JP2017054880A - 基板処理装置及び基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転テーブルを回転させることにより、回転テーブルの一面側に載置された基板を公転させながら当該基板に対して処理ガスを供給して処理するにあたって、基板の周方向について処理の均一性を良好にすることができる技術を提供すること。
【解決手段】回転テーブルに自転自在に設けられ、基板を載置するための載置台と、載置台の下方に設けられ、当該載置台と共に回転する回転体と、回転体の周方向に沿って配置された複数の磁極と、回転テーブルに対して独立して設けられ、当該回転テーブルの周方向に沿って複数の磁極が配列された回転体駆動用の磁極群を形成する電磁石群と、回転体に配置された磁極と回転体駆動用の磁極群の各磁極との間の磁力により回転体が自転するように電磁石のコイルに電流を供給するための電源部と、を備えるように装置を構成する。それにより、回転体の公転と自転とを独立して行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、基板を公転させながら処理ガスを基板に供給することにより処理を行う技術分野に関する。
半導体装置の製造工程においては、エッチングマスクなどを形成するための各種の膜を基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)に成膜するために、例えばALD(Atomic Layer Deposition)が行われる。半導体装置の生産性を高くするために上記のALDは、複数のウエハを載置した回転テーブルを回転させることで当該ウエハを公転させ、当該回転テーブルの径方向に沿うように配置される処理ガスの供給領域(処理領域)を繰り返し通過させる装置によって行われる場合がある。また、上記の各膜の成膜を行うためにはCVD(Chemical Vapor Deposition)が行われる場合があるが、このCVDによる成膜も上記のALDと同様に、ウエハを公転させることで行うことが考えられる。
ところで、このようなウエハを公転させる成膜処理において、ウエハの周方向に均一性高く成膜を行うことが求められている。それによってウエハWに同心円状の膜厚分布を形成したり、ウエハの径方向についても均一性高く成膜を行うことで、ウエハW表面全体で均一性高く成膜を行うことが求められている。上記の同心円状の膜厚分布とは、より具体的には、ウエハの中心から等距離である当該ウエハの周方向に沿った各位置にて膜厚が同じないしは概ね同じであると共に、ウエハの径方向に沿った各位置では互いに異なる膜厚となる膜厚分布である。
しかし、上記のウエハを公転させる成膜装置においては、回転テーブルの径方向に沿って処理ガスが供給されることから、ウエハに形成される膜厚分布は、回転テーブルの中心側から周縁側に向かうに従って膜厚が変移する膜厚分布となる傾向があり、上記したウエハの周方向に均一性高い膜厚分布を形成することが困難であるという問題があった。特許文献1には、ウエハの面内に所定の温度分布を形成してCVDを行うことで、上記の同心円状の膜厚分布を形成する成膜装置が示されているが、この成膜装置においては成膜処理中にウエハは公転しない。従って、特許文献1は上記の問題を解決できるものではない。
特開2009−170822号公報
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、回転テーブルを回転させることにより、回転テーブルの一面側に載置された基板を公転させながら当該基板に対して処理ガスを供給して処理するにあたって、基板の周方向について処理の均一性を良好にすることができる技術を提供することにある。
本発明の基板処理装置は、処理容器内に設けられた回転テーブルの一面側に基板を載置し、前記回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら当該基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置において、
前記回転テーブルに自転自在に設けられ、前記基板を載置するための載置台と、
前記載置台の下方に設けられ、当該載置台と共に回転する回転体と、
前記回転体の周方向に沿って配置された複数の磁極と、
前記回転テーブルに対して独立して設けられ、当該回転テーブルの周方向に沿って複数の磁極が配列された回転体駆動用の磁極群を形成する電磁石群と、
前記回転体に配置された磁極と前記回転体駆動用の磁極群の各磁極との間の磁力により前記回転体が自転するように前記電磁石のコイルに電流を供給するための電源部と、を備えたことを特徴とする。
本発明は、回転テーブルを回転させることにより、回転テーブルの一面側に載置された基板を公転させながら当該基板に対して処理ガスを供給して処理するにあたって、載置台と共に回転する回転体に複数の磁極を配置している。そして回転テーブルに対して独立して回転テーブルの周方向に沿って回転体駆動用の磁極群を形成する電磁石群を設け、回転体側の磁極と回転体駆動用の磁極群との間の磁力により回転体が自転するように電磁石に電流を供給している。従って、基板を回転テーブルの回転とは独立して自転させることができるため、基板の周方向について処理の均一性を良好にすることができる。
本発明の基板処理装置の実施形態に係る成膜装置の縦断側面図である。 前記成膜装置の横断平面図である。 前記成膜装置の真空容器の斜視図である。 前記成膜装置に設けられる回転テーブルの上面側斜視図である。 前記成膜装置に設けられる回転テーブルの下面側斜視図である。 前記成膜装置に設けられる磁気駆動ユニット及び磁気ギアの平面図である。 前記磁気駆動ユニットを構成するプレートの上面図である。 前記プレート及び磁気ギアの斜視図である。 前記磁気駆動ユニットを構成する電源部の回路図である。 前記電源部とプレートに巻回されるコイルとの接続を示す説明図である。 前記電源部とプレートに巻回されるコイルとの接続を示す説明図である。 前記電源部とプレートに巻回されるコイルとの接続を示す説明図である。 三相交流と前記プレートの磁極の変化とを示すグラフ図である。 三相交流と前記プレートの磁極の変化とを示すグラフ図である。 前記磁気ギアの動作を示す作用図である。 前記磁気ギアの動作を示す作用図である。 前記磁気ギアの動作を示す作用図である。 ウエハに成膜が行われる様子を示す作用図である。 ウエハに成膜が行われる様子を示す作用図である。 ウエハに成膜が行われる様子を示す作用図である。 ウエハに成膜が行われる様子を示す作用図である。 前記真空容器内に供給される各ガスの流れを示す説明図である。 評価試験の結果を示す模式図である。 評価試験の結果を示す模式図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。
本発明の基板処理装置の一実施形態であり、基板であるウエハWにALDを行う成膜装置1について説明する。この成膜装置1は、ウエハWにSi(シリコン)を含む処理ガスである原料ガスとしてBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスを吸着させ、吸着されたBTBASガスを酸化する酸化ガスであるオゾン(O)ガスを供給してSiO(酸化シリコン)の分子層を形成し、この分子層を改質するためにプラズマ発生用ガスから発生したプラズマに曝す。この一連の処理が複数回、繰り返し行われ、SiO膜が形成されるように構成されている。
図1、図2は成膜装置1の縦断側面図、横断平面図である。成膜装置1は、概ね円形状の扁平な真空容器(処理容器)11と、真空容器11内に設けられた円板状の水平な回転テーブル(サセプタ)2と、を備えている。真空容器11は、天板12と、真空容器11の側壁及び底部をなす容器本体13と、により構成されている。
回転テーブル2の中心部から鉛直下方へ伸びる中心軸21が設けられている。中心軸21は、容器本体13の底部に形成された開口部を塞ぐように設けられた公転用回転駆動部22に接続されている。回転テーブル2は、中心軸21及び公転用回転駆動部22を介して真空容器11内に支持されると共に、平面視時計回りに回転する。図1中15は、中心軸21と容器本体13との隙間にN2(窒素)ガスを吐出するガスノズルであり、ウエハWの処理中にN2ガスを吐出して回転テーブル2の表面から裏面への原料ガス及び酸化ガスの回りこみを防ぐ役割を有する。
また、真空容器11の天板12の下面には、回転テーブル2の中心部に対向するように突出する平面視円形の中心領域形成部Cと、中心領域形成部Cから回転テーブル2の外側に向かって広がるように形成された平面視扇状の突出部17、17と、が形成されている。つまり、これら中心領域形成部C及び突出部17、17は、その外側領域に比べて低い天井面を構成している。中心領域形成部Cと回転テーブル2との中心部との隙間はN2ガスの流路18を構成している。ウエハWの処理中において、天板12に接続されるガス供給管からN2ガスが流路18に供給され、この流路18から回転テーブル2の外側全周に向かって吐出される。このN2ガスは、原料ガス及び酸化ガスが回転テーブル2の中心部上で接触することを防ぐ。
図3は容器本体13の内部の底面を示す斜視図である。容器本体13には、回転テーブル2の下方にて当該回転テーブル2の周に沿うように、扁平なリング状の凹部31が形成されている。そして、この凹部31の底面には、凹部31の周方向に沿ったリング状のスリット32が開口しており、当該スリット32は、容器本体13の底部を厚さ方向に貫通するように形成されている。さらに凹部31の底面上には、回転テーブル2に載置されるウエハWを加熱するためのヒーター33が7つのリング状に配設されている。なお、図3では煩雑化を避けるために、ヒーター33の一部を切り取って示している。
ヒーター33は、回転テーブル2の回転中心を中心とする同心円に沿って配置されており、7つのヒーター33のうちの4つはスリット32の内側に、他の3つはスリット32の外側に夫々設けられている。ヒーター33が設けられる凹部31内の空間は、図示しないガスノズルによりN2ガスが供給されることでパージされる。また、各ヒーター33の上方を覆い、凹部31の上側を塞ぐように、シールド34が設けられている(図1参照)。シールド34には、スリット32に重なるようにリング状のスリット32Aが設けられ、後述する回転軸26及び支柱41が当該スリット32Aを貫通する。また、容器本体13の底面において凹部31の外側には、真空容器11内を排気する排気口35、36が開口している。排気口35、36には、真空ポンプなどにより構成される排気機構39が接続されている。
続いて回転テーブル2について、その表面側、裏面側を夫々示した図4、図5も参照しながら説明する。回転テーブル2の表面側(一面側)には、当該回転テーブル2の回転方向に沿って5つの円形の凹部が形成されており、各凹部には、円形のウエハホルダ24が設けられている。ウエハホルダ24の表面には凹部25が形成されており、凹部25内にウエハWが水平に収納される。従って、ウエハホルダ24はウエハWの載置台をなし、凹部25の底面はウエハWの載置領域を構成する。
回転テーブル2の裏面の周方向に互いに離れた位置から鉛直下方に向けて、例えば3本の支柱41が延出されており、図1に示すように各支柱41の下端はスリット32を介して容器本体13の底部を貫通し、容器本体13の下方に設けられる接続部である支持リング42に接続されている。この支持リング42は、回転テーブル2の回転方向に沿って形成され、支柱41によって容器本体13に吊り下げられるように水平に設けられており、回転テーブル2と共に回転する。
また、ウエハホルダ24の下方中心部からはウエハホルダ24と共に回転する回転体である回転軸26が鉛直下方へ延出されている。回転軸26の下端は回転テーブル2を貫通し、図1に示すようにスリット32を介して容器本体13の底部を貫通し、さらに支持リング42と軸受けユニット27とを貫通して磁気ギア28に接続されている。
軸受けユニット27は支持リング42に設けられ、回転軸26を回転させるためのベアリングと、当該ベアリングからのパーティクルの飛散を防ぐための磁気シールと、を備えている。磁気ギア28は回転軸26を囲む水平なリング状に構成された磁石であり、周方向にS極とN極とが例えば4つずつ交互に配置されて構成されている。ウエハホルダ24及び回転軸26が上記のように構成されることで、磁気ギア28は回転テーブル2から吊り下げられるように構成されており、回転テーブル2の回転によって、当該回転テーブル2の回転中心を中心として回転、つまり公転する。回転テーブル2の回転によって、回転テーブル2のウエハホルダ24に載置されたウエハWもこの磁気ギア28と同様に公転する。
また、図1中43は、容器本体13の下方にて支持リング42、軸受けユニット27及び磁気ギア28を囲むように設けられると共に、これらを真空容器11の外部から区画する隔壁部である。この例では隔壁部43は断面視凹状に構成されている。隔壁部43に囲まれる領域には、例えば図示しないガス供給ノズルからパージガスが供給され、上記の軸受けユニット27からパーティクルが発生しても、隔壁部43内から除去されるように構成される。
隔壁部43の底部には、磁気ギア28の移動路の下方側に磁気駆動ユニット4が設けられている。図6は、この磁気駆動ユニット4を平面で見た図であり、図7、図8は夫々磁気駆動ユニット4の一部を示した平面図、斜視図である。これら図6〜図8を参照しながら、磁気駆動ユニット4及び磁気ギア28をさらに説明する。
図6中のP1は、回転テーブル2の回転の中心軸を示しており、上記の磁気ギア28は、中心軸P1周りを周回するように公転する。この周回軌道において、各磁気ギア28は互いに等間隔に配列されている。磁気駆動ユニット4は、起立したプレート45を例えば240枚備えている。各プレート45は、磁気ギア28の周回軌道の下方に当該周回軌道に沿って配置されている。また、各プレート45の長さ方向は回転テーブル2の径に沿うように、当該各プレート45が設けられている。
プレート45は側面視概ね凹状に形成されている。そのように凹状に構成されていることで、1つのプレート45は2つの立て板46A、46Bを備えている。中心軸P1寄りの立て板を46A、中心軸P1側とは反対側の立て板を46Bとして夫々示している。立て板46A、46Bは夫々個別の電磁石として構成される。各立て板46A、46Bの上側は、電磁石の磁極47A、47Bとして構成されており、磁極47A、47Bは、立て板46A、46B上から夫々プレート45の長さ方向の中心へ向けて水平方向に若干、延出されるように形成されている。各プレート45の磁極47Aは内側磁極群を、磁極47Bは外側磁極群を夫々構成する。また、プレート45は回転テーブル2の回転によって回転しない。即ち、プレート45は、回転テーブル2に対して独立して設けられている。
立て板46A、46Bには、夫々コイル48A、48Bが巻回されている。後述するようにコイル48A、48Bには、磁極47A、47Bの極性が夫々時間の経過によって切り替わるように電流が供給される。それによって磁気ギア28が周方向に、当該磁気ギア28の中心軸周りに水平方向に回転する。この磁気ギア28の回転によって、当該磁気ギア28に接続されたウエハホルダ24が回転し、当該ウエハホルダ24に載置されたウエハWがその中心周りに水平方向に回転する。このようなウエハWの回転及び磁気ギア28の回転について、上記の公転と区別するために自転と記載する場合がある。
プレート45の下方には、リング状の電源供給ユニット51A、51Bが夫々設けられており、電源供給ユニット51Aは、電源供給ユニット51Bの内側に位置する。各コイル48Aには第1の電源部である電源供給ユニット51Aから電流が供給され、各コイル48Bには第2の電源部である電源供給ユニット51Bから電流が供給される。電源供給ユニット51A、51Bについては、上記の配置される位置を除いて互いに同様に構成されており、ここでは代表して電源供給ユニット51Aについて説明する。この電源供給ユニット51Aは三相交流電源であり、その回路構成としては例えば図9に示す、いわゆるΔ結線を備え、位相が互いに120°ずれた電流を供給することができる。各電流の相については夫々R相、S相、T相と記載することにする。また、図9中、上記Δ結線から各相の電流を取り出すための各端子を52、53、54として示している。
図10〜図12においては、各プレート45のコイル48A、48Bと、電源供給ユニット51A、51Bの端子52〜54との接続を示している。各プレート45のコイル48A、48Bは、図10〜図12のうちのいずれかの図で表されるように電源供給ユニット51A、51Bに接続される。図10、図11、図12で夫々示すようにコイル48A、48Bが接続されるプレート45を45A、45B、45Cと記載する場合が有る。図10のプレート45Aのコイル48Aの両端には電源供給ユニット51Aの端子52、53が接続されており、プレート45Aのコイル48Bの両端には電源供給ユニット51Bの端子52、53が接続されている。このように接続されることで、プレート45Aのコイル48A、48BにはR相の電流が供給される。
図11のプレート45Bのコイル48Aの両端には電源供給ユニット51Aの端子52、53が接続されており、プレート45Bのコイル48Bの両端には電源供給ユニット51Bの端子52、53が接続されている。このように接続されることで、プレート45Bのコイル48A、48BにはS相の電流が供給される。図12のプレート45Cのコイル48Aの両端には電源供給ユニット51Aの端子52、53が接続されており、プレート45Cのコイル48Bの両端には電源供給ユニット51Bの端子52、53が接続されている。このように接続されることで、プレート45Cのコイル48A、48BにはT相の電流が供給される。
プレート45Aの磁極47A、プレート45Bの磁極47A及びプレート45Cの磁極47Aを磁極47Aの組とすると、磁極47Aの組が80組設けられていることになる。また、プレート45Aの磁極47B、プレート45Bの磁極47B及びのプレート45Cの磁極47Bを磁極47Bの組とすると、磁極47Bの組が80組設けられていることになる。プレート45の配列方向に見ると、3つのプレート45Aと、3つのプレート45Bと、3つのプレート45Cが、この順に繰り返し配置されている。
図1〜図3に戻って、磁気駆動ユニット4以外の成膜装置1の構成を説明する。容器本体13の側壁にはウエハWの搬送口37と、当該搬送口37を開閉するゲートバルブ38とが設けられ(図2参照)、搬送口37を介して真空容器11内に進入した搬送機構と凹部25との間でウエハWの受け渡しが行われる。具体的には凹部25の底面、容器本体13の底部及び回転テーブル2において、夫々互いに対応する位置に貫通孔を形成しておき、各貫通孔を介してピンの先端が凹部25上と容器本体13の下方との間で昇降するように構成される。このピンを介して、ウエハWの受け渡しが行われる。このピン及び当該ピンが貫通する各部の貫通孔の図示は省略している。
また、図2に示すように、回転テーブル2上には、原料ガスノズル61、分離ガスノズル62、酸化ガスノズル63、プラズマ発生用ガスノズル64、分離ガスノズル65がこの順に、回転テーブル2の回転方向に間隔をおいて配設されている。各ガスノズル61〜65は真空容器11の側壁から中心部に向かって、回転テーブル2の径に沿って水平に伸びる棒状に形成され、当該径に沿って形成された多数の吐出口66から、ガスを下方に吐出する。
処理ガス供給機構をなす原料ガスノズル61は、上記のBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスを吐出する。図中67は原料ガスノズル61を覆うノズルカバーであり、原料ガスノズル61から回転テーブル2の回転方向上流側及び下流側に向けて夫々広がる扇状に形成されている。ノズルカバー67は、その下方におけるBTBASガスの濃度を高めて、ウエハWへのBTBASガスの吸着性を高くする役割を有する。また、酸化ガスノズル63は、上記のオゾンガスを吐出する。分離ガスノズル62、65はN2ガスを吐出するガスノズルであり、上記の天板12の扇状の突出部17、17を夫々周方向に分割するように配置されている。
プラズマ発生用ガスノズル64は、例えばアルゴン(Ar)ガスと酸素(O)ガスとの混合ガスからなるプラズマ発生用ガスを吐出する。前記天板12には回転テーブル2の回転方向に沿った扇状の開口部が設けられており、この開口部を塞ぐように当該開口部の形状に対応した、石英などの誘電体からなるカップ状のプラズマ形成部71が設けられている。このプラズマ形成部71は、回転テーブル2の回転方向に見て、酸化ガスノズル63と突状部17との間に設けられている。図2ではプラズマ形成部71が設けられる位置を鎖線で示している。
プラズマ形成部71の下面には、当該プラズマ形成部71の周縁部に沿って突条部72が設けられており、上記のプラズマ発生用ガスノズル64の先端部は、この突条部72に囲まれる領域にガスを吐出できるように、回転テーブル2の外周側から当該突条部72を貫通している。突条部72は、プラズマ形成部61の下方へのN2ガス、オゾンガス及びBTBASガスの進入を抑え、プラズマ発生用ガスの濃度の低下を抑える役割を有する。
プラズマ形成部71の上方側には窪みが形成され、この窪みには上方側に開口する箱型のファラデーシールド73が配置されている。ファラデーシールド73の底面上には、絶縁用の板部材74を介して、金属線を鉛直軸周りにコイル状に巻回したアンテナ75が設けられており、アンテナ75には高周波電源76が接続されている。上記のファラデーシールド73の底面には、アンテナ75への高周波印加時に当該アンテナ75において発生する電磁界のうち電界成分が下方に向かうことを阻止すると共に、磁界成分を下方に向かわせるためのスリット77が形成されている。このスリット77は、アンテナ75の巻回方向に対して直交(交差)する方向に伸び、アンテナ75の巻回方向に沿って多数形成されている。このように各部が構成されることで、高周波電源76をオンにしてアンテナ75に高周波が印加されると、プラズマ形成部71の下方に供給されたプラズマ発生用ガスをプラズマ化することができる。
回転テーブル2上において、原料ガスノズル61のノズルカバー67の下方領域を、原料ガスであるBTBASガスの吸着が行われる吸着領域R1とし、酸化ガスノズル63の下方領域を、オゾンガスによるBTBASガスの酸化が行われる酸化領域R2とする。また、プラズマ形成部71の下方領域を、プラズマによるSiO膜の改質が行われるプラズマ形成領域R3とする。突出部17、17の下方領域は、分離ガスノズル62、65から吐出されるN2ガスにより、吸着領域R1と酸化領域R2とを互いに分離して、原料ガスと酸化ガスとの混合を防ぐための分離領域D、Dを夫々構成する。
上記の排気口35は吸着領域R1と、当該吸着領域R1に対して前記回転方向下流側に隣接する分離領域Dとの間の外側に開口しており、余剰のBTBASガスを排気する。排気口36は、プラズマ形成領域R3と、当該プラズマ形成領域R3に対して前記回転方向下流側に隣接する分離領域Dとの境界付近の外側に開口しており、余剰のO3ガス及びプラズマ発生用ガスを排気する。各排気口35、36からは、各分離領域D、回転テーブル2の下方のガス供給管15、回転テーブル2の中心領域形成部Cから夫々供給されるN2ガスも排気される。図1中39は、排気口35、36に接続される真空ポンプである
この成膜装置1には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられている(図1参照)。この制御部100には、後述のように成膜処理を実行するプログラムが格納されている。前記プログラムは、成膜装置1の各部に制御信号を送信して各部の動作を制御する。具体的には、各ガスノズル61〜65からの各ガスの供給流量、ヒーター33によるウエハWの温度、ガス供給管15及び中心領域形成部CからのN2ガスの供給流量、公転用回転駆動部22による回転テーブル2の回転速度、及び磁気駆動ユニット4によるウエハホルダ24の回転速度などが制御信号に従って制御される。上記のプログラムにおいてはこれらの制御を行い、後述の各処理が実行されるようにステップ群が組まれている。当該プログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体から制御部100内にインストールされる。なお、制御部100は磁極47A群に供給される各電流の位相と、磁極47B群に供給される各電流の位相との差を設定して、磁気ギア28を後述のように動作させる位相差設定部でもある。
続いて図13〜図17により、プレート45A〜45Cへの電流の供給と、磁気ギア28の動作とについて説明する。図13、図14のグラフ81、82において、プレート45A〜45Cの各コイル48A、48Bに供給されるR相、S相、T相の電流の波形を示している。より詳しく説明すると、グラフ81はプレート45A〜45Cのコイル48Aに供給される各相の電流を示しており、グラフ82はプレート45A〜45Cのコイル48Bに供給される各相の電流を示している。グラフ81、82中、R相の電流を実線で、S相の電流を点線で、T相の電流を鎖線で夫々示している。
グラフ81、82の横軸は時間を示している。グラフ81、82の縦軸は電流の大きさ及び電流の正負を表しており、当該電流の変化に応じてプレート45A〜45Cの磁極47A、47BのN極とS極とが切り替わる。この例では、電流が+の場合は磁極47A、47BがS極に、電流が−の場合は磁極47A、47BがN極となる。図示及び説明の便宜上、各グラフ81、82の横軸においては、所定の時間刻みで点線の目盛を付しており、1周期の間に付された目盛りには、横軸の左側から右側に向かって1〜12の番号を丸付き数字として付して示している。以下の磁気ギア28の動作の説明において、グラフ中の時刻を、この番号で表す場合がある。
(磁気ギア28が公転せずに自転する場合)
図15では、磁気ギア28が公転せずに自転する場合の動作について、磁気ギア28の様子をグラフ81、82と対応させて示している。図15ではカラムA1〜A12内にて、磁気ギア28と磁気ギア28の下方に位置するプレート45A〜45Cとを示している。このカラムA1〜A12については、Aの後に付した番号が大きいものほど、時間的に後の状態であることを示す。そして、各カラムにおいて磁極47A側に丸付き数字として付した番号は、上記のグラフ81の時刻の番号に対応し、当該時刻の番号で示すように各相の電流が供給されていることを示す。また、各カラム内にて磁極47B側に丸付き数字として付した番号は、上記のグラフ82の時刻の番号に対応し、当該時刻の番号で示すように各相の電流が供給されていることを示す。さらに磁極47A及び磁極47Bの極性について、磁極47A及び磁極47B上に表した仮想の○の中に円、×印を夫々付すことで、S極、N極となっていることを夫々表している。
また、説明の便宜上、各カラム内の磁気ギア28について磁極を28A〜28Hで周方向に順番に示している。磁極28A、28C、28E、28GはN極、磁極28B、28D、28F、28HはS極である。また、磁気ギア28の中心には、当該磁気ギア28の向きを示すために、磁極28Eの方向を向く矢印を表示している。なお、図の煩雑化を防ぐために、プレート45は直線状に配列されているように示している。
回転テーブル2の回転が停止した状態で、グラフ81、82の横軸を右側に向かうように、各相の電流が変化する。コイル48Aに供給される電流の周期と、コイル48Bに供給される電流の周期とは互いに等しくなるように制御される。図15のカラムA1では、磁極47A、47Bについて、夫々グラフ81、グラフ82の時刻1で示す状態となっている。つまり、R相の電流が+の極大値となっており、S相及びT相の電流が−であり、且つ互いに同じ値となっている。従って、プレート45Aの磁極47A、47BがS極、プレート45Bの磁極47A、47B及びプレート45Cの磁極47A、47BがN極となっている。
そして、これらの磁極47A群、47B群の磁力によって吸引されることにより、磁気ギア28の磁極28B、28A、28H、28D、28E、28Fが、プレート45Cの磁極47A、プレート45Aの磁極47A、プレート45Bの磁極47A、プレート45Cの磁極47B、プレート45Aの磁極47B、プレート45Bの磁極47B上に、夫々位置している。
カラムA1で示す状態から、磁極47A群についてはR相及びT相の電流が低下すると共にS相の電流が増加し、磁極47B群についてはR相及びT相の電流が低下すると共にS相の電流が増加する。それによって、プレート45Cの磁極47A及びプレート45Bの磁極47Bは無極性となり(カラムA2、グラフ81、82の時刻2)、その後、S極となる。それによって、磁気ギア28のN極である磁極28Eがプレート45Bの磁極47Bに、磁気ギア28のN極である磁極28Aがプレート45Cの磁極47Aに夫々引き寄せられ、磁気ギア28が平面視時計回りに自転する(カラムA3、グラフ81、82の時刻3)。
然る後、磁極47A群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流は極小値から増加し、T相の電流は増加を続ける。磁極47B群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流は上昇を続け、T相の電流は極小値から上昇する。それによって、プレート45Aの磁極47A及び磁極47Bが無極性となり(カラムA4、グラフ81、82の時刻4)、然る後、N極となる。それによって磁気ギア28のS極である磁極28Hがプレート45Aの磁極45Aに、磁気ギア28のS極である磁極28Dがプレート45Aの磁極47Bに夫々引き寄せられ、磁気ギア28がさらに平面視時計回りに自転する(カラムA5、グラフ81、82の時刻5)。
その後、磁極47A群についてはR相の電流が下降を続け、S相の電流が増加を続け、T相の電流が極大値から下降する。磁極47B群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流が極大値から下降し、T相の電流が増加を続ける。それによって、プレート45Bの磁極47A及びプレート45Cの磁極47Bが無極性となった後(カラムA6、グラフ81、82の時刻6)、S極となる。それによって磁気ギア28のN極である磁極28Gがプレート45Bの磁極47Aに、磁気ギア28のN極である磁極28Cがプレート45Cの磁極47Bに夫々引き寄せられ、磁気ギア28が、さらに平面視時計回りに回転する(カラムA7、グラフ81、82の時刻7)。
これ以降も3相交流の電流の変化によって、プレートの45A〜45Cの磁極47A、47Bの極性が変化し、極性が変化した磁極47A、47Bの磁力により、当該極性が変化した磁極47A、47Bの付近に位置する磁気ギア28の磁極が引き寄せられることで、磁気ギア28の平面視時計回りの回転が続けられる。カラムA8〜A12の動作を簡単に説明すると、プレート45Cの磁極47A及びプレート45Bの磁極47Bが無極性となった後(カラムA8、グラフ81、82の時刻8)、これらの磁極45A、45BがN極となり、磁気ギア28のS極である磁極28D、28Hが引き寄せられる(カラムA9、グラフ81、82の時刻9)。
続いて、プレート45Aの磁極47A及び磁極47Bが無極性となった後(カラムA10、グラフ81、82の時刻10)、これらの磁極45A、45BがS極となり、磁気ギア28のN極である磁極28C、28Gが引き寄せられる(カラムA11、グラフ81、82の時刻11)。然る後、プレート45Bの磁極47A及びプレート45Cの磁極47Bが無極性となる(カラムA12、グラフ81、82の時刻12)。磁極47A群及び磁極47B群の極性については、このカラムA12の状態の後、カラムA1で示す状態に戻り、以降、カラムA1〜A12で説明した極性の変化が繰り返される。それによって、磁気ギア28の自転が続けられる。そして、磁極47A群及び磁極47B群への給電が停止すると、磁気ギア28の自転が停止する。各相の電流の周期が制御されることで、この図15で示す磁気ギア35の自転速度が制御される。
(磁気ギア28が自転せずに公転する場合)
図16では、磁気ギア28が自転せずに公転する場合の動作について、図15と同様に磁気ギア28の様子をグラフ81、82に対応させてカラムB1〜B9に示している。この場合、プレート45のコイル48Aについては、グラフ81の横軸を右側から左側に向かうように各電流値が制御され、プレート45のコイル48Bについては、グラフ82の横軸を左側から右側に向かうように各電流値が制御される。そして、コイル48Aに供給される電流の周期と、コイル48Bに供給される電流の周期とは互いに等しい。
先ず、カラムB1では磁極47A群及び磁極47B群について、図15のカラムA1で説明したように、夫々グラフ81、グラフ82の時刻1で示すように電流が供給されている。つまり、プレート45Aの磁極47A、47BがS極、プレート45Bの磁極47A、47B及びプレート45Cの磁極47A、47BがN極となっている。そして、磁極28A〜28Hのうち、磁極28Aが回転テーブル2の最も中心軸寄り、磁極28Eが回転テーブル2の最も周縁寄りに位置しており、これらの磁極28A、磁極28Eがプレート45Aの磁極47A、47B上に夫々位置している。
上記のカラムB1の状態から、回転機構22により磁気ギア28が公転し、磁極47A群及び47B群の上方を平面視時計回りに移動すると共に、磁極47A群及び47B群について、R相及びT相の電流が下降すると共にS相の電流が増加する。それによって、磁極28A、28Eの進行路の下方におけるプレート45Bの磁極47A、47Bの極性がN極から無極性となり(カラムB2、グラフ81の時刻12、82の時刻2)、次いでS極になると共に磁極28A、28Eがこのプレート45Bの磁極47A、47Bの上方に位置する(カラムB3、グラフ81の時刻11、82の時刻3)。そして、磁極28A、28Eが、このように極性が変化した磁極47A、47Bに吸引されることで、磁気ギア28の向きが保持される、即ち磁気ギア28の自転が起こらない。
その後、磁極47A群及び47B群について、R相の電流の下降及びS相の電流の上昇が続けられると共にT相の電流が極小値から増加し、プレート45Aの磁極47A、47Bの極性がS極から無極性となった後(カラムB4、グラフ81の時刻10、82の時刻4)、N極となる(カラムB5、グラフ81の時刻9、82の時刻5)。然る後、磁極47A群及び47B群について、R相の電流が低下を続け、S相の電流が極大値から下降し、T相の電流が増加を続ける。それによって、磁極28A、28Bの進行路の下方におけるプレート45Cの磁極47A、47Bの極性がN極から無極性となり(カラムB6、グラフ81の時刻8、82の時刻6)、次いでS極になると共に磁極28A、28Eがこのプレート45Aの磁極47A、47Bの上方に位置する(カラムB7、グラフ81の時刻7、82の時刻7)。そして、磁極28A、28Eが、このように極性が変化した磁極47A、47Bに吸引されることで、磁気ギア28の向きが保持される。
以降は、磁極47A群及び47B群について、R相の電流が極小値から増加し、S相の電流が下降を続け、T相の電流が上昇を続け、プレート45Bの磁極47A、47Bの極性がS極から無極性となり(カラムB8、グラフ81の時刻8、82の時刻6)、その後N極に変化する(カラムB9、グラフ81の時刻7、82の時刻7)。
カラムB9に示した状態の後、磁極47A群及び47B群に供給される電流の変化により、磁極28A、28Eの進行路の下方におけるプレート45Aの磁極47A、47Bの極性がN極から無極性となり、磁極28A、28Eが当該プレート45Aの磁極47A、47B上に位置するときにはS極とされる。それによって、磁気ギア28の向きが保持され、磁気ギア28は自転せずに公転を続ける。その後、回転テーブル2の回転が停止すると共に磁極47A群及び47B群への給電が停止することで、自転しない磁気ギア28の公転が終了する。
ところで、説明の便宜上、磁極47A群及び47B群において、磁極28A、28Eの下方の磁極の極性を中心に説明してきたが、上記のように磁気ギア28の公転中の磁極47A群及び47B群に供給される電流が制御されることで、回転テーブル2の中心軸側に位置するS極である磁極28B、28H、回転テーブル2の周端側に位置するS極である磁極28D、28Fの下方に位置する磁極47A及び47BについてはN極とされる。つまり、磁極47A群及び47B群のうち、磁極28A、28Eの下方に位置する磁極はS極、磁極28B、28H、28D、28Fの下方に位置する磁極はN極となるように各磁極の極性が制御されることで、磁気ギア28は自転せずに公転を続けることができる。このように磁気ギア35が自転せずに公転する場合、磁気ギア35の公転速度に応じて、電流の周期が制御されることになる。
(磁気ギア28が自転しながら公転する場合)
図17では、磁気ギア28が自転しながら公転する場合の動作について、図15と同様に、磁気ギア28の様子をグラフ81、82に対応させてカラムC1〜C9に示している。この場合、プレート45のコイル48Aについてはグラフ82の横軸を右側から左側に向かうように各電流値が制御され、プレート45のコイル48Bについては、グラフ82の横軸を左側から右側に向かうように各電流値が制御される。そして、コイル48Aに供給される電流の周期と、コイル48Bに供給される電流の周期とは互いに異なり、コイル48Bに供給される電流の周期の方が短い。
先ず、カラムC1に示す状態では、磁極47A群及び磁極47B群について、図15のカラムA1で説明したように、夫々グラフ81、グラフ82の時刻1で示すように電流が供給されている。つまり、プレート45Aの磁極47A、47BがS極、プレート45Bの磁極47A、47B及びプレート45Cの磁極47A、47BがN極となっている。そして、磁極28A、磁極28Eがプレート45Aの磁極47A、47B上に夫々位置している。
上記のカラムC1の状態から、回転機構22により磁気ギア28が公転し、磁極47A群及び47B群の上方を平面視時計回りに移動すると共に、磁極47A群、47B群について、R相及びT相の電流が下降すると共にS相の電流が増加する。それによって、プレート45Bの磁極47Aの極性がN極から無極性となると共に、プレート45Bの磁極47Bの極性がN極から無極性になった後、S極となる(カラムC2、グラフ81の時刻12、82の時刻2−3間)。磁気ギア28のN極である磁極28Eから見てすぐ前方側に位置するプレート45Bの磁極47Bの極性がS極となったこと、及び磁気ギア28のN極である磁極28Aから見て後方へと向かうプレート45Aの磁極47Aが依然としてS極となっていることで、公転する磁気ギア28は平面視時計回りに自転する。
然る後、磁極47A群については、引き続きR相及びT相の電流が下降すると共にS相の電流が増加する。磁極47B群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流が増加を続け、T相の電流が下降して極小値となった後に上昇する。それによって、プレート45Aの磁極47BについてはS極からN極に変移する(カラムC3、グラフ81の時刻11、82の時刻4−5間)。このプレート45Aの磁極47Bが、磁気ギア28において当該磁極47B付近に位置しているS極である磁極28Dを引き寄せ、さらに磁気ギア28の自転が進行する。
その後、磁極47A群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流が上昇を続け、T相の電流が極小値から増加する。磁極47B群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流が極大値になった後に下降し、T相の電流が上昇する。それによって、プレート45Aの磁極47A及びプレート45Cの磁極47Bについては無極性となる(カラムC4、グラフ81の時刻10、82の時刻6)。続いて、磁極47A群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流が上昇を続け、T相の電流が上昇を続ける。磁極47B群については、R相の電流が極小値となった後で上昇し、S相の電流が下降を続け、T相の電流が上昇を続ける。それによって、プレート45Aの磁極47AはN極となり、プレート45Cの磁極47BについてはS極となる。磁気ギア28のN極である磁極28Eから見てすぐ前方側に位置するプレート45Cの磁極47Bの極性がS極となったこと、及び磁気ギア28のN極である磁極28Aから見て後方へと向かうプレート45Bの磁極47Aが依然としてS極となっていることで、公転する磁気ギア28はさらに自転する(カラムC5、グラフ81の時刻9、82の時刻7−8間)。
その後、磁極47A群については、R相の電流が下降を続け、S相の電流が極大値から下降し、T相の電流が増加を続ける。磁極47B群については、R相の電流が上昇を続け、S相の電流が下降を続け、T相の電流が極大値になった後に下降する。それによって、プレート45Cの磁極47Aについては無極性となり、プレート45Bの磁極47BについてはN極となる(カラムC6、グラフ81の時刻8、82の時刻9-10間)。そして、磁極47A群については、R相及びS相の電流が下降を続け、T相の電流が増加を続ける。磁極47B群については、R相の電流が上昇を続け、S相の電流が下降を続けて極小値となり、T相の電流が下降を続ける。それによって、プレート45Cの磁極47AについてはS極となり、プレート45Aの磁極47BについてはS極となる。磁気ギア28のN極である磁極28Eから見てすぐ前方側に位置するプレート45Aの磁極47Bの極性がS極となったこと、及び磁気ギア28のN極である磁極28Aから見て後方へと向かうプレート45Bの磁極47Aが依然としてS極となっていることで、公転する磁気ギア28はさらに自転し、S極である磁極28Dが回転テーブル2の周端部寄りへ、S極である磁極28Hが回転テーブル2の中心軸寄りへと移動する(カラムC7、グラフ81の時刻7、82の時刻11)。
その後、磁極47A群については、R相の電流が極小値から増加し、S相の電流が下降を続け、T相の電流が増加を続ける。磁極47B群については、R相の電流が上昇を続け、S相の電流が極小値から増加し、T相の電流が下降を続ける。それによって、プレート45Bの磁極47Aについては無極性となり、プレート45Cの磁極47BについてはN極となる(カラムC8、グラフ81の時刻6、82の時刻12-1間)。そして磁極47A群については、R相の電流が増加を続け、S相の電流が下降を続け、T相の電流が増加を続けて極大値となる。磁極47B群については、R相の電流が極大値となった後に下降し、S相の電流が増加を続け、T相の電流が下降を続ける。それによって、プレート45Bの磁極47AについてはN極となり、プレート45Bの磁極47BについてはS極となる。
このとき、磁気ギア28のN極である磁極28E、S極である磁極28Dから見て、夫々すぐ前方側に位置するプレート45Aの磁極47Bの極性がS極、N極となっている。また、磁気ギア28のN極である磁極28Aから見て後方へと向かうプレート45Cの磁極47AがS極、磁気ギア28のS極である磁極28Hから見て後方へと向かうプレート45Aの磁極47AがN極となっている。それによって、公転する磁気ギア28はさらに自転する(カラムC9、グラフ81の時刻5、82の時刻2−3間)。以降も同様にグラフ81、82に示す電流の変化に従って磁極47A群、磁極47B群の磁極が変化し、公転する磁気ギア28が磁極47A群、磁極47B群の磁力を受けて、磁気ギア28の自転が続けられる。その後、回転テーブル2の回転が停止すると共に磁極47A群及び47B群への給電が停止することで、自転しない磁気ギア28の公転が終了する。なお、この図17で説明した磁気ギア28が回転する様子は一例であり、電流の周期及び公転の速度を調整することで、公転速度に対する磁気ギア28の自転速度を調整することができる。以上、図15〜図17で示したように、磁気ギア28については自転と公転とを互いに独立して行うことができる。
続いて、成膜装置1によって行われる成膜処理の一例について説明する。以下に示す例では、図17で説明したように磁気ギア28の公転と自転とが並行して行われ、それによってウエハWが自転及び公転して成膜処理が行われる。この成膜処理では、回転テーブル2の回転とウエハホルダ24の回転とは同期しない。より具体的には、真空容器11内の所定の位置に第1の向きを向いた状態から回転テーブル2が1回転し、再度所定の位置に位置したときに、ウエハWが第1の向きとは異なる第2の向きに向けられるような回転速度(自転速度)でウエハWが自転する。
先ず図示しない搬送機構によりウエハWが、各ウエハホルダ24に載置される(図18)。以降、回転テーブル2に載置されたウエハWを模式的に示した図18〜図21を適宜参照して説明する。図18〜図21では、図示の便宜上、各ウエハWをW1〜W5として示している。また、成膜処理中に変位するウエハWの向きを示すために、成膜処理前のこれらウエハW1〜W5の直径について、回転テーブル2の直径と一致する領域に回転テーブル2の中心へ向かう矢印A1〜A5を付して示している。
上記のウエハW1〜W5の載置後にゲートバルブ38が閉じられ、排気口35、36からの排気により真空容器11内が所定の圧力の真空雰囲気となり、分離ガスノズル62、65からN2ガスが回転テーブル2に供給される。また、回転テーブル2の中心領域形成部C及び回転テーブル2の下方側のガス供給管15からパージガスとしてN2ガスが供給され、回転テーブル2の中心部側から周縁部側へ流れる。さらに、ヒーター33の温度が上昇し、ヒーター33からの輻射熱により回転テーブル2及びウエハホルダ24が加熱され、ウエハホルダ24からの伝熱によって各ウエハW1〜W5が所定の温度に加熱される。
然る後、図17で説明した磁気ギア28の自転及び公転、即ちウエハホルダ24に載置されたウエハWの公転と自転とが開始される。例えばこれら公転及び自転の開始と同時に、原料ガスノズル61、酸化ガスノズル63、プラズマ発生用ガスノズル64からの各ガスの供給と、高周波電源76からアンテナ75への高周波の印加によるプラズマの形成と、が開始される。図19は、そのように成膜が開始されてから時間が経過し、回転テーブル2が成膜開始から180°回転し、前記自転によってウエハWの向きが変わった状態を示している。
図22は、真空容器11内の各ガスの流れを矢印で示している。吸着領域R1と酸化領域R2との間にN2ガスが供給される分離領域Dを設けているので、吸着領域R1に供給される原料ガス及び酸化領域R2に供給される酸化ガスは、回転テーブル2上で互いに混合されずに前記N2ガスと共に排気口35から排気される。また、吸着領域R1とプラズマ形成領域R3との間にもN2ガスが供給される分離領域Dを設けているので、原料ガスと、プラズマ形成領域R3に供給されるプラズマ発生用ガス及びプラズマ形成領域R3の回転方向上流側から当該分離領域Dに向かう酸化ガスとは、回転テーブル2上で互いに混合されずに、前記N2ガスと共に排気口36から排気される。上記の中心領域形成部C及びガス供給管15から供給されたN2ガスも、排気口35、36から除去される。
上記のように各ガスの供給と排気とが行われた状態で、ウエハW1〜W5は、自転しながら原料ガスノズル61のノズルカバー57の下方の吸着領域R1、酸化ガスノズル63の下方の酸化領域R2、プラズマ形成部61の下方のプラズマ形成領域R3を、順番に繰り返し移動する。吸着領域R1では原料ガスノズル61から吐出されたBTBASガスがウエハWに吸着され、酸化領域R2では吸着されたBTBASガスが、酸化ガスノズル63から供給されたOガスにより酸化されて、酸化シリコンの分子層が1層あるいは複数層形成される。プラズマ形成領域R3では、前記酸化シリコンの分子層がプラズマに曝されて改質される。
上記のようにウエハホルダ24は回転テーブル2の回転と同期せずに回転し、各ウエハW1〜W5は、吸着領域R1の所定の位置に位置する度に、異なる向きに向けられる。図20は成膜処理開始から回転テーブル2が1回転した状態を示している。そして、図21は、図9に示す状態からさらに回転テーブル2の回転が続けられ、一例としてウエハW1〜W5の向きが成膜処理開始時の向きから180°回転した向きに向けられた状態を示している。このようにウエハW1〜W5の向きが変化することで、ウエハWの周方向における各部が、吸着領域R1内の互いに異なる各位置を通過する。従って、吸着領域R1内の前記各位置で原料ガスの濃度分布にばらつきが生じていても、成膜処理開始から成膜処理終了までにウエハWに吸着される原料ガスの量をウエハWの周方向における各部で揃えることができる。結果として、前記ウエハWの周方向における各部で、ウエハWに形成されるSiO2膜の膜厚の偏りを抑えることができる。
このように回転テーブル2の回転が続けられて酸化シリコンの分子層が順次積層され、酸化シリコン膜が形成されると共にその膜厚が次第に大きくなる。そして、設定された目標膜厚が得られるように成膜処理が行われると、回転テーブル2の回転とウエハホルダ24の回転とが停止し、成膜処理が終了する。例えばこの成膜処理終了時には、ウエハW1〜W5は成膜処理開始時と同じ位置に位置し、各ウエハW1〜W5の向きは、成膜処理開始時と同じ向きに向けられる。従って、ウエハW1〜W5は、図18で示した位置、向きに置かれ、成膜処理開始から終了までに各々整数回自転している。また、この成膜処理終了時には、ガスノズル61〜ガスノズル65からの各ガスの供給及びプラズマの形成についても停止される。然る後、ウエハW1〜W5が搬送機構により真空容器11内から搬出される。
上記の成膜装置1においては、回転テーブル2を回転させることにより、回転テーブル2の表面のウエハホルダ24に載置されたウエハWを公転させながら当該ウエハWに対して処理ガスを供給して処理するにあたり、ウエハホルダ24と共に回転する複数の磁極に構成される磁気ギア28と、回転テーブル2の周方向に沿って磁気ギア28の自転用の磁極48A群及び磁極48B群を構成するプレート45群とを設けている。そして、磁気ギア28の磁極とプレート45の磁極48A群及び磁極48B群との間の磁力により磁気ギア28が自転するようにプレート45のコイル48A及び48Bに電流を供給している。従って、ウエハWを回転テーブル2の回転とは独立して自転させることができるため、ウエハWの周方向について膜厚の均一性を良好にすることができる。そのため、ウエハWの全体で膜厚の均一性を高くすることもできるし、背景技術の項目で説明したようにウエハWに同心円状の膜厚分布を形成した上で、周方向における膜厚の均一性を高くすることもできる。
ところで、成膜処理としては図18〜図21で示したように行うことに限られない。例えば、図22で説明したように真空容器11内に各ガスを供給した状態で、図16で説明したように磁気ギア28が自転しないように回転テーブル2をm回転させて成膜を行う(ステップS1)。mは任意の数字である。その後、例えば一旦原料ガスの供給、酸化ガスの供給及びプラズマの形成を停止し、図15で説明したように、回転テーブル2の回転が停止した状態でウエハWの向きが例えば90°変更されるように、当該ウエハWを自転させる(ステップS2)。
その後、原料ガスの供給、酸化ガスの供給及びプラズマの形成を再開すると共に磁気ギア28が自転しないように回転テーブル2をm回転させて成膜を行う。つまりステップS1を再度行う。このようにステップS1、S2を4回繰り返し行う。ステップS1、S2を4回繰り返し行った後、さらにステップS1、S2を4回繰り返し行ってもよい。このような成膜処理を行う場合でもウエハWについて、領域R1〜R3を通過するときの向きが変更されることで、ウエハWの周方向において均一性高い膜厚の膜を成膜することができる。
なお、後述の評価試験で示すようにステップS2でウエハWの向きを変える角度は90°に限られず、この角度が小さいほどウエハWの面内全体に均一性高い処理を行うことができる。ただし、ウエハWの周方向に均一性高い処理を行うために、(360°/ウエハWの向きを変える角度)の倍数だけ、ステップS1の回転テーブル2をm回転させる成膜処理を行う。つまり上記の90°向きを変える場合は、360°/90°=4であるので、4×A(Aは整数)回ステップS1を行う。
上記のように成膜装置1は、ウエハWの公転と自転とを独立して行うことができるので、形成する膜の種類や膜厚に応じて、膜質が良好になるようにウエハWの自転速度及び公転速度の調整を容易に行うことができるという利点がある。また、搬送機構とウエハホルダ24との間でウエハWを受け渡す際に、上記の昇降ピンがウエハホルダ24に設けた貫通孔を通過する必要があるが、回転テーブル2を公転させなくてもウエハホルダ24が自転することで、その位置合わせを容易に行うことができる。
ところで、上記の成膜装置1ではn相交流(nは整数)として3相交流をプレート45に供給しているが、n相交流は2相交流であってもよいし、あるいは5相交流などであってもよい。また、回転体である回転軸26の側面に磁石が設けられて磁気ギアとして構成され、磁極45A群、磁極45B群は、回転軸26の側面と対向するように配置されてもよい。つまり、磁気ギアと磁極45A群及び磁極45B群との位置関係は図6〜図8で示した例には限られない。さらに上記の例では、載置台であるウエハホルダ24が回転テーブル2に設けられている。ここで載置台が「回転テーブルに設けられ」とは、直接的に設けられる場合に限らず、回転テーブルを支持する支持部があって、その支持部に載置台が設けられている構造、即ち回転テーブルに間接的に設けられている場合も含む。
本発明の基板処理装置は、回転テーブル2に載置されたウエハWにガス処理を行う装置に適用することができる。従って、ALDを行う成膜装置に適用されることに限られず、CVDを行う成膜装置に適用されてもよい。また、成膜装置に適用されることにも限られない。例えば本発明は、上記の成膜装置1でガスノズル61、63による原料ガス及び酸化ガスの供給が行われず、プラズマ形成部71によるウエハW表面の改質処理のみが行われる改質装置として構成されてもよい。
ところで、既述したように成膜装置1についてはウエハWの自転と公転とを独立して行うことができるので、ウエハWの自転の回転数を比較的低く設定することができる。このように設定すると、ウエハWの自転の遠心力によって当該ウエハWが回転テーブル2から飛び出すことを防ぐことができる利点がある。さらに、比較的高速でウエハWを公転させる場合には、既述したようにウエハWの自転を停止させておき、公転が停止しているときにウエハWの向きを変更する運用を行うことができるため、この運用ができる点からもウエハWの回転テーブル2からの飛び出しを防ぐことができる。さらに、ウエハWの自転の開始するときの向きが予め設定された向きから何かの要因でずれたとしても、ウエハWを公転させずに補正することができる。従って、この向きの補正を行うために真空容器11を開放する必要が無く、当該補正が容易であるという利点がある。
また、成膜装置1では電磁石であるプレート45に印加する電圧によって、回転テーブル2の周方向に設けられた5つの磁気ギア28のトルクを制御し、各磁気ギア28を同時に回転させることができる。そのように磁気ギア28が同時に回転することで、回転テーブル2において一方向に大きな力が加わることを防ぐことができるので、回転テーブル2の回転をスムーズに行うことができる。なお、上記の各図による説明では、電流によって磁気ギア28の自転を制御している旨を記載したが、プレート45に供給される電圧についても電流と同様に制御されるので、電圧によって磁気ギア28の自転を制御しているとも言える。
さらに、永久磁石からなる磁気ギア28は回転中に、回転テーブル2の中心側、周縁側から磁力で夫々引っ張られることになるため、回転軸26が傾くことが抑えられる。従って、ウエハWの公転時に回転軸26が他の部材に接触することが抑えられるため、回転軸26と周囲の部材との間隔を大きく離す必要が無くなり、装置の設計の自由度が高くなるという利点がある。
また、成膜装置1について、周方向に分割された複数、例えば5つのエリアを設定する。そして、プレート45群についてエリア毎に独立して電流が供給されるように構成し、公転移動するウエハWの自転速度がエリア毎に制御されるようにしてもよい。そのようにすることで、例えばウエハWが公転によって第1のエリア、第2のエリア、第3のエリア、第4のエリア、第5のエリアを夫々通過中に、互いに異なる第1の自転速度、第2の自転速度、第3の自転速度、第4の自転速度、第5の自転速度となるような運用が可能である。これら第1〜第5の自転速度のうちのいずれかの速度については0、即ち公転中、所定の領域においてのみ自転が停止されるような運用としてもよい。また、原料ガスの吸着領域R1、酸化領域R2、プラズマ形成領域R3が互いに異なるエリアに属し、原料ガスの吸着、酸化、プラズマによる改質時にウエハWが夫々異なる速度で自転するようにしてもよい。さらに、このようにエリア毎に電圧が個別に供給される場合、5つの磁気ギア28について、互いに並行して回転させ、上記の各磁気ギア28の向きの補正を行うことができる。
(評価試験)
本発明に関連した評価試験について説明する。各評価試験の説明では、ウエハホルダ24に載置されたウエハWについて、成膜処理開始時において回転テーブル2の直径に一致するウエハWの直径をYラインと記載する。従って、Yラインは図18中に矢印A1〜A5として示した領域である。そして、このYラインに対して直交するウエハWの直径をXラインと記載する。
評価試験1
直径が300mmのウエハWの自転による膜厚分布の変化を調べる試験を行った。評価試験1−1として、成膜装置1においてウエハWを自転させずに成膜するシミュレーションを実施した。また、評価試験1−2として、ウエハWの自転を行うことを除いては、評価試験1−1と同じ条件で成膜を行うシミュレーションを実施した。ただし、この評価試験1−2では実施の形態と異なり、成膜処理開始から成膜処理終了までにウエハWは180°だけ自転するように設定している。また、評価試験1−3として評価試験1−2と同様の試験を行ったが、差異点としてウエハWは45°だけ自転するように設定した。さらに評価試験1−4として、実施の形態と同様にウエハWが整数回、自転するように設定した他は評価試験1−1〜1−3と同じ条件でシミュレーションを実施した。評価試験1−1〜1−4の夫々において、ウエハWの面内における膜厚分布を測定した。
図23の上段、下段は夫々評価試験1−1、1−2のウエハWの面内の膜厚分布を模式的に示し、図24の上段、下段は夫々評価試験1−3、1−4のウエハWの面内の膜厚分布を模式的に示している。実際に取得された試験結果は、ウエハWの面内に膜厚に応じた色が付されたコンピュータグラフィクスであるが、図23、図24では図示の便宜上、ウエハWの面内を、膜厚が所定の範囲となった領域ごとに等高線で囲み、模様を付して示している。
また、図25の上段は、評価試験1−1、1−4の各Yラインの膜厚分布を示すグラフであり、下段は評価試験1−1、1−4の各Xラインの膜厚分布を示すグラフである。各グラフの横軸はウエハWの一端からの距離(単位:mm)を示している。YラインのグラフにおけるウエハWの一端とは、回転テーブル2の中心軸側の端である。各グラフの縦軸は膜厚(単位:nm)を示している。図26の上段は、評価試験1−2、1−3の各Yラインの膜厚分布を示すグラフであり、下段は、評価試験1−2、1−3の各Xラインの膜厚分布を示すグラフである。
図23、図24のウエハWの模式図から、ウエハWを自転させることでウエハWの周方向における膜厚分布の均一性が高くなり、整数回回転させた評価試験1−4では当該周方向の均一性が極めて高くなっていることが分かる。また、各グラフについて見ると、Xラインの膜厚分布は、評価試験1−1〜1−4で大きな差は見られない。Yラインの膜厚分布については、評価試験1−1で見られるYラインの一端部と他端部との間の膜厚の若干の差が、評価試験1−2、1−3では小さくなっており、評価試験1−4では殆ど無くなっている。従って、各グラフからもウエハWの周方向の膜厚分布について均一性が高くなっていることが分かる。
また、評価試験1−1〜1−4の夫々について、Xライン上及びYライン上の各測定位置を含む、ウエハWの面内の49箇所の位置で測定された膜厚から算出された、膜厚の平均値、膜厚の最大値、膜厚の最小値、膜厚の最大値と最小値との差、及び面内均一性を表す指標であるWinWを下記の表1に示す。WinWとは、±{(膜厚の最大値-膜厚の最小値)/(膜厚の平均値)}/2×100(%)であり、表1ではその絶対値を表示している。この絶対値が小さいほど面内均一性が高い。以下、単にWinWという場合には、上記の式からの算出値の絶対値であるものとする。評価試験1−1〜1−4のWinWを比較して、ウエハWを自転させることによって、周方向のみならずウエハWの面内全体において膜厚の均一性が高くなっていること、及び評価試験1−4が最も面内全体で膜厚の均一性が高くなっていることが分かる。従って、この評価試験1からは、実施の形態で説明したようにウエハWを自転させることがウエハWの面内の膜厚の均一性を高くするために有効であることが分かり、自転の回数は整数とすることが特に有効であることが分かる。
Figure 2017054880
評価試験2
上記の成膜装置1においてプラズマ形成部71のガスノズル64からArガス及びNH3ガスが吐出されるように設定することで、プラズマ形成領域R3において膜の窒化処理が行われるように設定した。そして、成膜装置1において所定の膜厚の窒化膜を得るために、ウエハWを自転させた場合と自転させない場合とで夫々シミュレーションを行い、上記のWinWを取得した。この窒化処理において、ウエハWの温度は400℃、真空容器11内の圧力は1.8Torr、アンテナ75への供給電力は3.3kW、NH3ガスの流量は100sccm、Arガスの流量は10000sccmに設定した。また、ウエハWが自転する場合の速度は10rpmとした。
図27のグラフは、評価試験2の結果を示している。グラフの横軸は窒化膜について設定された膜厚を得るために要する処理時間を示し、グラフの縦軸は、窒化膜の設定膜厚及びWinWの絶対値を示している。グラフに示すようにウエハWを自転させない場合に比べると、ウエハWを自転させる場合、WinWは低下している。グラフより処理時間が1分、3分、5分の場合、ウエハWが自転する場合のWinWは、ウエハWが自転しない場合の約1/3となっている。処理時間が10分の場合、ウエハWが自転する場合のWinWは、ウエハWが自転しない場合の約1/10となっている。このように評価試験2から、プラズマ処理を行う場合において、ウエハWを自転させることでウエハWの面内の処理の均一性を高くできることが確認された。従って、上記の成膜装置1の構成が有効であることが分かる。
評価試験3
成膜装置1において原料ガスとしてTi(チタン)を含むガスをノズル61から供給し、ウエハWにSiO2の代わりにTiO2(酸化チタン)が成膜されるようにシミュレーションを行った。そして評価試験3−1としては、ウエハWを自転させずに成膜処理を行った。評価試験3−2としては、ウエハWを公転させて成膜処理を行った後、向きが180°変わるようにウエハWを自転させ、然る後ウエハWを公転させて成膜処理を行った。評価試験3−3としては、ウエハWを公転させて成膜処理を行った後、向きが90°変わるようにウエハWを自転させた。この公転による成膜と90°の向きの変更とを4回行った。評価試験3−4としては、ウエハWを公転させて成膜処理を行った後、向きが60°変わるようにウエハWを自転させた。この公転による成膜と60°の向きの変更とを6回行った。評価試験3−1〜3−4の夫々について、回転テーブル2を公転させた回数は夫々等しい。つまり、評価試験3−2、3−3、3−4では、成膜処理を2回、4回、6回に夫々分割して行っている。これら評価試験3−1〜評価試験3−4のウエハWについて、上記のWinWと、面内の膜厚の3σ(単位:%)とを取得した。
図28のグラフは、評価試験3の結果を示している。グラフの横軸は、上記の成膜処理の分割された回数を示している。なお、評価試験3−1についての分割回数は1としている。グラフの縦軸は、取得されたWinWと、3σとを示している。評価試験3−1に比べて、評価試験3−2〜3−4ではWinW及び3σが小さい。即ち膜厚の面内均一性が高いことが分かる。従って、ウエハWの公転と並行してウエハWの自転を行わなくてもよく、ウエハWの公転と、自転とを行うタイミングをずらし、当該公転及び自転を繰り返し行ってもウエハWの面内で均一性高い処理を行うことができることが分かる。
W ウエハ
1 成膜装置
11 真空容器
2 回転テーブル
24 ウエハホルダ
26 回転軸
27 磁気ギア
45 プレート
47A、47B 磁極
51A、51B 電源供給ユニット
61 原料ガスノズル
63 酸化ガスノズル
71 プラズマ形成部

Claims (7)

  1. 処理容器内に設けられた回転テーブルの一面側に基板を載置し、前記回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら当該基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置において、
    前記回転テーブルに自転自在に設けられ、前記基板を載置するための載置台と、
    前記載置台の下方に設けられ、当該載置台と共に回転する回転体と、
    前記回転体の周方向に沿って配置された複数の磁極と、
    前記回転テーブルに対して独立して設けられ、当該回転テーブルの周方向に沿って複数の磁極が配列された回転体駆動用の磁極群を形成する電磁石群と、
    前記回転体に配置された磁極と前記回転体駆動用の磁極群の各磁極との間の磁力により前記回転体が自転するように前記電磁石のコイルに電流を供給するための電源部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記磁極群は、前記回転テーブルの周方向に沿って連続して並ぶn(nは2以上の整数)個の磁極の組を複数組配列して構成され、
    前記組をなすn個の磁極を夫々形成する電磁石のコイルには、n相交流が供給されることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記n相交流は、三相交流であることを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
  4. 前記磁極群は、平面で見て前記自転軸の中心の周回軌道に対して前記回転テーブルの回転中心側に位置する内側磁極群と、前記回転中心の反対側に位置する外側磁極群と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
  5. 前記内側磁極群における磁極の組を構成する電磁石のコイルに電流を供給する内側用の電源部と、前記外側磁極群における磁極の組を構成する電磁石のコイルに電流を供給する、内側用の電源部とは別個の外側用の電源部と、を備えたことを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
  6. 前記内側用の電源部と外側用の電源部との位相差を設定する位相差設定部を備えたことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
  7. 処理容器内に設けられた回転テーブルの一面側に基板を載置し、前記回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら当該基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理方法において、
    前記回転テーブルに自転自在に設けられる載置台に前記基板を載置する工程と、
    前記載置台の下方に設けられる回転体を、当該載置台と共に回転させる工程と、
    前記回転体の周方向に沿って配置された複数の磁極と、前記回転テーブルに対して独立して設けられ、回転体駆動用の磁極群を形成する電磁石群を構成すると共に前記回転テーブルの周方向に沿って配列された複数の磁極との間の磁力により前記回転体が自転するように、電源部によって前記電磁石のコイルに電流を供給する工程と、
    を備えたことを特徴とする基板処理方法。
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