JP2017155264A - オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品 - Google Patents

オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品 Download PDF

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Abstract

【課題】十分なクリープ強度を有しつつ、優れた引張強度および引張延性を確保することのできるオーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品を提供することにある。【解決手段】実施形態のオーステナイト系耐熱鋼は、質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%、Zr:0.1〜2.0%、P:0.01〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。【選択図】図1

Description

本発明の実施の形態は、オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品に関する。
近年、大気中への二酸化炭素の排出量削減の観点から、発電プラントの高効率化が進められている。そのため、火力発電プラントに備えられる蒸気タービンやガスタービンの高効率化が要求されている。
上記した各タービンにおける効率を上げるためには、タービンに導入される作動流体の入口温度を高温化することが有効である。例えば、蒸気タービンにおいては、将来的には、作動流体である蒸気の温度が650℃以上、さらには700℃程度での運用が期待されている。ガスタービンにおいても、導入される作動流体の入口温度は、上昇する傾向にある。
従来、600℃程度の温度に曝されるタービン部品には、フェライト系耐熱鋼などが使用されている。しかしながら、上記したような高温の作動流体に曝されるタービン部品をフェライト系耐熱鋼で構成することは耐熱性から問題がある。そのため、このような高温の作動流体に曝されるタービン部品は、オーステナイト系耐熱鋼、Ni基合金あるいはCo基合金などで構成される。これらの中でも、オーステナイト系耐熱鋼は、フェライト系耐熱鋼よりも50℃程度も耐用温度が高く、かつNi基合金の1/3程度の材料費である。そのため、オーステナイト系耐熱鋼を使用することで、製造コストを抑え、高効率化を図ることができる。
これまでオーステナイト系耐熱鋼の開発は高温クリープ強度の向上を主眼としたものが多い。しかし、オーステナイト鋼を大型の鍛造素材または鋳造素材として使用した場合、製造上の制約から結晶粒径が大きくなり、クリープ強度は十分であるが引張強度および延性が設計上の要求を満たせないという問題が生じる。また、結晶粒径が大きいオーステナイト鋼の場合、材料の超音波探傷において減衰が生じ、欠陥検出能が低下するという問題も生じる。Alloy286などの公知のオーステナイト系耐熱鋼は、金属間化合物を析出強化相として利用して高温クリープ強度の向上が図られている。しかしながら、上記のように十分なクリープ強度を有しつつ、優れた引張強度および引張延性を確保する耐熱鋼は提案されていない。
特開2011−195880号公報
高温構造材料の設計を行う上で、材料のクリープ強度、引張強度および引張延性は重要な因子である。しかしながら、従来のオーステナイト系耐熱鋼では、十分なクリープ強度を有しつつ、優れた引張強度および引張延性を確保することが困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、十分なクリープ強度を有しつつ、優れた引張強度および引張延性を確保することのできるオーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品を提供することにある。
上記実施形態に係るオーステナイト系耐熱鋼は、質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%、Zr:0.1〜2.0%、P:0.01〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
本発明の実施形態は、十分なクリープ強度を有しつつ、優れた引張強度および引張延性を確保することのできるオーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品を得ることができる。
実施形態のオーステナイト系耐熱鋼が適用されるタービンの一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明者らは、従来のオーステナイト系耐熱鋼においてZrおよびPを添加することによって凝固後の結晶粒径を微細に制御し、クリープ強度を有しつつ優れた引張強度および引張延性が得られることを見出した。
オーステナイト系耐熱鋼に対して引張強度および延性を向上させるためには、ホールペッチの法則に則り結晶粒の微細化が一つの有効な手段となる。しかし、従来のオーステナイト鋼で大型鍛造品および鋳造品を製造する場合、鋳造中の凝固速度が遅く十分な結晶粒の成長が生じてしまい、粗大粒組織を示すため、引張強度および延性が得られない。
そこで、本発明者らは、ZrおよびPの添加によって、凝固速度が遅い状態でも結晶粒の微細化が可能であることを見出した。
ZrおよびPを添加することにより、溶湯においてZrとPが酸素と結びついて酸化物を形成する。この酸化物は、溶湯よりも先に凝固し溶湯中に微細均一に分布する。この酸化物は、溶湯が凝固し結晶粒が成長する際にピン止め効果を発揮し、粒成長を抑制する働きをする。この効果により微細な結晶粒を得たオーステナイト鋼は、十分なクリープ強度を有しつつ優れた引張強度および延性を確保することに成功した。
以下、実施の形態を具体的に説明する。なお、以下の説明において組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%とする。
実施形態のオーステナイト系耐熱鋼は、質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%、Zr:0.1〜2.0%、P:0.01〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
ここで、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼における不可避的不純物としては、例えばN、Si、MnおよびSなどが挙げられる。
実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、運転時の温度が650℃以上、さらには、700℃程度となるタービン部品を構成する材料として好適である。タービン部品として、例えば、タービンケーシング、動翼、静翼、タービンロータ、螺合部材、配管、弁などが挙げられる。ここで、螺合部材として、例えば、タービンケーシングやタービン内部の各種構成部品を固定するボルトやナットなどを例示することができる。配管としては、例えば、発電用タービンプラントなどに設置され、高温高圧の作動流体が通過する配管などを例示することができる。
上記したタービン部品のすべての部位を、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼で構成してもよい。また、例えば、温度が650℃以上となるタービン部品の一部の部位を、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼で構成してもよい。
上記した本実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、従来のオーステナイト系耐熱鋼と同等のクリープ強度を有し、従来のオーステナイト系耐熱鋼よりも、引張強度および引張延性が高い。そのため、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼を用いて作製されたタービン部品においても、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼と同様な特性を有し、高い信頼性を有する。
上記した、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼やタービン部品は、例えば、蒸気タービン、ガスタービン、COタービンなどの発電用タービンに適用することができる。
図1は、タービンの一例を示すものである。
タービン10は、例えば、ケーシング11、タービンロータ12、タービンディスク13、動翼14、および静翼15を有する。タービンロータ12は、ケーシング11の内部にこれを貫くように設けられている。タービンロータ12とタービンディスク13は、溶接部16によって溶接接合されている。なお、タービン10は、タービンロータ12またはタービンディスク13の一方を有しないものでもよいし、複数のタービンロータ12とタービンディスク13とが組み合わされたものでもよい。各タービンロータ12およびタービンディスク13の周囲には、複数の動翼14が植え込まれている。また、動翼14の前方には、静翼15が配置されている。静翼15は、ケーシング11に支持されている。動翼14と静翼15とにより、1つのタービン段落が構成されている。
次に、上記した実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼における各組成成分範囲の限定理由を説明する。
(1)Ni(ニッケル)
Niは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。これらの効果は、Niの含有率が24%以上において発揮される。また、Niの含有率が50%以下において、材料コストの増加や加工性の低下が抑えられる。そのため、Niの含有率を24〜50%とした。より好ましいNiの含有率は34〜45%であり、さらに好ましいNiの含有率は38〜45%であり、最も好ましいNiの含有率は38〜41%である。
(2)Cr(クロム)
Crは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。また、Crは、γ’相の固溶温度を上昇させるため、γ’相の析出が促進される。これらの効果は、Crの含有率が5%以上で発揮される。また、Crの含有率が13%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、σ相の析出が抑制される。そのため、Crの含有率を5〜13%とした。より好ましいCrの含有率は、6〜10%であり、さらに好ましいCrの含有率は、6〜8%である。
(3)Co(コバルト)
Coは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。これらの効果は、Coの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Coの含有率が12%以下において、材料コストの増加や耐力の低下が抑えられる。そのため、Coの含有率を0.1〜12%とした。より好ましいCoの含有率は0.1〜6%であり、さらに好ましいCoの含有率は、0.1〜4%である。
(4)Nb(ニオブ)
NbはFe母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。また、Nbは、γ’相を形成して安定化させる。これらの効果は、Nbの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Nbの含有率が5%以下において、材料コストの増加やδ(Ni(Nb,Ta))相(金属間化合物)の析出が抑えられる。そのため、Nbの含有率を0.1〜5%以下とした。より好ましいNbの含有率は0.1〜3%であり、さらに好ましいNbの含有率は0.1〜2%である。
(5)V(バナジウム)
Vは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。これらの効果は、Vの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Vの含有率が0.5%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、σ相の析出が抑制される。そのため、Vの含有率を0.1〜0.5%とした。より好ましいVの含有率は0.1〜0.4%であり、さらに好ましいVの含有率は0.1〜0.3%である。
(6)Ti(チタン)
Tiは、γ’相を形成して、強度を高める。Tiの含有率が1.90%以上において、γ’相の析出の促進が図れる。また、Tiの含有率が2.35%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、線膨張係数の増加を抑え、炭化物や窒化物の適量形成によりピン止め効果を発揮して、微細粒化に伴う延性の向上をもたらす。そのため、Tiの含有率を1.90〜2.35%とした。
(7)Al(アルミニウム)
Alは、γ’相を形成して、強度を高める。Alの含有率が0.30%以下において、γ’相が十分析出し、ピン止め効果を発揮して微細粒化に伴う強度および延性に向上をもたらす。そのため、Alの含有率を0.01〜0.30%とした。より好ましいAlの含有率は0.01〜0.20%であり、さらに好ましいAlの含有率は0.01〜0.10%である。
(8)B(ホウ素)
Bは、Fe母相に固溶して、特に粒界偏析するため、粒界強化をもたらす。また、Bは、Tiを多く含む場合、η相の析出を抑制する効果がある。これらの効果は、Bの含有率が0.001%以上において発揮される。また、Bの含有率が0.01%以下において、母相の融点の低下を抑え、高温での強度が向上する。そのため、Bの含有率を0.001〜0.01%とした。より好ましいBの含有率は、0.004〜0.006%である。
(8)C(炭素)
Cは、Crとの炭化物を形成し、ピン止め効果による微細粒化をもたらし、母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。Cの含有率が0.001%未満の場合には、上記した効果が十分に発揮されない。一方、Cの含有率が0.1%を超えると、オーステナイト構造の不安定化をもたらすとともに、炭化物が粗大化しすぎて高温強度を低下させる。そのため、Cの含有率を0.001〜0.1%とした。さらに好ましいCの含有率は、0.01〜0.08%であり、さらに好ましいCの含有率は0.01〜0.05%である。
(9)Zr(ジルコニウム)
Zrは、Oと酸化物を形成し、ピン止め効果による微細粒化をもたらし、母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。Zrの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果が十分に発揮されない。一方、Zrの含有率が2%を超えると、オーステナイト構造の不安定化をもたらすとともに、酸化物が析出しすぎて高温強度を低下させる。そのため、Zrの含有率を0.1〜2.0%とした。さらに好ましいZrの含有率は、0.5〜2.0%であり、さらに好ましいZrの含有率は1.0〜2.0%である。
(10)P(リン)
Pは、Oと酸化物を形成し、ピン止め効果による微細粒化をもたらし、引張強度および延性を向上させる。Pの含有率が0.01%未満の場合には、上記した効果が十分に発揮されない。一方、Zrの含有率が0.2%を超えると、オーステナイト構造の不安定化をもたらすとともに、酸化物が析出しすぎて材料脆化をもたらす。そのため、Pの含有率を0.01〜0.2%とした。さらに好ましいPの含有率は、0.05〜0.2%であり、さらに好ましいZrの含有率は0.1〜0.2%である。
(9)N(窒素)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)およびS(硫黄)
N、Si、MnおよびSは、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが好ましい。
次に、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼、およびこのオーステナイト系耐熱鋼を用いて製造されるタービン部品の製造方法について説明する。
実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、例えば、次のように製造される。まず、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯を所定の型枠に注入して鋳塊を形成する。そして、鋳塊に溶体化処理(固溶化熱処理)および時効処理を施して、オーステナイト系耐熱鋼が作製される。
タービン部品であるタービンケーシングは、例えば、次のように製造される。まず、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯をタービンケーシングの形状に形成するための型枠に注入し、大気鋳造して構造体を作製する。そして、構造体に溶体化処理および時効処理を施して、タービンケーシングが作製される。
なお、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、電気炉溶解(EF)し、アルゴン−酸素脱炭(AOD)して溶湯としてもよい。
タービン部品である、動翼、静翼、タービンロータ、螺合部材、弁は、例えば次のように作製される。まず、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、減圧雰囲気で所定の型に流し込み鋳塊を作製する。そして、この鋳塊を上記タービン部品の形状に対応する型に配置して圧延などの鍛造処理を施す。続いて、溶体化処理、時効処理などを施すことで、動翼、静翼、タービンロータ、螺合部材が作製される。
なお、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、真空アーク再溶解(VAR)して溶湯としてもよい。また、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、真空アーク再溶解(VAR)して溶湯としてもよい。
タービン部品である配管は、例えば、次のように製造される。まず、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、真空誘導溶解(VIM)を行い溶湯とし、または電気炉溶解(EF)してアルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い溶湯とし、円筒形の型を高速回転させた状態でこの溶湯を流し込む。続いて、回転の遠心力を利用して溶湯を加圧し、配管形状の構造体を作製する(遠心鋳造法)。そして、構造体に溶体化処理および時効処理を施して、配管が作製される。
なお、タービン部品を作製する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
次に、溶体化処理および時効処理について説明する。
溶体化処理は、加工歪の除去や整粒化、γ単相化を目的として実施される。溶体化処理では、処理部材を885〜995℃の温度に所定時間維持し、その後、室温まで急冷する。温度が885℃以上において、上記した効果が得られる。また、温度が995℃以下において、結晶粒の過度な粗大化が抑制される。急冷は、例えば、水冷や強制空冷などによって行われる。
時効処理は、結晶粒内にγ’相を析出させ、高温強度を付与するために行われる。時効処理では、処理部材を700〜760℃の温度に所定時間維持し、その後、室温まで冷却する。温度が700℃以上において、γ’相が十分に析出する。また、温度が760℃以下において、γ’相の早期の粗大化による析出密度の減少が抑制される。冷却は、例えば、大気中における自然冷却などによって行われる。
ここでは、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼において、従来のオーステナイト系耐熱鋼の高温クリープ強度を有しつつ、優れた引張強度および延性が得られることを説明する。
表1は、評価に用いられた試料1〜試料12の化学組成を示す。なお、試料1〜試料9は、本実施の形態の化学組成範囲にあるオーステナイト系耐熱鋼であり、試料10〜試料12は、その化学組成が本実施の形態の化学組成範囲にないオーステナイト系耐熱鋼であり、比較例である。
Figure 2017155264
試料1〜試料12のオーステナイト系耐熱鋼について、クリープ破断試験および引張試験を行った。
それぞれの試験に使用する試験片は、次のように作製された。
表1に示す化学組成を有する試料1〜試料12のオーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を得るために必要な原材料を真空誘導溶解炉にて溶解し、それぞれ2kgの鋳塊を作製した。得られた鋳塊に対して溶体化処理を施した。溶体化処理では、940℃の温度で30分間加熱し、その後、強制空冷によって室温まで急冷した。続いて、鋳塊に対して時効処理を施した。時効処理では、760℃の温度で16時間加熱し、その後、大気中における自然冷却によって室温まで冷却した。
クリープ破断試験は、各試料による試験片に対して、JIS Z 2271に準拠して実施した。また引張試験は、各試料による試験片に対して、JISZ 2201に準拠して実施した。
クリープ破断強度は、700℃/10万時間クリープ破断強度を求めた。なお、700℃/10万時間クリープ破断強度は、試験温度を700〜800℃、試験応力を200〜400MPaの範囲で実施した破断時間1000時間程度の試験結果に基づいて、Larson-Miller法によって外挿することで求められた。
クリープ破断試験結果、および引張試験結果を表2に示す。
Figure 2017155264
表2に示すように、クリープ破断強度は、試料1〜試料12で同程度であり、十分な特性が得られた。しかし従来のオーステナイト系耐熱鋼である試料10〜12の引張強度は700MPa以下であり、かつ伸びは20%以下である。これに対して、試料1〜試料9においては、引張強度は700MPa以上である。また、試料1〜試料9の伸びは20%以上である。
以上の結果から、試料1〜試料9においては、従来のオーステナイト系耐熱鋼のクリープ強度を維持しつつ、引張強度および延性の向上が実現されている。
以上説明した実施形態によれば、高温強度を維持しつつ線膨張係数を低減し、かつ十分な溶接性を確保することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10タービン、11ケーシング、12タービンロータ、13タービンディスク、14動翼、15静翼、16溶接部。

Claims (8)

  1. 質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%、Zr:0.1〜2.0%、P:0.01〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるオーステナイト系耐熱鋼。
  2. 質量で、Zrを0.5〜2.0%含有している請求項1記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  3. 質量で、Zrを1〜2.0%含有している請求項1記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  4. 質量で、Pを0.05〜0.2%含有している請求項1記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  5. 質量で、Pを0.1〜0.2%含有している請求項1記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  6. 室温における引張強度および延性が700MPa以上かつ20%以上である請求項1乃至5のいずれか1項記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項記載のオーステナイト系耐熱鋼を用いて、少なくとも所定部位が形成されたタービン部品。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項記載のオーステナイト系耐熱鋼を用いて溶接されたタービン部品。
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