JP2017066033A - 水性医薬組成物 - Google Patents

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隆司 森本
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Abstract

【課題】クロロブタノールを含み、かつ、経時的なpH低下又は有効成分の分解が抑制された水性医薬組成物等を提供すること。【解決手段】本発明に係る水性医薬組成物は、ドルゾラミド又はその塩と、クロロブタノールとを含有する。pHは4.0〜8.0であることが好ましい。また、60℃の保存による、14日間平均pH低下値が0.046/日以下であることも好ましい。ドルゾラミド又はその塩は、ドルゾラミド塩酸塩であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ドルゾラミド又はその塩及びクロロブタノールを含有する水性医薬組成物に関する。
点眼液を始めとする水性医薬組成物は、菌類等の繁殖を防止するため、一定以上の保存効力が要求される。塩化ベンザルコニウムは水溶性であり、化学的に安定で、他の保存剤と比較しても保存効力が高いので、汎用的に水性医薬組成物に使用される。しかし、塩化ベンザルコニウムには細胞障害性があり、曝露量が増えると角膜上皮障害を引き起こす可能性が増大する(非特許文献1)。そのため、特に塩化ベンザルコニウムに過敏な反応を示す患者や重度の角膜上皮障害を有する患者には、塩化ベンザルコニウムを全く含有しない水性医薬組成物の開発が望まれている。
一方、クロロブタノールは、塩化ベンザルコニウムほど保存効力が高くないが安全性が比較的改善されるので、水性医薬組成物の保存剤として使用される。しかし、クロロブタノールは中性付近で熱・光分解しやすいので、水性医薬組成物の経時的なpH低下や有効成分の分解といった課題を有することが知られている。
日本の眼科,58(10),945−950(1987)
本発明は、クロロブタノールを含み、かつ、経時的なpH低下又は有効成分の分解が抑制された水性医薬組成物、及びクロロブタノールを含む水性医薬組成物の経時的なpH低下又は有効成分の分解を抑制する方法等を提供することを目的とする。
本発明者らは、ドルゾラミド又はその塩が、クロロブタノールを含む水性医薬組成物の経時的なpH低下又は有効成分の分解を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下の通りである。
(1) ドルゾラミド又はその塩と、クロロブタノールとを含有する水性医薬組成物。
(2) pHが4.0〜8.0である、(1)に記載の水性医薬組成物。
(3) 60℃での保存による、14日間平均pH低下値が0.046/日以下である、(1)又は(2)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(4) ドルゾラミド又はその塩がドルゾラミド塩酸塩である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(5) ドルゾラミド又はその塩の含有量が0.1〜5%(w/v)である、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(6) ドルゾラミド又はその塩の含有量が、1〜2%(w/v)である、(5)に記載の水性医薬組成物。
(7) クロロブタノールの含有量が0.01〜5%(w/v)である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(8) クロロブタノールの含有量に対するドルゾラミド又はその塩の含有量の質量比が1.0〜10.0である、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(9) さらに緩衝剤(好ましくはクエン酸又はその塩を含む)を含有する、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(10) さらに粘稠剤(好ましくはヒドロキシエチルセルロースを含む)を含有する、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(11) さらに界面活性化剤(好ましくはポリソルベート80を含む)を含有する、(1)〜(10)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(12) 緑内障又は高眼圧症の治療に用いられる、(1)〜(11)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(13) さらに、ドルゾラミドとは別の緑内障治療剤を治療上有効な量で含む、(1)〜(12)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(14) 前記別の緑内障治療剤がβ遮断薬である、(13)に記載の水性医薬組成物。
(15) 前記β遮断薬がチモロール又はその塩である、(14)に記載の水性医薬組成物。
(16) チモロール又はその塩がチモロールマレイン酸塩である、(15)に記載の水性医薬組成物。
(17) 室温で保管される、(1)〜(16)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
(18) ドルゾラミド又はその塩及びクロロブタノールを含有する、pH4.0〜8.0の水性点眼剤。
(19) ドルゾラミド又はその塩及びクロロブタノールを含有し、60℃での保存による、14日間平均pH低下値が0.046/日以下である、水性点眼剤。
(20) クロロブタノールを含有する水性医薬組成物にドルゾラミド又はその塩を含有させる、クロロブタノールの分解抑制方法。
(21) クロロブタノールを含有する水性医薬組成物にドルゾラミド又はその塩を含有させる、水性医薬組成物の経時的pH低下の抑制方法。
(22) クロロブタノールを含有する水性医薬組成物にドルゾラミド又はその塩を含有させる、水性医薬組成物の保存効力の向上方法。
(23) (1)〜(17)のいずれか一項に記載の水性医薬組成物を、患者の眼に局所投与する、緑内障又は高眼圧症の治療方法。
なお、前記(1)から(23)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
本発明によれば、クロロブタノールを含む水性医薬組成物の経時的なpH低下又は有効成分の分解を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、これらに本発明が限定されるものではない。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるドルゾラミドは、化学名(4S,6S)−4−Ethylamino−6−methyl−5,6−dihydro−4H−thieno[2,3−b]thiopyran−2−sulfonamide−7,7−dioxideで表される化合物である。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるドルゾラミドは塩であってもよく、医薬として許容される塩であれば特に制限はない。塩としては無機酸との塩、有機酸との塩、四級アンモニウム塩、ハロゲンイオンとの塩、アルカリ金属との塩、アルカリ土類金属との塩、金属塩、有機アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸の塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、臭化メチル、ヨウ化メチル等との塩が挙げられる。
ハロゲンイオンとの塩としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等との塩が挙げられる。
アルカリ金属との塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等との塩が挙げられる。
アルカリ土類金属との塩としては、カルシウム、マグネシウム等との塩が挙げられる。
金属塩としては、鉄、亜鉛等との塩が挙げられる。
有機アミンとの塩としては、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン等との塩が挙げられる。
ドルゾラミドの塩としては、一塩酸塩(ドルゾラミド塩酸塩)が特に好ましい。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるドルゾラミド又はその塩は、水和物又は溶媒和物の形態をとってもよい。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるドルゾラミド又はその塩の含有量は、所望のクロロブタノールの分解抑制、水性医薬組成物の経時的pH低下の抑制、又は水性医薬組成物の保存効力の向上を奏するのに十分な量であれば特に制限されないが、0.1〜5%(w/v)が好ましく、0.2〜3%(w/v)がより好ましく、0.5〜2.5%(w/v)がさらに好ましく、1〜2%(w/v)がさらにより好ましく、1%(w/v)が特に好ましい。なお、本発明の水性医薬組成物においてドルゾラミドの塩が含有される場合、これらの値はフリーのドルゾラミドに換算した含量である。
本発明の水性医薬組成物において、後述のクロロブタノールの含有量に対するドルゾラミド又はその塩の含有量の質量比は、所望のクロロブタノールの分解抑制、水性医薬組成物の経時的pH低下の抑制、又は水性医薬組成物の保存効力の向上を奏する観点で、1.0〜10.0であることが好ましく、1.5〜7.5であることがより好ましい。なお、本発明の水性医薬組成物においてドルゾラミドの塩が含有される場合、これらの値はフリーのドルゾラミドに換算した質量比である。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるクロロブタノールは、化学名1,1,1−Trichloro−2−methyl−2−propanolで表される化合物である。
本発明の水性医薬組成物において、含有されるクロロブタノールの含有量は、0.01〜5%(w/v)が好ましく、0.1〜1%(w/v)がより好ましく、0.2〜0.5%(w/v)がさらに好ましく、0.4%(w/v)が特に好ましい。
本発明の水性医薬組成物には、眼科用製剤としての要件を満たすために必要に応じて医薬品の添加剤を用いることができ、具体的には緩衝剤、粘稠剤、界面活性化剤、等張化剤、抗酸化剤、pH調整化剤等を加えることができる。これらは、それぞれ1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、適量を配合することができる。
本発明の水性医薬組成物に用いることができる緩衝剤の例としては、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、酢酸又はその塩、炭酸又はその塩、酒石酸又はその塩、ε−アミノカプロン酸、トロメタモール等が挙げられる。リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等が挙げられ、酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。クエン酸又はその塩が好ましく、クエン酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明の水性医薬組成物に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01%〜5%(w/v)がより好ましく、0.1〜3%(w/v)がさらに好ましく、0.2〜2%(w/v)が最も好ましい。ただし、緩衝剤は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれない又は上記量未満で含まれてもよい。クエン酸又はその塩は、添加剤使用の最小化の観点では、0.3%(w/v)未満の量で含まれることが好ましく、含まれない又は0.002%(w/v)未満の量で含まれることがさらに好ましい。また、トロメタモールは、添加剤使用の最小化の観点では、含まれない又は0.1%(w/v)未満の量で含まれることが好ましい。
本発明の水性医薬組成物に用いることができる粘稠剤の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられ、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
本発明の水性医薬組成物に粘稠剤を配合する場合の粘稠剤の含有量は、粘稠剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましく、0.2〜1%(w/v)が最も好ましい。ただし、粘稠剤は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれない又は上記量未満で含まれてもよい。
本発明の水性医薬組成物に用いることができる界面活性化剤の例としては、カチオン性界面活性化剤、アニオン性界面活性化剤、非イオン性界面活性化剤等が挙げられる。カチオン性界面活性化剤としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシルエチル−2−アルキルイミダゾリン等が挙げられる。アニオン性界面活性化剤としては、レシチン等のリン酸脂質等が挙げられる。非イオン性界面活性化剤の例としては、ステアリン酸ポリオキシル40等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等のポリオキシルヒマシ油;ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、ポリソルベート80が特に好ましい。
本発明の水性医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤の含有量は、界面活性化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.01〜1%(w/v)が好ましく、0.05〜0.5%(w/v)がより好ましく、0.05%〜0.2%(w/v)が特に好ましい。ただし、界面活性化剤は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれない又は上記量未満で含まれてもよい。
本発明の水性医薬組成物に用いることができる等張化剤の例としては、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、塩化ナトリウムが好ましい。非イオン性等張化剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の糖アルコールが挙げられ、マンニトールが好ましい。
本発明の水性医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.01〜10%(w/v)が好ましく、0.02%〜7%(w/v)がより好ましく、0.1〜5%(w/v)がさらに好ましく、0.5〜4%(w/v)が特に好ましく、0.8〜3%(w/v)が最も好ましい。ただし、等張化剤は、添加剤使用の最小化の観点では、例えばイオン性等張化剤の場合は、含まれない又は上記量未満で含まれてもよく、糖アルコールの場合は含まれない又は0.1%(w/v)未満の量で含まれることが好ましい。
本発明の水性医薬組成物に用いることができる抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の水性医薬組成物に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤の含有量は、抗酸化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.0001〜1%(w/v)が好ましく、0.0005%〜0.1%(w/v)がより好ましく、0.001〜0.02%(w/v)がさらに好ましく、0.005〜0.01%(w/v)が最も好ましい。ただし、抗酸化剤は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれない又は上記量未満で含まれてもよい。
本発明の水性医薬組成物に用いることができるpH調整化剤の例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。ただし、pH調整化剤は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれなくてもよい。
本発明の水性医薬組成物のpHは、4.0〜8.0が好ましく、5.0〜6.0がより好ましく、5.1〜5.8がさらに好ましい。
また、本発明の水性医薬組成物では、60℃での保存による、14日間平均pH低下値が0.046/日以下であることが好ましい。
60℃での保存による、14日間平均pH低下値は、0.046/日以下がより好ましく、0.040/日以下がさらに好ましく、0.035/日以下、0.030/日以下が最も好ましい。pHが5.0以上である場合の14日間平均pH低下値の下限は、特に限定されないが、0.005以上であってよい。
保存剤の例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸等が挙げられる。なお、ホウ酸は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれない又は0.1%(w/v)未満の量で含まれることが好ましい。また、保存剤は、添加剤使用の最小化の観点では、含まれなくてもよい。
本発明の水性医薬組成物におけるドルゾラミド又はその塩は、有効成分(例えば緑内障又は高眼圧の治療剤)として含まれてもよく、クロロブタノールの安定化剤、経時的pH抑制剤、水性医薬組成物の保存効力向上剤等として含まれてもよい。前者及び後者のいずれにおいても、本発明の水性医薬組成物はドルゾラミド又はその塩とは異なる有効成分を含んでもよい。前者において、本発明の水性医薬組成物は、有効成分としてドルゾラミド又はその塩のみを含んでもよい。
具体的に、本発明の水性医薬組成物は、さらに別の緑内障又は高眼圧症の治療剤を治療上有効な量で、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。なお、本発明の水性医薬組成物は、使用成分の最小化の観点で、フマル酸ケトチフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、アミノカプロン酸のいずれをも含まなくてもよく、具体的には有効成分として緑内障又は高眼圧症の治療剤のみを含んでもよい。
本発明の水性医薬組成物に含有することができる別の緑内障治療剤の例としては、プロスタグランジン製剤、α遮断薬、β遮断薬、副交感神経作動薬等が挙げられる。特に、チモロール又はその塩、カルテオロール又はその塩、ベタキソロール又はその塩、ニプラジロール又はその塩等のβ遮断薬が好ましく、チモロール又はその塩がより好ましく、チモロールマレイン酸塩が特に好ましい。具体的に、本発明の水性医薬組成物に含まれる有効成分は、ドルゾラミド又はその塩と、チモロール又はその塩とのみからなってもよい。
本発明の水性医薬組成物は、緑内障又は高眼圧症の治療剤として有用である。慢性疾患の原因は多岐であり、その治療が長期にわたることから、作用機序の異なる多数の緑内障治療薬を併用することが多く、そのため有効成分以外の添加剤の累積による毒性を考慮する必要がある。しかし、本発明の水性医薬組成物は、前述のように最小限の添加剤でも十分な保存効力を付与し得るので、上記問題を抑制することができる。
本発明の水性医薬組成物を投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分であれば用法用量に特に制限はないが、1回1〜3滴、1日1〜3回点眼するのが好ましく、1回1〜2滴、1日1〜2回点眼するのがより好ましく、1回1滴、1日2回点眼するのが最も好ましい。
前述のように、本発明の水性医薬組成物は、クロロブタノールの分解抑制、経時的pH低下の抑制、保存効力の向上に優れるので、遮光性の容器が好ましいが、非遮光性の容器に収容することもできる。非遮光性は、透明に限らず、光透過可能な限りにおいて不透明も包含する。点眼容器としては、例えば、ポリエチレン容器、ポリプロピレン容器、ポリエチレンテレフタレート容器等が挙げられる。
同様の理由により、本発明の水性医薬組成物は、冷所に限られず、室温で保管されてもよい。なお、室温とは、例えば1〜30℃を指し、15℃超30℃以下であってもよい。
本発明の水性医薬組成物は、マルチドーズ型容器、1回使い切りのユニットドーズ容器またはPFMD(Preservative Free Multi Dose)容器のいずれに収容されていてもよい。
本発明の水性医薬組成物の剤形は、医薬品として使用可能なものであれば特に制限されないが、特に点眼剤が好ましく、当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
以下に製剤例及び保存効力試験の結果を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤1mL中の含量である。
製剤例1
ドルゾラミド塩酸塩 11.1mg
クロロブタノール 4.0mg
クエン酸ナトリウム 3.0mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
クロロブタノールに対するドルゾラミドの質量比は、2.5である。
製剤例2
ドルゾラミド塩酸塩 22.3mg
クロロブタノール 4.0mg
チモロールマレイン酸塩 6.8mg
クエン酸ナトリウム 3.0mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
クロロブタノールに対するドルゾラミドの質量比は、5.0である。
なお、前記製剤例1及び2における、ドルゾラミド、クロロブタノール及び添加剤の種類や配合量を適宜調整し所望の組成物を得ることができる。
1.安定性試験
(1)被験製剤の調製
ドルゾラミド塩酸塩(11.13mg)、クロロブタノール(4.00mg)、クエン酸ナトリウム水和物(3.00mg)を水に溶解し、希塩酸及び水酸化ナトリウムを用いてpH5.65とした後、水を加えて全量を1mLとすることにより、実施例1の製剤を調製した。
実施例1(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
クロロブタノール 4.00mg
クエン酸ナトリウム水和物 3.00mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 適量
pH 5.65
クロロブタノールに対するドルゾラミドの質量比は、2.5である。
実施例1の調製方法と同様の方法にて、実施例2、実施例3、比較例1、及び比較例2の製剤を調製した。
実施例2(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クロロブタノール 4.00mg
クエン酸ナトリウム水和物 3.00mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 適量
pH 5.64
クロロブタノールに対するドルゾラミドの質量比は、2.5である。
実施例3(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クロロブタノール 4.00mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 適量
pH 5.68
クロロブタノールに対するドルゾラミドの質量比は、2.5である。
比較例1(1mL中)
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クロロブタノール 4.00mg
クエン酸ナトリウム水和物 3.00mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 適量
pH 5.65
比較例2(1mL中)
クロロブタノール 4.00mg
クエン酸ナトリウム水和物 3.00mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 適量
pH 5.65
(2)試験方法
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2をガラスアンプルに充填して遮光下において60℃で2週間保存した。保存中、製剤調製直後(0日)及び調製14日後に、それぞれのサンプルのpHを測定した。
(3)試験結果及び考察
試験結果を表1に示す。表1の試験結果は、各測定ポイントでのpH値を示す。0日は製剤調製直後の値である。表1の、0−14日変化、及び1日当たり変化(0−14日)(14日間平均pH低下値とも表す)は、それぞれ以下の通り算出される。
0−14日変化 = (0日のpH)−(14日後のpH)
1日当たり変化(0−14日) = (0−14日変化)/14(日間)
Figure 2017066033
表1に示されるように、ドルゾラミド又はその塩を含まない比較例1及び比較例2のpHは、いずれも経時的に低下を示したのに対し、ドルゾラミド又はその塩及びクロロブタノールを含有する実施例1の製剤は、経時的なpHの低下を抑制した。さらには、ドルゾラミド又はその塩及びクロロブタノールにチモロールを含有する実施例2の製剤は、経時的なpHの低下をより抑制した。これにより、本発明の水性医薬組成物は、pH低下を抑制する水性医薬組成物であることが示唆された。また、クエン酸又はその塩を含む実施例2と、クエン酸又はその塩を含まない実施例3との対比により、クエン酸又はその塩は、経時的pH低下抑制に寄与するものの、必須ではないことが示唆された。

Claims (1)

  1. ドルゾラミド又はその塩と、クロロブタノールとを含有する水性医薬組成物を、患者の眼に局所投与する、緑内障又は高眼圧症の治療方法。
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