JP2017115021A - ポリカーボネート樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色相に優れ、熱安定性の高いポリカーボネート樹脂およびその製造方法の提供。【解決手段】脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位を有するポリカーボネート樹脂であって、式(1)または式(2)で表される末端基を含み、芳香族モノヒドロキシ化合物を0.1〜500ppm含有するポリカーボネート樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、色相に優れ、熱安定性の高いポリカーボネート樹脂およびその製造方法に関する。
ビスフェノール類から得られるポリカーボネート樹脂は透明性の高さや優れた耐熱性および力学特性から様々な光学材料に利用されている。その中でも、光学フィルム、光学ディスク、光学プリズム、ピックアップレンズといった光学材料は、複屈折が大きいと、材料内部を透過した光線の結像点がぼやけ、情報の読み取りエラー等の様々な問題を生じることが知られている。複屈折としては、成形時に流れ方向に分子が配向して生じる複屈折および成形体に加わる応力によって分子が配向して生じる複屈折がある。そこで、上記課題に関する対策として様々な手法が検討されている。
その一つとして、樹脂自体の光弾性定数をモノマー構造に変えることにより低減させる手法が知られている。例えば、側鎖にフルオレン骨格を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物である9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンからなるポリカーボネート樹脂が開発されている(特許文献1〜3)。
これら脂肪族ジヒドロキシ化合物からなるポリカーボネート樹脂は通常溶融重合法により製造されるが、芳香族ポリカーボネート樹脂と比較して、熱安定性に劣るため、高温で重合することが出来ないことや、脂肪族ジヒドロキシ化合物の反応性が高いため、副生成物である芳香族モノヒドロキシ化合物が残存しやすい。また、特殊な反応機を用いて脱気する方法や押出機を用いて脱気する方法が提案されているが(特許文献4)、専用の高価な設備が必要であり、また更なる低減が求められていた。
国際公開第2008/156186号パンフレット 特開平10−101786号公報 特開2004−67990号公報 特開2015−183086号公報
本発明の目的は、色相に優れ、熱安定性の高いポリカーボネート樹脂およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むポリカーボネート樹脂に特定のアルコールを添加し重合することにより、色相や熱安定性等の品質が大きく改良できることを見出した。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位を有するポリカーボネート樹脂であって、下記式(1)または下記式(2)で表される末端基を含み、芳香族モノヒドロキシ化合物を0.1〜500ppm含有するポリカーボネート樹脂。
Figure 2017115021
(式(1)において、Rは置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルコキシ基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルケニル基、または置換されてもよい炭素原子数7〜15のアラルキル基を表す。)
Figure 2017115021
(式(2)において、RおよびRは置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリーレン基、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルケニレン基、もしくは置換されてもよい炭素原子数7〜12のアリールアルキレン基またはアルキルアリーレン基を表す。Rは水素原子、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルケニル基、または置換されてもよい炭素原子数7〜12のアラルキル基を表す。nは1〜20の整数を示す。)
2.脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位は、全カーボネート構成単位の50〜100モル%である前項1記載のポリカーボネート樹脂。
3.脂肪族ジヒドロキシ化合物は、下記式(3)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物を含む前項1記載のポリカーボネート樹脂。
Figure 2017115021
[式中、RおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示し、RおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、mおよびzは夫々独立して0〜4の整数を示し、pおよびqは、夫々独立して1〜20の整数を示す。Wは、下記式(W)
Figure 2017115021
であり、ここでRとR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、RとR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。R11とR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表す。R13は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。]
4.前記式(1)または前記式(2)で表される末端基が全末端基の10〜90モル%である前項1記載のポリカーボネート樹脂。
5.20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.18〜0.5である前項1記載のポリカーボネート樹脂。
6.脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステルおよび下記式(a)または下記式(b)で表されるアルコール化合物を反応させる前項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
Figure 2017115021
(式中Rは前記式(1)のRと同様のものを表す。)
Figure 2017115021
(式中R、R、Rおよびnは前記式(2)のR、R、Rおよびnと同様のものを表す。)
7.全ジヒドロキシ化合物に対して、アルコール化合物を0.1〜5モル%反応させる前項6記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
8.アルコール化合物は、常圧での沸点が180〜300℃である前項6記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明のポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性に優れることから、光学フィルムやレンズ等種々の用途に使用することができ、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂は、脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位を有するポリカーボネート樹脂である。脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位が全繰り返し単位を基準として好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。
脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位としては、下記(A−1)〜(A−2)のモノマーから誘導されるカーボネート構成単位や(A−3)〜(A−4)で表されるカーボネート構成単位が好ましく使用される。
(カーボネート構成単位(A−1))
カーボネート構成単位(A−1)は、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位である。
脂肪族ジオール化合物としては、直鎖脂肪族ジオール化合物や分岐脂肪族ジオール化合物が挙げられ、直鎖脂肪族ジオール化合物が好ましい。好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20、さらに好ましくは炭素原子数8〜12の直鎖脂肪族ジオール化合物が使用される。
脂環式ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20の脂環式ジオール化合物が使用される。
直鎖脂肪族ジオール化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
脂環式ジオール化合物として、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、デカリンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン,イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドが好ましい。特に1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
これらの脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物は、1種もしくは2種類以上併用して用いても良い。
(カーボネート構成単位(A−2))
カーボネート構成単位(A−2)は、下記式で表されるジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート単位である。
Figure 2017115021
[式中、RおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示し、RおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、mおよびzは夫々独立して0〜4の整数を示し、pおよびqは、夫々独立して0〜20の整数を示す。Wは、下記式(W)
Figure 2017115021
であり、ここでRとR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、RとR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。R11とR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表す。R13は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。]
具体的には、通常ポリカーボネート樹脂のジオール類として使用されているものであればよく、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンなどが例示される。
(カーボネート構成単位(A−3))
また、下記式(A−3)で表されるカーボネート単位も好ましく用いられる。
Figure 2017115021
上記式(A−3)中、R14及びR15は、それぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、R16は、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、R17〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。uおよびvは夫々独立して1〜4の整数を示し、wは1〜5の整数値を示す。
上記式(A−3)を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例として、9,9’−ジ(ヒドロキシメチル)−9,9’−ビフルオレニル、ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)メタン、1,2−ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)エタン、ビス[9−(3−ヒドロキシプロピル)−フルオレン−9−イル]メタン、ビス{9−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニルエチル]フルオレン−9−イル}メタン、9,9−ビス[(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)−メチル]フルオレン、1,2−ビス[9−(3−ヒドロキシプロピル)−フルオレン−9−イル]エタン、α,α’−ビス−(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)−1,4−キシレン、1,2−ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)ブタン、1−ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)エタン、1,2−ビス(9−ヒドロキシフルオレン−9−イル)エタン、ビス−{[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン−9−イル}エタンが好ましい。
(カーボネート構成単位(A−4))
さらに、下記式(A−4)で表されるエステル単位も好ましく用いられる。この場合、ポリエステルカーボネートとなる。
Figure 2017115021
上記式(A−4)中、R14〜R18、u、vおよびwは上記式(A−3)と同義で、Xは脂肪族基または脂環式基を示す。
上記一般式(A−4)を誘導する化合物の具体例として、ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、1,2−ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタン、1,2−ビス[9−(2−メトキシカルボニルプロピル)フルオレン−9−イル]エタン、ビス[9−(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン、1,2−ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタンが好ましい。
また、本発明で使用される脂肪族ジヒドロキシ化合物以外に、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族ジヒドロキシ化合物を併用してもよい。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられる。
(末端基)
本発明のポリカーボネート樹脂においては、下記式(1)または下記式(2)で表される末端基を含む。末端基量としては、全末端基に対して10〜90モル%が好ましく、15〜80モル%がより好ましく、20〜70モル%がさらに好ましく、30〜60モル%が特に好ましい。末端基が下限以上であれば芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高くなり、上限以下であれば重合度が高くなり好ましい。
Figure 2017115021
Figure 2017115021
式(1)において、Rは置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルコキシ基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルケニル基、または置換されてもよい炭素原子数7〜15のアラルキル基を表す。
としては置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基が好ましく、Rのアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜14、より好ましくは8〜12である。アルキル基として、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
式(2)において、RおよびRは置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリーレン基、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルケニレン基、もしくは置換されてもよい炭素原子数7〜12のアリールアルキレン基またはアルキルアリーレン基を表す。nは1〜20の整数を示す。
は水素原子、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルケニル基、または置換されてもよい炭素原子数7〜12のアラルキル基を表す。
上記式(1)または下記式(2)で表される末端基を誘導するアルコール化合物の具体例としては、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシブタノール、フェノキシペンタノール、フェノキシヘキサノール、フェノキシヘプタノール、フェノキシオクタノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘキサンエタノール、シクロヘキサンプロパノール、シクロヘキサンブタノール、シクロヘキサンペンタノール、シクロヘキサンブタノール、シクロヘキサンペンタノール、シクロヘキサンヘキサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノペンチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノペンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノペンチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテルなどが挙げられる。その中でもデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシブタノールが好ましく、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、フェノキシエタノールがより好ましく、フェノキシエタノールが特に好ましい。
デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール等の長鎖アルキルアルコールは芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果は高いが、得られたポリカーボネートのガラス転移温度が低下するため、用途が限定されるが、フェノキシエタノール等の芳香族を含むアルコールから得られたポリカーボネート樹脂はガラス転移温度がほとんど低下しないため、より好ましい。
(芳香族モノヒドロキシ量)
本発明のポリカーボネート樹脂に残存する芳香族モノヒドロキシ量は0.1〜500ppmであり、0.1〜300ppmが好ましく、0.1〜200ppmがより好ましく、0.1〜100ppmが特に好ましい。500ppmより多いと成形安定性や色相が悪化し好ましくない。芳香族モノヒドロキシ量は少なければ少ないほうが好ましいが、0.1ppm以上はポリマー中に残存する。
(比粘度:ηSP
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、0.18〜0.5が好ましく、0.21〜0.47がより好ましく、0.24〜0.45がさらに好ましく、0.26〜0.42がよりさらに好ましく、0.27〜0.40が特に好ましく、0.27〜0.38がもっとも好ましい。ポリカーボネート樹脂の比粘度が、0.18以上であれば強度が充分高く、0.5以下であれば成形性が良好であり好ましい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは70〜150℃、より好ましくは90〜140℃、さらに好ましくは100〜135℃、特に好ましくは110〜130℃である。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が70℃以上であると、光学成形体として使用した際に耐熱性が十分となり好ましい。また、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が150℃以下であると、射出成形の際の成形加工性が良好となり好ましい。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(光弾性係数)
本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性係数は、好ましくは30×10−12Pa−1以下、より好ましくは28×10−12Pa−1以下、特に好ましくは20×10−12Pa−1以下である。30×10−12Pa−1以下であると、応力による光学ひずみが発生し難いため、ディスプレイ用途として好ましい。
(鉛筆硬度)
本発明のポリカーボネート樹脂は、鉛筆硬度が好ましくはHB以上である。耐傷性に優れるという点で、F以上がより好ましく、H以上がさらに好ましい。鉛筆硬度とは、本発明の樹脂を特定の鉛筆硬度を有する鉛筆で樹脂を擦過した場合に擦過しても擦過痕が残らない硬さのことであり、JIS K−5600に従って測定できる塗膜の表面硬度試験に用いる鉛筆硬度を指標とする。鉛筆硬度は、9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bの順で柔らかくなり、最も硬いものが9H、最も軟らかいものが6Bである。
(全光線透過率)
本発明のポリカーボネート樹脂から形成される成形品における厚み1mmの全光線透過率は好ましくは80%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上である。80%以上であると、ディスプレイ用途のシートやフィルムとして使用した際の視認性が優れ好ましい。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明のポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジヒドロキシ成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて酸化防止剤等を加えてもよい。
本発明においては、下記式(a)または下記式(b)で表されるアルコール化合物を使用する。
Figure 2017115021
(式中Rは前記式(1)のRと同様のものを表す。)
Figure 2017115021
(式中R、R、Rおよびnは前記式(2)のR、R、Rおよびnと同様のものを表す。)
本発明で使用されるアルコール化合物の量は、全ジヒドロキシ化合物に対して、0.1〜5モル%が好ましい。より好ましくは0.3モル%〜4.5モル%であり、さらに好ましくは0.5〜4モル%であり、特に好ましくは1〜3モル%である。0.1モル%以上であれば芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高くなり、5モル%以下であれば末端が多くのアルコール化合物で封鎖され難く、重合度が高く維持され好ましい。
本発明で使用されるアルコール化合物の沸点(常圧)は180℃〜300℃が好ましい。より好ましくは185℃〜280℃、特に好ましくは190℃〜260℃である。沸点が180℃以上であると反応初期段階でアルコール化合物が留去され難くなり、芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高くなり、また300℃以下であれば芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高く、物性や熱安定性にも悪影響を及ぼさないため好ましい。
本発明で使用されるアルコール化合物はその他原料と同時に仕込んでも良いし、反応中期段階、反応後期段階で仕込んでも良い。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
(添加剤等)
本発明のポリカーボネート樹脂は、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してもよい。
(熱安定剤)
本発明のポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系安定剤を含有することが好ましい。さらにリン系安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物を配合することがより好ましい。
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10)−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノールなどを挙げることができる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、環状構造を有するホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明のポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤を添加することもできる。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス{(オクチルチオ)メチル}−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等が挙げられる。
これらの中で、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
(離型剤)
本発明のポリカーボネート樹脂は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明のポリカーボネート樹脂は、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
かかる紫外線吸収剤の割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.03〜2.5重量部、より好ましくは0.05〜2.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
1.ポリマー末端比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー末端比(モル比)を算出した。
2.比粘度測定
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
3.フェノール量
ポリカーボネート樹脂1.5gを塩化メチレン15mlに溶解させた後、アセトニトリル135mlを加え攪拌し、エバポレーターで濃縮した後、0.2μmフィルターでろ過し、この測定溶液10μlを野村化学製Develosil ODS−7のカラムにて溶離液アセトニトリル/0.2%酢酸水とアセトニトリルとの混合液を用いて、カラム温度30℃、検出器277nmでグラジエントプログラムにてHPLC分析した。
4.熱安定性試験
ポリカーボネート樹脂5gを試験管に入れ、窒素下で280℃15分間加熱した後に比粘度を測定した。初期の比粘度から5%以内の低下であった場合を○、5%超から8%未満の低下であった場合を△、8%以上の低下であった場合を×とした。
5.色相
ポリカーボネート樹脂を110℃、6h乾燥後、射出成形機(日本製鋼所(株)製 JSWJ−75EIII)により、シリンダー温度290℃で10分滞留後に金型温度80℃、2mm板の試験片を成形した。成形した2.0mm板を日本電色(株)製色差計Z−1001DP型を用いて透過光を測定したX,YおよびZ値からASTME1925に基づき、下記式を用いて算出した。YI値が大きいほど成形板の黄色味が強いことを示す。
YI=[100(1.28X−1.06Z)]/Y
[実施例1]
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下BPEFと略す)1503部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、フェノキシエタノール9.5部および触媒として炭酸水素ナトリウム0.3×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で240℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度、フェノール量、熱安定性を評価した。また、該ペレットを使用して得られた成型品の色相を評価した。その結果を表1に記載した。
[実施例2]
BPEF750部、フェノキシエタノール14.2部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例3]
BPEF750部、フェノキシエタノール2.4部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例4]
BPEF750部、トリデカノール13.8部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例5]
BPEF750部、デカノール21.7部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例6]
BPEF750部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)247部、フェノキシエタノール9.5部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例7]
BPEF750部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール(以下TCDDMと略す)339部、フェノキシエタノール9.5部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例8]
BPEF750部、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下SPGと略す)522部、フェノキシエタノール9.5部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例9]
SPG730部、TCDDM202部、フェノキシエタノール9.5部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例1]
BPEF1503部、DPC750部を原料として用い、フェノキシエタノールを使用しなかった他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例2]
BPEF1503部、フェノキシエタノール0.95部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例3]
BPEF1503部、ヘキサノール7.0部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例4]
BPEF1503部、ステアリルアルコール18.5部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
Figure 2017115021
本発明のポリカーボネート樹脂は、光学用途、ディスク用途、ディスプレイ用途、自動車用途、電気電子用途、加飾用途として有用である。

Claims (8)

  1. 脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位を有するポリカーボネート樹脂であって、下記式(1)または下記式(2)で表される末端基を含み、芳香族モノヒドロキシ化合物を0.1〜500ppm含有するポリカーボネート樹脂。
    Figure 2017115021
    (式(1)において、Rは置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルコキシ基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルケニル基、または置換されてもよい炭素原子数7〜15のアラルキル基を表す。)
    Figure 2017115021
    (式(2)において、RおよびRは置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリーレン基、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルケニレン基、もしくは置換されてもよい炭素原子数7〜12のアリールアルキレン基またはアルキルアリーレン基を表す。Rは水素原子、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルケニル基、または置換されてもよい炭素原子数7〜12のアラルキル基を表す。nは1〜20の整数を示す。)
  2. 脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート構成単位は、全カーボネート構成単位の50〜100モル%である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  3. 脂肪族ジヒドロキシ化合物は、下記式(3)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物を含む請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
    Figure 2017115021
    [式中、RおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基またはハロゲン原子を示し、RおよびRは夫々独立して、炭素原子数1〜10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、mおよびzは夫々独立して0〜4の整数を示し、pおよびqは、夫々独立して1〜20の整数を示す。Wは、下記式(W)
    Figure 2017115021
    であり、ここでRとR10はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表す。また、RとR10が結合して炭素環または複素環を形成しても良い。R11とR12はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表す。R13は炭素原子数1〜9のアルキレン基である。aは0〜20の整数を表し、bは1〜500の整数を表す。]
  4. 前記式(1)または前記式(2)で表される末端基が全末端基の10〜90モル%である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  5. 20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.18〜0.5である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  6. 脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステルおよび下記式(a)または下記式(b)で表されるアルコール化合物を反応させる請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2017115021
    (式中Rは前記式(1)のRと同様のものを表す。)
    Figure 2017115021
    (式中R、R、Rおよびnは前記式(2)のR、R、Rおよびnと同様のものを表す。)
  7. ジヒドロキシ化合物に対して、アルコール化合物を0.1〜5モル%反応させる請求項6記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  8. アルコール化合物は、常圧での沸点が180〜300℃である請求項6記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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