JP2017186476A - 含フッ素エラストマー組成物の製造方法およびオイルシール部材の製造方法 - Google Patents

含フッ素エラストマー組成物の製造方法およびオイルシール部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温での引張破断エネルギーと高温での引裂強度との双方が充分に向上し且つ適度な硬さを有することができるオイルシール部材を形成可能な含フッ素エラストマー組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体とを含有する含フッ素エラストマー組成物の製造方法であって、前記繊維状炭素ナノ構造体は、単層カーボンナノチューブを含み、前記含フッ素エラストマーと、前記繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液を湿式ジェットミルにより分散させる分散工程と、を含む、含フッ素エラストマー組成物の製造方法。前記製造方法で製造された含フッ素エラストマー組成物を用いてオイルシール部材を形成する、オイルシール部材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素エラストマー組成物の製造方法およびオイルシール部材の製造方法に関するものである。
従来、油をはじめとして水、溶剤等の液体の漏洩を防止する部材として、パッキンやガスケット、Oリングなどのオイルシール部材が用いられている。そして、石油や天然ガス等の地下資源を大深度で採掘する装置や、多種多様な機械や車両等における回転、往復または揺動する装置の軸まわりなど、高温となり得る条件下で用いられるオイルシール部材には、高温での物性および耐摩耗性に優れることが求められている。
そこで、例えば特許文献1では、テトラフルオロプロピレン−プロピレン共重合体に対して所定の平均直径を有する多層カーボンナノチューブ(以下、「MWCNT」とも称する)を所定の割合で配合してなるエラストマー組成物を架橋してオイルシール部材を形成することにより、高温での物性および耐摩耗性に優れたオイルシール部材を得る技術が提案されている。
国際公開第2011/077597号
しかし、多層カーボンナノチューブを用いた上記従来のオイルシール部材では、高温時の引裂強度と引張破断エネルギーとが不充分であり、それを補うために多層カーボンナノチューブを増量すると、オイルシール部材が硬くなり過ぎるという問題があった。
そこで、本発明は、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が充分に向上したオイルシール部材を形成可能な含フッ素エラストマー組成物を製造することができる、含フッ素エラストマー組成物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が充分に向上したオイルシール部材を提供することができる、オイルシール部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、単層カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を含フッ素エラストマーに対して所定の手段で分散させた組成物を用いてオイルシール部材を形成すれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を充分に向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法は、含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体とを含有する含フッ素エラストマー組成物の製造方法であって、前記繊維状炭素ナノ構造体は、単層カーボンナノチューブを含み、前記含フッ素エラストマーと、前記繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液を湿式ジェットミルにより分散させる分散工程と、を含むことを特徴とする。このように、単層カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を所定の手法で分散させれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が充分に向上したオイルシール部材を形成することが可能な含フッ素エラストマー組成物を提供することができる。
ここで、本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法において、前記含フッ素エラストマー100質量部当たり、前記繊維状炭素ナノ構造体が0.1質量部以上5.0質量部未満の割合で含有されることが好ましい。含フッ素エラストマー100質量部当たり、前記繊維状炭素ナノ構造体が0.1質量部以上5.0質量部未満の割合で含有させれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができるからである。
本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法において、前記繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、柔軟性を更に向上させることができるからである。
そして、前記t−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5の範囲にあることが好ましい。t−プロットの屈曲点が0.2≦t(nm)≦1.5の範囲にある繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができるからである。
また、前記t−プロットから得られる全比表面積S1および内部比表面積S2は、0.05≦S2/S1≦0.30を満たすことが好ましい。全比表面積S1および内部比表面積S2が0.05≦S2/S1≦0.30を満たす繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができるからである。
更に、本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法では、前記繊維状炭素ナノ構造体の平均直径が2nm以上10nm以下であることが好ましい。平均直径が2nm以上10nm以下の繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができるからである。
そして、本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法において、前記含フッ素エラストマーが、フッ化ビニリデン系ゴムおよび四フッ化エチレン−プロピレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。含フッ素エラストマーとして、フッ化ビニリデン系ゴムおよび四フッ化エチレン−プロピレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つを用いることにより、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができるからである。
また、本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法において、前記分散媒が、下記式(1)で得られる分散媒と前記含フッ素エラストマーとのハンセンの溶解度パラメータの距離Rが10以下であることが好ましい。
R={4×(δd1−δd22+(δp1−δp22+(δh1−δh221/2
δd1:含フッ素エラストマーの分散項、δd2:分散媒の分散項、δp1:含フッ素エラストマーの極性項、δp2:分散媒の極性項、δh1:含フッ素エラストマーの水素結合項、δh2:分散媒の水素結合項
分散媒として、Rが10以下の分散媒を用いることにより、柔軟性と高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度との双方を更に向上させることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のオイルシール部材の製造方法は、上述した含フッ素エラストマー組成物の製造方法の何れかを用いて製造された含フッ素エラストマー組成物を用いてオイルシール部材を形成したことを特徴とする。上述した含フッ素エラストマー組成物を用いてオイルシール部材を形成すると、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が向上したオイルシール部材を提供することができる。
本発明によれば、柔軟性と高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度との双方が向上したオイルシール部材を形成可能な含フッ素エラストマー組成物を製造することができる、含フッ素エラストマー組成物の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が向上したオイルシール部材を製造することができる、オイルシール部材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
ここで、本発明に係る含フッ素エラストマー組成物の製造方法により得られる含フッ素エラストマー組成物は、含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体とを含有し、パッキンやガスケット、Oリングなどのオイルシール部材の形成に用いることができる。当該オイルシール部材は、例えば、石油や天然ガス等の地下資源を大深度で採掘する装置や、多種多様な機械や車両等における回転、往復または遥動する装置の軸まわりなどにおいて油をはじめとして水、溶剤等の液体の漏洩を防止する部材として用いることができる。
(含フッ素エラストマー組成物の製造方法)
本発明による含フッ素エラストマー組成物の製造方法は、含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体とを含有し、前記繊維状炭素ナノ構造体が単層カーボンナノチューブを含む、含フッ素エラストマー組成物の製造方法である。特に、本発明による含フッ素エラストマー組成物の製造方法は、含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合して混合液を得る混合工程と、混合液を湿式ジェットミルにより分散させる分散工程と、を含むことを特徴とする。
<混合工程>
混合工程では、既知の混合方法により、含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合して混合液を調製する。例えば、含フッ素エラストマーに対して分散媒を添加し攪拌したところに、繊維状炭素ナノ構造体をさらに添加して、軽く攪拌することにより、混合液を調製することができる。
<分散工程>
分散工程では、上述のようにして得られた混合液を、界面活性剤の不存在下で湿式ジェットミルにより分散する。繊維状炭素ナノ構造体を十分に分散させるためには、適度に強いせん断力を印加する必要があるからである。さらに、湿式ジェットミルによる混合液の分散にあたり印加する圧力は10MPa以上が好ましく、15MPa以上がより好ましく、20MPa以上がさらに好ましく、180MPa以下が好ましく、170MPa以下がより好ましく、160MPa以下がさらに好ましく、150MPa以下が特に好ましい。さらに、処理回数(パス回数)は1回以上であり、2回以上が好ましく、3回以上がより好ましく、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましく、5回以下がさらに好ましい。混合液中には、含フッ素エラストマーと繊維状炭素ナノ構造体とが共存するため、かかる条件の下で湿式ジェットミルによる分散処理を実施することで、湿式ジェットミルのノズル及び逆止弁の目詰まりを防止すると共に、界面活性剤を使用しなくても繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができるからである。さらに、分散処理の温度は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましく、80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、35℃以下がさらに好ましい。
また、湿式ジェットミルによる分散処理時の各種条件を上述の範囲内とすることで、比較的少ない分散処理回数で繊維状炭素ナノ構造体の分散性を向上させると共に、繊維状炭素ナノ構造体の切断を抑制して、引裂強度を更に向上させることができる。
なお、本発明の分散工程において使用可能な湿式ジェットミルとしては、「ナノヴェイタ(登録商標)」(吉田機械興業株式会社製)、「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)、超高圧湿式微粒化装置(吉田工業株式会社製)、「ナノマイザー(登録商標)」(ナノマイザー株式会社製)、及び「スターバースト(登録商標)」(株式会社スギノマシン製)等が挙げられる。なお、湿式ジェットミルの最小流路径は、目詰まり抑制の観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上であり、効果的に加圧分散する観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは300μm以下である。
上記混合物は、得られた分散処理液から有機溶媒などの分散媒を除去することにより、調製することができる。なお、有機溶媒などの分散媒の除去には、例えば、凝固法、キャスト法または乾燥法を用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を確保しつつ分散媒を効率的に除去する観点からは、分散処理液を直接乾燥することが好ましい。
ここで、乾燥方法としては、スプレードライ方式による乾燥、真空乾燥、不活性ガスの流通による乾燥などなどの既知の乾燥方法を使用することができる。
<混練工程>
上述のようにして得られた混合物は、含フッ素エラストマーと繊維状炭素ナノ構造体とを含有する。この混合物に、任意の添加剤、例えば、架橋剤、補強材、酸化防止剤などを更に含有させて、混練することによって、含フッ素エラストマー組成物を得ることができる。当該混合物と添加剤との混練は、例えば、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー(登録商標)、押出機などを用いて行うことができる。
以下、本発明による含フッ素エラストマー組成物の製造方法にて配合する各種成分についてより詳細に説明する。
<含フッ素エラストマー>
ここで、含フッ素エラストマー組成物の含フッ素エラストマーとしては、特に限定されることなく、オイルシール部材の形成に用いられる既知のフッ素ゴムを用いることができる。具体的には、含フッ素エラストマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、四フッ化エチレンプロピレン系ゴム(FEPM)、四フッ化エチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル系ゴム(FFKM)、テトラフルオロエチレン系ゴム(TFE)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、含フッ素エラストマーとしては、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、四フッ化エチレン−プロピレン系ゴム(FEPM)が好ましく、四フッ化エチレン−プロピレン系ゴム(FEPM)がより好ましい。
フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)は、フッ化ビニリデンを主成分とし、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、加工性などに優れるフッ素ゴムである。FKMとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとからなる二元共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとからなる三元共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンと加硫サイトモノマーとからなる四元共重合体などが挙げられる。市販品としては、例えば、デュポンエラストマー株式会社の「バイトン(登録商標)」、ダイキン工業株式会社の「ダイエル(登録商標)G」などが挙げられる。中でもフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとテトラフルオロエチレンと加硫サイトモノマーとからなる四元共重合体が好ましい。当該四元共重合体は、例えば、市販品「バイトン GBL−200S」(デュポンエラストマー株式会社製)として入手可能である。
四フッ化エチレン−プロピレン系ゴム(FEPM)は、テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)との交互共重合体をベースとし、耐熱性、耐薬品性、耐極性溶剤性、耐スチーム性などに優れるフッ素ゴムである。FEPMとしては、特に限定されないが、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)とからなる二元共重合体、テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)とフッ化ビニリデン(VdF)からなる三元共重合体、テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)と架橋点モノマー(CSM)とからなる三元共重合体などが挙げられる。テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)とからなる二元共重合体の市販品としては、例えば、旭硝子株式会社の「アフラス(登録商標)100」および「アフラス150」が挙げられる。テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)とフッ化ビニリデン(VdF)からなる三元共重合体の市販品としては、例えば、旭硝子株式会社の「アフラス200」が挙げられる。テトラフルオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)と架橋点モノマー(CSM)とからなる三元共重合体の市販品としては、例えば、旭硝子株式会社の「アフラス300」が挙げられる。
<繊維状炭素ナノ構造体>
繊維状炭素ナノ構造体としては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体が挙げられる。そして、本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法では、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用する。このように、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用することで、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が充分に向上したオイルシール部材を形成することができる。
なお、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用することで柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が充分に向上したオイルシール部材を形成することができる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。即ち、単層CNTは多層CNTと比較して補強効果が高いため、単層CNTを用いたオイルシール部材では、多層CNTよりも少ない含有量で高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を充分に向上させることができると推察される。また、単層CNTは多層CNTと比較して、少ない含有量で引裂強度を向上させることができ、且つ高い柔軟性を有するため、単層CNTを用いたオイルシール部材は、柔軟性を維持することができると推察される。
そして、含フッ素エラストマー組成物中の繊維状炭素ナノ構造体の含有量は、含フッ素エラストマー100質量部当たり、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましく、0.4質量部以上であることが特に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の含有量が含フッ素エラストマー100質量部当たり0.1質量部以上であると、含フッ素エラストマー組成物を用いて形成したオイルシール部材の強度を確保することができ、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を十分に向上させることができる。
また、含フッ素エラストマー組成物中の繊維状炭素ナノ構造体の含有量は、含フッ素エラストマー100質量部当たり、5質量部未満であることが好ましく、4.5質量部以下であることがより好ましく、4質量部以下であることが更により好ましく、3.5質量部以下であることが特に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の含有量が含フッ素エラストマー100質量部当たり5質量部未満である場合、適度な柔軟性を充分に維持することができる。
ここで、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、単層CNTを含むものであれば特に限定されることなく、単層CNTのみからなるものであってもよいし、単層CNTと多層CNTとの混合物であってもよいし、少なくとも単層CNTを含むCNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、含フッ素エラストマー組成物を用いて形成したオイルシール部材において柔軟性と高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度との双方を向上させる観点からは、繊維状炭素ナノ構造体100本中の単層CNTの割合は、50本以上であることが好ましく、70本以上であることがより好ましく、90本以上であることが更に好ましい。
また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、柔軟性が更に向上したオイルシール部材を形成することができる。
なお、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTの開口処理が施されておらず、t−プロットが上に凸な形状を示すことがより好ましい。
ここで、一般に、吸着とは、ガス分子が気相から固体表面に取り去られる現象であり、その原因から、物理吸着と化学吸着に分類される。そして、t−プロットの取得に用いられる窒素ガス吸着法では、物理吸着を利用する。なお、通常、吸着温度が一定であれば、繊維状炭素ナノ構造体に吸着する窒素ガス分子の数は、圧力が大きいほど多くなる。また、横軸に相対圧(吸着平衡状態の圧力Pと飽和蒸気圧P0の比)、縦軸に窒素ガス吸着量をプロットしたものを「等温線」といい、圧力を増加させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「吸着等温線」、圧力を減少させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「脱着等温線」という。
そして、t−プロットは、窒素ガス吸着法により測定された吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得られる。即ち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する試料では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となり、上に凸な形状を示すことが好ましい。かかるt−プロットの形状は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示しており、その結果として、当該繊維状炭素ナノ構造体を含エラストマー組成物に用いると、形成したオイルシール部材の柔軟性を更に向上させることができると推察される。
なお、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0を満たす範囲にあることが更に好ましい。t−プロットの屈曲点の位置が上記範囲内にあると、繊維状炭素ナノ構造体の特性が更に向上するため、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができる。
ここで、「屈曲点の位置」とは、t−プロットにおける、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が、0.05以上であることが好ましく、0.06以上であることがより好ましく、0.08以上であることが更に好ましく、0.30以下であることが好ましい。S2/S1が0.05以上0.30以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の特性を更に向上させることができるので、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができる。
また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、S1は、600m2/g以上1400m2/g以下であることが好ましく、800m2/g以上1200m2/g以下であることが更に好ましい。一方、S2は、30m2/g以上540m2/g以下であることが好ましい。
ここで、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル株式会社製)を用いて行うことができる。
また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.40超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が更に向上したオイルシール部材を形成することができる。
なお、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)」および「繊維状炭素ナノ構造体の直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
更に、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。G/D比が1以上20以下であれば、柔軟性、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が更に向上したオイルシール部材を形成することができる。
また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)は、2nm以上であることが好ましく、2.5nm以上であることが更に好ましく、10nm以下であることが好ましく、6nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が2nm以上であれば、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が更に向上したオイルシール部材を形成することができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が10nm以下であれば、柔軟性が更に向上したオイルシール部材を形成することができる。
また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、合成時における構造体の平均長さが100μm以上であることが好ましい。なお、合成時の構造体の長さが長いほど、分散時に繊維状炭素ナノ構造体に破断や切断などの損傷が発生し易いので、合成時の構造体の平均長さは5000μm以下であることが好ましい。
そして、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比(長さ/直径)は、10を超えることが好ましい。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
更に、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることが更に好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることが更に好ましい。単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m2/g以上であれば、形成したオイルシール部材の強度を高めることができるので、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度を更に向上させることができる。また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2500m2/g以下であれば、形成したオイルシール部材の柔軟性を維持し好適な硬さとすることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、後述のスーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該集合体としての繊維状炭素ナノ構造体の質量密度は、0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体同士の結びつきが弱くなるので、含フッ素エラストマー中で繊維状炭素ナノ構造体を均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
更に、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、複数の微小孔を有することが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体は、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体が上記のようなマイクロ孔を有することで、柔軟性を更に向上させることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、繊維状炭素ナノ構造体の調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP−mini」(日本ベル株式会社製)を使用して求めることができる。
そして、上述した性状を有する単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
なお、スーパーグロース法により製造した単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTと、非円筒形状の炭素ナノ構造体とから構成されていてもよい。具体的には、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体には、内壁同士が近接または接着したテープ状部分を全長に亘って有する単層または多層の扁平筒状の炭素ナノ構造体(以下、「グラフェンナノテープ(GNT)」と称することがある。)が含まれていてもよい。
ここで、GNTは、その合成時から内壁同士が近接または接着したテープ状部分が全長に亘って形成されており、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成された物質であると推定される。そして、GNTの形状が扁平筒状であり、かつ、GNT中に内壁同士が近接または接着したテープ状部分が存在していることは、例えば、GNTとフラーレン(C60)とを石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)して得られるフラーレン挿入GNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、GNT中にフラーレンが挿入されない部分(テープ状部分)が存在していることから確認することができる。
そして、GNTの形状は、幅方向中央部にテープ状部分を有する形状であることが好ましく、延在方向(軸線方向)に直行する断面の形状が、断面長手方向の両端部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法が、いずれも、断面長手方向の中央部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法よりも大きい形状であることがより好ましく、ダンベル状であることが特に好ましい。
ここで、GNTの断面形状において、「断面長手方向の中央部近傍」とは、断面の長手中心線(断面の長手方向中心を通り、長手方向線に直交する直線)から、断面の長手方向幅の30%以内の領域をいい、「断面長手方向の端部近傍」とは、「断面長手方向の中央部近傍」の長手方向外側の領域をいう。
なお、非円筒形状の炭素ナノ構造体としてGNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、触媒層を表面に有する基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成する際に、触媒層を表面に有する基材(以下、「触媒基材」と称することがある。)を所定の方法で形成することにより、得ることができる。具体的には、GNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布し、塗布した塗工液Aを乾燥して基材上にアルミニウム薄膜(触媒担持層)を形成した後、アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布し、塗布した塗工液Bを温度50℃以下で乾燥してアルミニウム薄膜上に鉄薄膜(触媒層)を形成することで得た触媒基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成することで得ることができる。
[分散媒]
本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法にて使用可能な分散媒としては、特に限定されないが、含フッ素エラストマーの溶解性を向上させる観点からは、含フッ素エラストマーとのハンセン溶解度パラメータの距離Rが10以下であることが望ましい。
ハンセン溶解度パラメータは、ある物質(例えば、溶質などの分散質)がある物質(例えば、溶媒などの分散媒)にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標であり、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割したものである。分散項δdは無極性相互作用による効果、極性項δpは双極子間力による効果、水素結合項δhは水素結合力の効果を示すものである。ハンセン溶解度パラメータは、下記式により2成分の溶解度パラメータの距離Rを計算し、溶解度を比較することができる。
R={4×(δd1−δd22+(δp1−δp22+(δh1−δh221/2
δd1:成分1の分散項、δd2:成分2の分散項、δp1:成分1の極性項、δp2:成分2の極性項、δh1:成分1の水素結合項、δh2:成分2の水素結合項
本発明では、具体的に、成分1を含フッ素エラストマー、成分2を分散媒として、下記式によりハンセン溶解度パラメータの距離Rを計算することができる。
R={4×(δd1−δd22+(δp1−δp22+(δh1−δh221/2
δd1:含フッ素エラストマーの分散項、δd2:分散媒の分散項、δp1:含フッ素エラストマーの極性項、δp2:分散媒の極性項、δh1:含フッ素エラストマーの水素結合項、δh2:分散媒の水素結合項
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
また、ハンセン溶解度パラメータの文献値が未知の溶媒については、コンピュータソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP))を用いることによって、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算することができる。
本発明においては、HSPiPバージョン3を用い、データベースに登録されている有機溶媒についてはその値を用い、登録されていない有機溶媒については推算値を用いればよい。
また、特定のポリマーのハンセン溶解度パラメータについては、通常、該ポリマーを、ハンセン溶解度パラメータが確定している数多くの異なる有機溶媒に溶解させて溶解度を測る溶解度試験を行うことによって決定される。具体的には、あるポリマーの溶解度試験に用いたすべての有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの座標を3次元空間に示した際、該ポリマーを溶解した有機溶媒の座標がすべて球の内側に内包され、該ポリマーが溶解しない有機溶媒の座標が球の外側になるような球(溶解度球)を探し出し、溶解度球の中心座標を該ポリマーのハンセン溶解度パラメータとする。
そして、該ポリマーの溶解度試験に用いられなかったある有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの座標が(δd,δp,δh)であった場合、該座標が溶解度球の内側に内包されれば、該有機溶媒は該ポリマーを溶解すると考えられる。一方、該座標が溶解度球の外側にあれば、該有機溶媒は該ポリマーを溶解することができないと考えられる。
例えば、本発明で前記含フッ素エラストマーとして、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM、製品名「バイトンA」、(δd,δp,δh)=(14.6,10.0,1.6))を用いた場合、ハンセン溶解度パラメータの距離Rが10以下である分散媒としては、メチルエチルケトン(MEK、(δd,δp,δh)=(16.0,9.0,5.1)、R=4.6)やアセトン((δd,δp,δh)=(15.5,10.4,7.0)、R=5.7)などのケトン類、テトラヒドロフラン(THF、(δd,δp,δh)=(16.8,5.7,8.0)、R=8.8)などのエーテル類等の極性溶媒等が挙げられる。また、含フッ素エラストマーとして四フッ化エチレン−プロピレンゴム(FEPM、(δd,δp,δh)=(16.6,6.8,0.6))を用いた場合、ハンセン溶解度パラメータの距離Rが10以下である分散媒としては、メチルエチルケトン(R=5.2)などのケトン類、テトラヒドロフラン(R=7.5)などのエーテル類等の極性溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
<添加剤>
含フッ素エラストマー組成物に任意に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、架橋剤、架橋助剤、共架橋剤、補強材、滑剤、老化防止剤、カップリング剤などの既知の添加剤を用いることができる。
具体的には、架橋剤としては、特に限定されることなく、含フッ素エラストマー組成物に含まれている含フッ素エラストマーを架橋可能な既知の架橋剤を用いることができる。より具体的には、架橋剤としては、例えば、パーオキサイド系架橋剤、ポリオール系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などを用いることができる。
また、架橋助剤としては、特に限定されることなく、例えば亜鉛華などを用いることができる。
また、共架橋剤としては、特に限定されることなく、例えばトリアリルイソシアヌレートなどを用いることができる。
更に、補強材としては、特に限定されることなく、カーボンブラックやシリカなどを用いることができる。
滑剤としては、特に限定されることなく、ステアリン酸ソーダなどを用いることができる。
老化防止剤としては、特に限定されることなく、例えば、ジ−t−ブチル−P−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキシ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2′メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェニル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート等が挙げられる。
カップリング剤としては、特に限定されることなく、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、添加剤の配合量は、所望の効果の発現が阻害されない限り、任意の量とすることができる。
(オイルシール部材の製造方法)
本発明のオイルシール部材の製造方法では、上述した含フッ素エラストマー組成物を所望の形状に成形してオイルシール部材を形成する。具体的には、例えば、上述した含フッ素エラストマー組成物を金型に投入し、任意に架橋させて、オイルシール部材を形成することができる。そして、上述した含フッ素エラストマー組成物を用いて形成したオイルシール部材は、含フッ素エラストマー組成物に含まれていた成分に由来する成分を、含フッ素エラストマー組成物と同様の比率で含有する。即ち、オイルシール部材は、例えば含フッ素エラストマー組成物が架橋剤を含有していた場合には、架橋されたエラストマーと、単層CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体とを所定の比率で含有し、任意に老化防止剤などの添加剤を更に含有する。
なお、オイルシール部材の形状は、用途に応じた任意の形状とすることができ、オイルシール部材は、例えば、環状のオイルシール部材(Oリング)であってもよいし、中空円盤状のオイルシール部材であってもよい。
そして、上記オイルシール部材は、高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度が充分に向上し且つ適度な硬さを有することができる。
(オイルシール部材)
なお、オイルシール部材が上述した含フッ素エラストマー組成物を架橋してなる架橋物からなる場合、当該架橋物は以下の物性を有することが好ましい。
即ち、架橋物は、高温、例えば200℃での引張破断エネルギーが1.2MJ/m3以上であることが必要であり、1.3MJ/m3以上であることが好ましく、1.4MJ/m3以上であることが更に好ましく、1.5MJ/m3以上であることが特に好ましい。ここで、前記架橋物において、高温、例えば200℃での引張破断エネルギーが15MJ/m3以下とすることができる。
また、架橋物は、高温、例えば200℃での引裂強度が3N/mm以上であることが必要であり、3.5N/mm以上であることが好ましく、4N/mm以上であることが更に好ましく、4.5N/mm以上であることが特に好ましい。ここで、前記架橋物において、高温、例えば200℃での引裂強度が20N/mm以下とすることができる。
更に、架橋物は、デュロメータ硬さが45〜90であることが必要であり、50〜93であることが好ましく、55〜90であることが更に好ましく、60〜90であることが特に好ましい。
ここで、架橋物の「引張破断エネルギー」は、JIS K6251に準拠して測定することができる。また、架橋物の「引裂強度(「引裂強さ」とも称される)」は、JIS K6252に準拠して測定することができる。また、架橋物の「デュロメータ硬さ」は、IS K6253に準拠し、タイプAデュロメータを用いて測定することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、架橋物の引張破断エネルギー、架橋物の引裂強度およびデュロメータ硬さは、それぞれ以下の方法を使用して測定または評価した。
<引張破断エネルギー>
作製したシート状の架橋物をダンベル状3号形で打ち抜き、試験片を得た。そして、得られた試験片について、JIS K6251に準拠し、200℃において引張試験を破断するまで実施し、応力−歪み曲線の面積から破断エネルギー(単位:MJ/m3)を求めた。200℃での引張破断エネルギーが高いほど、高温での引張強度に優れる。
<引裂強度>
作製したシート状の架橋物を切込みなしアングル形で打ち抜き、試験片を得た。そして、得られた試験片について、JIS K6252に準拠し、200℃において引裂強度を測定した。200℃での引裂強度が3〜20N/mmであると、高温での引裂強度に優れる。
<デュロメータ硬さ>
作製したシート状の架橋物をダンベル状3号形で打ち抜き、試験片を得た。そして、得られた試験片について、タイプAデュロメータを使用し、JIS K6253に準拠して温度23℃におけるデュロメータ硬さを測定した。当該デュロメータ硬さが45〜90であると、柔軟性に優れ、適度な硬さを有する。
(実施例1)
<単層カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体の調製>
国際公開第2006/011655号の記載に従い、スーパーグロース法により繊維状炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブ(SGCNT)を調製した。なお、SGCNTの調製時には、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガスを用いた。
得られたSGCNTは、主として単層CNTからなり、ラマン分光光度計での測定において、単層CNTに特長的な100〜300cm-1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。また、BET比表面積計(日本ベル株式会社製、BELSORP−max)を用いて測定したSGCNTのBET比表面積は1050m2/g(未開口)であった。更に、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した100本のSGCNTの直径および長さを測定し、SGCNTの平均直径(Av)、直径の標準偏差(σ)および平均長さを求めたところ、平均直径(Av)は3.3nmであり、標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)は1.9nmであり、それらの比(3σ/Av)は0.58であり、平均長さは500μmであった。更に、日本ベル株式会社製の「BELSORP−mini」を用いてSGCNTのt−プロットを測定したところ、t−プロットは、上に凸な形状で屈曲していた。そして、S2/S1は0.09であり、屈曲点の位置tは0.6nmであった。
<含フッ素エラストマー組成物の調製>
[混合物の調製]
分散媒としてのメチルエチルケトン((δd,δp,δh)=(16.0,9.0,5.1))400gに含フッ素エラストマーとしてのFKM(デュポンエラストマー株式会社製、商品名「バイトンGBL−200S」、(δd,δp,δh)=(14.7,9.0,2.7))100.0質量部(200g)を加え、12時間撹拌して含フッ素エラストマーを溶解させた。FKMとメチルエチルケトンとのハンセン溶解度パラメータRは、3.6であった。なお、JIS K6300に準拠して測定した含フッ素エラストマーのムーニー粘度(ML1+10、121℃)は、25であった。
次に、得られた含フッ素エラストマー溶液に対し、SGCNTを4.5質量部(9g)加え、撹拌機(PRIMIX製、ラボ・リューション(登録商標))を用いて15分間撹拌した。更に、湿式ジェットミル(吉田機械興業株式会社製、L−ES007)を用いて、SGCNTを加えた溶液を100MPaで分散処理した。その後、得られた分散処理液を16kgの水へ滴下し、凝固させて黒色固体を得た。そして、得られた黒色固体を80℃で12時間減圧乾燥し、含フッ素エラストマーとSGCNTとの混合物を得た。
[混練]
その後、15℃のオープンロールを用いて、含フッ素エラストマーとSGCNTとの混合物と、架橋助剤としての亜鉛華3.0質量部(6g)、共架橋剤としてのトリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製、商品名「TAIC(登録商標)」)3.0質量部(6g)と、架橋剤としての2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油株式会社製、商品名「パーヘキサ(登録商標)25B40」)2.0質量部(4g)とを混練し、含フッ素エラストマー組成物を得た。
<シート状の架橋物の作製>
得られたガスシール部材用組成物を金型に投入し、温度170℃、圧力10MPaで20分間架橋させてシート状の架橋物(長さ:150mm、幅:150mm、厚さ:2mm)を得た。次いで、得られた架橋物をギヤー式オーブンに写して230℃で2時間二次架橋した。
そして、得られたシート状の架橋物を用いて架橋物の引張破断エネルギー、引裂強度およびデュロメータ硬さを測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜3)
混合物を調製する際に含フッ素エラストマーとしてFKMに替えてFEPM(旭硝子株式会社製、商品名「アフラス100S」、(δd,δp,δh)=(16.6,6.8,0.6))100.0質量部(200g)を使用し、分散媒としてテトラヒドロフラン((δd,δp,δh)=(16.8,5.7,8.0))4000gを使用し、SGCNTの添加量を3.0重量部(6g、実施例2)または2.0重量部(4g、実施例3)に変更し、また、混練の際に含フッ素エラストマーとSGCNTとの混合物と、共架橋剤としてのトリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製、商品名「TAIC」)5.0質量部(10g)と、架橋剤としての1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(GEO Specialty Chemicals Inc製、商品名「Vul Cup 40KE」)1.0質量部(2g)、滑剤としてのステアリン酸ソーダ1.0質量部(2g)とを混練した以外は実施例1と同様にして、含フッ素エラストマー組成物を得た。FEPMとテトラヒドロフランとのハンセン溶解度パラメータRは、7.5であった。
<シート状の架橋物の作製>
得られたガスシール部材用組成物を金型に投入し、温度170℃、圧力10MPaで20分間架橋させてシート状の架橋物(長さ:150mm、幅:150mm、厚さ:2mm)を得た。次いで、得られた架橋物をギヤー式オーブンに移して200℃で4時間二次架橋した。
そして、得られたシート状の架橋物を用いて架橋物の引張破断エネルギー、引裂強度およびデュロメータ硬さを測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
混合物を調製する際に含フッ素エラストマーとしてFKMに替えてFEPM(旭硝子株式会社製、商品名「アフラス100S」、(δd,δp,δh)=(16.6,6.8,0.6))100.0質量部(200g)を使用し、分散媒としてテトラヒドロフラン((δd,δp,δh)=(16.8,5.7,8.0))4000gを用い、SGCNTの添加量を2.0重量部(4g)に変更し、また、混練の際に含フッ素エラストマーとSGCNTとの混合物と、共架橋剤としてのトリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製、商品名「TAIC」)5.0質量部(10g)と、架橋剤としての1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(GEO Specialty Chemicals Inc製、商品名「Vul Cup 40KE」)1.0質量部(2g)、滑剤としてのステアリン酸ソーダ1.0質量部(2g)と、補強材としてのカーボンブラック(CancarbLimited社製、商品名「サーマックN990」)10.0質量部(20g)とを混練した以外は実施例3と同様にして、含フッ素エラストマー組成物およびシート状の架橋物を作製した。なお、FEPMとテトラヒドロフランとのハンセン溶解度パラメータRは、実施例2および3と同じく7.5であった。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
混合物を調製する際に湿式ジェットミルに替えてロール混練を用いた以外は実施例1と同様にして、含フッ素エラストマー組成物およびシート状の架橋物を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
混合物を調製する際にSGCNTに替えてカーボンブラック(CancarbLimited社製、商品名「サーマックN990」)45.0質量部(90g)を使用し、湿式ジェットミルに替えてロール混練を用いた以外は実施例1と同様にして、含フッ素エラストマー組成物およびシート状の架橋物を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
混合物を調製する際に湿式ジェットミルに替えてロール混練を用いた以外は実施例2と同様にして、含フッ素エラストマー組成物およびシート状の架橋物を作製した。そして、実施例2と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017186476
表1より、湿式ジェットミルを使用して分散処理を行った実施例1〜4では、湿式ジェットミルを使用しなかった比較例1および3ならびに単層カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用せず湿式ジェットミルも使用なかった比較例2と比較し、優れた柔軟性(すなわち、適度な硬さ)と高温での引張破断エネルギーおよび高温での優れた引裂強度とを有するオイルシール部材が得られることが分かる。
特に、表1の実施例4より、カーボンブラックを更に含むことによって、オイルシール部材の柔軟性(硬さ)と高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度とをバランスよく向上させ得ることが分かる。
本発明によれば、柔軟性と高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度との双方が充分に向上したオイルシール部材を形成可能な含フッ素エラストマー組成物を製造することができる、含フッ素エラストマー組成物の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、柔軟性と高温での引張破断エネルギーおよび高温での引裂強度との双方が充分に向上したオイルシール部材を製造することができる、オイルシール部材の製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 含フッ素エラストマーと、繊維状炭素ナノ構造体とを含有する含フッ素エラストマー組成物の製造方法であって、
    前記繊維状炭素ナノ構造体は、単層カーボンナノチューブを含み、
    前記含フッ素エラストマーと、前記繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合して混合液を得る混合工程と、
    前記混合液を湿式ジェットミルにより分散させる分散工程と、
    を含む、含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  2. 前記含フッ素エラストマー100質量部当たり、前記繊維状炭素ナノ構造体が0.1質量部以上5.0質量部未満の割合で含有される、請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  3. 前記繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す、請求項1または2に記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  4. 前記t−プロットの屈曲点が、0.2≦t(nm)≦1.5の範囲にある、請求項3に記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  5. 前記t−プロットから得られる全比表面積S1および内部比表面積S2が、0.05≦S2/S1≦0.30を満たす、請求項3または4に記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  6. 前記繊維状炭素ナノ構造体の平均直径が2nm以上10nm以下である、請求項1〜5の何れかに記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  7. 前記含フッ素エラストマーが、フッ化ビニリデン系ゴムおよび四フッ化エチレン−プロピレンゴムからなる群より選択される、請求項1〜6の何れかに記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
  8. 前記分散媒が、下記式(1)で得られる、分散媒と前記含フッ素エラストマーとのハンセン溶解度パラメータの距離Rが10以下である、請求項1〜7の何れかに記載の含フッ素エラストマー組成物の製造方法。
    R={4×(δd1−δd22+(δp1−δp22+(δh1−δh221/2
    δd1:含フッ素エラストマーの分散項、δd2:分散媒の分散項、δp1:含フッ素エラストマーの極性項、δp2:分散媒の極性項、δh1:含フッ素エラストマーの水素結合項、δh2:分散媒の水素結合項
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の製造方法で製造された含フッ素エラストマー組成物を用いてオイルシール部材を形成する、オイルシール部材の製造方法。
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