JP6139368B2 - 植物由来成分を有するポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、イソソルビドのような無水糖アルコールをポリカーボネートの原料として用いた場合、ポリマーの黄変が起こり易く、実用化や用途展開の障害となる場合があるためにこれらを改善する検討がなされている(特許文献3〜5)。
しかしながら、特許文献3〜5で使用されている重合触媒では長期試験における色相変化の改善が充分でなく、実用化、用途展開を加味した上ではさらなる改善が求められていた。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
2.式(B)中のRは、炭素数1〜22の直鎖状のアルキレン基である前項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
3.金属化合物における金属からなる陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガンまたは亜鉛からなる陽イオンである前項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
6.単位(A)と単位(C−1)とのモル比(A/C−1)が60/40〜95/5である前項5記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
7.ポリカーボネート樹脂は、さらに脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(C−2)を含み、ブロック性を有し、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−2)との合計が80モル%以上である前項4記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
8.単位(A)と単位(C−2)とのモル比(A/C−2)が60/40〜98/2である前項7記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
10.単位(A)と単位(C−3)とのモル比(A/C−3)が50/50〜95/5である前項9記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
11.ポリカーボネート樹脂は、さらに下記式で表されるポリエステルジオールから誘導されるカーボネート単位(C−4)を含み、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−4)との合計が80モル%以上である前項4記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
12.ポリエステルジオールの重量平均分子量が100〜3000である前項11記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
13.単位(A)と単位(C−4)とのモル比(A/C−4)が50/50〜99/1である前項11記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明において、ポリカーボネート樹脂の原料として、下記式(a)の化合物を含むジオール化合物が使用される。下記式(a)の化合物は全ジオール成分の40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、70モル%以上が特に好ましく、80モル%以上がもっとも好ましい。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、ジオール成分に炭酸ジエステルを反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
また、上記金属化合物における金属からなる陽イオンは、長周期型周期表1、2族の金属からなる陽イオンであることが好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、亜鉛等が挙げられ、ナトリウム、カルシウム、バリウムが好ましい。
これらの触媒失活剤の使用量は、重合触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、下記式(A)で表される単位(A)を含む。単位(A)は全繰り返し単位を基準として40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、70モル%以上が特に好ましく、80モル%以上がもっとも好ましい。
本発明における単位(A)は前記式(A)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
前記式(A)を構成するバイオマス資源の中でエーテル結合を有するジオールは、耐熱性及び鉛筆硬度が高い材料である。
前記式(A)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(A1)、(A2)および(A3)が例示される。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂の好ましい一態様として、上記単位(A)と下記式(C−1)で表される単位(C−1)を含み、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−1)との合計が80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上である共重合ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
炭素数2〜30の脂肪族ジオールとしては1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。特に、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
これらは2種類以上併用して用いても良い。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の好ましい一態様として、上記単位(A)と脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(C−2)を含み、ブロック性を有し、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−2)との合計が80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上である共重合ポリカーボネート樹脂が挙げられる。単位(A)および単位(C−2)以外のその他の単位を誘導する化合物(例えばオキシアルキレングリコール類や芳香族ジヒドロキシ化合物)を使用することもできる。
脂環式ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20の脂環式ジオール化合物が使用される。
ポリカーボネートオリゴマーは、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、ジオール化合物に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法やポリカーボネートジオールを製造する公知の方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
ポリカーボネートオリゴマーの製造方法は、触媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、反応効率の観点から、触媒の存在下で行うことが好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーの製造方法における反応温度は好ましくは90〜230℃であり、より好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは120〜210℃である。反応温度が230℃を超えると、得られるポリカーボネートオリゴマーが着色したり、エーテル構造が生成する場合がある。
ポリカーボネートオリゴマーの製造はポリカーボネート共重合体の製造と同じ反応釜で行っても良いし、別々の反応釜を使用しても良い。また、反応容器から一度取り出して、保管した後に使用しても良い。また、ポリカーボネートオリゴマーはフィルターでの精製や再沈などの精製を行っても良い。
単位(A)と単位(C−2)を含み単位(C−2)のブロック性を有するポリカーボネート共重合体は、上述の方法により得られたポリカーボネートオリゴマー、単位(A)を誘導するモノマー(例えばイソソルビド)およびカーボネート前駆物質を、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段により反応させて製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、上述した炭酸ジエステルと同様のものが使用できる。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分に対し1×10−9〜1×10−2モル当量の範囲で使用され、好ましくは1×10−8〜1×10−4モル当量、より好ましくは1×10−6〜1×10−5モル当量の範囲で使用される。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、上述した触媒失活剤が使用できる。
これらの触媒失活剤の使用量は少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の好ましい一態様として、上記単位(A)と下記式(C−3)で表される単位(C−3)を含み、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−3)との合計が80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上である共重合ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
単位(C−3)は、炭素数の合計が4〜12の範囲であることが好ましく、5〜10の範囲であることがより好ましい。かかる範囲であると、ポリカーボネート樹脂のHDT(荷重たわみ温度)が高く保持される。
0.3 ≦ (主鎖炭素数)/(側鎖炭素数) ≦ 8 (i)
0.4 ≦ (主鎖炭素数)/(側鎖炭素数) ≦ 5 (i−a)
0.5 ≦ (主鎖炭素数)/(側鎖炭素数) ≦ 2 (i−b)
前記式(C−3)において、Xは炭素数3〜20のアルキレン基または炭素数3〜20のシクロアルキレン基を表す。
Xは、好ましくは炭素数3〜12のアルキレン基、より好ましくは炭素数3〜8のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。アルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基などが挙げられる。
Xは、好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキレン基、より好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキレン基、さらに好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキレン基である。シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基などが挙げられる。
式(C−3)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表す。
Rは、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
Rは、好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル基、より好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基である。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
式(C−3)において、mは1〜10の整数、好ましくは2〜8の整数、より好ましくは2〜5の整数を示す。
単位(C−3)中の、Xが炭素数3〜20のアルキレン基で、Rが炭素数1〜4のアルキル基で、mが2〜8の整数であることが好ましい。単位(B)中のXが炭素数3〜5のアルキレン基で、Rが炭素数1〜4のアルキル基で、mが1〜2の整数であることが好ましい。
単位(C−3)中の−X{−(R)m}−が、下記式で表される単位(Ca)であることが好ましい。
単位(C−3)中の、−X{−(R)m}−は、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジイル基、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジイル基、3−メチル−1,5−ペンタンジイル基であることが好ましい。
前記式(C−3)において、Xは炭素数4〜5のシクロアルキレン基で、Rは炭素数1〜10のアルキル基で、mは3〜12の整数であることが好ましい。
単位(C−3)が、下記式で表される単位(Cb)であることが好ましい。
単位(C−3)が、下記式で表される単位(Cb−i)であることが好ましい。
単位(A)と単位(C−3)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。これらの製造方法について基本的な手段は、上述した手段と同様である。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の他の一態様として、上記単位(A)とポリエステルジオールから誘導されるカーボネート単位(C−4)を含み、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−4)との合計が80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上である共重合ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
単位(C−4)は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを構成成分として含むポリエステルジオール(C4)から誘導されるカーボネート単位である。
直鎖脂肪族ジオール化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
これらのジオール化合物は、1種もしくは2種類以上併用して用いても良い。
Wは炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、具体的には、上述した脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸または芳香族脂肪族カルボン酸の脂肪族、芳香族または芳香族脂肪族部分である。
nは平均繰り返し単位数を示す。後述するように、ポリエステルジオール(C4)の重量平均分子量は100〜3000の範囲が好ましく、この重量平均分子量となるように平均繰り返し単位数nを設定することが好ましい。
ポリエステルジオールの製造法で用いられる金属系触媒としては、ルイス酸やアルカリ金属およびアルカリ土類金属のカルボン酸塩、プロトン酸、活性白土、酸性白土、イオン交換樹脂などを挙げることができる。より具体的には、テトラブトキシチタネート、ジブチル錫オキシド、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酸価アンチモン、酸価ゲルマニウム、燐酸、ホウ酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタスルホン酸、アンバーリストE15などが挙げられる。これらの触媒の使用量は、原料ポリアルキレンテレフタレートに対して10〜5000μg、好ましくは50〜1000μgである。
ポリエステルジオールの酸価は好ましくは1mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。1mgKOH/gを超えると、重合反応に影響を与え、生産性が悪化することがある。
ポリエステルカーボネート樹脂は、上述の方法により得られたポリエステルジオール、単位(A)を誘導するモノマー(例えばイソソルビド)およびカーボネート前駆物質を、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段により反応させて製造される。これらの製造方法について基本的な手段は、上述した手段と同様である。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂では、ブロー成形性の改善のため、分岐化剤として、一分子中に3個以上の官能基を有する化合物を用いることができる。官能基としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基やカルボン酸エステル基またはハルカルボニル基やアミノ基、イミノ基を含む化合物が好ましい。具体的には、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、2,5−ジメチル−1.2.6−ヘキサントリオール、ジペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−シクロヘキサントリオールフロログルシン、メリト酸、トリメリト酸、トリメリト酸クロリド、無水トリメリト酸、没食子酸、没食子酸n−プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、ピロメリト酸第二無水物、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、レゾルシンアルデヒド、トリメリチルクロリド、トリメチルトリクロリド、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,4,4´−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4´−トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,4,4´−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン、2,2´−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシジフェニルメタン、2,4,4´−トリヒドロキシジフェニルメタン、1−〔α−メチル−α−(4´−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α´,α´−ビス(4´´−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、α,α´,α´´−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、2,6−ビス(2´−ヒドロキシ−5´−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−2、1,3,5−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリス(4´−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4´−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕−プロパン、2,6−ビス(2´−ヒドロキシ−5´−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン、ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2´−ヒドロキシ−5´−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2´,4´,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリメチル−2´,4´,7−トリヒドロキシフラバン、1,3−ビス(2´,4´−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン、トリス(4´−ヒドロキシアリール)−アミル−s−トリアジン、1−〔α−メチル−α−(4´−ヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α´,α´−ビス(4´´−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、イサチンビス(O−クレゾール)等があげられる。
分岐剤は原料のジオール化合物に対して、0.01mol%〜3mol%であることが好ましい。0.01mol%以下であればブロー成形性の改善効果が低く、3mol%以上であるとゲル化が進行するため好ましくない。
上記のごとく反応を行う事により得られる本発明のポリカーボネート樹脂は、その末端構造はジオール基または炭酸ジエステル残基となるが、本発明のベースポリマー基材で用いるポリカーボネート樹脂は、その特性を損なわない範囲で別途末端基を導入しても良い。かかる末端基は、モノヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。モノヒドロキシ化合物としては下記式(2)または(3)で表されるヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、好ましくは0.23〜0.60の範囲であり、より好ましくは0.25〜0.55の範囲であり、さらに好ましくは0.30〜0.50の範囲であり、特に好ましくは0.35〜0.45の範囲である。比粘度が0.23より小さいと成形品の強度が低下し、0.60より大きいと射出成形の際の成形加工性が低下しやすくなる。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用して使用してもよい。
ポリカーボネート樹脂中に含まれるジオール化合物の量は、最終重合反応器の出口における反応液中において、700ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは500ppm以下、特に好ましくは200ppm以下である。本発明のポリカーボネート樹脂中の炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。これら不純物は重合反応の真空度を制御することで、低減できる。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは100〜160℃であり、より好ましくは105℃〜150℃であり、さらに好ましくは110℃〜140℃である。ガラス転移温度(Tg)が100℃より低いと、熱処理時に成形品の形状変化が容易に起きるため好ましくない。また、ガラス転移温度(Tg)が160℃より大きいと、射出成形の際の成形加工性が悪くなるため好ましくない。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂の飽和吸水率は2.5%以下が好ましく、より好ましくは2.2%以下であり、さらに好ましくは2.0%以下である。飽和吸水率が2.5%以下であれば、成形品において吸水による寸法変化や反りなど、種々の物性低下がほとんど起こらず好ましい。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度(Tg℃)と吸水率(Wa%)との関係が下記式(I)を満足することが好ましく、下記式(I−a)を満足することがより好ましく、下記式(I−b)を満足することがより好ましい。下記式(I)を満足すると、耐熱性に優れ、且つ低吸水率のポリカーボネート樹脂であるため好ましい。TW値の上限は特に限定されないけれども、10以下で充分である。
2.5 ≦ TW値 = Tg × 0.04 − Wa (I)
2.6 ≦ TW値 = Tg × 0.04 − Wa (I−a)
2.7 ≦ TW値 = Tg × 0.04 − Wa (I−b)
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、その全光線透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤、充填剤、衝撃改良剤等の添加剤を配合することができる。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。単位(A)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系熱安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としてはホスファイト化合物を配合することが好ましい。ホスファイト化合物としては、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物、その他の構造を有するホスファイト化合物が挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
上記のリン系熱安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス{(オクチルチオ)メチル}−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
イオウ系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
ホスファイト系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤を併用する場合、これらの合計でポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
かかる紫外線吸収剤の割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.1〜1重量部、さらに好ましくは0.2〜0.5重量部である。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、光安定剤を含むことができる。光安定剤を含むと、耐候性の面で良好であり、成形品にクラックが入り難くなるという利点がある。
光安定剤としては、例えば1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ジデカン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−2−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネ−ト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカ−バメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカ−バメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの光安定剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂には、加水分解性を改善するため、本願発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ化合物を配合することが出来る。
エポキシ系安定剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6’−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。
このようなエポキシ系安定剤は、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して、0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.5重量部の範囲で配合されることが望ましい。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネートに使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.1×10−4〜2×10−4重量部の割合で配合される。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネート化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
難燃剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり0.05〜50重量部の範囲が好ましい。0.05重量部未満では十分な難燃性が発現せず、50重量部を超えると成形品の強度や耐熱性などを損なう。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂には、衝撃改良剤として弾性重合体を使用することができ、弾性重合体の例としては、天然ゴムまたは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア−シェル型のグラフト共重合体である。
ポリカーボネート樹脂と上述のような各種の添加剤との配合は、例えば各成分および任意成分を予備混合し、その後、溶融混練しペレット化して製造することができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては、押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、ペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分および任意成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。溶融混練する際のシリンダー温度は、好ましくは180〜270℃、より好ましくは190〜260℃、さらに好ましくは200〜250℃である。シリンダー温度が270℃以下であると、ポリカーボネートの熱分解の進行が小さくなり好ましい。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂ペレット0.7gを溶解した溶液として、20℃でオストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
得られたポリカーボネート樹脂ペレットをJSW(株)製75ton成形機(JSW J−75EIII)を用いて、厚さ2mmの厚角板を成形した。上記の成形片を用いて、JIS K−6735に従って、日本電色工業(株)製、積分球式全光線透過率測定機NDH−2000(C光源)により測定した。
ポリカーボネート樹脂ペレット8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
吸水率は、ポリカーボネート樹脂ペレットを塩化メチレンに溶解後、塩化メチレンを蒸発させて得られた厚み200μmのキャストフィルムを用い、100℃で12時間乾燥後、72時間25℃の水中に浸漬した後の重量増加を測定し、次式によって吸水率を求めた。
吸水率(%)={(吸水後の樹脂重量−吸水前の樹脂重量)/吸水前の樹脂重量}×100
TW値は、次式によって求めた。
TW値=ガラス転移温度(Tg)×0.04―吸水率(Wa)
ペレットを日本製鋼所(株)製, JSW J−75EIIIを用いてシリンダー温度240℃、金型温度80℃、1分サイクルにて2mm厚角板を成形し、その成型試験片を用いて、その成型試験片を用いて、JIS K−6735に従って、日本電色工業(株)製、積分球式全光線透過率測定機NDH−2000(C光源)により測定した。
上記成形片を85℃、相対湿度85%に設定した恒温槽内に1000時間静置した。試験後の成型試験片を用いて、JIS K−6735に従って、日本電色工業(株)製、積分球式全光線透過率測定機NDH−2000(C光源)により測定した。そこで得られたYI値と試験前のYI値の差をΔYIとした。
[実施例1]
イソソルビド(以下ISSと略す)436部、1,8−オクタンジオール(以下ODと略す)65部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.0μモルを窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。得られたペレットを日本製鋼所(株)製, JSW J−75EIIIを用いてシリンダー温度240℃、金型温度80℃、1分サイクルにて2mm厚角板を成形し、その成型試験片を用いて、各種評価を行った。
触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して3.0μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して5.0μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して10.0μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてステアリン酸カルシウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてステアリン酸ナトリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてプロピオン酸ナトリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてカプリン酸ナトリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてリグノセリン酸ナトリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS416部、1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)69部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS446部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)60部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS441部、1,10−デカンジオール(以下DDと略す)72部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS451部、1,12−ドデカンジオール(以下DDDと略す)69部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS296部、トリシクロデカンジメタノール(以下TCDDMと略す)276部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS341部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)158部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS498部、ポリカーボネートジオール(以下PCDと略す)90部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS351部、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(以下TMCBDと略す)148部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS320部、TMCBD131部、ND61部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS426部、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(以下DEPと略す)83部、DPC750部を原料として用い、触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒としてステアリン酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して15.0μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒として酢酸バリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒として酢酸カルシウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒として酢酸ナトリウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒として酢酸マグネシウムをジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
触媒として酢酸亜鉛をジオールモノマー1モルに対して1.3μモル使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
Claims (13)
- 式(B)中のRは、炭素数1〜22の直鎖状のアルキレン基である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 金属化合物における金属からなる陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガンまたは亜鉛からなる陽イオンである請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 単位(A)と単位(C−1)とのモル比(A/C−1)が60/40〜95/5である請求項5記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂は、さらに脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(C−2)を含み、ブロック性を有し、全繰り返し単位中、単位(A)と単位(C−2)との合計が80モル%以上である請求項4記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 単位(A)と単位(C−2)とのモル比(A/C−2)が60/40〜98/2である請求項7記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 単位(A)と単位(C−3)とのモル比(A/C−3)が50/50〜95/5である請求項9記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ポリエステルジオールの重量平均分子量が100〜3000である請求項11記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 単位(A)と単位(C−4)とのモル比(A/C−4)が50/50〜99/1である請求項11記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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