本発明の実施形態に係る画像形成装置100を、図1〜図3を用いて説明する。なお、本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(記録ヘッド、インクヘッド)を有する画像形成装置を説明するが、本発明を適用できる画像形成装置はこれらの吐出ヘッドを有するものに限定されない。すなわち、本発明を適用可能な画像形成装置は、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)及び/又はその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有するもの、又は、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有するものなどを含む。ここで、添え字K、C、M及びYを付与された記号は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
また、本実施形態では、被記録物として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、「ロール紙Md」という。)を用いるが、本発明に係る画像形成装置が画像を形成することができる被記録物は、ロール紙に限定されない。すなわち、本発明に係る画像形成装置が画像を形成することができる被記録物は、カット紙でもよい。また、本発明に係る画像形成装置を用いて画像を形成することができる被記録物には、普通紙、上質紙、薄紙、厚紙、記録紙及びロール紙、並びに、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及びその他表面にインク等で画像を形成することができるものを含む。
ここで、ロール紙とは、定型よりも長い連続紙である。ロール紙は切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙、ミシン目が形成されない連続紙を含む。ミシン目が形成されている連続帳票においては、ページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域である。
(1.画像形成装置の構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、搬入手段10と、前処理液付与手段20と、前処理液乾燥手段31、画像形成手段40、保護液付与手段50(保護液付与装置)、浸透手段55、保護液乾燥手段32、搬出手段60とを備えている。搬入手段10(搬送部)は、ロール紙Md(被記録物)を搬入する。前処理手段(前処理液付与手段)20は搬入されたロール紙Mdに前処理液を付与する(前処理を実行する)。乾燥手段30のうち前処理液乾燥手段31は、前処理されたロール紙Mdを乾燥させる。画像形成手段40は、ロール紙Mdの表面に画像を形成する。保護手段(保護液付与手段)50は、画像が形成されたロール紙Mdの上に水分補給剤の一種である保護液を付与する(保護する)。浸透手段55はロール紙Md上の液滴を浸透させる。保護液乾燥手段32は、ロール紙上の液滴(インク及び保護液)を乾燥させる。搬出手段60は保護されたロール紙Mdを搬出する(巻きとる、排出する)。更に、画像形成装置100は、後述するように、画像形成装置100の動作を制御する制御手段70を有する。
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の各構成を具体的に説明する。また、画像形成装置は、後述する前処理液付与手段20、乾燥手段30(31、32)、浸透手段55等のいずれか一つ又は複数を含まない構成とすることができる。
(2.搬入手段の構成)
搬入手段10は、被記録物を前処理液付与手段20等に搬送する手段である。搬入手段10は、本実施形態では、給紙部11及び複数の搬送ローラ12等で構成される。搬入手段10は、搬送ローラ12等を用いて、給紙部11の給紙ロールに巻き付けて保持されたロール紙Mdを搬入(移動)し、後述する前処理液付与手段20等に搬送する。
(3.前処理液付与手段の構成)
前処理液付与手段20は、画像が形成される前の被記録物を処理する手段である。前処理液付与手段20は、本実施形態では、搬入手段10によって搬入されたロール紙Mdの表面を、前処理液で前処理する。
ここで、前処理とは、ロール紙Md(被記録物)表面に、インクを凝集させる機能を有する前処理液(後述)を均一に付与する処理である。これにより、画像形成装置100は、インクジェット方式の専用紙以外の被記録物に画像を形成する場合であっても、前処理液付与手段20を用いて被記録物表面に付与することによって、被記録物に画像を形成したときに、インクを凝集させることができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置100の前処理液塗布手段20は、画像データに基づいて、塗布する前処理液の量を制御することができる。これにより、画像形成装置100は、インクジェット方式の専用紙以外の被記録物に画像を形成する場合において、前処理液塗布手段20を用いて、被記録物に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を被記録物表面に塗布することができる。
このため、画像形成装置100は、形成される画像の滲み、濃度、色調及び裏写りなどの品質問題、並びに、耐水性、耐候性及びその他画像堅牢性に関する問題が発生することを低減することができる。即ち、画像形成装置100は、前処理液塗布手段20を用いて、被記録物に画像を形成する前にインクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布することによって、その後形成される画像の品質を向上することができる。
尚、画像形成装置100は、前処理液塗布手段20を用いて、インクジェット方式の専用紙(被記録物)に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布してもよい。
本発明の実施形態に係る画像形成装置100の前処理液塗布手段20は、前処理方法として、例えばブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などを用いることができる。
また、本実施形態に係る前処理液塗布手段20は、前処理液として、例えば水溶性脂肪族系有機酸を含有した処理液を用いることができる。ここで、水溶性脂肪族系有機酸を含有した処理液とは、水分散性着色剤を凝集させる性質を有する処理液である。また、凝集するとは、水分散性着色剤粒子同士が吸着集合することである。
更に、本実施形態に係る前処理液塗布手段20は、前処理液に水溶性脂肪族系有機酸等のイオン性物質を加えることによって、水分散性着色剤の表面にイオンを吸着させることができる。これにより、前処理液塗布手段20は、水分散性着色剤の表面電荷を中和することができる。また、前処理液塗布手段20は、分子間力による凝集作用を増強し、水分散性着色剤を更に凝集させることができる。
(4.前処理液乾燥手段の構成)
乾燥手段30は、被記録物を加熱等により乾燥させる手段である。乾燥手段30は、図1に示すように、本実施形態では、乾燥手段30として、前処理液付与手段20によって前処理されたロール紙Mdを乾燥させる前処理液乾燥手段31と、保護液付与手段50によって保護されたロール紙Mdを乾燥させる保護液乾燥手段32と、を有する。
前処理液乾燥手段31において、複数のヒートローラを例えば80〜100℃に加熱し、ロール紙Mdの裏面をヒートローラに接触等させる。図1の上方の台形状に示す温風機構(温風ヒータ)を追加しても良い。これにより、前処理液乾燥手段31は、前処理液の水分(溶媒)を蒸発させ、ロール紙Mdを乾燥させることができる。
(5.画像形成手段の構成)
画像形成手段40は、被記録物に画像を形成する手段である。画像形成手段40は、本実施形態では、前処理液乾燥手段31によって乾燥されたロール紙Md上に液滴(インク)を吐出することによって、ロール紙Mdの表面に画像を形成する。
画像形成手段40の外形形状の一例を、図2を用いて説明する。ここで、図2(a)は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の画像形成手段40の全体の構成の一例を示す概略平面図である。図2(b)は、画像形成手段40の要部(ブラック(K)の吐出ヘッド40K)の一例を示す概略平面図である。
図2(a)に示すように、画像形成手段40は、本実施形態では、フルライン型のヘッドであり、被記録物の搬送方向Xmの上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの吐出ヘッド40K、40C、40M及び40Yが配置されている。
ここで、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kは、本実施形態では、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直交する方向に4つのヘッドユニット40K−1、40K−2、40K−3及び40K−4を千鳥状に配置している。これにより、画像形成手段40は、ロール紙Md(被記録物)の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直交する方向)の全域に画像を形成することができる。なお、他の吐出ヘッド40C、40M及び40Yの構成は、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kの構成と同様のため、説明を省略する。
画像形成手段40のブラック(K)の吐出ヘッド40Kのヘッドユニット40K−1の拡大平面図を図2(b)に示す。図2(b)に示すように、ヘッドユニット40K−1は、本実施形態では、ノズル面(後述する図3(a)のノズル板43の外形表面)に、複数のノズル(吐出口、印字ノズル)40Nを備える。ここで、複数のノズル40Nは、ヘッドユニット40K−1の長手方向に1列に配置されることでノズル列を構成している、主走査方向にノズル列を有するシングルパスインクジェット方式である。なお、ヘッドユニット40K−1は、複数のノズル列を備えてもよい。
図3(a)において、画像形成手段40の吐出ヘッド(40K等)は、吐出するインクの通路を形成する流路板41と、流路板41の下面(吐出ヘッドの内部方向)に接合された振動板42と、流路板41の上面(吐出ヘッドの外側方向)に接合されたノズル板43と、振動板42の周縁部を保持するフレーム部材44とを備える。また、吐出ヘッドは、振動板42を変形させるための圧力発生手段(アクチュエータ手段)45を有する。
本実施形態に係る吐出ヘッドは、流路板41と、振動板42と、ノズル板43とを積層することによって、ノズル(吐出口)40Nに連通する流路であるノズル連通路40R及び液室40Fを形成している。また、吐出ヘッドは、フレーム部材44を更に積層することによって、液室40Fにインクを供給するためのインク流入口40S及びインクを液室40Fに供給する共通液室40Lなどを形成している。
また、本実施形態では、フレーム部材44には、圧力発生手段45を収納する収容部、共通液室40Lとなる凹部、及び共通液室40Lに吐出ヘッド外部からインクを供給するためのインク供給口40INが形成されている。
圧力発生手段45は、本実施形態では、電気機械変換素子である圧電素子45Pと、圧電素子45Pを接合固定するベース基板45Bと、隣り合う圧電素子45Pの間隙に配置された支柱部とを備えている。また、圧力発生手段45は、圧電素子45Pを駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル45C等を備えている。
ここで、圧電素子45Pは、図3(b)に示すように、圧電材料45Ppと内部電極45Peとを交互に積層した積層型圧電素子(PZT)を用いる。内部電極45Peは、複数の個別電極45Peiと複数の共通電極45Pecとを有する。内部電極45Peは、本実施形態では、圧電素子45Ppの端面に交互に個別電極45Pei又は共通電極45Pecを接続している。
以下に、吐出ヘッドがノズル40Nからインクを吐出する動作(引き−押し打ち動作)を具体的に説明する。
吐出ヘッドにおいて、先ず、圧電素子45P(圧力発生手段45)に印加している電圧を基準電位から下げ、圧電素子45Pをその積層方向に縮小させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの縮小によって振動板42を撓み変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の撓み変形によって液室40Fの容積(体積)を拡大(膨張)させる。この動作により、吐出ヘッドにおいて、共通液室40Lから液室40F内にインクを流入させる。
次に、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を上げ、圧電素子45Pを積層方向に伸長させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの伸長によって、振動板42をノズル40N方向に変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の変形によって、液室40Fの容積(体積)を縮小(収縮)させる。この動作により、吐出ヘッドは、液室40F内のインクに圧力を付加する。また、吐出ヘッドは、インクを加圧することによって、ノズル40Nからインクを吐出(噴射)する。
その後、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を基準電位に戻し、振動板42を初期位置に戻す(復元する)。このとき、吐出ヘッドは、液室40Fの膨張によって液室40F内を減圧し、共通液室40L内から液室40F内にインクを充填(補充)する。次いで、吐出ヘッドは、ノズル40Nのメニスカス面の振動が減衰(安定)した後、次のインクの吐出のための動作に移行し、上記の動作を繰り返す。
このように、吐出ヘッドは、圧力発生手段45を用いて、振動板42を変形(撓み変形)する。これにより、吐出ヘッドは、液室40Fの容積(体積)を変化させ、液室40F内のインクに作用する圧力を変化させ、その結果、吐出ヘッドは、ノズル40Nから、インクを吐出させる。
なお、本発明を適用可能な吐出ヘッドの駆動方法は、上記の例(引き−押し打ち)に限定されるものではない。例えば、吐出ヘッドの駆動方法は、圧電素子45Pに印加する電圧(駆動波形)を制御することによって、引き打ち又は押し打ち等を行ってもよい。さらに、圧力発生手段45は、発熱抵抗体を用いて液室40F内のインクを加熱して気泡を発生させるサーマル型や、液室40Fの壁面に振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させた静電力によって振動板を変形させる静電型のものを用いてもよい。
以上により、本実施形態の画像形成装置100は、画像形成手段40(4つの吐出ヘッド40K、40C、40M及び40Y)を用いて、1回の被記録物(ロール紙Md)の搬送動作で、画像形成領域の全域に、白黒又はフルカラーの画像を形成する。
(6.保護液付与手段の構成)
保護液付与手段(保護液付与装置)50は、画像が形成された後の被記録物を処理する手段である。保護液付与手段50は、本実施形態では、画像形成手段40によって画像が形成されたロール紙Mdの表面を、保護液で保護する。図2(a)に示すように、保護液付与手段50は、画像形成手段40に対して、被記録物の搬送方向Xmの下流側に配置されている。また、保護液付与手段50は、画像形成手段40と同様に、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直交する方向に吐出ヘッド50H(吐出手段)を千鳥状に配置している。
更に、保護液付与手段50は、吐出ヘッド50Hに入力する駆動波形を制御することによって、保護液の吐出量を制御する。これにより、保護液付与手段50は、吐出ヘッド50Hを用いて、ロール紙Md(被記録物)の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直交する方向)の全域に保護液を吐出することができる。なお、吐出ヘッド50Hの構成は、画像形成手段40の構成(図2及び図3)と同様のため、説明を省略する。
ここで、保護とは、ロール紙Md上に保護液を吐出(堆積)する処理である。この処理により、画像が形成された被記録物は、画像が形成された被記録物Mdの表面が他の物体(例えば他の被記録物)と擦れることによって被記録物上の画像(インク)の剥離(剥奪)を防止する、即ち、耐擦過性(耐擦性)が向上する。さらに、光沢度や、保存安定性(耐水性、耐光性、耐ガス性など)等を向上させることができる。
(7.浸透手段の構成)
浸透手段55はインク中の溶剤を被記録物へ浸透させる手段である。浸透手段55では、被記録物Mdの搬送距離を長くすることで、溶剤が浸透する時間を稼いでいる。さらに図1に示す加熱手段56により、被記録物及びインクを加熱し、30〜100℃の(水分が蒸発しない)雰囲気温度に設定することで、インク中の高沸点溶媒を含む水溶液の状態のまま粘度を低下させ、浸透速度を加速させる。
(8.保護乾燥手段の構成)
図1に示す保護液乾燥手段32において、いくつかのヒートローラを例えば80〜100℃に加熱し、ロール紙Mdの裏面をヒートローラに接触等させる。図1の上方の台形状に示す温風機構(温風ヒータ)を追加しても良い。これにより、保護液乾燥手段32は、インク及び保護液の水分を蒸発させ、ロール紙Mdを乾燥させることができる。
(9.搬出手段の構成)
搬出手段60は、画像が形成等された被記録物を搬出(排出)する手段である。図1に示すように、搬出手段60は、本実施形態では、保管部61及び複数の搬送ローラ62等で構成される。搬出手段60は、搬送ローラ62等を用いて、保管部61の保管ロールに画像が形成されたロール紙Mdを巻き付けて、保管する。
なお、ロール紙Mdを保管部61の保管ロールに巻き付けるときに、ロール紙Mdに作用する圧力が大きくなる場合には、ロール紙Mdの裏面に他の画像が転写することを防止するため、巻き取り直前にロール紙Mdを更に乾燥させる乾燥手段を設けてもよい。
(10.制御手段の構成)
制御手段70は、画像形成装置100の動作を制御する手段である。制御手段70は、本実施形態では、画像形成装置100の各構成に動作を指示し、その動作を制御する。図4〜図7を用いて、本実施形態に係る制御手段70を説明する。
なお、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、印刷システムとして、プロダクションプリンティングを用いてもよい。ここで、プロダクションプリンティングとは、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うことによって、短時間に大量の印刷物(画像形成媒体、印字物)を印刷(画像形成、印字)することができる製造システムである。具体的には、本実施形態に係る画像形成装置100は、複数の装置、例えばRIP(Raster Image Processor)装置とプリンタ装置とからなる。RIP装置は、印刷データの印刷順等の制御と印刷データのラスタイメージデータへの変換を行う装置である。プリンタ装置は、変換されたラスタイメージデータに基づく印刷動作を制御装置である。
また、本実施形態に係る画像形成装置100(制御手段70)は、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置100(制御手段70)は、当該ワークフローのように処理時間の長いシステムにおいて、RIP装置とプリンタ装置のように装置を分離し処理を分散させることで、印刷の高速化を可能とする。全体の画像形成システムでは制御装置(RIPS装置)を有する。
図4(a)は、本発明の実施形態における画像形成システム例の概念図と、図4(b)は上位装置の一例の概略構成図である。
図4(a)に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70は、RIP処理などを行う上位装置(RIP装置、DFE、Digital FrontEnd)71と、印刷処理などを行うプリンタ装置72とを含む。ここで、上位装置71とプリンタ装置72とは、複数のデータ線70LDと制御線70LCとで接続されている。
<上位装置>
本発明の実施形態に係る画像形成装置100(制御手段70)の上位装置71は、ホスト装置から出力される印刷ジョブデータ(ジョブデータ、印刷データ)に基づいて、RIP処理を行う装置である。すなわち、本実施形態に係る上位装置71は、印刷ジョブデータに基づいて、各色に対応する印刷画像データを夫々作成する。ここで、印刷画像データは、本実施形態では、保護液付与手段50が吐出する保護液の吐出に関する「保護に関する画像データ」を更に含む。
また、本実施形態に係る上位装置71は、印刷ジョブデータ及びホスト装置の情報などに基づいて、印刷動作を制御するための制御情報データを作成する。ここで、制御情報データとは、印刷条件として、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度、紙種情報、階調、色情報及び印刷を行うページ数の情報など)に関するデータを含む。また、制御情報データは、本実施形態では、保護液付与手段50が吐出する保護液の吐出に関す保護液制御データを更に含む。
図4(b)に示すように、上位装置71は、本実施形態では、CPU(Central Processing Unit)71a、ROM(Read Only Memory)71b、RAM(Random Access Memory)71c、HDD(Hard Disk Drive)71dを備える。また、上位装置71は、外部I/F71e、制御情報用I/F71f及び画像データ用I/F71gを備える。更に、上位装置71は、CPU71a等を夫々接続するバス71hを備えることによって、上位装置71は、バス71hを介して、CPU71a等を相互に送受信可能になる。
CPU71aは、上位装置71全体の動作を制御するものである。CPU71aは、ROM71b及び/又はHDD71dに格納(記憶)されている制御プログラムや保護液付与制御プログラム等を用いて、上位装置71の動作を制御する。
ROM71b、RAM71c及びHDD71dは、データ等を記憶する記憶手段である。ROM71b及び/又はHDD71dには、CPU71aを制御するための制御プログラムを予め格納されている。RAM71cは、CPU71aのワークメモリとして用いられる。
外部I/F71eは、画像形成装置100外部(ホスト装置等)との通信(送受信)を制御する。制御情報用I/F71fは、制御情報データの通信(送受信)を制御する。画像データ用I/F71gは、印刷画像データの通信(送受信)を制御する。
<プリンタ装置>
図5は、本発明の実施形態における画像形成装置の機能ブロック図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70のプリンタ装置72は、上位装置71から入力された印刷画像データ及び制御情報データに基づいて、被記録物に画像を形成する動作を制御する装置である。プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72Cとプリンタエンジン72Eとを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御するものである。プリンタコントローラ72Cは、制御線70LCを介して、上位装置71との間で制御情報データ等の送受信を行う。また、プリンタコントローラ72Cは、制御線72LCを介して、プリンタエンジン72Eと制御情報データ等の送受信を行う。また、プリンタコントローラ72Cは、制御情報データに基づいてプリンタエンジン72Eを制御し、被記録物の種類、印刷速度、打滴する液滴の体積等を含む、制御情報データに従った印刷を実行することができる。
図5に示すように、プリンタコントローラ72Cは、本実施形態では、CPU72Cp及び印刷制御部72Ccを有する。また、プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cpと印刷制御部72Ccとを互いに送受信可能にバス72Cbで接続している。ここで、バス72Cbは、通信I/Fを介して、制御線70LCに接続されている。
CPU72Cpは、ROM71b(図4(b))に格納されている制御プログラムを用いて、プリンタ装置72全体の動作を制御する。印刷制御部72Ccは、上位装置71から送信された制御情報データに基づいて、プリンタエンジン72Eとの間でコマンドやステータス情報の送受信を行い、印刷制御部72Ccは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。
プリンタエンジン72Eは、上位装置71から入力された印刷画像データ及びプリンタコントローラ72Cから入力された制御情報データに基づいて、被記録物に画像を形成する動作を制御する装置である。また、プリンタエンジン72Eは、上位装置71から入力された印刷画像データ及び保護液吐出パターンデータ及びプリンタコントローラ72Cから入力された制御情報データ及び保護制御データに基づいて、保護する動作を制御する装置である。
図5に示すように、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線70LD(70LDY、70LD−C、70LD−M、70LD−K及び70LD−P)が接続されている。プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線70LDを介して、上位装置71から印刷画像データを受信する。これにより、プリンタエンジン72Eは、受信した印刷画像データに基づいて、各色の印刷動作及び保護の動作を実施することができる。
プリンタエンジン72Eは、本実施形態では、複数のデータ管理部72EC、72EM、72EY、72EK及び72EPを有する。また、プリンタエンジン72Eは、データ管理部72EC等から印刷画像データ等が入力される画像出力部(例えば、ヘッドモジュール)72Eiと、被記録物の搬送を制御する搬送制御部72Ecとを有する。更に、プリンタエンジン72Eは、本実施形態では、データ管理部(保護制御手段)72EPから保護に関する画像データが入力される保護液出力部72Epを有する。
なお、プリンタエンジン72Eは、保護乾燥制御部、前処理液付与制御部、前処理後乾燥制御部、浸透制御部73及び巻取前乾燥制御部等を更に含むか、或いは接続されてもよい。
ここで、保護に係るデータ管理部72EPの構成を、図6を用いて説明する。図6に示すように、データ管理部72EPは、ロジック回路72EPlとメモリ部72EPmとを含む。データ管理部72EP(ロジック回路72EPl)は、データ線70LD−Pを介して、上位装置71に接続されている。また、データ管理部72EP(ロジック回路72EPl)は、制御線72LPを介して、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)に接続されている。
ロジック回路72(制御手段)EPlは、本実施形態では、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、上位装置71から出力された保護に関する画像データをメモリ72EPmに格納(記憶)する。
本実施形態では、メモリ72EPmは、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、上位装置71から出力された印刷画像データを格納する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、メモリ72ECmからシアン(C)に対応する印刷画像データ(駆動波形)Icを読み出し、画像出力部72Eiに出力する。
さらに、ロジック回路72EPlは、画像形成システム全体の制御手段である印刷制御部(制御手段)72Ccから、被記録物の種類、インクの総量規制値、印刷速度等、作成する画像の解像度、滴構成(大滴、非打滴の2値、大滴、中滴、小滴、非打滴の4値など)、インクの種類などの情報(以下、「動作パラメータ情報」とする)を受け取る。
尚、インクの総量規制値は、被記録物の種類、印刷速度、作成する画像の解像度により推奨値が決定される。そのため、ロジック回路72EPlは、インクの総量規制値について推奨値を採用するように設定されている場合、印刷制御部(制御手段)72Ccから受け取る必要がなく、被記録物の種類、印刷速度、作成する画像の解像度からその推奨値を決定するように構成されていても良い。
ロジック回路72EPlは、上位装置71(又は印刷制御部Cc)から受け取った上記情報を基に、保護液の単位面積当たりの打滴量や打滴密度(以下、「保護液の付与量」とする)を決定する。このとき、ロジック回路72EPlは、例えば、小滴、中滴、大滴といったように、吐出する液滴のサイズで保護液の付与量を変更するようにしても良い。
ロジック回路72EPlは、上述のように決定した保護液の付与量に応じた保護液吐出パターン(特定の吐出パターン)Ipに対応する駆動波形を、保護液出力部72Epに出力する、あるいは、一時的に、保護液吐出パターンIpをメモリ72EPmへ格納させ、制御信号に応じて保護液出力部72Epへ出力する。
ここで、データ管理部72EPは、論理回路などの組み合わせによって構成されるハードウェアのロジック回路を用いてもよい。
画像出力部72Eiの構成を、図7を用いて説明する。図7に示すように、画像出力部(ヘッドモジュール)72Eiは、出力制御部72Eicと各吐出ヘッド40C、40M、40Y及び40Kを含む。出力制御部72Eicは、各色に対応する印刷画像データ(画像情報)を基にした印刷画像パターン(駆動波形)を各色に対応する吐出ヘッド40C、40M、40Y及び40K(図4)に出力する。これにより、出力制御部72Eicは、印刷画像データに基づいて、吐出ヘッド40C等の動作を制御することができる。
詳しくは、各データ管理部72EC、72EM、72EY、72EKのロジック回路で作成された画像形成パターン(Ic、Im、Iy、Ik)に対応する駆動波形は、出力制御部72Eicでタイミングを制御されながら、吐出ヘッド40C、40M、40Y、40Kの圧力発生手段である圧電素子45Pへ印加される。駆動波形が印加されると、圧電素子45Pは、伸縮する。圧電素子45Pから、振動板42を介して、ノズル連通路40R内のインクへと伸縮力が働き、ノズル連通路40R内に圧力変化が生じることで、ノズル40Nからインク液滴が吐出する。このように、出力制御部72Eicは、印刷画像パターン(駆動波形)Ic〜Ikに基づいて、吐出ヘッド40C等の動作を制御することができる。
出力制御部72Eicは、複数の吐出ヘッド40C等を個別に制御する。また、出力制御部72Eicは、入力された印刷画像データ(例えば図5のIc)を用いて、複数の吐出ヘッド40C等を同時に制御してもよい。更に、出力制御部72Eicは、制御装置から入力される制御信号に基づいて、吐出ヘッド40C等を制御してもよい。出力制御部72Eicは、例えばユーザの操作入力に基づいて、吐出ヘッド40C等を制御してもよい。
図7と同様に、保護液出力部(ヘッドモジュール)72Epは、出力制御部と吐出ヘッド50とを含む。出力制御部は、上記保護液吐出パターンIpを吐出ヘッド50(図2)に出力する。詳しくは、データ管理部72EPのロジック回路72EClで作成された、保護液吐出パターンIpに対応する駆動波形が出力制御部でタイミングを制御されながら吐出ヘッド50の圧電素子45Pへ印加される。振動板42を介してノズル連通路40R内に発生する圧力変化により、ノズル50Nからインク液滴が吐出される。出力制御部は、保護液吐出パターン(駆動波形)Ipに基づいて、吐出ヘッド50の動作を制御することができる。
このように、プリンタ装置72は、各色の画像形成を互いに独立して制御することができる。また、プリンタ装置72は、印刷画像データの色数(C、M、Y及びK、又は、K色のみ等)又は吐出ヘッド数に応じて、プリンタエンジン72Eの構成を変更してもよい。
図5に戻って、画像形成装置100は、印刷制御部72Ccに接続された浸透制御部、保護液乾燥性制御部を用いて、被記録物の種類やインクや保護液の付与量を用いて、乾燥手段30および浸透手段55を制御する。
さらに、画像形成装置100は、印刷制御部72Ccに接続された前処理制御部、前処理乾燥制御部について、被記録物の種類や、画像データに応じて、前処理動作を適宜制御する。
(11.保護液吐出パターンの制御)
画像形成装置100が画像を形成する際の動作について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る画像形成装置100が画像を形成する際の動作を説明するためのフローチャートである。画像形成装置100における各手段は、以下のステップに従い画像形成動作を行う。
画像形成装置100は、外部から入力される印刷ジョブデータ、動作パラメータ情報等に基づいて、画像の形成(又は印刷)を開始する(S801)。画像形成装置100は、入力された印刷ジョブデータ、動作パラメータ情報等を制御手段70の上位にある記憶手段(ROM71b、RAM71c、及びHDD71d等)に記憶(設定)する(S802)。
画像形成装置100は、制御手段70を用いて、記憶手段71b、71c、71dに記憶した内容に基づき、印刷画像データ及び制御情報データ等を生成する(S803)。
画像形成装置100は、制御手段70を用いて、生成した制御情報データに基づき、前処理液の付与量およびS808での前処理液の乾燥強度を決定する(S804)。
画像形成装置100は、制御手段70を用いて、設定した動作パラメータ情報に基づき、保護液の付与量およびS812での保護液の乾燥強度を決定する(S805)。即ち、本実施形態においては、制御手段70が保護液付与制御装置として機能する。尚、画像形成装置100は、上位装置71を用いてS805の処理を行うように構成されていても良い。即ち、上位装置71が単独で保護液付与制御装置として機能するように構成されていても良い。また、画像形成装置100は、プリンタ装置72を用いてS805の処理を行うように構成されていても良い。即ち、プリンタ装置72が単独で保護液付与制御装置として機能するように構成されていても良い。S805における保護液の付与量の決定方法が本実施形態に係る要旨の一つである。尚、S805における保護液の付与量の決定方法については、図13を参照して後述する。
画像形成装置100は、搬入手段10を用いて、被記録物を前処理手段20等へ搬入(搬送)を開始する(S806)。尚、画像形成装置100は、S801の画像形成の開始直後に、S806を行ってもよい。
画像形成装置100は、前処理手段20を用いて、前処理を実施し、前処理液を付与する(S807)。ここで、前処理液乾燥手段31は、S804で決定した前処理液の付与量に基づいて前処理液を付与する。
画像形成装置100は、前処理液乾燥手段31を用いて、被記録物を乾燥させる(S808)。ここで、前処理液乾燥手段31は、S804で決定した前処理液乾燥強度に基づいて被記録物を乾燥させる。
画像形成装置100は、画像形成手段40を用いて、S803で生成した印刷画像データに基づいて、被記録物の表面に画像を形成する(S809)。
ここで、画像形成手段40は、被記録物の種類等及び形成する画像の解像度を更に用いて、画像を形成することができる。また、画像形成手段40は、圧電素子に印加する電圧(駆動電圧)を制御することによって、画像を形成する動作を制御することができる。
において、画像形成装置100は、保護手段50を用いて、被記録物を保護する(S810)。ここで、保護手段50は、S805で決定した保護液の付与量に基づいて保護液を付与する。
画像形成装置100は、浸透手段55を用いて被記録物にインク及び保護液を浸透させる(S811)。
画像形成装置100は、乾燥手段32を用いて、被記録物を乾燥させる(S812)。ここで、乾燥手段32はS805で決定した乾燥強度に基づいて被記録物を乾燥させる。
搬出手段60を用いて、被記録物を搬出(排出)する(S813)。その後、画像形成装置100は、図中のENDに進み、画像を形成する動作を終了する。
(12.保護液付与手段による保護液付与方法)
次に、本実施形態に係る保護液付与手段50による保護液の付与方法について、図9(a)、(b)を参照して説明する。図9(a)、(b)は、本実施形態に係る保護液付与手段50による保護液の付与方法を説明するための図である。
本実施形態において、保護液付与手段50は、印字部の定着性(耐擦過性)を向上させ、若しくは、ピッキングやブロッキングなどの印字後に発生する不具合を防ぐために、印字後に印刷物の印刷面に保護液を付与するように構成されている。
尚、このとき、保護液付与手段50は、印字部にのみ保護液を付与するようにすれば、保護液の付与量を低減させることができ、ページ当たりのコスト(CPP:Cost Per Page)の低減や乾燥性を向上させることができる。
但し、このような場合、印字部にのみ保護液とインクとが付与されるため、局所的に含水量が多くなり、その部分を中心として被記録物が膨張することになる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置100は、図9(a)、(b)に示すように、印字部(画像領域)のみならず、各単位領域における付与量が印字部よりも多くなるように印字部以外の領域(以下、「非印字領域」とする)(非画像領域)にも保護液を付与するように構成されている。具体的な保護液の付与量決定方法については、図13を参照して後述する。
尚、各単位領域における付与量が印字部よりも多くなるように非印字領域にも保護液を付与するのは、印字部にはインクが付与されている分だけ非印字領域よりも多くの含水量があるためである。本実施形態に係る画像形成装置100は、このように構成されることで、被記録物の含水量を均一にすることが可能となり、印字部を中心として被記録物が膨張する、即ち、局所的に被記録物が膨張することを防ぐことが可能となる。
尚、本実施形態に係る画像形成装置100は、図9(a)、(b)に示すように、非印字領域全面に保護液を付与するのではなく、図10(a)、(b)に示すように、印字部を含むページの非印字領域にのみ保護液を付与するように構成されていても良い。本実施形態に係る画像形成装置100は、このように構成されることで、印字部がないページには保護液を付与することがないため、保護液の消費量を削減することが可能となる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、図11(a)、(b)に示すように、印字部と用紙幅方向(主走査方向)に交差する部分の非印字領域(以下、「交差領域」とする)にのみ保護液を付与するように構成されていても良い。本実施形態に係る画像形成装置100は、このように構成されることで、用紙幅方向(主走査方向)に印字部がない非印字領域には保護液を付与することがないため、保護液の消費量を削減することが可能となる。
また、この他、本実施形態に係る画像形成装置100は、図12(a)、(b)に示すように、印字部の搬送方向(副走査方向)両端からその両サイドに向かって予め定められた範囲内に含まれる非印字領域(以下、「所定領域」とする)にのみ保護液を付与するように構成されていても良い。本実施形態に係る画像形成装置100は、このように構成されることで、保護液の消費量を削減することが可能となる。
(13.保護液の付与量決定方法)
本実施形態に係る画像形成装置100が保護液の付与量を決定する際の処理(保護液付与制御方法)について、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る画像形成装置100が保護液の付与量を決定する際の処理を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る画像形成装置100が保護液の付与量を決定する際にはまず、制御手段70は、被記録物の種類、作成する画像の解像度、印刷速度、インクの総量規制値、滴構成、インクの種類を設定する(S1301〜S1306)。尚、これらの設定内容は、ユーザ設定によるものであっても良いし、予め設定されたものであっても良い。
そして、制御手段70は、保護液付与量決定テーブルを参照して、S1301〜S1306において設定した被記録物の種類、作成する画像の解像度、印刷速度、インクの総量規制値、滴構成、インクの種類(制御情報)から、印字部の定着性(耐擦過性)を担保するために、若しくは、ピッキングやブロッキングなどの印字後に発生する不具合を防ぐために必要となるその印字部への保護液の付与量:aを決定する(S1307)。即ち、本実施形態においては、制御手段70が第一の付与量決定部として機能する。
ここで、保護液付与量決定テーブルについて、図14を参照して説明する。図14は、本実施形態に係る保護液付与量決定テーブルの一例を示す図である。
図14に示すように、本実施形態に係る保護液付与量決定テーブルは、被記録物の種類、作成する画像の解像度、インクの総量規制値、滴構成、インクの種類から、印字部の定着性(耐擦過性)を担保するために、若しくは、ピッキングやブロッキングなどの印字後に発生する不具合を防ぐために、その印字部の保護に必要な保護液の付与量を決定するためのテーブルである。この保護液付与量決定テーブルは、記憶手段(ROM71b、RAM71c、及びHDD71d等)に予め記憶されている。
また、制御手段70は、印刷データ、S1301〜S1306において設定した被記録物の種類、作成する画像の解像度、印刷速度、インクの総量規制値、滴構成、インクの種類(制御情報)から、印字部のインクの付与量:bを決定する(S1308)。即ち、本実施形態においては、制御手段70が第三の付与量決定部として機能する。
そして、制御手段70は、S1307、S1308において決定した印字部への保護液の付与量:aとその印字部のインクの付与量:bとの合計:a+bに基づき、非印字領域への保護液の付与量:cを決定する(S1309)。即ち、本実施形態においては、制御手段70が第二の付与量決定部として機能する。
ここで、S1309における非印字領域への保護液の付与量決定方法について、図15〜図17を参照して説明する。図15〜図17は、本実施形態に係る画像形成装置100による非印字領域への保護液の付与量決定方法を説明するための図である。
図15に示すように、まず、制御手段70は、インク、保護液の付与対象となる領域に、単位面積毎に単位領域を設定する。尚、この単位領域の面積は、予め設定されていても良いし、印刷データ、被記録物の種類、作成する画像の解像度、印刷速度、インクの総量規制値、滴構成、インクの種類(制御情報)の少なくともいずれかに応じて設定されても良い。
そして、図16に示すように、制御手段70は、設定した上記単位領域毎に、非印字領域への保護液の付与量:cを、各印字部のインクの付与量:aとその印字部への保護液:bの付与量との合計:a+bと等しくなるように、即ち、a+b=cとなるように決定する。
また、別の方法として、図17に示すように、制御手段70は、設定した上記単位領域毎に、用紙幅方向(主走査方向)に印字部と隣接する非印字領域への保護液の付与量:c1を、印字部のインクの付与量:aとその印字部への保護液:bの付与量との合計:a+bとの差が一定量:−d〜dの範囲に収まるように、即ち、−d≦a+b−c1≦dとなるように決定する。
また、図17に示すように、制御手段70は、用紙幅方向(主走査方向)に印字部の単位領域と隣接しない非印字領域の単位領域への保護液の付与量:c2〜cnについても、隣り合う単位領域間での保護液の付与量の差が一定量:−d〜dの範囲に収まるように、即ち、−d≦c1−c2≦d、−d≦c2−c3≦d、・・・、−d≦cn−1−cn≦dとなるように決定する。尚、上記一定量:dは、予め設定されていても良いし、印刷データ、被記録物の種類、作成する画像の解像度、印刷速度、インクの総量規制値、滴構成、インクの種類(制御情報)の少なくともいずれかに応じて設定されても良い。
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成装置100は、印字部のみならず、各単位領域における付与量が印字部よりも多くなるように非印字領域にも保護液を付与するように構成されている。本実施形態に係る画像形成装置100は、このように構成されることで、被記録物の含水量を均一にすることが可能となり、印字部を中心として被記録物が膨張する、即ち、局所的に被記録物が膨張することを防ぐことが可能となる。
尚、本実施形態においては、インクジェット方式の画像形成装置について説明したが、本発明は、水分を含む顕像剤を使用して用紙などの被記録物に印刷(画像形成)を行う画像形成装置であれば同様に適用可能である。
また、本実施形態においては、水分補給剤として保護液を付与する画像形成装置について説明したが、本発明は、保護液の代わりに、被記録物に専ら水分を補給することだけを目的とした水分補給剤を付与することで被記録物の含水量を均一にする画像形成装置においても同様に適用可能である。
(14.インク、保護液の組成)
インクは、着色剤、水、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
着色剤としては、顔料、自己分散型顔料、又は樹脂被覆型顔料を用いることができる。顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれであっても構わない。
有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉などが挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.40、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化成社製)、RAVEN1255(コロンビア社製)、REGAL400R、REGAL660R、MOGUL L(以上、キヤボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW18、Color BlackS170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ社製)などが挙げられる。
着色剤の含有量は、インク全量に対して、2質量%〜12質量%が好ましく、4質量%〜8質量%がより好ましい。含有量が、2質量%未満であると、着色力の低下により、画像濃度が低くなったり、粘度の低下によりフェザリングや滲みが悪化することがあり、12質量%を超えると、インクジェット記録装置を放置しておいた場合に、ノズル内のインクが増粘し易くなり、不吐出現象が発生したり、粘度が高くなりすぎることにより浸透性が低下したり、ドットが広がらないために画像濃度が低下したり、ぼそついた画像になることがある。
水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水溶性有機溶剤の含有量は、前処理液全量に対して、5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜20質量%がより好ましい。含有量が、80質量%未満であると、水溶性有機溶剤の種類によっては保護液を付与した被記録物の乾燥性が低下することがあり、また、保護液中の凝集剤の添加量が少量になってしまい、保護液の凝集能が大きく低下する可能性がある。一方、前記含有量が、5質量%未満であると、保護液に含まれる水が気化し易くなり、水が気化すると保護液の粘度が上昇し、保護液付与工程で不具合が生じてしまう可能性がある。
浸透剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類;エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。浸透剤の含有量は、保護液全量に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の含有量は、保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
含有量が、0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が得られないことがあり、3.0質量%を超えると、記録用メディアへの浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。防腐防黴剤の含有量は、保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。防錆剤の含有量は、保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などが挙げられる。pH調整剤の含有量は、保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
画像形成は、インクに刺激(エネルギー)を印加し、被記録物の塗工層を有する面上に、インクを飛翔させて非記録物上に画像を形成するものであり、公知の種々のインクジェット記録方法を適用でき、例えば、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法や、ライン化されたヘッドを用い、被記録物上に画像形成を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
画像形成工程におけるインク飛翔手段である記録ヘッドの駆動方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利用したオンディマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドで記録することもできる。
保護液付与工程は、画像形成部に保護液を付与する工程であり、保護液付与手段により行われる。保護液付与工程の目的は、搬送時の記録画像の転写汚れを防ぎ、被記録物がブロッキングするのを防止することである。
保護液は、水分散性樹脂、水溶性有機溶剤、浸透剤、界面活性剤、及び水を含有し、ワックス及びポリエーテル変性シリコーンオイルを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
保護液は、塗布又は飛翔させる方法によっても異なるが、画像部光沢性を出すために、又は画像部を樹脂層で保護するため(光沢性及び定着性向上)、紫外線照射により高分子化する成分を含んでなる樹脂組成物及び熱可塑性樹脂が好ましい。特に、光沢性及び定着性向上の理由から、熱可塑性樹脂エマルジョン(水分散性樹脂ともいう)が好ましい。なお、インクジェット記録装置により保護液を飛翔させる場合には、インクジェット用インクで使用されている水溶性有機溶剤(湿潤剤)を適当量含有することが好ましい。
水分散性樹脂としては、そのガラス転移温度(Tg)は−30℃以上が好ましく、−20℃〜100℃がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)が、−30℃未満であると、水分の蒸発後も粘着剤の様にタック性があり、実使用が困難となることがある。水分散性樹脂のガラス転移温度は、例えば、TMA法、DSC法、DMA法(引張り法)により測定することができる。
水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、50℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。最低造膜温度(MFT)が、50℃を超えると、ヒーター、温風等の乾燥手段を用いても短時間で成膜できないため、実使用が困難となることがある。水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、例えば、最低造膜温度測定装置(MFT型)により測定することができる。
水分散性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの水分散性樹脂は、インクに用いられる水分散性樹脂と同様のものを適宜選択して用いることができる。
水分散性樹脂の保護液における含有量は、固形分で、1質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜30質量%が好ましい。含有量が、50質量%を超えると、粘度が高くなる可能性があり、1質量%未満であると、成膜性が落ちたり水分蒸発のためのエネルギーも多く必要になったりする。
水分散性樹脂の体積平均粒径は、保護液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。保護液にした時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の体積平均粒子径は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになると保護液を飛翔させるインクジェット記録装置のヘッドのノズル口より大きくなるため好ましくない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子が保護液中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないために保護液の体積平均粒子径は200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
ワックスは、画像表面に配向することで画像の耐摩擦性、及び耐ブロッキング性を向上させることができる。
ワックスとしては、水に分散が可能であれば使用することができる。ワックスは、融点が120℃以上140℃以下のポリエチレンワックスエマルションであることが好ましい。融点が、120℃未満であると、樹脂微粒子との凝集により保護液の保存安定性が低下することがあり、140℃を超えると、スリップ効果が低下し、画像の耐摩擦性が低下することがある。ポリエチレンワックスエマルションの粒子径は、0.2μm以下が好ましい。
ポリエチレンワックスエマルションとしては、例えば、AQUACER−515(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ポリロンP−502(中京油脂株式会社製)などが挙げられる。
ワックスの含有量は、使用するワックスや使用目的にもよるが、保護液全量に対して、1質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜7質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が更に好ましい。
保護液は、スリップ性を有し、画像の耐擦過性、耐ブロッキング性向上のためポリエーテル変性シリコーンオイルを含むことが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとは、シリコーンオイルの側鎖、末端、及びその両方にポリエーテル基を導入したものである。また、シリコーンオイルは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーによって構成される。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーとしては、側鎖及び両末端のすべてがメチル基であるものが挙げられる。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーの平均重合度は45〜230であることが好ましい。
ポリジメチルシロキサン主鎖をもつ両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、市販品を用いることができ、具体的には、BYK−333、BYK−UV3500(いずれも、ビックケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量は、保護液全量に対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましく、1質量%〜1.5質量%が更に好ましい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。保護液における水溶性有機溶剤、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、及びpH調整剤としては、上記と同様なものを使用することができる。
保護液は、被記録物の画像表面の全体にわたって付着させても、画像表面の特定の部分のみに付着させてもよい。保護液の付与方法としては、特に制限はなく、保護液の種類によって各種方法が適宜選択できるが、インクを飛翔させる方法と同様の方法が好適である。
保護液の乾燥付着量は、0.5g/m2〜10g/m2が好ましく、2g/m2〜8g/m2がより好ましい。付着量が、0.5g/m2未満では、画像品質(画像濃度、彩度、光沢度及び定着性)の向上が殆ど見られず、10g/m2を超えると、保護層の乾燥性が低下し、画像品質向上効果も飽和するため経済的にも不利となる。
保護液は、着弾後のドットの拡がりが大きくなるように、粘度と表面張力を調整することが好ましい。保護液は、25℃での静的表面張力が10mN/m〜35mN/mが好ましく、15mN/m〜30mN/m以下がより好ましい。静的表面張力が、35mN/mを超えると、画像上で拡がり難く耐ブロッキング性が低下することがあり、また、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
保護液の粘度は、1.2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上10mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上8mPa・s未満である。粘度が、15mPa・sを超えると、画像上で拡がり難く、耐ブロッキング性が低下することがあり、1.2mPa・s未満であると、吐出安定性が低下することがある。