JP2017014061A - ディスプレイ用ガラス板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱処理工程において、ガラス板のクランプで把持された部分が損傷するのを抑制できるディスプレイ用ガラス基板の製造方法を提供する。【解決手段】ディスプレイ用ガラス板の製造方法は、成形されたガラス板の一端をクランプで把持して前記ガラス板の熱処理を行う熱処理工程を備え、前記熱処理工程において、前記ガラス板の両主表面がクランプで挟まれることで前記ガラス板は前記クランプに把持され、前記熱処理が行われる間および前記熱処理が行われた後における前記クランプによる把持力が、前記ガラス板の破壊強度より大きいことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、ディスプレイ用ガラス板の製造方法に関する。
近年、ディスプレイの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進展している。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイに用いられるガラス基板にも寸法精度が高いことが望まれている。例えば、ディスプレイの製造工程中に、ガラス基板が高温で熱処理されても寸法が変化しにくいように、熱収縮率の小さいガラス基板が好ましい。
一般に、ガラス基板の熱収縮率は、ガラスの歪点が高いほど小さくなる。また、ガラス基板の熱収縮率は、ガラス基板が切り出されるガラス板の製造工程中の徐冷速度を小さくするほど小さくなることが知られている。しかし、徐冷速度を小さくするとガラス板の徐冷工程を行う徐冷炉を長くする必要があるが、製造ライン上の徐冷装置を長くすることは困難である。
そこで、製造ラインで作製された複数のガラス板に対し、オフラインにおいて時間をかけて熱処理を施すことで、熱収縮率をより低くすることが行われる。オフラインでの熱処理に関する技術として、例えば、主表面が進行方向を向くよう複数のガラス板を立てて、互いに間隔をあけて熱処理炉内を搬送させながら熱処理を行うことが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法では、ガラス板の上端部がクランプで把持され、ガラス板は吊り下げられた状態で搬送される。
国際公開第2014/022632号パンフレット
ガラス板をクランプで把持して搬送させながら、ガラス板の熱処理を行うと、特にクランプで把持した部分において、割れが生じる場合があることがわかった。特に、液晶ディスプレイに用いられるガラス板は、近年の液晶ディスプレイの大型化に伴って比較的サイズが大きいため、ガラス板の端部で割れが生じ、損傷した場合の歩留まり率の低下は、よりサイズの小さいガラス板と比べて悪化しやすい。
そこで、本発明は、熱処理工程において、ガラス板のクランプで把持された部分が損傷するのを抑制できるディスプレイ用ガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて検討を重ねたところ、クランプによって板厚方向にガラス板の両側から挟持されたガラス板の部分の強度(面強度)は、クランプによって把持される力が強いほど低下し、また、熱処理が行われることによって低下するものであり、ガラス板の面強度と、クランプの把持力および熱処理との間にこのような相関関係があることを突き止めた。そして、本発明者は、熱処理が行われる間および前記熱処理が行われた後におけるクランプによる把持力がガラス板の破壊強度より大きければ、具体的には、ガラス板の面強度がガラス板の破壊強度より大きければ、熱処理工程においてクランプで把持されたガラス板の部分に割れが生じるのを抑制できることを見出し、本発明を完成させた。本発明は、下記(1)〜(4)を提供する。
(1)成形されたガラス板の一端をクランプで把持して前記ガラス板の熱処理を行う熱処理工程を備え、
前記熱処理工程において、前記ガラス板の両主表面がクランプで挟まれることで前記ガラス板は前記クランプに把持され、
前記熱処理が行われる間および前記熱処理が行われた後における前記クランプによる把持力が、前記ガラス板の破壊強度より大きいことを特徴とするディスプレイ用ガラス板の製造方法。
(2)前記把持力によって把持された部分のガラス板の面強度が、前記ガラス板の端面強度より大きいことを特徴とする前記(1)に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
(3)前記ガラス板の両主表面を挟む前記クランプの部分はステンレス鋼繊維で構成されている、前記(1)または前記(2)に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
(4)前記クランプは、前記ガラス板の製品領域以外の領域を把持する、前記(1)から前記(3)のいずれか1つに記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
上述のガラス基板の製造方法によれば、熱処理工程においてクランプで把持された部分のガラス板が損傷することを抑制できる。
本実施形態のガラス板の製造方法の工程を示す図である。 本実施形態の搬送工程で用いられる熱処理炉の内部構造を説明する図である。 本実施形態の搬送工程を説明する図である。 本実施形態の搬送工程でクランプに把持されたガラス板を側方から見て示す図である。 本実施形態の搬送工程で用いられる、クランプが取り付けられたバーを搬送方向から見て示す図である。 (a)、(b)は、クランプの一例を示す図である。 (a)、(b)は、クランプの他の一例を示す図である。
以下、本実施形態のディスプレイ用ガラス板の製造方法について説明する。
本実施形態のディスプレイ用ガラス板の製造方法は、成形されたガラス板の端部をクランプで把持してガラス板の熱処理を行う熱処理工程において、ガラス板の両主表面がクランプで挟まれることでガラス板はクランプに把持され、熱処理が行われる間および熱処理が行われた後におけるクランプによる把持力が、ガラス板の破壊強度より大きいことを特徴とする。この方法では、ガラス板がクランプで把持された状態で熱処理工程が行われる場合に、クランプで把持されたガラス板の部分が損傷するのを抑制できる。したがって、この方法は、端部における損傷によって歩留まり率が悪化しやすい比較的サイズの大きいディスプレイ用ガラス板を製造するのに適している。
(ガラス板の製造方法の概略説明)
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス板の製造方法は、成形工程(S1)と、徐冷工程(S2)と、採板工程(S3)と、熱処理工程(S4)と、切断工程(S5)と、端面加工工程(S6)と、洗浄工程(S7)と、検査工程(S8)と、梱包工程(S9)と、を備える。
成形工程(S1)では、熔融ガラスをシートガラスに成形する。成形方法には、フュージョン法(オーバーフローダウンドロー法)、フロート法等の公知の方法が用いられる。このうち、フュージョン法は、製造ラインに含まれる徐冷装置を長くすることが困難であることから、オフラインアニールを行う本実施形態の方法に適している。
徐冷工程(S2)では、成形されて搬送されるシートガラスの内部歪および反りが生じないよう、徐冷装置において冷却する。
採板工程(S3)では、徐冷されたシートガラスを所定の長さごとに採板して複数のガラス板を得る。ガラス板は、矩形形状に採板されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ0.5m〜3mである。ガラス板の板厚は、例えば、0.1〜1.1mmである。
熱処理工程(S4)では、後述する熱処理炉内で、ガラス板に対し熱処理を行う。なお、熱処理炉内では、熱処理工程(S4)が行われる間、ガラス板を搬送する搬送工程が合わせて行われてもよい。
切断工程(S5)では、熱処理を行ったガラス板を所定のサイズに切断して複数のガラス基板を得る。ガラス基板は、矩形形状に切断されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ500mm〜3500mmである。
端面加工工程(S6)では、ガラス基板に対し、端面の研削、研磨およびコーナーカットを含む端面加工を行う。
洗浄工程(S7)では、ガラス基板を洗浄する。
検査工程(S8)では、洗浄されたガラス基板に対し、表面に傷、塵、汚れがないか、あるいは、気泡、異物等の内部欠陥がないか、光学的検査を行う。
梱包工程(S9)では、検査の結果、所望の品質に適合するガラス基板を梱包する。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
(ガラス板)
本実施形態で製造されるガラス板は、ディスプレイに用いられるディスプレイ用ガラス板であり、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス板、曲面ディスプレイ用ガラス板である。また、本実施形態で製造されるガラス板は、例えば、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を使用した酸化物半導体ディスプレイ用ガラス板、LTPS(低温ポリシリコン)半導体を使用したLTPSディスプレイ用ガラス板である。また、本実施形態で製造されるガラス板は、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス板、有機ELディスプレイ用ガラス板である。
本実施形態で製造されるガラス板は、熱収縮率は10ppm以下であることが、ディスプレイに用いられる点から好ましく、熱収縮率は6ppm以下であることがより好ましく、3ppm以下であることがより好ましく、2ppm以下であることがより好ましい。ガラス板の熱収縮率を2ppm以下にすることにより、ガラス板の面内の熱収縮のばらつきを2ppm以下にすることができる。
ガラス板の歪点は、高精細なディスプレイ用ガラス板とするために、600℃〜760℃であることが好ましい。例えば、歪点は、661℃である。
本実施形態の熱処理により熱収縮率を低減する前のガラス基板の熱収縮率は、500℃、10分で熱処理した場合において、80ppm以下であり、より好ましくは40ppm〜60ppmである。
このようなガラス板として、以下のガラス組成のガラス板が例示される。つまり、本実施形態の方法では、以下のガラス組成のガラス板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As、Sb及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
(熱処理炉の構成、および、熱処理工程)
本実施形態の熱処理工程(S4)は、図2に示す熱処理炉を用いて行われる。図2は、熱処理炉1の内部構造を説明する図である。熱処理炉1は、熱処理工程(S4)と合わせて搬送工程を行うことができる。
熱処理炉1は、ガラス板Gが搬入されるよう開口された入口3と、炉1内を通過したガラス板Gが搬出されるよう開口された出口5と、入口3と出口5とを炉1内で接続するように延びる搬送路7と、を有している。ガラス板Gの搬送方向は、図2において左方から右方に向かう方向であり、矢印Aで示す方向である。なお、図2では、便宜のため、入口3と出口5の間の熱処理炉1の部分を省略している。
ガラス板Gは、熱処理炉1の上流側を、主表面が上下方向を向いた状態で搬送され、入口3において、図示されない吸着機構によって、主表面が吸着され支持されながら、主表面が搬送方向を向くよう立てられる。
ガラス板Gは、出口5において、図示されない他の吸着機構によって、主表面が吸着され支持されながら、主表面が上下方向を向くよう寝かせられる(倒される)。寝かせられたガラス板Gは、熱処理炉1の下流側において、主表面が上下方向を向いた状態で搬送される。
搬送路7は、搬送方向に3つに分けてなる3つの区間を有しており、ガラス板Gが3つの区間を搬送されることで、ガラス板Gに対し、昇温、キープ、降温の各熱処理が順に行われる。図2には、昇温区間7a、降温区間7cの各一部が示され、後で参照する図3には、キープ区間7bの一部が示される。3つの区間7a〜7cは、温度、ガラス板Gが搬送される時間等の熱処理条件は異なるが、装置構成は同様である。搬送路7には、ガラス板Gの温度を測定する測定手段が、搬送方向の所定間隔ごとに設けられている。測定手段は、具体的に、ガラス板Gの風上側の端部(上端部)および風下側の端部(下端部)の温度をそれぞれ測定する。測定手段には、例えば熱電対温度計が用いられる。
熱処理炉1は、搬送路7上で複数のガラス板Gを搬送する搬送ユニットと、搬送されるガラス板Gに対し熱処理を行う熱処理ユニットと、を備える。
(a)搬送ユニット
搬送ユニットは、搬送工程を行うためのものであり、搬送されるガラス板Gの搬送方向の両端に掛け渡された2本のチェーンベルト(搬送ベルト)21(図3参照)と、チェーンベルト21とともに搬送方向に移動する複数のバー23と、バー23に取り付けられた複数のクランプ25と、を有している。
チェーンベルト21は、例えば、搬送方向の両端のそれぞれにおいて複数のローラに架け渡され、図2に示されるように駆動される。なお、図2には、便宜のため、搬送方向の上流側の複数のローラのうちの一部のローラのみを示す。チェーンベルト21は、図3に示すように、搬送されるガラス板Gの幅方向の両端のそれぞれと対応するよう1本ずつ設けられ、熱処理工程(S4)の間、図示されない駆動機構によって駆動される。図3は、本実施形態の熱処理工程を説明する図である。なお、図3では、チェーンベルト21のうちの搬送方向に移動する部分を示し、搬送方向と反対方向に移動する部分を省略している。また、図3では、説明の便宜のため、バー23およびクランプ25の図示を省略している。
バー23は、例えば金属を材質とする板状部材である。バー23は、搬送工程(S4)において、長手方向の両端が、搬送方向に移動するチェーンベルト21の部分に載置され、チェーンベルト21に追従するように搬送方向に移動する。バー23には、クランプ25が取り付けられており、熱処理炉1の入口3において、把持機構4によってガラス板Gがクランプ25に把持されることでガラス板Gはバー23に吊り下げられる。把持機構4は、例えば、搬送方向に沿って可動なシリンダと、シリンダを駆動させるソレノイドと、を有している。ガラス板Gがクランプ25に把持される際、クランプ25の互いに離反した***作端41a(図6参照)のうち搬送方向の上流側にある端41aは、シリンダと同じ高さ位置に配置され、さらに、シリンダがソレノイドによって駆動されることで、他方の***作端41aに接近するよう搬送方向に押し付けられる。これにより、クランプ25が開いて、先端41b同士の間にスペースにガラス板Gの上端部を配置することができ、さらにシリンダが搬送方向と反対方向に退避することで先端41b同士が接近して、ガラス板Gはクランプ25に把持される。
図4および図5に、バー23およびクランプ25をより詳細に示す。図4は、クランプ25に把持されたガラス板Gを側方から見て示す図である。図5は、クランプ25が取り付けられたバー23を搬送方向から見て示す図である。なお、図5において、クランプ25を、搬送方向の上流側に位置するクランプ要素41(後述)を省略して示す。ガラス板Gを吊り下げたバー23は、搬送路7においてガラス板Gを所定の間隔(ピッチ)で搬送するために、搬送路7の上流側の端に配置されたロード機構8によって、1本ずつ、互いに間隔をあけてチェーンベルト21に載置される。これによって、ガラス板Gは、バー23を介してチェーンベルト21に吊り下げられた状態で搬送(縦吊り搬送)される。ガラス板Gの間隔は、狭いほど、生産性は高くなるが、隣り合うガラス板G同士が接触する可能性が高くなる。このため、ガラス板Gの間隔は、生産性およびガラス板同士の接触防止の観点から、20〜200mmであることが好ましく、より好ましくは50〜150mmである。なお、図2および図4では、説明の便宜のため、複数のガラス板Gの間隔を詰めて示す。
ガラス板Gを吊り下げたバー23は、搬送路7の下流側の端に配置されたアンロード機構9によって、チェーンベルト21から取り外され、熱処理炉1の出口5において、抜き取り機構6によってガラス板Gはクランプ25から抜き取られる。抜き取り機構6は、把持機構4と装置構成が同様であり、シリンダが、互いに離反した***作端41aのうち搬送方向の上流側にある端41aを他方の***作端41aに接近するよう搬送方向に押し付けることでクランプ25が開いて、ガラス板Gがクランプ25の先端41b同士の間のスペースから引き出されることで、ガラス板Gは抜き取られる。
クランプ25は、ガラス板Gの上端部を把持する部材である。クランプ25は、特に制限されないが、例えば、バネ力によってガラス板Gの両主表面を挟むバネクランプを採用することができる。バネクランプの例として、図6に示されるように、互いに対して回動するよう連結された1対のクランプ要素41と、クランプ25を把持姿勢(図6(a)に示す姿勢)とするようクランプ要素41を付勢するバネ43と、を備えるものが挙げられる。クランプ要素41はそれぞれ、長手方向に延びる形状を有しており、外部からの操作力を受ける***作端41aと、ガラス板Gの主表面と接触する先端41bと、を有している。クランプ25は、バネ43のバネ力によって把持姿勢とされた状態において、クランプ要素41の先端41b同士は接近し、かつ、***作端41a同士は離反している。把持姿勢のクランプ25は、バネ力に抗して***作端41a同士が接近するよう***作端41aに外部からの操作力(例えば、前述のシリンダによる押付力)が作用することで、先端41b同士は離反し、クランプ25は解除姿勢となり(図6(b)に示す姿勢)、ガラス板Gの抜き取りまたは把持を行うことができる。クランプ25は、ガラス板Gの製品領域以外の領域を把持することができ、製品領域以外の領域を把持することにより、ガラス板Gの製品領域への傷の発生を防ぐことができる。
クランプ25の先端41bは、搬送工程においてガラス板Gがクランプ25から落下するのを防止する観点から、ガラス板Gの主表面との間の摩擦を大きくする材料で構成されていることが好ましい。そのような材料として金属、又は、合金を繊維化した部材、より具体的には、ステンレス鋼又はこれに類似する合金鋼を繊維化した部材が挙げられる。クランプ25の先端41bは、例えば、SUS316L(ステンレス鋼材)、SUS304(ステンレス鋼材)を、繊維化し、綾織りした構成からなるクロス形状、又は、綾織り構成後に帯状にしたテープ形状のステンレス鋼繊維である。ステンレス鋼繊維は、耐熱性があり、かつ、ガラス表面を傷つけにくい材質である点でも好ましい。クランプ25の先端41bとして、具体的にはナスロン(登録商標)が用いられる。また、クランプ25の先端41bは、クロム合金、及び、ニッケル合金から選ばれた一種、又は、それらの組合せからなる合金鋼を繊維化した部材であってもよい。このため、クランプ25の先端41bは、ステンレス鋼、クロム合金、及び、ニッケル合金から選ばれた一種、又は、それらの組合せからなる合金鋼を繊維化した部材からなる。また、クランプ25の先端41bは、耐熱性を有する繊維フェルト部材、例えば、耐熱性を有するカーボンフェルト、シリカフェルト、アルミナフェルト、チラノフェルト、及び、金属フェルトから選ばれた一種、又は、それらの組合せからなる部材であってもよい。ここで、繊維フェルト部材とは、短繊維により編みこまれた部材であり、繊維径が20μm以下であり、空隙率が50%以上からなる部材である。繊維フェルト部材は、合金鋼と比べて部材から発塵しやすいが、ガラス板Gを上述のステップS7で洗浄することにより、ガラス板Gから発塵物を除去できるため、繊維フェルト部材を用いることもできる。
また、バネクランプの他の例として、図6に示したクランプ25のほか、図7に示すクランプ25を挙げることができる。図7に示すクランプ25は、断面視コの字形状のベース部材51と、ベース部材51に対して動くようにベース部材51に取り付けられた可動部材53と、クランプ25を把持姿勢(図7(a)に示す姿勢)とするようベース部材51および可動部材53にバネ力を付与するバネ55と、を有している。ベース部材51は、コの字形状の両端に位置する端51a、51bを有し、このうち端51aと、可動部材53と、がガラス板Gの主表面と接触する。バネ55は、ベース部材51の他方の端51bと可動部材53との間に配置され、可動部材53をベース部材51の端51aに接近するよう付勢して、クランプ25を把持姿勢にする。把持姿勢にあるクランプ25は、外部からの操作力によって可動部材53が操作されて、可動部材53がベース部材51の端51aから離反することで解除姿勢となり(図7(b)に示す姿勢)、ガラス板Gの抜き取りおよび挿入を行うことができる。ベース部材51の端51a、および、可動部材53のガラス板Gと接触する部分は、図6に示すクランプ25の先端41bと同様に、ガラス板Gの主表面との間の摩擦を大きくする材料で構成されることが好ましい。
なお、バネクランプは、図6および図7に示すものに限定されない。また、クランプには、バネクランプのほか、ガラス板Gの両主表面に当接してガラス板Gを挟むように把持するものであれば特に制限されず、ガラス板Gを把持する力(把持力)の大きさを調節できるものが好ましく用いられる。
1つのバー23に取り付けられるクランプ25の数は、1つであってもよいが、搬送中のガラス板Gの姿勢をより安定させるために、2つ以上であることが好ましい。2つ以上のクランプ25がバー23に取り付けられている場合、クランプ25は、バー23に対し幅方向にスライドできるよう構成されていることが好ましい。金属材料で構成されたバー23は、ガラス板Gよりも熱膨張率が高く幅方向に延びやすい。このため、クランプ25がバー23に対して幅方向に移動することで、バー23が熱膨張してもガラス板Gの上端部に撓みや変形が生じるのを防止することができる。
(b)熱処理ユニット
熱処理ユニットは、熱処理工程(S4)を行うためのものであり、搬送されるガラス板Gの上方および下方のそれぞれに搬送方向に並ぶよう配置された複数のファン付きヒータ31を有している。ファン付きヒータ31は、搬送されるガラス板Gに、予め設計された温度プロファイルが形成されるよう、図示しない制御装置によって制御される。
ファン付きヒータ31は、ヒータで加熱された気体をファンで送風するよう、ヒータとファンが互いに隣接して配置された一体の装置であり、熱処理炉1内では、ヒータに対してファンを下方にして配置される。ファン付きヒータ31のヒータには、例えば、バーナーヒータ、電気ヒータが用いられる。ファンは、熱処理工程(S4)の間、ヒータで加熱された空気を、図3に示されるように下方に向けて送風するよう駆動される。図3において、熱風が流れる向きを太い矢印で示す。熱処理炉1内の雰囲気中に粉塵が浮遊している場合であっても、このようなダウンフローの熱風によって粉塵は炉1の底部に運ばれるため、粉塵が雰囲気中を浮遊し続けてガラス板Gの表面に付着するのを抑えることができる。また、ダウンフローの熱風は、熱処理炉1内を循環する空気流を形成できる点で好ましい。熱風は、ガラス板G間を下方に流れた後、熱処理炉1の底部に沿って熱処理炉1の図示されない側壁まで流れて、側壁に沿って上昇し、さらに熱処理炉1の天井に沿って流れることで、搬送路7の周りを循環する。
ファン付きヒータ31は、発熱する領域の横方向(図2の紙面奥行き方向)長さが、搬送されるガラス板Gの幅方向長さより長いことが好ましい。また、搬送方向に隣り合うファン付きヒータ31の間隔は、搬送方向にわたって熱風の温度にムラが生じないよう調整される。
ここで、クランプ25の把持力とガラス板の強度との関係について説明する。
熱処理が行われる間および熱処理が行われた後におけるクランプ25による把持力が、ガラス板の破壊強度より大きい。また、熱処理が行われる間および熱処理が行われた後におけるクランプ25に把持された部分のガラス板の面強度は、ガラス板の端面強度より大きい。このような関係が満たされるよう、クランプ25でガラス板Gが把持されていることによって、熱処理工程において、ガラス板Gのクランプ25で把持された部分において割れが発生することを抑えられる。ここで、ガラス板の破壊強度は、ガラス板の端面強度に相当する。ガラス板において、端面の強度が最も弱いため、ガラスの破壊強度は、実質的にガラスの端面強度になる。面強度および端面強度は、いずれも、板厚方向の荷重に対するガラス板の強度を評価する指標である。ガラスの面強度は、せん断応力をかけて測定される面強度(N/mm)である。また、端面強度は、曲げ、引っ張り応力をかけて測定される端面強度(N/mm)である。ここでは、破壊強度は、ガラス板に固有な特性とし、一定の大きさであるのに対し、面強度は、クランプ25の把持力および熱処理によって変化する。具体的に、面強度は、クランプ25の把持力が大きくなると低下し、また、熱処理が行われることで低下する。本発明者は、ガラス板Gの面強度と、クランプ25の把持力および熱処理との間にこのような相関関係があることを突き止め、さらに、クランプ25に把持された部分のガラス板の面強度がガラス板Gの破壊強度より大きければ、熱処理工程において、クランプ25で把持されたガラス板Gの部分において、割れが生じるのを抑えられることを見出した。
本実施形態において、クランプ25の把持力は、このようなガラス板Gの面強度と破壊強度との関係を満たすよう調整される。具体的には、実際に作製された種々のガラス板を用いて測定することによって得た、板厚方向の荷重の大きさと面強度との関係、熱処理工程に伴う面強度の変化、および端面強度の変化に関する情報に基づいて、クランプ25で把持しかつ熱処理を行うことによって低下すると予想される面強度を目標面強度として、その目標面強度を超える面強度が熱処理工程において維持されるよう、クランプ25の把持力、クランプ25とガラス板Gの主表面との接触面積等が決定される。クランプ25とガラス板Gとの主表面との接触面積は、バー23に複数のクランプ25が取り付けられる場合は、各クランプ25とガラス板Gとの接触面積の合計である。上記のように決定された把持力、接触面積を満たすクランプ25を採用することで、上記のガラス板Gの面強度と破壊強度との関係が満たされる。また、決定された把持力、接触面積を満たす範囲で、バー23に取り付けられるクランプ25の数は調整される。なお、目標面強度は、破壊強度と等しい。
一方で、ガラス板Gの傷の発生が少なく面強度が高い状態では(例えば、クランプ25の把持力が小さすぎる場合や、熱処理工程において十分に昇温されていない場合)、ガラス板Gは自重によりクランプ25から外れ、落下するおそれがある。このようなガラス板Gのクランプ25に対するずり落ちは、ガラス板Gの重量が大きい場合や、ガラス板Gとクランプ25の摩擦抵抗が小さい場合も発生しうる。このため、ガラス板Gのずり落ちを防止する観点から、ガラス板の重量およびガラス板Gとクランプ25の摩擦抵抗を考慮して、上記したクランプ25の把持力、接触面積を決定することが好ましい。
また、熱処理炉1のキープ区間を搬送される前に、予めガラス板Gの主表面と接触するクランプ25の部分を加熱しておくことが好ましい。このような事前加熱をすることで、クランプ25のガラス板Gとの接触部分の摩擦係数が上昇し、ガラス板Gのクランプ25からのずり落ちが生じ難くなる。事前加熱は、例えば、クランプ25を、ガラス板Gを吊り下げたバー23ごと、熱処理炉1の昇温区間を搬送させることで行うことができる。
本実施形態のディスプレイ用ガラス板の製造方法では、ガラス板の面強度が破壊強度より大きければ、熱処理工程においてクランプで把持されたガラス板の部分に割れが生じるのを抑制できる。
なお、本実施形態のガラス板の製造方法において、搬送工程は行われてなくてもよい。また、熱処理工程は、1枚のガラス板のみに対して行ってもよい。
(実験例)
オーバフローダウンドロー法を用いて作製した、SiO2 67.0モル%、Al23 10.6モル%、B23 11.0モル%、RO 11.4モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)のガラス組成を有する厚さ0.5mmのシートガラスを、2270mm×2000mmのサイズの複数の矩形形状のガラス板に採板した。採板したガラス板を、上記説明した熱処理炉1内で、図6に示す形態のクランプ25で把持した状態で、ガラス板に対し熱処理工程を行った(実施例)。クランプ25の把持力、ガラス板Gの主表面との接触面積の合計、クランプ数を調整することにより、ガラス板Gの面強度が、端面強度(破壊強度)を上回るようにした。ガラス板Gと接触するクランプの部分にはステンレス鋼繊維を材質とするものを用いた。
クランプ25の把持力:0.3〜0.8N/mm
クランプ25のガラス板Gの主表面との接触面積の合計:9000mm
クランプ数:6個
また、熱処理は下記の条件で行った。
昇温区間:常温から、500℃〜520℃の範囲まで30分かけて昇温
キープ区間:500℃〜520℃の範囲で120分保持
降温区間:500℃〜520℃の範囲から400℃まで90分かけて降温
また、実施例のガラス板を採板した同じシートガラスから採板したガラス板を用いて、常温においてガラス板が割れない範囲でクランプ25の把持力を調整し、ガラス板Gの主表面との接触面積の合計およびクランプ数を調整せずに、下記のように把持した点を除いて実施例と同様に熱処理工程を行った(比較例)。
クランプ25の把持力:50〜100N/mm
クランプ25のガラス板Gの主表面との接触面積の合計:9000mm
クランプ数:6個
熱処理終了後、実施例および比較例のガラス板のクランプで把持した部分を、割れが発生しているか観察した。熱処理終了後にガラス板をロボットアームにより搬送した時に割れが発生するか否かを観察した。その結果、実施例では、割れは確認されなかったのに対し、比較例では、割れが確認された。このため、ガラス板の面強度の変化は、クランプの把持力に依存し、クランプの把持力を一定以下にすることにより、ガラス板の割れを抑制できることが確認された。
以上、本発明のディスプレイ用ガラス板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 熱処理炉
3 入口
5 出口
7 搬送路
21 チェーンベルト(搬送ベルト)
23 バー
25 クランプ
27 ベルト
31 ファン付きヒータ
G ガラス板

Claims (4)

  1. 成形されたガラス板の一端をクランプで把持して前記ガラス板の熱処理を行う熱処理工程を備え、
    前記熱処理工程において、前記ガラス板の両主表面がクランプで挟まれることで前記ガラス板は前記クランプに把持され、
    前記熱処理が行われる間および前記熱処理が行われた後における前記クランプによる把持力が、前記ガラス板の破壊強度より大きいことを特徴とするディスプレイ用ガラス板の製造方法。
  2. 前記把持力によって把持された部分のガラス板の面強度が、前記ガラス板の端面強度より大きいことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
  3. 前記ガラス板の両主表面を挟む前記クランプの部分はステンレス鋼繊維で構成されている、請求項1又は2に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
  4. 前記クランプは、前記ガラス板の製品領域以外の領域を把持する、請求項1から3のいずれか1項に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
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