しかし、ガスコンロは調理に用いるものであるところ、上記従来の技術では燃焼動作中に乾電池の交換時期か否かを判定するものであるため、調理中に電池電圧が第二の設定値未満に低下してしまった場合、調理の途中であるにもかかわらずガスコンロの燃焼動作が停止してしまい、料理の味を著しく損ねたり、最悪の場合には調理に用いた食材を無駄にしてしまうおそれがある。
かかる問題の改善のため、本願出願人は、燃焼ガス流量を調整するためのステッピングモータを具備するガスコンロにおいて、電源投入直後、ガスコンロの燃焼動作開始前に、最大負荷であるステッピングモータを全相励磁させ、そのときの電池電圧検出値が所定電圧未満となるか否かに基づいて電池寿命を判定し、電池寿命であると判定された場合に電池交換要求報知を行うとともに燃焼動作を開始しないよう制御する電池式ガスコンロの開発を行っている。
しかしながら、ステッピングモータの全相励磁を電源投入時に毎回行うと、本来の動作ではない電池寿命確認動作のための電力消費が大きくなってしまうという問題がある。その一方、電池は開放電圧が最も大きく、出力電流が増加するにしたがって出力電圧が低下するという特性を有しているため、最大負荷を動作させない状態における開放電圧に基づいて電池寿命を判定すると、燃焼動作中に最大負荷を動作させた場合に十分な電池出力電圧が得られず、かかる負荷の動作に支障をきたす。
そこで、本発明は、電力消費を抑えつつ機器動作開始前に的確に電池寿命を判定し得る電池を電源とする機器を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、電池を電源として動作する電気負荷と、該電気負荷の動作を制御するとともに前記電池を電源として動作する制御部とを備え、該制御部は前記電池の出力電圧に基づいて前記電池が寿命であるか否かを判定処理する電池寿命判定手段を備える、電池を電源とする機器において、前記電池寿命判定手段は、前記電気負荷が低消費電力状態であるときに前記電池の出力電圧が第1の閾値よりも低いと判定された場合に、前記電気負荷が前記低消費電力状態よりも消費電力の大きな高消費電力状態となるよう前記電気負荷の動作を制御して、かかる高消費電力状態のときに前記電池の出力電圧が前記第1の閾値よりも低い第2の閾値よりも低い場合に前記電池の寿命であると判定するよう構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
かかる本発明は、電池の開放電圧も電池の消耗に伴って低下していくという知見に基づいてなされたものであり、電池寿命判定手段は、まず、電気負荷が低消費電力状態(例えば電力消費が無い状態や、極めて低い消費電力である状態など)であるときの電池の出力電圧が第1の閾値(例えば、電池の定格電圧が3Vであれば2.6Vなど)よりも低いか否かを判定し、第1の閾値よりも高い場合は電池寿命ではないと判定して電池寿命判定処理を終了することができ、この場合殆ど電力消費を行うことなく電池寿命判定処理を終了できるので、電池の寿命の長期化を図ることができる。一方、電池寿命判定手段によって電気負荷が低消費電力状態であるときの電池の出力電圧が第1の閾値よりも低いと判定された場合には、電気負荷を高消費電力状態にして再度電池の出力電圧を判定するが、このときは第1の閾値よりも低い第2の閾値よりも電池の出力電圧が低いか否かを判定し、高消費電力状態で電池の出力電圧が第2の閾値よりも低い場合に電池の寿命であると判定し、第2の閾値以上の場合は電池の寿命ではないと判定させることができる。このように、高消費電力状態での電池の出力電圧に基づいて電池寿命を判定することにより、機器の通常動作中における最大負荷が動作した場合に電圧不足に陥ることを事前に防止することができ、これにより機器の通常動作前に電池寿命判定を的確に行うことができる。
上記本発明の電池を電源とする機器において、好ましくは、前記電池寿命判定手段による判定処理が前記制御部に電源が投入されたときに実行されるよう前記制御部を構成することができる(請求項2)。これによれば、機器の電源投入時に電池寿命判定を行うことにより、電池寿命であるにもかかわらず機器の使用が開始され、機器使用中の最大負荷動作時に急に電池寿命により機器が停止してしまうということを回避できる。
また、前記電気負荷に関連する操作部をさらに備え、前記制御部は、前記操作部の操作に基づいて前記電気負荷の動作を制御するが、前記電池寿命判定手段により前記電池の寿命であると判定された場合には前記操作部の操作を受け付けないように構成されているものとすることができる(請求項3)。これによれば、操作部の操作によって電気負荷を動作させることが可能な機器において、操作部が操作される前に予め電池寿命判定手段により電池寿命を判定し、電池寿命であると判定された場合にはその後操作部を操作しても操作部の操作に伴う電気負荷の動作制御が行われず、電池寿命に起因する電気負荷の動作不良が生じることを回避できる。
また、前記低消費電力状態は前記電気負荷の動作を停止させた状態であってよい(請求項4)。これによれば、電池の出力電圧が第1の閾値よりも低くなるまでにおける電池寿命判定手段の判定動作時に要する消費電力を可及的に低く抑えることができ、一層の電池寿命の向上を図ることができる。
また、前記電気負荷は複数の電気駆動部品を備え、前記高消費電力状態は、前記複数の電気駆動部品のうち最大の電力消費を行う電気駆動部品を最大消費電力で動作させた状態であってよい(請求項5)。これによれば、実際の機器の動作中における最大消費電力時と同等の電力消費状況を電池寿命判定手段による判定処理時に生じさせ、より的確な電池寿命判定を行わせることができる。
また、前記制御部は、前記電池が交換されたか否かを検出する電池交換検出手段と、該電池交換検出手段により前記電池が交換されたことを検出したときに前記低消費電力状態における前記電池の出力電圧と前記高消費電力状態における前記電池の出力電圧との差電圧を測定するドロップ電圧測定手段と、前記差電圧が所定値以上であるときに前記第1の閾値の値を変更する閾値変更手段とをさらに備えているものとすることができる(請求項6)。一般に、電池の種類やグレードによっては開放電圧に対して負荷を接続したときの電圧の降下が激しいものがあることが知られており、このような性能の異なる電池に交換された場合、開放電圧が第1の閾値よりも高くても、機器の動作中に最大の負荷が動作すると電池の出力電圧が大きく落ち込み、機器の動作に支障を来す場合がある。しかし、上記構成によれば、電池交換された場合に、高消費電力状態における差電圧を測定して、かかる電池が新品時の差電圧が大きい場合には第1の閾値の値を変更する(より好ましくは第1の閾値の値をより大きくする)ことにより、電池の品質に応じて第1の閾値の値を適切に設定することができる。
また、前記制御部は、前記電池が交換されたか否かを検出する電池交換検出手段と、該電池交換検出手段により前記電池が交換されたことを検出したときに前記低消費電力状態における前記電池の出力電圧と前記高消費電力状態における前記電池の出力電圧との差電圧を測定するドロップ電圧測定手段とをさらに備え、前記電池寿命判定手段は、前記差電圧が所定値以上であるときは前記低消費電力状態であるときの前記電池の出力電圧が第1の閾値よりも低いか否かを判定することなく、前記電気負荷が前記高消費電力状態となるよう前記電気負荷の動作を制御して、かかる高消費電力状態のときに前記電池の出力電圧が前記第2の閾値よりも低い場合に前記電池の寿命であると判定するものであってもよい(請求項7)。これによれば、電池交換された場合に、高消費電力状態における差電圧を測定して、かかる電池が新品時の差電圧が大きい場合には、常に電池寿命判定手段が高消費電力状態時の電池の出力電圧が第2の閾値よりも低いか否かを判定するため、性能の異なる電池に交換された場合にも的確に電池寿命の判定を行うことができる。
また、前記制御部によって報知動作制御される報知部をさらに備え、前記制御部は、前記電池寿命判定手段が前記電池の寿命であると判定すると前記報知部を報知動作させるよう構成されているものとすることができる(請求項8)。これによれば、電池寿命であると判定された場合に報知部を報知動作させることでユーザーに対して電池交換を促すことができる。
本発明は、上記した電池を電源とする機器からなる電池式ガスコンロとして好適に実施でき(請求項9)、より好ましくは、前記電気負荷として燃焼ガス流量を調整するステッピングモータを含み、前記高消費電力状態は、前記ステッピングモータを全相励磁した状態であってよい(請求項10)。これによれば、電池式ガスコンロの電池寿命判定を可能な限り低消費電力で行うことができるとともに、燃焼ガス流量を調整するステッピングモータの動作中に電池切れとなることを防止できる。
なお、高消費電力状態となるよう動作制御される電気駆動部品は、スライダや回転子などの可動部を備えるものとすることができ、この場合、好ましくは、高消費電力状態は、可動部を停止乃至位置保持させたまま電力消費量が大きくなる状態(例えばステッピングモータの全相励磁など)とすることができる。これによれば、電池寿命判定処理中に電気駆動部品の可動部が動いてしまうことがない。
以上、説明したように、本発明の請求項1に係る電池を電源とする機器によれば、、電池寿命判定手段は、まず、電気負荷が低消費電力状態(例えば電力消費が無い状態や、極めて低い消費電力である状態など)であるときの電池の出力電圧が第1の閾値(例えば、電池の定格電圧が3Vであれば2.6Vなど)よりも低いか否かを判定し、第1の閾値よりも高い場合は電池寿命ではないと判定して電池寿命判定処理を終了することができ、この場合殆ど電力消費を行うことなく電池寿命判定処理を終了できるので、電池の寿命の長期化を図ることができる。一方、電池寿命判定手段によって電気負荷が低消費電力状態であるときの電池の出力電圧が第1の閾値よりも低いと判定された場合には、電気負荷を高消費電力状態にして再度電池の出力電圧を判定するが、このときは第1の閾値よりも低い第2の閾値よりも電池の出力電圧が低いか否かを判定し、高消費電力状態で電池の出力電圧が第2の閾値よりも低い場合に電池の寿命であると判定し、第2の閾値以上の場合は電池の寿命ではないと判定させることができる。このように、高消費電力状態での電池の出力電圧に基づいて電池寿命を判定することにより、機器の通常動作中における最大負荷が動作した場合に電圧不足に陥ることを事前に防止することができ、これにより機器の通常動作前に電池寿命判定を的確に行うことができる。
また、本発明の請求項2に係る電池を電源とする機器によれば、機器の電源投入時に電池寿命判定を行うことにより、電池寿命であるにもかかわらず機器の使用が開始され、機器使用中の最大負荷動作時に急に電池寿命により機器が停止してしまうということを回避できる。
また、本発明の請求項3に係る電池を電源とする機器によれば、操作部の操作によって電気負荷を動作させることが可能な機器において、操作部が操作される前に予め電池寿命判定手段により電池寿命を判定し、電池寿命であると判定された場合にはその後操作部を操作しても操作部の操作に伴う電気負荷の動作制御が行われず、電池寿命に起因する電気負荷の動作不良が生じることを回避できる。
また、本発明の請求項4に係る電池を電源とする機器によれば、電池の出力電圧が第1の閾値よりも低くなるまでにおける電池寿命判定手段の判定動作時に要する消費電力を可及的に低く抑えることができ、一層の電池寿命の向上を図ることができる。
また、本発明の請求項5に係る電池を電源とする機器によれば、実際の機器の動作中における最大消費電力時と同等の電力消費状況を電池寿命判定手段による判定処理時に生じさせ、より的確な電池寿命判定を行わせることができる。
また、本発明の請求項6に係る電池を電源とする機器によれば、電池交換された場合に、高消費電力状態における差電圧を測定して、かかる電池が新品時の差電圧が大きい場合には第1の閾値の値を変更することにより、電池の品質に応じて第1の閾値の値を適切に設定することができる。
また、本発明の請求項7に係る電池を電源とする機器によれば、電池交換された場合に、高消費電力状態における差電圧を測定して、かかる電池が新品時の差電圧が大きい場合には、常に電池寿命判定手段が高消費電力状態時の電池の出力電圧が第2の閾値よりも低いか否かを判定するため、性能の異なる電池に交換された場合にも的確に電池寿命の判定を行うことができる。
また、本発明の請求項8に係る電池を電源とする機器によれば、電池寿命であると判定された場合に報知部を報知動作させることでユーザーに対して電池交換を促すことができる。
また、本発明の請求項9に係る電池式ガスコンロによれば、電池式ガスコンロの電池寿命判定を可能な限り低消費電力で行うことができる。さらに、本発明の請求項10に係る電池式ガスコンロによれば、燃焼ガス流量を調整するステッピングモータの動作中に電池切れとなることを防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電池式ガスコンロ(電池を電源とする機器)の回路図であって、本発明に関連する主要回路部分の概略回路図である。ガスコンロの基本構成は従来公知の適宜のものであってよく、例えば、特開2012−7808号公報に開示されたガスコンロと同様の構成とすることができる。
まず、ガスコンロの基本構成について上記公報の図1〜図3に示された符号を引用しつつ説明すると、ガスコンロ(1)は、上方に開口する箱状をした筐体(10)と、筐体(10)の上方への開口を閉塞しガスコンロ(1)の天面部となるガラス製のトッププレート(11)と、で外殻が構成される。
トッププレート(11)にはコンロバーナ(25)を備えた加熱部(2)が複数設けられており、加熱部(2)として、標準バーナ(2a)、小バーナ(2b)、高火力バーナ(2c)の計三個のコンロバーナ(25)を設けている。
ガスコンロ(1)内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスコンロ(1)の前面に設けたグリル扉(12)によって開閉自在に閉塞される。
また、各加熱部(2)には、被加熱物検知手段(22)が設けてある。被加熱物検知手段(22)は、五徳(21)に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各コンロバーナ(25)上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
ガスコンロ(1)の前面部を構成する前面パネル(13)には、各加熱部(2)を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部(14)がそれぞれ設けてある。
各操作部(14)は手動で操作されて対応するコンロバーナ(25)の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各コンロバーナ(25)の点消火の切り替えや火力調節を行う火力設定手段(流量制御部材の目標位置設定手段)として機能する。火力調節は、消火・小火力・中火力・大火力のように複数段階で調節するものであってもよいし、また、消火から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできるし、また、立消え防止のために消火から小火力までの間の火力は設定できないようにして小火力から大火力まで10数段階〜数十段階で調節可能にすることもできる。なお、操作部(14)は、回転操作量に応じた数のパルスを制御部に出力するロータリーエンコーダによって構成することもできるし、また、ロータリーポテンショメータによって構成することもできるし、また、タッチパネルによって操作部(14)を構成してタッチ操作によって制御部内に記憶された火力設定値を増減するように構成することも可能である。
前面パネル(13)の各操作部(14)の下側には対応するコンロバーナ(25)の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル(15)が設けてあり、この設定入力パネル(15)を操作することで、コンロバーナ(25)毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
また、前面パネル(13)に向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル(16)が設けてある。
上記設定入力パネル(15)(16)によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ(17)を操作することにより電源を投入した後、操作部(14)を押し操作して制御部に点火の指令を送る。この指令を受けると制御部はガス供給路(26)の元ガス電磁弁(27)を開き、且つ任意のコンロバーナ(25)又はグリルバーナに対応する流量制御弁(3)を所定開度で開くと共に点火プラグ(24)をスパークさせ、コンロバーナ(25)又はグリルバーナを点火する。これにより、コンロバーナ(25)の炎により対応する五徳(21)上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
また、ガス機器には、マイクロコンピュータにより主構成される制御部が設けられる。制御部には、各バーナ(25)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対(23)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル(15)(16)又は/及びトッププレート(11)に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
各コンロバーナ(25)及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続され、この燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路(26)からそれぞれ分岐する分岐路(26a)が接続されている。
また、各分岐路(26a)を通過する燃料の量を制御すると共に各分岐路(26a)における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(3)と、前記流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)が各分岐路(26a)毎にそれぞれ設けられ、弁体として機能する流量制御部材(34)の開度位置の微調整がステッピングモータ(30)によって行われる。また、流量制御部材(34)の開度位置を検出するポテンショメータ(4)が設けられる。更に、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する開閉弁としての元ガス電磁弁(27)が設けられる。このように、燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する弁装置として、上記流量制御弁(3)と元ガス電磁弁(27)とが直列に設けられ、元ガス電磁弁(27)は流量制御弁(3)よりもガス流路の上流側に設けられる。
元ガス電磁弁(27)と、流量制御弁(3)を駆動するステッピングモータ(30)とは、制御部により制御が行われ、ポテンショメータ(4)における検出電圧は制御部に出力されて処理される。また、流量制御弁(3)は、対応するコンロバーナ(25)が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
上記ステッピングモータ(30)としては2相乃至5相のものを好適に用いることができ、流量制御弁(3)を閉止させる際には、制御部によってステッピングモータ(30)を全相励磁することにより大きなトルクを生じさせ、これにより確実に閉弁動作を行わせるように構成できる。
上記構成のガスコンロにおいては、電池の電気負荷となる電気駆動部品として、流量制御弁(3)のステッピングモータ(30)、元ガス電磁弁(27)、点火プラグ(24)及び表示部が備えられており、全相励磁されたステッピングモータ(30)が搭載された電気駆動部品の中で最大の電力消費を行う部品となる。
次に、本実施形態の電池式ガスコンロの制御構成について詳細に説明する。
図1に示すように、制御部は、制御基板上に設けられたマイクロプロセッサ100によって主構成されており、該マイクロプロセッサ100並びに上記電気駆動部品は、筐体に設けられた電池収容部に収容された2つの乾電池101を電源として動作する。電池101からマイクロプロセッサ100及び電気駆動部品へ電池101の出力電圧(以下「電池電圧」という。)を供給する電源供給ラインは、単純なオン/オフスイッチからなる電源スイッチを用いて導通/遮断の切り替えを行うこともできるが、本実施形態では、電源供給ラインの途中に自己電源保持回路102を設け、マイクロプロセッサ100が自らへの電源供給を遮断制御できるように構成している。
自己電源保持回路102は、電源供給ラインの途中に設けられたpチャンネル型FETからなるスイッチング素子Q1を備えている。該スイッチング素子Q1のゲートは、プルアップ抵抗R1を介して電池101の正極に接続されているとともに、並列に設けられた2つのnpn型トランジスタからなるスイッチング素子Q2,Q3を介してグラウンドに接続されている。各スイッチング素子Q2,Q3のベースはそれぞれプルダウン抵抗R2,R3を介してグラウンドに接地されている。また、一方のスイッチング素子Q2のベースは、マイクロプロセッサ100の自己保持出力ポートに接続されており、マイクロプロセッサ1から自己保持信号電圧がスイッチング素子Q2に出力されている間、スイッチング素子Q2がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによりスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ100に供給される。また、もう一つのスイッチング素子Q3のベースは、電源スイッチSWを介して電池101の正極に接続されており、電源スイッチSWが操作されて導通するとスイッチング素子Q3がオンしてスイッチング素子Q1のゲートがグラウンドに接地され、これによってもスイッチング素子Q1がオンして電源電圧がマイクロプロセッサ1に供給される。マイクロプロセッサ1は、電源スイッチSWにより電源電圧が供給されることにより起動し、起動直後から上記自己保持信号を出力することにより自らへの電源供給を維持し、所定の電源断条件を満たすことにより自己保持信号の出力を停止することで自動的に電源断状態となるよう構成されている。
なお、図1においては、電池電圧をスイッチング素子Q1を介して直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給しているが、スイッチング素子Q1に直列に電流制限抵抗を設けることで降圧してマイクロプロセッサ100に供給してもよいし、また、電池101とマイクロプロセッサ100との間にDC/DCコンバータを設けて、該コンバータの出力電圧を電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給することもできる。また、電池電圧を直接電源電圧としてマイクロプロセッサ100に供給するとともに、電池電圧監視信号入力ポートなどのアナログ信号入力ポートからの入力信号の基準電圧用に、上記コンバータが出力する定電圧をマイクロプロセッサ100の基準電圧信号入力ポートに入力させることもできる。
また、電池101の正極には、分圧回路からなる電池電圧監視回路103が接続されており、該電池電圧監視回路103が出力する電池電圧監視信号がマイクロプロセッサ100の電池電圧監視信号入力ポートに入力されている。マイクロプロセッサ100は、起動中、電池電圧監視信号入力ポートに入力された電池電圧監視信号に基づいて電池電圧を検出可能に構成されており、而して、電池電圧監視回路103並びにマイクロプロセッサ100によって電池電圧検出手段が構成されている。
また、制御基板上には、上記ステッピングモータ30を駆動するための駆動回路104が設けられており、自己電源保持回路102が出力する電源電圧は、駆動回路104にも供給されている。駆動回路104は、マイクロプロセッサ100が出力する制御信号に基づいてステッピングモータ30に駆動電圧を供給する。なお、図1においては一つのステッピングモータ30のみを図示しているが、各ステッピングモータ毎に駆動回路を設けることができる。
ステッピングモータ30を動作させるための操作部14、即ち、対応するコンロバーナ(25)の点火・消火並びに火力調節を行うための操作部14の操作量は、マイクロプロセッサ100と通信可能に接続された操作基板105によって検出され、マイクロプロセッサ100は、通常制御中、操作部14の操作に基づいてステッピングモータ30の動作を制御するよう構成されている。
なお、図示していないが、マイクロプロセッサ100にはEEPROMなどの不揮発性記憶手段が内部メモリ乃至外部メモリの形態で備えられており、電源を遮断した状態でも不揮発性記憶手段に記憶したデータを記憶保持できるようになっている。
図2は、マイクロプロセッサ100が通常制御を開始する前の起動処理工程の一例を示している。マイクロプロセッサ100への電源が投入されると、不揮発性記憶手段に記憶された電池寿命フラグの設定内容を確認し、電池寿命フラグが1であれば後述するステップS9へ移行し、電池寿命フラグが0であれば、次に電池交換後最初の起動であるか否かを判定する(ステップS2)。なお、工場出荷時には電池寿命フラグは0に設定される。また、電池交換後最初の起動であるか否かの判定は適宜の方法で行うことができ、例えば、前回電源を遮断する直前の電池101の開放電圧Vpreを不揮発性記憶手段に記憶しておき、ステップS2において今回電源投入時の電池101の開放電圧Voを検出して、このVoを上記Vpreと比較することによって判定できる。電池は使用していないと充電されて電位が復帰するという特徴を有しており、この復帰量は電位の値に対してある程度決まっている。かかる充電による電位増加分をVcとすると、Vpre≦Vo≦Vpre+Vcの場合は電池が交換されていないと判定し、Vpre+Vc<Vo若しくはVo<Vpreの場合は電池が交換されたと判定することで、より正確な電池交換判定を行うことができる。
電池交換されていないと判定された場合には、電池寿命判定処理(ステップS7)に移行する。一方、電池交換されたと判定された場合には、かかる電池の品質を確認するために、ステップS3において、無負荷時(低消費電力状態)における電池電圧と、ステッピングモータ30を全相励磁したとき(高消費電力状態)における電池電圧との差電圧(ドロップ電圧)を測定して、差電圧を不揮発性記憶手段に記憶する。高消費電力状態における電池電圧を測定する際は、上記したすべてのステッピングモータ30を全相励磁しても良いが、ガスコンロの通常動作中にすべてのステッピングモータ30が同時に全相励磁されることは殆どないので、いずれか一のステッピングモータのみを全相励磁した状態を高消費電力状態とすることができる。
次に、測定された差電圧が所定電圧、例えば0.4V以上であるか否かを判定し(ステップS4)、所定電圧未満であれば電池の品質が良好であるものとみなして第1の閾値として例えば2.4Vを設定する(ステップS5)一方、所定電圧以上であれば電池の性能が所期のものとは異なるとみなして第1の閾値として例えば2.8Vを設定し(ステップS6)、かかる第1の閾値の設定値を不揮発性記憶手段に記憶する。
次に、ステップS7において図3に例示する電池寿命判定を行い、電池寿命であると判定されると不揮発性記憶手段に設けた電池寿命フラグに例えば1を設定し、電池寿命でないと判定されると電池寿命フラグに例えば0を設定する。そして、ステップS8において電池寿命フラグの設定内容を判定し、電池寿命フラグが1であればガスコンロに搭載された圧電ブザーなどの報知装置(報知部)を用いて電池寿命である旨の所定の報知を行い(ステップS9)、通常制御を開始することなく異常終了する。異常終了の態様は適宜であってよく、例えば電源を遮断せず且つ一切の操作を受け付けずに上記した電池寿命報知を継続するものであってもよいし、所定時間の電池寿命報知の後、自動的に電源を遮断するものであってもよい。一方、電池寿命フラグが1以外であれば、ガスコンロの通常制御を開始し、具体的には各種操作部の入力受付処理を行うとともに、入力があった場合には対応する電気駆動部品の所定の動作制御を行う。
図3は、上記ステップS7における電池寿命判定処理(電池寿命判定手段)の一例をさらに詳細に示すものであり、電池寿命判定処理が開始すると、まず、いずれの電気駆動部品の作動制御を行うことなく開放電池電圧(定消費電力状態の電池電圧)を測定する(ステップS10)。開放電池電圧が上記第1の閾値以上であれば、電池寿命でないと判定して後述するステップS12〜S15の工程をスキップし、電池寿命フラグに0を設定して(ステップS17)、判定処理を終了する。一方、開放電池電圧が第1の閾値未満であれば(ステップ11)、ステッピングモータ30を全相励磁して最大の電力消費電力で動作させた高消費電力状態とし(ステップS12)、このときの電池電圧を測定して(ステップS13)、ステッピングモータ30を停止し(ステップS14)、測定された全相励磁時の電池電圧が第2の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS15)。なお、第2の閾値は工場出荷時に不揮発性記憶手段に記憶設定されており、例えば1.9Vとすることができる。また、このときにおいても、いずれか一のステッピングモータ30を全相励磁した状態を高消費電力状態とすることもできるし、より確実な判定を行わせる場合にはすべてのステッピングモータ30を全相励磁した状態を高消費電力状態とすることもできる。
ステップS15において全相励磁時電池電圧が第2の閾値未満であると判定された場合には、電池寿命であるとみなして電池寿命フラグに1を設定して(ステップS16)、判定を終了する。一方、第2の閾値以上である場合は、電池寿命ではないとみなして電池寿命フラグに0を設定して(ステップS17)、判定を終了する。
本実施形態の電池式ガスコンロによれば、電源投入時の起動処理において電池寿命を判定するので、調理の途中で高消費電力状態となった途端電池寿命エラーが発生して燃焼動作が停止してしまうことを回避できる。さらに、電池101の開放電圧が十分高い場合には殆ど電力消費を行うことなく電池寿命判定を終了するので、電源投入の度に電池寿命判定処理に大きな電力消費がなされ、これにより電池寿命を早めてしまうことを回避できる。さらに、電池101の開放電圧が第1の閾値未満に低下した場合には、高消費電力状態として電池寿命判定を行うことにより、燃焼動作を行わせるに十分な電池容量が残存していることを起動処理時に確認でき、正確な電池寿命判定を行うことができる。さらに、電池交換された際に、電池の特性を検査して電池の特性毎に第1の閾値を設定することにより、性能の異なる電池に交換された場合にも的確な電池寿命判定を行うことができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。
例えば、電池寿命判定処理は、図4に示すように、判定開始時に、まず、不揮発性記憶手段に記憶された上記差電圧(ドロップ電圧)が所定電圧、例えば0.4V以上であるか否かを判定し、0.4V以上であれば性能の異なる電池であるとみなして、ステップS10,S11の開放電池電圧の判定をスキップし、常時ステッピングモータ30を全相励磁した状態の電池電圧の判定を行うように制御構成している。なお、この場合、第1の閾値は用いないので、図2のステップS4〜S6の第1の閾値の設定工程は削除することができる。