡便性という観点からはp位およびm位が好ましく、p位がより好ましい。溶解性の観点からはo位が好ましい。
一般式(2)において、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表し、n型半導体特性という観点からは、フッ素原子と塩素原子が好ましく、n型半導体特性と合成の簡便性という観点からはフッ素原子が好ましい。
一般式(2)において、Rは置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基を表し、具体的には、炭素原子数1から20のアルキル基であって、該アルキル基中の-CH-は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子がおのおの直接結合しないように、-O-、-R′C=CR′-、-CO-、-OCO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-NR′-または-C≡C-で置換されていてよく、該アルキル基中の水素原子は、ハロゲノ基、ニトリル基または芳香族基によって置換されていてもよい(ただし、R′は炭素原子数1から20の非環式または環式のアルキル基を表す。)。
について、さらに具体的には、炭素原子数1から20の飽和炭化水素から誘導される一価基(アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基)、炭素原子数2から20のアルケニル基、炭素原子数2から20のアルキニル基、炭素原子数1から20のアルコキシ基、炭素原子数2から20のアルコキシアルキル基、炭素原子数1から20のアルカノイル基、炭素原子数2から20のアルカノイルアルキル基、炭素原子数2から20のアルコキシカルボニル基(alkyl-OCO-)、炭素原子数1から20のアルカノイルオキシ基(alkyl-COO-またはHCOO-)、炭素原子数1から20のアルキルスルファニル基、炭素原子数2から20のアルキルスルファニルアルキル基、炭素原子数1から20のアルキルスルフィニル基、炭素原子数2から20のアルキルスルフィニルアルキル基、炭素原子数1から20のアルキルスルホニル基、炭素原子数2から20のアルキルスルホニルアルキル基、炭素原子数1から20のアルキルアミノ基、炭素原子数2から20のアルキルアミノアルキル基等である。
について、溶媒溶解性と半導体特性を向上させる観点からは、炭素原子数1から20の飽和炭化水素から誘導される一価基(アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基)、炭素原子数2から20のアルケニル基、炭素原子数2から20のアルキニル基、炭素原子数1から20のアルコキシ基、炭素原子数2から20のアルコキシアルキル基、炭素原子数1から20のアルキルスルファニル基、炭素原子数2から20のアルキルスルファニルアルキル基が好ましく、半導体特性をさらに向上させるという観点からは、炭素原子数1から20の飽和炭化水素から誘導される一価基(アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基)がより好ましい。
炭素原子数1から20の飽和炭化水素から誘導される一価基(アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基)としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、1-ヘキシルヘプチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基等をあげることができ(これらは例示であって、これらに限定されるものではない。)、溶媒溶解性と移動度を兼備させる観点から、炭素原子数3から20の飽和炭化水素から誘導される一価基が好ましく、炭素原子数5から20の飽和炭化水素から誘導される一価基がより好ましい。
本発明の具体的な化合物として、以下の化合物をあげるが、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007091837000006
(本発明の化合物の製造方法)
本発明の化合物の製造方法としては、本発明の化合物を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。以下に示すとおり、本発明の化合物は、公知慣用の合成反応を組み合わせて製造することができる。
製造スキーム(S1)式を用いて、本発明の化合物の製造方法について説明する。
Figure 0007091837000007
(S1)
((S1)式中、R、R、n、mは前記と同義。R′′は任意のアルキル基を表す。)
まず、1,3-ジクロロベンゼンに硝酸カリウムを作用させてジニトロ化(1段階目)したのち、アンモニアを作用させてジアミノ化する(2段階目)。次に、塩化すず(II)で還元することでテトラアミノ化させ(3段階目)、しかるのちに臭化チオニルを作用させることで4,8-ジブロモB2Tを得る(4段階目)。最後に、有機すず化合物(Ar-≡-SnR′′およびAr-≡-SnR′′)とStilleカップリング反応させ、目的の化合物Ar-≡-B2T-≡-Arとする(5段階目)。5段階目において、Ar-≡-SnR′′およびAr-≡-SnR′′は同一であっても異なっていてもよく、異なっている場合は、同時に作用させてもよいし、順次作用させてもよい。
次に、製造スキーム(S2)式を用いて、本発明の化合物の製造に用いる該有機すず化合物の製造方法について説明する。
Figure 0007091837000008
(S2)
((S2)式中、R、R、R′′、nは前記と同義。)
まず、フリーデルクラフツ反応にてブロモベンゼンに脂肪族カルボン酸塩化物(R-CO-Cl)を作用させてアシル化(1段階目)したのち、ハロゲン化剤(ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリドなどの求核的フッ素化剤または五塩化りんなどの塩素化剤)を作用させてベンジル位をジハロゲン化する(2段階目)。次に、トリメチルシリルアセチレンと薗頭カップリング反応させ(3段階目)、しかるのちに炭酸カリウムを作用させることでエチニルベンゼン誘導体を得る(4段階目)。最後に、ブチルリチウムを作用させたのち、塩化トリアルキルすず(Cl-SnR′′)を反応させることで目的とする有機すず化合物とする(5段階目)。
また、本発明の化合物の製造に用いる該有機すず化合物は、製造スキーム(S3)式のようにして製造することもできる。
Figure 0007091837000009
(S3)
((S3)式中、R、R、R′′、nは前記と同義。)
まず、ベンゼンをアシル化し、そののち、臭素化剤を作用させることで、アシル化ブロモベンゼンを得る。しかるのち、製造スキーム(S2)式の2段階目以降と同様にして、目的とする有機すず化合物を得ることができる。n=1の場合、p置換体を目的物とする場合には製造スキーム(S2)式のようにして行うことが、m置換体を目的物とする場合には製造スキーム(S3)式のようにして行うことが、好ましい。
(本発明の半導体材料)
本発明の化合物は、半導体素子を用途とした、半導体材料として使用することができる。本発明の半導体材料の形態としては、半導体素子の製造に供しうる形態であれば特に限定されるものではなく、単結晶、多結晶、粉末、非晶膜、多結晶膜、単結晶膜、薄膜等の固体形態;溶液、分散液、塗布液、インク等の液体形態;などをあげることができる。中でも、有機半導体材料の特徴が、湿式成膜法によって半導体素子を与えうるところにあることをかんがみれば、溶液、塗布液、インクであることが好ましい。
なお、本発明の半導体材料は、供された半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内で、本発明の化合物以外の材料を含有していてもよい。
(本発明のインク)
本発明のインクは、本発明の化合物を含有する半導体膜を、湿式成膜法によって形成するための材料であり、さらには、本発明の化合物を含有する半導体層であって、本発明の半導体素子が有する半導体層を、湿式成膜法によって形成するための材料である。
本発明のインクは、本発明の化合物以外に、本発明の化合物を溶解または分散せしめることができる溶媒を含有している。そのような溶媒としては、本発明の化合物を溶解または分散せしめることができれば特に限定されるものではなく、例えば、
酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、プロピレンカーボネート等のエステル系溶媒;
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、1,3-ブタンジオール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;
ペンタン、ヘキサン、n-ヘキサン、ヘプタン、オクタン、n-オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、n-デカン、ドデカン、オクタデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の炭化水素系溶媒;
ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、1,1,2-トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン等のハロゲン系溶媒;
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、クメン、n-ブチルベンゼン、n-ペンチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、p-シメン、1,4-ジエチルベンゼン、メシチレン、1,3,5-トリエチルベンゼン、アニソール、2-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、2,5-ジメチルアニソール、1,3-ジメトキシベンゼン、3,5-ジメトキシトルエン、2,4-ジメチルアニソール、フェネトール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラリン、1,5-ジメチルテトラリン、1-メチルナフタレン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ブロモナフタレン等の芳香族系溶媒;
テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル(モノグライム)、ジグライム、トリグライム、エチレングリコールモノメチルエーテル(セロソルブ)、エチルセロソルブ、プロピオセロソルブ、ブチロセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテルベンゾ二トリルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;
N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;
等をあげることできる。
なお、本発明のインクに用いられる溶媒は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明のインクは、その他の成分として、用途に応じて、本発明の化合物以外の半導体材料を含有していてもよい。そのような半導体材料としては、電子供与性材料、電子受容性材料、電子輸送性材料、正孔輸送性材料、発光材料、光吸収材料等をあげることができる。
また、本発明のインクは、その他の成分として、高分子化合物や樹脂、体質成分、界面活性剤、離型剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等を含有していてもよい。これらの成分は、本発明のインクに、印刷適性および造膜性(膜形成能)を付与するために、必要に応じて加えられる。
本発明の化合物のインク中の濃度は、本発明のインクを用いてなる半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、0.01から20.00質量%の範囲であることが好まく、0.05から10.00質量%の範囲であることがより好まく、0.30から10.00質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(本発明の半導体素子)
本発明の半導体素子としては、本発明の化合物を用いてなる半導体膜を半導体層として有する半導体素子であれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイオード;サイリスタ;フォトダイオード、太陽電池、受光素子等の光電変換素子;電界効果型トランジスタ、静電誘導型トランジスタ、バイポーラトランジスタ、薄膜トランジスタ等のトランジスタ;有機EL素子、発光トランジスタなどの発光素子;メモリ;温度センサ、化学センサ、ガスセンサ、湿度センサ、放射線センサ、バイオセンサ、血液センサ、免疫センサ、人工網膜、味覚センサ、圧力センサ等のセンサ;インバータ、リングオシレータ、RFID等のロジック回路;等をあげることができる。
(本発明のトランジスタ)
本発明のトランジスタの構造としては、本発明の膜を半導体層として含有すれば特に限定されるものではなく、例えば、ボトムゲートボトムコンタクト(以下、BGBCと略する。)電界効果型トランジスタ、ボトムゲートトップコンタクト(以下、BGTCと略する。)電界効果型トランジスタ、トップゲートボトムコンタクト(以下、TGBCと略する。)電界効果型トランジスタ、トップゲートトップコンタクト(以下、TGTCと略する。)電界効果型トランジスタ、メタルベース有機トランジスタ(以下、MBOTと略する。)、静電誘導トランジスタ(以下、SITと略する。)等をあげることができる。
本発明のトランジスタの構成要素である半導体層について説明する。
本発明のトランジスタの特徴は、その構成要素である半導体層に、本発明の化合物を含有する本発明の膜を用いることにある。なお、本発明のトランジスタの構成要素である半導体層は、所望の半導体特性を呈することができれば、本発明の化合物以外の材料を含有していてもよい。そのような材料としては、「(本発明のインク)」の項目で説明した、その他の半導体材料、高分子化合物や樹脂、体質成分、界面活性剤、離型剤等をあげることができる。
半導体層の厚さは、半導体層を形成するために用いられる半導体材料の種類に応じて、所望の半導体特性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、0.5から1000nmの範囲であることが好ましく、5から500nmの範囲であることがより好ましく、10から300nmの範囲であることがさらに好ましい。
半導体層の形成方法としては、少なくともチャネル領域(ソース電極とドレイン電極で挟まれた領域)を覆うように半導体層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、公知慣用の乾式成膜法および湿式成膜法をあげることができる。
乾式成膜法としては、例えば、
プラズマ化学蒸着(CVD)法、熱CVD法、レーザーCVD法等のCVD法;
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;
湿式成膜法としては、例えば、
ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra-dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレイコート法、ディスペンス法、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等の塗布法;
インクジェット印刷法、オフセット印刷法、キャピラリーペン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等の印刷法;等をあげることができる。
中でも、製造コストの低減および製造プロセスの低温化の観点から、湿式成膜法が好ましい。
また、半導体層の形成に当たっては、半導体材料の結晶性を高め半導体特性の向上を図ることを目的に、必要に応じて、前記のようにして成膜したのちにアニーリングを実施してもよい。アニーリングの方法としては、例えば、熱を加える、溶媒蒸気にさらすなどをあげることができる。
本発明のトランジスタの用途としては、表示装置を構成する画素のスイッチング素子、表示装置を構成する画素の信号ドライバ回路、メモリ回路、センサ回路、インバータ、リングオシレータ、RFID等をあげることができる。
該表示装置としては、液晶表示装置、分散型液晶表示装置、電気泳動表示装置、粒子回転表示装置、エレクトロクロミック表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパー等をあげることができる。
本発明を実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
〈化合物(101)の製造方法〉
Figure 0007091837000010
(101)
化合物(101)の製造方法について説明する。
Figure 0007091837000011
アルゴン雰囲気下、ブロモベンゼン10g(64mmol)、無水塩化アルミニウム5.1g(38mmol)、ヘキサノイルクロリド4.4mL(32mmol)を混合し、50℃で2時間撹拌した。反応液に水を加えたのち、析出した固体をろ過した。得られた固体を水、エタノールで洗浄することにより1-(4-ブロモフェニル)-1-ヘキサノンの白色固体5.7g(収率47%)を得た。
Figure 0007091837000012
アルゴン雰囲気下、1-(4-ブロモフェニル)-1-ヘキサノン1.0g(3.9mmol)、ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド2.9mL(16mmol)を混合し、80℃で17時間撹拌した。反応液に水、クロロホルムを加え水洗した後、硫酸マグネシウムで有機相を乾燥、溶媒を留去した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で分離精製し1-ブロモ-4-(1,1-ジフルオロヘキシル)ベンゼン0.66g(収率61%)を得た。
Figure 0007091837000013
アルゴン雰囲気下、1-ブロモ-4-(1,1-ジフルオロヘキシル)ベンゼン0.60g(2.2mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドのジクロロメタン付加物(Pd(dppf)Cl・CHCl)0.029g(0.036mmol)、ヨウ化銅(I)0.021g(0.11mmol)、トリフェニルホスフィン0.0095g(0.036mmol)、トリメチルシリルアセチレン0.50mL(3.6mmol)にジイソプロピルアミン4.4mLを加え80℃で10時間撹拌した。反応液を濃縮し、ヘキサンを加え、水洗した後、硫酸マグネシウムで有機相を乾燥、溶媒を留去して茶色固体を得た。アルゴン雰囲気下、得られた茶色固体、炭酸カリウム0.75g(5.4mmol)、メタノール2.7mLを混合し、室温で2時間撹拌した。反応液にヘキサンを加え、水洗した後、硫酸マグネシウムで有機相を乾燥、溶媒を留去した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で分離精製し1-(1,1-ジフルオロヘキシル)-4-エチニルベンゼン0.43g(収率89%)を得た。
Figure 0007091837000014
アルゴン雰囲気下、1-(1,1-ジフルオロヘキシル)-4-エチニルベンゼン0.43g(1.9mmol)に乾燥テトラヒドロフラン3.8mLを加え、-78℃に冷却した。反応液へn-ブチルリチウムの1.6mol/Lヘキサン溶液1.2mL(n-ブチルリチウムについて1.9mmol)をゆっくり滴下した。反応液を室温に昇温し、さらに1時間撹拌した。反応液を-78℃に冷却し、塩化トリメチルすず(IV)0.38g(1.9mmol)をゆっくり加えたのち、室温に昇温し、6時間撹拌した。反応液に水を加えて反応を停止した後、溶媒を留去した。濃縮物にヘキサンを加え、水洗した後、硫酸マグネシウムで有機相を乾燥、溶媒を留去した。得られたトリメチル{[4-(1,1-ジフルオロヘキシル)フェニル]エチニル}すず(IV)の粗製物0.67gは、これ以上精製することなく、次の反応に用いた。
Figure 0007091837000015
Advanced Materials Research,2012年,482-484巻,1221頁に記載の合成方法に従って得た4,8-ジブロモB2T0.10g(0.28mmol)、前記のようにして得たトリメチル{[4-(1,1-ジフルオロヘキシル)フェニル]エチニル}すず(IV)の粗製物0.33g、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.040g(0.034mmol)にトルエン20mLを加え100℃で5時間撹拌した。反応液を濃縮し得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)で分離精製し化合物(101)0.032g(収率18%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.87(d,J=8.2Hz,4H),δ7.55(d,J=8.2Hz,4H),δ2.25-2.03(m,4H),δ1.47-1.22(m,12H),δ0.88(t,J=6.8Hz,6H).
〈化合物(101)の溶解度の評価方法〉
溶解度評価は、下記のとおり二段階で実施した。
一段目は、大まかな溶解性を把握するために実施し、室温(25℃)において、0.1質量%となるように化合物(101)にp-キシレンを加え、目視にて、溶け残りの有無を確認した。判定については、溶け残り無し:0.1質量%溶解「可」;溶け残り有り:0.1質量%溶解「否」とした。
二段目では、室温(25℃)下、p-キシレンに対する0.4質量%溶解の可否を確認した(後記のとおり、半導体層の成膜に、p-キシレン0.4質量%溶液を用いるため。)。なお、本発明の化合物はモル吸光係数が大きく、濃度が濃くなると溶液の着色が強いため、目視による溶解性判断が困難となることから、以下のようにして評価を実施した。室温(25℃)において、0.4質量%となるように化合物(101)にp-キシレンを加え、ワットマン製の疎水性PTFEタイプシリンジフィルター(孔径:0.10um)を用いてろ過した(不溶分があった場合に、該不溶分を取り除くことを目的に、ろ過を実施している。)。該ろ液をp-キシレンで正確に希釈して、極大吸収波長における吸光度を、島津製作所社製の紫外可視近赤外分光光度計(UV-3600(商品名))を用いて測定した。このようにして測定した該希釈ろ液の吸光度と、あらかじめ作成した検量線から、ランバート-ベールの法則を用いて、該希釈ろ液の濃度を求め、希釈量から、該ろ液の濃度を算出した。判定については、算出値が0.4質量%:0.4質量%溶解「可」;算出値が0.4質量%未満:0.4質量%溶解「否」とした。
一段目の結果を表1の「0.1質量%溶解の可否(目視)」列に、二段目の結果を表1の「0.4質量%溶解の可否」列に示す。
〈化合物(101)を用いてなるトランジスタの製造方法〉
水希釈中性洗剤、蒸留水、アセトン、エタノールを用いて、この順に、超音波洗浄(各30分×3回)したガラス基板(図1符号1)上に、パリレン(登録商標)蒸着装置(ラボコーターPDS2010(商品名、日本パリレン合同会社製))を用いて、ジクロロジ-p-キシリレン(DPX-C(商品名、日本パリレン合同会社製))を原料にして、ポリパラクロロキシリレン(パリレンC)よりなる絶縁膜(図1符号2)を厚さ100nmで成膜した。次に、該絶縁膜上に、真空蒸着法(2×10-6Torr)にて、金属マスクを介して、金をパターン蒸着することにより、ソース・ドレイン電極(図1符号3)を形成し(厚さ:20nm、チャネル長:チャネル幅=100μm:500μm)、このものを、4-メチルベンゼンチオールのエタノール溶液(濃度:0.08質量%)に1時間浸漬した後、エタノールでリンスした。しかるのち、該ソース・ドレイン電極を覆うように、化合物(101)のp-キシレン溶液(0.4質量%)0.05μLをドロップキャストし、室温で乾燥させることで半導体層(図1符号4)を形成し、さらに、該ソース・ドレイン電極および該半導体層を覆うように、アモルファスフッ素樹脂(サイトップ(登録商標))よりなるゲート絶縁層(図1符号5)を、サイトップCTL-809M(商品名、AGC旭硝子株式会社製)およびサイトップCT-SOLV180(商品名、AGC旭硝子株式会社製)を質量比で5:2に混合した樹脂溶液から、スピンコート法(コート条件:1000rpm、30秒、スピンコート後の焼成条件:80℃、30分で予備乾燥し、しかるのち、100℃、30分)により形成した。最後に、該アモルファスフッ素樹脂よりなるゲート絶縁層上に、真空蒸着法(2×10-6Torr)にて、金属マスクを介して、金をパターン蒸着することにより、ゲート電極(図1符号6)を形成し(厚さ:20nm)、TGBC型トランジスタを製造した。
〈化合物(101)を用いてなるトランジスタの移動度の評価方法〉
前記のようにして製造したトランジスタの移動度は、ソース電極を接地し、ドレイン電極に100Vを印加した状態で、ゲート電極に電圧(V)をスイープ印加(20Vから60V)しながら、ドレイン電極に流れる電流(I)を、遮光下大気中で測定し、√I-Vの傾きから、以下の式を用いて求めた。単位はcm/Vsである。
=(W/2L)・C・μ・(V-V
(式中、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Cはゲート絶縁層の単位面積当たりの電気容量、Vは閾値電圧を表す。)
結果を表2および図2に示す。
(実施例2)
〈化合物(102)の製造方法〉
Figure 0007091837000016
(102)
化合物(102)の製造方法について説明する。
実施例1においてヘキサノイルクロリドに代え、オクタノイルクロリドを用いた以外、実施例1と同様の操作を行い、化合物(102)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.87(d,J=8.2Hz,4H),δ7.55(d,J=8.2Hz,4H),δ2.25-2.03(m,4H),δ1.51-1.17(m,20H),δ0.88(t,J=6.8Hz,6H).
〈化合物(102)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(102)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2ならびに図3に示す。
(実施例3)
〈化合物(103)の製造方法〉
Figure 0007091837000017
(103)

化合物(103)の製造方法について説明する。
実施例1においてヘキサノイルクロリドに代え、ウンデカノイルクロリドを用いた以外、実施例1と同様の操作を行い、化合物(103)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.87(d,J=8.2Hz,4H),δ7.55(d,J=8.2Hz,4H),δ2.25-2.03(m,4H),δ1.52-1.15(m,32H),δ0.88(t,J=6.8Hz,6H).
〈化合物(103)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(103)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2ならびに図4に示す。
(比較例1)
〈化合物(C101)の製造方法〉
Figure 0007091837000018
(C101)
化合物(C101)は特許文献4の実施例1-4(0168段)に記載の合成方法に従って製造した。
〈化合物(C101)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(C101)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2に示す。
(比較例2)
〈化合物(C102)の製造方法〉
Figure 0007091837000019
(C102)
化合物(C102)は特許文献3の実施例S-1(0300段)に記載の合成方法に従って製造した。
〈化合物(C102)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(C102)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2に示す。
(比較例3)
〈化合物(C103)の製造方法〉
Figure 0007091837000020
(C103)
化合物(C103)は非特許文献1に記載の合成方法に従って製造した。
〈化合物(C103)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(C103)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2に示す。
(比較例4)
〈化合物(C104)の製造方法〉
Figure 0007091837000021
(C104)
化合物(C104)の製造方法について説明する。
Figure 0007091837000022
アルゴン雰囲気下、1-エチニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン1.0g(5.9mmol)に乾燥テトラヒドロフラン12mLを加え、-78℃に冷却した。反応液へn-ブチルリチウムの1.6mol/Lヘキサン溶液3.7mL(5.9mmol)をゆっくり滴下した。反応液を室温に昇温し、さらに1時間撹拌した。反応液を-78℃に冷却し、塩化トリメチルすず(IV)1.2g(5.9mmol)をゆっくり加えたのち、室温に昇温し、6時間撹拌した。反応液に水を加えて反応を停止した後、溶媒を留去した。濃縮物にヘキサンを加え、水洗した後、硫酸マグネシウムで有機相を乾燥、溶媒を留去した。得られたトリメチル{[4-(トリフルオロメチル)フェニル]エチニル}すず(IV)の粗製物1.7gは、これ以上精製することなく、次の反応に用いた。
Figure 0007091837000023
アルゴン雰囲気下、4,8-ジブロモB2T0.25g(0.71mmol)、トリメチル{[4-(トリフルオロメチル)フェニル]エチニル}すず(IV)の粗製物0.95g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.099g(0.086mmol)にトルエン50mLを加え100℃で3時間撹拌した。反応液を濃縮し得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)で分離精製し化合物(C104)0.024g(収率6.4%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.93(d,J=8.0Hz,4H),δ7.72(d,J=8.0Hz,4H).
〈化合物(C104)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(C104)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2に示す。
(比較例5)
〈化合物(C105)の製造方法〉
Figure 0007091837000024
(C105)
化合物(C105)は特許文献4実施例1-5に記載の方法に従って製造した。
〈化合物(C105)の評価方法〉
溶解度および移動度について、実施例1における化合物(101)に代えて、化合物(C105)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度および移動度を評価した。結果を表1および2に示す。
Figure 0007091837000025
Figure 0007091837000026
表1から明らかなように、本発明の化合物は、特許文献5に記載の化合物(R1)などに見られる「二つの置換基を一つのアリール基に導入する」方法を用いることなく、0.4質量%という高い溶解度を示す。特許文献5に開示されている化合物の溶解度の最大値は0.3質量%であり、本発明の化合物の溶解度より低く、また、比較例の「4および8位にアリール基を有するB2T誘導体((C101)、(C102)、(C103)、(C105))」は、溶解度0.1質量%未満である。
本発明の化合物と化合物(C104)を比較すると、B2T環とフェニル基を-C≡C-でつないでいる点について共通であるが、本発明の化合物は高い溶解性を示すのに対して、化合物(C104)の溶解性は低い。また、本発明の化合物と化合物(C101)および(C105)を比較すると、フェニル基の側鎖に、R-CF-基が存在する点について共通であるが、本発明の化合物は高い溶解性を示すのに対して、化合物(C101)および(C105)の溶解性は低い。これらのことは、本発明化合物の溶解性の高さが、先行技術の組み合わせではないことを示すものである。
前記のように本発明の化合物は高い溶解度を示す。この効果により、本発明の化合物は、室温下の湿式成膜法にて半導体層およびトランジスタを与え、ひいては、半導体特性を示す(移動度については、表2のとおり。n型特性については、図2から図4のとおり。)。一方、比較例の化合物からは、室温下、半導体層を形成することができず、したがって、トランジスタを作製することができなかった。
なお、溶解度が高いと、化合物を製造する過程において、溶媒抽出法やカラムクロマトグラフィー法などの公知慣用の精製法を適用でき、工業生産に好適となる。このことは、有機半導体にとって必須の高純度化を図るうえで、きわめて重要である。
表2ならびに図2、3および4から明らかなように、本発明の化合物を用いてなる、トランジスタは大気中でn型半導体特性を呈した。したがって、本発明は、前記課題たる「溶媒溶解性、空気下安定性およびn型半導体特性を兼備する」材料を、特許文献5に記載の「二つの置換基を一つのアリール置換基に導入する」方法を用いることなく、提供できる。
本発明により、溶媒溶解性、大気下安定性およびn型半導体特性を兼備する有機半導体材料を提供できる。これにより、公知慣用のp型半導体と組み合わせることで、アナログ回路やデジタル回路をより簡便に提供することができる。
1.基板
2.下地(プライマリー)層(無くても構わない)
3.ソース・ドレイン電極
4.半導体層
5.ゲート絶縁層
6.ゲート電極

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表される化合物。
    Figure 0007091837000027
    (1)

    (一般式(1)中、RおよびRは一般式(2)で表される1価の置換基を表し、nはRの置換基の数であって、1から5の整数を表し、mはRの置換基の数であって、1から5の整数を表す。)
    Figure 0007091837000028
    (2)
    (一般式(2)中、*は1価の置換基としての結合部位を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
  2. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体材料。
  3. 請求項1に記載の化合物を含有するインク。
  4. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体膜。
  5. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体層を有する半導体素子。
  6. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体層を有するトランジスタ。
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