JP2019199584A - 複合材料の製造方法および架橋物の製造方法 - Google Patents

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伸一 木原
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繁樹 滝嶌
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慶久 武山
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Abstract

【課題】ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させてなり、引張強度が向上した架橋物の原料として良好に使用し得る複合材料を製造する方法を提供する。【解決手段】ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練する工程を含む、複合材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、複合材料の製造方法および架橋物の製造方法に関し、特には、ゴムと繊維状炭素ナノ構造体とを含有する複合材料の製造方法、並びに、当該複合材料を用いた架橋物の製造方法に関するものである。
従来、導電性や熱伝導性などに優れる材料として、ゴムにカーボン材料を配合してなる複合材料が使用されている。そして、近年では、導電性や熱伝導性の向上効果が高いカーボン材料として、繊維状炭素材料、特にはカーボンナノチューブ等の繊維状炭素ナノ構造体が注目されている。
ここで、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素ナノ構造体は、一本一本の特性は優れているものの、外径が小さいため、バルク材料として使用する際にファンデルワールス力によってバンドル化し易い(束になり易い)。そのため、ゴムと繊維状炭素ナノ構造体とを含有する複合材料の製造においては、繊維状炭素ナノ構造体のバンドル構造体を解し(解繊し)、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることが求められている。
そこで、例えば特許文献1では、カーボンナノチューブを含有する有機溶媒中に熱可塑性樹脂からなる成形体を浸漬し、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素の存在下でカーボンナノチューブを分散させつつ成形体表面に収着させることにより、カーボンナノチューブが表層部に均一に分散してなる、熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブとの複合体を得ている。
特開2006−8945号公報
しかし、特許文献1に記載の技術は、分散させたカーボンナノチューブを成形体表面に吸着させることにより表層部においてカーボンナノチューブが均一に分散した複合体を得るものであり、特許文献1に記載の技術では、内部までカーボンナノチューブを均一に分散させることができなかった。
また、ゴムと繊維状炭素ナノ構造体とを含有する従来の複合材料は、成形および架橋して用いられることがあるところ、従来の複合材料を架橋してなる架橋物には、引張強度を向上させるという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させてなる複合材料であって、引張強度に優れた架橋物の作製に使用し得る複合材料を製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、引張強度に優れる架橋物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体とを含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練すれば、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができることを見出した。また、本発明者らが更に検討を重ねたところ、ゴムおよび繊維状炭素ナノ構造体に加えて、架橋剤を更に含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練すれば、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤が良好に分散した複合材料を得ることができ、当該複合材料を架橋すれば、引張強度が向上した架橋物が得られることが見出された。そして、本発明者らは上記知見に基づき本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合材料の製造方法は、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練する工程を含むことを特徴とする。このように、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練すれば、繊維状炭素ナノ構造体のバンドル構造体を解繊しつつ、ゴムのマトリックス中に、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを良好に分散させることができる。そして、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤が分散した複合材料は、引張強度が向上した架橋物の原材料として良好に使用し得る。
そして、本発明の複合材料の製造方法において、前記架橋剤は、共架橋剤と、架橋開始剤とを含むことが好ましい。架橋剤が、共架橋剤と、架橋開始剤とを含むことで、複合材料をより効率的に製造することができる。
ここで、本発明の複合材料の製造方法は、前記ゴムが、フッ素ゴム、ニトリルゴム、および水素化ニトリルゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記ゴムを使用すれば、繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤を更に良好に分散させることができるからである。
また、本発明の複合材料の製造方法は、前記繊維状炭素ナノ構造体が単層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。単層カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、導電性や熱伝導性などの特性に優れているからである。
そして、本発明の複合材料の製造方法は、前記繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m/g以上であることが好ましい。BET比表面積が600m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体は、導電性や熱伝導性などの特性に優れているからである。
なお、本発明におおいて、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、本発明の複合材料の製造方法は、前記共架橋剤が、ジビニルベンゼンおよびジビニルナフタレン等の多官能ビニル化合物、並びに、トリアリルイソシアヌレートおよびトリメタリルイソシアヌレート等のイソシアヌレート類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記共架橋剤を使用すれば、架橋物の引張強度を更に向上させることができるからである。
更に、本発明の複合材料の製造方法において、前記架橋開始剤が、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンおよび1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン等の有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記架橋開始剤を使用すれば、架橋物の引張強度を更に向上ことができるからである。
また、本発明の複合材料の製造方法において、前記架橋開始剤は、100℃での半減期が2時間以上200時間以下であることが好ましい。架橋開始剤の半減期が上記範囲内であれば、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で組成物を混練中に、架橋開始剤が熱分解するのを抑制し、架橋剤による架橋反応をより効率的に開始させることができるからである。
そして、本発明の複合材料の製造方法は、前記亜臨界状態または前記超臨界状態の前記二酸化炭素雰囲気の温度が、25℃以上150℃以下であることが好ましい。亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気の温度が上記範囲内であれば、混練中に架橋反応が進行するのを抑制することができるからである。
更に、本発明の架橋物の製造方法は、上述した複合材料の製造方法を用いて複合材料を得る工程と、前記複合材料を成形および架橋して架橋物を得る工程と、を含むことを特徴とする。このように、上述した製造方法を用いて得られる複合材料を成形および架橋すれば、引張強度に優れる架橋物を得ることができる。
本発明の複合材料の製造方法によれば、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤が分散した複合材料であって、引張強度が向上した架橋物の原材料として良好に使用し得る複合材料を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の複合材料の製造方法は、ゴムおよび繊維状炭素ナノ構造体を含有する複合材料を製造する際に用いられる。そして、本発明の複合材料の製造方法により製造した複合材料は、特に限定されることなく、例えば架橋物の原材料として良好に使用し得る。
(複合材料の製造方法)
本発明の複合材料の製造方法は、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤が分散した複合材料の製造方法である。そして、本発明の複合材料の製造方法は、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを含み、任意に、他の成分を更に含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練する工程を含む。ここで、他の成分としては、例えば、複合材料および架橋物の用途に応じた添加剤、有機溶媒等が挙げられる。
なお、本発明の複合材料の製造方法では、通常、混練後に、少なくとも二酸化炭素を除去する。そして、本発明の複合材料の製造方法は、組成物が任意の有機溶媒を更に含む場合には、任意に有機溶媒を除去する工程を更に含んでいてもよい。
そして、本発明の複合材料の製造方法によれば、ゴムおよび繊維状炭素ナノ構造体に加えて架橋剤も含んでいる組成物を亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練しているので、繊維状炭素ナノ構造体のバンドル構造体を解繊しつつ、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤を良好に分散させることができる。そして、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤が分散した複合材料は、引張強度が向上した架橋物の原材料として良好に使用し得る。
<組成物>
本発明の複合材料の製造方法で用いる組成物は、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを含み、任意に、添加剤、有機溶媒等の他の成分を更に含み得る。なお、添加剤は、組成物を混練して複合材料を調製した後、溶融混練等を用いて当該複合材料に直接配合してもよい。
[ゴム]
ここで、ゴムとしては、特に限定されることなく、例えば、任意のゴムを用いることができる。
具体的には、ゴムとしては、例えば、天然ゴム;フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム(FEPM)などのフッ素ゴム;ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、水素化スチレン−ブタジエンゴム(H−SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)などのジエンゴム;シリコーンゴム;等が挙げられる。
上述した中でも、ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム(FEPM)などのフッ素ゴム;ニトリルゴム(NBR);水素化ニトリルゴム(H−NBR);が好ましく、フッ素ゴムがより好ましい。これらのゴムを使用すれば、繊維状炭素ナノ構造体および架橋剤を更に良好に分散させることができるからである。
なお、これらのゴムは、1種単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
[繊維状炭素ナノ構造体]
繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することがある。)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、繊維状炭素ナノ構造体としては、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、少ない配合量であっても複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)を向上させることができるからである。
ここで、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、配合量が少量であっても複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)が向上するからである。
また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径を上記範囲内とすれば、複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)十分に向上させることができる。
ここで、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
なお、本発明において、混練前の組成物中に含まれている繊維状炭素ナノ構造体は、通常、複数本が絡まり合ってバンドル構造体を形成している。そして、バンドル構造体の直径(バンドル径)は、特に限定されることなく、例えば0.1μm以上である。
また、繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.50超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、製造される複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の性能を更に向上させることができる。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体としては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましく、600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均長さを上記範囲内とすれば、複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)十分に向上させることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体」の平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、通常、アスペクト比が10超である。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体20本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が、600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることがより好ましく、2000m/g以下であることが好ましく、1800m/g以下であることがより好ましく、1600m/g以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m/g以上であれば、少ない配合量で複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)を十分に高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2000m/g以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体を含む組成物を混練した際にバンドル構造体を良好に解繊することができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。なお、「t−プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt−プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点がかかる範囲内にあれば、少ない配合量で複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)を高めることができる。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のS2/S1の値がかかる範囲内であれば、少ない配合量で複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)を高めることができる。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体として好適なCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が0.5以上5.0以下であることが好ましい。G/D比が0.5以上5.0以下であれば、製造される複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の性能を更に向上させることができる。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学的気相成長法(CVD法)などの既知のCNTの合成方法を用いて製造することができる。具体的には、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に原料化合物およびキャリアガスを供給し、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
そして、スーパーグロース法により製造された繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体を含んでいてもよい。
〔配合比〕
そして、組成物中に含まれている繊維状炭素ナノ構造体の量は、特に限定されることなく、例えば、ゴム100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の量が上記下限値以上であれば、複合材料および当該複合材料を成形および架橋して得られる架橋物の特性(例えば、導電性、熱伝導性など)十分に向上させることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の量が上記上限値以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体を含む組成物を混練した際にバンドル構造体を良好に解繊することができる。
[架橋剤]
また、架橋剤としては、ゴムとゴムとの間を架橋反応によって化学的に架橋して、固定化できる化合物であれば、特に限定されることはない。本発明では、複合材料を効率的に製造することができるという観点から、架橋剤は、共架橋剤および架橋開始剤を含むことが好ましい。
共架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼンおよびジビニルナフタレン等の多官能ビニル化合物、トリアリルイソシアヌレートおよびトリメタリルイソシアヌレート等のイソシアヌレート類が挙げられる。中でも、共架橋剤としては、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。これらの共架橋剤を使用すれば、架橋物の引張強度を更に向上させることができる。
なお、これらの架橋剤は、1種単独で、または、2種以上を併用して用いることができる。
〔配合比〕
そして、組成物中に含まれる共架橋剤の量は、特に限定されることなく、例えば、ゴム100質量部当たり、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。共架橋剤の量が上記下限値以上であれば、共架橋剤による架橋反応が十分に進行する。また、共架橋剤の量が上記上限値以下であれば、ゴムのマトリックス中で、繊維状炭素ナノ構造体の分散が共架橋剤によって阻害されることがない。
[架橋開始剤]
また、架橋開始剤としては、上述の架橋剤による架橋反応を開始させ得る化合物であれば、特に限定されることはない。
具体的には、架橋開始剤としては、例えば、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンおよび1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン等の有機過酸化物が挙げられる。中でも、架橋開始剤としては、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンがより好ましい。これらの架橋開始剤を使用すれば、架橋物の引張強度を更に向上させることができる。
なお、これらの架橋開始剤は、1種単独で、または、2種以上を併用して用いることができる。
〔半減期〕
ここで、架橋開始剤は、100℃での半減期が2時間以上200時間以下であることが好ましい。架橋開始剤の半減期が上記範囲内であれば、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で組成物を混練中に、架橋開始剤が熱分解するのを抑制し、架橋開始剤を均一に分散させることができる。
〔配合比〕
そして、組成物中に含まれる架橋開始剤の量は、特に限定されることなく、例えば、ゴム100質量部あたり、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。架橋開始剤の量が上記下限値以上であれば、架橋剤による架橋反応が効率的に開始する。また、架橋開始剤の量が上記上限値以下であれば、ゴムのマトリックス中で、繊維状炭素ナノ構造体の分散が架橋開始剤によって阻害されることがない。
[添加剤]
また、任意の添加剤としては、特に限定されることなく、分散剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料などを挙げることができる。
なお、これらの添加剤は、組成物を混練して複合材料を調製した後、溶融混練等を用いて当該複合材料に直接配合してもよい。
[有機溶媒]
更に、任意の有機溶媒としては、特に限定されることなく、各種有機溶媒を用いることができる。
中でも、有機溶媒としては、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどの極性有機溶媒、および、シクロヘキサン、トルエンなどの非極性有機溶媒を用いることが好ましい。これらの有機溶媒を使用すれば、繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させることができるからである。
なお、これらの有機溶媒は、1種単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
−ハンセン溶解度パラメータの距離Rc−
ここで、上記任意の有機溶媒と、上述した繊維状炭素ナノ構造体とは、ハンセン溶解度パラメータの距離Rc(単位:MPa1/2)が、4.0以上であることが好ましく、5.5以上であることがより好ましく、15.0以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましい。Rcが上記範囲内であれば、組成物の混練時に繊維状炭素ナノ構造体のバンドル構造体を良好に解繊し、ゴムのマトリックス中で繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させることができる。
なお、「繊維状炭素ナノ構造体と有機溶媒とのハンセン溶解度パラメータの距離Rc」は、下記式(1)を用いて算出することができる。
Rc={4×(δd3−δd2+(δp3−δp2+(δh3−δh21/2・・・(1)
δd2:有機溶媒の分散項
δd3:繊維状炭素ナノ構造体の分散項
δp2:有機溶媒の極性項
δp3:繊維状炭素ナノ構造体の極性項
δh2:有機溶媒の水素結合項
δh3:繊維状炭素ナノ構造体の水素結合項
−ハンセン溶解度パラメータの距離Rp−
また、上記任意の有機溶媒と、ゴムとは、ハンセン溶解度パラメータの距離Rp(単位:MPa1/2)が、2.0以上であることが好ましく、2.8以上であることがより好ましく、16.0以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましい。Rpが上記範囲内であれば、組成物の混練時に繊維状炭素ナノ構造体のバンドル構造体を良好に解繊し、ゴムのマトリックス中で繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させることができる。
なお、「ゴムと有機溶媒とのハンセン溶解度パラメータの距離Rp」は、下記式(2)を用いて算出することができる。
Rp={4×(δd1−δd2+(δp1−δp2+(δh1−δh21/2・・・(2)
δd1:ゴムの分散項
δd2:有機溶媒の分散項
δp1:ゴムの極性項
δp2:有機溶媒の極性項
δh1:ゴムの水素結合項
δh2:有機溶媒の水素結合項
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
また、ハンセン溶解度パラメータの文献値が未知の物質については、コンピュータソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP))を用いることによって、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算することができる。
具体的には、例えば、HSPiPバージョン3を用い、データベースに登録されている有機溶媒についてはその値を用い、登録されていない有機溶媒については推算値を用いればよい。
〔配合比〕
そして、組成物中に含まれ得る任意の有機溶媒の量は、特に限定されることなく、例えば、ゴム100質量部当たり、1.0質量部以上であることが好ましく、2.5質量部以上であることがより好ましく、2000質量部以下であることが好ましく、900質量部以下であることがより好ましい。有機溶媒の量が上記範囲内であれば、繊維状炭素ナノ構造体を含む組成物を混練した際にバンドル構造体を更に良好に解繊することができる。
そして、本発明の複合材料の製造方法において、組成物の調製方法は、特に限定されることなく、例えば上述した成分を既知の方法で混合して調製することができる。
本発明において、有機溶媒を含まない組成物とする場合には、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤と、任意の添加剤等とを、一括して混合することが好ましい。
また、本発明において、有機溶媒を含む組成物とする場合には、繊維状炭素ナノ構造体と、有機溶媒とを予め接触させた後、繊維状炭素ナノ構造体および有機溶媒を含む混合物と、ゴムと、架橋剤とを混合することが好ましい。このようにすれば、ゴムのマトリックス中で繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させ得る。
なお、本発明において、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素に溶解する有機溶媒や添加剤を用いると、複合材料に不要な有機溶媒や添加剤は二酸化炭素と共に除去することができる。
[接触]
ここで、繊維状炭素ナノ構造体と、有機溶媒との接触は、特に限定されることなく、例えば、有機溶媒中への繊維状炭素ナノ構造体の浸漬、繊維状炭素ナノ構造体への有機溶媒の塗布、繊維状炭素ナノ構造体への有機溶媒のスプレー噴霧などの任意の接触方法を用いて行うことができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させ得るようにする観点からは、有機溶媒中に繊維状炭素ナノ構造体を浸漬することにより繊維状炭素ナノ構造体と有機溶媒とを接触させることが好ましい。また、有機溶媒中への繊維状炭素ナノ構造体の浸漬は、撹拌下で行ってもよいが、繊維状炭素ナノ構造体が損傷するのを抑制する観点からは、非撹拌下で行うことが好ましい。
更に、繊維状炭素ナノ構造体と有機溶媒とを接触させる時間は、任意の時間とすることができるが、繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させ得るようにする観点からは、繊維状炭素ナノ構造体と有機溶媒とは1週間以上接触させることが好ましい。
また、繊維状炭素ナノ構造体と有機溶媒とを接触させる際の温度は、特に限定されることなく、例えば、有機溶媒の融点以上沸点未満の温度とすることができる。
そして、繊維状炭素ナノ構造体と有機溶媒との接触は、通常、常圧(1atm)下で行われる。
また、繊維状炭素ナノ構造体に接触させる有機溶媒の量は、質量比で、繊維状炭素ナノ構造体の量の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、12倍以上であることが更に好ましく、40倍以下であることが好ましく、30倍以下であることがより好ましく、20倍以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体と接触させる有機溶媒の量を上記範囲内にすれば、繊維状炭素ナノ構造体を更に良好に分散させることができる。
[混練]
本発明の複合材料の製造方法において、上述した組成物の混練は、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で行う。
なお、混練時には、高い浸透性を示す亜臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素の存在下で上述した組成物にせん断力が付与されるため、例えばボールミルなどを用いてバンドル構造体を破壊する場合などと比較して、繊維状炭素ナノ構造体の損傷を抑制しつつバンドル構造体を良好に解繊できると推察される。
また、架橋剤が、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素に溶解するので、ゴムのマトリックス中に、架橋剤を低温で分散させることができると推察される。
〔亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気〕
ここで、「亜臨界状態の二酸化炭素」とは、圧力が二酸化炭素の臨界圧力(7.38MPa(絶対圧))以上であり、且つ、温度が二酸化炭素の臨界温度(31.1℃)未満である液体状態の二酸化炭素、または、圧力が二酸化炭素の臨界圧力未満であり、且つ、温度が二酸化炭素の臨界温度以上である液体状態の二酸化炭素、或いは、温度および圧力が共に二酸化炭素の臨界点未満ではあるが上記液体状態の二酸化炭素に近い状態の二酸化炭素をいう。
また、「超臨界状態の二酸化炭素」とは、圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上であり、且つ、温度が二酸化炭素の臨界温度以上である状態の二酸化炭素をいう。
そして、組成物の混練を行う亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気の圧力(絶対圧)は、特に限定されることなく、例えば5MPa以上20MPa以下とすることができる。
また、組成物の混練を行う亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気の温度は、25℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、75℃以上であることが更に好ましく、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気の温度が上記範囲内であれば、混練中に架橋が進行するのを抑制することができる。
〔混練操作〕
ここで、上述した組成物を亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素の存在下で混練する方法には、特に制限はない。例えば、同方向回転二軸混練機構などの混練機構および背圧調整弁を備える混練機内に、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤と、任意の添加剤および/または有機溶媒とを投入し、或いは、それらを予備混合してなる予備混合物を投入し、混練温度まで昇温した後、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素を系内に供給して混練することができる。
なお、混練速度(混練スクリューの回転速度)は、特に限定されることなく、例えば、30rpm以上200rpm以下とすることができる。また、混練時間は、特に限定されることなく、例えば、30分以上5時間以下とすることができる。
<二酸化炭素等の除去>
混練が終了した後は、背圧調整弁を用いて系内を減圧してから複合材料を回収することができる。なお、減圧時には、系内から二酸化炭素が除去され、任意に組成物に含まれていた有機溶媒の一部または全部も除去され得る。
なお、回収した複合材料は、任意に乾燥して複合材料中に残存している有機溶媒を更に除去してもよい。
(架橋物の製造方法)
本発明の架橋物の製造方法は、上述した複合材料の製造方法を用いて複合材料を得る工程と、前記複合材料を成形および架橋して架橋物を得る工程と、を含む。なお、本発明において、複合材料を成形および架橋する方法は、特に限定されない。したがって、例えば、ロール等の既知の成形装置を用いて複合材料を成形した後に成形体を加熱して架橋を行ってもよいし、押出成形機、射出成形機、カレンダー成形機または金型に、複合材料を投入して加熱および加圧することにより成形と架橋を同時に行ってもよい。
そして、本発明の架橋物の製造方法によれば、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散した複合材料を用いているため、導電性、熱伝導性などの各種特性に優れるとともに、引張強度が向上した架橋物を得ることができる。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、架橋物の引張強度は、以下の方法を使用して測定した。
<引張強度>
シート状の架橋物を長さ25mm、幅4mmの試験部を有するダンベル試験片に打ち抜き、引張試験機(島津製作所製、AGS−H)を用いて、常温(25℃)下、500mm/minで引張試験を行った。引張強度が高いほど、複合材料中に繊維状炭素ナノ構造体、共架橋剤および架橋開始剤が良好に分散していることを示す。
(実施例1)
ゴムとしてのテトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム(FEPM、旭硝子社製、製品名「アフラス(登録商標)100s」)100質量部と、繊維状炭素ナノ構造体としてのCNT(ゼオンナノテクノロジー社製、製品名「ZEONANO SG101」、単層CNT、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m/g)2.0質量部と、共架橋剤としてのトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製、製品名「TAIC(登録商標)、分子量:249、融点:23〜27℃、沸点:149〜152℃、5質量部と、架橋開始剤としての1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン(日本油脂社製、製品名「パーブチル(登録商標)P、分子量:338.49、融点:44〜48℃、比重:1.64g/mL(25℃,lit.)」、100℃での半減期132h)1質量部とを、超臨界装置に仕込み、100℃まで昇温した後、圧力15MPaの二酸化炭素を供給し、超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で2時間混練(回転速度:60rpm)した。混練終了後、背圧調整弁を用いて系内を減圧し、複合材料を得た。
得られた複合材料を170℃、10MPa、20分で1mmの厚みにプレス成型し(一次架橋)、その後圧力を解放して200℃、4時間で完全架橋させてシート状の架橋物を得た。得られた架橋物を用いて引張強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
CNTを添加しなかったことと、圧力15MPaの二酸化炭素に替えて圧力0.4MPaの窒素を供給し、窒素雰囲気下で2時間混練(回転速度:60rpm)したこと以外は、実施例1と同様にして複合材料を得た。得られた複合材料を用いて、実施例1と同様にして引張強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
CNTを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして複合材料を得た。得られた複合材料を用いて、実施例1と同様にして引張強度を測定した。結果を表1に示す。
なお、以下に示す表1中、「CNT」はカーボンナノチューブを示し、「FEPM」はテトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴムを示し、「TAIC」はトリアリルイソシアヌレートを示し、「PO」は1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンを示す。
Figure 2019199584
表1より、実施例1では、CNTを添加せず、窒素雰囲気下で混練した比較例1や、CNTを添加せずに混練した比較例2と比較して、FEPMのマトリックス中にCNT、トリアリルイソシアヌレートおよび1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンが良好に分散した複合材料が得られていることが分かる。
本発明の複合材料の製造方法によれば、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させてなる複合材料であって、引張強度に優れた架橋物の作製に使用し得る複合材料を得ることができる。

Claims (10)

  1. ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、架橋剤とを含む組成物を、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で混練する工程を含む、複合材料の製造方法。
  2. 前記架橋剤は、共架橋剤と、架橋開始剤とを含む、請求項1に記載の複合材料の製造方法。
  3. 前記ゴムが、フッ素ゴム、ニトリルゴム、および水素化ニトリルゴムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。
  4. 前記繊維状炭素ナノ構造体が単層カーボンナノチューブを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  5. 前記繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m/g以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  6. 前記共架橋剤が、ジビニルベンゼンおよびジビニルナフタレン等の多官能ビニル化合物、並びに、トリアリルイソシアヌレートおよびトリメタリルイソシアヌレート等のイソシアヌレート類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  7. 前記架橋開始剤が、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンおよび1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン等の有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  8. 前記架橋開始剤は、100℃での半減期が2時間以上200時間以下である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  9. 前記亜臨界状態または前記超臨界状態の前記二酸化炭素雰囲気の温度が、25℃以上150℃以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の複合材料の製造方法を用いて複合材料を得る工程と、
    前記複合材料を成形および架橋して架橋物を得る工程と、
    を含む、架橋物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022181193A1 (ja) * 2021-02-26 2022-09-01 日本ゼオン株式会社 複合材料及び加硫ゴム成形体
WO2023054716A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 日本ゼオン株式会社 フッ素ゴム組成物及び成形体

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