JP2017137689A - 鋼管の補強構造 - Google Patents

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Takayuki Sagawa
隆之 佐川
小林 和彦
Kazuhiko Kobayashi
和彦 小林
倫宏 正藤
Michihiro Masafuji
倫宏 正藤
犬伏 昭
Akira Inubushi
昭 犬伏
浩利 菊池
Hirotoshi Kikuchi
浩利 菊池
山本 勝義
Katsuyoshi Yamamoto
勝義 山本
正芳 松原
Masayoshi Matsubara
正芳 松原
康行 皿海
Yasuyuki Saraumi
康行 皿海
匠 木村
Takumi Kimura
匠 木村
伊織 吉田
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伊織 吉田
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Abstract

【課題】鋼管の座屈耐力および軸耐力を増大させることができるとともに、容易に施工することができる鋼管の補強構造、および鋼管の補強方法を提供する。【解決手段】既存構造物11に設けられて、構造体をなす鋼管2を補強する鋼管の補強構造1において、鋼管2の内部における補強対象範囲16内に充填された補強用充填材(充填材)4と、鋼管2および補強用充填材4を貫通し、所定の張力が導入されて鋼管2を補強用充填材4へ押圧するハイテンションボルト(緊張材)5と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、既存構造物に設けられて、構造体をなす鋼管の補強構造に関する。
従来、既存構造物に設けられた鋼管トラス梁の地震時や積雪時などの外力に対する耐力が十分であるかどうかの判断は、鋼管トラス梁の圧縮材となる鋼管の座屈強度や、軸圧縮強度の値に基づいて行われることが多い。鋼管トラス梁の耐震補強を行う場合、鋼管トラス梁の鋼管の座屈耐力や軸耐力(軸圧縮耐力)を増大させる補強を行うことが多い。
鋼管トラス梁の鋼管の補強方法としては、溶接による鋼管の断面補強方法が知られている。しかしながらこのような方法は、溶接による火災発生のリスクがあるとともに、高所における溶接作業が困難であるため、溶接を必要としない鋼管の補強方法が提案されている。
例えば、鋼管を新たな鋼管を縦割りにして形成した補強部材で両側から挟み、補強部材をバンド材で鋼管に固定する方法や、鋼管を新たな鋼管を縦割りにした補強部材で両側から挟み、これらの補強部材どうしをボルトなどの固定具で固定して、補強部材を鋼管に固定する方法が提案されている。
また、特許文献1には、鋼管に孔部を形成し、この孔部から鋼管の内にセメント系固化物を充填して鋼管を補強する方法が開示されている。
特開2000−170323号公報
しかしながら、補強部材を鋼管に固定する方法は、座屈耐力を増大させることには有効であるが、軸耐力を増大させることには有効ではない。また、この方法では、補強部材を鋼管と一体化させる必要があるため、補強部材の加工に高い寸法精度が求められ、補強部材の加工に手間がかかるという問題がある。補強部材の寸法精度が低いと、補強部材と鋼管とが一体化せず、補強部材による補強効果を十分に得られない虞がある。また、鋼管に補強部材が固定されることによって部材の断面形状が大きくなるとともに、外観が変わるという問題もある。
特許文献1に開示された方法についても、鋼管とセメント系固化物とを一体化させずに絶縁させるため、座屈耐力を増大させることには有効であるが、軸耐力を増大させることには有効ではない。
また、鋼管とセメント系固化物とが一体化していたとしても、付着により伝達可能な軸力は鋼管内面積によって上限が決まっているため、軸耐力が大きく不足する場合は、補強耐力が不足するという問題がある。
そこで、本発明は、鋼管の座屈耐力および軸耐力を増大させることができるとともに、容易に施工することができる鋼管の補強構造、および鋼管の補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る鋼管の補強構造は、既存構造物に設けられて、構造体をなす鋼管を補強する鋼管の補強構造において、前記鋼管の内部における補強対象範囲内に充填された充填材と、前記鋼管および前記充填材を貫通し、所定の張力が導入されて前記鋼管を前記充填材へ押圧する緊張材と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る鋼管の補強方法では、既存構造物に設けられて、構造体をなす鋼管を補強する鋼管の補強方法において、前記鋼管の補強対象範囲内の互いに対向する位置に前記鋼管の内外を連通させる一対の第1孔部を形成する第1孔部形成工程と、前記鋼管を貫通するように前記一対の第1孔部に緊張材を挿通させ、張力を導入せずに該緊張材を前記鋼管に仮固定する緊張材仮固定工程と、前記鋼管の内部における前記補強対象範囲内に充填材を充填する充填材充填工程と、前記充填材充填工程の後に前記緊張材に所定の張力を導入して前記鋼管を前記充填材に押圧する張力導入工程と、を有することを特徴とする。
本発明では、鋼管の内部に充填材が充填されることにより、鋼管の座屈耐力を増大させることができる。また、緊張材に導入された張力によって鋼管が充填材に押し付けられることにより、鋼管の内面と充填材との間の摩擦力が増大する。その結果、鋼管と充填材との間でせん断力を伝達することができて、軸力を伝達することができるため、鋼管の軸耐力を増大させることができる。
また、鋼管に緊張材を仮固定し、鋼管の内部に充填材を充填した後に緊張材に張力を導入すればよいため、容易に施工することができる。
また、本発明に係る鋼管の補強構造では、前記鋼管の内部における補強対象範囲外に配置され、前記鋼管の内部を塞ぐ塞ぎ部材を有し、前記塞ぎ部材は、袋体と、該袋体に充填された塞ぎ部材用充填材と、を有する構成としてもよい。
また、本発明に係る鋼管の補強方法では、前記充填材充填工程の前に、前記鋼管の補強対象範囲外に該鋼管の内外を連通させる第2孔部を形成する第2孔部形成工程と、前記鋼管の補強対象範囲内に該鋼管の内外を連通させる第3孔部を形成する第3孔部形成工程と、前記第2孔部から前記鋼管の内部に袋体を挿入し、該袋体の内部に塞ぎ部材用充填材を充填して、前記鋼管の内部を塞ぐ塞ぎ部材を形成する塞ぎ部材形成工程と、を行い、前記充填材充填工程では、前記第3孔部から前記鋼管の内部における補強対象範囲内に前記充填材を充填する構成としてもよい。
このような構成とすることにより、鋼管の内部における補強対象範囲内と補強対象範囲外とが塞ぎ部材によって区分けされるため、所望の領域(補強対象範囲内)に補強用充填材を容易に充填することができる。
また、塞ぎ部材は、鋼管の内部に挿入された袋体の内部に塞ぎ部材用充填材を充填した構成であるため、塞ぎ部材を容易に設置することができる。
本発明によれば、鋼管の座屈耐力および軸耐力を増大させることができるとともに、容易に施工することができる。
本発明の実施形態による鋼管の補強構造を採用した鋼管トラス梁の一例を示す図である。 図1の縦断面図である。 (a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。 図2のC部分拡大図である。 (a)は第1孔部形成工程、第2孔部形成工程および第3孔部形成工程を説明する図で下弦材の鋼管を上方から見た図、(b)は(a)のD−D線断面図である。 緊張材仮固定工程を説明する図である。 (a)は図6に続く緊張材仮固定工程を説明する図で下弦材の鋼管を上方から見た図、(b)は(a)のE−E線断面図である。 塞ぎ部材形成工程を説明する図である。 図8に続く塞ぎ部材形成工程を説明する図である。 補強用充填材充填工程を説明する図である。 ハイテンションボルトの張力、および鋼管と補強用充填材との摩擦力を説明する図である。
以下、本発明の実施形態による鋼管の補強構造、および鋼管の補強方法について、図1乃至図11に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による鋼管の補強構造1は、既存構造物11の鋼管トラス梁12を補強する際に用いられている。鋼管トラス梁12は、水平方向に延びる上弦材13および下弦材14と、上弦材13と下弦材14との間に設けられた複数の斜材15,15…と、を有している。
上弦材13、下弦材14および複数の斜材15,15…は、それぞれ鋼管2で構成されている。複数の斜材15,15…は、それぞれ上弦材13および下弦材14に溶接などによって接合されている。
本実施形態では、下弦材(構造体)14の所定の長さ範囲を補強対象範囲16とし、この補強対象範囲16に鋼管の補強構造1が適用されている。
図2に示すように、補強された下弦材14(鋼管の補強構造1)は、水平方向に延びる鋼管2と、鋼管2の内部における補強対象範囲16の長さ方向の両外側それぞれに設けられた一対の塞ぎ部材3,3と、一対の塞ぎ部材3,3の間に充填された補強用充填材(充填材)4と、鋼管2および補強用充填材4を貫通するとともに鋼管2に固定されたハイテンションボルト(緊張材)5と、を有している。
鋼管2は、既設のもので、下弦材14を補強するために鋼管2の内部に一対の塞ぎ部材3,3、補強用充填材4およびハイテンションボルト5,5が新設されている。図2および図3(a)に示すように、下弦材14の補強対象範囲16(図2参照)外では、鋼管2は中空の状態となっている。図2および図3(b)に示すように、下弦材14の補強対象範囲16(図2参照)内は、鋼管2の内部に補強用充填材4が充填されるとともに鋼管2および補強用充填材4をハイテンションボルト5,5が貫通している。
図4に示すように、一対の塞ぎ部材3,3は、長さ方向(鋼管2の長さ方向)に間隔をあけて補強対象範囲16を挟むように配置され、それぞれ鋼管2の内部を長さ方向の一方側と他方側とに仕切っている。一対の塞ぎ部材3,3は、それぞれ合成樹脂製の伸縮可能な袋体31と、袋体31の内部に充填されたセメント系固化物などの塞ぎ部材用充填材32と、を有している。袋体31は、塞ぎ部材用充填材32が充填されることで膨張し、鋼管2の内部を長さ方向の一方側と他方側とが連通しないように閉塞可能に構成されている。
補強用充填材4には、例えば無収縮タイプのセメント系固化物などが用いられている。補強用充填材4は、硬化して鋼管2と一体化している。
鋼管2には、補強対象範囲16外に一対の塞ぎ部材3,3それぞれの袋体31,31および塞ぎ部材用充填材32,32を鋼管2の内部に挿入するための一対の塞ぎ部材用孔部(第2孔部)21,21と、補強対象範囲16に補強用充填材4を充填するための補強用孔部(第3孔部)22と、鋼管2の内部に充填された補強用充填材4の様子を確認するための確認用孔部23と、ハイテンションボルト5が貫通する4つのハイテンションボルト用孔部(第1孔部)24,24,…と、が形成されている。
2つの塞ぎ部材用孔部21,21は、それぞれ鋼管2の上部側に互いに長さ方向に間隔をあけて形成されている。
補強用孔部22と確認用孔部23とは、互いに長さ方向に間隔をあけて形成されている。補強用孔部22は、鋼管2の下部側に形成され、確認用孔部23は、鋼管2の上部側に形成されている。
塞ぎ部材用孔部21,21、補強用孔部22、および確認用孔部23は、鋼管2の内部に一対の塞ぎ部材3,3および補強用充填材4が設けられた後にそれぞれシール材25などで塞がれている。
4つのハイテンションボルト用孔部24,24,24…のうちの2つのハイテンションボルト用孔部24A,24Aは、長さ方向に間隔をあけて鋼管2の上部側に形成され、他の2つのハイテンションボルト用孔部24B,24Bは、長さ方向に間隔をあけて鋼管2の下部側に形成されている。ハイテンションボルト用孔部24A,24Aを上側ハイテンションボルト用孔部24A,24Aとし、ハイテンションボルト用孔部24B,24Bを下側ハイテンションボルト用孔部24B,24Bとすると、上側ハイテンションボルト用孔部24A,24Aと下側ハイテンションボルト用孔部24B,24Bとは上下方向に重なる位置に配置されていて、鋼管2の軸線に直交する方向に対向している。
鋼管2の内部には、上下方向に重なる位置に配置された上側ハイテンションボルト用孔部24A,24Aと、下側ハイテンションボルト用孔部24B,24Bと、をつなぐように2つの樹脂パイプ6,6が設けられている。
樹脂パイプ6は、内部に補強用充填材4が挿通可能に構成されている。これにより、ハイテンションボルト5と補強用充填材4とが定着しないように構成されている。
ハイテンションボルト5は、頭部51と、ネジ部52と、ネジ部52に螺合可能なナット53と、頭部51と鋼管2との間に介在する上側プレート材54Aと、ナット53と鋼管2との間に介在する下側プレート材54Bと、を有している。上側プレート材54Aおよび下側プレート材54Bには、座金や、ネジ部52が挿通可能な孔部が形成された鋼板などが用いられている。
ハイテンションボルト5は、頭部51がネジ部52よりも上側となる向きで鋼管2を貫通していて、ネジ部52が上側プレート材54A、上側ハイテンションボルト用孔部24A、樹脂パイプ6、下側ハイテンションボルト用孔部24B、下側プレート材54B、およびナット53の順に挿通されている。ハイテンションボルト5は、鋼管2に挿通されると、軸線が鋼管2の軸線と直交するように配置される。
ハイテンションボルト5は、頭部51が上側プレート材54Aを介して鋼管2の外周面と当接するとともに、ナット53が下側プレート材54Bを介して鋼管2の外周面と当接している。ハイテンションボルト5は、トルク法による締付けが行われることにより、所定の張力が導入されて、鋼管2を補強用充填材4に押圧(圧着)している。
次に、下弦材14の補強方法(鋼管の補強方法)について説明する。
まず、図5に示すように、下弦材14の鋼管2の補強対象範囲16の上部側に上側ハイテンションボルト用孔部24A,24Aを形成し、下部側に下側ハイテンションボルト用孔部24B,24Bを形成する(第1孔部形成工程)。
鋼管2の補強対象範囲16の長さ方向の両外側それぞれの上部側に、一対の塞ぎ部材用孔部21,21を形成する(第2孔部形成工程)。本実施形態では、一対の塞ぎ部材用孔部21,21のそれぞれ内径を30mm程度としている。
鋼管2の補強対象範囲16の下部側に補強用孔部22を形成し、上部側に確認用孔部23と、を形成する(第3孔部形成工程)。本実施形態では、補強用孔部22の内径および確認用孔部23のそれぞれの内径を30mm程度としている。
なお、第1〜第3孔部形成工程を行う順番は適宜設定されてよく、鋼管2の上部側に形成される孔部を形成した後に、鋼管2の下部側に形成される孔部を形成するようにしてもよい。
続いて、図6および図7に示すように、鋼管2にハイテンションボルト5を仮固定する(ハイテンションボルト仮固定工程)。
まず、図6に示すように、鋼管2に樹脂パイプ6を設置する。
続いて、図7に示すように、ハイテンションボルト5のネジ部52を、上側プレート材54A、上側ハイテンションボルト用孔部24A、樹脂パイプ6、下側ハイテンションボルト用孔部24B、下側プレート材54Bに挿入する。鋼管2および下側プレート材54Bの下側に突出したネジ部52の先端部分にナット53を螺合させる。
なお、ナット53をネジ部52に螺合させる際には、ハイテンションボルト5に張力が導入されないようにする。このようにして、ハイテンションボルト5を鋼管2に仮固定する。
続いて、図8および図9に示すように、鋼管2の内部に一対の塞ぎ部材3,3(図9参照)をそれぞれ形成する(塞ぎ部材形成工程)。
図8に示すように、塞ぎ部材用孔部21,21を介して鋼管2内部に収縮した状態の袋体31,31を挿入する。鋼管2の内部に挿入された袋体31,31それぞれの充填口31aを塞ぎ部材用孔部21,21の近傍に配置する。
鋼管2の内部に挿入された袋体31の充填口31aから袋体31の内部に塞ぎ部材用充填材32を充填する。
図9に示すように、袋体31は、塞ぎ部材用充填材32が充填されることで伸長して膨張する。袋体31が鋼管2を塞ぐ大きさとなるまで袋体31の内部に塞ぎ部材用充填材32を充填する。
袋体31および塞ぎ部材用充填材32が鋼管2を塞ぐ大きさとなったら、袋体31への塞ぎ部材用充填材32の充填を終了し、袋体31の充填口31aを閉じる。
続いて、図10に示すように、鋼管2の内部の補強対象範囲16に補強用充填材4を充填する(充填材充填工程)。
補強用孔部22から補強用充填材4を鋼管2の内部に充填する。このとき、鋼管2の内部に注入された補強用充填材4の様子を確認用孔部23から確認する。なお、本実施形態では、確認用孔部23は、補強用孔部22から補強用充填材4が鋼管2の内部に注入された際の鋼管2の内部の空気の排出口も兼ねている。
一対の塞ぎ部材3,3は、補強用充填材4の型枠となり、補強用充填材4が一対の塞ぎ部材3,3まで達しても、補強用充填材4が補強対象範囲16外に流出することを防止している。
補強用充填材4が補強対象範囲16に充填されたら、図4に示すように塞ぎ部材用孔部21,21、補強用孔部22および確認用孔部23をシール材25などで塞ぐ。そして、補強用充填材4を硬化させる。
続いて、ハイテンションボルト5に所定の張力を導入する(張力導入工程)。
この工程は、鋼管2に充填された補強用充填材4が所定の強度を発現した後に行う。トルク法による締付けを行い、ハイテンションボルト5に所定の張力を導入する。
これにより、鋼管2が補強用充填材4に押圧されて、鋼管2と補強用充填材4との間に所定の摩擦力が生じる。
次に、鋼管2の補強設計について説明する。
鋼管2の座屈耐力が不足している場合は、座屈耐力の補強設計を行い、鋼管2の軸耐力が不足している場合は、軸耐力の補強設計を行う。本実施形態では、鋼管2の座屈耐力の補強設計および軸耐力の補強設計の両方を行うものとする。
なお、補強後の鋼管2の座屈耐力および、軸耐力は、コンクリート充填鋼管構造設計施工指針(日本建築学会、2008年10月発行)に準拠するものとする。
補強後の鋼管2の座屈耐力は、鋼管2の座屈耐力と補強対象範囲16に充填された補強用充填材4(コンクリート部分)の座屈耐力とを累加した累加座屈耐力となる。補強後の鋼管2の座屈耐力、コンクリート部分の座屈耐力および鋼管2の座屈耐力を下式(1)〜(3)に示す。
補強後の鋼管2の座屈耐力が目標座屈耐力以上となるように、各値を設定する。
Figure 2017137689
補強後の鋼管2の軸耐力は、鋼管2の軸耐力に、鋼管2とコンクリート部分の付着により鋼管2からコンクリート部分に伝達される軸力、および鋼管2とコンクリート部分との間に生じる摩擦力により鋼管2からコンクリート部分に伝達される軸力を加算して算定する。なお、補強用充填材4として繊維補強セメントを用いた場合は、引張側の靱性に富む繊維補強セメントの引張強度を累加することで、引張材の軸耐力を増大させることができる。
鋼管2とコンクリート部分の付着により鋼管2からコンクリート部分に伝達される軸力を下式(4)、(5)に示す。
Figure 2017137689
鋼管2とコンクリート部分との間に生じる摩擦力により鋼管2からコンクリート部分に伝達される軸力は、ハイテンションボルト5に導入された張力のうち、鋼管2自身が面外圧縮力を受けた際の局部変形破壊耐力(鋼管トラス構造設計施工指針・同解説、日本建築学会、2013年8月)を差し引いた圧縮力がコンクリート部分に伝達される圧縮力となるものと考えて、下式(6)〜(9)に基づいて設計を行う。
また、圧縮力を受ける鋼管2内部のコンクリート部分の支圧破壊耐力については、下式(9)によって判断する。なお、図11では、ハイテンションボルト5の張力および鋼管2とコンクリート部分との摩擦力を説明している。
Figure 2017137689
次に、上述した鋼管の補強構造1および鋼管の補強方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による鋼管の補強構造1では、鋼管2の内部に補強用充填材4が充填されることにより、鋼管2の座屈耐力を増大させることができる。また、ハイテンションボルト5に導入された張力によって鋼管2が補強用充填材4に押し付けられることにより、鋼管2の内面と補強用充填材4との間の摩擦力が増大する。その結果、鋼管2と補強用充填材4との間でせん断力を伝達することができて、軸力を伝達することができるため、鋼管2の軸耐力を増大させることができる。
また、鋼管2にハイテンションボルト5を仮固定し、鋼管2の内部に補強用充填材4を充填した後にハイテンションボルト5に張力を導入すればよいため、容易に施工することができる。
また、ハイテンションボルト5の数や位置を設定することにより、鋼管2の軸耐力を任意の値にすることができる。
また、本実施形態による鋼管の補強構造1では、鋼管2の外部には、ハイテンションボルト5の頭部51、ネジ部52の先端部近傍、ナット53、およびプレート材54,54だけが露出する構成であるため、下弦材14の断面形状および外観をほとんど変えずに鋼管2を補強することができる。
また、本実施形態による鋼管の補強構造1では、一対の塞ぎ部材3,3を有する構成とすることにより、鋼管2の内部における補強対象範囲16内と補強対象範囲16外とが一対の塞ぎ部材3,3によって区分けされるため、所望の領域(補強対象範囲16内)に補強用充填材4を容易に充填することができる。
また、一対の塞ぎ部材3,3は、鋼管2の内部に挿入された袋体31,31の内部に塞ぎ部材用充填材32,32を充填した構成であるため、鋼管2の内部に塞ぎ部材3を容易に設置することができる。
以上、本発明による鋼管の補強構造および鋼管の補強方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、ハイテンションボルト5を用いているが、ハイテンションボルト5に代わってPC鋼棒などの他の緊張材を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、補強対象範囲16に2つのハイテンションボルト5,5が設けられているが、ハイテンションボルト5の数や位置は適宜設定されてよい。また、複数のハイテンションボルト5,5…が設置される場合、複数のハイテンションボルト5,5…の配置やそれぞれの向きは適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、鋼管トラス梁12の下弦材14を補強しているが、上弦材や斜材の補強に本実施形態による鋼管の補強構造1および鋼管の補強方法を採用してもよい。また、鋼管トラス梁12の形態は、上記以外でもよい。
また、上記の実施形態では、鋼管2の内部における補強対象範囲16の長さ方向の両外側それぞれに塞ぎ部材3,3が設けられているが、補強対象範囲16の長さ方向のいずれか一方側が閉塞されている場合は、他方側のみに塞ぎ部材3が設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、塞ぎ部材3の袋体31は、伸縮可能に構成されているが、内部に充填された塞ぎ部材用充填材32とともに鋼管2の内部を塞ぐことが可能であれば、伸縮しなくてもよい。
また、鋼管2の内部への補強材の充填方法は上記以外の方法でもよく、塞ぎ部材3が設けられていなくてもよい。また、鋼管2の内部全体に補強用充填材4を充填してもよい。
1 鋼管の補強構造
2 鋼管
3 塞ぎ部材
4 補強用充填材(充填材)
5 ハイテンションボルト(緊張材)
11 既存構造物
14 下弦材(構造体)
16 補強対象範囲
21 塞ぎ部材用孔部(第2孔部)
22 補強用孔部(第3孔部)
23 確認用孔部
24 長ボルト用孔部(第1孔部)
24A 上側長ボルト用孔部(第1孔部)
24B 下側ボルト用孔部(第1孔部)
31 袋体
32 塞ぎ部材用充填材

Claims (4)

  1. 既存構造物に設けられて、構造体をなす鋼管を補強する鋼管の補強構造において、
    前記鋼管の内部における補強対象範囲内に充填された充填材と、
    前記鋼管および前記充填材を貫通し、所定の張力が導入されて前記鋼管を前記充填材へ押圧する緊張材と、を有することを特徴とする鋼管の補強構造。
  2. 前記鋼管の内部における補強対象範囲外に配置され、前記鋼管の内部を塞ぐ塞ぎ部材を有し、
    前記塞ぎ部材は、袋体と、該袋体に充填された塞ぎ部材用充填材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の鋼管の補強構造。
  3. 既存構造物に設けられて、構造体をなす鋼管を補強する鋼管の補強方法において、
    前記鋼管の補強対象範囲内の互いに対向する位置に前記鋼管の内外を連通させる一対の第1孔部を形成する第1孔部形成工程と、
    前記鋼管を貫通するように前記一対の第1孔部に緊張材を挿通させ、張力を導入せずに該緊張材を前記鋼管に仮固定する緊張材仮固定工程と、
    前記鋼管の内部における前記補強対象範囲内に充填材を充填する充填材充填工程と、
    前記充填材充填工程の後に前記緊張材に所定の張力を導入して前記鋼管を前記充填材に押圧する張力導入工程と、を有することを特徴とする鋼管の補強方法。
  4. 前記充填材充填工程の前に、
    前記鋼管の補強対象範囲外に該鋼管の内外を連通させる第2孔部を形成する第2孔部形成工程と、
    前記鋼管の補強対象範囲内に該鋼管の内外を連通させる第3孔部を形成する第3孔部形成工程と、
    前記第2孔部から前記鋼管の内部に袋体を挿入し、該袋体の内部に塞ぎ部材用充填材を充填して、前記鋼管の内部を塞ぐ塞ぎ部材を形成する塞ぎ部材形成工程と、を行い、
    前記充填材充填工程では、前記第3孔部から前記鋼管の内部における補強対象範囲内に前記充填材を充填することを特徴とする請求項3に記載の鋼管の補強方法。
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