JP2017065464A - 車両の空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両に乗車した乗員が着座するシートを有する車両の空調装置2は、シートの幅方向一側部または一方側に設けられる一方側通気口53を有する一方側ダクト51と、シートの幅方向他側部または他方側に設けられる他方側通気口56を有する他方側ダクト54と、シートより前側に設けられる前吸気口59を有する前側ダクト57と、を有する。一方側ダクト51および他方側ダクト54の中の少なくとも一方は、空気流を吹き出し、空気流を吹き出していない一方側ダクト51または他方側ダクト54は、空気流を吸い込み、前側ダクト57は、前吸気口59から空気流を吸い込む。
【選択図】図5
Description
また、特許文献1では、そのような通気口を乗員の大腿部から腰にかけての下半身に向けて設け、通気口から温風を吹き出している。このように強い温風を直接吹き付けるようにして乗員に当てることにより、乗員を直接的に温めることができる。
また、シートの座部より前側に設けられる前吸気口から空気流を吸い込む。よって、シートに着座した乗員の前を左右に流れる空気流の一部は、前吸気口に引き込まれるように前へ移動する。
その結果、空気流は、シートに着座した乗員の下肢に沿って流れる。着座した乗員の大腿部の上から、つま先へ向かって流れる。これにより、乗員の大腿部、膝、脛、足首、足先といった下肢全体の周囲に調温された空気層を形成し、乗員の下肢全体の体感温度を調整できる。乗員の大腿部といった下肢の冷えを全体的に抑制することが可能になる。
また、空気流は、シートの幅方向に向かって流れた後、前へ向かって流れる。よって、仮にたとえば乗員の前側から乗員へ向かって空気を流した場合のように空気流が上体に沿って上がって乗員の頭部またはその周辺に当たることもない。顔に風が当たることによる不快感を乗員に与えることもない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る空調装置2が適用される自動車1の構造を模式的に示す説明図である。
乗員室は、略四角形のフロアパネル11、フロアパネル11の前角に立設される一対のAピラー12、フロアパネル11の前後方向中央に立設される一対のBピラー13、フロアパネル11の後角に立設される一対のCピラー14、を有する。Aピラー12の上端とCピラー14の上端とは、ルーフレール15により連結される。Bピラー13の上端は、ルーフレール15の前後方向中央に接合される。左右一対のルーフレール15の間には、略四角形のルーフパネル16が接合される。
フロアパネル11の前縁と一対のAピラー12の下部との間にはトーボード17が配置され、トーボード17の上側にはダッシュボード18が配置される。ダッシュボード18、一対のAピラー12の上部、およびルーフパネル16の前縁に囲われるように、フロントガラス19が嵌め込まれる。一対のCピラー14の上部の間には、リアガラス20が嵌め込まれる。
前後方向に並ぶAピラー12とBピラー13との間には、Aピラー12に回転可能に支持される図示外の前ドアが配置される。Bピラー13とCピラー14との間には、Bピラー13に回転可能に支持される図示外の後ドアが配置される。フロアパネル11の左右幅方向両縁には、一対のサイドシル21が接合される。
このように、自動車1の乗員室は、略立方体形状の箱型の空間となる。
また、フロアパネル11の左右幅方向中央には、乗員室内へ突出するように前後方向へ延在するセンタートンネル22が形成される。センタートンネル22の下側には、たとえば燃料エンジンの駆動力を後輪へ伝達するための図示外のドライブシャフトが配置される。
フロアパネル11の前部には、フロントシートとして、ドライバが着座するドライバシート23、ナビゲータが着座するナビゲーションシート24が左右幅方向に並べて取り付けられる。ドライバシート23は、座部41と背部42とを有する。ナビゲーションシート24は、座部41と背部42とを有する。ドライバシート23の座部41とナビゲーションシート24の座部41との間にセンタートンネル22が位置する。センタートンネル22の上には、シフトレバー25、図示外のサイドブレーキレバー、内装部材としてのコンソールボックス26などが取り付けられる。
ドライバシート23およびナビゲーションシート24の前には、左右幅方向へ延在するダッシュボード18が位置する。ドライバシート23の前には、ダッシュボード18から後向きに突出して設けられたステアリングホイール27が位置する。
フロアパネル11の後部には、リアシートとして、複数の乗員が着座できるベンチシート28が取り付けられる。ベンチシート28は、座部41と背部42とを有する。ベンチシート28は、フロアパネル11と同等の左右幅を有する。ベンチシート28には、通常3名までの乗員が着座することが可能である。
そして、電気モータを用いる自動車1では、発熱源および動力源としての燃料エンジンが無かったり、常時動作していなかったりするため、乗員室の空調に用いる冷気または暖気を生成するために自動車1に搭載されているバッテリの電力を用いることになる。この場合、自動車1に搭載しているバッテリの電力を空調に消費してしまうので、走行可能距離が短くなったり、速度などの走行性能を抑える必要が生じたりすることになる。
このように、自動車1の空調装置2では、空調装置2によるエネルギー消費を改善することが将来的に求められている。特に、乗員は冬場において下肢のつま先などおいて冷えを感じ易い。
空調装置2は、内側ダクト51、内側ファン52、外側ダクト54、外側ファン55、前側ダクト57、前側ファン58、調温ユニット61、制御部71、を有する。
具体的には、内側通気口53は、ナビゲーションシート24の座部41の内側に配置されるコンソールボックス26についての、ナビゲーションシート24側の側面に設けられる。内側通気口53は、ナビゲーションシート24の座部41の座面より上側に離間した高さ位置に設けられる。
外側通気口56は、ナビゲーションシート24の座部41の外側において座部41の座面より上側に離間した高さ位置に設けられる。
前吸気口59は、ナビゲーションシート24の前側足下に設けられるトーボードに形成される。前吸気口59は、ナビゲーションシート24の座面より低い位置に設けられる。
調温ユニット61は、コンソールボックス26内に設けられる。よって、内側ダクト51もコンソールボックス26内に設けられる。また、外側ダクト54は、コンソールボックス26から突出し、ナビゲーションシート24の座部41の下側を通じて、ナビゲーションシート24の座部41の外側まで伸びる。また、前側ダクト57は、コンソールボックス26から突出し、たとえばトーボードの前側に至るまでセンタートンネル22に沿って前へ伸びる。
図3は、図2の空調装置2による乗員周りでの空気の流れを示す説明図である。
また、制御部71は、ユーザ操作に基づいて内側ファン52、外側ファン55、前側ファン58、を動作させて空調制御を開始する。この際、制御部71は、内側ファン52、外側ファン55および前側ファン58を低速で回転させる。たとえば内側ファン52または外側ファン55による空気流が0.01m/秒以上、6m/秒以下となるように低速で回転させる。このように流速を6m/秒以下とすることにより、空気流による体感温度の低下分を1度程度またはそれ以下にすることができる。また、前側ファン58は、内側ファン52の流速と、外側ファン55の流速との合計に対応する速度とすればよい。これにより内側ファン52から前側ファン58へ向かう弱い空気の流れと、外側ファン55から前側ファン58へ向かう弱い空気の流れとを生成し得る。好ましくは、前側ファン58による空気流が0.01m/秒以上、6m/秒以下となるように、内側ファン52および外側ファン55の空気流をさらに低く抑えてよい。また、内側ファン52の流速と内側ファン52との流速は、基本的に同じであるのが望ましいが、異なっていてもよい。
これにより、内側通気口53および外側通気口56から、調温された空気流が吹き出される。吹き出された空気流は、座部41に落ちて座面の上で合流する。座面に落ちて合流した空気流は、座面の上で滞留する。
このように空調装置2は、シートの座面の左右両側から弱い空気流を吹き出して座面の上に滞留する空気を生成し、さらにその空気流を座面の前へ向かってゆっくりと移動させることができる。シートに着座した乗員の下肢に沿って、大腿部から爪先へ向かってゆっくりと流れる空気流を生成し、この空気流により乗員の下肢全体を包み込む調温された空気層を形成することができる。
その結果、空気流は、シートに着座した乗員の下肢に沿って流れる。乗員の大腿部からつま先へ向かって流れる。これにより、乗員の大腿部、膝、脛、足首、足先といった下肢全体を調温された空気流で包み込み、下肢全体の体感温度を左右均等に且つ全体的に調整できる。乗員の大腿部といった下肢の冷えを全体的に抑制することが可能になる。
また、空気流は、シートの左右から流れた後に前へ向かって流れるので、仮にたとえば乗員の前側から乗員へ向かって空気を流した場合のように空気流が上体に沿って上がって頭部またはその周辺に到達することがない。顔に風が吹き付けることによる不快感を乗員に与えることもない。
これにより、乗員の体感温度といった快適性を損なうことなく、空調に使用するエネルギーを削減できる。
第2実施形態に係る空調装置2は、第1実施形態のものと比べて、内側通気口53および外側通気口56がシートに配置されている点において異なる。以下の説明では、主に第1実施形態のものとの相違点について説明する。また、説明の便宜上、第1実施形態と同じ符号を使用する。
第2実施形態に係る空調装置2は、第1実施形態のものと比べて、外側ファン55の動作が異なる。外側ファン55は、制御部71により、外側通気口56から空気流を吸い込むように動作する。以下の説明では、主に第1実施形態のものとの相違点について説明する。また、説明の便宜上、第1実施形態と同じ符号を使用する。
図6は、図5の空調装置2による乗員周りでの空気の流れを示す説明図である。
第4実施形態に係る空調装置2は、第1実施形態のものと比べて、前吸気口59がダッシュボード18の下部に配置されている点において異なる。以下の説明では、主に第1実施形態のものとの相違点について説明する。また、説明の便宜上、第1実施形態と同じ符号を使用する。
本発明に係る他の車両の空調装置は、車両に乗車した乗員が着座するシートを有する車両の空調装置であって、前記シートの幅方向一側部または一方側に設けられる一方側通気口を有する一方側ダクトと、前記シートの幅方向他側部または他方側に設けられる他方側通気口を有する他方側ダクトと、前記シートより前側に設けられる前吸気口を有する前側ダクトと、を有し、前記一方側通気口および前記他方側通気口は、前記シートの背部の幅方向両側部に設けられ、前記一方側ダクトおよび前記他方側ダクトは、前記シートの座部の座面に落ちるように低速で空気流を吹き出して前記座面の上で空気流を合流させ、前記前側ダクトは、前記前吸気口から弱く空気流を吸い込んで前記シート上の空気流を前へ移動させる。
Claims (7)
- 車両に乗車した乗員が着座するシートを有する車両の空調装置であって、
前記シートの幅方向一側部または一方側に設けられる一方側通気口を有する一方側ダクトと、
前記シートの幅方向他側部または他方側に設けられる他方側通気口を有する他方側ダクトと、
前記シートより前側に設けられる前吸気口を有する前側ダクトと、
を有し、
前記一方側ダクトおよび前記他方側ダクトの中の少なくとも一方は、空気流を吹き出し、
前記空気流を吹き出していない前記一方側ダクトまたは前記他方側ダクトは、空気流を吸い込み、
前記前側ダクトは、前記前吸気口から空気流を吸い込む、
車両の空調装置。 - 前記一方側ダクトおよび前記他方側ダクトは共に、空気流を吹き出す、
請求項1記載の車両の空調装置。 - 前記一方側ダクトおよび前記他方側ダクトは、吹き出した空気流が前記シートの座部に落ちる低速で空気流を吹き出す、
請求項2記載の車両の空調装置。 - 前記前吸気口は、前記車両の乗員室を画成するトーボードまたは前記トーボードの上に配置されるダッシュボードの下部に設けられる、
請求項3記載の車両の空調装置。 - 前記シートの座部の幅方向一方側に設けられたコンソールボックス内に設けられ、空気を暖める調温ユニットを有し、
前記一方側ダクトおよび前記他方側ダクトは、前記調温ユニットに接続され、前記調温ユニットにより暖められた空気流を吹き出す、
請求項2から4のいずれか一項記載の車両の空調装置。 - 前記前側ダクトは、前記調温ユニットに接続される、
請求項5記載の車両の空調装置。 - 前記一方側ダクトおよび前記他方側ダクトから吹き出される空気流は、0.01m/秒以上、6m/秒以下である、
請求項2から6のいずれか一項記載の車両の空調装置。
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